学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議(新居浜会議) 議事録

1.日時

平成28年8月23日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

愛媛県新居浜市立泉川公民館

3.議題

  1. 学びを通じた地域づくりの推進の在り方についてヒアリング等
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、小曽根委員、古賀委員、重森委員、関委員、田原委員、原田様、平岡様(新居浜市)、田中主任(岡山市)

文部科学省

石丸社会教育官、石川社会教育課専門官

5.議事録

【明石主査】

 ただいまから新居浜での会議を開催いたします。
 本日は、まず会議のホストをしていただいた関委員、また新居浜市の皆さん、関係者にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 また、委員の皆様におかれましても、本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日はヒアリングのために、岡山市より田中様に御出席いただきましております。お礼申し上げたいと思います。
 それでは、事務方より資料の確認、本日の会議の流れを御説明してください。


【石川社会教育課専門官】

 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第、座席、それから資料1から資料4、その他机上資料を御用意しております。お手元にございますでしょうか。過不足ございましたら、またお知らせください。
 また、本日の会議の開催を快く引き受けてくださいました関委員、また新居浜市の職員の皆様に、事務局からも改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 さらに、事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。社会教育官の石丸でございます。


【石丸社会教育課社会教育官】

 石丸でございます。先週16日付で社会教育官を受任しました。社会教育課は十何年ぶりで2回目でございます。今後も社会教育の発展のために、是非お知恵をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。


【石川社会教育課専門官】

 それでは、本日の流れでございます。まず、関委員、また新居浜市の皆様から、公民館活動の事例でありますとか、高齢者の健康長寿の取組、また高校生の地域参画促進の取組、またそうした中で感じられた社会教育行政の課題等につきまして、御発表を頂く予定でございます。
 続いて、重森委員と岡山市京山公民館の田中様より、公民館におけるESDの取組につきまして、課題なども含めて事例発表を頂く予定でございます。
 最後に、古賀委員から実際に活動をされているNPOの視点から、行政との連携につきまして、社会教育の抱える課題も含めて御発表いただく予定でございます。よろしくお願いいたします。
 各委員の発表ごとに、質疑や議論を深める時間をとりたいと思っております。よろしくお願いいたします。


【明石主査】

 では、ただいまから、最初に関委員と新居浜市から御発表いただきたいと思います。40分程度でお願いいたします。


【関委員】

 すみません、マイクを借りさせていただいて話させていただきます。
 初めに、本当にこの新居浜の方に皆さんお越しを頂きまして、ありがとうございます。本当に遠路はるばるという方が多いかと思うんですが、今まで私もいろいろな形で文科省の会議も参加させていただきましたけれども、基本的には東京の方に伺っての話が多かったような気もします。今回、あえて新居浜の地でやっていただくということを、本当に文科省の皆さん方の御苦労もいろいろあったかと思いますが、本当にありがとうございます。
 今は日本全国いろいろなところで社会教育に取り組んでおりますけれども、なかなかそれぞれにみんなが、いろいろな課題や悩みを抱えて動いておる時代ではないかなと思います。そういうときに、地域の方にも目を向けていただいて、一緒になってこれからの社会貢献の在り方を考えていくという機会が得られたことは、本当にすばらしいことではないかと思っております。どうかこれからもよろしくお願いいたしたいと思います。
 また、きょうは後ろをぱっと見て、ふだんの我々が参加する会議とは全く違う雰囲気なんで、逆にどういう雰囲気でやったらいいかなと正直思っておるんですが、我々、新居浜のメンバーにも非常に貴重な機会がいただけたのではないかと思っております。
 こういった学びの中、きょうは岡山の事例でありましたり、福岡の事例を我々参考にさせていただいて、新居浜市のこれからの公民館、社会教育の方向性についても、いろいろな面で学ばせてもらえたらと思っております。

 初めに、私どもの方から新居浜市での取組を、非常に平板的になるかもしれませんけれども、余り映像を使わずに、勝手に好き放題なことをしゃべらせてもらうようになろうかと思いますが、御容赦いただけたらと思います。
 お手元に配っておる資料に流れを沿いまして、かなり寄り道をしながら話をさせてもらえたらと思っています。
 この新居浜市、現在人口12万3000ほどの町でございます。その中に18の公民館を抱えております。基本的には小学校区に1つの公民館を置くということで、今まで流れてきましたけれども、今は1つの小学校がなくなりましたので、大島という島なんですけれども、しかし地域のコミュニティそのものにとって公民館の大事さは、これからも継続していきたいという思いのもとに、18の公民館で今、活動を進めております。

 日本の公民館、もともとは非常に、平成に入って特に言いますと、生涯学習的な観点、個人の学習要望に対して応えるという公民館経営をしてきたような気がいたします。その流れだけではなかなかいけないよねという話も出て、自分たちで自分たちの地域を、みんなで考えてつくっていこうという方向に動こうということの動きが出たのが、平成18年、19年ぐらいであったかと思います。
 その後に、ここに書いておりますように地域主導型公民館という、そもそも公民館を考えたときには、公民館は地域主導で動くべき存在で戦後できたわけでございますけれども、あえてその原点に戻そうということで動き始めたものでございます。正直なところ、それまで正規職員の主事を置いておったんですけれども、その職員が非常勤職員に切りかわったというのはこの時期に重なります。それを否定的な面で捉えるのではなくて、地域みんなが地域の力で公民館を回していこうというのが、このときの思いであったかと今、感じております。
 平成20年から4年間、順次各地域の実態に応じて、正規職員を非常勤職員に切りかえていくという取組を新居浜はいたしました。そのことが、行政として市民サービスの低下になるのではないかという議論も、このときにいろいろ持ち上がったことを今、思い返します。なかなか住民が自ら地域をつくっていくという風土ではなかったこともありますんで、そこを一気に、もう自分たちでやろうという投げかけをしたときに、非常にそれに対しての反作用も働いておったことを今、感じております。
 新居浜の場合は、一気に全部門を切りかえるのではなくて、先ほど申しましたように4年間をかけて、順次切りかえてまいりました。その中で一つ、我々も一番心にとめましたのは、職員の質を高めていくことを同時にやらなければいけないということで、国立社会教育実践研究センターの社会教育主事講習のB日程の方、冬の方の講座をインターネット配信してもらうような手当てをして、ちょうどこの部屋なんですけれども、横の部屋の方か、そこでインターネットの配信を受けて、ここに今おります何名かの方々も、ここで社会教育主事を受講したメンバーとなって、今頑張ってくれておるところでございます。そういうふうな人づくりへの配慮もしながら、この地域主導型公民館を目指していったという経緯がございます。

 地域主導型というときに、一番その中にウエートを置いたのは、課題解決型の公民館を目指そうということでございました。地域にとって、なかなか何が課題なのかをそれまで余り考えずに、学級や講座の運営、あるいはグループサークルの活動の活性化、そういうところに力を置いていろんな取組をしてきたような気がいたします。それをみんなで話し合って、地域の課題を見出して、それを解決していくような仕掛けを公民館活動の中に組み込んでいく。それがこの地域主導の一番の狙うところであったかなと思っております。
 最初のうちは、確かにいろんな意味でぎくしゃくしてきましたけれども、今思い返してみますと、各公民館の中でそれまでは余り熟議といいますか、対応といいますか、そういう場面がなかったんですけれども、いつの間にやらそれが広がってきておるというふうには感じております。
 ただ、この事業に取り組むに当たって、やっぱり自分たちだけでは、なかなかゼロからつくるということは難しいということを感じました。先進の事例、いろいろなところに訪問に行って、そこでいろいろな人たちに教えを請う、先進的な事例のいいところをまねてくる、そういう形での取組をこのころしたことを思い返しています。

 そういう中で、今、地域主導に移行して8年、9年がたとうとしております。現在の公民館、どのような特徴を持った公民館活動が行われているのかということを、何点か触れたいなと思っております。
 新居浜市の公民館全体とはなかなかイメージできにくいんですけれども、割と公民館活動を見たときに思うのが、割と普通の地域というか、問題もなく、何事もなく普通に活動ができているときには、割と新しい活動は起こらないような気がしてなりません。ここには、あえてマイナス、それも極端なマイナスが新しい活動を生み出すということを、一番初めに投げかけたいなと思っています。
 多分、普通平凡であればその生活を続けていくこと、それが自分たちの一番いい選択肢であると考えるのが普通じゃないかなと思います。これは余り新居浜の人間がおるけん、ようよう非常に言いにくいんですけれども、この泉川という地域にある程度限定して考えてみると、ここの活動が起こるときに、いつでもマイナスの力が働いておった時期、そこからことが起こったような気がしてなりません。後でここで一緒におられるお二人の方からもお話をしてもらおうと思うんですけれども、1つは学校支援の活動でございました。
 泉川には小中学校それぞれございますけれども、そのうちの中学校の方が、今から10年ほど前、非常に荒れた時期がございました。朝、学校に行くと校舎の1階の窓ガラスが割れておったり、げた箱が荒らされてぐちゃぐちゃになっていたり、そういう状況の学校でございました。初めは、学校はなかなか外にそういうふうな情報を漏らしたくないということで、自分たちで解決していくような対応をしていたわけですけれども、余り言いたくないんですが警察が入るような状況が生まれて、どうにも自分たちではもう隠しておくことができないという状況に至りました。
 ちょうど4月の校長先生も変わった時期でありましたんで、変わった校長はその状況を見て、すぐに公民館にやってきたわけでございます。自分たちだけでは、なかなかどうにもならないと、何とか地域の力を貸してもらえないかというふうな、学校側からのSOSが発せられました。地域の人が、それに対して黙っておくにはもう忍びないと、絶対我々にできることがあるということで、早速、学校とタイアップして子供たちの環境をどうつくっていくか、そこに動く取組がそのときにできました。
 平成19年ぐらいですか、ちょうど学校支援地域本部とかの動きが起ころうとしておった時期と軌を一にしておったことを思い出します。初め、学校を見たときに、正門を入っていろんなところにごみが落ちている、あるいは環境が非常に乱れている。まずはそこを整えようと、地域のみんなが学校に入って、子供たちも一緒になって、きれいな庭づくりをしたのが一番のきっかけだったように思い返します。

 そして2点目、これもマイナスの要素でございますけれども、先ほど委員の皆さんと国道のバイパスを通っていったかと思うんですけれども、バイパスがこの泉川という校区の真ん真ん中を分断するような形で通っております。地域の一体感がそがれるというのが一つの要素でございますけれども、もう一つ、国の道でございますので、中に広い中央分離帯があるんですけれども、結局全部、国の責任に初めはなすりつけて、どんなに草が生い茂ろうとほったらかしにしておったような状況が続いておりました。
 そこに、この中のメンバーの1人なんですけれども、その人の発案で、この道は地域のみんなの財産なんだから、みんなできれいな道にしようじゃないかと。道路もこんなに草が生えておったら、いつ交通事故が起こるかもわからない。みんなで力を合わせて、この道路をきれいにしようじゃないかというふうな意見が出されました。
 初め、本当に100人ぐらいの人間が集まって、夏の暑い盛りに草を刈ったことを思い返します。その草を刈る行為そのものがきっかけでございました。その後、それをどうやって続けていくかという議論に移ります。国道の管理事務所の方に行って、そこの所長と一緒に、初めの方は地域の人間が押しかけていったと恐らくその事務所のメンバーも思ったようで、非常に身構えておったんですけれども、こちらからの発案は一緒になってこの道をきれいな道、いい道にしていきたいから、何とか一緒にやれませんかというふうな投げかけをいたしました。
 そのころはまだ、国土交通省も予算的なものを潤沢に持っておったんで、その年に中学校からお年寄りまでみんなが集まって、それもこの場でワークショップを年に6回ほど行いました。まだその道が延伸していくような道路だったんで、どうやったらいい道になるかということを1年かけて議論したことを思い返します。毎回、そのワークショップの結果がカラー刷りの新聞にされて、各世帯に配られました。みんな自分が言ったことがその新聞の中に載っとるわけですから、言ったことには責任を持つみたいな気持ちが生まれていきます。
 その後、国交省、新居浜市、そしてこの泉川校区の3者でアダプトプログラムの締結をやって、今までいろいろな形でその道をきれいにする活動が続いています。今は、中学生も中に加わってくれて、一緒になってその活動を進めている。非常に有り難いなと思っております。

 もう一つのマイナスは、新居浜市は非常に福祉面では充実した取組をしておる町であったと思います。老人の介護施設もいっぱいできて、その中で高齢者も余り待つこともなく、老後の生活、安心して暮らせたような気がいたします。しかし、それは同時に介護保険料等の負担を増加させてまいりました。前回の介護保険料の改定のときに、新居浜市は全国で9番目に高い介護保険料であるということが判明しました。このまま、その保険料が続行していくと、市の財政もしんどいと、我々の生活も苦しくなると。そのときに何ができるかということを、地域の中で考えました。
 一番いいのは、やっぱり自分たちがいつまでも元気で地域で暮らせること。そうすれば、介護保険料等の負担もかからなくて済む。自分たちも健康で生きがいを持って暮らせる。それだけなら自分たちが健康寿命を延ばせるような取組をしようという話が広がっていきました。
 この後、話をしてもらいますけれども、老人会のメンバーが自らが中心になって、健康寿命をどうやったら延ばせるかということをみんなに働きかけて、今までやってなかった取組がそこから広がってまいります。

 この3つのポイントを述べましたけれども、全てやっぱり悪い状況をどうやってみんなで改善していこうかという方向に動いてきたような気がしております。そういう取組をする中で、地域の人と人とのつながりが、だんだんに広がってきたような気がします。子供も地域の中で何かをやってもらえるお客さんではなくて、地域の一員として社会の中で役割を担えるような子供が育ってきた。そういう子供が増えていくと地域の目もだんだんに子供に対して優しくなっていく。そんな風土に徐々に変わっていくんではないかなと思っております。
 今、こちらの方から話しましたけれども、その辺について、少し私だけで言うと閉眼的になりますんで、お二人の方から、まちづくりの今までの状態と、あと老人会の取組について、少し語ってもらえたらいいなと思います。
 原田さんの方から、まちづくりでの取組みたいなことで、今まで頭を悩ましたことや、自分がその中で乗り越えてきたことなど、ちょっと語ってもらえたら有り難いんですが、よろしくお願いします。


【原田様】

 泉川公民館の原田でございます。私からは、苦労話を一言発表させていただきたいと思います。
 先ほど、教育長から地域課題の取組について、いろいろされましたが、その中にまちづくり協議会というものを発足させて、そして地域住民が一体となって、その活動の中で地域課題に取り組んでまいりました。
 その中に、当時私は5つの部があるんですが、地域おこしの充実と環境美化の推進、安全安心の確立、健康づくり、子供の支援というような範疇に絞りまして、その中の安全安心の確立ということで、防災や交通安全など、安全で安心できる地域づくりをつくりましょうという、安全安心部会を任されました。それでメンバーは、交通安全協会、保安協会、消防自治、自治防災組織、補導員、見守り隊、自治会等をメンバーといたしました。

 さて、これで出発したわけですが、ここに大変びっくりする、恐ろしいことが起きまして、1回目の部会をしますと、やはり安全協会、防犯協会、その他いろいろな地域の団体で、歴史もあり、地元に縦割りで息づいている組織なんですね。「てめえら、素人の考えで何ができるのか」と、「要らんことをするな」、それから「何の不足があって一生懸命やっている私たちのエリアに絡んでくるのかね」と言って、大分けんけんがくがくとなりまして、縄張り根性や囲い意識が強くて、物すごく排他的であるというのに驚きました。
 しかしながら、自分たちでできることは自分たちでやろうということで、横つながりの連携したネットワークに移行させ、地域課題を解決していこうではございませんかと、繰り返し繰り返し言いましたが、きれいごとばかり言うなということで、しばらく膠着状態が続きました。
 それで悩んでいるところで、その間、地域で交通事故が多発したわけです。非常にかたくなに交通安全というのは難しいものでと言うけれども、僕なんかは、いやいや、警察の交通安全のせいじゃねえかと言ったら大分怒られましたけれども、じゃ一緒に交通安全教室を開催しませんかと、この公民館で。そして、お年寄りを中心に集めてやりませんかということにしました。そしたら、そうか、それならばやってみるかということで、呼びかけてたくさんの人が来て実施することができました。

 さて次は、南海地震がやっぱりやってまいります。そしてここには大きな川も流れておりまして、洪水なんかの心配もありますので、安全安心部会で防災訓練の企画提案をして、そしてやったら、やはり消防が乗ってきまして、これもまた地域住民もやはり危険を感じておりますから、たくさん集まっていただき、毎年2回、いまだに続いております。

 さて、そういうことで、いわゆる縦割り意識を除去していかなきゃいけない。でも一つ一つ、一つだけでもいつまでたっても駄目だ、ここで大勝負をかけたろうということで考えまして、そのためには、ほとんどの各種団体が関係する地域課題に一斉に取り組めるものはないかということで、関係者と熟議を重ねました結果、少子高齢化が進む現在、子供たちが安全で安心できる地域づくりに焦点を定めました。それは、関係者の御指導も得て、泉川校区小学生の通学路を中心とした、安全安心マップを作成することにしました。
 その小学校生徒、職員、父兄等、750人で一斉に、それぞれ通学路が60か70あるんですね。それぞれ一斉に分かれて、学校の協力も得まして、危険な箇所、また危険な箇所ばかりではつまらんから、みんなが子供たちに美しいところ、すてきなところもあったら拾い出しましょうということでメモして、それをいろいろ集めて地図にしたわけですけれども、そのときに交通安全協会が通学路の安全指導、防犯協会が不審者の出没する場所なんかを注意し、それから見守り隊、補導員、自治会、消防なんかが一緒に歩いて、ここ危ないというのと、まさに総がかりで安全安心マップは完成したんです。その間、いろいろな……するための絵を描いたり、そういうものはいろいろの部会だの父兄の皆さん方の御協力を得ましたけれども、いずれにせよ全生徒並びに全世帯に配布して、いまだに使われているわけですけれども、本件が契機となって安全安心部会を構成する、縦割りの強い共同団体との垣根が自然と消滅して、そしてその後、お散歩マップもできました。それは隣の部屋に8校区のを張っておりますので。それから防災マップも完成しました。それも隣の部屋に並べてしてありますので帰りに見てください。
 締めくくりといたしまして、地域住民はまちづくりに直接かかわることで、この泉川を誇りに思い、魅力的で居心地のよい地域にしていきたいという思いは持っているんだなと。だったら、やはりリーダーはしっかりして、次々と地域課題に勇敢に取り組んでいけば、今後も改善の気持ちが盛り上がってくるものと確信した次第でございます。
 3分ちょっと超えましたが、すみません。以上です。


【平岡様】

 泉川校区老人クラブの平岡です。よろしくお願いします。
 私は、健康寿命延伸についての説明をしたいと思います。座らせていただきまして。
 まず、健康寿命延伸事業を進めるに当たりまして、私たち高齢者のこれは問題であると、それが一つと、それから会員相互の共有する課題であるということを認識いたしまして、活動の指針として取組を始めました。そこで、公民館を初め諸団体の健康問題に関する講座が開かれまして、それへ積極的に参加しなさいということで、各単位クラブの主だった人に参加させまして、その人がその内容を持ち帰りまして、患者の方はいろいろ会があるんですけれども、その機会を捉えてその内容を報告し始めました。こういうことで、学習とそれから健康寿命延伸という普及について努めてまいりました。
 また、スポーツ関係におきましても、今まではダンス大会、ダンス競技大会、こういう一般的な活動をしておったんですけれども、それを健康寿命延伸ダンス競技大会と。   大会を、そういう冠をつけまして進めてまいりました。そういうことで、高齢者が健康寿命延伸ということについての意識が醸成されてきたというふうになりました。
 このような、より健康寿命延伸の取組をしてまいりまして、そういう背景のもと、地域におきましてもそれが受け入れられまして、単位クラブ2団体が誕生いたしました。ちなみに、全国もそうですけど新居浜市におきましても、平成15年は1万112名おったんですね。それが平成27年では5,830名。マイナス4,282ということで減少しています。これはいずれにおいてもそういう傾向がある。そういう中で、新しいクラブが誕生したということは、もう画期的なこと。これが、さっき言いましたように、公民館を初め、そういう取組をしてくれたことが地域に反映されて、地域の中で老人クラブを誕生させている。こういうことになったと受けとめております。

 さらに、そういう事業を推進していく過程におきまして、老人クラブ組織の中で、自立した取組として女性部ができた。健康寿命延伸を進める過程で、減塩による料理教室を開設いたしました。それぞれ各単位クラブから女性の人を集めまして、これでもう12回開催しとるんですけれども、そういうことで料理教室を開催して、自分たちの健康を守るべく、こういうことでしています。そういったような目的意識を持った運動体へと、老人クラブ自体の中で変化というんですか、意識が変わってきたと、それでこういうふうになったと。
 そういうふうな流れの中で、先ほどの話にありましたけれども、地域に花いっぱい植えると。これについても、幹線道路800メートルぐらいあるんですけれども、そこへ600万の500個のプランターがございまして、それの水やりをやるようになりました。朝6時から行って、各担当して水やるんですけれども、そういうことができるということになったことが、一つのやっぱり自分たちとしての問題提起ですかね。そういう流れになったということが、健康寿命延伸の取組がそういうふうに会の中できずなと言うんですか、そういうことが生まれてきたと。それが水やりをやれるような、そういう老人クラブの会員体質、そういう環境になってきたと。こういうことで、非常に老人クラブのイメージが様変わりしたと。今までの老人クラブは否定的な考えで、いろいろとありました。でも、それは行政がするんやと。我々、自分らに負担になるものは全部否定的に考える。そういう中で、公民館を初め、そういう事業を進めてまいりまして、その物事をするときにする考えを、これは何が問題で、それ大きくなったらできるのかと、どうすればええんかという考え方が、肯定的な考えになってきたと。それも何かありましたら、やはり会員が共有する問題として取組をして、お互いにやっていこうじゃないかと、そういう意識ができたと、こういうことじゃないかと、そういうふうに考えております。
 詳細を言ったらいろいろあるんですけれども、ちょっと3年間をまとめてみましたら、サテライト事業関係は3年間で36件の801名が参加する。スポーツ関係は5件で350名、花壇のかん水管理が73回で579名、料理教室が9回519名です。合計133件で1,849名の老人クラブの会員が参加しました。
 こういうことで、健康寿命延伸というのは自分たちの、やらなければならん、こういう意識づけができてきたと、こういうことでいわゆる取組をしております。
 以上でございますので、よろしくお願いします。


【関委員】

 ありがとうございます。また後で、議論を深められたらと思います。
 今、申しましたように、課題解決の取組をすることによって、間違いなく一人一人の意識が変容してきたということを感じております。それは社会教育の大きな力ではないかなと思います。
 2点目なんですけれども、新居浜はもともと別子銅山という300年近くの歴史を持つ地域資源がございます。あともう一つ、それに比する多喜浜塩田という、これもやはり300年ほどの歴史を持った新居浜の文化がございます。そういったものを地域の中で輝かせていこうという動きがございます。新居浜には、新居浜南高校という高校がございまして、そこのユネスコ部という部活動で現在、新居浜市の別子銅山をいかに地域資源として、観光といいますか、光輝かせる、光を見せる、そういう取組を進めておる事例がございます。
 あるいは、先ほど申しました多喜浜塩田につきましては、多喜浜の小学校の子供たちが学校の中に小さな塩田、ミニ塩田、流下式の塩田があるんですけれども、それを核に据えて、その塩田文化を将来に伝えていく、その資料をつくることだけではなくて、塩田では昔から「かしょい」という相互扶助、助け合いの精神があったわけですけれども、みんなで協力して力を合わせてことをなし遂げていく、そういった取組に今、頑張っています。
 そういうふうな地域の、自分たちの歴史をもう一回見直して、それを将来に継承していくような活動、それが我々の社会教育の大きな柱ではないかなというのが2点目でございます。

 あと3点目、これは公民館のこれから今取り組んでおる課題なんですけれども、新居浜の幾つかの校区で地域の将来計画も、将来設計を自分たちでつくっていこうという動きが今、起こっております。高津という校区があるんですけれども、そこが去年1年間かけて、十数回のワークショップを重ねて、自分たちの地域の問題、それを掘り起こして、それをどうやったら解決していけるか、基本構想をつくって、それの実施計画をつくって、今それをどう実現していくか、そのフェーズに移ってきたのが高津でございます。将来、自分たちがどういうふうな形で目標を設定して、そこに今からたどり着いていくか、それを考えていくのが、やはりこれから先の地域づくりの大きな課題であって、それを公民館、地域の社会教育が担っていけるのではないかなと考えております。

 あと、そういった計画を立てる中で、それを推進していくための組織が今から必要になろうかと考えます。総務省系の事業では、小規模多機能自治。先般も雲南市の事例発表がございましたけれども、ああいった自らが課題をどう解決していくかという住民自治を進めていくための組織も、これから先にもう一回作っていくべきではないかなと我々考えております。そもそもが公民館はそういうふうな地域づくりのため、郷土を興す喜びをみんなとともに実現していくための組織であったかと思います。そういったものにも取組がこれからは求められるのかなと思います。

 あと、現状の課題ということで、4点ほど最後にお示しいたしたいと思います。
 1つ目は、中教審の中でもいろいろ議論がされて、社会教育の方向性として示されたテーマでございますけれども、自前主義の脱却という論点でございます。悲しいかな、行政、これは公民館も同じかと思うんですけれども、予算がついて初めて自分の仕事という感覚がございます。自分の予算でなければ、これは自分の仕事ではないという感覚がいまだ残っているような気がします。これは行政の市役所の方も一緒で、防災教育と言いながら、自分たちで備品をそろえたり、防災計画を策定する、それでことが終わってしまうやに考えているところもございます。地域の住民が一緒になって防災に対して考え、それをどう行動に移していくか、そこまで落とし込まなければ何もことは進まないと思います。これから、お互いの壁を溶かしていくような作業をもっと進めていくべきではないかなと思います。

 あと2点目、社会教育は本当は学びが基本にあるはずなんですけれども、いつの間にやら学びがおろそかになってきているような感があるように思います。多分、全国にはいろいろな公民館があったり、いろいろな事例を進めている自治体がございます。そういったところから学ぶことによって、自分たちの公民館をもう一回見直してみる、そういう作業が絶対に大事ではないかなと思っております。先ほど、一番初めに言いましたけれども、そもそも地域主導に変わるときに、我々いろんなところからいろんなことを教えてもらった記憶がございます。今、もう一回自分たちの今を見つめ直してみて、今の自分たちの時点を確認しながら、もっといいところといろいろ情報交換をする中で学び合っていきたい。今日など、本当に岡山の事例なんかもこの後、聞かせていただきますけれども、そういったものを参考にさせていただいて、我々もっと学びを深めていけたらと思います。

 あと3点目、これもいろいろ教えていただきたいんですけれども、先ほど申しましたように、地域主導型公民館に新居浜市は変わりまして、現在、非常勤職員の3名プラス管理人体制で動いています。公民館の職員、館長、主事、いろいろ皆さん頑張っているんですけれども、なかなか勤務条件とかいろいろな面で制限がかかります。その中でどうやって一人一人が社会教育のプロフェッショナルとして仕事をしていくような体制をつくるか、そのことについて、今一度きちんと考えていかなければいけない時期ではないかなと思っています。
 多分、職員は本来はいろいろな成功体験や失敗体験を重ねていく中で、だんだんにスキルが上がっていくと思います。志も高まっていくと思うんですけれども、なかなかその機会が不十分であるというふうに我々は反省いたしております。その辺、もっと成長を支援していくという視点を大切にしたいなと思います。

 あと最後、これはどこも今、いろいろな課題で上がってきておるテーマだと思うんですが、教育委員会と市長部局、首長部局の関係性をどうつくっていくかという点でございます。社会教育は教育委員会の事務ということに今なっておりますけれども、文化、スポーツ等はもう既に首長部局への移管も示されております。
 その中で、今、社会教育を首長部局の中に取り込むことによって、まちを活性化させていこうという動きも全国的にはかなりあるような気がします。その中で、社会教育はどういう立ち位置で首長部局とかかわっていくべきか、そこを今考えていかなければいけないのかなと思います。必要とされるということは、存在意義が高いということの裏返しであるような気もするんですけれども、飲み込まれてしまうだけでは、なかなか今まで社会教育が培ってきたものが消えてしまうという観念もなきにしもあらずかと思っております。
 これから先、これもいろいろな学びを深めていきながら、解決に向けて我々議論していきたいなと思っております。こういう議論をすることそのものが社会教育じゃないかなというのが今の思いです。
 大体40分で終わらせていただきます。すみません、失礼します。


【明石主査】

 ありがとうございました。かなり興味深いケースレポートだったと思います。
 では、これから20分ほど時間を持ちまして、各委員の方々から御質問を受けながら、議論を深めていきたいと思います。いかがでしょうか。


【重森委員】

 ありがとうございました。岡山との違いとかも比較しながら、いろいろ考えさせていただいて、すごく私自身もなるほどと思うことがたくさんあったんですけれども、平岡さんにちょっと質問したいなと思ったのが、今、健康寿命延伸というのを掲げて、取り組むことで今、みんなでやれる環境になってきたとおっしゃったのですが、多分それまでの御苦労というか、いろいろあったのかなというふうに思ったんです。
 やっぱり今までの老人クラブの活動でいいじゃないかと言われる方もいらっしゃったんじゃないかなと思うんですけれども、少しずつ、花いっぱい運動に参加しようとか、自分たちで女性部を誕生させようとかいうふうに変わってきたきっかけというか、何かそういうのがもしあれば教えていただきたいなと思いました。お願いします。


【平岡様】

 老人クラブで一番の、今現在、問題になっていますのは、各個人の価値観が多様化してまいりまして、今まで老人クラブに頼っていろいろ楽しみをしたり、何かしておったのが、今もうどこでもメールに出すとわかるし、そういうことで老人クラブに魅力がなくなってきた。そういうところで、その価値観を共有するものがないと、団体として活性化できないと。
 今回、それが健康寿命延伸であったと。健康寿命延伸が自分たちのこれからやっていかないけない、それは価値観がそれで共有されるということで、いろいろな問題について立ち向かっていくことができたと。今活動しとるのは、やっぱり共有する課題ができたということですね。


【石川社教課専門官】

 ありがとうございます。関連して、それに対して行政でありますとか公民館の方からはどういったアプローチといいましょうか、どういったかかわりをされていったのか教えていただけますか。


【関委員】

 非常に下世話な話になってしまうんですけれども、今までいろいろな社会貢献活動的なものは、基本的にボランタリーな形の中で動かしていくというのが、新居浜市の甘えであったような気もいたします。今回、ちょうど来年度、愛媛県で国体もありまして、それに合わせていろいろな環境整備を進めています。ここも、ほかの校区でも今やっていただいておるところ幾つかあるんですが、地域を花で飾ろうという取組、その事業に対して1年間、多分いろいろな消耗品、プランターとかああいうものも含めて百数十万円のお金を示しております。そのうちの、多分、泉川であれば50万ぐらいかな、それぐらいを地域の老人会の活動費として、肥料料として出しますという仕組みで今回動かしました。それは基本的には対価的なものとして渡しておるんで、どう使っていただいてもかまわないんですけれども、非常に老人会の場合はその50万のお金をふところにははめずに、自分たちの身近な地域での活動費にそれを充てるような取組に今変えてもらっています。
 自分たちが働いたその対価で新しいことを興すという、新しい活動のスタイルが今ここには生まれつつあるのかなと感じています。そのことによって、結果的にみんなが元気になって、本当で言えば病院に行くか、老人ホームのデイケアに行くかという人が、自治会館に行って頑張ってくれれば、市としてもそのお金は決して無駄金ではないと思いますんで、その辺の費用対効果を考えられるような仕掛けも、これから考えていってもいいのかなと、この事例を見て感じております。以上でございます。


【平岡様】

 一つ、3年間この事業を推進してまいりまして思いますのは、これは一過性に終わらせたらいかん、健康寿命延伸を3年計画でして、これで終わりましたよと、そういう一過性のものでしたのではいけない。あくまでもこれは、地域に根ざした健康寿命延伸事業であると。地域の中で生かしていかにゃいかんと。こういうことで、行政を含めまして、公民館も含めまして、継続性を持った、そういう取組を自分たちは今現在お願いしたいということを強く思っています。


【関委員】

 すみません、さっきちょっと花の方だけ言うてしもうたんですけれども、今おっしゃったように健康寿命延伸という取組が、そもそもが地域の公民館GPの活動として行われたんですけれども、そのことが市の福祉サイドの事業として今、拡散してきたというのは非常に大きな意義かなと思っております。
 今、いろいろな校区の中にこの健康寿命延伸の取組、そのためのサテライト事業的なもの、自治会館等の有効活用、そういったものが広がりつつあります。これをこれから広げていくことがグッドプラクティスをどう生かしていくか、非常に肝の部分ではないのかなと思っております。


【明石主査】

 ほかに何かございますか。
 平岡さん、ちょっとお聞きしたいのが、かなり数値が、参加者がふえていますよね。これは男女比、おばあちゃんとおじいちゃんの、多くの地域では女性が物すごく参加するんだけれども、男性はなかなか参加しないという悩みがあるんですけれども、新居浜では健康寿命延伸では男性も参加してくれるようになったのかね。


【平岡様】

 一つは料理教室を例にとりますと、各単位クラブから二、三名の女性の方が来るんですけれども、それも男性も加わりまして料理を一緒につくってやっていこうと。先ほど言いましたようにもう12回しとって、そういうことでほかのスポーツ競技にしても何にしても、競技の内容によって違うんですけれども、女性の方も多く参加しております。男性も比較的若い人ですね。言うたら七十五、六歳ぐらいの人も来とるし、そういうことで男女もみんな楽しいんですね、来て。来たら参加賞を渡す。ティッシュのこれがあるんですけれども、それを渡したり、そういうことでいろいろ和やかに、そこの中で一緒にだべったりして、またやりましょうという、そういう雰囲気で、初めは長続きしても30名かそこらでありましたのが、順に回を重ねるに連れて、現在80名ぐらいになっている。これ体育館がいっぱいぐらいになっている。そういうことで、非常にほかのことでも、我々歩け歩け大会もあるんですけれども、これも初め二十五、六名の参加で行事が形骸化して、行事を消化するための催し。それが中身が変わりまして、健康寿命延伸ということで、みんな工夫しまして、そうすると参加するのが楽しくなりまして現在60名ぐらい、歩け歩け大会。そういうことで、その行事をやはり楽しい行事にするように工夫せないかんのではないか。
 さっきのような女性の料理教室も、この9月3日の日に料理を今度は離れて、電子オルガンとか何か、クラシックギターとか、そういうのを呼びまして、それの演奏を聞いたり、自分たち一緒に合唱したり、そういう試みをその中に取り入れて、楽しい会にしていく。こういう試みがないと、ただ単なる会になってしまって、継続性というのがちょっとしんどくなる。そういう努力もやっぱりいるのはいると思います。


【明石主査】

 ありがとうございました。原田さん、ちょっとお聞きしたいんですけれども、非常にばらばらな縦割りの民間の地域の組織を抱えながら、地域課題で何か縦割りを乗り越えたという御発表、非常に感心したんでございます。
 そこで、原田さんから見られて、うまくいったのは、なぜうまくいったのか。リーダーがよかったのか、地域課題の発見がうまくいったのか、公民館の主事さんのアドバイスがよかったのか、教育委員会、市長部局の支援があったからよかったのか、いろいろなうまくいった要因があると思うんですけれども、御自身はどういうふうにお考えでしょうか。


【原田様】

 私はその当時、まちづくり協議会と、申しませんでしたけれども、もともと自治会というものがあるわけですね。そして自治会で地域課題に取り組むのには余りにも柔軟性というか機動力がないということで、横つながりのまちづくり協議会を発足させたと。組織としては2つできちゃったわけですね。それに公民館と。組織的には非常に複雑になってきていますけれども、これを有機的に結びつけるのには、まちづくり協議会の各部会、5つほどあります。これがやはり企画立案、司令塔となって、その中にまちづくり協議会の会員は、ほとんどは連合自治会員なんです。ですから、企画立案をまちづくり協議会がし、そして自治会さん一緒にこれをやりましょうと。その中に縦割りが、各種団体が絡んでいるんですけれども、これはこれで彼らも連合自治会員ですから、今、私が申し上げたように、一緒のものに取り組んだら、やはり自然と自分の町をよくしようという気持ちはみんな持っていますので、やはりまちづくり協議会が司令塔となって企画立案し、そして実行部隊が連合自治会、そして総合事務局が公民館で、僕は三位一体の改革と言って常にまちづくり新聞に述べてましたんですけれども、頭ばかりが大きくてはいけないと、三位一体改革、すなわち三つ一緒になってやりませんかと。僕はそれも少し効果を発揮して、今のような機動力のある組織になり、そしてこの4月1日にまちづくり協議会の使命は終わったとは言えませんが、機能をそのまま残して泉川校区まちづくり連合自治会、今までは泉川校区連合自治会だったんですね。まちづくり協議会の組織機能をそのままそっくり残し、連合自治会の中に入れて、いよいよこれで本来の連合自治会長以下で、連合自治会の中でこのまちの地域課題を徹底的に取り組んでいこうという体制ができたというふうに思っております。


【明石主査】

 ありがとうございました。ちょっと質問なんですけれども、原田さんはこの公民館館長をされているんですか。


【原田様】

 諸般の事情により1年前は連合自治会長をしておりまして、その前はいわゆるまちづくり協議会、6年か7年前に安全安心部会は大変めんどい人間ばかりが集まっとるんで何とかしてくれんやろかということで、それでさせていただきまして、まちづくり協議会でこつこつやっておりまして、そして仲間に認められまして連合自治会長にさせていただきまして、そして今度、前任者の9年された偉大なる公民館長がおられるんですけれども定年なもので、関教育長に怒られますけれどもワンポイントリリーフで、一緒に乗りかかったことですから一生懸命やろうと思いまして、また教育長も今度教育長になられましたから、必死で僕もやろうかなという思いでおります。


【明石主査】

 ありがとうございました。そうすると、三位一体を全てあなたがしたと。要するに組織をうまくまとめて、うまくいっているんだけれども、やっぱり中心的なパーソンというか人がいないと機動性を持たないのかなという、その辺があったんですけれども。


【原田様】

 経過的に全部絡んでいるんですけれども、やはり僕は、企業でも同じでやはりリーダーの養成、リーダーがいるんじゃないかと僕は。ここの教育長のところでも人材の育成となっていますけれども、それぞれの底辺の育成もありますが、やっぱりリーダーというものは、できれば企画立案というのを僕は申し上げましたけれども、それがないと地域課題に食いついていけないですよね。みんな思っとったってベクトルを同じくするというのには、ベクトルを同じくさせる要素が要るわけです。それがリーダーだと思います。


【明石主査】

 ちょっときつい質問ですけれども、スタッフは育成できるけれども、リーダーは育成できるんでしょうか。それとも育つものでしょうか。それ何かもしヒントがありましたら。


【原田様】

 よく見たら潜在的にやっぱりぼっとしとる人間と、きらっと光るところがやっぱりありますよ。それを見出すのがまた、リーダーなんでしょうね。


【明石主査】

 ありがとうございました。あと一人ぐらい何かございますか。


【小曽根委員】

 ただいまの関連で、本当にかなり大きい1万2,000人とかいった組織ということで、これを動かすというのはかなり大変かなと思うんです。その辺の今のスタッフのところをもうちょっと、どんな組織か教えていただければなと思うんですが。


【原田様】

 このまちづくり協議会、まちづくり連合自治会という名前にしとるんですけれども、その組織、まちづくり協議会はどちらかというと、それぞれの課題解決型のスタッフと理解していただけたらと思います。今、その部会については環境美化、地域福祉、子供支援、そして健康づくり、あと一つは安全安心、その5つが課題テーマです。それを串刺しするために、生涯学習部会、それはもうそれぞれの部会の中で課題とおぼしきものをテーマとして取り上げて、その生涯学習部会の人間が、ここに書いていますけれども、ふるさと塾という塾を自分たちでその中に講座を組み込んで展開しております。それぞれの部会人数は10人ぐらいであったり、多いところで15人ぐらい。そういう部会ごとに責任を持って、自分たちでそれぞれの課題解決の議論を毎月1回、会合を開いて協議をする中で、事業を回していくような仕組みを今つくっています。
 それらを課題解決でやってもらって、自治会的機能、コミュニティ的機能がそれに付随するということで、泉川でいえば8つのブロックに分かれておるんですけれども、それぞれのブロックのブロック長なるものが集まって、まちづくり協議会で決めたことを地域に広げていくような、縦と横の関係を今は持って進めているのがまちづくり協議会です。月に1回、この公民館を全部借り切って、各部会がそれぞれの部屋でいろんな会議を開いて、場合によったら部会合同で事業を考えていくような仕掛けで今動かしているのがまちづくり協議会です。


【明石主査】

 ありがとうございました。まだまだあると思いますけれども、少し先を急がせていただきます。どうも本当にありがとうございました。
 では次は、重森委員と田中主任からの御発表をお願いいたします。大体15分をめどにお願いいたします。


【重森委員】

 それでは、岡山市の公民館について御紹介させていただきたいと思います。前半は公民館の概要について重森の方から御紹介させていただいて、後半は具体的な取組の実践ということで、京山公民館の実践を田中の方から御紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど新居浜の事例をたくさん教えていただいたんですが、岡山市の公民館は中学校区がエリアとして配置されています。中央公民館が36の地区公民館を統括するというふうになっていて、中央、地区館という2段階の方式になっています。
 職員体制としては、中央公民館も1つの中学校区のエリアを持っているので、地区公民館の事業を担当する職員と、統括する機能の管理係と指導係という2つ係があります。2つの係の職員は行政の職員が異動で来るというふうになっています。
 中央公民館の地区公民館事業を担当する職員と、36の地区公民館の職員については、公民館の中だけを異動する職員というふうになっていて、公民館での実績を経験として積み上げていくという形にしています。
 地区公民館の主な体制としては、嘱託の館長が1名おりまして、正規の社会教育主事発令の職員が1名と、嘱託で事業を担当する職員が1名、あと夜間も9時まであいていますので、夜間の事務を担当する嘱託の職員というふうになっていて、さらに、市長部局のまちづくりの部局の職員として、地域担当職員というのが配置されているので、昼間の時間は館長と、正規の社会教育主事と、事務嘱託と、地域担当職員の4名で公民館の事業を回しているというふうになっています。
 公民館の職員にも、同じまちづくりの課の併任の辞令がかかっていますので、地域担当職員と公民館の職員が区別はあるんですが、同じ地域の課題に対して支援する取組をしているというふうになっています。

 そういった職員体制というものを生かして、岡山市では公民館が共生のまちづくりの拠点となることを目指していろんな事業に取り組んでいます。2000年には、教育長の諮問機関として位置づけられた公民館検討委員会というものが設置をされたのですが、そこで出された答申と、後で出てきますが2014年に国際会議がありまして、そのときに出されたコミットメントという、私たちはこれからこういうことをやっていきましょうという約束をしたものを実現していく、それを目指した取組を現在進めている状況です。
 それとともに、毎年、中央公民館の方から、その年度の方針というものを出しております。その中には岡山市の公民館では、社会教育法の目的及び事業を行うため、事業の柱にESDを据えた幅広い学びと実践の機会を提供する、多様な主体による協働をつなげるコーディネーター機能を充実させていくという役割を位置付けています。今日お手元にお配りしています、この「れんめんめん」という冊子が公民館の取り組んでいる事業をまとめたものです。
 また、岡山市全域で課題となっている分野を7つ選びまして、お手元の資料のスライドで言うと10、11、12ページのところになりますが、これらの7つの課題解決については、全ての公民館で解決する事業に取り組むというふうにしております。

 また、岡山市の特徴としては、事業の柱にESDを据えるというふうに先ほど申し上げましたが、そのESDというものに取り組んでいることが挙げられます。岡山市全体として、市の施策としてESDというものを推進していくというふうにしていますが、市内全体でこの取組、教育というものがベースにあって、経済と環境と社会的な公正のバランスがとれた地域をつくっていく、社会をつくっていくという、そのESDを広げていくための拠点として、公民館と学校が核になって取組をしていくということが特徴として挙げられます。
 その取組が一定評価されたこともありまして、10年の節目の国際会議が2014年に岡山で開催されました。その際に、アジアを中心に日本の公民館と同じような取組をしているCLC(コミュニティ・ラーニング・センター)という施設があるんですけれども、そこの方もたくさん来られました。CLCでも公民館と同じような取組をしており、人と人がつながるということや、地域へそれを広げていくということを目標にしていることが確認されました。今、持続可能な開発のための世界を変えていく7つの目標というものを共通のゴールとして、国を超えた連携というものを現在模索しているというのが、岡山市の公民館全体での取組です。
 では、具体的な取組として、京山公民館の取組を田中の方から御説明させていただきます。


【田中主任】

 京山公民館で社会教育主事として働いています、田中と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは引き続き、私が今勤務している京山公民館の紹介をさせていただきます。お手元にありますように、京山公民館は中学校区に1館の公民館なんですけれども、人口が約2万5,000人、世帯が1万2,000世帯ほどあります。どういう地域なのかと言いますと、岡山駅から車で本当に10分以内ぐらいのところに公民館がありまして、住宅地ではあるんですけれども、周りに岡山大学を初め幾つかの大学、それから高等学校が公立、私立、両方ありますし、県の生涯学習センターもあるという、岡山では昔から文教地区というふうに言われている地域になります。
 その次のページには、航空写真というか、上からどういう地域かなというふうに見ていただいたらいいんですが、都市部ではあるんですけれども、半田山、京山という自然環境も残っている地域でもあります。先ほど申し上げましたように、岡山市全体として公民館は、私が就職したのは30年前なんですけれども、ずっと生活課題や地域課題、社会的課題に取り組んでいこうということで事業を実施しておりました。
 今現在、うちの主催事業というふうに言われるものは、皆さんのお手元の資料の一番後のページに、28年度の事業計画ということで、文化祭も含めて30掲載しております。細かく説明はできませんが、こういう事業をESDの理念を貫きながら実施しているということになりますので、その合い言葉なんですが「一人の百歩より百人の一歩」、それからESDというのがちょっとわかりにくいんじゃないかということで、大学生と一緒にESDフェスティバルという中でいろいろ話をしたところ、「(E)えーもんを(S)子孫の(D)代まで」というのがわかりやすいんじゃないかということで、それをスローガンに掲げて今事業をしています。

 この京山地区は、岡山市内の中でもESDの取組としては先進地というふうに言われているんですが、なぜこういう経緯になったかというと、ちょっとそこに詳しく説明できないので書いてあります。そもそも環境問題を中心に、市内を流れる用水の点検活動であるとか、その用水を見直そうというふうなことを町内会や老人会の方とやっていたところに、岡山市としてもESDに取り組もうというふうになりまして、うちの館としては2003年から、最初から子供たちを中心に据えたいということがありましたので、2つの小学校と中学校、それから高校、岡山大学にも呼びかけて、最初は水辺環境プロジェクトというようなことから始めました。その取組を一過性に終わらせてはいけないということで、2006年度から持続的に地域にESDを進めていくためのESD推進協議会を立ち上げました。

 次のところにありますのが、協議会の構成メンバーなんですけれども、そこにありますように、各教育機関とともに地域の各種団体ですね。PTAとか、老人クラブとか、民生委員会とかという方、それからNPO、それから少しですが企業の方にも入っていただいて、今構成をしております。年数回、この協議会で会議を持ちながら取組を進めているところです。

 じゃ、具体的にどんなことをしているかということなんですが、先ほどから地域課題という話が出ています。最初に地域課題をというふうにこのESDの中でも話をしたときに、地域の方から「うちの地域は課題がない」と、「何を言うんだ」みたいな声が最初は出たそうです。本当にいいところだというふうに言われている地域なので、最初はそういう声が強かったんですね。ですから、最初はいいとこ探しから始めました。それがお手元にある後ろから2番目にマップがあるんですが、いろんな史跡があったり、施設があるんです。それをみんなでいろいろ出し合って、このマップに落としていって、そういうマップが、最初からこれができたわけではないんですね。いろいろみんなで町を歩いたりしながら、確かめていって、今そういうマップ、まずいいとこ探しをしたということ。
 それから、その後にやはり先ほども熟議とあったんですが、うちでも何回もワークショップを重ねて地域課題は何かと。そうなると、いいところはあるけれども課題もあるよねという話になって、そこに地域課題として、今みんなで上げてきたものは、1位が交通関係、2位がコミュニティ、若者・高齢者の問題。大変流動人口が多いところなので、そういう課題。それから後は、ごみのマナーが悪いとか、それから町並みの関係としてはマンションがどんどん建ってきたとか、意外に町なかなんだけれどもスーパーが減っていますよねとかいうような問題がいろいろ上がってきました。
 次のページにあるのが、上の段の丸い印がさっき言ったいいところ。それから三角のところがちょっと課題じゃないかなというようなところです。ここは岡山市内でも最も外国人の方が多く住んでいる地域なんです。大学があるということもあるんですが、約1,000人の外国人の方が住んでいらっしゃるので、そういう多文化、お互いの文化を理解していくことも必要じゃないかみたいなことも課題として上がりました。
 そして次に、そういう話し合いを重ねていく中で、じゃこの京山地区が目指す地域像というのをいろいろ話し合った結果、今この①から⑤番まで、こういう地域をつくっていけたらいいなというふうな話になりまして、それぞれの目標を達成するためにどんなことをやっていくかということで、いろいろ実施しております。

 目標1ですが、まず子供も大人も共に学び合い、社会的課題に協働して取り組む地域をつくろうということで、いろんなことをやっているんですけれども、毎年必ずやっているのが、子供たちにやっぱり地域の環境に目を向けていてほしいということで、年2回、2つの用水が流れているんですが、そこの環境点検をしています。魚をとったり、水質調査をしたりします。それから、旭川という川が市内に大きく流れているんですけれども、私たちは下流地域にいます。でも県北の上流地域の暮らしであるとか、実際その自然環境を子供たちに肌で体験してもらって、そしてその環境を守っていくという気持ちを育てていきたいなということで、年2回、夏と冬にはバス1台で必ず上流の自然体験をしています。
 それから、これはうちのかなりメーンの行事なんですが、京山地区ESDフェスティバルというものですね。これを年1回、土日をかけて1月ないしは2月にやっているんですが、ここにいろいろなありとあらゆる地域課題であるとか、学校でいろいろ子供たちが取り組んでいる総合学習の中での地域の問題、社会の問題、そういうものを2日間で凝縮して、全館を使ってやります。これがきょうお手元の資料の一番後に入れています、これですね。ちょっともう詳しく説明する時間がありませんが、いろんな部屋を使って昔遊びの体験だとか、それから環境問題を考えるために食器のリユースで、要らない食器をみんなに集めて持って帰ってもらうとか、京山みんなのカフェというのは、発達障害のある子供たちがカフェを中心となって運営していくとか、いろんな日ごろ活動している人たちが集まって、年1回こういうのを開催しています。
 それから、ほっとスペース放課後と言いまして、子供の居場所づくり、これは平成17年度から今は月曜日と金曜日、子供たちが安全安心に過ごせる場所をつくろうということで、地域スタッフの力によって、地域の大人たちと子供たちの交流の場ということで、これもずっと1年間通して行っております。

 それから目標2ですが、地域のきずなを強め、伝統文化を伝承し、人と自然が共生する地域をつくりましょうということで、ESDフェスティバルの際に地域に伝わっている様々な伝統文化を発表していただいたり、それから地域の歴史とか、風土とか、文化を伝えていこうということで、京山ICTという実はうちはボランティアグループがあります。これはITにたけた人たちなんですけれども、各種様々な活動をビデオと写真に記録をしてもらいます。それをDVDに記録をして、いろんな方に渡したり、公民館で見るということをしているのと、その活動の中から、ムービー京山といって映画をつくろうというグループも生まれまして、これは記録に残すだけではなくて、ストーリーをつくって地域の歴史だとか、いろんな取組を作品に残して、これをまた広く皆さんに見ていただこうというふうなこともやっています。

 それから目標3ですが、言葉や文化の壁を超えて、同じ地域に住む外国人と共生をする地域をつくろうということで、こういう活動の中で、フレンドリー京山というグループが生まれました。これは日本人、外国人、両方いまして、今15名ぐらいいるんですけれども、毎月定例的に集まり、ただ国際交流でお互いの国のことを知るというだけではなくて、共に暮らす住民同士ということで、支え合っていこうということを目的にしています。一緒に料理をつくったり、それから外国人の方で日本に来てすぐの方は、やはりお医者さんがどこにあるのかもわからないということで、お医者さんマップもみんなでつくりました。

 それから目標4は、障害者や高齢者が安心して暮らせる地域をつくろうということで、これもESDフェスティバルの際に様々なテーマで、みんなでこんなふうにたくさんで、グループに分かれて話し合いをしています。その中で「地域の絆プロジェクト」という、こういうまたグループが生まれまして、ここが今20人弱ぐらいいるんですが、ここで何をしようかと、いろいろ話し合った結果、いろんなことをしています。一つは皆さんのお手持ちの中にある「地域の絆だより」というのがあるんですが、これを3か月に1回発行しています。「地域の絆プロジェクト」の皆さんで編集委員会をつくってやっているんですが、表は地域のいろんな団体や学校の紹介、トピックス的なこと。それから裏は、地域でいろんな行事を掲載して皆さんいろいろ参加してみませんかというふうなことをつなげるものを出しています。

 それから、うちの特徴として、東日本大震災の関係で移住者が大変多いんですけれども、そういう移住してこられた方と、地域の地元の住民の方が交流をして、今後の社会の在り方を考えていくような「今、私たちができること」というふうな講座も、連続でずっと2011年以降やって、今18回目を迎えています。
 地域の課題解決ということで、今、一番力を入れているのが自転車マナーの向上なんです。地域課題のトップに、自転車のマナーが悪いと、学生が非常に多い地域でもあるんですが、ということで、これを何とかしようというふうにずっと言ってはいたんですが、きっかけはある外国人の方が、自転車に日本に来て初めて乗ったんだけれども、すごく怖い思いをしたと。「自動車の初心者マークはあるのに、自転車はないんですね」という一言がきっかけになり、それは私も一緒の会議で聞いていたので、いろんな人に聞いてみたんですね。そしたら、そういうものがあったら是非つけたいという高齢者の方が大変多くて、これを何とかできないかということで、ESD推進協議会の中でも話をいたしまして、地元の高校生のデザイン科が幾つか案を考えてくれて、こういう自転車プレートができました。「やさしく走ろう京山」というんですけれども、これちょっと見ていただいて。これは自転車の後ろに基本つけていただくんです。みんなが見えるようにつけてもらって、夜これは蛍光で光るんですけれども、これを普及させることで、みんなで譲り合うというか、優しい自転車の走り方、マナーも守ろうということを何とか広げられないかなということで、1,200枚作成をいたしまた。これは市の補助金をもらったんですけれども、今広げています。
 2年目も続けていくんですが、自転車マナー教室をやったり、中学生が何か自分たちがつけたいものがあったらなということで、今年は中学生にデザインを募集しまして、40ぐらいデザインが集まったんですけれども、生徒会に一番いいのを選んでもらって、今これの第2弾の中学生バージョンを作成中でございます。

 それから最後、目標5で、学んだことを生かせる地域をつくろうということで、実は市長と語る会というのが平成19年にありまして、そのときの中学生の呼びかけによりまして、「緑と水の道」というのができました。そこにビフォー、アフターであるんですけれども、もともとある用水沿いの道なんですが、歩道も水路の間の仕切りもなかったんです。違法駐車も大変多くて危険でした。これをESD的に整備できないかということで、地元と、それからうちのESD推進協議会と、それから岡山大学と一緒になって、ずっとワークショップを繰り返しました。最初は夢のような話だったんですけれども、現実、7年かかりましたけれども道が整備されました。岡山でも市民協働で道を整備したというのは、今回初めてというふうな例になっています。
 こういう取組を通じて、10年間ぐらいずっとやってきたんですけれども、そこに参加した中学生の声というのがありますが、やっぱり多くの人がかかわっている結果なんだと。今、目の前にある川についても。それからこういういろんな世代を超えた人たちとやることで、地域の一員であるということを実感したと。それを今度は、目の前の環境に目をつぶらず、自分の問題としてやっぱり一緒に考えていきたいと。これが価値観や行動の変容ということかなというふうに思います。
 そういういろんな活動をしてきて、やっぱり活動を支えているのは、学び、つながってきた本当に様々な住民なんです。そこに書いてあるようないろんなプロジェクトやいろんなグループが生まれて、ここが縦横無尽につながっているというか、そこと自治会や、そういうものがESD推進協議会で今つながっているという感じです。
 やってきた活動の成果というのは、そこに書いてあるようなことかなというふうに思うんですけれども、うちの連合町内会長さんが言われるのは、最初はESDってよくわからなかったけれども、ずっとやってきて地域の人たちの意見が提案型になってきたと言われていました。さっきの課長さんたちのお話ともつながることかなと思ったんですけれども、というふうに言われました。
 ですから、私は本当に公民館は、岡山の場合は中学校区ではあるんですけれども、地域のプラットフォームというか、地域づくりの拠点としてのその可能性は大変大きいなというふうに思っています。
 すみません、ちょっと長くなりましたが以上です。


【明石主査】

 ありがとうございました。ちょっと私の方から3点ほど、質問させてください。
 この京山地区は、物すごく頑張っているのは本当にわかりました。あとの35館もこれぐらい頑張っているんでしょうかというのを、まず率直にお聞きしたい。


【重森委員】

 頑張ってはいると思います。職員体制とかは同じですし、「れんめんめん」をお配りしていますけれども、全ての公民館の実践が1事例は必ず載っているので、ESDとしていろんな取組を公民館で取り組んでいるというのは言えると思いますが、全ての公民館がこれだけの事業をたくさん有機的につないでやっているということではありませんので、そこのでこぼこはあります。


【明石主査】

 そうすると、京山地区が頑張っている要因分析を重森委員は、田中主任は言えないと思うんですけれども、館長がいいのか、主事がいいのか、地域のみんながいいのか、教育委員会の支えがあったのか、何かいろいろあると思うんですけれども。


【重森委員】

 いろんな要因があると思うんですけれども、田中ももちろんいい職員ですけれども、岡山市の場合は公民館の職員が異動します。岡山市の公民館長も一応3年の任期があるので、この取組が10年以上かかってできている間に、職員は様々変わっています。その間に、もちろんずっと順風満帆ではなく、いろんなことはあったと思いますが、ただ地域の方がやっぱりこれは大事と思ってやっているというところが貫かれていて、そこに職員がいろんな形でかかわっていてということが要因かなと思います。


【明石主査】

 これは新居浜もお願いしたいんですけれども、館長さんの職歴というか、千葉市は47館の公民館がありまして、大体館長の3分の2が退職校長先生、あと3分の1が市役所を退職した方。岡山はどうなんですか。


【重森委員】

 岡山も今はちょっと違うんですけれども、割合としては学校の校長先生のOBの方と、行政のOBの方と、公募という形もあって、そこは民間の方とかどなたでも試験を受けて入るとふうな枠になっています。


【明石主査】

 全員公募ですか。


【重森委員】

 3分の1ずつだったんですけれども、それが今変わってきてというか、行政の制度が少し変わったので、行政から来られる方が減っていて、学校の校長先生と公募の方というのが半々ぐらいになります。


【関委員】

 新居浜は昔は本当に学校の先生がほとんどだった時期はあった。30年前ぐらいで。今はもう学校の先生は本当に少なくなってしまったです。


【明石主査】

 18館の中で。


【関委員】

 今、学校の先生は2人か。18分の2ですかね。あと、恐らく市役所、県の職員流れの方が3ぐらいですか。あとはもう本当に民の人ですね。


【明石主査】

 地域主導型公民館だから、教育長が委嘱するんですか、公募なんですか。


【関委員】

 基本的にはもう地域の中で人選。館長は。昔は名誉職的な位置付けが確かに強かったんですけれども、今は本当に実働者が、ここにも何人もおりますけれども、みんなそれぞれいろんな職歴の中で体験で、今は公民館で頑張ってくださっておりますね。


【明石主査】

 ありがとうございました。最後の質問なんですけれども、この京山地区のESD推進協議会、すばらしい組織がありますよね。この組織は月に何回ぐらい開くんでしょうか。


【田中主任】

 今、年間で協議会としては3回ぐらいです。ただ、後半からもうESDフェスティバルの実行委員会というのをやるので、実行委員会は4回ぐらいやっていますから、このメンバーで集まるのが年7回か8回ぐらい。


【明石主査】

 その費用はどこが出すんですか。


【田中主任】

 費用というか特に予算はないので、みんな手弁当です。


【明石主査】

 ありがとうございました。ほかに何か質問ありますか。


【田中主任】

 1個言い忘れたんですけれどもいいですか。さっきこの自転車問題で、いろいろ地域でワークショップをやっているんですが、やっぱり公民館として果たしている役割の一つに、なかなか地域だけでは解決できない問題もあります。岡山の場合、用水路に柵がないのが多いんです。それはすごく危ないということで、今問題になっていて、自転車の問題と用水路の問題を一緒に今、話をしています。フェスティバルのときに80人ぐらいで話を中学生も入ってやるんですが、じゃ、市の担当者を呼んでこようということで、自転車対策の職員3人ぐらい、それから用水路の方の担当の職員にも来てもらい、それから警察署から来ていただき、8つグループができた中に、一人一人必ず警察か市の職員も入ってもらって、具体的にどこが危険かとかいう話をしました。
 職員も来たらすごくよかったと。やっぱり地域の声が実際に聞けたしというので、すぐに柵が取りつけられた箇所もできました。


【明石主査】

 では最後ですけれども、この持続可能な社会づくりということをやりながら、よく10年続いているなと思うんです。10年以上続く秘訣は何でしょうか。まさに持続可能な社会づくりのグループもできているという。


【田中主任】

ユネスコの活動をしていて環境問題にもスペシャリストの池田さんというリーダーはいるんですけれども、やっぱりその中で主体的に活動しようという住民の人たちが、もうどんどん生まれてきたので、私ももう引っ張られたというか、一緒にやるんですが、職員が異動してもこの活動はやらざるを得ません。そういう主体的に考える住民の人がどんどん出てきて、どんどんアイデアも出てくるので、あれもやろう、これもやろうみたいな。
 学校の先生もやっぱり異動されるので、年ごとに学校の雰囲気の温度差はあるんですが、ESDということでは地域でもかなり浸透したので、学校もこれに参加しないとはもう言えないというか。今は私立の高校も入ってきたし、幼稚園や保育園も入ってもらって、本当にいろんな教育機関や団体がESD推進協議会でつながっているのがやっぱり10年間やってきたことかなと。


【明石主査】

 ありがとうございました。では、ちょっと先を急がせていただきます。
 続きまして、最後になりますけれども、古賀委員より御発表をお願いいたします。


【古賀委員】

 皆様のお手元の資料の一番後あたりの方に、私が今からスライドと全く同じものを資料としてお配りを頂いておりますが、スクリーンの方を使いながらお話をさせていただきます。
 福岡市を拠点に、NPOの支援の他、公民館、児童館、行政、企業等々のマッチングを通じての地域づくりのお手伝いをしております、NPO法人ふくおかNPOセンターの古賀と申します。
 社会教育分野には、未だ二、三年ぐらいの関わりしかありませんが、今日お話する内容は、当方の取組の事例、それから、特に連携・協働という観点で、ここが今課題じゃないかというところをお話をさせていただこうと思います。

 まず、取組例をお話をさせていただきます。特に資料としてお配りしておりません。ホームページもございますので、もし御関心ある方はゆっくりごらんいただきたいんですが、今、福岡市役所と私どものNPOとの協働で、この3年来取り組んでいる「公民館じょいんとプロジェクト」というものがございます。
福岡市は現在、人口153万と、神戸市を抜いて全国で5番目に多い都市になっております。公民館は小学校区当たり1公民館、今144館ございます。中でも、特に中心部である中央区というエリアに重点を置いて、「じょいんと」という名のとおり、NPO、企業等々と公民館とが一緒に協働で企画をやることで、今地域の中でなかなか参加しなくなっている、いわゆる勤労世代以下の方々が地域に関心を向けるきっかけづくりをやりましょうということで、実際に公民館の現場の館長、主事さんとも連携する形でさせていただいております。
 内容的には多くの協働でのプログラムの実績がありますので、詳しくは割愛しますが、イメージとして協働の組み方はこんな形です。福岡市役所は、協力の協に働くではなく、共に働くという言葉を使われていて、それゆえに「共働」という言葉になっているんですが、一般的には「協働」と同じく、みんなで力を合わせて面白い企画を生み出し、新たな課題解決をしていきましょうというのが、このプロジェクトの趣旨です。
 具体的にやっていることの一例として、まず、子どもたちとともにハロウィーンのパレードを行うという企画です。こちらの公民館は、繁華街もあり、非常に人口が減っていて、小学校も統廃合されたところで、子供たち同士のきずなもとても薄らいでいるという危機感をお持ちです。そこで、公民館が音頭をとって、商店街と連携をしてハロウィーンイベントをしましょうという企画が始まったのが1年目でした。協働先として、もともと高齢者向けの手芸の活動を推進していらっしゃる団体さんをマッチングし、あえて子ども向けに企画をアレンジをしていただきました。具体的には、単に子どもたちが衣装を着てパレードするだけでは面白くないということで、主体的参加を促すべく、事前に、ハロウィーンの小物や衣装づくりをワークショップ形式で行う日も設け、パレード当日は保護者の方々、それこそ、最も公民館に一番来ない世代が保護者の世代なので、あえて同席をしていただいて、近所の商店街を練り歩くというパレードをしました。

 1年目はオーソドックスな形だったのが、2年目からは商店街組合が、当日のお菓子提供等で積極的に協力してくださるようになってきました。
 3か年限定のプロジェクトなんですが、私ども協働のコーディネーターとしての留意事項は、予算等の枠組みがなくなっても、地域のさまざまな主体も巻き込みながら、いかに持続可能なものにしていくかということです。今年で3カ年目となりますが、3か年以降を見据えて、自治協議会と公民館と商店街の協働の企画でやっていこうということで、今年度はより画策しながらコーディネートをしているところです。

 それから2つ目の事例は、子育て中のママ向けの取組です。写真の撮り方を学ぶ講座という名目ですが、地域の魅力を知っていただくために、地元にある写真館の指導のもと、地域の商店等に出向いて写真を撮りながらインタビューをして、その内容をみんなでプレゼンをし合い、写真展として銀行の支店や産婦人科等でお披露目をしたというものです。
 この公民館については、日ごろから、保護者世代も何とか来てほしいとあの手この手で最近流行っているプログラムを取り込んでもなかなか来てくれないというお悩みから、アートイベント等の企画に長けたNPOに協力いただいて、“子供の写真をうまく撮る方法という切り口でやってはどうでしょう”という提案をいただきました。加えて、私どもの方からも、“せっかくならば町のフィールドワークもやって、町に少しでも愛着を持ってもらおう”ということを追加提案して実現した取組です。この公民館では、それ以降も、他のNPO(公民館じょいんとプロジェクトで他の公民館でそれ以前にマッチングしたNPOと同一)と協働での子育て世代向けのプログラムを展開されているところです。

  最後に御紹介するのは、日ごろなかなかプラネタリウムにも行けないような親子世代向けに、公民館の講堂を真っ暗にした状態でプラネタリウムを専門的にやっているNPOさんに来ていただいて、みんなで星空を楽しむという企画です。プラネタリウムだとなかなかおしゃべりもできないんですが、講堂の中ではわいわいおしゃべりをしながら星空を楽しみ、実際に外にも出て望遠鏡で楽しむというプログラムを行いました。これも、そもそもは、子供たちに天文学習をという狙いもさることながら、いかにその親世代に来ていただくかということがつまる狙いでした。
 このプロジェクトは一応、今年度が最後という想定になっているんですが、できれば今パイロット的に中央区というところ限定でやっていますので、「次の地域活動の担い手の開拓・育成」という観点から、全市的に水平展開できないかということで検討をしていただいているところです。
 それから、別のプロジェクトとして、2つ目に御紹介しますのは、「子どものための児童館とNPOの協働事業(NPOどんどこプロジェクト)」なる協働事業です。2007年から住友生命さんが協賛をする形で、全国各地にある我々のようなNPO支援センター(中間支援組織)が介在し、地域のNPOないし企業と連携をして、子どもたちに豊かな体験活動を提供するというものです。

 この中で、実は社会教育の主事の資格を持っている方が大活躍をされてる、沖縄県浦添市立森の子児童センターというところで昨年度からスタートしている取組をご紹介します。もともと那覇市内の公民館を受託運営さていた社会教育主事の資格を持つNPOの方が、児童センターに転職をされています。児童館は、利用対象が0歳から18歳と規定はされていますが、オールジャンルでいろいろな体験活動を通じた学びの機会を提供できます。こちらで今実施されているのが、防災のプログラムを中学生が主体となって地域の大人たちを巻き込んで、地域ぐるみでの取り組みに発展させるかという3カ年がかりの企画です。詳しくは、「森の子児童センター」、それから「NPOどんどこプロジェクト」とネットでキーワード検索していただくとすぐに出てきますので、ここでは詳しいお話は割愛させていただきますが、実は先週、私のリクエストで国社研さんの社会教育主事講習で、この浦添の方に出ていただいて事例研究をしていただきました。受講されていた各市町村の職員や教員の方々に好評だった様子で、社会教育という分野はいかに幅広く、オールジャンルに対応できるかということを私も学ばされました。

 ここからは、お話の後半の「ここが大事」に入ります。これは資料としてもお配りをしております。5つポイントがあると思っています。まず1つ目が、地方自治体の協働の指針等にもよくある内容ですが、やはり日ごろから、いかにつながりをふやしておくか、ということです。私もそうですが、特にコーディネーターは、企業、NPO、行政も含めて、いろんなつながりを備え置いておくことが大切と感じています。
 また、「属人化の予防策にも」と書いていますが、実施主体の方々が、それこそ異動等もある場合においても、複数名でつながりを共有して、引き継ぎ事項にも、例えばキーパーソンの情報などの属人的な情報も共有しておくことで、人が変われば取組が終わるということの予防にもなろうかとに思います。
 それから、私、新居浜市さんの取組にとても感銘を受けたのが、年間何回ワークショップしたとか、何十回ワークショップしたという点です。PDCA、つまり、計画の段階で、そもそも課題が何かというところから課題をみんなで共有する。計画段階で、青写真を共に描くということがプロセスとしてはとても大切で、協働、つまり、異なる組織、異なる論理のものを通して一緒のことをやるという場合に、実はこの時間がとても大切です。
 それから3つ目、これは特に協働のコーディネーションをする場合には求められることでして、社会教育主事はまさにそうですが、物事を進める際には、ファシリテーター的に、いかに企画書ベースで文字・数字で明確に整理しながら人々との共有・協議の場づくりをしていくこと。赤字が出たり、特定の担当者への無理が生じたり、スケジュールが遅れ遅れになるようなことがないよう、身の丈サイズの見極め力もとても大切です。特にターゲットや目標設定の力とかとても大切なんですが、まだまだだなということも感じています。

 それから、最近、協働がブームになっていますので、特に自治体レベルでは協働に関する条例・計画等が策定されていて、手順なども細かく書かれてはいますが、現場では活用されていないことが多いです。私自身もその経験がありますが、マニュアル通りにいかないのが協働であり、油断をせずまめにやり取りする他ないなと思っています。喜びを分かち合ったり、共に悩んだりなど、コミュニケーションを重視することがとても大切と思っています。

 最後、きょう特にお伝えするべきと思っておりますのが、社会教育における行政の役割はやはり大きいという点です。新居浜市さんしかり、岡山市さんしかり。岡山市の公民館で「ESD」という言葉がなぜ使われているんですかというふうにお尋ねすると、やっぱり2代前の市長さんが、非常にリーダーシップをとられていたそうで、なるほどと思いました。
 資料のグラフは、福岡県内の市町村の社会教育行政の実態です。予算、人員というのが非常にネックだというのが表れています。つまり資源が足りないという実態があるんですね。これ実は私も出向く先々で、人口が数千人とかという小さな単位の町ほどそうだなと思っています。なかなか人手も足りないので、1人の職員さんで幾つも抱えられていて、熱心な職員さんには頭が下がるような思いもするのですが、それが故にどうも自前主義におのずと陥ってしまう可能性があると感じております。

 一方で今、NPOの業界では、「社会的インパクト評価」というものが改めて注目をされていて、内閣府も社会的インパクト評価に関する研究会というものも立ち上げていました。社会教育分野と同じく、NPOの活動も、成果といっても定性的で、定量的な評価がなじみにくく、「何でそんなことしないといけないのか」と思っているNPO関係者も多いんですが、とはいえ、企業や行政等の外部組織から受けた資金提供がどれぐらい社会的にインパクトをもたらしているか説明責任を果たせるような手法としてのこの評価方法が、昨年度からどんどん熱を帯びて、改めて注目をされるようになりました。
 一方で、貨幣価値換算という非常に難しい作業も伴いますので、できれば私の要望としては、財政担当課に対して予算折衝時などに訴求し得る、社会教育分野にカスタマイズされたような評価の仕組みが、是非学識経験者の方も含めた検討を通じ、国が音頭をとって地域に対して普及をしていただけたらなと願ってやみません。
 それから、これは社会教育主事という制度自体への注文というか要望です。例えば、昔から「家庭教育学習」というカリキュラムがありますが、以前、自治体担当課が「働いているママ向けに、お料理のこととか子供の育て方のことも連続講座をしたいと思っているが、なかなか人が集まらないんです」と嘆かれていて、よくよく聞くと、昼間とか午前中にしているということで、「それでは働いているママは参加できないはずです」と話したことがありました。
 資料のグラフは、右肩上がりになっているのが共働き世帯、右肩下がりになっているのが、いわゆる専業主婦の世帯です。最新のデータが平成23年で、両者が入れ替わる分岐点になっているのがバブル崩壊という節目です。私は今、中学生の子供がいまして、同じ世代の親御さんは大半が共働き世帯という状況になっておりまして、社会教育の関係者の方々は、こういうリアルな時勢もしっかり分析力を持って、直視をしてほしいです。社会教育主事講習の制度自体、時勢を捉えたカリキュラムとなるよう工夫もされていますので、できればこの資格自体を更新制にしていただいて、新しい情報をそこに行けばすぐさまキャッチできる、しかもまとまって効率的なカリキュラムで受けられるという形にされたらとも思います。私、九州地区と国社研さんの両方で社会教育主事講習の講師を担当しているんですが、最近は、社会教育関係の部署ではないお立場で社教講習を受けに来られる自治体職員やNPO関係者もみられます。例えば、MBA(経営学修士)は官民で修了者が増えていますが、「社会教育主事」という名称自体を、「コミュニティ・ラーニング・コーディネーター」等のちょっと新しい打ち出し方で、より広く民間にも開放する形でステータスの向上自体、この時期だから改めててこ入れをしていただけたらなというふうに思っているところです。そうすることで、行政のいろいろな部門で有資格者が増えるとともに、なおかつ民間においてもより活用されるような方向性になってほしいです。
 どうも御静聴ありがとうございました。


【明石主査】

 古賀さん、本当にありがとうございました。ちょっと私の方から質問させてください。
 このNPOを立ち上げて何年ぐらいになるんでしょうか。


【古賀委員】

 2002年に設立をしてまして、15年ですね。


【明石主査】

 このNPOが公民館と連携しようと思ったのは、いつごろから考えられたんですか。


【古賀委員】

 3年前に福岡市から公募がなされ、私どもの方は児童館と協働のプログラムをずっと2007年来、北九州市の方でお手伝いをしておりました中で、公民館との協働のコーディネーションにおいても、児童館のプログラムでのノウハウや、日ごろから培ってきたNPO・企業等とのネットワークが活かせると思い、エントリーしました。


【明石主査】

 それで公民館とNPOが共に意見交換しますよね。その場合に、古賀さんのNPOが出したプランは、今回で言うと母親世代も焦点を当てていますよね。あれはやっぱりNPOさんの力であそこにターゲットを絞ったんでしょうか。


【古賀委員】

 常に重視しているのは、公民館が一番地域に近い存在で、地域課題を把握しているという想定に立ち、公民館側のニーズをしっかりお伺いすることです。その上で、我々でNPO等とのマッチングの前に少しのアイデア出しもしながら企画を一緒に練り上げ、これに見合うようなパートナーをお連れしてきて、顔合わせしていただいて一緒にプログラムを更に練っていくという流れでお手伝いをしています。


【明石主査】

 そのミーティングというのは、どのぐらいの頻度で行われているんでしょうか。


【古賀委員】

 同じ相手で複数年度、経年でやっているものについては、我々が逐次間に立たずとも、直接やり取りしていただく形で済むようになるので、同席の回数は減ります。他方、初めてのマッチング場合は、企画段階から少なくとも3回は必ず同席して見守っています。


【明石主査】

 ありがとうございました。2点目は、今NPOが5万弱、それでコンビニも約5万弱なんです。コンビニとNPOは同じくらいなんですよ。そこで、NPOは3分の1が潰れるのね。またできるんですけれども。そこでお聞きしたいんですけれども、この福岡市の委託料はどのぐらい出るんですか。


【古賀委員】

 初年度がホームページ製作費含めて280万円ぐらい、翌年度が200万ぐらい、今年度が検証のためのテキスト製作も含めて180万円です。福岡市において、区役所が所管する社会教育行政にしてはあり得ないレベルの金額だそうです。


【明石主査】

 やっぱり行政はそこら辺、財政的な措置をとらないとNPOも食べていけない。


【古賀委員】

 人件費も含んでいただいています。


【明石主査】

 NPOはもうけてはいけないけれども、お金を稼がなきゃいけないんですよね。
 あと、そのほか何かご質問ございますか。


【関委員】

 1点だけ構わないですか。福岡市の公民館の位置付けというのは、首長部局の方に移管されて、コミュニティ・ラーニング・センター的なイメージと理解したらよろしいですか。


【古賀委員】

 CLCという言葉も実際使われてはいるんですけれども、方向性としてはそんな感じで、なおかつ平成17年度に公民館の新しい指針が出ていて、そこでは地域の自治の推進拠点として位置づけることがうたわれているので、学びプラス自治、特に自治のほうの色合いが強い感じです。


【関委員】

 公民館は公民館なんですよね。


【古賀委員】

 公民館は公民館です。


【関委員】

 社会教育法上の公民館で、それを補助執行しておるような位置づけ。


【古賀委員】

 そうです。


【明石主査】

 ちょっと教えてほしいんですけれども、千葉市の場合は、公民館が47館あって、コミュニティセンターが18くらいあるんですけれども、新居浜もコミュニティセンターってあるんですか。岡山も。その関係がどうなっているか非常に悩ましい問題なんですけれども。


【関委員】

 新居浜の内容は、コミュニティセンターはなくて、地域交流センターという格好で、うちの場合は国土交通省の予算使って建てたのが1館と、あと今、それと類似したような形で離島の大島という学校を公民館的なものに改修したのを地域交流センターという位置付けにしています。
 あと、コミュニティセンター的な自治会館というものが、いろいろ各地域には持ち合わせております。


【明石主査】

 岡山はどうでしょう。


【重森委員】

 岡山はコミュニティハウスというの何ですけれども、それは小学校区に1つあるんです。ただ、その公民館が建っているエリアの小学校区は、コミュニティハウスはもうない。公民館があるのでということで。そこには職員もいないので、地域の方が鍵をあけて入る。でも公民館よりはぐっと3分の1ぐらいの大きさです。


【明石主査】

 岡山は分館が22館ありましたね。公民館の分館というのはどういう位置づけでしょうか。


【重森委員】

 今言ったコミュニティハウスというのは、市長部局の方が持っている施設なので、教育施設ということではなくて、地域の多分自治会館と同じような位置づけだと思います。分館というのは、教育施設として位置づけられていて、昔の教養館とかと呼ばれていたものが、今分館として残っていると。


【明石主査】

 ありがとうございました。これからやっぱり公民館の位置づけと、コミュニティセンター、コミュニティハウスとの結びつきとか、交流センターとの兼ね合いというのを考えていかなければいけないかと思っています。
 よろしいでしょうか。ちょっと時間がまいりましたけれども、最後、今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。


【石川社会教育課専門官】

 本日は、皆様からの御意見ありがとうございました。
 次回の会議は、東京で9月26日の開催を予定しております。よろしくお願いいたします。
 また、本日は会議のホストを引き受けてくださいました関委員、新居浜市の皆様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 連絡事項は以上でございます。


【明石主査】

 では、最後に関委員から一言いただけますか。


【関委員】

 本当に貴重な学びの場を提供していただきまして、ありがとうございます。多分、ここにおります新居浜市の公民館のメンバーも、非常に参考になったお話を聞かせていただけたんじゃないかなと思っております。改めてありがとうございました。


【明石主査】

 以上をもちまして、本日用意した議題は全て終わりました。
 どうもありがとうございました。

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