子供の読書活動推進に関する有識者会議(第5回) 議事録

1.日時

平成29年12月12日(火曜日)午前10時から12時

2.場所

文部科学省庁舎15階15F特別会議室(東館15階)

3.議題

  1. 論点まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)秋田喜代美
(副座長)堀川照代
(委員)糸賀雅児,佐川二亮,設楽敬一,白井哲,杉原あけみ,鈴木惠治,野口武悟,濵田秀行,張替惠子,平久江祐司,福田孝子

文部科学省

常盤豊生涯学習政策局長,神山修生涯学習政策局審議官,土肥克己生涯学習政策局 青少年教育課長

5.議事録

子供の読書活動推進に関する有識者会議(第5回)

平成29年12月12日

【秋田座長】
 それでは、定刻でございますので、ただいまから第5回子供の読書活動推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、全ての委員に御出席を頂いております。ありがとうございます。
 それでは、まず事務局より資料の確認をお願いいたします。よろしくお願いします。

【土肥青少年教育課長】
 青少年教育課長の土肥でございます。補佐、専門官共に不在のため、私が本日は事務局を務めさせていただきます。
 本日もお手元のタブレットを活用しながら進めさせていただきます。
 議事次第と資料1から資料3がありまして、参考資料として、前回までの会議資料をタブレットの中に入れております。資料1‐1と1‐2につきましては、我々の修正が若干遅かったということもあり、お手元に紙でもお配りしていますので、そちらも参照していただければと思っております。
 タブレットにつきましては、フリーズやタッチパネルが反応しないなど、不具合がございましたら、電源を切らずに事務局までお声掛けをお願いいたします。
 以上でございます。

【秋田座長】
 それでは、ただいまから本日の議題に入りたいと思います。
 今回は、前回に引き続き、次期の国の読書計画策定に向けた本会議としての意見のまとめをしていきたいと思います。
 まず、事務局より、前回会議とこれまでに各委員が提示された御意見を受けて修正を行った論点まとめ(案)について、説明をお願いいたします。

【土肥青少年教育課長】
 では、事務局から御説明いたします。
 前回の会議と、その後1週間ほど皆様方からメールで頂いた御意見を基に、論点まとめについて整理させていただきました。
 それでは、中身について資料1‐1で御説明いたします。資料1‐1をめくっていただいて、まず、目次がございますけれども、第3章の3につきまして、若干、口語的というか、長いタイトルでございましたので、「子供の読書への関心を高める取組について」という短めのタイトルに変更させていただいております。
 次に、1ページ目の「はじめに」でございますけれども、頂いた意見として、今回、有識者会議を設置した意味と役割の明確化が必要ということと、子供読書活動に関して更に推進していく旨の記述が必要という御指摘がございましたので、「第三次基本計画期間における成果や課題、諸情勢の変化を検証し、次期基本計画が、読書活動の推進に一層意義のあるものになるよう」ということと、「更なる推進方策について検討を行ったものである」という記述にしてございます。
 2ページ目、「第1章 子供の読書活動に係る現状と課題」でございます。ここにつきましては、時代の変化、かなり予測が困難な時代になっているという背景と読書の関係を書くべしという御意見がありましたので、時代が変わってきている、ICTによって多様な情報に触れることがますます容易になる一方で、文章の意味を吟味したり、文章の構造や内容を的確に捉えたりしながら読み解くことが少なくなってきたのではないかという記述を入れております。
 その下に、「このような状況にあって、読書活動は、自己の考えを形成し表現したりする力や情報を適切に収集・選択・活用する技能を育成する」ということで、その重要性が高まっているのではないかという記述を入れております。
 また、その下に、現在、学習指導要領の改訂や高大接続改革なども行っておりますので、読書活動を推進することは、直接の目的ではないのですけれども、ここで推進する「確かな学力」を育むことに資するものであるのではないかという記述を入れてございます。
 2ページ目の最後です。ここでは、もともとの記述は高校生の不読率の改善と、かなり目的を限定しておったのですけれども、後でも申し上げますが、高校生の不読率に偏り過ぎではないかという御意見もありました。そこで、時代背景のような観点から一層、子供読書活動の国家的な推進を行うべきではないかという記述にしてございます。
 続きまして、3ページ、第2章でございます。前回提示したものは、真ん中ぐらいから下の方になっているのですけれども、上の方に読書の意義のようなものとか、発達段階に応じてやるべきではないかということを記述すべきという御意見がありましたので、上に三つの丸を追加させていただいております。一つ目は、読書を通じて読解力、想像力、思考力、表現力等を養う。多くの知識を得たり、多様な文化を理解したりする。自ら学ぶ楽しさや、知る喜びを体得し、更なる探究心や心理を求める態度が培われるといった、読書の意義を書いてございます。
 それと、真ん中ぐらいで、もともと読書の優先順位が下がっているので上げるべきではないかと記述をしておりましたけれども、「優先順位」というのは若干きつい表現ではないかという御意見もありましたので、「読書の関心度合い」という表現に変えさせていただいております。
 下から二つ目の丸につきましては、「乳幼児期からの読書活動が重要であることを踏まえつつ」ということで、発達段階に応じてこのようなことをやるべきだという表現にしております。
 最後の丸について、かなり修正を入れておりますけれども、これにつきましては、ワーディングの整理という形になってございます。
 4ページでございます。4ページの一つ目の丸で修正を入れているところがございますけれども、子供の読書活動の推進が家庭、地域、学校等を通じた社会全体で取り組まれることが重要ではないかという御意見があったので入れているということと、その下の修正につきましては、民間団体、ボランティアの視点も入れてほしいということで、民間団体がこのような目的でやられていて、大きく読書活動の推進に寄与しているという趣旨のことを入れてございます。
 続きまして、第3章、1でございます。細かいワーディングは省略いたしますが、6個目の丸の「市町村推進計画を既に策定している市町村においても」うんぬんと言っているところがありますけれども、策定するだけではなく、その後、見直しをすべきではないかということを入れるべきだという御意見がありましたので、適宜点検、評価を行って、見直しをすべきということを書いてございます。
 その下の丸について、市町村推進計画の作り方でございますけれども、ここでは連携、協力し、横断的な取組が行われるということを記載してほしいという御意見がありましたので入れてございます。
 5ページの一番下でございますけれども、これは都道府県の読書計画推進の際のスタンスです。都道府県につきましては、御存じのとおり、高校を所管してございますので、都道府県の高等学校を所管する立場から、市町村と連携して取組を推進することが重要ということを追加してございます。
 その下の丸は、先ほども申し上げた市町村と同様に、ちゃんと点検、評価をして、必要に応じて推進計画の見直しをし、横断的な取組が行われるということを再度記述しているものでございます。
 6ページの2ポツの「発達段階に応じた取組について」というところですけれども、(1)の頭の部分はワーディングでこういうものを追加すべきという御意見があったので追加しているところでございます。
 (1)のマル2の「小学生の時期」でございますけれども、かなり修正を入れておりますが、若干きつめの表現がありましたので、そこはもう少し緩やかに書くべしという御意見がありました。それに合わせてワーディングを直しているということでございます。
 今の(1)の一番下にありますけれども、学校種間の接続期において読書をする者の数が減少する傾向が出ているということと、学校種間の連携によって切れ目のない取組が重要であるということをちゃんと書くべきという御意見を頂きましたので、(1)の最後に追加してございます。
 続きまして、(2)「発達段階に留意した取組」でございますけれども、マル1の「家庭における取組」の中で、家庭教育支援の取組についても触れるべきという御意見があるので、追加してございます。
 8ページでございます。ここにつきましては、「ブックスタート」の表現ぶりについて御意見を頂きましたので、定義の入れ方を修正しているとともに、わらべうたのようなものを入れるべきではないかという話と、多くの自治体でやられている「家読(うちどく)」についても、ちゃんと書くべきではないかという御意見がありましたので、それらの部分について追加しております。
 マル2の「地域における取組」でございます。「ア 図書館」につきましては、図書館の役割の中で二つ追加しておりまして、一つは、図書館法に基づいてこのようなものが設置されているということと、公立図書館を設置しない市町村においては積極的に取り組むべきであるということを記載しております。
 9ページ2の取組につきましては、蔵書の充実、展示、ブックリストの作成等、インターネットを通じた情報発信、施設整備等を書くべきという御意見を頂きましたので、追加しております。
 その下に削除しているものがあるのですけれども、これは下の方に「連携・協力」という項目を新たに設けましたので、そちらに移動させております。
 その下の削っている部分ですけれども、「地域のボランティアの参画を得ながら」ということで、具体的な取組を書いておるのですが、この順序について御指摘がありまして、伝統的なものから新しいものへという順序で修正させていただいております。
 9ページは、以上でございます。
 10ページでございますけれども、イ、「図書館以外」を「その他」に変更させていただいております。この中で、一つは、国立国会図書館の「国際子ども図書館」について記述すべきという御意見があったので、入れてございます。
 その下の公民館図書室についても、非常に重要な役割を果たしているということで追加すべしということでここに入れてございます。
 続きまして、マル3、「学校等における子供の読書活動の推進」でございます。イの「小学校・中学校・高等学校等」の中のローマ数字の2の「全校一斉の読書活動」ということで、「朝読」が「朝の読書」だろうということで、ここは修正をしてございます。
 あと、3の「子供同士の取組」につきましても、先ほど申し上げたとおり、伝統的なものから新しいものへということで、ここは順序を変えてございます。
 5の「学校図書館」につきましては、事務局からというか、文科省からの修正ですけれども、学校図書館ガイドラインに合わせて表現について修正をしているところでございます。
 12ページの二つ目の丸ですけれども、これは何人かの先生から頂いておるのですが、校長は学校図書館の館長としての役割も担っており、校長のリーダーシップの下、ちゃんとやっていくべきではないかということを書くべしという御意見がありましたので、追加しております。
 その下の、学校図書館については、週末になると本を借りて帰るような、子供に本を借りることを習慣化させるような取組が必要ではないかという御意見がありましたので、追加してございます。
 その下は、事務局からの追加ですけれども、学校図書館については、子供の居場所となり得る、また、土日など、土曜日や長期休業日の読書・学習の場にもなり得るということで、そのようなこともやることが有効ではないかという記述を追加しております。
 その下に図書委員についても書くべきではないかということで、図書委員等の子供が学校図書館の運営に主体的に関わることも重要であるという記述を追加しております。
 6の「人的体制」につきましては、司書教諭と学校司書を一緒に書いておりましたが、書き分けるべきではないかという御意見があったので、書き分けてございます。
 見え消しがあったので読みにくいですけれども、3ポツの「子供の読書への関心を高める取組について」でございますが、ここについて優先順位、先ほど申し上げたように関心を高めるということに表現を変えております。
 あとは、ゲーム感覚で行えるものであるとか、心に残る1冊の本と出合う読書のきっかけとなるということを追加しております。
 それで、大きくここは変えておるのですけれども、基本的にはそれほど中身について変えているわけではないのですが、一つには、先ほど申し上げたとおり、順序を変えるべきだという御意見がありましたので、伝統的なものから新しいものへと順序を変えているということと、表現についても何点か御指摘を受けましたので、それに合わせて表現ぶりを直しているということでございます。
 16ページ、4ポツは細かな修正でありますけれども、5ポツの「普及啓発活動について」の三つ目の丸で、「学校、図書館、民間団体」に書店等との相互の連携も入れるべきではないかということで入れてございます。
 16ページの最後の丸でございます。最終的に決定まではしていないのですが、今、表彰活動を、文部科学大臣表彰などもやっておりまして、図書館、学校図書館、民間団体という三つのそれぞれのグループでやっているのです。この場の議論の中でも、要するに、いろいろな人が連携してやることが重要ではないかということを委員の先生方から多く御指摘を受けていることもあり、自治体が中心になると思うのですけれども、そういう連携した事例についても表彰の対象とすることを考えてはどうかと、これは事務局からの提案でございます。
 駆け足になりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

【秋田座長】
 ありがとうございました。
 それでは、論点まとめ案、今、御説明いただいたものの議論に入りたいと思います。今回が最終回でございますので、どうぞ自由に御発言を頂けたらと思います。
 では、濵田委員、お願いします。

【濵田委員】
 では、よろしくお願いいたします。
 まず、第3章の具体的な取組に関わり、前回の第4回の最後の方で、糸賀委員から御発言があった内容に関しまして、教員養成において図書、読書指導について、もう少し拡充していくべきではないかという御意見があったと思います。そのことについて、内容に入ってくるのかなと見ておったのですけれども、入ってきておらず、そのことが当然、学校で指導していく読書活動について推進していくことを考えたときに、それの担い手となる先生方が何を目標に、どのようにやればよいのかということが分からない方がかなり多いのではないのかなと思うのです。学習指導要領においては、位置付けがきちんとなされているわけですので、教員養成のカリキュラムの中にもう少しきちんと入れていただくことが、国、都道府県、市町村の役割というところで、国の役割として今後それについて検討していくなどの一言を入れていただくことが重要なのではないかと考えたところであります。
 もう一つは、ここの項目は国、都道府県、市町村の役割ということなので、順番はこれでよいのでしょう。市町村はたくさん項目があって、都道府県が二つですか。最後に国という順番になっています。二つのことを言ってしまいました。失礼しました。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。御質問等はまとめて終わりに事務局からお話を頂きます。
 では、先に糸賀委員、お願いします。

【糸賀委員】
 ありがとうございます。今、濵田委員が言われたように、私も教員養成の課程の中で図書館とか読書を活用した教育がどうあるべきなのかについて、きちんと学んでいただいた方が、先生方がそのような知識があった方が明らかにいいと思います。ですが、これは、教員養成のための法律や施行規則の改正につながってしまうので、直ちに盛り込みにくいのかもしれませんが、そのような趣旨のことはこの会議の場で出たということで盛り込んでいただいた方がいいと思います。
 そのことと関係して、全体として、タイトルがとにかく「論点まとめ」ですよね。論点まとめと、先ほど土肥課長から説明があった、1ページの「はじめに」の最後のところで、「次期基本計画が一層意義のあるものとなるように、有識者会議で方策について検討を行った」と書かれており、次期基本計画とこの論点まとめの関係が少し分かりにくいと思うのです。論点まとめをベースにして、第四次の基本計画が立てられるのか、そのあたりの関係を少し補足説明していただかないと、どういうことを今度は論点まとめに対して、私ども委員が意見を言えばいいのかが、少し分かりにくいのです。つまり、論点まとめだから、必ずしもこれは合意形成というか、コンセンサスが得られたものだけではなくて、こういう論点が出されたというものが、いわば箇条書に出てきているのか、それとも、あくまでもこれでコンセンサスが得られて、次の第四次基本計画には必ずこういうものが盛り込まれなければいけないという意味で、この論点まとめができているのか。そのあたりの両者の関係について、少し説明をしていただければと思います。
 それから、先ほど申し上げた教員養成課程の中で、もう少し先生方も読書に理解のある授業の進め方を申し上げましたが、先ほど言った論点まとめの関係とも関わって、資料12ページの学校図書館のところで、先ほど課長からも説明があったように、校長の役割について書き込まれています。私はここに例えば、教育委員会が校長を学校図書館の館長として指名すると、ここまで書いていいのかなというのは正直言って疑問に思うのです。校長の役割はすごく重要だと思うのです。でも、教育委員会が、校長を学校図書館の館長として指名すると、ここまで踏み込むのであれば、今度は、図書館長の役割とか、権限とかということについて触れておかないと、単に指名さえすればいいのかどうか。その指名について有効と言い切ってしまうことが、本当に妥当なのかどうかというところも、やや疑問には思います。
 ここまで踏み込むのであれば、私は東京の江戸川区でずっとやってきた「読書科」という教科を導入する。あれはなかなか有効だと思います。文科省さんがモデル校か何かで江戸川区はやっていますけれども、ああいう「読書科」という教科を導入することも有効であるぐらいのことは書いてもいいのではないかと逆に感じました。先ほどの論点まとめと次期計画との関係とも併せて、そのあたりを補足説明していただけると、次の意見が言いやすくなります。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 先に論点まとめの位置付けを御説明いただいてから、御意見を頂きます。

【土肥青少年教育課長】
 まず、論点まとめの位置付けです。論点まとめは論点まとめということで、基本的にはここに書いてあることをベースに計画を作って、それを最小限というと変ですけれども、一応メニューは全部書いてあって、それを最終的には読書計画というのは閣議決定いたしますので、役人の文書にしなければいけないので、そのような修正は増えますが、基本的にはこれをベースに読書計画を作っていくものになるという位置付けだと我々としては考えているということでございます。
 あと、教員養成なども答えていいですか。

【秋田座長】
 はい。

【土肥青少年教育課長】
 教員養成について前回も御指摘を受けまして、我々も内部で話はしたのですけれども、働き方改革ではないのですが、教員養成課程自体が結構パンパンであると担当課から聞いていて、要するに、すべからくみたいな話にするのには若干難しいということで、どちらかと言うと我々というよりはあちら側の都合で今回入れていないという整理にさせていただいている背景がございます。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 では、草野課長補佐から補足がありますか。

【草野児童生徒課長補佐】
 児童生徒課の草野でございます。先ほど糸賀委員からの、学校図書館の館長に任命するところを、ここまで書いていいのかということでございます。当課は昨年の堀川先生ですとかに御協力いただいて、学校図書館ガイドラインを作ってございまして、そこの中で出ている概念でございまして、そことの整合性を取るという意味で入れさせていただいているという関係がございます。したがいまして唐突感といった感じは自治体の中ではないのかなと我々としては思っております。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 それでは、また、自由な議論に戻りたいと思います。
 福田委員、どうぞ。

【福田委員】
 大学での教員養成の話が出たところですけれども、私は東京学芸大学で「学校図書館入門」という講座も持っております。それは、司書教諭資格を取る学生ではなくて、教員になろうとする学生に対しての講座なのです。教職の課程認定の中には入らないものなのですけれども、講座をやっていますと、例えば、自分が受験勉強をする場が学習センターなのだという捉え方の学生が多々おります。学校図書館への認識、読書への認識は非常に乏しいところを、学校図書館入門講座という形でやって、教員になろうとする学生たちの認識を上げているわけです。そういう講座の在り方ですと、比較的どこの大学に関しても働きかけることはできるのではないかと思います。是非その辺も考えていただけたらというところです。
 私は教員が、子供たちの一番身近にいて接する役割の大きさというものは、物すごく大きいと思います。友達との影響も大きいのですけれども、教員が薦めた1冊が心に残っているということを話す学生はたくさんおります。それで、教員になろうとする学生への働きかけは重要です。それから、今回、学校図書館のところに図書委員会のことを入れていただいたのですけれども、今、学校の読書活動の推進役になっているのは、実は図書委員会で、図書委員会が読書会も行い、お話会も行い、ビブリオバトルも主催をし、場合によっては、高校生でも図書館のホームページ作成に協力するとか、いろいろな形でかなり主体的に関わっております。それで、図書委員会等の子供が学校図書館の運営に主体的に関わることも重要であると入れていただいたのですけれども、これを更に「図書委員会の子供が主体的に学校内の読書活動の推進や学校図書館の運営に関わることが重要である」という形で直していただけたら、もっとよいのではないかなと思います。
 それと関わってですけれども、地域のところに子ども司書制度とか、読書コンシェルジュという取組が入っているのですが、これを地域や学校の読書推進力ということではなくて、学校で子ども司書を推進するとなると、図書委員と二重構造的になってしまいます。それで、どこの学校にも今現在あるのは図書委員会で、その子たちが実際に動いているわけですから、ここを「地域や公共図書館での読書推進力」という形で明確にしていただくと、子ども司書も新たに教員が多忙な中指導しなければいけない、さらに、図書委員会との兼ね合いはどうなるのかというところが解消されるのではないかと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 設楽委員、お願いします。

【設楽委員】
 教員養成の件で、私も付け加えさせていただきます。教員を目指す大学生は、小・中・高等学校で総合的な学習の時間を経験しています。司書教諭資格に関する科目を受講している学生の意見として、学校図書館を授業で活用することについての抵抗がなくて、学校図書館を使った授業の発想があります。しかし、どのように活用するというノウハウがないというのが現状です。来年度から総合的な学習の時間の指導も、大学の授業に組まれているとを聞いています。先ほど福田委員からもありましたように、学校図書館の項目に、総合的な学習の時間の指導にも活用できる学校図書館入門的な内容や、授業で活用する学校図書館、本を紹介する効果なども書き加えてほしいと考えています。
 もう一点、先ほど子ども司書のことで福田委員から御意見がありました。私も全く同じ意見です。学校の中で図書委員会の活動は、主体的、実践的な活動を目標とする特別活動で非常に重要な要素となっていす。図書委員会活動を活発にして、学校の中の読書推進役として図書委員の活動を活発にしていくことが、学校の読書推進活動に有効だと考えます。
 以上です。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 では、平久江委員、お願いします。

【平久江委員】
 第3章の具体的な取組について、先ほどいろいろな修正の中で、きずなとか連携ということを重視されて書かれたという御説明があったのですけれども、この具体的な取組の中で国の役割について見ますと、最後のところに一つしかないのですね。この項目も意見を踏まえて、いろいろ役割も加わっているわけですけれども、ここで絆(きずな)とか連携ということを入れたのなら、それに対する国の役割をきちんと示す必要があるのかなという感じがしています。個々にはいろいろ国の役割が後の方に出てくるのですけれども、全体的、基本的な役割をどう果たしていくのかということを、きちんとここで書かれていた方が、より趣旨が明確になってくるのかなと思います。これについては何を書くべきかというところまではいちいち申し上げられないわけですけれども、そういった趣旨を明確にしていただけると、すごく分かりやすくなるのかなと思います。これは大きい点ですけれども、具体的に細かい点をもう一点だけ述べさせていただきます。
 先ほど議論に上がりました館長の件です。校長が館長としての役割を担うということですけれども、これはプラス面とマイナス面と両面持っているのかなと私は思っております。こうして校長が館長に任命されるといった場合には、学校図書館をよく知った校長先生が館長になることが非常に重要かなと思っておりまして、この校長を館長にするというのは、研修とセットにして考えるべきことではないかなと思っております。この13ページの人的体制の中で研修のところがありまして、できればここに管理職の研修も入れていただければと思っております。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 野口委員、お願いします。

【野口委員】
 先ほどから図書委員のことが出ておりました。この資料で言いますと、資料1‐2の資料になり、13ページの囲みがありますが、そこの最後のところが「子ども司書や読書コンシェルジュ等の活動」になっていますが、冒頭に図書委員というのも是非入れていただけるといいのではないか。特に学校の中における読書の推進に果たしている役割は非常に大きいのではないかと思いますので。それが1点。
 それから、細かなところですけれども、地域における取組の中で、地域の中で文庫活動の果たしている役割というのも大きなものがあると思うのです。そのような文庫活動についても是非言及していただきたい。例えば、10ページの一番上に是非「文庫活動」という言葉を入れていただきたいと思います。熱心に活動されているところはたくさんありますので。
 それから、もう一点、「地域における取組」のところで、8ページのアの図書館の「1 役割」というところの最後の丸が、障害のある子供について触れているのですが、ここで触れるのか、あるいは9ページのイの「その他」の中なのか、点字図書館の存在も是非触れていただきたいと思うのです。それは公共図書館と連携してという観点になるのか、あるいは、国際子ども図書館や公民館図書室と同じように一つ、点字図書館という項を立てていただくのか、ということになるかと思うのですけれども、その点も是非御検討いただければ有り難いと思います。
 そして最後に、全体に関わってですけれども、これまでの4回の議論の中で、読書の在り様と言うのでしょうか、あるいは媒体、何を読むのかというところに関して、紙媒体のものだけではなくて、電子書籍についての言及も何度か出てきたかと思います。第2章の3ページ、冒頭のところでは、「書籍や新聞、図鑑など」ということで、図書以外の点についても触れられてはいるのですけれども、電子書籍のようなものは、このまとめの分脈の中では、特段、今のところ触れられてはいないわけです。読書というものを紙媒体のものに限定して捉えるのか、あるいは読書そのものの内実みたいなところも議論は出てきたかと思うのですけれども、そのあたりのところをどう反映させていくのかというところが気になりました。例えば、12ページからの子供の読書への関心を高める取組の一つとして、特に高校生ぐらいの年齢にあっては、もう既にスマートフォンで電子書籍などを利用しているような実態も考えるならば、紙の本の読書への関心、動機付けの一つとして、電子書籍の活用という視点もあり得るのではないか。そのようなことも触れてもいいのではないかと考えております。どこにどう盛り込むかというのは非常に悩ましいところかとは思うのですけれども、そのような点も是非御検討いただければと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 佐川委員、お願いいたします。

【佐川委員】
 先ほど子ども司書の件で御意見が出ておりましたけれども、子ども司書は、実際は公共図書館が養成講座をやって、公共図書館が養成しているところなのです。当然、学校と地域の協力も得てやっているということなので、例えば、この9ページのところで、「子ども司書の制度の取組」とありますけれども、これは公共図書館をメーンに入れておいた方が、非常に分かりやすくなるのだろうと思います。
 それと、話が変わりますけれども、私は今回のこの基本計画、当初、論点まとめから見て、高校生対策が、非常に比重が大きくなっていて、主題になっているようなところがありまして、これは大丈夫なのかなと危惧したところもあるのですけれども、その後、皆さんの叡智(えいち)によって大変、乳幼児期から子供世代全般にわたって細かな配慮がなされて、大変すばらしい基本計画になってきたと思っております。私は全国の都道府県市町村のいろいろな読書活動をやっている方々との交流をしておりますけれども、市町村において子供読書活動の一番大事なところは、乳幼児期から小学生時期が主題になるのですね。当然、中学生、高校生も大事なことではありますが、市町村の捉え方、考え方、それで、最近の傾向としては、家庭における読書活動が市町村の推進計画のキーワードになっているところはあります。
 それで、では、市町村の推進計画がどのような形で今作られているのか。皆さん、余り市町村の推進計画を御覧になったことはないだろうと思うのですが、きょう、皆さんのお手元にお配りさせていただきました、大分市教育委員会、それから、福岡県の糸島市教育委員会、福岡県の水巻町教育委員会、それと岐阜県の瑞穂市教育委員会、それぞれの教育委員会が、「佐川さん、これが地方の考え方だ」ということで、有識者の皆様方にも御覧いただければ有り難いということで、お配りさせていただきました。中でも糸島市の推進計画は、ついこの前、今年の10月に策定されたばかりのほやほやのところですけれども、市町村の読書活動の進め方、指針、考え方、何をやるべきか。そういうものが最近の推進計画ではよく分かりやすくまとまっていると思います。それで、この基本計画が実際に完成して施行された後には、この基本計画というのは国民の方はほとんど知らないだろうと思うのです。都道府県、それから、市町村の教育委員会ぐらいが知っているところだと思うのですけれども、これは基本的には、最終的には国民に向かっての国の読書計画になりますので、できればこの基本計画を国民の方にも分かりやすいような簡単なリーフレットを作って、いろいろな機会でこれを国民の方にもお知らせする。御理解いただくように、そして御協力いただくというのがいいだろうと思うのです。国立青少年教育振興機構が、以前、子供読書関係のパンフレットを作ったものが、ここに二つ折りであるのですけれども、全国のいろいろな運動や大会や研修会やセミナーで私たちは活用させていただきました。その都度、機構の方に連絡を入れて、どこどこに何百部を送ってくださいという形で、各地方でこれは随分と、恐らく私たちは万単位ぐらいで活用してきたと思うのです。このような形で国民にも知らせることは一つの方法かなと思います。
 以上、長くなりましたが、終わります。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 張替委員、どうぞ。

【張替委員】
 私は昨日届いたという資料までは、外に出掛けておりまして目を通していませんで、土曜日までに頂いた資料を中心に読ませていただいております。先ほど図書委員のことが御意見で出ました。それとちょうど同じように、民間の様々な読書推進の活動についても、少し最近いろいろ取り組まれているものに比べて、先ほど文庫活動のこともおっしゃってくださいましたけれども、もう30年、40年と積み重ねられたものに対するリスペクトというか、言及が、この中には余り感じられない。もしこれが閣議決定する元の文章だとしたら、是非そのあたりも注意して文言化していただけると有り難いなと思いました。
 例えば、一つは、「連携・協力」という9ページの中で「絵本専門士等の読書活動に関し専門的知識を持つ者や地域のボランティア等地域の様々な人々の参画を得ながら」という言い方になっているのですが、これはかなりこなれていない文章かなと思います。その絵本専門士という者だけがなぜ取り上げられているのかなという気がしてしまいまして、読書に関して専門的な知識を持つ、そして、その読書活動をしている人々という意味では、先ほどおっしゃってくださった文庫の主宰者とか、語りや読み聞かせのボランティア、それから、ここ20年ぐらいずっと養成されてきた読書アドバイザーという方たちも同様に含まれてきますので、もしこのような形で絵本専門士を例に挙げるのでしたら、そのような方たちも挙げていただかないと駄目ですし、そうでなければ抽象度を上げるかどちらかにした方がいいのかなと思いました。
 それと同じことは、10ページの「その他」にも感じました。放課後の児童館などというところも、圧倒的に読み聞かせボランティアの方たちとか、そういう方たちが30年、40年と活動を続けていらっしゃいますので、それを差し置いてという感じが私などはしてしまうのです。
 それから、かぎ括弧で示されている、例えば、「ブックスタート」とか、「家読」というものも、失礼かもしれませんけれども、比較的最近の言葉ですが、このようなものも普通名詞化して使ってしまってよろしいのかどうかというところが少し私には疑問だったのです。普通に「ブックスタート」といろいろな場面で言ってしまっていいのかとか、あるいは、「家読」に関して言えば、もう私も大賛成で、家庭における読書というのがすべての始まりになりますので、それが豊かなものであるということについては何の異論もないのですけれども、例えば、椋鳩十さんが、母と子の20分間読書を始められたのは1960年で、それ以来いろいろな形で同様の取組がある中で、近年「家読」という活動が非常に広まっているという、そのニュアンスが出てくれると、とてもうれしいなと思いました。そんなこともあるので、私は、例えば、ストーリーテリング、ブックトーク、ビブリオバトルといったものの順序について、やたらこだわってしまって申し訳ございませんでしたけれども、それで入れていただいたストーリーテリングですが、もしよろしければ、ビブリオバトル同様に、「お話」という言葉がもう40年来定着していますので、「お話(ストーリーテリング)」としていただければ、ちょうどビブリオバトルとペアで、それを普及してきた団体としてはとてもうれしいなと思います。それについては、最近は、子供たちが自分でお話を覚えて語るという試みも学校で試みられているということがありますので、もしよろしければ、その最後のところに子供たちでやるというところに、用語説明で「お話(ストーリーテリング)」という形で、それがどういうものかということも加えていただけると有り難いと思いました。「昔話や短い創作物語をすっかり覚えて自分のものとして語ること。肉声からイメージをふくらませ、物語のだいご味を分かち合うことができる。」ということで、恐らく読書に余り親しんでいらっしゃらない方に、それがどういうものか分かっていただけると大変うれしいです。
 もう一つは、私はお役所の言葉に余り慣れ親しんでいないせいもあるので確認させていただきたいのですけれども、人的体制というところで9ページ、10ページに、「司書及び司書補の適切な配置」という言い方がされていますけれども、この「適切な配置」というのは、終始私や様々な方たちの御要望の中で多かった「継続的な安定した雇用」ということも含んでいらっしゃるのでしょうかということを一応確認させていただきたいです。

【秋田座長】
 ありがとうございます。確認事項は、後で事務局の方から伺えればと思います。
 いかがですか。では、先に堀川委員。

【堀川副座長】
 お先にありがとうございます。先ほど野口先生がおっしゃった点と関連するのですけれど、同じかもしれません。3ページの最初に、「読む」という書籍や新聞、図鑑などが書いてありますが、ここの最初に「読む」というか、読書という定義らしいものが、もう少し欲しいなと思います。2004年に文化審議会の答申の中で、これからの時代に求められる国語力についてという答申の中で、ここでいう読書とは文学作品を読むことに限らず、自然科学や社会科学関係の本を読んだり、何かを調べるために本を読んだりすることなども含めたものであるというように書かれているのですが、3ページの上の文章、それに重なるところはあるのですが、もう少し、読むことは、これも含めますよという、もう少しきちんとした定義が欲しいなと思います。
 そして、そこの中に、昨今の状況を踏まえて、デジタル資料も読むことを読書とするか、そうだと思うのですけれど、そのような子供たちの読書活動を視点に入れて書きますということを、どこかに明らかにしていただければと思います。
 それからもう一つなのですが、学校図書館のところで、10ページのマル3の中のどこかと思うのですが、多分11ページの最後のところ、学校における教科の中で読書活動を推進するという意味合いのことを加えていただけると有り難いと思います。様々な教科学習、学習活動の中で、展開読書とか並行読書もありますし、それから先ほど申した図鑑、辞書を調べて何かをまとめるという活動もありますし、それから本の紹介もそうですし、言語活動の充実という中で、「読む」という活動が大元になっているという、それから、ある中学校の先生などは、国語の最初の時間に朗読の時間を設けていらっしゃるとか、そのような一般の先生方がどのように読む活動を教科の中に取り入れてくださるかという、その辺の何かヒントになるようなことを入れていただけると有り難いと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。

【設楽委員】
 今、堀川副座長の御発言にもありましたが、学校図書館の役割は、読書推進に関して非常に重要だと考えています。先ほどの校長を学校図書館長にするということも含めて、学校図書館の項目のどこかに学校図書館ガイドラインに関する文言として、学校図書館ガイドラインを踏まえてであるとか、学校図書館ガイドラインに即してであることを一言入れていただくと、一層学校図書館ガイドラインが生きてくると感じています。よろしくお願いします。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 お願いします。

【福田委員】
 学校図書館のことと関連してです。13ページの人的体制というところで、司書教諭、学校司書について述べられているわけなのですけれども、学校図書館が重要、日常の授業の中で、各教科の中でということを考えていくと、司書教諭の存在がとても大きなものになってきます。実際にそうならなければならないと思っているのです。ですから人的体制の三つ目のところで、「学校司書の配置の充実や」の次に、司書教諭の活動時間の確保ということを入れていただきたいです。司書教諭の先生方が担任やほかの校務分掌を持ちながらやっていらっしゃる中で、活動時間確保というのはとても大きな課題になっていますので、是非その点を入れていただけるとよいと思います。
 ここに教職員を対象とした研修機会の充実というのを入れていただいたのは、とても大きなことだと思っています。これを生かす意味でも、司書教諭の活動時間確保ということについてお願いしたいと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 平久江委員、お願いします。

【平久江委員】
 10ページの「その他」のところなのですけれども、二つ目のところに「公民館の図書室は」というようにあるのですけれども、その下に出てくる児童館の図書室というのが設けられています。昔、ある市の児童館を調査したのですけれども、児童館ですごく頻繁に本が利用されているのです。だけれども、管理は余りなされていない状況にありました。更に公共図書館からの支援も余り受けていないというように、少し取り残されている感があるのです。
 そのような意味からも、ここには是非「児童館と公民館」という形で、児童館を入れていただければと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 いかがですか。

【糸賀委員】
 細かい点を、最後に幾つか意見を言わせていただきたいと思います。ちょうど今、平久江委員が言われた公民館のところは、これはもともと公立図書館が設置されていない場合に、公民館図書室がかなり重要な役割を担うのです。公立図書館が設置されている多くの場合に、公民館図書室はそもそも設置条例で、その図書館の分館とか分室に規定されている場合が多いわけです。その場合には、規定されたとたんに公民館図書室ではなくなります。ここで書くべきは、今言われた児童館だとか、それ以外にも実は首長部局が所管しているいろいろな、例えば農林水産省の補助金を立てて作った農村開発センターとかいうところに図書室があったりする。これは全国の小さな町へ行くと、図書館はないのだけれども、そのような図書室があるというところが多いわけです。
 多分この記述は、文科省告示された「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の記述に合わせて、このようなことを含めたのだろうと、私は推測するのですが、あの基準では、「公民館図書室等」、と「等」を付けているのです。だから、今言われるように、確かに公民館や児童館と、それから場合によっては、実は首長部局の方で所管しているいろいろな青少年教育センターであるとか、あるいはコミュニティセンターであるとかというところにある図書室が図書館と連携をする必要があるのだろうと思います。
 そこのあたり、ここは配慮していただいた方がいい箇所だと感じました。
 それから、13ページの先ほどの人的体制、これも福田委員から御指摘があったとおりなのですけれども、私も司書教諭について、活動時間の確保と言われました。あるいは私は学校図書館の業務にもう少し専心専念できるような環境の整備、それは考えておかなければいけないのだろうと思います。
 この13ページの上の人的体制のところの「司書教諭は」で始まる最初の丸なのですが、これは学校図書館の専門的職務をつかさどる教員です。教員であり、学校図書館法の規定により必ず置かなければならないとか、あるいは12学級以上の学校では置かなければならないのだというようになっているところは、ちゃんと法の規定にあるのだということをうたった方がいいだろうと思います。
 いずれにしても、現在各学校の教員が忙し過ぎる。先生が忙しくて、なかなか生徒の指導や、このような図書室の整備に手が回らないという状況ですから、これはちゃんと、それこそ人材を確保して、教員がそれぞれの本来の仕事に専念できるような環境というのを、学校教育行政全体の中で、是非お考えいただきたい。そのような趣旨で、今の司書教諭がきちんと専門性を発揮し、学校図書館の職務に専念できるような環境というように書いた方が、私は効果があるのではないかと思いました。
 あと、今日のこの資料1‐1でいうと、6ページに戻ります。6ページの上から2番目のところの国の役割です。国の役割について書かれたところで、「国の政策の方向性や調査研究等により得られた必要な情報」、これは確かに提供することが必要です。その例示なのですが、ここに例が挙がるのですが、司書教諭、学校司書の配置状況等と、いきなりここに行くのですけれども、それはそれでいいのですが、もう少し、例えば子供の生活実態調査でありますとか、あるいは学力テストの結果、読解力だとかがどのように変化してきたのかとか、そのようにもう少し大きな視点に立った国の政策とか調査研究の動向を挙げた方が、私はいいように感じました。
 それから次の7ページ、ここで下の方の、例の学校の接続期、中学から高校とか、小学校から中学の時期、これについての指摘が7ページの下から2番目にあるのですが、ここでは読書をする者の数が減少する傾向という点が指摘されております。同時に、人数だけではなくて、中学から高校に行くと、もともと読む人間も時間が減っているのです。ですから、ここは読書をする者の数が減少するとともに、読書する時間が減少しているということも併せて指摘をしておかなければいけないのだろうと思います。つまり、もともと読む人間でも、本に向かう時間が減ってしまっているということです。
 それから次の8ページ、ここで丸の2番目に、図書館、市町村保健センター等々が挙げられていて、ブックスタートが重要であると指摘があります。でも、これが私は家庭における取組と1番にあるのに若干違和感を覚えます。これはむしろその後の地域における取組の連携・協力の例ではないかと思います。ずっと読むと、これは図書館や市町村保健センター、ボランティア団体等がやって、家庭で本を読むようにという働き掛けをするのですから、位置付けとしては、どちらかというと地域の取組ではないかと感じます。地域の取組の中の連携・協力というのがローマ数字3番にありますので、そちらの方が位置としてはふさわしいように感じました。
 それから、8ページの下から2番目、ここに「公立図書館を設置していない市町村においては、住民の生活圏、図書館の利用圏等」、これも多分「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」に、このようなくだりがあるのです。でも、住民の生活圏や図書館の利用圏等を十分考慮するのは、既に図書館があるところで、図書館の全域サービスを考えるときの表現なのです。そもそも設置していないのであれば、生活圏とか利用圏もいいですが、まずは設置することを考えていただかなければいけないので、この表現は、「望ましい基準」を援用するにしても、少し直さないと、設置していない市町村に対する言葉としては、やや整合性を欠くと感じております。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。お気付きの点があれば、いろいろと御意見を頂けるとよろしいかと思います。
 張替委員、お願いします。

【張替委員】
 先ほど何名かの委員から、読書のところに電子書籍を加えるといいとおっしゃって、それは賛成なのですけれども、もしそれを言及するとしたら、片や、第1章のところになるのですけれども、二つ目の丸のところなのですけれども、そういった情報技術が進んでいくことによって、特に幼少期からの過度の使用による弊害というのも、長く指摘されているのですけれども、それについて全く言及しないというのは、この状況を十分に見ていないのではないかという気がします。それほどセンセーショナルに挙げる必要はないのですけれども、そういったことも、少し加えていただけるといいのかなと思いました。
 実際のところ、切れる子だとか何とかという問題は、過剰なメディア使用による前頭葉の疲労がすごく影響していると思いますので、それは全く根拠がないことではないと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 では、私の方でも個人的なお話をさせていただきます。皆さんの方からも出ましたように、2ページ目のところです。第1章の四つ目の丸ポツで、読書活動を推進することは「確かな学力」を育むことに資すると書いてありますが、多分、教育課程部会の方では、「これからに求められる資質・能力」とされているように、今後の学習指導要領の表現に即せば、そのような言葉になるのではないかと思います。また、学力あるいは、資質・能力だけではなくて、生涯にわたる幸せな生活を営むとか、そのようなものの根底に読書がなるというような「資する」という表現があるとよろしいのではないかと考えました。
 それから次に、細かなところでございますけれども、10ページ目でございます。幼稚園、保育所等のところなのですけれども、二つ丸がございます。二つ目のところで、「保護者、ボランティア等と連携・協力しながら、図書の整備を図る」とあります。保護者は図書の整備の係として位置付いているのですけれども、それだけではなくて、連携・協力しながら絵本の読み聞かせなどに参画したり、家庭での絵本や読書の普及に努めるというような、園と保護者との連携の内実の内容を、ここに書き入れていただいた方がよろしいのではないかと考えました。
 それから、11ページ目になりますけれども、子供同士の取組というところで、アニマシオンやビブリオバトルとか、自由な読書を広げていくというようなことが書かれているのですけれども、それと同時に、家読の方で、どこで書いたらいいのかが分からないのですが、ここでは子供が本を読むということが推進されているのです。けれども、子供自身が中高生になると自らが読書推進の主体となるというようなことが、どこかに表現として書き込めないのかと思います。要するに、大人から読まされ、普及される存在だけではなくて、子供自身が推進する主体になっていくというようなところがニュアンスとして出るとよろしいのではないかと思いました。
 あと、大変細かいところですが、12ページ目でございます。下から三つ目で、今回登校日等の土曜日や、長期休業日等にも学校図書館を開館するということが書かれているのですけれども、教員養成部会の方では、今、働き方改革の議論が出ていますので、このようなことを書くときには、「地域の人の協力を得て」とか、教職員の業務が更に増えるような書き方でない形の表現にしていただけるとよろしいかと考えました。
 以上です。ほかの委員からはいかがですか。
 白井委員。

【白井委員】
 全体としては、読書を楽しむということが前面に出ていて、論点のまとめ案として、とてもいいと思いました。読書にも、多様な側面があると思うのです。声を上げて読むことも読書ですし、黙読もあるし、それから一緒に読み合うこと、シェアブックスのようなことも読書ですし、そのような多様な面を楽しむことが、全体の論点まとめ案の中に出ていることは、とてもいいことだと思いました。
 また、発達段階に応じた取組にも様々なメニューがあって、これまでの議論が反映されているのではないかと思います。読書を楽しむことが、どこの場でされるかというときに、図書館の役割があります。それが学校図書館、公共図書館で、今日の提案の中にも居場所としての学校図書館というような表現があって、大変うなずけることだと思いますし、様々な活動の場としての、静かな図書館だけではなく、にぎやかな図書館も想像されるような図書館の役割も、強調されていると思いました。
 それから、高校生の不読書率のようなことが最初にありましたが、数量化されることも大事ですが、心に残る1冊という表現が案の中に入っていて、読書の質にも目配りができているのではないかと思います。
 全体的には本の面白さが前面に出ているまとめ案で、これが計画に反映されていくことは、大変望ましいと思っています。
 また、ブックスタートについて、先ほど糸賀委員からも御意見がありましたが、私は8ページで触れられている場所が適切ではないかと思っています。確かにブックスタートの現実は、地域における連携が非常に大事です。それは活動として、地域の連携がないと実現できないということなのですが、実現されていること自体は、赤ちゃんと、その周りにいる大人、御両親とか、祖父母とか、つまり結構個人的に本を一緒にシェアする楽しさを実現するということですので、その意味では連携・協力の下に、そのような個人的な体験のようなところに向かっています。それが現実ですので、私としては、8ページの場所に書かれていることが適切ではないかと思っています。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 では、お願いいたします。

【杉原委員】
 では、失礼します。この間の11月はじめの会議を経まして、あの時点で、この度の会議において、私たちが出した意見というのが、どのように四次計画に生かされるのかということが、私自身目に見えていませんでした。もう1回三次計画と、これまでの会議の内容、それからこの間出されました論点まとめをずっと照らし合わせながら、見直してみました。
 気になったのが、不読率のことがものすごく重視されていて、何で不読率が高まっているのかというところ、つまり、この5年間で、大人もそうですけれども、子供たちを取り巻く生活の様子が非常に変わっているというところが大きいのかなと思います。
 ですから読書推進を図るために、同じ状況で読書推進をどのようにしていくかではなくて、子供たちの生活、周辺の部分をしっかり見て取ることが必要かなと思いました。今回そのあたりを改定していただいて、論点まとめを出されているところ、しっかり社会の大きな変化も取り上げられておりまして、すごく納得がいったということです。
 それから課題分析、取組の方向性というところでは、高校生の読書の優先順位を上げるというところですが、何をさておき読書をしなさいというのではなくて、子供たちの生活の中のどこかに読書と関わる部分があることを大切にすることが大事であると感じておりました。この辺も変えていただいたところが非常にいいと思いました。
 先ほど張替委員の方から、椋鳩十さんの母と子の20分間読書のお話が出たのですけれども、私自身が、ちょうどその運動の真っ最中に小学校の時代を過ごしまして、図書館で借りる本だけでは足りなくて、母と一緒に古本屋に行って本を見つけて読んでおりました。その当時は図書館で一度に本をたくさん借りることができなかったので、そのようなことをした思い出とともに、読書の記憶がしっかり残っています。
 ですから、ただ読書をしなさい、本を読みなさいというよりも、子供たちが後で振り返って体験活動として心に残るということが大切で、大人が意識して取り組んでいくことが大事ではないかと思います。ブックスタートもそうです。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんのひざの上の温かさ、手のぬくもり、そのような中で本を読んでもらった記憶、ボランティアの方たちが朝学校へ来て読んでくださった巧みな本の読み聞かせ、そして、担任の先生が隙間の時間に読んでくださった本の温かさ、そのようなものとともに読書の記憶をつくっていくことが、結果、その子供が豊かな読書人生を送るということにつながるのではないかと思います。体験活動ということを意識しながら、いろいろな取組をしてくことが必要なのかなと思います。
 それから教員養成の時点での読書の興味、関心というお話も出ました。私たちが教職を取るときには希望者だけが司書教諭の資格を取るということで、非常に少なかったのです。できるだけ単位を少なく取って教員免許を取ろうという人が多かったので、その結果、司書教諭を配置しようと思っても、なかなかそのような人材が見つかりません。本当は全ての学校に司書教諭を配置できればいいのでしょうけれども、それすらできていない。
 また、教職を取るときに、そのような勉強をしてきていない人がたくさんいるがために、日々の忙しい教育活動の中で、なかなか読書指導、図書館利用指導に手が回らないというのが、これまでの学校の現状だったのではないかと思います。
 図書館の方に実習で来られた方、それから2年目とか10年目の教職経験者の研修で来られる方が言われるのが、「もっと早く図書館の使い方とか、読書指導の充実に向けての取組がこれほどあるのだと知っておけばよかった。」これが必ず言われる言葉です。ですから、何らかの機会にそのようなものの大切さに出会う機会が必要だと思います。先生になられる方は結構本をたくさん読まれた方がいるのですけれども、実際子供たちに指導する場になると、なかなかそこが結び付かないというようなことも多々あるようです。そのようなことから、教職を取るどこかでとか、教職についてからでも、先ほどのような研修の場があれば、子供に関わる全ての大人の人たちが重要性を見いだしていき、推進につながるのではないかと思います。
 家読のことも出ましたけれども、家読も家庭、学校だけでなくて、地域に広げていくということで、子供に関わる全ての方たちに読書のすばらしさ、幼いときからの読み聞かせなどの大切さ、そのようなものを市民とか町民とかに広く知らしめる役割も担っていると思いますので、更に進めていきたいと思っております。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 では、お願いします。

【鈴木委員】
 これまでの会議の委員の皆様からの多くの御意見を反映させながら作成されて、大変御苦労もあったろうと思って読ませていただきました。読書推進においては、学校、教職員の姿勢、どのように子供たちに接するか、これが非常に大きいと思います。また、就学前にどのような経験を子供たちがするか、これも大きな影響を与えるのではないかと考えております。
 そういった中で、教職員への研修というのが位置付けられました。これは大事なことと思います。実際に子供たちを前にして、教科指導、生活指導等行ったり、教職員が読書の意義等について理解することは、大変大事なことと思います。初任者研修等、しっかり研修の中でこういったものを取り上げることが大事かと思います。
 その上で、読書の意義とか、学習指導要領や学力と読書の関わり、こういったことが明記されておりますので、それも大事なことと思います。
 それから家庭教育支援の取組の活用というのも入っておりまして、家庭教育支援事業、恐らく各市町公民館等では非常に行われている講座、学級等があるかと思いますので、そういった中で読書を取り上げるということも、これから有効な手立てになると思っております。
 それから、全ての子供に読書の体験をということで、障害のある子供たちにも必要な条件整備をということがありました。そういった視点から考えれば、様々な障害がある中で、読書というのは必ずしも紙媒体ではないのかなと、私はそのように考えております。
 それから、最初は高校生の不読率が課題で、この会議が始まってきたのかと思いますが、2ページの下から二つと三つ目のところなのですが、高校生が当初53.2%不読率で、29年第三次計画が終わる時点で50.4%で、非常に目標から遠い数値だということで、目標が26%で、非常にこの後の5年間のハードルが高いのではないかと思います。そのようなことから、前回各計画の中で見直して、点検、評価をということも言わせていただきましたけれど、量的な評価のみでなくて、質的な評価といった視点も取り入れながら点検、評価をしていくことが大事であると思います。
 それから、教職員の多忙感というのは前々からいわれておりますが、今、働き方改革という視点から、行政の方においても様々な計画の策定等も見直しを迫られている動きがございます。本当に必要なのかどうか。これは法律で努力義務とされているものについても、そこまでの意見を求められております。あるいは量を減らして作業の労力を減らせとか、そういった動きが出ている中で、そういった社会状況を受けながらの表現というのも記述する上では大事になってくると感じております。
 以上でございます。

【秋田座長】
 どうもありがとうございます。
 それでは、事務局の方から何かあればお願いいたします。

【土肥青少年教育課長】
 何点か、事務局の方に御質問を頂きましたので、お答えいたします。一つは、国都道府県市町村の役割のところで、国のところが薄いのではないか、順番はこれでいいのかと御指摘がありましたけれども、順番については、我々は責任を放棄するわけではないのですが、基本的には市町村という単位自治体においてこのようなことをやってくれないと、この話は進まないという問題意識があります。現次計画は国から書いてありますけれど、構造を示すために市町村から書き始めていますので、事務局としては、このような順番で書きたいと思っております。
 国が薄いとか、糸賀先生から、この例示はおかしいのではないかと御指摘も受けましたので、これについては、もう少し見直しをしたいと思います。
 あと、何人かの先生から御指摘を受けましたけれども、電子書籍、デジタル仕様の話で、野口先生からも御指摘いただいたので、私も考えてみたのですけれども、基本的にここで紙だということを何かいっているわけでもないので、我々の認識としては、要するにデジタルも含めたものが、ここに書いてあるものであるという認識で一応は作っております。それが分かりにくいというならば、どこかに注記するとか、やり方があるかと思うのですけれども、基本的には同じように、アクセスがしやすくなるとか、そういったメリットはありますが、基本的には同じものであって、読むという行為を進めていくということが、この計画というか、まとめの中に書かれているというような認識をしております。
 あと、司書の話、司書問題。

【丹野社会教育課長補佐】
 適切な配置のところでございますけれども、基本的には図書館法では任意設置ということになっておりますけれども、基準の中で適切に配置ということを書かせていただいておりますので、あえてこちらの方に書く必要はないのかなと思っております。
 以上です。

【土肥青少年教育課長】
 もう1点だけ。この場でお答えできないのですけれども、要するに教職課程でちゃんとやるべきだという御意見をたくさん頂きました。持ち帰りたいとは思いますけれども、担当課からは、必修として入れるのはなかなか難しいと。任意でやられているところは、結構あると聞いてはおるのですけれども、そこまでいくのは、なかなか難しいと聞いております。けれども、たくさんの御意見を頂いたということは担当課に伝えて、また少し考えたいと思います。

【福田委員】
 細かいことになるのですけれども、第三次の計画を隅々まで見ながら、指針を大事にしながらやってきた立場で行くと、今度の計画についても、細かいところにこだわらせていただきながら発言させていただきたいと思います。
 幾つかあるのですけれども、まず9番の連携・協力ということに関しまして、図書館と学校図書館の連携を入れていただきまして、ありがとうございました。でも、ここで中心に語られていることは、団体貸出しや相互貸借という感じのイメージを受けてしまいます。もっとその上を行くといいますか、今そのようなことを模索しているところです。例えば学校で作ったポップを図書館で掲示をしていただくとか、団体貸出しだけではなくて、調べ学習で子供たちが訪ねていったときの尋ね方とか質問の仕方とかの連携だとか、パスファインダーを両方連携で、学校図書館にはこのような資料がある、公共図書館にはこのような資料があるという形での連携等を、今やっております。
 ですから、連携・協力を団体貸出し、相互貸借だけではなく、もっと大きな視点から捉えていただいて、情報交換とか、情報交流とか、そのようなことを入れていただくといいかなということが一つです。
 それから、子供同士の取組と11ページから出ているわけなのですが、ペア読書も大きくいうと読書会に入ると思いますので、順番を、例えばペア読書、読書会とか、あるいは読書会、ペア読書とか並べていただく方がいいかなと思っています。
 それと、あと7ページになりますが、中学年になると差が開いていく、なかなか読めないということは以前から申し上げて、取り入れていただいてありがとうございます。この発達段階ごとの特徴のところに小学生の時期の高学年のところだけに留意が必要であるという記述が入っているのです。あとは、このように読むようになるとか、イメージするようになるということで終わっているのですけれど、ここだけ表記が「留意が必要である」となっているので、それを取ってしまうか、あるいは、「留意が必要」と入るのであれば、ほかのところに対しても、そのような文言が必要なのではないかと思います。
 あともう一つなのですけれど、先ほど張替先生が、様々な方たちがボランティアでやっていらして、それで椋鳩十さんの母子の親子20分運動から始まって様々なということでおっしゃったのですが、そのような意味では、8ページの家読のことなのですけれども、家読も現在、家読という言葉だけではなくて、家庭読書とか、それからファミリー読書とか、いろいろな形で既に取り組まれている自治体がたくさんあります。ですから、それを併記していただいた方がいいのではないかと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 糸賀委員。

【糸賀委員】
 手短に済ませますが、先ほど土肥課長の方から、第3章の最初のところの国や都道府県、市町村の役割の順序について、このままでいいのではないかとの説明がございました。私も基本的には、今、地方分権ということが言われていて、国が最後に出てくるということでいいと思うのです。
 でも、そうだとしたら、5ページの一番上の第3章、具体的な取組の1に書かれている表題の順序も、これは市町村、都道府県、国というように入れ替えた方が、それがはっきりしていいのではないかと感じます。
 それから、全体を通じていろいろと皆さんの意見を反映して、いい計画に仕上がっていくのだろうと思うのですが、関係者の間では、こうやってすごく理解がされているわけです。これをいかに今まで読書に関心がない人や、多くの国民に読書の意義を知ってもらうか、これが大事なのです。国民総がかりで読書の意義を知り、国民的な運動に広げていくことを考えなければ、どんなにいい計画を立てても、結局絵にかいた餅に終わってしまって、なかなか浸透しないことになります。
 そのような意味では、私はこの会議で常々申し上げているように、申し訳ないけれども、邪道と言われてもいいから、私はもう少し有名人を使ったようなキャンペーンだとか、ポスター作りということを一方で是非お考えいただきたい。それから2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、それと別に合わせなくてもいいですから、かつて国民読書年というのを国会で決議しましたが、あれをもう1回やってはいけないということもないと思いますから、私は国民読書年のようなものを決めて、もっと多くの人にこの第四次の計画があるのだということを知ってもらう。
 それから、今回は子供読書推進なので、子供のことしかやりませんでしたけれども、実は読書の意義というのは高齢者にとっても、認知症予防の意味でもすごく効果があるということがいわれているわけです。そのような意味では、これは子供だけではなくて、本当に国民的な運動として広げていくという視点も、これは計画には盛り込めないかもしれませんけれども、そのような視点も含めて今後第四次の基本計画を是非実現させていっていただきたい。最後は要望として申し上げました。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 野口委員。

【野口委員】
 先ほど御説明を伺って、電子書籍の件はよく分かりました。もし可能であれば、注か何かでデジタルも含んでの捉え方だということを一言入れていただけると有り難いという要望です。
 それから、細かな点2点なのですけれども、1点は、資料1‐2でいうと、10ページの丸の3学校等における子供の読書活動の推進のアの幼稚園・保育所等なのですけれども、幼稚園では既に絵本室などの図書室に相当する設備を有しているところもかなりあるのではないかと思うのです。ですので、ここのアの二つ目の丸のところでは、「コーナーを確保し」とあるのですけれども、絵本室やコーナーなどと書き方のところを工夫していただきたいと思います。
 それからもう1点なのですけれども、先ほど来、研修の話、特に学校における教職員の研修の話が出ておりました。項目としても、13ページのところにも記載があります。教職員を対象とした研修機会の充実と、これは正にそのとおりだと思うのですけれども、ただ、これを担う教育委員会に温度差があります。そこには、読書だとか、図書館の活用だとか、そういったことに関して研修を設定しようと思っても、どのような研修を組み立てたらいいのかなどの情報やノウハウの共有とか蓄積が十分になされていないということも関係していると思います。
 ですので、熱心な自治体は熱心に取り組むのですけれども、そうではないところには、なかなかそれが広がっていかないということもあります。これも要望なのですけれども、国の役割のところで、市町村の取組の優良事例等の提供ということが書いてありますが、子供の読書についてどのような活動をしたのかだけではなく、研修に関しての情報も共有できるようにしていただけると有り難いと思います。そういったことを一言例示として入れていただければと思います。
 以上です。

【秋田座長】
 ありがとうございます。

【佐川委員】
 先ほど福田委員の方から家読の件で御意見が出ましたが、家読以外にも家庭読書やいろいろな試みがあるということで、それはあると思いますが、家読というのは、もう一つの固定観念的なもので、これは朝の読書の家庭版として子供たちが作り上げた運動ですから、趣旨的なものは、ほかの活動とは違うところがあると思いますから、ここで説明されているものは、みんな家読の理念的なものなのです。
 ですから、ほかの活動をやるならば、それはそれでまた別立ての項目でやらないと、既に家読で全国500ぐらいの自治体で取り組んでいるわけですから、非常に混乱してしまう可能性はあると思います。ですから、ここは余りいじくらない方がいいだろうと思うのです。
 よろしくお願いします。

【秋田座長】
 では、堀川委員からお願いします。

【堀川副座長】
 先ほど、司書教諭のところで、活動の時間の確保とか、専念できる時間というように御発言がありましたけれど、意味を付け加えていただくと有り難いと思います。といいますのは、読む力の育成と、それにつながる情報を使う力の育成は、教科横断的なものだと、教科の基盤的なものなので、指導を計画的にやっていかなくてはいけない。だから、司書教諭の活動時間が必要だということをどこかに入れていただけると有り難いと思います。
 それから、先ほど教員の養成のことが出てきましたけれど、その中に、これも話にありましたけれど、10年の更新免許の中の科目の一つとして読書ということ、あるいは学校図書館の利活用ということも含めていただくと大変有り難いです。
 ありがとうございました。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 福田委員。

【福田委員】
 先ほどの家読の話ですが、そのようなことを含めて、他の名称で取り組んでいらっしゃる自治体が今のところ多くあるということです。一番多くの自治体が家読という名称で取り組んでいらっしゃることは、私も承知しております。でも他の名称で取り組んでいらっしゃる自治体があるということを述べさせていただいたということです。
 あともう一つ、14ページのアニマシオンのところですが、説明の、「子供たちとグループ参加型で」というところは、グループとは限らないので、子供たちの参加型でというようにしていただけるとよいかと思います。

【秋田座長】
 ありがとうございます。
 よろしいですか。それでは、少し予定より早いですけれども、そろそろ会議を終了したいと思います。本日の意見交換は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 今後、今回頂きました、たくさん頂きましたので、皆様の御意見を踏まえ、本日の配布資料にある論点まとめ(案)を適宜追記、修正させていただきたいと思います。論点まとめ(案)の内容の調整と公表の手続等につきましては、座長一任で行わせていただければと思いますが、よろしいですか。

(「はい」の声あり)

【秋田座長】
 ありがとうございます。それでは、ここで常盤局長から一言お言葉を頂きたいと思います。

【常盤生涯学習政策局長】
 ありがとうございました。委員の先生方におかれましては、8月の第1回の会議以降、2回のヒアリングを含めまして、5回にわたる会議で活発な御議論を頂き、会議の論点取りまとめをしていただいたわけでございます。お礼を申し上げたいと思っております。
 子供の読書活動については、先ほど糸賀先生の方からもお話がありましたけれども、そのこと自体の重要性について、ここにいらっしゃる先生方は非常にその点についての御専門の先生方でありますので、当然の前提ということになっていると思うのですけれども、実際に小中高校生の不読率であったり、先ほども野口先生の方からお話がありましたけれども、市町村による温度差があったり、そのようなことを考えると、一番重要なのは、読書ということについて、いかにこれが重要な活動であるかということについての理解を広げていくということが、私はとても重要なことではないかと思っております。
 特に、様々な子供たちの経験を見ても、一方で、人と人との直接の関わり合いという直接の体験は非常に不足している。他方で、SNSの非常に悲惨な事件もありましたけれども、そのようなところでの活動は非常に拡大をしているということの中で、読書というのは、ある意味、直接の体験ではないけれども、SNSのような間接体験ではなくて、ある意味、古今東西のよりすぐられた知の蓄積のようなものに対して、我々がそれに触れる非常に重要な活動であると思うのです。人と人との直接の体験というのは、もちろん直接性という点では非常に意味が深いのですけれども、その機会が失われているし、かつ、直接の触れ合いというのは、ある意味、限度もあるわけです。
 他方、SNSというのは非常に拡大をしているわけです。幅広くいろいろな人と交流ができるのですけれども、その質のようなものは当然十分確保されているわけではないので、そのような様々な子供たちが大人になるまでの間に積むべき知の経験の中で、読書というものはいかに重要であるかということについての共通理解を、私は必ずしもうまく言葉では言えませんけれども、そのような事柄としての共通理解を広げていくということがとても重要で、先生方になられる教員養成の場面でも、もちろんほかのことも大切かもしれないけれども、私は読書というものの重要性は、教員養成課程の中で当然位置付けられるべきではないかと思います。
 それをどうやって先生方に、英語もやらなければいけないし、情報教育もやらなければいけないしという、いろいろやらなければいけないことが多い中で、でも読書は非常に大切なものであるということは共有していただきたいと思っていますので、進め方についてはまたいろいろ文科省の中でも相談をさせていただきたいと思いますが、思いとしては、そこの重要性ということについては共通理解を是非していただくことが必要なのかなと思っています。
 そして今日も様々な御意見を頂いて、読書の重要性というような、とても中核的なお話、それから他方で、このことを前に進めていくために、専門的、技術的にどのような点をもう少しうまく文言の中に書き込まなければいけないのかという御示唆も頂きましたし、また、このまとめを読んだ方がどのように受け止めるかという、これまで活動を進めてきた方々、あるいは読書活動には余り縁のなかった方々も含めて、この報告書をどれだけ多くの方に読んでもらい、かつ、読んでいただいた方に説得力を持って受け止めていただくためにはどうすればいいかというようなことも含めて、お話を頂いたわけですので、今日の御指摘を踏まえて、更にこれを磨かせていただいて、座長とも御相談をして、まとめさせていただきたいと思っております。
 それから、これも冒頭に御指摘いただきましたけれども、この論点まとめと国の第四次の推進計画との関係ということでございます。先生方は既に第三次の計画も十分読んでいただいて、念頭に置いていただいているわけですので、お感じになっていただいていると思いますけれども、この論点まとめでは、第三次までの計画の進捗状況を踏まえて、今この時点に立って何が重要なのか、強調すべきポイントは何なのかということに重点を置いて御議論いただいたと思っておりますので、このことをベースとして計画を立てさせていただくのですけれども、他方で、第三次の計画との比較を考えてみますと、行政の閣議決定の計画ですので、幅広く目配りをして、第三次計画では入っていたのだけれど、第四次計画では全く入っていないではないかというわけにもいかないところもあろうかと思いますので、そこは行政的に検討させていただいて、今回先生方にお話しいただいた今の時点にとても重要なことは、しっかりと強調して盛り込ませていただき、かつ幅広く目配りをしなければいけないところについても、併せて整理をさせていただいて、閣議決定の計画については文案を練らせていただきたいと考えておりますので、その点は是非御了承いただきたいと思ってございます。
 今回、秋田座長以下、副座長はじめ委員の皆様方、大変御多忙の中を、この会のためにお越しいただきましたので、この点について改めて感謝を申し上げますとともに、今後も先生方に、是非読書活動の推進に関し、引き続き御指導をお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。

【秋田座長】
 御挨拶ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

―― 了 ――


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