障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会(第4回)議事録

1.日時

令和3年5月20日(木曜日)15時30分~18時00分

2.場所

文部科学省17F2会議室

3.議題

  1. NPO法人障がい児・者の学びを保障する会の視察について(報告)
  2. 障害者の生涯学習推進のための事例集作成に向けた検討
  3. その他意見交換

4.配付資料

【井口係長】 それでは、障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会、第4回目ということで、この時間から始めてまいりたいと思います。まずは室長補佐の宮本から一言お願いいたします。

【宮本補佐】 皆さん、こんにちは。室長補佐の宮本でございます。本日は、お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、東京も関西のほうもコロナが大変な状況になっておりますけれども、こうやってお集まりいただいて、会議が進められるということ、本当にありがたいと思っております。こういった貴重な機会ですので、中身をしっかり議論していただいて、よりよいものができるようにしていきたいと思っております。本日も、長時間になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【井口係長】 では、早速ですけれども、今日は時間が2時間半ということで皆様にお願いしております。なかなか2時間だと議論がもう一歩というところまで進まないということもあって、今回、休憩を挟みながら2時間半ということで設定させていただいていますので、たっぷり議論を深めていければと思っております。よろしくお願いいたします。
では、早速ですが、津田先生に司会をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【津田座長】 よろしくお願いいたします。 今日は、まず一番大きなことは、このハンドブックをどういうふうに作っていくかというところで、このスケジュールとか、今の現状については後で井口さんのほうからでしょうか、御説明いただきます。その中で大森さんの、この間、訪問して、僕はオンラインだったのでとても残念だったのですけれども、その実践についてどういうふうに描いていくかということを感想等も含めて話し合うというのが大きなところです。それから、今日は平井さんからPandA-Jの取組についてもどう描くかということの提案をしていただくので、これについても描き方について話し合いをするということです。これが2つ目です。3つ目は、お手元に、これも後で井口さんから御説明がある資料ですけれども、「事例集の検討について」という資料1の裏側、これが今のところの事務局案ということになっていますけれども、穴がいっぱいあるので、この穴をどう埋めていくかということについても検討していく必要があるかと思います。今進めているような大森さんの事例と、それから、平井さんのところの事例というような形で検討を進めていくということをやっていく段取りになると思うのですけれども、それをどういう形で進めていくのかということの見通しが、今日は立てることができるといいかなと思います。2時間半という、いつもより30分長い会議の設定をしていただいていますので、しっかりと議論ができると思います。どうぞ御協力、よろしくお願いいたします。
それでは、このハンドブックの現状の御説明について井口さんのほうからよろしいですか。

【井口係長】 資料1を御覧いただければと思います。資料1は基本的に、前回、3月8日の第3回の会議から大きくは変わっておりません。このときに、まずは記事を書いてみようということで、直接ここに関わっていらっしゃる大森さんと平井さんに本日原稿案をいただいているので、その原稿イメージを具体化していくというのが基本的に本日の内容になろうかと思います。裏に行くと、今、座長からもお話がございましたけれども、今の構成そのものは、このような内容になっているということです。もう一度確認なのですが、今回は地方公共団体の職員の方、特に社会教育や生涯学習の関係部署の方にこの障害者の生涯学習の取組の重要性とか、意義とか、あるいは取組を始めるための足掛かりになるような、そのような内容をお伝えしていくということを目的としたハンドブックにするというところは、既に前回合意が取れているところかなと思います。
では、そのためにどんな内容、どんな事例を紹介していくべきなのかということが、本日、詰めていくことだと認識しております。一応、事務局のほうでは、この会議、2か月に一遍程度開催ということをさせていただいていますが、この事例集を作ることだけが目的ではありませんので、1回、1月をお休みしてしまったのが痛いのですが、秋の完成というのを目指していましたので、この5月の会議以降は何とか9月の会議ぐらいまでに全ての原稿イメージがそろっているというようなことを目指してまいりたいと思っています。その意味では、5月、7月、9月、この3回の会議で、この事例集については一定のめどを立てていきたいというのが一旦の我々のスケジュール案、目標でございます。そこから、当然、印刷ですとか、実際の版下レイアウト等の調整を、並行して進めていき、実際に我々の手元に届くのが、できれば年末頃というイメージを持っています。
そうしたスケジュール感の中でまとめられるものをまとめていきたいと思いますので、今、若干、ページ数も含め、かなり盛りだくさんな構成にはなっていますので、少しシェイプアップすることも含めて御検討をいただけるといいかなと思っているところでございます。一旦、簡単ではありますけれども、説明は以上とさせていただきたいと思います。何か疑問点等あれば、率直に出していただければと思います。

【津田座長】 いかがでしょうか。今の井口さんからの御説明について、確認程度の御質問ですね。これについての細かい議論は後ほどまとめてやりましょう。ありますか、確認の質問は結構ですか。
それでは、中身に入っていこうと思います。まず1つ目、大森さんの実践をどういうふうに描いていくかということ、それから、前回、訪問したときのまとめというか、振り返りというところも重ねて議論ができたらと思います。大森さんのほうからは、この「障がい者の学びの場づくり」という資料3を提出していただいているんですかね。

【大森委員】 はい。たたき台ということですが、全然イメージが自分の中でわかないままに、これまでの議事録を読み返して、自分なりにポイントというか、心に止まったものを項目立てて、それを中心にまとめるような感じで作っています。まずポイントとしては、とにかく面白そうとか、やってみたいとか、何か興味、関心を持ってもらえるような内容とか見せ方、それはタイトルも含めてということだったと思うのですけれども、そういったこととプラスして、今回のターゲットは地方公共団体の方ということなのですが、うちとしては、実際は民間として福祉のサービス事業や自主事業を実施をしているという中で、どういうふうに示せるといいのかなということで悩んでいたのですが、ひとまず私たちが大切にしているポイントというのも率直にお伝えしていくのがいいかなということで作りました。1ページ目は練馬区全体の障害のある方たちの学びの場を示す形で、青年学級があったり、地活があり、私たちが実施している福祉の制度事業のMore Timeねりまと、あと自主事業のi-LDKがあるという構図で描いています。
あと右側にある各プログラムは地域社会の中の学びの場で既存のイベントに乗っかったり、あるいは共催したりという形で、自分たちが主催する以外にも作り方がいろいろあるよということを示しています。フリータイム、下のほうにオレンジの枠で書いたのですが、結構、これがそのプログラムを作るのにとても重要な役割を担っているので、居場所や相談的な機能を担うフリータイムも記載しています。
次の2枚目のプログラムづくりのサイクルというところで、私たちはプログラムを当事者の声とか、思いとか、意見とかを反映しながら作っているので、実際にどういうサイクルになっているのかというのを示せるといいのかなと思いました。プログラムを作るときにあるいは支援者側が学んでほしいことではなくて、本人たちの学びのニーズをどう拾っていくのかということを大切にしています。1と2と3というふうに書いたのですけれども、プログラムを実施し、そのときの反応とか、あるいはその直後の声、それから事後アンケートなども実施していますが、そういったものだけではなくて、次にプログラムを実施するまでの間、先ほどのフリータイムでの様子とか、あるいはLINEグループなどもあるので、そこでのつぶやきとか、あるいはどういうふうに行動が変わっているのかとかというのを丁寧に観察したりする。
それをもとにさらに当事者が、参加しているワーキンググループで検証するみたいな形で、プログラムをアップデートしたり、ワーキンググループが障害とか福祉を超えたいろいろな分野のメンバーで構成されているというところを生かして、新たにプログラムを発展させていくということがあるということを示したくて、このページは作っています。こんな説明の仕方で大丈夫でしょうか。

【津田座長】 はい。

【大森委員】 その次のページは、「コーディネーターってどんな人?」とタイトルで、実際にここについて、多分、いろいろこれまでも議論してきたところがあったと思うのですが、自分のことしか思いつかないので、自分が描いているのがこのページになります。まず、専門性というところ、資格みたいなことにとらわれがちになってしまうのですけれども、そこにこだわると、当事者ニーズを拾うために必要な当事者の関係性みたいなものが築きづらくなるおそれがありますよということを伝えられるといいと思っています。
あとは、さっきもお話した、本人のニーズとか声をどういうふうに拾っていくのかというところで、実際に感想としてあがっている、あるいはアンケートなどで書かれている文字だけではなくて、日頃の何か日常的な会話の中にある声をひろって学びの場づくりに生かしていくということが、とても重要だなと自分で思っていて、例えば「学校みたいなら懲り懲りだよ」というつぶやきから、学校っぽくないほうがいいのかなとか、あるいは「早く早くと言われるのが嫌だったんだよね」とか、実際、プログラムとあまり関係ない場での言葉なのだけれども、でも、そういうところに注目しています。「楽しかったから続けていきたい」から、楽しいことって続けられるんだよなとか、「実際にやってみないと分からない」とか、結構、至極当たり前で、私も同じだなという感覚を持つこともたくさんあって、何かそんなことを描けるといいのかなと思いました。一緒に場を作っていくときに、立場が分かれてしまうというのは結構、楽しめなかったり、あるいは学校のネガティブな部分を連想するようなところもあったりするので、そういうことをふまえていることをどう描いたらいいのかなと思った次第です。
それと、最後のページは、当事者が主体的に関わる学びの場というところを目指すというところで、当事者がどういうふうに中心メンバーとして参画していけるかということのステップを示せるといいのかなと思いました。本人たちが会議というものに参画していくという経験と、それと会議というもの自体の在り方を再考するというところで、そこの両方から調整しつつ、4年ぐらいかけて今に至るという感じですね。
最初はワーキンググループからで、プログラムを一緒に作っているメンバーがワーキンググループに入っていますが、写真だとちょっと見づらいんですけれども、ミカンとか、お菓子とかいっぱい置いてあって、あまり会議っぽくないアイテムですが、それからこのとき2歳だった自分の子どもを連れていって、わちゃわちゃしている雰囲気を作って、あまり堅苦しくない雰囲気を作りながら、気軽に自分の意見を話しやすいというような環境を作りつつ、参加したい人は参加どうぞという感じで、そういう気軽な感じで誘いかけるというところからスタートしています。
そうは言っても会議って結構、堅苦しい会議もあるので、そういう会議は動画で記録させてもらって、動画を見てみて、こんな雰囲気だよみたいな感じで知るところから、じゃあ、参加してみようかなという気持ちにつないでいくようにしています。そうすると昨年度は、自分で会議があるとちょっと聞いてみようかなみたいな感じで傍聴という機会にも、あまりこっちがお膳立てしなくても情報提供するだけで聞いてみたいというふうになったりして、こんな感じで本人たちが参加していくということができるのかなという1つの方法を伝えられるといいのかなと思ってまとめています。そんな感じです。

【津田座長】 どうもありがとうございました。全体像を示していただいたので、その中で、この間、訪問させていただいたのは、2回目もそうかな、実践にお邪魔をしたというところですね。お1人ずつ、この今お示ししていただいた、この資料も踏まえながら、どんなところがこの大森さんの実践の魅力であって、どこら辺に焦点を当ててアピールしていくと伝わったりとか、あるいは読む人が自分もやってみようかなと思ったりするかというようなところに焦点を当てながら、少し皆さんのお話を伺っていけたらなと思うのですが、いかがでしょうか。少し時間を長めにとろうと思いますので、1回言ったらそれで終わりではなくて、言い忘れたことをまた後でお話ししていただいても結構ですので、とりあえず何か思いついたことがある方からお願いします。

【青山委員】 質問してもいいですか、先に今の話。

【津田座長】 はい。そうしてください。

【青山委員】 2つ質問したいのですけれども、1つは、ワーキンググループというのがすごくいろいろなところにつながっているということだと思うのですけれども、実態がはっきりイメージできていなくて、何か月に一回の運営会議みたいなものを当事者の人も、外部の方も一緒にやっているみたいなイメージなのか、もう少し形態の違うものなのか。ワーキンググループと呼んでいるものを、もう少し具体的に教えてもらったらうれしいなというのと、それから、この前は見学しなかったですけれども、i-LDKの仕組みとフリータイムというのは同居しているのか、仕組みとして別のものなのか、この2と3の関係がもう少しだけクリアだと、何かこの辺いろいろヒントがありそうだなと思っているんですけれども。

【大森委員】 はい。分かりました。まず1点目のワーキンググループですが、年に3回実施をしている感じです。前回、資料としてお渡ししたかな。私が勝手に刷ってきてお渡ししたものにあるこちらのコミュニティーデザインとか、芸術とか、ダイバーシティーとか、こういった分野それぞれの専門家と一緒にプログラムを当事者目線で検証するという、その1点に絞って開催している会議です。もともとこの実践研究事業自体は連携協議会を置くようになっているのですが、うちは連携協議会というものを2つに分けていて、1つは練馬区の関係機関で、地域内の学びの場の状況や情報を共有していくという、地域の実践現場に特化したと関係者ミーティングで、あともう1つがプログラムの精査・アップデートしていくの検証をするワーキンググループという構成になっています。ワーキンググループというのは、プログラムづくりにはとても欠かせないと思っています。
2点目、i-LDKのほうなのですが、i-LDKは結構、実態がつかみづらくて、どこまでがi-LDKなんだろうというぐらいの状況なのですが、自分たちがやりたいことをやろうというコンセプトの中の事業なのですけれども、主には実行委員会メンバーが障がい当事者で構成されていて、各メンバーが自分のやりたいことを部活動にして、8部活ぐらいがそれぞれ分1、月に1回ずつぐらいのペースで部活をやっているということと、それから、イベントを不定期でやっているということに加えて、フリータイムもi-LDKがやっています。例えば平日の夕方とか、あるいは部活をやる前後とかそういうところをフリータイムとして設定しています。部活もフリータイムも障害のある人だけしか参加できないということでは全然なくて、最近は近所の小学生が参加するみたいなことも増えてきて自然発生的なかかわりが持てています。

【青山委員】 ありがとうございます。

【津田座長】 今みたいな質問も、質問に加えて意見をいただくとかいうのもありだと思います。

【志々田委員】 よろしいですか。

【津田座長】 はい。お願いいたします。

【志々田委員】 この間、行かせていただいて、みんなで自分のニュースで気になったことをおしゃべりしようと。それを仲介してくださる、ホスト役になってくださる方がいて、みんなほかの人の発表にも耳を傾けて意見を言って、私も気になったみたいな話を普通にしていて、なので非常にユースワークを思い浮かべるというか。社会的にまだまだ未熟な段階の若者たちが社会に関心を持ちたいとか、政治に関心を持とうとかといってやっていた頃のユースワークを映像で見たことがあるものを今目の前で見ているような、そんな印象を受けて、こういう学習会で実は社会教育の根源的に必要なものなのだけれども、最近見られなくなってきているよなといって非常に懐かしいというのが一番の印象で見ていました。
ただ、一方で個別対応が必要なケースがランダムに出てくるというところが1つの特徴なのだなというのが思っていて、それは別に座っていられないとかというマイナスの言い方ではなくて、個人対応をその人が求めている。1対1で大森さんと話したいんだということも認めるというか、やりたいことを実現するために集団でやるということを本来なら前提にするのにもかかわらず、そこで今日は、いや、1対1がいいんだという、そこも方法論として内包していくことの難しさみたいなものをすごく感じて、そうじゃないとやっぱり、みんながやりたいことがやれるようにはならないわけなので、そうすると、どうしても個別対応ができる人がそこにいないといけないというのは、やりたいことをやりたいということを通すためにはなかなかスタッフとして大変、マンパワーとして大変な部分があるのかなということをあの後、思っていたのですけれども。
なので、居場所づくりというのも、子供の居場所づくりなどもそうなんですけれども、本来だったら、みんなで遊べば、みんなで遊んでいてほしいんだけれども、でも、個別に対応を迫られるとか、家に帰りたくないとか、そういうお話を聞いてくれるところ、何か一緒なんだろうけれども、ちょっと構えるんだと思うんですね、支援をする側も。そこで最後に質問なんですけれども、個別対応されていたじゃないですか。あれって、今日やろうと思っていたことが嫌だというか、今日、そんなのはどっちでもよくて、大森さんとおしゃべりしたいというふうにプログラムが彼の中で書き換わったのか、それともそもそもそういうことが、もともとみんなとやらない。やることもあるのか。

【大森委員】 ケース・バイ・ケースではあるかなと思うのですが、まだMoreねりに来て間もない方というのは、個別に、とにかく自分の話したいこととか、自分がこういう状況なのだということをとにかく受け止めてほしいという、そういう行動とかがすごく多いと思って、まずは受け止めてもらったあとで初めて次のステップに行くのではないかと思っています。そういう状況にある今を私たちがないことにして形だけプログラムに参加するということが全然推奨できないものと思います。確かに個別での対応というのはとても大変で、人も必要だし、時間も必要であるというところではあるのですが、そういった個別対応抜きに集団行動というか、集団に入っていくとか、あるいはそこで主体的に意欲的に自分で学び取っていくということができるのかなと思うと、なかなかそうでないと考えています。
ただ、個別対応するとしても、個別対応が必要な状況にならないために学校教育であったり、家庭が少しずつ変容していくということは必要なのではないかとは思っています。また、学んだ先にある社会が、この間も少し話したんですけれども、ガス抜きせざるを得ないような状況にならないように変容していく必要もありますね。ひとまず、現状としては個別対応というのをとても大切にしているという感じです。
その人によって、どういう行動をとられるかというのは様々なのかなと思うんですけれど、興味があれば参加するんだから、放っておくというか待つ感じです。一見、何か参加していないように見えるんだけれども、実はすごく聞いていたりして、何かあるポイントになると参加しにいくとか、あるいは聞いてなさそうなんだけれども、振り返りの帰りのミーティングではすごい聞いていた感じの発言をするとか、私たちが参加というものの在り方を集団の中にちゃんと入っているよねというような見た目ではなく、何かもう少し緩く広く、参加の前の参加というのかな、そんなふうに考えないとなということも考えています。まあ、でも、人的時間的物理的など限界はあるとは思います。

【津田座長】 ありがとうございます。少し示唆的なやりとりでしたね、今ね。いかがでしょうか。平井さん、声出ますか。もし何かあったら、御発言をお願いしますけれども、声出ますか。

【平井委員】 大森さんのペーパーは、いつも楽しくてイメージが湧きますね。

【大森委員】 ありがとうございます。

【平井委員】 プログラムを作る上でのサイクルという考え方はとても大事だと思います。学校でも授業内容を作るときに、やってみて、検証して、さらに改めて、もう1回実施するというサイクルがとても大事なのですが、そういうことが見て分かるように書かれていますね。2ページ目は、とても分かりやすかったなと思います。
それから、「コーディネーターってどんな人?」というところに関しては、「誰でもできるよ」というメッセージ性は大事なのですけれども、同時にどういうところを大切にすべきかという点も、もう少し強調した方がいいかもしれませんね。コーディネーターの皆さんも当事者性を半分ぐらい持っているんですよ。その上でこういう活動に関わってくる。例えば自分自身もちょっと何かあるなとか、家族にそういう人がいるとか、あるいは友達関係でそうだとか、そういう意味では、それぞれ皆さん、それなりの当事者性というのは持っていますので、その当事者性と自分の持っている専門性というか、スキル、どういうスキルがコーディネーターとして役立つのかということを明らかにする必要はあるのかなという気がしました。

【津田座長】 どうもありがとうございます。資料3についてのコメントでしたね。ありがとうございます。

【梶野委員】 ありがとうございました。僕はどうしても最初に物を投げちゃった場面、井口さんもそれがちょっと、逆にああいう場面を見せてもらってよかったという発言もありましたけれども、文化教養のプログラムは、僕らが見に行かなかった近況報告のプログラムと違って、そういう状況が起きやすいという話をたしか大森さんはされていたと思うんですね。やっぱりどこかで自分のことを単に話せばいいということではなくて、文化教養って知識なり、何かを学ばなければいけないんだという、やっぱり何というのか、僕らにはそんな意識、聞いている側には、見ている側には感じなかったですけれども、相当、当事者の人たちの中には、そういうプレッシャーというのか、学校教育とか、これまでの経験の中で受けてきたトラウマみたいなものなのかな、そういうのがあって、そこをどう理解していくか。
そうなってくると、そこの重要性はすごく感じたということと、そうなってくるとやっぱり、その場に入ってくるまでに、その若者たちが背負ってきた歴史というのかな、どういうことをこの間考えて、この場に来るに至ったのかみたいな話をどうつかんでいくといいのかなと。現象で出てみて、それで聞いていくということの繰り返しが多分もう分からないことだらけだし、みんなそれぞれ、これは知的障害のある人だけの問題ではなくて、みんな相互理解するために必要な部分だとは思うのですけれども、その辺のところをすごく、どうやって把握していったらいいのかなということと、新たに、要するにある集団で、同じ時期に入ってきた人たちは、同時に時間を過ごしていくことになるから、一定の共有というか、共通認識というか、共感的な関係も含めて作っていけるのかもしれないけれども、新たに入って、要するに人が増えていくとか、世代が変わっていくといったとき、そのギャップというのかな、その辺のところというのは、まだ取組を始めて3年だとおっしゃっていましたし、これから、さて、その辺のところはどうなっていくのかななんてことを少し思ったということ。
それと関係あるのかもしれないんですけれども、ここは僕自身がどう考えたらいいのかと思っていたことがあるんですけれども、当事者たちが、まず最初に先ほど大森さんも行動を受け止めてほしいという話をおっしゃっていましたけれども、その後、当然、受容された後、今度、他者を受け入れていくというか、その辺のところというのが若干垣間見れたというか、あの子はこうなんだよねとか、こういうときはこうなるよねということの理解というのは言葉でも見て取れたんですけれども、当事者自身が他者を受容していくという関係というのは、どういう関わりの中で体得、身につけていけたりするのか。実感するというか、気づくというのか、理解が、どういうふうに表現していいか分からないですけれども、いくのかなということを質問としてさせていただけたらなと。すみません、取り留めもなくて申し訳ございません。

【大森委員】 さっきの、絶対この授業の中で何か学ばなければいけないというのは、私も学校教育の弊害というか、染みついたもので、テストをして分かったかどうか確かめるじゃないですか、毎回。分かったのとか聞かれるし、ちゃんと聞いていたとか、分かったとかって確かめられるから、学ばなければいけないという。そこの学ぶということが人それぞれ自由で、何を学んだかって、人から測られるものではなくて、自分の中で決定していっていいんだよということは、恐らく学校とこういう場はまたちょっと違うのかもしれないなというのはすごく感じていて、そういうことを本人たちに伝えていくというのはなかなか難しいなと。いきなり自由でいいんだよと言われても、じゃあ、今まで何だったんだろうとか、何か、その辺はかなり時間がかかるんじゃないかなと思っていて、何かその辺は学校教育とうまく連携して移行がスムーズになるといいなというか、思ったりはしています。
あと、新しい学生が入ってきたときに、この間もそういうのがあったんですけれども、要は、できるとか、できないとかという関係性と、それといつから入ってきたかということの年数の問題というのかな、先に入ってきたけれどもできないとかというときに、「私、先輩だから」みたいな感じの意識がると、トラブルになりやすい。あるいは個人が十分に受け止められていないと、誰かが目立ったり、誰かが褒められたりすることを受入れられないとか、そういうことが起こります。これまでのトラブルが、どうしてだろうと考えると、そういうことにつながっていくなということもあって、個人を十分に受け止めることが大切だと思います。でも、それはすごく容易ではないとも思います。
家庭のこととか、あるいはこれまでの生い立ちというのは、全て私たちも把握している状態ではない中で関係づくりを始めていくので、1年ぐらいたって、いまだにその背景が十分に見えないという方もいます。でも、その今の本人の状況をとにかく受け止める以外に私たちにはやれることがなくて、家庭の事情とか、周りの関係者から話を聞くということができるときはそうしますが、結構、周りの方と本人の見えているものというのは大分違っていたりするので、とにかく本人ということに私たちは軸を置いている感じです。自分がある程度受入れられて、少し余裕が出てくるというんですか、周りが見えてくると他者を受け入れるということになってくるというよりは、何かそれぞれの役割が持てるようになるというのをすごく感じていて、同じ年齢とかだとやっぱり、この年齢なんだからという一斉のラインがあって、なのにできるとか、できないみたいになっちゃうんですけれども。
うち、スタッフは最高齢で78とかだし、私の子供も2歳ぐらいから一緒にいるので、年齢でできる、できないとかというのは結構曖昧になるというか、支援者なんだけれども全然できないみたいな、要は高齢で重い荷物を持てないから、俺、持ってやるよみたいな、学生と支援者というのが、立場がすごく逆転しやすい。そういうふうにしていくと、自分なりの役割が見つけられるというか、もっと言うと、できるということが役割なんだということではないというか、できないことも実は役割なんじゃないかというのが最近あって、スタッフでうまくできない、私もその部類なんですけれども、ちゃんとできないということが学生のやってみようとする気持ちを高めるという効果があることに気づいて、できないということもすごい何か役割としてはあるよね、みたいな。私たちの見方の問題というか、何かそんなような気もしています。すみません、あまり答えになっていないですが、そんな感じが、今しました。

【梶野委員】 ありがとうございました。最後に、3ページ目のみんなの声が1つ1つ、平井先生もおっしゃったかもしれないですけれども、拾っていくというのはすごく大事かなと。この言葉の裏に何の、どんな意味があるのかなということを考えてみるということは、すごい大事だなということを改めて思いました。ありがとうございました。

【津田座長】 ありがとうございます。

【青山委員】 さっき質問だけだったので、感想も含めてと思っているんですけれども、ほかに、全国にいろいろな事例があるということにそんなに明るくないので、本当にこの前伺っての感想になってしまうのですけれども、あの場を中心に地域ともつながりながら、制度的に福祉の自立訓練事業としてフルタイムでやっているMoreねりの時間とi-LDKの時間、そこからさらに外側の時間というのが、切れ目なくつながっていて、そのまま地域まで続いている。このつながり方がすごく面白いなと思っていることが1つ。
それは一方で、この前、おっしゃっていましたけれども、この会議体で目指すのがどの部門のことを言うのかという問題はずっとあって、フルタイムの学びの場を障害者の生涯学習と呼んで良いのか。もちろん呼んでいいんですけれども、そのときに制度的にどう支えていくかを考えると、ほかの事例とは違う特徴も持っているかもしれないという問題を含みつつ、あの切れ目のなさというか、両方がやっている感じはすごく面白いなと思ったのと、この全体が学校教育的ではなく、むしろ周辺的な社会教育の論理によって回っているというのが面白いなと思ったんです。
つまり、さっき言ったできないことに意味があることだったり、先ほどからここでいろいろ話題になっていた場づくりの方法論だったりって、とても社会教育的だなと思っていて、だから、i-LDKとか地域連携の論理が午前中の時間にも侵食しているというか。普通、逆だと思うんですね。学校と学校外も、福祉とかとかも含めて、真ん中の論理を弱めて外側に行くようなことが多いんだけれども、外側の論理が中心を作っているような感じがすごくあって、すごい抽象的で難しいんですけれども、それってすごくこの場づくりの方法論として面白いなと思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。
では、僕も少し。僕はオンラインからだったので、本当は大森さんの実践、特に新しくできた場所にはぜひ行ってみたいと思いつつ行けなくて、いずれ伺いますが、オンラインでしたので、あまり詳細には分からなくて、こちらの気構えみたいなところもあったのだと思いますけれども、あまり実はよく分からなかったというのが正直なところです。ただ、今、皆さんの話を聞いていたりとか、あるいはそもそも大森さんの実践を始めるところから、その場所を持つまでにどんなコンセプトを持ちながら作り上げてきたのかというプロセスから思い返してみると、やっぱり面白いことがいっぱいあるというのは思っています。いろいろな、今日見せていただいた仕組みについて、仕組みがいろいろできてきて、その部分って面白いんだとは思います。やっておられる方たちもワクワクしながら取り組んでおられると思うのですけれども、仕組みの根底にあるもののほうが、実は普遍的なものだったりしますよね。
仕組みは、その状況に応じながら、いろいろなものが生まれてきたり、いろいろな人たちとの出会いの中で生まれていくものだと思うのですけれども、その根底にあるもの、大森さんの最初からのコンセプトというのは、オープン、クローズドという言葉を使ってとられましたっけ。オープン、クローズというところとか、あと当事者参画もそうだと思いますし、それから、自前で場所を作るという辺り、そういったところが目立ったコンセプトだったような気がするんです。その辺のコンセプト、もともとあったコンセプトから、こんな仕組みができてきましたという、そういうところでのもともとのコンセプトについて、もう少し大森さんに、もう1回確認をしたいなというのは1つあります。
さっきから当事者の方たちの個別対応とか、個別支援の話とか、それから、安心という言葉があったと思いますけれども、そういったものがやっぱり大事なんだ、いかに作っていくかということが大事なのだという話だったと思うのですけれども、丁寧に場を作っていくということが根底にあって初めて様々な学びの仕組みもできていく、発展していくものだと思うので、その仕組みと、それから、そもそもその仕組みができ上がっていく前提にあるような場づくりの部分に焦点を当てるということが大切なのではないか。場って、どうやって作っているんだろうと。個別支援などももちろんそういう中に入ってきますし、恐らく場を作るというところで取り組んでおられることというのは、様々あるのではないかと思います。それがどういうようなものなんだろうかなというところ、ここを言葉にできるといいなと思います。
それから、学びの内容ですね。障害のある方たちが何を学んでいるのかということについての関心を見学したりとか、読む読み手というのは多分、関心の中心に置くことになるのかなと思うんですけれども、これを言葉にするって、とても難しいというのは、今の大森さんのお返事を聞いていても思いました。そんなに簡単に彼らはこんなふうに変わったなんていうふうに言うのは難しいですね。3年という短い期間ということもあるかもしれませんけれども、何年やっても難しいものは難しいなと思うんですね。この辺の説得力、学び、何を彼らは学んだのか、どう変化したのかみたいなことを描く必要があるのか、描かないとしたら、どういうふうにこの実践の意味づけを説得力ある形で描くことができるのかなというのを今のやりとりの中から感じていました。
すみません、いろいろ言って申し訳ないのですけれども、あと、僕は以前、大森さんのところの実践と関わりを持たせていただいて、あれはいつだったかな、もう2年ぐらい前かな、元気な退職教員のおじいちゃん、おばあちゃんたちのインパクトが強くて、あの方たちの役割、すごく大きいというふうに僕は感じていたんですね。もちろん、大森さんの役割も大きいと思うのですけれども、実践を前に進めていく駆動力みたいなものを大森さんが引っ張っていくという役割なんだろうと思いますけれども、場を作るとか、個別対応するとか、安心を作るというような側面で言うと、要するに雰囲気とか文化を作るというような側面で言うと、あのおじいちゃん、おばあちゃんたちは、かなり大きな役割を果たしているんじゃないかなと推測しています。
そういったことも含めてコーディネートというか、コーディネートじゃないのかな、その場を、こういう実践を作っていくときには、どんな人が必要なのか、どんな役割を持っている人たちが必要なのかというところで言うと、コーディネーターだけが1人で引っ張っていくというイメージでないほうが僕はいいような気がするんですよね。もちろん、そのほかにも様々な役割を持っている人がいて、その中にやっぱり行政があると思うんですよね。行政があるというか、行政を描かなくてはいけないのではないかというところがあって、特に大森さんが一念発起されて文科省の委託研究に申請されているところから、割と物語は始まっているわけですよね。この申請をしたことによって何があったのか、何が生まれたのか。申請をしなかったら、今どうなっていたのかみたいなところ、きっと何か大森さんのことだからやっていたんだろうとは思いますけれども、今の在り方とはどう違っていたんだろうかみたいなところ、ここも少し伺ってみたいところですね。すみません、いっぱい言いました。

【大森委員】 わあ、すごい。自分のこれまでを洗いざらい話す形になっちゃうんですけれども。私、自分が今ここにいることが本当に不思議だって、毎回いろいろなところにお呼びいただくたびに話しているんですけれども、もともとはいじいじ、くよくよしている保護者で、子供をどう育てていったらいいんだろうといつも不安にものすごくさいなまれて、不幸な状況を人のせいにしているような保護者でしたね。学校が悪いんだとか。そんな中で、ここでは言いませんが、ある事件というか、トラブルを学校で次男が起こしたということがきっかけになって、それに対する学校の対応が処罰というか謹慎という学校に来ないで家で2週間反省をするんだということで対応したんです。だけど、私は家に2週間謹慎するということで次男が自分で何がよくなかったのか、次、同じことが起きないようにどうしたらいいのかが分かるんだろうかって、すごく不安になって、また同じことになっちゃうんじゃないと思ったんですよ。
学ぶってやっぱり、この方法じゃないんじゃないかって思って、そこから、学校がやってくれないとしたら、自分はどうしたらいいんだろうというふうに考え出したところから、多分、少しずつ変わってきました。本当の学びを作っていこうと思いました。おかしいと思っていることやどうしたらいいんだろうと悩んでいることを、いろいろな専門家とか、いろいろな学習会とかに参加して、話をしている間に、さっき津田さんが仰っていた退職教員たちに出会いました。実は、私はそういった退職教員の方たちをはじめとする方々が、運動によって障害のある人たちの学校教育が高校まで整備されてきたということを知りました。自分が文句を言っているこの環境も、手に入らなかった人たちがいたんだということを知ったりして、文句を言っているだけじゃ駄目だ、こうやって自分で作り上げなくてはということを痛感しました。
その中で、ただ退職教員の人たちがしていたような、何かこれは議事録に残っちゃうからあれなんですけど、運動するときってやっぱり、国と構図的には対立関係になっていて、私が文科省のこの研究事業に挑戦するといいと思うと提案したときも、「文科省の研究事業なんて」みたいな話や「あっちのひもつきになるのか」みたいな議論が確かにすごくあったんです(笑)。ただ、この間も少しお話ししたんですけれども、高校まで学校教育が整備されて、その後の高等教育って例えば経済的にそこに手が伸ばせない人たちとかもいて、必ず障害のある人たちだけが手に入れられない環境ではないと考えると、障害者だからという訴え方で作っていくというのではなくて、もっとみんなでどうしたらいいんだろうとオープンにして考えられたほうがいいんじゃないかという感覚が自分の中にあったのと、「共生社会を目指して」とか「障害者を差別するな」と言っておきながら、「文科省の人」とか「行政は」とかってこっちも差別しているじゃんって思ったというのもあって、私たちから「共生できますよ」という姿勢を見せたほうがいいんじゃないかみたいなことをその先生たちに言ったりしました。
でも、どうせ通らないと思っていたんですよね。最後は、じゃあ、申請してみればみたいな感じになって、名前を書きますので了解してくださいねとか言いながら進めたら、通っちゃったんですよね。私、本当、通っちゃったという感じだったんですけれども、でも、その通って、実際文科省の研究事業というものをやってみて思うのは、私自身も何かちょっと、自分たちが本当にいいと思うものをやれずにお金をもらう代わりに言うことを聞かなきゃいけないという状況があったら嫌だなと思っていたんですけれども、全然そんなことなかったというのが本当にすごくよかったと思っています。計画どおりにいかないことがあっても、事情を話して、当事者たちと一緒にこういうふうにしていきたいということを話せば、井口さんとか、鈴木さんとか担当室の方が一緒に考えてくれて、当事者の意思を尊重していきましょうと言ってもらえました。何度も話し合いをして、当事者を中心にいい方向に一緒に活動を作ってきたという経験もあって、退職教員たちも今ではそんなふうには言わなくなっていて、むしろ何か、「文科省の人が来たんですよ」とか「文科省と一緒に研究事業やっているんですよ」とか自分たちから言うようになったりして、面白いなと思って私は見ているんですけれど、こうして変わるんだなって。
私も1人でこういう場を作るとなったら、多分、こんなふうには全然思えていなくて、私自身話をたくさん聞いてもらったり、困っていることというのを受け止めてもらったという実感があったから、ポジティブに自分なりにできる方法を考えるということができたんだと思っています。なので、そういうふうにこの場を作っていかなくちゃいけないなと、自分がそうだったようにって思います。何か困り事があったり、トラブルがあっても、やっぱり誰かのせいにしないで、みんなで考えていく、一緒に考えようという姿勢がたぶん、何かその人や社会を変えていくという、安心して変わっていこうという人を増やしていけるのではないかと思っています。
そういうことが自分の根底に、考えると根底にあるような感じがすごくしているというか。だから、自分事みたいな感じでいつも取り組んでいます。自分が困ったときにも、これまでもいろいろな人たちに支えられてきたと思っているし、また、自分がこういうふうな場を作ることは、だれもが困ったときに支えて人たちがいてくれる社会になっていくわけだから、何か別に障害のある人たちだけの話ではないんだろうというふうにずっと思っているというか、何かそんな感じでしょうか。

【津田座長】 ありがとうございます。ごめんなさい、いろいろなことを一気に言い過ぎてしまって、かえって何も伝わらないという悪い癖でした。

【大森委員】 何を話したか分からなくなって、すみません。

【津田座長】 小松さんも行かれましたよね、たしか。

【小松分析官】 私はオンラインで、2回設けていただいた機会の両方を拝見しました。場づくりということがとても大事だと思っていて、その日、不安定になってそのまま学習を継続できない方が出たときにも、その状況をうまく回復していた場面に注目しました。スタッフの方が、不安定になった学習者の方に直接対応された様子は、私はオンラインだったので見ることができなかったのですが、その場に残った方たちの様子をカメラ越しに見ていて、スタッフの方が、残った学習者の方たちと、不安定になった学習者の方についても含め、優しい口調で学習者の皆さんの気持ちに寄り添った話をしていて、とても穏やかな時間が流れていたところに、いったん退席した学習者の方がまた戻って学習を続けられたということが、すごく大事だと感じました。そのシーンを見ると、確かに資格や専門性の有無はスタッフの資質に必ずしも関係ないということは分かるのですが、ああいう穏やかで、みんなが安心できるような対応というのは、誰でもできることではないとも思います。
人材育成という面からすると、どうしたらそういう学習者に寄り添った対応を適切にできるようになるのかは、具体的な育成方法を考えようとすると、資格や専門性を高めるための学習歴を求めるよりも難しい。学校の先生は基本的に、子供をはじめとする人間との関わりが好きな人がなっている職業ではないかと思いますが、それでも、学校現場、特別支援学校ではないのですが、小学校の授業などを見ていると、特別支援教育の観点から、支援の必要な子供に合わせた対応をしてくださいということが言われていても、実際の場面で子供に適切に寄り添った対応というのは、そう簡単にはできないものなのだと感じることがあります。
こうした場面なども拝見すると、大森さんの資料の『コーディネーターってどんな人』というコラムで書いてあることは、確かにそうだなと思う一方で、こういう資質を備えた方はどうしたら育成できるかというのは、とても難しいとあらためて感じました。障害者の生涯学習に関心を持った方が、こういう人になるのは私には無理、だから障害者の生涯学習に関わるのは難しい、やめよう、と思ってしまうのではなく、自分もそういう人物像に近づいていくための道のり、近づいていけそうだと思える道のり、行政の立場からすると、そういう人材を育てていけるような方法を示す必要があると思いますが、どうしたらそれができるのかが悩みどころではというのが感想です。
以上です。

【津田座長】 ありがとうございました。鈴木さんは行かれたんでしたっけ。

【鈴木係員】 私も初回のほうに実際に行って、2回目はオンライン上で拝見させていただきました。何回か直接見させていただいていましたけれども、あのときは近況報告というのを実際に見させていただいて、そのときに印象的だったのは、最初は全然、ただの近況報告だったのが、回を重ねるごとにそれぞれみんなが工夫をするようになって、自分の近況を何とかして伝えたい、よく伝わるようにしたいとか、そういう何かプラスアルファの部分がどんどん重なり合っていっている。その様子をちょうど行ったときに見させていただいたので、学び合いが続いて、ただの1回で終わらない、学びの重なりというのがすごい見えたのが印象的でした。
どうしてもなかなかプログラムを企画とか計画をして、やって満足してそこでおしまいというのは結構あるかなと思うのですけれども、それがどんどん続いていくというんですか、そういったところの視点がとてもすばらしいなと思いました。2回目のほうは、今さっき分析官もおっしゃっていたんですけれども、トラブルがあったときの対応の裏であった、残った方々の雰囲気とか、そうしたところがふだんのいい関係性を非常に感じる場でした。ぜひあのときの、今回、この資料に要素が入っていますけれども、うまく事例集に、第三者が見てそれがうまく伝わるようにどうしていったらいいかなというのをまた考えていきたいなと思っています。

【津田座長】 どうもありがとうございます。あと井口さんかな。

【井口係長】 もう皆さんからもたくさんお話をいただいたので、同じような話なのですけれども、学校っぽいのか、社会教育っぽいのかみたいな話があったと思うのですけれど、さっき青山さんが整理してくれました。フルタイムでやっている部分って学校型の形式ですが、大事にされている理念というか、魂みたいなものはやっぱり、社会教育っぽいんです。学校的な場ではないものを目指そうというのがやはり根づいていて、それがうまく調整されて、志々田さんが言うところのユースワーク的な場になっているような、何かそんな場なのだろうと。
これってやっぱり、とても新しいなと私は思っていて、いろいろな実践研究団体、私も見させてもらって、私の根っこにあるのは、障害者青年学級なんです。東京の23区や多摩地域のですね。私は国立で活動していたので、学びの会のことも、何か国立や町田的な、伝統的な障害者青年学級に近い空気を感じながらも、でも、全く新しい場がこの4年前ぐらいから動き始めているという意味で、こういう場が1つのモデルになって新しく広がる可能性というのを文科省の政策が後押しできたらなと。なかなか青年学級が増えていかない中で、新しい可能性みたいなものをここで紹介できないかなというイメージです。
そのときに誰が担っているのかということを、コーディネーター、大森さんが自分を自己開示してくれているというか、いろいろな要素を出してくれて、これ自体も面白いんですけれども、やっぱりさっきの話、おっしゃっていたように、元教員の方々の役割とか、あるいはボランティアの方々の役割とか、あるいはもう少し若い、最近、スタッフの方も増えていらっしゃると思うので、そういう方の役割みたいなものも含めて、ぜひ描いていただけると、やっぱりチームであの場が運営されているとは思うので、ぜひそこも御紹介できるといいのかなと思いました。そこに役所がどう絡むのかというのは、ぜひ考えたいなと思っています。以上です。

【津田座長】 ありがとうございます。あと、行かれた方おられますか。

【宮本補佐】 宮本です。私も初日の第1回目のほうに参加をさせていただきまして、その場の雰囲気、その場に行かないと分からない。自分がこういう取組自体はほとんど関わってこなかったので、行って分かる部分がありました。ただ、それをどう、現場に行ったことがない人に書面で理解してもらえるかというのは、伝えるところがかなり難しいと思いながら、その場の雰囲気を体感したという状況です。
本当に朝行って、始まるまでの、始めるよということでワッと始まるわけではなく、何となく人が集まっていって始まっていく。何かトラブルがあっても、みんなその間もいろいろやりたいことというか、自分がやるべきこと、自分がやりたいことをやっているんですよね。ただ、それをみんながあれやれ、これやれではなくて、許容して行っている部分がすごく自分の中では新鮮な感覚だったんですね。なので、その辺りを素人から見れば、書面で、ガイドブックとかでどう伝えていけるのかなというところを今回もいろいろ御意見とか出ていますけれども、参考にしていければなと思いました。ありがとうございます。

【津田座長】 どうもありがとうございます。

【青山委員】 ハンドブックに当たって、さっき井口さんがおっしゃった新しさとか、僕もさっき抽象的なことを言った辺りとかって、もしあの魅力を伝えるとしたら、大森さんに書いていただく部分と大森さんじゃない人が書く部分と両方あるとすごく伝わるなと思うので、構成をまたいじる話になるので何とも言えないんですけれども、大森さんの作り手の目線からは、多分、この資料3などのように見えていると思うのですけれども、逆に今から遡っていくような視点で、ジャーナリスティックにある部分では外からどう新しいかが書ける人がいると、読み手の人たちには伝わる部分もあるだろうなと思って、何かそういうペアでというような書き方もあるなと、本当にジャストアイディアですけれども、どう伝えていくかの議論が多分出てくると思うので、そんなことを思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。前回もそういう話で終わっているんですね。それでみんなで訪問してみようという流れだったので、その書き方ですよね。ここからの時間は具体的にたたき台として持ってきていただいたものをどういうふうに変えていくと、その原稿になっていくのかということを具体的に考えていきましょう。いかがでしょうか。今、青山さんに言っていただいたようなやり方でもいいですし、それから、紙面の作り方とかいうところでも思ったことがあれば意見を出し合いましょう。お願いします。

【志々田委員】 根本的にというか、こういう章立てというのは、いわゆる冊子になったものを想定していて、PDFになってネットに上がるもの、紙媒体の文字情報というのを想定していると思うんですけれども、この間、大森さんのところでもらったパンフレットなんか、ものすごい大きい模造紙の大きなのを、紙を折り畳んだものというふうにして。どういう形で出すのかというのが1つアピールするというか、国のこういう有識者会議の中で出てくる報告書ではないような物体を作ってみるというのも何か面白いのかなと思いました。
これを書くことは難しいことだけれども、私たちの常識の中ではできるものなのだけれども、そうじゃない、ああいうちょっと変わったものを作ってみたいなと大森さんのところに行って思ったし、そこに収まらないからいいのかなと。それは新しいことをやろうとしているということも私たちが地域の人たちに見ていただきたいなら、そういうやり方もあるかなとは思いました。なので、デザインですよね。

【津田座長】 ありがとうございます。
今の御発言については、どうしましょう。持ち帰りにしていいですか。

【井口係長】 はい。実は、令和2年度の学びの会の報告書をポスター型でつくられたのは想定外だったというか、新しいのをまた作ってこられたなと思っているんですけれども、この前の2冊は、その前の年と前の年の報告書はまさに私たちにとってはモデルになっていて、こういう雰囲気のものを作りたいと考えています。このデザインを担当された方に御相談をしてみるのはありかなと実は思っていました。なので、まさに狙っている雰囲気は、志々田さんの御発言に近いかなと思うんですけれども、ポスター型が、ホームぺージに掲載されたとき印刷するのに困るかなとか考えると、やや挑戦的過ぎるという印象はあります。ただ、デザイン上は、こういった雰囲気を目指したい。型はやっぱり冊子になっちゃうかなと思っています。

【津田座長】 ありがとうございます。

【梶野委員】 質問なんですけれども、行政関係者に伝わりやすいというのがどんなイメージで言っているのかというのを教えてほしいなと思って、どんな人を想定しているのかなと、ちょっと質問なんですけれども。

【井口係長】 基本的にはやっぱり、我々、社会教育生涯学習の担当課だったり、社会教育施設等の方々にぜひこの障害者の生涯学習の取組を広げていく必要があるという課題意識はありますね。ただ、その人たちが、じゃあ、この報告書を読んでくださるのかというのは、確かに梶野さん御指摘のとおり、またちょっと別の、もしかしたら問題もあるのかもしれないですけれども、基本的に届けたいのはそこではないかと思っております。

【梶野委員】 私もというか、行政関係者というもの、例えば社会教育生涯学習の一般的な教育委員会に属している人たちは、一体どう受け止めるのかみたいなことをまず想定して、ある意味、その発想を超えたようなものにしていかなければいけない。でも、それは自分たちにはできないなという話のものではない辺りをどういう案配でという言い方はあんまりよくないのかもしれないですけれども、その辺のところを少し考えられるといいかなとは思ったんですよね。
一般の、例えば他県、東京都の人でもそうかもしれないですけれども、結構、社会教育の人とか言っても発想がやわらかいわけではないと思うんですよ。すぐ障害者と聞けば福祉ですよねとか、生涯学習といったら、こういう形の枠組みの事業なんですよねみたいな、その辺のところをどう既成概念みたいのを取り払ってもらえるかというところの工夫というのを考えたいなと思いましたけれども。
それは学校の教員でも、とにかく8ページ以内に収めないと。学校の教員に配るやつもなるべく可視化してというか、視覚化して、8ページ以内で分かりやすくというのが指導主事の口癖ですけれども、みんな忙しいんだから、ちゃんとそういうのはすぐ分かるようなものを作れみたいなことは言われている。当然、新しいデザインのほうがいいとは思うのですけれども、それでもやっぱり、僕、ちょっと思っていたのは、実践事例A、B、Cとかって並べちゃうと、何かまた1つの型にはめちゃったりしないのかなというのが少し気になったんですよね。
だから、行政の担当者からというか、僕もその1人だという立場でここに参加させてもらっていると思うのですけれども、やっぱりみんなの声という、ここはすごくいいなと思ったんですね。どんなことを当事者たちが考えているのかみたいなことを、多分、そういう受け止め方で考えた行政の担当者というのはあまり多くはないんじゃないかなというか、こういうところから、実は意外とこれまでの経験とかの中で、こんな思いをしているんだみたいなところを発見するところから、多分、いろいろな、どんな取組が必要なのかということが考え出されるのかなと思ったんですけどね。

【津田座長】 ありがとうございます。この間の市町村の委託研究の応募のときにもいろいろな行政の方たちにプッシュしたりする中で、イメージが湧かない。何をすればいいんだというような声がやっぱり多いんですよね。だから、実践、障害のある人たちの学びの場を作るということが一体どういうイメージを持てることなのかというところで、ある程度多様なイメージが湧くような冊子というのが行政の方たちにはあったほうがいいのかなという気持ちは少し、そのときには持ちました。
そういう障害のある人たちの学びの場を作らなくちゃいけないとか、作ったほうがいいんじゃないかというところに思うというところまでが遠いのだけれども、そこに一歩足を踏み入れようとした人が、ああ、こういうようなイメージができるのだったらやってみようかな、一歩先に進もうかなというふうに言ってもらえるような、そういう媒体というか、手軽な情報誌というのがそうあるわけではないというところが今回のこの企画のポイントかなと1つは思ったのですけれども、間違えていますでしょうか。

【井口係長】 いえ、まさに津田さんがおっしゃるとおりかなと思います。いきなりは絶対できないと思うんですよね。これを見ても。でも、民間団体、例えば大森さんみたいな団体ってあるんだなとか、あるいはこれからどんな事例が御紹介できるかあれですけれども、自前で全部やろうと思うと、とてもじゃないけれども手が出ないけれども、でも、こんなところとつながったらできるのだということがうまく事例で御紹介できると、もう少し後押しできるのかなと思うんですね。
社会教育の関係者は、そこがまだまだ苦手なのかなと。福祉の行政職員のほうがよっぽど、もう最初から自分たちが援助者になれないので、社会福祉の団体にやってもらうという仕組みがつくられていますけれども、社会教育のほうはなかなか中途半端になってしまっている印象が私はあります。そういう意味で福祉の関係者にも手に取ってもらえるようなものになったらいいなとは思っていますけれども、ひとまずは、障害者の生涯学習なので、1丁目1番地はやはり社会教育が担い手になるべきだろうという意味では、津田さんがおっしゃるとおりかなと思います。
さっき、梶野さんが御指摘されたようなことはありですよね。みんなの声みたいなものをちゃんとページとして取り上げる。このページ、今日の大森さんの3枚目がとても面白いというのは僕も同感ですので、それはそれでやりたいです。

【梶野委員】 何かすぐ行政の人って選別したがるんですよね。行政領域がどっちだと。障害者だと福祉でしょうという、何も考えずに相当行っちゃう構図というのがまずあるのではないか。例えば区市町村の障害者青年学級の所管がどうなっているか調べたいというのでちょっとお手伝いをしたら、結構、福祉に移っているんだよね。障害青年学級の部分が。そういう発想がやっぱりありがちな中に、生涯学習とか社会教育のことを考える意味って何なのだということをやるとしたら、ここに書いてある当事者の声というか、そういった意味で社会教育の基本じゃないかという話になるわけだと思うんですけれども、その辺のところを福祉との違いみたいなものの、最初の切り口の違いみたいなのをどう入れるかというのは結構ポイントなのかなというのが、行政にいる人間だと思いますけどね。

【大森委員】 これって、この冊子だけで推進というか、広げていこうということではないですよね。例えばこれに研修のようなものが何かセットになっているとかありますか。
今度、練馬区の障害福祉の分野なんですけれども、移動が難しい障害のある方に向けて訪問の学習の機会を作ってほしいというニーズがあって、計画には書いたんだけれどもどうやってやっていいか分からないという行政に、うちが委託を受けて訪問して学習の機会提供をするみたいな、そうすると当事者の人たちの仕事や役割になるわけですよね。
だから、当事者が講師をつとめる研修のようなものがセットになっていると、学んだことが生きるすごくいい機会になるなと思うんです。それから冊子を見て、そういう場づくりをしたいと思った場合、実際に実践している、例えばうちが最初の頃は一緒に伴走して場を作りましょうみたいな感じで、何回か企画づくりから実施まで一緒にやってみるとか、あるいはコーディネーターとか支援者向けの研修であれば、うちに来てもらうとか、例えば。来ると、ああ、こういうことなんだみたいなことが分かるとおっしゃっていたし。その辺は、冊子だけですか。

【井口係長】 いえいえ、ぜひそうした議論は、ここの会議でまさに議論すべき最もメインテーマの1つかなと思っているんです。今、まずはこの事例集というのを足がかりにして、まずは編集、作成までいこうというふうに今集中的に取り組んでいますけれども、多分、これだけでは全然足りない。我々はもちろんコンファレンスというのを全国でやったりとか、実践研究事業に予算をつけてモデルを作ったりとか、いろいろやっているうちの1つとしての事例集の取組なんですけれども、人材を育成するとか、人が変わるみたいなことを考えると、到底これだけでは足りないと思ってはいますので、ぜひ今、伴走する、助言みたいなことも含めて、とても大事なアイディアをいただいたかなと思うんですけれども、そうした仕組みも考えられたらなと思っています。

【青山委員】 すみません、また何かそもそもの話をするのに、ここまで来て引け目を感じつつ、さっきの話を総合すると、つくづく冊子じゃないほうがいいんじゃないかと思ったということだけ少し、いつ言うか、いや、言わないかずっと迷っていたんですけれども、それこそ15分の動画のほうが絶対いいし、動画を作って、結局、行政の担当者で障害を持った人と一緒に何かやったことがない人とかって、やっぱり何が起こるかのイメージがまず絵で持てないというところにすごく距離があると思っていて、障害福祉のセクションに行ってしまうことの1つの要因だったりすると思うんです。
新しく始めるときに何が起こっているか知っている人とそうじゃない人の差がすごく大きい分野だと思っていて、そうすると、動画とか、あるいは例えばもう少し写真とかのついたもので、大森さんにプレゼンしてもらった上で、さっきのお話なんかすごく面白かったので、誰かが聞いて、インタビュアーとインタビューでしゃべっている話とかのほうがすごく、その中に写真とかが入ってくればいいなと。去年来ずっとオンラインづいて、私がオンラインづいているということもあるんですけれども、そういうコンテンツでお伝えしたら15分で見えるもののほうが、よりリーチが広いし、この分野の普及には合っているなとまず思いました。すみません、失礼しました。

【津田座長】 では、平井さん、お願いいたします。

【平井委員】 冊子の作り方ですが、3つの点から作るのはどうかなと思います。大森さんの素敵なグラフを見ながら考えたのは、やっぱり1つは当事者のニーズが明確になっていること。行政の皆さん等が読んだときに、「当事者ってこんなことを欲しているんだ」とわかる、そういうニーズを明確にするということ。それから、どんなサポート、どんなコーディネートが大事かということ。要するにどういう人が担うのか、どういう担い方をするのか。その人たちはどういうスキルを持っていたのか、持っているのか。きっかけでもいいですね。そして3つ目には、当事者の変化と同時に、それが地域や社会にどういうインパクトを与えているか。いわばニーズ、コーディネート、インパクト、この3つで何か作れないかなという気がします。

【津田座長】 ありがとうございます。
今、3つの観点というか、当事者のニーズ、それから、コーディネート、サポート、きっかけ、スキルみたいなもの、それから、3つ目が当事者の変化とかインパクトとか、いわゆる成果的な部分、こういう分け方で考えたらどうかということですけれども、いかがでしょうか。それ、こういう視点から編集していくとどうだろうということにプラスしてということがもしあれば。

【志々田委員】 私も自分が書くならということを自分なりに考えていたときに、私が想定すると、別に障害者の生涯学習支援をできる人というのは特別な人じゃないはずだし、そう特別な人にしちゃいけないんじゃないかなと。誰もが、少なくとも教育とか学習支援者である人が、誰もが知っていなくちゃいけないことだし、誰もができなくちゃいけないことだしというふうに思って。私は社会教育職員の研修だとかというところをやる立場にもあって、研修のことを考えている立場でもあるので、生涯学習支援論という新しいところが社会教育主事の専門の資格になって、津田先生に書いていただいた支援論のところですね、それがあるんですけれども、教えられるのは、いつも津田先生だけなんですよね。
津田先生がこれをやってくださらないと言ったら、誰にお願いしたらいいのかと思うぐらい、やっぱり分野が、誰もが当たり前にまだ、私たち自身も手がつけられていないところ。だけれど、学習支援論の中には、当然、丁寧に人と人とをつなぐとか、相手の話を聞くとか、いつもが実践教習でなくケース・バイ・ケースだとかって、これは当たり前のファシリテーション能力なので、そこに教育職員の専門性の中に、例えば学習場面を見たときに障害のある人たちに配慮ができていないということがおかしいよねと思えることに持っていく。ファシリテーション能力といったときに、そういうことを当たり前に思える書き物なり、授業なり、啓発なりということを絶対的にしていかないといけないだろうなという。
なので、学習活動をより多様にしていったり、よりいろいろな人、共生社会につなげていくためには、どんなコーディネートをすべきなのかという、それは子供の学習機会を考えていても、ここの団体さんとつなぐべきだということをしっかり表すこととか、それから、利用者同士で公民館祭りをするとかいったときに、やっぱりいろいろな団体さんに声をかけて、その人たちが集まってきやすい環境をどう作るのか。呼び込まなければならない。少なくともそれが欠けている時点で、私たちは社会教育を公正に運用できていないんだよねということが分かるような読み物をやっぱり作らないといけないなということをつくづく思ったんです。そのことがこの報告書に入るかといったときに、少し枠が違うのかなと。
これは事業とか、プログラムとか、企画とか、運営に本当にあたっていただける、そういう方たちをどう、テーマごととか専門性とか、そういうもので学習機会自体を作り出していくための報告書になっていて、実は障害者の人たちが当たり前に公民館で学べるようにするためのハンドブックとしては、まだまだエリアが違うのかなというようなことを思いながら、このページの割り振りを見ていました。なので、私が書かなくちゃいけないのは、本当はそこなのかなと。生涯学習支援論の中の、いかに共生社会の部分が抜けていると不自然ですよね、おかしいですよね、チェックしましょうねというようなところが書けるのかなと思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。
とても重要なポイントを指摘していただきました。もちろん、こういう1つ1つのところにもそういう思いみたいなもの、メッセージ性を出していけばいいと思うので、それも含めて、そういうメッセージ性が出るような構成みたいなことも含めて考えていきましょう。いかがでしょうか。お願いします。

【梶野委員】 まず、映像みたいなことというのは考えられるんですか。対応できる。

【井口係長】 実は映像を作っていて、2週間ほど前に公開したところなんです。

【梶野委員】 そうなんですか。それはどんな。

【井口係長】 この前、少しだけ大森さんの映像を見ていただきました。大森さんのところと、みんなの大学校というところと、あとは少しガイダンス的なものをまとめた13分程度の映像を最近公開したばかりなんです。我々も映像とこの冊子をどう連動させるか、QRコードで読んで映像も見れるように工夫することを目指しています。

【梶野委員】 そんな話、したよね。

【井口係長】 ええ。ここで議論したことを我々も意識をしていまして、なので、もちろんこの単体で何かが変わるというのはやはり難しいと思っているので、映像とか研修とか、あるいは支援論の授業の中でとか、あらゆるところで使える道具を1つ作ろうということだと思っています。余りにも構成がオーソドックス過ぎるという御指摘はそのとおりかと思っていて、例えばもっとキーワードで並べていく。そのキーワードの中に事例が出てくるみたいな逆の構成も確かにあり得ると思っています。

【梶野委員】 そうそう。そういうほうがいいかな。

【井口係長】 さっきの平井さんの御発言も、その趣旨にかなり近かったかなという気がするので、その関係で言うと、大分、再構成をして、キーワードごとに皆さんにコラム的に書いていただくようなほうが確かに、書くのもアプローチしやすいのかなと今の議論を聞きながら思ったところです。映像については、実は今年度も新たな企画を鈴木さんと一緒に考えてはいるところです。つまり、事例の映像をもう少し追加していくということと、社会教育士、つまり、社会教育主事の有資格者が実際に障害者の生涯学習の場を作るというような、そういう方にフォーカスして社会教育士、社会教育主事が障害者の生涯学習に取り組んでいるということもアピールしていくということを我々の隣の課の地域学習推進課と計画しています。社会教育士の施策は最近いろいろやっているんですけれども、あの中に障害者の生涯学習を盛り込む方向で調整をしています。その辺も志々田さんも関わってくださって動いているんですけれども、そうしたこともチャレンジしようとは思っておりますので、その辺を補完するような冊子はやっぱり欲しいとは思っております。

【志々田委員】 冊子は欲しいんですね。

【井口係長】 はい。

【津田座長】 どうもありがとうございます。
さっき、平井さんがその3点の観点からって、僕も同じようなことを考えていて、構成の要素みたいなことが、そのキーワードごとにコラム的にやるのだったら、また全く別な構成になると思うんですけれども、この4ページで何か実践、読んでもらうというものにするとすれば、1ページ目はやっぱり面白いというふうに食いついてもらわなあかんのだろうなと。この面白いというふうなのはやっぱり、食いついてもらえるような実践の風景だとか、そこで何が起こっているかみたいなことがあるといいのかなと。それは社会教育的なものであるということが実感できるような内容であるというところが1ページ目で、2ページ目は、それがどういう原理によって成り立っているのかというようなことについて書く。3ページ目に、そのどんな人が、誰がどんな気持ちでやっているのかとか、どういう人たちが組み合わさるとこんなことができるのかとかいうようなところですね。4ページ目がニーズとか感想、これは成果と言いたいところですけれども、これ、成果を書くのは難しいのではないかなというところで、成果ではなくてやっぱり、活動している人たちがどういうふうな声を上げるのかという声を拾っていくような、そういう構成はどうかなというふうにイメージはしておりました。
問題は、それを誰が、さっき青山さんが冒頭におっしゃったように、誰が書くのか。これは僕もやっぱり大森さんお1人にお任せをするのでは、いろいろと無理があるだろうなと思うんですね。このメンバーが2人でペアになるとかして書き上げていく、作り上げていくような紙面にするといいのではないかなと、これはこの構成の中で僕がイメージした方向性ですけれども、すみません、最後、僕がイメージを語って、次にこの一区切りを、ここでそろそろしたいと思うのですけれども、また全体構成のところでのディスカッションに戻っていきますので、一旦この大森さんの実践からは離れて、今度、平井さんのお話を伺いたいと思います。平井さんからは、資料2が提示されていますけれども、今何か画面共有で説明してくださるそうなので、平井さん、よろしくお願いします。

【平井委員】 PandA-Jの活動というのは、もともと各地にできているトラブル・シューター・ネットワークを基盤にして、そこで学習活動をしていこうという取組だったんですね。文章的には、どういう人が担ったかということだけを書いていますので、いろいろな名前が出てくるだけの話になっています。トラブル・シューター・ネットワークというのは、知的、あるいは発達障害のある人たちが地域の中で安全に暮らしていけるためのネットワーク、この安全というのは、自分たちが被害に遭わないと同時に、加害者にもならないための取組なのですね。
このネットワークに参加しているのは障害福祉事業所の関係者、特別支援学校の先生方や弁護士さん、あるいは矯正施設、少年院や刑務所、児童自立支援施設の人たち、あるいは保健師さんや看護師さん、精神保健福祉士などです。そうした人たちがボランタリーに集まってきて、月に1回ぐらい会合を開き、情報交換や事例検討、なにか事件があったときにはその解決に向けて介入していくという、そういう仕組みを地域の中に作りだしてきました。そういう中で当事者の皆さんたちにもいろいろと学んでもらえないかな、問題な事態から脱していくためにはどうしたらよいのか学べる機会の提供も必要だろうということで、いろいろ考えてやってきました。
そういう中で「委託実践研究」という仕組みがあったものですから、これを活用させていただきました。かなりたくさんの地域で試行したのですが、最終年度まで継続できたのは北海道の石狩地区と岩手盛岡、東京多摩、そして新潟です。
この中から新潟の様子を紹介したいと思います。共有画面にします。「犯罪に巻き込まれないための地域づくり」という画面が出ていますか?

【津田座長】 大丈夫です。

【平井委員】 はい。これは2年目の暮らしのルールブック活用講座です。新潟では、新潟市基幹相談支援センター西というところが中心になって、自立支援協議会の相談支援体制強化部会、ここが主催者になって支援者向けの講座を実施しました。その後、当事者のための学習会を開催します、勉強会と称して地域活動支援センターを使って実施しました。
その次にイギリス由来のキープセーフ・プログラム、これは週1回2時間×38回の長期介入プログラムなのですけれども、これのエッセンスから、何か講座ができないかということで模索してきました。(新潟TSでは、「委託実践研究」とは別にキープセーフの長期介入プログラムを数人の当事者向けに実施しています。)
4地域とも、このキープセーフの考え方に基づいて実践しました。グッドウェイ・モデルと言いまして、ニーズ対応、発達的なアプローチ、それから、罪を犯してしまったメンバーたちの責任主体(責任主体ということは、裏を返せば、その人たちの主張、権利を認めるということになるわけです)、豊かに生きるためには発達支援、再犯に至るリスクの低減ということを目的にしたプログラムです。認知行動療法ベースのプログラムですけれども、地域の中で実践することもできるプログラムですね。
それから、こちらは石狩です。石狩の場合には大地の会という当事者の会があります。この会は、石狩市の障害のある皆さんの団体です。そこで毎年、市長さんとの懇談会ですとか、バスツアーなどの懇親会ですとか、そんなものをやっていて、自分たちのニーズを行政に訴えていくことができる仕組みを作ってきたんですね。
この大地の会をベースにして何か講座ができないかということで講座をやったということですね。最初は私が行って提案をさせていただきましたが、その後、地域活動支援センターの職員さんがコーディネートして当事者の皆さんたちが集まってきて学習するという取組になりました。石狩市の「地域活動センターえみな」と、もう一つ、札幌市の「アンナプルナ」という同じ法人が経営しているところでもやりました。
他に2地区でも実施しましたが、そんな実践を担った人たちはどういう人たちだったか?ということだけを書いたものになっています。500字でどう表現するか?プログラム自体の紹介はどうするか?悩んで、私たちがいつも使っているイメージ図を挿入しましたが、もう少し分かりやすくしたほうがよかったかなと思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。
PandA-Jの取組についての概要と、それから、事例、コラムに2ページで書いていただくという、記述をするということについてという両方の意味を持った御報告だったと思います。基本的には、このコラムに書いていただくという、何を書いていただくか、それがどういうふうな意味を持つかみたいなことを中心にしながらPandA-Jの取組の理解も深めるという方向で若干議論したいと思いますけれども、御質問も含めていかがでしょうか。
焦点が見にくいので、多分、発言しにくいと思うので、その辺のどういう内容に焦点化するのかというところで、平井さんと、それから、井口さんのお話を伺いたいのですけれども、内容的にも、社会教育の内容だよ、これは社会教育で取り組むべき内容だよというようなポイントで攻めていくというのはありだろうと思うし、それから、そのトラブル・シューターというか、社会教育の言葉で言うと地域課題とか、発達課題とかというところになるのかなというようなことに取り組む人たちの集団をどう作っていくのか、組織化していくのかというような話でもあるのか、その辺、どちらの話として構成するべきなのかなというのがまず伺っていて迷ったところです。いかがでしょう、その辺り。

【平井委員】 対象者は既に社会に出ている人たちですから、本来でしたら、トラブル・シューター・ネットワークに参加してもらいたいのは成人教育の担当者です。特別支援学校の先生方に代わって成人教育担当者が加わるべきです、日本はこの成人教育の体制が弱いですから、いまだに特別支援学校の教師が、成人している、もう学校を卒業した、かつての教え子たちの支援に関わっているという現状なんですね。
本来は、学校を卒業したわけですから、学校教育から社会教育、あるいは生涯学習に移行しているわけですよね。そこの担い手にバトンタッチして、この活動が担われなければいけないわけです。それが本来の生涯学習社会の在り方だろうと思います。現状では、現役の先生方がいまだにこうやって関わってくれている。あるいは大森さんのところのように退職された先生方が活躍されている。これはこれで社会教育の資源として十分生かしていくことですけれども、そのいびつさというか、おかしさに気がついてほしいですね。

【津田座長】 なるほど。やっぱり内容も、それから、組織化の問題も両方入ってくるということですね。なかなか難しい切り口だなということはありますけれども。
 平井さんの思いも実現できるようなコラムにしていくためにはどうしたらいいのかということを考えてですね。

【平井委員】 皆さんの御意見をいただきたいと思います。PandA-Jの堀江先生からも、半分ぐらい書き換えが必要だよね、と言われていますので。

【志々田委員】 今、学校を核とした地域づくりということが社会教育の中ではキーワードになっていて、私も地域学校協働のことを書くように、ここに名前がこの間出ていたので少し思っていたんですけれども、障害者の生涯学習を推進していくときの、障害者に対する学習支援ということのプラットフォームというか、誰もがそこにいろいろな人が関わらなくちゃならない。関わるべきだし、関わっていくという、そのプラットフォームになれるのは学校、特別支援学校なのかなとやっぱり思っていて、なので、そこで特別支援学校の先生たちが学校の外側で、自分で社会的な役割として別のボランティア活動をしていくのか、それとも今、平井先生がおっしゃってくださったのは、多分、特別支援学校が社会教育の領域もやらなくてはならない状況になっているということで、そこをどっちがいいのかという話にも、まさしく組織化の話、どっちがいいのかという話にもなるのかなと思ってお話を聞いていました。
ただ、私は学校という様々なリソースがあるところがだんだん貧困になってくる地域の状況をまとめ直す、とても大事な核として動いていくということが、今の生涯学習の政策の1つの柱になっているので、ぜひ先生が書かれていることは社会教育としてやるというよりは、学校と地域とがプラットフォームとして、学習の場として学校が活用できる1つの例、学校の先生たちがそこで活躍することのできる例として落としてもいいのかなと思ってお話を聞いていました。

【津田座長】 ありがとうございます。

【梶野委員】 ちょっといいですか、質問。

【津田座長】 はい。お願いします。

【梶野委員】 先生、ありがとうございました。レジュメのところに、「いずれの地域も生涯学習機関や社会教育関係者の参加はなかった」という表記があるのですけれども、これは何か呼びかけみたいのは、各地域で行われた上でのことなのかどうかというのを教えていただけたらなと思ったのですけれども。

【平井委員】 特には呼びかけていないですね。

【梶野委員】 そうですか。分かりました。ありがとうございます。そうなってくると、志々田先生の話を聞いて、逆のことを思っちゃったりとかしたのが私なのですけれども、多分、今、教師の役割がどこまでなのか。東京なんかは結構ドライにその辺のところの議論がなされちゃっているところがあるので特に感じるのかもしれないのですけれども、特別支援学校の教員の可能性は、こういうこともできるのだとかという、学校の役割としてこういうことがあるんだというと、学校の関係者はすごくアレルギーを出すのかなというような感じがあるんですね。
というか、東京の例などを見ていても、どちらかというと、特別支援学校は他県に比べて地域配置をして、割合地域との理解を求めるような動きはしてきたんですけれども、学校から地域に発信のベクトルはあっても、地域から学校に関わるという、そういうベクトルというのはなかなか生まれないで来たというのが、僕は東京の特別支援学校の状況を見ていると、そんな感じがあって、だから、教師が、学校がというフレーズでいくのは大丈夫かなというか、すみません、東京の実情から考えると、何かむしろ、違う人が特別支援、まあ、学校というのは特別支援学校を核にするのはいいんですけれども、地域の人が学校に向かっていくというベクトルをどう作れるかみたいな形で何か問題が提起できるほうがいいかなとは思ったんですけどね。

【志々田委員】 先生方の仕事の役割をどうするのかというのは、またこれも同じように議論をされているところなのですけれども、障害者の学習を考えていくときに、一番多くのリソースが集まって便利なのは特別支援学校だろうなとは思っているんです。そこが、特別支援学校の先生が全部やらなくちゃいけないのではなくて、地域のいろいろな団体が特別支援学校の支援をしていくということを当たり前にして、障害のある子供たちの支援に関わることがまちづくりにつながっていくという、その循環を作っていかないといけないなというふうに思っていて、ちょうどこういう安心・安全に関わるテーマというのは、地域にとってもとてもニーズの高いものなので、こういうものが地域の学校の先生たちに、最初は学校側にどうしても最初に負担がかかるのは、地域学校協働、いつもそうなんですけれども、地域の人たちに一緒に担っていってもらいたいとか、一緒に子供たちを守っていく立場になってもらいたいといったときに、地域のいろいろな団体にトラブル・シューター・ネットワークが学習を提供していったりだとか、コーディネーターを養成していったりとかというようなことがもっとできるんじゃないかなと私は思ったんですけれども、それが学校の先生の職務として負担に入るとなることは、確かにおっしゃるとおりアレルギーはなるかなと思います。

【梶野委員】 職務というか、受け止め方がどうなるかということなんですね。志々田先生がおっしゃっているとおりの図が描ければいいと思って、恐らく東京都の特別支援学校は、そういう努力は、学校側からは相当してきて、公開講座とかボランティア講座をやってみたりとか、5日制の活動なんかも積極的に学校から仕掛けていくというようなことをやってきた歴史があるんですよね。だけれども、そこが逆に言うと、今、放課後の活動などは全部放課後デイに取られちゃって、要するに民間のそういった事業者のサービスを利用したいという保護者の声があって、むしろ、地域で動き出したものの動きが衰退しているなどということは、やっぱり特別支援学校のOBOGの先生から伺ったりとかしている状況も考えると「……」という感じなんですけどね。

【平井委員】 先ほど社会教育関係者への働きかけがなかったという話がありましたが、社会教育の場である公民館等は、地域のサークル、様々な学習団体の登録制になっているんですね。その地域の学習サークルとして登録していないとなかなか公民館のスケジュールの中に組み込んでもらえないという状況があって、ポンと出てきた講座のようなものだと、1年先ぐらいまでスケジュールが決まっていて、なかなか公民館自体使えないのですよ。そうすると一番使いやすいのは福祉会館、福祉の側の会館が使いやすいということで、どうしてもこっちを使ってしまう。そんな現実的な状況もありますよね。
それともう一つは、今議論になっていた特別支援学校のプラットフォームという話なのですが、子供の場合には地域のセンター的機能というのは明確になっていますけれども、成人の問題ですよね。成人のプラットフォームになり得るかどうか。1つの案ではあると思いますけれども、そのためには相当の手だてが必要だろうと思います。

【津田座長】 ありがとうございます。
特別支援学校は卒業生のところまでは管轄でいけるけれども、地域のほかの障害のある成人となるとかなり距離が遠いというのは実態かなというふうに、まあ、学校によって違うのかもしれませんけれども、思いますね。セルフアドボカシーの話が出てきましたので、セルフアドボカシーはやっぱり支援が必要なんだけれども、支援者は誰になるかというと、やっぱり親と施設職員というところがほとんどですよね。それがまたセルフアドボカシーの運動を衰退させてきているというような部分があると僕は思っているんです。
育成会の本人活動か、あるいはピープルファースト系かという、どちらにしても支援者が本来であれば平井さんがおっしゃったように社会福祉関係者でもないし、学校教育関係者でもない生活とは少し離れた人がやるべきだということは言われているんですけれども、そういうようなポジションの人が日本にはいないんですよね。いるとすればボランティアだけれども、ボランティアでできることじゃないという領域もありますので、本当難しい状況ですね。その部分を社会教育が担うということがあるとすれば、どんな形で担えるのかというのは、これはこのパンフレット、ハンドブックの手に負えるところではないかとは思いますけれども、重要な課題提起だと思っております。
いかがでしょうか、ハンドブックをどうするかというところをやっぱり頭に入れながら議論しなくてはいけない難しさがあるんですけれども、どんなことだったら意味のあるものとして描けるか。

【井口係長】 ちょっといいですか。

【津田座長】 はい。お願いします。

【井口係長】 PandA-Jの取組をどう位置づけるかということに関わっているんですけれども、さっき少し志々田さん、梶野さんで議論していただいていたような、特別支援学校が生涯学習の役割をいかに担っていくことが可能なのかという問題とPandA-Jがやっていることというのは、私、少し距離があるかなという認識があって、やっぱりトラブル・シューター・ネットワーク、この「トラブル」というところになかなかこの問題の難しさがあって、ゆえにここでやっぱり関わってくるのって、いわゆる専門職の方々、しかも、多職種の人たちがネットワークを作るというところに個性があるので、いわゆる地域学校協働活動とか、そうしたボランティアベースでの居場所づくりみたいなものとはちょっと性質が異なる学習活動として捉えたほうがいいのではないかというのが1つです。
その中でもやっぱり教員の方が一部担っていらっしゃるのは、教え子が卒業後どうなっているかということに非常に心を砕いていらっしゃる方々がいて、その方がこのネットワークに御参画されているという関係にあるのだと思うんです。私もやっぱり青年学級で関わったメンバーが何かしらのトラブルに巻き込まれたときに、こうしたネットワークにお世話になったことがありますけれども、そういう文脈なのだろうと思うんです。その意味では、さっきの議論とは切り離した位置づけというのが必要ではないかというのが私の受け止めが1つです。先ほどのセルフアドボカシー運動の話もやっぱり、そことの距離の問題があるのではないのかなと思っています。
政策的に有識者会議などで議論されたことで踏まえると、先ほどの特別支援学校って、教員含めリソースがすごいあるんですよね。ただ、やっぱり卒業後、生涯学習の担い手として特別支援学校を想定するというのは、やっぱり違う、一番手ではないだろうという議論はあったわけです。その意味では社会教育、生涯学習、あるいは福祉の職の中で学びを提供するということのほうが政策上の優先度はやはり高いかなと。ただ、地域学校協働活動やコミュニティスクールを特別支援学校にもきちんと位置づけていく、これは別途政策的に誘導していることですから、これはこれで推進はしていくべきだろうと。ただ、そこに卒業生とか、成人の障害者が関わっていくということは、今のところはあまり想定されていないという現状でございます。
そういう状況の中で、このPandA-Jの活動はコラム的な位置づけになってくるのかなと思うのは、なかなかメインストリームとしての活動というよりは、地域の成人の障害者がこういうトラブルに巻き込まれる可能性があって、そこのセーフティネットとして、こうした学びの場があるという観点から、御紹介される価値があるのではないかなと思ってはいます。

【青山委員】 いいですか。

【津田座長】 はい。

【青山委員】 すみません、人材育成とか、この会議全体のテーマを考えたときにも、1つ既存の社会教育の業界の中で、届ける対象として障害のある人たちが抜け落ちていた中で、公民館事業の中にきちんと障害を持った人たちを位置づけていくとか、社会教育がちゃんと障害者の生涯学習を推進していくという場面と、それから、既存の社会教育じゃない取組で、でも、逆に障害のある人たちと関わってきた人たちが社会教育の要素を追加で付加するという場面とでは、多分、我々としても伝えていく情報も違うかもしれないし、そこにアプローチするアプローチは違うのではないかと思うんですね。
なので、冊子の中での位置づけという意味では、公民館とか、社会教育行政に携わる人たちにこの冊子とかが届いていくとすれば、必ずしも社会教育の人たちが障害のある人たちに何ができるかという議論と、既にやっている人たちに学習活動とか、生涯学習に与える部分が自立支援とか、訓練とかの文脈じゃなく、また就労支援とかの文脈ではなく、学習という要素から、広げていくような取組として僕は理解したんですね、さっき。
つまり、社会教育の分野ではないけど社会教育を担っている人たちの動きとして、社会教育の人たちが行う活動は別の形として捉えることもできるかなと。その中でも、福祉の専門家による活動と、学校教員による活動の区別は必要かもしれませんけれども、そういった文脈のコラムとして、このPandA-Jの取組が、位置づけられないかなと思いました。
以上です。

【津田座長】 ありがとうございます。

【平井委員】 今、井口さんがお話ししてくれたようにPandA-Jの取り組みは「セーフティネットの学びの場」ですけれども、障害がある方を真ん中にして、これだけ多職種の人たちが共同して何か取り組むという、そういう経験は今まであまりなかったと思うのですね。福祉、教育、司法、医療の連携なんていうことを学校教育の場でも言っていますけれども、実際にそうした人たちが一堂に会して何か一つのことに取り組むということは、あまりないわけですね。そういう経験を作ってきたということが大きな成果だと思います。
なぜこうなってきたかというと、こうした重層的な支援の輪がないと彼らを地域の中で守り切れないということがだんだん分かってきたのです。これを我々は「人垣支援」と言っています。(イギリスでは「信頼の壁」という言い方をしていますが、壁ではちょっと日本語的にバリアのイメージになってしまうので意訳しました)
こうして、ネットワークを広げてきたわけですが、これからは、ここに社会教育のメンバー、社会教育関係者をいかに発掘し、加えていくかという課題を感じています。

【津田座長】 ありがとうございます。
実際には、その社会教育の職員がこの専門家の人たちと肩を並べて議論するというような状況は、現実にはほぼないという状況だと思うのですけれども、ネットワーク行政というふうなことを言われている社会教育の役割として、今、青山さんがおっしゃったみたいな形で専門職を横につないでいく、核になるということは、社会教育の職員、その機能としてはあり得るのではないかというような観点から描いたほうが、現状では現実的なのかなという気が少ししました。それを考えたときも、現実的な話としてほぼ――ほぼというか、全ての自治体にあるのは自立支援協議会ですよね。自立支援協議会がうまく学びの場としても、専門職じゃないな、支援者の学びの場として機能するためにも社会教育の原理がそこに持ち込まれるべきだという、こういう話はあり得るのでしょうか。平井さん、今一応、質問のつもりでしたけれども。

【平井委員】 そのとおりだと思いますよ。社会教育の職員さんが専門職をつないでいく、いわばコーディネーターをやってもらえるというのは一番だと思います。あと、後半、何と言いましたっけ。

【津田座長】 手軽にある組織としては、自立支援協議会はどこにでもある。この自立支援協議会というのは、いわゆるトラブルが起こったときに対応するという機能はあるんだけれども、そこに学びということを意識する人は多分ほぼいないのではないかと思うのですけれども、その自立支援協議会と連携をして学びという要素を入れていくというストーリーは、割と手軽にあり得るのではないかなというイメージを持ったのですが。

【平井委員】 はい。新潟市だけではなくて例えば東京の大田区、静岡、滋賀、それに国立市でも自立支援協議会を生かしていく模索が始まっています。今後の課題だと思います。

【津田座長】 なるほど。

【梶野委員】 1点、質問していいですか。

【津田座長】 はい。お願いします。

【梶野委員】 平井先生、すみません、この取組、社会福祉協議会とか地域福祉というのは何か絡みはありますか。

【平井委員】 社会福祉協議会が入っているところもありましたね。ただ、組織的に関わっているのは、あまり多くないのですよ。例えば盛岡TSの岩手県の発達障害者支援センター、ここは組織的に関わっていますし、それから、新潟における基幹相談支援センター西、ここも組織的に関わっていますね。あと各地の障害福祉福事業所は組織的と言えなくないですがトラブル・シューターとしての活動は参加する個人のボランタリーベースです。それぞれの機関を背負ってはいますけれども、個人の立場で参画している人たちがほとんどです。

【梶野委員】 ありがとうございます。今の話って社会教育に行くと同時に地域福祉の話をどうかませるかみたいな話もあっていいのかなと思ってちょっと伺ったんですけれども、僕、今、全社協の福祉教育の検討委員とかもやっていて、同じことを言っているんだけれども、どうもやっぱり業界が違うから言葉のかみ合わなさというのかな、その辺を感じていて、その辺で地域福祉という考え方も大分、東京なんかだと薄れつつあるんですけれども、そこも関係を踏まえながら説明できるといいかなと思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。
平井さん、引き続き検討をよろしくお願いいたします。少し具体的な像が見えてくると、読む人が、ああ、それだったら、うちはこういう点で使えるなって、そういうことができるようになっていくといいなということだと思うので、また御教示ください。

【井口係長】 私も自立支援協議会の事例などをベースに、もしこの実践を描くということが可能でしたら、そのアプローチが一番、いわゆる地方公共団体の職員向けには一番身近に感じていただけるだろうと私も感じながら読んでいたんです。国立市でも堀江先生が委員をやっている関係もあって、そういう取組が始まっていると伺っているんですけれども、ほかにもし具体の事例として、この地域では、この自立支援協議会の中で学びの実践があるということが御紹介できるようであれば、それを軸にこのページを構成していただくというのは、ぜひ御検討いただけるといいかなと、そう思っておりましたので。

【平井委員】 分かりました。

【井口係長】 津田先生の御発言に重ねてになりますけれども、よろしくお願いします。

【津田座長】 ありがとうございました。
それでは、2つ目に事例を扱いながら、我々、協議をして、それから、ハンドブックのイメージも併せて膨らませてきたわけですけれども、残りの時間は、この資料1の裏面、これを少し協議していきたいと思います。穴が幾つかあいているので、この穴を埋めていくということもそうですし、それから、それをどうやって書いていくのかということもそうですし、あるいはこの構成自体がこれでいいのかということもありますし、この表とにらめっこしながら、構成とか、やり方、方法を検討していきたいと思います。いかがでしょうか。御自由な発言でいきたいと思いますので。

【梶野委員】 オーソドックス過ぎるので、何かさっき平井先生とか津田先生の御提案があった、何かキーワードと柱か何かを作っていって、そこに事例を流し込んで、QRコードをくっつけてという、1つの事例を書く人がいて、それをそこに関わっていない人がどう見たか。僕なんかだったら、例えば社会教育の社会教育主事としたら、どう受け止めて、自分だったらどういうふうに動こうかみたいな、コメントか何か寄せるような立場で参画できるといいなと思っておりました。そのほか何かいろいろアイディアを出す。私の立場、行政に行った人からすると、こういうことを言うんじゃないかみたいなことで具体的に話せることによって、社会教育の関係者で少し、ああ、そういうこともやるのかみたいなふうに思ってもらえるかなということは少し思ったんですけれども。

【津田座長】 今の質問ですけれども、梶野さんの御発言は、事例があって、その事例に対してコメントがというか、その読み解きみたいなことがあるというイメージですか。

【梶野委員】 そうですね。その事例があってということなんですけれども、まず何か柱というのかな、当事者ニーズから始まるとか、何かそういうフレーズから何か作られていったほうがいいかなと。そこに事例が落とされているみたいな、それで、その事例に対して私だったらこう読み取りましたみたいな形の関わりがさせてもらえるといいかなと思ったということです。

【津田座長】 ありがとうございます。
これ、PandA-Jの多様な職種が連携した実践事例みたいな、これは割とキーワード的なタイトルですよね。イメージとしては、こんな感じのものですね。

【梶野委員】 そうですね。だから、逆に言うと、ほかのところに、大森さんのところは当事者中心の学びというのでいいと思うんですけれども、例えばほかの事例、例えば神戸大学としたらどういうタイトルになるのかみたいなのが出てくると、それでもいいんじゃないかという話になるのかもしれないですけどね。あと、具体的な公民館の体験活動って、どんなイメージがあるのか教えていただけるとありがたいかなと。

【津田座長】 具体的な事例がないとなかなか、そのキーワードも出にくいというところがあると思います。うちの場合だったら、例えば大学の資源を活用するとか、そういう方向なんでしょうかね。

【梶野委員】 すみません、事務局、ほかの事例で何か具体的にイメージしているところがあっての切り口なのか、逆にそれはこちら側に求められているのかというのを含めて少し教えてください。

【井口係長】 我々も実はあまり手持ちの事例の材料がそんなにあるわけではないという状況ではあります。なので、そういう意味では皆さんからの事例のアイディアというのも含めて議論いただけるといいなという期待もありました。ただ、先ほどの、まず事例からというよりは、何かキーワードから近い事例を当て込んでいくみたいな形であれば、また少し別の発想法で構成を考えることはできるかなと思いましたけれども、いかがですかね。

【津田座長】 どっちもありかなと思うので、1つ、これ、実践研究の机上配付資料をいただいているので、これを眺めながら具体的な事例と、それから、その中でのテーマみたいなことをあぶり出していく資料としては、とりあえず、今日、今手がかりになるのはこれでしょうかね。市町村の委託研究もそろそろ出てくるとおっしゃっていましたけれども、まだ資料にはなっていないそうなのですが、例えば福岡の手をつなぐ育成会みたいなところ、育成会と勉強するというのは幾らでも事例としてはあり得そうなのですけれども、とりあえず、手元のところでは、この福岡市の事例で親の会と手を結ぶみたいな方向でのまとめ方というのはあり得るでしょうか。

【梶野委員】 質問で、福岡の事例って、地域住民って、言葉ではあるんですけれども、具体的にどう関わっているのかというのが分かったら教えてほしいなと思ったんです。

【井口係長】 ボランティアの方の参画とかは伺っているんですけれども。

【梶野委員】 そこを指しているのかなという。

【井口係長】 かもしれないですね。地域というものが明確に、私もこの実践からはすぐにイメージが湧かないので、申し訳ありません。確認はしておきたいと思います。

【梶野委員】 すみません。分かる範囲でもちろん。

【井口係長】 ただ、比較的やっぱり専門性の高い実践を積み重ねてこられた取組ではあるんですよね。音楽療法士の方々がリトミックのプログラムを作っていって、そこを支えるボランティアの皆さんがいらっしゃると。その運営を育成会の方が大変熱心に広げてこられた。そういう実践ではあるんですよね。この実践研究でも、どちらかというと、そのプログラムのより精緻化というんですか、構築というところに力が入っていたものですね。ただ、福岡市も含めて非常に良好な関係は作られていて、確かに行政の関係者が手をつなぎやすい当事者団体の1つとしての育成会というところにフォーカスすることはあり得るかなと思います。

【梶野委員】 さもなかったら、音楽という、そういうアートというのが今何か、ハートネットTVとかでやっているじゃないですか。アートという何か切り口でつながるみたいなふうにしたほうがイメージしやすいかなと思いましたけどね。それなら1つ何か立てられるのかなと思うけれども、アートという。

【津田座長】 なるほど。ありがとうございました。
あと、ほかに、今、手元にある資料から読み解くとしたら、いかがでしょうか。これ、ここの実践だったら、こんなふうに紹介できるんじゃないかなと。身近なところで言うと、国分寺市の教育委員会、公民館が絡んでいるはずですので、公民館の事業としては描きやすいはずですよね。

【梶野委員】 絵柄としてはいいですよね。事業体制のところを見ると、すごく教育関係のいろいろな要素が入っていて、市民をまたがってできているみたいな作りになっているのは、すごくいい作りかなと思いますね。大学も入っているしね。

【平井委員】 国分寺市は公民館の職員さんが非常に元気になりましたね。もともと国分寺は公民館ベースで障害者青年学級「くぬぎ教室」をずっとやっていますが、いろいろ課題もあったということでした。この取組をすることによって、今まで関わっていなかったボランティアさんもかなりたくさん集まったこともあって、職員さんがとにかく元気になったような気が、私はします。

【梶野委員】 これは、いわゆる障害者青年学級が形を変えていったという理解でいいんですね。そういうふうに理解していいんですか。

【平井委員】 新しい取組をしたということですね。

【梶野委員】 なるほど、分かりました。

【平井委員】 既存の青年学級とこのカレッジとの関係をどうするかというのは、今後の課題になっています。

【梶野委員】 ああ、あるんだ。

【井口係長】 一応、既存の青年学級がありつつ、新しく「くぬぎカレッジ」というものを立ち上げてくださったという事例。

【梶野委員】 それは面白いんじゃないですか。オーソドックスな事例、社会教育の何かオーソドックスな事例に聞こえますし、青年学級の都内の状況で言うと閉塞的な、まさに大森さんの資料の中にクローズドと書かれている典型みたいになっちゃっているところがあるので、そういうのから解き放つみたいな発想が出てきたというのと、公民館の職員が元気になったという話はとてもいいなと思いましたね。

【井口係長】 キーワードをどう描くかというところは、私も実はあまり見えてこなくて、青年学級の、いわゆるレクリエーションとか交流をベースにした活動の上に、もう少ししっかり学習をするというんですか、体験をするというか、そういうプログラムをオンしているという印象を私自身は持っているのですが、私が実践を見れていないところもあって、鈴木さんとか見ていましたよね。いかがですか、どんなイメージで描けるのか。

【鈴木係員】 私も1回見に行ったのは夏ぐらいだったんですけれども、その頃、今まで青年学級に参加されていた方々は、いわゆる余暇活動的な、例えばバーベキューをしたりとか、いろいろな人と会っているのが楽しかったという状況から、今回、学びの要素が強いプログラムが始まって、最初はちょっと戸惑っているようなところもあったみたいなんですけれども、だんだんそこから意欲が湧いてきてとか、そういったような話も伺っていたりしています。
キーワードで考えると、ゼロから一を始めるのって、行政関係者にとってはとても苦手でハードルが高いんですけれども、そうではなくて既存にあるものを少しプラスアルファして9から10にしてみる、何かそのようなキーワードとかで示せると、行政関係者が見ても、何かできるかなと思えるかなと思ったんですね。どうしてもやっぱり、青年学級がもともとあったからできるんでしょうと感じちゃうと、そこまでになっちゃうので、そうではない見せ方ができれば、事例として示せるかなと感じました。

【津田座長】 ありがとうございます。
国分寺は1つ行けそうだと。この枠組みでいくと事例①ですよね。公民館を中心にした事業展開を描いていただくと。時間がないので、当てはめで考えていったときに③は、さっきのアートの福岡みたいなところが1つあり得るのかなと。それから、そうするとあと残りは、公運審の話と、それから、学校と地域の連携なんですよね。学校と地域の連携でパッと頭に浮かぶのは秋田の話かなというのが一番、今のところ知り得ている情報ですけれども、ほかにあるんでしょうか。障害のある人たちの生涯学習に取り組んでいる学校と地域の連携している事業。お願いします。

【志々田委員】 調べてみたら、青森県の教育委員会が、さっきそういう方法というのは優先順位ではないとはお聞きしたのですけれども、特別支援学校を活用した生涯学習講座開設事業というのを青森県自体がやっているようで、青森県立第二高等養護学校というところが、「もっとAOMORIアートプロジェクト」みたいなものを、多分、高校生たちと地域とのコラボレーションもあるのだろうなと思うんですけれども、そういうのをやっておられるのが単純に検索で引っかかってきたんですけれども、こういった教育委員会としてこういう特別支援学校を活用した生涯学習講座をやるのだと、はっきり言っているというのも1つ取り上げても、調査をしてもいいのかなと思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。さすがです。情報をちゃんと仕入れていただいて、ありがとうございました。
4ページ書くのが難しそうであれば、幾つかの事例を寄せ集めて、こんなところも、あんなところもという、青森の話、秋田の話というのもありかなという気がしますよね。公運審の障害者参画の話はぜひ入れたいと思いますけれども、これがさっき、石狩市の話が出て、公運審ではありませんけれども、障害のある人たちが学びから政治参画するって、そういう流れで実践しているというお話でしたよね、平井さん、石狩の話はここに当てはまるでしょうか。

【平井委員】 プログラムづくりに参画するという点では、キープセーフはもともと決まったプログラムがあったものですから、それを改変する困難さがありました。それは我々コーディネーターも同様でして、結果的に「セルフアドボカシー支援プログラム」として委託研究期間中にまとめ上げるまでには至らなかったのです。
石狩の「大地の会」の皆さんは、自分たちが学習したい内容を積極的に提案してくれて自分たちの希望に沿った学習会を実施しましたが、まとまったプログラムを作るまでには至りませんでした。

【津田座長】 そうですか、ありがとうございます。そうしたら、あと知っているところ、知的障害のある人たちではないですけれども、国立公民館もずっと身体障害の方が公運審に入っていますよね。そこで得られている何かみたいなことってあり得ますか。

【井口係長】 障害者団体からは選出があるんですけれども、当事者がもしかしたら、青山さんがやっていらっしゃったときは、直接は入っていなかったですよね。

【青山委員】 私、前期の公運審をやっていましたけれども、いらっしゃらなかったですね。青年室からはもちろん人が出ていたりとかするんですけれども。
 この国分寺のケースも、そっちの施設への参加とかということでは。

【井口係長】 そうですね。とは聞いていないですよね。私も、すぐに具体の事例が思いつかないところではあるんですね。ぜひ入れたいと思いつつも、この間のリサーチでも引っかかってきていなくてですね。

【志々田委員】 全国公民館連合会さんとか、ああいうところに聞いてみてもいいかもしれませんね。せっかく全国ネットワークを持っているので、私も調べたんですけれども、ないんですよ。社会福祉協議会さんの代表の方とか、事務局長さんが入っているとかというのはあるんですけれども、御本人の当事者の方が入っているというのはないんですね。聞いてみてもらっていいですか。

【井口係長】 はい。承知しました。公運審の話題は議論していないので、ぜひ聞いてはみようと思うのですけれども、ちょっと期待的には薄いかなとは思っています。

【志々田委員】 いかに弱いかということ。

【井口係長】 そうですね。やっぱりこの分野の弱さなのか、ちょっと分からないんですけれども。

【青山委員】 逆に公民館という事例1に当たるようなもの、キーワードとか切り口が変わるかもしれませんけれども、この中に何か関連するものとして組み込んでいくようなことができてもいいですよね。例えばお隣なので国分寺と国立を取り上げながら、過去の歴史をひもといて参加してきた歴史自体には触れていくことはできるかもしれませんけれども、何かそんなことは今思いました。

【津田座長】 ありがとうございます。この障害のある方たちが参画するという事例については、また情報収集しながら検討を進めていきましょう。大体、埋めるという観点から言うと、ほぼ埋まりそうだというところまでは行けたのではないかと思うのですけれども、ごめんなさい、時間の設定ミスで申し訳なかったです。本来であれば、次、7月ですね。7月にやるときまでに何を進めてくるかというところまで議論できていないといけなかったんですよね。

【井口係長】 いえいえ、大丈夫です。この後、7月の日程をまたある程度、候補日を絞りたいと思うのですけれども、もう一つ、我々の事務局の宿題として少し整理をさせていただきたいのですが、大体、最後、津田さんがコーディネートしていただいて、ある程度のイメージが出てきたとは思うんです。これに併せて、今日、少し前半で議論があったキーワードで、その事例をひもづけていく、むしろ、事例は後で、キーワードを中心にまず構成を考えてみるということをしてみたいと思います。大森さんの資料などが、その1つの参考にさせていただきながら、その作業をやってみたいと思うんです。それに併せてどなたに書き手になっていただけるかというイメージも我々のほうで作ってみて、メールで御提案をさせていただくという形でいかがかなと思います。
1つのキーワードで表現する分量は、あまり多く考えずに2ページぐらいを基礎にして、ただ、当然、事例を表現していくことになると、より詳しく4ページが必要という場合もあり得るぐらいの形で、一旦はそれぞれの書くイメージを具体化させていくという作業は先行できるといいかなと思っていますが、いかがでしょうか。よろしいですかね。ありがとうございます。では、事務局のほうで今日いただいた議論を再整理する。我々の作りそのものをもっと発想を変えてみるということを挑戦してみたいと思いますので、引き続き御助言をいただけるとありがたいと思います。

【津田座長】 今日は本当に遅くまで会議が進行してしまいまして、また次回もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)