学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第6回) 議事録

1.日時

平成30年6月29日(金曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 主な論点ごとの意見の整理に関する審議
  2. その他

4.議事録

【宮﨑座長】
 それでは,定刻よりまだ若干前なんですけれども,ただいまから第6回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。今日は梅雨明けということでいきなり暑くなってまいりました。本当に暑い中お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 それでは,事務局より配付資料の確認等をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】本日の配付資料ですが,議事次第にございますとおり,資料1-1から資料3,それから参考資料の1と2になります。また,委員の皆様にはドッジファイルの中に関係資料をいつものとおり御用意しておりますので,適宜御参照をいただけたらと思います。
 過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
 なお,御発言の際ですけれども,こちらのマイクシステムが少し長押しすると付きやすくなっておりますので,よろしくお願いいたします。また,御発言に際しましては,はじめにお名前をおっしゃっていただいてから御発言くださいますようにお願いいたします。
 以上です。

【宮﨑座長】
 それでは,議事に先立ちまして,本日の会議議題のポイントについて,事務局より御説明をお願いいたします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは,お手元の資料に資料1-1ということで,「学校卒業後における障害者の学びの推進方策-主な論点ごとの意見の整理-【特に議論いただきたいポイント】」ということでまとめさせていただいております。資料1-2の方は,その本体になる部分でございまして,これまでの委員の方々の御意見を事務局の方で整理させていただいたものでございます。本体の方の説明をさせていただく前に,資料1-1をもとに,特に骨組みになる議論いただきたいポイントということで,まず説明させていただければと思います。
 1ポツは今回の検討の必要性に触れているところでございますけれども,2ポツのところでは,障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制ということで,視点1の方は,学校から社会の移行期に特に必要となる学習ということで,プログラム。これは質向上の観点から特に必要となる社会の目標,内容,方法とは何か。また,個別の教育支援計画の引き継ぎ・活用をいかに図るべきかという点を示しております。
 2の方はこの実施体制ということで,量的拡充に関わるところでございますけれども,自立訓練事業等における学びの取組を広げる方策とはどのようなものか。また,特別支援学校のフォローアップと卒業後の学びの接続の取組をどう充実させるか。また,学習機会を全国的に拡充するため,具体的にどのような仕組みが必要となるかといった点を挙げております。
 視点2,これは生涯の各ライフステージにおいて必要となる学習でございますけれども,プログラムについては,ライフステージへ直面する課題も踏まえて,特に必要となる学習の目標,内容,方法とは何か。また,実施体制等といたしまして,多様な実施主体ごとの課題をどう解決していくべきか。この点については,障害福祉サービス等との連携も含めてというところでございます。また,人材について,教員経験者,福祉関係者,若い世代をどう確保していくか。更に学習機会を全国的に拡充するため,具体的にどのような仕組みが必要になるかというところを挙げております。
 3ポツのところは,一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策ということで,障害者差別解消法等を踏まえまして,物理的環境,人的支援,また意思疎通等についてどのような工夫が求められるか。これについても,障害福祉サービス等との連携を含めて整理が必要だと思っております。更に全国的に学習機会を拡充するために,具体的にどのような仕組みが必要となるかというところを挙げております。
 4ポツ目は基盤整備でございますけれども,関係機関・団体等が連携した体制をどのように構築するかという点を挙げております。
 これから本体の方を説明させていただきますけれども,後ほどの議論におきましては,特にこの骨組みのところを中心に,更に深めていただければと思います。
 それでは,資料1-2をもとに本体の説明をさせていただきます。1ポツの検討の必要性のところにつきましては,第1回会議での検討の背景のところをほぼそのまま記載させていただいております。(1)のところは,障害者が社会生活を自立して送るためには学校卒業後の学びを継続する必要があること。(2)では,幸福で健康な生活を追求するための生涯学習の機会を整備する必要があること。次のページの(3)につきましては,みずからの個性,得意分野を生かす観点からの取組が必要であること。(4)につきましては,障害の有無に関わらず,共に学ぶ共生社会の実現に向けた取組が必要であるということで本文を整理させていただいております。
 続いて3ページ目からでございますけれども,こちらの方が中身に関わるところでございますけれども,まず2ポツの学習プログラム・実施体制のところですが,主に知的障害者の方を中心に整理しておりますけれども,現状のところでは,現在,特別支援学校高等部では,自立と社会参加に向けた職業教育,キャリア教育の充実等々が図られている状況でございますけれども,現在,知的障害の生徒の高等部卒業後の進路状況,これは就職,施設・医療機関が大半を占めているという中で,大学・高等部専攻科等への進学者は94名,進学率は0.5%という状況にあるところでございます。
 こうした中,知的障害の方に中には,高等部3年間での成長を踏まえ,更に能力を維持・開発したり,コミュニケーションや協働する力を育むことを求める方もいると。一方で,こうした場はなかなか少ないという状況がございます。
 そういう中で,一番下のところにございますように,昨今,自立訓練事業と連携して,卒業直後の一定期間,学びの機会を提供する取組も増加傾向にあるというところを整理しております。
 4ページ目のところは,これまでのヒアリングでの主な意見ですとか,ヒアリングの事例の方を少し整理させていただいております。
 5ページ目のところでございますけれども,こちらの方は現在,特別支援学校の取組としては卒業後の様子をフォローアップしたりですとか,進路などの相談窓口になったりという支援に取り組んでいるところでございます。昨年4月の通知の中でも,障害のある子供たちが円滑に次のステージに進めるようにということで取組の充実を促進しているところでございます。また,学校によってはこうしたフォローアップの一環として,学びの提供をされている例も見られるところでございます。また,中ほどにございますように,新しい特別支援学校小・中学部学習指導要領の中では,生涯学習への意欲を高める。また,社会教育その他様々な学習機会に関する情報の提供に努めること。生涯を通じてスポーツや文化,芸術に親しみ,豊かな生活を営むことができるようにするということ。また,特別支援学校の場においても,生涯を通じてこの活動の機会が提供されるような機能が総合的に発揮されるようにするということも大切ということが盛り込まれております。
 こうした内容を踏まえまして,学校段階での生涯学習への意欲の向上を図るという取組を推進するということ。また,特別支援学校と生涯学習の取組の接続・連携を図る具体的な方策を検討する必要があるというところでございます。
 6ページ目を御覧ください。学習プログラムといたしましては,特に学校から社会への移行期においては,学校段階で身に付けた資質・能力を更に維持・開発するといったような学習。多様な生活体験,職業体験などを体系的に行う中で,主体性をもって物事に取り組みやり遂げる力,コミュニケーション,社会性などを伸ばして,その後就業し自立した生活を送る基礎力を身に付けるための学習を充実するための学習などのプログラムが考えられるというところでございます。こういったプログラムにつきましては,各実施主体で当事者のニーズ,特性を踏まえて策定するものでございますけれども,新学習指導要領の趣旨なども踏まえながら,この学習として必要となる例を示すなど,実施主体において学校から社会への移行期におけるプログラムを策定する上で,参考となるような情報を整理してはどうかというところでございます。留意すべき点は,そちらの方に示させていただいております。
 こちらの点につきましては,資料1-3のところに横紙で,第1回目から少し加えさせていただいております内容のイメージで示させていただいておりますけれども,こういった内容も踏まえながら整理を進めていく必要があるかと思っております。
 さらに6ページ目の一番下の丸でございますけれども,現在,特別支援学校で個別の教育支援計画を作って作成されておりますけれども,卒業後も生涯にわたる支援がなされるように,適切な引き継ぎ・活用の在り方など,この接続・連携を図る具体的な方策を検討する必要があるというところでございます。
 続いて7ページ目でございますけれども,2の求められる実施体制ということで,社会福祉法人,NPO法人等で,自立訓練事業を行う中で,学校卒業後の一定期間,重点的な学びの機会を提供するということが挙げられます。その課題といたしましては,今の現状といたしましては個々の自助努力に負うところが多いという中で,障害福祉サービス等との効果的な連携のノウハウ,プログラムが共有されていないということがございます。今後,実践研究事業の成果などを有効活用しながら,取組を広げる方策を検討する必要があるというところでございます。
 一番下につきましては,特別支援学校における卒業後のフォローアップの取組,また卒業後の学びの取組との円滑な接続に向けて,より取組の充実を図る方策を検討する必要があるというところでございます。
 8ページ目につきましては,これらのほかにも学習の機会を拡充するための具体的な仕組みについて,更に検討を深めていただければと思います。
 その他,知的障害以外の障害者につきましても,ヒアリング等でのニーズ・課題も踏まえながら,更に検討を進める必要があるというところでございます。
 続きまして,9ページの方を御覧ください。こちらの方は生涯の各ライフステージにおいて必要になる学習というところでございますけれども,なかなか障害のある方々の学習機会が少ないという中で,一番下にございますように,就労の場,生活の場だけではなくて,仲間とともに新しいことを学んだり,スポーツ,文化的な活動に親しんだりするなど,生涯の各ライフステージを通じて,就労や生活を支える学びの場が必要になっているというところでございます。
 続きまして,12ページのところを御覧ください。これまでのヒアリング,皆様方からの意見も踏まえまして,生涯の各ライフステージにおいて,障害者が社会生活を自立して生きるために必要な知識,スキルを身に付けて,実生活で実践するための学習機会の充実に取り組むというところでございます。
 具体的なプログラムにつきましては各自治体において策定するものでございますけれども,こちらの点につきましても,新学習指導要領等を踏まえながら,必要となる内容の例を示すなど,自治体において生涯のライフステージにおけるプログラムを策定する上で,参考となる情報を整理していくというところでございます。
 留意すべき点について,特にの部分でございますけれども,特にライフステージごとに直面する課題がそれぞれ変わってくるという中で,一定のライフステージの区分を設定しつつ,目標,内容,方法,あるいは効果の測定方法等含めて整理が必要になってくるかなと思っております。
 続きまして13ページのところでございますけれども,知的障害以外につきましても,ヒアリングでのニーズ・課題を踏まえ,更に検討を進める必要があるというところでございます。
 13ページの下のところは実施体制でございますけれども,1は公民館,生涯学習センター等の社会教育施設ということで,いわゆるスタッフ等の高齢化,参加者の高齢化,ボランティアの不足といった課題に対応いたしまして,当事者の自主的な活動の促進,人材の育成・確保というところが課題でございます。また,社会教育主事をはじめとした関係者のノウハウが十分でないという中で,生涯学習に関する理解,関係機関・団体との連携というところが課題でございます。
 続いて14ページでございますけれども,2のところでは,特別支援学校を場として,同窓会組織等が主催して学びの場を提供するんだということで,課題としては,こういった保護者,OB,学生などが組織的にスタッフとして参加できる仕組みというところ。また,教員が関与する場合の働き方改革への配慮というところでございます。
 3のところは,大学のオープンカレッジ等でございますけれども,課題といたしましては,担当の教員任せでは持続が困難という中で,組織的・継続的な体制が求められるところでございます。
 15ページの上のところでございますけれども,これは社会福祉法人等で障害福祉サービス等を活用して学びの場を提供するものというところでございますけれども,課題としては,サービス等との効果的な連携のノウハウやプログラムが共有されていないという中で,今後より実践的に研究を進めていくというところでございます。
 さらに真ん中のところ,個別の教育支援計画の取り扱いについては,有効な活用ですとか特別支援学校との接続・連携の具体的な方策を検討する必要があるところでございます。
 一番最後の丸のところにつきましては,こうした取組を円滑に実施するに当たってのコーディネーター,指導者,ボランティアの活用方策の工夫というところでございます。1つ目のポツといたしましては,各自治体で教員経験者,福祉関係者をコーディネーターや指導者として確保するといったこと。また,スポーツ,文化分野での専門家の御協力を得るといったようなことを挙げております。また,社会教育主事がネットワーク形成の核になるという観点から,この養成のための課程,講習において,障害者の生涯学習支援に関する内容を取り入れること。また今後,社会教育士という新しい制度ができますけれども,その有効活用を図っていくということを挙げております。
 その上で,国レベルでの人材育成のための研究会,または当事者による自主的な活動の促進,ピアサポートの養成・確保。大学の地域連携との取組,企業の社会貢献との取組。また,日常的に地域と障害者が関わり合う共生の拠点作りの取組との連携といった観点も例示しております。
 16ページのところでございますけれども,こういったことも踏まえながら,おのおのの強みを生かした実施体制の在り方,関係機関・団体との連携による効果的な実施体制につなげる具体的な方策を示すといったようなこと。併せて費用負担の在り方を含めて検討する必要があるというところでございます。障害福祉サービスとの関係では,連携可能な事業のメニューや,連携に当たっての留意点などを具体的に提示するといったことも考えられるところでございます。これらのほか,学習機会を拡充するための具体的な仕組みについて,更に検討を深めていただければと思います。
 資料の18ページでございますけれども,これは一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策というところでございますけれども,これまでの障害者権利条約,障害者差別解消法の動きがございますけれども,3ポツ目の後段にございますように,学校段階の取組は進展しつつありますけれども,生涯学習分野についてはまだまだ進んでいないという状況でございます。生涯学習分野でも,この環境,意識,情報のバリアを解消していくような取組を推進していく必要があるというところでございます。
 19ページは,求められる方策の部分でございますけれども,今回の資料1-4にも付けさせていただいておりますけれども,文部科学省としても平成27年に対応指針を策定しておりますけれども,こういった内容も踏まえながら,この物理的環境,人的支援,意思疎通等に関する考え方,配慮の内容,また体制等を明らかにするといったことが必要であるというところでございます。その際,3つ目の丸にございますように,障害福祉サービス等との連携を構築・強化する必要があるということで,意思疎通支援事業,同行援護との連携というのも例示しております。こういった連携可能な事業のメニュー,留意点などを提示するといったようなことを想定しております。さらにこれらのほかにも,学習機会の拡充をするための具体的な仕組みについて,更に検討を深めていただければと思います。
 21ページにつきましては基盤の整備でございますけれども,効果的なノウハウの普及・共有の観点からは,国で平成30年度に実施する実践研究事業。次回の会議の場では,委託地域を御紹介したいと思いますけれども,この事業を通じて開発するプログラム,実施体制のモデルの成果,合理的配慮の方法などについて,多様な主体向けの手引きとしてまとめることを検討してはどうかといったようなところ。また,実践家をアドバイザーとして派遣して,ノウハウを共有,提供するといったような取組。その他,当時者・家族のニーズの把握,相談への対応。また,情報収集・提供に取り組むための体制整備というところを挙げております。
 さらにこういった取組について総合的に統括する拠点として,関係機関・団体等が連携した体制ということで連絡協議会,あるいは自立支援協議会等の活用というところを挙げさせていただいております。この点を踏まえまして,先ほどの資料1-1の,特に御議論いただきたいポイントというところをもとに,参照いただければと思います。
 あと1点補足でございますけれども,資料2のポンチ絵の横紙でございますけれども,その中の2ページ目,3ページ目のところでございますが,先日,6月15日に第3期教育振興基本計画が閣議決定されております。その中で,今回初めて障害者の生涯学習の推進という内容を盛り込んでおります。4ページ目にはその具体的な内容,5ページ目には障害者基本計画の内容を紹介しておりますので,後ほど御参照ください。
 また,6ページ目には,左上のところでございますけれども,経済財政運営と改革の基本方針2018,これも同日付で閣議決定されたものでございますが,この中でも生涯を通じた学習活動の充実を図るということは,政府決定としてなされております。御参考までに紹介させていただきます。
 私からは以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。資料1-2に,これまでの意見を整理していただきましてありがとうございます。
 特別支援学校との連携や,特別支援教育との接続が重要な論点として挙がっております。この点について,特別支援教育課から補足説明があればお願いいたします。

【樫原特別支援教育課企画官】
 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課でございます。資料2の横長の7ページを御覧いただければと思います。
 こちらの方に学習指導要領の改訂の方向性ということが書かれておりまして,これは全体的な方向性としましては,ここの真ん中のところにございます,よりよい学校教育を通じてよりよい社会を作るという目標を共有し,社会と連携・協働しながら,未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現ということで,今回の学習指導要領につきましては,何ができるようになるか,そして何を学ぶか,どのように学ぶかという観点から整理をさせていただいております。それの具体的な中身がどうなっているのかということを御紹介させていただきます。飛びますが10ページを御覧いただければと思います。
 10ページ,ここには特別支援学校の教育課程というのがございまして,特別支援学校の教育課程について,簡単に紹介させていただきます。特別支援学校の中でも,視覚障害ですとか,聴覚障害ですとか,肢体不自由,病弱の小学部,中学部,高等部というのは,基本的には小学校,中学校,高等学校と同じ各教科等に加えて,それに自立活動の部分を加えて編成するところになっておりまして,各教科の目標や内容というのは,小学校,中学校,高等学校の各教科に準ずるということになっております。
 一方で,知的障害の特別支援学校につきましては,教科編成等が変わっておりまして,小学部,中学部,高等部と,普通の小学校,中学校,高等学校とは少し異なった教科編成になっており,場合によってはそれらを合わせた学習ということで指導をすることもございます。小学部,中学部の方につきましては,既に学習指導要領を公表しているところですが,高等部の学習指導要領につきましては,現在作業を行っているところでございます。
 さらに飛びまして,13ページを御覧いただければと思います。特別支援学校学習指導要領における生涯学習の取り扱いということですけれども,これは平成29年9月に告示をしました,特別支援学校の小学部,中学部の学習指導要領,これの総則というのがございまして,これは全体に連なる部分ですけれども,総則の中に児童または生徒が学校教育を通じて身に付けた知識及び技能を活用し,持てる能力を最大限伸ばすことができるよう,生涯学習への意欲を高めるとともに,社会教育その他の様々な機会に関する情報の提供に努めること。そしてまた,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ,豊かな生活を営むことができるよう,地域のスポーツ団体,文化芸術団体及び障害者福祉団体等と連携し,多様なスポーツや文化芸術活動を体験することができるよう配慮することということが書かれております。
 これはどういうことかと申しますと,その横に解説というのがございまして,これは文部科学省の方で出しているものでございますが,人が豊かな人生を送っていこうとすれば,単に生活保障という部分だけではなく,生涯にわたる学習,体験の中から生きがいを見付け,人とつながっていくことが必要になると。そのためには,学校教育段階においても,卒業後の生活や進路指導などを見据えて,こうした生涯にわたる学習活動を全般に楽しむことができるよう,在学中から地域における活動に参加し,楽しむ態度を養うとともに,そのために必要な行政や民間による支援について学ぶなど,卒業後においても様々な活動に積極的に参加できるよう,生涯学習への意欲を高めることが重要である。こうした部分を,今回新たに学習指導要領の中に書いて,そして解説の中にもこのように書かせていただいているということでございます。
 それから,先ほど座長の方からも接続というお話がございましたが,今,高等部の学習指導要領についてはまだお示しすることができないんですけれども,中学部の段階でどの程度の中身を指導しているのかということにつきましては,次のページ以降にございます。
 中学部の方をお示ししておりますが,学年という考え方ではなくて,1段階,2段階ということで,発達段階ですとか学習の状況に応じて指導をするということになっております。ここの中に,目標とその内容とがございまして,ページでいいますと例えば15ページですと,社会科の1段階のところで,社会参加と決まりですとか,公共施設と制度ですとか,地域の安全について,この程度のことを学びます。更にステップアップとして,2段階で学ぶことというのが横に書いてあります。
 それから,まさに自立して社会生活を営む力という観点では,生涯学習に関するものとしては,社会科だけではなくて,例えば音楽ですとか,美術ですとか,保健体育ですとか,職業・家庭という教科が知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にはございますので,そうした部分で目標と,それぞれの学ぶ内容をこちらの方に示させていただいておりますので,議論の際の参考にしていただければ幸いでございます。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは,議題1の主な論点ごとの意見の整理に関する議論に入りたいと思います。資料1-1に,今回特に議論すべきポイントとしてまとめられております。そこを参照していただきながら,それぞれの論点に関する各委員の御意見を出していただければというふうに思っております。
 本日は,これから90分強ありますが,第4の基盤整備のところまで,全体を通して一通り意見を出していただきたいと思っております。まず,検討の必要性は,これまでこの会議の最初のときからあったところですので,これについて,もし御意見があれば頂戴したいと思いますが,2の障害者に真に求められる学習プログラム実施体制等と視点1,2というふうに分けてありますので,まず視点1のところ,学校から社会への移行に特に必要となる学習というところから,今日は議論していきたいというふうに思っておりますが,よろしいでしょうか。
 できるだけ皆さんに,これまでのいろいろな議論の経過を踏まえて発言をしていただくということで,お一人3分ぐらい,今日はいろいろあると思いますので,何回発言されても結構ですから,是非御意見のある方はお願いいます。まずは視点1について,1,2,求められる学習プログラムをまずは中心にお願いできればと思います。視点1を30分ぐらいかけて協議したいと思います。
 それでは,どなたからでも,1,2に関わってで結構ですから,どうぞ。発言の際は,お名前等ルールに従ってお願いいたします。是松委員,お願いします。

【是松委員】
 すみません,意見というよりもちょっと質問でよろしいでしょうか。ただいま特別支援教育企画官の方からも,新しい新学習指導要領の中での生涯学習への取組の説明をいただきました。地域の生涯学習の様々な情報,あるいは学習機会等に関して,情報の提供を特別支援学校の方でもしていくというような取組ということですけれども,これは当然ながら,私ども地域の教育委員会等で行っている社会教育や教育施設の取組の情報提供というのも,やはり頻繁に行っていかなきゃいけないんだろうなというふうに,今感じたところなんですけれども,具体的にその連携や情報共有をどのようにやっていくといいというふうにお考えか,ちょっとお聞かせ願えればと思います。

【宮﨑座長】
 企画官,よろしいですか。

【樫原特別支援教育課企画官】
 ありがとうございます。基本的に何が具体的というか,何が正解かというのはなかなか難しいんですけれども,例えば高等部の段階ですと,卒業後に学ぶ機会があるのかということが,高等部の生徒さんになかなか伝わらないという部分がありますので,そういったところに対して,例えば教育委員会なんかを通じて,これは,教育委員会の中でも社会教育の部局と,多分特別支援教育の部局が両方一緒になって考えなければならないことだと思うんですけれども,特に社会教育のプログラムの中でも,例えば障害者の方でも参加ができる,もしくは障害者の方向けのプログラムみたいなものを,こういうのがあるんだよということを,例えば情報提供するですとか,逆に言うと生涯学習といっても,別に卒業した後じゃないと参加ができないというわけではなくて,結局学校に行っている以外の時間帯というのは当然,例えば日曜日ですとかそういった部分は,そういったプログラムに参加ができますので,例えば高等部段階からそういった活動への参加を促すとか,そういった方法がいろいろまさに考えられるのではないかなというふうに考えております。

【是松委員】
 ありがとうございました。私,冒頭に名前を名乗るのを失念しておりました。国立市教育委員会の是松と申します。ありがとうございました。
 そのとおりだと思います。我々も積極的に,是非特別支援学校の生徒さんにも,その段階から,学校に在学中の段階から,できれば地域のそういった学習の機会に参加していただくというようなことの方が,さらに独立されて社会に出てからのアプローチもしやすいんじゃないかなと思っています。
 御存じのように,特別支援学校と地域の学校については復籍制度がございまして,直接交流や間接交流の中で地域の学校の様子や,地域の学校に入って交流しやすいような情報をどんどん送り込んでいるんですけれども,生涯学習や社会教育の面ではなかなかそれができていない状況です。ただ,私ども武蔵台学園という知的障害の特別支援学校がありますけれども,そこは武蔵台さんの方がそういった情報をかなり積極的に集めて,それを地域のネットワークマップみたいな形で子供たちに提供しているようですので,そういう機会に私どもかなり情報を送って,できるだけさせていただいたりというようなことをやっていますので,是非特別支援学校からの,そうした私ども行政機関へのアプローチをもっと積極的に行っていただければ助かるなと思った次第です。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。お願いいたします。

【箕輪委員】
 箕輪と申します。よろしくお願いいたします。
 この視点1だけに限ることではないのかもしれないんですが,全てにおいて持続できる仕組みといったものと,あと本人に対する考えと,提供する側ですね,大人なのか子供なのか,そういったところと両方あって,関わる側の質による部分が,今もすごく大きいと思っていて。それから,今会社の中でも,これから10年後,20年後と考えたときに,すごく大きな変化が来るということで,社会の変化を先取りをしながら何をしていったらいいのか,人はどう変わっていったらいいのか,AIに勝つにはどうしたらいいかとか,共存するのにはどうしたらいいか,そういったところも話している中で,今考えていること,それで来年やることというのはどんどん変化をしていくと思うんですね。
 そういったもののプログラムの成果があったかないのか,社会についていっているのかどうなのかというあたりを,先ほどの学習指導要領の中に,社会の参加とか公共とか地域のという言葉が出てきているんですが,こういったものがどんどん変化していくので,それに応じていかないと,5年も10年も同じことをしていてはしようがないかなと思うんです。そういった中で,今も東京都立の特別支援学校の場合には,授業とか外部の専門家とかいろいろな名前で,民間企業の人たちをうまく活用している例があります。そういった中では,学校の放課後とか学校の土日が,会社でいうところの就業時間内だったり,企業は土日が休みばかりではないので,土日も平日で,仕事として出て行けるというところがある。
 なんですけれども,昨日も担当の人たちが集まる企業の場にいたんですが,世の中のまちの中で,身の回りの中で障害のある子供を見たことがない。目立っていうと車椅子とか,1つの肢体不自由の学校の中でも100人とか200人とかいるのに,見かけたことがないというのが異常だというようなことを言っていて。なので,ニーズも分からないし,どんなことをするか。資料で伝え聞いてくるものと,やっぱり子供たちと直接関わるのと大分違っていて,本当はもっとできることがあるし,仕事として,社会貢献活動として企業の関わりというふうに書かれていることもあるんですけれども,どちらかというと会社側は,障害のある方たちと関わることで社員が成長するというふうに,マネジメントとかコミュニケーション能力とかそういったものが高まるとして,社員の教育のプログラムとして障害者施設とか学校に関わった企業も結構多いんですね。
 なので,そういう意味では双方の,どちらかが何かをしてあげるではなくて,両方の利益を確保するためのプログラムとして,もう少し人材のところでも,教育とか福祉の専門家だけではなくて,民間の特に障害のことが詳しくない人でも,純粋なプログラムとか社会のルールとかそういったところでは,チームの一員としてはもっともっと活用してもいいのかなと思いますし,先ほどあった予算とか必要なく会社というのは活用できる場だと思いますので,東京都とか文部科学省の位置付けの中で,民間企業は協力をしていくと,会社にとってもいいですよみたいな流れを作っていただけると,非常にそういったところで関わることの質の確保というのもすごく参加した側も求められますし,行ってやった分,やっぱり子供たちの成長が本当にあったのかというあたり,厳しく会社というところは評価されるところなので,そういった点では,質を確保していくところのチームの一員になっているといいなと思います。
 先ほどの卒業後のフォローアップとか,放課後のクラブ活動,これも先生たちの労働時間がただ長くなるとか,そちらの負担が大きくなってくると,やっぱり会社でいうブラック扱いされてしまうことがあるので,そういったところのないように,それぞれ標準の時間の中でうまく組み合わせて,どこにも負担がなくて,全ての立場の人たちが,自分たちのメリットがある活動になるようなことが考えられるのではないかなと思っていますので,この質とか量とか持続するという部分では,もう少し民間企業等,本当に福祉とか障害のことを知らないからこそできることってたくさんあると思いますので。ただ,専門家との連携は必要だと思うんですが,そのあたりをもう少し加えていっていただくといいのかなと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ほかに。では,戸田委員,お願いします。

【戸田委員】
 戸田です。このテーマの,真に求められる学習プログラムですけれども,社会に出てからというのは,別に障害あるなし関係なく,ある一定の能力が必要なんだろうなと思っています。これ,最終的に何をさせたいのかなと思っていて。この指針とかこういうのを我々は議論して,実際やるのは現場になるんでしょうから,現場だと多種多様化をすごいしていると。人口の中に対する障害を持った方の密度も全然違いますからね。なので,そういったことをしっかり議論する必要があるだろうと思います。
 それを踏まえて,誰が――誰がというのは,多分先ほどの箕輪さんの話にもなってくるんですけれども,誰がそのカリキュラムを決めるのか,質の保証を誰がするのかとか,そういうところとか,それを本当に本人が求めているのかとか。以前の発言でもしたんですけれども,学びの方向性は決めているんですかとか,何で学ぶのかを決めない学びって,それは学びと言えるのかとか思っているんですけれども。だから,そこら辺をしっかり定義する必要があるんだろうなと,文部科学省がやる,情報発信していくわけなので。
 なので,そこら辺がかなり重要かなと。場に依存する,地域に依存する課題になってくると思うので,そこを解決していくと,そこをどういうふうに導きたいのかということを前提にしてプログラムを考えていく必要があると思うので,まずここはいわゆる国としての発信することになるんでしょうけれども,地域でしっかりローカライズできるような,規範となるような答えを出していく必要があると思います。なので,ちょっと総花的になりますけれども,そこが結構議論の肝というか,我々のアウトプットの肝かなと思っております。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。戸田委員のおっしゃったことというのは,1の検討の必要性から派生する問題だというふうに思いますが,そのあたりについては何かありますか。

【戸田委員】
 そういう議論をされると,そうですね。

【宮﨑座長】
 もしあれば。1の検討の必要性が4点挙げてあるんですよ。これをまた再整理する必要があるのかもしれませんね。ちょっとお考えいただいて。

【戸田委員】
 はい。

【宮﨑座長】
 ほかにありますでしょうか。どうぞ,お願いします。

【松矢副座長】
 この視点の1で,個別の教育支援計画の引き継ぎ・活用をいかに図るのかということなので,先ほど企画官から,学習指導要領の今の取組の状況がありましたけれども,個別の教育支援計画というのは,基本的には生徒たちが卒業後に,今もそうなんですけれども,どういう生活をしたいか。それから,どのように将来生きたいかという,自分の進路の学習をする,それの1つの道しるべとして,保護者の要望も聞きながら学校が作るわけですね。そのときに,学びについては地域にこういうことがありますよということ,これは先ほど是松委員がおっしゃっているような,そういう武蔵台特別支援学校との関係で,実際の情報があるというのはとても強みですよね。
 それを東京都は,卒業後の生涯学習を,ほとんどの自治体があるといってもいいと思います。ないところもあるんです。要するに,公民館がなくなって,社会教育主事が配置されていないところはまずないんですね。だけど公民館があるところは,これは市民が運営していますから,市民の要望に沿って青年学級とか青年教室があるんです。国立もそうですけれども,私は国分寺の学芸大にいましたので,国分寺は3つ公民館があるので3つに青年教室があるんですね。ですから,非常に身近にあるわけです。ですから,小学校,あるいは中学校の特別支援学級の生徒さんも,こういうところにあるよというような情報はいきやすいですよね。身近にある。
 その辺のところが,ここは文部科学省ですから,全国にそういう生涯学習の学びの場を作っていくというのが,最後の基盤のところなんです。具体は,教育支援計画から続いていくというところですね。ここは学校側で個別の教育支援計画は,卒業しますと移行ということで,3年間個別支援計画を有効なものにしていくということになっております。一方,厚生労働省の方は,サービス等利用計画という形で並行していきますね。ここが重要なんです。
 そのときに,特別支援学校の先生が,サービスと利用計画を知らないということがあってはいけないんです。これは実際に地域の特定相談の事業をしているところに行って作ってもらわなきゃいけないんですね。黙っていたらだめなんです。そうやって地域と連携しますよというのを学校の先生が知っていないとだめ。そして,福祉の方も,学校も,地域に生涯学習の学びの場がありますよ,あるいは作らなければいけませんよ。これ,重要なんですよ。ないところが多いですから,作らなきゃいけないですよ。どうやって作るんだろうかというようなことも,相談事業に当たる先生は知ってなきゃいけないんですね。特別支援学校の先生はもちろんだけど,そういうことがここにあるんですね。そういうことで学校の時代から,そして卒業後もつながっていくという。しかもそれか全国的な広がりをするにはどうしたらいいのかというのが,この視点の1だろうというふうに思います。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。今のことに関わって,お三方から質の向上,量的拡充のことも踏まえてお話しいただいたんですが,愛知の田中委員,何かありますか。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。この視点1の方,まず2の実施体制等の中で,最初に自立訓練事業等における学びの取組を広げる方策はどのようなものかというふうにありますけれども,この間,全国専攻科研究会というところで,まず学校でこの人たちの特性に合った,もっとゆっくりとした学びの中で,就労したり生活していくための,もっとしっかりした土台が築かれるんじゃないかということで,とりあえず専攻科というような言い方でやってきたんですね。
 そういう全国的な連携体制ができたのは15年前ですけれども,この前の中でもちょっと今,自立訓練事業等を利用した学びの場ということで,参考資料として出していただきましたけれども,やっぱり今のところ我々は,1つは全国大会をやった。そうすると,今500人ぐらい集まるんですね。そのうちの150人ぐらいは,本人たちなんです。だって本人たちも40近くになったりしているんですよ。北海道から鹿児島までと言っていいでしょうけれども,やっぱり地域でそれぞれ青年学級だとか学びの場があるし,スポーツ,文化があるような人たちがまとまって来るということで,それが地域,年に1回ぐらいの出会いで七夕のようですけれども,それを楽しみにして,自分たちのこの間何をやってきたのかということを発表したりする場になっていて,そういうふうに青年層がどんどん――どんどんと言ったら変ですけど,徐々に増えてきているんですね。
 あと取り組む側の人たちが,いろいろ自立支援事業等を利用した学びの場を,厚生労働省というか障害者福祉の制度を使って自立支援事業とか,それから就労移行支援事業を上手に使って,その内容を学びに少し中心にした形でやっているところの人たちが,お互いの情報交換を求めてきて,分科会も5つぐらい作ってやっているんですけど。
 だから,私たちがやってきているのは,1つはやっぱり量的に広がるということは,なかなか口伝えのあれで,そこの難しさを感じています。そういう意味で,今度こういう形で国が音頭をとってやっていくようになれば,みんなそういうような形での自立訓練事業等の在り方もあるんだということで,もっと豊かにというか,広がっていく可能性があると思う。そういうことで,どちらかというと実践交流といって,質を大事にしてやっているんですね。
 この間,今年もやりますけれども,夏,研修講座といって,ここは50名ぐらいの規模でやっています。分科会の発表について,それぞれグループを設けて,そこで話し合って報告し合うという,職員がですね。そういう形で積極的に学び,自分たちのところにどう取り入れていくかということで,これらを全て小さいマイナー的な感じで,実践の質を重視するということで,非常にそういう意味では大きな広がりはありませんけれども,徐々に広がってきて,期待は高まっているんですね。これをもっとこういう生涯学習施策を国のレベルで進めていくといったときに,そことどういうふうに関わりながら,お互い協力,連携といったら変ですけれども,やっていくかということ。これは私も含めた会の課題だというふうに思っています。

【宮﨑座長】
 すみません,突然振って。ありがとうございます。具体的なお話をしていただきました。
 資料の1-2の,具体的に資料1-1で示された視点1,2に関して,ここで議論した中身をヒアリングの主な意見として整理をしていただいているので,このあたりも少し参考にしていただいて,ここはこういう意味だったというようなことも踏まえてお話をいただくといいかなというふうに思いながらお話を承ったんですが。
 ほかに。あともうしばらく時間をとりたいと思います。松田委員,お願いします。

【松田委員】
 千葉県教育委員会の松田でございます。視点1,学校卒業後の段階といった部分では,やはり一番重要になってくるのは,移行期ならではのスムーズなつながりということなのかなということをすごく感じておるところでございます。個別の支援計画等との関係もあるのですが,当然特別支援学校の先生方というのは,障害というものに対して非常にプロフェッショナルであるわけですから,そういった方々の持っている情報は,小・中・高うまくスムーズに引き継がれていくわけですが,問題はそこからではないかというふうに考えております。当然福祉施設であるとか,もしくはそういった関係のNPOであるとか,そういったものに引き継がれていくのであれば,うまくいくのかなというふうな感じもするところなんです。
 おそらく今回,こういった障害者の生涯を通じた学びというものの充実を図っていくということが求められている背景には,福祉部門だけではなく,最後の基盤整備ということにも関わってくるのだとは思うんですが,社会全体として障害者の生涯学習ということを受けとめて,一緒に学んでいくという体制を作っていくということかなというふうに感じるところでございます。
 したがいまして,公民館等で,社会教育に関わってこられている,生涯学習に関わっているNPOさんといかに個別の支援計画等が引き継いでいけるのかということが重要なのだと感じていますもちろん個別の云々ということだけではなくて,どうやったら差が埋められるのかといったところが重要なのかなと感じております。ただ,そういった場面でも,やはり特別支援学校の先生というのは,変な表現かもしれませんが,極めて大切なリソースというか,重要な方々であって,であるからこそ聞くところによると,特別支援学校を定年退職されても,いろいろと引く手あまたなんだというようなこともお聞きしています。
 また,そういった特別支援学校の先生方だけにその間を埋めてくださいと言っても,これ以上また学校の負担が増えるということもいかがなものかとも思いますので,今学校現場に入ってこられている多くのいわゆるアドバイザー,コーディネーターが,コミュニティスクール等も含んでそういった存在がある中で,いかに間を埋める方々が情報をうまく伝えてくだされるのかということが重要なのだと感じています。特別支援教育といったものから,一般的な生涯学習,社会教育といったものにどうつなげられるのかということが求められる中では,そういった間を埋めてくれる人の存在がやはり重要だなということを感じたところでございました。まとまりませんが,以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。どうぞ,綿貫委員,お願いします。

【綿貫委員】
 東京都自閉症協会の綿貫と申します。視点1を中心にというお時間なんですが,先ほどから出ている視点2の人材ですとか基盤整備に関わるところで,繰り返しになるところもあると思うんですが,意見の方を述べさせていただければと思います。
 まず先ほどから出ている外部の人材の活用という部分で,私も特別支援学校の中で外部専門員という立場で仕事を普段しているんですが,同じ日や同じ週のときに,家具職員の方とかパティシエの方とか,いろんな福祉とかの教育とか,医学以外の立場の専門家の方が入ってくださっていて,職員室で仕事をしていると,その日にパティシエの方が関わって授業を進められた中で出てきたパウンドケーキとかを頂くんですが,やはりとてもおいしかったりとか。ただパウンドケーキをおいしく作るだけではなくて,そのパティシエの観点から,こうすると作業がしやすいとか,この作業はこういうこつがあるとか,やはり教員だけでは思いつかないようなプロフェッショナルの視点というのが,豊かな授業にはとても役立っていて。
 私が勤めている事業所とかでもいろんな,全く普段障害の方と関わっていないとか,そういうアーティストの方だったり,IT系の方だったり,いろんな人に来ていただいたりしているんですが,やはりそれは福祉の立場とか教育の立場では,やりきれないような豊かな学びを提供することにつながっていますし,また共生社会というところを考えていったときに,社会との接点で,そういった外部の人材というのはとても重要だなということを,日々仕事をする中で感じています。
 あとは結構マニアックな,発達障害とかで言えばマニアックな方が多いんですが,そのマニアックな,自分で独学でいろんなことを学んでいて,既に学校の先生よりも多分な知識を持っている方とかもいて,そういう方がもっと学びたいとか,そういうのをちょっと仕事に役立てたいとか思ったときに,やっぱりそういうプロフェッショナルの方の力とかいうのがすごく大事になってきたりもするので,やはりいろんな視点から見ても,外部の人材の活用というのはとても重要だなと思います。
 あとは視点1のところに戻ると,個別の教育支援計画からの引き継ぎで,私も普段仕事をする中で,新計画の方をよく見るんですが,その中に書かれていることが,やはり在学中に達成できるかというとなかなか難しいところもありますし,そもそもこの設定は本人に合っているのかなというような設定も,いまだにたくさん見るので,今は学校内でのことというのを結構中心には書いているんですが,長期目標のところに,学校卒業後の視点というのをもっと入れたりですとか,あと学校で高等部でやってきたことが,卒業後に本人が持っているコミュニケーションツールが,学校卒業後の場では活用できないという,やはり今まで培ってきたことが切れてしまうということが,学校側でももったいないというのはよく聞く話です。なので,そういった長期目標のところ,学校卒業後のこういった生涯学習とか移行期というところをもっと意識した内容での活用というのを考えていけたらいいのかなというふうに思います。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。山田委員,お願いします。

【山田委員】
 視点の1か2かよく分からないんですが,障害のある方が卒後に生涯学習を続けていく上では,単に学びのプログラムを行うだけではなくて,継続していく上では,健康な体,健康な心,精神が必要であると思います。特別支援学校では,現在スポーツなどに取り組んでいらっしゃいますけれども,まだ十分でないところがあります。私ども障害者スポーツ協会では今年から学校の外部の障害者のスポーツ指導員みたいな専門家を支援学校の中に招き入れて,スポーツを充実する取組も始めました。
 障害のある方が学校の中でスポーツを学んでいただくと,卒業してからもそのスポーツを続けて,その競技をやっている先輩から,いろいろな社会での生活のことを学んだりとか,あるいは生きる喜びを知るとか,いろんなことをスポーツを通じて学びます。5ページの下の方に書いてありますが,特別支援学校と生涯学習の取組の継続・連携を図る具体的な方策を検討する必要があるというところにも,学校から卒後まで,スポーツを通じて健全な体,健全な心をまず作っていただいて,生涯学習にも取り組んでもらうというような視点があったらいいのではないかなと思います。それは後ろの方の,生涯の各ライフステージにおいて必要となる学習にも同じことが言えるのかなと思います。

【宮﨑座長】
 じゃあちょっと待ってくださいね。視点2にかなり関わってきているので,1,2を踏まえながら,生涯の各ライフステージにおいての必要となる学習のところの1,2にも関わってお話をいただければと思います。

【松矢副座長】
 視点1から2に関わって,今いろんな御意見が出て触発されているんですけれども。松矢でございます。
 私は,ここではキャリア教育も出てくるんですが,要するに本人から見ればキャリア発達ですね。これは誕生期から始まるわけです,キャリア発達というのは。ですから,キャリア発達,つまり自分はどう生きていくのか,どういうふうに生きがいとして生きていくのかという,それは誕生とともに始まるというふうに僕は考えるんですね。そのときに,今,地域資源の話が出ていますから,まず個人のキャリア発達,障害があろうがなかろうが関係なし,キャリア発達のためには,まず家庭ですよね。まず生まれたときに,お父さん,お母さんがいますね。そこから始まります。本当にかわいいんです。愛されるという役割ですね。そこから始まるわけですよね,全て。だからかわいいんです,赤ちゃんはね。
 そして,家庭があり,それは地域にあるわけです。そして,学校がある。今,学校でキャリア教育と言っているのは,ちょっと家庭の役割がとても小さくなってきているんじゃないかとちょっと心配するんですけれども。家庭があり,地域があり,地域も非常に乏しくなってきますよね。我々の頃は55歳で定年ですから,たくさん大人が地域にいて,悪さをするといつも怒られて捕まってました。ひもじいですから,畑からトマトを盗んだりとか,そのたびに捕まって家まで連れて行かれてというようなこと。本当に地域の中で生きてきたという。ですから,地域があります。学校も地域の1つ,企業も地域の1つ。それから,スポーツ団体等も地域です。そういった企業も地域にあって,ですから,まず子供は家庭,それから保育園とか幼稚園とか学校,それから地域そのものがある。地域にはだんだん成長していくに従っていろんな団体が絡んできますし,最終的には実習という形で企業にもお願いするし,福祉法人にも,NPO法人にもお願いするという形で進んでいきます。
 そういうことを考えていきますと,学校卒業すると,先ほどの厚生労働省の事業としてはサービスと利用計画を作って,地域資源がなくても作っていくんだと。本人にどうやっていきたいのかというふうにつながっていくんですね。ですから,家庭,学校,地域,企業等も含む,それからいろいろな民間団体も含む,そういうものがずっと一生涯続いていく。そういう中で,生涯学習というサービスがどうあるべきかということを考えていくべきだろうと思っています。だから,1と2の課題は続いているということですね。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。じゃ,田中委員,そして戸田委員お願いします。

【田中(秀)委員】
 一麦会の田中です。私どもは福祉団体です。いろんなNPOであるとか,地域で障害を持った人の支援をするというのは非常に広がりがあるんだろうと思っています。その中で,やはりそれをどう調整してやっていくかという,教育委員会がなるのかどうかという,その辺はいろいろ御検討は要るんだろうと思うんですけれども,例えばひきこもりの支援の場合だったら,各都道府県にひきこもり者社会参加支援センターを設置するということが言われています。和歌山では県の団体と民間の団体で4カ所あるんですけれども,そういう形で,ひきこもりの人たちの支援をやっている団体が,地域に提案していろいろな活動を知らせて,その問題を深めてやっていくというような,そういうことが要るので,そういう支援センターというんですかね,拠点を都道府県に1カ所以上をきちっと作って,そこでいろいろな団体の情報を集めて集約して,それをまた現在に返していく必要があるのではないかというのが1つです。
 もう一つ,先ほど愛知の田中先生からも言われていましたけれども,実践されている方というのはたくさんおられるわけですので,この前から,ヒアリングで非常にすばらしい内容のことがたくさん,15分で頭がパンクしそうなぐらいの情報があって,整理できないぐらいなんですけれども,ああいう実践をもっとゆっくりと深めて,考慮して,その中からどういう支援の在り方がいいのかというのを積み重ねていくということが必要だろうと思います。
 ひきこもりの場合は,全国集会も今,13年になっています。和歌山から出発したんですけれども,年々実践している団体が増えて,中身も非常に豊かなものになってきています。そういう実情を踏まえてするということが大事かなと思います。
 もう一つは人材育成についてですけれども,そういう社会教育士とか,制度的にあるというのは非常に重要な役割を果たすというふうに思います。ただ,私たちは民間ですので,民間の助成団体というのはあるわけですね。例えば,成年後見制度なんかでもあれば,市民後見制度の,市民後見人を育成するという,そういうのが民間団体の助成金で,全国で実施されるわけです。今年,生活困窮者の支援の,そういう支援員の養成というのが,ある団体から委託される形で一麦会でも実施するんですけれども,そういう人たちの一定の生涯学習というのはこういうものであるとか,そういうところの知識と,いろんな今の困難な状況なんかもまとめたようなものを知識として持ってもらって,地域で活動してもらう人を養成していくというような,そういうものができるのではないかと思います。だから,民間の助成団体の助成というのは,非常に融通が効くわけです。だから,そういうのを活用するとか,これから生涯学習の支援員を養成するための助成金の制度を作ってほしいというような働きかけなんかもしていただけたらと思います。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。では,戸田さん。

【戸田委員】
 戸田です。あえて僕,民間なので,民間的な発想をちょっと言いますけれども,やっぱり見ていて,量的拡充とか,数を増やしていくとなってくると,箕輪さんも民間の方なのでかなり根底が似ているなと思っているんですけれども,持続可能なシステム,エコシステムを作らないといけないだろうと思っていて,そこにはやっぱり経済の流れが必要だろうなと思っていて。これはもはや,もしかして僕がいない間に議論されていたかもしれませんが,提供する側はなぜそれを提供しているのか,きっと目的があると思うんですよね。障害を持った方であれば,その方たちに学びを提供する結果,何がそこにあるのか。そこに目的があるから,費用を捻出していると。外部人材の活用でよく今,話が出ていますけれども,外部人材をどうやってお願いするのか。それはボランティアでやってくださいと言うのか,あるいは丁寧に,御社のここの理念に関係しているので,こういったアクティビティはここに貢献しているんじゃないですか,値するんじゃないですかというふうにやるのかとか,そういったお金の問題というところは避けては通れないだろうと思います。
 僕がさっきから言っている内容の一番の肝は,ローカライズ先というんですけれども,地域性。わりと地域に落とし込んだときに,どうやってそこを持続可能な学びの仕組みを続けていけるか。これは地域のお金をどう回すかということになってくると思うんですけれども,そこをやはり提供する側の目的と提供される側のところの,両方ウィン・ウィンにならなきゃいけないと思うので,私なんかが思うのは,有償・無償合わせて学びは重要かなと思います。学ぶ側も目的があって学ぶので,特にここのポイントの1つは,学校卒業後と書いてあるのが結構大きいなと思っていて。そうすると,社会人みたいなものじゃないですか。なので,そうするとそこは学びたいから学ぶんですよねというところがあってもいいのかなと。そういう考え方があってもいいのかなと思うので,ちょっとそこは民間らしい意見かもしれないですけれども,そうすると持続可能なシステムに近付くかなと思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。是松委員お願いします。

【是松委員】
 視点1と2に両方共通するところで,6ページと12ページでしょうか。各実施主体における学校から社会の貢献におけるプログラム策定する上での参考となる情報の整理,あるいは生涯の各ライフステージにおけるプログラムを策定する上で参考となる情報の整理ということで,こういうものを行って情報提供をしていただいて,どういったプログラムを提供していけばいいかということを例として示していただけると非常に助かると思っております。公民館や生涯学習センターで,今単発的にやっている講座内容が,もう少し体系的な講座になっていくんだろうなと思うんですが,しかし,考えて見ましたら,このプログラム自体はおそらく例えば就労訓練を主体とした,就労訓練としての学びや,あるいは自己の教養,趣味としてのいわゆるQOLを求める学び,それから社会参加や社会生活を行っていく上で必要となる学びと,様々ないろんなジャンルがあると思います。それを考えてみたら,総花的に公民館や生涯学習センターで展開するのは非常に難しいなと思いました。
 ですから,やっぱりこういったプログラムを提示していただくと同時に,プログラムの重点的な役割分担というんですかね,どこの実施主体がこういうプログラムをもっともっと充実していくべきだというようなことでの役割分担が,1つ必要かなということと,もう一つ,実施主体間がお互いに持っているノウハウや指導技術を連携・協力し合うというようなことで,例えば公民館でこういった就労訓練的な講座を開いても,それは公民館自体がやるのではなくて,そういうノウハウを持った別の実施主体からも,応援や協力を願うというような,応援協力体制がないとなかなか全体的なプログラムの実施は難しいなというふうに思ったところです。
 これ,もっと昇華して言えば,各実施主体間の役割ってそれぞれあるんですけれども,一方で実施主体間が連携・協力していくというようなことの仕組みもしっかり打ち出していただければありがたいなと思った次第です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。資料1-3で,これは冒頭から,この会の最初から,障害者の学習としての必要となる内容のイメージ例ということで,視点1,2,3,視点1,2で述べていただいている移行期と,それからライフステージの必要な内容というようなことも含めて協議をしてきたわけですけれども,このあたりも踏まえて,今お話しいただいたわけですが,このあたりもちょっと参考にして,また議論を深めたいと思います。
 どうでしょうか。お願いいたします。

【箕輪委員】
 今,幾つかスポーツとかビジネスの話になってきたと思いますので,1つ事例といいますか。障害のある子供さん,Aさんの例として御紹介したいと思ったのが,私たち,2009年から東京都放課後子供教室で,障害のある方たちにスポーツとか文化系のプログラムを月一ぐらいで提供していたんですけれども,本人は,放課後子供教室に参加するときには,1回300円という形で実費というかおやつ代ぐらいのものを支払って,サッカーのプログラムに参加しました。これも年に1回のものです。それに対して,サッカーが好きになってもっとやりたいということで,地域のクラブに参加したいという意欲が出たりですとか,月謝を払う月1回のサッカー教室に参加したいと。そうすると月謝が発生するので,働かないと困るなと。小・中・高となってくるときに,自分の趣味を充実させたいので,仕事もしつつ,月謝が払えるようになりたいというふうに,非常に自閉の強い方で,言葉は発しないんですけれども,サッカーのスキルは物すごく上がってきましたし,そういったプランがすごくできていったので,最初は体験で幾つかやった中で好きなものが見付けられて,それを地域の障害者プログラムではなくて,その方が入っているのは地域の普通のサッカークラブと言っていましたけれども,そういったものがあると。
 そういった流れが,いろいろな体験をする中で本人が見付けられて,それが働く意欲ですとか,どんどん新しいもの,次は試合に出たい,世界大会に出たいみたいなことを目標と思っていていいなと思うんですけれども。片や提供していたサッカーチームのものなんですけれども,最初は完全にボランティアで,年に1回プログラムを提供していたのが,障害のある子どもたちも同じプログラムでいけるなという実感ができたので,月1回,障害のある方のサッカー教室を開催する,これはもうもちろん月謝を取ってですね。その後に,NPOの法人ですので,自治体から,障害のある子どもたちのプログラムを持たないといけないという,NPOとして存続するためにはそういったものも必要だというのが後からどんどん入ってきたので,結局持続をすることに。もちろん売り上げにもなりますけれども,NPOとして存続するために,そういったものが課せられてくるという点では,最初に体験をボランティアで参加していたことがとても生かされていて,今や本当にそういう場が欲しくてしようがないというか,そんなふうになってきているというのがありましたので。
 あとは体育の先生というのは,きっと幅広くいろいろな種目を,浅いか深いか分からないんですけれども,やっているんですが,その子どもは全く蹴れなかった。でも,サッカーのプロを目指したこともあるような会社の社員が行ったりですとか,あとは陸上も,走り方がちょっと素人が見てもおかしいなと思っていた人が,陸上をやっていたプロの人が関わったり,体操も前転とかができなかった人が,地域の体操クラブの人が授業に入ってきたことで,1時間の間にすごくきれいな前転ができるようになった。先生たちは安全に怪我のないようにというところなんですが,やっぱりテクニックの部分については,できるかできないかはやっぱりプロが入ると違うなというようなことを言っていたので,そのあたりをうまく地域の資源を,お願いということではなくて,双方にきっとメリットがあるので,繰り返しになっちゃいますけれども,そういったことがあるかなと,皆さんのお話を伺っていて思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ほかにありますでしょうか。お願いします。

【綿貫委員】
 綿貫です。視点2のところに入っているので,ライフステージというところに少し触れたいなと思ったんですが,以前にも申し上げたとおり,こちらのホチキス留めされている1-2の資料の12ページのところのヒアリング等での意見のところでも,前にも言わせていただいたんですが,ライフステージをどのように捉えるかというのも,非常に重要な視点だと思います。生涯の各ライフステージで必要な内容というところは,社会からの要請の部分が大きいので,青年期とか成人期とか高齢期というような一般的な分けでもいいと思うんですが,障害があるというところを考えたときに,例えば知的障害の場合とか,発達障害の場合とかに,本当であれば3歳時にできていたことが,20歳ぐらいになってようやくできるようになったりとか,本人の必要でそこが伸びてきたりとか,そういった変化が出てくるというところを考えたときに,やはり一概にライフステージという一般的なところだけで設定するのは,やはり難しいだろうというところと,つまり個人の発達の部分と,障害特性の部分を考慮したライフステージというところをよく検討して,学習プログラムとか実施体制とかを考えていく必要があるという,根本的なところの確認なんですが。
 あと加えて,本人が本人主体の発達やプログラムへの参加ということをヒアリングのときにもすごく感じました。前回のヒアリングの際に,PTの方が幾ら支援をしても,首の可動域が変わらなかった方が,認知症のお婆様との関わりの中で,ゼリーを食べるために可動域が広がっていったという話はすごく豊かな変化ですし,やっぱりそういったいろんなヒアリング団体のヒアリングでの団体の発表をお聞きしていて,やはり本人の動機とか,本人を中心に置いた広がりとか学習の参加というのが,非常に重要だなということをいろんな団体のお話を聞いていて思いましたので,そこの部分でのプログラムの参加とかライフステージの設定というところを,もう少し慎重に議論できればいいなと思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。お願いします。

【山田委員】
 話が少し反れますが,今までいろいろな団体の方から沢山のお話をお聞きし,すごく勉強になりましたし,いい取組もたくさん聞かせていただきました。このように全国各地でいろいろなことをやっていらっしゃるので,これをそのままにしておくのはもったいないと思います。何か研修会とか全国会議じゃないですが,こういう民間でやっている人たちを集めて年に1回発表させるとか,そういった全国のつながりを,行政がある程度最初だけでも主導して,民間の人たちのネットワークづくりをどんどん進めていったらいいと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。綿貫さん,はい,どうぞ。

【綿貫委員】
 山田先生の御意見に関連してなんですけれども,行政同士地域でやる場合に,行政とかが関わっていた場合に,それぞれの行政が持っている仕組みでどうやって行っていくのかという部分の意見交換ができる場もすごく重要だなというふうに思っています。結構うちでやっている取組とかも,いろんな都道府県とかほかの市区町村から来て,やっぱり臨床の支援者レベルでの話と,行政者の話というのはまた違うところがあるので,地域でということを考えていった場合に,それぞれが持っている仕組みが微妙に違ったりするので,こういった枠組みの中でうちは実施しているとか,そういったところもあわせて意見交換とか情報共有できる場があるといいなというふうに思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。恐らく基盤整備のあたりの一番重要な柱の1つかなというふうにお伺いしたわけですが。それじゃ,どうぞ。

【松矢副座長】
 今,綿貫さんのライフステージプラス個人の発達の道筋というか展開という,そちらの方も押さえておく必要があると。その意味では,前回飯野先生の方から訪問カレッジのお話がありましたけれども,障害の重い方の発達というのは,目に見えるようなものではなくて,これは古典的なあれですけど,糸賀先生が縦軸と横軸の発達といって,横軸の発達というので,よく重症心身のいろんな学びというか研究会で出てくるのは,北浦雅子さんですね。もう90歳過ぎていて,永久会長ということで。でも息子さんが昨年亡くなったんですね。力を落としておられるといけないなと思っているんですけれども。息子さんが40歳で寝返りができるようになって,片手が自由に動くようになって,そこに絵を専攻している支援員の方が彼が使える筆を与えて,それで殴り書きから初めて,だんだんと個展を開くところまでいったという話があるんですが,それがよく横軸の発達というか,非常に時間をかけながら,横の体力も含めて,健康も含めて,それが充実していくと,次の段階,ステージに変化していくというか,質的に展開していくという,そういうことがあるということですね。
 ですから,今御指摘の点は,ライフステージということを考えるときには注意して,やっぱり一人一人のというところに重点を置いた見方を,我々は大切にしなきゃいけないかなと思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。2の障害者に真に求められる学習プログラム実施体制については,まずは今日はここまでにしておいて,それで3,4のところにいきたいんですが,共生社会の実現ということになると,一般的な学習活動に障害者が参加するという視点がとても重要になります。その視点で,3の一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策。それから,ちょっと基盤整備の話も先ほど出てましたけれども,基盤整備について,一括して20分程度ぐらいで協議をしたいと思います。
 この点で,どうぞ資料1-2は18ページからですが,どなたからでもお願いいたします。

【箕輪委員】
 箕輪です。すみません,先ほどちょっと名乗るのを忘れてしまいました。一般的な,今地域にある学習の場ですとか体験の場に参加する上で,企業もそういう意味では一般の,障害のところの配慮の専門家がいない中で人を採用させていただいたりするんですけれども,そのときに,やはり自分で全て身の回りのことができる方というのは,わざわざ言わなくても,特別な配慮をしてもらわなくてもいい方も手帳を持っている方の中にはいらっしゃると思うんですが,今,課題で話しているのは,移動を自分ですることができない方が,公共の乗り物だけではちょっと事が足りないとか,あとは参加をしている時間の間でトイレが必要になった場に,さすがにトイレは隣に座っている人にケアをしていただくというのは,双方とも心理的なものも含めてやりづらいと。
 それからあとは,緊急のときですね。避難の対策など,このあたりで断られてしまうことが多いというのを,断られた方たちからいろいろ伺っているんですけれども,確かにそうだなというふうには思っているんですが,例えば私たちも,少しテーマによっては,1-3にあるようなテーマで,社会保障とか金銭管理とかそういったもののテーマごとで,いろんなセミナーが世の中にあると思うんですが,その場に行かなければいけないというプログラムの授業に,すみません,ウエブで配信してもらえませんかとか,そういったふうなリクエストをすると,あ,そうですねということで意外とあっさりそういう手段を考えてくださったりとか。
 そうすると,東京の23区内でやっているけれども,全国の人が参加できますよね。そうすると,売り上げも伸びますよねというような話をすると,じゃあ今度仕組みを考えてみますみたいなことで,やっぱり要望がそこの場に行かないと参加できない体験のものもあるかもしれないんですが,知識を得るとか,情報を共有するとか,今ですとウエブですと,一方的に話を聞くだけではなくて,質疑応答みたいなことも参加もできますし,雰囲気も伝わってくるので,それほどセキュリティが厳しくない内容のものであれば,そういう参加の仕方ができるんだなというふうに思いますので,先ほど出ていく場所とかそういったものだけではなくて,きっと目的に応じてはいろいろなやり方があるので,今あるところにも,その場所に行かなくても参加するのであれば,意外とすんなりとどうぞどうぞというふうに,会費さえ払っていただければとかいうことになることもあるのかなという,少し最近自分たちが参加していく中で思ったことです。
 あとはもう一つすみません,一般的な学習の場という,セミナーとか研修会とかそういったこと以外に,やはり日常生活の中でも,学ぶ気になればいくらでも学ぶことができるというか。それは私たちのグループの会社にいる知的障害の社員なんかも,日々雑学というか,コミュニケーション力が高まって,その知識はどうしたのかというと,テレビから得ていると。今,クイズ番組とか,そういったコミュニケーションのネタとして使えるお話をたくさんしてくれる番組があって,そこから仕入れた情報をもとに,こういうことを知っているみたいなことでコミュニケーションが豊かになって,え,それすごいねと言われながらやっているというのは,そういう普通に別に学習の場ではないんですけれども,外に行って買い物するでも,公共の乗り物にするでも,働いている人は山ほどいますし,そういう視点を持ってこのネタ使おうと思ったら,テレビからでも新聞からでも何でも情報が得られるんだなと思っているので,やっぱり一般的な学習のところというのは,本当にプログラムということではなくて,全部に関わるとは思うんですが,学びたいとか知りたいとかやりたいとか,そういった意欲があれば,いつでもどこでも学べるということをベースに持っておいていただくと,そういうリクエストというのがもっともっと出てくるのかな。リクエストが出れば,地域も変わってくるのかなというふうに思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。田中委員,お願いします。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。学校へ行っているときは,高等部ぐらいまでは交流とか共同学習ということがうたわれて,先生たち,学校,苦労しながら進められているところもあると思います。保育園とか幼児期は,障害児保育というのはかなり広がっていて,一般,一緒に学び合うわけですね。学校行ったら,別々の場が中心になっちゃって,いわゆる分離教育でかつてはありましたけれども。それで青年期になりましたら,やっぱり交流型のように,すぐに一般の人の学習の中にどう入っていくかというように入りますけれども,青年同士の対等,平等な学びをどう作っていくかということも大切だと思うんですね。
 というのは,すぐにボランティアとして健常者が関わるみたいなのが多いんですよ。そういうのも今,どう作っていくかということでやっている。そうすると,その活動内容,プログラムもどういうものにするかですよね。それはね,発達障害,知識障害の子たちですけれども,結構プログラムによって対等に学び合えるし,意外とそういう子たちの発想とか,そういうもので独特なものがあって,今の大学生は大人しいですよ。結構何も言わない。こう言ったら傷つけるんじゃないか。ところが,あどけないところもあって,彼らは自分を出したりするんですね。そういうのに触発されたりして,そういう青年期の対等な学びの場を作っていくことも1つ。すぐ一般的な,講座の中に入るということももちろん大事ですけど,そういうふうな場もどういうふうに作っていくか。特に青年期は大事だと思うんですね。そこを抜きに格差付けられたところで,どうして一般的な社会の中に行って対等となるんでしょう。やっぱりかわいそうな子でね,共生社会というのを,彼らの視点から,対等というものをどう考えていくかということを大事にしたいなというふうに思っています。以上です。

【宮﨑座長】
 どうぞ,田中委員。

【田中(秀)委員】
 一麦会の田中です。少し視点が違うと思うんですけれども,文化芸術をどう見てとることができるかというので,この間,映画の作成をするというところに少しだけ――少しだけですが関わらせてもらったんです。「夜明け前」という,呉秀三のドキュメントの映画も完成してやっているんですけれども。その映画が,文化庁の文化芸術基金ですかね,あそこの助成を受けているわけです。
 ネットで文化庁の助成団体を調べてみると,たくさんの団体へ助成をしているわけです。映画も幾つかあって,字幕で副音声を付けるということで,また追加して助成が出ているわけです。それに付けていない映画もあるんですけれども,今,いろんな技術的というんですかね,私は余り機械のことは分からないんですけれども,割と簡単に字幕を付けたりとか,副音声を付けたりすることが可能になってきているというふうに聞いています。そういうのを是非文化庁なりから,いろんな芸術の活動いっぱいありますけれども,そこへ少しでもそういう障害者の参加がしやすいような助成金の名目の中に,少し配慮してくださいというような,そういうようなふうに働きかけてもらえたら,少し変わってくるのではないかと思うんですけれども。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。どうぞ。

【山田委員】
 この一般的な学習活動への参加ということですけれども,障害者当事者の方からの目だけじゃなくて,一般の学習活動をやっている側の目で,視点でちょっと見てみますと,例えば私どもは今東京大会に向けて障害者スポーツがまだ余り知られていないので,国民の理解を得るためにいろいろな取組をしております。例えば,小学校に行って生徒に障害者スポーツを見せたり障害者アスリートに行ってもらって体験話をしてもらったり,また,企業に行って,企業の中で様々な理解促進のための講演をしたり,企業の中で障害者スポーツ,例えばボッチャみたいなのを体験してもらったりして,それをやることによって障害者のことを理解してもらうというようなことがあります。
 つまり,見方としては,障害者当事者からだけではなくて,一般の学習活動をやる側の視点も大事かなと思います。ここに合理的配慮をきちんと守るというようなことが書いてありますが,こういう堅苦しい法律的な面からだけではなくて,もう少し一般の方にどうやったら障害者のことを理解してもらえるかという取組,例えば,スポーツなんかをそばで見てもらうとか,あるいはどこかで体験をしてもらうとか,いろいろな形でスポーツを見てもらったり車椅子に乗ってもらったりとかするのが簡単で一番分かりやすいんです。この前も車いすバスケットの大会がありまして,そこに,国会議員の方が来られて,車椅子に乗ってバスケットにシュートされましたが全然届きませんでした。ああ,こんなに大変なんだと。障害者のアスリートの方はこういう難しいことを平気でやってのけるんだというようなことをおっしゃっていました。障害者への見方がかなり変わったようでした。このようにスポーツを見たり体験したりすることで障害者への見方が一遍にして変ることがあります。
 私の立場上スポーツのことを言いますが,そういった面で,健常者で一般の学習活動をやっている方に,例えば障害者スポーツやパラアートなどを通じて,障害者のことを理解してもらうというような側面も大事かなと思っております。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。じゃ,松田委員お願いします。

【松田委員】
 千葉県教育委員会の松田でございます。一番最初のときにもお話ししたんですけれども,ちょうど千葉県の試みとして,やはり障害者スポーツの試みが文部科学省の表彰の対象となったりしたといったところで,一番切り口として理解を相互にし合うという点で,本当にスポーツの持っている可能性というのはすごく広いなということを感じております。また千葉県,オリパラの会場県であるというようなこともございまして,現在そういった取組もしておりますので,そういった部分で広がっていければいいのかなというふうに感じました。
 また,共生社会の実現という視点から見た生涯学習の在り方というところなんですが,一緒に学んでいく大切さということももちろんあろうかと思うんですが,先ほどの視点2の中の,特別支援学校の同窓会のことについて触れられていたところがあったんですけれども,14ページになるんですけれども,特別支援学校を場としてライフステージに応じた学びの場としての同窓会組織というのが書かれているんですが,この括弧の中には,障害者自身が入ってきてないんじゃないのかなというふうに感じたところでありました。
 要するに何を申し上げたいのかというと,やはりそういった共生社会を実現していくためのプログラムの有り様として,学び手としての障害者を意識していくという部分と,あと企画段階からどうやってその方々を取り込んでいけるのかということが大切だと思います。もちろんニーズに合ったプログラムになるだろうということも期待されるとともに,企画に関わっていくことそのものが,障害者の方々にとっての1つの学びの場というふうになっていくのではないかという点で,そういったところから取り組んでいくという視点が重要なんじゃないかなというふうに感じたところでございました。以上でございます。

【宮﨑座長】
 どうぞ。

【箕輪委員】
 箕輪です。すみません。この資料1-2の19ページですね。以前に有識者会議のヒアリングの事例で,環境のバリア,意識のバリア,情報のバリアというのがミライロさんの話からあったと思うんですが,これに関連して,先ほど少し一般の場所で移動とかトイレという話をしたんですけれども,実際にプログラムの内容,会社の中でも,月に1回ぐらいいろいろな全社員,障害のある人もない人も受ける,例えば今ですと環境教育とか,情報に関する法律が変わったら情報セキュリティとか,そういったものをやるんですけれども,それを読み上げソフトで解決できる人と,読み仮名で解決できる人と,そもそも翻訳をしていかないと意味が,ここに今日書かれているような資料の状態では,全く読めても意味が分からないという社員もたくさんいるので。
 そういう部分で,一番今困難なのは,読み上げるソフトとか,声を文字化するというソフトは進化しているんですけれども,日本語を分かりやすく翻訳するという部分がなかなか私たち,素人というか会社員の中では翻訳仕切れてなくて,結局1時間参加してもらったけどぽかんとしていて,確認チェックをすると理解されていないということがあるんですね。読めているけど理解はされていない。一番知ってほしいことが習得できていないという状況が起こってしまっていて,外部にレベルを落とすと,今度は目的をなさなくなるので,レベルを落とさずに,日本語を,難しい熟語を分かりやすく子供新聞みたいな感じで,そういうふうに翻訳してくれる機能はないものかということを,私たちの会社でもそうなんですが,ほかの会社さんでもおっしゃっていて。
 そういったツールが,もう今あるのかも分からないんですけれども,もしかすると一般のプログラムに参加するときには,そういった障害の方用のプログラムというと,何がレベルが落ちてしまう場合があるんですけれども,そうではなくて,ちゃんと知ってほしいことを正しく伝えるためには,中身を訳していくという,理解力を上げていくための工夫というのをしていく。そこの機能がほかにあると,参加したときに本当にいたというだけではなくて,結果,ちゃんと習得できたというふうにつながるかなと1つ思いました。
 もう一つ,すみません,今のは情報のバリアのことなんですが,環境のバリアで1つ子も実際にあるものなんですが,車椅子は下肢障害の方たちが,途中で障害になった人たちが,今まで入れていた居酒屋さんに入れない。洋服屋さんに入れない。学習する場に行けないということで,環境を整えてもらうことは無理だろうから,私が持ち上げますと言ってくれればいいとか,あと入り口に段差が何段あって,何センチの幅でという情報があれば,自分で入れるかどうか分かるということで,心のバリアフリーだったと思うんですが,そういった普及活動。お店に私たちは,環境は整っていないけれども,スタッフが一同で階段を持ち上げますとか,そういう情報を提供するサイトを作っているところがありまして。自分のところに駐車場もトイレもなくても,隣のホテルが貸してくれると言っていますという情報だとか,地域の中で,自分たちの中では解決できないけれども,例えば月曜日と水曜日は力持ちがいるから全部カバーできますとか,何か情報を開示することによって,参加する側がそれを選んで参加できる。
 自分のところだけで全てやろうとするとなかなか難しいんですけれども,地域の中で環境を,一時的に必要なトイレとか駐車場とかそういったものは,ほかから借りればいいじゃないという考えの中で,参加したいという人が参加できるようなことを考えている団体もありましたので,あわせてそんなふうに,主催者が全てを抱え込むのではなくて,何らかの形で行政によるそういったツールがあるとか,地域を挙げて,そういうふうに参加してくれたところには,ちゃんとバリアフリーというシールをお店に張っているんですけれども,サイトで公表するので,よりお客様も集まるみたいな,そういうふうになっているので,参考までに情報提供させていただきました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。どうぞ。

【戸田委員】
 戸田です。先ほど箕輪委員の,可視化するというのは重要だなと思っていまして,どうやって配慮していいか,配慮した方がいいのか,しない方がいいのかが分からないので,そういったところの可視化は重要かなと思いました。
 古い言葉ですけれども,ユニバーサルデザインかなと思っていて,学びのユニバーサルデザインという言葉,古い2011年ぐらいにあるらしいですけれども。そういうことを配慮というか,設計をそもそもしていけば,障害あるなし関係なく,この3番はそうですよね。一般の学習活動なので。そこにむしろ配慮が必要ないというか,表示しなくても,そもそもそういう配慮ができているので学びやすいとか,そういうことにつながるかもしれないなと思ったので,学びのユニバーサルデザインがいいかなと思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありませんでしょうか。綿貫委員,お願いします。

【綿貫委員】
 綿貫です。恐らく障害の当事者の立場だから言いやすいことでもあるんですが,外の提供する側ですとか支援者側が,そういった参加しやすいように配慮していただくと同時に,当事者,障害者のある本人の方も,アクセシビリティに応えていくというか,能動的にやっていくスキルと言ってしまうとあれなんですが,そういったことも必要だというふうに思います。障害の種別によってアクションの方法は違うと思うんですが,例えば私は自閉症なので,自閉症の立場からすると,こういうときにこういうふうに言えばいいということがやっぱり分からないときに,こういうふうに言うといいですよというような言い方とか提示の仕方とか,そういうことを言われると,ああ,なるほどというふうに思えて,それを使えたりとかもするんですが,やはり自己選択とか自己決定とか,そういったこともこういう学習の機会には必要なことだと思うので,周りの支援を提供する側とか実施する側だけではなくて,本人たちがそういう場に参加するために必要なことを,多分在学中から丁寧にやっていったりとか,この人はこういうふうな選択の機会とかを提供されれば言えるというような,支援者側がそういうふうに意識をしていただければ,本人の方も持っているツールとかチャネルで関わっていくことが,参加していくことができると思うので,本人側のアプローチというのも大切だなというふうに思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ほかにありませんでしょうか。是松委員,松矢先生。

【是松委員】
 国立市教育委員会の是松です。やっぱり健常者と違って,障害者というのは非常に学習活動の場への参加のハードルというのは,我々が想像を絶する以上に高いんだろうなというのが実感としてあります。今までどちらかというとうちはエレベーターがないからとか,あるいはスロープがないからということで,そういったところの参加は難しいだろうということで,あえて障害者向けの事業を組まなかったりしているようなところもあったと思いますが,ここであるように,様々な合理的配慮をすることによって,それぞれ一人一人の障害の種類や度合いに応じた対応ができるということが,今認識されてきております。そういう意味では,基礎的な環境整備としてバリアフリーやユニバーサルデザインを進めていくというようなことも必要ですけれども,また環境,意識,情報のバリアをしっかり行っていくというのは当然ですけれども,やはり迎える側の,あるいは場所を提供する側の職員に,そういった障害者の一人一人に向き合って,できるだけ参加をできるような合理的配慮を行っていくんだという意識をしっかり醸成させていかなきゃいけないんだろうなというのを思います。
 そういった意味では,19ページにあるように,生涯学習の場における物理的環境や人的支援,意思疎通などの考え方,配慮の内容や体制,こういったものをやはりしっかり明らかにして,場を提供する側の人材にしっかり認識してもらうということは必要だなというふうに思っております。
 それから,次の基盤の整備に関連してですけれども,様々な関係機関の連携した体制をどのように構築するかという中の1つの例として,21ページに自立支援協議会というのがございます。これは自治体の方で設立しているものですけれども,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律が平成17年にできておりまして,その中で地方公共団体は,この日常生活,社会生活の総合的な支援のために,障害者の本人や家族,それから障害団体,あるいは障害者をケアする福祉,医療,教育関係の関係者により構成される協議会を置くということになりました。これは努力義務なので,ない自治体もあるかもしれませんが,今はほとんどの自治体がこういう協議会を作っていると思います。
 国立も,この協議会の中に公民館や生涯学習関係者も入って参加させてもらっていますので,これは各自治体においても,この協議会に生涯学習部門からも是非積極的に参加して,ここで議論されて,今度新しく出てくる継続的な社会の,学校卒業後の生涯学習の施策の周知や,あるいは推進に,是非この場を活用して参加して行っていく必要があるというふうに感じているところです。以上です。

【松矢副座長】
 とても触発されたんですけれども,やはり合理的配慮ということで,箕輪委員の方から,機械でできることとまだできないことがあるというね。やっぱりなかなかできないというか,最終的には難しいと思うんだけど,理解できる方には必要だというので,僕は例えば手をつなぐ育成会など,知的障害の本人の部会もあるところで,特に私は東京都の障害者施策推進協議会の専門部会長をやっていて,本人の方の委員がいらっしゃるんですよね。毎回大量の資料が出るんですけれども,要約を差し上げることもできないのです。だから,聴覚障害者にはいろいろコミュニケーション手段の開発がされていますけど,いろんな委員が出す提言は難しいんですよね。それを意訳して,少なくともリーダーの方々が読み取れるんだと思うんですね。そういった意訳の作業をする部隊も必要じゃないかと思っています。これは生涯学習だけじゃなくて,いろんな障害特性があるので,やっぱり一つ一つ努力していかなきゃならないというところがあるかと思います。
 東京学芸大学のやっている,今菅野委員が引き継いでいますけれども,私の始めたときはそうではありませんでしたが,だんだんとこの大学公開講座は,本人の方も市民も一緒に参加する公開講座だというふうに趣旨を変えていっています。そういう観点がとても必要で,私は専門家だったら,知的障害者の方にいろいろなことを分かりやすく話してくださるんじゃないかと。意訳ができるんですよね。餡の練り方とかで,そういうような。例えば,和菓子の専門家だったらできるんです。本当に感動的に,聞く本人も感動していますし,話している本人もすごい反響があるので感動している。それがまさに公開講座の醍醐味だと。私は,断られた先生はいません。そういう説得法でやってもらっているんですね。だから,目白大学にいたときに,そういうことでみんなやってくれました。園芸の先生は,この方たち,例えば庭がなくても緑が楽しめる方法といったら,苔玉を作りましょうかと提案してくれて,本当にみんなで2時間楽しみましたね。上手に苔玉ができた。そういうことは,一緒に健常な方も市民も参加して楽しいはずですよね。
 ですから,やっぱりそういう一つ一つの視点を大切にして,さっきユニバーサル云々って出ましたけれども,障害があろうがなかろうが,共有できるような講座というものを作っていくというか,そういうことも大切かなと思いました。

【宮﨑座長】
 あとわずかになりましたが,全体を通じてもしあれば,本日出していただいた意見の補足,追加的な意見があればお願いしたいと思います。お願いいたします。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。今,松矢先生のおっしゃったことにも触発されるんですが,僕も高等学校段階のいわゆるフリースクール5年間,そして今,大学4年間の,フリースクールの大学版というのをやってきているんですけれども,そのときやっぱり現職の大学の先生なんかに来てもらうんですね,各分野の。京都大学の副総長の哲学の先生にも来てもらったことがあります。そのときに,やっぱり何かね,我々はほら,この人たち分からないんだろうからって質を下げようというのをまず考えるんですよ。そうじゃない。質を下げないで,この人たちを伝える。結局,本質をしっかりつかんでないとだめなんですね。ハウツー的な,そこら辺ぱっぱっと見たり何でもありますけれども,そういう意味で僕は,京都大のあの先生はさすがだなと思って,ちゃんと準備していただきました。
 そういうことで,大学の教員に限らないんですけれども,しっかりその分野で立ち向かっている人は,つまり範囲が広いんですよ。例えば,一般の歴史で,徳川家康が何だかんだみたいな話をやれる人は,やっぱり研究者じゃないとだめなんですね,その分野に突っ込んでいる人でないと。そういう意味で,地域の専門家とか大学の先生なんかは,大いにね。実際彼らに届きます。中途半端なのがやっぱり難しいんですね,かえって。というようなことを,この間経験していることを,まず先生のそれにちょっと付け加えさせていただくことと。
 先ほど自立訓練事業で,広めていくときに,実践の質というか,みんなこういう中で青年たちが育ち,そして親もなるほどと納得してくれて,徐々に広がってきているんですが。そのときに先ほどから出ていることに全て共通するんですけれども,障害者の権利条約でいう,Nothing About us without us,自分たち抜きに決めないでという,これ,全ての基本だと思うんですね。この1点があれば,創造的にみんなで話し合っていくという。
 つい四,五日前にも,私どもの法人で中学部から70ぐらいまでの人たちまで,福祉分野から学校教育分野的な取組をやっているんですが,年3回,意思表明学習セミナーをやっていこうといって,去年から準備し始めてやっているんですね。それで本人たち十数名,我々事務局的な支え手が四,五名で,この前二十数名集まりましたけれども。じゃあ実行委員長決めようといって,実行委員長って何するのといって,これ困ったなと思って。誰かがとっさに挨拶する人ってね。そうしたら何人か,どんな人たちか分からんけど,手を挙げた人が何人もおって。じゃあ次までに,今度第1回目をこういう内容でやろうねと決めつつあるんですけど,そのときの挨拶文を持ってくるというような。だから,実行委員を決めるのも,1回で決まらないんですよね。だから,時間をとってゆっくりと本人たちが自分を出せるような,そういうゆったりとしたものをやっぱり付き合っていくというのは,これはやっぱりやる中で我々も身に付けていくので,初めから効率的・能率的にかっこいいことをやりたいんですよ,見栄えのいいことを。でも,それでは本人たちがやっぱり育たないし,広がらないと僕は思うんです。
 というようなことを,いつもそう思いながら,悩みながら,今皆さんのお話を聞きながら改めて,そういうことを大事にしたいなということを思いました。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。そろそろ時間になっているんですが,先ほど来お話のあったことで,文部科学省が進めていらっしゃる心のバリアフリー推進会議の中間まとめがたしか出ていて,その後のまとめも引き続きということなので,情報提供として今度,それは皆さんに出していただくと。この3のところへの参加推進方策と連動できるかなと思いますので,ここも是非お願いできればと思います。
 ありがとうございました。とにかく一通りやってみて,いろんな御意見を頂戴したということで,本日の会議はこのあたりまでにしたいと思います。本日頂きました御意見は,事務局の方で整理をしていただきますようにお願い申し上げます。
 また,今日の会議時間内で発言できなかったというようなことで御意見があれば,事務局までメール等で御連絡をいただければというふうに思います。
 最後に,事務局より御連絡事項があればお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 お手元の資料3を御覧ください。次回第7回の会議ですけれども,7月18日水曜日の10時から12時に開催することを予定しております。会場はこちらになります。追って正式に御案内をさせていただきます。
 また,本日の配付資料につきましては,机上に置いていただけましたら,後日郵送をさせていただきます。
 以上です。

【宮﨑座長】
 それでは,本日の会議はこれにて閉会をいたします。皆さん,本当にありがとうございました。

―了―

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