これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第1回) 議事録

1.日時

平成28年5月13日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

経済産業省別館312各省庁共用会議室

3.議題

  1. 専修学校教育の振興策に関する主な論点項目(例)について
  2. その他

4.出席者

委員

浦部ひとみ 東京都立青井高等学校主幹教諭、東京都高等学校進路指導協議会事務局長
大井川智明 日本商工会議所企画調査部担当部長
小方 直幸 東京大学大学院教育学研究科教授
河原 成紀 学校法人河原学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
黒田 壽二 金沢工業大学学園長・総長、日本高等教育評価機構理事長
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー
小林 浩  リクルート進学総研所長、リクルート「カレッジマネジメント」編集長
小林 光俊 学校法人敬心学園理事長、日本児童教育専門学校校長、全国専修学校各種学校総連合会会長
今野 雅裕 政策研究大学院大学教授
清水 信一 武蔵野東高等専修学校校長、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
寺田 盛紀 岡山理科大学教授、名古屋大学名誉教授
前鼻 英蔵 学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事・全国専門学校青年懇話会会長
吉本 馨  大阪府教育庁私学課長 

文部科学省

有松 育子 生涯学習政策局長
増子 宏 大臣官房会計課長
里見 朋香 生涯学習政策局 政策課長
岸本 哲哉 生涯学習推進課長
白鳥 綱重 専修学校教育振興室長
星川 正樹 専修学校教育振興室室長補佐	
牧野 浩司 専修学校教育振興室専門官

5.議事録


    (1)挨拶が行われた。
    (2)座長に黒田委員が,副座長に今野委員が指名された。
    (3)会議の公開の取扱いについて決定された。

【黒田座長】 それでは,会議を進めてまいりますけれども,本日は報道関係者より写真撮影,録音を申し出てきておりますので,委員の皆さんにはこれを御承知おきの上で御発言いただきたいと思います。
まず初めに,事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【白鳥専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。それでは,配付資料の確認をさせていただきます。
本日,議事次第に配付資料の一覧を記しております。資料1-1が,これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議の開催について,という資料でございます。資料1-2が,先ほど御覧いただきました委員の名簿,資料2につきまして,公開の取扱いについてということでございます。先ほど決定いただいたものでございます。資料3につきまして,専修学校教育の振興策に関する主な論点項目例,資料4が今後の予定についての案でございます。そして参考資料を併せて付けております。
以上,過不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【黒田座長】 よろしいでしょうか。
それでは,続きまして,事務局より本会議の設置の経緯・趣旨について説明をお願いいたします。

【白鳥専修学校教育振興室長】 資料1-1を御覧ください。「これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議」の開催についてというものでございます。
冒頭,局長挨拶にもございましたとおり,この会議につきましては,まず専修学校の置かれている状況ということに関わりまして,時期的には昨年になりますけれども,制度が創設されてから40年が経過しております。この間,専修学校につきましては,自由度の高い制度特性を生かしながら,多様な分野においてそれぞれの時期に応じた,また分野に応じたそれぞれのニーズに適応した職業人材の養成を行ってきたところでございます。
また,制度的には,この後また参考資料の中で御紹介する機会があると思いますけれども,例えば,専門士,高度専門士といった称号の付与,また大学入学資格,大学院の入学資格といった接続に関わる体制,そしてまた職業実践専門課程という産学連携の取組に関わりまして,文部科学大臣が認定を行う制度など,制度改正が進められてきたところであり,そしてまた,専修学校教育を振興するに当たりましてのいろいろな事業なども,関係予算も通じまして支援策を進めてきているところでございます。
ただ,今申し上げましたことに絡みますけれども,世の中の変化が非常に激しい時代の中で,特にここに書かせていただきましたのは,グローバル化の進展,そして産業の高度化・複雑化といったことの中で,より多様化するニーズに,これまでと同様に,しっかりと対応していくことが必要であり,そのような中で,専修学校が,その柔軟な特性を生かしながら,そしてまた産学連携といったことも含めつつですけれども,職業人材の養成に向けて,その役割を一層果たしていくことが期待されるところございまして,そのための総合的な振興策についてどのように考えていくべきかといったことを,やはりこのタイミングでしっかりと打ち出していきたいと考え,本会議の開催に至ったわけでございます。
検討事項につきましては,大きく3点をここで書かせていただいております。冒頭,座長からお話しいただきました専修学校の人材養成ということ,これまでの専修学校においてしっかりと果たしていただいておりますけれども,この機能の向上について,どのように進めていくべきか,そして併せて質の保証・向上といった観点をどのように捉えて,どのように対応していくべきか,それから専修学校における学びのセーフティネットの保障ということについて,どのように図っていくかということでございます。
1ページおめくりいただきますと,資料1-1の別添ということで,今申し上げたことがポンチ絵になっておりますけれども,検討スケジュール,本年度1年間の検討ということで,年度内に取りまとめを頂きたいということでございます。
委員の構成としまして,座長として黒田先生,そして今野先生に副座長ということでお願いさせていただいております。委員の先生方につきましては,資料1-2の方に具体的に名簿一覧がありますけれども,専修学校関係者,学識経験者,経済界の関係者,自治体の関係者,高等学校関係者などにより構成するといった形でお願いしたいと思っております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。

【黒田座長】 ありがとうございました。ただいま説明のありましたような趣旨に基づいて,来年の3月31日までを実施期間として,この会を運営したいと思っています。
それでは,議事に移りたいと思いますが,1つ目は,専修学校教育の振興策に関する主な論点項目,例でありますけど,これについて事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  今,座長から紹介いただきました資料3,こちらが専修学校教育の振興策に関する主な論点項目(例)ということで,事務局の方で御用意させていただきました。
この資料と併せまして,本日,参考資料ということで,分厚い資料ですけれども,お配りしております。まずこの参考資料に沿って,今,専修学校がどのような状況にあるかといったことを簡単に概観させていただいた後に,先ほどの資料3の方に移らせていただきたいと思っております。
まず参考資料を御覧いただきたいと思います。ページをおめくりいただきまして,4ページのところに専修学校の概要がございます。専修学校につきましては,目的といたしまして,専修学校の特性として,職業教育というものを正面から位置付けた教育機関であるということでございます。
そして学校数につきましては,3つ目のところにありますけれども,全体で3,200校。生徒数でいいますと66万弱ということでございます。
課程は,高等課程,専門課程,一般課程の合計3種類ございまして,数的に専門課程,いわゆる専門学校が一番多くなっておりまして,学校数2,800ぐらい,そして生徒数も約59万。高等課程につきましては430校,生徒数が約4万という状況でございます。
一番下には,各分野別の状況でありまして,医療系が最も多くなっており,また続きまして文化・教養,それから工業,衛生が続いております。
その次のページに,各分野の状況が書いてあります。各分野,非常に大きなくくりではございますが,それぞれのニーズに応じて機敏に対応してきた実績がまさにこういうところに表れているわけでありまして,多様な分野で専修学校がその役割を果たしているということでございます。
それから,その次のページ,6ページでございますけれども,制度改正の概要ということで,先ほど簡単に口頭で申し上げましたことに関係いたします。一番上に,修了者の学習成果の評価ということに関わってですけれども,専門士,それから高度専門士といった称号の付与といったものがございます。それから,大学・大学院との接続に関わって,いろいろな入学資格等の付与があります。
そしてその下,質の向上ということに関わりまして,学校評価についての制度改正と合わせて,単位制・通信制の制度化というのを平成24年,そして25年度には職業実践専門課程の制度を創設いたしました。
また,単位を認めるということに関わりまして,多様な学修をしっかりと評価することに絡みましての制度上の位置付けがあるとともに,助成等に関わりましては,例えば平成22年というところにありますけれども,高等課程に関わりまして,高等学校等修学支援金の支給が高校並びでスタートしているということがございます。このような形で制度改正等々を進めてきているわけですけれども,その中で特に職業実践専門課程につきましては,その少し後,11ページからになりますので,まず11ページを御覧いただきたいと思います。
職業実践専門課程につきましては,平成23年に中央教育審議会で答申がなされたものがあります。これはキャリア教育・職業教育に関わっての答申ですけれども,それぞれの学校段階でキャリア教育・職業教育をどのように展開していくかということが示されたわけですが,高等教育段階における職業教育ということで,当然,専門学校における職業教育の展開等もあるわけですけれども,それと合わせて,新たな枠組みをこの職業教育に関わって整備していくことについて提言がされました。
職業実践専門課程につきましては,そのような新たな枠組みの趣旨を,既存の学校種,具体的にはこの専門学校ということですけれども,専門学校において,その趣旨を生かしていく方策として,いわばそれの先導的試行として,文部科学大臣認定制度としてスタートするということで,実際,平成25年8月に制度化がされたということでございます。
認定要件については,そのページの右下にございます。学習量に関わる部分については,修業年限について,2年以上の課程である,そしてまた総授業時数が1,700時間,総単位数が62単位以上ということであります。これに相当する教育活動に関わりましては,専門士の称号の付与が可能な学習量であるとともに,大学への編入学が可能になってくるというところであります。
それから,内容に関わりましては,企業と連携してという文字が見えますけれども,産学連携,要は企業と連携を組織的に行いながら,教育課程の編成であったり,演習・実習を行ったり,研修を行ったりといったところがございます。そのような企業との組織的な連携というのがこちらの1つのポイントとなっております。
それから,一番下のところにありますけれども,学校関係者評価,情報公開といったような形で,こうした取組を外に対してしっかりと見える化していくといったようなところが,要件のもう一つの大きな柱になっております。
現在の認定状況につきましては,その次の12ページにございますけれども,これは各都道府県別の状況でございますが,学校数は833校,学科数は2,540学科ということで,この2年以上の学科をベースにしますと,学科数で3分の1ぐらいの学科での認定状況ということになります。これまでの認定状況,3回行っておりますので,そちらについては13ページを併せてごらんいただければと思います。
それから,専修学校全般の特色に関わりまして,少し飛びますけれども,23ページをごらんいただきたいと思います。23ページの資料は,都道府県別高校新卒者の進学率ということに関わってございます。四大,短大,専門学校のそれぞれの状況は御覧のとおりでございますが,専門学校については2割ぐらいの高校新卒者の方が進学しているという状況であり,また各県別にその数値も若干,変動はありますけれども,かなり多くの高校生,高校を卒業した方々が,専門学校に進学していると。まさに地元からしっかりと進学しているというところも,データからも読み取れるところであります。
また,その進学に関して,どのような点を進学のメリットと考えているかということが24ページ。こちらは本日,委員として御参画いただいております小林先生の方から,別の会議の場で御提供いただいた資料ですけれども,専門学校のほかに,大学,短大のそれぞれの特色として,高校生がどのような観点で捉えているかということであります。
一番右にありますとおり,専門学校については業種・業界ということと,特にそれが就職にしっかりと結び付くということにかなり重点を置いて進学を希望して,実際に進学しているということでありますし,やはりそういう意味で,そこでしか学べない内容があるといったところも,この専門学校の1つのメリットということで捉えられているということでございます。大学・短大との対比の関係で,専門学校の特色として,この資料も御覧いただきたいと思います。
引き続きまして,今度は,出口の方はどうかということに関わりまして,27ページの資料を御覧いただきますと,就職者の割合の推移ということで,専門学校はほぼ一貫して,他の学校種に比較しても,卒業者のうちに就職した者に関してはトップを走っているということで,直近のデータで81.8%ということになっております。また,地元への就職率という部分も非常に高いことがデータとしても出ておりまして,これが28ページでございます。これは大学との対比でありまして,地方労働局からオープンになっているデータを頂いて,それをこちらに記させていただいております。ここに書かれている全ての県において,地元への就職率ということについても高い状況が見られるということでございます。
引き続きまして,高等課程に焦点を当てた資料を30ページからお示ししております。学校数,学科数等は先ほど申し上げたとおりであります。
また,1つの特色といたしまして,この高等課程に関わっての資料の最後のところになりますが,35ページを御覧いただきたいと思います。これは高等学校の全国高等専修学校協会さんの調査の状況を転記させていただいたものですが,不登校経験の生徒,そしてまた経済的に困窮している,また家庭環境も厳しい生徒さん,そしてまた発達障害のある生徒さんの状況などを,比較的そういった子が多いといった現状についてです。要すれば,そのような多様なお子さんを多く引き受けながら,しっかりとその先につなげて,教育活動を展開いただいているといったようなことについての状況でございます。高等専修学校における現状ということで,こうした点も,一般の高等学校にはない部分,あるいは足りない部分についての役割をしっかりと果たしていただいているということについての関連の資料でございます。
引き続きまして,社会人の学び直しに関わっての資料になりますけれども,40ページを御覧いただきたいと思います。社会人,特に私立専修学校において社会人の在学生等がどういう形でどれぐらいいらっしゃるかということに関わってですけれども,こちらの資料にありますとおり,専門学校に関わりましては,6万4,000人ぐらいいると。また附帯事業なども含めると,大体12万人の社会人の方が専修学校で学んでいるというような状況があるということでございます。
それから,あとこれは文部科学省外のスキームでありますけど,厚生労働省のスキームで,43ページになります専門実践教育訓練というものであります。独占資格,職業実践専門課程の認定を受けた場合に,就職率なども勘案されてではありますけれども,厚生労働省の方でこの専門実践教育訓練の講座として指定された場合には,そこで社会人が学んだ場合の費用について,一般の教育訓練給付に比べてより厚い受講費用の支援がされるということに関わってのものでございます。
この中で,今申し上げました職業実践専門課程ということもそうですし,また独占資格等に関わっても,専修学校においてそのような講座も展開いただいているということでございます。こうしたものも活用しながら,専修学校における社会人の多様な学びの機会の提供を進めていただいている次第でございます。
引き続きまして,留学生に関わっての資料,45ページを御覧ください。45ページの資料は,これは外国人留学生の推移ということでございまして,少し数字が小さく恐縮ですが,赤い枠で示したところが,専門学校における留学生の数でございまして,現在3万8,000人程度ということで,特にここ近年,増えてきているというところがございます。
分野別の状況はその次のページに書いてあるところでありますけれども,国別の状況の特性が,47ページをごらんいただきたいと思いますけれども,非常に多様なところで増えてきているところがあるところです。数としては,まず中国が多いとところです,次にベトナム,そしてネパールといった,特に漢字圏でない国からの留学生も増えつつあるといった状況がまた1つ特性としてございます。
続きまして,経済的支援に関わっての様々な支援の状況ということについてのものが49ページになります。49ページの資料は,後期中等教育,そして高等教育それぞれの段階におきまして,いわゆる一条校と言われる私立の高等学校や私立の大学と,この専修学校との関係性を,簡単に整理させていただいたものでございます。
後期中等教育段階におきましては,私立高等学校について,高等学校等就学支援金であったり奨学給付金であったり,そしてまた授業料減免についての交付税措置であったりといったことがありますけれども,私立高等専修学校につきましても,ほぼそれと同様の支援措置がされているということがございます。
他方,高等教育段階の方ですけれども,私立大学につきましては,日本学生支援機構の奨学金につきまして,これは私立専門学校についても同様の支援がされております。他方で,授業料減免につきましては,大学においては,経常費補助の枠組みの中で,この部分についての支援がされておりますけれども,専修学校,私立専門学校につきましてはそのような枠組みがないということでありまして,現在,この在り方について検討するための実証研究事業が進められているということでございます。
また,このような検討の背景に関わりまして,その次の50ページに専門学校生の経済的状況の資料があります。高等専修学校につきましても,先ほどの資料で御覧いただきましたとおり,経済的に厳しい家庭の世帯の生徒さんが多いわけですけれども,専門学校においても一般の大学に比べてもそうした経済的に就学困難な学生さんが比較的多いというところがデータとしても出ております。年収で300万円以下ということで,一旦ここで区切らせていただいておりますけれども,そうしたところで見ても,大学生に比べても多いといったこと,そしてそれに関わりまして,大学生と比べて,収入状況,収入源がどこにあるかといったことについてのデータが50ページの真ん中のところにありますけれども,私立大学と比べますと,やはり家庭からの給付というのが相対的に少なくなっていること,あわせて,定職・その他といったところが若干多くなっておりますけども,こちらは貯蓄を取り崩したり借金をしたりといったようなことがそのカテゴリーに入りますけれども,そうした方が多いと。
一番下にありますのが,授業料,生活費につきまして,本人が負担しているものに関しての割合ということであります。授業料か生活費のいずれか,あるいは両方を負担しているといったところについては,6割ぐらいがそうした方々であるというのが,専門学校生の状況であるということであります。
それから,続きまして予算の関係で資料を付けさせていただいております。52ページを御覧ください。専修学校関係予算,これは平成28年度,今年度の専修学校の関係予算でございます。大きなカテゴリーといたしましては,このポンチ絵上,人材養成ということと,教育基盤の整備ということで大きく2つ分けております。教育基盤の整備ということに関わりましては,いわゆるハードに関わりましての支援,補助ということでございます。
人材養成については,大きく更に2つカテゴリー分けをしております。人材育成機能の向上と修学支援の充実ということでございます。
修学支援の充実ということで,経済的支援の在り方に関する実証研究事業ということで今,簡単に口頭で申し上げました。27年度から3年間,この支援の在り方ということについて検証していこうということであります。都道府県に対する委託事業の中で,こうした経済的に困窮,修学困難な学生さんに対して,経済的支援,そしてまた修学支援を行いながら,その効果を検証していこうというものでございます。また,留学生に関わりましても,財政的な支援というところも行っておりますので,そうしたところも入っております。
上段の人材育成ということに関わりましては,中核的専門人材の事業というのがございまして,これがその次のページ,53ページにそのポンチ絵がございます。これまで特に産学官のコンソーシアムというものを構成し,左下にありますけれども,分野ごとに産業界と教育界が一体となりながら,各分野で求められる,そして養成するべき人材像というのを確認して,共有しながら,その養成のために必要な教育プログラムを進めようということで展開しております。
あわせて,カテゴリーとしてはそういう意味で地域版の学び直し教育プログラムの開発・実証というのが大きな柱になっております。併せまして,高等専修学校等において特色ある教育推進のためのカリキュラムの開発ということについても,この枠組みの中で展開しております。
次のページ,54ページが,これは平成28年度からの新規事業になりますけれども,専修学校版デュアル教育推進事業ということでございまして,専修学校においては産学連携の中で取組を進めていただいておりますけれども,個々の教員の単独の取組とか個々の教員と個別のつながりの中での企業の連携ということにとどまらず,学校という組織において,企業としっかりと組織的な連携を行いながら,教育の内容に関してより充実した産学連携の取組を進めていく,それを後押ししていくといったことを,この事業を通じて実現していきたいということで進めております。
産学連携の取組という意味では,コーオプ教育というのは,企業内実習の代表例ですけれども,こうしたものや,学校内での実習,そしてまた企業からいろんな提案を受けながら,そのプロジェクトに関して学生や学校がそこに関わりながら対応していく共同プロジェクトといったような,様々な連携の取組類型があり得るわけですけれども,そうしたものごとにどのような形で,どのような観点で学校と企業が協力しながら学生の指導に当たっていくべきかといったことについて,ガイドラインを作っていきたいという事業でございます。
また,次の質保証・向上ということに関わりまして,55ページの資料になるのですけれども,55ページの右下のところに,少し細かい字になっておりますけれども,職業実践専門課程に関わりまして,実態調査を行ってきております。こうしたことを踏まえながら,よりメリットといいますか,その効果を共有しながら,しっかりとその取組の充実につなげていきたいということで進めておりますが,併せまして,第三者評価という,今,専修学校においては制度的な仕組みとして導入されていないものでありますけれども,特に質の保証・向上といったことの課題に対応していくために,現在の11分野において,第三者評価の検証を行っていただいているところであります。
また,平成28年度については,このポンチ絵の左下にあります学校評価に関わりまして,既にガイドラインがありますが,特に情報公開に関わる手引を作っていきたいということであります。56ページからその次のページのところにつきましては,専門学校生への経済支援に関して,先ほど申し上げたものになります。
その下は,58ページと書いてあるところですけれども,留学生の就職アシスト事業ということがありますけれども,これは留学生の増加ということ,データ的には前年度になっているので,直近のデータでは更に増えておりますけれども,こうしたものに対して,特に介護に関わりましては,出入国管理法令の改正の動きなども含めつつ,また今後更に分野も拡大していく見込みもありますので,そうしたことへしっかりと対応していけるような形で取組をしていくということで,それを支援するための枠組みを想定しております。
最後に,これは御参考ですけれども,様々な政府の関連文書の中で,専修学校が位置付けられております。職業教育,そしてまた専修学校における教育ということで,64ページ以降,地方創生も含めてですけれども,書かれております。こうした形で,より政府としてもこの専修学校の振興という部分をしっかりと後押ししていきたいということであります。
そして,このような現状を踏まえつつですけれども,資料3の方に移らせていただきます。今回,審議のテーマといたしまして,専修学校教育のこれからの振興のあり方ということに関わりまして,今申し上げてきたような専修学校の現況,そしてまたそれにかかわる支援策といったことも踏まえつつですけれども,今後の検討の題材にしていただければということで,論点を簡単に整理させていただいております。
1つ目に書いてあるのが,基本的方向性ということで,これは総論でございます。論点として,今回,設置に関わっての説明の中でも申し上げましたけれども,大きくは3つここで想定させていただいております。人材養成が2つ目,3つ目に質保証・向上,そして4つ目に,ページが変わりますけど,学習環境,学びのセーフティネットといったような大きなくくりで整理させていただきました。
なお,言うまでもなくいいますか,内容によって,当然ながら相互に関係している項目も多いところですので,1つの目安として捉えていただきつつ,御議論をお願いできればと思っております。
2ポツの人材養成に関わってですけれども,1つは産学連携に関わって,その推進の在り方でございます。先ほど申し上げました中核的専門人材の事業などを通じまして,産学連携の取組の中でいろいろなカリキュラムの展開などを進めてきておりますけれども,特にグローバル化といったこと,これはまた留学生に対する教育の在り方というところにも関わりますけれども,こうしたことの中で,通用性や専修学校における教育内容の適切な発信といったことに関わりまして,学修成果の発信についても,問題提起をさせていただきました。
それから,先ほど新規事業として申し上げました専修学校版デュアル教育推進事業なども現時点では進めているところでございます。更にどのように充実していくかといったことなど,あるいは内容に関してどのような観点に留意していくべきかといったことなども関わってまいります。
(2)といたしまして,これも全般的には関わりますけれども,特に人材養成ということの絡みで,高等課程の在り方について記載させていただきました。高等課程の特性,特色,役割といったことを更にどのように充実,強化をしていくかといったことであります。
3つ目が,地域の教育機関等との連携の在り方ということです。特に高校からの進学ということも一定,大きな役割を果たしているのが,この専門学校でもあり,また高等専修学校におきましても,やはりそれぞれの地域においてその役割を果たしているわけですけれども,そうした高校であったり中学であったり,それらの学校との連携をいかに推進していくか。それは後に出てきますけれども,専修学校についての周知といったことにも深く関わってくる論点かと思いますし,あと教育機関だけではなくて,行政機関,国と併せてですけれども,地方の自治体との関わりというのも大変重要な課題になってくると思われます。
4つ目ですけれども,社会の期待に応える専修学校機能の充実の在り方ということで,政府の関係文書においても,地方創生における位置づけについても少し申し上げましたけれども,地方創生ということも今まさに大きなキーワードになってきておりますし,また専修学校の大きな役割として,社会人の学び直しということもございます。この学び直しニーズにいかに応えていくか,そのための支援策はどういうふうに考えていくべきか,また学校はどのような観点で取り組むべきかといったこと,それからこうした意味で,またグローバルといった絡みで,留学生の支援,留学生の施策をどのように推進していくかということが課題としてあると思います。
また,3つ目ですけれども,質保証・向上の論点ですが,職業実践専門課程の今後の在り方ということでございます。先ほど申し上げましたように,先導的試行ということでスタートしたこの職業実践専門課程でございますけれども,新しい高等教育機関の議論というのが別途,進められてきており,そのような形で新たな枠組みが具体化しようとしている中で,この専修学校については,他方で制度的な柔軟な特性があるということを生かしながら,今後職業実践専門課程をどのように展開していくべきかといったところが,大きな課題として想定されるのではないかと思われます。
それに関わりまして,1つは2年制以上の課程が対象になっておりますけれども,1年制課程をどのように扱っていくか,それから財政的インセンティブということで,厚労省の枠組み,先ほど紹介いたしましたけれども,その他どのような形でこういったものを講じていくべきかどうかということ,それから効果的な実施・周知の方法などが考えられると思います。
(2)でございますけれども,第三者評価の検証を進めているということでありますが,特に産学連携の取組の中で,こうしたところについてもどのように進めていくべきかといったことも大きな論点かと思います。
3つ目ですけれども,質保証・向上のための基盤支援ということでございます。自己評価については,実施と公表が法律上の義務になっております。学校関係者評価は法律上の努力義務になっております。情報公開は義務になっております。こうしたことをどのように充実していくかといったこと,この取組を充実していくかといったことでございます。
情報公開につきましては,先ほど申し上げました今年度の事業で手引を作っていくということで進めております。また,学校評価につきましては手引を既に作っており,それも進めていくということで展開しておりますけれども,こうした支援の充実の在り方,そしてまた学校は専修学校の場合は比較的,小規模な学校が多いという状況の中で,学校の事務体制をいかに充実していくかと。研修であったり学校事務のノウハウの共有であったり,こうしたことも課題であろうと思います。
それから4つ目ですけれども,専修学校についての理解度・認知度の向上の在り方,どのように更に充実していくかということ。そのためにはやはり専修学校の質保証・向上ということがまず必要になるとともに,その専修学校の強み,魅力というのをどのように改めて捉え直して,どのように発信していくかといったことが論点としてあると考えております。
ページをおめくりいただきまして,3つ目の論点,4ポツでありますけれども,学習環境,学びのセーフティネットの保障についてということでございます。先ほど申し上げましたような修学支援に関わりましての専修学校の状況を踏まえて,授業料減免の支援の在り方,また奨学金の充実の在り方も含めてですけれども,論点としてなってくると思います。
(2)ですけれども,施設設備,ハードに関する補助ということで,耐震対応の推進など進めていく必要があるわけですけれども,その充実をいかに図っていくかということでございます。
(3)につきましては,この4月からですけれども,障害者差別解消法が施行されました。高等課程におきましては,特に発達障害児なども多く在学している中で支援を行い,またそれをサポートする意味でも,国でも中核的専門人材の事業なども通じて,実際に高等課程においてそうした対応について検証なりをしていただいているわけですけれども,全般的にもこの合理的配慮であったりしたものをどのように具体的に進めていくかといったところも課題になると思われますので,こうした点も整理させていただいた次第でございます。
少し長くなりまして恐縮ですけれども,以上,資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございました。膨大な資料を,現状認識をしていただくということと,今後の課題をその中に盛り込みながら説明いただいたわけでありますが,一気にこれだけ説明されますと,なかなか頭に入らないと思いますけれども,まず初回でありますので,きょうは皆さんから発言を頂きたいと思いますので,お1人ずつ,順番でもいいんですけれども,どなたからでも結構ですので,今の説明についての御質問,御意見,それからまず初回ですから,自己紹介も兼ねていただいて結構ですので,よろしくお願いしたいと思います。
どなたか,私からという人はいらっしゃいますか。もしいないようでしたら,順番に行きますけれども,よろしいですか。
それじゃ,名簿の順番で,席の順で行きますが,浦部委員からお願いします。

【浦部委員】  改めまして,都立青井高校の浦部と申します。
簡単に本校の状況を御説明いたしまして,これからいろいろと学ばせていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
本校,いわゆる進路多様校ということで,様々,進路希望の生徒がございまして,連日,1学期ですので,3年生がもう授業が終わりますと進路室に駆け込んでくるという状態で,かなりごった返しているという今,現状でございます。
その中で,昨年度,本校,専門学校へ入学しました生徒ですけれども,今年の4月に入学した生徒ですが,53名おります。その前の年は64名ということですので,大体五,六十名が専門学校に進学しているという状況の中で,様々,家庭的,経済的な事情を抱えておる生徒が多数おるという状況の中で,専門学校への進学が非常に多岐にわたっているというところから,指導がやはりなかなか,ベテランの教員であっても難しい側面もあると実感しておるところでございます。
また,東京都高等学校進路指導協議会の事務局長という立場から,様々な高等学校の先生方からよく御質問を頂きます。どのような形で専門学校への進学指導をしたらよいのかということで,現場で非常に判断に迷うとか,指導が難しいという声が聞こえてきてございます。
ですので,専門学校への進学というのは本当に時代とともに様々変わってくる側面ももちろんございますし,またベテランの教員であっても指導がなかなか難しいというところの,また変化も非常に激しいというところから,情報を正に必要としている分野であると思っております。
また,先ほどお話の中にございました手引書を作成するということで,情報公開というところがございました。非常にすばらしいお取組になるのではないかなと思うんですけれども,やはりそういった情報を集約して,今,現場で様々,戸惑っている教員と,そしてまたその指導を待っている生徒たちということで,そういったところへの情報発信というのが非常に重要なのかなと思っております。本日こちらに本校で使用しております進路の手引というものをお持ちしておりますが,先日,白鳥様の方にもお渡ししておりますけれども,そういった情報を集約して伝えていくということの重要性を感じております。是非,私自身も勉強させていただき,本年度お世話になればと思っております。是非よろしくお願いいたします。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。それでは,続いてお願いします。

【大井川委員】  よろしくお願いいたします。日商の大井川でございます。
私自身,この学校制度そのものに関しては専門の知見が余りないのですが,本日,委員の皆様のお顔ぶれを拝見いたしましたところ,産業界から直接出ているのは日商だけということで,学校制度そのものというより,商工会議所の立場としては今,人手不足が大変な状況になっておりますので,あくまで採用の観点から見ていきたいなと思っております。
本日の資料に関して申し上げますと,これはあくまで所感でございますけども,資料3の1ページ目にございますように,今現在,中教審の方で新しい高等教育機関の制度化の議論がずっと行われておりまして,日商からも委員を派遣させていただいております。こちらとの議論の兼ね合いをどうするのかというところが1つの議論のポイントになってくるのかなと思っております。
それから,人手不足に関しては,学び直しが非常に大切なことだと思っております。既に社会人になった方々の学び直しの受皿をどう確保するべきなのかというのは,新卒採用,いわゆる採用以前の教育の在り方以上に,企業の皆様からは声が強いというところがございます。
学校教育は学校教育でいろいろ非常に綿密な教育が行われているわけですけども,やはり実際,企業の中で独自に行っている教育,人材育成とはどうしても溝はあるのだと思います。その溝を埋めていくという意味では,一旦会社に入って,社会経験を積んでいくということも1つなのですけども,高等教育段階で,実践的な学びを深めていくことについて是非,御議論いただければと思っております。
簡単ですが,以上でございます。

【黒田座長】  どうもありがとうございます。それでは,お願いします。

【小方委員】  先ほど座長,副座長から,長い間,専修学校の方に関わってこられたという話がございまして,私は座長,副座長に比べるとまだ短い関わりですけれども,きのうも学部の3・4年生を対象に授業をやっておりまして,ちょうど新制大学の発足以降,多岐高等教育が,短大,それから高専,専修学校,どういうふうに成り立ってきたかという授業をやりましたけれども,結構,東大の学生も専修学校については知らない学生が多くて,ただ話をすると,関心を持って調べてみようという学生が増えてきて,このごろうちの教育学部でも,学部生で専修学校に関して卒論を書く学生もちらほら増えてきているところなので,そういう点からも日常の業務をやっていきたいと思っているところですけども,昨年度,一昨年度からの専修学校の振興の関わりから見ると,やはり3番の質保証・質向上のところを中心とした展開になるとは思うんですけども,是非,3番だけではなくて,3番を中心に,ほかの2番と4番で関わっていることを連携させて考えていただければ有り難いと思います。
余りたくさんは申し上げませんけども,幾つかの例としては,1つは先ほどの大きな資料の23のところに都道府県別の進学状況が出ておりましたけども,進学機会と修学支援の問題というのは大事で,質の向上をさせている学校さんとこの奨学金とか学習支援を積極的に行っていくというのを絡めたような展開もあるのではないかと思います。
具体的には,要するに大学進学率が低い都道府県ほど専門学校進学率が明らかに高い傾向になっているということで,地方の教育機関に極めて重要な役割を専修学校制度は果たしている一方で,やはり家計の厳しい家庭からの進学者が多くて,退学者等も多いという実情で,多分,退学者がどれぐらい多いかというのもまだよく分かっていないこともあるので,情報公開の話もございましたけども,その辺ともあわせて,奨学金の充実,あるいは1つの学校で,先ほど小さい事務組織でという話もありましたが,1つの学校で難しければ,都道府県単位で,あるいは学校間で連携して,奨学金等だけではなくて,就職支援だけじゃなくて,学習支援のカウンセリング等も行う仕組みを更に従事していっていただければ有り難いと思います。
それから,今のは下支え的な話なんですけど,一方で,先ほどグローバル化の話もございましたけども,少しとがった取り組みも必要ではないかと思っておりまして,それは他国との連携とか展開という話で,医療関係が典型的かもしれませんけれども,日本が先進的に高齢化社会の中で進んで持っている社会制度等があるので,きょうは図らずもこちらの文科省じゃないところで会議を行っておりますが,経産省等とも組みながら,社会の制度の輸出と併せて,専修学校が持っているすぐれた教育制度も海外展開のようなものを是非,考えていただきたいということです。
なぜそんなことを言うかというと,大学でもこのごろ人社系は余り要らないみたいな話にもなっておりますけども,学校関係も衰退していて,文学部も衰退しているんですけれども,海外展開のことを考えると,もちろん専修学校,各種学校で,留学生を受け入れるための日本語教育というのをかなり力を入れて,機能しているんですけども,外国語教育というのも充実させて,海外の展開ということになると,専修学校の新しい展開点も更に期待できる部分があるのではないかと思うので,そういう下支え的なことと,とがった取組を同時にやっていただけると有り難いと。
それから3番目は,これは小さなことかもしれませんけども,専修学校の構成している分野間,もしかしたら分野においては連携できる部分,既に連携していらっしゃると思いますが,あるのではないかと。きのうも,きょう髪が短いですけども,髪を切りに行っておりましたら,そこの髪を切っていらっしゃる方が,店長が,自分が新しい展開で,福祉施設に自分で営業して,そこでなかなか髪を切れない高齢者の方に髪を切る業もされているという話を聞いて,いろんな専修学校間,分野間で連携して,そこから,もっと言えば専修学校のシステムから新しいビジネスの展開みたいなものもどういうふうに考えてもらえればありがいたいと思いますので,基本的には質保証,コアとしたところだと思いますけども,それをコアとして,他の取組も質保証と連携させて展開していっていただけると有り難いと思っています。 少し長くなりましたけど,終わりたいと思います。

【黒田座長】  ありがとうございます。それじゃ,お願いします。

【河原委員】  愛媛の河原学園の河原と申します。
私どもの法人は,約30年前にスタートしました。現在は,愛媛県で専門学校が9校,高等専修1校,そして愛知県で大学と高校を運営しています。
スタートした当時は,情報系の人材が不足しているということで,情報の学校を設置しましたが,現在9校になっています。なぜ9校になったかというとまず1つは,生徒,高校生から,こういう学校がないか要望があったり,産業界の方から,こういう学校があればいいのにとお話をお伺いしながら,学校を設立してきたという状況になっております。
こちらの資料にある5ページの部分,現在は全分類をそろえている状況ですが,その分類が余りにも大まか過ぎて,質を考える上でちょっとハードルがある。例えば画一的にとか一律に話をしていけないところがあります。私ども,シラバス,コマシラバスという体系的な人材の育成を考え,学内で取り組んでいるんですけど,それを1つの数字に当てはめて,各分野の話をしていくと無理があります。1つの分野が1クラスに当たるぐらい細分化しているので,そこで質を上げていくというところは非常に困難というか,努力を要する部分が多くあります。
例えば高・専連携とか専門学校と産業界の連携という部分を形作ることによって質を上げていくことができないのか個人的には考えています。私ども愛媛県でも約20%弱の高校生が進路先として選んでいただいております。その子たちがやはり20年後,40年後,国の人材,力としてどうやっていくべきなのか,体型的にその専門の分野を学んでいただいて,キャリアアップをしていただける基礎というか,1つのステップとして,どうあるべきかというところを踏まえながら,いろいろ考えていきたいと思いますので,御指導よろしくお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございました。それじゃ,お願いします。

【小杉委員】  小杉です。専門学校との関わりの長さからいくと,多分,私,皆さんに匹敵するぐらい長いかなと思っています。制度発足,多分5年目ぐらいに調査をやらせていただきまして,何校か東京都内の専門学校さんに御協力いただきまして,卒業生の名簿とか,あるいはその就職先の名簿とかを頂きまして,各企業からの評価とか,あるいは卒業生がその後どんなキャリアを展開しているかというような実態調査をさせていただいた古い記憶がございます。
実はそのときの関心が今も全く同じなんですけれども,要するに職業教育として一体どれだけの効果があって,どう評価されているのか。個人にとってみれば,需要のない職業教育,特に実践的な職業教育になればなるほど,労働力需要と接続がぴったりしていないと。本当にただの無駄になってしまいますので,職業教育はきちんと需要との接続を図らないと,ほとんど詐欺だと思います。ということで,私は最近の新たな職業実践専門課程ですか,の在り方のような,教育プログラムの段階から労働力需要側とかなり密接に話し合いながら,教育プログラムを設計していけるという仕組みそのものが非常に大事だと思っています。
そういう意味で,この延長上に専門学校は展開してほしいという期待をすごく持っているんですが,更にそれにとどまらず,やっぱり需要側という話を考えると,これがかなり大きく変化している。大幅に,かつ頻繁に変動する。それが間違いなくこれからの社会の方向性ですよね。
そういう中にあって,日本全体としてどうやって人のスキル,職業能力を伸ばしていくかというのは大変大事なポイントになって,先ほどどなたか御指摘ございましたけど,やっぱり社会人の学び直しというような領域で,ミッドキャリアの中でどうやって能力を高めていくかという話が改めて重要になってくると思っています。
いわゆる日本型雇用の世界の中では,企業に入ってから,企業の中での訓練,経験によって能力を高めるということが,これが王道と言われてきているんですけれども,やっぱりそこに必要な能力というのは非常に企業特殊的なもので,企業に入ってから身に付けなければどうしようもないものだというような,こういうものも確かにあるんですけれども,今の新たな技能の方向,スキルの方向というのは,これは間違いなく企業を越えたものにどんどんなっている。まさにビッグデータとかそういう話になってきていますね。それぞれのスキルをもっと分解していくということがどんどん進められていく。こういうスキル感の中で,改めて学校体系の中で,体系的なプログラムで学ぶということがミッドキャリアにおいても重要になってくる,こういう世界に突入していると思うんですよね。
そこで,多分その辺のミッドキャリアの人たちの学び直しというのが非常に日本は弱い。これまで日本型雇用が主流だっただけに,余計弱いんですよね。ここにどう切り込んでいくかというのは,これからの職業能力開発政策あるいは文教政策の中で大事なポイントになってくると思うんですが,そこでこれまでの経験の中から,需要に対して非常に腰が軽い,身が軽い専門学校の仕組みというのは,非常にこれから大事になってくると思いますので,そういう意味で,学び直しのあたりにどうやってこの専門学校の能力を生かしていくかというのが大事なポイントだなと思っています。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。それじゃ,小林委員,お願いします。

【小林(浩)委員】  私は,先ほど御紹介あったように,高校生から見た高等教育課,それぞれどのように見えているかとか,そういったニーズとかをいろいろ調査しておりまして,あとはリクルートですので,社会との接続というところを見ながら,高等教育機関で何を学んでいくかというところを調査しているところでございます。そうした中で,専修学校制度はやはり産業構造の変化に柔軟にこれまで対応してきたというところで大きな価値があると思っております。なので,国の認可ではなくて都道府県認可で,その地域に合ったニーズに柔軟に対応していくというような形で学科の構成,コースの構成というのが構築されているのではないかなと思います。
ただその分,情報の公開とか質保証というところで,若干,外から見ると見えづらくなっている部分があって,変化の速い中で,どのように情報をきちんと発信していくかというところが求められていると思います。
特に今度,新しいまた学校種が2019年にはできるというふうに検討されている中で,先ほど資料の24ページの方でも御紹介いただきましたけど,例えば進学する高校生から見ると,今度は大学,短期大学,専門学校,新しく今度は新しい学校種が入ってくるというような形になりまして,先ほど浦部先生の方からありましたけど,進路指導の先生側からしても,非常に複雑になってくるという面があると思います。
そこで,きちんと情報公開,あるいは分野別の質の保証,あるいはコースとかだけではなくて,学校としての質の保証をどう行っていくかというところが求められてくるのではないかなと思います。大学の方でも,今まではどちらかというとどこの大学に入るかというのが,入学がゴールだったのですが,やはり今の大きな流れの中では,何を学ぶかという履修主義から,何ができるようになったかという修得主義の方に大きく大学の方もかじを切っておりまして,そうした中で,専門学校は特に何ができるようになったかというのをきちんと社会に発信していく必要があるんじゃないかと思っております。
もう一点が,先ほど小方先生の方からも,グローバル展開というのがありましたけれども,先ほどの資料の中でも,日本の専修学校に来ている学生たちの国を見ますと,ベトナムとかネパールとか,そういった今までになかったような,欧米型ではないアジアの諸国で日本型の職業訓練を学んでいこうというような流れができていると思います。
日本の,大学はまだ世界に対して十分に発信できていないような気がするんですが,専門学校の方は,例えば複式簿記を,ベトナムに学校を作っていったりとか,あるいは食の文化をタイの方に学校を作りに行こうとか,きれいとか美容の分野をベトナムに学校を作りに行ったりとか,言葉を選ばずに言えば,昔,高度成長期に企業が工業を輸出していたのを,日本が新しい成熟社会の中で,文化なりその職業の在り方を新興国というかアジアの方に展開していくといったようなことも,クールジャパンじゃないですけども,あるんじゃないかと思っております。ですので,そういった学校種が増えていく中での質の保証と海外展開というのが大きくあるのではないかと。
もう一つだけ付け加えますと,その質の保証の中で,先ほど来あった職業実践専門課程が3年目に入ったとあったと思います。ということは,初年度の子はもう卒業しているということになると思いますので,そこら辺の成果がどうなっているかというのが,制度できたときは,結構ある意味,注目されるんですけども,3年目になるとちょっと落ち着いてきている気がしますので,そこら辺の成果がどうだったかというのも検証して発表していくというのが必要なのではないかと思っております。
以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。それでは。

【今野副座長】  先ほどの御説明にもありましたけれど,新しい職業高等教育機関が創設されるということで,制度的な動きも間近なところまで来ているというお話を伺いました。
以前から高等教育での職業教育系の大学の類型が欲しいというような声が随分あったと思いますし,日本ではそこが従来なかったもので,新しく道ができるということで,個人的にはとても評価しております。是非,専門学校だけではなくて,四大だとか短大とか高専だとか,あるいは更に新しく参入するというふうな学校ができて,多様な学校が参入して,制度が豊かになればいいなと願っているところですけれど,もともとこの新機関の創設は,専修学校側からの要望もあったのが契機だったと思いますけれども,基本的な議論の中では,やはり専門学校がこれまで四十数年にわたって築き上げてきた実績,そしてそれに対する社会的な高い評価が基になって,高等教育としての職業教育機関を是非というふうな話につながっていったんだろうと思っております。
したがって,実質的には専門学校が新しい制度の議論としては生みの親になるのかなとも思うんですけれど,ただ実際には全く別の学校制度ですので,専門学校からの参入移行というのは,個人的にはそれほど多くないんじゃないかなと。多くても3割,4割程度ではないかなと個人的には思っているんですね。
したがって,専修学校制度はそのものとしては制度としても実体としてもそのまま残るわけですし,また産業,労働環境は非常に大きく変化し続けているという中で,専門学校の役割というのは更に重要だということは疑いのないところだと思います。新しい制度ができることを契機に,この会で専修学校の振興を幅広く検討していくというのがとても時宜を得たことであるなと思っております。
幾つか論点も出ていましたので,幅広く議論しなければいけないなと思いますけれども,私個人的には,既にお話も出ていますけれども,専修学校を受ける学生の修学支援の問題,これは教育を受ける者についての支援全般に今,議論になっているところだと思いますけれども,説明の中でもありましたけれども,専修学校の学生の家庭の財政事情も厳しいというような状況もありますので,是非この面では具体的な方策を見いだしたいなと思っております。
それから,教育をする側(がわ)の教員の資質・能力の向上も改めて課題になってくるのではないかなと思っております。以前から様々な研修事業,いろんなレベルで行われてきているのは分かっているんですけれども,社会が大幅に変わってくるということであれば,常に教育を提供するサイドが様々な産業界の要請を受けながら教育の変革を続けていかなきゃいけないということになるとすれば,教員の従来にないようなダイナミックな産業界との交流とかいうのも含めて,資質・能力を支えるような施策というのも是非,考えられていいんじゃないかなと思っております。
それから,産業界からよくその人材養成で,大学などでもそうですけれども,専門能力だけではなくて,幅広い能力が必要だといったときに,仕事をする上でのチャレンジ精神だったり思考力だったり頑張り力だったりというふうなことがよく言われています。専門学校の卒業生に対してもそういう要請があるんだろうと思います。総じて言えば,非認知的な能力といったものだろうと思うんですけれども,これからは専門分野の専門性だけでなくて,そうした非認知的な部分を高める教育というのも求められるのではないかなと。あぶ蜂取らずになってはどうしようもないんですけれども,専門技術教育を通じて,そうした求められる能力を身に付けさせる新しい教育というのも是非,開発される必要があるんじゃないかな,あるいはそういうことを支援するというのも方策の中で検討されてもいいのかなと思っております。以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。それじゃ,小林委員,お願いします。

【小林(光)委員】  私の方は,今まで各先生方いろいろおっしゃっていただきましたから,今回のこの検討会の目的と申しましょうか,ミッションは,先ほど白鳥室長の方から御説明いただいたとおり,新しい学校制度作りの方で,職業教育に関しては黒田先生はじめ綿密に議論を進めていただいているという背景があります。
そこでいろんな議論をされたことの知見も頂きながら,そして更に今,今野先生がおっしゃっていただいたように,専修学校全体の中の30%ぐらいが多分,新しい高等教育機関ということになっていくんだろうと。そうするとあとの70%の学校もどう支援していくか,これは重要な課題だろうと思います。そこに対してのメッセージや,新しい支援の取組というようなものをきちっと考えて対応していかなきゃいけないという背景もあると,思うわけです。
私自身は,この専修学校と申しましょうか,職業教育に関わって45年以上になるわけでありまして,専修学校制度ができて40年ということでありますが,以前は高校卒業生を中心とした教育をずっと展開してきたわけであります。しかし,今から20年ぐらい前,データでいうと,きょうお配りいただいているこの参考資料の27ページに,まさに出ておりますが,平成3年ぐらいからずっと就職率が下がって,これは特に大学,短大ですね。就職率が,今はようやく少し上がってきたという状況ですが,この間,ずっと20年間言われていたことは何かというと,大学を出て就職できない人が30%以上いる。そして1回就職しても3年以内に30%以上,離職すると。そうすると大学を卒業して60%以上の人がもう一回再就職をしなければならないと,こういう事態に高度経済成長を遂げたこの平成の初期ぐらいからなってきたということがありました。
一方で,大学全入ということがありましたので,一般的な高校卒業生だけの専門学校をやっていても,私の学校は東京でありますので,東京で展開していてもなかなか学生が集まらない。大学進学者の方が圧倒的に東京では多いわけでありますから,集まらないというような状況で,これは学校校種を変えようと,20年以上前から,そういう意味では大卒生,あるいは社会人教育というところに注力して,そしてそういう学科の学校を主に作ってきたというところがあります。
したがって,現状では私どものグループで学んでいる学生,前も申し上げたと思うんですが,大体,今,全部で通信の学生なんかも入れると3,700人ぐらい来ているんですが,その中の80%以上は,要するに大卒生,あるいは社会人経験者が学ぶ学科の教育課程になっているということ,これはもう20年続いているんですね。そういう状況だということです。
ただしそういう中で学んでいる学生も,附帯教育の分野で学んでいる学生が結構いまして,実際の専門学校の数字には入ってきていないという背景があります。先ほどのデータの中で,15万人ほど一般課程を含めてという,附帯教育を含めてという,そこの中には入っているということです。学び直しの学生が多いという状況にあるということです。
私は1か月ぐらい前にヨーロッパの職業教育等も見て,そして中国に行って,特に医療,介護あるいは職業教育というテーマで,日中友好協会のお招きで北京とか上海,瀋陽を見させていただいてきたわけでありますが,アジアにおける日本の立ち位置として,職業教育を学びたいという,世界及びアジア諸風からそういう要望は随分ある。
ただし日本の職業教育を学んでも,要するに国際通用性のあるディグリーなどが全然担保されていないということで大学へと入るが,大学を出ても,日本の大学の一部ということかもしれませんが,大部分なのかもしれませんが,実践的な教育になっていないという批判もあるようです。本当は日本で高度な職業教育を学びたいという学生が圧倒的に多いという国際的な状況もあると思います。
特に中核的人材ですね。これはよく言われているように,アジアから優秀な人材が来て,例えば東大とか一流大学へ入りました。そこで高度な学術や技術なり,そういうものを学んで卒業しました。国へ帰ってそれを実現しようとして,政府に働き掛けても,手足がない。要するに中核的な人材がほとんどそれぞれのアジアの国にはいないというような状況なんです。日本のように具現化できないというような問題があって,そして挫折して,そしてもう一回,国外に出て,日本の企業なり,あるいはヨーロッパなりアメリカなり再就職していってしまう。実際に国費をもって先進国に学ばせた者が自分の国になかなか定着してくれないというような問題も各国にはある。特にアジアの発展途上国等ですね。
そういう問題もあるということで,中核的な人材に関して,きちっと育成して対応していくということが重要だろうと思います。特に日本はこの20年間,地方の空洞化も激しいわけで,地方の産業が衰退してしまった背景には,職業教育の問題が大きいと思うんですね。職業教育で地域の活性化なり地域のイノベーションを起こす中核人材を育成して,地域,地域の発展策をきちっと取っていくという教育を,専門学校が一部担っていたんですが,それが本当の一部であって,これを国としてもちゃんと支援体制を取っていくということが必要だったろうと思います。
僕はドイツへこの前も行ってきたんですが,ドイツは連邦国で,そういう体制がきちっとできています。マイスター制度や何かで,自分の地域に必要な人材を,マイスターとか,あるいは職業大学のようなものが育成をしている。地域経済の活性化の中核人材を育成して,そして経済の活性化というのも成し遂げている。したがって,ドイツはEUの中でも経済強国になっている。
それからもう一つは,留学生の問題,皆さんもおっしゃっていましたが,日本もやっぱり人材は,そう簡単に増えない。今,少子化の波の中,簡単に増える状況じゃないから,特に職業教育の分野で,あるいは地方の専門学校等で留学生を受け入れて,教育をして,日本で働けるようにして,そういうふうに開いていく。とりあえずは介護が今そういうことで,今国会でその法案が通るという見通しになっておりますが,ほかの分野にも今後,広げていくべきだろうと思っております。
経済的支援の問題も,各先生方がおっしゃっていましたが,専門学校で学ぶ学生というのは経済的に大変厳しいわけで,今,先進国はどこでも国力ということを考えた場合,国民の底上げをどうするかということが一番大きな課題です。したがって,経済的に厳しい家庭,あるいは専門学校で学ぶような学生こそ,国が経済的支援に対してきちっと取り組むということをやっていかないと,本来の先進国,リーダー国にはなれないんじゃないかと思います。日本の国を,もう一回,人材が資源だと言われる国にしていくには,専門学校の発展策を皆さんと一緒に議論して,何とか確立していただきたいと,こういうふうに思っているところでございます。よろしくお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございました。それでは清水委員,お願いします。

【清水委員】  武蔵野東の清水です。よろしくお願いします。
私は今現在,名簿にございますように,全国高等専修学校協会の会長というお役を引き受けさせていただいておりますので,私は専修学校の中卒で入れる高等専修学校を中心にお話しさせていただこうと思います。
今回の専修学校教育の振興策に関する検討会議,在り方の検討会議であるわけですけれども,高等専修学校の振興策というところでこの40年間を振り返ってみますと,高等専修学校の振興策は,まさに一条校の高等学校との格差是正を一つ一つ形にしてきた歴史であると思います。
最初はJRの定期の割引率が一般の割引率でしか売っていただけなかった時代から,やっとこれも高校生並みの割引率で今,売っていただいています。次は高体連に加盟できなかった時代があります。それで平成3年,独自で全国高等専修学校の体育大会を始めたという経緯がありますが,おかげさまで,こちらの方も平成5年,高体連への加盟もかない,本校では3つの部活が高体連の大会に参加させていただいております。しかし高野連はいまだに加盟ができておりません。
次がハローワークの取扱い格差であります。ハローワークの求人票で,大学,専門学校等卒という求人票をハローワークさんは高等専修学校の生徒も使用せよという指導をずっと頂いていたわけですけれども,同じ後期中等教育機関の高等学校卒の求人票をなぜ使えないのかというところで,こちらも12年かかりましたけれども,今は高等学校卒の求人票で対応させていただけるようになってきました。
ということで,格差是正の歴史の中で,あと大きなものとして残っておりますのは,前回の協力者会議でもお話しさせていただきましたけれども,日本スポーツ振興センターの保険への加入がまだできていないということです。やはり子供たちの環境整備ということを考えたときに,保険制度に加入ができないということは,やはりカリキュラムの幅を狭めている現実があるというところであります。今,一番の大きい格差是正は,日本スポーツ振興センターの保険の問題であると思っておりますので,どうぞ皆さん,御支援いただければ有り難いなと思います。
次が,論点項目の3の4にあります専修学校についての理解と認知度の向上で,こちらに関しても,過去,協力者会議で何回かお話しさせていただいてきておりますけれども,やはり浦部先生は別ですけれども,今の中学校や高等学校の先生方のほとんどは,専修学校制度が余りお分かりになっていない先生が非常に多いという現実です。
例えば中学校の先生ですと,高等専門学校と高等学校と高等専修学校の区別が付かない中学校の先生がいまだにいっぱいおられて,先ほど室長から専修学校の概要説明ありましたけれども,高等専修学校,ピーク時には,平成元年,12万の生徒が学んでおりましたけれども,この少子化と公立高校の改革の波にのまれまして,今や全国で4万人しか在籍しておりません。そんな現状があります。
その現状の中で,今,若い先生は,特に中学校の若い先生,50代以下の先生は専修学校制度についてはほとんど知りません。なぜかというと,知らなくても進路指導ができるからなんです。50代以上の先生は,あの当時の15歳人口が多かったので,専修学校,特に高等専修学校は都立,私立に落ちたら頼むねというお付き合いの学校さんが随分ありましたので,50代以上の先生は正しく認知していただいています。
是非,これも何回かお話しさせていただきましたけれども,教職課程の中で,専修学校制度・設置基準の学びを義務化にしていただきたい。そして現職の先生方の研修制度の中に,今の教育制度の学びを必修にしていただきたい。そうすることによって,進路指導に携わる中3,高3の先生が専修学校の制度を正しく認識して,多様な子供たちの学び方のアドバイスができると思います。
専門学校の方のお話も少しさせていただくと,専門士の称号があると,今,大学に編入ができますし,高度専門士の称号を得られると大学院,専門職大学院に入学できる時代ですが,なかなかこれも浸透していないのが現実ですので,是非,必修化をお願いしたいと思います。
最後に,学びのセーフティネットの保障に関してですが,おかげさまで高等専修学校は平成22年,高等学校と同じように就学支援金の対応をしていただいております。非常に有り難く思っております。しかし,これも先ほど室長の方の資料説明の中で,私が会長を務める全国高等専修学校協会で毎年,実態アンケートを採っております。そして今,全国の会員校の実態でちょっと特記すべきことをお話しさせていただくと,就学支援金の加算支給,1.5倍,2倍,2.5倍の家庭が,在校生の62.8%になります。そして,驚かれると思いますが,全国で在校生のうち,生活保護家庭が25%です。これが大阪府はもっと厳しい状況がございます。大阪府は1.5倍,2倍,2.5倍の家庭が73.1%,生活保護家庭が36%です。
そういう厳しい家庭状況の子たちが,大阪府ではしっかりと自分の目標を見据えた学校選びができる環境が整っています。こちらは私がお話しするよりも,この後,大阪府の吉本課長がしっかりとお話ししていただけるはずですので,全国高等専修学校協会としては,大阪府モデルになりたいという願いを持っております。御説明は後で吉本委員,よろしくお願いします。
以上です。よろしくお願いします。

【黒田座長】  ありがとうございます。それじゃ,前鼻委員,どうぞ。

【前鼻委員】  改めまして,学校法人西野学園の前鼻と申します。
世の中,既に桜が散って,夏という感覚だと思うんですが,我が地,北海道ではまだ咲いていないところがございます。感覚的にはまだ春,やっと真っ盛りというところです。今年になりまして,函館まで新幹線が通りまして,北海道は,四国は3つの橋で本州とつながっておりますが,北海道は1つしかつながっておりません。有史以来140年ぐらいしかない歴史の中,やはり日本の中で北海道というのはどうもいろんな準備が遅れているような,季節の変わり目もそうなんですけれども,常にそういった劣等感を持ちながら生活してまいりました。二十四節句というのは教科書の中での話だとずっと思って,青年時代は過ごしておりましたので,改めてこの日本の中枢の中でこういう議論をするということに,大変,身が引き締まる思いでおります。
私の肩書の中に,青年懇話会というような形で書かせていただいておりますが,これは専門学校の有志が集まりまして,専門学校の次世代の経営者を育成していこうという有志の団体が,第2代の会長であります大森先生が発案されまして,25年前に発足したものでございます。以来,延べ1,000名を超える方たちの参加によりまして,これからの専門学校経営をどうしていくのかということを,年に1回集まりまして,けんけんごうごうやってまいっております。
その会の私は6年前から会長を仰せつかりまして,いろんなセミナー等を開催しておりますが,最近の参加者の4分の3が西日本の学校の若手になります。こういった西日本の方の人たちの大変斬新なアイデアというのが,実は日本の中でまだスタンダード化されていないなというような感じを大変受けております。そういう意味では,今回ここに来るに当たりまして,これからのこの専修学校の在り方を考えていく上で,そういった意見を集約しながら一緒に議論の中に盛り込んでいければなと思っておりますし,また多分そういったことの観点で,私がきょうこの委員として選ばれたんだなと認識しておる次第でございます。
いろいろ論点の中でございますように,質保証ということに関してですけれども,やはりいろんな先生方がおっしゃっていますけれども,専門学校と大学という進路指導の中で,大変,今,北海道も含めまして苦しんでおります。私どもの学校は医療系,福祉系で,大学にもほとんど同じような学科があるところがラインナップとしてあるんですが,やはりもう入り口の段階で,高校の進路の先生,若しくは3年生の卒業担任が言うことは,「行けるんだったらまず大学に行きなさい」という言葉から進路指導がスタートしているという現実の中で,年々,学生募集が厳しい状況になってきております。
しかしながら,では我々専門学校の方が大学の卒業生とどう違うのかとか,先ほどの言葉にもありましたけど,何ができていないのかというようなことに関しまして議論はしたことはございませんし,それに対しての指標というのがほぼないような状況の中で,今日あります。
もちろん国家資格がありますので,国家試験に合格するということで,知識水準については大学と専門学校でいわゆる合格率というものの指標のみで評価されているだけでございます。客観的には,そこでアウトカムとして出された卒業生が,現場の中でどのような評価をされているのか,若しくはどういうような形で活動し,そして収入を得ているのかというものに関しての定性的な指標というのも持ち合わせておりません。唯一,2012年ですけれども,九州大学の吉本先生を中心としまして,卒業生調査というのを任意でやらせていただいたときがありまして,その調査データを基に,今,日本電子専門学校の古賀校長を頭としまして,IRという観点で専門学校教育の質についての勉強会を今,開いております。
これにつきましては,今月中にはちょっとした冊子として報告書ができる予定でおりますけれども,改めて私どもが専門学校と大学というものに関しまして,教育の質をどのように質保証を担保していくのか,これに分かりやすい点で述べていくということに大変苦慮しております。
こういったことの中で,1つの方策として職業実践専門課程があって,情報公開等というのがある程度,大学並みな形になされていますけれども,これがいわゆる世間一般の高校3年生の保護者や高校の先生方,また卒業先である企業,事業所,病院等につきましての採用担当者の中で,どの程度認識が一になっているのかということに対してもまだ十分ではないのかなと思っております。そういったことが議論できればなと思っております。
それともう一点ですが,私どもの方では幼稚園をやっております。保育園も含めまして,最近,時々話題に出ますけれども,手の掛かる子というのが大変増えてきております。一般成人の精神疾患率というのは1%というふうなデータが出ておりますが,現在,幼稚園教育,幼児教育の世界では,手の掛かる子というのは在園児の6.5%から7%という数字が今,出ております。
私どもの園でも大体そのような数字の中で,通常の集団生活の中で保育ができない子が存在しております。それに対して加配配置として教員をしなければならないわけですが,有り難いことに,札幌市は幼稚園に対しまして,その加配配置についての補助金を頂いているんですけれども,多くのところではまだできておりません。新制度の中では,その部分が若干,盛り込まれてはおりますけれども,彼らが今後,卒園した後というのが,正確な数字は出ておりませんけれども,毎年,私ども220人在園児がいまして,卒業園児は90人ぐらいですか,90人ぐらいいる園で,1ないし2名が特別支援のクラスに行くような現状がございます。ですので,近隣の小学校は毎年,毎年,特別支援に行く子が増えてきているというような状態です。
ですので,そのまま持ち上がって特別支援に行く中学校がまた増えてきて,そしてこれは北海道の話ですけれども,札幌周辺で,札幌市内の高等の特別支援の方には,倍率が出て,願書を出してもその地域の近くの特別支援学校に入れないという事態が出ております。そのためバスで,スクールバスを出して,離れて1時間ぐらいかかるようなところに通っているというようなことが出てきております。
そういった子供たちがその後,高校後どうなるのかというところでは,今,社会的に就職というのは非常に厳しい状況があるということ,それから学ぶということに関しては,それを受け入れるという学校が余りにも少ないという点がございます。実際問題,私も幼稚園の園長をやりながら,専門学校の方も見ているんですけれども,卒園して12年後の子供たちが18歳になっていくわけですが,そろそろその片りんがいろんな教育機関の中に見え始めてきたかなと。そういった子が多く出てきているような感じがします。
その子供たちが今後,社会に出るまでに,どのような生きる力を付けて社会生活を営むことができるのかという点においては,まだ日本の中では議論が余りないと思っております。今回,専修学校のこの検討会において,セーフティネットという点がございましたけれども,その中でもやはりここの部分は重要な部分ではないかなと思っています。
これはちょっと余談ですけれども,昨年度,2名退学した中で,発達障害という診断を受けて退学していった子がいます。これ以上,コミュニケーション能力がございませんので,授業を続けること,それから卒業要件を満たすことが不可能だというふうな判断で,親御さんは確かにもう何か変だなと思っていたんだけれどもという言葉がありました。しかし20,21ぐらいになって,発達障害という形で一度学校を辞めて,それの治療にするというのは大変難しい問題だと思います。こういったところの人たちに対して,どのようなセーフティネットを設けていくのかというような論点もこれから私は専修学校の中でも大切ではないかなと思っております。
こういうふうなことを含めまして,これから議論に参加させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございます。それじゃ,吉本委員,お願いします。

【吉本委員】  失礼します。大阪府の私学課長の吉本です。先ほど清水先生の方から大阪府の状況というお話もございましたので,大阪府の専修学校の振興の在り方なんですけれども,高等課程につきましては全日制高校と全く同じ扱いをやっておりまして,経常費補助金も高校並みで,1人当たり約31万円補助するというような形で,これだけでも予算,13億ほどを費やしておりますし,あと授業料支援補助金ということで,大阪府の場合は年収590万円までについては全額無料ということで,58万円補助するということをやっておりまして,これで大阪府単独の予算でいくと,専修学校の高等課程だけで10億ぐらいの予算を費やしているというような状況でございます。
かなり,特に高等課程に通っている方の経済状況,先ほどもちょっと清水先生からのお話ございましたけども,35ページの表で申し上げますと,済みません,この2.5倍加算,これは全国平均では25%となっておりますけれども,大阪府でいきますと,ここが41.6%。次の2倍加算というところは15.1。次の赤のところが25.5で,この青と緑と赤を足すと,大体83%弱の人が年収590万円以下というような,非常に厳しい経済状況になっておりまして,これは全日制高校でも同じ補助金を出しているんですけれども,これでいきますと,この青のところは全日制高校の平均でいくと17%なんです。大阪の場合ですね。
それで,この青と緑と赤を足しますと,全日制高校でいえば大体ここで52%ぐらいがカバーされるということ。それと比べても,かなり経済状況が厳しいという方が専修学校の高等課程で学ばれているということになっておりまして,学びのセーフティネットということで項目も上がっておりますけれども,大阪の場合は高等課程につきましては,今のところ590万までは無償で行けるという形で,更に800万円までの層についても20万円までで行けるというような独自の補助制度を持っておりまして,そういう意味では,多分,全国1位だと思うんですけれども,そういうふうな形でやっております。
こういうことをやっておりますので,専修学校の高等課程の先生方からは,非常に助かっているということで,やはり先ほどもありましたけれども,独り親の家庭も4割とか5割,生活保護は2割とかという学校もございますので,なかなかこの無償化をやるまでは,授業料を払ってもらうことにある意味,一生懸命になっていたというふうなところで,もともとなかなか払ってもらえなかったものが,大阪府から補助金でもらえることになったので,学業というか,子供たちに教えることにある意味,専念できるというようなことになっているというふうなことで,この点については非常に有り難く思われているというところでございます。
ということですので,大阪府だけだと思うんですけれども,高等課程についてはこういうようなかなり手厚い制度をやっておりますので,なかなか専門課程についても,今,モデル事業で経済的支援のモデル事業,参加させていただいておりますけども,なかなかそこの部分についても府県,特に大阪府が補助していくというのは,今段階では高等課程をこういう形でやっていますので,なかなか府県,大阪府としては難しいのではないのかなというのが,個人的なそういう感想を持っております。以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。これで一巡したわけでありますが,きょうは11時55分までということで,もう少し何かお話をしておきたいという方はおりませんか。
小杉先生は,中教審の特別部会でも関係されていますが,そことの関係はどういうふうにしたらいいと思っていらっしゃいますか。

【小杉委員】  あそこの新しい枠組みにもちろん乗っかっていく専修学校さんもあるでしょうし,同時に今までの専修学校をそのまま継続されるところもあるわけで,それはそれ,これはこれでと考えていたんですけれども。

【黒田座長】  ありがとうございます。
小林先生,リクルートで何か特別にお話ししておきたいということがあったらお願いします。

【小林(浩)委員】  先ほどの中で,ずっと専門学校進学者も高卒で減ってきたんですけども,2009年に底を打って,2010年からは専門学校進学者は増えているんですね。それは何かというと,リーマンショックがあって,やはり先ほどの家計の問題で,その中でいうと短期高等教育の中ではどちらかというと専門学校が今,選ばれつつあるというような状況があると思います。それはやっぱり出口のところで見えやすいというところがあると思うんですが,ただかなりの学校数が専門学校はありますので,その中で全体がというわけではないという状況だと思います。そこら辺のところを,全体の底上げと,見える化というのをどうやってしていくかというのは1つ課題かなと思っております。

【黒田座長】  ありがとうございました。
きょうは皆さん方から全体にわたる,全般にわたる御意見を頂きました。これを事務局の方でまた整理していただいて,次回からより具体的な議論を進めていきたいと思いますので,事務局の方で今日の議論をまとめていただいて,焦点を絞って議論したいと思います。
それでは,この後,今後の予定について事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  資料4を御覧ください。今後の予定について(案)という資料でございます。
第2回,第3回の日時の予定を書かせていただいております。第2回は6月13日月曜日,10時半から12時30分まで,場所は建物としてはこの同じ経済産業省の別館であります。階が11階の1111共有会議室になります。第3回につきましては,6月27日月曜日,15時半から17時半までと。場所は未定と……。すみません,場所については,この経済産業省の別館のこの部屋であります。そちらはまた別途,御案内いたします。
詳細については改めて御連絡申し上げたいと思います。
また,今後の進め方についてですけれども,8月までを目途に,論点の整理を進めていただきまして,その後,秋口になろうかと思いますけれども,ヒアリングなども実施いたしまして,年度末までに報告をおまとめいただく形で進めていきたいと考えております。
以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは,そういうことで,次回は6月13日,同じく経済産業省の今度は11階になるわけですか。よろしくお願いしたいと思います。
先ほど進め方について論点整理をしていただくということでありますけれども,次回以降,特定のテーマについて,委員の先生方から発表もしていただくということも取り入れながら行きたいと思いますので,また事務局の方からどういう発表をしていただくか御連絡が行くと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。
それでは,本日,これで閉会といたしますが,あと事務局から何かありますか。

【白鳥専修学校教育振興室長】  次回の会議につきましては,先ほど申し上げましたように,6月13日の月曜日10時半からということでお願いいたします。
また,次回以後,個別の議題に関連しまして,委員の先生方から御発表いただく機会も設けたいと思っておりますので,そこは事務局で調整いたしまして,別途,御相談させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
また,本日の資料につきましては,机の上に置いていただければ郵送させていただきます。
連絡事項は以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。ちょうど時間に終わることができました。御協力ありがとうございます。また次回からよろしくお願いいたします。これで閉会します。

―― 了 ――

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