令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第4回)議事録

1.日時

令和4年9月30日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議事録

令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第4回)
令和4年9月30日(金曜日)13時00分~15時10分

【秋田座長】  お待たせいたしました。定刻でございますので、ただいまから第4回令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議を開催いたします。本日はお忙しいところを御参加いただき誠にありがとうございます。
 本日は、委員の皆様全員に御出席をいただいております。また、本日は御発表のために、青山学院大学の野末様、群馬大学の濵田様に御出席をいただいております。ありがとうございます。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。本日の配付資料ですけれども、議事次第にありますとおり、資料1から資料4までが本日御発表いただく皆様の資料となっております。
 資料5につきましては今後の日程案、また、参考資料1といたしまして、前回の第3回会議の主な御発言をまとめた資料。参考資料2といたしまして、昨年度の文部科学省の調査研究において令和2年度の学校図書館の現状に関する調査の調査分析をいたしましたので、その概要資料を御用意しております。
 委員の皆様には事前にメールにてお送りしていますので、お手元に御用意いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。本日の流れでございますけれども、本日、4名の皆様に御発表をいただくこととしております。発表は前半2名、後半2名に分けて行いたいと思います。
 まず前半でございますが、接続の関係から、まず最初に有山委員より、図書館に関する子供たちへのヒアリング報告について御発表いただき、次に、富永委員の接続が可能になれば、子供の読書活動の推進に関する子供たちへの意見聴取について御発表いただきます。お二人の発表が終わりましたら、質疑や議論を深める時間を20分程度取りたいと思っております。
 また、今のところの予定では、続いて後半は青山学院大学の野末様から図書館におけるDXについて、次に群馬大学の濵田様から、小中高校の不読について御発表いただく予定となっております。
 万一、富永委員が、有山委員の御発表の直後に接続がまだ不良の場合には、前半に濵田様のほうから御発表いただくというような予定になってございます。
 お二人の発表が終わりましたら、同様に質疑や議論を深める時間をまた30分程度取りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、最初に有山委員のほうから御発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【有山委員】  よろしくお願いします。では早速画面を共有させていただきます。
 こんにちは、皆さん。私は、長野県の軽井沢風越学園で勤務しております有山裕美子といいます。本日は、私の勤務する軽井沢風越学園の子供たちに、図書館に関する意見聴取、ヒアリングを行ったことについて御報告させていただきたいと思っています。
 最初に、風越学園のことを少しお話ししたいと思っています。
 風越学園ですが、2020年の4月に開校した、幼稚園と義務教育学校が一緒になった学校です。こちらは今、本校のホームページを御紹介しているのですが、「じっくり たっぷり ゆったり まざって 遊ぶ 学ぶ 「  」になる」ということを目指しています。このかぎ括弧の中身はそれぞれ一人一人の子供たちが見つけていくことを目標に、日々、学校教育を行っております。
 大切にしたいこと。これは、こちらも風越学園のホームページで御紹介している内容なのですが、大人も子供も「つくる」経験を大事にして、じっくり、ゆったり、たっぷり、まざって積み重ねていくということを大切にしながら、子供も大人もつくり手であるということを中心に据えて教育実践を行っています。
 こちらは風越学園のライブラリーの様子です。この写真を見ていただいても体感していただけると思うのですが、学校全体が図書館、ライブラリーになっていまして、「手を伸ばすと3万冊の蔵書」と書きましたが、9月21日現在、3万6,758冊の蔵書があります。
 図書館を中心に、いろいろな学びの場、教室というか、いろんな子供たちが学ぶ部屋、たとえば、図工室や家庭科室など、いろいろな場所が周りに延びている、そんな形のつくりになっています。
 全体を見るとこんな感じです。1階から2階にかけて、スロープ状で図書館が、本が流れていく、そんな様子が見ていただけるのではないかと思っています。
 どこでも読書。こんなふうに壁のない学校図書館なので、子供たちはいろんな場所で好き勝手に、自由に本を広げて読んでいます。
 これ、実はお昼休みの風景ではなくて、通常の授業の中の風景です。なるべく居心地のいい空間で、自分の好きなスタイルで読書ができたらいいな、そんなことも風越学園で大事にしていることの一つです。
 時には森の中で読み聞かせも行ったりしています。「今日はお天気いいから外で本読もうか」なんて言いながら、外に飛び出していくこともよくあることです。
 こちらは国語の授業の様子です。私は国語の教員でもあるのですが、「読書家の時間」2時間、「作家の時間」2時間、「言葉の時間」1時間というのを1週間で構成していまして、教科書を使わずに、読書家でたっぷり読む、作家でたっぷり書く、それから言葉の時間では漢字とか、あるいは言葉、言語事項だったりとか言葉について学ぶ、そんなことを行っております。
 書くこと、読むこと、読書家・作家を大事にしているということの一つに、優れた書き手になることで優れた読み手にもなると私自身は思っていて、たくさん書くことで、自分も既存の本の中から、こんな言い回しがあったらいいなとか、次はこんな表現をしてみようと思う。また読むことで学んでまた書く。いっぱい書く中で、またもっと本が読みたくなる。そんなふうに、書くことと読むことは密接につながっているなと日々感じています。
 実際のヒアリングなのですが、9月6日から9日の間、1週間の間に、風越学園の小学校3年生から中学3年生までの60人に、アンケート及びインタビューを行いました。
 60名というあまり多くはない人数なのですが、丁寧にインタビューしたりしながら行いました。
 実際にどんな質問をしたかというと、1つ目が、「あなたが本を読みたくなるのは、どんなときですか。また、あなたが本をもっと読みたくなるには、どんなことが必要ですか、必要だと思いますか」で、小さい学年にはかみ砕きながら、こんな質問をしました。
 まずは小学校3年生です。本を読みたくなるとき。私のほうで幾つかカテゴリー分けをさせていただいて、回答を報告させていただきたいのですが、「いつ」という筆頭に上がったのは、とにかく「暇なとき」という。時間があったら本を広げているよというような回答が多かったことと、あと、3年生の中で、気持ちの回答がすごく多かったのが印象的でした。いらいらしているときとか、心が落ち着かない、独りぼっちで寂しくなったとき、本を読もうと感じるようです。本が自分の気分転換になったりとか、寂しいときの友達になっているのだな、そんな印象を受けました。
 もっと読みたくなるために必要なことに関しては、静かに本が読めるとか、きれいで落ち着ける場所があるというようなことが出てきました。いろんな本に挑戦したいというようなことが、3年生から出てきたのが特徴的でした。
 小学校4年生、こちらもやっぱり、本を読みたくなるときの最初が「暇なとき」という点が挙がっていました。
 また気持ちのほうも、ちょっと自分の気持ちが落ち込んだときに、本があるとそこに手が伸びるというのが回答でした。
 あとは、きっかけに「作家の時間」というのが出てきたので、作家の時間で自分が作家になって書いていると、逆に本が読みたくなって、そこからアイデアが欲しくなる。そんな回答をしてくれている子供もいました。
 もっと読みたくなるために必要なことという点では、静かな空間というのが出てきました。環境としては、結構「作者ごとに本が分かれている」という発言が多くて、実際、風越学園でも分かれているのですが、子供たちはやはり、もっともっと作家さんにフォーカスして読みたいのだなというのを、この回答から感じました。
 小学校5年生です。こちらも、「いつ」は「暇なとき」が筆頭でした。気持ちは、ネガティブな気持ちが出てこなくなったのもちょっと特徴的だったのですが、本を読むきっかけも、5年生以上はたくさん出てきました。
 読みたくなるために必要なことというのは、やはり読むための雰囲気を大事にしていたりとか、近くにいつも本がある、だから風越いいよね、そんな回答もありました。
 それから活動のほうでは、1日1回読書の時間を確保するとか、毎日10ページ読むとか、ちょっと自分で頑張って読書する機会を増やしていくことによって、もっと読みたくなるんじゃないか、そんな回答が5年生からは出てきています。
 6年生。こちらも読みたくなるときの筆頭は「暇なとき」で、時間があれば本に手を伸ばしているところが、学年として共通しているなと思いました。
 もっと読みたくなるために必要なことというのは、リラックスできること。6年生あたりから聞こえてきたのが、時間が足りない、暇になったらもっと読めるのに、というような回答が多く見られました。
 活動としては、人にお勧めの本を聞くとか、自分の趣味から読書に発展させたい、そういった意見も出てきました。
 中学1年生です。中学1年生も「暇なとき」というのが最初に出てきています。きっかけも、こちら読んでいただければお分かりになるかと思うのですが、いろんなきっかけが出てきています。「本を書いていてアイデアが欲しいとき」という発言は、作家を続けている風越ならではの特徴ではないかなと思います。読書会のようなイベントが出てきたりもしています。
 もっと読みたくなるために必要なこととしては、静かな場所、本のリクエストもそうなのですけど、「読書や読む本を強制されない」という言葉も出てきていて、小学生あたりだと勧めてほしいというのも出てくるんですけど、中学生以上になってくると、私の読書の趣味、私の読書の傾向を否定しないでほしいという、そういった思いも出てきているんだなというのを感じました。
 それから中学2・3年生です。こちらも「暇なとき」が筆頭です。きっかけとしては、「情報が欲しい」とか「頭をよくしたい」という回答が返ってきて、読書が文学作品を読むだけではなく、いろんな形の情報共有のツールになっているのだなということを感じました。
 読みたくなるために必要なこと。静かな環境とか、「無理をして読むのではなく読みたいときに読む」みたいな回答が出てきました。
 活動としては、読む習慣とか、日常的というようなことが出てくるのと、本を読む時間をつくる。なかなか時間がないということも回答の中に出てきています。
 分析としては、全体を見て感じるのは、環境的には蔵書の充実とか静かな空間、すぐそばに本があることを求めているということです。
 要因としては、暇なときというのが全ての学年にあったので、何とか忙しい子供たちに読書する時間をつくるということは大事だなと思いました。
 風越は読書の時間というものをつくっているので、ある程度強制的にというと言葉は悪いのですけど、今の時間は本を読もうね、という読書のための独立した時間がかなり長い時間確保されているのも、読書につながるきっかけだなと思っています。
 気分転換ということもやはり読書の役割の一つです。それから、知りたいと思う気持ちも中に挙げられるかなと思います。
 活動としては、日常的に本と触れ合うとか、読書習慣の形成、1日何ページ読むかを課したいみたいなことを回答に挙げていた子供もいたのですけど、そういったことをやはり促していくような配慮が必要だったり、いろんな人から本を勧めてもらう。それと同時に読書会などのイベントも考えながら、読書に親しむきっかけづくりをしていくことが重要だなということを感じました。
 2つ目の質問は、「学校の図書館や地域の図書館をいつも使いたくなるためには、どんなことが必要だと思いますか」という質問です。
 こちらも私のほうで、子供たちの回答を見ながら少しカテゴリー分けをしてしまったのですが、蔵書とサービスのことというのが小学校3年生から上がっていて、好きな本がある、いろいろな本がある。DVDが置いてあるみたいな、これは町の図書館ですかね、視聴覚資料に言及している子供もいました。
 毎日やっているといいな、風越の図書館は土日やってないからな、そんな回答もありました。
 小学校5年生になると、蔵書はいろんな本がそろっている。本の場所が分かりやすいといいなという発言もありました。
 施設のことについて触れるのも出てきていて、おしゃれな図書館、きれいな図書館への憧れがあるようです。
 自分のこと、自分の環境というのも出てきていまして、バスで行かないと図書館に行けないようなことから、バスの時間が合うと、通いやすいともっと行けるのにな、というようなことを言っていた子供もいました。
 5年生です。蔵書のことに関しては、やはり漫画とかというような希望も出てきたり、新着本、好きな本、借りたい本というような発言が出てきます。
 サービスについては、動画で本を紹介してくれたらいいな、という発言があったり、やはりデジタルネイティブな子供たちならではの回答もありました。
 施設は、やはり図書館が新しいということが魅力的なようです。
 自分のことと結びつけては、読む時間を増やすとか、自分のオリジナルの本をつくって図書館に置いてもらったらいいな、というような意見が出ました。
 実はこの取り組みは、現在、進んでいて、オリジナルの本をつくって軽井沢の町立図書館に置いてもらうということになっています。そのような公共図書館との連携も、図書館を使う一つのモチベーションになるのかなと思います。
 6年生です。蔵書のことでは、本を的確にそろえるとか、たくさんの種類、蔵書の幅が出てきています。
 サービスは、返却が楽にできるといいなとか、読まなさそうな本を目立つところに置いてほしい、こんな意見もありました。
 自分のことと結びつけては、自分が暇になるというようなことを挙げている生徒が複数いました。本を好きになるということも重要な要素です。学校にない本が公共図書館にあるのは魅力的なようです。
 中学校1年生です。蔵書に関しては、本の充実、幅広い蔵書、出てきています。
 サービスに関しては、学習室という回答が中学生は出てきています。利用者カードがなくても入れるといいな、これは借りるときのことなのでしょうか、こんな意見が出てきていました。
 中学2年生・3年生は、蔵書は様々なジャンルの本とか充実ということが挙げられています。
 サービスに関しては、キャンペーンとかあったら面白そう。図書館でいろんなイベントをしてくれたらいいなということなのだと思います。本がすぐに読めるようなフリーな感じの図書館とか、お勧めを常にしてくれるとか入りやすい雰囲気、こういったことを、主に公共図書館に対してではあるのですけど、こういった要望が挙げられています。
 施設的な面に関しては、集中できるスペースがあるとか、静かできれいだったらいいな、カフェがあったらいいな、そんなことも出てきています。
 自分のこと。全ての子が読書を好きというわけではないので、まずは本を好きになりたいなということを回答してくれている生徒もいました。
 こちらのほうの2つ目の質問の分析に関しては、図書館に関してはやっぱり蔵書サービス、施設、いろんな観点から子供たちは図書館のことを見ています。
 蔵書の充実はやはり必須要件で、漫画やDVDも欲しいな、新しいこと、きれいなことというのは、図書館の魅力の一つのようです。年齢が上がると、中学生以上は特に自習室の機能に触れていました。
 自校に電子図書館がないこともあって、電子図書館があったらいいなとか、インターネットの環境についてのようなICTに関わる記述や回答は、今回の質問の中では出てきませんでした。
 長野県も「デジとしょ信州」というサービスを導入して、風越学園の子供たちも電子図書館が利用できるようになっているのですが、今後、そちらとの連携も考えていく必要があるのかなと思っています。
 使いたくなる条件に対して、自分のことを複数挙げている子供がいたというのも印象的で、図書館にサービスの充実を求めるだけではなく、自分自身がどう図書館を利用していくか、どう読書へ関わっていくかというようなことも、記述の中にたくさん見られました。
 いつも開いている、近くにあるなどの使いやすさも重要だということが、この報告の中から、読んで取れました。
 私からの報告は以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、富永委員のほうから御発表をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【富永委員】  こちらこそよろしくお願いいたします。画面のほうは共有できておりますでしょうか。遅くなって申し訳ございません。
 それでは発表させていただきます。市川市教育委員会指導課の富永です。私からは、市川市の公立小学校・中学校の児童生徒へのインタビュー結果について、お話をさせていただきます。
 まず初めに、市川市の学校図書館の考え方について御説明いたします。
 本市では、「生きる力・夢や希望を育む学校図書館」を市の目指す学校図書館像として掲げ、読書生活を支え、学習を支え、研究を支える3つの機能を併せ持った図書館づくりを推進し、生涯にわたって学び続ける市民の育成を目指しております。
 詳細につきましては、本市のリーフレットを添付いたしましたので、そちらを御確認いただければと思います。
 それでは、児童生徒へのインタビューです。
 インタビュー内容は先ほどの風越学園と同じ2点になります。「あなたが本を読みたくなるのはどんなときですか。また、もっと読みたくなるにはどんなことが必要ですか」。2つ目、「学校図書館や地域の図書館をいつも使いたくなるためにはどんなことが必要ですか」の2つになります。
 インタビューの対象者は、市内の小学校・中学校の図書委員の児童生徒にお願いをいたしました。私を含め、座談会形式でインタビューを1時間ぐらい行いました。
 また、小学校に関しては、1年生に対して司書教諭がアンケートをしてくださったので、その結果も併せてお話しします。
 また、これらの結果を私が授業を担当している学校司書を目ざす大学生のみなさんに見ていただいて感想をいただきましたので、併せてお話させていただきます。
 それでは、まず中学生の意見です。1番「あなたが本を読みたくなるのはどんなときですか」。こちらは先ほどの有山委員の発表と同じように、暇なときとか時間があるときとか、何か調べたいときに読みたくなるということを言っていました。
 もっと読みたくなるにはどうしたらいいのかということをさらに聞いていきますと、一番最初に出てきたのが、授業で学校図書館をもっと使ってほしいということを言っていました。小学校のときにはよく授業中に図書館に行っていたけれど、中学になるとなかなか行かないということを言っていました。
 ただ、この中学校は朝読書もやっておりますので、読書に対して学校で取り組んでいないというわけではありませんが小学校よりは少なく感じたようです。
 また、次に出たのが、小さい頃から読み聞かせをたくさんしてもらうことが大事だという意見でした。こちらはブックスタートともつながってくるのではないかなと思います。
 あとは、図書委員がいろいろな工夫をすることが大事だと言っていました。
 それから、これは中学生あるあるなんですけれども、図書館が3年生の教室の前にあると、4月はなかなか怖くて3年生の廊下には行かれないと言っていました。今はそんなことは全くないようです。
 では、図書委員はどんな工夫をしているのですかと聞きましたら、居心地がよくて、明るい声かけやコミュニケーションを大切にしているということを言っていました。
 また、座談会に学校司書の方も参加してくださったんですけども、本を読まないでも入ってこられる場所、整理整頓されている場所というのを心がけていらっしゃるそうです。
 さらに、この学校の委員会の取組として、学校全体で貸出しの目標冊数を決めて、全校で取り組むという取組を行っているそうです。今年度は3,000冊を目標にして、ぴったり3,000冊目に借りた人には新刊本を優先で借りられるとか、いろいろな特典がつくのだそうです。
 そのほかには、書架の工夫だけではなくて、本を持ってあちこちに移動していってみたり、駅弁のように本を抱えて「この本借りませんか」というイベントもあるようです。
 また、「図書委員会だより」を図書委員自身が作成するということも行っているそうです。イベントもいろいろやっているようなのですが、この「福袋」については後ほど説明させていただきます。
 次、学校図書館を使いやすくするためにはどうしたらいいですかということで、やはりここでも、授業でどんどん先生が使うといいんだよということを子供が言っていました。実はこの中学生は、小学校のときに、学校図書館を活用する国語の研究をしている小学校にいた子たちです。この点については、授業改善ですとか年間指導計画の充実など、教師側の視点も大切だなと思いました。
 また、図書委員が頑張るということで、先ほどの3,000冊の目標に向かって、なかなか本を借りそうにないお友達をみんな誘って図書館に来て、「お願いだから1冊借りてよ」なんていうことも言っているそうです。教師が読みなさいというとなかなか難しいですけれども、友達がそうやってお願いするということで、これもまた本を読むきっかけにはなるかなと思います。
 また、本の冊数というと、個人ですとか学級で競ったりすることがあるのですが、全校で3,000冊なので、苦手な子も得意な子も自分のペースに合わせて、みんなでやっていけるというのが、またよい取組ではないかなと思いました。
 あとは、雑誌を置いてほしいということで、必ず鉄道マニアはいるので、鉄道雑誌は必須だねということを言っていました。
 また、部活に行く子はどうしても図書館に来ないで部活に行ってしまうので、例えばサッカーとか野球とか、あと吹奏楽などのいろいろな部活の雑誌を月ごとに代えて置いておくと、部活に行く前に部活の子たちがちょっと寄ってくれるようになるんじゃないかなということを言っていました。
 このような話合いの中から私が一番感じたことは、学校司書の方と図書委員の良好な人間関係です。図書委員が頑張り、それを学校司書の方がとても頼りにしているとおっしゃっていました。この関係が学校図書館の活性化を促し、全校への活動につながっていくと感じました。
 また、公共図書館についてはどうですかと聞きましたら、広くて探せないので、レファレンスカウンター、本市はすごく目立つところにあるんですけれども、やっぱり入り口の近くにレファレンスカウンターがあるといいなということを言っていました。
 あとは、ヒーリング音楽のようなものがかかっている場所があるといいなとか、文字で読んでいてもなかなか分からない難しい本はオーディオブックがあるといいな。読んで聞かせてもらうと内容が入ってくるということを言っていました。
 あと、先ほどもありましたけれども、最近、出版社では新刊本をショート動画で紹介しているので、図書館でも新着本などを動画で紹介してほしいと言っていました。やはり今の子供たちは文字だけではなくて動画からいろいろなものを探っていく傾向があるようです。
 この学校はちょっと公共図書館から離れた場所にあるので、移動図書館を利用していたり、また、スーパーマーケットの中で本の返却ができたりするので、そういうのはとてもいいなと言っていました。
 また、幼稚園や保育園のときに、司書の方が来ておはなし会などをしてくださった思い出があるようで、お誕生日会に来ていただくと保護者にも働きかけができる。また、お誕生日会ですと毎月呼ばれるので、毎月行くことができるので、そこも読書のきっかけになるのではないかなと思いました。
 これは図書委員会から地域の図書館への提案ということですが、子供と大人が交流できたら面白いんじゃないかという提案がありました。
 図書館内で人と触れ合うことはなかなかないですけれども、例えば10代の子にアンケートをして、10代の子のお勧めの本を70代、80代の方が読んだら、そこにコメントなんかをいただけると交流が持てるのかなということを言っていました。
 あと、非常時でも開館している。コロナ禍にほとんどの図書館が閉館してしまったので、子供たちはちょっと寂しい思いをしていたのかなということを感じました。
 あと、好きな本は電子書籍ではなくて紙でそろえて部屋に置きたいとか、本を買う前には必ず電子書籍の試し読みをしてから、買うかどうか、紙にするかデジタルにするか決めているそうです。
 あと、漫画は電子書籍で購入することが多いかな、小説は文字を読むので疲れちゃうから電子より紙が多いのかなということを意見として言っていました。
 次に小学生です。小学生もやはり本を読みたいときは、好きな本を見つけたときとか、何かを調べたいときということを言っていました。
 また、教室に本があるともっともっと読みたくなる。図書委員会のイベントは、「期間限定」と言われると、その限定につられてイベントに乗ってしまう。
 この「本の福袋」は、実はこの小学校でやっていたんですけれども、お正月の福袋と同じで、図書委員会が選んだ本を入れて、何が入っているか分からないけど借りていくというイベントです。中学校はそれを引き継いでバージョンアップしてやっているようです。
 あと、図書館だよりにチケットがついていて、それを持っていくと何か特典があるとか、小学生は何となくそういう特典とかイベントに興味があって図書館に行くようになるようです。
 また、学校図書館を使いやすくするにはどうしたらいいですかと聞くと全員が口をそろえて言ったのは、間違えないで返してほしいし、本を整理することが大切だと言っていました。
 ここの委員会では、委員会の児童が1人ずつ自分の整理する棚が決まっているので、その棚を一生懸命整理しているんですけども、ちゃんと返してくれないととても困るということを言っていました。
 あと、今は1人1台タブレットで全員タブレットを持っているのですが、そこにまだ図書館活用のアイコンがついていないので、タブレットから借りられるようになるといいなということを言っていました。
 では地域の図書館はどうですかというと、やっぱり同じように公共図書館からちょっと離れているので、近くにあるといいな、近くにないから移動図書館を使っているんだということを言っていました。
 また、音楽とか動画については中学生と同じ意見。郵送してくれるサービスがいいなということも言っていました。
 また、スーパーマーケットだとおうちの人と一緒でないと行かないので、自分1人でも行けるコンビニに貸し借りできるところがあるといいなと言っていました。
 あとは、とにかく広くて探せないし、紙を見て自分で探すのは難しいので、例えばタブレットを持っていて、アプリで棚までナビゲートしてくれるといいなと言っていました。
 一番言っていたのは、司書の方はいるけど、やっぱり大人の人だし知らない人だから、その人になかなか聞けないから、人型のロボットがあると、ロボットになら聞けるんだということを言っていました。
 これを聞いて、つい最近テレビで、在宅でしかお仕事ができない方が喫茶店にいる人型ロボットに指示をしてお仕事をするという放送を思い出しました。このような形でもしも図書館にロボットがいたら、そのような方々も子供たちに本のナビゲートなどもできる、新たなお仕事にもつながるんじゃないかなと思いました。
 小学生の自由意見としましては、検索用のパソコンがあるんだけど、どうしても戸惑っちゃうから、全部音声入力にしてほしいということを言っていました。
 あと、今、学校と中央図書館のシステムが違うので、本のマークが同じほうがいいなということを言っていました。
 これは多分、先生や親御さんに言われているんだと思うんですけど、ちゃんと図書館のルールを守るんだということを盛んに話していました。こちらが小学生になります。
 今度は1年生に聞いてみました。1年生もやはり同じようなことを言っていたんですけど、とにかく遠いとおうちの人と一緒じゃないと通えないということをみんな言っていました。やはりこれは保護者への啓発というのが大切だなと感じました。
 私自身、昨年度まで校長をしておりましたので、機会があるごとに、入学式ですとか保護者会、学校だよりなどで、保護者に対しても読書の大切さというものを話してきたので、学校全体で取り組む必要があるなと思いました。
 今度は、先ほどの意見を大学生に見てもらいましたところ、大学生が本を読みたくなるときは、「模試に出てきた小説の続きが気になる」って、なかなか大学生っぽい話だなと思いました。
 あと、中学校の図書委員は「コミュニケーションを大切に」と言っていたんですけれども、大学生になるとやっぱり距離感が大事だよねということを言っていました。
 あとはやっぱり勉強する場所だったりとか、職場体験に行くと興味が湧くということを話したりしていました。
 こちらは本市が行っている、4年目の教員に対して学校図書館を活用するための研修で、先輩の授業を見て自分たちが授業を行った後、どれくらい学校図書館を活用した効果があったのかということで効果検証した結果です。
 学校図書館の活用における指導観及び期待感尺度というものを作成して、研修の前後で有意差について調べました。
 当初、自分が子供のときに授業の中で学校図書館を活用した経験があったり、いつも本を持ち歩いたりしているという個人の本が好きという傾向について、有意差が出るのではないかなと思ったのですが、それは全く関係なくて、公共図書館を利用しているとか、学校図書館によく行っているとか、自校の蔵書点検を手伝ったことがあるとか、この研修を受ける前から学校図書館を活用した授業を行ったことがあるというように、図書館へ足を運ぶ先生方に有意差が出てきました。
 これらの結果を踏まえまして、私からの提案として、「図書館は、一歩前へ!」ということを提案したいと思いました。
 まず、「図書館は成長する有機体である」というのは多くの方が知っていらっしゃる言葉だと思うんですけれども、図書館というのは動かずにそこにありますが、そこに人を呼び込むことで、子供たちがたくさん図書館に集まり、その中で本が動き、本がまた人と一緒に外に出ていくことで、どんどんどんどん本の輪が広がっていく。常に動いているということが図書館は大事なのではないかなと感じました。
 こちらは参考資料になります。これは図書委員会の子供たちがつくった「図書委員会だより」で、何かいろいろな顔が描いてありますけど、これは学年の先生の似顔絵なんだそうです。これが誰かというのが、図書館に行くと解答があるということで、これで図書館に人を呼び込んでいるそうです。
 こちらが「目指せ3,000冊」ということで、これは7月の写真なので、そろそろ3,000冊のピタリ賞が誰かに行っているのではないかなと思います。
 こちらが「本の福袋」。この中の1冊とか、あとこっちの茶色い袋の中に3冊、何か分からないけど本が入っている、福袋ですよという形でやっているそうです。
 こちらは特別支援教育に関してなのですが、先ほどのリーフレットから取ってきた写真で、まず、特別支援学校や学級では、本になかなか興味を持てない子のために、ぬいぐるみを置いたりですとか、いろいろな手だてを採って本に興味が行くようにしているようです。
 また、本市の公共図書館では障がい者サービスとして、布絵本をボランティアの方がつくってくださって、それを貸出しています。
 こちらはコロナ前の写真ですけれども、例えば幼稚園児が近くの公民館にある図書館へお散歩がてら本を借りに行ったり、中学生が併設されている保育園に遊びに行って、保育園児に本を読んだり、写真はないですけれども、小学生による幼稚園児への読み聞かせがあったり、また、小学校の学校司書が幼稚園に読み聞かせに行って、小学校の本を貸出ししたりとか、そのようなつながりもあります。
 市川市では半世紀以上にわたる読書教育の歴史がありますけれども、常に、今の時代に合わせていろいろな使い方をしていきたいと考えております。
 また、子供は私たちが思っている以上に、デジタルとアナログを自分の都合に合わせてうまく使い分けているんだなというのが分かりました。
 本市には「いつも新しい流れがある 市川」というキャッチフレーズがございますが、図書館も新しい流れに乗っていきたいと思っております。
 今回はこのような機会をいただきまして子供たちの意見が聞けたこと、一緒に教務主任も聞いてくれましたので、教務主任もとても喜んでおりました。この場を借りまして、インタビューに協力してくださった全ての皆さんに御礼を言いたいと思います。御清聴ありがとうございました。
 以上です。
【秋田座長】  富永委員、どうもありがとうございました。
 それでは、前半のお二方の御発表について、御質問、御意見をいただきたいと思います。御質問、御意見のある方、どうぞ挙手ボタンを押していただければと思います。
 今、鎌田委員のほうが手を挙げてくださっておられますので、どうぞよろしくお願いします。
【鎌田委員】  鎌田でございます。お二人の御発表、大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。
 有山先生と富永課長に一つずつ質問させていただきたいことがございます。
 有山先生の学校は、図書館の中に学校があるというすてきなところで、ぜひあのような学校で学んでみたいと思ったのですが、冒頭のところで、電子書籍が未導入であるということをお示しされていました。
 何か特別なお考えがあってあえて導入していないということなのか、それとも、「未」ですので、これから導入されるということなのでしょうか。
 併せて、児童生徒は学校外では電子書籍に触れている可能性はあるかなというふうに思いましたので、その辺の御事情についても教えていただけるとありがたく存じます。
 秋田先生、続けて富永先生にも御質問してよろしいでしょうか。
【秋田座長】  はい、お願いいたします。
【鎌田委員】  富永先生のところからは、ヘビーユーザーの図書委員の方々のインタビューということで、これは非常に参考になる調査だと思うのですが、その中で特に印象的だったのは、授業で使うと本を読むようになるという生徒さんたちの御意見があったのですが、市川市は長らく様々な調査をされていますので、これに関わるようなデータや調査結果をお持ちでしょうか。もしお持ちであれば教えていただきたいのですがという質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは、それぞれ鎌田委員の御質問に御回答いただければと思います。お願いをいたします。
 それでは、まず有山委員のほうからお願いします。
【有山委員】  電子図書館に関してですが、未導入というのは、本校は幼稚園から小学校、中学3年生までということで、小さい子が主な対象であることから、電子図書館をまだ入れなくてもいいのではないかというのが学校全体の見解となっています。否定しているわけではなく、紙の本から入っていこうかというところです。ただ、今回、「デジとしょ信州」が始まったらそれを子供たちに紹介したりとか、4年生以上は1人1台端末を持っていますので、読んでいる子もいますし、漫画はデジタルで読んでいるという子も多いようです。
 私は前任校から電子書籍をつくるという取組をずっとやってきており、風越学園においても子供たちは電子書籍をつくっています。自分の作品を、「作家の時間」でつくった作品を電子書籍に変えるという取組を行っていますので、お互いの作品を電子書籍で読んでいます。それぞれのオリジナル作品を電子でつくっていて、それを読み合うことで電子図書館の仕組みをちゃんと体験しています。そういったことも行っているので、今後、学校内に導入しても問題なく使えるのではないかと思っていますが、今後の検討事項の一つと捉えています。
【鎌田委員】  ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございました。富永委員、お願いいたします。
【富永委員】  鎌田先生、ありがとうございました。市川市では、教育センターから「学校図書館支援センター通信」というのを毎月出しています。そちらに、ちょっと何月号になるか分からないんですけれども、1年間まとめた学校図書館活用単元数というのを掲載しています。いろいろな教科の単元で、何単元の授業で学校図書館を活用したかというのを出しています。
 活用時間数にしてしまうと、例えば5クラスあるクラスは掛ける5倍になってしまうので、市としての数値にはならないので、単元であれば、例えば『ごんぎつね』の授業だったら、5クラスあっても『ごんぎつね』の単元は1つなので、何単元使ったかということで数値が出ているので、一番近い数値ですとそれになりますが、いかがでしょうか。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、あとお三方、手が挙がっていますので、そこまでとさせていただいて、お三人にそれぞれ御発言いただいてから、まとめて応答していただければと思います。
 堀川委員、福田委員、桑原委員になりますので、堀川委員からお願いいたします。
【堀川委員】  ありがとうございます。堀川です。2つの学校の状況を聞かせていただいて、やはり児童生徒の生活時間のなかで学校滞在の時間が長いという、だからこそ学校できちんと読書に対する対策というか働きかけが、必要だなとつくづく思いました。
 学校図書館、先ほど2つの学校、市川もそれから風越学園も、印刷資料もデジタル資料も視野に入れてというか、扱っていらっしゃって、だからこそ学校図書館の活用で、印刷資料だけじゃなくてデジタルもいろいろなメディアを対象に指導ができる、これが大事だと思います。
 ただ、学校図書館が活用されるには、やっぱり人がきちんといることが大切だなと。ちょっと後でお伺いしたいのは、有山先生のほうで、学校司書というのは、司書教諭もですが、どういう役割を果たしているのかということを後で教えてください。
 市川のほうは、いろいろな働きかけの工夫が出ていました。やはり担当者が働きかけることがとても効果があるというように思いました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは続きまして福田委員、お願いします。
【福田委員】  お2人の様々な発表、ありがとうございました。第4次の有識者会議の資料に、読書への姿勢というのは学級間格差があるけれども、学校間格差もとても大きいとありました。
 今日発表なさってくださったように、風越学園も市川市も読書に対する姿勢がとても広がりを持って取り組んでいらっしゃるというところに、感心をしながら聞かせていただきました。
 実際に図書委員会の子供たち、それから、多くの子供たちの声を反映させながら活動を広げる施策ということの大切さをさらに感じたところです。子どもたちの声を取り入れながら読書活動が広がっていけばいいなと思っています。
 それで、市川のところでは、学習授業時間で学校図書館を使って、さらに子供たちの力を培っていらっしゃるということなのですけれども、実は全国学校図書館協議会の調査項目で、5年に1回、「学校の先生に読書を勧められるか」という項目が調査されています。
 2013年度では、小学生は約19%が「先生に読書をよく勧められる」、中学生は12%、高校生は11%でした。「時々勧められる」というのも含めても、小学生が約47%、中高校生が35%で、半分に行かないわけなんです。
 それが2018年の調査ではさらに低くなって、「先生に読書を勧められる」が小学生は11%、中学生や高校生も7%に減少して、「時々勧められる」を含めても、小学校では40%、中学校30%、高校25%です。一番身近なところにいる教員に読書を勧められていないのが実態です。
 お二人の発表から、学級差とともにやはり学校間格差・自治体間格差も大きいのだと、とても感じたところです。
 今日発表していただいた風越学園や市川市のような活動を全国の教員が意識して、広げていければいいなと感じたところです。どうもありがとうございます。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】  ありがとうございます。有山先生、富永様、本当にありがとうございました。貴重な調査結果を本当にありがとうございます。
 いろいろお話を伺う中で、私どものこども園でもやっていることがすごく似たことがたくさんありまして、当園の事例で申し上げますと、近隣に矢祭町というところがありまして、そこでは全国から集めた図書を図書館という形にした、あまり見ない図書館といいますか、すばらしい図書館がありまして、その図書館で毎年行われている手作り絵本コンクールというものがあるのですが、昨年、私、5歳児の年長児の担任だったのですが、その時に、子供たちがグループをつくって自分たちの手作り絵本を制作したのです。つくり上げて、その絵本を完成させて応募するに至ったという経緯がありました。
 そこに至るまでには、自分たちでつくるには何がきっかけなんだろうというところについて、ちょっと子供たちをよく見てみたんです。
 そうしましたら、私たちの働きかけではなかったのですが、子供たち自身が文字のない絵本に興味を持ち出しまして、文字のない絵本のお話を自分たちでつくり出したんです。そして、そのストーリーをつくっていくうちに、結果、自分たちで書いてみたいなとか、そういう気持ちになったことがきっかけだったようなんです。
 その作品を完成させたときの子ども達の達成感というのは、小さくたってすごくて、入賞したとかということではなかったんですけれども、それを私どもの読書スペース、壁一面に絵本を飾れる美術館的なスペースがあるのですが、そのスペースに飾ってあると、借りていきたいという、今度は小さいお子さんもいたりして、その刺激がどんどんどんどん広がっていったということを目の当たりにしました。その時、やっぱりこの「きっかけ」と、「子供たちの自分たちでやってみたいという主体性」というのはすごく大事なんだなと感じ、富永先生、有山先生のお話を聞いていて改めて感じました。
 きっかけというのは大事だということ、そして小学生になったから急に読書が好きになるということではないのだろうなということを感じています。読書は急に習慣づくものではなく、ブックスタートから始まって、乳幼児期にどれだけ本に親しんだかというところが基本になってくるかなというふうに思っています。
 以前、第2回のこの会議の中で福田先生がおっしゃっていたように、ブックスタートと義務教育までの期間をどうつなぎ、形づけていくかということに対して、セカンド、サードブックスタートがなされていくことがというふうにおっしゃられておりましたが、まさにそれが基本と言っていいように思います。そこにはやっぱり「家読」という活動もすごく必要なんだろうなと。そこが保護者への啓発にも変わっていくのかなというふうに思っています。
 第4次計画にもあるように、家読という活動を切れ目なく、乳幼児期から高校生までずっと続けていけるような事例とか、そういったものをこの第5次計画に反映すべきかなというふうには思いました。先生方、本当にありがとうございました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。御質問としては、堀川委員から有山委員への御質問がありましたので、そのご質問への回答と、あとお三方の御意見を受けてということで、それぞれ一言ずつ伺えればと思います。
 それでは有山委員、いかがでしょうか。
【有山委員】  先生方、御意見、御感想ありがとうございました。堀川先生へのお答えなんですけれども、今回、アンケート調査の報告ということで、あまり風越の読書をどう取り扱っているかなという報告はさせていただかなかったのですが、司書教諭、学校司書の役割は、本校は司書教諭1、学校司書1が常駐していて、常にプロジェクトで子供たちが何かをやるときに、一緒に伴走したりであるとか、質問に答えたりとかしています。壁のない学校ですので、プロジェクトの途中で「ちょっと聞いてくる」と子供たちが飛び出すと、司書教諭や学校司書をつかまえて質問したりとか、事前の設計ももちろん一緒にやるのですが、その場面場面でのサポートも常にしている。壁がないっていいなというのを実感している状況です。
 それと同時に、読書家のほうは国語科の教員が主に担当していまして、私もその1人です。読書家の中では一人一人カンファレンスを手にしていまして、次の1冊として何の本を手渡すかというのをすごく大事にしていて、一人一人の記録を綿密に取っています。
 これも読書家という時間が確保されているからできることで、誰ちゃんが何を読んでいるとか、次はこれを勧めたいなということが常に分かっている。国語科の教員でも共有されていますけど、それを学年の教員とも共有しているので、こんなの読んでいたよとか、次これはどう、とほかの教員も勧めてくれたりするので、福田先生がおっしゃっていた教員へのアピールがなかなか難しいという中で、風越はうまく機能しているのかなと、そんなふうに考えています。
 教員が読書に深く関わっていると同時に、学校全体として子供たちの読書を大切に捉えているということの表れが、この読書家という環境があることの一つかなと思います。先ほどの作家と、そこもまたさらにうまく結びつけながら、今後も展開していきたいなと思っています。
 また、子どもたちのアンケートの結果の中にあったように、自分自身が本を好きになることがとても大事だと思っているので、きっかけづくりを今後もやっていきたいと思います。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、富永委員のほうもお一言お願いいたします。
【富永委員】  皆さん、ありがとうございました。市川市では長い歴史の中でいろいろなことをやっているのですが、やはり若い先生方が増えてきているので、そういう方々にどうやってこのスキルをつないでいくのか。子供たちの読書離れをというのではなく、読書が好きな子供たちを育成していくにはどうしたらいいのかということを、皆様の御意見を参考にしながら、市川市として更なる発展をしていきたいと思っております。
 市川市の図書館は先生方の研究も支えておりますので、学校司書の方はフルタイムの勤務としております。ですので、校内研究会に参加していただいたり、職員会議に必要があれば出ていただいたりすることで、職員の方々ともいろいろな打合せができるような形を取っております。
 また、図書の時間ということで、図書館を優先的に使える時間をなるべく時間割の中に組み込むようにしていただいています。例えば図書の時間ではなくても、突然、社会科で米づくりを調べていて、1人だけ「先生、僕ちょっと調べ忘れた」と言ったら、「じゃあ図書館に行っておいで」と言って、図書館に行って、ほかのクラスが図書館を使っていても「米の本ありますか」と言うと学校司書の方が対応してくれます。そういうことをしているので、今後もいろいろなことに挑戦していきたいと思います。本当にありがとうございました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。今回は、あえて学校や自治体が何をしているかというだけではなくて、当事者である子供の声を聞くというような試みが、この会議で初めて行われているというようなところもございますので、その生の声も受け止めて、策定に生かしていきたいと思います。
 それでは続きまして、今度は後半になります。野末様から御発表いただきます。よろしくお願いいたします。
【野末様】  よろしくお願いします。では、画面を共有いたします。
 青山学院大学の野末です。改めまして、よろしくお願いいたします。
 今回は鳥取県図書館大会における講演──DXに関する講演だったのですけれど、それをきっかけにお声がけをいただきました。本日のテーマもDXです。ご依頼の経緯から、今日の発表の内容は鳥取での講演と重複するところがありますので、その点、ご了承ください。
 それから、資料のお届けというか、スライドの作成がぎりぎりになってしまって、先生方にあらかじめお届けをすることができなかった点についてお詫びをします。実は濃厚接触者となり、症状があって、先週の頭から一昨日まで療養をしておりました関係で、ちょっと作業が間に合わなくて…。今日の資料については事務局経由できちんとお届けをしますので、その点、何とぞご容赦いただければと思っております。
 今日の発表ですけれども、趣旨は事務局からご依頼いただきましたDXがテーマなのですが、DXによって特に公立図書館がこれからどう変わっていくのか、子供たちの読書活動の推進にどういう役割を果たすべきか、ということで考えを述べてほしいということだったので、私なりの考えを今日は述べさせていただきたいと思っております。ただ、自由に述べるわけではなくて、共同研究を行っているものがありますので、そちらをベースにしています。ただ、発言の内容は、私個人の考えということで受け止めていただければと思います。
 それから、「これから」の話をしますので、予測とか予想とかアイデアのレベルのものも混じっていますが、それらも委員の皆様のご議論の素材になるかもしれないので、率直にお話をしたいと思います。逆に、周知の事柄も多いかと思いますが、その点もご了承いただければと思います。
 改めまして、野末でございます。委員の先生方には、実は大変御無沙汰している先生方がたくさんいらっしゃいまして、この場を借りてご挨拶を申し上げます。ご無沙汰しております。
 お話しする内容は、3行目にあります革新技術と社会共創研究所というところの取組が中心になります。この研究所ですけれども、一言で言うとDXの研究所です。研究所では、複数のプロジェクトが動いています。ロボットやAIの倫理とか、ドローンとか、ファブラボ的なものとかいろいろですが、その中の1つが、「近未来の図書館と新しい学び」研究プロジェクトです。私がリーダーを務めていて、富士通Japanと共同研究を進めています。図書館を中心にAIで学びをどう支えるかということを、なるべく実証的に研究していこうということで進めております。
 今日は公立図書館の話ですので、DXの前提というか、前置きとして、近年の動向を簡単に確認しておきたいと思います。今年のLibrary of the Yearのノミネートはご覧の4館です。また、先週土曜日の日経新聞に図書館のランキングがありました。ご覧いただくとわかるように、日経の見出しに「滞在型の読書空間 まちの活性化を促す」とあったとおおり、この2点に最近の公共図書館、公立図書館の傾向が集約されていると思います。滞在、それからまち、地域ということを非常に重視しているところが最近の特徴かと思っております。
 振り返ってみると、図書館というのは資料と人を結びつけるため、貸出し型を中心にしてきたところから、いわゆる課題解決型のように、情報と人を結びつけるということになり、そして、最近は、活動と人を結びつけるということで、それが一番端的に表れているのが、複合施設化をして賑やかな空間をつくっていく、ということだと思います。これは公立図書館だけではなくて、それこそ有山先生のところの学校図書館であるとか、大学図書館などでも同じ傾向が見て取れるかなと思っております。
 読書に引きつけて言うと、本を単に貸せばいいのではなくて、一人一人に合った本を提供する、そして、それをいかに読書という活動そのものに結びつけるかということが、今の公立図書館でも大きな課題になっていると思います。
 滞在型だけではなくて、コロナ禍を通してリモート型のサービスも今、求められていますので、リモートでも読書という活動にどう結びつけていくかということが、図書館の射程に入ってきていると思っています。ここで活用が期待されるのがICTであり、ICTを活用したDXということになると思います。
 そのDXなのですが、正直なことを言えば、IT業界の皆さんがビジネスのためにDX、DXと言っているところはあろうかと思います。が、実際に企業の側も、DXについては、これは大事だということで、例えば、CEOとかCOOなどと並んで、CDXOなどという役職を置いている企業もありますし、専門の部署をつくっているところもたくさんあります。それぐらい、世の中では医療とか教育とか行政とかでもDX化が進んでいますが、図書館の場合にはまだこれからの段階かと思います。
 私は職業柄、講演とか研修の講師を引き受けることが少なくないのですが、先ほど触れた鳥取も含めて、去年と今年で数件──5件、6件ですかね──引き受けたのですけれども、1件を除いて、全てDXがテーマでした。そのぐらい、今、図書館の世界、あるいは教育の世界でもDXということは大事なんだ、言い方を変えると、今からこれを進めていこう、というところにいるのではないかと思っています。
 図書館界では今のところ、DXといっても、「デジタル化と何が違うのか」あるいは「ICTと同じでしょう」という認識も少なからずあるように思います。しかしながら、DXのコアとなる概念というか、理念のところを理解することが進めば、恐らく単なる掛け声ではなくて、これまでとちょっと違う段階に入るような変化が起きるのではないかと、私および我々としては考えているところです。
 理由としては、DXはニーズから始めるのが基本、つまり、「ICTを導入するとこんなことができるからやってみようか」ではなくて、「実際に困っていることとかやるべきことがあるので、それを解決するためにICTを使う」という、動機の部分がきちんとしているので、この考え方がきちんと根付けば、次の段階に進むことが図書館の世界でもあるだろうというふうに認識をしています。
 では、DXとは何かという話なのですが、固まった定義はまだないと思います。経産省の定義が今、画面に出ていますが、これを図書館風にアレンジすると、こんな感じになると思います。文言はともかくとして、ポイントだけ申し上げますと、まず1つ目が、何か新しいことが起きているわけではなくて、既にあるデータ、既にある技術、これらをうまく組み合わせていくというところがポイントです。つまり、何か目新しいものがドンと出てきたのではなくて、今あるものをうまく組み合わせることで新しい価値を見いだそうというのが、DXのポイントの1つ目ということです。
 2つ目がニーズ志向ということです。これは先ほど触れた「ニーズから始めましょう」ということです。そして、3つ目がいわゆる個別最適化、4つ目がいわゆる全体最適化で、この2つを同時に狙っていこうというのがDXです。
 もちろん、先ほど、既存のデータの技術と組合せとお伝えしたのですが──AIとかビッグデータとかIoTとか、中核となる概念はたくさんあるのですが、小さく始めることもできる、今あるものを使っていく、個別・全体の最適化を目指していくのでコストの面も見合うところがある、ということで、図書館の世界でもこれから、「DX」という言葉を使うかどうかは別として、進んでいくというふうに理解をしています。
 ここに至って、そうなると、「ICTとかデジタル化とどう違うんだ」という話になるのですが、DXを先ほどのように捉えるとすると、いわゆるICTとかデジタル化についても改めて捉え方を整理し直しておく必要があるだろうと思います。簡単に申し上げると、ICTはテクノロジー、技術ですから、それをどう使うか、つまり、技術によって社会的にどういう変化が起きたかということが「デジタル化」です。デジタル化というのは、要するにデバイスの違い、メディアの違いが気にならなくなること、いろんなメディアで同じものが扱えるという、デバイスの違いを超えて情報が処理できるようになったということです。「ネットワーク化」は、運ぶ時間が要りませんから、時間の制約がなくなること、「モバイル化」は、場所の制約がなくなるということだと思います。
 「ICT」とか「デジタル化」については、一口に言ってしまっているのですが、我々が議論するときにどこを狙っているのか、デジタル化とネットワーク化とモバイル化はそれぞれ機能、効果が違いますので、そこを整理しながら議論していく必要があるのではないかと思います。
 ちなみに、この後、「AI化」が進むと、人間のスキルとか能力とか経験とか、そういった制約みたいなものが、もしかすると超えられるのではないか、という意見も出ていますが、これはちょっとどうなるか、まだ分からないなと思います。
 それからもう一つ、ICTを捉えていくときに重要なことが、いわゆるZ世代とか言いますけれども、デジタルネイティブの世代ですね。今の大学生もそうですが、このモバイル化までが当たり前の世代、生まれたときから周りにあった世代です。ですので、「ICTは道具なので使っても使わなくてもいい」という考え方があるのですが、DXの場合、そういう考え方は取らずに、すでに環境なのです。道具ではなくて環境なので、もう「そこにあるもの」なのです。Z世代は既に社会に出ていますので、これからの社会をつくっていくZ世代の考え方がこれから広がっていくので、ICTは既に道具ではなくて環境と捉えておくのがよいと思います。
 さて、DXについて考えるときに、AIというのは重要なファクターになる重要な技術なのですが、ここでちょっとAIについて、少し読書に引きつけながら考えてみようと思います。読書をここでは3つに分けています。「本を読む」ということの前に、何を読むかを「探す・選ぶ」という段階があり、後に読んだことを「使う・活かす」という段階がある、この3つの段階に分けて考えてみようと思います。
 今、我々が共同研究で取り組んでいるのは最初のところで、「読書をする本をどう選ぶか、どう探すか」です。そもそも何を読むかということについて、同じテーマであっても最適なものは一人一人違うと思います。そうすると、「よい読書」というか、「一人一人に最適な読書」にいかにつなげるかには、この段階が大事であろうと考えています。
 図書館で読書案内とか読書相談はもちろんするのですけれども、自分で探す場合も多いと思います。そこで、AIを使って、文献の探索、文献との出会いをうまくマッチングできないか、ということを試してみようと。試すというか、本気でやってみようということで、ここのシステムの狙いとかはともかくとして、何をやっているかというと、まず、AIが書誌データを学習します。利用者はキーワードを入れます。Googleの検索窓に入れたときと同じように、「あなたが欲しいのはこれじゃないですか」という候補をいくつか挙げてくれます。
 その中で、「これが一番近いかな」「これがいいかな」という文献を選んでいくと、また次の候補を挙げてきます。このようにAIと対話を繰り返していくことで、目的の文献にたどり着くことができるという対話的なシステムをつくっています。ここに至るまで、なかなか紆余曲折が実はあったのですが──。
 まだ実験、開発の途中ですので、現時点で分かってきたことをちょっとお伝えしますと、1点目は、実例は省略しますけれども、「AIだから見つかるもの」というのはやっぱりあります。キーワードが一致しているとか、何かつながりがあるとかではなくて、AIがAIなりの考え方で見つけてきたものが、思わぬ掘り出しものであるということがしばしば見られます。ですので、システム自体は、実際に世の中の図書館システムに、あるいは図書館システムとは別のものとして、外にくっつけて使えるようなものとして、実装を今、目指しているところです。
 一方で、AIにも苦手はあって、どうやっても自分の欲しいものに近いものにたどり着けないということもあります──今日、実例はもしも時間があればお話しできると思いますが。AIは、少なくとも今の時点では、得意・不得意がやっぱりあるのです。
 言い方を変えると、AIは、魔法の杖とかドラえもんみたいに万能ではなくて、やはり人間側がどういう意図を持って、どういうデータを与えて、どういうふうにつくり込むか、ロジックをどう組むか、ということで結果が大きく変わるものです。ですので、AIが適用できるのはどこか、どういう場面かということは、これから研究、実践がまだまだ必要だというふうに思っています。
 この「どういう文献が適切か」というのは本人でも難しい問題ですので、AIで本当にうまく見つかるケースもあるのですが、そうでないケースもあると思います。そう考えると、図書館の職員、司書の皆さんが、経験とか知識をもって本を選んで、相談に乗っているというのは、ものすごく高度なことをしているということが、本当によくわかります。そのノウハウを、仮にデータ化してAIに学習させることができれば面白いとは思うのですが、相当難しいと思いますので、我々はまだそこには踏み込んでおりません。今のところは、利用者の検索とか読書とか学習の履歴のようなものを使ったほうが効果が得られると我々としては思っています。ただ、これについては、我々も実は取り組んでいるのですが、プライバシーとか個人情報の問題、それからシステムがそもそも違うという問題があって、なかなか一筋縄ではいかないので、ちょっと足踏みをしているところです。
 この図が、AIがどのへんが得意かという現在の仮説です。能動的に文献を探しにいくところ、潜在的なニーズがあるところ、AIはその部分が得意ではないかというのが今の仮説です。能動的で潜在的なところですね。
 この後は、ご覧のように、もう少し実用に即したかたちで研究・開発を進めていきたいと思っております。利用者の置かれた状況を何らか組み込む、つまり「何のためにその本を探しているのか」「何の目的で読むのか」ということ、「今どういう段階にあるのか」、あるいは「発達段階がどのあたりか」ということ、これらを何らかのかたちで組み入れていくことを、今ちょっとトライをしようとしているところであります。
 あとは、「本を読む」ところですが、この会議では、既に電子書籍の話もたくさんされていると思いますので、私からは今日は申し上げません。ただし、もしも時間があればですが、VRとかARについては少し試したことがあるので、もしもご関心があれば、お話できればと思っております。それから、「活かす」ところについても、なかなか研究が十分に進められていない段階なので、省略をさせていただこうと思います。
 まとめに入ってまいります。DXによって図書館がこれからどうなっていくかということが今日のお題ですので、読書を念頭にまとめていきますと、図書館としては、読書支援ですね──図書館の中の各サービスを最適化するということがまずあります。読書というのは、先生方には釈迦に説法なのですが、図書館だけでは完結しないもので、学校とか、家庭とか、ブックスタートとか、いろいろなところで総合的に行うものです──だからこそ、この会議があって、議論が行われていると思うのですけれども。自治体というコミュニティで言えば、図書館だけではなく、自治体の中で最適化が行われるわけですが、自治体によって状況がさまざま違います。人口も違えば地理的、産業、様々なものが違いますので、個別の最適化を目指しつつ、全体の最適化を目指すということが、これから求められるということです。そうなると、図書館としては、やみくもにICTを導入すればいいのではなくて、全体最適を見越して、図書館以外とのネットワークをうまく組んでいく、いわばコーディネーターというか、プロデューサーというか、そういう役割がこれから必要になってくるだろうと理解しております。
 公共図書館について、だからといってICTだけではいけないので、物流とか対面とかも含めてやっていかなければいけないということなので──ちょっとすみません、時間が押してまいりましたが、豊中市に先々週、この共同研究で行ってまいりました。豊中市は、10年以上、ICTを使って、実践事例を乗せて共有したりということをやっているところです。蓄積したデータをどう活用するかということなどをディスカッションしてきました。ここは、紹介にとどめたいと思います。
 最後ですが、読書については読書推進、図書館のDXにあたってはサービスなどを評価可能なかたちにしていくということがとても重要になってきます。そうなると、用語とか概念とかデータの整理というのが不可欠になりますので、読書ということも、どういう変数が関わっているかを、改めて再定義する必要があると思っております。私自身は、読書を大きく捉えておいて、学校の場面ではこの部分、家庭ではこの部分、というふうに、大きく捉えて構造化した上で、状況に応じてその対象や範囲を動的に定義していく、規定していく、というやり方がいいのではないかなと思っております。そうしないと、逆に言うと、DXに基づいた読書支援というのが難しい場面が出てくるのかなと考えています。
 最後に、「ベストミックス」が今回の会議のテーマということですので、それに引きつけて、図書館および図書館員の役割について、私なりに「こんなことがこれから必要なのではないか」ということを挙げさせていただきます。1つが、先ほどの読書の再定義です。変数の整理・分析ということが必要だろうと──特に利用者の適性に関わる変数ですね。読むのが得意な子もいれば、聞くのが得意な子もいるということです。そういったところもうまく組み合わせていくといいのかなと思います。
 あとは、テクノロジーの理解です。試して使っていくということも大事だと思います。さらに、先ほどお伝えしたネットワークの構築ですね。これによって個別の最適化と全体の最適化を目指していくということです。あとは、既存のノウハウがとても有効だと思っています。AIに負けずに、うまく組み入れていくことが必要だろうと思います。ニーズの把握であるとか、そういったことももちろん大事だということです。
 時間を若干オーバーしてしまって申し訳ありません。ありがとうございました。後ほどご意見、ご批判いただければと思います。以上でございます。
【秋田座長】  野末先生、どうもありがとうございます。大変、とても刺激的な御発表をいただきましたこと、ありがとうございます。
 それでは、続きまして濵田様から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【濵田様】  群馬大学の濵田でございます。画面を共有いたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。改めまして、群馬大学の濵田です。本日発表いたしますものは、この下にありますけれども、先日、日本読書学会で発表しました、私と秋田先生の共同研究、「小中高校生の読書活動に対する新型コロナウイルス感染症の影響:不読率に着目して」という研究発表をいたしまして、その内容に基づくものでございます。
 内容に入る前に、この研究で分析したデータがどういうものかといいますと、ここにありますとおり、東京大学の社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同研究で「子どもの生活と学びに関する親子調査」というものを行っておりまして、そのデータに基づいて分析を行ったものでございます。
 この、「子どもの生活と学びに関する親子調査」というものがどういうものかということですけれども、概略ですが、2015年から始まっておりまして、小学校1年生から高校3年生まで、それぞれの世代、それぞれの学年において、2,000名近いところから1,000名ぐらいという幅があるんですけれども、毎年こうやって聞いているというものであります。
 これは斜めに線がありますけれども、これは何を意味しているかといいますと、同じ対象を小学校1年生のときに回答した子供が小学校2年生になったら、同じ子がどのように回答するのかということを追跡ができるような設計になっておりまして、これによって、1時点の学年変化、複数時点の時代変化、複数時点の発達変化というものが捉えられるような設計になっています。
 私の本日の発表は、この2019年から2021年度のWave5からWave7とありますけど、この最新の3か年のデータに基づいたものであります。
 私の今回の発表の前に、これまでのWave1からWave4のところまでに何が明らかになったのかという少しだけ紹介させていただきます。この部分につきましては、「猪原、2022」という研究で発表されたものになります。
 どのようなことがこの研究、このデータから明らかになっているかといいますと、まず、このデータの特徴なんですけども、小学校1年生から小学校3年生についても、これは保護者にアンケートを取っておりまして、不読率、読書についての実態をつかむことができております。
 学校で本を読まない不読者の割合というのが、学校読書調査よりもちょっと高いということが明らかになっております。
 これは不読の定義がちょっと違っておりまして、下にありますとおり、このベネッセの調査では、不読者というのは学校の中でやる時間を除いて、読書しているかしていないか。学校以外のところで読んでいないという子供たちを不読者にしていまして、ちょっとそれで数字が違ってくるわけであります。
 これは小学校1年生でも、実はもう15.8%が不読であるということが示されております。
 さらに、学年によって不読率が単調に増えていっているということです。学年ごとに増えていっている。さらに学校段階が変わると、その変化、不読率というものがぐっと高まってくるということも、今までの調査で明らかになっているということです。
 さらにもう一つだけ紹介いたしますけれども、これは読書というものにどのくらい取り組んでいるのかというのを学年ごとに見ていったものであります。
 これ、左側からゼロ、5分、15分、30分、1時間というふうにして、それぞれ何分間読書したのかということを答えてもらったものを学年ごとに示したものであります。
 小学校3年生までは10分あるいは30分を学校外で読む児童というのが多いんですけれど、4年生からは不読が最大になるということが分かっています。
 さらに、不読者が一番多いわけですけれども、1日平均30分程度読む読書層というものも一定程度、ずっとあり続けるんだということが報告をされております。
 こちらは、全国学校図書館協議会と毎日新聞の学校読書調査の不読者の割合なんですけれども、見ていただきますと、2020年がコロナの影響で中止になっておりまして、2021年に行われたものを見ると、不読率がそれぞれ低下しております。
 コロナの影響があっても不読率が下がったんだな、よかったなというふうに思うわけですけれども、その内実というものは一体どのようなものだったのか。あるいは学校外での不読率はどうだったのかということについては、これだけでは分かりませんので、今回また見ていこうということでございます。
 ちなみに、この同じベネッセの教育総合研究所の先ほどの調査の中で、コロナの中で子供たちの意識にどんな変化があったのかというのを調べておりまして、これは、「勉強しようという気持ちが湧かない」児童生徒というものが増えているという報告がなされています。
 小学校6年生のところだけ見ていきますと、2019年の小学校6年生の33.3%の子供が勉強しようという気持ちが湧かなかったわけですが、その翌年、中学校1年生になると47.3%。さらにもう1年、中学校2年生になりますと61.1%ということで、このコロナの2年間において、勉強しようという気持ちが湧かない児童生徒が倍増しているということが明らかとなっています。
 このような意識の変化があったこの時期に、不読率がどうだったのかということを検討したのが今回の発表でございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が小中高校生の読書活動に対してどのような影響を与えたのか。学年別の不読率、取組の変化、影響を与える要因、漫画や雑誌についての読書活動の実態というものについて報告をいたします。
 調査方法ですけれども、時期が7月から9月ということであります。先ほどの全国調査だと従来のものだと5月なんですけど、ちょっと時期が違います。
 1年生から高校3年生。郵送による自記式の質問調査とウェブ調査ということになっておりまして、見ていただきますとおり、2019年の小学校1年生1,740人、高校生が955人ということで、全体で1万5,000人ぐらい、毎年いるわけであります。
 調査項目としまして、「あなたはふだん(学校がある日)、次のことを1日のどのくらいの時間やっていますか。学校の中でやる時間は除いてください。日によって違うときは、平均して大体の時間を教えてください」という聞き方をして、「本を読む」「漫画や雑誌を読む」など15項目を確認しております。で、「しない」「5分」「10分」「15分」「30分」「1時間」「2時間」「3時間」「4時間」「4時間より多い」ということで選択肢を用意し、選ぶようにしております。
 この3か年の学年別の不読率ですけれども、見ていただくと左から小学校1年生、右のほうで高校3年生、3本ずつ並んでおりますけど、2019、2020、2021です。
 2019年度の不読率は猪原の報告と同じぐらいでありましたが、赤いところを見ていただきますと、小学校低学年に大きな増加が見られております。小学校1年生だと7.5ポイント、小学校2年生8.1ポイント、小学校3年生は7.2ポイント増えていて、不読率がぐっと上がっていることが確認できるかと思います。
 しかしながらその一方で、2020年度の不読率がその前よりも、2019年よりも低い、ほとんど変化のない学年というのもありまして、緑で示したところですけど、学年によって影響の大きさの違いがあると言うことができるわけでございます。
 2019年から2020年の不読者割合の経年変化というものを見ていきたいと思いますけれども、経年なので同じ子供たちですね、見てみますと、このように学年ごとに並んでおりますか、10ポイント以上不読率が高まった学年集団というのがありまして、それをちょっと強調してみますと、色で対応しておりますが、小学校1年生、小学校2年生、小学校6年生、中学校3年生、この学年におきましては不読率がぐっと高まっております。自宅学習の難しい小学校低学年、校種間移動を行った学年に影響が大きかったのだということが明らかになるわけです。
 これは上に示してありますとおり、2020年の3月・5月に全国一斉臨時休校がありましたので、それを挟んだところでこのような違いがあったということでございます。
 さらに、児童生徒の読書活動への取組の変化ということで、これは2019年と2020年におきまして、子供たちを3つのグループに分けました。下のところにもお示ししましたけれども、グループ1というのが不読のグループ、読んでいないグループです。グループ2というのは、5分・10分・15分は読んでいるよというふうに答えた子供たち。グループ3が30分以上読んでいます、かなり頑張って読んでいますよという子供たちだと思ってください。
 そうすると、2019年に1、不読だった子供たちというのを見ていきますと、2020年になって、2019年に不読だった子供たちのうちの71%は不読のままであった。28.3%が読書を行うようになったという結果が出ております。不読になったらずっと不読かというとそうではないということですね。読むようになる子供も一定数はいると。
 2019年の2のところを見てみます。5分から15分。そうすると、そのうちの31.6%は不読になってしまって、21.3%が30分以上読書するようになるということが分かりました。
 2019年に30分以上読んでいた子供たちはどうかというと、15.8%は不読になってしまい、28.7%が5分から15分と、少し読書時間を減らすということになります。
 これを全体で見ていきますと、右下にお示ししましたとおり、全体では25.2%が読書時間を減らし、17.5%が読書時間を増やしたわけです。この差分において、読書時間というものが減っているということになります。
 同じように、2020年と2021年も見てみました。そうしたところ、2020年の不読者のうち69.2%は不読のまま。似たような結果です。5分から10分の子供たちのうち29.3%は不読、24.2%が30分以上読書するように。30分以上読書していた子供たちのうち17.1%は不読にということでございます。
 全体で見ますと22.4%が読書時間を減らし、20%は読書時間を増やしたということです。
 この2つの結果を円グラフにまとめたものがこれですけれども、見ていただくと、左側が2019年から2020年、右側が2020年から2021年ですけれども、半数以上は学年進行にかかわらず読書活動を変化させていないということが捉えられるわけです。やはりこの2019年から2020年の年度進行のほうが、読書活動を減少させた児童生徒の割合が高い、やや高いということが捉えられるのかなと思います。
 年度進行に伴う不読者の移動。今度はこれを学年別で見てみます。
 そうしますと、今、一番下のところだけ見ていただければと思いますが、すみません、ちょっとグラフの数字が多くて分かりにくいかと思いますが、左側が2019年から2020年度の変化です。2019年の小学校1年生が2020年へ行ってどう変わったかというのが左側です。右側の表が、2020年度の小学校1年生が2021年度になったらどうなのかという、そういう表であります。
 見ていただくと、2019年度から2020年度の学年進行に伴う不読率の増加は、2020年度、2021年度のそれよりも割合が大きい。要するに、不読者のところの数字を見ていただきますと、こちらの数値のほうがこちらの数字よりも大きいということがお分かりになるかと思います。増加した不読者の割合が違うわけです。特に小学校低学年と、校種間移動のあった小学校6年生において違いが大きいということです。
 ということで、先ほどのものと併せて申し上げますと、小学校の低学年・中学校1年生に対して、進級後、4月から7月に学校で行われる読書指導というものは、不読者の増加を抑える可能性、抑えてきた可能性、抑えている可能性が示唆されるのではないのかなというふうに思います。
 2020年の小学校1年生だけちょっと取り上げてみまして、小学校入学以前における家庭での読み聞かせが不読率にどのような影響を与えているのかというものを示したのが、この表でございます。
 左側が「週複数回」、真ん中が「月に数回」、右側が「なし」ですけれども、有意な人数比率の偏りがありました。
 読み聞かせが週に複数回のグループの不読率13.6、読み聞かせが月に数回だと29.8、読み聞かせを行わなかった場合には不読率が51.5%ということで、実際に読み聞かせというものは不読率に大きな影響を与えているということが捉えられるかと思います。
 世帯の収入はどうかというと、実はこれは有意な人数比率の偏りはありませんで、不読に対して世帯収入というものはあまり関係がないようだということでございました。
 男女差というものを見てみますと、実はこれ、ちょっと男女差に有意な人数比率の偏りがありまして、見ていきますと、やはり不読者の割合に有意差というものが確認をできましたので、やっぱり性別というものが、男女差というものが読書の不読というものに、もう小学校1年生の段階からあるのだということでございます。男子の不読率と女子の不読率、右下のとおりです。
 今度は漫画や雑誌の不読率というものを調べてみましたところ、このような結果となりました。学年別で並んでいますけれども、小学校1年生は8割程度が漫画を読まないということです。だんだん、2年生が7割。ここが不読率、要するに漫画を読む子が増えるということです。
 中学校1年生よりも上の学年では不読率が高くなる傾向ということで、また漫画を読まなくなるということですね。学年によって単調増加する本の不読率とは異なる傾向が捉えられるかと思います。
 2019年から2021年における読書時間の変化ということで見ていきますと、これ、漫画と本でどうだったかということですけど、本は読まなくなったんですけど、漫画や雑誌は時間として少し読むようになっているということで、これも違いがあったわけであります。一斉休校を経たときに、本を読まなくなったけど、漫画はより読むようになったということです。
 しかしながら、漫画を読むと本を読まなくなるのかというと、そういうことではないらしくて、「本を読む」と「漫画や雑誌を読む」というのの相関係数を見てみますと、それぞれの年度でコンマ43、コンマ41というような数字が出ていまして、中程度の相関があるということですので、本を読んでいる子は漫画を読んでいるし、漫画を読んでいる子は本を読む傾向もあるんだということは確認できるわけであります。
 ということで、今までのところ、これでまとめになりますが、影響の在り方は学年によって異なる。小学校低学年・学校間の移動には影響が大。学年進行においては、半分は変わらないけれど、減らす子と増やす子がいる。読み聞かせの頻度というのがやっぱり小学校1年生には影響が大きい。漫画はこのようなことになっている。2019年から2020年には、本を読む時間は減らしたけれども、漫画や雑誌を読む時間は増やしたということです。最後、これはトレードオフではないということでございます。
 すみません、時間をちょっと超過してしまいましたけれども、私の発表は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございました。
 それでは、後半のお二方の御発表につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。御質問、御意見のある方、どうぞ挙手ボタンを押していただければというふうに思います。
 では、まず稲井先生から手が挙がっていましたので、お願いいたします。
【稲井委員】  お二人の先生、どうも御発表ありがとうございました。お二人の先生にちょっと感想も含めて御質問をいたします。
 まず野末先生なんですが、図書館のDXということで、Z世代は、例えば先ほど事例として御説明いただいた、個人への最適化を図るような、検索のシステムのようなものを導入すると、非常に適性を高く持っていますのでなじんでいくと思います。非常に現実性のあるDXだというふうに思うのですが、この場合、生涯学習の場としての公共図書館ということを考えたときに、Z世代はよいとしても、このデジタル・ディバイドの問題が、技術の工夫によってDXの導入で格差が拡大されていくのか、それともそれをむしろ縮めていく、格差の解消につながっていくとお考えなのか。その技術にもよると思うのですけれども、その辺のお考えがあれば教えていただきたいと思います。
 併せて申し上げると、先ほどの富永先生の御報告の中で、子供たちが本から本に入るというよりも、オーディオブックとかショート動画とか、電子書籍の試し読みといったような、いわゆる電子メディアから本に入っていくことにみられるように、本の入り口の工夫というのは非常に重要だと思いましたので、図書公共図書館のDXの中にも、そういう工夫の余地があるかと思いました。
 もう一つ野末先生の御説明の中でコミュニティーの中でのネットワークというお話があったと思うんですけれども、それぞれの、例えば公共図書館のプラットフォームと、学校図書館や教育委員会が持っているものが違うので、それが新型コロナウイルスの感染拡大の中でも、デジタル化あるいはDXを阻害した要因になっていますけれども、一つの地域社会の中で、公共図書館や学校図書館がネットワークを結びながら、相互に協力関係を結んでいくときのDXの活用の中に、プラットフォームの問題というのをどうお考えなのか。このデジタル・ディバイドと地域のネットワークづくりの2点をお聞きしたいと思います。
 濵田先生の御研究、非常に興味深く聞かせていただきました。
 特に漫画について、多少の相関関係が、本との関係があるということなのですけど、またそれも年齢によって違うというところの知見がお示しされたと思うのですが、先生のお考えとして、その調査結果を踏まえて、やはり漫画というものもそれぞれの発達段階に応じて工夫して、読書生活の中にうまく取り入れていく必要があるというようなお考えなのか、その辺はまだ難しいというお考えなのか。ちょっと研究から離れてしまうのですが、もし御示唆いただけることがあればお聞かせいただければと思います。
 今、電車の中でもなかなか漫画を読んでいるような成人も、若い人もあまり見ませんし、スマホで漫画を見ている人が多いかというと、そういうような状況も見られませんので、この辺の漫画と読書生活との関わりというのは、ある意味、今後を予見していくといいますか、工夫していく一つの手がかりになると思いまして、このような質問をいたしたところでございます。
 以上、多くなりまして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  ありがとうございます。一問一答形式ではなくて、この後、まだお手を挙げておられる野口委員、それから設楽委員、中野委員が一度目で御発言がありますので、それらを受けてから、それぞれお話を伺えればと思います。
 それでは野口委員、お願いいたします。
【野口委員】  野末先生、濵田先生、貴重な御発表ありがとうございました。
 お二人にそれぞれ質問をしたいのですけれども、まず野末先生の御発表、大変興味深く拝聴いたしました。
 その中で、読書の再定義という話がありまして、状況に応じて動的に捉えていくという御説明に非常に納得したんですけれども、それとの関連で、そうなってきますと、読書能力と情報活用能力の関係性の再定義も必要になってくるのではないかと思います。その辺りについて、野末先生のお考えがございましたら、教えていただけますと幸いです。
 それから、濵田先生、御発表ありがとうございました。今回の御発表では、本・漫画・雑誌ということで調べておりますけれども、これはいずれも紙媒体での状況を調べたということでよろしいでしょうか。
 もしデジタルな媒体も加味した形でのデータであれば、紙媒体だけの場合とデジタルという要素を入れ込む場合とで、傾向に違いがあるのかどうかを教えていただければ幸いです。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして設楽委員、お願いをいたします。
【設楽委員】  設楽です。お二人の先生方、どうもありがとうございました。
 簡単に御質問させていただきます。まず野末先生への質問です。読書能力の育成ということをお話しいただきましたが、やはり読書をしていく上で重要なのは読解力、読み解く能力だと思います。この読解力について、DXの視点から分析するとどうなるかをお答えいただければと思います。
 濵田先生、御無沙汰しております。濵田先生は漫画の効用を御示唆いただきました。やはり文字を読み解くということと、漫画ですと文字以外の部分から読み解くということが加わります。文字、それから文字以外からの読解力について、先生のお考えをお聞かせください。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして中野委員、お願いをいたします。
【中野委員】  野末先生、また濵田先生、大変貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。両先生方のお話、大変参考になりました。
 質問というわけではないのですが、DXの関係など、著作権法の解釈などから、読み聞かせの関係で、難しいという事例がございましたので、ちょっとお話しさせていただければと思いまして発言させていただきます。
 私ども都立多摩図書館では、職員が都立の特別支援学校に出張いたしまして、おはなし会というのを行ってございます。先日、おはなし会を行う予定の都立の特別支援学校から、おはなし会の様子を訪問学級の生徒に同時中継で配信を行いたいのですが可能でしょうかという問合せがございました。こちらのおはなし会というのは、学校の授業の時間に実施するものでございます。
 当課の職員が全国学校図書館協議会ですとか、その他のいくつもの団体の見解を検索して探しましたが、ちょっとはっきり分からなかったんです。
 そこで、著作権情報センターの著作権テレフォンガイドに問合せをしましたところ、授業を生徒の自宅に同時中継するような、いわゆるリアルタイムスタジオ型公衆送信で絵本の概要を紹介することですとか、絵本を一部だけ読むことは、学校の設置者や教育委員会が指定管理団体に補償金を支払っていれば、個別に出版者に許諾を取らずともできる場合もある。しかし、今回のように絵本丸々1冊の読み聞かせの場合は、必要と認められる限度を超えてしまい、個々の出版者からの許諾が必要という回答でございました。
 もちろん、学校ですとか我々が一々出版者に許諾を得ればいいのですが、なかなかそれも難しいものですから、今回はちょっと難しいということでお断りをしたという経緯がございます。
 東京都はいわゆる読書バリアフリー法も踏まえて、全ての子供がひとしく読書することができるよう環境整備を行っております。特別支援学校では、児童生徒によい本をという考えで、紙媒体のロングセラー絵本、こういったロングセラー絵本などは、出版している出版者が電子書籍化に慎重なところもございまして、そういったものをぜひおはなし会で、そういった紙媒体のロングセラー絵本を読ませたいという希望がございますし、要望も強いです。
 また、私どもは特別支援学校向けに、夏休みに選書等相談会というのもやっているのですが、今回、オンラインによる相談会も開こうとしたのですが、やはりオンラインですと著作権の関係で表紙ですとか一部しか見られないということもございまして、選書にはやはり現物を手に取って実際に中身を見てみないということで、オンライン開催の希望がなく、オンラインでは実施できなかったということもございました。
 特別支援学校なのですが、いろいろ様々な障害がある子供が在籍しておりまして、今回のケースのように学校に通って授業を受けることが難しい子供もいます。そういった子供たちにDXなどを活用すれば、子供たちみんながおはなし会などに参加して読書を楽しむことができると思うのですが、やはり著作権などの問題がございますので、それをクリアしてスムーズに読み聞かせですとかおはなし会の配信などが行える方策があればと思いまして、今回ちょっと発言させていただきました。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。あとお二方、お手を挙げておられますので、そこまで伺ってから、申し訳ございませんがお二人の野末先生、濵田先生にお答えいただければと思います。
 福田委員、鎌田委員の順でお願いいたします。
【福田委員】  とても貴重な御発表ありがとうございました。それで、特に濵田先生から、小学校も中学校も入学時が大事であると貴重な示唆をいただきました。
 小学校では、入学したときの語彙の差が学力差となり、この差は縮まらないで、学年が進むにつれて拡大していく傾向にあるというふうに実際に言われていますし、現場でもそういうふうに皆さん感じているところですが、ここのところで、小学校入学時の機を逃してはいけないということを、とても今回強く感じました。
 入学時はとても、学校に慣れるため大変なので、学校司書が常駐している現場でも4月は大変なので5月から学校図書館に来たいとか、5月の後半にしたいとかという声も先生方から上がったりするんですけれども、このデータを見る限り、やっぱりその時期を大事にしていきたいととても感じました。
 そのことが、読む力を絵本から幼年童話へと移行していく大事なことにつながっていくと感じたところです。それで、2020年の小学校1年生の不読率に、小学校入学以前における家庭での読み聞かせが与えた影響というのも、本当に明確に出されていますが、これは紙だけではなくてデジタルも含んだデータなのかどうなのかというところをお聞かせいただければと思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは鎌田委員、お願いいたします。
【鎌田委員】  野末先生、濵田先生、どうもありがとうございました。御著作からはいろいろと学ばせていただいております。
 野末先生の御発表に対しては、ARとVRのトピックについて、非常に聞きたい話題なので、もしお時間があれば、少しでもいいので御紹介いただければと思っています。
 それから、濵田先生の御発表の中で、学年進行で読書量が増える子供と減っていく子供がいるということだったのですが、それについて何か要因となるようなものが、もし調査の中でお分かりになっているのでしたら御示唆いただけるとありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 誠に申し訳ありませんが、3時ではなくて3時10分ぐらいまで、ちょっと今、たくさんの御意見や御質問をいただいたものへの御回答を、それぞれの先生に四、五分でお話しいただいて締めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは野末先生、お願いいたします。
【野末様】  ありがとうございます。まとまらない早口の発表にもかかわらず、ご意見、ご質問をいただきまして、感謝しております。
 まず稲井先生からの格差の問題ですけども、これは縮める方向に確実にいくと思います。つまり、例えば、先ほどのAIのものとか、ほかのデータを使った組み合わせたものとかは、独立して存在できます。既存のシステムにくっつけるかたちで適用ができますので、そのインターフェースをどうつくるかは、学生なら学生向け、子供は子供向け、高齢の方には高齢の方向け、障害の方には障害の方向けということが可能になるので、確実に縮める方向になる、むしろ縮める方向に開発すべきだというふうに思っております。
 それから、コミュニティの中でのシステムの違い──実はこれは我々も、一つの大学の中で図書館のシステム、教務のシステム、学習管理のシステム、これをつなげたらいい検索ができるのではないかと考えました。「この授業を取っている学生には、この検索結果を上位にしたらいいよね」「あなたはこのレポートでこの文献を読んだことあるから、じゃあ後回しでいいよね」というようなことができるはずなのですが、システムが全部、会社が違う上に、担当部署も全部違うので、それらの連携は、理屈ではできるのだけれども、実装は、今のところはちょっと見送らざるをえない段階です。
 ただし、個人情報保護とかプライバシー保護とか、本人の同意であるとか、そういったところがクリアできれば、データを何らかのかたちで吐き出して、それをブリッジでつなぐようなかたちの運営は可能ですので、自治体であれば、もしかするとあらかじめ許諾を取っておけば、できる可能性はあるのかなというふうに思います。ただ、システムの違いよりも、組織の中の縦割りのほうが、実は問題としては大きいというのが、我々の今のところの実感です。
 ちなみに、プライバシーとか個人情報の問題は、Z世代はほぼ気にしていないというか、むしろ逆に「何で使ってくれないんだ」という言い方をします。我々世代にはちょっと怖いのですが、「だって、どうせもう出回っちゃっているし、自分の履歴とかを使っていい結果が出るんだったら、使ってくれたほうがいいに決まっているじゃないか」というような表現を、インタビューなどをすると、学生世代はしてきますので、もしかすると近い将来、そういったことが可能になるのかなというふうに思っております。ありがとうございます。
 それから、野口先生からのご質問で、情報リテラシーの関係がありました。私は情報リテラシーがそもそもの関心ですので──ここについては、先ほどは実はちょっと飛ばしてしまったのですが、いわゆる読書能力と情報リテラシー、情報活用能力とは統合する時期にあると私自身は思っています。というのは、情報リテラシーは、図書館の文脈だと「探す」ところを中心にやってきたのですよね。探した後にどう使うかというところは、やはり弱い。設楽先生からも、同じように、読解力が情報リテラシー、読書能力として大事ではないかということでしたので、あわせてお答えすると、大学生対象の情報リテラシーの教材に、「文献をどう探すか」というのはたくさんあって、「テーマをどう設定するか」も見つかるのですが、「文献をどう読み解くか」という教材は、ほとんど見つからないのです。
 というのは、どういうことかというと、先ほど言葉だけを書いておいたのですが、読書の目的のようなものがあって、例えば、レポートを書くために拾い読みする、データだけを探すような読み方と、文学を最初から最後まで読み通す、楽しむための読み方とがあって、つまり、読書の目的によって読み方というのは違ってくる。ところが、その目的ごとにどういう読解をすればよいかというのが体系化されていないということだと思います。
 ですので、私なりの答えは、情報リテラシーについて、文脈を特化して、例えばこれはレポートを書く場面です、レポートも社会科学の場面ですと、そのぐらい特化して文脈を規定すれば、どういう文献を探してどういう読解をしていけばいいか、文献がどういうふうに書かれているからこう読めばいい、ということが見えてくるかなというふうに思っています。
 その意味で言えば、初等・中等教育段階の読書能力、その中に含まれる読解能力、それから、その前提となる適切な文献なり情報なりを探してくる能力というのは、実は大学や社会人になってからの情報リテラシーの基礎の部分、中核を担っているということが、ここに至って私も認識をしております。
 ですので、先ほど「トランスメディア」という言葉をちらっと書いたのですけれども、今まではメディアベースで、「これは本ですね」「これは新聞ですね」「これはデータベースですね」という形式上の判断をして、それぞれにリテラシーを定義していたのですが、今はどういうメディアを用いるかはもうばらばらですから、電子化されれば、それが図書の一部なのか、論文なのか、何かの報告書なのか、というのは形式的にわからないわけです。
 つまり、コンテンツそのものから、その文献の性格みたいなものを判断しなければならない時代に来ているので、言い方を変えると、メディアベースではなくてコンテンツベースでの文献・情報の読解というものが求められていて、そういうかたちでのリテラシーの体系化が必要だろうと思っています。ここは、もう今の研究関心ですので、あと1時間しゃべれと言ったらしゃべれるのですけれど、今日はやめておきますね。
 それから、先ほどの設楽先生からのご質問について、繰り返しになりますけれども、ジャンルごととか、読書には変数がたくさんあると申し上げたのですが、何のために文献を読むのか、その文献をどう使うのか、それから、その文献はどういう性格のものか、図書なのか雑誌なのか新聞なのかということ──そのときに、読解については、AIが文章を要約するとか、ポイントになるところを抜き出すとか、あるいは、文章の構造を示唆してくれるとか、そういうことをAIがするようになってきていますので、読解力を鍛えていくということはとても大事なことなのですが、その上で、それをサポートすることもAIができるようになってきているので、両面の作戦が要るのではないかというふうに私自身は思っています。初等・中等教育段階で基礎的なところは身につけた上で、その先のちょっと難しめの専門的な文献になったときなどには、AIのサポートを借りて、読解がより進むというところにいくのかなと理解をしています。ありがとうございます。
 それから、中野さんからの著作権の話は、関連して一言だけお話ししておくと、我々が研究してきて困っているのが、「データは誰のものか」ということです。本の貸出し履歴は、匿名だったら図書館のもので本当にいいのかとか、学習の履歴は本当にその本人のものと言えるのか言えないのかということ、データが誰のものかということで、我々も困っているところがあります。これは、早晩問題になってくると思っていますので、今の著作権の話とは直接には違いますけども、思いついたのでお伝えをしておきました。
 それから、鎌田先生からのVRの話なのですが、VR・ARについて、私が以前にマイクロソフト、レノボ等々やスタートアップの企業と試したことがあります。どんなものでもテキストをPDF化すれば、本の形態で読書ができて、VRをつけると、例えばハワイで本を読むとか、そういうことができるのです。できるのですが、やはり紙のものとか、こういうデバイスに比べると視認性が低くて、あえてVRやARを選んで読書をするようには、少なくとも日常的にはならないと思いました。
 ただし、例えばアミューズメント的な意味では非常に意味があるというふうに思います。例えば、図鑑をVRで読むときに、子供自身が小人になって本の世界に入り込む、つまり、ものすごく大きな本の写真などの中に、自分が小さくなって入るので、こんな大きな写真として本を見ることができるとか、そういう体験ができるのです。今までとは違う本の読み方ができるようになるので、アミューズメントとかさまざまな体験としては非常に意味があるかなというふうに思います。
 もう一つは、障害を持たれた方々、ハンディを持っている方々、読書にハンディがある方々については、VRなどでは視線とかを読み解くこともできますので、そういう点ではサポートになる可能性はあると思っています。ただ、我々が日常的に使うものとしては、まだなじまないかなと思います。
 ちょっと5分をオーバーしましたけれども、秋田先生にお返しします。ありがとうございます。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは濵田先生、お願いいたします。
【濵田様】  御質問ありがとうございます。まず、ここで言うところの本あるいは漫画や雑誌の中に、デジタルが含まれているのかいないのかということなんですけれども、この質問項目におきましては、先ほど見ていただきましたとおりで、「次のことをどのぐらいやっていますか」ということでまず大きく聞きまして、そして具体的に「テレビやDVDを見る」というのを聞き、「テレビゲームは携帯ゲーム機で遊ぶ」というのを聞き、「パソコンやタブレットなどを使う」というのを聞き、その次に「本を読む」、その次に「漫画や雑誌を読む」というふうになっておりまして、特に明確に含むとか含まないとかという言葉はないんです。
 ないんですけれども、3番のところで「パソコンやタブレットなどを使う」というところで聞いていますので、そこで別のものとして考えてお答えになっている方が多いのではないのかなというふうに思います。ちょっとその辺は、明確な切り分けはこの質問項目ではされていないということを、まず申し上げたいと思います。
 稲井先生からありましたけれど、漫画と本の関係なんですけれども、これも、漫画も今、中高生になりますとスマートフォンで読むということ、そういうスタイルがかなり広がっているのかなというふうに思うんです。
 例えば、一番多いのはLINE漫画だというふうに来ておりますけれども、LINEというアプリ、幅広く使われていますけど、その中で、内容を見る中で漫画もついでに読むということがあるのかなというふうに思うんです。
 もう一つ、私の示したデータで、漫画についての不読率をお示ししましたけども、小学校1年生の段階でも、80%は読んでいないわけです。で、だんだんと読むようになって不読率が減って、また不読率が増えていくということがありまして、漫画を読むということと本を読むということに相関関係があるというふうに申し上げましたけれども、相関関係というのは、本を読むから漫画を読むようになるのか、漫画を読むから本を読むようになるのかという、そういう因果関係を示すものではないんです。本を読んでいる子が漫画を読んでいる傾向があるというふうなことでありまして、逆の言い方も同じなんですけども。
 なので、例えばこういうふうな漫画を読ませるとだんだん本を読むようになるんじゃないかというのは、推測としては成り立つわけですけど、あのデータからはそういうことはちょっと言えないというのが現実的なところかなというふうに思います。
 先ほどお見せしました不読率の在り方が、漫画と本では発達段階によって描くカーブが違うということは、やはり小学校低学年においては、もしかすると本を読んでいる子たちがだんだん漫画を読むようになっていくということがあるのかなというふうに思うんです。それは一般的に今まで考えられてきたといいますか、漫画を読ませることで本を読むようにしていくというのとはちょっと違った筋道が考えられるのかなと思いますので、そこは可能性があるのかなというふうに感じているところでございます。
 もう一つ、デジタルに関わってですけれども、これも昨年度の末に「学校図書館学研究」のほうで、これも秋田先生との共同研究で発表したものがありますけれども、紙のみで読むのと、デジタルのみで読む、紙とデジタル両方で読むというので群分けをしまして、社会情動的スキルや論理的思考への自覚がどういうふうになっているのかというのを見ましたところ、紙とデジタル両方で読書をする子たちが、社会情動的スキルも論理的思考への自覚も高いということがありまして、先ほど野末先生からのお話にありましたけど、メディアベースということがありましたけど、何で読むかというよりは何を読むのかといいますか、そういったところで捉え直していかないと、これだからどう、これだからどうというふうには単純には言えないのかなという気がしております。
 さらに、先ほど言及しました研究においては、デジタルデバイスの使い方も、それを使うときに情報収集のために使っている子供たちと、ゲームや動画視聴やSNSだけで使っているのとはやっぱりちょっと違うということも出ておりますので、ただデジタルだから、紙だからということではなく、デジタルを何をどう使っていくのか、どのように使っていけばいいのかということも指導していくことが、読書の力あるいは読解力にもつながっていくのかなというふうに思っているところでございます。
 全てお答えしている自信はないんですけれども、取りあえずここまでとさせていただきます。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。
 予定の時間を過ぎまして御参加いただきましてありがとうございます。今日は4名の委員並びに先生方に貴重な御発表をいただきましたことを御礼申し上げます。
 また、時間の関係で、せっかく御出席をいただきながら全員に御発言をいただくことができませんでしたが、前回もお伝えいたしましたが、今日御発言がなかった先生方でも、御意見があられる方はぜひ事務局のほうまでメール等でお寄せいただけましたら、今後のまとめのほうに生かしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは最後に事務局から、今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。次回会議ですけれども、第5回で、10月21日の金曜日を予定しております。時間は16時からになっております。
 第5回につきましては、取りまとめに向けて議論していきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、皆様御出席をいただきありがとうございます。これにて終了となります。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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