令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第3回)議事録

1.日時

令和4年8月31日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

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3.議事録

令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第3回)
令和4年8月31日(水曜日)16時00分~18時00分

【秋田座長】  それでは、ただいまから第3回令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日はお忙しいところ、御参加いただき誠にありがとうございます。
 本日は、全員の委員の皆様に御出席いただいております。なお、設楽委員は途中退室の御予定と伺っております。
 また、本日は、杉並区立済美教育センターの奈良様、東京学芸大学の高橋様、埼玉県立浦和第一女子高等学校の木下様に御発表のために御出席をいただいております。ありがとうございます。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。
 本日の配付資料ですけれども、議事次第にございますとおり、資料が1から5まで御用意しております。また、参考資料1といたしまして、第2回会議の主な発言をまとめた資料、参考資料2といたしまして、今回の議論の参考となるよう、GIGAスクール関連の資料として3種類御用意しております。
 参考資料2-①ですけれども、「GIGAスクール構想の下で整備された学校における1人1台端末等のICT環境の活用に関する方針について」初中局から3月に発出しました通知になります。次に、参考資料2-②といたしまして、今月、総合局と初中局の連名で教育委員会や各学校にお送りいたしました「1人1台端末下における学校図書館の積極的な活用及び公立図書館の電子書籍貸出サービスとの連携について」の事務連絡になります。最後に、参考資料2-③といたしまして、「GIGAスクール構想の推進等の近年の教育政策の動向について」、基礎資料としてまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 委員の皆様におかれては事前にメールでお送りいたしておりますので、お手元に御用意いただきますようよろしくお願いいたします。
【秋田座長】  本日の流れでございますが、本日は3名の皆様に御発表いただくこととしております。初めに、杉並区立済美教育センターの奈良様より、杉並区の学校図書館支援について、次に、東京学芸大学の高橋様より、1人1台端末環境の下での学習指導について、そして3番目に、埼玉県立浦和第一女子高等学校の木下様より、埼玉県高校司書の取組について御発表いただきます。
 お三方の御発表が終わりましたら、質疑や議論を深める時間を40分程度取りたいと思っております。最後に、その他として、子供の意見聴取についての説明を10分程度取りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、最初に、奈良様から御発表いただきます。奈良様、よろしくお願いいたします。
【奈良氏】  改めまして、杉並区立済美教育センターの学校図書館支援担当、奈良と申します。私からは杉並区の学校図書館支援について報告いたします。
 杉並区は、東京23区の西側にあって、人口は57万2,000人弱、比較的自然に恵まれた住宅都市です。今年は区政施行90周年の記念事業が予定されています。区立の学校は、小学校40校、中学校23校、区立特別支援学校が1校あり、小中一貫校がそのうち2校あります。司書教諭は小学校では全校、中学校では14校、特別支援学校では1名発令されています。学校司書配置は区立小中学校全校で、特別支援学校にも今後配置したいと考えています。
 学校司書は、平成24年度には1校1名体制、1日6時間、週5日勤務での配置が完了し、学校図書館活用の充実に大きな成果を上げて10年が経過しているところです。この間の成果については、公益社団法人全国学校図書館協議会の第51回学校図書館賞を受賞しました。次からのスライドには、その内容も一部含んでいます。
 学校図書館の児童・生徒1人当たりの年間貸出し冊数については、学校司書配置開始の平成21年度からの10年間で、小学校が2.65倍、中学校が6.1倍に増えました。学校図書館図書標準もほぼ達成しています。冊数だけではなく、学校司書が常駐することにより、学習に適した本を購入するようになって、蔵書の更新にも気を配るようになりました。学校司書による学校図書館の授業支援回数も一貫して伸びてきています。
 それでは、ここからは、このような学校図書館を支える活動について、組織・計画、研修・人材育成、環境整備の3点に分けてお話しします。
 初めに、学校図書館支援の組織と計画についてです。内容は4点です。各館の連携、学校図書館支援担当について、行政計画への位置づけ、学校図書館活用実践校事業についてです。
 杉並区では、主に教育人事企画課と済美教育センター、区立中央図書館の3課で連携し学校図書館を支援しています。3課では連絡会議を定期的に開いて、学校図書館や学校司書についての情報交換を行っています。図の一番下にある済美教育センター、学校図書館支援担当が私のポジションであり、学校図書館の運営面の支援を行っています。
 杉並区では、学校図書館支援担当をサポートデスクと呼んでいます。学校図書館サポートデスクの構成は表のとおりです。私は図書館司書資格を有していて、過去に区立図書館の勤務経験があります。現在のサポートデスクの日常的な業務は、学校図書館の運営に関する相談や助言です。学校を訪問し、運営について管理職と話したり、廃棄や選定の相談やレイアウトの相談に乗ったりしています。学校図書館に関する研修企画・運営も仕事の大きな部分を占めます。教育センター内には教員をサポートする教育図書館があり、その管理運営も担っています。業務と兼務ではありますが、学校図書館担当の指導主事が配置されています。
 杉並区の学校図書館の取組は、杉並区教育ビジョン2022推進計画と杉並区子ども読書活動推進計画に位置づけられています。どちらも今年度4月から改訂計画がスタートしたところです。詳しい内容はスライドに示したとおりです。教育ビジョン2022推進計画では4つの項目、子ども読書活動推進計画では5分野の中の1分野を充てて、学校の読書活動の推進を図っています。
 このほかに、全校に学校図書館全体計画と学校図書館年間活用計画の作成を義務づけ、その確認を行っています。また、毎年数校、学校図書館活用実践校を指定し、特別予算を配当しています。校長のリーダーシップの下、司書教諭を中心として、情報教育担当教員や学校司書をメンバーとした学校図書館運営委員会を設置することを必須としています。今年度は、学校図書館を活用した探究学習の実施を中心に公募しました。ここでつくられた計画や行われた実践が他校においての活用実践の足がかりとなるよう、年度末の司書教諭研修で報告を行い、周知しています。
 今年度の活用実践校の実践内容です。本年度から、紙の図書資料だけでなく、データベースの購入もこの予算の対象とし、それぞれの特徴を生かして併用していく事業の実践を依頼しています。
 ここで、学校図書館を活用した授業を紹介します。この事例は杉並区のホームページに掲載しています。
 最初に紹介するのは、小学校2年生国語科の学習です。図書館でクラスの友達に自分のお気に入りの本を紹介しています。本だけで紹介する、本とタブレット端末の両方で紹介する、タブレット端末から大きくして紹介するなどの中から自分で発表方法を選んでいます。
 次に紹介するのは中学校の例です。人工知能を将来自分たちがどのように活用していくのかを考えるため、調べ学習を学校図書館で行いました。情報収集に当たっては、自校図書館だけでなく、他校や区立図書館から集めた図書や雑誌65冊を使いました。
 最後の事例は、小学校5年生の例です。総合的な学習の時間「やさしいまちづくりについて考えよう」の学習で、百科事典ポプラディアのデジタル版を活用して、探究的な学習のテーマ設定を行い、関連する語彙や概念を豊かにすることができました。
 次に、学校図書館支援の特徴の2、研修・人材育成についてお話しします。研修の一覧はスライドのとおりです。学校司書研修は毎月、司書教諭研修を年2回実施しているほか、それぞれの立場に合わせて機会を捉えて実施しています。
 学校司書研修は、学校司書の専門性を高め、情報共有の場をつくり、横のつながりを深めるために実施しています。内容はスライドにあるように多岐にわたります。学校職員の一員として、人権や学習指導等について学ぶ機会にもなっています。この数年間は学習センター、情報センターを意識し、パスファインダーの作成やICTと図書を併用した授業支援を考える内容に変えています。また、オンデマンドやオンラインの研修を取り入れ、研修を継続しています。
 定例研修のほかに、希望者が参加する選択研修を実施しています。新刊児童書紹介の研修は、区立図書館の協力を得て図書100冊程度を用意し、実際に手に取ることができるため、選定に役立つと大変好評です。
 司書教諭研修、年間2回開催しています。第1回目は、司書教諭の役割について理解を深めるとともに、学校図書館活用の実践について考える場として外部講師をお招きしています。司書教諭と学校司書が一緒に受講するようにしており、講師の話を受けて話し合う時間も設けています。第2回目は、先ほど説明いたしました学校図書館活用実践校の司書教諭がその学校の取組について発表しています。
 学校図書館活用・学校司書連携研修は、司書教諭以外の教員も参加できる研修です。読書感想文の指導や著作権教育など具体的な内容としています。そのほか各種研修がスライドのとおりです。このような研修で学校図書館の活用と子供たちの成長にとって読書は大きな力を持つことを説明しています。
 研修のほかに、学校図書館活動の参考となる冊子も発行しています。「学校司書ハンドブック」は令和2年4月に発行し、毎年部分的に改訂を行っています。令和3年度から発行した「学校図書館活用報告書」は、司書教諭と学校司書がその年度1年間の学校図書館活動をまとめたものです。
 3つ目に、杉並区の学校図書館を支える環境整備についてお話しします。環境整備の1つ目、学校図書館システムは次の特徴を持っています。
 1つ目は、全校の蔵書データが一元化されており、自校で資料が不足する場合にも、他校の所蔵状況の検索が容易になり、他校への貸出し依頼もスムーズにできるようになっていることです。
 2つ目は、掲示板や回覧板機能により、テーマに沿った調べ学習資料の相談がシステム上でできるようになり、学校司書同士の知識の共有が進むようになったことです。これが回覧板機能の例です。一番上にある「資料を貸してください」。先ほど紹介した人工知能に関する資料を中学校司書が探しています。内容はこのようなところです。この資料依頼に対して、別の学校の司書がこういうふうに答えています。
 学校図書館システムの特徴3番目です。児童・生徒に1人1台配付されているタブレット端末のデスクトップに、学校図書館の蔵書検索キー「ようこそ図書館へ」を表示したことです。これがデスクトップ画面です。児童・生徒は学校図書館だけでなく、校内のどこからでも自校の蔵書検索を行うことができます。学校図書館からのお知らせなども掲載しています。
 環境整備の2つ目は、図書配送システムです。図書配送は、学校と学校、教育センターと学校、区立中央図書館と学校、区立地域図書館と学校の4つの方法があり、最大限の図書資料の有効活用をしています。区立中央図書館は、学校専用に調べ学習資料を継続して購入しており、中央図書館の司書が学校から要望されたテーマに沿った本を選び、学校への配送まで行っています。
 最後に、杉並区の学校図書館活動の今後の課題と方向性についてお話しします。学校図書館は読書センター機能のみでなく、学習センター、情報センターとしての機能をさらに発揮していくことが必要と考えています。学校図書館は子供たちに信頼できる情報源を提供し、情報の選び方・見方を教え、発信する力を育てる機関です。児童・生徒の発達段階に応じて、学校図書館の利用方法、日本十進分類法、著作権、参考図書の使い方指導など、学校図書館は子供たちの情報活用能力の育成に大きな役割を持っています。
 子供たちが主体的に学んでいくための新たな取組の一歩として、学校司書によるパスファインダー作成を共同で始めたところです。パスファインダーとは、図書館資料やウェブ上のサイトやデータベースなどの各種情報資源のガイドを一覧にしたものです。
 学校図書館活用実践校では、調べ学習や探究学習の際に、紙の図書資料と同時に、デジタルの百科事典や新聞データベースを活用する実践を積み上げて、全校での活用に向けて進めていきたいと考えています。その前提として、文章を読む力、読み取る力をつけることが全ての学力の基盤となり、生きるための大きな力となっていくことから、読書センター機能も充実させていきます。各種研修においても新しい課題に柔軟に対応していくとともに、より効果的な研修となるよう、オンラインやオンデマンド、少人数性などを取り入れて企画・運営を進めていく予定です。
 また、教員向けのタブレット端末を学校司書にも配備し、学校司書が教育環境を整え、支える一員として活動していけるようにしていきたいと思います。GIGAスクールにおいても、学校図書館が学校教育の展開に力を発揮できるよう、今までの学校図書館を活用した事業や活動に加えて、ICT活用を積極的に進めていきたいと思います。
 これで杉並区の学校図書館支援に関する取組について事例発表を終わります。ありがとうございました。
【秋田座長】  奈良様、どうもありがとうございました。それでは、続きまして、高橋様から御発表いただきます。高橋先生、よろしくお願いいたします。
【高橋氏】  よろしくお願いいたします。
 私からは、1人1台端末の中での学習指導、授業がどうなっているかというお話をさせていただきたいと思います。私自身は図書館教育というよりかは、教育の情報化に関することを中心に研究をしております。
 今日の話題でございますが、1人1台端末の活用が定着した地域の事例をお伝えしたいということと、将来像を過去や社会から検討したいというふうに考えております。つまり、1人1台端末を活用した授業像というのは、今まだはっきりとしていないというところと、日々変化していますので、まずは、今の進んでいる地域はこうですよということをお伝えしたいと思います。非常に地域差もございます。また、今のところ、1人1台パソコンを使っての図書や読書と考えると、小説や詩とか絵本といったジャンルはあまり1人1台とは連動してないように思いますので、これはまた今回の話題ではないというふうに申し上げたいと思います。
 それと、特に今日の1人1台端末の活用のエリアはこの赤枠の部分で、AIドリルとかを使って個別の知識を反復・習得学習していくという部分とか、情報共有や資料配付の部分の活用というのがあるんですが、これは図書でもあり得ますが、特にこのBの問題解決活動、主体的・対話的で深い学びをして高次な資質・能力を育む、そういったようなICT活用を中心にお話ししたいというふうに思っております。
 特に今回のGIGAスクール構想は、クラウドによる1人1台端末活用というのがポイントだと思いますので、これが定着している地域ということをお伝えしたいと思います。愛知県春日井市の事例です。これは子供1,111人、先生方89人へアンケートを取って、去年の2学期なんですけれども、「ほぼ毎日」と回答した方々で90%ぐらいございますので、ほぼ毎日のようにパソコンを使っている地域の話になります。
 そういった地域では、4以上というのは「とても当てはまる」というふうに答えた人が多いというわけなんですが、友達と協働できるようになったとか、楽しくなったとか、自分のペースで進められるようになったみたいなことを多く答えております。一方で、忙しくなったとか、目が疲れるようになったとか、気持ちが疲れるようになったというのは、これは赤は児童・生徒で、青が先生方なんですけれども、子供のほうのほうが比較的低めに回答しているなんていうような現状になります。
 そういった学校の朝の様子から最初御覧いただきたいなと思います。こんな感じに過ごしています。
(映像資料)
【ナレ】  朝7時過ぎ、6年1組担任の先生です。朝の日課は、グーグルClassroomに連絡を入れたり、1日の授業の流れを見直して子供たちに送信する作業です。
 授業の流れとかそこら辺を子供らに、一応、昨日から送ってあるんですけれども、昨日の授業をやってみて気持ちが変わったりすることもあるので、どうしようかなと思ってやっています。
 8時を過ぎて授業の準備が済むと、子供たちの登校に合わせて教室へ向かいます。おはようございます。このクラスでは、毎日Chromebookを持ち帰っています。取り出すと子供たちが朝一番に開くのは、グーグルClassroomの画面。先生からの連絡や1日の授業に必要なワークシートなどをチェックします。
 それが済むと、それぞれ自由に使い始めます。この子がやっているのは、毎日先生からClassroomに送られてくる漢字の小テスト。2人はグーグルドキュメントで共有している係活動の原稿を見ています。この子はチャットをやっていたようです。グーグルカレンダーを使って自主学習の計画を立てている子もいます。
 子供たちは多彩なツールを使いこなして朝の時間を過ごします。
【高橋氏】  これぐらい子供の生活にまずなじんでいるということです。ここの地域は、情報活用能力は、コンピューター室のある時代から、ほかの地域と比べたら一定程度しっかり指導しておりましたので、実際には、1人1台コンピューターが入って二、三か月でこういう状況になりました。
 実際に授業の中では、グーグルClassroomみたいなものを使って授業の流れをこういうふうに示したりして、自分なりにこれをアレンジして調整していくみたいなことが行われている。ある意味で自由進度学習みたいなことも一部分で行われていますし、教科書とかはありますけれども、このぐらい本で読み取ったものを、どんどんポイントを書いていくみたいなことが行われています。結構、大人よりスピード感があるような感じもしまして、かなりこういう感じで本とかをうまく利用したりして自分の意見をまとめています。
 特に一番効果を発揮しているのは、協働学習等です.自分の学んだ成果や目標とか意見とか振り返りを常にこういうふうにお互い書いたり把握ができたりします.状況の把握は先生と子供の関係の中でも、子供同士の中でもできているので、結構大きいなと、これはすごい大きいなと思っています。
 また、チャットとかメールも大分使われていまして、複線型の授業進行を大分支えていて、一斉という単線型の授業からの脱却みたいなことがこれによって起こっているように思います。イメージとしては、今まで、一斉でこういうふうに単線型で進んできて、そこで調べよう、整理しよう、伝えようとやっていて、今から調べるのでコンピューターを使いましょうとか、今から伝えますのでパワーポイントを使いましょうとかやっていくと、こういう授業スタイルの場合は使わないほうがうまくいく先生も多くて、端末活用は継続しにくいというふうに考えております。
 一人一人の子供が主語みたいにして考えて、一人一人の勉強の仕方に合わせて自分で決めていきましょうみたいな複線型の授業になったときに、結局コンピューターが常に電源が入っているというか、つながっているということで、何をすればいいのかとか、周りは何をしているのかとか、こういうのがそんなに無理せずお互いに把握しやすいので、自分たちのタイミングでこういうふうにコンピューターを、赤はコンピューターを使っているシーンを表していますけれども、こんなような勉強が起こり始めています。
 こういうことが、今まで、先生方は子供一人一人に合わせた授業をしたかったんですけれども、コンピューターの力を借りると比較的できるということに気がついてから、利用率がぐんと上がっているという現状があります。実際に、これは算数か何かの授業の様子ですけれども、1人でこうやって勉強する子、友達同士で話している子、先生から習いたい、これは勉強できる子できない子関係なくみんな、先生のところに集まって勉強したい子はするんですけれども、こういうようなことが同時に起こるということです。
 なので、協働も、今までの協働というのは、先生が「今から協働します」と言って相手まで決めたこういう一斉で協働だったわけですけれども、1人1台端末が入ってきて、非同期・分散プラス協働みたいなやや矛盾するようなことが実現しやすくなっている様子では、こういうふうに子供たちが自分で勉強の形を選ぶみたいなことが実際に起こっています。
 観察したデータで見ますと、先ほどみたいに一斉協働みたいな教師が指示するパターンと子供が決定するパターンで見ていくと、確かに、ここら辺は先生の指示によって、これは縦軸が人数で学習活動の種類を見ているんですけれども、その後、自由に活動するというところになりますと、情報の収集、整理・分析、まとめというのはクラス全体でそれぞれのペースで進んでいますので、ここみたいに「今から情報収集します」「今から整理・分析します」「今からまとめます」と言っているのとは随分違う、多様な学び方をしている子供たちがいるんだなということが分かってきました。
 こういう学び方をしたときには、図書とかそういうものもかなり臨機応変に、必要なときに必要なものが使えたらいいななんていうことが毎回話題になります。実際にコンピューターの利用状況ですけれども、教師が指示するパターンでも子供が決定するパターンでも両方とも、ほぼずっと使っているわけなんですが、常に即時に活用可能といったような特徴がございます。
 こういった学習活動の特徴では、クラウドで活動の途中を共有したり、他者の途中の状況を把握したりとか、各自のタイミングでの情報収集とか、様々な情報源から情報収集するとか、ただ、画面が小さいので、紙の図書が有効な場面というのも多いし、アウトプット、問題解決を重視した学習ということも行われています。
 PCというのは、かなり即時に使える存在、常に使える存在としてありますし、複線型、協働的な活動を支援しているなというふうに思います。社会人同様に、様々な情報源を各自のタイミングで即時に扱うみたいなことが実際に起こりつつあるというふうに思います。これが話題1です。
 今後、我々はどうなるのかというのは我々自身もまだ分かってなくて、模索中でございます。そういった場合は過去を調べると面白いなと思って調べたりはするんですが、例えば、200年前の先生は「最近の生徒たちは紙に頼り過ぎです」、「生徒たちは石板を使うとチョークの粉まみれになってしまいます。それに石板きちんときれいにすることもできない」、「紙を使い切ってしまったらどうするんでしょう」と言っていたらしいです。
 だから、200年前に紙が最新テクノロジーだった時代もあるんだなと。今、石板から紙、ICTみたいな、こういうような歴史の繰り返し、転換点にあるんじゃないかというふうに感じております。200年前の人に紙と石板どっちのほうが効果がありますかと言われたら、我々、両方とも効果があるんじゃない、でも、紙のほうが本になったり運びやすかったり便利だよねというように、多分、紙とICTは似たようなこともできるんだけれども、ICTのほうができることが多いなというふうに感じています。
 したがって、新旧メディアの重なりの部分だけで比較しても、あまり適切な評価とは言えない可能性が僕はあるなと思います。石板とか紙とかICTとか、こういう歴史の流れの中で総合的に考えていく必要があるんじゃないのかということ。
 それと、これはベテランの先生が今日は多いと思いますので、御存じのとおり、昔駅にこういう伝言板があったわけです。これをデジタル化しなさいと言われたときに、当時、一部の会社がコンピューターをつないで電子ディスクプレイにしたそうですけれども、最終的に、我々は答えを知っていて、携帯電話に置き換わってしまって、いつの間にかこの伝言板はなくなってしまったわけですよね。このように考えますと、今の教科書を単にデジタル化するとかそういったものの考え方では多分もう立ち行かない。何か根底から変わっていく可能性も視野にやっていく必要があるんだろうというふうに思います。
 例えば、今、電車内、私も見渡すように必ずしていますが、紙の本や新聞を読んでいる方というのはもう本当に数少なくなって、1回も見ないで1日終わるなんていうこともあるようになりました。こういう慣れみたいなことが起こっていて、スクリーン中心だと何が起こっているのかということなんですけれども、今、スクリーンで読むということを前提のワープロソフトにこういう大きな表を貼ると、スクロール可能な状態で貼れるんです。だから、大きな表を貼るとバーッとページ数が増えてしまって、印刷前提のワープロソフトから画面で見るみたいなことが今起こっていて、随分様子が変わってきているということもあります。
 これは古い研究なんですけれども、この渡部先生、ワタナベ先生と申し上げるのか分かりませんけれども、似たようなことをずっと研究されていて、主張は同じだと認識していますので、古いですけれども、こちらのほうが分かりやすいと思うのでこれを引用させていただきますが、電子書籍利用者というのはたくさんのジャンルをより高い関心を持っているとか、皆さん電子書籍のことは理解されているとか、疲れやすいと感じているとかいろいろあるんですけれども、僕はやっぱり、ネットメディアとかリアルメディアとかいろいろなものがスクリーンだと一元的に扱えるということが多くの利用者の共感を得ているというか、そういった方向になっているんじゃないのかななんていうふうに思ったりもするわけです。子供も多様な情報を扱い始めているなというふうに感じています。
 学習のときに少し細かく見ると、ヒューマンコンピューター・インタラクションの80年代、90年代の研究をアレンジして理解すると、画面に表示されたものを目で知覚して、それを頭の中で認知したり思考したり判断したりして、表現したりしてPCで処理するみたいな、これも僕はぐるぐる回りなんだと思うんです。コンピューターを使うと分かった気になるというのは、こういう往復運動だと考えがちなんですけれども、しっかり頭を通すこういうような活動をしていくということが僕はすごく大事だなと思います。
 例えば、これは東京学芸大学の青空の天気のいい日の写真ですけれども、こういうのを見て、青空できれいでよかったねと考えるのか、「青い」のか、「碧い」のか、「蒼い」のかみたいな、こういったことを知ったつもりとか分かったつもりで乗り越えるような見方・考え方というものがいかに働かせられるかというものがすごく大きいなというふうに感じております。
 私の個人的な考えで言えば、本に関してもコンピューターからしても、どちらかというと、生きて働く知識というよりかは個別的な知識というものがたくさんあって、得られて、そういったものをこうやってネットワーク化、構造化されたような知識や経験に変えていかなきゃいけない。そういうときに、こういった体験というものが、話し合ったりまとめたり伝えたり、こういった多様な体験が、個別で手に入れた知識が構造化してネットワーク化していくような、そういったことになるんじゃないかなというふうに思っております。
 将来像を検討するに当たって、幾つか書かせていただきましたが、本質は変化しないんだけれども、情報の量や質、メディアの種類とか即時性とか、こういった周辺領域の変化はあり得るなというふうに思っております。
 私からの御報告は以上になります。ありがとうございました。
【秋田座長】  高橋先生、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、三人目の御発表者、木下様から御発表をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【木下氏】  皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました埼玉県立浦和第一女子高校の木下と申します。画面共有させていただきます。
 簡単に私の自己紹介をさせていただきますが、私は1985年に埼玉県の司書に専門職として採用されて、専任、正規で働いています。初任校は商業高校で、その後、中堅の進学校、女子高校を経て、現在の浦和第一女子高校に勤務させていただいております。浦和一女には平成30年に着任し、今年で5年目になります。
 私自身のライフワークとして、子供食堂など貧困の対策や、本を手に取れないお子さんたちに本を届けたいということを考えており、その施策を実行していくためには行政の皆さんの理解とか地域の理解がないと進まないと思い、いろいろな関連の資格取得に励んでいるところです。
 では、まず、浦和第一女子高校の図書館の概要からお話しさせていただきます。本校は創立120周年を迎える女子伝統校で、県内でも有数の進学校です。生徒は1,080名、教職員80名の大規模校で、ほとんどの生徒が国公立大学進学を目指しています。図書館の蔵書は約5万5,000冊あり、そのうち英語の多読本が1万冊あります。電子書籍も200冊ほど所蔵しています。
 図書館の利用は大変多く、昨年度、生徒1人当たりの貸出し冊数が37.8冊ありました。司書は私1人ですが、司書教諭、図書係の教員2名と合計4名が教務部図書係というところに所属し、協力しながら図書館運営に当たっています。細かい数字などはパワーポイントの資料を御覧ください。
 埼玉県は生徒が自分の端末を使うBYOD方式を取っており、本校は図書館にもWi-Fiスポットがあります。GIGAスクール構想を機に本校図書館もICT化を一気に推進し、この4月からは、予約、督促の生徒への連絡も含めてメールでできるようにしたので、ペーパーレスになりました。
 ここで、本校のシステムを実際に見ていただきたいと思います。うまく共有できるといいんですが。今見えていますでしょうか。
【秋田座長】  大丈夫です。
【木下氏】  こちらは本校のホームページなんですけれども、本校のホームページの中に図書館のバナーをつけていただいております。時間がないので、ごめんなさい、本日は蔵書検索の中身を見ていただきますが、利用案内や図書館ブログ、電子書籍にどんなラインナップがあるかというのは、後でのぞいていただけるので御覧ください。
 蔵書検索なんですけれども、生徒がログインIDをもらってログインするようになります。これは検索ソフトをつくっている会社がもともと使っているものを私のほうでカスタマイズしたものです。例えば、開館カレンダーなんですが、今は8月なので、7月で授業がこんなふうに入っているというのも分かりますので、先生方もこのクラウドサービスを使って図書館の授業があるかなというのを見ていただくことができます。
 また、お知らせ欄というところにいろいろなバナーをつけておりまして、本の予約はここのクラウドからできるんですけれども、図書館に入ってないほうのリクエストは、こちらのほうにグーグルフォームを貼っておりますので、こちらのフォームから申込みをすることができます。
 また、お役立ちのデーターベースリンク集ということで、後で御紹介しますが、探究活動の中でいろいろなデータベースの使い方を私のほうで紹介させていただいているので、ここを見れば分かるという形になっていて、生徒はこのクラウドを使っていろいろな取組をしています。例えば、新着図書もこのような形で見ていただくことができますので、この本を借りたいなと思ってクリックをすると、「貸出中」というのが出ていて、「予約カートへ」というのを入れると、こちらのログインボタンから予約をして、自分で予約手続をするということができます。自動的に流れてくるので、返却作業をしたときに、誰に次返せばいいかというのが分かるようになっています。
 また、ブックリスト機能というのがありまして、こちらは例えば、1年生がモデル研究というのをやっているんですけれども、関連の図書を先生と一緒にまとめてみて、それをこういう形でブックリストにしています。もう夏休みが終わってうちの学校は普通に授業が始まっているので、返却されているものが多いので、あまり利用はないんですけれども、このような形のブックリストも、授業に合わせたブックリストを作ることができます。
 また、貸出しのランキング、予約のランキングということで、ブレイディみかこさんの本とか今予約が多い本に関して、生徒はこれが人気があるんだと言って見ることができます。
 では、スライドのほうに戻らせていただきます。最初に申し上げたとおり、本校はほぼ全員が国公立大学を目指す女子進学校で、読書意欲の高い生徒が入学してきています。このスライドは入学直後の新入生を対象に読書に関するアンケートを行った結果ですが、1年生の75%が本を読むのが好きと答えています。書店にも57、半分ぐらいの生徒が「よく行く」と答えていて、また、小さいときに読み聞かせをしてもらった経験があると答えた人が9割にも上ります。
 こちらのアンケートは、先ほど御覧いただいたクラウドサービスの利用アンケートです。7月、夏休み直前に実施したので、回答率が全校生徒の半分くらいということなんですけれども、昨年よりも自分のスマホとかタブレットでクラウドサービスを利用することが増えている生徒がとても多く、自分の学習や趣味の授業に役立っているというふうに回答している生徒が8割を超えました。今後、利用方法とかを周知していき、利用の呼びかけをすることで習慣化していくというふうに思っております。
 また、この読書アンケートの中で電子書籍の利用についても聞いてみました。本校は200冊ちょっとの電子書籍を所蔵しているんですけれども、電子書籍を所蔵していても、借りたことがある人というのは2割程度。何で利用しないんですかというのを聞いたら、1つは、先ほどのお話にもありましたが、目が疲れるから嫌だということとか、借り方が分からないというようなアンケートの結果もありました。1年生に関しては、周知徹底して教えているんですけれども、導入したのが2年前で、今の3年生は入ったんだねぐらいのイメージだと思います。
 本校ではこのような形で電子書籍を購入しておりますが、埼玉県立高校は、導入が5校しかありません。これはなぜかというと、県費での購入がなかなかできないからなんです。通常の図書費として頂いている需用費では電子書籍は購入できず、電子書籍は使用料及び賃借料という予算でしか購入できません。なので、今まで電子書籍の活用の概念がなかったために、支出先がなく伸びていないということが結果として現れていると思います。
 本校では、電子書籍に約30万円の団体費を充てていますが、30万円で購入できる冊数は約100冊です。現在ある200冊の電子書籍のうち、2年目の今年の3月には、100冊ぐらいが同じものを継続して買うか消えてしまうかどっちかという2年縛りがありますので、そういう状況になっています。
 そこで、電子書籍に関しては、さいたま市立図書館の御協力をいただき、さいたま市立図書館に誘導するような形を電子書籍のホームページからバナーを付けさせていただきました。さいたま市立図書館は約9,000冊の電子書籍を所蔵されており、1年生の図書館オリエンテーションで、市立図書館の利用の登録用紙を配って、市立図書館で利用登録をすると電子書籍も読めますよというのを案内する形を進めています。
 さて、読書推進に関しては、授業との連携が欠かせないと思います。本校では図書館が探究学習とがっちり連携して活動しています。簡単ですが、その概要を説明したいと思います。探究活動に蔵書検索をフル活用していただくために、3月の保護者同席の入学許可説明会の際に、クラウドのログイン方法を伝えて、図書館オリエンテーションをはじめとして探究活動のオリエンテーションなどを活用して、新聞のデータベースとか、本校は国立国会図書館の遠隔複写サービスの登録館になっているので、国立国会図書館サーチの使い方の指導なども行っています。
 埼玉県もグーグルのサービスを利用していろいろな活動を行っているので、図書館のClassroomもあるんですけれども、私も各学年のClassroomに教師として入れていただいて、それぞれの学年に必要な動画の配信とか、こういう情報を見てくださいというような情報をClassroomから提供させていただいております。
 右上のほうにある一女図書館を活用した学びの体系というのは、一昨年からなんですけれども、コロナ中で先生方とじっくり話をする機会もあったということで、教務部図書係でまずもんで、その後、本校には各教科の先生たちが出てきてくださっている図書館運営委員会というのがございますので、そこの先生たちにお諮りし、本校は、学校の教育目標にあわせて、その目標に合わせた学びの体系というのを作らせていただきました。これを生徒のほうにも周知して、図書館も活用してやっていきたいというふうに思っています。
 また、下の写真にあるのは、各クラスに配布している探究学習ボックスというもので、私は教務部なんですけれども、探究活動部の先生と協力をさせていただいて、各クラスに参考文献の書き方とか、右側にある情報メモなどをこの中に入れて、いつでも使えるようにというような探究学習ボックスを置かせていただいています。生徒には調べものをしたら必ずこのメモをつけるという癖をつけてもらいたいというふうに思っています。
 また、本校は特色として、1年生のときから読む力をつけるというのを学校の各教科の中できちんと位置づけて動いています。国語科は、小説を読んで語彙力をつけるだけでなく、新書など社会的な課題を読む力をつけてほしいということで、新書レポートというのをしているんですけれども、それに合わせて、私のほうで点検読書というワークを、図書館に連れてきていただいて、先生方と協力しながら生徒たちにやっています。
 また、英語の多読も、生徒は英語を読むのみたいな気持ちがあるんですけれども、この多読の3原則を説明しながら、3年間で100万語ということでやっているので、多読のここにこういうふうに本が並んでいますよというのも、説明のオリエンテーションを図書館で英語科の先生とコラボレーションさせていただきながら行っております。
 点検読書に関しては、うちの生徒はある程度読める生徒というようなイメージが私も国語の教員の中にもあったんですけれども、これからの新書レポートに役立ちそうですかと聞くと、多くの生徒が役立つ、それも、書名、著者名、出版社がどこに書いているか奥付の見方とかも教えたり、はじめにとか後書きの仕組みとか、本ってどういう形になっているのかというところから教えていきますので、そこをするということと、引用の練習をさせているので、そこのことがうまくできて、こういうふうにやってよかったというのが出ています。この点検読書のレポート用紙も生徒たちには配って、その後は自分たちでやっていってねということで進めています。
 ここまでは本校の活動を紹介してきましたが、ここからは、全日制の高校に司書が全部配置されている埼玉県の高校図書館の取組についてお話しさせていただきたいと思います。
 埼玉県では昭和30年代から、PTA雇用も含め学校司書が配置されていました。司書と教員が共同で活動する埼玉県高等学校図書館研究会という活動の中に、県費で司書の採用を要求する動きが高まり、司書部会が発足しました。昭和50年、1975年には、県立図書館と同採用で司書の採用試験が始まり、資格を持たずに働いていた先輩方は、自分の時間とお金を使って司書資格を取得されました。平成3年、1991年に、人事委員会による免許資格職職員採用試験が導入され、現在に至っています。2000年から2012年までの間、司書の採用試験が実施されず、その間の採用は途絶えましたが、2012年に採用試験が再開。2013年以降に採用された若い司書が100名を超えました。昨年からは、就職氷河期の世代の採用も始まっています。
 現在は、県立図書館との異動も活発に行われており、高校司書も公共図書館の研修に希望すれば参加できるようになりました。また、採用5年次に5年次研修を行っており、県立図書館の司書が学校図書館について学び、高校司書が県立図書館の仕事を学ぶプログラムをつくっています。埼玉県では、県内を17年度の地区に分け、担当部長というものを置き、拠点校を置いて取りまとめをする役割をしています。私のネットワークには、私立高校も含めて8校が所属しており、年に3回研修ができるようになっています。
 司書は1人職種なので、新任で着任しても最初から1人で仕事と組み立てていかなければなりません。先ほどの杉並の事例と同じように、そんなときに助け合えるのが、こちらのバナーが出ております埼玉県高校図書館研究会のポータルサイトです。埼玉県は県全体で相互協力の協定を結んで、他校の本を借りられるシステムをつくっていますので、この「こうとけんさく」というところから県内の高校図書館の横断検索ができるようになって、他校の司書からもアドバイスをもらえるような仕組みができています。
 埼玉高図研では司書と教諭が一緒に活動を行っており、私は現在、読書指導委員会というところに入っています。時間がないので1つ1つ詳細にお話しすることができないんですけれども、授業で図書館を活用するといっても、ただ図書館に連れていって本を読ませるという内容だけでなく、生徒が読むきっかけになるような活動を教員と司書と共同で開発中です。
 また、右側の図を見ていただくと分かるんですけれども、母国語を日本語としないお子さんたちが通っている高校の司書の人たちが集まって、いろいろな言語で利用案内を作ったりするような、こういうサービスも行っています。これも専任で専門職でできているからだと思っています。
 また、埼玉県の総合教育センターとの連携として、初任研というのを埼玉県の高校司書が担当させていただいております。また、私が2019年から国語の5年次研修と中堅研修、いわゆる10年次研の研修を担当させていただいており、学校図書館の働きと司書の役割を本校の事例も基にしながらお話しさせていただいております。
 これも事前に高図研の告知版を利用して、いついつこういうことがあって先生たちが本を借りに来るから協力してくださいというのを司書に告知すると、先生来てくれましたよという連絡をくれたり、先生もその研修が終わった後に、実際にうちの学校でどんなふうにこれをやろうかというのを司書のほうに持って帰るようなやり取りができるようになっています。この内容をどんどんバージョンアップさせていけるような取組も、私たちが専任で、専門で、ほぼ正規で配置されているからだと思っています。
 今まで公的な活動をお話ししてきましたが、最後に、私たち司書が有志手弁当で行っている「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本」という取組を少し紹介させてください。この活動は、司書の採用試験が10年以上中断したことで、県民の皆さんに学校司書がいるとどんなことができるのかというのを知っていただきたいということで始めた活動です。採用試験が再開される前までは、埼玉県高校図書館フェスティバルというお祭りを行っており、そこでシンポジウムを開いたりして、学校図書館はこんなふうに使われていますよというような実践報告もさせていただいていたんですが、運よく採用試験が再開されたので、現在は、書店や公共図書館からの続けてほしいという強い後押しをいただいて、この「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本」という取組を残して活動しています。もう10年を超える長い間、地域の方と一緒に取り組んでいる活動です。
 こちらに書いてあるように、1年間に出された本の中から、高校司書がランキングをつけて投票、そこから私たちがベストテンを出して発表しています。他県でも同じようなブックランキングをされている事例もありますけれども、私たち埼玉が特色を出しているのは、このブックフェア、イチオシ本フェアを公共図書館や地域の書店と一緒に行っているところだと思っています。今年のフェアは53書店、それから、民間も含めて83の公共図書館に協力していただきました。その他4となっているのは、埼玉県庁の県民案内室、総合教育センターとか埼玉県の公共施設でイチオシ本のパンフレットを置いていただいているからです。県内の146の機関とつながって、イチオシ本の発表の後すぐに、高校生だけでなく中高生の読書を支えるような取組をさせていただいているというふうに私は自負しております。
 さて、まとめとして少し私の私見をお話しさせていただきたいと思います。今話題になっている石井光太さんの書かれた『ルポ 誰が国語力を殺すのか』、文芸春秋の本ですね、にも出てきますが、とても語彙が少ない若者が増えてきているというのは、私たち埼玉の高校司書が話をしていてもすごく思うことです。その語彙力を増やすためにどんな取組をしたらいいかというのを考えているのが、先ほどの地域の司書たちが固まっていろいろやっている取組で、そこも私たちが専門職で授業の中身が分かっていて、高校生の様子が分かっていて、それを支える伴走者として、専門職として採用されているからできていることだと思っています。
 埼玉県でも、県内に小中学校への司書の配置が進み、多くの小中学校の司書の方が頑張っていらっしゃいますけれども、多くは会計任用職員制度登録のため、賃金が安くてダブルワークをされている方も多いのが現状です。探究活動とかICT活用の学校図書館をもっと活用していただくためには、学校司書の配置と資格要件をはじめとする勤務内容も含めて、もう一歩踏み込んだ提案をぜひこの会でしていただければと思います。
 少し長くなりました。どうもありがとうございました。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、お三方への御質問に関しまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。御質問、御意見のある方、挙手ボタンを押していただくということで、今既に押してくださっている方がおられますので、まず、そこから始めさせていただきたいと思っています。
 まず、事前のチャット等で挙手された方に御発言いただこうと思います。まず、奈良様に対して、鎌田委員、富永委員、島委員が質問をされていますので、それでは、順に鎌田委員からお願いします。お三方質問をされてから、まとめて奈良様に御回答いただくような形ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【鎌田委員】  鎌田です。奈良様、御発表ありがとうございました。2点質問がございます。
 1点目は、児童・生徒のGIGA端末のデスクトップに学校図書館へのショートカットを作成されたということで、すばらしい試みだなというふうに思いました。これがどのような効果があったのか、もし調査があるようでしたらお教えいただきたいということです。これが1点目です。
 2点目ですが、文科省は令和2年度の学校図書館の現状に関する調査で、授業における学校図書館の活用状況、科目を指定して活用の有無を調査するという内容だったかと思いますが、杉並区では同種の調査をされているのでしょうか。されているようであればお教えください。
 もう一つありました。杉並区では独自の学力調査をされているというふうに思いますが、その調査の中で学校図書館の活用度合いとか読書との関係について、それと学力についてどのような影響があるかということが言われているようでしたらお教えくださいということで、すいません、3点質問がございます。よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、富永委員、お願いいたします。
【富永委員】  市川市教育委員会の富永です。御発表ありがとうございました。
 最後にパスファインダーのお話がありましたが、パスファインダーは、デジタルで作られているのかアナログで作られているのかどちらですか。杉並区では活用の指定校を決めたり、活用報告書などもつくったりされていますが、そういうものとパスファインダーの内容が連動しているのでしょうか。市川市では、学校図書館を活用した授業研究を行ったときには、必ず指導案にその授業で使った選書のリストをつけています。同じ単元でも授業ごとに使う資料は違うので、授業とパスファインダーが連動しているとよいのではないかと思います。
 また、市川市では、4年目の教員に学校図書館を授業で活用するための研修を行っています。簡単に説明しますと、10年目くらいの授業の上手な先生方に学校図書館を活用した授業を行ってもらい、それを4年目教員が参観して、授業での学校図書館の活用方法を学び、その後、自分たちが授業を行い、その様子を教育委員会に報告をするという研修を行っております。もしも杉並区で何か研修等で工夫されていることがありましたら教えていただければと思います。ありがとうございました。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、島委員、お願いいたします。
【島委員】  丁寧な説明ありがとうございました。日本図書館協会の島でございます。
 杉並区立図書館との関係で、調べ学習資料の貸出し、読みもの団体貸出しなどの記載がありました。また、学校間と公共図書館を結ぶ図書の配送システムも出来上がっているようでございます。奈良さんは教育センターですので、分かればで結構なんですけれども、支援の内容とどのぐらいの件数があったかみたいなことが分かれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、まず、このお三人から事前にチャットで奈良様に御質問として挙げられたものについての御回答をお願いいたします。
【奈良氏】3人の方に御質問いただいて、それぞれが十分には私には答えられないことがほとんどで申し訳なく思います。
 鎌田先生から最初にいただいたタブレット端末上のショートカットの効果ですけれども、実際には、まだ始まったばかりで、そのショートカットをどのように活用するかを学校司書が子供たちに説明している段階です。ですので、実際の数値的なものはつかんでいないです。学校図書館に来なくても、授業の中で自分のタブレットから自分の学校にはどんな本がこのテーマに沿ってあるのかなというのを検索したり、それが貸出し中かどうか分かったり、学校によっては予約ができたりというような使い方ができるというところです。
 それから、2番目の文部科学省の調査に関しては、もちろん杉並区も答えていますし、いろいろな科目で学校図書館が使われているとは思いますが、今、手元に調査結果を持っていないので、申し訳ないですが、お答えできないです。
 3番目。杉並区には特定課題調査(「特定の課題に対する調査、意識・実態調査」)というのがありまして、独自の学力調査ですけれども、その中で学校図書館に関しては、この1か月間で本を何冊読みましたかという項目があります。その項目とそれぞれの国語だったり算数だったりする学力との相関関係のデータはあると思いますが、それほどそこに重きを置いてないというか、読書の冊数が多いから国語の点数がいいとか、そういったところまでは私の中で見ていないというのが実際のところです。あるのかもしれませんが、そこまで学力調査を使っていないです。1冊も読んでいない、未読者と呼んでいますけれども、それに関しては気にしているところですが、それ以上の使い方はしていないというところです。
 それから、富永先生から御質問いただいているパスファインダーですが、これはデジタルです。実際には、学校司書がふだん使っている学校図書館システムのフォルダーに教科ごとに作ったものをしまうようにしています。それを自分の学校で使いたいときは、取り出して、自分の学校の蔵書に入れ替えて使いましょうという運用にしています。その自分の学校用に作ったデータを子供たちのタブレット端末に配信するというところは、ICT支援員さんの協力を得てやるというところを考えていますが、実際にやれている学校と、まだまだというところと、過渡期かなと思います。
 それから、年間1回の活用報告書は、今年の3月に初めて作ったというところもあって、パスファインダーについてはほとんど記載がないかと思います。授業での図書の資料リストについては、学校司書がそれを作っている人もいますけれども、そこの共有は今のところしていないです。
 それから、教員研修に関しては、図書館を活用することについての教員研修は、先ほどお話しした中では司書教諭研修と希望者研修のみです。全員が必ず受けなければいけないのは司書教諭研修のみで、何年目の先生が必ず学校図書館を使いましょうというような研修にはなっていないです。司書教諭、もしくは学校図書館担当の教員は、初任の方もいれば大ベテランの方もいるという状況です。
 それから、最後に島委員からの御質問にお答えしますが、読みものの団体貸出しについては、学校のクラス貸出し、学級貸出しという扱いになりますが、大体30冊から50冊の範囲で貸出しを学期ごとにしています。杉並区は13館公共図書館がありますが、学校に近い公共図書館で地域割りをしています。選定はPTAだったり、その公共図書館の職員だったり、もしくは学校司書が行っています。中学に関しては、学校司書が選定をしています。これは小中学校全校ではないです。小学校はほとんど団体貸出しは受けていますが、中学校はそうでもないです。
 それから、先ほどパワーポイントで説明した調べ学習資料の貸出しについては、中央図書館の調べ資料と、それから各地域図書館の調べ資料の貸出しの合計冊数でいうと、令和元年度が1万2,796冊、2年度が1万3,553、3年度が1万4,947です。年々、現状、総数としては増えているところです。団体貸出しについては、3年度の数字を持っていないんですが、令和元年度が18万6,563冊、2年度が16万9,576冊ですが、それ以前は22万冊ぐらいでしたが、元年度と2年度は中央図書館が休館していましたので、その影響かと思います。
 それから、ほかに公共図書館と学校との関係でいうと、公共図書館が新小学校1年生に図書館バッグを配布しているということと、それから、公共図書館が主催するコンクール、調べる学習コンクールなどを主催していますが、その審査員に学校司書がなるといった連携をしています。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、今、事前にチャットとでいただいたことを取り上げた後、またそれぞれの御発言いただく予定もございますが、高橋先生に宛てて鎌田委員のほうからの御質問をお願いいたします。
【鎌田委員】  鎌田です。高橋先生、先進事例をお教えいただきましてありがとうございます。2つ質問があります。
 1つ目は、春日井市の事例では、子供の自己表現とか交流活動にコンピューターやネットワークが使われ、効果が現れているということが分かったわけですが、学習の際のリソース、教材ですけれども、それは教科書や体験などのみなのでしょうかということです。ネットにつながったコンピューターですから、教科書と同等かそれに準ずるようなそういう教材とかリソースが使われているということがあるのでしょうか。例えば、一般のウェブサイトを検索して利用しているなど、そんなことがあったら教えてくださいというのが1点目になります。
 2点目ですが、新しいメディアの利用は社会的な必然であろうかと思いますけれども、紙のような旧来型メディアとICTを活用することは、子供の認識能力等の発達・育成に関してどのような影響があるというふうにお考えなのでしょうかということを教えてください。よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  高橋先生、お願いいたします。
【高橋氏】  ありがとうございました。春日井市のあの例は、特徴的なところは、教科書をしっかり学ぶといったようなこれまでは習得と言われていたようなシーンで、先ほどのような活用が行われているということになります。すなわち、今まで一斉の教え込みみたいな感じのところが、ああいうふうにインプットとアウトプットみたいなことが高速に行われるようになったという位置づけもありますので、当初ほど外部のリソースの必要な学習ではないところで、まず、ああいったことが起こっている。
 ただし、インプット、アウトプットがすごい高速で行われていると、一部の子供の中では、もっと自由研究的なとか、自分で本当にテーマを決めて、日本中の先生にGIGAスクールを教えたいホームページを作るとかやった子供たちも実際にいまして、文部科学省のGIGA StuDXのホームページより我々の活用のほうが優れているので、日本中に伝えたいとかというような子がいたりすると、多分、図書も必要になると思うんですけれども、NHKの動画とかネット上の情報というのがやっぱり優位というか、画面に表示されないものは教室から離れて出ていかなきゃいけなくて、その時間がもったいないようなぐらい、かなり高速にいろいろなことをやっているなという気がします。
 電子書籍を入れましょうかという話も出てくるんですけれども、電子書籍の中にも、貸出し中みたいな機能になっていて、結局、紙の図書と同じような仕組みの電子図書とかがあったりするということで、そういうのは入れてもしようがないよねということですね。つまり、大きなメディアルールがこれまであったんですけれども、非常に利用率が少なくなってきて、これはデータを取らなきゃいけないんですけれども、かなり画面優位みたいなことが現象として起こっているということです。
 なので、2つ目の質問はそれと関連するんですけれども、何でも画面で済んでしまうと思い込んでないのかというところはやっぱり考えなきゃいけないと思います。認識とか認知の発達に関しては私は専門じゃないので、この後調べていかなきゃいけないことも物すごくあると思うんですけれども、紙のメディアと決定的に違うのは、断続的に情報が更新されたり、情報の量とかが不定だったり、あらゆるところにリンクが貼られたりして、読み終わった感とか終えた感がないんですよね。しかも、情報を検索する、選択するみたいな行為は今ほとんど不要になっていて、要は、推薦される情報を見ているだけでおなかいっぱいになってしまうというふうに考えていくと、認知的、発達的というかは、そういう没入感のすごい中でしっかり自分をキープするというか、やめるというんですかね。読みやめるというか。本はやめるチャンスがたくさんあるんですけれども、また図書館に行くとかあるんですが、ネットは切れ目がないですので、そういったことは1つ教えていかなきゃいけないよなというふうに、これも先生方と話題になっているところになります。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、これから自由に、事前チャットではなくて御意見など、特に特定の先生に対してある場合は「どなたに」ということで、そうでなくて全体にお三方とかそういう形でも御質問や御発言お願いをいたしたいと思います。
 まず、設楽委員、お願いをいたします。
【設楽委員】  
 奈良様、御発表ありがとうございます。奈良様に質問させていただきます。御発表にもありましたが、第51回の学校図書館賞の選考に当たりまして、授賞理由の一つに杉並区全体で取り組んでいる点を選考委員の先生方はかなり評価していました。今日の御発表を聞かせていただいて、さらにバージョンアップしていることがよく分かりました。この杉並区全体での取組をさらに横展開して、ほかの区やほかの市町村が全体で取り組む秘訣がありましたら、御紹介いただければと思います。
 そして、今回のバージョンアップした秘訣の2点お教えいただければと思います。
以上です。
【秋田座長】  奈良様、よろしくお願いいたします。
【奈良氏】  私が感じるのは、教育センターの中の一組織だというところが非常に大きいと思います。ここにいることで学校教育全体の動きがよく見えるというか、見るようにしていますし、指導主事と話すチャンスも多いですし、機会を捉えて先生方に研修していく、学校図書館活用について伝えてしていくというところが一番、今後杉並区にとって必要なことだと思っているので、そういった意味でも、教育センターに所属しているというところが一番大切と思います。
 あとは、さっき御紹介したとおり、いろいろな課が絡んで学校図書館をつくり上げていった経緯がありますので、先ほど3課で定例の会議を持っていますと言いましたけれども、そういったところを大事にして、全体が向上していくといいなと感じています。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
【設楽委員】  どうもありがとうございました。
【秋田座長】  よろしいでしょうか、設楽委員。
【設楽委員】  ありがとうございました。やはり横展開で協力していくということが、これから取り込もうとする、ほかの自治体も参考になるかと思います。どうもありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、桑原委員、お願いをいたします。
【桑原委員】  3名の先生方、奈良様、高橋様、木下様、発表のほう本当にありがとうございました。
 私のほうからは質問ということではなくて感想ということになりますが、あと、今後こういったことが考えていけたらいいなという要望も含めてお話しさせていただきます。
 木下様の発表について。木下様がおっしゃるように、専門性を生かして生徒と本をつなぐことというのは、学校司書というお立場があってこそできる支援かなというふうに思います。福島県でも、正規の司書を各学校に配置することが課題となっています。専門性に富んだ司書さんの存在は大きく、当村平田村でも、学校司書も小中合わせて3校を掛け持ちしながらというのが現状です。季節のイベントやチャレンジゲーム形式で図書を利用した催しを企画してくれるなど、とても頑張ってくれています。だからこそ子供たちは図書館がきっと楽しいというふうに感じて集うのだと思うんです。
 私どもこども園には、司書さんはおろか、専門性を持った職員はおらず、いわゆる絵本専門士のような資格を有する保育士は、恐らく都市部の幼児教育施設と比べると非常に少ないかと思います。そういった専門性を持った保育士がどの園にも存在するならば、もっと子供の絵本と親しむ機会が増えるのかもしれないと思うんです。
 例えば、そういった資格のない保育士であっても、ほかから認められるチャンスがあればまた違ってくるようにも思うのですが、文科省の読書活動における優良団体の表彰というのは、小中高と、あと各読書に関わる団体が対象とされております。乳幼児期からの小中高と連続した読書活動がとても重要視されている今だからこそ、ぜひ、幼稚園や保育所、こども園等にも大臣表彰の対象として御検討いただけたら、現場で働く身としては大変ありがたく思いますし、活動に対するモチベーションも大きく違うように思います。
 木下様が最後のところでおっしゃったように、自分の言葉で自分のことを説明できるようにというのは、この言葉は「家読(うちどく)」という読書スタイルととても似ているなというふうに感じました。主体的で対話的な学びを繰り返し行うというこの「家読」の趣旨と同じでありまして、言葉を養うためには、学びの連続性が重要かなというふうに思っています。乳幼児期だからこそ、大人になるまでどれだけ本に親しんできたかが大きな力、言葉の力を育むものではないかなというふうに感じています。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、福田様、お願いをいたします。
【福田委員】  学校司書配置のことで少しお話をさせていただきます。第4次の子供読書活動に関わる計画でも、第5次の学校図書館整備計画の5か年計画でも学校司書配置が進められて、5年間で小学校は約10%、中学校では9%伸びてきています。学校司書を配置されることは、今おっしゃってくださったように、とても読書推進でも大きな役割を果たしています。
 学校司書の存在は、児童・生徒に本のサポートができるとか、学校図書館を使いやすくするとか、本当に大きな役割です。さらに、学校司書の存在だけではなくて、今回の第6次学校図書館整備計画の中には、学校図書館支援センターの設置に努めるようにと明記をされたことがとてもうれしいことでした。1人職の学校司書の存在が、支援センターでサポートすることによってとても働き方が違ってきます。
 埼玉県の先ほどの木下さんのお話の中では、センターではありませんが、埼玉県の高校の正規司書たちがブロックごとに分かれて相互支援なさっている。ある意味、そこが支援センター的な役割を果たしているということだと思います。それから、杉並区の済美教育センターの学校図書館サポートデスクの発表を伺っても、学校図書館支援センターが大きな役割を果たされています。センター的な役割が今まであまり注目されてきませんでしたけれども、第6次学校図書館整備計画では、そこに注目がいったということは、とても大きなことだと感じています。
 それで、奈良さんにもう一度お聞きしたいのですが、杉並区で学校司書を支援なさっている、区全体で取り組んでいらっしゃる良さといいますか、単独の学校司書が活動するだけではなくて区全体で取り組む良さ、そこがちゃんと確認できれば、先ほど設楽理事長がおっしゃったことにも通じるかなと思いますので、短くて結構ですので、もう一度確認させていただけますか。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは、奈良様、お願いします。
【奈良氏】  私の発表の中で、学校図書館支援センターとして、学校司書にとって大きな支えになるのは研修なのかなと思っています。毎月、学校司書研修もありますし、ICTという新しい課題に対して遅れないようにしていきましょう、学校図書館でどんなことができるか考えていきましょうというような内容を進めていますので、そこの辺りが大きいと思います。
 あわせて、学校司書は杉並区では区の直接雇用になっています。会計年度任用職員ではありますが、区の直接雇用になっていることで、学校内で情報共有がスムーズにできたり、校長先生の学校経営方針やその場の指示にすぐ従うことができたり、対応できたり、あと司書からの提案ができたりというような柔軟性がそこで確保されていると感じています。
 以上です。
【福田委員】  ありがとうございました。
 それらのことが生かされて、今後、この第5次の子供読書活動推進計画の中でも、学校司書の存在をさらに進めるとともに、支援センターとしての役割というか、位置というか、それらの活動がもっと自治体で進められていくような働きかけができたらなと思っています。
 それで、もう一つ、ここでお話をさせていただきます。今みなさんのお話を聞いていての感想としましては、ICTが道具として、それから情報源として活用していく大切さというのはとてもよく分かります。今もやられていますが、そのことに関しても発達段階への配慮が絶対に必要だと思っています。乳幼児・小学生と高校生とは決して同じレベルでは考えられないので、あらゆるところで、例えば、電子書籍のことにしてもそうですが、発達段階を踏まえての論議が必要ではないかと思っています。その発達段階に沿って、さらに、学校司書の活躍や支援センターの働きが見えてくると思います。
 時間がない中、発言させていただいてありがとうございました。以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  東京子ども図書館の清水と申します。先生方、今日はありがとうございました。
 ただいま、直前に福田委員からの御発言もあったとおり、ICTの活用ということは、発達段階への配慮が必要だと私も強くここ数回の会を通じて感じております。
 それで、今日、お三方の内容を伺って感想なんですけれども、まず、杉並区は小中学校に学校司書が1校1名配置されていて、また、済美教育センターがあって、しっかりと目が行き届いている活動をされているという印象を受けました。また、研修を大変数多く行われているというところも、学校司書の方々にとっては心強い存在だということを改めて感じました。
 当館は実は、分室のかつら文庫が杉並区にある関係で、区内のある小学校にここ5年ほど、毎年春に五・六年生の授業を受け持っているんです。経験上、いろいろな小学校に伺ってきておりますけれども、私立も含めて、杉並の先生方の仕事ぶりというのは大変すばらしいものがあるなと思っておりました。
 そして、どういうところが素晴らしいかといいますと、例えば、普通ですと、お客さまとして訪問した側のやりっ放しというようなことがあると思うんです。それを、杉並の某小学校の場合には、ちゃんと司書の方たちがフォローしてくださって、例えば、私たちが紹介する本に関しては団体貸出をして、複数それを取りそろえている。そして、ないものは購入してくださる。さらに、夏休みなどの前に、私たちが紹介した本をもう一度リピートして子供たちに勧めることで、子供たちが本を手に取る機会をすごく後押ししてくれるというようなことがあります。それから、地元のかつら文庫の存在自体も司書の先生が勧めてくださることで、地域側としても大変良い循環が生まれているというふうに感じています。
 もともと杉並区は、たしか文庫連をはじめとする区民の方々の働きかけもあって、学校司書が全校配置したと聞いたことがあるんですけれども、ほかの自治体では、お一人で五、六校を兼務している方とか、小学校だけではなく小学校と中学校を掛け持ちしている方とか、そういう話をよく聞きますので、先ほどの委員の方々の発言とも重なるんですけれども、全国どこの学校でも、杉並のように1校に1人の学校司書が、毎日、1日中いるというのは、どんなサービスにおいても基本となることであると今回改めて感じました。
 杉並はほかの自治体に比べると恵まれた状況なのかもしれないんですけれども、やはり会計年度任用職員ということですので、自立して生活をするという面では、まだまだ難しいのではないかと思います。お話の中で木下先生もおっしゃっておられましたとおり、全国の学校図書館で司書資格を持つ方が専任で、正規で配置されるべきということ、待遇改善ということは、繰り返し問題提起をしていかなければいけないと感じております。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、稲井委員、お願いいたします。
【稲井委員】  お三方の御発表、どうもありがとうございました。大変刺激を受けました。
 私からは主に意見を2点申し上げたいと思います。
 まず、1点目ですけれども、特に高橋先生の御発表の中で、授業の時間がどんなふうに使われているかという分析がございました。その中で私が大変注目したのは、まとめの時間が大変多く使われているというところと、教室の中で先生の御指導を受けている子供、協働して子供たちが学び合っている子供、あるいは個人で学んでいる子供がいます。個別最適化された学習というのをいうのは簡単なのですけれども、このように具体的な学びの姿というのを見ますと、私が非常に感じましたのが、ICTの活用によって子供観や学習観、授業観そのものを根底から変えていく必要があるということを感じました。
 明治以来の3段階の「導入・展開・まとめ」のような、そういう授業展開そのものを変えていく必要もあるでしょうし、大学には教育方法という授業がございますけれども、教職課程の中でのICT活用の在り方というものを取り上げる必要がありますし、高橋先生の発表を拝見しまして、しっかりと授業観、子供観、そういったものをどんなふうに授業の中に構築していくのか、これは日々授業に取り組まれている先生の問題でもあると非常に思いました。
 もう一点なのですが、木下様の御発表の中で、電子書籍を学校でも購入しているけれども、たしか公共図書館と連携しているというお話をお伺いした中で、教育DXということを考えました。新しい学習指導要領の中で「社会に開かれた教育課程の実現」ということがいわれていますし、内閣府が「Society5.0」ということを提唱して、かなり経ってまいりました。民間の、いわゆる学習支援のプラットフォームというのは、グーグルClassroomをはじめとして、かなり充実してきました。
 その一方で、コンテンツ、つまり学習材や教材となるような書籍、それが十分にあるのかといえば、いろいろ学校間や地域間の格差がある。そういうときに、電子書籍の活用というのが非常に有効な部分があると感じたところでございます。例えば、電子書籍というのは非常に予算を食ってしまいますので、地域、自治体で共通のコンソーシアム的なものをつくって各学校が利用できる、あるいは、先ほどの発表にもありましたような公共図書館の電子書籍を活用する方法が考えられます。社会にあるそういう教育資源、学習資源を有効に活用するような、そういうものの1つとして電子書籍の活用を、しっかり社会の中に仕組みをつくっていくというようなことが重要だと思いました。
 かつて、社会教育と学校教育の連携ということで、学社連携とか学社融合ということが盛んに言われた時期がありました。しかしながら、これは結構この両者ののりを越えていくというのはかなり難しい面があって、これから教育DX、あるいは社会に開かれた教育課程といったような視点の中で、もう一度、社会教育の有効な資源を学校教育にどう活用してパートナーシップを結んでいくか。そういうものが学校教育の限られた予算、初期投資は大変コストがかかりますけれども、結果としてコストカットにもつながりますし、ICT活用の可能性というものを広げて、子供の読書というものにつながっていくのではないのか。
 一見遠回りのように見えて、近道になる部分もあるのかなというふうに思いますので、電子書籍の活用というのを、教育DXとか社会教育という視点も含めながら、見通しを持って取り組んでいくことが必要ではないかなというふうに今日の御発表をお聞きして感じたところでございます。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、野口委員、お願いをいたします。
【野口委員】  私は木下さんに2点ほど確認と質問させてください。1点は、電子書籍の御説明、費用のお話がありましたが、既に有料データベースも入れておられますよね。その費用というか、費目と電子書籍サービスのそれは同一という理解でよろしいでしょうか。
 それから、もう一点は、全日制の県立高校全校には学校司書が配置されているという御説明がありましたけれども、全国的に、全日制と定時制や通信制高校との学校司書の配置状況の格差のようなものがよく指摘されますよね。埼玉県内ではどのような状況になっているのかということをもし御存じであれば教えてください。加えて、木下さんの勤務校もたしか定時制がおありだったかと思うんですが、定時制の部分の学校図書館の開館状況なども含めて御説明いただけるとありがたいです。
 以上です。
【秋田座長】  木下様、お願いいたします。
【木下氏】  御質問ありがとうございます。
 データベースに関しての予算なんですけれども、残念ながら、県費では本校も出せておらず、PTAの方からいただいている、今あまりもらわないようにしようとしている団体費の中から出しております。本校の場合は、新聞の検索のデータベース、去年まではジャパンナレッジを買っていたんですけれども、今年度から仕様が変わったのでそれが買えなくなりましたので、あと、本校のLibMaxというもともとのデータベースと先ほどのクラウドなどで50万ほどデータベースの予算が取られています。でも、データベースのそれだけ取られても、本校自体が300万ぐらい予算があって、年間1,500冊ぐらい本が買えるような状況ですので、何とか運用していけるような状況です。
 今、クラウド化を進めている学校もどんどん増えてきておりまして、埼玉県全体で180万ぐらいは平均県の予算がございます。クラウドは月々5,000円ぐらいで埼玉が使っているようなデータベースだとできているので、それで切り替えているような学校が多い形で、それをもし県費でやるとしたら、先ほど言った使用料及び賃借料というようなお金からの支出にならなくてはいけないので、埼玉高図研としては、電子書籍とかDX化を推進するというふうに県が推し進めているなら、それの予算をつけてくださいという要望を県に対して出しているような現状です。
 これで取りあえず、まずのお答え大丈夫でしょうか。
【野口委員】  1点目、よく分かりました。
【木下氏】  もう一つ、特別支援学校と定時制に関してなんですけれども、本校も定時制の学校がある学校なんですが、生徒が全体でも80人ぐらいなんです。4年生までで。あと、先生方もそんなに人数が多くなので、私が着任したときに、全てうちの学校のシステムに登録をさせていただきました。そして、利用者カードを渡して、生徒も今は、利用するかしないかは別としてなんですけれども、クラウドで蔵書検索ができるようにオリエンテーションも、校長先生は定時制の校長先生も全日制も同じ校長先生ですので、定時制の教頭先生と連携を図りながら、図書館のサービスを私ができるところは展開させていただいています。
 私の勤務時間が一応5時までなので、生徒たちが3時ぐらいから学習サポートというので先生たちに勉強を習いに来るような時間があるんです。それで、3時から5時まで全日制の生徒と一緒に図書館を使えますよというようなサービスを本校ではしています。
 でも、本校以外の学校で、定時制の先生が司書と連携して、定時制の時間として図書館を開館しているという事例もありますので、まず、定時制に関しても、全日制の司書が何かサービスをしたい、この子たちにも同じような読書の機会を渡したいという、もちろんリクエストも受けていますので、そういうような動きをしています。
 また、特別支援なんですけれども、特別支援は残念ながら、塙保己一学園という盲学校以外は、今、埼玉県は司書がおりません。その代わり、併置校みたいな形で全日制の学校に分校が入るようなケースが大変増えてきておりまして、若い司書の方がそこに勤務しているようなケースがとても多いんです。それで、特別支援の勉強をその人たちが、特別支援学校の先生とコラボレーションしながら、先ほどの高図研のほうでもさせていただいて、併置校の司書として全日制の司書がどんなサービスができるのかというのを、現在研究を進めているところです。
 ぜひ野口先生にもいろいろ御教示いただきながら、埼玉県の定時制とか特別支援学校のところにも司書が入るように、私たちも働きかけをしていきたいなというふうに思っています。
 以上です。
【野口委員】  ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、あとは、時間の関係で、堀川委員、それから鎌田委員で終わりにさせていただきたいと思います。堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  すみません。時間のないところで。大急ぎで感想を述べさせていただきます。
 1つは杉並区の研修ですね。それが若手教員、管理職の研修、そして教育行政研修と言って、指導主事候補の教員に対する研修という、これはやはり意義のあることだと思いますし、それから、富永委員からも教員の4年目研修をされているというお話もありました。こういう若手の先生に対する研修というのは大変大切だと思います。それから、杉並区でやっていらっしゃっる指導主事の候補者の研修のほかに、実際の教育委員会の学校図書館担当指導主事の方々の研修も必要だと思います。
 指導主事の方々は二、三年で異動されますし、必ずしも学校図書館の専門家で来られたわけではなく、それから、学校図書館の担当を自分の担当の仕事の中の10分の1とかそれ以下の分量の割合でやっていらっしゃる、とても大変なポジションにいらっしゃると思いますが、そうした教育委員会の方々、指導主事の方々への研修も必要かと思います。
 それから、最後なんですけれども、高橋先生の御発表の中に、いかに頭を素通りさせないかというようなお話があって、これはとても大切だと思います。これから、ICTをどんどん使っていく。それはもうそういう流れで、それから意義のあることだと思いますが、学校教育の中でというか、発達段階にいる子供たちに対して、その中に手書きでメモをさせるとかというような、そうしたちょっと立ち止まるとか、あるいは、安藤忠雄さんがよく「図書館の面倒くささ」というようにおっしゃっているんですけれども、その面倒くさい作業をICTを使う中でどういうように入れていったら、その流れを止めないで、しかも、そうした頭に入ってくる、頭を使うような作業ができるのかという、そうしたことも考えていかなくてはいけないのかなというように思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 鎌田委員、お願いいたします。
【鎌田委員】  鎌田です。私は感想と質問になるのですが、木下さんの御発表に関してです。
 公立高校の学校図書館の事例を御報告いただいたというふうに思うのですが、学校図書館がデジタルトランスフォーメーションをよくされているなということが分かったかなというふうに私は思いました。また、専門職が配置されているゆえに展開している様々な活動についても、すばらしいものだというふうに思いました。浦和一女の貸出しの予約がウェブ上からできたり、探究テーマに関するブックリストが公開されていたりと、すばらしい取組だなというふうに思ったのですが、2つ教えてください。
 1つは、これは埼玉県の公立高校では比較的一般的な状況なのでしょうか。私は県内の先進事例というふうに捉えたほうがいいのかな、どうなのかなというふうに思いました。電子書籍のことについては、先進事例であるということは御報告にあったかなというふうに思いましたけれども、まず、県内の状況について、一女のことと比較してお話しいただければありがたいと思います。
 2点目なのですが、木下様は学校司書であるというふうに伺ったのですが、グーグルClassroomにアクセスできたり、生徒への働きかけができたりとおっしゃっていたかと思います。今回、GIGAスクールが展開した中で、学校司書は事務職なので教育関係のネットワークに入れなかったり、生徒の学習に関わるような端末にアプローチできなかったりというような事例も結構いろいろなところで聞くことがあるのですが、なぜ一女ではそれが可能になっているのかということが、もしお教えいただけるようでしたら教えていただきたいと思います。
 探究的学習に随分深くコミットされているようで、私はこれは非常にいいことだというふうに思っているのですが、それがどうして可能になっているのかお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【木下氏】  今、若手の司書の人がどんどん増えてきているとお話ししたんですけれども、先ほど申し上げたように、クラウドサービスも月5,000円ぐらいで頑張って校長先生とか学校に予算要求をして切り替えているところが多いと思います。まだ埼玉県の高等学校図書館研究会のほうでそういう統計を取ったことがないので、今後、統計を取って、どれぐらいクラウドに切り替えたかというのが分かると思うので、ぜひ文科省の方も教育委員会のほうにお問合せをいただけるといいと思います。
 ちなみに、東京とか幾つかの自治体は、全部一括、教育委員会でクラウドに切り替えていて、私たち学校で独自で買っているので羨ましいなと、こちらが何もしなくてもやってもらって羨ましいなというのを1つ思っております。
 もう一つ、私たちは専門職採用なので、そういう意味で、学校司書というよりも、先生方も含めて、本の専門家でしょうというような視点で私たちのことを先生方は見てくださっていると思います。
 また、これはコロナ禍で学校が休校になったことがとても運がよかった、変な言い方なんですけれども、ことで、いろいろな連絡を教職員のClassroomをつくって、そこで一斉に流したりとかということも、職員会議の資料もそこに入りますので、そこで事務職員の方も、私たち司書も、栄養士さんとかそういう立場の違う方も、みんなそこから連絡を見るような形にしているんです。
 それで、アカウントをいただいて、その後、本校の場合は、ほとんどの生徒が国公立に進学し、大学図書館をすぐ使えるような、研究活動をすぐしていけるような子供たちを育てたいという考えが私と先生方と管理職の先生が一致して、このような形の図書館運営ができています。でも、そういう学校じゃない、どちらかというと就職をされるような学校の方も、Classroomをつくって、子供たちといろいろなやり取りをしながら運営しているという事例もあります。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。
 熱心な御議論ありがとうございました。
 それでは、議事のその他事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。
 資料4を御覧いただければと思います。「子供の読書活動の推進に関する子供たちへの意見聴取について」という一枚紙の資料がございます。
 こちらは第1回の会議でも少し秋田座長からも、子供の読書活動の当事者でございます子供たちにも意見を聴取することが必要ではないかというお話がありましたので、この委員会としての案を、事務局から提示させていただきます。
 目的は紙に書いてあるとおりですけれども、子供たちへの質問を2点書かせていただいております。子供たちみんなが読書に親しむようになるにはどんなことが必要ですかということと、学校や地域の図書館が使いやすくなるためにはどんなことが必要ですかということで、幅広い設問になっておりますけれども、子供たちに対して自由闊達に御意見をいただきまして、それを会議での議論をさらに充実させていきたいと思っております。
 こちらの現在の実施予定ですけれども、有識者会議の委員でございます市川市教育委員会の富永委員、また、軽井沢風越学園の有山委員のお二方に御協力いただきまして、市川市内の小中学校と軽井沢風越学園の児童・生徒さんたちから、恐らく数名ですとか十数名とかそういった規模にはなるかと思いますけれども、御回答いただいて、それを次回会議におきましてお二方から御発表いただきたいと考えております。
 事務局からは以上となります。もし御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  よろしゅうございますでしょうか。本件について何か御意見ございますでしょうか。もしおありの場合、追ってでも事務局のほうにメールを頂ければと存じます。福田委員から挙手があるということですので、お願いいたします。
【福田委員】  多分、これは案で大ざっぱに出していらっしゃると思うのですが、アンケートを取る対象が、それこそ発達段階によっては読書に親しむという言葉自体が理解できなかったりしますので、低学年の子たちは本と仲よくなるにはとか好きになるにはとかという言葉を換えていただくことが必要になってくるでしょうし、学校と地域の図書館とは同列にはならないと思います。学校図書館と地域の図書館とそれぞれ目的も違いますし、地域の図書館を利用したことがない子供たちもいるでしょうし、その辺を考慮して、どうぞ質問内容を考えていただければと思います。以上です。
【秋田座長】  貴重な御意見をありがとうございます。有山委員、富永委員のほうに御判断をお任せして、出席くださるお子さん、生徒たちの対応を見て、文言はお任せさせていただく方向になると思います。ありがとうございます。
 ほかにもお気づきの点があれば、時間の関係で、事務局のほうにあとはメールなどでいただければと思います。
 それでは、最後に、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。
【秋田座長】  貴重な御意見をありがとうございます。有山委員、富永委員のほうに御判断お任せして、本当に対峙するお子さん、生徒たちの対応を見て、文言はお任せさせていただく方向になると思います。ありがとうございます。
 ほかにもお気づきの点があれば、時間の関係で、事務局のほうにあとはメールなどでいただければと思います。
 それでは、最後に、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  今後の予定ですけれども、次回会議につきましては、第4回は9月30日の金曜日を予定しております。時間は13時から15時になっております。
 第4回につきましても、委員の皆様や外部の有識者の方から御発表いただきながら議論を深めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上、よろしくお願いします。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 それでは、若干6時を過ぎましたが、本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。
 お三方の御発表者の皆様、わざわざお越しくださりありがとうございます。また、委員の皆様も、お忙しいところ御出席をいただきありがとうございました。御発表いただけなかった委員の先生方もお時間の関係がございましたので、何か御意見があれば、また事務局へメール等でいただければと思います。
 以上になります。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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