学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第10回) 議事録

1.日時

平成30年10月3日(水曜日)14時45分~18時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 学校卒業後における障害者の学びの推進方策について(論点整理)に係る関係団体ヒアリング(9団体)

4.議事録

【宮﨑座長】
 定刻になりましたので,ただいまから第10回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 まずは,事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 本日の配付資料ですが,議事次第にございますとおり,資料1番から資料10番までになります。また,委員の皆様には,ドッチファイルの中に関係資料を御用意してございますので,適宜御参照いただければと思います。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 本日は,関係団体の皆様から,論点整理に関するヒアリングを行います。全体の流れと,本日御出席の関係団体の皆様を事務局から御紹介ください。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは,本日の全体の流れと本日御出席の関係団体の皆様を御紹介させていただきます。
 まず全体の流れを御説明いたしますと,本日9つ団体から拝聴いたします。3つずつの団体からそれぞれ15分ずつヒアリングを行い,その後,お伺いをした3つの団体まとめまして質疑応答を行うというようなことを3回,1部,2部,3部と繰り返す形で行いたいと存じます。なお,第2部と第3部の間に15分程度休憩を予定してございます。
 なお,本日のヒアリングにおきましては,要約筆記と手話通訳が入っておりますので,御発言の際は,お名前を先におっしゃっていただいた上で御発表をいただけますようよろしくお願いいたします。
 それでは,第1部の3団体の皆様を御紹介させていただきます。
 全国特別支援教育推進連盟より,全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会会長,木村加代子様でいらっしゃいます。

【木村氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 全国特別支援教育推進連盟専務理事,大伊信雄様です。

【大伊氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 続きまして,社会福祉法人日本盲人会連合から,情報部長,三宅隆様です。

【三宅氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 組織部課長,木村幸平様です。

【木村(幸)氏】
 よろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 続きまして,一般財団法人全日本ろうあ連盟より,理事,山根昭治様です。

【山根氏】
 よろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 本部事務所主任,兵藤毅様です。

【兵藤氏】
 よろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 皆様,本日はお忙しい中,どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは,ヒアリングに入ります。まず初めに,全国特別支援教育推進連盟から,主にPTAの立場からと,推進連盟の方で集約をしていただいた御意見についてお伺いしたいと思います。木村会長さん,大伊専務理事,どうぞよろしくお願いいたします。

【木村氏】
 全国特別支援教育推進連盟加盟団体の1つであります全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会会長を務めております,木村加代子と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,学校卒業後における障害者の学びの推進方策について,各団体から意見を集約しましたものをこれより私の方から御報告をいたしたいと思います。まず資料の方,1を御覧ください。こちら,まとめたものを申し上げます。
 まず1,障害者が学び続けることのできる社会を創造する必要性について申し上げます。障害のあるなしにかかわらず,学校卒業後に地域の中で人や社会と関わりながら,様々な経験や楽しみを通して生きがいのある生活を追求し,いろいろなことを学ぶことで人は成長していきます。障害のある人が特別支援学校卒業後も学び続けられることは,生きがいのある生活を送るため,自立と社会参加の観点からも重要なことであり,こうした生涯学習の機会を整備することは極めて重要であり,歓迎されることです。
 また,特別支援教育を受けている児童生徒は,特別支援学校を卒業する児童生徒だけでなく,ほかの学校を卒業する児童生徒もいます。こうした児童生徒への支援の検討が必要です。
 続きまして,2,今後目指すべき方向性について申し上げます。1つ目,ライフステージの中で状態に応じて生じる課題に対応した学びが設定され,障害のある人が学びの場を選択できるような環境整備がなされることを望みます。
 2つ目,障害のある人が学び続けるために,福祉等の分野の取組と学びの連携の強化は大切な方向であると考えます。参加する当事者が必要に応じて様々な福祉サービスを利用できるようになると,学びの活動への参加が容易になると考えます。
 3つ目,障害のある人の状況は非常に幅広く,また,各障害種によっても必要な支援は異なります。障害のある人と一くくりにするのではなく,その人に必要な支援等を鑑み,例えばICTの活用などの情報提供や情報保障の手段の充実,医療的ケアの提供などの環境整備が必要であると考えます。
 4つ目,学び続けるためには,学びの選択肢が多いことが大切だと考えます。そうした選択肢を自ら選びやすいように提供することで,一人一人の興味・関心を広げることにつながると考えます。
 5つ目,特別支援学校を卒業した人が学び続けるために,特別支援学校の施設を活用することは,この事業を推進するためには大切だと考えます。しかし,それを実施するために教職員等の力のみに期待することは大きな課題です。教職員以外の人的保証が是非とも必要です。
 6つ目,自らの障害や病気に関わることを学ぶ必要がある人もいます。そうした学びも視野に入れる必要があります。
 続きまして,3,学校卒業後における障害者の学びの充実方策について申し上げます。1つ目,生涯学習センターにおける講座等の設置,大学のオープンカレッジ,大学の公開講座,地域公民館やNPO法人等の講座は,社会とつながりながら学び続ける有効な方法であると考えますので,充実してほしいと思います。ただし,障害のある方にとって,情報保障の少なさ等のバリアが参加を妨げることにもつながりますので,環境整備も必要だと思います。
 2つ目,障害のある人が障害のない人と一緒に学び続けられるように,電子データや点字の教材,手話通訳者,パソコン要約筆記等の支援方策の提供とともに,一人一人の体調やコンディションにフレキシブルに対応できるような学びの場の全国的な拡充が必要です。
 3つ目,例えば東京都の特別支援学校で実施されている公開講座「障害者の本人講座」は,非常に需要は高く取組自体の拡大が望まれますが,教職員の支援も必要になります。教員の働き方改革等も踏まえ,教職員に頼らず,ほかの人的支援をお願いしたいです。
 4つ目,やむを得ず在宅で学び続ける必要のある人もいるため,そうした在宅での学びの支援のための環境整備が必要であると考えます。
 続きまして,4,一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策について申し上げます。1つ目,まず,本人がどのように学びたいかをよく聞き取ることから始まるような制度設計が大切だと思います。
 2つ目,大学生や中高生が学びの場にも支援員等のボランティアとして参加をすることで,将来を担う世代の障害理解と心のバリアフリーにつながることを期待します。
 3つ目,障害のある人が学び続けられるように,学習機会を提供する団体等は各障害についての理解を深めることが必要だと考えます。
 4つ目,障害のある人の学びを支援する社会福祉法人やNPO法人等の設置や運営に対する財源的な措置も含めた支援が是非とも必要だと思います。
 5つ目,一般的な学習活動への参加は,障害のある人から見ると残念ながらいまだバリアがあると考えます。学び続けるために,学習活動に関わるハード面・ソフト面のバリアフリー化が必要です。
 最後に,5,取組を推進するためのシステムづくり,基盤の整備について申し上げます。1つ目,障害のある人が学び続けられるように,幅広い専門家等の参画や学びを支援する人材の育成によって,学びの場の推進を図ることが大切だと考えます。
 2つ目,障害のある人は,一人一その状況等が違います。中途障害の方や重複障害の方もおり,幅広い対応についての検討が必要だと思います。
 3つ目,障害のある人が学びを続けるに当たり,保護者の方の支援がなくてもできるようにすることが大切だと思います。一人で又は家族以外の方の支援を受けながら学び続けることが,本人にとって重要だと思います。
 4つ目,個別の教育支援計画を,学齢期だけではなく,卒業後も活用することで,一人一人の学齢期や卒業後の学習支援を一貫することができると考えます。
 以上,各団体からの意見を取りまとめたものをお伝えさせていただきました。今後,取組が推進されまして,障害のある人の生き生きとした豊かな人生を実現するための学習活動の場が全国各地で見られるようになりますことを願っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【宮﨑座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,日本盲人会連合から御意見を頂戴したいと思います。それでは,三宅様,どうぞよろしくお願いいたします。

【三宅氏】
 日本盲人会連合の三宅と申します。よろしくお願いいたします。日本盲人会連合からは,主に視覚障害者のことにつきまして,ここで意見を述べさせていただきます。論点整理をされた項目に沿いながら,意見を一つ一つ申し上げたいと思います。
 まず1つ目の,障害者が学び続けることのできる社会を創造する必要性というところです。今ここでは特別支援学校を卒業した後の障害者の学びについてということで論点整理がされていますが,視覚障害者が教育を受けている環境といいますのは,今,特別支援学校,盲学校などに通っている児童生徒だけではなくて,特にロービジョンの生徒を中心としまして一般校で学んでいる人がかなりの数がいらっしゃいます。ということからいきますと,対象者としては,特別支援学校だけではなくて,従来ある弱視学級と言われます特別支援学級あるいは一般校で学んでいる児童生徒も含めた学校卒業後の学びの環境を考える必要があるのではないかというのが1点目です。
 それと同時に,現在31万人と言われておりますけれども,視覚障害者の中で占める割合の大多数が,社会に出てから視覚障害になったという方で占めております。そういうところからいきますと,学校を卒業してからというふうな人たちにも加えて,社会に出てから視覚障害になった方も,生涯学習といった上では同じように学びの場が提供されて,自分の興味のあることとか,知りたい分野などについて学習できる環境は必要だと思われます。
 また,このような整備をするに当たりましては,教育機関,あるいは生涯学習センター,あるいは各都道府県主催で行われている講座などこちらの学習会などにつきまして,視覚障害者も健常者と一緒に学べるような環境づくりが必要になってまいります。ここでは共生型学習環境の整備というふうな言葉を使わせていただきましたけれども,こういうふうな環境を整備することによって,視覚障害があってもなくても共に学べる環境が整備されることが必要だと考えております。
 2点目,今後目指すべき方向性というところです。こちらは,視覚障害のある方が学べる環境を整備することに当たって,学びやすい環境の整備が必要ということ,これは1点目に関連してくるんですけれども,整備が必要だというふうに考えます。そういった環境を整える上では,教育機関あるいは福祉の分野だけではなくて,是非こちらのところでは,我々のような例えば視覚障害者当事者団体も,福祉施設あるいは教育機関,行政機関と連携をしながら学びの環境を整えていくという必要があろうかと思います。それから,視覚障害者が学習する上でその環境整備をするというふうなことになってくるのですが,1つの環境だけではなくて,特にロービジョンの方あるいは障害を負った時期にもよってきて,個々によってそのニーズあるいは合理的な配慮の提供の仕方が変わってまいりますので,個々のニーズに合った配慮が必要になってくると思われます。
 3点目と4点目が同じようなことであるのですが,まず3点目につきましては,学校卒業後における障害者の学びの充実の方策ということです。まずは環境整備が1,2のような形で整備がされていたとしても,現在もそうですけれども,視覚障害当事者に向けての各種講座あるいはそういう場があるということの情報がそもそも本人の元へ届かないというようなことがあります。ですので,視覚障害者に届くような形,これは点字であったり,音訳であったり,拡大文字,あるいはウェブサイトでも,視覚障害者がアクセスできるような形のウェブサイトなどでの情報提供が必要になってまいります。
 それと同時に,視覚障害者が学べるものが情報として入ったとしても,実際にその環境について合理的な配慮が必要になってくるわけですけれども,その中身としましては,例えば資料については点字だったり,それを音訳したものであったり,拡大文字化されたもの,あるいはテキストデータなどの電子データで提供されるということによって,視覚障害者も健常者も等しく学べる環境を構築することができるということが挙げられます。
 資料のほかには,ここに挙げていますけれども,画面表示というのは,例えば部屋の中でスクリーン等によって示されているものに関しましては,視覚障害のある方たちがその内容を理解することが困難ですので,それについても例えば言葉による説明を十分に行うとか,事前に内容を資料として提供するとかという形の配慮が必要になってまいります。
 4点目のところの1点目と2点目は,先ほどと同じようなことなので,こちらは割愛いたします。それに加えて,これは3点目にも関わってはきますが,やはりどういった配慮が必要かということも提供できるという上で,やはり当事者団体,あるいは一般向けにされているところは特に特別支援学校などとの連携が重要になってくるかと思われます。
 5点目です。取組を推進するためのシステムづくりというところです。ここは障害福祉関連の機関あるいは教育関係機関の連携に併せて当事者団体が関わっていくということが重要になってくるかと思われます。それから,開設される学びの場につきましては,視覚障害のある方でも,例えば平日勤務されている方もかなりの方がいらっしゃいますので,例えば若い世代を中心とした人たちが容易に参加できるような場づくりも必要になってくるかと思われます。
 こちらにはありませんけれども,現在,生涯学習というところで,例えば大学の通信課程とかカルチャースクールの一部とかというところで視覚障害の方が参加できるセミナーが地域によっては行われております。そういった事例なども参考にしながら,是非とも特別支援学校に通っている方,あるいは特別支援学級に通っている方,一般校に通われている方,社会人になってから視覚障害者になった方を含めまして,全ての視覚障害者の方に学びの場が提供されることを切に願っております。どうもありがとうございました。

【宮﨑座長】
 三宅様,ありがとうございました。
 それでは,続きまして,全日本ろうあ連盟からの御意見についてお伺いしたいと思います。山根様,どうぞよろしくお願いいたします。

【山根氏】
 一般財団法人全日本ろうあ連盟理事の山根昭治と申します。よろしくお願いします。
 まず一般財団法人全日本ろうあ連盟についてお話ししたいと思います。昭和22年に創立して,全国47都道府県に加盟団体を要する全国唯一のろう者の当事者団体です。今,会員数はおよそ1万9,000人おります。連盟の目的は3つありまして,1.手話通訳の認知・手話通訳事業の制度化。これは情報・コミュニケーション法と手話言語法の制定に向けた取組です。2.聴覚障害を理由とする差別的な処遇の撤廃。合理的配慮や基礎的環境の整備の推進に向けた取組をしております。3.聴覚障害者の社会参加と自立の推進。乳幼児から高齢まで全てのステージにおける社会参加と権利擁護への取組をしております。
 ろうあ運動の歴史について簡単に説明します。1973年にろう者の運転免許取得に関する通達。これは10メートル離れて90デシベルという条件があります。1979年,民法第11条,準禁治産者改正がありました。耳の聞こえない人も,銀行へ行ってローンが組めるようになりました。1989年,第1回手話通訳士試験を実施しました。2001年,差別法令撤廃によりろう者の薬剤師が初めて誕生しました。2006年,国連で障害者権利条約採択。手話が言語として国際的に認知されました。2011年,改正障害者基本法公布。その中に手話の言語性が認められました。2016年,手話を広める知事の会に全都道府県加入,そして,全国手話言語市区長会に527自治体が加入いたしました。2017年,道路交通法改正,補聴器使用で第二種免許の取得が可能になり,今年,東京で日本初の聴覚障害者のバスの運転士が誕生しました。
 連盟の活動についてですが,1.聴覚障害当事者による全国ろうあ者大会,全国ろうあ者体育大会,全国ろうあ青年研究討論会,全国ろうあ女性集会,全国ろうあ高齢大会等の大会を開催しており,加盟団体対象のろう者に関する諸問題の解決や取組を目指しての研修会の開催も行って2.デフリンピック,世界ろう者会議等への参加促進,アジア地域のろう者への支援活動等の国際活動を行っています。3.出版活動を通し,聴覚障害に対する理解と啓発活動を行っています。4.一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会福祉医療・乳幼児委員会との意見交換を行い,人工内耳ユーザーも含めたあらゆる聴覚障害者を包括するろう者コミュニティを作るための取組を行っています。
これは2年前に「人工内耳についての見解」をホームページで公表しております。連盟としては,人工内耳を否定しないというふうに明言しました。人工内耳装用者もろう者コミュニティに受け入れること,人工内耳装用者にも支援が必要であることについて,日本耳鼻咽喉科学会も賛同いたしました。
 次に,今,行なっている活動について説明したいと思います。その事業は,多くの聞こえない・聞こえにくい子供が集い,自由なコミュニケーションの下で,お互いが分かり合い,伸び伸びと活動できる場を提供しています。聞こえない・聞こえにくい子供たちの進路,将来について語り合う場,夢を育む場,そして,保護者の子育ての不安,教育についての悩みなどを相談できる場。保護者の就労を支援する場等の目的で,2013年京都で事業化されました。今,現在,全国で20か所あります。全国的に微増していますが,支援員の確保も含め,今後,地元の聴覚障害者協会,聾学校,手話サークル,親の会などの連携が必要になります。
 学校卒業後の学びの場の課題について説明したいと思います。1.情報保障の選択における制限があるということです。これは何かと申しますと,合理的配慮における過重な負担の問題があります。2.手話通訳派遣制度上の問題。本人が申請しても対象外となる例,連続する講座などが対象外になっております。例えば通信教育などは対象外になっているので,初めから情報保障が無理だというふうに言われています。3.聴覚障害者支援に関する社会資源不足による制限。これは障害当事者・関係者が主体となって運営する学びの場の絶対数の少なさ。そして,学びの場において適切なサポートができる専門者(マンパワー)の不足。例えば高等教育においては専門語が多いので,精通した手話通訳者がいないという問題があります。
 最後になります。日本で初めて聴覚障害児のための学校が出来たのは明治11年,140年前ですが,昭和8年から約80年間,障害者・手話への差別が続きました。聴覚障害者の状況は,その当時の社会状況により大きく影響を受けています。そのため,1.聴覚障害者の就学状況や日本語の習得は個別差が非常に大きいという状態が起きています。
 2.学校卒業後という幅広いくくりの中で,年代や就学状況にかかわらず,学びたいという意欲を支えていくために,学ぶ際の情報アクセスの保障,使用する言語の保障を教育分野でも権利として明確に規定し,併せて予算措置をしていく必要があると思います。
 3.聾学校や地域の学校に通う聞こえない・聞こえにくい子供たちをはじめ,聾学校,地域の学校の先生方,聴覚障害児を持つ保護者,それから,医療関係者,福祉関係者などに,ろう者のコミュニティ,デフリンピックなど聴覚障害に関する情報が十分行き渡っていないという課題があります。
 4.文部科学省としても,それらを積極的に発信して,聾学校卒業後にろう者が活躍できる場に積極的に参加できるよう啓発普及をお願いしたいと思っています。
 最後になりますが,今,厚生労働省に関しては,福祉に関しての手話通訳派遣制度があります。最近は文化・教養を学ぶろう者が増えてきております。その中で,手話通訳派遣については地域によって格差があります。少しずつ派遣が認められるようにはなってきていますが,今後,厚生労働省と文部科学省の間で調整があるとは思いますが,手話通訳派遣に際してずれとか差がないようにお願いしたいと思います。
 これで報告を終わります。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。それでは,ただいまから3団体の御説明についての御質問,御意見のある方は,どなたからでもどうぞ。まず冒頭に名前をおっしゃってから御質問をお願いいたします。よろしくお願いします。
 箕輪委員。

【箕輪委員】
 箕輪と申します。今日はありがとうございます。先ほど複数の団体様から同じようなお話がありましたが,例えば最初のお話の中では,特別支援学校ではなくて,一般の学校を卒業する方がいらっしゃることでしたが、これは特別支援学校卒業後も進学者が増えているということがあると思います。それから,盲の話の中でも,社会に出てから視覚障害になる人は、一般のほかのところにいらっしゃるという話があったと思います。
 これはなかなか団体の中でも全ての情報を共有できていなくて,孤立する方というか,こういった情報があったとしても全ての方がそこにたどり着けるわけではないということをよく伺います。この辺りは,最新の情報としては,一般の学校にいる方たち,学校間でつながっていれば別ですが,普通に個人で一般の地域の学校にいらっしゃって,どことも福祉とか教育の場とつながっていない方たちの情報を,どうやって吸い上げていくのか,ここの皆さんとつながるためにどういうような発信をされているのかということを伺いたいと思います。 多分、これからますます御本人が希望すれば一般の地域の学校に進学することができていくと思いますし,そちらを望む方がいらっしゃるかもしれないんですが,そうすると,もしかすると,せっかくこういうふうに整ったものとなかなかつながりにくくなる方が増えてくるのではないかという心配もあるので,この辺りについてそれぞれ皆様が,情報収集・提供の仕組みを考えていらっしゃるのか,あるいは、すでに実現されていることがあるのかについて教えてください。

【宮﨑座長】
 各団体から,簡単で結構ですので,今ある情報等でお答えいただければと思います。

【木村氏】
 PTAとして今感じていることですけれども,やはり特別支援学校のPTAができることとして,小・中学校の段階までは,例えば地域の方に支援学級を通していろいろな情報をお伝えすることはできるのですが,やはり地域の高校に通ってらっしゃる方にお伝えする機会は実際にはなかなかないというのが現状です。
 ただ,特別支援学校に通っていても,なかなか自分から情報を取りに行こうとする子ばかりではないので,まずはそこのところはPTAの方でしっかり発信をしたいと思っています。今回の取組が推進されて,例えば卒業時に,できる限りPTAの方から、地域でこんな活動できる場がありますよということを,子供たちにももちろんですけれども,保護者の方にも伝えて,卒業してもらいたいと思っています。地域の高校に通っていらっしゃる方々に対してのことは今本当に課題だと思っていまして,何かできることを模索している状況でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 日本盲人会連合はいかがでしょうか。

【三宅氏】
 日本盲人会連合の三宅です。御質問ありがとうございます。情報が届かないということで,こちらも意見の中で書かせていただいたのはそこのところなんです。実際にいろいろな講座が開設されているということはあるのは重々分かるのですが,実際その情報が視覚障害者当事者に届かないというふうな状況があることが多うございます。
 一例を言いますと,例えば各都道府県の中で社会人向けにとかいうふうなことでいろいろな講座,学習会などが催されるというような情報が流れてきますが,これが例えば活字だけの情報で流されていたりとか,あるいはホームページで上がっていたりしたとしても,それが視覚障害者が例えば音声読み上げを使ってアクセスしても適切に読み上げてもらえなかったり,情報が入手できなかったりというもので,アクセシブルなものになっていないということがたくさんあります。
 それから,特別支援学校の方でもいろいろなセミナーが開かれているということがありますが,これ自身の発信の仕方がそれぞれの学校で差があるということがあります。例えば特別支援学校のホームページ上に掲載されているからといって適切な方法で示されているというわけではなくて,学校によっても示され方がまちまちであるというふうなことも問題だと思っております。
 ですので,私どもの意見の中で書かせていただきましたが,そのような教育機関,福祉関係あるいは我々のような当事者団体,それから,行政が連携することによって,あらゆる形で情報が当事者の方へ届くという仕組みが必要だろうと思っております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 全日本ろうあ連盟さん,いかがでしょうか。

【山根氏】
 たくさんありますけれども,2つの例をお話ししたいと思います。
 1つ目はデフリンピックのことですが,聾学校に通っている子供たちには情報は入るのですが,それ以外の地域の学校に通っている子供たちはほとんど知らない。ある競技の地域学校卒業生の優秀な選手は,口コミ等で初めてデフリンピックのことを知った。デフリンピックに参加することで,自分はろう者のアイデンティティーに目覚めたという話を多く聞いたことがあります。
 そのように,どうやって地域の学校にデフリンピックの情報を届けるか。文科省に教科書等の冊子に載せてほしいという要望を出しましたが,なかなか進みません。先ほども言いましたが,文科省が積極的に発信をしていただけたらと思います。それが1つです。
 2つ目は保護者のことです。2年前に旭川市手話言語条例が制定されました。その中に,ろう児を持つ親が委員がおり,保護者がろう者の我が子にどうやってアプローチしていいのか分からない。行政に相談しても分からない。たらい回しにされてしまった。それで,聾学校に最終的に案内されて,手話のことや口話のことが分かるようになったという話があります。ですので,行政機関も,担当じゃないから受け付けないのでなく,関係機関等との連携を図って,ろう児を持つ保護者が安心して相談できるシステムを早急に確立していく必要があると思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 ほかに御質問,御意見があれば。
 田中委員,お願いします。

【田中(秀)委員】
 一麦会の田中といいます。日本ろうあ連盟の方に質問です。このスライドの7ページにあります合理的配慮における過重な負担とありますが,それはどういうことなのか。それと手話通訳に関する費用の負担があるのかということと,もう一つは,手話通訳者の養成とその後の身分保障,その辺の状況はどういうことになっているのかお聞かせください。

【宮﨑座長】
 それでは,よろしくお願いします。

【山根氏】
 例えば,カルチャー・文化関係を学びたいということで,手話通訳を連れていく。手話通訳者についての理解がまだ十分でないので,手話通訳者の分も受講料を請求されてしまう。また観光案内をしたときに,通訳者が一緒に付き添うが,通訳者も入場料を取られてしまうなど,そういった合理的配慮が欠けている部分が多いと思います。
 2つ目に,手話通訳の身分保障についてです。手話通訳士の制度がありますが,厚生労働省認定ということになっています。国家試験にはまだ至っていません。通訳の仕事としても,正職員扱いが少なく,嘱託職員が多い状態で,年齢も高齢化しています。国としての手話言語法の制定を求めていきたい。若者たちでも手話通訳者として安心して働ける環境づくりが必要であると思っています。

【宮﨑座長】
 よろしいですか。

【田中(秀)委員】
 はい。ありがとうございます。

【宮﨑座長】
 ほかにありましたら,どうぞお願いします。
 綿貫さん,どうぞ。

【綿貫委員】
 東京都自閉症協会の綿貫です。全国特別支援教育推進連盟のPTA連合会の木村さんに御質問です。3の中であった,東京都で行われている公開講座の障害者の本人講座が非常に需要が高いというところです。私自身は東京都の特別支援学校で勤務をしているので,どういうものかというのは知っているのですけれども,どういったニーズがあって,どのように需要が高いというところについて,いろいろな地域の方もいらっしゃるので御説明を頂きたいのと,それから,そちらで取りまとめている情報で,実際に御本人たちの声とか保護者の方の声とかありましたら,教えていただけましたらと思います。

【木村氏】
 本人講座についてですけれども,まだ我が子は在籍中ですので細かなことは分からない状況ですが,ただ,先輩の保護者の皆様方の話や,先生方にも幾つかお話は聞いておりますので,分かる範囲でお伝えをしたいと思います。
 学校によって異なりますけれども,年に5,6回土曜日に,月に1回程度ですけれども,障害者の御本人の方たちのための講座を設置されています。基本的には外部から先生をお呼びして,音楽などの講座を行います。その時々で講師の方をお呼びするということもありますし,年間を通して同じ先生でということもあったと思います。
 定員ですけれども,これは学校ごとで異なっていまして,私の聞く限りでは,毎年,定員以上の応募があるということを聞いております。ただ,回数を増やすには,そこはまた先生方の勤務の関係ということも出てきますので,一概にすぐに回数を増やすということに至らないということをお聞きしています。
 保護者の方からのお話ですけれども,抽選という状況にあるので,1回でも参加しないと次に呼ばれないのではないか、といった、真偽は分かりませんがそのような話まで出ているということで,無理にでもちょっとでも顔を出すとか,休まないように行くようにしているとかといった保護者のお話も聞いたことがありますので,御本人もそうですけれども,保護者たちもやはり障害のある子たちの活動の場を本当に求めているということだと思っています。
 以上で大丈夫でしょうか。

【綿貫委員】
 ありがとうございます。

【宮﨑座長】
 東京都で当該の対応をされていた朝日委員からちょっと補足をしていただけますか。

【朝日委員】
 朝日と申します。今,東京都の特別支援学校の校長会の会長をしております。推進連盟の方から、本人講座の拡充を望んでいただいているということを大変光栄に思っております。私も前任の学校では本人講座をやっておりまして,就職をした子供たちの社会適応ということ,あるいはいろいろな問題にぶつかったときにいろいろな解決をするために母校に帰ってくるという形でありました。ですので,年に複数回集まりますけれども,残念なことに教員の方が6年たつと異動になってしまうので,卒業して3年ぐらいは学校にはいるのですけれども,それを過ぎると知っている教員が母校にいないということであります。
 この検討会の中でも,ずっと特別支援学校がその役割を担うべきなのか,あえて特別支援学校以外のところで学びができた方がいいのかというのは議論があったところですけれども,今お話を頂いたように,抽選で外れてしまうというようなことは極力なくすようにしていきたいと思いますし,東京都の方も人材のための予算的な措置はあるのでそれを拡充はしたいですけれども,正直,コーディネートするのはやっぱり教員の力に頼らざるを得ないところが現状かと思います。
 逆に,知的障害の軽度の子供たちだけではなく,中度・重度の子,肢体不自由の子供,あるいは聾学校,盲学校の卒業生も,もし母校に帰ってきたら何を学びたいのかというのを是非いろいろな御意見を言っていただきたいなと思います。学生時代のやっていた活動を更に充実するのがいいのか,もう少しレベルを上げて,社会人として身に付けておくことを一緒に考えるようなものがいいのかということが1つです。
 それから,できれば参加するだけではなくて,先輩なので,そうやって通いながら,どこかで後輩たちに今自分たちが社会で頑張っている姿を見せてくれたり,いろいろな活躍を言ってくれたりというような,そういう大人としてのモデルをたくさん見せてくれるといいなと思っています。まだまだ現実は,3年過ぎるとどうしても下火になってしまうというものがありますけれども,こうやって御指摘を頂いたので,学校の方としても頑張っていきたいと思っております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 すいません,振ってしまって申し訳ありません。

【朝日委員】
 いえ。

【宮﨑座長】
 綿貫委員,よろしいでしょうか。

【綿貫委員】
 ありがとうございます。

【宮﨑座長】
 山田委員,お願いいたします。

【山田委員】
 日本障がい者スポーツ協会の山田と申します。今日はありがとうございました。3団体の皆様方から,それぞれ論点整理した個々の部分について一つ一つの御意見を頂きましたけれども,この論点整理全体に対して,柱が足りないとか,そういった全体に対する御意見はないのでしょうか。まとめ方はこれでいいというのであればそれで結構ですが。

【宮﨑座長】
 全体の構成等で何かありましたら。3団体のどなたからでも結構です。

【松矢副座長】
 ちょっといいですか,補足。

【宮﨑座長】
 では,補足をお願いします。

【松矢副座長】
 山田委員に補足して,学びに関する仕組みを充実させていくために連携が必要だというのは中間まとめに入っていますが,一般的に連携といっても,例えば視覚障害者のときの音声のサービスとか,それから,聴覚障害者の手話サービスは,一般の生活支援と,それから生涯学習の場合,かなり専門的な内容も入りますから,いろいろそのサービスのこと,音声サービスもそうですし,手話通訳サービスもそうで,生活支援と違っている,もっと突っ込んだものが必要となってくるような感じもします。そういう意味では,こういう一般的な有識者会議じゃなくて,連携,特に具体的なサービスについての連携については特別の委員会を作ってほしいとか,何かそういう要望がございますでしょうか。

【宮﨑座長】
 どうぞ,お願いします。

【山根氏】先生方の異動に問題があります。聾学校に入る場合は,当然子供とコミュニケーションをとるため,先生も手話を学ばなければなりません。でも,手話をマスターするには5,6年掛かります。やっと習得したらと思ったら,やむを得ず異動になってしまう。新しい先生が来られても,また一から覚えなければなりません。そういった悪循環がずっと続いています。そういったことも解決しなければなりません。人事については地方が権限を持っているようなので,これから考えなければならない重要な課題だと思っております。

【宮﨑座長】
 ほかの団体,いかがでしょうか。
 お願いいたします。

【三宅氏】
 日本盲人会連合の三宅です。先ほどろうあ連盟様の方からもおっしゃったように,やはり教職員の異動というのは,盲学校のところでもかなり問題だというふうに我々も認識しております。例えば異動があるがために,せっかく点字を覚えてからすぐに異動になってしまって,また新しい先生が一から点字を覚えるとか,あるいは生活に必要な,例えば歩行訓練とかそういうふうなスキルを身に付けなければならないけれども,それはなかなか学校生活の中で身に付ける環境が十分整わないとかいうことが出てくると聞いております。
 ですので,連携といったところでは,例えばそういったときに,我々のような当事者団体もそこに含ませていただいて,何かお互いに連携を取る中で支援ができる体制が作っていけるといいかと思います。
 それから,例えばOBの方,卒業された方とかで,学校の方に来て何か教えるというようなことが可能かということもあるかと思います。特に地方の学校の方に行きますと,生徒数が例えば高等部とか中学部の学部に1人とか2人というふうな状況もあると伺っております。ですので,卒業生というふうなことも必要ですけれども,一般校に通っているロービジョンあるいは全盲の方が通っている例も数例ありますので,そういった方たちとの触れ合いの場のような形で社会性を養うといった仕組みも必要になってくると思っております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。お願いいたします。

【大伊氏】
 全国特別支援教育推進連盟の大伊と申します。私も元都立の特別支援学校で校長をしておりましたので,その関係で申し上げさせていただきたいと思います。
 卒業後の学習の機会ということで,卒業した後も本人講座で学ぶという機会も多いのですが,特別支援学校の中で視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱とか,様々な障害を持った生徒たちが社会の中で活躍されています。特に肢体不自由の卒業生にとっては,そこへ行くまでの移動手段か厳しいところがあります。在学中ですとスクールバスを利用して登下校が可能ですけれども,卒業した後,母校とか,あるいは近くの学校といっても,自力でそこの学校に行って勉強する,講座を受けるというのはなかなか難しい状況があります。そのような場合,どのような移動手段を確保していったらよいのかという辺りも1つ大きな課題になってくると思います。
 それから,先ほど山田委員でしょうか,この観点でということでありましたけれども,推進連盟としましては加盟団体から頂いた意見を基にまとめさせていただいておりますので,特にどの項目でというような意見はありませんでした。
 以上です。

【山田委員】
 ありがとうございました。

【大伊氏】
 個別にはそれぞれあるかと思いますけれども,全体のまとめとしては特にそういう御意見はありませんでした。

【宮﨑座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,この辺で,第1部の3団体へのヒアリングを終わりにします。3団体の皆様,ありがとうございました。(拍手)
 入れ替えにちょっと時間が掛かると思います。しばらくお待ちください。
(ヒアリング者入退室)

【宮﨑座長】
 それでは,第2部の3団体からヒアリングを行います。事務局より御紹介をお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは,第2部の3団体のヒアリング者の方々を御紹介させていただきます。
 最初に,全国手をつなぐ育成会連合会から,会長,久保厚子様です。

【久保氏】
 どうぞよろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 なお,手をつなぐ育成会連合会の御発表におきましては,田中正博委員の方からも,連合会総括のお立場から補助的に御意見を頂くこととなっています。
 続きまして,一般社団法人日本難病・疾病団体協議会から,常務理事,斉藤幸枝様です。

【斉藤氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 続きまして,社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会から,理事・事務局長,長井浩康様です。

【長井氏】
 よろしくどうぞお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 東京都重症心身障害児(者)を守る会,会長,安部井聖子様です。

【安部井氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 皆様,本日はお忙しい中,どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは,全国手をつなぐ育成会連合会からの御意見について,お伺いをしたいと思います。久保会長,田中委員,どうぞよろしくお願いいたします。

【久保氏】
 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成連合会の久保でございます。本日はヒアリングの機会を設けていただきまして,ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 育成会の方からですけれども,お手元の方に,文章で書いたものと,それから,「手をつなぐ」という毎月出している機関誌の,この有識者会議に関係している部分のコピーをお手元に配らせていただいておりますので,ちゃんと見ていただいたらありがたいなと思っております。
 最初に,知的障害者の学びの意義についてでございます。知的に障害のある人が夢や希望を持って生きていくためには,障害の程度とか,それから,生活の環境にかかわらず学びの場を得て,そして,暮らしを豊かにする機会を得るということはとても大切になってまいります。必要な福祉サービスを得て,そして,衣食住を整えることは基本でございますけれども,それだけでは豊かな生活にはつながらないわけです。今,相談支援センターでも,いろいろな国の方で出来ている福祉サービスをつなげても本人の豊かな生活にはならないという,相談支援の専門職からの声も聞こえておりますので,生活の幅を広げて,暮らしを楽しみ,自分自身の成長を感じて,その人らしい人生を得ることが誰にも必要なことでございます。
 私たちも,いわば大学時代にお友達を広げたり,人間関係を広げたりして,そして,その後の自分の方向性みたいなものを見つけたりということをします。障害のある人はゆっくりと成長していきますので,なおのこと,そうした機会だとか場が必要になってまいります。
 ある知的障害の本人の会では,仲間と相談しながら自分たちの生活について考えて,そして,共に学ぼうを会則にして活動をしております。共感し合い,支え合う仲間づくりや,障害ゆえに起こりやすいつまずきや分かりにくさを乗り越えるための知識とか,それから,スキルを学ぶ場として,仲間同士でのそうした学びの活動を行っております。自らが変化することで,周囲や社会や自分の人生が変わることを学んで,生涯にわたってしっかりとした自己肯定感と他者を包容するという,そういう力を学ぶことが重要になってまいります。
 2番目です。知的障害者が生涯にわたり学び続けることの意義につきましては,学校を終えた後の継続的な学びというのは人生を豊かなものにしていくには欠かせませんが,学校卒業後にも仲間と共に,在学していたときのスポーツとか文化芸術,そして,趣味,余暇の時間等,豊かで様々な経験を卒業後も継続して楽しむことが必要になってまいります。そこでは,社会との折り合いの付け方など学びが社会性の向上につながる視点も重要でございますし,知的に障害があっても,自分自身の内面を広げ,磨き,時に新しい自分を見出すという手段が学びになります。
 障害のある人たちにとって学ぶということは,人間らしく文化的な生活をしていくための重要な要素になりますので,障害があるからこそ,ゆっくりじっくりと学び合うことができる条件を保障していくことが相互学習の場ともなり,インクルーシブな地域づくりにもつながると考えております。
 残念ながら,知的障害のある人にはこうした学びの機会が十分に用意されていないのが現状でございます。卒業後の生活課題を継続的に学び,スキルの向上を得る機会が必要でございますけれども,現在は機会がありません。また,在学時に比べて運動量も減りますので,健康維持のためにもスポーツの機会も是非とも必要だと考えております。
 3番目の学校卒業後における障害者の学びの充実方策と目指すべき方向性についてです。先駆的な活動には,学習・文化活動には趣味的な活動内容もありますけれども,日常の生活や就労などの課題について語り合い,その解決策を練りながら暮らしを変えていくことを目指した活動が多く見受けられます。企業に就労しても,仲間や先輩と余暇活動をする中で,いろいろ相談をしたり話し合う中でいろいろな課題を乗り越えていく,そして,自分が自信を持って社会に参加していくという,そういうことを得るということが実際にも余暇の中で行われてもおりますし,そういう機会をもっと広げていくということが必要だと思っています。
 障害のあるとかないとか,それから,程度にかかわらず,一人一人のニーズに合ったプログラム,生活のマナーだとかお金の管理だとか生活していく上で必要な知識等に加えて,スポーツとか芸術とか仲間との交流などですけれども,これを提供する場と,本人が主体的に仲間や地域の人々とともに学び合える場が各地域で確保されることが望ましいと思っております。
 社会に出ると,好きな人ができて,どうしたら自分も相手も大切にした関係づくり,誰からも応援してもらえるそんな交際ができるかということは,学びの大切なテーマになってまいります。私たちの周りでは,九州の方の社会福祉法人がそういうことをやっていまして,ブーケという名前で,交際を上手にして,結婚に結び付ける相談に乗るということもやっています。私は滋賀でございますけれども,滋賀の方では,MMKという余暇活動のグループがあります。「何の名前なの? MMKって何なの?」と言ったら,「もてて,もてて,困っちゃう」という頭文字をつなげているらしいのですけれども,そういう名前を付けながら,好かれる人になろう,異性に好かれる人になろうというようなそういうことをやっているグループもあります。
 また,選挙をテーマにして,有権者として自分たちの代表を選ぶというような,少し高度にはなりますけれども,意識を育むことも大切になってまいります。さらには,表現活動が自己解放につながる面と,それから,障害がある人たちが文化創造の発信者になっていくという取組も重要でございます。自分の好きなことや得意なことで発信して評価されることが,自信につながって,社会参加につながってまいります。
 一方で,学びの機会がなく,周囲の関係につまずいたり,トラブルに巻き込まれたり,自分のことを自分で決めていく機会が少ないというのは,知的障害者の方の多くにあります。主体的な自分を獲得することも重要でございますので,そのため,企画内容を障害のある人たちが主体的に考えて,自らの力で計画,実行していくことが大事だろうと思っております。
 4番目の既存の多様な学習活動への知的障害者の参加推進策についてでございます。既存のカルチャースクールや公民館などでの文化・サークル活動のような一般的な学習活動への参加に当たりましては,合理的配慮が必要でございます。そのためには,一人一人の障害の特性に向き合って耳を傾けて働き掛けていただくことが重要になってまいります。ある団体で双方がスムーズにコミュニケーションを取れるよう学習の機会を設けてみたそうですけれども,相手を尊重しながら自分を大切にするという特徴を持つ意思伝達法で取り組んだところ,障害のある人たちから,どのように困り事を伝えていいかよく分からなかったという人たちが,具体的に伝え方が分かった,他人と交流できてよかった,我慢せずに考えていることを伝えてよいと分かったという声も上がってまいりました。
 スポーツをやりたい本人や,やらせてあげたい周りの関係者が是非と思い付いたときに,どこにアクセスをすればよいのかという情報を届ける仕組みも必要でございます。差別や偏見をなくし障害のある人が社会的に排除されないような仕組みを活用しながら合理的配慮について考えるのも参加推進策の1つと考えております。
 5つ目の取組を推進するためのシステムづくり,基盤の整備についてでございます。放課後デイサービスは,全国にたくさん事業所が出来ました。生涯学習を在学中から段階を踏んでステップを上げて取り組んでいく上で大変有効な社会資源というふうに期待はしておりますけれども,ただし,急激に爆発的に増えてしまいましたので,事業所によっては内容がレスパイト的であったり,親の就労保障だったりというような形で,生涯教育のプログラム展開を期待するのはとても厳しいという面が多々あります。
 本来的な放課後における児童の健全育成や社会育成の場として展開されるよう,教育の方で,こんなような教育的支援をしてきたんですよということを伝えていただいて,そして,教育的な視点からも福祉の職員が物を見るというような意味で,教育の方から福祉の現場の人たちを育てていただけたらありがたいなというのが親の願いでございます。学校における個別の教育支援計画と福祉の計画相談を共有する場を積極的に設けていただいて,一体的な関わりとなるよう期待をしております。
 大学などの高等教育機関が,その資源を活用して障害のある人たちを対象として行う公開講座とかオープンカレッジを実施している例の積極活用も基盤整備の一助になると考えております。福祉施設や当事者組織などでも様々な学習活動やスポーツ,レクリエーション活動が行われておりますので,役割を果たしているんだという認識と評価が必要だというふうに考えております。障害者による文化芸術を推進する法律も本年制定されましたので,都道府県,市町村での基盤整備が進んでいけば,参加する機会がもっと増えていくのではないかなと考えております。
 以上でございますけれども,皆さんのお手元にこの3つのコピーを配らせていただきました。アフター4のいろいろと,それから,卒業してからも学びたいというのと,私とスポーツということで,本人の,参加して,やってみてよかったとか,意見をいろいろ記事として載せておりますので,また是非御覧いただきたいと思っております。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは,田中委員から若干補足をお願いいたします。

【田中(正)委員】
 最後に会長の方からも紹介がありましたけれども,2016年4月にアフター4ということで余暇の部分,この生涯学習の話が始まりましたので,昨年10月に,学びたいということで特集を組み直しまして,それに加えてスポーツを取り入れて,生涯にわたって様々な活動が意見を述べさせていただいたような方向に向かっていくことを期待しております。
 特に生涯学習という教育分野ということで文科省が土台になっていろいろな検討が進んでおりますけれども,福祉の部分でも,事業名が今,生活介護と就労継続Bということで日中活動が成り立っていますが,これに訓練事業として自立訓練と就労移行を重ねて2年ずつの積み上げで4年のカレッジというような名称で事業展開をしている人もいます。
 やはり福祉と教育が連携してこそそこが生かされるということもありますので,最後の,基盤整備に個別の教育支援計画と計画相談の個別計画,これらがもっと本格的に交われるような場を作っていただければということを,特に学齢期からその場が生かされるような仕組みづくりを,多分どちらかが仕掛けないといけないと思いますので,文科省の方で是非働き掛けてですね。学校によっては,個人情報の保護の規制によってせっかく立てた個別の教育支援計画が外になかなか出にくいということを聞いているところもありますので,そこは何らかの工夫をして広く情報が共有されるようにしていただければと思っています。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 続きまして,日本難病・疾病団体協議会からの御意見をお願いいたします。それでは,斉藤様,どうぞよろしくお願いいたします。

【斉藤氏】
 よろしくお願いいたします。「難病患者の生涯学習」ということで1枚ペーパーを出させていただきました。私の方は,文章化しないで箇条書きにまとめてあります。
 難病患者と申しますと,障害者としての位置付けが新しいものですから,障害者基本法の中にも文言が入っておりません。ですが,難病法が出来まして,総合支援法の中には障害者として仲間入りをさせていただいております。私どもは難病と慢性疾患の患者団体で会を組織しておりまして,その88団体集まった患者団体の中央組織です。
 難病と申しますと希少疾患が多く,全国に数百名あるいは100名もいない,患者どうしで会ったこともない,そういう難病患者から,数十万人いるという慢性疾患の患者さんたちを言っています。疾患を持っているということは,医療に関心があり,患者会の大きな目的が,病院を作ってほしい,診てくれる病院が欲しい,救急体制が欲しいとかに偏りがちでした。そのため,生涯学習ということは地域で生活するうえで非常に大事であるにもかかわらず,盲点だったと深く感じているところです。
今回お声を掛けていただき,生涯学習について検討することができたことは、大変ありがたく、お礼を申し上げたいと思います。
 難病法はその基本理念に、「難病患者が地域で尊厳を持って生きる」ことが記載されております。このような言葉は,障害者基本法の中にも書かれてはなく、この表記が難病法の大きな特徴であって,誇れるところだと思っています。
それを受け,地域の中で尊厳を持って生きられる環境を作っていく。そのために共に学んでいく仕組みを作るということが生涯学習の目的ではないかと私どもは考えました。
難病患者は数が少ないので,自分の病気のことを話して分かり合えるということは難しいですが,地域の方々,健常な方々を巻き込んだ形での生涯学習をしていかなければならないと思います。
 そのような切り口の中で,生涯学習の目的を2つ分けて考えてみました。1つが,患者自身の生涯学習。自分の生きていく意味を考えながら,自分自身を高めていき,目標をかなえることを目的といたしました。
2つ目は,地域の方々の理解がないと,尊厳を持って生きるといっても,自分一人で生きられるわけではありませんので,関心を持っている層,あるいはきっかけづくりができそうな方々に対しての理解を広めるという,これを2つ目の生涯学習の目的と考えてみました。
最後に3として,だから,在学中にもという思いを込め、加えました。
 1つ目の方に戻ります。患者自身の目的をかなえるためにということで,これは患者会の目標でもありますが,自分の病気を正しく知ること,知って病気に立ち向かう心を持つということ。そうすれば,治療に前向きになることが可能になります。それと,できる限り,同じ病気を持つ患者との交流,意見交換をする,こういうことを私どもは患者会の目的の一つにしております。
 では,生涯学習の切り口ではどうしたら良いのだろうということになります。そのためには,自らの学び,それから,支援体制の充実,それと,交流の場の確保,この3つが必要と考えました。例えばということで例示をさせていただいております。
 私が今携わっている1つの障害者団体のところのすぐ近くに特別支援学校があります。その特別支援学校はろう関係ですが,バリアフリー化が整っておりますし,環境設備は申し分ないです。ですが,放課後生徒がいなくなると、施設は結構空いているように見受けられます。そのような特別支援学校の施設を利用し,卒業した人への相談体制を行ったらどうかと思います。
 特別支援学校の開放による障害者の居場所づくりとして、在学中もですが,卒業した後もよりどころとなる場所に。特に身体障害者関係の特別支援学校でしたらバロアフリーですので,病弱の子ども集うことができる,と考えております。
文科省が平成19年から実施している放課後子ども教室の大人版で,毎日でなくてもいいでしょうから,居場所として母校を開放してほしい,そのように思います。
 病弱の子どもたちが学校を卒業しますと,体力を余り使わなくてもいいということで,IT関係の企業に行く方が多いです。ITの中にはブラック企業もありますから必ずしも体を使わなくていいとは言いませんけれども,瞬発的な体力としては余り要しないということがありますので,収束先としては関心があります。母校が就職先での働き方を含め、サポートをしていただくような場にもなれると考えております。また,そこへ集まって,職場の話や愚痴を聞いてもらう,転職へのステップアップをしていくような,そんな場所になればいいなと思います。
 今,国を挙げて一億総活躍社会、働き方改革に取り組んでいると思います。病気を持っての,ながら働きという言葉も聞かれます。病弱であっても,難病患者であっても,働くことによって,多くの事を得ていくものと私は思います。働けない人がだめなのかということではなくて,働ける人間は働くということ,それから,人に対して社会的な働きができるということがいかに大事かと,思っております。そういうことを考えますと,就職のサポートも,必ずしも労働政策の中だけに位置付けるのではなく,文科省の今回の生涯学習の在り方の中でもさりげなく位置付けることで新たな展開ができるように思っております。
特別支援学校は都内に結構ありますが,病弱関係のものはございません。難病というと非常に怖がってしまう。あるいは,慢性疾患の中でも,その日によって体調が優れないという波があります。そのため、特別支援学校でも心配して受け入れない場合があります。また,受け入れられても,例えばクーラーを効かせていて,心臓病や腎臓病等の内部障害者にはつらく,環境一つでも課題もあります。職業訓練校の障害者に配慮したフレキシブルなスケジュールで受講できるメニューの拡大もお願いしたいです。
 それから,病気と共に生きていく社会生活を意識した学校教育を振り返っていただきたいと思います。自分の病状や,できないこと,手伝ってほしいことを周囲の人たちに伝え,理解していただける力を子供のときから付けていただきたい。これは患者会の目的でもありますし,小さいときからの学校教育の1つの目標であってほしいと思っております。特に特別支援学校,特別支援学級においてはこのあたりを意識して教育していただけるとありがたい,こんなふうに考えております。
 内部障害の方の中には自分の病気を隠す人が結構います。外部障害の方ですと,見た目に分る方が多く、知的障害の方も重症の方ですと,比較的分かります。難病も例えば慢性疾患の心臓病ですと,非常にチアノーゼがひどいと色が黒いということで見た目に分かりますが,一般的には見た目では分かりません。自分でしっかりと説明する力,人間関係を壊さずに説明していく力が,子どものときであっても,大人になってからも必要と思っています。このことを,患者自身の目標をかなえるための,患者自身を育てていく1つの生涯学習のキーポイントにしていただきたいと思います。
 2つ目の目的が,やはりそうは言っても,患者である自分一人が頑張っても,家族全体で頑張っても,地域の方の理解がない,あるいは身近な人の理解がないとつらいものがあります。そのつらさに負けて,企業をリタイアしてしまったり,学校で不登校になったりということを随分聞きます。そのような原因を極力少なくしていくために,理解者を広げる取り組みが必要です。そこで,その対象を慢性疾患や難病者を抱える家族,それから,高齢,障害者を抱ている病気に関して関心を持っていると思われる層に。もう一つは,自分の健康を考える人たちを対象に,いろいろな講座で難病や慢性疾患患者の理解を広める話をする機会を作っていただきたいと思います。
 ただ,今まで,私どももそうですが,行政に要求するばかりが多かったと思います。そうではなくて,行政もやってほしいですが,行政の力を頂きながら,患者団体が主催をするような,あるいは行政と共催できるような会合,健康大学とか市民大学とか講演会等を催すことができたら,私どもも力が付きますし,的を得た内容の学びが可能になると思います。
 場所は,病院などを考えてもいいと思います。また行政の施設だけではなく,例えば介護施設,そこには高齢者を抱えた家族が来ます,それから,保健所,PTAの会合等でやっていただけると生涯学習とは関係の薄かった層に広がると思います。
 共通するテーマは1から5番目に書いたような,健康保険とか介護保険とか身近なものをテーマにしながら,難病というのはどのような病気で,どのような人が罹るのか,ということを知っていっていただくことが良いと思います。明日は我が身,誰でも患者になりうることに気付く内容で。行政のみではなく,できれば患者団体・障害者団体と共催で,地域の方々の理解を広める環境整備をしていくことが必要と思います。
 最後に今回のテーマは卒業後ということでしたが,3つ目を,急遽入れさせていただきました。学校教育同様、在学中の子どもたちの成長にとって生涯学習は重要です。インクルーシブ教育は,学校教育として言葉としては定着をしてきていると思っております。
生涯学習の分野でも障害を持つ子どもたちがともに育つうえで,多くの小学校で取り組まれている放課後子ども教室や学童保育があります。
 私の経験で恐縮ですが、行政にいたときに,平成19年に文科省の放課後子どもプランを受け,放課後子ども教室を小学校全校に3年計画で設置をさせていただきました。ところが当初はインクルーシブ教育として地域の学校に通えている障害を持ったお子さんたちも,放課後子ども教室に参加していたにもかかわらず,「最近は放課後になると,放課後等児童ディの車が数台校門前に迎えに来て乗せていくんですよ」,「一緒に面倒見ていたのに」と放課後子ども教室に携わっている地域の方々が悔しがっている話を聞いたことがあります。
 厚労省の障害者部会に私も出させていただいているのでそこでも何回か申し上げていますが,なかなか壁が厚いように思います。放課後等児童デイも随分改良はされてきていますが,基本は,インクルーシブ教育があってこその放課後等児童デイであってほしいなと常々思っております。この時期に子どもたちが一緒に教育を受ければ,私が先ほどお願いいたしました,2番目の地域への理解を広めるというところの作業が少なくなるのではないか,このように感じているところです。
 以上です。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 斉藤様,ありがとうございました。
 続きまして,全国重症心身障害児(者)を守る会からの御意見についてお伺いしたいと思います。それでは,長井様,安部井様,どうぞよろしくお願いいたします。

【長井氏】
 よろしくお願いいたします。本日はヒアリングの機会を頂きまして,誠にありがとうございます。私どもは,重度重複障害の親の会であります全国重症心身障害児(者)を守る会と申します。資料に沿って私,長井の方から説明させていただきますけれども,その次に,安部井東京都会長の方から具体的事例についてお話をさせていただくという順番で進めさやらせていただきたいと思います。
 それでは,資料6を御覧いただきたいと思います。重症心身障害児(者)は重度の知的障害,重度の身体障害の重複障害がありる人でございまして,特別支援教育においてはきましては,訪問教育,これを必要としております。論点整理の全体を通してのことですがございますけれども,このような児童生徒の学校卒業後の学びについてきまして,その視点が記載されていないのではないかと感じております。重度重複の障害があってもある方は,生活年数を重ねることで,感情の表現や,これと,意思の表出なども豊かに成長してまいります。このことを御理解いただき,今後の論点整理に反映していただくことをお願い申し上げたいと思っております。
 整理されました論点について意見を述べさせていただきます。論点の1番に,障害者が学び続けることのできる社会を創造する必要性についてと書いてございます。これに関して,そのうちの(1)に追加していただきたい事項がございます。それは,特に重度重複障害児については,在学時から卒業後の生活を見据えた学習支援,取組が必要だということでございます。例えばIT。これはICTと言い換えてもいいと思いますが,これを活用した意思伝達,意思表示の機器であったり,装置であったりしますが,これを用いた学習を考えた場合に,その機械の使用方法を低学年の頃から学習に組み入れることや,個々人に合った福祉機器の開発をも意識した取組をしていただきたいということを望んでおります。また,将来的には学習指導要領にもこういうものを反映していただきたいと考えてございます。
 論点の2番の方には,今後目指すべき方向性についてということでまとめていただいております。ここにも追加していただきたい項目がございます。それは特に,重度重複障害児(者)については,在宅での生涯学習を行う検討が必要ということでございます。一般の卒業した後といいますと,同窓会の活動とかオープンカレッジへの参加と考えられるのんですが,在宅で訪問教育を受けているような方は,そういうものに参加するのが難しいと思っておりますので,在宅での生涯学習の機会,これを頂きたいと思っています。
 それから,論点2の中で修正していただきたい点が1つございます。4ページの4つ目のマルに「当事者の主体的な学びの重視」という括弧書きで書いてある部分がございますが,この文章の後段に,生涯学習・教育・福祉・労働等の関係機関・団体の連携とございますけれども,これに医療を加えていただきたいと思います。これはなぜかといいますと,今年の6月15日の閣議決定の中には,医療・保健・福祉・教育との連携強化というのが書かれてございます。そういう意味におきましても,医療というのは私どもにとりまして大切なものでございますので,これを加えていただければと思っております。
 それから,論点3でございます。学校卒業後における障害者の学びの充実方策についてに関しまして、でございます。論点整理の9ページ目の事例のマル4,これの最後のところに,訪問カレッジ@希林館というのが出てまいりますけれども,これは私どもにとりましては優良事例だと思っております。これを是非とも優良事例として位置付けていただきまして,こういった事業を市町村事業として制度化するなり,あるいは予算化するということで広めていただくということを希望したいと思います。
 次にそれから,10ページ目の「(2)どのような学習が求められるか」についてでございます。1の方にも書きましたけれども,ICTを活用した意思伝達・意思表示装置の使用によって,重度重複障害児(者)用にカスタマイズした上で学習カリキュラムに取り入れることを求めたいと思います。繰り返しになりますがけれども,この目的は,重度重複障害児(者)が卒業後も生活年数を重ねることで,感情の表現なども豊かに成長することに鑑みまして,意思伝達,意思表示をするための基礎を身に付けること,これが目的でございます。
 また,訪問教育を必要としている重度重複障害児(者)のみならず,施設に入所されている方あるいは福祉の通所事業を利用されている方にも,福祉サービスと連携して生涯教育を学びの場として設けられることを希望したいと思っております。
 それから,13ページ目に(3)としまして,「どのような方法で実施すべきか」ということですが書かれてございますが,今後,特別支援教育の教員の先生方,定年の延長、とか再雇用というのが最近話題になっておりますがございますけれども,まだまだ年齢が高くとも,教員のOBの方々というのはノウハウを身に付けていらっしゃいますので,できれば学習支援ということで御活躍いただくということが考えられるのではないかと思っております。
 それから,論点の4については特に意見はございません。
 論点の5でございます。取組を推進するためのシステムづくり,基盤整備についてでございます。国の予算あるいは地方の予算も限られておりますし,人材についても非常に限られたという状況があると思います。それに限定した検討ではなくて,今後期待されますITを活用した福祉機器の利用,その使い方の開発,それを利用した学習の支援を行っていただく。あるいは,在宅にいる重度重複障害児(者)への遠隔操作,これを学習のシステム化ということで取り組んでいただければと思っております。
 資料説明はここまででございますので,具体的な事例は安部井会長の方からお話をさせていただきます。よろしくお願いします。

【安部井氏】
 私は親ですので,私の娘を通したことでお話しさせていただきたいと思います。
 重症心身障害の子供たちは,一瞬見ると,何も分からなのではないか,何も発信していないのではないかと,双方向のコミュニケーションが非常に取りにくいと思われがちな人たちが多くいます。実際私の子供も非常に育てにくい子でした。全身過敏で,昼夜逆転,全く筋力がない状態で育てていました。この子とコミュニケーションが取れるということはできないのではないかと思いましたけれども,母親であるならば,子供には「お母さん」と呼んでもらいたいという切実な母親としての願いがあって,いつかは「お母さん」と呼んでもらいたい一心でたくさん話し掛けをしました。
 人間としてイエス・ノーが表現できるならば,この後社会の子になっても生きていけるのではないかと考えました。幼少の頃は熱が出たりして,体調を崩しますので,手で見る看護をしていました。看病している時に,全く力の入らない我が娘の手のひらに指をはさんだときに,ふっと握り返すような感じがしたんです。これはひょっとしたら,この子のコミュニケーションの1つのツールになるかもしれないと思いました。親の信じる心です。
 娘を信じるその一心で,「イエスだったら手をにぎにぎしてね。そうじゃなかったら何もしなくていいの。ノーよ」ということをずっと話しかけていました。学校教育の場でそんなこと言ったら笑われると思いましたので,こっそり家庭の中でやっておりましたけれども,それが確実にできるようになって,担任に,こういうことができますと話しました。彼女のイエス・ノーのコミュニケーションツールを,原始的な方法ではありますが,そうやって家庭の中で育みました。
 また,学校教育の中でパソコンを使った教育が始まった頃でした。また,病院での外来療育の中で,OTやPTで,パソコンを使ってということにも接しました。それで,彼女の表出を的確なものにしたいと思い,彼女専用のパソコンを買い,座位保持椅子を作り,様々なスイッチも作りました。けれども,家庭では限界がありました。親と子,2人だけのやりとりではそこからの発展性がありません。また,彼女が少しずつパソコンを使って積み重ねによって成長していきましたが,それに伴ったソフトやスイッチ等の新たなものを導入には,サポートしてくださる専門家がいないと非常に難しいということで断念しました。
 それで,いつでもどこでも誰とでもコミュニケーションが取れる,それは彼女自身から発信するコミュニケーション方法を進化させていきました。今,これだけICT機器が進み,いろいろな機器やソフトも開発されてきました。彼女が学ぶという視点だけではなく,彼女が発する微弱な意思をくみ取る,そういう支援機器が欲しいと思っております。そのためには,機器だけ,ソフトだけではありません。それを使いこなす支援者が身近なところにいていただきたい,その方にも重症心身障害の特性を一緒に学んでいただいて,私たちの子供を支援していただきたいと願っております。
 今は,意思決定支援,意思決定というキーワードが様々なところに出てまいりますが,本人が意思決定をするためには,本人のコミュニケーションが伸びなければ,意思を表出することはできません。また,周りの支援者もそれをくみ取る力がなければ,私たちの子供の意思をくみ取ることもできません。ですので,障害者の学びという中で,生涯にわたって,私たちの障害の重い子供たちの意思,それから,人間の根源的なものであるコミュニケーションがより深まって豊かな生活が送れるようになることを願っております。そのためには,生涯学習ができる場や機会が必要です。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ただいまから3団体からの御説明について,御質問,御意見のある方は,どなたからでもお願いします。若干時間が押しておりますので,簡潔にお願いいたします。どうぞ。

【山田委員】
 山田です。斉藤さんに質問です。どうもありがとうございました。私よく知らないので教えていただきたいのですが,難病の方の総人口と,年齢の構成です。例えば20歳以下がどのぐらいいらっしゃるのか,分かっていたら教えていただきたい。

【斉藤氏】
 申し訳ありません。分かりません。なぜ分からないかといいますと,病院に登録されていない。つまり,難病手当の支給とか,医療費の支給をされている方の数ということでは分かっておりますが(約100万人),難病の疾病によって随分違うということがあります。それから,お子さんの数は特に出てきません。なぜ出てこないかと申しますと,難病であっても難病法の方の医療費を申請するよりも,御存じのように子ども医療のほうが使い勝手が良いので子ども医療費を使ってしまい、統計の数が上がってこないというのがあるので,実際よりはかなり少ないと伺っております。

【宮﨑座長】
 よろしいですか。
 では,松田委員,お願いします。

【松田委員】
 よろしくお願いいたします。千葉県教育委員会の松田でございます。手をつなぐ育成連合会の久保様にお尋ねをしたいんですが,1点目のお尋ねと致しましては,資料4,御説明いただいたうちの裏面の4番なんですが,ある団体で双方がスムーズにコミュニケーションを取れるようにという部分で,4の2段落目になります。これは具体的にどんな方法の話だったのかということをもう少し詳しくお聞きしたいということです。
 それと,このプリントで,単なる印象なのかもしれないんですが,やはり生活スキルというか,そういったものを身に付けていく機会をより求めていらっしゃるのかなと思っていた一方で,添付いただいた3つの資料をざっとだけですが見せていただいたんですが,どちらかというと,参考のマル1にあるような,余暇というような印象を,余暇の過ごし方といいましょうか,そういった部分についての措置というか,そういった講座といいましょうか,そういったものが示されているので,どちらかというとこちらの方のニーズが高いということなのかという部分で確認をしたいと考えたところでございました。
 以上でございます。よろしくお願いします。

【宮﨑座長】
 では,よろしくお願いします。

【久保氏】
 双方向がスムーズにコミュニケーションを取れるよう,学習の機会を持つ意思伝達法で取り組んだというのは,統括の方がよく知っています。

【田中(正)委員】
 卒業してからも学びたいという,参考資料-参考2,これのページ数が打ってある28ページのところに,WEL’S TOKYOの堀江さんからの報告で,アサーション研修という方法で取り組んだというところを,ちょっとアサーション研修だけ取り出すとかえって分かりにくいかなと思いましたので,御質問された中身についてはここになります。
 以上です。

【久保氏】
 この付けさせていただいた資料を見ていただくと,余暇活動を推進しているふうに見られる可能性はあるなというふうには思っていたんですけれども,余暇というか,学校外,学校卒業後,就職して仕事以外というところでの学びが大事であるんですね。今現在こういうシステムが余りありませんので,みんなと交わりながら学んでいっているということがありますので,事例を挙げるとすると,何か余暇活動をしてそこで学んでいるように見えるかもしれませんが,そこを今回もう少し教育的な視点で見ていただいて,きちんと作り上げていただきたいという,そういう願いがあります。

【宮﨑座長】
 よろしいでしょうか。

【松田委員】
 すいません,誤解があったらいけないのでお話ししたいんですが,要するに,余暇を過ごされていることというよりは,ここに示されたようなことを,そういう機会を作っていってほしいというのが皆様方のニーズだという理解でよろしいですか。要するに,我々として,余暇を過ごしているんだなというふうに,そういう意味でもちろん捉えているわけではなくて,皆様方のオーダーがどういう部分にあるのかなというのをちょっと確認したかったものですから。

【久保氏】
 一般的な,地域で行われています一般の方が学ぶ場,生涯学習の場というところには,今本当に障害のある人たちが参加し切れていない。情報提供もないですし,合理的配慮もないので,参加し切れていない状況にあるということがあります。ですから,その辺のところも改善をしていただく必要はありますけれども,そういう意味で,生涯における学びの場というのは,一般の方と交わって学ぶというのもあれば,障害の個々により近い状態で,障害の個々に適した生涯にわたる学びの場というのも視野に入れて考えていただきたいなというふうに思っています。

【宮﨑座長】
 ほかにありますでしょうか。
 箕輪委員,お願いします。

【箕輪委員】
 箕輪と申します。ありがとうございました。皆さんとてもそうだなと思うことがたくさんあったんですけれども,最後にお話しいただいた,重症心身障害児(者)を守る会のお話のここで出てきているような話は,これまでこの有識者会議の中でも複数の委員からICTの活用ということで触れていて,この論点整理の中にも,視覚障害とか聴覚障害,肢体不自由,それぞれで必要とされてきていました。
 今日のお話の中では,御本人の発信という意思伝達,とても大事なところで,特別支援学校の先生たちにも,こういうの必要ないですかというふうに今話しているんですけれども,多分情報を得る方ですよね。伝えるところにもこれはとても大事ですし,一人一人大事だと思うのですけれども,伝える方でもやはりICTの活用をしていくと,先ほどほかでも出てきました在宅とかほかの場所とか。
 これが人が関わって代弁とか代筆すると,一種の誘導される場合があって,「こう思ってますよね」みたいなことで,全然本人の意思とはずれることがあるので,これが,先ほど,人間が読み取る体感,握り方とか表情とかその辺りが難しいので,他県の特別支援学校なんですが,センサーをいろいろ使って,微細な動きを捉えて,嫌なことがあるときに,ここの筋肉だけちょっと微細に動くとかいうのを取ってやっているところがったので,そういった,多分,人でも大事なんですけれども,恐らくこれからますますそういったセンサー類,測る方とか,それが進化してくると思っているので,そういったものも伺って,活用しながら,学習の機会を作る方と,それから,学習に参加する方の方々と,双方にいいような,誰かが代わりに誘導することのないようなことがこれからいい形で発展してくるのかなと思いました。こういう意見が出てくると第三者が言っていたのよりも大分説得力があるので,とてもいいなと思いました。感想みたいになってしまいました。ありがとうございます。

【宮﨑座長】
 安部井さん,何かございましたら,どうぞ。

【安部井氏】
 いいですか。すいません。誘導するのではなく,本当に本人の意思をくみ取る,そういうようなツール,手法がどこにいてもふれる機会があり,そして支援者がいて欲しいと親も思っています。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 ほかに。
 朝日委員。

【朝日委員】
 朝日でございます。私も感想になってしまうかもしれませんけれども,3団体の方の御提言は,学校を預かる者として非常に貴重な御意見だと思いました。難病の方の御提案だった,自分の病状やできないこと,手伝ってほしいことを伝えるというのは,実は今回の学習指導要領の自立活動の中に,障害の特性理解と生活環境の調整に関するということが1項新たに加わりました。これは画期的なことだと思うので,それをまだ学習指導要領の段階なので,現場の教員たちがどれだけ切実に思ってそれを実行できるかというのが私たち校長会の役割だと思っています。
 それから,重症心身障害児(者)を守る会のITの活用も,同じく自立活動というところの解説書には非常に詳しく書かれていて,視線を止めることで入力ができる装置とか,コンピューターであるとか,かなり例示が出ています。それはしっかりと伝えなくてはいけないなと思っています。
 私は伺っていて感じたんですけれども,特別支援学校の教育は,予算も比較的潤沢で時間も潤沢なので,高等部まで非常に活動も活発であります。ところが,生活介護等に行きますと,1日1つの活動だけで終わってしまう。特別支援学校であれば,午前中活動,午後活動,そして,いろいろな行事があってという。その辺が卒業生を抱えるお母様が文科大臣にアピールをした本当に原点だと思っています。
 学校はもっと頑張らなくてはいけないんですけれども,生活介護の先のところで学校の学びがきちんとつながるような仕組みが必要かなと思いました。かつて生活介護のスタッフの方と話すと,学校は平成の教材ですよね,生活介護は昭和の教材ですと。確かにiPadもあるし,いろいろなものがあって,子供たちなりに活動するけれども,本当に福祉の方がそこがなかなかいかない。だとすると,是非,私たちも頑張るので,福祉の方でも学校での学びが本当に充実できるように,例えばですけれども,今まで私たちは出前授業を多くの方々に受けていたのを,たまには教員の方が生活介護の事業所に行って出前授業をするとか,そういうような発想も必要なのかなということは感じておりました。
 最後に,育成会の方から,個別の教育支援計画との接続という御指摘があって,これもまた学習指導要領にはかなり厚く書かれたところではあるのですが,学校として社会のことを想定して書いても,伝え切れていないもどかしさはあります。ですので,学校としてきちんと書いて,それをつなげるように伝えてまいりますけれども,是非保護者の立場,皆様の立場からも,もっと学校の計画をつなげてくれということも遠慮なく言っていただきながら,皆さんと双方向で接続をしていきたいというふうに思っております。
 今日は非常に参考になる御意見ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 あともう一方ぐらいありますか。
 どうぞ。

【松矢副座長】
 この有識者会議は,学校卒業後というふうになっていて,そこから始まっているんですね。だけど,生涯学習ということでいくと,生涯学習課の障害者学習支援推進室という形になっております。そうしますと,生涯学習は子供も対象に入って,要するに,学校外活動。ですから,先ほどですと,子どもクラブが出ていて,それから,放課後の支援が出てきて,そこがぼやけてきてしまっていると。それから,厚生労働省の児童福祉の方では,療育を受けている障害児の支援計画もあるわけですよね。だから,そこのところで,要するに,地域活動ですよね。
 ここの中では,大臣表彰の対象になったあきるのクラブがあるんですけれども,これは児童の,つまり,地域活動として賞を受けているんです。もちろん卒業生も入っているんですけどね。ですから,その辺のところは漏れているという認識は持っているんです。ですから,そこの子のところはどこがやっていくかという。要するに,学校外活動というのは,かなり昔は,子供自身活動していましたから,子供クラブは一般的にありますよね。そういうことの障害児版は余り発達しなくて,療育というところで来たところがあるので。
 ところが,今,特に難病の方々の御発言があって,全部医療の方に入っていて不明であると。要するに,難病という形で登録されていかないというような問題,この辺のところは,学校卒業後というところで,個別の教育支援計画と,福祉の方のサービス等利用計画はかなり意識的に結合しましたが,障害児支援といわゆる子供の学校外活動と療育との関係なんていうのは整理されていないという認識を持っています。そこはちょっと落ちてしまうと,学校教育から卒業後につながっていかないというところですね。
 ですから,障害者団体の皆様としては,今始まったのは学校卒業後ということなんですけれども,学齢期のところの,要するに,生涯学習あるいは療育との関係というようなところをもう少しクリアになるように,ようやく始まったばかりですから,幼児から学齢期もありますよという,そこの抜けている部分をどう補うかという発言をやはり併せてしていってほしい。有識者会議ではそれを取り上げて次に生かしていくということがあるかと思います。今日はそういう意味で,特に難病の方々,上がってこないと。僕は東京都の障害者の意識調査の方の関係もしているんです。そうすると,難病の方々はなかなか上がってこないですよね。訪問しても,児のところはなかなかつかめないということがありますので,どうかその辺のところを少し団体としても発言していっていただきたいと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。今のお話も,今回の特別支援学校の学習指導要領の総則のところで,生涯学習への支援の在り方についても書き込まれましたし,それから,解説の中にも詳しくその辺りについての解説が出ています。これも先ほど朝日委員からありましたように,今度の学習指導要領ですのでこれからの実践に期待するわけですし,今,松矢委員からありました対応ぶりについては,少し整理をしてこの検討の中で書き込んでいけるようになればいいなと思っています。
 3団体の皆さん,本当にありがとうございました。ヒアリングを終わらせていただきます。御対応いただいた皆様,ありがとうございました。(拍手)
 約束をさせていただいている休憩をここで取りたいと思うんですが,再開は,後の関係もありますので,17時からにします。10分ちょっとですが,御了承ください。それでは,休憩に入ります。
( 休憩 )

【宮﨑座長】
 それでは,皆さんおそろいのようですので,若干早めですが,第3部の3団体からのヒアリングを行います。
 まず事務局より3団体の御紹介をお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは,3団体のヒアリング者の方々を御紹介させていただきます。
 最初に,一般社団法人日本自閉症協会から,副会長,今井忠様です。

【今井氏】
 よろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 神奈川県自閉症協会会長,上杉桂子様です。

【上杉氏】
 よろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 続きまして,公益財団法人全国精神保健福祉会連合会から,理事長,本條義和様です。

【本條氏】
 どうぞよろしくお願いします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 事務局長,小幡恭弘様です。

【小幡氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 続きまして,社会福祉法人日本身体障害者団体連合会から,会長,阿部一彦様です。

【阿部氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 事務局次長,佐藤加奈様です。

【佐藤氏】
 よろしくお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 皆様,本日はお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは,日本自閉症協会からの御意見についてお伺いをいたします。今井様,上杉様,どうぞよろしくお願いいたします。

【今井氏】
 今井です。この資料は, 2人の名前になっておりますが,自閉症協会としてこの内容で了解を得ております。
 論点整理全体についてが最初のページです。
 1.として,一般者に比べて,自閉症を含む発達障害者は,学校卒業後に,広い意味での学びの場と書きましたけれども,機会に直していただきます。学びの機会が少ないことから,学ぶ機会や余暇活動は有益だと考えています。この学ぶ機会とか余暇活動とは何かを補足しますと,2つあります。自分を守るためのソーシャルスキルと,積極的に自分の人生を豊かにするという両面があります。
 2.です。しかし,現状の問題を考えるときに,次の2つの事柄は,ニーズのもとになっていることではあっても,それ自身の改善がまずなされるべきだと思っています。今回の生涯学習の機会の提供という問題が,2つの下記の問題の解決や改善の代替手段というふうになるべきではないと考えています。
 aとして,特別支援学校の高等部の問題です。これは首都圏だけかもしれませんが,特定就職先の職業訓練偏重になっているという声がよく聞かれます。生涯を考えると,思春期は非常に大事な時です。この学びがおろそかになっているのではないか。在校中の内容も改善されるべきだと。
 それから,bです。これは福祉の方です。今回の報酬改定の影響と思われますが,就労継続支援B型が工賃偏重の空気が強くて,費用対効果の考え方になって,働くということが持つ本来の喜びから遠ざかりつつあるように感じています。これ自身はどのように改善したらいいのかということが別途あると思います。「いつも紙折りばっかりずっとしているの」と涙を流すというようなことを放置したまま,別のところで気持ちを改善するという考え方は,私は正しくないと思っております。
 3.,国の予算によって行われる教育の施策は,良質な機会の提供にとどまるべきで,その教育の内容に深入りし過ぎてはならないと考えています。特に現在,成果指標,お金を出したんだから成果は何だという尺度を用いる場合が多くて,尺度は要らないとまでは言わないけれども,機会を提供したということを指標にすべきで,こういう人間であるべきだとかは,権力を持つ行政が指標化してはならないと考えています。人の価値の多様性に反しますし,特定の人物像に誘導するということは,現在既に問題になっている発達障害者の過剰適応という弊害をますます助長すると考えます。
 よって4.,この施策は,「生涯指導」にしてはならない。学ぶ機会の提供。合理的配慮の1つとして考えるべきだと思っております。
 裏面です。そこで,論点整理に沿ってなんですけれども,賛同する部分は省略しております。
 1.ですけれども,学びの場についてです。9ページですけれども,既に箱物はあると思っています。箱物を作る方にお金が使われることがとても多いんですけれども,そうではなくやってほしいなと。その場合に,障害者だけを集めるのではなくて,できる限り健常者との垣根のない,オープンな場ということがよいと思います。ちょっとただし書きを言わせてもらいます。補足です。ただ,知的重度の人の場合はこの考え方ではうまくいかない,参加できないと思いますので,それは別途,その人たちが参加しやすいような場が要ると考えます。
 2.,次に10ページのところですけれども,学習プログラムについて。これは生涯学習というのは,文化・スポーツ・芸術,生活スキル,教養と非常に幅広い。事実そのように書いていただいています。また,障害者個々人が,何が好きか,嫌いかとか多様なんですね。ですから,余りプログラムを細かく規定しない方がよいと考えています。策定に当たって留意すべき観点というのが書かれておりましたが,私はわざわざ公が策定するほどのものとは思わなかったんです。せいぜい公序良俗に反しない程度にすべきではないかと。過去のいろいろなこういう施策でも,一旦要領とかマニュアルを作り始めますと,年々精緻になり続けて,本来目的の人間の豊かさとか多様性が損なわれる方向に進むということをこの歳になりますと危惧いたしますので,この点については十分留意していただきたい。それから,移行期の件がございました。これは現行の学校の内容改善で考えるべきことだと思います。
 3.です。12ページの中段のところに,共通して注意すべきことが書かれています。丸ポツの1と2ですが,自らの成長を確認しながらとか,ポツ2ですと,内容について支援者が一方的に作り込み過ぎないことと書かれて,それはとても大事なことだと思っています。しかし,学習効果の把握論が出てくると,これは本人が自分で納得することであって,公がすべきことではないと考えます。同様に,学習の目標も公が決めることではなくて,個人の多様な目標を応援することが公のすべきことだと考えます。結局公が自らの目標として学習の目標を設定すると,必然的に学びの場が指導の場に変質して,指導の目標になってしまうと考えます。
 4.,人材の必要性。これは21ページに書いてございます。これが最も重要だと考えます。お金は特にその部分,特に学習援助者の開発と発掘,それから,その人たちの経済生活の保障に重点を置くべきだと考えております。特に発達障害では,本人の独特の学びの仕方や,感覚・認知の特徴を分かっていて,かつその学習分野にも精通していて,適切に能力を開花させることができるような人材が極めて得にくいんですね。座学だけでそれが身に付くものでもないんです。こういう援助者の感性を磨くことを重視した施策が必要だと思います。具体的に人材のソースの1つとしては,皆さんが皆さんというわけではないのですが特別支援教育の元教師などもございます。それに追加です。旧通勤寮の職員さんです。旧通勤寮の職員さんは,かなり生活スキルの指導をずっとやっていたんです。現在はこの制度少なくなりましたけれども。
 5.です。これは書かれていない項目です。ロールモデルにひとつ言及していただきたい。発達障害の生涯学習を考える際に最も求められていることは,ロールモデルではないかと思っています。やはり少数派であるがゆえに,周囲に良いロールモデルが見当たらないんです。これが最大の課題で,学習援助者そのものがモデルになる必要はないと思っていますが,多様なロールモデルに出会える機会を設計していただきたい。やっぱり知識よりも,よい生き方なのではないかと思います。
 追加の最後ですが,移動の保障です。知的障害があって一人で移動することに支障があるケースでは,参加させたくても,付き添いがなければ参加できません。そのため,親が付き添うということになります。無理ならばヘルパーさんを頼むことになりますが,現在の認められる支給時間では十分な参加が難しいというケースが生じます。ですから,移動に支援が必要な人も参加できる方策を福祉でやるのか,教育でやるのかは別途ありますが,必要ではないかと考えています。
 上杉さん,現場の声を反映させてください。

【上杉氏】
 上杉です。今の追加であった足の保障のところをもう少し総合的にお伝えしたいと思います。私は地域で生涯学習を見据えた障害者のサロンをやっているんですけれども,そういう集まりに来たいという人がいっぱいいたので,企画すれば来るかなと思ったら,意外に来ない,来られないということが分かりました。新しい場所,新しい内容,新しい人のところに障害者が単独で行くことは非常に難しい。ヘルパーさんを付ければ,その場所までは行けるかもしれないけれども,その先,単独で会でうまく緊張をほぐしながら楽しんでいけるかというと,それはまた別の問題になる。
 私はこの論点を見たときに,13ページの(3)どのような方法で実施すべきかで4つのやり方を提示していただいていますけれども,例えば,マル2の特別支援学校の同窓会組織等が主催する学びの場,ここにはもうクラスメートや先生がいます。あと,4.に社福やNPO法人などの障害福祉サービスを利用した学びの場とあります。こうした場を単純に利用して生涯学習を行うという意味でなくて,御本人との関係性がある人や御本人が使っている障害福祉サービスの職員さんが付き添って、新しい場にまず一緒に行ってくれると良いと思います。2番の「同窓会組織」と,4番の「社福やNPO」にある人間関係を利用して,例えば1の公民館や3のオープンカレッジでの学習の場につなげていく。とにかく「いざなう」ための支援を盛り込んでいただきたいなと思います。「いざなう」ためには,ご本人と人との関係性をまず作って,若しくはすでに関係性が構築されている人を連れてきて、一緒にその場に行ってもらわないと、なかなか広がりが持てないと思います。
 あと,これも補足なんですけれども,先ほど今井さんの方で少し触れておりますけれども,10ページの(2)どのような学習が決められるか,視点1のところについて,学習プログラムは策定しないことの方がいいということ,これは私も本当にそう思っております。ただ,学習内容については「生々しく」やっていただきたいと思っています。
 私どもの神奈川県自閉症協会の中では,一昨年まで,御本人たちを集めて,それこそサロンみたいなことをやっていました。毎回テーマを決めてやるのですが,思い出すのは,異性との付き合い方のテーマのときのやりとりです。そのときに,相手が自分のことを嫌だということをどうやって分かればいいのという質問があったんです。それで,私たちの方で,「例えば相手のメールに絵文字が減ってきたら注意かもしれない」というようなことを教えたわけです。そういう生々しい,でも,自由な,生活が豊かに安心になるような学習のプログラムを作っていただきたいなと思っています。
 以上です。

【今井氏】
 以上ですが,最後の生活スキルと豊かにすることに関してです。自閉症といっても,知的障害を伴う場合もあるし,そうじゃない場合もあるから一概に一くくりにはできないんですけれども,特別支援学校を卒業するような方の場合に,風俗とか,お金でだまされるとか,特に今は携帯の関係でだまされたり,契約させられたりというのがあります。そういうものから自分の身を守るということが必要です。とてもそこは難しいところです。それを学校とか違う場でやっても効果が少なく,やはり実際の場の中でやらなければいけない。そうすると,実際の場にいる人が教えるということはこの政策範囲内でやるのか御検討いただけたらと思っております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは続きまして,全国精神保健福祉会連合会からの御意見をお伺いしたいと思います。それでは,本條様,よろしくお願いいたします。

【本條氏】
 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。このような機会を与えていただきまして,ありがとうございます。また,先生方におかれましては,長時間大変お疲れさまでございます。
 さて,もう既に私たちの場合は,資料8でございますが,少し論点整理から外れているんじゃないか,ピントがずれているんじゃないかという思いを抱かれる方がいらっしゃるかもしれませんので,あらかじめその背景といいますか,理由を説明しておきたいと思います。
 精神障害の場合は中途障害でございますので,特別支援教育を受けている人の方がはるかに少ないということが第1点であります。もう一点は,精神障害の場合,精神病による障害でありますが,精神障害そのものが疾病ということと,疾病によって生じた様々な障害,その二面を持っている。それから,これは精神障害には限りませんが,病気とかケガといった個人因子にあるばかりではなく,精神の場合ですと,偏見とか,それから,無理解といった,さらには法制度,様々な社会的環境の社会的障壁によって,日常生活,社会生活が制限されているということも障害になる。こういうことから,私たちとしては,障害のある当事者に対する教育も大切でありますけれども,障害のない方に対する教育も大切であると,こういう考えを持っておりますので,そういう観点から御意見を申し上げるということをまず御理解いただきたいと,このように思っております。
 それでは,資料8を御覧いただきたいと思います。
 まず最初に,障害者が学び続けることのできる社会を創造する必要性であります。生涯学習を学校教育と連動させていくことの着眼点は有意義です。これは大変評価をしておりますが,賛同するところについては,時間を有効に使うために申し上げません。
 特別支援学校の生徒が卒業後も学べたり,在校中に受けていた支援が引き続き支援を受けられるようにすることはもちろん賛成でございますが,就学期に適切な教育を受けられなかった人は,特別支援教育を就学期に受けた人よりはるかに多いと思われます。特に精神障害の場合はそれが多いわけでございます。そこで,特別支援学校の卒業生だけを対象とするのではなく,就学期ないしはそれ以前から障害ゆえに十分な教育を受けられなかった人全てを対象にすべきではないかと,このように考えております。
 また,ここで言う学校卒業後における障害者の学びの主軸が,学校教育の延長としての補完的教育の側面といわゆる生涯教育としてその人のライフステージに合わせて豊かにしていくための側面の整理をどう進めていくかが今回の論点整理からははっきり見えてこないという印象を持っております。
 2022年には18歳以上が成人となることも視野に入れると,学校教育の延長ではなく,生涯学習としての位置付けと,それから,働く中での学びも重要であると,このように考えております。
 2番目の論点でございます。今後目指すべき方向性と致しましては,卒業生の実生活の中で,高等学校(中学校)までに身に付けてきた様々な可能性(能力)を開花させていくのであれば,生涯教育の位置付けのみならず,職業教育など働く場での教育も視野に入れていくべきではないでしょうか。
 一般市民でも,多くの場合,生涯教育の機会を十分に得られていない実感があります。生涯教育より,職場を通じての人間形成によるライフスタイルに応じた学びも多いと思います。仕事(労働)を通じて,職業スキルのみではなく,人間関係や社会性についての実利的な教育の場とすることも位置付けられないでしょうか。特に精神障害の場合は人間関係による障害と言ってもいいわけでありますので,この点は強調しておきたいと思います。
 これは科目という面ではなく,学校教育課程で形成される総合的な学びを補うことであれば無理がないようにも思えます。であれば,卒業前の職場実習などの連携で,卒業後も見通した学校教育との関連性は有効ではないでしょうか。
 裏にめくっていただきまして,3,学校卒業後における障害者の学びの充実方策・参加推進方策。リカバリーカレッジのような位置付けを生涯教育に落とし込むことはできると思います。特に精神の場合は,統合失調症とは疾病ではございますけれども,完治ということではなく,障害がありながら社会参加していく,リカバリー,回復と言っておりますけれども,そういうような場合に生涯教育に落とし込んでいけるということができるのではないか。
 その中で,ピアスタッフとして活躍できるような,すなわち,支援を受ける,あるいは教育を受けるということだけではなく,ある意味,支援者といいますか,お互いに相互支援という意味でピアスタッフとして活躍できる。それから,本人の発言・発信能力を育成していく。この卒業生等が,職場や生涯学習の場での講師やリーダー,同僚のピアサポーターとしてカバーできるのではないかと考えております。精神障害の場合は,知的能力は,障害によって能力が低下する場合もありますが,かなり残存している場合があります。それを使っていくということは有効でありますので,先ほども申し上げましたように,支援をされながら支援する側に回るということも大事ではないかと,このように思っております。
 学校教育では十分体得できなかったリカバリーの考え方やスキルを学ぶ場にもなります。一方,一般的な生涯教育の場での受け入れ態勢や差別偏見の解消を促進することも不可欠です。でなければ,障害当事者だけ集まった生涯学習の場は,方向性を間違えば,その中に囲い込むことにもなり,いびつでもあり,本来学びたいことの機会を奪ってしまうことになりかねないでしょう。
 その他。障害児に限らず,支援を必要としている人はたくさんいます。特に就学期と重なる思春期に決して少なくない生徒がストレスを感じ,心の不調を訴えます。そのようなとき,心の病について学んでいれば,早期発見,早期支援につながっていくと思います。全ての児童生徒を対象に,発達段階に応じ心の健康及び精神疾患を教えていくべきです。幸い本年,学習指導要領が変更され,高校の保健の教科で精神疾患を教えていくことになりますが,それにとどまらず,義務教育段階から心の健康,精神疾患を含めた心の健康を教えていかなくてはならないと思います。
 障害に対する理解は徐々に深まってきているとはいえ,精神障害(発達障害を含む)など目に見えない障害に対する理解が深まっているとは現在のところ言えません。そのためには,あらゆる発達段階において,障害者の人権を教育していくべきであります。それも座学にとどまらず,疑似体験を実施するなどの工夫が必要です。
 交流あるいは対話が必要なことは言うまでもありません。先生と生徒だけでなく,生徒同士も障害があろうがなかろうが,共に学び,交わっていくということを教えていくことも大事ではないかと考えております。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは続きまして,本日のヒアリングの最後になりますが,日本身体障害者団体連合会からの御意見をお伺いします。阿部様,どうぞよろしくお願いいたします。

【阿部氏】
 ありがとうございます。日本身体障害者団体連合会でございます。この連合会というのは,47都道府県と政令指定都市にそれぞれの組織がある連合会でございます。そして,各地の組織は,様々な障害種別の団体のまとめ役の機能も果たしておりますので,身体障害に限らずの話にさせていただきたいと思います。
 今回話が拡散しないように,7つの項目でお話しさせていただきたいと思います。
 まず,学校教育段階から将来を見据えた活動というのはとても大事なことだということでのお話です。これは個別の教育支援計画の重要性ということで,やはり学校教育の場もありますが,それ以外の生活ということで地域での生活をしていますし,将来を見据えたということでとても大事なことだと思います。
 論点整理の中に、自立支援協議会との連携とありますが,実際に地域で聞いてみますと,保護者の方々は,放課後等児童デイサービスの職員の方々に困ったことなどを話している例がとても多いと聞いています。私の事業所でも相談支援事業所をしていますが,なかなかそこまでは届きにくい声が、実際は放課後等児童デイサービスにもあるということも踏まえて考えていく必要があるのかなと思います。
 また,防災・減災への取組というのは,地域の方々を巻き込んで行うということで,このテーマも大事なテーマなのかなと思って発言させていただきます。
 全国障害者スポーツ大会は,2001年から始まりまして,それぞれの予選会が各地で開催されています。そのときに,特別支援学校も含めて学校関係の方ともっと連携して取り組むことができれば,学校に行っている間にスポーツの楽しみによって,充実をもっと体験できるのではないのかなと思っています。なかなか学校行事,全体の行事とするのは難しいから出られないという声を聞くことがあります。ですから,パラリンピックということもありますし,地域で学校就学中にスポーツ大会に出るという体験を,福祉領域だけではなくて教育関係も連携して取り組めば,もっとよいのかなと思いました。そしてまた,その応援をみんなで行うということもとても大事なことではないかと思います。
 それから,一般的な学習活動への障害者の参加ということも,共に学ぶということで大事なことだと思います。一般住民の方と共に学ぶことによって障害理解にもつながるということで,とても大事なことだと思います。
 それから,3番目です。ここを大きく強調したいと思います。障害者にとっての一般的な課題を解決・改善するための生涯教育の重要性ということです。私は,生後6か月の障害児・肢体不自由児施設に入所していた経験がありますと,なかなか社会的体験を積み重ねることができなかったと後から分かりました。ですから,障害があると,保護者がとても過保護になる場合と,その逆の場合があります。自分で決定するという体験も少ないようにも聞いています。自己選択,自己決定を基に自己実現するという理念ではありますが,自分で選ぶ,決定するという体験がなかなかない。それだけ保護者の方が一生懸命取り組んでいるんだとは思いますが,その辺のところについても,これは社会的体験不足になりますので,補うということが大事だと思います。
 それで,先ほど日本自閉症協会の今井様もおっしゃいましたが,旧通勤寮は働きながら社会的経験を積み重ねるという役割もありましたが,今は宿泊型自立訓練事業ということで,こういう場で申し上げて言いか分かりませんが,講習費が少なくなり事業所が少なくなってきています。社会的体験がないことによって早期に離職につながっているという事実,言ってみますと,軽度の知的障害の方々にありがちなことだということです。今年も私の地域で全国研修会を行いましたが,多くの方々にお聞きしますと,社会体験というのはすごく大事だということです。これは身体障害にとってもとても大事なことです。
 それから,健康の維持。障害種別ごとの健康の維持というのは,やはりそれぞれの工夫があると思います。後からもお話ししますけれども,相互に学び合うというピアサポート,これはとても大事なことだと思います。障害があるからこその様々な苦労を互いに学び合うピアサポートということ,グループワークなどを基にグループダイナミクスの活用をして,お互いの体験を共有して解決していくということは,本当にそれぞれの発見といいますか,潜在的な能力を十分に発揮できることです。苦労したことが,言ってみれば,ほかの方々にお話しできるということで,自己効力感,自己肯定感を互いに持っていくということはとても大事なことだと思います。
 4番目に,福祉等の分野の取組と学びの連携の強化についてとお話しいたしましたけれども,私どもの日本身体障害者団体連合会は,中央障害者社会参加推進センター,そして,社会参加推進協議会を持っておりまして,各障害種別の皆さんに議論していただいています。そしてまた,都道府県では,都道府県社会参加推進センターがありまして,ここで障害種別の団体さんがお集まりになって,様々な協議をしたり,イベントも行っているところがあります。このような取組も,福祉領域の取組ではありますけれども,生涯教育の取組との連携は十分にできるのではないかなということで,検討していただければと思います。
 5番目に,2020年オリ・パラ東京大会のレガシーとしての生涯教育という項目を作らせていただきました。障害があるアスリートが様々な支援・工夫があることによってすばらしいパフォーマンスを示すということは,国民全体の障害理解につながる。でも,私たちとしては,障害がある一人一人にその理解をしていただきたいと思っています。障害があってスポーツをしている人の割合は少ないのが現状です。
 それで,先ほども,学校に入っているときからスポーツ大会に出ましょうというふうに言いました。私も,小学校,中学校,高校,大学は,体育は見学でした。でも,後からやってみると,結構できました。それで,全国身体障害者スポーツ大会,統合する前の大会に出た経験もありますが,やってみればできるのにやる機会がなかった。私の時代は,スポーツをすることによって障害が重くなるという考え方もあったのかもしれませんが,今は安全に安心して体を動かすということで様々な方々の支援がありますので,やはり多くの人にスポーツ,レクリエーションの機会を持ってもらいたいと思います。ですから,パラリンピックというのは,一般の国民の方々に知っていただくだけではなくて,障害がある一人一人が,いろいろな工夫をすれば自分でもできるんだよということにつながることが大事だと思います。パラリンピックの父,グッドマン博士が言ったことは,できないことを数えるのではなく,できることをということです。これが伝わることがとても大事なことだと思います。
 そしてまた,スポーツだけに限ったことではなく,文化芸術活動,様々な選択肢があるからこそ,自己選択,自己決定の下の自己実現だと思います。そのようなことで,様々な力,潜在的な力を持っていらっしゃる方々がいらっしゃいます。ただし,導入としては,例えばここに書きましたが,日本臨床美術協会の活動。これは初めは高齢者の方々,認知症の方ということから始まったのですが,一般の方々も臨床美術というのがすばらしいと。私たちも実は地域で取り組みました。既存のプログラムをされているものを応用しながら導入として考えていくのも大事なことなのだと思いってここに記しました。
 そして,オリ・パラのレガシーとして,障害への理解促進。障害当事者も含めてです。それから,合理的配慮ということで,自分にとって困ったこと,不便なことを周りに伝える力を持っていく。このことによって,互いに支え合う日本の社会が出来るわけですから,これはとても大きなことです。オリ・パラと言わなくても、生涯教育かもしれませんが,浸透するためには,ある意味,オリ・パラということは大事なのかなということで書かせていただきました。
 それから,6番目に学ぶ場の環境整備と必要な場合には移動に関する支援ということです。先ほども御意見がありましたけれども,移動することに困難。正確な数字は覚えていませんけれども,平成28年の調査結果が今年度4月に生活のしづらさ調査として出ました。移動することができない。身体障害者よりも知的障害の方々の方がパーセンテージで高かったというのは、私は驚きました。身体は様々な環境でできません。これもやっぱり体験不足というか,体験があれば移動することもできます。就労関係にも関わっていますので,まずは通えることができれば仕事はできますよと。でも,お父さん,お母さんは通うことはできないと思っている。でも,丹念にそれを繰り返し行うことによって移動もできるようになります。でも,そこまで行く前ですから,やはり移動について考えることが大事だと思います。
 最後に,社会教育,特別支援教育,障害者福祉などをつなぐ人材ということでのコーディネーター,とても大事です。論点整理にもありますように,その分野の専門の先生もですが,障害があって様々な苦労をした体験を基にコーディネーターに関わることもできるのではないかということです。今,雇用率の問題が話題になっていますけれども,教育委員会における雇用率未達成ということがいろいろなところで議論されると思いますが,このような分野で,障害を持ってそれをいろいろな工夫をしてきた,そういう力もここで活用していただくことはとても大事なことかなということで申し上げました。
 そのようなことで,障害がある私たちにとっての生涯教育はとても大事なことだと思います。是非御検討いただいて,福祉領域の私たちともできることがあれば一緒にさせていただければとお願い申し上げて,日身連からの報告を終わります。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの3団体からの御説明について,御質問,御意見のある方は,どなたからでもどうぞお願いいたします。
 では,戸田委員,お願いします。

【戸田委員】
 戸田です。ありがとうございました。私,民間なので,そっちの目線で話をしたいなと思っています。皆さん含めていろいろな方たちの話を聞いていて,これから制度というか方向性をまとめていく,どうまとめていくのかなというのを考えているわけですけれども,1つ感じているのは,やはり学びたいのか,学ばせたいのか,それで当事者の姿勢というのもあると思うんですけれども,かつその財源という視点というところを,私は産業界の人間なので気にしているところなんです。
 先ほどKPIについての指摘もございましたけれども,やはりそれというのは財源が税金である限り,評価するに当たっての指標として出てくる。漠然とすれば漠然とするほど簡単なんですけれども,だけれども,そこを評価するときにはそういうものが必要になってくる。であれば,税金を使わないやり方でやればいいというのも考えます。なので,やはり行政サービスでの限界値を感じているところです。
 なので,我々として考えるに当たっては,やはりフレームワーク。フレームワークというのは,産学官とか,いろいろなマルチステークホルダーでチーム連携,協働すると。よくある話ですね。それでもって,ローカライズする。それぞれ地域に落としていく。そして,多様な参加者によってコンテンツも多様なものを用意して取り組んでいただくぐらいのことしか言えない可能性が高いなと思っています。
 それらについて,あとは,皆さんから頂いた意見等が各論として,いろいろ事例として,先ほどロールモデルという話がありましたけれども,示していく。そのロールモデルも一方で,先ほどの指導になっていく可能性もあったりするので,こういう姿になった方がいいんじゃないですかということを示していくことになってしまうかもしれないので,その辺の見せ方があると思います。なので,我々としてもかなり勉強になりました。
 なので,財源のところでいえば,地域性の中で,地域で持続可能性を高めるために,例えば財源を含めた持続的な在り方を考えて実施するぐらいのことは盛り込めるのかなと感じました。
 以上です。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 いいですか。特にコメントはいいですね。

【戸田委員】
 はい。

【宮﨑座長】
 ほかにどうでしょうか。

【今井氏】
 すいません,今のこと関して。

【宮﨑座長】
 では,お願いします。

【今井氏】
 いいですか。

【宮﨑座長】
 はい。

【今井氏】
 私の方で,合理的配慮の1つと考えますとなぜ書いたかというと,普通の人は,実生活の中で生涯学習に相当する機会が与えられているんです。ところが,障害者の場合にはその機会が少ない。そうすると,今の権利条約の考え方では,単なるサービスじゃないんです。平等にするためのお金だということなんです。だから,そういうふうに考えないと,何でこの人たちのためだけに特別な金をやるんだということになりますから,そこはしっかり頭を整理した方がいいと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。

【松矢副座長】
 いいですか。

【宮﨑座長】
 お願いします。

【松矢副座長】
 私も合理的配慮というのはそういうふうに考えております。やはり基本的にこの有識者会議でも,本人参加,自己決定ということで,本人活動,本人の意思の尊重というのはやっぱり基本にしたいと思うんです。生涯学習の公的保障ということを僕は言うんですけれども,そのところはやはり合理的配慮が伴っていかなければいけないだろうということです。それはもう相当この委員会では意識されていると考えています。
 それから,個別の教育支援計画も,それから,サービス等利用計画も,基本的には本人の意思の尊重でスタートしていると思います。それを逸脱してはいけないと思っています。ですから,学校教育の本人にとっての豊かさというのは,本人の意思をどれだけ個別支援教育がくみ取っているかどうかで決定的に決まっていくだろうということです。
 それから,もちろん本人が意欲的に学ぶことで自分自身が変わっていくわけですから,教育の目標は公であるわけです。でも,基本的には本人の意思を尊重しながら,やはり社会人になっていくという点で重要な目標は設定されていくということです。そこはあるべきだと思っています。
 ですから,生涯学習のメニューが非常に大切だと。要するに,必ず全員が参加できる。例えば東京ですと,割合,土日,月に2回ぐらいやっていますよね。僕も支援を頼まれて参加しますと,参加できないで廊下で寝っ転がっている方がいらっしゃいます。だから,参加できないんですね。でも,土日でもやはり社会に出てということがあるので,親御さんも出し,そして,移動支援の方が一緒になって来るということです。でも,参加できない人もいるんです。現実のところは,そこは本当にいろいろなことを考えなければいけないだろうということを考えながらやっぱり進める以外ないです。だけど,基本的には全ての利用者が参加できる,そういう機会というか,活動のプログラムがあるべきだと考えて,そこをやっぱり徹底的に工夫していくべきだろうと私は思っております。

【宮﨑座長】
 ほかにいかがでしょうか。
 では,田中委員,お願いします。

【田中(正)委員】
 全国育成会の田中です。今の松矢副座長の移動の問題と,自閉症協会の皆さんが最後に書かれている足の保障という非常に分かりやすい表現で書いていただいておりますけれども,この状況につきましては,4年前に日本発達障害連盟という団体で全国調査をしたことがあります。
 移動支援は市町村ごとの地域生活支援事業になっておりますので,非常にばらつきがあって,A地点からB地点の単なるトランスファーとしての移動の保障でしかないところと,ガイドヘルプという言葉がいわゆるメジャーや生涯教育につながるような位置付けで認めていて,それもマンツーマンだけではなくて,複数の対応,1人のヘルパーが3人の利用者とか,2人のヘルパーで5人の方を対応するというようなところまで広げていくところがあります。
 やはり求めなければそこにたどり着けないということもありますので,この委員会としても,移動の保障に関しては是非強く訴えていく必要があるんじゃないかと思います。多分そういった実情を踏まえて自閉症協会の皆さんも打ち出して,そして,ばらつきがあることを憂いていらっしゃると思いますので,何か補足があれば,付け足していただければと思います。

【宮﨑座長】
 お願いします。

【上杉氏】
 上杉です。移動も本当に支援が足らなくて困っているんです。しかし先ほどもお伝えしたように,移動支援はトランス支援でしかないというのは、まさにそのとおりですよね。だから,例えば御自宅からサロンや生涯学習の場へ障害者を連れていって,「はい,着きましたよ。はい,行ってらっしゃい」と言ってドアをバタン、じゃだめなんですね。もう少し移動支援の業務の中にのり代を付けたような支援を,位置付けていただければ一番いいんですけれども,なかなか制度的に厳しいでしょうから,創設してほしいという意味で,さっき「いざない支援」と言いました,そのような支援がこの生涯学習には必要だなと思います。
 何か今の制度でそうした支援ができそうなものはありますかね。

【宮﨑座長】
 どうぞ。

【今井氏】
 私の方からも。内部の役員同士で議論している中で,放課後等デイサービスがある。その世代の考え方と,その前のなかった時代の親の考え方に少し違いがあります。18歳を越えた場合の負担感の差です。そこが生涯学習への期待感になっているように思われます。これはどう考えたらいいか,さっき田中さんもおっしゃったように,移動支援との組合せの中でやっていかなければいけないのか,生涯学習は別の仕組みで移動を保障するのか,ちょっと私にも解がないのです。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 阿部さん。

【阿部氏】
 日身連の阿部です。地域でそのようなことに関わっている立場から言えば,いわゆる地域生活支援事業の移動に関しては,リピートする,例えばシリーズで何度も同じことを繰り返すことは,今は認められないことが多いのではないか。地域による特性なのか分かりませんけれども,福祉の領域と生涯学習として教育であるというふうになった場合に,いわゆる地域生活支援事業,社会参加の仕組みを使えるようにしてくださいという意味です。今のところでは難しそうでもありますので,是非使えるようにしていただきたいと思います。

【宮﨑座長】
 どうぞ。

【松矢副座長】
 その点は隘路ですよね。実際にイベントがある目的地まで行くのが移動支援だと。だけど,実質的には,そこはお金に入ってないけれども,一緒に行って活動している方が多いですよね。私はオープンカレッジをやっていますけれども,保護者の方も来ます。一緒に学んでくださいと言って入ってもらっています。移動で来た方も,学びの内容は楽しいはずなんです。
 我々はいろいろなテーマで,企業の方も作業所の方も働いていますから,働く人の営業学とか,働く人の何々というようなことでやっているんですけれども,それ自身は講師の先生,大学の先生が多いですけれども,いろいろ考えた学びの内容で,皆さん楽しんでいただいています。だから,ここの中で,生涯学習,学びの機会といったら移動の方も一緒に入っていくというのはごく自然ですよね。だから,その辺の連携の在り方というのは,これ,1回で済まないと思いますが,検討の課題だと思います。
 やっぱり総合支援法と学校教育法,特別支援教育では,連携による通達というのが頻繁に出ています。児童福祉法の改正になれば,それを学校教育にも実質知らしめていくということで連携通達が出てきていますから,そういう意味では,生涯学習においても,そういう点でこれから変えていかなければならないというか,すり合わせなければいけないところで詰めていって,合意するならば,こういう仕組みでいきましょうというのがあるべきだろうと私は思っています。それが,公式の云々(うんぬん)じゃないですよ。個人の意見でございます。

【阿部氏】
 すみません,同行援護という事業をしているのですが,例えば、視覚障害の方々が,プールに入る場合に,地域によってはその時間も認めています。でも,認めないところもあります。この機会に是非認めるように、そのような議論をしていただきたいと思います。地域格差が結構大きいこともあり,市町村事業になっていますので,どうかよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 今のは松矢副座長の個人見解です。そうなればいいなというのは私ども思っているわけですけれども,現実には,今日は厚生労働省さんお見えじゃないので,この話をまたお伝えしながらすり合わせはしなければいけないとは思います。
 あと,1人2人ありましたら。よろしいですか。
 どうぞ。

【今井氏】
 度々発言してすいません。自分を豊かにする,外国に行きたいとか,英語を勉強したいとかいうようなときだと,過去も一般社会人向けに,前もってある講座を受けると,本人の受講料の一部を公的に負担するというのがありました。そういう方法も1つだと思います。
 もう一方で,今世の中に広まっている便利な道具,携帯とかのトラブルが障害者は非常に多いんですね。普通の人だったら善悪の区別が付くんだけど,やっぱり障害者だとだまされやすい。じゃ,だまされやすい商品を出している企業の責任なのか,それは社会教育とかで身を守る術を教えるのか,識者の方々で是非御検討いただきたいと思います。

【宮﨑座長】
 私どものこの有識者会議の範疇を超えているんじゃないかと思いますが,実は前段の方は話題になりました。ただ,後段のところは,皆さんから出ている課題でもあるので,これはカリキュラムというか,それこそプログラムなんかでどんなふうに処理をしていくのかというのは,先ほどの今井さんの御意見と少しずれると思いますが,そこもやっぱり必要なことだろうと思うんですね。その辺りは,例示として出すのかどうするのかという辺りもありますが,細かいことを余り拘束しない,さっきの冒頭の自閉症協会の中で学習プログラムのことありましたので,この辺りは私どもも十分認識をしながら対応していかなければいけないと思っています。ですので,その点は今後どんな表示をしていくかというようなことは十分考えていかなければいけないことだなと思っています。

【松矢副座長】
 いいですか,1つ。

【宮﨑座長】
 どうぞ。

【松矢副座長】
 精神保健福祉会連合会の方から出ているリカバリーにつきましては,実際に今年の実践研究の予算で長崎大学が取り上げてくださっています。こういうことが必要ですね。ここでは学校卒業後となっていますが,私は確かに精神障害の方々を考えると,要するに,生活年齢で病気を発症するわけじゃないですから,また,自分の課題について気付くのも,環境によってそういう場が用意されて,たまたま参加して学びの必要性が分かったということもあるので,生活年齢によるライフステージだけじゃなくて,もう少し環境因子も入れて把握すべきだということを位置付けております。ですから,ここでは学校卒業後となっていますが,いわゆる生涯学習として包括的な提案をしていくというふうに私は考えていますし,そういうふうになっているのではないかと思います。

【本條氏】
 どうぞよろしくお願いします。

【宮﨑座長】
 それでは,ただいまの3団体のヒアリングについてはここまでにしたいと思います。お忙しいところ御出席をくださいました皆様,改めてお礼を申し上げます。少し遅くなってしまったんですが,本当にありがとうございました。(拍手)
 それでは最後に,事務局より連絡事項をお願いいたします。

【菅野障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは,事務局より事務連絡いたします。
 資料10,今後のスケジュールを御覧ください。次回第11回の会議ですが,10月18日木曜日10時から12時に開催することを予定しております。追って正式に御案内をお送りいたします。また,その後の会議日程につきましては,資料10を御参照ください。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 それでは,本日の会議はこれにて閉会をいたします。本当に長時間にわたりましたが,どうもありがとうございました。終了いたします。

―了―

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