学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成29年7月10日(月曜日)17時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 最終まとめ(案)について
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【堀田座長】
 それでは、定刻より少し早うございますけれども、ただいまより学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議の第7回を開催いたします。
 本日もお忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、たくさんの方、傍聴に来ていただきまして、ありがとうございます。
 本日は、御都合によりまして生田委員が御欠席と伺っております。代理として、視聴覚教育協会事務局長の下川様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 前回、論点整理(案)について皆さんに御議論いただいたわけですが、本日は、それを踏まえまして、事務局にて最終まとめ(案)を取りまとめていただいてございますので、そこに対して御提案を頂きまして、皆さんに御意見を頂くことになっております。また、この会議は本日で最終回となりますので、是非、取りまとめに向けまして御協力を頂ければと思います。
 それでは、早速ではございますけれども、最終回に当たりまして、文部科学省生涯学習政策局の有松局長より一言御挨拶を頂きます。

【有松局長】
 本日は、お忙しい中、本有識者会議に御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 今、座長からお話がありましたように、この有識者会議も、本日、第7回を迎えました。これまで、先生方には大変精力的な御審議を頂いてまいりました。本日、最終まとめ(案)を御審議いただくまでになりましたこと、本当に有り難いと思っております。
 この有識者会議におきましては、次期の学習指導要領を見越して、具体的にどのようなICT環境が学校に必要なのかということを、実際の授業まで掘り下げて、丁寧に御審議を頂きました。その成果である効果的なICT活用検討チームの報告書は、教育委員会や学校現場にとりまして大変参考になるものと考えております。文部科学省では、これまで頂きました御意見、そして本日、これからお取りまとめいただく予定の最終まとめを頂きまして、それを踏まえて、全国の地方公共団体にICT環境整備の必要性について御理解をしっかりと頂き、見通しを持ってICT環境整備を進めることができるように、必要な財政措置の要求をするとともに、教育ICT環境整備指針の策定に向けた検討を更に進めてまいりたいと考えております。
 本日、最終回になりますが、是非、最終取りまとめに向けまして御協力、賜れればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 なお、有松局長は、公務のため途中で退席されると伺っております。どうもありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。最終まとめ(案)につきまして、説明を事務局よりお願いいたします。

【松本課長補佐】
 失礼いたします。第7回会議の資料でございます。すみません、資料を最初に確認させていただきたいと思っております。
 座席表の下に議事次第がございまして、資料1が最終まとめ(案)でございます。見え消しになってございます。第6回の論点整理からの修正が分かるように、見え消しとしているところでございます。資料2が、それを反映させた最終まとめ(案)でございます。そして、前回、配付させていただいたものと同じ、効果的なICT活用検討チームの別紙でございます。そして、参考資料1として、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第6回)の議事録がございます。議事録については、既に委員に御確認を頂いているかと思いますので、特に修正等なければ、このままホームページにアップさせていただきたいと思ってございます。
 資料の過不足等あれば、御連絡を頂ければと思います。
 続きまして、早速でございますが、資料1に基づいて最終まとめの御説明をさせていただきたいと思ってございます。
 資料1を御覧いただければと思います。前回の会議の論点整理から変わった点に絞って、簡潔に御説明させていただきたいと思っています。行番号がございますので、ページと行番号で御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページ目、13行から19行まで若干の修正がございます。この点については、文章を改めて見直し、委員等の指摘も踏まえて文章を適正化させていただいているところでございます。
 2ページ、3ページは、特に修正ございません。
 4ページは、若干の文章の適正化がございます。
 5ページ目でございます。2.検討の視点でございますが、7行目から12行目までは文章の適正化でございます。
 14行目、個別学習やグループ別学習、繰り返し学習等々と、4行ほど赤字を追加してございます。この点については、前回の会議での東原委員の御指摘、中教審及び指導要領に触れられている部分のエッセンスを書いているところでございますけれども、ここの検討の視点、まさに個別学習等も中教審で言われているところでございますので、このエッセンスも追記させていただいている次第でございます。
 また、5ページの下から2つ目の丸、23行目からでございます。ここは、前回の会議の堀田座長の御指摘でございます。これまでの情報活用能力と、これからの情報活力能力は異なるんだということを改めて明記させていただいてございます。「『情報活用能力』は、『世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉えて把握し、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力』と定義されているが、この『情報活用能力』の育成のためには、図書等の活用も有効である。しかしながら、社会生活の中でICTを日常的に活用することが当たり前の世の中となっている中で、これからの子供たちが活躍することとなる将来を見通しして学習環境を考えるのであれば、情報の収集、判断、表現、処理、創造、発信、伝達といった学習活動を行うに当たって、ICTを活用することを前提として教育環境を整えることは、国や教育委員会等の行政又は設置者としての当然の責務である。その際、我が国は、学校においてICTを活用できる環境が、OECD諸国と比較しても十分でないことを認識しておく必要がある」という文言を追記させていただいている次第でございます。
 6ページを御覧いただければと思います。「これらのことを踏まえた上で」と書いてございます。この点については、文章の流れの観点から1行、追記しているところでございます。
 7ページも、小さな修正でございます。文章の適正化でございます。
 8ページも、同じく文章の適正化でございます。
 9ページを御覧いただければと思います。9ページの5行目からでございます。「以上のように、検討チーム報告は、教科に関わらず、ICTを活用しなければ実現できない学習活動が存在し、このような学習活動は、今後の児童生徒による情報の収集、判断、表現、処理、創造、発信、伝達といった学習活動を前提とする主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善において効果的であり、かつ不可欠であることを示したものと言える」。この点も、前回の東原委員の御指摘を踏まえて、検討チーム報告の具体のICT活用の授業実践事例から、ICT活用が不可欠であるというところを、もう少しつながるように記載したらどうかという御意見も頂いたところでございますので、修正させていただいたところでございます。
 10ページ目、御覧いただければと思います。「上記の観点を踏まえ、特別支援学校や特別支援学級をはじめ」と「特別支援学級」という言葉を追記させてございます。毛利委員から、前回、特別支援学級のための教室についても記載してもらいたいという御指摘を頂いたところでございます。後にも出てございますが、学校だけではなく、特別支援学級についてもここで追記させていただいている次第でございます。
 12ページを御覧いただければと思います。ここからは表でございます。表の大型提示装置という所に「普通教室(特別支援学級関係室等を含む。)及び特別教室への常設」という記載で、「特別支援学級関係室等」を追記させていただいてございます。小学校設置基準においては、普通教室、特別教室のほかに、特別支援教育のための教室という言葉がございます。この言葉を入れてもいいんですけれども、特別支援教育のための教室と言うと、通級による指導のための教室とか、こういうものはどうなるんだという話もありますので、当該通級のための教室も含むような形で、特別支援学級関係教室等という表現とさせていただいている次第でございます。
 大型提示装置の2つ目の※でございます。「なお、本有識者会議では、教員による大型提示装置を活用する際に、指導者用の『デジタル教科書』と組み合わせての活用ニーズが高いとの指摘もあった」ということでございます。前回、堀田座長からも御指摘いただきましたが、指導者用デジタル教科書が大型提示装置とセットで導入されているという実態も踏まえて、現状を追記させていただいた次第でございます。
 12ページの実物投影装置のところは、先ほどの説明と同じ修正でございます。
 13ページも、文章の適正化、及び先ほどの説明と同じでございます。
 15ページでございます。校務等を支えるICT機器等と設置の考え方の、ネットワークという所でございます。「有線LAN(職員室(校長室及び事務室を含む。)、保健室等」という修正をさせていただいてございます。前回、太田委員から事務室も考慮すべきであるということ、また、毛利委員から校長室という御指摘を頂いているところでございますので、その御指摘も踏まえ、修正したところでございます。
 16ページでございます。大型提示装置の所、表3、※でございます。「各地方公共団体においては、『大きく映す』というマル1の提示機能は必須とした上で、実際の学習活動を想定し、どのような機能が適当かを検討しつつ、効果的かつ効率的な整備を行う観点から、配備を進めることが適当」ということでございます。本日、御欠席でございますが、前回、生田委員から、マル1とマル2を余り峻別し過ぎないようにという御指摘を踏まえ、優劣関係を示さない形で表現を修正させていただいた次第でございます。
 17ページは、特別支援学級関係室等ということで、先ほどと同じでございます。
 18ページ、御覧いただければと思います。ここも「普通教室(特別支援学級関係室等を含む。以下同じ)」ということで、先ほどと同じ理由で修正させていただいている次第でございます。
 21ページでございます。1行目から7行目については、文章の適正化でございます。
 今後の課題については、一部追記をさせていただいています。全体として、第2回の佐賀県の副教育長のプレゼン内容を踏まえて内容を少し追記してございますが、情報を追加しているということで、本質的な修正はないところでございます。
 以上になります。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 前回の会議で、皆さんからたくさん御意見を頂きまして、それをうまく反映していただいているかと思います。とはいえ、前回、欠席の方もいらっしゃいましたし、おおよそまとまりかけているところではございますけれども、更にまだ書きぶりをこういうようにした方がいいのではないか等の御意見がありましたら、ここで皆さんに頂くというように考えているところでございます。
 文部科学省では、これが最終まとめになりました後には、今後、地方財政措置の検討を行うことになります。さらに、先ほど局長からもありましたけれども、教育ICT環境整備指針という具体的な指針の策定を年度末までに行うことになります。その基になる方針を最終まとめとして固めているということになります。
 それでは、これから30分ぐらいでしょうか、自由討議となります。どなたからでも結構ですので、いつものように御意見を頂ければと思います。これでよいというのもありです。
 毛利委員、お願いします。

【毛利委員】
 つくば市の毛利です。7回にわたって取りまとめということで、とてもすばらしくまとまっていると拝見いたしました。
 9ページの6行目から9行目の所、ここは非常に気に入っているというか、今までは、ICTは使っても使わなくても学習できるけれども、使うと効果があるとか、理解が進むというような言い方が多かったと思うんですけれども、ICTを活用しなければ実現できない学習活動が存在しということで、例えば遠隔の授業や、プログラミング学習のようなものや、アクティブ・ラーニングとか、様々なICTを使わなければ実現できないような授業、そして、それが世の中では、いろいろな研究を進めたり、物事を決めたりすることには当たり前に使っているような技術を、学校にも入れていくという内容が入っているところはとてもいいと思いました。
 以上でございます。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 続いて、いかがでしょうか。赤堀委員、お願いします。

【赤堀委員】
 私の方は、日本教育情報化振興会という企業の立場なので、先般、こちらの内容を主要な企業の方に、御意見を頂いたということで、ちょっとそういう意味で発言させていただくということでお許しいただければと思います。
 全体的には、私とすれば、非常に現場の内容を酌み取っていただいて、これまでにない、先般も申し上げましたけれども、よくまとめていただいている指針だろうと思っております。ただ、ステークホルダーとしての教育とすれば、企業もまた非常に重要な役割を担っているわけで、そういう立場で言うと、こういう点はということを私が代弁という気持ちで申し上げたいと思います。
 まず、13ページの学習者コンピュータの件であります。これについては、先般も私、ちょっと申し上げましたけれども、※が付いている所がございます。この※の内容を見ますと、コンピュータ教室の学習者用コンピュータを、順次、普通教室等に活用できると。これは、多分、現実的にはそのとおりだろうと思います。ただ、企業から言うと、コンピュータ室はコンピュータ室でいろいろな活用が考えられるので、新たに普通教室は普通教室用のコンピュータ、あるいは端末を設置するような方向が望ましいということで、書きぶりはともかく、やはりそういう精神が欲しいということが1点であります。
 2点目は、その下にある指導者用コンピュータ、これは文章をどう理解するかということでありますけれども、授業を担任する教員それぞれに1台分ということですが、多分、職室には先生方のコンピュータがあると思うんです。ここで言う授業を担任する教員というのは、授業用の先生1台なのか、校務を含んだ1台なのか、そこがちょっと分かりにくかったという意見がございました。できましたら、校務用と授業で使うコンピュータが先生に1台ずつあればいいのではないかと思っております。
 次の14ページであります。学習用サーバ、これも一番最後に書いてありますように、当面、各学校1台分のサーバの設置を前提とするということで、現実的にはそのとおりだろうと思います。これも先般、ちょっと申し上げましたけれども、企業側で言うと、いずれはクラウド環境になっていく。この文章を見るとクラウドが望ましいと書いてあるので、その含みもあるんだけれども、これを前提とすると強い文章なので、いずれはクラウドに移るのではないかというニュアンスがどこかに出るといいのかなという意見でありました。
 それから、16ページの大型提示装置の件であります。実は、要望が一番強かったのはここであります。この前の御説明で「大きく映す」、これはもう一番重要な機能なので、誰も反対はいたしません。ただ、インタラクティブ性が電子黒板の非常に特徴であると。現実に考えると、確かに大きく映すということは最低限保証されなければならないけれども、インタラクティブ性もまた重要ではないか。簡単に言ってしまうと、これまで電子黒板はいいと普及していた。そして、導入した学校もあるんだけれども、今度はそれよりも大きく映すだけだというと、そのニュアンスがちょっと表に出る。書きぶりとすれば、こうならざるを得ないという気持ちはよく分かるんですが、電子黒板もどこか必要ではないのか。これまで導入した学校にとっては、そこをちょっと表現していくといいんだがという声が、実は非常に多くあったということを申し上げておきたいと思います。
 最後、18ページでありますけれども、先ほどと同じですが、丸の3つ目「その際、とりわけ小学校については、コンピュータ教室を必ず活用することを前提とした特定の教科等が存在しないことも踏まえ」ということで、これは先般、プログラミング教育等で私も申し上げましたけれども、できましたらコンピュータ教室の端末、プラス教室で使う端末という形の設置基準がいいのではないかという声がよくありました。
 まとめられるのは大変なのでお任せいたしますけれども、そんなことを私の方でちょっと申し上げたかったということで、発言をさせていただきました。以上であります。

【堀田座長】
 ありがとうございます。
 事務局の方で、今のことについて何かございますでしょうか。

【松本課長補佐】
 ありがとうございます。
 コンピュータ教室の御指摘については、前回も赤堀委員から御指摘を頂いているところでございます。まさに引用いただいた18ページの7.教室の考え方でございますけれども、ICTの機器等を効率的に使うという観点からすれば、普通教室のものを可動式に変えていくという考えもありますけれども、いずれにせよ、そこについては、アイデアとしての紹介はさせていただいていますけれども、授業設計については、どのように配備するかというのは、基本的には授業をする各学校の考え方に沿って整備いただくということで、コンピュータ教室が要るとか、要らないとか、そういうことについては、本有識者会議の最終まとめの中には入っていないという認識でいるところでございます。
 その他、いろいろ貴重な御指摘ありがとうございます。例えば、学習用サーバについても将来的には一元化の方向、これは効率性の観点、またセキュリティー上の観点、いずれにしてもその方向になっていくと思っている一方で、現在、8割近くで学習用サーバがあります。その学習用サーバをいずれ一元化するためには、ネットワーク環境等々、改善すべき点かあるかと思います。そういう意味では、これは今後の指針の記載ぶりもあるかと思いますけれども、当面、学習用サーバが現場にあるということも想定した対応が必要になってくると思っている次第でございます。
 あと、指導者用コンピュータのところでございます。これについては、まさに授業を担任する教員、校務用パソコンとは別の概念でございます。指導者用コンピュータということで、先生が持つパソコンは、教室で学習系のLANにつないで、例えば指導者用デジタル教科書をその中に入れるとか、子供用の端末とは少し違う仕様になる一方で、やはり基本的には子供と一緒に学ぶために使うものであると思っているところでございます。その概念を新しく付け加えたというのは、前回の4か年計画とは違うところと思ってございます。
 この点については、まさに授業を担任する教員が持つべきものであって、授業を担任しない教員も学校の中に入るわけでございます。授業を担任しない教員まで常に持っていただくというのは、効率性の観点からすれば少しオーバースペックかなというところもございますので、あえて授業を担任する教員という表現をさせていただいてございます。校務用端末を技術的に分離して、指導者用と共有するというやり方等々もあるかもしれませんが、いずれにせよ、子供が端末を持って教員が持たないということもなかなか考えられないということで、指導者用コンピュータという概念を整理させていただいているところでございます。
 大型提示装置については、いろいろ御指摘いただいたところでございますが、まずは大きく提示するということ。大きく提示する機能というのは、インタラクティブ機能がある、なしに関わらず必須でございますから、そのことは優先順位なしに、当然のことですので、必須と表現させていただいた次第でございます。インタラクティブ機能が必要かどうかというのは、学校の授業上、学習指導上のニーズに応じて、自治体で計画的に整備していただくというように考えている次第でございます。
 長くなりましたが、以上になります。

【赤堀委員】
 ありがとうございました。結構です。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 これを進めていくためには、業界の御協力はもちろん不可欠ですので、できるだけそれを反映させていく形で進めてまいりたいと思います。きょう、最終回ですので、どこまで反映できるか、またちょっと別の話で大変恐縮ですが。
 ほかにいかがでしょうか。では、前回、お越しになれなかった柴田委員、いきましょう。

【柴田委員】
 私としては、高校で勤務している立場で、発言をさせていただきます。小・中学校でICTを活用して学習活動が充実できるという具体例があったので、これを今後、高校にも広げていくことが必要かと思いました。若干小・中学校と違うところもあると思います。その1つは、教科・情報という情報教育を担う教科があるところと、高校生は1人1台、スマートフォンをほぼ持っているという現状があること。ここをうまく活用していくのが近道なのではないかということは、度々発言させていただいたところです。この辺が中学校とちょっと違うところかなと思いますけれども、小・中学校の事例を高校に広げて、整備に向けて具体的に説得していくことができるかなと思いました。
 以上です。

【堀田座長】
 ありがとうございます。
 小﨑委員はどうでしょうか。

【小﨑委員】
 失礼します。奈良県の小﨑です。
 ICT環境整備という言葉で、奈良県で整備を行っていく中で、先生方とか、小学校の子供たちとかを見て、ICT機器を使うための環境で見えてくる要素があります。奈良県の高校では、コンピュータ室をアクティブ・ラーニングルームという、小学校の多目的室のような部屋に変えて、2 in 1の端末と可動式で折り畳める机と椅子を導入して、教室を整備しています。そのようにコンピュータ室を変えていくと、普通教室でも同じ環境があればいいなという話が出るようになりました。
 そこにある可動式端末を生かすためには、単に端末があるだけでは授業は成り立ちません。やはり大切なのは、ネットワーク、無線LANの環境です。2台しかつながらない、3台しかつながらないということがストレスになって、授業がうまく成り立っていかないと感じる要素になっています。
 例えば、15ページの校務用コンピュータのデータ、「一部の学校においては、職員室等においても無線LANの環境」という書きぶりですが、奈良県の場合、職員室は無線LANがベースになっています。校務用端末を接続するネットワークは有線、教育活動用のネットワークは無線という考え方で両方を整備しています。先生方の一番のニーズというのは、教室に行くときに出席簿の代わりに、タブレットを持っていって、ピッピッピッと出席をとって帰ってくるような校務システムが欲しいとか、その端末をそのまま授業で活用したいとか、校務系のネットワークと教育系のネットワークを横断的に利用したいというところにあります。無線を利用する端末を使うためには、ネットワークのしくみと質の問題がありますので、今回の書きぶりの中に含める必要はないとは思うんですが、無線LANは単にあればいいということではなくて、質をどう保証するかという辺りにもより踏み込んで触れていければいいのではないかと思いました。
 以上です。

【堀田座長】
 貴重な御意見、ありがとうございました。
 ほかにどうしてもということがあれば御発言いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。益川委員。

【益川委員】
 とてもいいまとめになったと思います。最後、ちょっと補足的に追加していただけるとうれしいと感じたのは、21ページの今後の課題の下から2番目の丸です。今後の課題でコストのことが結構取り上げられていると思うんですけれども、「ICT機器等については、そのハード面及びソフト面の機能について、壊れないこと等を過度に求めた場合、結果として、調達及び管理運用コストが上がり、かえって学校におけるICT環境が進まなくなり」、この後「児童生徒によるICTを活用した学習機会を奪うことにもつながりかねない」という所で、具体的にもう少し、どういう学習機会を奪うことになるかという記載があるといいかなと思いました。例えば、「授業展開に応じて必要なときに1人1台環境での児童生徒によるICTを活用した学習機会」とか、もう少し具体的に入れていくことで、コストとのバランスを見ながら、どのように整備する必要があるかというところを強調していただけるとうれしいと思いました。
 以上です。

【堀田座長】
 ありがとうございます。
 水谷委員、お願いします。

【水谷委員】
 本当に事務局の皆さん方、ありがとうございました。自分は、今回、5ページに入ったICTの日常化というところが一番ポイントだと思っています。世の中でICTが日常化しているのに、正直言って学校は日常化していなかったという現実があって、これまで導入するときに財政当局に説明するときもなかなか苦労してきたわけですが、ここで正面切って、やはり世の中と一緒で学校も日常化しなければいけないというメッセージを出していただいたことにより、これから進んでいく可能性が非常に高くなったと思いました。何度も言ってきましたが、小学校の現場として、常設して教師が日常化し、端末が増えて子供が日常化していくということは、次の学習指導要領を完全に実施するためには非常に大事なことなので、このメッセージは非常に大事だと思いました。ありがとうございました。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 
 東京学芸大学の高橋です。取りまとめに向けて、皆様、ありがとうございました。私も、この最終まとめで十分だと思っています。
 その上で、改めて振り返ってみますと、水谷委員からも常設とか、常に使うという話がありましたけれども、全ての子供や教室にICTをとにかく速やかに届けようという趣旨で、この最終まとめはできたんだろうと思っています。とはいえ、安かろう悪かろうというか、最低限のスペックを満たしていなければ困りますので、そういった意味で最低限必要なものを示したんだろうと思っていますが、これ以上のスペックや台数のICTを整えることは別に否定されているわけではなくて、むしろ推奨されていて、とにかくまずは数を整えるという意味での指針だと思っています。逆に言いますと、台数がこのまま同じ、これまで整備しようと思っていた台数にして、予算が安く済んでよかったということにならないように、この予算の中でなるべく台数をそろえるんだというような趣旨が方々に伝わればと思っています。
 というのも、新しい学習指導要領の解説、新旧総則で、教育の情報化に関する用語はどれが一番増えたのかと数えていくと、一番は情報活用能力です。2つ目はプログラミングで、ゼロからたちまち16か所ぐらいに書かれているわけです。いずれにしても、児童生徒がICTを活用する学習活動が総則に書かれたということを考えれば、これを実現するためには必然的に子供の人数分だけ台数が必要というわけで、ある程度高スペックな物が欲しいとはいえ、これまでのいろいろな経緯を踏まえて、最低限のスペックで台数を整えるということは、新しい学習指導要領を速やかに実現する意味でも大変重要な最終まとめになったのではないかと思っております。
 長くなりましたが、以上です。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 東原委員。

【東原委員】
 委員の方々の御意見を入れていただいて、きれいに、難しいところもうまくまとめていただいて有り難いと思っております。しかし、課題はこれからだと思うんです。論点整理(案)とか、ホームページ上にも情報が載りましたので、いろいろな機会にご紹介してみました。ここまで示されても、それでもやはり整備は難しいというのが私の実感でございます。これから、教育ICT環境整備指針というきちんとしたものができていくということは予定されているわけだけれども、それができれば本当に実現していくかというところがまだまだ懸念さます。まずは、学習指導要領によりICTの方向を後押しする根拠ができたということはいいことです。それから、教育ICT環境整備指針が出てくるということも重要ですが、これだけではなかなか動かない現実があると思うので、このまとめはこれで、これから先にどういう手をいろいろ打っていったらいいのかというところが、非常に重要になるのではないかと感じております。
 以上です。

【堀田座長】
 今、東原委員から、これからどうしたらいいかということも含めてお話しいただきましたけれども、是非その類いの御意見も、きょう最終回ですので、所感を含めて御意見いただければと思うところでございますので、皆さん1回はしゃべっていただくというつもりで、2回でもいいですけれども、時間は限られていますので、早めにお願いしたいと思います。
 山本委員、お願いします。

【山本委員】
 これを見させていただいて、すごく分かりやすくまとめていただいて、非常に整理ができたのかなと感じました。先ほどもあったように、これはやはり多くの学校に導入を促進するための、最低限、より多く入れていただいて、やはり子供たちの学習を支援していく。そのためにも、まだ進んでいない地域とか、学校で環境整備をしていただくための基準でもあるのかなと感じました。
 その意味でいくと、従来といいますか、これまでにもう整備してきた自治体とか学校が、これ以上のスペックのものを整備していくことを、決して否定しているものではないということがきちんと伝わっていくべきかなということも感じています。先ほど、今後のことということがありましたけれども、その点でいくと、やはりこれから整備を進める自治体とか学校にとって、より分かりやすい表現の仕方とかが必要なのかなと。
 この趣旨がより伝わるところということで、例えば画面サイズ、16ページに視認性を考慮したサイズとあって、まさにそのとおりで、一番後方からも見えるということは極めて重要で、黒板と同じように見えるとか、この後の説明の中でより具体的な表現を検討していきながら、いわゆる仕様レベルのことにつながっていくのかなと感じたところです。
 もう一点は、普通教室の表現のところですが、特別支援学級関係室等を含むというのは重要なことだと思います。ただ、全ての普通教室という文言の中に入っていると少し読みにくいということも感じまして、例えば脚注に特別教室とはと書かれてあるのと同じように表現する方法もあるのかなと。これは御検討いただいて、より分かりやすいレベルでという程度ですので、そういったところを感じました。
 以上です。

【堀田座長】
 ありがとうございました。今のは、脚注に普通教室とは特別支援学級も含むと書くのもありではないかということですね。

【山本委員】
 いいかなと。どちらでもありかなと思ったんですが。

【堀田座長】
 いいですか。

【松本課長補佐】
 ちょっと検討します。特別教室は施設の方で定義がございますので使いやすいんですけれども、普通教室の定義はなかなか法令等の文書で見付けられない可能性がありますので、その実態も踏まえて検討させていただきたいと思います。

【堀田座長】
 ありがとうございます。
 それでは、いかがでしょうか。太田委員、お願いします。

【太田委員】
 御苦労さまでした。ありがとうございました。先ほど水谷委員からお話しいただいたように、現場にいると、常設されていると使うようになりますとずっと言い続けてきたんですけれども、その常設のことについて書いていただいたことはとても有り難いと拝見させていただきました。
 21ページ、今後の課題という所ですけれども、コスト面、確かに大きな課題なので、最初の丸に書いてしまうわけにはいかないのでしょうか。「ICT環境整備を進めるに当たっては、ICT機器の低価格化が必要である」というような書き方ができるといいなと思いながら、見させていただいたところです。
 以上です。

【堀田座長】
 難しい課題をありがとうございます。
 下川委員代理、是非。

【下川氏】
 視聴覚教育協会の下川でございます。本日、会長・生田が欠席ということで、大変申し訳ございません。代理で発言させていただきます。
 この最終まとめ(案)についてでございますけれども、全国的なICTの整備を進めるという大きな目的のために、その考え方について非常に分かりやすく整理を頂いたということで、ありがとうございます。
 その中で、生田が前回も申していたことですけれども、いわゆる予算的な制限がある中で、これからの学習指導要領に求められる主体的で対話的な学びを進めていくことが求められています。表3の中で「大きく映す」という提示機能がまず大事だということが示されておりまして、それもよく分かります。そういった書きぶりについては、この形になるのかなということで、赤堀委員からもいろいろ御意見あったところでございますけれども、いわゆるインタラクティブ機能ということでこれまで使われてきた電子黒板、繰り返しになりますが、これまで活用されてこられた先生方の御意見としても、電子黒板を使うことで子供たちの視線が上がったとか、子供たちに変化があったということがよく言われております。今後のことについて先ほども御意見がありましたけれども、今後の動きの中で、ICT環境整備の策定に向けて、先行的な取組での成果を広く伝えていただきたく、その辺を是非お願いできればという考えでございます。
 そのようなことで、よろしくお願いしたいと思っております。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。そうすると、大体、御意見は頂いたということかと思いますので、中川副座長、お願いします。

【中川副座長】
 いろいろと本当にどうもありがとうございました。この委員の方々と、そして事務局の知恵の結集で、ここまで一つのまとまりとして方向性を示せたのかなという感じがあります。先ほど話がありましたように、委員会としては終了しますが、ここからスタートで、まさにこれからどうするかということを我々は、それぞれの立場でこれから進めていくということになるのではないかと思っています。
 最後なので、一員としてお話をさせていただくと、これまでずっと教師用と児童生徒用ということで進めてきましたが、主に教師用の提示用だけで終わらないようにしていかなくてはいけない。特にプログラミング教育だとか、キーボード入力だとか、新学習指導要領に書かれていることの円滑な実施には、やはり台数、数が重要なので、例えば13ページに書いてある3クラスに1クラス分の表記というのは非常に重要だと思います。それから、ICTの特質を考えると、何人かの委員が言われていたインタラクティブ性だとか、情報通信ネットワークの充実だとか、この辺は、私はとても重要だと思う次第です。
 一方、実際に多くの教員に、主体的・対話的で深い学びとか、教科の見方・考え方にICTがどうリーチするのか、その辺の実感を持ってもらうということがやはり重要で、本有識者会議としては整備がとても重要な課題ですけれども、実際に入って、これを活用して、実感してもらうということが、次の大きな課題としてあるのかなと思います。
 いずれにしても、それぞれの地域の整備状況の工夫、実態を踏まえつつ、これから整備を加速しつつ進めていっていただきたいと思う次第です。
 繰り返しますけれども、事務局、そして委員の方々に副座長としてお礼を申し上げて、終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 私も座長として、最後、一言、感想をお話ししたいと思うんですが、この会議は非常に難しい会議だと感じておりました。私も、今までICT活用の実践研究をずっとサポートしてきて、いい機材を入れれば、いい効果が上がる。いい教師が使えばですけれども、そういうことはある程度自明なわけで、それを認めつつも、今、中川副座長もおっしゃいましたけれども、これから次の学習指導要領で期待される新しい学習活動を考えたときに、できるだけ学習者用のコンピュータを、できれば普通教室でも多く使えるようにしないといけないという状況の中で、とはいえ財源には当然ながら限界がありますから、どこを、どこまで落として、その分を学習者用に振り向けられるかという、非常に難しい判断が必要な会議だったかなと思うところです。
 したがいまして、私も個人的にはいろいろな意見を持っていますけれども、とはいえ、ここは主張を取り下げるべきところかなと思うようなところは私自身もありましたし、多分、この分野で研究されてきた、実践されてきた皆さんも、同じような思いでいらっしゃる部分はあるかと思うんです。先ほど高橋委員が言ってくれましたけれども、できるだけ学習者用のコンピュータを多く入れることによって、学習の基盤となる資質・能力とされた情報活用能力を子供たちにしっかりと身に付けさせて、それによって主体的・対話的で深い学びを実現していくという、そのための環境整備の方針を示したのがこの会議だったと思います。
 そういう観点から言えば、この次に行うべきことは、具体的な指針、スペックレベルまでの具体的な落とし込みと同時に、これを活用した実践事例をどういうように分かりやすく、次の学習指導要領の世界を現場の先生たちに見せていくかというところが、中川副座長おっしゃったように課題かなと思っております。それはこの会議のミッションではありませんけれども、次なる会議にその辺がつながっていけばと思うところでございます。
 今回まで、皆さんからたくさん御意見を頂きましたが、前回と今回の差で言うと、多少、微修正等の部分は御指摘いただいたところではございますけれども、大幅に何か検討を要するようなところまではなかったかと私ども判断しておりまして、もしこれでよければ、原則としてはこのままお認めいただき、一部の表記については、皆さんの御意見を踏まえるということを事務局と私、座長に一任していただくという形で取り決めたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、一部事務局、座長預かりとはしますけれども、原則的な部分はお認めいただいたということで進めたいと思います。どうもありがとうございました。
 きょうは、これが唯一の課題ですので、これで終わりになるんですけれども、事務局、何かありますか。

【松本課長補佐】
 7回にわたり、ありがとうございました。以上になります。

【堀田座長】
 ありがとうございました。
 それでは、これにて学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議を閉会とさせていただきます。
 各委員の皆さんにおかれましては、お忙しい中、毎回のことですが、議事の運営に御協力いただきまして、ありがとうございました。
 たくさんの方、傍聴に来ていただきまして、ありがとうございました。
 これでお開きにいたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

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