視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第9回)議事録

1.日時

令和5年7月18日(火曜日)15時00分~18時00分

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E(対面参加の場合)及び Web会議形式(オンライン参加の場合)で開催

3.議題

  1. 「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」の報告等について
  2. 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」の見直しについて
  3. その他

4.議事録

 
○中野座長 定刻になりましたので、ただいまから「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」の第9回を開会させていただきます。
 まず最初に、本日の出席状況、資料の確認について事務局からお願いいたします。
○冨原自立支援振興室室長補佐 事務局でございます。
 本会議の構成員については、参考資料1の設置要綱に記載されているとおりでございますが、今回の会議から交代された委員がいらっしゃいますので、順番にお名前を御紹介いたします。
 日本眼科医会会長の白根委員の後任として、常任理事の井上委員。
 全国視覚障害者情報提供施設協会理事長の竹下委員の後任として、川崎委員。
 DPI日本会議の見形委員の後任として、バリアフリー部会長補佐の工藤委員。
 電子出版制作・流通協議会事務局長の鈴木委員の後任として、藏本委員。
 全国知事会を代表して御参加の香川県の荻原委員の後任として、愛知県福祉局福祉部障害福祉課長の佐藤委員。
 堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課長の小須田委員の後任として、吉田委員。
 交代された委員の御紹介は以上になります。
 続いて本日の出欠状況についてですが、本日は1名が御欠席、2名が代理の方に御出席いただいております。
 御欠席の方は、日本発達障害ネットワーク理事長の市川委員になります。
 日本DAISYコンソーシアム運営委員長の河村委員はオンラインで御参加いただいておりますが、16時頃途中退席となるため、代理として事務局長の野村様に会場にて御出席いただいております。
 また、日本点字図書館総務部長の野村委員の代理として、図書製作部長の石出様に御出席いただいております。
 以上、会場参加が11名、オンライン参加が12名となっております。
 なお、会場参加の藤堂委員におかれましては電車の遅延の関係で少し遅れるという御連絡をいただいております。
 次に、事務局を代表して文部科学省大臣官房審議官及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長から御挨拶を申し上げます。
 まず文部科学省の里見審議官、お願いいたします。
○里見大臣官房審議官 文部科学省の総合教育政策局を担当しております審議官の里見でございます。本協議会の開催に当たりまして文部科学省を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日の協議会はハイブリッドということで、私は自室のほうから接続させていただいておりますが、皆様方、お集まりの方におかれましては、お暑い中、たくさんの方々が御出席をされていると伺っておりまして誠にありがとうございます。
 本協議会の皆様に多大な御協力、御尽力をいただきまして、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画を令和2年7月に策定をさせていただいたわけですけれども、この計画に基づきまして現在は関係省庁等と連携をしながら各施策を推進しているという状況でございます。
 文部科学省では特に読書バリアフリーコンソーシアムをはじめ、公立図書館、学校図書館、大学図書館等における取組を推進しているところでございます。この第1期の基本計画は、来年度が計画期間の最終年度ということでございますので、これまでの取組を総括するとともに、さらに加速的に施策を推進していくことが重要であると考えているところでございます。
 このため、本日は関係省庁等の取組の成果や達成状況、それから関係団体の皆様方の取組の状況についてもお伺いをさせていただきたいと考えておりますけれども、ぜひその中で来年度からの第2期の基本計画の策定というものも念頭に置きまして、今後の施策等について御議論いただくことができればと考えているところでございます。
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○冨原自立支援振興室室長補佐 ありがとうございました。
 続きまして、辺見部長お願いいたします。
○辺見障害保健福祉部長 厚生労働省障害保健福祉部長の辺見でございます。
 構成員の皆様方におかれましては、御多用のところ、本協議会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 視覚に障害がある方など、読書が困難な方々に対する支援は非常に重要な政策でございます。読書バリアフリー法の施行によりまして、視覚に障害がある方などの読書環境を取り巻く状況は大きく変化をしてきております。令和2年度には読書バリアフリー法に基づく具体的な取組を進めるための基本計画を文部科学省及び厚生労働省において策定し、地方公共団体や関係機関、当事者など、多くの関係者と協力をし、施策を推進してきたところでございます。
 令和5年度は5か年計画であります基本計画の4年目となりますが、関係省庁の取組によりまして読書バリアフリー環境の整備は一歩一歩前進してきたものと考えております。
 厚生労働省といたしましても、点字図書館や情報総合ネットワーク「サピエ」といった取組を支援してきているところでございます。また、令和2年度には地域生活支援促進事業において、「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を創設し、順次取組も進めてきているところでございます。
 一方で、各省や関係団体の皆様と政策を進める中で、この制度を当事者の方々にとってさらに有益なものとしていくためには、依然として解決すべき課題があるものと認識をしております。
 こうした課題解決に向けた御議論を本日の協議会において皆様から忌憚なくお聞かせいただければ幸いと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○冨原自立支援振興室室長補佐 ありがとうございました。
 恐れ入りますが、辺見部長はこの後、公務の都合がありますのでここで退席をさせていただきます。
○辺見障害保健福祉部長 失礼いたします。
○冨原自立支援振興室室長補佐 次に、本日の資料についての確認でございます。
 本日の会議は、ペーパーレス開催とさせていただいております。会場の皆様にはタブレットで資料を御用意しております。タブレットの右下にタブ一覧というボタンがあるかと思いますが、そこを押すと資料の一覧が出てまいりますので資料をお選びください。もし操作等で分からないことがありましたら、手を挙げていただけましたら事務局のほうでフォローさせていただきます。
 また、オンライン参加の皆様には事前に資料をお送りしておりますので、そちらを御利用いただければと思います。
 また、YouTubeで傍聴の方は厚生労働省もしくは文部科学省のホームページに資料をアップロードしておりますので、そちらを御覧いただきますようお願いいたします。
 本日の資料は、議事次第と、資料1から4、参考資料1と2、以上になっております。もしタブレット等で足りないものがありましたら合図をいただければと思います。お願いいたします。
 最後にマイクの確認ですが、会場に御参加の方はお手元のマイクを使用して御発言をお願いいたします。
 オンラインで御出席の方は、カメラをオンにしていただきまして、御発言の際にはZoomの「手を挙げる」機能で合図をいただければと思います。
 なお、マイクについては御発言時以外はミュートにしていただけますようお願いいたします。
 事務局からは以上になります。
○中野座長 座長の中野でございます。
 事務局、ありがとうございました。
 それでは、頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラは御退場お願いいたしたいと思います。
(カメラ退場)
○中野座長 それでは、これから議事に入りたいと思います。
 本日は3つの議題がございます。
 まず、最初に「「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」の報告等について」、議論をいたします。
 2番目に、「「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」の見直しについて」、議論をいたします。
 3番目は「その他」ということで議事を進めてまいりたいと思います。
 それでは、まず議題1として、各省庁から「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」について報告をいただきます。
 資料1を御覧ください。各関係省庁等により説明をお願いいたします。
 本資料は委員の皆様に事前に配付しておりますので、各省庁等は資料の記載事項を全て読み上げるのではなく、それぞれの取組の進捗状況や今後の展望などを要約してお伝えいただき、各委員との意見交換時間の確保に努めていただければ幸いでございます。全ての省庁等から説明があってから、意見交換の時間を設けます。
 では、まず厚生労働省からお願いしたいと思います。
○川部自立支援振興室長 よろしくお願いします。では、早速資料1に従いまして御説明申し上げます。
 まず1ページを御覧ください。基本計画の都道府県の私どもの働きかけ、それに対してどういう成果が出たかということで、まず1ページの表の見方を最初に御説明したいと思います。
 「これまでの取組」、それから「成果・達成状況」、右側が今後私たちが目標とするもの、取組目標と整理をしています。本日は主にこの計画に沿って真ん中の「成果・達成状況」がどのように政策に誘導できたかというところのアウトプットについて御説明さしあげたいと思います。
 早速1ページの中ほどですが、令和2年度の計画時点で計画の策定状況は足元40%、令和4年度現在で60%ということで、数字だけ見ると4割から6割になりましたというような状況なのですが、実はこれは楽観視できないような状況でして、2ページを御覧ください。
 一番上の計画の策定状況のテーブルを見ていただきたいと思います。母数が129、中核市含むということでございますが、実はこの6割という数字は既に策定済みの23、それから作業中、検討中を入れた数が全部で77になっていますので、母数の129に対して77ということで約6割なのですが、策定済みだけ見ると23都道府県指定都市、それから中核市ということになりますので、割合で言うとやはり2割くらいしか策定は終わっていないということですので、ここは歩みを止めずに私どもも積極的に働きかけたいと考えています。
 それから、3ページは今、御説明申し上げたものを図示化していますので、お時間があるときに御覧いただければと思います。
 次のフェーズにつきましては、主に厚生労働省が予算、それから政策で取り組んだものについて御説明をしたいと思いますが、まずその成果を御説明する前に私どもがどういう予算、それからツールで働きかけていたかというのを御説明したほうがいいと思いますので、ページが飛んで恐縮ですが、59ページまで資料を飛んでください。
 まず1つ目ですが、やはり点字図書館というのを中核の施設としてしっかりやっていくということでございます。全国に76施設ということで、これに対してしっかり根っこの身体障害者福祉法に基づいて費用負担をしている。費用負担だけではないのですが、やはり運営していくためには人件費、それから諸経費がかかりますので、76施設につきまして一番下のほうですが、20.3億ほど補助をしています。これは2分の1が国費ですので、当然地方負担分があります。地方負担分というのは都道府県指定都市ということになります。それで、76か所ですのでアベレージでいくと大体2600万円の予算を点字図書館についてまずしっかり補助をしています。
 それから、60ページは視覚障害者などの読書環境の整備について私どもが取り組んでいる負担金、それから事業の説明を全部で3種類、大きく分けると5種類くらい説明しています。
 まず身体障害者保護費負担金は、法律で言うところの義務的経費であり経費をしっかり私たちが確保しているということで、右のほうを見ていただきたいのですが、点字図書館の情報化対応特別管理費の加算単価は1施設当たり20万円だったものを40万円に引き上げました。
 それから、大きいものとして左下に2番、地域生活支援促進事業というものがあるのですが、いろいろな事業がこの中にありますが、この中で視覚障害者に対して例えば障害者のICTサポート総合推進事業でしっかり幅広く支援したりとか、下のほうはちょっと文章が抜けていますが、地域における読書バリアフリー法体制強化事業ということで、2番の全体の枠としては507億円の予算の中で各自治体に取り組んでいただいています。
 それから右側の3番、右下になりますが、「サピエ」の充実強化ということで、令和元年から見ていくと、少しずつ努力して運営費、それから「サピエ」というのは情報の集まりですのでどうしてもサーバー管理みたいなことが必要になりますので、管理費を運営に困らないように、もしくは充実できるように増額しております。
 61ページが「サピエ」の運営支援についてです。これはやはり中核となる点字図書館等々において、いろいろな情報交換もありますので、一番上の四角囲いの令和5年度予算でいいますと本事業単独で1.3億円ほど補助しております。これは先ほど申し上げましたとおり管理費、運営費、それからサーバーなどを含む額になっています。
 62ページは「障害者等のICT機器利用支援事業」ということで、何をやっているか分かりづらいので図示をつけましたが、真ん中に都道府県のICTサポートセンターがありますが、都道府県はその管内しか見ませんので、全国を俯瞰して各都道府県のICTサポートセンターを支援する連携事務局をつくりまして、全国会議の実施等に対する支援をしているということです。
 以上が、計画策定後に私どもが政策的に弾込めをして予算を増やし、政策的に絡めてきたものの御説明になります。
 改めまして、その成果はどうだったのかということの振り返りについては56ページにお戻りください。お手元の資料と見比べながらですが、まずマル2番のところ、視覚障害者の図書館の体制整備ということで今、御説明申し上げましたとおり真ん中辺りですが、補助金を引き上げたことの再説明になります。それから、アンケートの実施などを行っています。
 マル3番の部分ですが、これも先ほど説明しました事業によって足元の数字は着実にのびてきている状況です。
 マル4番の「サピエ」の利用状況につきまして、先ほども説明しましたが、令和4年度末で着実に団体数、個人会員数は伸びてきているので、これも手を緩めず支援していきたいと考えています。
 それから、57ページのマル5番の部分ですが、体制整備の強化ということで7自治体、11か所で公共図書館等に対するサピエ研修会を開催しました。
 マル6番は製作基準の作成の質の向上ということで、令和4年度に改訂版の点字問題集を作成したりとか、『音訳ボランティア養成講習会テキスト基礎課程編』の刊行などなど、地道ですが、やはり全国的に標準となる問題の作成や、テキストの改修等を手厚く支援しています。
 マル7番につきましては製作基準の作成などの質の向上ということで、これも同じ施策になりますが、先ほど申し上げました「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を通じて実施自治体の支援を行っています。
 マル9番につきましては端末機器並びにこれに関する情報入手ということで、令和3年度に実態調査などを行って回答を得て、それを政策に反映しております。
 それから、58ページに移りますが、マル10番の真ん中辺り、サポートセンターの設置都道府県数というのも令和元年度に比べて23から31ということでちょっと歩みは緩いかもしれませんが、着実に伸びてきている状況です。
 それから、マル12番になりますが、点訳、音訳などアクセシブルな電子データの製作などの人材の育成ということで、これも先ほど申し上げました「地域における読書バリアフリー体制強化事業」によって着実に自治体は伸ばしているということで、マル13番も同じです。仕掛けとしては先ほど申し上げました「地域における読書バリアフリー体制強化事業」ということで、自治体数を伸ばして取り組んでいるということで、数字の伸びがいいところ、悪いところとありますが、先ほど申し上げました事業、それから各会議、予算確保という多方面において政策を後押ししているというような状況になります。
 以上、私からの説明を終わります。
○中野座長 どうもありがとうございました。最初に申し上げたように、質疑に関しましてはまとめてということでお願いいたします。
 では、続きまして文部科学省より御説明をお願いいたします。
○五十嵐障害者学習支援推進室室長補佐 文部科学省総合教育政策局障害者学習支援推進室で室長補佐をしております五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 文部科学省の資料としては、通し番号の63ページからになります。私からは資料のマル1、マル3、マル4について説明をさせていただきます。
 まずはマル1の総論(2)の「国民等への周知」でございますが、これまでの取組、成果といたしましては、昨年11月に開催いたしました当省の共催イベント「超福祉の学校@SHIBUYA」にて、「読書支援の最先端」と題したシンポジウムを行ったほか、会場では、LLブックとか布の絵本等のアクセシブル書籍の展示等も行いました。シンポジウムはオンラインを含むと5,000人近い方々の視聴があり、イベントのWebサイトは3万5,000件を超えるページビューがございました。
 今後につきましては、さらに読書バリアフリーについて社会の理解促進を図るため普及啓発フォーラム等の実施を検討しているところでございます。
 続きまして、マル3とマル4でございます。こちらは、図書館利用に係る体制整備等の箇所でございまして、マル3が高等専門学校、いわゆる高専の附属図書館、マル4は大学図書館等になります。
 マル3の高専図書館につきましては、新・統合図書館システムOPACの端末に表示画面内容の音読機能を導入いたしました。また、朗読CDや英語多読用の電子ブック、ハンドルーペ等読書補助具や筆談器の整備を行ってまいりました。こちらのシステムにつきましては全51の国立高専で導入しております。
 今後の取組といたしましては、研修等により図書館スタッフのスキルアップを図ることと、アクセシブルな書籍の充実を図ることが今後の目標でございます。
 マル4の大学図書館につきましては、読書バリアフリー法対応のメタデータ共有システムの構築を行ってきたところですが、試験運用を経て、昨年の10月に正式運用を開始しております。本システムの今年の6月末現在の登録は、申請機関数が98機関、メタデータの登録数は295件となっております。
 
 今後の取組といたしましては、大学図書館関係者などの意見やシステムの運用状況を踏まえ、システムの機能改善を図ることと、国立国会図書館のデータベースとの連携について引き続き検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。
 
○毛利図書館・学校図書館振興室専門官 文部科学省総合教育政策局地域学習推進課で図書館・学校図書館を担当しております毛利と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料63ページを御覧ください。マル2の「総論(2)国民等への周知」の取組としましては「これまでの取組」の欄1、2のところに記載のとおりではございますが、障害のある方、視覚障害等のある方の支援をされている方、司書など図書館関係者、地方公共団体等の、幅広い方を対象としまして、1のとおり「読書バリアフリーと図書館の役割」等の趣旨を御理解いただくようなフォーラムを開催したほか、2のとおり国立青少年教育振興機構のシンポジウムの開催について周知等を行ってきたところでございまして、引き続き動画で御覧いただけるように動画をインターネット上に掲載しております。「成果・達成状況」の欄に記載のとおり、1のフォーラムについては1,961回の再生、2のシンポジウムにつきましては1,334回の再生ということで多くの方に御視聴いただいているところでございます。
 また、「これまでの取組」の3のところにございますけれども、障害のある方、その家族の方等に公立図書館や点字図書館等でどのようなサービスが行われているか、どのような本があるかを知ってもらうためのリーフレットの作成・配布とホームページへの掲載も行っているところでございます。こうした関連情報の周知は、引き続き行ってまいりたいと考えております。
 また、新しい動向でございますが、マル2の「これまでの取組」の4のところに記載しておりますけれども、令和5年3月に第5次の「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」を策定いたしました。
 こちらの内容、概要は資料1の66ページから69ページに掲載しておりますので、お時間のあるときに御参照いただけたらと思っておりますが、一部だけご紹介いたします。資料の67ページの上段にありますとおり、本計画の「基本的方針」を4つ掲げておりまして、このうちの2でございますが、「多様な子どもたちの読書機会の確保」ということで、障害のある子ども、日本語指導を必要とする子ども等、多様な子どもの可能性を引き出すための読書環境を整備するということを主要な方針の一つに掲げております。
 これを踏まえて、計画の中では地域の図書館や学校等で多様な資料を整備していただくことなどを計画に掲げているところでございます。
 お手元の資料、63ページにお戻りいただければと思いますけれども、本計画を都道府県の皆様等に周知する際に通知を一緒にお送りいたしまして、この通知の中で、多様な子どもたちが利用しやすい書籍等の整備・提供等や読書環境の充実に努めていただくとともに、積極的な取組を進めていただくようお願いいたしますと働きかけているところでございます。
 お手元の資料、64ページを御参照ください。マル5でございますけれども、「視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等」と「アクセシブルな書籍等の充実」「円滑な利用のための支援の充実」に関する取組でございますが、「読書バリアフリーコンソーシアム」を令和3年度以降組織しておりまして、記載のとおりではございますが、公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した体制を構築する、もので、各館の物的・人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う公共団体、法人を支援するといった取組でございます。
 本日、オンラインで御出席でございます東京大学の近藤先生を中心に進めていただいているところでございますので、後ほど近藤先生から取組を御紹介いただければと思います。
 同コンソーシアムでは、ホームページを立ち上げて、先進的な取組事例を共有させていただいており、令和4年度の成果としては、オンラインでのシンポジウムを開催したほか、特別支援学校等において学校図書館はどのような体制か、資料はどういう共有状況にあるのかなど、現状に関するアンケート調査を行ったところでございます。
 また、64ページの「これまでの取組」の下半分は調査のことでございますけれども、主には1や2にございますように、学校図書館の現状についての調査や、図書館におけるアクセシブルな書籍の整備状況等を調査してまいりましたところ、新しい取組としましては64ページの「これまで取組」の【調査】の4のところでございますが、令和4年度に隔年で実施している電子図書館、電子書籍と子供の読書活動推進に関する実態調査を行いまして、自治体や学校で電子書籍がどのくらい導入されているのか、どのように活用されているのかというところを調査しております。
 その中で事例等も併せて御紹介をしておりまして、後ほど御参照いただければと思いますが、こちらの資料は74ページにもございますけれども、例えば特別支援学級で1人1台端末を活用して読書活動に取り組む事例ですとか、そういった事例も御紹介をしているところでございます。
 最後に、65ページを御参照いただければと思います。マル6の「司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上」に関する取組でございますけれども、1にございますように司書、司書教諭・学校司書、職員、ボランティアが障害者サービスの内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、機器の使い方等を習熟するための研修等を行ったところでございます。これは引き続きの取組でございまして、今後も継続して研修を行ってまいりたいと思っているところです。
 また、65ページのマル6の「これまでの取組」の欄の3と4のところでございますけれども、バリアフリーの基本計画が策定された、周知の際に、司書や司書教諭等の養成課程を置く大学や講習を実施するそのほかの教育機関に対して、視覚障害者等に対する図書館サービスの内容を学習できるように努めるようにということで通知を発出していたところですが、実際に司書や司書補の講習実施機関、学校図書館の司書教諭講習を実施する機関でそういった内容がどれくらい取り扱われているかという実態調査をしたところでございます。
 中央の欄に調査の結果を記載しておりますけれども、4の司書・司書補講習実施機関における実施状況というところでは、令和3年度、令和4年度、全ての機関で取り扱っており、学校図書館司書教諭講習の実施機関では、令和3年度が33機関中19機関、令和4年度は33機関中17機関ということでございました。これは開講する科目や科目数が年度によって、例えば1科目しか実施していない年度もありますので、変動するところがあるのですけれども、そういった状況でございました。
 今後は、一番右の欄でございますけれども、先ほど申し上げましたような第5次の子どもの読書活動の推進基本計画を踏まえて、引き続き趣旨を周知していくとともに、令和5年度には司書・司書教諭等の養成課程を置く大学等の調査を行ってまいりたいと思っておりますところです。
 
 東大の近藤先生、恐れ入りますが、少しバリアフリーコンソーシアムの令和4年度の取組を御紹介いただけますでしょうか。
○近藤委員 承知しました。もしよろしければ画面共有を許可していただけるとありがたいですが、いかがでしょうか。
 ありがとうございます。では、今画面にウェブページを共有したのですが、皆様、見えておりますでしょうか。
○中野座長 はい、見えております。
○近藤委員 ありがとうございます。
 こちらが、学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアムのウェブサイトになります。資料の中にもURLを挙げていただいているものです。こちらで公開しているものなのですけれども、まず読書バリアフリーコンソーシアムで私は事務局を務めているのですが、座長は中野先生に務めていただいておりまして、その後、有識者であるとか、特別支援教育関係者であるとか、公立図書館関係者の皆様に御協力をいただいてコンソーシアムでの活動を行っております。
 具体的にどういったことをまとめているかというと、学校図書館の中で例えば著作権法第37条によって学校図書館ができることはかなりございますけれども、こちらは一体何ができるのかが明示されていないというところがあって、自信を持って学校図書館の担当者がテキスト化等の取組に踏み出すことができない状況があるのではないかという委員の皆様からの議論を踏まえて、実際に具体的に学校図書館の中で何がどこまでできるのかということを詳しくまとめたサイトをつくっております。
 さらには、学校図書館単独ではなくて他の学校図書館との連携でできること、それから国立国会図書館を活用すること、「サピエ」図書館を活用すること、近隣の公共図書館との連携でできること、こういった項目をまとめて、主に学校の図書館の司書教諭、それから司書担当といった人たち向けに情報をまとめております。
 さらに、その具体的なよくある質問としまして、現場でかなり不安になるようなポイントのようなものをFAQとしてまとめるページもつくっております。
 それから、具体的に事例によって学ぶというページもつくっております。例えば、特別支援学校の活動であったり、一般の学校の中の活動であったり、そういうところで学校図書館が一体読書バリアフリーに関わってどういったことを行っているのかという具体的な事例を詳しく調査を行って、その内容をこちらのサイトのほうに紹介をしております。これらを参考に、各学校の学校図書館の中でも、より取組を広げていただきたいということで情報公開を行っております。こちらは今後も情報を追加していく予定であります。
 それから、これは最後になるのですが、令和4年度にはアンケートを行っております。全国の特別支援学校、それから通級や特別支援学級の設置校、それから通常の学級ですね。そういったところに実際にどういったバリアフリー書籍を整えているか、もしくは学校図書館の中でどういったサポートを行っているか、そういったことの大規模な調査を行っております。
 令和4年度については速報までという状況でまとめたのですけれども、令和5年度ではこの内容の詳細をまとめていくことを予定しております。この中身なのですけれども、これは特別支援学校も実はそうなのですが、特に通常の学級の中では読書バリアフリーの活動自体がまだまだ広がっていない状況がありまして、さらには特別支援学校等の中では生徒数が増えていく中で図書室の確保もなかなか難しい状況があったりとか、かなり大きな困難がある状況ということがこの調査によって分かりましたので、そこに具体的にどのような働きかけが行っていけるかということもこのコンソーシアムを通じて考えていく予定であります。
 私からの説明は以上です。ぜひウェブサイトのほうを御覧になっていただければありがたいです。
 以上です。
○中野座長 近藤先生、ありがとうございました。
 引き続き、文部科学省文化庁著作権課の小林室長からでよろしいですか。オンラインですね。
○小林国際著作権室長 オンラインで失礼いたします。文化庁著作権課の小林と申します。
 77ページのマル1の「外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備」について御報告をいたします。
 真ん中の「成果・達成状況」にございますように、文化庁ホームページにおいてその入手に必要な情報について周知を行ってまいりました。また、私どもが著作権の普及啓発のために開催するセミナーや講習会で受講者4,547名の方々に対しても周知を行ってまいりました。
 「今後の取組・目標」につきましては記載のとおりですが、引き続き丁寧に周知してまいりますとともに、ホームページの情報を更新したり講習会等で積極的に周知をしてまいります。
 簡潔ですが、御報告は以上でございます。
○中野座長 ありがとうございました。
 座長の中野です。続きまして、総務省の輿石補佐、お願いいたします。オンラインでしょうか。
○輿石情報活用支援室課長補佐 総務省情報活用支援室の輿石と申します。
 総務省から御説明させていただきます。資料は78ページからになります。
 総務省では、通信ネットワークとICT利活用の推進としての施策を進めております。本読書バリアフリー法基本計画との関連で申し上げますと、アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に関する先端的な技術等の研究開発の推進を施策として進めております。
 資料は次の79ページになりますが、総務省としてはデジタル・デバイド解消し、障害者や高齢者を含めた誰もがICTによる恩恵を享受できる読書バリアフリー環境を実現するために、新たなICT機器の研究開発や、既存のICTサービスの高度化を行う事業者に対して、その研究開発費の2分の1を助成しております。
 その次のページが具体的なものなんですけれども、昨年度、令和4年度には本助成を通じて合計6件の研究開発助成を行っております。読書バリアフリー法が成立したことを受けて、令和2年以降はこの助成の要領の中に、総務省として期待する事項としまして、読書バリアフリー法を推進する施策になることという内容を盛り込んでおりまして、令和4年度の6件のうちの上から2件です。想隆社というところとイースト株式会社の2件につきましては、読書バリアフリー法に資するものとなっております。これらは令和3年度から5年度までの3年間、総務省として助成を行っております。
 今年度以降も、本事業を通じて引き続きアクセシブルなICT機器等の研究開発助成を行うことで読書環境整備に取り組んでまいります。
 総務省からは以上となります。
○中野座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、国立国会図書館の小澤課長、お願いいたします。
○小澤企画課長 国立国会図書館総務部企画課長の小澤と申します。よろしくお願いいたします。
 通しページ81ページからになります。全部で項目が6個あるのですが、このうちのマル1から説明させていただきます。
 こちらは、読書バリアフリー法基本計画における「III.1(第9条関係)(1)アクセシブルな書籍等の充実」の中でも、「国立国会図書館での製作及び他機関製作分の収集」についてです。
 昨年度の関係者協議会でもご報告しましたが、当館では、アクセシブルな書籍等を充実させるために、他機関では製作が困難な学術文献等についてアクセシブルな資料を作成してきました。また、公共図書館、大学図書館等のデータ提供館から視覚障害者等用データを収集するということも行ってきました。
 それに加えて、今回「成果・達成状況」に書いたとおり、本年3月に試験公開しました国立国会図書館障害者用資料検索、こちらは愛称を「みなサーチ」と言いますが、こちらのβ版でOCRにより作成した約247万件の全文テキストデータの提供を開始しました。これを合わせますと、令和4年度末時点で約250万件のデータを提供していることになります。
 さらに、令和4年度には令和3年度に開発したOCR処理プログラムであるNDLOCRの改善を実施しました。具体的には、読み順の整序等を行っております。
 今申し上げた全文テキストデータの提供については、別紙として、国図-1という別紙にまとめましたので、そちらに沿って説明させていただきます。通しページで言うと、83から84がその全文テキストデータの提供についてです。概要は今申し上げてきたとおりですが、事業内容のところを中心に説明させていただきます。
 この全文テキストデータの視覚障害者等への提供の眼目は、「アクセシブルな電子書籍等の量的拡充に資する」ということです。
 まず全文テキストデータの概要ですが、こちらは当館が既に国立国会図書館デジタルコレクションを通じて提供しているデジタル化資料から、OCR処理を行って作成したテキストデータです。247万冊の内訳ですが、図書は約97万冊で、1968年までに受け入れたもの、雑誌は明治期以降に刊行されたもので刊行後5年以上経過したものとなります。提供プラットフォームとしては、平成26年1月から提供している視覚障害者等用データ送信サービスで提供しております。
 次に「提供方法」ですが、OCR処理を行ったものを未校正のまま提供しております。全文テキストデータの冒頭には、そのデータが著作権法第37条3項の規定に基づいて視覚障害者等に限定して提供するために製作されたものであり、視覚障害者等以外への提供はできないこと、または校正されていないテキストデータであるということの文言を挿入しております。
 「サービスの利用対象者」は、視覚障害者等に該当する者として当館が確認した上で同サービスの利用者登録をした個人と、視覚障害者等へのサービス提供体制が整備されていることを書面により当館が確認し、サービスを利用することを承認した図書館等です。
 次に「提供対象からの除外」ですが、著作権法第37条第3項のただし書で、既に同じ方式の視覚障害者等用データの資料が市場に流通している場合には無許諾での複製等が許容されない旨、規定さておりますので、スクリーンリーダーによる読み上げ、いわゆ¥¥るText to Speech、TTSに対応している等、視覚障害者等が利用する支援技術を通じて利用できる方式で、当該資料または同内容の著作物の電子書籍が電子書籍市場、あるいは出版者のホームページ等で流通している場合等に除外しております。オーディオブックについても、暫定的に除外しております。
 この手続については、当館による入手可能性調査を行った上で、出版者による事前確認手続等を行っています。提供開始後も、出版者から該当データに関する除外の申出を受け付けております。
 以上が、視覚障害者等用データ送信サービスを通じた視覚障害者等への全文テキストデータの提供についてでした。
 本体に戻りまして、マル1の今後の取組ですが、引き続き他機関では製作が困難な学術文献について、視覚障害者等向けの録音図書やテキストデータの製作を行いたいと考えています。また、全文テキストデータの製作と提供も引き続き行います。この際には、もちろん除外手続を行います。また、他機関からの収集も継続します。
 次に、通しページ81ページの表の中のマル2番について説明させていただきます。
 「図書館等におけるテキストデータ製作支援の実験の取組」というものですが、こちらは当館と日本点字図書館様の協力により行っている事業で、当館が運用する共同校正システムを用いて日本点字図書館等の参加機関がテキストDAISY等を製作するプロジェクトです。令和4年度については、テキストDAISYを411点製作しました。
 この事業は今後も継続するのですが、課題としては、できれば公共図書館にも参加いただきたいということがありますので、今年度についてはヒアリングを実施することを検討しております。
 次にマル3です。「各インターネットサービスの周知」というもので、当館が提供する各種のサービスやサピエ図書館等、障害者の方にとって有用なインターネットサービスを発展させ、研究等の機会を通じて周知するというものです。
 このインターネットサービスというところで、昨年度大きな進捗がございました。「成果・達成状況」のところに書きましたが、先ほど申し上げたとおり、国立国会図書館障害者用資料検索、みなサーチのβ版を3月に試験公開しました。みなサーチについては別紙、国図-2にまとめましたのでそちらのほうを簡単に説明させていただきます。通しページでは、85ページになるかと思います。
 みなサーチは、現在提供している「国立国会図書館サーチ障害者向け資料検索」というサービスの後継システムです。本年3月にβ版を公開しました。正式版の公開は令和6年1月を予定しております。
 みなサーチは、NDLサーチよりもアクセシビリティ、ユーザビリティを高めたシステムです。様々な支援技術を使用する視覚障害者の方にとって、より使いやすい統合検索サービスとなっております。
 また、国立国会図書館サーチよりも検索対象を拡大しております。サピエ図書館等、現行システムでも対象となっているものに加えて、先ほど御紹介した全文テキストデータ、日本出版インフラセンター出版情報登録センターが公開しているデータベース収録の読上げ対応の電子書籍、オーディオブック、または青空文庫等についても検索対象に追加しております。正式版では、先ほど文科省のほうから御紹介がありました国立情報学研究所読書バリアフリー資料メタデータ共有システム等とも連携することを予定しております。
 さらに、デジタル化資料へのアクセスの拡大ということで全文検索専用画面を用意しております。全文検索でヒットした箇所は検索結果一覧に表示されて、登録している視覚障害者等であれば全文テキストデータをダウンロードして利用することが可能です。
 以上、みなサーチについて御説明しました。
 次に、通しページ81ページに戻りまして、マル3の「各インターネットサービスの周知」について、ほかの進捗ですが、以前から行っている障害者サービス担当職員向け講座という研修を令和4年度についても日本図書館協会様と共催させていただきました。こちらに266名に参加いただいております。
 あとは、こちらについての「今後の取組・目標」なのですが、今年度は令和6年1月にみなサーチ正式版を公開するのが最大の目標となります。その上で、みなサーチの説明会、こちらは実は今回の提出期限に間に合わなかったため書いていないのですが、先週の7月13日にみなサーチについての説明会を行い、大勢の障害当事者の方や図書館員の方に御参加いただいて大変好評でした。こちらについては、またやってほしいという要望もいただいていますので、説明会のさらなる実施について現在検討中でございます。
 また、昨年度に続きまして障害者サービス担当職員向け講座も行いたいと思います。
 次に、通しページの82ページにいきましてマル4について説明させていただきます。「民間電子書籍サービスについて、図書館における適切な基準の整理」というものですが、こちらについては「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」を立ち上げて開催しているということについて昨年度御報告しました。この検討会には、本関係者協議会に構成員を出している団体からもメンバーを出していただいております。大変お世話になっております。この場を借りて改めて御礼を申し上げます。
 昨年度の関係者協議会では報告書を取りまとめたという御報告までをしておりましたが、今回は遂に適切な基準を整理しましたという御報告をさせていただくことができる状況になっております。
 昨年度、検討会で議論を重ねまして、「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」というものを作成しました。こちらは、本日、別紙国図-3ということでガイドライン本体を配付資料としておりまして、本日が初めてのお披露目となります。こちらについては、完成したら最初にこの関係者協議会で御報告するということを以前より決めておりましたので、本日ようやくお披露目できるという状況です。86ページ以降に別紙として付していますが、こちらは別紙まで含むと全部で53ページもあるものなので、本日はエッセンスを御紹介するにとどめたいと思います。エッセンスについては82ページに抜き書きしています。
 まずガイドラインの目的ですが、商用の電子書籍を、図書館を通じて提供するサービス、本件においてはこれを電子図書館と言いますが、その電子図書館を視覚障害者等が利用するに当たって必要なアクセシビリティに係る要件を整理することです。
 システム上の対象としては、ウェブサイトとビューアということになります。コンテンツは対象に含んでおりません。
 対象とするアクセシビリティ機能は、音声読み上げを中心としております。その上で、それを可能にすることで付随的に可能となることが想定されるもの、詳細読みであるとか、ナビゲーション機能であるとか、そういったものを対象としております。
 ガイドラインの活用場面としては、まず公立図書館等においては電子図書館調達時の仕様の検討における活用、あとは既に導入している電子図書館のアクセシビリティ対応状況の確認等での活用を想定しております。
 電子図書館事業者においては、電子図書館の開発・改修時の対応項目や優先順位の検討における活用、またはアクセシビリティ対応状況を確認するためのチェックリストとして活用いただくことを想定しております。
 アクセシビリティ要件としては、電子図書館を閲覧する導線に沿って利用手順ごとに実現することが望ましいものを示しております。
 また、各アクセシビリティ要件については、1から3の「ステップ」を付与することで重みづけを行っております。
 今後の取組ですが、今年度についてはガイドラインの公開と普及を進めたいと考えております。まずは、明日ガイドラインを当館のホームページ上で公開いたします。そして、ガイドラインの利用を促すために、図書館関係者の方とか出版関係者の方が集ういろいろなイベントに参加して、ガイドラインの説明を行っていきたいと思っています。
 また、ガイドラインに盛り込むことを見送ったアクセシビリティ機能について、要件に関する調査を行うことも予定しております。さらに、今年度についても検討会を開催したいと考えております。
 一昨年度と昨年度の検討会では、当事者サイドとサービス事業者サイドがアクセシビリティの達成と目標に向かって何ができるかについて率直に意見を交わすことができまして、そのことがガイドラインという形に結実しております。今後についても、当館が主催する検討会はそのような場であり続けたいと考えております。
 令和6年度については、今年度に実施する調査の結果等に基づいてガイドラインを更新することを想定しています。
 次にマル5について説明させていただきます。
 こちらは「マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスの実施」というもので、当館では外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の国際交換サービスを行っております。令和4年度では、外国で製作された電子データ、音声DAISY等、20タイトルを収集しました。また、海外1機関の依頼を受けて、国内で製作された視覚障害者等用データ18タイトルを提供しました。今後も、このサービスを継続していきたいと思います。
 最後になりましたが、マル6については「司書等を対象とした研修の実施」ですが、先ほどマル3のところで申し上げましたように当館が提供する各種のサービスとかサピエ図書館等、障害者の方にとって有用なインターネットサービスを研修の機会を通じて周知するということを行っております。それが司書等の資質向上につながると考えており、こちらについてはマル3の内容を重出させておりますので、マル6自体としての説明は省略させていただきます。
 少し長くなってしまいましたが、国立国会図書館からの報告は以上となります。
○中野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に経産省の渡邊課長よりお願いしたいと思います。
○渡邊コンテンツ産業課長 経済産業省のコンテンツ産業課長の渡邊です。どうぞよろしくお願いいたします。
 経済産業省からは、読書バリアフリー法第11条関係及び第12条関係における取組について御報告をいたします。資料のページ番号142ページに沿って御説明を申し上げます。
 まず、読書バリアフリー法第11条関係では、出版者から特定電子書籍等、製作者に対する電磁的記録、いわゆる出版物のテキスト、PDFデータの提供に関する環境整備、また第12条関係ではアクセシブルな電子書籍の普及及び書籍購入者に対するテキストデータ等提供に関する環境整備が求められているところです。
 「これまでの取組」について、資料の縦欄、左側ですが、令和2年度は、経済産業省及び出版業界で今後取り組んでいくロードマップ及びアクションプランを策定いたしました。
 具体的には、第11条関係では(3)ということで書いておりますが、サポートセンターの設置、また(4)は電子データ抽出等に関する基準の検討、また第12条関係では(1)総合的なデータベースの構築、(2)といたしましてリフロー形式をはじめとした電子書籍の基準の検討ということを記載しております。このロードマップ及びアクションプランにのっとって、これまで令和3年度、令和4年度と検討を進めているところです。
 2.昨年度の取組内容ですが、電子書籍等の製作及び販売等の促進並びに音声読み上げ機能の利用促進に関する調査を実施しております。
 具体的には(1)電子書籍等の製作ワークフローに関する調査、(2)出版物における音声読み上げ機能の課題調査、(3)検討会の実施、(4)読書バリアフリーに関する普及・啓発活動を実施してきております。
 これまでの成果と達成状況についてです。
 まず、第11条関係の「成果・達成状況」です。
 マル1の該当部分ですが、テキストやPDFデータの受け渡しについては、出版社から利用者までの提供スキームを整理いたしまして、出版社側の窓口となるアクセシブルブックサポートセンター(ABSC)準備会を日本出版インフラセンター様(JPO)の下に設置をいたしまして今年度から正式に発足させ、まずは秋口からウェブサイトを開設し、読書バリアフリーの理解、増進のための広報等を行っていくと伺っております。
 このABSCの取組につきましては、この後、日本書籍出版協会の樋口委員からも御報告があると伺っております。
 また、利用者側の窓口機関については文部科学省、それから厚生労働省とともに3省で協議をして検討を進めているところです。
 今後の取組につきましては、川上であるABSCから利用者側の機関を通して、その先の障害者の方々の手に渡るまでのフローについて3省と関係機関の御協力の下、検討を進めるとともに、ABSCと利用者側の機関とで必要となるデータの保持の仕方であるとか契約等について、出版業界等、関係者及び関係省庁の御協力の下で議論を行っていく予定です。
 次に、第12条関係の「成果・達成状況」等についてです。
 マル2の部分です。
 総合的なデータベースですが、こちらについては近刊情報を一元管理しているデータベースであるJPOの下のJPROについて、このデータベースを改修し、紙の書籍だけではなく電子書籍、オーディオブック等の販売情報まで網羅したものへとしております。
 また、一般利用者の方々が出版情報等を検索できるサイトにおいてもアクセシブル化を行い、視覚障害者の方でもサイトへアクセスし、電子書籍等の販売状況が確認できるようになったものと承知をしております。
 今後はデータベースに登録されるコンテンツの充実を図るということで、出版社の方々への情報提供、プロモーションやサピエ図書館等、外部団体との連携についてJPOとともに検討を進めてまいりたいと考えております。
 同じく第12条関係で、マル3についてです。
 リフロー形式をはじめとした電子書籍の基準について、リフロー型電子書籍やオーディオブックの製作ワークフローの整理、製作における課題の洗い出しを行ったほか、出版物における音声読み上げの状況や課題についても調査を行っております。
 今後は、アクセシブルな電子書籍の作成における留意点等の整備を進めたいと考えております。
 この留意点については、令和5年度は骨子案の検討、令和6年度以降に各社の合意を取るということを目標として進めたいと考えております。
 なお、総合的なデータベースに登録されている電子書籍の点数について、読書バリアフリー法が施行された2019年は21万9,000点、登録点数全体の10%程度でしたが、2023年の7月現在では約51万7,000点、全体の14%まで増えてきていると聞いております。この中には、必ずしもアクセシブルなものとは言えないものも含まれているわけですが、この読書バリアフリー法の一定の成果と言えるのではないかと考えております。
 続きまして、昨年度の当省委託調査の報告書です。143ページ目以降に抜粋をつけておりますが、この中から読者バリアフリー法第11条及び第12条におけるテキスト、PDFといった電子データの提供に関する方向性について述べさせていただきます。
 第12条の書籍購入者へのデータ提供につきましては、2021年度時点では新たな機関の設立を想定しておりましたが、その実現のためには準備だけで多大な時間がかかるということで、著作権法第37条で、既に障害者の皆様のための窓口機能を果たしていらっしゃる特定書籍等製作者に統合するということを想定し、検討を進めてまいりたいと思います。これについては、文部科学省及び厚生労働省とも協議済みです。
 また、第12条におけるデータの提供につきましては、データ提供依頼者が視覚障害者等であることの確認や、ABSCから窓口機関へ提供される電子データについて、データ保持といったセキュリティー対策等を定めた契約を結ぶことも必要となります。
 こうした課題を踏まえまして、ABSCを通じたデータ提供の開始につきましては経済産業省、文部科学省、厚生労働省の3省で協力をしながら点字図書館や大学図書館、公共図書館等既存の特定書籍等製作者である施設とABSC側とでデータ授受に係る検討検証を進めてまいりたいと思います。
 経済産業省からは以上です。
○中野座長 どうもありがとうございました。
 以上で、各省庁等からの御報告は終わりということになります。それでは、ただいまの各省庁等の御説明について御意見をいただきたいと思います。御意見、御質問のある方は挙手をお願いしたいと思います。
 では、まず最初に挙げていただいた宇野委員からお願いいたします。
○宇野委員 日本弱視者ネットワーク、筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野です。
 11条2項及び12条に関連し、質問させてください。
 その質問の前に、障害者側の窓口をどうするかという議論を昨年もしました。そのときに、「ワーキンググループを作るか、関係者協議会を再度開いて当事者を交えて検討したらどうかというような意見を述べました。それに対し、中野座長からは、「検討結果は報告させていただく」というお答えがあったかと思います。
 しかし結局、1年たっても報告もなく、今日を迎えてしまったということです。関係者協議会は、読書バリアフリー法の18条に基づいて設置されています。私たち障害当事者団体も入っています。これは障害者権利条約の「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という理念に基づいています。つまり、当事者も参画して決めていくということが国の会議の流れになってきているわけです。
 せっかく関係者が入って議論していますので、協議会を複数回開くなど、当事者の意見を聞いて会を進めていただくことを冒頭にお願いしたいと思います。
 では、具体的なことについて、9点質問させていただきます。
 1点目は11条2項関連です。図書館が電子書籍製作者になることを想定されているということですが、申請に当たっては地域の一般的な図書館でも申請ができ、電子書籍製作者になれるのでしょうか。それとも、資料には、クラウド上でデータを扱えるなどの技術的な条件のことも書いてありますが、最初の段階からそのような技術的な条件をクリアした図書館だけを受け付けるのでしょうか。
○中野座長 すみません。座長ですが、全部関連していることでしょうか。もしたくさんあるようであれば1点ずつ質疑応答をしても構わないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○宇野委員 11条2項と12条のいずれにも関連はしていますが、まとめて聞いたほうが時間が短くなると思います。
○中野座長 分かりました。では、全部まとめてでお願いします。
 今、事務局から御依頼がありまして、もし可能であれば資料ページで該当のところが分かるようであればお願いしたいのですが。
○宇野委員 ごめんなさい。すぐには分からないのですが、百四十何ページ代だったと記憶しています。
○中野座長 ABSCに関する御質問が今からあと9点と理解してよろしいですか。
○宇野委員 ABSC関連だけではないです。11条2項と12条を具現化するに当たり、ABSCから障害者側の窓口を通して、障害者や図書館にデータが提供されるというスキーム全体についてです。
○中野座長 分かりました。では、続いてお願いいたします。
○宇野委員 2点目です。図書館が電子書籍製作者になるに当たり、各図書館にはICTスキルの差があろうかと思います。例えば、インデザインデータをテキストデータ等に変換することも求められるようですが、それが本当に全国の学校図書館や公共図書館でできるような見通しはあるのでしょうか。
 3点目です。出版社からABSCに様々なデータ形式で提供される想定ですが、その中にPDFも含まれています。PDFには、文字が読み取れるものもありますが、写真のように画像処理されたものもあり、その場合はあまり有益ではありません。画像処理されたPDFは除くとしたほうがよいのではないでしょうか。
 4点目はコストについてです。出版社がデータを変換したり、提出する時や、図書館がデータを変換する際にコストがかかるとは思います。国として読書バリアフリー法第6条に基き、何らかの財政措置をお考えになっていることはありますでしょうか。
 5点目です。ABSCがいろんな依頼やデータを受け付けるに当たり、重複依頼や重複製作を避けるための一元化が構想に盛り込まれているかと思います。一方、学術文献図書については、学生や研究者が、漢字を確認したり、引用したりするときにテキストデータが有用です。そのテキストデータを、国立国会図書館は蔵書として扱っていますが、サピエ図書館は扱っていません。
 しかし、流通の過程の中でサピエに回るテキストもあると思います。それを共有化することも全体のスキームの中では大事なことだと思います。サピエに回ったテキストを共有化していくためにどのようなことを考えてらっしゃいますでしょうか。
 6点目からは12条関連です。
 まず、障害者が本を買ったことを証明するについてです。先ほどちょっとネットのお話がありましたので、ネットに限定されるのかなと思いましたが、仮に紙の本を買った場合は、どうやって購入事実を証明するのでしょうか。恐らく障害者の中には図書館に行くのも困難な人も多数いらっしゃるでしょうから、本を写真に撮って送るということまでも想定されているのでしょうかということです。
 7点目です。障害者差別解消法では、来年4月から民間企業の合理的配慮の提供が義務化されます。またヨーロッパでは2025年からアクセシビリティに配慮していなければ、本の出版そのものができなくなるとも聞いています。
 このような情勢の中、仮に本を買って、図書館に持ち込んだにもかかわらず、テキストデータが入手できないということが起こったら、国はこの事実をどのように捉えることになるのでしょうか。
 8点目です。図書館が最終的に障害者のニーズに合わせた媒体をつくって提供するところまで踏み込んで書いてありますが、例えば点字の場合、変換後に校正までやるということでしょうか。また、テキストDAISYとか拡大写本を求められた場合、それにも対応することを想定されているのでしょうか。
 9点目です。窓口を一本化するということは依頼をまとめるという意味合だと思いますが、それは1週間とか、1か月で集まったものをまとめていくということなのでしょうか。それとも毎日でも構わないので例えば公共図書館ならば日本図書館協会とか、大学図書館ならば国立大学図書館協会、私立大学図書館協会というように、それぞれの所管の図書館の依頼をまとめるという意味でしょうか。
 以上、お願いします。
○中野座長 御質問ありがとうございました。
 今9つの質問をいただいたのですが、それぞれ担当する省庁等でお答えいただけるところはございますでしょうか。主として経済産業省と文部科学省、厚生労働省に関する御質問かなと思います。
○渡邊コンテンツ産業課長 ありがとうございます。経済産業省です。
 第11条と第12条についての御質問いただきまして、全てに対してのお答えではありませんが、まずは利用側の窓口といったようなところについて御意見を頂戴したかと思います。
 昨年度の会議でも御意見を頂戴し、当省の検討会の中でも議論を進めてまいりました。先ほど少し頭出しをさせていただきましたように、利用者側の立てつけをどうしていくか。窓口の一元化をどうしていくかについては、経済産業省としても文部科学省、それから厚生労働省ともよく相談しながら今後しっかりと検討していきたいと思っており、この検討の際には御指摘いただきましたような様々なステークホルダーの皆様の御意見を拝聴しながら検討を進めてまいりたいと思います。
 また、ABSCさんの取組について、例えば画像処理したPDFについては提供するデータから除いたほうがいいのではないかといったような御示唆も頂戴をしたところですが、こちらについても出版者の取組でもありますので、ABSCともよく共有させていただきながら今年度も検討を進めますので、その中で取り組ませていただきたいと思います。
 また、国庫負担の御質問もありましたが、現時点で例えば出版者が電子化する部分とか、アクセシブルなものを製作していくといったところの予算措置を直ちにするということではありませんが、このコストの負担についても出版者も含めて関係者の皆様とよく相談を進めてまいりたいと思っております。
 一旦、以上です。
○中野座長 ありがとうございます。
 文部科学省や厚生労働省のほうからもし補足があればお願いします。
○鈴木障害者学習支援推進室長 文部科学省でございます。
 ただいま経済産業省からも説明がありましたとおり、3省で本件については検討してまいります。特に宇野委員から、具体的にこういう場合どうすることを考えているのですかという御質問を何点かいただきました。これらの点についてもヒアリング等を重ねまして、どうすべきなのかということを丁寧に検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございます。
 厚生労働省からはよろしいですか。
○川部自立支援振興室長 補足しますと、最初に言われたABSC具現化に当たってどういうふうに関係者の意見を聞いて進めていくかということでございますが、これは今日の議題で言うと(3)の「その他」で資料4として新たに提示される予定ですので、その場でも少し議論いただければと存じます。
 それから、予算の話ですが、6条に書かれているのは読バリ法全体のバスケットクローズ上の措置なので、例えば私どものサピエであるとか点字図書館運営費、もろもろを含むので、このABSCそのものを取ってすぐここに6条を書いているからと、当然この6条の概念の中に含まれますが、これはまず制度としてしっかりスキームをくみ上げてからの人、それから物の予算措置ということになりますので、フェーズとしてはもうちょっと後かなと考えています。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 宇野委員、今、御回答がありましたが、回答が足りないところ等ございますでしょうか。
○宇野委員 これから検討というところが多かったですけれど、11条2項の具現化については図書館にテキストが手渡るというのが法律の趣旨でした。ですので、その図書館自体が電子書籍製作者になり、その役割を担うという考え方は理解できます。
 ただ、その際にWordファイルやテキストは汎用性が高いので問題ないと思いますが、InDesignやEPUB、PDFデータをそのまま図書館に渡しても、テキストへの変換に苦労するのではないかと思います。
 図書館とABSCの間に電子書籍に詳しい機関に入っていただき、出版者から提供されるデータを使いやすいデータに変換して渡すようにしないと、現場の図書館は困ってしまうのではないかなという気がします。
 それから、提供されるデータは、国会図書館に蓄積されるような仕組みを目指すべきだと思います。先ほどお話があったとおり、国会図書館は1968年くらいまでの本のテキストをデータベース化してきています。出版者から図書館を経由して障害者に渡る途中のテキストも国会図書館のデータベースに加えていっていただきたいです。そうすればひょっとすると国会図書館がOCRでの読み取りにかけているコストを、変換やデータ提供にかかるコストの補充に充てられるかもしれません。最終的には蓄積されたデータが多くの障害者に供与されていくという制度設計が大事ではないかと思います。
 それから、12条のデータ販売に図書館が関わるというのは果たして本当に現実的ですかというのが私の疑問です。これについては図書館関係者の御意見を伺いたいです。
○中野座長 今、追加の御質問がございました。これはまだ検討されている最中であるということが最初の御説明にありましたが、現時点で図書館が関わるということについて、図書館、それから今日参加していただいている国会図書館も今、御質問の中に含まれておりましたので、もし何か御意見等がありましたらいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 では、佐藤委員お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。日本図書館協会の佐藤です。
 正直言って、ちょっと驚いているということをまずお話ししておきたいと思います。
 初めに、経産省の方に今の関連で質問させてください。最後のところで、製作する図書館や点字図書館などを窓口にするというような発言で、そのような方向で3省で今、検討していると聞きましたが、これは具体的に私どもに何を求めているのか、今は何も私どもは聞いていない中で非常に驚いています。まずそれが1点です。
 それから、宇野委員の今の質問と関係があるのですけれども、11条に関して図書館や点字図書館が資料をつくるに当たってテキストデータなどをもらいたい。それで、37条の資料をつくる材料にするということが11条の趣旨だと思うんですけれども、それについて私どもが積極的に関与していくのは全く問題ないというか、まさにそのとおりだと思っています。
 ところが、12条のほうで、例えば視覚障害者等が図書館に本を持ってくればそれをテキストデータにしてくれるというような、各地域の図書館が窓口でいろんなデータ変換を全部やってくれるというようにもし3省がお考えになっているとすると、それは簡単に言われては困るような話なのですけれども、12条の個人の利用者に対する問題も図書館や点字図書館に求めているのでしょうか。
 日本図書館協会の立場としては、まずアクセシブルな電子書籍を出すことによって誰もが使えるものを提供していきたい。それは図書館のシステム、電子書籍もそうだし、販売もそうです。それでなかなかできない部分を37条3項で点字図書館や公共図書館がつくろう、大学図書館がつくろうと考えているわけです。それがまさにこの基本計画にもある両輪だと思うのですけれども、この辺のすみ分けはちゃんと理解されているのかをまずお願いいたします。
○中野座長 今、宇野委員に対するお答えプラス新たな質問というものをいただきました。今、新たにいただいた質問については後回しとさせていただいて、国会図書館の小澤さんのほうから今の件に関して何か御発言ございますか。
○小澤企画課長 国立国会図書館の小澤です。
 本件については、先ほど御報告にもあったように3省の検討で今後のデータの受け渡しの具体的なことは詰まっていくところだと思います。宇野先生がおっしゃった、各図書館で製作されたデータについて、最後は国立国会図書館で蓄積というところについては、当館は現時点で音声データ、テキストデータ等、各館が製作したアクセシブルなデータについて、各館と個別に取り交わしをして収集し提供するということをしております。権利処理等がなされ、当館の視覚障害者等用データ送信サービスで提供できる形にしていただけるのであれば、そしてそのようなことが求められるのであれば、当館で収集し提供するということを引き続き行っていきたいと思います。そういうことも含めて、今後3省の中で検討されて結果はどうなるかによるのかとは思います。コメントとしては以上になります。
○中野座長 ありがとうございました。
 まず宇野委員から今、御質問いただいた図書館からの御回答に関してはよろしいでしょうか。
○宇野委員 はい。
○中野座長 ありがとうございます。
 では、佐藤委員から今、御質問が追加であったわけですけれども、その点につきまして先ほどの御説明ではこれから検討するということではあったのですが、今の時点で何か御回答があるようでしたらいただきたいと思いますが、厚生労働省からですか。
○川部自立支援振興室長 直接的な御説明になるかどうかは分かりませんが、恐らく国会図書館も図書館側としても何でこんな宙ぶらりんになっているんだろうということでバックグラウンドを説明申し上げますと、基本的に省庁側が、例えば厚生労働省だったら身体障害者福祉法とか、総合支援法とか、介護保険法というのは第何条1項2号にはこういうことを書きますということで、既に予算と政策ラインが集まって内閣法制局で協議して詰まるんです。だから、皆さんの御疑問に対してもこういうふうにやりますとびしっと答えられるのですが、今回議員立法で理念的な11条、12条が書かれているということで、各省、各庁がどういう人員に対して予算体制でやろうということがまだ未定なんです。
 ですから、今の回答においては、今後検討してフィージビリティーを詰めていくということは皆さんからするとすごくもどかしく聞こえるかもしれないのですが、各省庁が責任を持ってこの1項1号とか、2項1号とか、そういうところの政策の予算的な裏打ち、人の裏打ち等が未定のまま成立していまして、それが成立した以上、各省共管になっていますので、人と予算を集めて真剣に取り組んでいくということですから、どうしてもそこら辺のフラストレーションが皆さんにたまっているのではないかなと思います。法律の成り立ちのバックグラウンドが違うので少し実質の施策が遅れぎみになっているということで理解いただければと存じます。
○中野座長 ありがとうございました。
 これは、本来は議題3のところで議論をするために資料も御用意いただいていたのですけれども、議題3に関係することを今、先立って議論をしていただいた形になっております。それで、今の御説明でありますと、これはあくまでもこういうことを今後検討していくということで、勝手に進めていくということではありませんし、これから当事者の皆さん及びそれぞれ関係する製作者等とやり取りをさせていただきながら決めていくというような御説明であったかと理解しております。
 宇野委員、よろしくお願いします。
○宇野委員 今、議員立法というお話がありました。立法過程に関わった立場から言いますと、確かにこの法律は内閣立法ではなく、議員立法です。しかし、立法過程の中では、関係する省庁の方にも出席していただき、それぞれの担当の御意見を伺いながら、議員連盟の方が国会に提出されたという経緯があります。省庁が何も知らないところで国会議員の先生がつくったという説明はちょっと違うかなと思います。
○川部自立支援振興室長 そこは説明が足りないのですが、基本的には私たち側が政策提言で法律を出すときは内閣法制局に持ち込むんですね。法制局の作業はそこはやられましたか、やっていないですか。
○宇野委員 これは、参議院法制局ですね。
○川部自立支援振興室長 いえ、内閣法制局です。
○宇野委員 そこは知りません。
○川部自立支援振興室長 それで、法制局というところがそういうところをぎりぎり詰められるので、私たちも当然議員立法であると、ヒアリングでこういうことを書いて問題ないかというオーケーを出していることは否定しませんが、政策立案から言っている法律とは法制局という壁を越えるか越えないかで中身の粒度がちょっと違うということは、本当に事務的な話なので御理解いただくのは難しいかもしれませんが、少しそういう裏事情もあるということでございます。
○宇野委員 この法律は多くの省庁にまたがるという理由で議員立法になってたという経緯もあります。また国民からすると、内閣立法であれ、議員立法であれ、法律は法律です。法律の理念は粛々と進めていただくという方向でお願いしたいと思います。
 12条に関連して、先ほど佐藤委員の質問にもありましたが、なかなかこの案は厳しいと思います。一方、資料には、別組織を立ち上げるのに多大な時間とコストを要するから云々と書いてありますが、恐らく障害者用の電子書店みたいなもを立ち上げ、障害者が買えるテキストデータ一覧みたいなものができればうまくいくのではないかと私は思うんです。この案は話をかえって複雑にしているのではないかというのが私の感想です。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございます。
 いろいろ今回の法律の成り立ちはありますが、私たちメンバーが目指していくところはアクセシブルな書籍を増やしていくということでございますので、いろんな壁はあるかと思いますが、ここでしっかりと意見を出していただきながら、すり合わせをしながら目標に到達できるように、それぞれが歩んでいけるとよいかなと思います。
 今アイデアを出していただいたわけですが、これはすぐにこの案のとおりに進めるということではございませんので、これからしっかりと議論をしながら進めていくということで御理解いただければと思います。
 それでは、ほかに御意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三宅委員、お願いします。
○三宅委員 日本視覚障害者団体連合の三宅です。
 恐らく厚生労働省さんにお伺いすることになると思います。資料の1ページから始まる基本計画の策定のところです。過去にわたって各自治体、都道府県、政令市、中核市の基本計画の策定状況というのを調査されて資料としてここに提示されております。いまだに実施する予定もなし、未定というのが5都道府県ある。政令市に至ってもまだ数件あるということで、全然この数字が減らない。
 ここに関しては、私たちもそれぞれの各都道府県の団体を通じて必要ならば強い呼びかけをしようかとは思うんですけれども、こういったところは今、数字でだけ公表されておりますが、具体的な県名とかを挙げていただくということは何かの形で可能なのでしょうか。それを教えていただきたいと思います。
○中野座長 では、厚生労働省から御回答をお願いします。
○川部自立支援振興室長 今のところ都道府県は公表していませんが、もしどうしても強い要望で公表ということになると、個別の5県に公表していいかという確認を取る必要があるということと、公表する前提で令和5年2月1日データというのは集めていなくて、要は都道府県名をさらしますよという前提で調査をかけていないので、そこの調整が必要になるということです。今のところ、できないこともないけれども、かなり調整を要することになると思います。
 申し訳ございませんが、訂正がございます。
○冨原自立支援振興室室長補佐 事務局でございます。
 今回の資料では数字だけ出しておりますが、別途厚労省と文科省のホームページ上でどの自治体が策定しているかどうかも含めて公表はしております。
○三宅委員 三宅です。ありがとうございます。
 私のホームページの見方が悪かったせいだと思いますけれども、ここの相変わらず実施する予定がないと言っているところは、既に計画策定をしてくださいというふうに促されてから4年たつわけですけれども、理由は変わらないという状況ですか、それとも何がしか違う理由がこの5都道府県なり政令市のほうから言われているのでしょうか。
○中野座長 厚生労働省から御回答をお願いします。
○川部自立支援振興室長 今、アンケートの資料を見ますので少々お待ちください。今、画面に出します。
 あまりクリティカルな表現はないのですが、例えば障害者団体等関係機関と調整中であるとか、障害者施策その他の計画の策定や見直しを踏まえ検討、要は検討していますという理由で進んでいないということなので、私どもの反省としましては、少しお尻のたたき方が甘いのかもしれませんが、頑張りたいと思います。
○中野座長 三宅委員、お願いします。
○三宅委員 ありがとうございます。
 なかなか言いにくいということも重々理解ができました。障害者団体とも協議中というふうな回答もあるということで、そこは相変わらず過去と変わっていないなという気がするのですが、実際に各団体に問い合わせ、その事実も確認した上で強く働きかけるべきところはかけていこうと思いました。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございます。
 今ホームページ上には情報を掲載してあるということなのですが、やはりちょっと分かりにくい場所にあるようでございますのと、それから表形式になっているためにスクリーンリーダー等でアクセスするのは少しハードルが高いかと思いますので、ここはもう少し分かりやすいように今後改良していただけるとありがたいかと思います。
○川部自立支援振興室長 かしこまりました。御指摘ありがとうございます。
○中野座長 それでは、藤堂委員、近藤委員の順番で御意見をいただきたいと思います。
 では、藤堂委員お願いします。
○藤堂委員 ありがとうございます。藤堂です。遅れて来て申し訳ありませんでした。
 当事者団体としていくつか伺いたいことがありました。報告の中からなのですけれども、調査をなさったということで、これは近藤先生のところで学校図書館でどんなものがあるかという調査をしてくださったというので、報告書には特別支援学校と、学級のある学校でというふうに書いてあって、近藤先生はそうでない通常学級だけの学校でもというようにちょっと聞こえたのですけれども、それはどちらが正しいのかということと、やはり通常学級の中にこのディスレクシアというのは人数的には人口の10%、8%いると言われているにもかかわらず、今回の読書バリアフリー法だけではないんですけれども、名前の書き方が視覚障害者等に全部まとめられてしまっていて、大多数である私たちのことが忘れ去られているなということを感じるので、まず1つはそこら辺を今後も多分通常学級の中で進められるのだろうなということを考えました。
 次に、関連して養成学校で司書さんとかのカリキュラムの中にこういうことについての勉強というのが単位として入っているということなのですけれども、その中にディスレクシアの人たちに関してというのはどういう位置づけで入っているのかなというのがすごく気になるところだというのが1つです。
 あと1つだけですが、国立国会図書館で登録してあればみなサーチとか使えるということが言われているのですけれども、ディスレクシアの人のほとんどは診断書を取れません。障害者手帳も取れないような人が多いんですけれども、私たちは本当に登録ができるのかということと、みなサーチの説明会を関連団体に語りかけて行ったというのですけれども、私はこれまでいただいたメールとか調べたのですが、一つもいただいていないのです。そこら辺のところは初めに宇野委員からもおっしゃってくださったんだけれども、やはり当事者の声をもっともっと聞いてほしいなということを踏まえてこの質問をさせていただきました。
○中野座長 ありがとうございます。
 では、まず最初の御質問は実際に調査をされた近藤委員からお答えいただくのがよいのではないかと思いますので、学校図書館等の調査で通常の学級についてはどうであったかという点について御回答をお願いします。
○近藤委員 簡単にお答えいたします。
 具体的な手続としては特別支援学級、それから通級指導教室設置校長会を通じて、その学校に対しての調査を行っておりますので、通級指導教室は通常の学校の中にありますし、特別支援学級も当然通常の学校の中にありますので、通常の学校を対象としている学校図書館、学校図書室が対象となっている。つまり、ちょっと私の説明が悪かったらおわび申し上げますけれども、通常の学校が対象になっていると考えていただいて結構かと思います。
 ただ、調査対象はいわゆる設置校長会を通じて依頼をしておりますので、あくまでも設置校に対しての調査となっております。
 以上です。
○中野座長 それでは、2番目の司書の養成学校のカリキュラムについてですが、文部科学省からお願いします。
○毛利図書館・学校図書館振興室専門官 御質問ありがとうございます。
 司書と司書補講習については、「障害者サービス」というような形で入れていますので、細かい内容は講習実施機関によって異なるのですけれども、学校図書館司書教諭講習の方は、事例としまして、取り上げている講習実施機関の中では、例えば学校図書館メディアの構成という科目の中で学習障害のある児童生徒への支援ということで、ディスレクシアも含めてそういった障害がある方に対する支援の在り方というものを、講習の中で取り上げているということはございます。
 他の機関でも、一つの障害の種別への対応だけではなく、マルチメディアDAISY等の多様な図書・資料を取り上げたりといったところは、事例として承知しているところでございます。
 以上です。
○藤堂委員 必修にしていただきたいですね。
○中野座長 最後に3番目の質問、国立国会図書館でディスレクシアの人が登録できるのかということですが、小澤課長お願いします。
○小澤企画課長 ありがとうございます。
 当館の視覚障害者等用データ送信サービスは、「視覚障害者等」となっていますが、プリントディスアビリティを持っている方については利用可能です。活字による読書が困難であることが確認できる書類として提出いただくものとしては、診断書が多いのですが、ほかに例えば障害児であれば学校の先生に書いていただいた書面などを提出いただくことも可能です。診断書以外のものでも可能ではありますので、そのあたりは個別にご相談いただければと思います。また、別の書面でという要請がありましたら検討していきたいと思います。
 あとは、当事者の声を聞いていくという一般的なところについては、これまでにも、具体的には一昨年度の調査等においても、視覚障害者等、身体障害者等、または発達障害の方の団体から御意見を伺ってきました。当事者のご意見を伺うということを、我々は今後も引き続き行っていきたいと考えています。
 
○藤堂委員 問い合わせるという前に、どこかで公表していただけませんか。
○小澤企画課長 その点については、当館のホームページ上の「視覚障害者等用データ送信サービスの利用者登録について」というページで御案内しております。そのページで、診断書等、身体障害者手帳等に加えて、学校若しくはその学校の教職員により作成された書面等も受け入れることについても、御案内しておりますので、御覧いただければと思います。
 あとは、1点回答が漏れておりましたが、説明会の周知についてはこの関係者協議会の委員の方が登録しているメーリングリストを用いることも可能と考えています。これまでも当館のイベントで案内していただいたこともあります。事務局の文科省、厚労省とも相談して、今回の説明会は確かに御案内し切れていない部分もあったと思いますので、今後は障害当事者の団体含め十分行き渡るように関係者協議会のメーリングリストも活用させていただければと思います。
 以上でございます。
○中野座長 藤堂委員、よろしいでしょうか。
○藤堂委員 はい。
○中野座長 ありがとうございます。
 では、近藤委員お待たせいたしました。よろしくお願いします。
○近藤委員 よろしくお願いします。近藤です。
 先ほどのABSCと、あとは各種図書館と11条、12条関係で宇野委員が質問されていたところについて私も1点だけお願いがあります。今後、各省庁で調整を進められるということで、ぜひその調整の際の観点として含めていただきたいことがございます。
 それは、いわゆる当事者の方から本を読みたいという申請があって、最終的にその当事者の方にテキストデータなり何らかの形でアクセシブルなものが届くというところまでの時間を考えるということを入れていただきたいんです。
 というのは、例えば米国教育法の中ではそのアクセシブルな教科書、もしくは資料、文献等が届くというところにはイン・ア・タイムリー・マナーという言葉が必ず入っていまして、時宜を得た形で届くということですね。そのことが含められています。やはりどこでどれくらい時間がかかるのかという観点をその調整の中に含めないと、枠組みとしては例えば図書館から提供されるということになったとしても、その資料が届くのが1年後であるとか、そういったことはよく起こりがちで、現在でも恐らく図書館でのアクセシブルなテキストデータ等の提供というのは年単位で待つということが一般的になってきていると思います。
 この時間がどれぐらいかかっていくのかを見ていくということは、調整の上では必ず検討に入れておいていただきたいと思います。特に学術文献、それから学習等に関わるものに関しては来年になってしまうともう要らなくなってしまうといったようなこともどうしても生じてきてしまいますので、このタイムリー・マナーで時宜を得た提供をするという観点が実際どれくらい可能なのかという時間的経過については、その御調整の観点の中に必ず含めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○中野座長 ありがとうございました。これは、御要望ということで承りました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 宇野委員から今、手が挙がっていますが、ほかにはよろしいですか。
 では、宇野委員お願いします。
○宇野委員 読書バリアフリーメタデータ共有システムについて3点質問です。
 1点目は、国立国会図書館の「みなサーチ」のように、通称や愛称を考えて、分かりやすくするというのはいかがでしょうか。
 2点目です。昨年10月から運用が始まっていたということなのですが、実は私の学校の進路指導担当に聞いてみました。進路指導は、生徒が受験する大学と事前に交渉をするんですが、逆に大学側から教材保証をどうしたらいいか分からないというような相談を受けることもよくあります。
 しかし、いくつかの大学と交渉した時に、メタデータ共有システムができたという話は、どの大学も知らなかったということです。そこで例えば、リーフレットがあれば、学校側から大学に持って行って、啓発することもできると思います。リーフレットは一案ですが、もう少し周知、啓発を効果的に進めていただけないものでしょうか。
 3点目です。国立国会図書館との連携について、先ほど小澤課長から、来年から国会図書館のデータベースとの統合を進めるというお話もありました。これが進めば基本的には各大学間でやり取りしなくても、国会図書館のデータベースからダウンロードできるようになるという理解で間違いないでしょうか。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 今のメタデータについてですが、まずは文部科学省から御回答いただいた後に国立国会図書館に御回答いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田参事官補佐 文部科学省研究振興局情報参事官付の吉田と申します。
 御質問いただきました、みなサーチとの連携に関しましては、まだ運用が始まった状況ですので、今後いただいた意見を踏まえまして連携を考えていきたいと思います。同様に、リーフレットに関しましてはまさに普及啓発という観点では特に重要だと思いますので、リーフレットの活用に関しましてもNIIと相談しながら検討を進めさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○中野座長 文科省からは以上で大丈夫ですか。
 愛称も考えてもらえるといいのではないかという御意見もありましたので、今後参考にしていただければと思います。
 では、小澤課長お願いします。
○小澤企画課長 国立国会図書館の小澤です。
 NIIのメタデータ共有システムについては、先ほど申し上げたとおり、みなサーチの本格稼働をするところから連携させていただければと思っておりまして、メタデータをメタデータ共有システムから提供いただいて、当館のシステムで検索可能にするということを実現するために、今、実務的な調整を行っているところです。
 当館のシステムでメタデータがヒットしたら、NIIのシステムに遷移できるという連携で、NIIのシステム側で当該のタイトルがどの大学にあるかという所在が分かるというころになるかと思います。そこで所蔵している大学の連絡先が分かるので、後は各大学とやり取りすることになるというもので、そのままダウンロードできるというものとは異なるという認識です。どの大学にどういうアクセシブルなデータがあるかということについては、連携が成立した暁には、当館のシステム側でも分かるようになります。
○中野座長 ありがとうございます。
 座長の中野から補足で、理解を推進するために質問させていただきますが、完全な書籍のデータがそろった場合には基本的にはもう国会図書館のみなサーチで検索できるものとして、連携館であればデータを提供されるというふうに理解してよろしいわけですね。
 それで、大学図書館がこのメタデータのサーチの中で持っているものというのは、私も生涯学習支援室のメンバーなので、本一冊ではなくある単元だけとか、部分的なデータを用意して提供した場合というのはなかなか国会図書館のほうに登録するというのが難しくて、授業の中でも本一冊丸々を使うということはそんなに多くはなくて、ある部分というのを使っていきますので、各大学でつくったものを各大学が持っていて、それをこのメタデータの共有システムの中で共有して利用しているというのが現状ではないかなと理解しています。私どもの大学でも一冊丸々のデータ化が完了した場合には国会図書館に提供し、そうでないような場合にはメタデータ共有システムを使うというような考え方にしているのですが、その辺りの整理はいかがでしょうか。
 では、小澤さん。
○小澤企画課長 ありがとうございます。
 文科省から答えるべき御質問かとも思うのですが、まずは当館の理解を申し上げます。中野先生がおっしゃったとおりで、読書バリアフリー法対応メタデータ共有システムは、大学等で製作した視覚障害者等用データのうち、当館の視覚障害者等用データ送信サービスには登録されないような断片的なもの、未校正データ等を登録して所在情報を共有するシステムであると認識しております。
 そのシステムとメタデータレベルで連携するということは、先ほど申し上げた通り進めていますが、それとは別に、断片ではなくなったデータ等を、当館の視覚障害者等用データ送信サービスに登録していただければ、つまりデータレベルで連携すれば、そのデータについては当然当館の視覚障害者等用データ送信サービスにおいて利用可能となります。そして、当館のシステムの検索結果一覧上では、それぞれが別のデータとして見えることになります。
 
○中野座長 ありがとうございます。
 文部科学省様から、補足はございますか。よろしいですか。
○吉田参事官補佐 御説明いただいた内容で問題ございません。
○中野座長 ありがとうございます。
 私も障害学生支援室をやっている立場からすると、図書館と障害学生支援室が必ずしも深い連携をしているわけではないところがあって、今、宇野委員から御指摘があったように、支援室に聞いたときに支援室がNIIの話を、まだ始まったばかりというのもあるのですが、知らない可能性があるというのは、学内での支援室と図書館との連携という部分も一つの課題かと思っております。
 近藤委員と一緒にやらせていただいているAHEAD JAPANでは、そういった問題というのを解消するために、毎年、読書バリアフリーに関する分科会を開催させていただいておりまして、今年度も今のような国会図書館の利用の仕方やNIIの利用の仕方というものを生涯学習支援室のメンバーの方々に理解していただくための推進活動というものを実施させていただくところでございます。こういったことも、実際の現場で障害のある人たちがデータにアクセスするときには多分必要なことかと思いますので、今後推進できるとよいなと思いました。座長の立場で補足をさせていただいて失礼いたしました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 日本図書館協会の佐藤です。
 先ほどの話の補足をさせていただきたいのですけれども、アクセシブルなデータは誰が提供するかという責任の所在をきちんと考えるということが大切だと思っています。例えば、12条に対してはアクセシブルな電子書籍を発行するというのが最大の目標なわけです。それができるまでの間、出版社からテキストデータなどの障害者が使えるものを買った人には提供しましょうね、そういう努力をしましょうというのが12条の考え方だと思います。
 それは、どこに責任があるのか。それと、例えば今、話題になっている大学や学校などにおける障害を持つ子供たちがいて、その子供たちが教科書とかが例えば点字なり、テキストなり、DAISYなりになっていなくてうまく利用できない。そういうときに、では誰がその教科書を何とか子供が使えるようにするのか。それは学校に責任があるわけです。学校の教科書に関しては、第一義的には学校の先生たちに責任がある。それで、学校の先生としてそれを例えば出版社なりにお願いしようとか、そういうふうになっていくんだと思います。
 ですので、先ほど3省で検討中という話をされていましたけれども、点字図書館や公共図書館だけではなくて学校図書館など、それを提供する義務があるところはどこなんだというのをきちんと考えていただきたいと思います。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 今回御用意いただいた図の中には学校図書館も含まれておりますので、これはあくまでもまだ今回の議論のための参考資料ということで今後議論することになりますが、今、佐藤委員から御指摘のあった点は非常に重要かと思います。
 経済産業省から、今の点について御回答はございますか。特に前半のアクセシブルな電子書籍が出ることが最も大事なのではないかという御指摘が最初にあったのですが。
○渡邊コンテンツ産業課長 まさに御指摘どおりかと思っております。最初の御説明がそういう意味ではよくなかったのかもしれませんが、御指摘いただいた点も含めて文部科学省と今後どのような形でABSCと利用者の方々をつないでいくことがあり得る形なのかというのはしっかりと検討してまいりたいと思います。
○中野座長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
○佐藤委員 お願いします。
○中野座長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 議論が大分長くなってしまいましたが、今ちょうど5時になったところでございます。ここで5分ほど休憩を挟ませていただいて、残りの議論をさせていただきたいと思います。短い時間で申し訳ありませんが、5分間の休憩とさせていただきます。5時5分から開始したいと思いますので、よろしくお願いします。
 
(休  憩)
 
○中野座長 それでは、再開をいたします。
 引き続き、議題1について本協議会の構成員の皆様からも資料を提出していただいております。資料2に基づいて、各委員から説明をお願いしたいと思います。こちらから指名させていただきますので、それぞれ簡潔に御報告をお願いできればと思います。
 それでは、最初に日本弱視者ネットワークの宇野委員お願いいたします。
○宇野委員 資料のとおりですが、この3月に文字活字文化推進機構の主催で、「学校図書館と読書バリアフリー」というテーマで、専修大学の野口先生と私がオンラインで講演しました。私からは「学校図書館と著作権」というテーマでお話をさせていただきました。
 それから、昨年9月にモハメド・オマル・アブディンさんというスーダン出身の視覚障害者と対談し、日本の読書バリアフリーの事情を分析し、将来の望ましい読書の在り方についてオンラインで多くの方に聞いていただきました。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 続きまして、全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎委員お願いします。
○川崎委員 全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私どもは、サピエ図書館を運営するという立場で活動させていただいております。書かせていただいたとおりなのですけれども、サピエの運営委員会ということで、サピエもこれだけ大きな存在になりまして皆様のインフラとして本当に定着をしてきました。
 このサピエの在り方について広く御意見をいただく場として、会社の方針でいうところの評議員会的なものをつくりたいということで2021年度からつくったものなんですけれども、当時者団体の方にも多く参加をしていただきながら、また国立国会図書館の皆さん、それから厚生労働省の皆様にもオブザーバーで参加をしていただきながら、このサピエに関してどうあるべきかというのをやらせていただいております。かなりいろいろな御意見をいただいて、私どもこれからの運営に役立たせていただいております。
 それから、ずっと懸案だった学校図書館ですね。全国盲学校長会の山岸先生にも今回全視情協の理事としても参加していただきまして、この運営委員会にも今回はご都合で参加できませんでしたが、今後、校長会として参加いただけるというのは非常に大きなことでございました。
 あとは、成果のところで書かせていただきましたが、学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアムのシンポジウムに参加させていただきました。近藤先生、ありがとうございます。こちらでサピエの紹介させていただきまして、非常に多くの方に御覧いただきました。
 それから、地域の公共図書館に対するサピエの研修会事業というのは厚生労働省の補助金が増額されたことによってできた事業なんですけれども、全国で7道県、11か所、53館、合計246名の方に受講していただきました。
 成果として22施設の純増ということで、公共図書館は3月末で255館です。この四半期を過ぎまして、6月末で公共図書館265館と、さらに10館増えております。個人会員もおかげさまでこの6月末で2万人を超えまして2万156名、それからB会員、いわゆる視覚障害以外の障害を主とする方が6月末で726名ということです。
 ただ、このB会員という方たちが増えてこないので、ここは公共図書館の皆さんをはじめ、皆さんの御協力をまだまだいただきたいところでございます。本当にここが伸びてくれば、またサピエもさらに使っていただけるということです。
 サピエ図書館の推移に関しましては、コロナ前とコロナ後のちょうど2019年3月と2023年3月の比較をここに挙げさせていただいています。また、添付資料でサピエが誕生した頃からの1年ごとの推移のデータを挙げさせていただいておりますので、こちらも御覧いただければと思います。非常に順調に伸びていることがお分かりかと思います。
 ただ、ちょっと私ども残念だったのが、この関係者協議会の資料なんですけれども、こうやって墨字で出ている資料と、テキストデータで提供されている資料で、テキストが推移表も2011年3月の部分と2023年の3月部分だけが抽出されていたりとか、かなりそういう意味では原本同一性が保たれていないところがあって非常に残念なところがあります。せめてこういう関係者協議会の資料から情報提供がちゃんとした形でなされればいいなと私たちは考えております。
 先ほどいろいろ御議論にもなりましたけれども、このアクセシブルな電子書籍、データに関しては、私たちも先ほど日図協の佐藤聖一委員がおっしゃったように、全視情協としてもまずはアクセシブルな電子書籍が出版されることが第一義と考えております。
 その中で、できない部分を私たちが培ってきた点訳、音訳の技術の中で補っていくというのが本来の筋かと思っておりますので、ぜひここを今後進めていければいいかと思います。私たちもアクセシブルな図書(情報)を提供する立場として頑張っていきますので、どうぞ今後ともよろしく御指導いただきたいと思います。ありがとうございました。
 以上です。
○中野座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本図書館協会の佐藤委員お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。日本図書館協会の佐藤です。
 資料を見ていただきながらと思いますが、実は先ほど三宅委員の御質問にあった部分の回答になるかもしれないのですけれども、日本図書館協会では地方自治体において読書バリアフリー計画を策定するための指針というものを時間をかけて作成して、4月1日に発表しました。
 これは、今日文科省の統計などの数字が発表になっておりましたけれども、なかなか読書バリアフリー計画の策定が進まない。それを何とかするために、実際の策定方法を具体的に示し、また中身の例というか、こういう内容でこういうふうに書いていくんですよというのを示したものです。
 それで、なかなか策定が進まない理由として私どもが考えているのは、要するにこの関係者協議会がそうであるように、例えば厚生労働省と文部科学省、またはほかの省庁の方々が一緒に事務局をされているわけですよね。つまり、これが地方自治体においてなかなか難しいわけです。簡単に言うと、福祉部局と教育部局が連携しないとこの計画はつくれません。ですので、多分そこの連携に各自治体がなかなか手こずっている。そういう体験があまりないからだと思います。まさに、国が努力されている部分を地方にどうやってお知らせできるのかというところがなかなか進まない理由なのではないかと思います。
 それを何とかしようということで、私どもはこの指針を考えてきました。指針の内容は少し長いので全部の説明はもちろんできませんけれども、まずは第1章で計画策定の意味であるとか作成のための体制づくり、どんな組織でどういうふうにつくるのがいいんだということや注意点などをまとめて概括しています。
 それで、大切なことは都道府県がつくらないと駄目だということです。政令市などでつくっていただいているところもあるわけですけれども、まずは県全体としないとネットワークが組めないんですね。例えば、点字図書館などのネットワークや学校図書館のネットワークなど、いろいろ考えていくと、県として計画を策定しないと、それがないと市町村はつくれないと思います。ですので、私どものこの指針ではまずは都道府県がつくれるようにということを念頭に置いています。
 実際、第2章で、こういう内容で目次はこんな感じで、こういう内容で進めて書いていってくださいねというのを示しています。
 それから、そのほかに市町村が策定する場合の留意点ということで、市町村が作成する場合はこれのほかにこういうところを考えてねというのを書いてあります。それで、この指針を公表、PRしていくためにはどういう工夫が必要であるかというようなことも書いています。
 今、厚労省さんや文科省さんの御協力を得て多くの自治体にこれを発表していただいていて、非常にありがとうございます。私どもは、これを今年度いろいろな研修会などで発表していきたいと思っております。
 それから、2つ目として障害者サービスを実施していても、満足のいく実績がある館が2割もないという実態調査の報告があります。それを受けて、公共図書館の障害者サービスの基準みたいなものを発表いたしました。こういうことをやってくださいよというのを具体的に示したものです。
 それから、その次として、私ども本として障害者サービスの基本書であるところの『図書館利用に障害のある人々へのサービス』の補訂版を墨字、印刷版で発行していたところなんですけれども、それのアクセシブルな電子書籍版を刊行しました。これは、ある意味、鍵のかかっていないオープンなEPUB形式になっておりまして、そういう形のものを発表しています。
 それから、日本図書館協会が主催する研修会やセミナー、著作権などのセミナーなども含めて、いろいろな研修会を実施してきました。これは、国立国会図書館と共催で行っている先ほどの研修会もあります。
 それから、全国の図書館や学校図書館などから様々なサービスに対する質問が来ておりまして、それについての対応、それから講師の紹介や依頼、私ども各地に障害者サービスを行うための研修会などに行ったりしております。
 それで、今日のお話の中にありましたけれども、関係者協議会の皆さん方が行っている検討会がございます。そういうところに委員を出して一緒に検討に参加している。それで、この検討会では先ほどの国会図書館のガイドライン、電子書籍ガイドラインもそうですけれども、そういう結果としていろいろなものが出されていて非常によかったなというか、内容あるものになっていると思います。
 最後に、この問題点ということです。ここが問題なわけですけれども、引き続きこれらの研修会を実施したり指針などの普及に努めていきますが、まず私どもがサービスを行っていて問題だと思っているところは2点あります。
 多分、今日の会議に御参加の方は皆さんが、視覚障害者の読書環境をいかによくしていくか、そのための課題を考えて何とかそれを乗り越えていこうとお考えになっているわけです。
 ところが、全国の自治体ではそう考えていない方が結構たくさんいらっしゃるということが分かります。それは、福祉の日常生活用具の給付事業などを見ていると非常によく分かります。要は、規則どおり、文字に書いてあるとおりしかできないと思っている方がいかに地方自治体の職員に多いことか。厚労省さんでは文書を出して、積極的に必要な人に必要な給付をという文書を出されているという話を伺っていますけれども、残念ながらそのように考えていただいていない自治体職員が非常に多い。いかにやらないようにするか。
 ちょっと事例を話すと、埼玉県のある市の利用者で、重度の寝たきり状態の障害者の方で視覚にも障害のある方がいました。視覚障害は1級、2級ではないのですが、1級の肢体不自由なので恐らくもう寝たきり状態ですよね。
 その方が図書館のほうで録音図書を聞きたいということで、ではぜひDAISY再生機を給付してもらうように市役所に相談してみてくださいと言ったんです。そうしたら、結局支給できないと言われたんですが、それがなぜか図書館にも電話が来るんです。
 そういうことを利用者に言っては困りますよねということを我々に安易に言っているわけです。要するに、積極的にここの紙に書いてあることしか給付できないと思っている職員が非常にたくさんいるということです。これは、何か解決策を取ったほうがいいと思います。
 それからもう一つは、第四種郵便物盲人用録音物の問題です。これは本当は視覚障害者以外の人に、例えば寝たきりの人とかに拡大したいと思っているわけですけれども、拡大どころではなく、今までの認可そのものを日本郵便がなかなか認可してくれない。3回も4回も突っ返されてくる事例が出ています。
 これは、今の制度さえも前向きにやろうとしていない人がいるのではないかということが分かっておりまして、課題として私が言いたいことはまず職員個々の問題というのもありますけれども、やはり制度自体がこの新しい読書バリアフリー法の対象利用者に幅広く、必要な人に必要な手を差し伸べる。いろいろと読書環境をよくするためにみんなで努力しようとしている中で、残念ながらこの福祉制度の中にはそういうふうな枠組みになっていないものがあります。こういうものをちゃんと考える検討会なりが必要で、職員だけの責任ではないと思うんです。ですから、制度をきちんと考える検討会などが必要なのではないかと考えているところです。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 続きまして、全国学校図書館協議会の設楽委員お願いします。
○設楽委員 全国学校図書館協議会の設楽です。
 2023年は学校図書館法ができてちょうど70周年ということで、昨年末から70周年に向けてヒアリングであるとかシンポジウム等を開催しております。ヒアリングにおいては、宇野先生に障害の現状をお話しいただいております。
 8月8日には記念式典の開催を予定していますけれども、この70年の間に司書教諭の12学級以上の配置であるとか、学校司書の法制化というのを実現してきましたが、まだまだ学校現場では読書バリアフリーに対する考え方、対応の仕方が十分でないということで、私どもは学校図書館の司書研修講座ということで7領域42講座を毎年行っているわけですけれども、その中で「児童生徒理解の基礎」という領域で、児童生徒理解の意義と方法であるとか、特別支援教育の考え方であるとか、様々な障害、そしてカウンセリングマインド、学校図書館づくりに関する配慮等についてオンラインで研修しておりますが、そういう研修を通して学校司書の方々が様々な障害のある児童生徒と接するときの基礎、基本を具体的に例を交えて紹介されたということで大変喜んでおりますし、まとめとして専修大学の野口先生に読書バリアフリー法の趣旨や運用についての解説を丁寧にしていただいて、これも皆様から非常に喜ばれているという現状があります。
 今後の課題としては、例年多くの方々が受講されていますけれども、やはり障害のある子供が利用しやすい図書館となるように、特別支援学校の図書館だけではなくて全ての学校の図書館の読書バリアフリー化というものが大切ではないかと当会も考えておりますので、先ほどお話しした8月8日の記念式典ではこの学校図書館の読書バリアフリー化についても何らかの形で提言できるように準備を進めております。
 簡単ですけれども、以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 では、日本図書館協会の樋口委員お願いいたします。
○樋口委員 日本書籍出版協会でございます。
○中野座長 失礼いたしました。
○樋口委員 ABSCのことについては、皆さんこれまでもいろいろ御意見が出ておりますので、そういったものも参考にしてこれからも進めていきたいと思っておりますけれども、出版業界ではこの書籍協会の中にできました「AB委員会」、アクセシブル・ブックス委員会と、インフラセンターの「ABSC準備委員会」が連携をしてABSCを進めております。
 これまでは準備会という形でございましたけれども、7月6日にJPOの中の正式な一部門ということで、アクセシブル・ブックス・サポートセンターが正式に立ち上がりまして第1回の管理委員会が開催されております。
 管理委員会はそのABSCの運営を担う委員会でございますけれども、委員長には書協の小野寺理事長が自ら委員長ということになりまして、そういう意味では本気で取り組むという体制が整ってきつつあるということでございます。
 これまでやってきたこととしては、出版業界の理解の促進のためのレポートの発行・配布、それからアクシブルな電子書籍等の拡大、本質的なアクセシブルな電子書籍ではないかもしれませんけれども、TTSの推進ということでTCS推進ワーキングの設置、そして勉強会等の実施、それから本のカタログであります検索のサイトでありますBooksのアクセシブル化といったようなことに取り組んでまいりました。
 「ABSC準備会レポート」はこれまで2回発行しておりまして、実は今週第3号が出ます。通算では3号ですが、今度からは準備会というのが取れまして「ABSCレポート」という形で発行をしてまいります。JPOのJPROへの登録が今、出版社だけで2,600社を超えております。そういったところに漏れなくお届けをして、さらに関係団体等にもお配りをしていく。
 また、「ABSCレポート」は電子書籍版、マルチメディアDAISY版、点字版も製作をして公開をしているといった形をしております。
 今後の活動としましては、このABSC専用のウェブサイトの設置、開設ということの検討を今、始めております。これは、先ほどから話が出ておりますカウンターパートとの連携がどうなるかということによってサイトの要件定義も大分変わってくると思いますので、そういったところは今後経産省さん、それからそれ以外の省庁さんとも連携をしていく必要があるかと思っております。
 それから、EPUBリフローの電子書籍作成のための普及促進と、Booksのさらなる拡充とアクセシブルな情報の充実といったことを進めてまいりたいと思っているところでございます。
 それで、先ほどからお話が出ておりますアクセシブルな本が出版されればそれが理想であると、そのとおりだと思いますけれども、ただ、それは市場原理だけでは実現できない問題でございまして、やはりそこに何か別なエレメントが入らないとなかなか実現できない。
 それは出版社の経営者の理念、ボランタリーな精神ということももちろん大事で、それがなくてはできないですけれども、それだけではなく先ほどからいろいろ話が出ております国の予算ですとか、コストを誰がどう負担するのかという問題を考えていく必要があるのかなと思っておりまして、ABSCができることはこれからやってまいりますが、できることはできるけれども、できないことはできないので、その辺のところは我々も努力してまいりますが、全体的なシステムをどうするかというところをぜひこのような協議会の場で御検討いただけたらありがたいかと思っております。
 以上です。
○中野座長 どうもありがとうございました。
 事前にいただいた御報告に関しましては以上でございますけれども、そのほか、ぜひここで御発言したいという方がおられましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 多分、私の知る限りでも今、御報告いただいたような取組以外にもたくさんの取組が行われてきていると思います。また、そういった情報というのも収集をして皆様にフィードバックできるようになっていくとよいかと思います。
 時間が非常に押しておりますので、議題1に関しましては以上とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、議題2に移らせていただきたいと思います。「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る基本的な計画」の見直しについて、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○川部自立支援振興室長 事務局より説明します。
 右上に「資料3」と書いてありまして、タイトルは「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る基本的な計画」ということで、ちょっと気が早い気もしますが、第1期が令和2年から令和6年で終わります。そういうことで、第2期のスケジュールについて今回皆さんにスケジュール感をお諮りいただきたいということの御提案でございます。
 予定としてですが、大きく令和6年度にまず整備の推進に係る関係者協議会の開催を早い時期にさせていただきたい。まず6月までにというようなことを考えています。
 その中では、各省庁における取組の達成状況、第1期基本計画に対する意見聴取ということで、今日いただいたような意見も含めていろいろな意見聴取をしていきたいと思います。
 それで、この期間から令和6年の10月まで約4か月間あります。ここが一番私ども大切な時期だと認識していまして、この間に今日出席していただいている委員も含めて、委員の皆様の御意見、それから関係団体の調整をこのスケジュールの中で一番長く時間を取っています。4か月間かけて調整を図りたい。
 それから6年度の10月をめどに、その御意見を反映した第2期の基本計画の見直しの提示を図りたいと思います。この10月で見直し案提示の前には当然根回しをさせていただくというようなことでございます。
 それから、年が明けまして7年の1月から2か月、大体パブリックコメントは1か月期間を置きますのでパブコメを諮り、それから2月の下旬になり、今度は関係の私ども行政機関間の協議をさせていただいて、7年の3月末に公表というような大ざっぱなスケジュールを予定しております。
 何か気づいた点とか、こういうものを入れたほうがいいんじゃないかという御意見があれば賜りたいと思います。
 事務局からは以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見や御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、宇野委員、佐藤委員の順番でお願いします。
○宇野委員 第2次基本計画策定のスケジュール感は異議はありません。内容について、発言させていただきます。
 この4年間を振り返ると、読書バリアフリー化がかなり進んだ部分もたくさんあります。一方、立法事実の課題に基づいて条文化していただいたにもかかわらずそれほど進んでいない部分もあります。また、新たに出てきているというか、法律で触れられていないところでも課題が出てきているように思います。
 例えば、先ほど藤堂委員から司書の養成課程における研修のお話がありました。私も同じように義務化したほうがいいと思います。
 また、佐藤委員から日常生活用具についてのお話もありました。例えば、視覚障害以外の人にDAISYプレイヤーを支給するのはどうだろうかという問題は、法律が制定されたときから出ていたわけですが、これも今までずるずると来ています。
 ほかにも、今日はあえて発言しませんでしたが、盲学校でさえ半数もサピエに加入できていない問題や、上肢障害がせっかく読書バリアフリー法の対象になったんだけれども、肢体不自由な特別支援学校や、寝たきりのお子さんがいらっしゃる病弱の特別支援学校にサピエはどこまで普及しているのかという問題もあります。このサピエの年会費の4万円の問題もどこかで解決していかなければいけないと思います。
 このような課題を全部洗い出し、第2次基本計画に盛り込んでいく。それがとても大事なことになっていくかと思います。
 さらに、先ほど佐藤委員が郵送費の問題に触れられていましたが、これも新たな課題として考えていかなければならない問題だと思います。
 ちょっとひどい言い方をすると、省庁が取り組みたい、または取り組みやすい問題が今まで議論されてきましたけれども、なかなか難しい問題は先延ばしにされてきたのかなという気もします。一度しっかり課題を洗い出して、どれを今度の5年でやっていこうかということを平等にまな板に乗せて検討したほうがいいのではないかと思います。
 それから、この協議会の開催についてです。来年度はは第2次基本計画があるから年2回ということですが、これまでやってきた課題の進捗状況の議論の場は来年度は時間が十分取れるのか、少し不安です。再来年度以降も、例えば日本図書館協会と全国視覚障害者情報提供施設協会と出版社が話すべき課題もあると思うんです。そういうことも考慮すると、年何回開催するのか、去年提案したワーキンググループはどうなのか、会議をどのように活用していくのかという視点も第2次基本計画の中に盛り込んでいただきたいと思います。
○中野座長 御意見ありがとうございます。今の御意見はぜひ参考にしていただいて、今後の計画を進めていただきたいと思います。
 では、佐藤委員お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 私は質問なんですけれども、6年度のタイムスケジュールの感覚は分かりました。ちょっとお伺いしたいのは、関係者協議会はこの中でまず早めの6月頃にやりたいというのは分かったんですけれども、あと何回か関係者協議会そのものをやる予定なんでしょうか。
○中野座長 では、御回答お願いします。
○川部自立支援振興室長 細かいところはまだ詰め切れていませんが、先ほど宇野委員からもありましたが、どのような会議を回していくかというやり方もありますので、この6月から10月の4か月間で例えば団体ヒアリングをやるのかとか、個別にヒアリングするかとか、そこはまだ未定です。今後、相談しながら詰めさせていただければと思います。
○中野座長 佐藤委員は多分、今の御質問に対して御意見もお持ちなのではないかと思いますが、よろしいですか。
○佐藤委員 私がちゃんと見ていなかったんですけれども、6月と10月の2回をまず行うことが今、決まっているという予定なんですね。
 6月だけですか。
○川部自立支援振興室長 今のところ決めているのは、意見聴取を6月にして、その意見聴取というのはかなり多岐にわたるのではないかと予想しています。
 それから、その多岐にわたったものをフィックスするのに4か月くらいかかるので、きっちりしたものは10月に示すというのが今のところ決まっている骨格です。
 その間に、要はヒアリングをもう一回するのかとか、個別に聞くのかというのはまだぶらぶらな部分です。
○佐藤委員 私が尋ねたかったのは、例えば10月ないしその後でもいいんですけれども、ある程度成案がまとまってきた段階でパブリックコメントの前にこの関係者協議会を開くとか、そういう予定はないのでしょうか。
○中野座長 もし分かれば、厚生労働省から御回答いただければと思います。
○川部自立支援振興室長 そこはまだ詰め切れていませんが、10月の見直しをしたときにやはりそれでは駄目だという話になれば、当然予備的なものというのは想定しています。
 ただ、6月の第1次聴取でどれくらいの御要望が、先ほど言ったような幅広いものになるかとか、うちとしてフィックスできないものが出るかとか、それは丁寧に第1期の計画の意見聴取をしてみないと分からないのですが、今のところ10月の第2次の見直し案を提示した後、一発で決まればそのままいきますが、もしやはり団体とかいろんな関係機関との調整がうまくいかなければ、予備の第2次の再提案ということはあり得ると想定しています。
○中野座長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
○佐藤委員 私の質問は、2回目の会議があるのですかということなんだけれども、その回答は今のところ分からないということでよろしいですか。
○川部自立支援振興室長 そうですね。まだ未定になっています。
○佐藤委員 承知しました。
○中野座長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 では、お願いします。
○安形委員 亜細亜大学の安形です。
 今までとはちょっと違うことなのですが、昨今やはり話題になっている生成AIですね。チャットGPTをはじめとする生成AIで、特に論文等の読解支援のAIなどを使いますと、今まで全てを言うならば読み上げなくてはいけなかったような部分について、要約や構造等について読書バリアフリーの精神からすると非常に使えるサービスになろうかと思います。
 それで、第2期の計画の中にそのような可能性みたいなものについて含めていただきたいようなときに、あまりにも新しいことですので、どのような関係者の方にどのようにというのはなかなか難しいかと思いますが、単純に論文読解支援は普通の健常者にとっても調べ学習、調査研究に役に立ちますし、画像の読み取り、あるいは図表の読み取り説明、要約等に関してもここ1年で本当に進歩しておりますので、それが何らかの形で少しでもいいので計画に含められるような準備が何かできるでしょうかというか、そのようなことは難しいのでしょうかということです。よろしくお願いします。
○中野座長 御回答よろしくお願いします。
○川部自立支援振興室長 恐らくいろいろと今後進む上でAIの活用という御質問だと思いますが、基本的に皆さん御存じかと思うのですが、AIというのは正解データということで、絶対誰が見ても猫、誰が見ても犬というものをAIエンジンに食わせて判定をしていくわけです。
 そういう意味では、読書バリアフリーというのは第1期の計画が走り出してまだ全然どの政策が正解データというものがないので、例えばPDFの判別データとかを誰が見てもこれは正しいという字であるとか、そういう技術的な面でのAIの活用というのはあり得るかもしれませんが、なかなか計画全体のものをまだ第1期ですら終わっていない段階ですので、AIの得意とする正解データというものがいくつ出てくるかということが未定なので、今のところ生成AI、チャットGPTとかAIとか文言化するもののAIエンジンを使っての計画策定の組み込みというのは、私は各省庁とまだそういうキャッチボールはしていませんが、正直なところそこまで考えてはいませんでした。
○中野座長 どうぞ。
○安形委員 必ずしもチャットGPTのようなものだけではなくて、やはり図表の読み取りなどは視覚障害者の方には非常に大変なものだと思いますが、AIの支援があると本当に欲しいところだけ情報を抽出できるような可能性もある技術かと思います。そのようなものに関して、すぐなかなか実現できるものではないというのも理解はしているのですけれども、研究なり、このような技術を応用していく可能性をできれば何とか含めるような、この始まる前のところで少し可能性みたいなものについて探れればと思いまして発言させていただきました。
○中野座長 ありがとうございます。
 座長でございます。今回の資料の中でも総務省のほうで研究支援というのはしているというような御説明もありましたので、そういうようなところを含めて御検討いただければと思います。
 宇野委員、お願いします。
○宇野委員 先端技術を読書バリアフリーに組み込んでいくという方向性は、法の16条に書いてあります。ですので、先ほどのご意見は法律に基づいた動きだと思います。
 立法時には、アレクサでは既に実現できているんですけれども、AIスピーカーに例えば「夏目漱石の『こころ』を読み上げて」
と話しかけるようなことが、サピエ図書館でも実現できないかというような発想の下に要望したという経緯があります。
 今お話のあったように、生成ではなく、AIによる図表の説明や写真の説明は既にAppleが写真の説明を実装しているようにAIが読書支援に役立っていく可能性は十分あると思います。そこで16条に基づいて、例えば研究を助成していただくなどの方法で、AIという最先端技術を読書バリアフリーに取り入れていくということを、基本計画に入れていいんじゃないかと思います。
○中野座長 ありがとうございます。
 では、植村委員お願いします。
○植村座長代理 植村です。
 今のことに多少絡んでいる話なのですが、この読書バリアフリー法というのは「読書」という言葉があることで、今までの議論の論点が出版市場の書籍にスコープが強く当たっていたような気がしています。
 ただ、大学環境などを見ますと、学術論文や学会誌の雑誌、さらに論文が掲載されているJ-STAGEの中が全然バリアフリーになっていない。非常にアクセシビリティが低いというのが調べているとよく分かりました。J-STAGEはとても使いにくいです。
 それから、各学会などにアンケートを取ると、学会そのものがとても意識が低いんです。でも、大学の学びを考えるとこういうような学術情報まで広げていかなければならないし、先ほどの図版とか表とかをどう読むかという辺りもやはり考えていかなければいけないのかなと思いました。これまではすぐに本を読みたいという思いが先に出たというのは分かるのですが、もう少し対象を広げていただけないかと思ったところです。
○中野座長 ありがとうございます。
 もう既に次のところで議論すべき内容の御意見をいただけてありがとうございます。今のような御意見をぜひ第1回の6月の会議のときまでにいろいろといただきながら、それを整理していくというようなことかと思いますので、計画のスケジュールにつきましては御質問、御意見はよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、大分残りの時間が短くなっておりますが、議題3「その他」についてということで、これは既に議題1のところで大分議論をさせていただいたのですが、もともと事務局として用意していた趣旨についてちょっと説明をしていただいた上で、御意見がさらに加えてありましたらいただきたいと思います。
 では、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。
○鈴木障害者学習支援推進室長 事務局でございます。
 議題1で御議論いただきましたが、「読書バリアフリー法11条第2項、第12条にかかるアクセシブル・ブックス・サポートセンターを活用した電子データの授受について」ということで、資料4を御提示しております。
 先ほどたくさんの御意見をいただいた点も踏まえまして、3省でこれから検討してまいりますが、資料にお示ししたやり方で、課題の把握と、実証調査を実施したいと考えております。
 まず何よりも3省だけで考えていては、今日いただいたような点も含めて分からないことはたくさんありますので、ABSCの状況について、それから特定書籍等製作者の皆様の御要望とか懸念事項について、さらには利用者である障害当事者の方の御要望ですとか懸念事項等について、この仕組みにどのように反映すべきかということを考えながらヒアリングをさせていただければと考えております。
 そのヒアリングを踏まえて、どのようにデータの授受のフローがつくれるのかといったことを検討してまいりたいと思います。フローだけではなくて、そのときに必要になるルールですとか、例えば、先ほど、どうやって当事者の方のチェックみたいなことをするのかという御質問もありましたが、そういったことを担保するための仕組みなどもここで案を考えてまいりたいと思ってございます。
 最後に、その案でつくったものを実際に本当に動くのかということを実証調査の形でやってみて、その中で新たなニーズ、課題、どのような負担がかかるのかといったところなども把握をし、最終的な授受の方法というものを固めてまいりたいと考えております。
 本日たくさん御意見をいただきましたことも、特に佐藤委員からはすみ分けというところを御指摘いただきましたし、宇野委員からは、複雑なものになってしまわないようにという御意見も伺いました。
 それから、近藤委員からは全体にかかる時間というものもちゃんと気にするようにという御指摘をいただきました。
 大きくはそういったところだったかとは思いますけれども、それらを踏まえつつ、まずはヒアリングを開始させていただければと思っております。
 以上です。
○中野座長 ありがとうございました。
 先ほど既に多くの意見をいただきましたが、改めて今の説明を聞いていただいた上で御質問や御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 宇野委員、お願いします。
○宇野委員 ヒアリングの後に最終的にこの協議会、もしくはワーキンググループで議論しないのでしょうか。
 また、既に経産省の会議の中では出ているかと思いますが、検討過程において、障害の特性と図書の種類について留意する必要があります。例えば、盲ろう者にとっては、音訳図書やオーディオブックは意味がなく、テキストデータや点字が必要ということです。一方、文芸書であれば多くの視覚障害者は耳で聞いていますので、音訳図書またはオーディオブックがあればほとんど事が足りてしまいます。
 一方で、学術文献図書となると、先ほどから申し上げているとおり、研究者はテキストデータが必要です。
 法12条は、アクセシブルなデータさえ販売していただければ、そこから先のワンソース・マルチユースは基本的に障害者個人でやりますという考えの下で立法していただきました。図書館がいろいろやっていただくというのは、とてもありがたいサービスかもしれませんけが、そこまでやると複雑になっていきます。「他のものとの平等を基礎として」というフレーズが障害者権利条約に何度も出てきますが、発売日同時にほかの人と同じように、障害者にはアクセシブルなデータを販売していただける、これが共生社会だと思います。このことを踏まえ、理想に向かって、どういう制度設計が可能なのかということを検討していただきたいと思います。
 冒頭に申し上げたとおり、ヒアリングで終わるのではなく、最後の検証結果はぜひこの協議会、またはワーキンググループで議論させていただきたいと思います。
○中野座長 ありがとうございます。
 文部科学省から御回答をお願いします。
○鈴木障害者学習支援推進室長 2点の御指摘を承りましたので、それらを踏まえて検討してまいりたいと思います。
 また、ヒアリングだけではなくて、この場に何らかの形で御報告していくということをきちんと意識してまいりたいと思います。
○中野座長 ありがとうございます。
○宇野委員 ということは、来年の6月になるということでしょうか。確かにせいては事を仕損じるということもありますので、着実にステップ・バイ・ステップで進めていかなければならないのはよく分かります。しかし、障害者側の窓口をどうするのかという議論は実は2年前に提起され、1年前も同じような議論があり、今日を迎えて、また1年先に議論をすることになるわけです。こうやって一年一年延びていくのですけれども、実は教育現場にいると子供たちの一年一年というのは本当に待ったなしなんです。高校2年生の子は1年後にはもう受験を迎えて、その次の年には受験勉強が終わります。子供たちの成長過程を考えると、一年一年というのはとても重要な1年だということを御認識いただければと思います。
○鈴木障害者学習支援推進室長 ありがとうございます。よくスピード感を持ってやってまいりたいと思います。また、皆様には何らかの形で御報告、6月を待たずにメールなどで検討状況等の御報告等をさせていただければと思います。
○中野座長 ありがとうございます。
 植村委員、お願いします。
○植村座長代理 多分、宇野委員の質問の中にあったかと思うのですが、2の「データ授受の方法案」の作成というのは何か別な仕組みをするのですか、あるいは3省の中でやるんですかという問いだったと思います。その点はいかがでしょうか。
○鈴木障害者学習支援推進室長 たたき台になる案なしに御意見いただくのは難しいと思いますので、3省でまず案はつくってみようと思います。
 ただ、その案について何らかの形で先生方のお目に触れるようにして、ちゃんと意見をいただくというプロセスを入れたほうがいいと今日お話を伺っていてよく分かりましたので、できる限りそのような方向を3省で相談しながら検討させていただければと思います。
○中野座長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 中野ですが、多分宇野委員から最初に御指摘がありましたように、来年4月から差別解消法が改正されますので、これは例えば各書籍を出版しているところに合理的配慮が義務化されるということになります。それで、我々の議論が始まるときにはまだそこまで明確になっていなかった点もございますので、そういった差別解消法の改正がスタートしたときに、各出版社がどのような責任を負う必要があるのか。こういったことも多分、議論の中で考えていかないといけないのかなと思いました。先ほど宇野委員からは、アクセシブルなデータがあればよいわけなので、そういった制度設計も必要なのではないかというような御意見もありましたので、この辺りを含めてこれからのヒアリングの中では詰めていっていただければと思います。
 そのほかよろしいでしょうか。
 それでは、そろそろ時間となりますので、この辺りで本議題を終わらせていただきたいと思います。御意見はほかにはよろしいですか。
 藤堂委員から手が挙がっていましたか。
○藤堂委員 いえ、ジャストインタイムだと感心していただけです。
○中野座長 一応進行役なので、ありがとうございます。
 皆様の御協力のおかげで、時間内にいろいろと議論を収れんさせることができました。ありがとうございます。この辺りで本議題を終わらせていただきたいと思います。これで本日予定していた議事は全て終了ということになりますが、最後に今後のスケジュールにつきまして事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○冨原自立支援振興室室長補佐 事務局でございます。
 本日は、長時間にわたる会議に御参加いただきありがとうございました。
 次回の協議会の開催につきましては、本日御指摘のありました報告等も含めまして調整して決まり次第御連絡をさせていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○中野座長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。ちょうどの時間で終わりました。御協力ありがとうございました。
 

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)