学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成30年4月27日(金曜日) 13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂(東京都千代田区霞が関3‐2‐2)

3.議題

  1. 学び・スポーツ・文化芸術の一体的な推進について(報告)
  2. 障害当事者のニーズ、自治体・特別支援学校等の取組に係るヒアリング
    (1)大河内直之 東京大学先端科学技術研究センター特任研究員(視覚障害者・盲ろう者に係るニーズ・課題)
    (2)西宮市教育委員会(公民館等における各種講座等の取組)
    (3)東京都教育委員会(特別支援学校公開講座・施設開放事業等の取組)
    (4)菅野敦委員(オープンカレッジ東京の取組等)
  3. その他

4.議事録

【宮﨑座長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 まずは、事務局よりオブザーバーの紹介と配付資料についての確認をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは、オブザーバーとして御参画をいただいております厚生労働省の職員に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課の石井課長補佐でございます。

【石井障害福祉課課長補佐】
 石井でございます。よろしくお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 同じく、厚生労働省職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課、渡部課長補佐でございます。

【渡部障害者雇用対策課課長補佐】
 渡部でございます。よろしくお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 また、本日の配付資料でございますが、議事次第にございますとおり、資料1から7になります。過不足等ございましたら、お申し付けください。以上です。

【宮﨑座長】
 資料、ありますでしょうか。
 それでは、議事に移ります。議題(1)「障害当事者のニーズ、自治体・特別支援学校等の取組に係るヒアリング」については、初めに、資料1に基づき、ヒアリングの主なポイントについて事務局から御説明をお願いいたします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは、資料1をごらんください。本日は4組のヒアリングを予定しておりますけれども、それぞれの発表を踏まえ、見通しをもって議論をいただけるよう、ポイントの部分を説明できればと思います。
 資料1の2枚目の資料をごらんください。こちらの方は第1回会議でお示しした検討イメージでございます。本会議では、当事者のニーズ、課題を踏まえるとともに、この4つの柱を基に検討をいただくことにしております。1つ目のこの障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制がございます。その中で、マル2にありますとおり、多様な主体の強みを生かした効果的な実施体制として、公民館、特別支援学校、大学に係る取組を対象にしているというところでございます。
 その他、一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策、その基盤としての人材育成・確保、推進体制の整備という柱を示しております。その上で、1枚目の方にお戻りいただきまして、まず今回、冒頭では大河内直之先生には、当事者としてのお立場も踏まえ、視覚障害者、盲ろう者のニーズ・課題について発表をいただきます。その内容を踏まえ、学校卒業後における、この学びの推進のために求められる方策について御議論いただければと思います。
 次いで、2つ目の西宮市でございます。公民館等における多様な障害者に対応した講座、ボランティア養成講座等について発表をいただきます。その内容を踏まえ、公民館の強みを生かしたプログラム・体制等について御議論いただければと思います。
 3つ目は、東京都でございますけれども、特別支援学校公開講座、施設開放事業等について発表いただきます。併せて、朝日委員、箕輪委員からは現場の状況についても補足いただくことにしております。放課後子供教室も取り上げますけれども、学校卒業後の学びの関わりの中で触れていただきます。その内容を踏まえ、特別支援学校や同窓会、企業、地域の強みを生かしたプログラム、体制等について御議論いただければと思います。
 最後、菅野委員には、オープンカレッジ東京の取組ですとか、ライフステージ別の支援課題、内容、システムについてお話しいただきます。その内容を踏まえ、大学の強みを生かしたプログラムの体制、さらにこれは全般に関わりますけれども、生涯の各ライフステージにおいて必要な汎用性のあるプログラム、システムの在り方について御議論をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは、ヒアリングを行ってまいりたいと思います。前回よりは1組多い、新たな観点からのヒアリングとなると思います。少し時間も余分にとってありますので、どうぞよろしくお願いします。御発表者の皆様については、議事次第の別紙のお名前を記載したものがありますので、併せてごらんください。
 それでは、最初に東京大学先端科学技術研究センター、大河内特任研究員より御発表いただきます。大河内先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【大河内氏】
 よろしくお願いいたします。今御紹介いただきました大河内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私、実は取り組んでいる研究というのが、主には盲ろう者とか視覚障害者のいわゆるアシスティブテクノロジーというものだったりとか、各種バリアフリーと言われる分野でございますので、実は生涯学習みたいなところの知見が少ないものでございます。今回は当事者のニーズというところで、学校卒業後の、特に今回は視覚障害者、盲ろう者の実態とニーズということでテーマを頂いておりますので、それに沿ってお話をさせていただきます。もし何か補足等がありましたら、質疑応答の中でお願いできればと存じます。
 まず、視覚障害者の学校卒業後の状況ということで、簡単にまとめさせていただきました。視覚障害者、視覚に何らかの障害をおもちの方、全く見えないだけではなくて、見えない、見えにくいという状態も含んで視覚障害ですけれども、現状は大きく二極化していると言ってよろしいかと思います。
 1つは、社会参加可能になっている方々、多くの方々が今視覚障害者が社会参加できている一方で、そういう方は社会参加に伴って、いわゆる生涯学習と言われるような課外活動についても延長線上で参画が実現している方が多くいらっしゃる一方で、逆に言うと、学校卒業後は自宅に戻って在宅の状態にあるような方。主には、視覚障害、プラス何らかの困難を併せもっているような方が多く見られますけれども、そういう方は結局、学校卒業後、なかなか行くところがない。何か次の学びの場が、学校卒業をしたと同時に絶たれてしまっているというような状況も散見されております。
 また、視覚障害者の現状ですけれども、聴覚障害とか、ほかの障害に関しては障害者団体で集まって活動するという実態がございますけれども、視覚障害に関しては、今、地域の視覚障害者団体で活動するという、特にこれは社会参加が実現している視覚障害当事者に多いですけれども、なかなか地域で自分たちの障害に特化して活動するという実態も少なくなっていて、視覚障害者団体も高齢化しているという状況があって、団体そのものの存続が危ぶまれているというような状況にもございます。
 実際に視覚障害者、活動されている方の主な活動ですけれども、このようなスポーツ、特にスポーツは、一般の人と同様のスポーツ、視覚障害があるとできないので、視覚障害者に特化したこのようなバレーボールとか、野球とか、こういうものが盛んに行われている。これは、特別支援学校時代からそういうコミュニティーがあったりしますので、その中で活動が広がっているというふうに考えられます。
 文化芸術活動についてもそうです。音楽とか、最近は映画、演劇みたいな、見える人たちと一緒に楽しむ。あるいは実際に自分たちで演じる、映画を制作する。さらに、最近の新しい取組としては、美術を言葉で鑑賞するようなこと、写真、絵画みたいなものにも、様々な視点で広がっています。
 それから、趣味についても、ICT、それから語学等々、ゲーム、それからスポーツをする方と観戦する方等々、それから、昔から盛んになされているのはアマチュア無線なども視覚障害者が広くコミュニケーションをとる1つの学びの場として資格を取るみたいなことが、盛んに行われてきております。
 一方、社会参加がなかなかかなっていないような方々の状況ですけれども、そういう方々は施設に入所されていたりとか、あるいは在宅している方が多いわけですけれども、1つは、施設内で実施されているような行事に参加するという方。これは、施設にいらっしゃるので、ある程度そういうプログラムが組まれていて、それなりの充実感はあるのかもしれせん。一方で、在宅の方々については、例えば特別支援学校時代の同窓会みたいな、本当に年に1回、あるいは2年に1回ぐらいの集まりに行くことが楽しみになっているということ。
 あと、親の会という、親が中心になって活動するような団体、それから元教員が作っているような青年学級のような団体に参加することで社会とつながっているという状況も、いまだに続いております。
 特に親の会、それから青年学級等の元教師の会については、当事者もそうですけれども、親や教師も高齢化してきますので、活動が縮小傾向にあるという問題点も指摘されております。
 受障時期の違いということで、視覚障害についても、もともと生まれながらにして先天性の視覚障害で特別支援学校に通った方と、逆に、途中で見えなくなった中途失明の方では少し状況が変わってきています。先天性の方は特別支援学校で学ばれる方が、最近はインクルーシブ教育も取り組まれてきていますので、少しずつ地域でも目指されていますけれども、多くの現状、先天性の視覚障害者は特別支援学校のネットワークが使えるような状況の方が多くいらっしゃいます。
 子供のころから視覚障害者としての教育を受けるので、一人でなんでもできる、一人で何でもするという解決方法というか、そういう自立の感覚というのをもっている方が多いということです。また、障害についてはもともとから先天性の方と、障害が安定していて、そんなに目の障害、病気について、それほど大きな問題を抱えていない方が多くいらっしゃいます。
 反対に中途失明の方は、もともと健常者として、晴眼者として生活をされていた方なので、非常に障害の受容というところでは大変なんですけれども、自分たちの見えないということを受容した後には、いわゆる社会の中で自分たちの問題意識をきちっと表明したりとか、あとは一人でやることではなくて、他者の支援を上手に利用、活用するという方が多く見られます。また、それと同時に、中途失明の方は障害がなかなか安定せずに、例えばきのうと今日の見え方が違ったりとか、そういう体調面での不安も多く抱えている方もいらっしゃいます。
 視覚障害についての今後の課題です。様々な課題がある中で簡単にまとめたものなので、まだまだこれだけでは網羅はできていないですけれども、特によく言われていることが、例えば視覚障害者向けの障害者スポーツセンターみたいなところで、あるいはコミュニティ・センターみたいなところで活動するのは何とかできているけれども、例えば一般の人たちと交じって活動するということがまだなかなか難しい。
 例えばスポーツジムに入会しようと思ったら、視覚障害を理由に、けがをしたときに保障ができないからという理由で拒否されてしまうとか。あと、メディア、例えば演劇とか、映画とか、そういうものに行くときに、様々な情報保障が現状まだなされていないので、なかなか参画しにくいとか。あとは、語学教室とか、教室といったときに、例えば資料だったりとか、ビデオ教材みたいな視覚を活用するような配慮が乏しかったりすることで、なかなか参画できないということと、逆にそれが用意できないがゆえに、入学を断られてしまうという実態もよく報告されていて、今後の課題だろうと思っております。
 もう一つ、在宅の方の入所されている方についての課題です。特に入所者、施設入所の場合は本当に福祉の中での制度が、地域生活の制度が使えなかったりしますので、地域生活と施設入所の格差みたいなものをなくしていくことというのも大事かなと思いますし、逆に施設と地域の垣根をなくす中で、学びの場みたいなものが逆に施設の中に提供できて、地域の方々が交流できるような場になっていく必要があるだろうなと思っています。
 続きまして、現状、盲ろう者については、平成24年に全国盲ろう者協会が実施した調査のデータですけれども、基本的に盲ろうという障害が障害の中で法的に位置付けられておりませんので、単純に視覚障害と聴覚障害という記載が障害者手帳にある人たちの数を数えただけの数ですけれども、1万4,329名ということが、平成24年の段階で分かっております。
 それに対して、全国盲ろう者協会、盲ろう者団体、盲ろう者を支援する団体が実際にお名前を把握している。もっと言うと、通訳介助という人的支援サービスを利用している盲ろう者の数というのが940名にとどまっています。要は、1万3,500名ぐらいの盲ろう者が、今、日本では実態としてつかめていないという状況にございます。そういう中ですので、実は特別支援教育の中でも、盲ろうの教育というのはまだ手探りで行われている状況です。
 それに関して例えば盲ろう者向けの職業訓練もありませんし、まさに盲ろう者向けの教育カリキュラムも、各特別支援学校の中で意識の高い先生たちが盲ろうの子供たちのニーズに合った教育方法を手探りで行っているという状況にあると思います。
 盲ろう者の現状、その中でどういう活動をしているかというと、地域の盲ろう者団体の中で活動していたりとか、あるいは作業所にようやく最近、盲ろう者向けの作業所というのも幾つか開設されてきておりまして、そういうところで活動していたりとか。あるいは、手話サークルとか、地域の視覚障害者団体みたいなところで一緒に活動、それも見え方、聞こえ方、様々な条件があるので、全員の方がというわけではないですけれども、ごく少数の方に限られますけれども、そういう一部の方が活動をしているという状況にあります。
 現状、盲ろう者を支える社会資源というのは、通訳・介助員の派遣制度というのが大きな意味をもっております。この盲ろう者が通訳・派遣制度が使えないと、外に出ていけないという方がほとんどです。その通訳・介助派遣制度という人的支援に併せて使われているのが、今ICTということです。そのICTを使うことによって、人的な支援がなくても、例えば電子メールを使ってとか、インターネットを使って文字で他者と意思疎通ができるということが少しずつ実現できるようになってきています。これは点字ディスプレーだったりとか、文字を拡大することで、一部の機能を使ってようやくこの15年ぐらいですけれども、盲ろう者が社会の情報にアクセスできるようになってきたという実情です。
 今後の課題ですけれども、もちろん生涯学習ということで、今後の学び、卒業後の学びの場ということを確保していくことも非常に重要なんですけれども、今、盲ろう者にとっては、盲ろうという障害を独自な障害だということで認めてもらうということ。国連なんかでも、それは少しずつそういう動きがありますけれども、国内でも盲ろうという障害が視覚障害とか聴覚障害とは異なる、独自な障害なんだということを認めてもらうということは、今大きな課題だと言われております。
 それから、やっぱり都市部にどうしても支援が集まりがちなので、地方と都市部の格差をなくしていくということがもう一つ、急務だと言われています。その中で、制度整備を進める中で、例えば学校教育の盲ろう者向けのカリキュラムの充実だったりとか、それから、卒業後の盲ろう者の学びの場の充実だったりとか、そういうものが一体的に図られていくべきだろうとも言われています。盲ろう者については今回のテーマからはそれてしまうのかもしれませんけれども、逆に言うと、特別支援教育の中でもなかなか盲ろう者の教育システムというのは充実できていませんので、こういう機会で申し上げると、学びの場というのは、学校も、それ以外でも、一体的に盲ろう者に対しては取り組んでいっていただくべきなのだろうなと考えている次第です。
 すみません、ちょっとオーバーしましたけれども、以上でございます。

【宮﨑座長】
 大河内先生、ありがとうございました。ただいまの御発表を踏まえて、視覚障害者・盲ろう者のニーズ、課題を踏まえ、学校卒業後における学びの推進のために求められる方策について、意見交換を行いたいと思います。
 最初の10分で、皆様から御質問、御意見を頂いた後、発表者の大河内先生からまとめて回答をお願いする、そういうスタイルをとりたいと思います。なお、御発表いただく際は、お名前を述べていただいてから御質問なのか、御意見なのかを明確にしていただきたいと思います。前回、たくさんの皆様から思いがこもった質問をたくさんしていただきましたので、少し長い質問になったり、御意見になったりしたものですから、そこを整理したいと思います。
 また、できるだけたくさんの方々に御発言いただきたいと思いますので、ポイントを絞って御質問、御意見をお願いしたいと思っております。どうぞ御協力をお願いします。
 それでは、御質問、御意見のある方はどなたからでもどうぞ、お願いいたします。いかがでしょうか。では、お願いいたします。

【松田委員】
 千葉県教育委員会生涯学習課の松田でございます。御発表ありがとうございました。まず質問ということでお願いできればと思うのですが、私ども、図書館に対する行政等も担っているところでございます。図書館というものは、当然本を提供する場なのですが、読書というのは当然生涯学習の根幹というか、基本的な部分であろうという認識をしています。
 その中で、視覚障害をもたれた方に対しては、例えば大活字本、もしくは読書の朗読テープ、こういったものの作成ということで取り組んでいるところです。今御発表いただいている内容を見ると、余りそういう部分では視覚障害をもった方のニーズとして捉え切れないようなところもありました。実際障害をもたれた方のニーズとしては、例えばハウツー的なものの、先ほど申し上げた大活字本であるとか、音読テープであるとか、そういったものが求められていっているのでしょうか。それとも、基本的には、文学作品、いわゆる小説等を中心にした対応が求められているのでしょうか。この辺のついてのお考えをお聞かせいただければと思います。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。後ほど御回答していただきます。
 ほかにございますでしょうか。

【松矢副座長】
 大河内先生、どうもありがとうございました。副座長の松矢と申します。今、盲ろう者の実態について厚生労働省の調査、1万4,329人と出ていますが、これは抽出調査なんですね。その辺のところと、それから登録者数、通訳・介助者派遣事業の940人ということで、この利用者の年齢の幅、青年期のところからあって、どの辺の人たちが一番多いのかということ、もし把握されていれば。
 協会としては、そういう支援が必要な方の把握としては、何%、かなり把握していると思っておられるか、まだまだそういう意味で当事者としての派遣の申し込み、もっともっとあるのではないかと思っておられるのか。とにかく当事者団体のその辺のアンテナというのはとても大切だと思いますので、お教えてください。

【宮﨑座長】
 ほかにありますでしょうか。どうぞ、箕輪委員。

【箕輪委員】
 横河電機の箕輪と申します。よろしくお願いいたします。質問です。先ほど視覚障害者における今後の課題の中で、一般の社会資源を活用しにくい現状の改善というところで、例えばスポーツジムの入会拒否ですとか、語学教室で資料が視覚的なものしかないということで断念するというお話があったと思うんです。差別解消法ですとか、合理的配慮義務というのが、私たち企業ですと当たり前のように御指導も受けたりですとか、改善するということで、こういったあたりは対応してきてはいるところなんですけれども、地域社会においてはここは全然この数年で変わってきたということをお感じになることはないのか。それとも、少しずつでも改善されてきているとお感じなのか、そのあたりもお聞かせください。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。
 それでは、田中先生。

【田中(良)委員】
 田中良三といいます。田中がここに3人いらっしゃいますが、愛知の田中です。私は春日井市という三十数万ぐらいの名古屋市のベッドタウン的なところに住んでいますが、盲ろうの方は、全体的に数が少ない上に、さらに地域になると、もっと少ないというか、ぱらぱらです。その中に、はり・あん摩を業としてみえて、旦那さんが中途失明、奥さんは全盲の方です。お兄ちゃんと妹の二人の子供さんがおられます。御両親とも目が見えないので外出も困難ですし、子供さんが学校から持ち帰ってくる宿題など何かにつけ、子育てへの対応が困難です。
 私は、地域で発達障害フォーラムに取り組んできていまして、その方にお話していただきました。担任の小学校の先生や友達の親の方も来てみえました。その後、宿題を出すときに、ちゃんと親の方に伝わるように、お友達の親の方が点訳ボランティアをされて点字のお知らせを届けたりなどの配慮がされるようになりました。御本人への支援は福祉制度としてあるのですが、障害者の子供さんの支援については、どのように考えたら良いのでしょうか。このような例は、極めて少数だと思いますが。このような方が住んでおられる場合には、近隣の方たちの理解や支援が必要なのではないかと思います。このような実態や具体的な取組もいろいろ把握して見えるのではないかと思うんですが、もしよければ、簡単でいいですからお話しいただきたいらと思います。よろしくお願いします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。まず、このぐらいでいいでしょうか。
 最初に、松田委員から図書館の利用に関する課題についての意見をお聞かせいただきたいと。次が、盲ろう者の件に関して、登録者の年齢の幅、あるいは支援の必要な方について当該の会としてチェックがされているかどうか。次に、差別解消法で大きく変わってきている状況があるけれども、それに関しての動きというか、感じていらっしゃることがあるかどうかということ。
 それから、最後の田中委員からは、個別の、特に御夫婦で支援の必要な方々のお子さんへの支援の在り方などで、何か動きで感じていらっしゃることがあればということだったと思いますが、どうぞお願いいたします。

【大河内氏】
 ありがとうございました。まず、図書館については、すみません、図書館は視覚障害の中では一番充実している分野で、あえて余り書かなかったというところもあるんですけれども。図書館については、地域においても、それから視覚障害者団体、あるいは点字図書館を含めて、今様々な取組が行われています。先日、マラケシュ条約というのも比準いたしましたし、それに際して、今読書バリアフリー法という法律を作ろうという動きも今ございます。そういう中で、例えば視覚障害者の点字の大量なデータとか、音訳データ、あるいは最近は出版社がテキストデータを提供するような動きもあって、それを蓄積したデータベースが実際ございまして、そのデータベースをもっと視覚障害だけではなくて、一般の読書困難者、例えばページがめくれない肢体不自由の方とか、読み書きに困難のある学習障害、発達障害の方にも使えるようなネットワークとして作っていこうという取組もあります。
 つまり、これまで点字図書館は点字図書館として、地域の図書館は障害者サービスとして視覚障害者等にサービスを提供してきましたけれども、そうした限定的なサービスではなくて、大きな図書館という枠組みの中で読書困難者というカテゴリーとしてネットワーク化して、それぞれ各地域の図書館、公立図書館も参加していただくことが大事なのかなと思っています。これは、多分視覚障害者云々の取組ではなくて、読書困難者というカテゴリーの中で図書館サービスは充実させていく必要が今後あるだろうと考えております。
 次に、盲ろう者についてです。利用者の年齢幅については、個人情報もあるので、余り私が盲ろう者協会の職員ではありませんので把握しておりませんけれども、大まかに言うと、やっぱり高齢の方が半分以上というふうに言われています。
 それから、この盲ろう者協会と厚労省が行った実態調査ですけれども、基本的に各自治体の福祉課にアンケート調査をしたものです。実はアンケート調査に答えていない自治体さんも何件かあります。回収率が94%、93%だったと思います。なので、もうちょっと数は変わってくると思いますけれども。ここについての1万4,329名の比率としては、6割から7割が高齢の方、60代、70代の方というふうに言われていて、盲ろうについても加齢に伴って視力低下、聴力低下が起きていて、障害認定を受けている方が多いというふうに考えています。
 この数ですけれども、利用者についてはほとんど把握できていないというふうに盲ろう者団体は考えています。まさに、まだ盲ろうという状態が自分だけだと思って閉じこもっている人がたくさんいるだろうと推測はしています。高齢の方もそうですし、若い方でも、例えばもともと聴覚障害になって、目が見えなくなることによって、社会と全く情報が断絶しますので。5年ぐらい前にたまたま発見された盲ろうの方は、30年間、全盲ろうの状態で家に閉じこもって。
 ヘルパーさんは来るので、御飯を作ってもらったり、そういうことはできるんですけれども、結局社会の情報とつながっていないので、初めて触る手話が分かる人が訪ねていったときにおっしゃったのが、今は昭和何年ですかとおっしゃったんです。要するに昭和から平成になることを御存じなかったというのが盲ろう者なんです。
 そういう実態がありますので、やっぱり少なくとも早く福祉課レベルで把握して、とにかく社会に参加していただく。今、同じような境遇にある方がたくさんいらっしゃるんだということを知っていただくということを、盲ろう者団体としては取り組んでいるというところです。
 それから、差別解消法の話です。実態としてはそうなんだと思いますけれども、現場に行くと、なかなかそうはなっていないというのが実情です。やっぱり現場の中でどうしても責任を取らなければいけないとか、何かあったときにどうすればいいのかということが先に走ってしまって、入店拒否、入学拒否ということは現実に起きています。こういう問題以前に、例えば補助犬法もそうです。今、これだけ介助犬、補助犬というのは認識されてきていますけれども、今でも入店拒否が起きているのが現実です。個人が戦っていかないとなかなか風穴が開かないというところが実情なので、個人も頑張っていますけれども、毎回、毎回戦っているのもしんどいということもあるので、もっと抜本的にここは改革していく必要があるだろうなと思っています。
 最後の個別支援の話ですけれども、これは本当に逆に学校がどういうふうに関わるかという問題、それから、やっぱりその御夫婦が使っていらっしゃる、その方は視覚障害だと思うんですけれども、例えば同行援護サービスだったりとか、あとは地域の福祉サービスとの連携が充実するべきだろうなと思います。確かに障害をもった方が子育てをするときに、例えば保護者会に参加しにくいとか、そういう問題も実はたくさんございます。その辺は多分、当事者の支援というところからもう少し離れて、障害当事者が子育てをするときの支援、間接的な支援をどう充実させていくかという1つの事例だろうと思いますので、学校と、地域と、要するに教育の分野と福祉の分野を常に連携させていく必要がある事例だろうなと考えている次第です。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。まだ大河内先生にいろいろお尋ねしたり、御意見があると思いますが、また後であればと思っております。
 先を急ぎたいと思います。続きまして、西宮市教育委員会社会教育部、上田部長より御発表をいただきます。それでは、上田部長、よろしくお願いいたします。

【上田氏】
 西宮市の教育委員会社会教育部長の上田でございます。西宮市の公民館事業として行われております、知的障害者対象の西宮青年生活学級の紹介をさせていただきます。まず一部ではございますが、学級活動の様子をごらんいただきたいと思っております。
 1年間通して、まず5月に開講のつどいというものがございます。平成29年度は新たに5名を迎えてのスタートとなりました。この事業、取組の際の司会者は学級生の中から立候補を募りまして、3名選出しまして、頑張ってつどいを進めております。腹話術の坪井さんをゲストに迎え、楽しい時間を過ごしました。参加者は147名でした。
 6月にはニュースポーツ体験ということで、主に若手中心のはつらつコースと、40代以上のゆっくりコースに分かれてやっておりますが、西宮のスポーツセンターというところのスポーツ指導員に講師を依頼して実施いたしました。的当てですとか、ボール送り、パラバルーン――大きなシートを膨らませたり、ボールを乗せたりして、中に入ったりして遊ぶ取組です。
 続きまして、10月には体を動かそうということで、こちらも同じ体育館でしたけれども、運動会をしました。最初の1時間は近くの鳴尾公民館というところで学級生が何の種目をするか話し合って、幾つかの種目を用意していましたので、自分は何をやりたいかという話し合いをいたしました。話し合いで決定した種目を体育館移動して、学級生の司会の下で実施したということでございます。玉入れですとか、玉転がし、綱引き、こういった種目に取り組みました。初めての種目の玉転がしというのもあったんですが、競技の中に取り入れて、楽しい時間を過ごすことができました。参加者は134名でございます。
 2月には、あなたは芸術家ということで、音楽や絵画の体験をいたしました。半日ずつ、はつらつコース、ゆっくりコース、分けての事業となりました。ともに次の4コースを実施しておりまして、まずこれは絵画コースの様子であります。次、音楽コース、料理コース――料理コースは公民館職員が講師を務めました。それから、ダンスコースです。NPO法人の方を講師に迎えてダンスを踊りました。参加者は170名でございます。これは、最後に自分たちが学んだことをみんなの前で発表したというところの情景でございます。
 最後に、3月に閉講のつどいというのをいたしまして、午前中は式典と行事写真のスライドショー、午後からは学級生による来年度の行事決めの話し合いをいたしました。行事決めには、7名の学級生が参加いたしました。以上、簡単ではございますが、青年生活学級の紹介をさせていただきました。
 続きまして、資料で御説明いたしたいと思います。青年生活学級の活動の様子をごらんいただきましたけれども、大変楽しそうに、月1回の楽しみということで学級生は参加しております。資料1-1をごらんください。青年生活学級は、昭和48年に18歳以上の知的障害のある青年と同じ社会人の立場で、ボランティアで参加するという市民を対象にスタートいたしました。概要はここに記載しているとおりでございます。
 ポイントといたしましては、この学級は、昭和47年に2人の知的障害のある勤労青年がやって来て、そこのカウンセラーのところで、自分たちは居場所がないんだというお話をしたそうです。そこのカウンセラーを中心に、ボランティア、人形劇グループが主体となって「つくし会」ができたということでございます。それが公民館に場を移して活動するようになり、それが公民館の主催事業になりということで、今の形態に発展しております。
 障害のある、なしにかかわらず、青年のための余暇活動ということで、同じ立場で参加しようと。健常者も会費を払うし、同じように会費を払って一緒に活動しましょうというポリシーでやってきております。昭和53年頃から学級生の増加が著しくなりまして、年齢や障害の幅も広くなったという状況でございます。
 実施に当たりましては、行事内容を学級生が意見を出し合って決定すると。行事の当日も、できるだけ学級生が主体となって取り組むようにやっております。比較的障害の軽い学級生たちが、学級以外の活動をしたいということで、ヤゴの会というものを結成しまして活動しております。ヤゴの会は、特に何をするというのは決まっていないんですけれども、自分たちで楽しんで、どこかに遊びに行ったり、青年生活学級で行った遠足先に、もう一度自分たちで行ってみたりと、そういったことをしているようでございます。ヤゴの会のモットーは、靴ひもがほどけたら、自分で結ぶまで待っていてくださいということでありまして、これにのっとってお手伝いするボランティアの方も協力というか、一緒に楽しむということでやっております。
 それから、予算としましては、140万4,000円ということで、市役所の方で遠足のバス代については負担しております。あと、本当にわずかですが講師謝金という形で、ボランティアの方々に謝礼を渡しております。本人からも1回100円か200円の会費を頂いて、飲食代、ジュース代とかに充てているという状況であります。
 参加者数ですけれども、現在登録している学級生が231名で、ボランティアが26名ということです。毎月1回集まっておりますけれども、大体100人ぐらいはお集まりになって楽しんでおられます。
 成果の方ですけれども、成果は非常に見づらいということを、実施しているボランティアの方々も言っております。一般の方から見れば、本当に毎年同じことをしているように見えたりとかするんですけれども、ただ、そこを我慢して見てほしいというのが、実際そこに携わって実践している方の気持ちということであります。その中から、先ほど申し上げた本人活動のヤゴの会ができたりとか、すずむしバンドということで、バンド活動をすると。中には、ブルースハープを演奏している方もおられます。
 課題としましては、課題だらけなんですけれども、学級生が年々増加するんですが、ボランティアの数が圧倒的に不足しているということです。自治体にはガイドヘルパーの制度ができましたので、ガイドヘルパーさんと一緒に参加されているということです。ただ、ガイドヘルパーさんにも本当に親切に御協力いただくんですけれども、有償でやっておられますので、一方で、ボランティアで参加して一緒にやろうということで参加している人たちは、自分は会費を払って参加しているのに、ガイドヘルパーの方は給料をもらっているという形になりますので、ますますボランティアが集まりにくい状態になっているということになります。
 それから、公民館の職員の不足は、公民館といいますのは、市役所の中では、教育委員会自体が一定独立した行政委員会で出先ということになりますし、出先の中でも、また出先の公民館という職場で、公民館自体の役割というものがなかなか見えづらい中で、人は減らされる傾向にあります。公民館を廃止して、一般的な市民センターというか、場所をお貸しする場所に変えてはどうかという話もたびたびもち上がるところで、そういった不安定な中で実施しているということでございます。
 それから、ボランティアの方々も高齢化して、若手が育っていないということであります。会を大きくするにも限度がありますので、本市近隣の特別支援学校の高等部の卒業生に入会案内をしますけれども、それ以上の一般的な公募とかはできていない状況です。もちろん、いらっしゃったら拒むことはないんですけれども、一般的な公募はできていない状況でございます。
 すみません、3ページのところには、平成29年度参加者名簿からの学級生の年齢構成で書いております。
 資料の続き、4ページ、5ページは、それぞれ29年度の行事の一覧でございます。
 続きまして、資料2でございます。公民館における各種講座の取組ですが、西宮の公民館では、手話講座とボランティア養成講座。手話講座としましては、入門編と基礎編を実施しております。これは、市長事務局の障害福祉課と連携しておりまして、資格取得につながるような手話講座は市長事務局で実施しております。
 それから、初級点訳講座、要約筆記啓発という講座は、ボランティア養成講座として実施しております。初級点訳の講師を担当します中公点訳グループ――中公というのは中央公民館の略ですけれども、もともとは公民館グループから発展して、現在では阪神間の幅広いところで、いろいろな書物とか教科書の点訳をしたりして、幅広く活動している団体でございます。
 予算としましては、7ページに書いてあるとおりで、手話は68万4,000円、謝礼、委託しております。初級点訳21万6,000円、要約筆記は21万2,000円となっております。
 成果ですけれども、公民館が実施した手話講座や点訳講座の受講生の中からグループが生まれて、自主的に活動されるというケースが見られます。幾つかの手話グループが立ち上がって公民館を利用していたり、要約筆記ペンの会に入会するという例もございます。
 課題としては、講座修了後のことについては、本人の意思に任せているということと、障害福祉課、市長事務部局でもやっているということで、我々としては市長事務部局にこの事業を移管していってもいいのではないかと考えております。
 続きまして、資料3-1でございます。その他の講座ですが、青い鳥学級、視覚障害者の方のための取組です。これは、兵庫県教育委員会が西宮、尼崎、芦屋の3市でやるようにということで実施しております。県の委託事業ですから、なかなか継続性がなくて、課題解決に向けた取組が難しいということと、参加される方がお客様状態といいますか、本当にあれをしてください、これをしてくださいという注文はなさるんですけれども、運営への参画が見られないということが課題かと思います。
 続きまして、資料4-1でございます。こちらは、聴覚・言語障害者の方に向けての講座です。これは、先ほどの青い鳥学級と同じで、兵庫県教育委員会からの委託事業でございます。課題等につきましても同様な状況となっております。
 あとは、資料5につきましては、西宮の教育委員会の施策の体系でございます。そこの中の公民館機能の充実というところの中の公民館事業の中で、これらの活動を実施しているということでございます。
 17ページは西宮の社会教育の理念を示した図でございます。
 18ページから20ページは、その中でも公民館の事業についての説明でございます。簡単ではございますけれども、西宮市教育委員会からの説明とさせていただきます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ただいまの御発表を踏まえて、公民館の強みを生かした効果的な学習プログラム・実施体制、人材の育成・確保等の在り方について、意見交換をしたいと思います。先ほど同様に、各委員から質問、あるいは意見を発表していただいた後に、上田部長さんからまとめて御説明をいただくというふうにしたいと思います。
 それでは、御質問、御意見のある方は、どうぞ、どなた方でもお願いいたします。
 戸田委員、お願いします。

【戸田委員】
 戸田です。すてきな発表、ありがとうございました。感想と質問をさせていただきたいと思います。感想は、この5-2の資料のところなんですけれども、この体制だろうなと思います。先ほどの大河内さんの話もそうなんですけれども、やっぱり見つける仕組みというか、把握する仕組みというところも結構必要になってくると思っています。やはり、こういう方がいるよねということを地域が知って、取り組んでいくことが重要だと思うので、1つのユニットとすると、公民館を中核としたこの地域になってくるのかなと感じていましたので、このフォーメーション図なんだろうなと思いました。
 あとは、やっていることをしっかりと発信されていると思うんですけれども、この今の意図とかの話をされれば、結構地域の若い人たちも興味をもって、ボランティア活動とかに来るのではないかなと思うので、その辺の情報発信の仕組みがあると、もっといいのかなと思いました。
 質問になります。結構これは本質的なところになるんですが、何を学ぶとか、何をするのかということを自分たちで考えるというふうになっていましたけれども、なぜ学ぶのかみたいな、学びの方向性を決めていくような、何かそういう営みといいますか。例えば就労だと分かりやすいかとは思うんですけれども、こういうふうに働いていることによって、自分も社会に参画していって、例えば豊かな生活をしていこうとか。
 そうすると、自然とそういうことを学んでいくというふうになっていくと思うんですが、結構緩やかにやられているというのも、私もブリッジスクールというのをやっているので、すごくよく分かるんですけれども、その中で結構就労というのを1つ、テーマにしたコースがあって、そうすると、そこに向かってみんな学んでいくということをやっているんです。この西宮市さんの方では、なぜ学ぶのかというような、学びの方向に導くような取組があるか、そこを教えていただきたいと思います。

【宮﨑座長】
 ほかに、どうぞ。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。お聞きしたいのは、私、大分前のことになるんですけれども、私たちは名古屋で障害の重い重症心身障害の人たちの地域支援に取り組むために、西宮市の先進的な施設に見学に行ったことがあります。障害の重い人たちの親御さんや職員の皆さんは、皆大変御熱心に取り組んでおられました。福祉関係者の方は恐らく皆さん、生活が掛かっているし一生懸命になるんですけれども、生涯学習や学びということになると、果たしていかがでしょうか。この人たちは、こういった皆さんの生涯学習とか社会教育について、行政の方に要望とか、要求とかいうのはないんでしょうか。よかったら、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

【宮﨑座長】
 どうぞ、お願いいたします。

【田中(秀)委員】
 和歌山の一麦会の田中といいます。質問でお願いしたいと思います。17ページの社会教育委員会の役割ということでここでたくさん書かれているんですけれども、たくさんのお仕事をされながら、この障害者の支援をすると。この教育委員会の中での論議というのは、どういうことで進められているのか。その辺、どういう経過でされていたのか。ほかでは余り聞いたことがないので、非常にその辺の熱心さのところをお聞きしたいなと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。
 是松委員、お願いします。

【是松委員】
 国立市の教育長の是松でございます。国立市においても青年学級、展開しておりますので、西宮さんの障害者の青年学級、すばらしいなと聞かせていただきました。ありがとうございます。
 感想と質問です。同じように障害者青年学級に取り組む自治体として、今回のテーマである公民館の強みを生かした効果的な学習プログラムという中で、やはり基礎自治体であるがゆえに障害者向けのこうしたプログラムを、少ない予算の中でも組んで職員をそれなりに張り付けてやっていくということは可能なわけです。これは、もっともっと拡充していかなければいけないだろうと思いますし、これは、これからの障害者の卒業後の生涯学習においては、我々の役割であろうと、同じ自治体同士、思うところです。
 やはり何を学ぶかということよりも、こういった余暇やレクリエーションの機会を青年学級の中で与えていくということによって、どちらかというと余り外に出にくい障害者の方々が社会参加の機会をもつことができるんだろうと思いますし、また、障害のある人とない人が交流する場がそこにできてくる中で、また障害者に対する理解や、あるいは地域的な課題についてもともに語り合える、学び合えると思っておりますので、やはり障害者青年学級、どういうふうに展開させて、いろいろもつ課題を解決していくかということは、ともに考えていきたいなと思っております。
 それで、質問なんですけれども、その中で一番問題となるのは障害者の方々を支える、職員体制はお互い自治体同士でいろいろ問題があるんですけれども、やはり職員だけでは無理なので、いかにボランティアやサポートスタッフを確保していくかという問題は、どこの障害者青年学級でも同じ課題を抱えていると思います。
 前回、町田市さんの方で発表をいただいたときに、やはり同じような課題を抱えながらも、町田市さんの場合は有償ボランティアで、それなりの有償的な、1日5,000円程度の財政負担をしていらっしゃるということがありました。そうした障害者のためのサポート、ボランティアスタッフの確保の方法として、有償的な財源措置が効果的なのかどうかということについて、どうお考えかということ。
 もう一つ、それだけではなくて、若い方をいかに集めていくかという、先ほど情報発信の問題もあったんですけれども、西宮さんの例えば周辺の大学機関等との学生等の連携ということも、可能性としてはあるのかどうかというところについてお聞かせ願えればと思います。

【宮﨑座長】
 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 戸田委員からは、ちょっと感想、御意見も含めて、把握ですとか、情報発信について、もし何かあったら、そこも含めて、いわゆる講座をやるに当たっての考え方について、基本的な質問がありました。
 それから、両田中委員からは、障害の重い人への対処の仕方と、それから、西宮市のこの17ページにあります社会教育の基本的な考え方など、改めてお話をしていただくといいのかなと思います。
 それから、最後の御意見の中には、余暇としての青年学級というのを大事にしていく必要があるのかなという御意見もあったわけですが、質問として、前のものと関わりますが、支える体制、有償ボランティアについてどう考えるかということ。それから、若い人をどう確保するかと。西宮市周辺の大学等への働き掛けなどはどうかということなどあったかと思いますが、どうぞ上田部長さんから、今あった質問や意見を踏まえて御説明をいただければと思います。

【上田氏】
 すみません、お答えしたいと思います。まず、1番目の戸田委員への御回答ですけれども、なぜ学ぶのかというような、学びの方向を導く取組というものです。そこまで深い話をこの学級に関してはしておりません。ただ、一時、読み・書き・計算的なことをやろうとしたら、非常に学級生が激減して、慌ててやめて、またレクリエーションを中心に交流を図るという方向にもっていったことがありました。なぜ学ぶかというような深いところまではなかなか行かないんですけれども、本当にゆっくりと見守りながら、本当に共に生きていこうよみたいな、それだけでやってきたような学級でございます。
 それから、2点目の愛知県の田中先生の御質問ですが、重度の障害の方からの学びについての要望ということです。たくさん市役所の方には要望が参りますが、余り対応した記憶がないので、余り来ていないのかなと思います。
 それから、和歌山の田中先生の御質問ですけれども、17ページの図、この中で青年生活学級が行われているわけですけれども、教育委員会内の論議は、語弊がありますけれども、どちらかというと学校教育が中心になっております。例えば教育委員会議を行いましても、教育委員の方々の関心というものは、どうしても児童とか生徒のいじめがないかどうかとか、学校の状況はどうかとか、学習の状況はどうかというところにやはり集中しますので、社会教育方面への関心というのは非常に低い――低いというのはまた語弊がありますけれども、量的には少なくなっています。
 その中で、こういった生涯学習の体系ということも議論するということがなかなかなくて、社会教育の方から一生懸命発信しているという形になっております。私、昨日、橋田室長と電話でお話ししまして、生涯学習ですとか、社会教育の在り方についての意見を交換させていただいて、机上配付資料ということで、大変僣越ではあるんですけれども、きのう、夜書き留めたメモをお渡ししております。
 その中で、1ページに、青年生活学級を生涯学習施策として実施する意義ということを書かせていただいております。その中で、なぜ生涯学習かというと、自分たちなりに設定した課題解決に向けての主体的に学ぶ姿勢ということを重視していることができるのが、この分野かなと思っております。それぞれの方の生きていく上での基本的な力というものがあるはずで、人それぞれにキーコンピテンシーというものがあるんだと思っております。それは人間関係の中でしか培われませんので、青年生活学級の事業を生涯学習として行う意義があると、私は考えております。でも、そのことを教育委員会の中で議論したことはなくて、機会があれば、そういうことも議論していきたいと考えております。
 それから、是松教育長の御質問ですけれども、有償ボランティアは効果的かということです。効果的な面もあるかと思うんですけれども、実は教育委員会の事業で本当にボランティアがたくさん入っていまして、学校にもボランティアがたくさん入っています。社会教育の方でもボランティアに支えられて実施しておりますけれども、本来のボランティアとは離れてきて、仕事っぽくなってくるような面もあるかなとは感じています。
 ボランティアはボランティアとして割り切って無償でやった方がいいのかなという気もしますし、ただ、少しでもお金を出した方が来ていただきやすいのかなということも思っていまして、非常に揺れ動くというか、半々というか、そういった気持ちであります。
 それから、若い方を集めるということで、大学との連携。確かに西宮市は文教住宅都市宣言をしておりまして、大学も非常にたくさんございます。今までやっておりませんでしたけれども、今日のような発表というか、発信を大学に向けてすれば、来ていただけるのかなと少しヒントを頂きましたので、実践してみようかなと思っております。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。まだいろいろあろうかと思いますが、進行の関係で次に移りたいと思います。
 続きまして、東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課、大木課長さんより御発表をいただきます。それでは、大木課長、どうぞよろしくお願いいたします。

【大木氏】
 東京都教育庁地域教育支援部の大木と申します。私の方からの説明は、都立特別支援学校におけます公開講座についてということと、その次に、同じく都立特別支援学校におけます施設開放事業についてというもの、そして、最後に放課後子供教室事業についてという、大きく3点でございます。
 まず最初の2つの都立学校におけます公開講座、それから施設開放についてです。まず、この制度の趣旨というか、よって立つところなんですが、これはいずれも都立学校開放事業ということで、施設開放につきましては昭和52年度、公開講座につきましては昭和58年度から開始いたしておりまして、両事業とも平成10年度から全校実施という形に、今しているところでございます。
 こちら、両事業は、教育基本法12条の社会教育に関する規定、それから社会教育法3条の地方公共団体の任務に関する規定ですとか、44条の学校施設の社会教育への利用に関する規定など、それから、もう一つは、学校教育法137条に規定しております学校教育上、支障のない限り学校の施設を社会教育、その他公共のために利用させることができると、こういった規定を根拠として実施しているものでございます。
 学校経営上は、地域住民の学習、文化、スポーツ活動の振興に資するとともに、開かれた学校づくりの1手段としての役割を担っているものでございます。
 まず、最初の都立学校公開講座についてでございます。資料でございますけれども、事業の趣旨につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、関係規定を根拠としまして、学校の教育機能を開放するというものでございます。高校におきましては、成人を対象としましたリカレント型講座、児童・生徒、親子などを対象とした講座を実施しているところでございますが、特別支援学校におきましては障害者本人講座、そしてボランティア養成講座を実施することとしているところでございます。
 実施の体制につきましては、各学校に都立学校開放事業運営委員会を設置して、進行管理をするということになっております。これは施設開放と併せてということになります。この運営委員会は、校長を委員長としまして、開放校の副校長ですとか、経営企画室長――事務室長ということでございますが、その他、教職員ですとか、地元の区市町村教育委員会の社会教育関係職員など、それから実施校のPTAですとか、同窓会の代表、地域団体の代表などで構成しているものでございまして、これは委員長が委嘱するという形になっております。この運営委員会で開放事業計画を策定して、実施をするという流れでございます。
 実施の内容については、資料の下部の実績等というところがございますが、対象や内容につきましては、これは基本的な定めを記載しております。特別支援学校におきましては、先ほど申し上げましたとおり、障害者本人講座、ボランティア養成講座を実施しております。実績としましては、ここでは28年度実績ということで記載をさせていただいております。29年度につきましては、学校からの報告がまだなので御紹介ができませんが、ほぼ同様の状況であると考えております。
 この事業の課題といたしましては、講座によっては受講者が少なく、開講できないようなこともあると聞いております。また、講師の謝金というものは予算措置しておりますけれども、実際には学校の教員が講師となるケースがほとんどであると考えておりまして、教員の負担というところは否定できないかなと考えております。
 続きまして、都立学校の施設開放についてでございます。制度趣旨につきましては、先ほど申し上げましたとおり、社会教育法44条の規定等、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用するよう努めなければならないといった規定、それから、学校教育法137条の規定を根拠としております。
 事業趣旨につきましては、冒頭申し上げたとおりでございます。実施体制、こちらも先ほどの公開講座と同様、開放事業運営委員会を設置して、開放計画を作成して実施していただくということになっております。開放している施設につきましては、グラウンドですとか体育館等の体育施設、それから会議室、図書館等の文化施設も開放しているところでございます。
 ただ、利用の対象につきましては、都内在住、在勤又は在学する者で構成された団体としておりまして、特別支援学校においても、例えば障害者団体等ということでの優先的な利用ということは行ってはおりません。また、特別支援学校におきましては、夏季休業中に障害者団体にプールを開放しております。
 開放についてですが、年間教育計画や行事予定に支障がない限り、開放日を定めるものとしております。本日は特別支援学校についてということで御説明しておりますが、ここについては、基本的には部活動での使用ということで、開放日数は極めて少ないという状況でございます。
 利用に当たりましては、団体登録をしていただいた上で利用するということが原則でございまして、これは施設管理上の必要から団体という形に限らせていただいております。その際には構成員の名簿等も添付していただいて、不特定多数の方が校内に立ち入るということを避けるようにしております。
 また、利用に際しましては、利用団体から管理指導員を選出していただきまして、管理指導員が開放事業運営委員長、校長から委嘱を受けて、施設の解錠、施錠、用具の管理、安全確保等を行っていただいているところです。ただ、ここは管理職の考え方にもよりますけれども、実際には、学校によっては管理職が学校に出てきて待機しているという状況も少なくないということでございます。
 また、施設開放につきましては、特に都立学校は住宅地の中にある学校が多いということもありまして、また、特に特別支援学校についてはあるんですが、学校設置に至る様々な経緯などから、所在の自治体でありますとか、地元自治会、近隣住民などへの配慮等、これは高校、特別支援学校を問わずですが、校長先生が相当気を遣って運営されているものと認識しております。
 体育施設は、地域の様々な団体が利用を希望しておりますので、特に交通の便の良い学校を中心に、利用の希望日が競合するケースが多いと。その調整も学校にとっては一定の負担になっていると認識しております。
 それから、資料としまして、都立学校活用促進モデル事業というものをお付けしてございます。こちら、平成28年度から実施しているものでございますが、こちらは私ども東京都教育委員会ではなく、同じ東京都のオリンピック・パラリンピック準備局の事業でございます。
 こちらは、障害のある人や、障害者スポーツ競技団体等が、身近な地域でスポーツ活動ができるようにということで、都立特別支援学校の体育施設を学校教育活動に支障のない範囲で活用するというものでございます。平成30年度は特別支援学校15校で実施をしてまいります。昨年度は10校でございました。これは、東京都の監理団体でございます公益財団法人東京都スポーツ文化事業団に業務委託をしまして、団体利用の調整や光熱水費等の徴収等を行っていただいているところでございます。
 私ども東京都教育委員会としましては、オリンピック・パラリンピック準備局とも随時情報交換や意見交換等をしながら対応をしているところでございます。実際の現場におきましては、用具の破損でありますとか、立入禁止エリアへの立ち入り、部外者の侵入等々、学校との調整が必要な状況がぱらぱらと発生しているというふうに伺っております。
 また、運営の関係では、実際に利用に際しての管理員の確保については苦労されているというふうに聞いているところでもございます。勤務日が非常に不規則になったり、急にキャンセルになったりとかということで不安定な状況もあるということで、なかなか難しいというところでございます。
 最後に都立特別支援学校放課後子供教室についてということで、御説明をさせていただきます。こちらの事業は、障害のある児童・生徒などが心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進するということで、放課後や週末などに特別支援学校の施設を活用しまして、学習やスポーツ・文化活動などの体験活動、地域住民等の交流活動などを定期的・継続的に提供していただくものでございまして、文部科学省さんの補助金、放課後子供教室事業費を活用させていただいております。
 活動場所となります特別支援学校と、活動を支援するために組織されました団体との連携・協働の下に実施をしていただいております。基本的には、当該校の児童・生徒が対象でございますが、活動によりましては卒業生ですとか、兄弟が参加することもございます。私どもとしましては、その活動の充実に向けまして、学校での実際の事業の見学会でありますとか、支援団体を集めた情報交換会などを実施して促進しているところでございます。
 この事業の課題としましては、やはり担い手となります人材の確保ということでございます。ボランティア養成講座を受けた方が参加しているケースですとか、企業との連携により実施しているケース等もございますが、特に保護者のOBが運営しているケースなどでは、なかなか次の担い手が見つからず、同じ方々が長年にわたって運営するというケースも少なくない状況ではございます。
 また、学校、教員の理解というものも不可欠でございます。放課後、それから休日ということになりますと、教員の熱意、意欲によっているところはありますが、そうは言っても実際に教員の負担感というところもありまして、管理職が事業の継続に不安を訴えられるということもある状況でございます。
 以上、私どもの事業について御説明させていただきましたが、特に今教員の働き方というのが言われている中で、学校施設を活用する以上、一定のといいますか、何らかの負担感というのが生じているのは事実でございます。私どもも、そういったところを今後どうしていくべきかというところについては、苦慮しているという状況でございます。説明は以上でございます。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ただいま御説明いただきました事業について、特別支援学校、それから企業、地域の立場から見た状況について、朝日委員、それから箕輪委員により、補足の説明を頂きます。
 まずは朝日委員、お願いいたします。

【朝日委員】
 大塚ろう学校校長の朝日でございます。資料2をごらんください。特別支援学校の卒業生は、東京都教育委員会の事業を活用してどのように学んでいるか、特別支援学校の立場から補足をさせていただきます。
 初めに知的障害が軽度の卒業生の場合、彼らは特別支援学校本人講座を利用して、母校に集まって学習と交流をしています。就職した先の企業での現状を報告し合い、市民講師等から就労を継続する際の大事な点を学んでいます。A君は、先輩は簿記の資格を目指していると、自分はCADの技術を磨きたいと、自分のキャリアアップについて語ってくれました。人材育成は本来、企業が担っていくものでありますが、母校としてアフターフォローの役割を果たすことができると考えます。
 次に、障害が比較的重度の肢体不自由の場合は、留年してでも学校に残りたいと母親が語るなど、なかなか卒業後の学びが少ない現状でございます。学校開放事業と書きましたが、大木課長の説明にあったとおり、施設開放事業でございます。訂正をお願いします。これに加え、都立学校活用促進モデル事業も始まりました。障害が重度でも参加できるスポーツ、ハンドサッカーなどの体験教室があり、今後参加の期待が広がります。障害が重い卒業生には、OB会組織や父母の会など、サポートスタッフがあれば、スポーツや文化を含む学びの場として母校を活用できる。逆に、そうした支援を強化していく必要性を強く感じます。
 最後に、私はこの4月にろう学校に勤務することになりましたので、聴覚障害の卒業生についてお話しします。現任校では放課後子供教室として、PTAのOBや大学とが連携し、NPO法人大塚クラブを結成、放課後や土曜日の活動として約15年の実績がございます。そこにろう学校を卒業した社会人がボランティアや講師として参加しています。先日、私がかつて教えた子供と30年ぶりに再開しました。彼はコーチとして、後輩の小学部の児童にサッカーを教えています。運営スタッフとしての学びとなっている事例でございます。
 まとめを下に書きました。母校である特別支援学校が学びの場を提供することは、学校にとっても有益です。保護者やOB、企業や学生などが組織的に学びのスタッフに参加できる仕組みが大切であり、それには教育委員会の支援は不可欠と言えます。
 私からは以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは、続いて、箕輪委員、お願いいたします。

【箕輪委員】
 横河電機の箕輪と申します。よろしくお願いいたします。
 私は資料4-3で提出しております。こちらは文科省さんの青少年の体験活動推進企業表彰に応募したときの書類の抜粋でございます。キーワードについては黄色いマーカーを付けさせていただいておりますが、少し補足したいと思います。まず、この本会議のテーマである生涯学習という点では、企業で働くことになって仕事をする生活の中での学びと成長の繰り返しであって、そこで重要なのは学ぶ意欲とか、自分がいろいろ経験することで成長していくということを実感できるということが大事なんですけれども、そういった背景の中で、企業がこういった障害のある方の学習に関わることの意義とお伝えしたいと思うんですが。
 まず、先ほどから前回までの中にも、ボランティアスタッフさんの不足によって継続が困難になる可能性が今後あるかもしれないという点では、地域住民の方の個人と提携すると、やはり高齢ですとか、体調とか、御家族の育児・介護などの事情によって、当日のキャンセルもあるかもしれませんし、継続ができなくなるということが想定されるという中で、企業が関わっていくと、組織として対応しますので、そのあたりのリスクが少し少なくなるかなと見ます。
 また、プログラムの多様さにつきましても、障害のある方、経験が非常に少ないという――私の経験の中から、やったことがないので選択ができない。経験がない、見たことも、聞いたこともないので、好きなことが何と言われても答えられないとか、そういったものがあるので、自分の好きなことを知るとか、できることとか、興味があるものに気づくためにも、多様な価値観をもったプログラムの企画が必要かなと。
 前回までに綿貫さんですか、発達障害の方で、一般的なカラオケとかハイキングとかではなくて、土偶でしたか、歴史的なものを作るというマニアックなものに興味がある方がいるというのは、非常にそれは共感するところなんですけれども。そういう多様な視点で、一般的なプログラムではなくても、多くの視点が入ることによって、御本人たちも何ができるかとか、興味があることに気付くことができるかなと思っています。
 また、継続的に活動していますので、当社も9年目になるんですけれども、同じ方が続けて入ってきますと、毎年同じプログラムをやっている中で、レベルアップを希望されたりですとか、いろいろなアレンジを求められることも多くなっています。ですので、そういった中では、社員の特技とか、趣味で子供の頃からずっとやっているものを生かした、教えられるレベル、プロに近いような状態のスタッフを派遣することによって、いろいろな要望に応えられるかなと思っています。
 また、企業のCSRの研究会などでは、各社の社会貢献担当の人が集まる月次の会議などもありますので、そういったところには東京都の大木さんの部下に当たる方にも来ていただいて、この説明をしたことによって、ほかの会社さんも、やりたいんだけれども、どういうふうにどこと関わったらいいのか分からないということがあるので、実際、1回説明に来ていただいた時点で、3社とプログラムが新しくできたというのもあります。ですので、そういった企業が関わると、そこの横のつながりでプログラムやネットワークが広がるかなというのもあります。
 また、企業の視点というところでは、障害のことに詳しくない。なので、それによって敬遠してしまう、断られるということもNPOの方に聞くこともあるのですが、私たちは障害のことに詳しくないからこそ、制限せずに普通に子供たちですとか、大人向けにやっているプログラムをそのまま持ち込みます。そういった中で、品質とか、コストとか、ICTの活用とか、危機管理の部分を、企業の中で業務遂行における視点がありますので、そういったものをこの特別支援学校の子供たち、もしくは卒業生、大人に向けても活用できているかなと思います。
 学んだり、遊んだりという場の中で、行動特性とか、タイプとか、キャラクターが見えてきますので、例えばゆっくりした動作、ずっとゆっくりだなといった方については、高齢者施設の介助支援に向いているのではないかとか、あと、プログラムを進める上でこだわりがすごく強い方については、データ入力とか、部品の組立、検査など、曖昧さがない仕事できっと正確な仕事をしてくれるだろうとか、スピードがかなり速くなるのではないかとか、そういったように遊んでいる様子を見ながらも、職業の適性などを見る視点というのも、やっぱり企業ならではなのかなと思います。
 また、大事なのはイベントの開催の回数ではなくて、その中で子供たちがどういうふうに成長したのか、参加したスタッフはどういうふうに役立ったのかというあたりは、必ずプログラムが終わった直後に本人、保護者、教職員から、感想とか、自分の変化について意見をもらっています。ですので、それをボランティアで参加した社員に戻すことによって、モチベーションとか、自分がちゃんと好きなことをやっているだけなのに役立っているとか、子供の成長が進化したというあたりが実感できて、それが逆にない場合はプログラムの見直しをしようということで、このあたりの振り返りがとても大事かなと思っています。
 このあたり、もしかすると企業の視点なのかもしれません。行っただけ、開催しただけで、やりましたというわけにはいかないので、そのあたりの結果を見ていくということも、子供たちの成長につながっているかなと思います。
 先ほどから出ている、ボランティアを増やすときに手当てが必要か。そのあたりについては、企業であれば数千円とか、金額ではないんですけれども、頂くことよりも、ホームページに活動中の写真が顔出しで載せられるかとか、あと、教育委員会の方や文科省の方に取材に来ていただく、副大臣に視察に来ていただくとか、すごく効果があったと思います。そういったものの押さえで、注目されているということですね。あとは感謝状を頂くとか、そういったものが持続可能にするためにはとても有益だと思っています。ですので、お金を掛けるというよりは、企業側からすると、外からの物差し、評価の中に、いいことをしている会社だなというふうに映れるような要因があれば大丈夫なので、予算というよりは、そういうものを用意していただくと、参加する企業も増えてくるかなと思っています。
 実体験による気づきの中では、やはり最初に大河内さんのお話があったように、盲ろう、視覚と聴覚の重複の方なんかも参加しているんですが、そういった方も書道教室で筆を持って文字を書いていたりですとか、それから演奏会も自分たちの好きな楽器をそれぞれ演奏するんですけれども、主旋律が会社の管弦楽部がメーンの主旋をしっかりとやっていると、どのようなリズムが入っても、どのような楽器が入っても、すごいいい音楽になるんだということを体験したりですとか。
 それから、車椅子の方、保護者とかヘルパーさんだけだと、高尾山とか、最終的に登ることが難しいと思われていたんですが、ヘルパーの資格ではなくて、力持ちが欲しいという要望があって、ラグビー部とか山岳部の力持ちをそろえて頂上まで行ったりとか、そういったものがあります。あと、全盲の方がコミュニケーションツールとしてデジカメを使って、見えていないんだけれども、写真をぱしゃぱしゃ撮っていって、後から、見える人に、ここに行ってきたんだと言うことによってコミュニケーションが広がるというお話を聞いたりですとか。
 あと、逆に聴覚障害者の方から、よく聞こえる人には伝わらないとかいろいろ言われるので、じゃ、聞こえない人同士で手話のコミュニケーションで伝言ゲームをしてみましょうということでやってもらって、手話同士でも伝わらないという、コミュニケーション力とは何かというのを感じていただいたりとか、いろいろなことをしながら、多分、社会に出てからも必要な力というのが少しずつできているかなと思います。
 最後になりますけれども、最初から転ばぬ先のつえというよりも、少し失敗をしていただいて、それが環境を整え直すこと、もしくはルールが明確になることで、できたという体験。1回目やったけれども、できなかった。誰かに代わりにやってもらうのはなしなんですけれども、2回目、自分が工夫をしたらできるようになったという体験をしていただくと、その後もいろいろ学ぶ意欲ですとか、仕事もそうですし、ほかの地域のプログラムに参加する意欲や勇気も出てくるのかなと思っています。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ただいまの御発表を踏まえて、特別支援学校や同窓会・企業・地域の強みを生かした効果的な学習プログラムの実施体制、人材の育成・確保の在り方についての意見交換を行います。
 御質問、御意見のある方はお名前をおっしゃってから対応していただければと思います。それでは、どなたからでもどうぞ、お願いいたします。

【松田委員】
 千葉県教育委員会の松田でございます。また、すみません、質問を何点かお願いできればと思います。どなたにというのは、恐らく東京都の教育委員会の大木様かと思いますが、これのための特別の予算立て等をされていらっしゃるのかどうかということ。
 あと、千葉県でもやはり同様の取組というのは一部学校では行われているところなんですが、発表のあったプログラムに参加される実際の方というのは、先ほど朝日委員の方からもお話がちょっとあったのですけれども、基本、卒業生だということをお聞きしたように思うんですが、そのような理解でいいのかということ。
 それから、大体何歳ぐらいまでそこにいられるのか、実際いるのかというような部分についてお聞かせいただければと思います。
 あと、これだけ多くの学校さんの方でやっていらっしゃいますが、その横のつながりといいましょうか、例えばこういった部分ではこういったものが有効なんだよということで、こういったものにある程度特化した形で、横のつながりを図りながら公開講座の充実といったものに努めていらっしゃるような試み等があるのかといった部分で、お聞かせいただければと思います。以上でございます。

【宮﨑座長】
 あと、ありますでしょうか。
 それでは、これは大木課長さんでいいですね。お願いいたします。

【大木氏】
 まず予算ということなんですけれども、資料の方には下の予算というところで、公開講座ということでよろしかったでしょうか。講師謝金ですとか、体験的なものについての傷害保険金等を措置しているということで、東京都の予算額でいいますと2,000万円程度。これは、特別支援学校分だけということになりますが、その程度の措置はしております。2,000万円といっても、五十数校あるわけですので、1校当たりでいうと非常に少ない予算にはなってしまいますが、その程度の措置はしているというところでございます。
 それから、参加者については、先ほど朝日先生の方からございましたが、本人講座については卒業生が多いというふうには聞いているところでございます。すみません、何歳ぐらいまでというのは、特段制度上は制限はしていないので、実態の方は私も分かりかねます。申し訳ありません。
 それから、学校間のつながりにつきましても、恐らく形式的に定まった形でということではなくて、インフォーマルな形で情報交換というものはされていることとは考えますが、その実態につきましては、朝日先生、お分かりですか。

【朝日委員】
 年齢なんですけれども、前任の都立永福学園はまだ開校して12年のところなので、1期生がまだ二十六、七歳です。ただ、本人講座に来るのが、基本的には3年まで、成人を祝って、その後まではやりますけど、1期生からそれ以上の会というのは、年に1回やるんですけれども、それに1期生で来ている子もいます。でも、だんだん少なくなってきます。
 これは、悪いことなのか、いいことなのかというと、やっぱり社会の中に広がっていって、母校に頼って学ぶということもいいことではありますけれども、将来企業の中でとか、あるいは地域の中でコミュニティーを作って、仲間を作って、そこで学んでいけばいいことなので、そこが少なくなってくることは悪いことではないと思っております。
 肢体不自由の学校では、伝統校はいわゆるOB会とか父母の会がかなりしっかりしているので、三十歳とか、三十五、六歳になっても、ハンドサッカーのOBチームなどを作って、連絡を取り合って、その大会には集まってくるとかいうものがあります。永福学園の場合はまだOB会ができていないので、その辺はちょっと弱いかなと思っています。
 結局そういうふうに連絡をとったり、世話役という中で、そういう中心になってくるメンバーが育ってくると、そこの学びは連続性はあります。ですので、組織がないところは、地域の中にいるんですけれども、障害が重たい場合は、どうしても生活介護施設の活動に限られてしまうとか、父母の会の活動も、親御さんたちが高齢化してくると、なかなか活動ができにくい。何とかそこが活性化されないかと思っているところでございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。今の東京都の本人講座の中で、特に特別支援学校に関しては、大体卒業後3年間はまず対応しようということは、全校的な横のつながりでも確認されていることで、そこから先は卒業生の会がどこでも作られていて、そっちの方に移行するというような動きがあるようです。このことも、今後またこの場で協議をしていかなければいけない中身かなと思っております。
 ちょっと時間が押してまいりましたので、次に行きたいと思います。最後に、菅野委員より御発表をいただきます。それでは、菅野先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【菅野委員】
 それでは、オープンカレッジ東京の取組ということで、発表いたします。お手元の資料、スライドの枚数は変わっておりませんけれども、文字等が加わったり、あるいはスライドの順番が少し違うところがありますので、御容赦ください。前の方を見ていただければと思います。
 お話の内容はオープンカレッジ東京の概要と特徴、テーマについて、受講生についてということです。提案と仰々しく書きましたけれども、これは依頼されたので書いただけで、講座の作り方、領域の設定、内容の選び方に関しまして、提案1、2、3、まとめとして、障害者生涯学習支援における課題ということでお話をいたします。
 オープンカレッジ東京というのは、1995年から知的障害の人たちを対象にしている生涯学習支援の取組です。2004年からは定型発達、いわゆる普通の一般市民も一緒に学ぶということで、一般市民と障害のある彼らとのインクルーシブな学習の場として展開しております。これまで、前回と今回、様々な取組の発表がありまして、オープンカレッジ東京は今までの皆さんの取組とちょっと特徴が違うところがありますので、特徴を幾つかお話ししたいと思います。
 まず1つは、ここに書いていますけれども、大学という場での障害者の生涯学習支援、いわゆるオープンカレッジの1例として取り組んでいるということです。
 そして2つ目は、後でお話しますけれども、第1期から第4期まで様々な試行を経てまいりまして、第3期以降は開発研究としての位置付けということで、これまでの地域での取組とは少し違ってきていると思います。
 3つ目ですけれども、お金はありません。どうしてかというと、研究として取り組んでいるので。ですから、受講料を1回1,500円頂きます。受講料というのはほとんど全部彼らに返すわけですけれども、教材・通信費、保険料等、私たちスタッフは全部手弁当ということになっております。大体実施回数は、松矢先生がやっていらっしゃったのが第1期なんですけれども、第1期は年間10回ほどやっていたようなんですが、私が引き継いでからは年4回しかできません。というのは、研究としてという意識がありますので、年4回ぐらいしかできない。
 さらに、「いっしょに学び、ともに生きる」ということで、彼らと一緒に学ぶという意味も彼らに伝えておりますので、学習発表会として、私たちスタッフは何を学んだかというような学習発表会も1回、計5回やっております。運営委員会としては、我々大学の教員、小・中学校の先生、特別支援学校の教員、自治体職員、特例子会社の社員、福祉関係職員、大学院生・学生等で、大体毎年約30人ほどで構成されています。ただ、これは本当に年々少なくなっておりまして、スタッフの問題というのはずっとあります。
 講師ですけれども、基本は教育権の保障、発達権の保障という意識が私たちにありましたので、大学教員等が担当する。これは、後でお話ししますけれども、企業の方々とか、様々に講師を広げていくという取組を行っております。
 講座の展開は、基本的な講座の展開はこういう講座の展開で、まず大学の先生に講義をしていただいて、スタッフと称する我々の運営委員ですけれども、2人ほど大体1つの講座に付いておりまして、スタッフによる講義の解説。大学の先生の講義というのはなかなか難しいところもあるので、解説をして、その解説した内容を具体的にスタッフと演習する。また、その演習した結果をまとめて発表することで、また大学の教員に講義をしてもらう。また演習する、講義を受けるというような展開をしております。
 この24年間でテーマを幾つか考えました。松矢先生が最初にやっていらっしゃったんですけれども、松矢先生の時代は、「自分を知り、社会を学ぶ」というテーマで行ってきました。私が引き継いでからは、「いっしょに学び、ともに生きる」、これは先ほどもお話ししましたけれども、一般市民とともにということで、インクルーシブというのを意識しました。
 第3期は「いつでも学べる、どこでも学べる」というのを加えました。これは、どの地域でも、大学にかかわらず、どこでも学べるようにするためにはどうしたらいいんだろうかということを考えて、新たなテーマを加えました。大体この辺で学習内容、講座内容に関しましては考え方ができたので、彼らに対しても考えるわざを学ぶということで、学ぶ方法の学習、学習方法の学習というのに、今少し取り組んでいるところです。
 第1期としましては、生涯学習支援の在り方の模索(意義と学習内容)、第2期は学習の場はどこか。先ほどもやりましたけれども、「いつでも学べる、どこでも学べる」ということで、学習の場はどこか、そして学習の内容はどういう内容か。今は、学習方法と、学習内容との関係というあたりを取り組んでおります。
 第2期以降「いっしょに学び、ともに生きる」以降は80名、障害のある彼らは60名で、一般市民20名を募集しております。昨年度は61名参加してくれました。60名が障害のある彼らで、1名が一般市民。ほかに、うちの学芸大ではないんですが、よその大学の学生さんが参加したいという、ある先生が言ってくださって11名ほど参加してくれます。
 過去の6年間の受講生の変遷としては大体60名から70名ぐらいで、30代の方々が平均していると。全国に一応発信しているので、様々な地域から受講生が来て、毎年10名前後は新規の受講生が入ってくるということですね。延べで300名ほど参加してくれました。20年連続して参加している受講生も約10名いらっしゃるということです。
 ここからがオープンカレッジからの提案ということで、まず講座の作り方に関してお話をします。基本的には講座を決定してから、講座担当を決定し、講座案を検討して、講座を開講し、講座の反省をするという取組で、基本的にはこういうスケジュールで行っております。ちょっと濃い部分、これは印刷や発送等は都立の特別支援学校の高等部の作業学習に依頼・発注するということで、学校にもお願いして取り組んでおります。
 運営委員会というのは毎月行っています。大体1つのテーマ、3か月ほど掛けて立案されるということで、このような指導案形式のプログラムを作って取り組んでおります。
 講座の領域というのを考えました。なぜかというと、前回もそうですし、今回も発表がそれぞれのところでありましたけれども、私たちもどのような講座内容がいいのかということで全国調査をさせていただきますと、やはり行事的な内容やスポーツ・文化的な内容、そして働くに関連するような情報ということがかなりのところで中心になっている。もう少し広がりがとれないかということで、それで講座の領域をもう少し考えようと。成人期も含めた生涯学習の領域はどんな領域があるのかということで、ICFと知的障害なので、知的障害のある彼らの適用上の課題というものを考えまして、ICFの9領域と知的障害の彼らの10領域の制限ある領域から4つの領域を見出して、生涯発達支援と地域生活支援の4領域。「学ぶ・楽しむ、くらす、はたらく、かかわる」という4領域を設定しました。
 この4領域は生涯、人生80年と考えたときに、恐らくこのぐらいのウエートがあるんだろうと。これを横軸で切ると、恐らくそれぞれの時期、時期に、どの時期にどの領域にウエートを掛けたらいいのかというのが出てくるだろうという考え方で、生涯領域と内容を考えるという取組もしました。
 どういう支援内容がいいんだろうか、学習内容がいいのかということで、先ほどの4領域プラス、どうしても成人期になってくると健康支援というのに積極的に取り組む必要があるだろうということで、とりあえず、まずこの5領域に関して、成人期以降、どんな支援内容を求めているのかというのを調べました。
 最初に、ここに書いていますけれども、全国の相談支援事業所6,458か所にアンケートを出しまして、1,644か所からしか返ってこなかったんですけれども、学習に関しては成人期以降、ほとんど要望、相談がない。これは非常にショックでした。就学、学齢期は非常に多くの相談内容があるんですけれども、成人期以降は資格の取得以外にないと。
 本当に成人期以降、学習領域に関してニーズがないのかといって、私たちのオープンカレッジに参加している受講者、彼らにアンケートをとると、やはりこのような学習をしたいということがあって、やはり青年期、成人期においても様々な学習支援領域への要望があるけれども、受け皿となるサービス等がないことから、そういう支援に関する相談がないんだろうと考えました。
 自立生活支援領域としては、ADLのところから始まって、さらに将来にわたって、親から離れた生活に向けたというところの課題がそれぞれの年代で課題として出てきて、各年代でこのような取組をしていく必要があるだろうという、試案ですけれども、こんなのを考えました。
 作業・就労はこのような課題が支援課題として挙がってきまして、それから考えると、このような試案を作ることができるだろう。
 コミュニケーションに関してもかなりニーズがありまして、それぞれのニーズが各年代ごとに表れていまして、それを考えて試案を作ると、このような時期にこのような支援をしたらいいだろうという試案を作りました。
 最後に、健康ですけれども、健康も、こういう相談がその時期、その時期にあるということが分かりました。それを考えると、健康というのはずっとあるんですけれども、それぞれの時期にそれぞれの支援というのをする必要がある。これらを考えて、講座の内容というのに具体的に取り組んでいったらどうだろうかということで、取り組んでまいりました。
 また、健康支援領域というのは、健康というのは彼らが自身で健康管理するということを意識しておりますので、学ぶ、楽しむという領域に置こうということで、4領域に整理しました。これまで95年から2017年まで115講座を行ってきました。その115講座をこの4領域に整理するということを行ってまいりました。このような様々な講座をやってまいりましたよということを、お話ししておきます。いろいろな講師をということで、学生にやってもらったりとか、今は学ぶ方法をということで、本当に理科と、社会と、それから日常生活に関するということで、かなり徹底的に行っております。
 今日は効果の話は一切しませんけれども、私たちのオープンカレッジのまとめの方向性として、どういうふうにまとめたかというと、やっぱり学習を一貫して学齢期からつなげていこうと考えると、学習指導要領の方向性が変わりましたので、何を学ぶか、どのように学ぶか、何ができるようになるかというまとめ方でまとめたらどうだろうかと。成人期の学習支援として、どのような内容を学ぶのか、どのような方法で学ぶのか、そして、成人期知的障害のQOLの高い生活とはどのようなことなのか、どのようなことが困難か、どのような力を身に付ければよいかということでまとめていこうといことで整理してきました。
 オープンカレッジの今後の課題としては、何を学ぶかということに関しましては、やはり先ほどの生涯発達支援と地域生活支援の4領域でさらにプログラムを精選していく必要があるだろうと。どのように学ぶかというのを今研究しているところなんですけれども、問題解決能力を身に付ける、協働的な学習の方法というのをやはり考えていく必要がある。これはかなり効果的で、彼らがやはり比較的重度の彼らも方法を学べるということが分かってきました。
 結果として、何ができるようになるかということは、協働的な学習、問題解決能力を身に付けるということは、自己決定というのができるようになるということを目指していくんだろうと考えております。
 生涯学習支援における課題として、各障害に関してというのは、私は専門ではありませんけれども、障害特性に応じた合理的配慮の体系化というのがあるわけですから、ここを踏まえた学習支援というのをする必要があるんだろうと。障害の特性の理解の捉え方ということで、やはり人というのは生涯にわたって発達している存在なので、そこでの発達の遅れと領域間の偏りとして把握したときに、やはり連続性のある発達を基礎基本として考え、取り組んでいく必要があるだろうと。
 それと、今日も出てまいりましたけれども、支援や自主性の体系化と発信をどうしていくかというのが、今後の課題として残っているだろうと。これは、いつも私、出しているんですけれども、生涯学習支援における課題として、支援者をどう養成していくのか。それから、生涯学習の場をどこにするのか。プログラムの開発はどこで行うのか。そして、評価は誰がどこで行うのかというあたりを、しっかりと考えなくてはいけないだろうと考えております。
 1つの提案ではないですけれども、今までのやつを全部まとめたものがこれです。誰がというところに関しましては、誰が作成し、誰が実施し、誰が評価するか。なぜ評価するかというと、PDCAサイクルを考えると、評価した結果、マッチしたプログラムを紹介しなくてはいけないわけです。そこを考えると、やはり誰が、あるいはどこがというところが必要になってくるんだろうと思います。どのようなプログラムというのがすごく大事になってくると思いますし、場の問題というのはやはり大事なところかなと。
 長年やっていますと、彼らも発達していくわけで、プライドというのは非常に高まっていくわけです。そのプライドが高まっていったときに、先ほど朝日先生がお話しなさっていましたけれども、また学校に戻るのかというところから考えると、新たな学習の場というのを考える必要があるのだろうということで、あえてそこは特別支援学校に入れておきませんでした。
 OCTの挑戦としてはということで今取り組んでいるのは、自己決定に向けて協働的な学習方法によって問題解決能力を獲得していただくということに取り組んでいます。問題解決する力を身に付けるということで、理解、計画、実行、振り返りということで、主体的な学びという本当の主体性とは何かといったときに、多分自分で問題解決をする力を身に付けるということだろうと。マル1からマル4を自分でできるようになってほしいという願いの下に行っているというところで、発表を終わりたいと思います。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの発表を踏まえて「大学の強みを生かした効果的な学習プログラム・実施体制、人材の育成・確保等の在り方」、生涯の各ライフステージにおいて必要な汎用性のある学習プログラムや支援の在り方について、かなりこれまでの研究的な、チャレンジングな取組の状況についてお話を頂いたわけですが、このことについて、意見交換を行いたいと思います。
 ちょっと時間が押しておりますので、できるだけ皆さん、全員からいろいろ御意見も頂戴できればありがたいと思います。
 先ほど、今日、有識者会議に関する個人的見解ということで、西宮市の上田部長からの机上配付資料で、今のこととも関わるような内容に関する御意見をおもちだなと思ったので、先に私の方から振らせいただいて、上田部長さんから今の御報告に対して何か御意見があれば、お願いします。

【上田氏】
 失礼します。西宮市の上田でございます。今の御発表の24ページ、25ページのあたりについて補足の意見を申し上げたいと思います。1つは、生涯学習ということで、学校の教育課程以外の専門的な、組織的な教育というのは全て社会教育かと思いますけれども、大学という専門的な研究機関としてこういった取組を研究していただいていること、本当にありがたいと思います。
 何を教えるかではなくて、何を学ぶかという視点ですごく研究されていることを非常にうれしく思いました。生涯学習というよく耳にする言葉ですけれども、私は、1つは、単に教えるという概念の裏返しではなくて、市民というか、国民が主体的に学ぶという考え方が入っている概念ではないかなと思っております。生涯学習という視点で進めていくことで、シチズンシップの育成にもつながりますし、そのことが国や地方公共団体にとっては行政コストの削減にもつながるということで、今後も場の提供とか、支援者の育成などで地方公共団体としても力を入れていきたいと思っているところでございます。
 それから、もう一つは、やはり場の提供ということになりますと、地方公共団体、社会教育の分野で行うことになろうかと思うんですけれども、何でもかんでも社会教育でできるわけではないと思っております。社会教育の施策で、例えば私ども発表させていただいた青年生活学級のような取組もやっておりますし、続けていきたいとは思っておりますけれども。
 福祉施策として実施する場合もあるでしょうし、また、我々も限界が見えてきている中で、ボランティア活動をNPOの形に高めて、NPO法人に運営を任せるとか、多様な実施方法を検討していかないといけないと思っているところであります。ですから、そこには私ども、個人的見解を2ページから3ページにかけて書いておりますけれども、自前主義というのをやめて、いろいろな機関とネットワークを組んでいくと。社会教育から、小・中学校の支援を求めていったり、教育機関同士の連携といいますか、地域住民も一体となって協働するということで、ネットワーク型行政をすると。
 ネットワークを組むということが基礎自治体にできることかなと思っております。生涯学習推進課という職場が市役所にもありますし、国の方にもあると思うんですけれども、生涯学習をするのではなくて、生涯学習を推進するという名前になっているのはそういう意味かなと思っていますので、そういった観点で大学等の教育機関とも連携するということを、行政としてやっていきたいなと思っているところです。以上です。

【宮﨑座長】
 すみません、突然振って、ありがとうございます。どうぞ、皆さんから。どなたからでも。特に御意見を是非お聞かせいただければと思いますが。
 それでは、お願いします。

【田中(良)委員】
 すみません、愛知の田中です。菅野先生たちの取組について、私も何回か参加させていただき、その後の反省会、飲み会にも参加させていただいて、たくさん学ばせていただきました。それはともかくとして、オープンカレッジというのは、特に大学が中心となるオープンカレッジの場合ですが、いろいろ研究的にというか、ここら辺は一般の社会教育関係者だけではなかなかできないと思うんですが、大学は研究機能がありますので、そういうことをしっかりやってきてみえます。
 そういう意味では、上田さんからお話がありましたように、地域から大学への呼び掛けみたいなものも大切だと思うんです。菅野先生にお聞きしたいんだけれども、オープンカレッジ、その後、全国的にはどうも増えていないような気がするんですけれども、そこをどう考えられますか。つまり、地域で大学がこういう形で――生涯学習は多様な形があるけれども、果たしていく役割というのは僕はあるように思うんです。
 菅野先生、その辺の実情と、大学側の課題としてどう捉えてみえるのか、教えていただければありがたいです。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。
 箕輪委員、お願いします。

【箕輪委員】
 ありがとうございます。1999年に特例子会社を作って、そこに知的障害の重度の社員もいるんですけれども、当時18歳で入社して、質問しても、言ったことをそのまま返したり、揺れているという状態があった中で、このカレッジに参加しているというふうに聞いていたんです。なので、浅くしか知らなかったんですけれども。
 途中で通わなくなったという話があったんですが、ただ、先ほどこの成果は今日はお話しいただかないところだったんですが、会社に勤めていて、言ったことを返すだけだった人が、あるときから、質問すると自分の意見をちゃんと言えるようになったりですとか、質問されていることということが分かるようになったりですとか。
 会社の中でもそうなんですけれども、多分こういったものの中に参加をしていって、サポートされるということではなくて、自主的に活動するということを経験した結果、職場の中でそういう変化があったのかなというのは、ちょっと想像では思ったんです。
 そこで質問なんですけれども、受講生60名の平均年齢まで出ているんですが、所属が企業に所属している人がどのぐらいいて、また、同じ30代でも、もしかしたらどこにも所属していない方がいらっしゃるかもしれません。そのあたりの、今どうしているかによって、日中の活動がどこにあるかによって求められるものが変わっているのか、そのあたりがもし分かれば、教えてください。

【宮﨑座長】
 ほかにどうですか。
 戸田委員、お願いします。

【戸田委員】
 戸田です。よろしくお願いします。菅野委員のシステム、すごい参考になるので、我々のやっている取組の参考にさせていただきたいと思いました。ありがとうございます。
 大学との関わり方というところなんですけれども、今、文科省の事業の中でCOCとか、COCプラスとかってあるではないですか。あれを活用するのがいいのかなと思っていて、要は大学が地域の課題を解決する。釈迦に説法ですけれども、研究と教育、地域貢献みたいな感じを大学側が求められていますし、開かれているので。兵庫県の方も採択されている大学もあるので、そういうところと話をしていくと、案外大学として関わるやり方があるのではないかなと思います。
 あるいは、菅野先生のところのように、それを研究テーマにされていればと思うんですけれども、その辺、緩くやっていこうというのであれば、その枠組みを活用されるといいのかなという意見です。

【宮﨑座長】
 ほかにありますでしょうか。
 それでは、整理しませんけれども、菅野先生、お願いします。

【菅野委員】
 まず、60名のうち半数近くは企業です。所属なしはありません。18歳以上で、ですから、在学生は一切メンバーとは認めないということは条件としてありまして、それ以外の条件は一切ないんです。でも、今通ってきてくださっている方々は、在宅はいません。正確な数字はちょっとすみません、今日は持ってきませんでしたけれども、大体そのぐらいのところです。
 彼らの所属先によって課題、テーマが違うということはしておりません。主体性と先ほどありましたけれども、私たちも主体性から自己決定へと考えていまして、そのためにはまず何が必要かというと、とりかかりのいい興味、関心がもてるプログラムをたくさん準備しておくことだろうと思っているんです。その興味、関心のあるプログラムを通して、先ほどの読み書き、計算は嫌だとか言っていましたけれども、学習のための方法をしっかりとそこで学んでいく。興味、関心のあるものに対しては、学習のための方法というのはしっかり学べるんです。
 そうすると、今箕輪委員から出ましたように、しっかりと話せるようになるし、聞けるようになるんです。そこがポイントかな。それで、今学習方法のための学習をしていると、そこにだけ焦点を当てて、実際に彼らがやっていることは、理科であったり、社会であったり、生活の中で電車が遅延したときにどうするというところから考えていくというところで、でも、実際は方法を学ぶということをやっております。
 田中先生からもありましたけれども、オープンカレッジというのはなかなか広がらないですね。初めは、松矢先生の時代は大学の公開講座としてやっておりました。私も、第2期目も大学の公開講座としてやってきたんですけれども、大学がなかなか腰を上げません。うちの大学の場合ですけれども、いつもこれは言っているんですけれども、なかなか腰を上げないで、結局大学という場だけで取り組むというのはなかなか難しいなということで、先ほど言いましたように、どこでも学べる、誰でも学べるということで、地域に少し広がっていこうと。
 そのために大学ができることは何かというと、プログラムを開発することだろうと。どこでも使えるシステムを作ることだろうということで取り組んでおります。私たちが取り組んでから、幾つかの大学が参考にしてくださいまして、東北大学とか、富山大学とか、静岡の某私立の大学なんかは見学に来られて、それぞれの大学でやってくれてはいますけれども、期待したような爆発的な広がりというのはなかなかもてません。
 発信と先ほどおっしゃっていましたけれども、大学に対して発信。私たちも、オープンカレッジ東京の課題はたくさんあります。その中の一番の課題は、1つは何かというと実はスタッフが広がっていかない。年々スタッフが少なくなっていく。もう一つがありまして、何かというと、東京学芸大という場に時限がある。時限は何でかというと、私が退職するからなんですけれども、退職した後は、もう学芸大ではできない。この2つは非常に大きな課題です。
 なかなか広がっていかない。じゃ、どうしたらいいのかというのは本当に難しいところです。大学の学生にも声を掛けるんですけれども、やはり学生が1単位取るために、15時間取り続けなくてはいけないとすると、来るときがないんです。しかも、うちは小・中・高という教員養成系ですから、学習に興味があるだろうと思うんですけれども、なかなか来ない。
 都立の先生方や特別支援学校の教員にも声を掛けて、私が学校に行くたびに、先生、来なさいよ、来なさいよ、すごい高い能力をもつことになりますよ、指導案、誰でも書けるようになりますよとか言うんですけれども、一、二回来ては、すっとフェードアウトしていくということで、なかなか広がらない。これは、なぜ広がらないのかというのは、私もよく分からないんですけれども、やっぱり興味関心が湧かない。それは田中先生が一番よく御存じではないかと思うんですけれども、なかなか難しい。
 ですから、私たちができることは何かというと、発信とおっしゃっていましたけれども、やっていて楽しいので、こんなに楽しく、彼らからも私たちは学べるし、彼らもこんなふうに変化していくというところをいかに発信していって、興味関心をもっていく方々を増やしていくか。私の考え方は、地域にという仕事をする立場ではないものですから、そういうふうに考えているというところで、よろしいでしょうか。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。今のところ、プログラムの開発にかなりウエートを掛けて精査してきていただいているんですが、課題もたくさんあるということで、特にスタッフの広がりとか、時限があると。実は、私もちょっとお聞きしていたんですけれども、第1期をなさった。当初、公開講座としてこれを開発された松矢先生にちょっとお話をしていただこうと。

【松矢副座長】
 副座長という立場でちょっと意見を言うのはおかしいかと思うんですが、今日、菅野先生の方から、1995年からスタートしたということで、私は、これに先立って、1993年に東京学芸大学で養護学校進路指導研究会、進路研と言っていたんですが、これを立ち上げました。1993年というのは、国連障害者の10年が終わった年ですね。それから、アジア太平洋の障害者の10年が始まった。
 国連障害者の10年が終わったということは、国連では権利条約の策定に入るということだったんです。そのときのテーマが、日本でも、これはいい言葉だなと、それを実践しようと。本人参加と自己決定。知的障害の当事者の会も生まれてきました。そういう時代です。ですから、私は附属養護学校について、東京学芸大学の教授でしたので、やっぱり高等部の教育課程を変えようと。
 青年期は青年らしくというテーマで、高等部の教育課程を変えていく必要があるのではないかなということと、それから、進路指導ですけれども、本人参加と自己決定ならば、主体的な本人中心のとなると、進路学習。本人が自分の進路を学んでいくという、つまり指導ではなくて、進路支援ということではないかと思いました。
 このテーマ、「自分を知り、社会を学ぶ」は、僕の教え子が附属の高等部の進路指導の先生をやっていましたが、「自分を知り、社会を学ぶ」はどうかという、学ぶということ、それを社会を学んでいくという、どういうふうに自分は生きていくのかという。要するに今で言うと、自己のキャリア発達をどういうふうにしていくのかという、そういうことでこの公開講座を始めました。
 非常に今の状況は変わっているかと思いますが、当時は進路指導の研究会、進路研が第4金曜日、そして第2金曜日は、この公開講座の講座指導案を作る研究会が1回。これは、みんな学校を終わってから7時、8時で、会場は60人の階段教室ですから、いっぱいになって12時まで勉強しました。月2回やったんです。そういうふうにして、これが土台ができていって、私はこの学芸大を終わった後、目白大学というところに移りましたが、学生を養成して1年空けましたけれども、また目白大学で、これはNPO法人を置かせてもらって、そこで大学を使わせてもらってやっておりますが、グリーンワークカレッジというのを続けてきております。
 要するにこれを始めてから、大体そういう発想で青年期の学びということを考えて、20年から25年たって、文科省がいよいよ生涯学習の施策を始めるということで、我慢してよかったなと思っています。大学がなかなか動きがなくても、今、このプロジェクトで実践研究を相当のお金を掛けて募集、公募しています。ですから、今日の講師の方々のテーマは全部そこに入っています。
 それから、次回、テーマになりますが、障害者総合支援法を使う、つまり福祉の枠組みを使う生涯学習は次回取り上げますけれども、そういうのを含めると、相当この間いろいろなことが始まりつつあり、生涯学習の制度的な枠組みなども考えるに材料はたくさんあるのではないかと感じて、とてもうれしく考えて、毎回、心弾む気持ちで来ております。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。とても中身の濃い4方の発表を頂きました。ありがとうございました。時間が押してまいって申し訳ありません。議題1については、ここまでとしたいと思います。
 本日のヒアリングの内容と、それから頂いた御意見等に関しては事務局の方で整理をいただきますよう、お願い申し上げます。それでは、議題2の「学び・スポーツ・文化芸術の一体的な推進について(報告)」ということで、これは事務局から資料に基づいて御説明いただきます。資料6-1から6-3までです。よろしくお願いいたします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは、まず資料6-1をごらんください。御報告だけさせていただきます。中ほどのオレンジの箱書きにございますように、今回の有識者会議では、当事者の目線に立ちまして、スポーツ・文化を含めた障害者の学びの充実について御検討いただくことにしております。
 一方で、スポーツ分野につきましては――左側ですけれども、平成28年の有識者会議報告ですとか、現在、スポーツ基本計画のフォローアップがなされているというところでございます。右側の方の文化芸術の関係でも、平成25年の懇談会の取りまとめ、さらにはオリパラに向けた障害者の文化芸術の懇談会が開催されるなどしております。
 こういった3つの分野の取組がばらばらに展開されないよう、一体的に推進するために、新たにこの学校卒業後における学び・スポーツ・文化の連携推進に関する連絡会を開催させていただいております。こちらの方、各分野の代表に入っていただきまして、取組状況の共有、意見交換を実施することとしておりまして、第1回は去る4月17日に開催したところでございます。メンバーにつきましては、2枚目の方をまた御参照いただければと思います。
 資料6-2の方でございますけれども、こちらの方は、先日の連絡会の場で少し御議論いただいた資料でございます。この3つの分野をめぐっての課題認識の取組の方向性ということで、(1)から(4)にございますように、都道府県・市区町村において、スポーツ・文化を含めて、なかなか障害者当事者にとって分かりやすく、活用しやすい形で情報発信ができていないのではないかというところがございます。これは、特総研の調査結果も踏まえた分析でございます。
 それを踏まえまして、この資料の3枚目のポンチ絵、イメージ図でございますけれども取組の方向性といたしましては、障害者の生涯学習支援窓口が中心になって、一元的な行政情報の提供、活用情報の収集を行うということ。都道府県、市区町村においては、少なくとも生涯学習とスポーツ・文化部局との連携体制の整備、さらには特別支援学校、福祉・労働との連携というものが重要になってくるのではないかというところでございます。
 特に市区町村においては、ニーズの把握、相談、対応、一元的な学習情報の提供を実施するというイメージでございます。
 資料6-3で、先日の連絡会での主な意見のポイントでございます。1つ目の全般的な部分については、このスポーツ・文化の取組につなげるには、この学びが必要ではないかと。学びを軸にした活動の裾野を広げていく必要があるということ。
 2つ目のニーズの把握、活動情報の提供ということで、先ほども少し御議論がありましたけれども、関心がないからというふうに答える割合は高くなっているんですけれども、その裏側にある問題もきちんと分析していく必要があるのではないかと。保護者が本人を活動の場に連れていくことが難しいので、なかなか関心をもてていない面もあるのではないかという意見もございました。その他、障害の種別、障害の程度を踏まえた議論ですとか、関係団体だけではなくて、障害当事者からも直接意見を聞くといったようなこと。
 さらに、今自治体の生涯学習情報提供システムがございますけれども、そこで単に障害者の枠を設定するだけではなくて、かえってそのことによって一般の学習活動から排除されないようにする必要があるのではないかという御意見がございました。
 3.目の連携体制等につきましては、部局横断型の体制を作ることがファーストステップとして大事といったようなこと、また、先ほどの議論でもございましたけれども、特別支援学校卒業後3年はフォローアップの一環としての取組になりますけれども、その後の受け皿、プラットフォームをどうするか、活動の拠点を広げていく必要があるということ。さらに、特別支援教育の専門家と芸術の専門家など、おのおのの専門性を生かすことができる工夫が必要であるといったような御意見がございました。以上でございます。
 その上で、今回、御報告のみでございますけれども、今後の会議の検討に当たっては、こうした学び・スポーツ・文化の一体的な推進の観点を踏まえ、議論いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。それでは、今の事務局の説明については、また機会を改めてお話しできればいいのかなと思っております。
 それでは、以上で議事は終了いたします。本日の会議、ここまでにしたいと思いますが、本日の会議中に発言していなかった御意見等があれば、事務局までメール等でお寄せいただければと思っております。
 最後に、事務局より連絡事項があればお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 お手元にある資料7をごらんください。次回の会議ですけれども、5月23日、水曜日の13時から15時半、場所は文部科学省東館3階の講堂にて開催することを予定してございます。追って正式に御案内をお送りいたします。
 また、本日の配付資料につきましては、机上に置いていただけましたら、後日郵送させていただきます。以上です。

【宮﨑座長】
 それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。長時間ありがとうございました。

―了―

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

電話番号:03‐5253‐4111(内線3460)
ファクシミリ番号:03‐6734‐3281
メールアドレス:sst@mext.go.jp

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)