学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事録

1.日時

平成28年11月21日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 学びを通じた地域づくりの推進に関する論点整理項目案
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、小曽根委員、古賀委員、重森委員、関委員、田原委員

文部科学省

有松生涯学習政策局長、佐藤生涯学習政策局総括官、里見生涯学習政策局政策課長、西井社会教育課長、石丸社会教育課社会教育官、佐藤社会教育課社会教育官、石川社会教育課専門官

5.議事録

【明石主査】 

 定刻になりましたので、ただいまから第4回の会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、本日もお忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、事務局より、資料の確認、並びに本日の会議の流れを御説明してください。


【石川社会教育課専門官】 

 はい。おはようございます。本日もご参加いただきありがとうございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、資料1から資料4までございます。また、その他、机上資料がございます。ございますでしょうか。また、不足がございましたら、お知らせください。
 また、本日の流れでございますけれども、資料1の論点整理項目案の順に従いまして、今後の検討課題につきまして、順次議論をしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。


【明石主査】 

 それでは、お手元の論点整理項目案につきまして、議論を進めていきたいと思います。まず事務局から、ローマ数字の1の部分について御説明をお願いいたします。


【石川社会教育課専門官】 

 それでは、資料1の1枚目の目次から、まず御紹介させていただきます。こちらの方、ローマ数字の1のところ、総論的なところでございますけれども、まずは、全体的な基本的なその考え方、総論的な部分を、最初に出してきております。こちらの方では、現在、社会教育を取り巻く現代的な地域課題でございますとか、また、社会教育の貢献可能性、また、学びを通じた地域づくりに資する、そういった、今後の社会教育振興の考え方について、検討していくこととしております。
 また、2の方では、具体的な各論に入ってまいります。1の部分の総論を踏まえたものということで、まず、1番のところは、社会教育行政体制の整備ということで、具体的な行政の在り方。また、その後、職員の在り方ということで、議論を進めたいと考えております。また、2番の方は、今度は地域の学びの場の在り方ということで、こちらは、場ということでございますので、そういった施設面のものも含めて、議論していくという予定でございます。
 それでは、1ページおめくりいただきまして、まず、ローマ数字の1の基本的な考え方の部分でございます。これは、これまで、会議の中で、皆様から頂いた御意見でありますとか、また、ヒアリング、また、今後議論していきたいものも含めて、記載させていただいております。
 まず、現代的な地域課題のところでございます。こちら、最初の会議の際などに、いろいろ議論した部分かと思います。本格的な人口減少社会の到来や、コミュニティーの弱体化など、社会教育を取り巻く現代的な地域課題、様々ございます。こちらの方について議論をしていく項目でございます。
 また、マル2 の貢献可能性のことでございますけれども、そういった地域に所在する多様な課題にかかわる意義でございますとか、また貢献可能性について、議論していくものでございます。

 また、続きまして、2ページのところでございますけれども、学びを通じた地域づくりに資する今後の社会教育振興の考え方についてということで、まちづくりでありますとか、地域課題の解決に資する学びの推進でありますとか、また、首長部局、NPO等の民間団体など、教育委員会以外のものとの連携を推進する社会教育行政のネットワーク化の推進でありますとか、そういった点につきまして、学びを通じた地域づくりに資する社会教育を振興するために必要な観点について、議論していくというところでございます。

 それで、その次の3ページ目でございます。こちら、点線の今後の検討課題例とございますけれども、こちらの会議でございますけれども、今年度、社会教育の様々な課題について議論をしていく場ということでもございまして、今後、具体的な中身について、解決策は、来年度以降かけて議論していくというところでございます。そのための課題を整理するということで、こちらの会議では、今後、3月までの間に、この点線の部分、具体的にどういったことを議論していくべきかということを、より具体的に議論していきたいと考えておりますので、この点線部分を膨らますようなイメージになってまいります。
 本日は、1回目でございますので、かなり抽象的に書いてある部分もございます。こちら、少し紹介させていただきます。
 今後の検討課題例といたしまして、まずは、多様な地域課題の解決に向けた社会教育の役割・機能の明確化、そういった、社会教育の再定義ということが必要ではないか。また、2つ目でございますけれども、地域づくりに求められる、新しい学びの具体的な内容とはどういったものか。また、3つ目でございます。地域住民等の学びを支援する専門的な職員としての学びの専門職の姿として、どういったものがあるか。まずは1のところ、また具体的には2以降で議論しますけれども、まずは総論的にどうあるべきかというところを、ここで議論できればと思います。
 以上でございます。


【明石主査】 

 今の、事務局から、ローマ数字1の、全体的な総論と言いましょうか、論点の説明があり、今後の検討課題例が3つほど挙がってきておりますけれども、これに関して何か御意見ございますか。
 ちょっと、神戸新聞の記事で、集合マンションで挨拶をやめましょうというのを決議したというニュース聞きませんかね。母親が、子供たちが、集合住宅で知らない人からおはようと言われたら、すぐ逃げなさいというようにするとか。またある高齢者は、おはようと言って、おはようと返ってこないと気分が悪いから、もうそういう挨拶運動をやめましょうということが、論点になっているという。要するに、ここで言う社会教育の役割機能の明確化と言ったときに、そういう、挨拶さえも禁止しようかというような動きが出てきておりますよね。それに対して、本当に社会教育はどう対応すればいいのでしょうか。学びの中身とかも大事ですけれども、地域で独りぼっち化現象が出てくる中で、今後どういう再構築の可能性があるのかということを、考えていかないとなりません。そういう現状が広がっていけば、ますます学びの質が高まっていかないかな、という感じがしますけれども。
 関委員。


【関委員】 

 今の、意見を言ってもよろしいですか。
 全く、私も明石先生と同じで。考え方は。もう、関係性がやはり失われているということに対して、社会教育がきちんと関わっていくべきではないかなと思います。
 先般、たまたま、とある教育長のところにお伺いして、子供たちの姿を見せてもらったのですけれども。小中一貫という9年の流れの中で、例えば今までの小学校の1年生を中学校の3年生が面倒を見るような関係の中で、やはり子供同士の関係性も変わっている。大人でも一緒だろうと思います。
 先般、うちの方でも高齢者フォーラムなるものをやったのですけれども、お年寄りの問題を、単に社会の課題として捉えるのではなくて、たくさんお年寄りがいるということは、経験を持った人がいっぱいいるという世の中だと思います。また、その人がみんな元気であれば、まだまだいろいろな場面で活躍してくれる、そういうところをむしろ前面に押し立てていくような、社会教育の方向性が大事なのではないかなと、先般、改めて感じました。


【明石主査】 

 古賀委員、いかがでしょう。そういう、マンションや集合住宅における問題について。


【古賀委員】 

 私も、そのニュースにはびっくりしました。すぐさま思い浮かんだのが、今の子ども食堂のブームです。何か関連するものがあるなと思います。というのも、子ども食堂は、九州でもどんどん広がっていて、そのための団体も生まれています。が、その背景に、それこそ家庭教育に当たると思いますが、食育の不足とか、人権、更に言うと命の大切さへの意識の希薄化とか、いわゆる無関心になっている親の存在が透けて見える感があります。子ども食堂の取り組みも大切でしょうが、実はその奥に根差す問題こそが根深いと感じています。
 そういう点では、セーフティーネットとなるような人の発掘・育成という点で、社会教育がこれから果たす役割はむしろ大きくなるのではないかとも考えさせられたニュースでもありました。


【明石主査】 

 どうですか。田原委員。


【田原委員】 

 私も考えていることがあって、佐賀県は大変小さな、大変田舎です。それなのに、PTA育友会組織の、県の組織、地域の組織。学校では活動するよとしているのですけれども、それから抜けるというのが幾つか出てきたのです。大都会の話かと思っていたら、今度、来週、そういう県の会議を、ちょうど私のいる市で県の大会をするのですけれども、そこで重要性を説いてくれという課題が出るぐらい。ええ、佐賀県でも、と思うぐらい。今、古賀委員さんがおっしゃったような、家庭の問題というか、もう、我が子を育てるので必死なのだから、それ以外のことと関わる暇がないよ、というのが、田舎で出てきました。田舎を連発していますが。田舎の佐賀県の中でも、出てきたところが、私びっくりしたのが、えっ、て。一番大きな佐賀市内じゃないの、と思ったら、いや、山の学校なんです。山手の学校、近隣の学校からだったので、私を大変驚かせているところがあるので、やはりもう、ちょっとそういう、ものすごく大きなものに、何かの欠落を感じているところです。


【明石主査】 

 重森委員、何かございますか。


【重森委員】 

 社会教育と言われると、何かなじみがなかったりとか、どういうものを指しているのかということが、明確でなかったりするのかなと、ちょっと最近思っていて。だけど、コミュニティーを再構築しましょうとか、つながり、東日本大震災の前のときには、本当につながりがなくなっていてという。震災が起きてから、絆(きずな)というのが、すごくみんなの中で共通のワードとして出ていて、やはりつながりを作らないとねって、あの頃は言っていたと思うのですけれども。それが、また少し時間もたってきて、今、そういう形で、1つのところが注目されると、何かそこにみんなが飛びついてしまって、つながりが要るの、要らないの、みたいな議論に、ちょっとなっているので。だからこそ、そこは、社会教育に携わっているからこそ、私たち自身がもっと発信していくし、本当はみんな、それが必要だと思っているのではないかなということを考えながら、記事は読みました。


【明石主査】 

 小曽根委員。


【小曽根委員】 

 今、SNSとかそういった情報機器、わざわざ、隣とかすぐそばにいるのに、それなのに、ほんの一言、声をかければ済むのを、わざわざそういうふうな風潮。私の年代だと、そういうのは逆に苦手なので、やらないのですけれども。要は、本当に顔を合わせる、そういったことによって、顔の表情なり何なり、感情、それがコミュニティーなり何なりの始まりだと思うのですよ。うちの方、子供のジュニア・リーダー研修ということで、子供の5、6年生を対象に、宿泊研修とかをやっているのですが、やはり最初、挨拶とか小さいですよね。でも、1泊して、そういう時間の経過とともに、子供たちの適応力といいますか、そういったものは早いもので、1泊2日なのですが、終わりの頃には、本当に成長したなというような感じが、そういった、言葉を交わしての、感情を出してのというのが大事ではないかなと思います。以上です。


【明石主査】 

 ありがとうございました。
 実は、この問題を出したのは、関委員がおっしゃるように、関係性とつながりを社会教育で保証していかないといけないだろうなと思ったのです。たまたま、きょうの朝の日経新聞にちょっと書かせてもらったのです。青少年教育振興機構が、20歳、30歳の若者4,000人対象に、結婚観と、結婚願望観を調べた調査があります。その中でちょっと気になったのは、付き合っている異性はいるのだけれども、結婚はしないのだという方が、結構増えているのですよね。その、付き合っている異性がいるのですが結婚したくない。1人が楽だという。もう1つは、30代の終わりの方は、1人がいいといっています。年収は400万円以上で高いのですが、小学校頃に体験が少なくて、子供が生きがいにならなくて、地域と関わっていくのが嫌だとか言う人たちです。要するに、独りぼっちがいいのだという、そこに、社会教育行政はどう入っていくのかとか、忙しい家庭のサポートをどうするかとか、貧困の地域をどうするかということは、ターゲットが非常に明確だけれども施策的に難しいですが。構ってくれるな。そういう若者が出現しつつある中で、さっき言った関係性というのを、つながりをどう持って、それで持続可能な社会を創っていくということが、やはり社会教育のメーンテーマかと思うので、少し議論していただきました。
 それでは、ローマ数字の2 の方に移ります。


【石川社会教育課専門官】 

 その前に、すみません。本日、御欠席の井出先生と牧野先生から、少しメモを頂いていますので、ちょっと御紹介させていただきます。
 では、机上資料で置かせていただいたものですけれども、井出先生の方からは、今、御議論いただきましたような、コミュニティーづくりでありますとか、また、地域住民との信頼関係を、いろいろな施策を実施して構築していくべきではないかというような話でありますとか、住民の孤立を解く、そういった機能があるのではないかといった御意見を頂いております。
 また、牧野先生のところでございます。こちら、牧野先生、前回御発表いただきましたけれども、社会教育の方では住民の意思決定を支援するコミュニティーでの学びの在り方が、今、問われているのではないかということでありますとか、また、生活に密着した学びが必要でありますとか、また、地域経営に結び付くよう支援するような行政が必要であるとか、そういったような形で進めていくべきではないかと。また、専門職の在り方についても議論が必要ではないかと、そんな御意見を頂いております。
 ありがとうございます。


【明石主査】 

 では、続きまして、社会教育行政体制の整備について、議論したいと思います。ローマ数字2 のマル1 とマル2 の行政の在り方の部分と、マル3 の職員の分について、分けて議論をいたします。
 まず、マル1 とマル2 の分について、事務局から御説明ください。


【石川社会教育課専門官】 

 こちらからは、各論でございます。まずは、社会教育行政体制の部分でございます。では、3ページの1のマル1 でございますけれども、まずは、こちらは広いところでございます。行政、これは社会教育課のみならず、これは地方行政全般というところでございまして、まず、論点でございます。行政運営における学びの意義でありますとか、また、学びと一体となった行政運営を推進する上での教育委員会の関わりでありますとか、役割についてということで、検討課題としては、行政運営における学びの機能の意義でございますとか、また、学びと一体となった行政運営を推進するための教育委員会の方の役割、また、関係部局間の連携の在り方というところでございます。
 マル2 でございますけれども、教育委員会と多様な関係者との連携ということでございます。
 こちら、次の4ページにまいりまして、首長部局でございますとか、また、関係機関、NPO等の民間団体の方でございますとか、また、学校等との連携方策についてということで、これまで、こちらの方、様々なヒアリングの中でも、いろいろな連携のパターンについて御紹介いただいておりました。こちらの方、どういったことについても、まず、地域課題でありますとか、地域住民のニーズ、どう把握していくかということの必要性について、様々な議論がございました。また、4ページの下の方でございますけれども、特に島根県からの御発表などにもございました。また、その他のヒアリングでもございましたけれども、首長部局との連携をどう推進していくかという論点がございました。

 また、5ページでございます。こちらは、様々な活動をしていく際に、というところの話が多かったと思いますけれども、関係機関でありますとか、NPO等の民間団体等の連携をどう進めていくかというような話もございました。また、これは、昨年の中教審の方からも引き続いてやっておりますけれども、学校との連携の推進も、1つ大きなテーマとなっております。
 それで、6ページでございますけれども、今後の検討課題例ということでございまして、これまで出てきた議論をまとめさせていただいておりますけれども、1つとしては、1つ目の○のところでございますけれども、行政の方でございます。地域課題でありますとか、地域住民等のニーズを把握して、共有できるために必要な具体的な方策というものは、どういったものがあるかという点と、2つ目でございます。こちら、学びを通じた地域づくりというのは、社会教育課だけでできるものでは、当然、ございません。そういった面で、多様な関係者との連携の推進方策ということで、首長部局については、例えば、情報共有や地域課題解決を図るため、総合教育会議でありますとか、いろいろな協議・意見交換の場を活用していくという点でありますとか、また、NPOと民間団体との関係でございますけれども、行政と、そういった民間団体をつなぐコーディネート機能の整備の方策が必要ではないかというようなところでありますとか、学校について、地域と学校の連携協働を進める地域学校協働活動を推進するための体制の整備などが必要ではないかといった、そういった課題があるかと思います。
 また、これに付け加えるものでありますとか、具体的な内容につきまして、御議論いただければと思います。


【明石主査】 

 ありがとうございました。
 では、検討課題が、マル1 とマル2 がありますけれども、どちらでもよろしいかと思います。要するに、マル1 の方は、学びの意義とか、学びと一体となった行政運営の推進とか。マル2 の方は、様々な集団、団体との連携とか結び付きをどう深めていくかという、それで課題を解決していくという視点だと思いますけれども。
 ちょっとお聞きしたいのは、その論点の、学びの意義ってありますね。どうも、こういう言葉が美しいと自己陶酔になりがちなので少し言い換えてみたいと思います。今、人工知能のロボット出てきますね。ロボットで東大に入ろうという研究を新井先生のグループが4年かけてやってきました。そしてもうやめたのです。要するに、人工知能の偏差値は57.1で、これ以上難しいのだそうです。だから、ロボットができない学びというのを、社会教育の方で位置付けできないかなと思うのです。学び一般というのは、もうずっと生涯学習から使われてきていますけれども、学びに新しい息吹を付与しないといけないと思うのです。そこで皆さん、人工知能も学んでいくのですけれども、人工知能ができない学びというのは、どんなことがあるのだろうかなということで、何か御意見ありましたら。関委員あたりから、何か。


【関委員】 

 学びと言うと、今までの社会教育の中では、どうしても学校教育的な意味合いの、先生がいて、その人のお話を伺う、みたいな感覚が強かったと思うのですけれども。今から、もう、方向性としては間違いなく、総合学習的な、対話とか話し合い、議論の中で、お互いが納得できる地点を一緒に考えていけるような場づくりが、学びかなという気がするのです。行政の運営している中で、例えば福祉の問題にしても、環境の問題にしても、あるいは産業振興の問題にしても、みんなが同じ場に立ち会って、そこで話合いをする中で、お互い全く違く意見を持っている人間が、喧々諤々やる中で、初めて、ああ、これだったらお互いに何とか納得できるような、みたいな地点が見い出せるような気がするので、そういうものを促していくことが学びかなというイメージを、私は持ちます。


【明石主査】 

 ありがとうございました。ほかに、皆さん、何か。田原委員、いかがですか。


【田原委員】 

 うまくまとまっていないのですが。確かに、先ほど関委員が言っていただいて、うち、小中一貫を導入して4年目なのですが、検索でもデータでもない学びを、子供たちが今、しているのを、ああ、これ、もう、社会で起こすべきなのだなと、今、イメージしていました。どんなことかと言うと、学校側が、そこは仕組んだわけでも何でもないのですが、遠足に行きました。遠足、登山ですね。1年生から中学3年までが、一緒に行くのです。登るときは、さほど変化はなかったのですけれども、変化が出るのは、お昼休みから帰りですね。9年生の子供たち、もうささーっとお弁当を食べ終わります。で、今からちょっと格好つけちゃろかという時間に、もう、これは、私は目撃して感激したのですけれども、1年生の子供たちが、ああ、お兄ちゃんの膝が空いたというので、もうお弁当を食べながら、途中で、お弁当を持ったまま、お兄ちゃんの膝に座りに行くのです。すると、何と、今から立ち上がって格好つけようかと言った子供たちが、のけとも言えない、何とも言えない、許容して、そして、いい顔になるのですね。それから、帰りに何が起きたかというと、これも一言も声をかけていないのですが、1、2年生を、勝手に、9年生の子供たちがおんぶするは、もう、子守りをしながら手を引いていくは。そうしたら、その次の学年の子供たちが、その子たちの、おぶわれた子供たちの荷物を持ってくれるは、ということが起きてきたのです。やはりこういうことを、社会にどうにかして起こしていけたらいいのかなと。具体的に、という感じはしていますが。
 ちょっと長くなりますが、1ついいですか。私、校長になった年に思い付いて始めたことがあって、これは、自分はずっと中学校の教員現場にいたので、小学部、小学校に行ったら、もっとスキンシップがあっているのかと思っていましたが、ああ、こんなにスキンシップがないのだと。これ、また田舎が出るのですが、こんな田舎でも、と思ったのですね。それで、思い付いて、ハグハグ大作戦というのを、校長先生の宿題として出しました。家族の名前を書き出して、月曜日、誰とハグした、と丸をするのです。これは大反響で、校長の間、続きましたが、これを私が狙ったのは、さあ、お母さんたち来なさいと言って、説教しますとか、講演しますと言っても、来てくれる方は、余り必要でない方。どうしたら、必要な人たちに何かを届けられるかなと思って、思い付いた具体例だったのですが。そんなことを、何か社会教育で思い付かなくてはいけないなと、今、思っているところです。


【明石主査】 

 今の田原委員の話をお聞きしまして、学校の先生方が挨拶する場合は、お互いが顔を見て、おじぎする。社会教育の社教主事は、握手するのです。だから、同じ挨拶でも、学校関係者は、膝折って目礼をする。社会教育は、握手して実感を大切にする。仲間づくりの基礎・基本ですが握手するとなぜいいかと言うと、意外と指が細いとか、汗をかいているとか、手が冷たいとか、リアリティーがあるのです。この学びも、さっきの人工知能ではありませんけれども、実感とかリアリティーとかあると思います。今の小中一貫でも、まさにハグも、リアリティーがありますよね。


【関委員】 

 そうですね。


【田原委員】 

 そうですね。


【明石主査】 

 そういうのが、私、社会教育が一番大事にしてきたのだと思っているので、もう一度そういうのを再発見、再構築するというのが大事かなと、今お聞きして、思いましたけれども。
 重森委員、何かございますか。


【重森委員】 

 岡山市で、ESDというのをしていて、ESDって、Eが教育なのですけれども、それを、実際には、市長部局の方でESD推進課というのがあって、取り組んでいるのですよね。でも、教育なので、本来は教育委員会でも、多分いいのだと思うのですけれども。その、教育というのを、私は、どうしても、私が学んできた学び方みたいなふうに捉えがちなのですけれども、もっと本当は広くて、人との関わり合いの中で、自分が気付いて、それがただ、気付いて知識になるだけではなくて、そのことで行動するとか、何かを変えるとか、結果的には、それで社会や地域を変えるというところまでの学びというものを、ESDって言うところのEって、すごく含んでいるのではないかなと思っていて。その、なぜESDが出てきたかというのも、いろいろあるのですけれども、要は、今までのやり方を続けていたのでは、もう社会は続いていかないから、全然何もないところから、自分たちで新しい価値観を考えて作り出して、そうやって変えていこうということで、ESDがきっと出てきたので。その中で、やはり、関さんが言われるみたいな対話だったり、立場はみんな違うのだけれども、そこがフラットな関係性で、みんなで学習したり、行動したりということの積み重ねというのを、学びというふうに捉えて、だからこそ、行政の方でも、学びという広いプラットフォームの中にあるという、何かそういうことなのかなというのを、ちょっと、学びということで、今、考えています。


【明石主査】 

 古賀委員、何かございますか。


【古賀委員】 

 つい先日、NHKニュースで、急性骨髄性白血病の重篤な患者さんをAIがが救ったという話題が取り上げられていました。世界中に膨大にある各種学術論文を全部トレースして、それに基づいて、こういう治療法をやりなさいというふうに、AIが東大のお医者さんに提案し、それをやった結果、もう既に数百人の方が治療にこぎつけているということでした。実際にインタビューを受けられていた元患者の方は、実際に自分が発症し、薬を取っかえ引っかえ治療をされていてもなかなか効かず落ち込んで、家族の間でも悲しみばかりに打ちひしがれていた時があったそうです。そんな中、AIの臨床試験に参加して、まさか自分が助かるとは思わなかったとのことでした。あくまでAIは、膨大な治験データとか論文から拾って分析をするということは得意なのですけれども、恐らく、そのプロセスにある悲しみとかつらさとか痛さとか、人間の内心部まではフォローできていません。うれしいとか、おいしいとか、温かいとか、人々のそうした五感に訴求をし、そこで自分ごととして腑に落ちて、社会課題や地域課題を、学びや体験を通じて、自分の中で掘り下げて、アクションにつなげる。AIが出来ないそうしたことこそ、多分、社会教育の存在意義と役割として一層重みを増すだろうなと思っていたところでした。


【明石主査】 

 小曽根委員。


【小曽根委員】 

 やはり、人工知能から始まっているものですから。あの囲碁将棋ですか。はっきり言って、人工知能の方が、プロ棋士よりも上かというふうな状況かと思います。では、そうすると、プロ棋士がいなくなるかと言うと、私、ちょっと将棋が好きなものですから、これは必ずプロ棋士は存在すると思います。と言うのは、結局、プロ棋士は、あくまでも対局で、1手1手の中でやっているわけなので、それはある意味、社会教育とか、コミュニティーとかで考えますと、必ず、知識の合理的な、効率的なものというのがいいのかと言うと、特にコミュニティーなんかそうですよね。わざわざ遠回りと言うか、何と言うか、それによって、人と人とのつながりなり、助け合いなり、そういった部分で、学びというのが果たす役割、生きる力になってくるのかなというふうに思います。
 ちょっとまとまりがないのですが、人工知能から、やはり、学びの重要性という、改めて思うところです。以上です。


【明石主査】 

 ありがとうございました。今、古賀委員がおっしゃったように、人工知能は、ある本によると1レベル、2レベル、3レベル、4レベルがあって、3レベルの最高が、さっき言った、ビッグデータをたくさん入れて、データ解析すると解決方法が出てくるという。また、将棋と囲碁もレベル3ですね。レベル4が、ディープラーニングというか、深層の学習。今のはやり言葉では、アクティブラーニングに近いような感じなのです。今、学校教育も、アクティブラーニングというのを導入していく予定です。社会教育の一番いいところは、もうこれまでにアクティブラーニングをやってきているのですよね。そこで、社会の中でのアクテイブラーニングはどういうことか。この学びをもう一度考えていけるといいかなという感じがしております。ディープラーニングでは、ロボットも涙を流すかもしれない。要するに、ロボットも学習するのだと、進化をするのだというのが、ディープラーニングらしいのです。だから、そういう意味では、これからは競合しなければいけないという感じがしています。この行政運営における学びの機能の意義ということにおいて、議論いたしました。


【関委員】 

 その流れで、私はむしろ、その後の部分、教育委員会の関わり、役割というところが、非常に、この頃よく考えるのですけれども。逆に、行政、それぞれ、首長部局も、各担当部局が自らこういうふうな学びの仕組みを組み込んだときに、果たしてその後に、教育というものが果たすべき役割が、どの辺になってくるのかなというのを、ちょっと考えるのですよ。
 この間、たまたま、先ほど言いました高齢者フォーラムに、この間も来ていた島根の雲南の福祉部局の人間が一緒に来てくれて、社会教育の人間と一緒に高齢化の問題を議論したのですけれども。非常にその福祉部局の方が、その地域の中に入って、住民とともに学び合えるような場づくりをして。その中で、地域の介護の問題とか、買物難民の問題とか、そういうものを共に住民と解決していくような方向に向いて、今、動いていっている。そういう中で、果たして、教育が果たすべき役割というものを、どこに見出していったらいいのか、その辺、もしよろしければ、御意見を聞かせてもらえると、非常に有り難いのですが。


【明石主査】 

 それを深めるために、マル2 の、いろいろな様々な機関との連携、公の連携もあり、民間同士の連携もあり、学校との連携も含めて、学習のプラットフォームづくりということを、田原委員がおっしゃっていましたけれども、そこで、行政の果たす役割というのを、ちょっと議論していきたいと思っております。
 私も千葉市の教育委員終わったのですけれども、4年間やって一番印象に残っているのは、総合教育会議。今年から始まりまして、年、大体3回。千葉市の場合は3回以外にプレを2回やっているのです。これは、市長部局が議事運営をするのですよね。それで、首長が来ます。教育委員会は答弁をする方に徹します。首長部局との連携の場としては、総合教育会議が1つの突破口になれるかなと思っているのです。
 新居浜は、総合教育会議はどのくらいやっているのですか。


【関委員】 

 非常に恥ずかしいのですけれども。まだ、私が教育長になってから、議論をしていなくて、今度、12月議会が終わった後ぐらいに持とうや、という話を、ようやく、首長部局の方から、今、投げかけてきてもらったレベルなのですが。私どもの方で言えば、首長と、あるいは副市長とか、そういった者を交えての議論というのは、毎月1回、4役会という位置付けで、うちの場合は進めていて、そこで出てくるテーマが、ほとんどやはり教育関係のテーマばかりという状況が、うちの町ですね。日常的に、総合教育会議的なものは、やるような努力はしております。正式な会議ではないので、何ともコメントは言えないのですけれども。


【明石主査】 

 田原委員のところの総合教育会議というのは、どういう形で行っているのですかね。


【田原委員】 

 昨年、2回ほどあって。教育大綱を作ったり、今年は、2回目を、間もなくいたします。来年度の教育予算、それから市の予算の割合と、教育予算の関係とか、そういうことを聞くために、教育委員さんたちの意見を市長が直接聞こうということです。ここでは、直接語れるので、いい場面だなと、私も考えています。ああ、もう3回目になる。今年度に入って、もう3回目かもしれませんね。2回ほど、いいなと思いましたので。


【明石主査】 

 千葉市の場合は、まず、放課後子供教室の在り方をどうするかとか、学校支援地域本部から、地域学校協働本部に移行するのだけれども、どうすればいいかとか、キャリア教育は本当に進んでいるのかとか、ふるさと千葉を愛する郷土教育はどこまでやっているか、かなり、がんがん、市長から出てくるのです。それに対して、教育委員会も、こうこうやって行きたいとか答えます。一番欲しいのは、お金の件なのですよ。本当に教育委員会はお金を取るのが下手くそです。総合教育会議の場で議論をすれば、教育委員会から予算が確保しやすいというか、首長がそばにいるのです。是非、この総合教育会議で、議題にしてほしい。これだけお金が要るということを出していかないと。私、そういう意味で、頭で考える連携でなくて、予算を伴う事業運営というのは、そういう総合教育会議で出してくれれば、多分、折衝しやすいと思うのですよね。


【関委員】 

 ですよね。はい。ちょっと私からもいいですか。
 多分、総合教育会議を開く際には、恐らく、首長部局の財政担当であったり、企画担当であったり、という人間も同席するので、逆にお金を取るには、非常に取りやすいような場ではあります。それは本当に思います。


【古賀委員】

 
 いいですか。


【明石主査】 

 どうぞ。


【古賀委員】 

 その予算取りのためにも、ということで、多分、2回前ぐらいの回から申し上げているですが、特に市町村行政の社会教育ないし生涯学習担当課が予算折衝等の場面で活用できる評価の仕組み作りも必要と感じています。定性的なものを定量化するというのは、本当に至難の策だとは思うのですが、特に小さな市町村の担当課さんは庁内の連携自体を持ちづらい。ずっと教育委員会の中にあって、部局も変え難い。もうこじんまりと、先細りになりつつあるというところが多くて、もしよろしければ、文科省さんあたりで、そういう評価の研究ワーキングか何かを立ち上げていただければと思いました。今、内閣府の方でも、社会的インパクト評価イニシアチブという、民間の社会貢献活動をいかに数値化するかという研究も持たれていますので、そちらも参考にされつつ、そういう小さな市町村の社会教育・生涯学習行政の助けとなるようなことも並行してやっていただけたらなと、切に願っているところです。


【明石主査】 

 ありがとうございました。重森委員、岡山の方の公民館を含めて、教育委員会の総合教育会議というのは、どういうふうになっていますか。


【重森委員】 

 岡山市では、多分、もう3回目が終わったと、結構しているのだと思います。なのですけれども、どちらかと言うと、社会教育の話というのは、そこではほとんど出ていなくて、やはり、学力をどう向上させるかという話が、いつもメーンになっているので、そのことを、市長と一緒に教育委員さんたちが考えて、どういうふうに教育委員会を変えていくかというようなことは、確かにされている、すごく大事な場ではあると思うのですけれども。岡山市では、余りお金のことでどうのこうのみたいなのは、そこまではちょっと波及していないかなと思います。
さっき関さんが言われた、庁内との連携というので、ちょっと。全部ではないのですけれども、しゃちほこの会というのを作っていて、「しゃ」は社会福祉協議会の「しゃ」、「ち」は地域包括、「ほ」は保健師、「こ」が公民館(会を介護センターの介ともかけているところもあります。)という、その地域の中に必ずありますよね。そういう、下のレベルでつながるような会というのを、エリアごとに設けるようにしていて、行政って、岡山市は広いからというのもあるかもしれないですけれども、行政の部局が、岡山市全域の地域に出ていくということは、とても難しいので、やはり、地域のレベルで、実際の福祉に関わっている人たちが、このエリアでどういう課題があって何を優先的に解決していくのか、どんなふうに地域のリーダーを育てるのかというようなことを、横でつながって、それぞれの立場での、また事業の中で展開していって、というような形をとっているのですけれども。そのときに、問題になるのが、誰がイニシアチブをとるのかというところが、やはりいつも問題になっていて。結局、人によってしまっていて、行政の中でどこというのは、やはりないので、そこの地域の中で、イニシアチブをとれる人がとって、集まりましょうとか、ではこれをやりましょう、みたいな形で広がっているというのが、岡山市での現状かなと思っています。


【明石主査】 

 ちょっと教えてほしいのですけれども、この非常に面白いしゃちほこの会というのは、いつ頃からできたのでしょうかね。


【重森委員】 

 3年ぐらい前だと思います。


【明石主査】 

 それは、それぞれタコつぼに入ってはいけないのですね。


【重森委員】 

結局、公民館でも、そういう福祉の事業をやっていますし、もちろん行政も、されているではないですか。同じようなことをみんなやっていて、でも、受皿の地域は1つしかなくて、あれもやれ、これもやれ、みたいなふうに言われても無理だっていうような現状が、やはり実際にあるので、なら、連携して、やれるところがやれる形にするっていうふうに整理した方がいいのではないかというので生まれたと聞いています。


【明石主査】 

 その、3年前ほどに、どこがこう、さっき言った口火を切ってきたのかというのを、その辺がもし分かれば、各地でこういうのを作る場合に、分かりやすいと思うのですけれども。


【重森委員】 

 そうですね。公民館が、ということでもないですけれども、公民館の中で、地域福祉のプロジェクトチームというのを作っていて、そこで、その地域の中にある福祉の情報を集めようというふうに計画したのです。そんな中で、やはり、その地域の情報って、どこかがまとめて持っていることの方が、地域の人にとってみれば同じことなので、そういう中で、やはりこういう定例的に集まる会議みたいなのを持った方がいいのではないかというようなことを言われる地域が出てきて、みたいな形で、では定期的にそれをやっていこうとか、ほかの地域でも広げていこうみたいな形で広がったと思います。


【明石主査】 

 ありがとうございました。以前、大分前ですけれども、いじめ問題が大きくなったときに、どういう協議会を作ればいいかというのがありまして。まず、当然、教育委員会が入る。児相が入る。家児相が入る。社会福祉協議会が入るとか、民生委員が入るとか、そういうのを作ってきたのですね。そうしないと、いじめの問題は解決できないということがあったのです。この、しゃちほこの会も、やはりそういう、1部局では解決できないというか、はり広範囲になっていくという。この辺が、やはり新しい試みかなと思います。
 あと、何かほかに。どうぞ。


【田原委員】 

 総合教育会議に、自分が期待していることがあって。私は今年からこの職に就いていますが、先ほど言ったように、ちょっと予算を獲得するのに、1つ大きく役に立つなというのが、1つ。あと、これはうちの市だけなのかもしれませんが、社会教育に関して、首長部局の誰でもが、行政の人、誰でもが関心があるかというと、そうではない。やはり、担当になった者だけになっている感じがあるので。広く首長部局も参加する中で議論ができるということは、そういう視点を育むきっかけに、いいなと。チャンスだなと。社会教育の何かを打ち出すときに、ああ、あのとき出ていたあのことね、ということにつながっていくことを、とても期待していますし、多くの人がそういう視点を持つような会にしたいなとは思っています。はい。期待を寄せています。


【明石主査】 

 小曽根委員、何かありますか。


【小曽根委員】 

 総合教育会議については、佐野市は、すみません。遅れていまして、これからかと思うのですが。いろいろ今、予算の方の話が出ていまして、ちょっと恥ずかしい話なのですが、栃木県の市の中で、最低の予算ということなのですが。いずれにしても、予算の取り方、そういった総合教育会議の後は、やはりいろいろ、施設とかそういった関係で、老朽化なり、あとは、佐野市の場合、スポーツ立市とか観光立市とか、挙げていまして、そういったスポーツ関係の、それは市長部局の方に行っているのですが、施設とか、そういったもので、その関係もありまして、教育委員会の中でも、あとは学力、これも栃木県、ちょっと低いものですから。やはり、学校教育に力を入れているところでございます。そうすると、必然的にそちらの方に予算というふうな部分で。本来、社会教育、数値化というふうな、評価の方の、出たのですが、将来的には物すごく価値、必要な部分なわけでございまして、是非とも、そういった予算取りにつながるような施策というか、国の方の支援もあれば有り難いなというふうに思います。以上です。


【関委員】 

 もう1点だけ構わないですか。さっき、岡山の事例を伺いながら、改めて思ったのですけれども。社会教育がもともと公民館なるものを作って、特定地域の住民のためのそういうふうな学びを進めていくために、いろいろな事業をやってきたと。そのことをもう一度再構築するというのは1つの手かなというのは、改めて思います。行政全体の施策は、なかなかやりにくいのですけれども、小学校区とか中学校区というエリアの中で、みんなが学びを、先ほどから言ういろいろな感性に基づいた、本当に人と人がつながって何かをやっていく場というのは、やはり公民館ならでは、ではないかなという気がいたします。都市部と、我々田舎の方との違いはあるのかもしれないのですけれども、あえてそこで人の新しい学びのプラットフォームづくりを展開していくというのが、これから先の社会教育の生き延びていく1つの道ではないかと。もし、社会教育がやらなかったら、恐らくほかの省庁がその部分に乗り込んできて、多分それを、逆に盗んで行ってしまうのかなという気は、正直、しております。


【明石主査】 

 今、非常に、関委員から大事な御指摘がありまして。千葉市で言いますと、公民館が46館、コミュニティーセンターというのが6館あるのですよね。コミュニティーセンターというのは、市民局が主管している。この違いを峻別していかないと、公民館の生き残りはない。要するに、コミュニティーセンターというのは、言葉は悪いけれども、私は、学びは少ない。その場を借りて、いろいろな活動をすると、そういう意味での学びはありますけれども、集団で、何か自主的にものを作っていくというような面が、ややもすると低いかもしれない。公民館とコミュニティーセンターを複合したものもあるし、やはり分けているのもあるし。結局、市民から見れば、同じことをやっているように見えるわけね。予算は別枠で起きているわけでしょう。そういう問題点はないのでしょうかね。
 どうですかね。新居浜は、コミュニティーセンター、ないですか。


【関委員】 

 うちの場合はまだコミュニティーセンターというのはないのですけれども、逆に、各単位のコミュニティー、自治会という組織を、うちは組織化していますけれども、そこは自らの活動の拠点という自治会館なるものは作っていますね。行政が作る施設ではなくて、自分たちでお金を出し合って、本当に、もう歩いていけるようなところに、日頃集まって何かができる。この頃、そこに高齢者が集まってきだしたので、むしろ、市役所があって、公民館があって、その下に自治会館がある、そういうふうな3層構造で、町全体の学びを進めていきたいなというのが、今の新居浜市の思いでございます。


【明石主査】 

 田原委員、その佐賀県の場合は、佐賀市も含めて、コミュニティーセンターと公民館というのは、存在するのですか。


【田原委員】 

 コミュニティーセンターは、地域によって違いますね。多久市の場合は、もう全然ありません。大きな唐津市のようなところはあります。
 今、関委員さんがおっしゃった、自治的な公民館は、私のような市の小さなところにもたくさんあります。


【明石主査】 

 重森委員、岡山市はどうなのでしょう。


【重森委員】 

 基本的には公民館が中学校区にあるという状況で、コミュニティーハウスという、地域の人たちが集まる拠点みたいなのが、小学校区にあるかないか。公民館が中学校区を持っているので、どちらかの小学校区に寄っていたりしますよね。その、公民館があるところにはコミュニティーハウスはなくて、活動拠点は公民館で。ないところは、そうは言っても、公民館にはどうしても距離があるので、地域にコミュニティーハウスというのを作って、そこで活動してくださいということですけれども、ちょっと、自治会館というところとの活動内容みたいな、使い方は、違うのではないかなと思います。コミュセンはないです。


【明石主査】 

 佐野市はどうですか。


【小曽根委員】 

 佐野市ですが、1市2町が合併したので、佐野市、旧田沼町、旧葛生町では、若干違いがあるのですが、基本的には、中学校単位、地区ごとに公民館があって、なおかつコミュニティーセンター、ほとんど、同じ建物の中で、コミュニティーセンターと公民館というふうな位置付けです。


【明石主査】 

 複合と言うか、一緒に。


【小曽根委員】 

 はい。複合ですね。やっています。
 それとは別に、それぞれの町会の公民館というのは、それはまた別途、それぞれの町会の方で運営しているのがあります。市の方の関わりは、と言うと、そういった公民館を作るときは補助金を出すとか、あとは、コミュニティーセンターと公民館の活動、公民館の活動というのと、あと、そこで敬老会とか、そういうのもありますので、そうすると、それはコミュニティーとしての活動というふうな、そんなようなのが結構、外から見ると曖昧と言いますか、そこで住民が活動しているというような感じでございます。
 あとは、課題としまして、やはりうちの方、公民館がちょっと弱いのは、今までの事例で見ましたように、専門的な職員なりというのは、比較的弱いなというふうに感じているところです。


【明石主査】 

 古賀さん、何か。


【古賀委員】 

 そうですね。福岡県内では、佐野市さんと同じようなタイプのようなものがすごく広がっていて、お隣の佐賀県の佐賀市の方では、公民館GPという、以前、文科省さんがやられていたものに触発された主事さんたちがネットワークを作って、今、市の方からも予算を付ける形で、各公民館で住民の多様な人たちの参加に基づいて対話の場を仕掛けて、地域の課題解決を皆さんでやろうという場づくりもされています。私から見ると、コミュセン化するからと言って、必ずしも学びの場が減っていくわけではなくて、学びの場づくりの担い手となっている公民館関係者なり、自治会関係者の問題意識によりけりかなという感じがしているところです。


【田原委員】 

 そうですね。ちなみに、今、多分、佐賀と岡山、ある面で似ているところがあると思うのですけれども。佐賀の場合は、首長部局に、公民館が今、位置付けられて、教育委員会の事務を補助執行するというのが今の流れですよね。案外、佐賀の場合って、あるいは私のイメージは、もう、極めて、公民館の昔の機能、原点機能に戻すような位置付けで。むしろ、コミュニティーセンターというのは、私はもう、住民が自らが好きなことをやるための場所というイメージを持っているのですけれども。古賀委員のイメージの持っているコミュニティーセンターというのは、地域課題解決センターみたいなイメージと理解したらよろしいですかね。


【古賀委員】 

 私も、呼び名がいろいろあって、混同しているかもしれない。最近は、まちづくり協議会というものがコミセンをやったりとか、指定管理になっていたりとか、すごく多様化しています。
 私が申し上げている公民館・コミュセンの、今の皆さんの議論のトーンからすると、公民館というのが、やはり以前からあるとおりの社会教育施設としての意味合いで、コミュセンというのが、割と市長部局に所管があって、自治の機能を担う拠点として置かれているというところのニュアンスかなというふうに、私の中でちょっと整理しながらお聞きしていたのですけれども。はい。非常に、コミュセン自体、ある意味、ちょっと手あかがついている言葉な感じもあるので、ちょっと議論する前に整理が必要だったかもしれないです。


【明石主査】 

 その辺は、ローマ数字2 の方で、学びの場で、ちょっと深めていきたいと思います。
 では、この辺で行きまして、次、マル3 の学びを推進する行政職員の在り方・役割等について、事務局から御説明お願いします。


【石川社会教育課専門官】 

 続いて、こちらは職員の方でございます。人の方でございます。これまでも、多く議論ございましたけれども、まず、6ページの方でございますけれども、学びの専門職として、学び、こちらの学びは先ほども議論ございましたけれども、少し広がった概念の学びだと思いますけれども、学びを推進する行政職員の在り方・役割等として、どういったものが必要かというようなところの論点から、7ページにまいりまして、こちら、一般的に学びの専門職というところに対して、求められる資質・能力、また養成の在り方でありますとか、また、特に担うべき具体的な業務、また、社会教育主事との関係性でありますとか、また、近年の課題でありますグローバル化でありますとか、情報化でありますとか、そういったものに対応できる専門人材の育成の在り方でありますとか。そういったところが、これまでの議論を踏まえれば、検討課題として出てきておりますけれども、また引き続き議論をいただければと思います。
 続きまして、学びの専門職、一般の話が今までのところでございますけれども、これまで、社会教育主事と社会教育の関係職員がいたところでございます。こちらについても、どういう、そういった学びの専門職の在り方を踏まえて、どういう在り方であるべきか、また役割や養成を考えていかないといけないというところでございまして、8ページでございます。

 8ページの方で、社会教育関係職員が、学びの専門職として地域づくりを推進していく観点から、今後重視すべき役割とはどのようなものか、また、そうした学びを通じた地域づくりの観点から、社会教育主事の配置でありますとか、また、有資格者をどう活用していくかというようなところも論点としてあるかと思います。
 また、続きまして、こういった学びを通じた地域づくりの観点から、社会教育主事講習や、養成課程のカリキュラム、また、研修等の在り方についても検討が必要ではないかというところでございます。
 こちら、参考でございまして、現在、並行して議論されておりました、社会教育主事の養成等の見直しの方向性について、社会教育官の石丸の方から紹介させていただきます。


【石丸社会教育官】 

 御説明申し上げます。お手元の資料でございますけれども、カラーの資料2をご覧いただければ幸いでございます。この会議で、これから学びの専門職の御議論をいただくに当たりまして、現在進めております社会教育主事の養成の見直しの現状につきまして御報告を申し上げたく存じます。
 背景でございますけれども、平成25年1月に、中央教育審議会の生涯学習分科会で御提言を頂き、それを受けまして、平成25年、同年9月に、提言を頂きました社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループにおける審議の整理というのを、御指摘いただきました事項に基づいて、現在、社会教育主事の養成の見直しを進めているところでございます。
 同ワーキングにおける指摘事項を、簡単に2点、要点を申し上げますと、1点目といたしましては、社会教育主事に求められる役割、能力といたしまして、今後の社会教育主事には、地域の多様な人材や資源を結び付けて、地域の力を引き出すとともに、地域活動の組織化支援を行うことによりまして、地域の住民の学習ニーズに応えていく必要があると。そのためには、コーディネート能力、ファシリテーション能力、そしてプレゼンテーション能力なども身につけていく必要があるというものは御提言を頂いているところでございます。
 また、同じ審議の整理の中では、以下の御指摘も頂いているところでございますけれども、社会教育主事の養成に関する課題といたしまして、現在の社会教育主事の養成の中身というものは、学習やその成果を実際の地域課題に結び付けていくという視点に乏しいのではないかというような御指摘を頂いたところでございます。また、小規模の自治体におきましては、現在、講習は40日間で行っているわけでございますが、40日間も職員を派遣するということは困難であるというようなことで、その負担軽減ということを求められているわけでございます。

 これを受けまして、社会教育実践研究センターの中心に、そこで有識者会議の方を設けていただきまして、社会教育主事講習の見直し案を御検討いただき、今年の8月にその報告書を頂いたところでございます。その内容につきまして、以下、簡単に申し上げますけれども、1点目といたしましては、講習の科目の構成を見直していくというような案を頂いているところでございます。その内容といたしましては、1点目といたしまして、学習及び学習成果を、地域課題の解決や地域活性化につなげていく能力の修得を図る社会教育経営論というものを、これまでの社会教育計画を見直すことによって、新しく打ちたてる。2点目といたしまして、学習者の特性に応じ、社会参加意欲を喚起するファシリテーション能力など、様々な学習支援に関する能力の修得を図る生涯学習支援論を新しく設ける。そのために、これまで行われてきました社会教育特講の方を、この生涯学習支援論に置き換えるというような、大きな中身になってございまして、この社会教育経営論と、生涯学習支援論、この2本を柱といたしまして、今後の社会教育主事に求められる能力を、効果的に養成していこうというような方向性でございます。
 下の方に表を付けさせていただきまして、現行と見直し案の対比をさせていただいておりますけれども、大きなポイントといたしましては、先ほど申し上げました科目の構成を見直している点、そして、全体といたしまして、現行では、これまで150時間9単位で講習を構成していたところでございますけれども、これを、全体といたしまして、8単位120時間に短縮し、受講者や地方自治体の御負担を軽減する方向で、今、検討を進めているところでございます。
 この中でも、これから求められる社会教育主事の能力を、資質を養うために、演習の部分につきましては、全体といたしましては、150時間から120時間に、講習時間の方を削減しているわけでございますけれども、演習に関しましては、現行33時間でございますところを45時間ということで、全体の割合を22%から37.5%に引き上げて、効果的に社会教育主事に求められる能力を養っていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 今後の社会教育主事の養成の見直しに当たっての検討課題といたしましては、大きく2つございますけれども、1つは、社会教育主事の養成課程に続きまして、現在、講習の方の見直しを行ったわけでございますけれども、大学の方における社会教育主事の養成課程というのが、別途ございます。こちらの方を、今年の夏、8月に取りまとめていただきました、社会教育主事講習の見直し案を参考にしながら、その検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、細かな点でございますけれども、受講者の負担軽減の観点から、ICTでございますとか、遠隔授業の活用ということについて、引き続き検討していく。あるいは、多様な受講生がおられるということに鑑みまして、講習の在り方を検討していく必要がある。特に、教育関係者ではない一般市民の方の受講というのも、最近増えてきてございますので、そういった点について、どういうふうに対処するかということも検討していきたいと考えているところでございます。

 1枚資料をおめくりいただきまして、今後の検討課題につきまして、簡単にまとめさせていただきました。先ほど申し上げましたとおり、1.2.については、先ほど御説明したところと重複しますので、省略させていただきます。
 3点目といたしまして、養成課程における基本的な設計をどうするかということにつきましては、今後、全国で157の機関で、大学で養成課程を実施いただいてございますので、実施いただいている機関の御意見を頂く方向で、今、調整を進めているところでございます。
 また、4、5、6といたしまして、本会議との御議論にも参考になるかと存じますけれども、現職研修の改善を、社会教育主事の質・能力の向上を図るために、いかに進めていくかということが、1つの検討課題かと認識してございます。また、社会教育主事を、講習や養成課程を受けられた有資格者がおられるわけでございますけれども、こういった方々に、どのような分野で今後御活躍いただくことが期待できるのかということについても考えていきたいと考えてございます。
 最後でございますけれども、社会教育主事の制度の位置付けといたしまして、職名や職務の内容、そして必置性の在り方についても、今後見直すべきである点があるかどうかを、更に検討を進めてまいりたいと思います。この会議でも御議論いただきまして、それを参考に、今後見直しをしてまいりたいと思います。
 以上でございます。


【明石主査】 

 ありがとうございました。では、ここでは、学びの専門職と言いましょうか、それを育成というか養成するときに、現状の社教主事の養成のことも念頭に置きながら、議論を深めていきたいと思っております。この辺、やはり一番詳しいのは関委員でございますけれども、関委員は社教主事の講習を受けられましたよね。


【関委員】 

 はい。


【明石主査】 

 お聞きしたいのは、その講習で身について、オン・ザ・ジョブ研修で伸ばせたとか。それ以外に、講習とは違って、自分で学んで身につけた部分。3番目は、天性のものがあるか。感覚がありますよね。だから、要するに言いたいのは、養成機関で、どこまでが最低養成できるのか。それの線引きと。あとは、自学自習する面と。3番目は、プラスアルファで、天性のものと言うか、向き不向きがありますよね。その辺ちょっと、整理したときに、経験から、社教主事講習を40日間受けた成果というのは何でしょうかということです。


【関委員】 

 もう、社会教育主事の講習を受けたのは、昭和58年になるので、はるか昔にはなるのですけれども。その頃を振り返ってみると、私は一番初めに役所に入って、公民館に勤務しまして、その中で、学生のときには全然関係性がなかった縦の関係、地域のお年寄りが毎日、公民館の事務所に来て、一緒になっていろいろなことを話する。あるいは、一緒に何かを作るということで、一緒に汗をかくみたいな経験をさせてもらった上で、社会教育主事の講習を受けさせていただいたというのは、非常によかったなと、今、振り返って、思います。地域の人に、一番初めによく言われたのですけれども、おまえら、どうせ、腰掛けで公民館におるのだろう、みたいな話で入ったのがそもそもだったのですけれども。逆に、それを打ち消すのが自分のライフワークであるという、それを確認させてもらったのが、社会教育主事講習だったのかなと、今、思っています。

 その後、私は社会教育主事を取った後、教育委員会事務局に配属されて、社会教育課で10年ほど、まず、いたのですけれども、その頃の、若いときに、自分が動く社会教育主事と関わらせていただいた経験があったというのは、非常によかったような気がします。その後は、いろいろな場所をまた転々として、また教育委員会に帰ってきて、今度は管理職として関わっていく。そのときには、現場で動くタイプではなくて、逆にみんなが動けるような場を作っていくような形の、役職としてもそういう立場になっていたので、そういう立ち位置の社会教育主事としての関わり方を学ばせていただいた。
 今、また、今度は教育長という形で、社会教育主事発令を、この間、したのですけれども。それは、逆に行政の中、あるいは市民との関係性の中で、本当の意味の学びの専門職としての自分の使命を全うしていかんがために、そういうふうな位置付けにさせていただいたのですけれども。そういう中で、立場、立場でやはり変わってきたというのを、今、改めて思っています。現場で動くときもあれば、みんなが動けるような場づくりをするような立ち位置での関わり方も、社会教育主事にはあるのかなというのを、今、感じているところで。ちょっと特異な例かもしれないのですけれども。


【明石主査】 

 ほかに、いかがでしょうか。学びの専門職という新しい概念が出てきたのですけれども。重森委員は、公民館、公民館主事の発令ですか。社教主事の発令なのですかね。


【重森委員】 

 岡山市は、多分、ちょっと特異で。公民館の職員なのですけれども、もっと基本的には専門職として働くということを念頭に置いているので、社会教育主事の発令を、正規の職員はみんな受けていますし、嘱託の職員と2人、大体ペアで働いているのですけれども、その嘱託の職員にも、社会教育主事の資格を取りに行くようにしています。だから、事業を担当している職員が、ざっと80人ぐらいいるのですけれども、その98%ぐらい、入ったすぐの職員は行かせられないので、それ以外の職員は、もうみんな有資格者。発令はもちろん、嘱託なので、ないのですけれども。ほとんどの職員が、社会教育主事の資格を持って勤務しているという、ちょっと特殊な事例なのだと思います。
 さっき、明石さんが言われた、受けて何が変わったというところだと思うのですけれども、基本的に、経験を2年ぐらい積んでから、社会教育主事の資格を取りに行くというふうに、今は、しているので、やはり先輩の姿を見たりとか、自分がいろいろな本とか読んだ経験とか、市民の方と関わる中で、もがきながら、社会教育というものの職員として働いてきたことが、理屈として、やはり、主事講習に行くことで、ああ、あれはああいう意味があったのだとか、ああ、じゃあ今度はこういうふうに変えていけるんだ、みたいなことが、整理されて、次のステップに続くというのは、受けた職員が、最近特に言っていることだなと思います。そういう変化というか。
 あと、やはり、発令はされないですけれども、公費で社会教育主事の資格を取りに行かせてもらっているので、それの証明書というのが来たら、もっと頑張らないといけないとか、教育職員として、私は、私自身が学び続けないといけない立場になったんだ、というような自覚がすごく芽生えてはいるのかなと思います。
 ただ、やはり、この中にもありますけれども、社会教育主事講習の中で、では、人をどういうふうにつなぐのかとか、コーディネートの仕方みたいなのは、どうしても理屈で学ぶだけでは、やはり駄目なので、そこの部分は、岡山市の職員研修の中で、自分の実践を基に、コーディネートをどういうふうにするか、みたいなので補う、みたいな。多分、社会教育主事講習だけで、全てが賄えるというのが難しいのだと思うので。そういう、何かそこが、二重構造か何か分からないのですけれども、その両方が、取るということと、それが継続されるための何か支援みたいなのが要るのかなというのは、感じています。


【明石主査】 

 今の重森委員の話をお聞きして、ふと思ったのは、学校の教員で、10年たつと免許の更新がございますよね。最近、結構アンケートの評価がいいのですけれども。その1つが、大学時代に習ったときにはぴんと来なかったけれども、10年たってみて、新たに聞くと、ああ、現場を重ねてくると、そういうことだったのかなという、再認識、再評価ができるというのです。例えば、行政を2年か3年やった後に講習を受けた方が、非常に、習得が早いと言うか。1つのヒントをもらったような気がしました。
 田原委員の佐賀県のところは、多久市は、社教主事の発令は、あるのでしょうかね。


【田原委員】 

 これも、市町によって随分な差があると思いますし。私としては、先ほど明石委員から出た、天性のものがありますね。合っているのにな、という人が、もう、ちょっとどこからか抜かれてしまうというか、異動になってしまうというので、もったいないなと思ったり。やはり、今までの長期間の研修というのが足かせになっていて、どうしても、市や町の行事で、重なってしまうから取りに行けないというものがあったりもしました。天性のものもあるのですけれども。それで、今の教員免許のことで勉強させてもらいましたけれども、本当にそういうのがあるのだったら、再認識ができたら、意欲喚起になったらいいですね。


【明石主査】 

 栃木県も、結構、社教主事、多いのでしょうけれども。


【小曽根委員】 

 いや、すみません。私の市ですと、教員の方は社会教育主事、かなり取っていまして。市の職員については、今年は行かせることができるのですけれども、正直、ちょっと少ないなというふうなことで。先ほど、2年ぐらいたってからというふうなことで、今度行く職員については、もう7、8年たっているのですか。そういうので、非常に、行って帰ってくるのを楽しみにしているところなのですが。
 やはり、学校の先生が、教育委員会、こちらの方にもう来ますので、やはり社会教育主事を持っていますと、やはりやっていることは違うのかなと思います。それと、社会教育主事を持っているとか、そういった優秀な職員というのは、比較的、人事異動だと異動されたりとか、そういうジレンマというか、そういうのはございます。


【明石主査】 

 では、古賀委員。民間から見て、学びの専門職とか、社教主事はどういうふうにイメージされていますかね。


【古賀委員】 

 この15年来、九州・沖縄ブロックでの社会教育主事講習を担当させていただいていたり、最近は国社研さんでの社教講習も担当しているのですが、資料2の方は、何か遠慮がちというか、少しネガティブトーンで書かれているなと思いました。私から見ていると、それこそ関委員もおっしゃいましたけれども、非常に多様な学びを凝縮されていて、一手にいろいろなことが学べるというお得感と、あと何より、最近参加されているメンバーが、民間の方を含めて、結構多様になられてきています。異業種のつながりも得られる場としての意義は、これから大きいのではないかなと感じています。
 例えば、社会福祉士とか、防災士とかは、更新制ではないのですけれども、定期的に地元で、社会福祉士会とか防災士会というローカルな拠点的ネットワークができていて、定期的に、自分たちの資格者同士の研修会や勉強会を持たれるようになっています。それこそ、防災士会で言うと、災害が起きたら、エリアを超えた連携でもっていち早く行動する、みたいな動きにまでつながっています。願わくは、私、宿題のペーパーでも、民間開放とかブランディングとか書いたのですが、社会教育主事自体、法定の職務名とかになっていると思うのですが、今後リニューアルを図っていただいて、むしろ民間にも開放していただければと思います。例えば、企業の経営企画部におられる方は、最近、MBA(経営学修士)の資格を持っていないとなれないとかという要件もあるようです。岡山市でのしゃちほこの会のように、いざというときにつながれて、何がしかアクションができるプラットフォームのツールとしてこの資格が生きていくような形にもなったらいいなとイメージしています。受けて終わりの方もいれば、講習期間中に仲良くなった人たち同士は、定期的に飲み会が行われているみたいなのですが、いざという時の有益な実践につながるような実効性というところでは、まだ弱いかもしれないなと思っています。


【明石主査】 

 非常に貴重な御意見を頂きまして。と言うのは、要するに、資格ですから、社教主事の学会があるのでしょうか。専門職同士の研修会なり、学会というのを立ち上げて、力量アップするようなことも必要かなというのを、今、古賀委員の話をお聞きして思いました。
 もう1つは、教育行政の中でどういう位置付けをされるのかという。人事配置をする場合に、そういう資格を持っていない、持っているからここに行ってもらうのか。またそこで2年、3年仕事をして、資格を取ってもらうとかという。いろいろな人事行政の位置付けも、このペーパーの中の5番ですよね。社会教育主事資格の活用について、とかという。6番は、制度上の位置付けもありますけれども。この辺、やはり今後詰めていかないと難しいかなと思います。


【関委員】 

 ちょっとだけ構いませんか。その絡みで。
 これは、我々いつも感じていたことなのですけれども。私、その社会教育主事資格を取得して、教育委員会事務局に配属されて、その後、長かったのですよ。10年ほどいたのですけれども、結局、その頃は、まだお金もある程度あったので、毎年、社会教育主事講習を受けに行っていたのですけれども、結局、そんなに何人も社会教育主事が要らないということで、せっかくそういう現場にいて、そこで社会教育主事資格を取って、という人間が、社会教育主事を発令されないままに、他部局に異動していく、というものが、もうずっと続いていたような記憶があります。長い目で見たときに、当然、役所の中で、係長、副課長、課長と、職が上がっていって、そういう連中が、今、役所の中の各部局の長でいるということが、結果的に、役所全体の、社会教育化を進めていく上では、非常に有効に働いているというのを、今、感じているので。人事というのは、どうしても短期的な側面と、長期的な側面、両方があって。結果的に、結果オーライというものもあるのかなというのを、今、感じております。


【明石主査】 

 ありがとうございました。これは、かなり大事なところなので、ワーキンググループの方でも検討されていますけれども。私は、そのワーキンググループの中で、社会教育経営論というのができましたよね。この視点をもっとキャッチアップというか、経営感覚が欲しいなと思っているのですよ。要するに、行政でしょうから、概算要求を作りますよね。それを議会にかけるときに、本当に、今の社教主事の講習を受けて、概算要求ができるのだろうかという。本省の場合は、そういうの、必死で一生懸命やるではないですか。8月までに。そういう概算要求の仕方を、この講座で是非やってほしい。お金をもらわないと仕事ができないという、この経営感覚を、とにかく、学校の教師が社教主事を受けたときは、いろいろなプランは出るのだけれども、それをどうやって実施するかという場合に、結局、手続論が乏しいから、絵に描いた餅に終わりかねないですよね。そういう意味で、やはり、この予算獲得が1つと。
 あとやはり、NPOを育てる場合に、NPOが1年間どうやって御飯を食べていけるかという、そういう経営論のことも、自分で公で経験して、民間でそのNPOを支援するようなことも、そういう意味でのファシリテーター能力もあるかなという感じがして。私としては、もう少し経営論の方を、頭でっかちにならないような形で作ってくれるといいかなと、思います。
 関委員は、どこでその概算要求の仕方を学んだのですか。


【関委員】 

 いや、今、振り返ってみると、国の予算、いろいろな予算がありましたよね。その中で、割と昔は、公共事業、全部、家庭教育学級と青年学級とか、いろいろなパターンがあって、それで要望するだけだったのが、いつ頃からですかね。国への直接的な事業申請できるような形になって、実証事業なんかもいろいろ受けさせていただく中で、それなりのノウハウを身につけていったような気がするのです。公民館GPにしてもしかり、ほかのいろいろな委嘱事業にしてもしかり。そこにチャレンジしていくような社会教育主事の専門性が必要なのかなというものを、今、改めて思います。


【古賀委員】 

 いいですか。


【明石主査】 

 どうぞ。一番詳しいので。


【古賀委員】 

 いえいえ。その見直し案という、資料2の方のカリキュラムの方と、今、関委員の発言を受けて思っているのですけれども。自分の宿題にも要件整理と書いているのですが、私が日ごろ担当しているスキルアップ目的の研修等をみていても、学びの企画作りができていないとおぼしき方もいらっしゃいます。例えば、地域課題が何で、どういう人たちをターゲットにこの研修をやりたいのかという問いを立てても、全く答えられないみたいな方もいらっしゃるのですね。地域課題が何なのかということとか、あと、企画を立てること自体のスキルが欠けているまま、このお仕事をやられているなとおぼしき方もいらっしゃるので、できれば、この見直し案のところで、とりあえず、何とか論、何とか論、何とか論とあるのですけれども、国の方で必須科目と、地域の実情に応じての自由科目みたいな出題にしていただいて、必須の方は、これだけは、というところをしっかり提示をしていただくとともに、自由のところにおいても、できればその自由の科目をこういう形で立てました、どうしましょうというところも、国とともに協議しながら、カリキュラムを作っていただくと、なおいいのかなと思いました。


【明石主査】 

 ほかにございますか。はい。ちょっと、なければ先を急がせていただきます。
 次は、2番目の地域の学びの場の在り方。とりわけ、公民館と社会教育施設の在り方を含んだことについて、事務局から御説明お願いします。


【石川社会教育課専門官】 

 それでは、8ページの方から、地域の学びの場の在り方というところでございます。
 次のページにまいりまして、9ページでございます。まず、こちらも先ほどと同じ構成でございまして、まず、一般的に学びの場というところはどういったものであるべきかというところでございます。こういった学びを通じたまちづくりの観点から、地域の多様な学びの場の在り方や、学びの場に対する行政の関わり、また、社会教育事業の評価等についてというところが論点でございまして、こちら、9ページの下の方の、今後の検討課題例でございますけれども、学びを通じた地域づくりの観点から、地域の多様な学びの場に求められる基本的な機能でありますとか、役割とはどのようなものかというところでございますとか、また、学びの場に対する行政の支援の在り方というところでございます。
 また、その次、古賀先生からもお話ございましたけれども、学びの場の活動の見える化が必要であるというところでございまして、PDCAへの意識付け、どういった形で図っていくかという、そういった手法でございますとか、また、最後でございますけれども、グローバル化でありますとか、情報化でありますとか、最近の課題に対するものに対する学びの場の在り方というようなところでございます。

 また、続きまして、そういった学びの場というところがございますけれども、社会教育施設は今後どうあるべきかというところでございます。こちら、次のページ、10ページにまいりまして、こういった学びを通じた地域づくりの観点や、地域の場の在り方などを踏まえまして、今後、公民館が担うべき活動の在り方、役割、それを担保するための制度でありますとか、国の支援方策はどうあるべきかという論点でございまして、今後の検討課題例といたしまして、これからの公民館が重点的に担うべき役割でありますとか、また、総務省の方でも最近作られていますけれども、新しい地域運営組織といったものでありますとか、そういった、ほかの省の関係のものと、公民館の関係の在り方でございますとか、また、最後、公民館活動に地域住民等の積極的な参画を促すような、そういった、積極的に参加できるような環境を、どう作っていくべきかというような話でありますとか。
 また、次、10ページ、その下の方にまいりますけれども、また、社会教育施設、公民館だけではございませんで、図書館でありますとか博物館等の社会教育施設の活動も、今後どう発展させていくべきかというところでございまして、論点でございますけれども、図書館でありますとか、博物館等の社会教育施設が担う活動の今後の在り方、役割、また国の支援の在り方について、論点等、挙げさせていただいております。今後の検討課題例としましては、まだ、こちらの方、余り議論が出てきておりませんので、館種に応じた活動の推進方策について、一般的に検討課題例として挙げさせていただいております。

 11ページにまいりまして、こういった、また続いての検討課題例でございますけれども、地域の社会教育施設を活用した現代的な地域課題への対応方策というところでありますとか、また、情報技術の活用による広域的グローバルな情報提供の在り方でありますとか、地域の個性を集約し、地域住民の交流や、観光の拠点としての役割もあろうかというようなところの検討課題例を出させていただいております。
 また、最後でございますけれども、社会教育施設の方の整備等についても、論点として挙げさせていただいております。こちら、論点としましては、地域の実情に応じた社会教育施設の運営・整備等の在り方についてということで挙げさせていただいておりまして、今後の検討課題例といたしまして、今後求められる社会教育施設、設備の機能と、これは防災であるとか、避難拠点でありますとかというところもございますし、バリアフリー、省エネルギー、またそのほか、今後の役割を踏まえた施設・設備の在り方というところがあるのではないかという点。また、人口減少時代における社会教育施設の整備等の在り方。また、社会教育施設の整備等のための手段として、様々な手段が出てきているというようなところ。また、最後でございますけれども、学校施設の活用方策というのもあるのではないかというようなところでございます。

 では、続いて、資料3のご覧いただければと思います。社会教育施設等の現状ということで、こちら、社会教育調査ということで、おおむね3年ごとに、社会教育の現状について調べているものでございます。今回は、平成27年の施設・職員の状況でありますとか、平成26年度間の活動の状況について調べたものの中間報告ということで、出ております。
 最初の概要のところにございますけれども、2のところでございます。(1)の施設数の現状でございます。こちら、また後ほどになりますけれども、図書館は増えているというようなところ。また、マル2 のところで、公民館の耐震化状況も出てきております。現状が分かったのは初めてというようなところでございます。
 簡単に紹介させていただきます。1番の施設数の推移ということで、公民館は減少傾向。また、図書館・博物館は、図書館は増えているというようなところというような状況でございます。
 その次、1ページおめくりいただきまして、公民館の耐震化等の状況ということでございます。耐震診断の実施率でありますとか、耐震化率ということで、なかなか厳しい状況であることが、現状として分かってきているというようなところでございます。
 その次のページにまいりまして、3番、指導系の職員の推移ということで、図書館の司書、学芸員等が増加している一方で、公民館、これは数との絡みもございますけれども、こういった形になっております。
 その次の次のページにまいりますと、4番、1施設当たりの利用者数の推移というところでございます。こちら、1館当たりどれぐらい利用しているかということで、公民館は前回並み、また、それぞれ増えているものもございます。
 次の次のページにまいりまして、これは図書館の貸出冊数というところでございますけれども、児童1人当たりの貸出冊数は、一番多くなっているというようなところがございました。
 次の6ページを。先ほど少し話に出ました、いろいろな整備の在り方ということで、指定管理者の内容でございます。グラフの方を見ていただきますと、公立の施設数に占める指定管理者の制度の導入の割合というものは、それぞれ増えてきている状況にあるというような、そういった状況でございます。
 こちら、データの方、以上でございます。


【明石主査】 

 ありがとうございました。学びの場ということですけれども、私は、ここにもう1つの視点で、学びの空間という視点を入れないと、具体的な施設がある、そこで学習することも大事だけれども、いわゆるオンライン、ネットで学習するという学びの空間が広がってきていますよね。この前、違う部会であったのですけれども、NTTがgaccoという無料のサイトを開くと、何十万という方が登録してオンラインで学習する。要するに、放送大学も含めて、ネットで学習するという学びの空間というものと、その強さと弱さ。学びの場所というか、場という実際に行けるという。そのgaccoというNTTの例で見ますと、結局、一番効果があるのは、オンラインで学習して、次にネット同士の仲間を作って、ある学びの場でディスカッションする。これ、非常に人気があるらしいのですよね。だから、この学びの場の場合に、学びの空間という大きな概念の中の学びの場のよさということを考えてくれるといいかなという、と思うのです。
 そう思ったのは、例えば、品川区が、学区の自由化をしていますね。どこでも小学校を選べるのですけれども。その場合に、若いお父さん、お母さんは、まず、学校のホームページに入っていくのですって。ホームページを見て、自分でABCを付けて、Aと評価したところは、ほかの学校に行かないのですって。Cと評価を付けた場合は、ほかの学校に行くのですってね。そういう判断をするのだけれども、最後の決断は、地域のお母さん方の口コミだと。口コミによって、最後の決断をするという。多分、これが、学びも、いろいろな情報をたくさん得て、それだけでは不十分なので、学びの場を口コミで探していくという。それに応えられる公民館、博物館、美術館、図書館を考えていければと思います。
 田原委員、いかがでしょう。佐賀県は、図書館でも有名だし。武雄の。


【田原委員】 

 そうですね。武雄は、本当に賛否両論ありまして。好きと言う人と、あれは大きな本屋さんじゃないかと言う人と、両方あるのですが。あと、県内で有名なのが、伊万里というところにも図書館があって、これはとても地道に活動もしてきています。それから、行政が主導してやったというよりも、地域の住民を巻き込みながら図書館を作っていったときの物語があって、研修をしながら、どんな図書館がいいだろうというとか、図書館の役割って何だろうとか、そういうことを、講師を招いて住民が話を聞きながら作り上げたというところがある。私も今、反対を受けながらも、移動図書館を作ろうとしているのですが、維持費が大変ですとか、もういろいろ、ノーと言う理由をたくさん付けられるわけで。伊万里図書館さんもそれをされていたというのを、私はちょっと勉強が足らずに知らなくて、自分は今、まずそこからと思っているのですが。
 それで、地域の、作っていくときから学びの場になる図書館というのがあるので、やっぱり、この図書館が増えているというデータは、とても納得ができて、なるほどなと思ったところでした。
 うちも、数年後に図書館を作る予定ではあるのですが、その前に移動図書館をと思ったのが、高齢者を、高齢化を考えてのことです。私ももうすぐ動ききらんことなるよね、というのがあって。身につまされてサービスを。それから、学びの場って、今、ちょうど明石委員さんが言われた空間という表現に、なるほど、と思ったのですけれども。場を提供というよりも、空間を提供するつもりで、図書館が行って、そこで開いて、ちょっとお茶でも飲みながら本が選べるようなものを目指したいなと思っているのです。ああ、私、空間を目指していたのだなと、今ちょっと気付かされているところです。


【明石主査】 

 ありがとうございました。古賀委員、どうでしょう。


【古賀委員】 

 武雄も伊万里も、本当、賛否両論。伊万里の方は、結構ファンが増えている感じで、何か思いながらお聞きしたのですが、図書館以外でも、美術館と博物館とか、最近、生涯学習センターなんかもありますが、公民館の周辺では、割とすてきな学びの場が逆に増えている印象もあるのですね。加えて最近、小さな町でもシェアスペースとか、コワーキングスペースとかできていて、公民館に日頃行かない若い世代は、そこでいろいろ学びの活動をやられていて、中には子供向け理科学教室もそういうところでやられていたりもします。事前の宿題に、公民館行政をてこ入れするべきというのを、この章立てのところで書いたのは、学びの総量は増えているのに、当の公民館の関係者の方々は意外とそういう場を御存じなかったりもしますし、全国的に館数が減っている傾向にある中、人材も減りつつある右肩下がり時代の中で、学びの場をどう持っていくかということについて、関係者の方々には、さまざまに情報のアンテナを張りながら向き合っててほしいという願いがあります。
 昨年度から、文科省さんが各地で各自治体と連携して、地方創生のカンファレンス事業という、公民館が関わる有効な課題解決事例を皆さんに知っていただいて触発し合いましょう、というイベントを開催されています。こういうものは是非続けていただきたいですし、特に、やはり市町村の生涯学習・社会教育方策、私、そこはすごく、この会議でずっと気になっているターゲットなのですが、いかに危機感を持っていただくかというところのあおりも必要と感じているところです。


【明石主査】 

 ありがとうございました。重森委員、どうですかね。その、学びの場として、非常に、岡山は公民館を中心に頑張っていますけれども。


【重森委員】 

 私は公民館職員という当事者なので、公民館、もっと頑張ろうと思って、もちろん、いるのですけれども。公民館にはこだわりたいと、個人的にはすごく思っていますけれども、公民館だけが、さっきの古賀委員ではないですけれども、公民館だけではなくて、本当に学びの場ってたくさんあるし、よく言うのは、公民館に若い人が来ないということが課題だ。それをどうするか、みたいな議論があるのですけれども。それはもちろん考えないといけないことだと思うけれども、人が何を選ぶかというところは、そういう選ぶ多様性というのが、今、すごく広がってきていて。だから、公民館に必ずしも若い人が来ないといけないという議論ではないのではないかなと思って。もちろん、違う方向から切ると、多世代がつながるということとか、その人たちが地域にどうつながるかという意味では、公民館に是非来ていただきたいしというのは、もちろんあるのですけれども。そういう意味で言うと、誰が何を選択するのかということもあるけれども、そういうところが、では、どこでいつ、つながれるのかという、ほかのところがどんなことをしているのかというのを、どうやってアンテナを張って、公民館職員自身が見に行くのか、みたいなところのつなぎをどうするのかというのも、1つ課題だと思うのと。1つの行政で切ったとしても、ここに出ているみたいに、図書館もあるし、博物館もあるし、公民館もあるしって。では、そこを、少なくともそこを誰がつなげるのですかと言ったら、やはり私は、教育行政の中にある生涯学習課だったり、社会教育課だったりというところが、ある意味でつなげないといけないのではないかなと思っているのですけれども。何かそこが、どれだけの機能が果たせているのか。生涯学習課と名前を言っているのだったら、学校も含みますよね。生涯学習って。本当にそういう機能が果たせているのかというところでの、学びの場を、それぞれがどう作っていくのかというところを、何か考えないと、ちょっといけないのではないかなというのは、少し思っています。


【明石主査】 

 小曽根委員、何かありますか。


【小曽根委員】 

 佐野市ですが、図書館が、もともと1市2町だったので3館ございます。図書館、生涯学習課の方の所管というふうなことで、指定管理者は平成25年から導入しているところです。導入した成果というのは、毎年、来館者数、貸出冊数、時間的にも延びたりとか、そういうので、成果自体は上がってきています。ただ、では、指定管理者だから指定管理者にお任せしているのかと言うと、それは生涯学習課の方で定期的に、あるいは課題とかそういったものについては、例えば、来てもらいたくないような人が来たりとかいうときの対応とか、そういった問題も、生涯学習課と一緒になって解決しているところです。
 逆に、もったいないなと思うのは、市民の中にまだ、図書館というのを余り利用している人が少ないのではないかなというふうに思います。図書館に行けば、いろいろな、カンファレンス事業なり何なりということで、学びの場はどんどん広がっていくわけですし、あとは、国会図書館からの資料とかの導入とかいうことも、当然できるわけなので。そういう意味では、あと、企業との連携みたいなのというのも、図書館の方での課題としてあるのではないかなというふうに感じています。


【明石主査】 

 ありがとうございました。
 ちょっと、11ページの、最後の、今後の社会教育施設の整備等について、ちょっと御意見を頂きたいのです。実は、町村で学校が廃校になりますよね。いろいろ困るという。小規模化してくると。そうすると、新しい施設を作る場合にも、学校は作らないけれども、1階に学校の機能を持たせて、2階に公民館的、社会教育施設的な複合施設を、中山間地域でも始めているし、東京の中学校も、幼稚園の認定子供園と小学校をつないで、放課後子供教室と、夜は社会教育施設とか、そういう複合的な施設作りが始まっている傾向が強いのです。
 それで、関委員、新居浜あたりは、どういうことを考えていらっしゃいますかね。


【関委員】 

 今、本当、明石先生がおっしゃったこと、そのものが、来年度から1つ始めようと思っているのは、新居浜の我々が住んでいる地域、泉川校区の学校、ちょうど今、大規模改修をしているのですけれども、あそこも、昔、本当、4学級の学年の学校だったのですけれども、今はもう2学級か、若しくは3学級になってしまっていると。だから、部屋は余るのですよね。そこを、地域のお年寄りの、1回、暦を回って、還暦を過ぎた、2回目の小学校にしようかなと、幾つかの部屋、やはり考えています。それなら、その学校の児童になるのですよね。もう、ちょっと年を食った。それなら、学校のいろいろな活動に関わっていくのも当たり前になる。学校の、学校農園が、子供らが作るようになれば、地域のお年寄りが、一緒に中に入って、農園の作業に当たる。放課後の勉強の場を、今、まなび塾というのを作っているのですけれども、そこに来て、第2の学校の子供たち、お年寄りが、子供たちに授業を教えると。スポーツも、場合によったら教える。帰りしなは、一緒に集団下校する、みたいな体制ができれば、子供にも、お年寄りにも、生きがいづくりが進んでいくのかなと、今、そういうことをちょっとたくらんでおります。
 あと、もう1つ、どうしても廃校せざるを得ない、学区もくっつけなければいけない学校は、町の真ん中にあるのですけれども、そこの跡は、例えば教職員が自らの資質を、地域とのつながりの中で高めていけるような研修センターにできないか。学校の機能も残しながら、地域の人もそれを利用しながら、そういうふうな施設も付加していくような、そんな取組ができたらいいかなと、今、たくらんでいるところでございます。


【明石主査】 

 いや、還暦学校というのは、いいねえ。いや、是非成功させてほしい。


【関委員】 

 はい。


【明石主査】 

 おじいちゃん、おばあちゃんが集団登校、集団下校するというの、非常にいいじゃないですか。
 実は、千葉に南房総市という、小規模校を廃校にして、自然体験学校にしたのですね。その中で、クラスが、部屋が6つあるのですけれども、1年1組とかあるのね。宿泊する場所。社会人も、それがうれしい。要するに、学校。だから、桜とか楓とかいう、普通の、あるじゃないですか。部屋の名前が。そういうのではなくて、1年1組、2年1組とか、それの方が、来たお父さん、お母さん、子供たちが、非常に愛着を持ちやすいとか言う。1つの、そういう、学校文化と、社会教育文化を、うまく融合させるというのが大事かなと思います。


【関委員】 

 誰もが持っている体験ですからね。学校は。


【明石主査】 

 田原委員のところは、佐賀では、そういう統廃合のことは。


【田原委員】 

 私がもうちょっと、そのときに長だったら、きっとそうしたなと思うのが、今、関委員さんがおっしゃいました。10校あった学校を3校にしてしまっているのですけれども、小中一貫にするために。そのことは、全く跡施設利用ということで、首長部局の方で、市民と話し合って、いろいろな施設になっているのですけれども。私も、うんと町の人が入ってくるものを、学校にどんどん作るべきだと思っています。難しい施策をいろいろ打たなくても、登下校の安全から、いろいろな教育から。先ほど、1年から9年の間でもそんなことが起こると言いましたけれども、何とも言えない穏やかさと言うか、昔々、日本人がじいちゃん、ばあちゃんから教わっていた、何か深い慈しみみたいなものも、学校生活の中で備わっていくのではないかなという気がしています。母性も、何か、生まれたときから母性があるわけではなく、だんだん、何回も赤ちゃんを抱いていて、できていくので、そんなことができていくのになと、ちょっと、そんなことをしたかったなと思っています。
 それから、跡施設利用ということで、学びの場に、確かに、あと廃校になった部分は、今、転換しているというか、変わってはいっています。


【明石主査】 

 重森さん、岡山では、そういうのはありませんかね。


【重森委員】 

 岡山でも、統廃合はもちろん進んでいるのですけれども。公民館で言うと、学校と一緒にというよりは、行政と一緒にという方の複合化が、やはり進んでいて。公民館も、どうしてももう古くて、耐震化とかも、もちろんしていますけれども、もう潰さないといけないところもあって。そういうところは、やはり市民のワンストップ化ということで、そんなに、住民票を何回も取らないと思うのですけれども。でも、行くと両方できるとか、というようなところで、支所とか、岡山だと地域センターと言うのですけれども、そこのエリアの市民サービス窓口と公民館が一緒になって。でも、機能が全く、やはり違うので、職員は別で、というような形の複合化が、今、多いというか。公民館を、これから壊すということになると、そういうセットでの複合施設を作るという方針になっていて。逆に、学校の方は、NPO法人さんとかの活動の拠点になっていたりというのが、少しずつですけれども、なっているかなと思います。


【明石主査】 

 ありがとうございました。非常にいいキーワードで。学びのワンストップ化ね。その、家庭教育支援のワンストップ化というのも、非常に各地方がやっていますけれども、学びのワンストップ化を見える化していくという。そのための複合施設というふうに考えていかないと。これから本当に、子供が減ってきて、学校の機能を統廃合。適正配置という言葉を使っているのですけれども、跡地利用で、みんな首長部局に持っていかれてしまっているのですよ。勝手に、何か、宅地造成とかでまだ使うとかで、もったいない。いい空間があるのに、もっと、社会教育の視点で、こういうプランを出していきたいと思います。この辺、古賀さんが一番詳しいところで。何か。


【古賀委員】 

 参考までにですが、つい1週間前に、静岡県牧之原市に呼んでいただいて、市長さん挙げて、学校施設の有効活用をやろうということで、その計画づくりのワークショップのお手伝いをしました。学生さんからシニアの方まで参加しているワークショップで、かなり丁寧に、何回も何回も会議をされていて、いかに、たくさん出ているアイデアを収れんさせるかという策定段階に来ているということでした。若い世代から出されているアイデアとして、子どもとお年寄りが一緒に過ごす場づくりや、グラウンドを活用した農業と子ども向けの農業体験、収穫した農産物を販売することによる高齢者の買物難民化予防、仕事おこしのためのチャレンジショップ、仕事おこしに必要なノウハウを学べるセミナーなどが挙がっていました。やはり若い世代は、営利でなくとも実利が伴うようなものを試行されているような、そんな印象を持ったところでした。


【明石主査】 

 ありがとうございました。小曽根委員。


【小曽根委員】 

 佐野市では、平成32年に、1つの中学校区、そこに小学校が6つ、7つあるのですが、それが1つに統合というふうなことになります。義務教育学校というふうなことで。今、その辺の説明会なり、新しいPTAの組織なり、いろいろな組織が。一応、課題としていますのは、伝統文化をどうやって地域の方に残していくかとか、そういったのを進めているところなのですが。具体的に、学校跡地をどう利用というのは、地元の意見等を聞いた上でというふうなことで、具体的なのはないところなのですが。そんなところに、地元の意見から、逆に地元で維持管理を任せるというのは、それは難しいよとか、そういった意見もございますが。
 あとは、佐野市の社会教育委員が、この問題を非常に重要視していまして、学校跡地をどう利用するかというふうなことで、1つは、防災とかそういうのは必要でしょうというふうなこと。あとは、地元の意見を聞いてくださいというので、具体的なところは出ていないです。
 あと、もう1つの例なのですが、今年1月で、中学校は生徒がゼロになってしまったというふうなケースがありまして、そこについては、教育センターと、あと、放課後こどもクラブが、ちょうどそこに設けられるというふうなことで、そういった活用をしているところです。


【明石主査】 

 ありがとうございました。そろそろ時間が来たのですけれども、全体的に何か言い残したことがあれば。


【関委員】 

 すみません。最後に1つだけ構わないですか。
 施設の絡みなのですけれども。公民館に例を挙げると、昭和の頃に作った公民館が結構多いのですよ。その頃、結構、お年寄りでも和室を使うような格好で、和室を作ってきた公民館が多かったのですけれども、今のお年寄りは、なかなか和室では、活動できない。


【明石主査】 

 膝が痛いのです。


【関委員】 

 はい。1点と。
 あと、もう1つは、トイレの問題。これが、ほとんど和式のところが、まだうちなんかは多くて、和式では用を足せない。これは、子供にしてもお年寄りにしても一緒で。
 もう1つ言えば、2階建ての公民館が結構多いのですけれども、2階には結構トイレを作っていなかったみたいなことがあって、階段を下りていく間に、ちょっと、ということもあったりして。そういう話が結構出ているので、今から防災拠点とか、そういう位置付けに公民館を利活用する際には、最後に挙げられていた施設改修というのが、どうしても必要な時期ではないのかなというのも、現場としては感じます。


【明石主査】 

 ありがとうございました。やはり、キーワードは、24時間学習できる時代になってきました。それは例えば、オンラインの中で。24時間学習できる時代が来たときに、社会教育施設での学びをどうすればいいのかなということがあるかなという感じがしました。それで、私の視点では、人工知能に負けない、彼らができない新しい学びを、死守しなければ、また作っていかなければいけないという。やはり、人間と人間の、地域と人間との関係性、つながりを作っていくのですよという。そのためには、学びの空間を大事にして、学びの場を大事にしていくという。それで、できたら、重森さんもおっしゃったような、学びのワンストップ化と言いましょうか。それを提供しないと、単独ではもう難しいのですよ、という時代に来たという形かと思います。
 どうも、今日はありがとうございました。では、事務局の方にお返しします。


【石川社会教育課専門官】 

 では、次回の会議のスケジュールでございますけれども、1月13日の13時半から、文部科学省でということで、よろしくお願いいたします。
 今年度は、あと、まだ日程照会させていただいておりませんけれども、3月にもう1回開かせていただこうと思っております。また、本日欠席の委員の方もいらっしゃいます。また、会議の資料等を照会させていただきたいというようなこともございます。また御協力よろしくお願いいたします。

【明石主査】 

 では、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

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