資料4-2:これまでのヒアリング等で示された主なニーズ・課題について

【障害種共通】主なニーズ・課題

【学習プログラム・実施体制等】

〇 卒業して直面することは多く、ライフステージに応じた学びが必要。
〇 就労や生活の場で活用できるプログラムが必要。
〇 学びの場がある場合も、参加者の高齢化、スタッフやボランティアの不足等の課題を抱える。

【一般の学習活動への参加】

〇 障害者差別解消法の理解は、なかなか進んでいない状況。
〇 社会に存在する環境、意識、情報のバリアの解消が必要。
〇 障害の理解の促進や合理的配慮の対応が必要。

【基盤整備】

〇 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、障害者のスポーツや文化芸術の取組を生涯学習が支え、学びの中に入れてほしい。
〇 障害者の生涯学習を総合的に統括する拠点が必要。現状把握、実施内容の策定、関係者との連携による活動の実施。

※以下、関係団体への調査結果より。

【学習プログラム・実施体制等】

〇 学校で身に付き維持していた能力も、卒業後の就労・福祉の場で求められず、できなくなる。継続できる学びの場が必要。
〇 成人期の公的な福祉サービスにおける日中活動の目的の中心は「働くこと」であり、レクレーション・余暇等をメインとした事業所は、「生活介護」で少数実施している程度。障害支援区分によっては、「働くこと」以外の選択肢は限りなく少ない。
〇 障害当事者が生涯学習の機会を得ていくには、週末の利用が中心となってしまい、夜間や平日通っているところを休んでの参加は選択肢になりにくい。
〇 余暇活動の充実、就労、対人関係に関するニーズがある。所属していた学校の行事参加のみを挙げた当事者もいる。
〇 学校卒業後も社会とつながる参加のチャンネルとしての生涯教育の役割は重要。市民として人間らしく文化的な生活の保障、障害のない人と共にインクルーシブな社会形成へとつながること。
〇 各ライフステージで必要となる知識を学ぶための機会として、具体的にどのような手段が存在するか、どのように活用すればよいかを知る基盤が築かれていない。

【一般の学習活動への参加】

〇 一般的な学習機会は数多く存在するが、主催側と当事者側双方に障壁が存在。主催側は「障害」や合理的配慮に関する理解不足、当事者側は周囲に理解し受容してもらえるか不安感を抱える。また、地域格差が大きく、学習機会に時間的・距離的な制約により参加できない現状。

【その他(基盤整備)】

〇 相談の場が不足(どこに相談して良いか分からない)、情報を入手することが難しい、分かりやすい情報提供も必要。
〇 障害当事者のニーズを受け止め、ニーズに対応できない場合に地域課題として検討を重ねていく場が、障害福祉分野における市町村(自立支援)協議会。生涯学習の機会を増やしていくため、この協議会機能を活用していくことが必要。
○ 地域資源の積極的な活用が必要。サークル等の主催者内での人材の確保や、福祉人材を確保し普及。様々な人材から成るボランティアを組織的に確保・育成できる体制作りが不可欠。


【主に知的障害】主なニーズ・課題

【学習プログラム・実施体制】

<学校から社会への移行期>
〇特別支援学校卒業後すぐに社会に出るが、18~20歳ぐらいの間にもう少し学ぶことができれば、非常に変わってくる。
〇自立訓練事業等を活用した学びの場の取組が増加傾向。ニーズが多様化し、期間も2年から3~4年と長期化傾向。
〇仕事への適応やコミュニケーション等への不安に対応し、卒業後3年程度、アフターフォローとして学びの場を提供。その後のスキルアップや就労継続支援は、企業等につなげる必要。
○ 一般企業に就職した障害者は5年ぐらいで離職する率が非常に高く、離職により知的障害に精神障害を重ねる、二次障害を起こす者も見られる。(就職する前にしっかりと自立のための基礎を学習する期間を確保できれば、就労継続につながる。)
○ 「学校から社会への移行期」における学びを修了した受講生を、その後の学びにどのように繋いでいくかが課題。

<生涯の各ライフステージ>
〇 オープンカレッジ東京では、各ライフステージのニーズ・課題調査に基づき、学習内容を「学ぶ・楽しむ」「くらす」「はたらく」「かかわる」の4領域で構成。自己決定のための問題解決能力獲得が課題。
〇 離職は大半が人間関係に起因。地域で仲間と過ごせる場所等で、自分を自由に出し合うことで、仕事を頑張り継続することができる。
〇 青年学級での学習を希望する障害者数が増加する一方、障害は多様化、参加者は高齢化、スタッフやボランティアは不足している状況。
○ 特別支援学校卒業生は企業での就労開始時、比較的給料が抑えられており、キャリアアップや技術の向上、資格の取得を行い、会社の中で責任のある仕事をすることを通じて所得向上を目指したい、という意向がある。
○ 発達していく中でプライドも非常に高まった参加者について、場として特別支援学校に戻って学習するのではなく、新たな場を考える必要がある。
○ 障害児者の家庭について、経済的に困難な場合が多くあり、追い込まれていることが多いので、障害者の生涯学習を通じて、本人とともに家族も育ち合う取組が必要。

【相談・情報提供】

〇地域の中で学びのニーズを把握する仕組みが必要。

※以下、関係団体への調査結果より。

【学習プログラム・実施体制等】

〇 大学等の進学率は8割近いが、高等部卒業生には、社会体験や学習の場がほとんどない。社会に出る前の仕組みについて、潜在的なニーズは非常に高い。
〇 学校で身に付き維持していた能力も、卒業後の就労・福祉の場で求められず、できなくなる。継続できる学びの場が必要。
〇 就労後すぐに辞めてしまう、引きこもり、逸脱行為が多い。要因は働く意欲の低下や対人トラブル等。特性に配慮した取組が必要。
〇 特別支援学校では、音楽、スポーツなど体験できる機会は多くあるが、卒業後は進路も異なり、運営する団体も別となり、つながらない。
〇 ニーズの多様化への対応、個別対応か集団か。定期開催か本人希望の開催か。障害の有無に関わらず参加できることも必要。
〇 個別の移行支援計画は、卒業後の福祉施設や企業等に共有されないため、障害の理解や支援が一貫したものになっていない。

【一般の学習活動への参加】

〇 一般的な学習活動への参加は進んでいない。要因は、誤解や偏見が根強くあること、活動への参加が難しいことなど。コミュニケーション面に支援が必要な人が多いため、身近な地域活動に支援者と参加する機会を増やしていくことが必要。
○ 障害に対する理解の不足。
○ 阻害要因は、「情報が乏しい」「学習活動の内容、意義がわからない」「参加条件や支援内容がわからない」ということ。

【基盤整備】

○ 特別支援学校、福祉施設、福祉事業所、企業等が連携し、障害に関する学習を通して、人材育成やスキルアップを図る必要。
〇 障害の特性を理解して支援できる人は少ない。
〇 個人での参加は課題も多く、活動や移動の支援者が必要。
〇 相談の場の不足(どこに相談して良いか分からない)。
〇 学習活動に関する情報を入手することが難しい。知的障害者にとって分かりやすい情報提供も必要。
〇 障害者の生涯学習を総合的に統括する拠点が必要。現状把握、実施内容の策定、関係者との連携による活動の実施。

(ダウン症)
〇 学校で培った友人関係を継続したい方は多く、就労先がバラバラになってしまうので集まることのできる場を設置してほしい。
〇 多くは勉強したい。漢字や数字が好きな方、日記を30 年書き続けている方、スポーツ・ダンス・絵画・ピアノと広がりあり。
〇 障害者への理解が必要。個別対応のところには通うことができるが、教室と言われる集団でいろいろなことを行うのは難しい。
〇 運営上謝金が少なく、ボランティアで継続が難しい場合もある。ボランティアには限界がある。


【主に発達障害、自閉症、精神障害】主なニーズ・課題

【学習プログラム・実施体制等】

<学校から社会への移行期>
〇 就労・自立の基盤として、自己表現し、自分や社会のことを知る機会の提供。多様な就労や生活の選択肢を想定した内容や支援に関するニーズがある。

<生涯の各ライフステージ>
○ 発達障害者については、不登校や引きこもり状態にある者も多く、状態の改善を図るためにも、対人交流や社会参加のきっかけ、意欲につながる内容の提供が求められている。
○ 特性が類似する他者との交流は、発達障害者の社会参加のきっかけとして有用であり、特性が類似する者同士が支え合う「ピアサポート」が有効。
○ 発達障害者は自分の好きなこと、特技を生かせるプログラムや興味の持てるテーマの提示を求めている。限局的な興味・関心・こだわりについて、社会の中での生かし方を見据えたプログラム開発のニーズがある。

【一般の学習活動への参加】

〇 合理的配慮、アクセシビリティについて、調査や事例集でも、発達障害の知見が少なく、対応が遅れている。

※以下、関係団体への調査結果より

(発達障害)
〇 進学後の4年前後は、学問探求のみならず、人生を選択する貴重な機会。もう少し時間的なゆとりがある中、学びの機会が必要。
(自閉症)
〇 卒業後においても社会性の伸びが大きく、また体験・経験を積み重ねることでさらに伸び続ける。
〇 推測して周囲に合わせることが難しい人も多いため、人と関わったり主体性を持って取り組めるようなプログラムが必要。
〇 特有の認知特性、感覚過敏、社会性の課題があるため、一般的な学習活動で求められていることが高いハードルになる。
〇 情報が回ってこない。「参加しないもの」として考えられている。
(精神障害)
〇 精神疾患は、学齢期に中途発症する場合が多く、スタンダードな段階を経た教育を享受しにくい。学び直しの視点も踏まえることが必要。
〇 職業体験については、就労継続者には有効である一方、中途退職など職業に就けていない方へのプログラムとの区分も必要。


【主に身体障害】主なニーズ・課題

【一般の学習活動への参加】

○ 社会に存在する「環境」「意識」「情報」のバリアを解消する必要がある。
・「環境」のバリア…施設設備、公共交通機関、施設への往復、災害時に逃げるための設備がない 等
・「意識」のバリア…講座への申込や参加の拒否、移動における人の助けが得られない 等
・「情報」のバリア…視聴覚障害者への情報保障が不十分 等

※以下、関係団体への調査結果より。

〇 卒業後、最新のITなどの技術や機器に触れる機会があまりない。それらを体験したり、習得する機会があれば良い。
〇 医療的ケアを抱える障害者の卒後の進路先は少なく、加齢に伴って地域の生活介護に通所できない場合が多々あり、社会から隔離されてしまう。卒後も生涯学習としての場はとても大切。
〇 訪問系の支援事業は障害者総合支援法の制度がないため、市や区が単独で事業化したり、人件費を法人が持ち出しで実施。
〇 指導者不足が大きな問題。特にスポーツ分野での指導者講習会等を開催しているが、まだまだ充実にはほど遠い。

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)