【資料4】第1回会議の自由討議における主な意見


資料4


【検定試験の意義】
○  資格・検定などのきっかけがあることで、学ぶ機会に参加してこなかった人が学びに参加するようになる。

○  日本の成人の基礎能力は高いが、職場でのスキルの活用、特に、問題解決能力やICTの活用能力は先進国の中で低いという調査結果がある。日本は、スキルの活用状況が低いことから生産性が低いことにつながっているということかもしれない。

○  生涯学習や資格・検定をつかって能力を高めることが重要であり、さらに、その先にそれを活用させるような条件整備が社会的に必要。検定事業者側においても、その先のことを視野に入れて、検定のシステムをつくるということも必要。


【評価の意義】
○  検定試験の結果は、物理的に存在しないものを数値化したものであり、検定試験はある意味での測定技術である。その測定技術・測定器具をどう品質保証していくかということが重要。

○  第三者評価・自己評価を通じて、客観的に実施団体を評価することで、できるだけ検定が消えていくことがないようにできるのではないか。

○  日本の製品は品質管理がなされており評価が高いが、検定試験の品質管理はなされていないことが多い。しかし、日本では受検者はそれをあまり問わないことが多い。問題がいいか悪いかは見ただけではわからないし、受検者だけではなく、もしかしたら検定実施団体でさえもわからない。

○  共通の基準・ガイドラインがあれば、例え第三者評価を受ける段階まで至らなかったとしても、一定の信頼性をもった新しい検定試験をつくることができるのではないか。


【自己評価の意義・課題】
○  自己評価の意義として、
・ 客観的に検定試験を捉えられ、欠点を改善していくことができる。
・ 新しい検定は、その質が一定程度の基準まで達しているかを確認できる。

○  現行の自己評価シートの問題点として、
・ ABCDEの評価の捉え方が難しく、評価基準が個々人で異なってしまう。
・ 小項目には重複した内容があり、整理統合が必要である。
・ 分かりやすい表現にすることが必要である。
・ 小見出しをつけるなどの工夫が必要である。
・ ITの進展などを踏まえた項目の見直しが必要である。


【第三者評価の意義・課題】
○  第三者評価の目的は、信頼性の確保、質の向上を図ること、社会的地位の向上を目指すことという観点で重要であり、賛同。第三者評価は信頼性を高めるという裏付けになる。

○  入試や企業の採用で優遇される検定試験にとって、第三者評価を受けることは必要。

○  第三者評価の信頼性を確保するための審査のポイントとして、
・ 実施団体の財務状況
・ 試験問題の内容、作成体制・過程
・ 的確な審査・採点状況
・ 情報公開
・ 個人情報保護の体制の確保
・ 情報管理対策(試験問題の搬送・保管)
・ 結果を示す証明書・合格証における試験の程度の明確化など

○  第三者評価の推進に当たり今後必要なこととして、
1 検定実施団体に対し、審査の項目・基準・方法を明示すること
2 作問体制・問題内容の審査に対する考え方や機密保持に関する考え方を整理すること

○  第三者評価機関には、検定実施団体を「育てる」という視点が必要であり、助言などのコンサルタント的な機能があると良い。

○  検定試験が信頼されるためには、テスト理論の科学的な論拠に基づいた裏付けも必要。ただし、検定試験は多種多様で数量化できるものばかりではなく、それに対してどういう測定技術がつくれるかというのは、テスト理論側の課題。

○  テスト理論だけで評価が難しい検定もあり、テスト理論は、ひとつのツールとして捉えて評価をしていくべき。

○  小規模な検定実施団体も受けられるよう、費用や事務負担に配慮する必要がある。

○  第三者評価の頻度は、3~4年に1回程度がよい。

○  第三者評価を受けていることを情報公開していることも重要。
 
【検定試験に対して求めること・評価にあたって重視すべき観点】
○  受検者は、資格を発行する団体については、関心を持っていない。これは、資格を発行する団体は信用に足るものと考えているというポジティブな評価があるため。

○  検定試験に求めること・ガイドラインに含まれているとよいこととして、
・ 検定試験のレベルがわかる枠組み。
・ 検定試験が、学力の三要素(「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」)を、直接・間接に示すものであること。
・ 会場がどれだけあるかということ。
・ 費用が安いかということ。
・ 受検者の本人確認。
・ 評価水準の安定性、正確性、妥当性。
・ 情報公開しているかなどの説明責任・透明性の確保。
・ 全体的なチェックが効いているか、PDCAがきちんと回っているかということ。
・ その内容がそれまで学習してきたことを測れるかどうか、学習指導要領との関連。
・ 実際にその後どのように活用できるのかということ。
・ こういうところをがんばったら次はこうなるという指標などのその後の学習の材料。

○  中長期的には、欧州のQualification Frameworkのような形で試験のレベルを示すことを考える必要があり、これを視野に入れたガイドラインであってほしい。

○  「ハイステークス」な検定(人生を左右する試験で、大規模に行われているもの)を考えるとき、米国での訴訟のケースをみると、特に法的・倫理的な問題から、マイノリティや障害者を公平に扱っているかどうかというfairnessの概念が出てくる。これは、テスト結果がどういう手順で測っているかという専門的・技術的な観点から議論されている。社会が高度・複雑化する中で、fairnessという概念は意識して考えておかないといけない要素。

○  テストの品質管理については、妥当性と信頼性の概念がある。テストの妥当性とは、テストが測ろうとしている大きな概念をテストがきちんと測っているかを検証するということ。また、テストが測ろうとしていくことに対して内容がふさわしいかということを検証すること。テストの信頼性とは、大きく二つ。1 テスト得点の安定性。同じテストを同じ人が複数やったとき、だいたい同じ点数になった場合、そのテストが信頼できるということになるということ。2 テストの一貫性。そのテストが統計的に分析しても、本当に一つのことを測っているかということ。

○  民間活力を削がないことが重要。検定試験は自由にやらないと活性化しない。評価は基本的に事後チェックでしかない。事後チェックをあまり重装備にしてしまうと、新しいものの展開が難しくなる。ミニマム・リクワイアメントとして、例えば、先ほどのfairnessや社会的正義を押さえておいて、あとは民間の事業センスを縛らないという考え方が重要かと思う。

○  自己評価から第三者評価に結びつけているという流れは当然だが、様々な小規模な検定試験を排除するような枠組みにならないようにしていく必要。なるべく柔軟にすべき。

○  今後の情報技術の発展により、様々な形での測定技術の発達が考えられることから、未知の技術にも対応する柔軟なガイドラインにすべき。


【検定試験の活用状況】
○  学校で検定試験を受検したけれども、その後、活用せず、継続学習もしていないために、「学んでも役に立たない」という考え方を植え付けられてしまった方々は、かえって学びから遠ざかっている。

○  大学入学者選抜では検定を出願要件にしたり、合否判定時に使ったりしている。これには、概ね以下の3つのパターンがある。
・ 特定の領域についての高校の学習成果の代替指標とする。
・ 特定の領域で優秀な技能の指標になる(英語の4技能など。水準が高いと客観的に示されているものは、得点化したりみなし満点にしたりする等)。
・ 学習意欲を間接的に証明するものとしてみる(検定をとるためにがんばったという人柄)。

○  入学後は、単位の振替や卒業要件にするなど多様に使う機会はあるが、大学全体としてはまだ十分活用が進んでいない。

○  工業高校では、資格・検定を、1 自己の能力・学力の状況を測るもの、2 仕事に直結する資格については進路(進学・就職)で必要なもの、という両面から活用。検定試験は、学習成果を総合的に評価するのに有効。

○  工業高校校長協会では、生徒が取得した資格・検定をポイント制で表彰するマイスター制度を導入。学習成果を総合的に評価・顕彰することで、工業高校生の学力保証・意欲の向上につなげている。大学のAO入試や推薦入試で評価いただいている学校も増加。毎年、1万人強がジュニアマイスターのゴールドやシルバーを取得。

○  小中学校では、検定に向かって学習意欲の向上・学習習慣の定着を図ること、基礎基本を定着させることとともに、その後の進学での活用に利点を求めている。

○  専門学校としては、将来の就職等に必要である資格、学習意欲を喚起する資格、こういった資格・検定については相当力を入れている。



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文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課

民間教育事業振興室 民間教育事業第一係

-- 登録:平成29年02月 --