高大接続システム改革会議(第11回) 議事録

1.日時

平成28年2月17日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂

3.議題

  1. 「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について
  2. 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について
  3. その他

4.出席者

委員

(座長)安西祐一郎委員
(委員)五十嵐 俊子,乾 健太郎,岡本和夫,恩藏直人,河野真理子,小林 浩,鈴木 典比古,関根 郁夫,長崎榮三,長塚篤夫,南風原 朝和,宮本久也,山極壽一,山本廣基の各委員

文部科学省

(文部科学省)土屋事務次官,藤原官房長, 関政策評価審議官, 小松初等中等教育局長,常盤高等教育局長,伯井初等中等教育局審議官,義本高等教育局審議官,松尾高等教育局審議官,河村国立教育政策研究所長,瀧本総務課長,今井初等中等教育局高校教育改革プロジェクトリーダー,新田高等教育局主任大学改革官,塩見大学振興課長,橋田大学入試室長,福澤専門官 他

5.議事録

(1)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について

資料1,2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

 

【安西座長】  時間でございますので,ただいまから第11回高大接続システム改革会議を開催させていただきます。

委員の皆様には御多忙の中をお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。 まず,事務局から配付資料について確認をお願いいたします。

【新田主任大学改革官】  失礼いたします。では,資料の方ですが,議事次第にございますとおりに,資料1から資料3-2,それから参考資料1,2と分かれてございます。特に参考資料1の方はクリップ留めでございますけれども,別紙の1から3,参考まで5部構成となっております。また,最後,参考資料2の方でございますが,本日御欠席の五神委員から,欠席である旨で,ペーパーの方で御意見を頂戴しておりますので,配付させていただいております。落丁等ございましたら,事務局の方まで合図していただければと思います。

以上でございます。

【安西座長】  よろしいでしょうか。

それでは進めさせていただきますが,本日は前回に引き続きまして「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,それから「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について御議論いただきたいと考えております。議事に沿って進行を進めさせていただきます。

まず初めに,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について,審議を行わせていただきます。新テストワーキンググループにおける「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の審議の進捗状況につきまして,ワーキンググループの主査をお務めいただいております岡本委員からまず御報告を頂いて,それから事務局から資料の説明をお願いするようにしたいと思います。

岡本委員,よろしくお願いいたします。

【岡本委員】  岡本でございます。

それでは,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につきまして,新テストワーキンググループにおける検討状況について報告をさせていただきます。

前回の会議でもお伝えいたしましたとおり,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,高等学校関係者等から寄せられた指摘や意見を踏まえて,中間まとめで提示した「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の枠組みをベースに,より分かりやすく具体的な提案ができるように検討を重ねてまいりました。

具体的には,高等学校教育施策における「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けを確認しながら,その目的等がより分かりやすくなるような考え方の整理,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の対象者,実施時期,回数などの趣旨等の明確化などとともに,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施に係る全体のイメージ,問題の作成,収集の仕組みやCBTの実施方法の在り方,問題作成作業の方針,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の活用方法などについて検討を行ってきたところでございます。

提案の内容は非常に大部に及びますので,本日は基本的な枠組みに関する事項について御議論いただきたいと思っております。詳細は事務局から説明させていただきますが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につきましては,特にテストの趣旨,目的に合致した問題をいかにして作成,収集していくかが重要と考えております。この問題作成等は,テストの基本的な枠組みを常に確認しながら作業を進め,試行等を通じて更に精緻なものにしていくことが必要であるということでございます。このために,まず,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の骨格部分について御議論をいただきまして,そこを確認した上で,次回会議で問題作成に関するイメージ等を御提示させていただきまして,御議論いただきたいと考えております。

それでは,事務局より資料の説明をお願いいたします。

【安西座長】  事務局からお願いいたします。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  失礼いたします。それでは,事務局より資料1,また,資料2に基づいて御説明をさせていただきたいと存じます。

まず初めに,資料1の方を御覧いただけたらと存じます。前回,この高大接続システム改革会議におきましても,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けがなかなか明確になっていないのではないかという御指摘を頂いてまいりました。このため,今回,まず資料1におきまして,その位置付けのさらなる明確化,これについて考え方を整理し,本日,御議論いただけたらと存じます。

まず,1ページ目を御覧いただけたらと思います。まず,一番上の現状と課題でございますが,一つ目の黒ぽつにございますように,まず,前提といたしましては,各高等学校が現在多様な教育活動を展開しているという中で,一方,二つ目の丸にございますように,その中での高校生の実態といたしましては,大学入試に関わる状況変化もありまして,学校外での学習時間,また,学習意欲の低下傾向が見られる。さらには,基礎的な学習内容の定着にも大きな課題があるという認識から始まっているところでございます。

そして,この点につきましては,青い箱にもございますように,これまでの取組といたしましても,現行の学習指導要領の中で,例えば共通性を重視した見直しなども行われております。また,各都道府県でも基礎学力の確実な定着のための取組も様々進められているところであります。

こういったことを踏まえまして,オレンジ色の題のついているところ以下でございますが,一つ目の白丸にございますように,国といたしましても,現在検討を進めていただいております高大接続改革の中で,青い字にございますように,多様化した高等学校,ここにおきます教育の質の充実に向けた政策を推進していくことが必要ということで,その際,二つの観点,一つは義務教育段階の学習内容も含めた高校生に求められる基礎学力の確実な習得,そして確実な習得を続けることによって,高校生の学習意欲の喚起,このためにつなげていくような政策を進めることが寛容だと考えております。

具体的には,二つ目の白丸でございますが,学び直しの要請に応えるための学校設定教科などの教育課程の工夫など,各高等学校で様々な取組を進めていただくとともに,そういった取組の成果が確認できる,赤い字でございますが,生徒の基礎学力の定着度合いを把握する仕組みとして「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入していくということで,その位置付けを整理させていただいております。

そして,その導入に当たりましては,三つ目の白丸にございますように,高校生の多様性を踏まえまして,同一問題・一斉実施の方法ではなく,太字のところにありますように,複数レベルの問題から学校が選んで受検し,生徒の基礎学力の定着度合いに応じて目標準拠型の評価を段階別で評価できる,そういった形で結果提供していく仕組みを目指していくということ,また,学校行事等に考慮しながら,実施時期を柔軟に設定できる,そういったような形でこのテストの仕組みを作っていってはどうかということでございます。

そして,最後の丸にありますように,これによりまして,生徒の学力と意欲の向上,また,学校におけます指導の充実,3番目にある設置者がその学校を支援する,そういったことで,高等学校教育の質の向上におけるPDCAサイクルを回していくということが考えられるだろうということであります。

なお,米印にございますように,このような形で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けを明確化していく過程の中で,これまでテストという表現を使っておりましたが,今後は高等学校段階で共通して習得することが期待される学力の定着度の診断,検査,検定,そういったものをベースに検討を進めていってはどうかと考えているところであります。

こういった位置付けの中で,補足資料として,次のページで2点の観点を御紹介させていただきたいと存じます。

2ページ目でございますが,まず一つ目の観点は,特に児童生徒が歩んでいく道のりをイメージしながら,この問題の整理をしてみたところであります。多様化する高等学校教育の質の確保と「高等学校基礎学力テスト(仮称)」との関係でございます。

資料一番左上にございますように,義務教育段階から高等学校に進学していく際に当たりましては,特に青い字で書いてございますが,多様な高校入試が現在実施をされています。これは学力検査を中心に選抜する場合もございますれば,推薦入試,また,場合によっては面接,作文といったような形で学力検査によらない場合もございます。こういった中で,この生徒につきましては,資質,能力に応じて学校がかなり多様な状況でその生徒を受け入れているということがございます。

また,二つ目は,高等学校のそれぞれが,実はこの緑の箱,青い箱,オレンジの箱にありますように,生徒の進路希望等に応じまして,専門高校,普通高校,それから総合学高校,更には時間的に言いますれば,定時制とか通信制といった形で,極めて多様な教育が提供されているといった実態にあります。その中で,例えば専門高校でありましたらSPH(スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール)のような授業の展開,また,普通,総合高校の中ではSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール),SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)のような特色ある取組が進んでおります。ただ,そういった中でも,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,赤い破線にございますように,それぞれの段階で取り組んでいただくために,これを使って基礎学力の定着を目指していくという取組もあろうかと考えています。

一方で,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を使わない場合でも,例えばテストの手法がまだ難しいということもあり得ると思います。なので,そういった場合には少人数指導とか補習など,きめ細やかな学習指導で基礎学力の定着に向けていくということもあるだろうと。これはまさに右側の箱にございますように,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入意義の中にありますが,各学校がそれぞれの実情に応じて目標を設定し,取組が進められる。そして,その際,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を使って定着度合いの目安を把握しながら取組を進めるということもあり得るということでございます。そういった取組に対して,都道府県教育委員会などの設置者から学校支援のための,例えば予算措置でありますとか人員配置など,また,生徒の立場に立ちますと,そういった支援を受けながら,基礎学力の定着の度合いを自ら確認して,学びの質の向上に取り組むということでございます。

その後,高等学校を出て,一番下にございますように,大学,専門学校,就職と,様々な道に進んでいただく。こういう広がりのある中で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けを明確化させていただいたところであります。

もう一つの観点は,3枚目でございます。今度は高校教育改革全体の中で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がどういうふうな位置付けになるかということであります。

この資料では,左側の方にございますように,多様性と共通性の軸をベースに,専門高校,普通高校,総合高校,そして定時制・通信制と,様々な学校種の中で,例えば専門高校でありますと実践的な職業教育の充実,また,普通科の中では世界で活躍できる人材の育成ということで,特色ある高等学校教育が進んでおります。また一方で,定時制・通信制であっても,例えば生徒の実態に応じて重点的に支援すべき高等学校を設置者が指定をして,基礎学力の定着を含め,学び直しなども一生懸命頑張っている学校もあるということであります。ただ,この高等学校を通じまして,真ん中にありますように,主体的・協働的な学習の推進というのは,様々な学校種,手法にとらわれず行っていただく必要がございますし,多面的な評価の推進というものも含めて推進をしていくことが必要だと思っています。そういったことを前提に,下段にございますように,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を活用して基礎学力の定着を図る,また,テスト手法によらなくても,きめ細やかな学習指導でその定着を図るといった取組もあるだろうと。その際,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が,例えば主体的・協働的な学習の推進の中で学校の判断で活用も可能,また,特色ある重点的に支援すべき高等学校の中で使っていくことも,学校が判断して使えるようにしていうことを考えてはどうかと思っております。

さらに,下にございますように,基盤的・共通的な施策として,教育内容の見直し,教員の指導力の向上,学校・教職員の体制整備,さらには下段の真ん中にある経済的に修学支援を充実させたり,又は特別支援教育充実,遠隔教育の充実など,様々な施策を展開していくことで,この高等学校教育の改革を進める,その中に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けというものを今回明確にさせていただいた上で御審議をいただけたらと考えているところであります。

続きまして,資料2を御覧いただけたらと存じます。資料2でございますが,ただいま御説明をさせていただいた位置付けの明確化,そういったものの前提に,具体的にどういったスキームで進めていくのかを整理したものであります。

1ページ目,2ページ目は前回の会議で御説明しましたので割愛をさせていただきまして,3ページ目を御覧いただけたらと存じます。まず,一番大きいのは,この目的をより分かりやすく明示するということで,中間まとめからより具体化を図らせていただきました。資料上段にございますように,中間まとめの目標は,この破線の中に書かれているとおりでございまして,ある意味,一つにまとめていたところであります。この点を青い矢印の下にありますように,設置者,学校,高校生別にそれぞれ分けております。赤い字にございますように,設置者につきましては,基本方針や政策の企画・立案,学校支援の実施,また,学校におきましては,指導の工夫・充実に生かしていただく。高校生につきましては,そういった支援を受けながら,自ら学びの質の向上に取り組んでいただくということであります。

その際,以下の点に留意するということで,下段の方にございますように,一つ目の白丸,学校現場でのPDCAサイクルの中で生かしていただくために,まずは学校が目標を定めた上で,その参加を基本としていくということ。また,結果については設置者にもフィードバックする。加えまして,二つ目の白丸にありますように,今後,具体化に当たりましては,実現可能性,費用対効果,学校現場・実施主体への過重な負担の回避,こういったことを念頭に置きながら,その具体化を進めていくということであります。

続きまして,4ページ目を御覧いただけたらと存じます。ただいま設置者,学校,高校生別にその目的を分けておりますが,特に資料中ほどの両括弧囲みにありますように,具体的な活用方法のイメージでございます。例えば設置者のところにございますように,二つ目の白丸,三つ目の白丸にありますが,例えば設置者の利用の方法といたしましては,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の結果なども活用しながら,教員定数の配分,また,例えば補習指導員の配置,更にはいわゆる教職員の人材配置などの判断に使ってもらう。また,重点的に支援すべき高等学校はどこなのか,そういったところの判断に使うようなことが考え得ると思っております。

また,学校につきましても,それぞれの教育目標の達成指標として使うと同時に,二つ目の白丸にございますように,多様な入試を経て,学力検査を受けない子も含めて受け入れている中で,入学後,基礎学力の習得度合いの伸びを測定する。また,つまずき等を分析して,個別の学習支援に当たると同時に,最後の白丸にありますように,先ほどの設置者から支援を受けた人材を活用して習熟度別・少人数教育を展開する,若しくは学校の状況に応じて,設定科目の中で義務教育の学び直しも含めて,教育課程の工夫を行うといったことで活用が考え得るのではないかと思います。

また,右側,生徒につきましては,そういった学校,設置者からの支援を受けて,自らの強みも理解する。だけど,あわせて弱みも理解する中で,効果的に学習に取り組んでいただくということ。また,これは問題の工夫によりますが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を通じて社会で自立するために求められる基礎学力というのはどういうものかを認識をしていただくということ。加えて,三つ目の白丸にあるように,義務教育段階の学び直しから含めて学習成果を実感して,その達成度を感じていただく,そういった中で学習意欲の喚起につなげるというような活用の方法が考えられるのではないかということでございます。

続きまして,5ページ目の対象でございますが,これも前回御紹介をいたしましたように,ともかく,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を受けることが否定的な評価につながらないように,そういった取組を進めると同時に,実際に受けたいという生徒については,三つ目の黒ぽつにございますように,受検できる仕組みにしたいと考えます。また,高等学校を卒業した方であっても,受検ができる仕組みとして,今後,試行を通じてその議論を進めていければと考えているところであります。

続きまして,6ページ目,実施時期の見直しでございます。中間まとめで実施時期と回数につきましては,こういった形で高校2・3年を中心に,その記載がなされておりましたが,中間まとめ以降,高等学校現場との意見交換の中で,指導改善を重点に置くのであれば,高校3年では遅いのではないかというお声がございました。これを踏まえまして,一つ目の黒ぽつにございますように,指導改善に生かすためには,むしろ,高校1・2年次に受検することを前提としながら,併せて3年,若しくは卒業生であっても受検できる仕組みとして,結果的には二つ目の黒ぽつにありますように,学校,又は設置者が適切に判断できるようにしていくということで考えていってはどうかということで,整理をさせ直していただいたところであります。

続きまして,7ページ目でございますが,今後の活用の在り方についてでございます。この点につきましては,中間まとめで整理をしていただきましたとおり,二つ目の白丸にありますように,31年から34年は試行実施期で,その中で得られた実証データで検証を行うということは変えるものではございません。ただ,矢印にございますように,基礎学力の目的が,先ほど整理をさせていただいたように,設置者,学校,生徒ごとに整理ができましたので,それらの目的が没却されないような範囲で,その利用については考えていくということ,その有意義な利用方法を今後検討するということで整理をさせていただきたいと考えております。ただ,その際,考え得る取組として,括弧の中でございますが,将来的に考え得る副次的な利用の例として,例えば生徒が自発的に提示をするという使い方もあれば,大学側が出願資格として,また,選抜の材料として使うという,様々な活用のイメージがあるということを前提に,今後,有意義な利用方法を考えていくということで,その参考の考え方として示させていただいたところでございます。

以上が基本的な仕組みでございまして,8ページ目以降が今度は全体的なスキームでございます。資料8ページを御覧いただけたらと存じます。これまで中間まとめでは文章で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」のイメージを説明しておりましたが,今回,少しそれを図式化したものであります。ポイントは3点ございます。一つは,資料上右側にありますように,高等学校において,いかにCBTによるテストを回していくのかという点。2点目は,実施主体において,そういったものを可能とするためのアイテムバンクをいかに構築していくかという点。さらに,3点目は,そのアイテムバンクに登録する問題をどういった形で大量に作成していくのかという点でございます。

まず,後ろの二つの点については9ページを御覧いただけたらと存じます。試験問題の作成・収集等の仕組みのイメージでございます。この点,こちらにございますように,大量問題ストックにつきましては,この緑で書かれている左側のように,現在,高等学校で活用されている資源,例えば定期考査,実力テスト,また,義務教育段階の問題であれば高校入試などの拠出をお願いしていく。また,民間にも問題の提供などをお願いしていくと同時に,資料下段にありますように,新作問題も作る,そういった取組,二つのルートから問題供給を受けて,それを青いところの仕組み,実施主体の上にありますように,問題の作問方針の策定,改訂の上で,新作問題の内容・難易度を確認していく,そういったスキームを考える。そこで整理されたものをアイテムバンクに登録していくということでありますが,このアイテムバンクに登録した以降につきましては,民間の活用というものが考えられるだろうと。例えば,問題登録の作業,若しくは問題セットの作成,実施会場への搬入,そして採点作業,返却,そういった運営実施業務でございます。この点につきましては,今後更に検討を深めていければというふうなところであります。

そして,三つ目のポイント,高等学校におけるCBT導入についての検討でございます。10ページ目を御覧いただけたらと存じます。基本的な考え方,上の四角にございますように,原則,CBTによる方式を前提に進めてまいりますが,括弧の中にありますように,実現可能性を踏まえながら,紙による実施も念頭に置きながら検討を進めたいと思います。ただ,そのCBTの進め方としては,後ほど出てまいりますが,幾つかのパターンがございますが,現在,委託事業の中で様々な成果の報告を頂いております。また,二つ目の丸にありますように,実施面・運用面で過重な負担を避けたいということで,主なポイントが2点ございますが,一つは,そのCBTの方法といたしましては,現在,高等学校に配備されているモバイルやパソコンをベースとした,いわゆるインハウス方式で進めていってはどうかという点でございます。また,インハウス方式で進めていく場合には,二つ目の白丸にありますように,特に高等学校では5年に1回程度の更新が行われておりますので,そういったものを念頭に置きながら,設置者に対して事前に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」で実施に適したパソコンの推奨するスペックをお示しをして,その更新に当たっていただくということが考え得るのではないかということでございます。

11ページ目には,そのCBTを議論する際に,私どもといたしましてはモバイル方式,インハウス方式,テストセンター方式を検討していったわけでございますが,12ページ,13ページにございますように,少しそのイメージを整理したものでございます。インハウス方式につきましては,先ほどの実施主体のアイテムバンクから資料の中ほどにありますように,CD-ROM,USB,インターネット,さまざな方法を通じて高等学校に提供していくこと,これを試行を通じて検討していきたいと思います。ただ,高等学校現場では様々なパソコンが配備をされておりますので,そういったものが対応できるように,そのテストの仕組みを構築したいと思います。

一方で,13ページにございますように,パソコンを提供するというやり方の検証もしておりますが,ポイントは右側の方にございますように,大量のタブレットがある意味,整備できるのかどうか,また,そのタブレットをローテーションを組んで,各高等学校にお届けしながらできる,そういったテストがあり得るのかどうか,そういったことを考えたときに,非常に難しい問題も多いのではないかということでございます。

そして,いよいよ最後でございますが,14ページ,15ページにございますように,ただ,インハウス方式をベースにしたCBTといたしましても,検討すべき点がございます。例えば,今後検討すべき事項といたしまして,一つ目のチェックにありますように,高等学校に導入されているパソコンというのは,やはり台数に制限がございます。このため,同一問題を同一日でやるというテストの方法はやはりかなり困難であろうということで,私どもといたしましては,一定期間内での分割実施なども念頭に,その問題ストックの中から複数のテストが提供できる,そういったやり方を考えていく必要があろうかと考えております。また,二つ目のチェックにありますように,インハウス方式とした場合には,やはり大学入試センター試験,入試試験のように選抜に用いられるテストとの比較では厳密性がかなり低下するだろうと考えております。なので,この点につきましては,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の性格,位置付けが整理をされつつございますので,学力の定着度の確認,指導の工夫に使うものだということで,関係者との間の理解を得ることが大事だと思います。

そして,三つ目のチェックは英語の実施の仕方でございますが,この点につきましては15ページを御覧いただけたらと存じます。CBTを前提とした英語試験の実施方法についての検討でございますが,この点につきましては,一つ目の四角にありますように,四技能を総合して実施することが求められている中,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」においても四技能を測るテストを目指していきたいと考えております。ただ,一方で二つ目の四角の丸1にありますように,特に四技能のうち,話すに関して,どういった出題,解答が可能なのか,また,丸2番にありますように,書く,話すを最終的には人の手で採点していく,そういった中で養成・確保が課題になろうかと考えております。このため,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につきましては,現在検討が進んでおります義務教育段階での全国学力・学習状況調査での英語調査を参考にしながら,その導入について進めていきたいと思っております。なお,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」での導入の仕方については,箱の中にありますように,現在,中学3年生を対象に6万人,そのうち2万人を話すことまで確認をしておりますが,その実施としては二つ目の白丸にありますように,聞くこと,読むこと,書くことと話すことを分けて実施がされています。特に話すことについては,三つ目の丸にありますように,各校の教員が事前に研修を受け,面接・採点を行っているという方法がございますので,このあたりを参考にしながら,その検討を進められればということであります。

説明が長くなって恐縮ですが,事務局からの説明は以上でございます。

【安西座長】  ありがとうございました。

先ほどの岡本委員からの御説明,また,事務局からの説明,あわせて議論をしていただければと思います。どなたでも結構でございます,御意見,御質問のおありになる方は御発言を願います。

岡本委員,お願いいたします。

【岡本委員】  今の説明に1点,補足をさせていただきます。

多様な高等学校においてはどういった生徒を育てるのかといった学校ごとの目標というのは掲げられているでしょう。それは広い意味で,私の仕事の言葉でいえば内部質保証に当たるものです。その中で,学校の目的の中に,仮にしっかりした学力を担保するということが入っていて,そのために「高等学校基礎学力テスト(仮称)」か診断かを使って,それをもう一回,学校の授業改善に生かしていくということなら,これはある種の外部質保証ということになろうと思いますが,いわゆる目的に沿って学校がそれぞれこのテストについてもどういうふうに使うかというのを決めていき,どのように生かすかというのを決めていくだろうと。このことは,実は9回にわたる新テストワーキンググループの中で,だんだん議論を進めていって,共通のある意味でワーキングの中の立ち位置として,そこに到達して議論しているということでございます。したがいまして,この委員会では,もちろん,いろいろな御意見があろうと思いますので,あえてワーキングの方の共通認識を一言,付け加えさせていただきました。

【安西座長】  ありがとうございました。

それでは,山極委員,それから小林委員,お願いいたします。

【山極委員】  ありがとうございます。

最初の資料1で,オレンジ色のところの最初の丸のところで,基礎学力の確実な習得とそれによる高校生の学習意欲の喚起ということが挙げられております。この二つは連携しているわけです。この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入に当たっては,現行の多様性,個性を重視した高等学校教育の中において,バランスのとれた普通教育が実施しにくくなっているという現状を改善するために,これが導入されるというふうに理解しておりますけれども,単にこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入するだけで学習意欲が喚起できるものかどうか,つまり,現行では個性重視の教育が行われていて,具体的に言えば,君の能力はこっちにあるのだといって,これを伸ばしなさいといったら,もちろん,それは意欲が高まります。しかし,逆に君の能力がここでは劣っているから,ここを一生懸命やりなさいと言って,果たして学習意欲が上がるものかどうか。これは非常に単純な質問ですけれども,つまり高校生の視点に立って,つまり個人の視点に立って考えていただかなくてはいけないのではないか。つまり,それができるためには,もう一つ,別の制度設計,あるいは仕組みというのが必要なのではないかと思います。例えば,今は単位習得型の卒業条件というのが示されているわけですけれども,達成度というものがきちんと提示されて,それが卒業案件になる,あるいは道を示す一つの方策になるというようなことが同時に行われないと,学習意欲というものが喚起できないのではないかという懸念が生じるだろうと思いますけれども,その辺でどういうお考えなのか,お聞かせ願えればと思います。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  御質問,ありがとうございます。

資料1を1枚おめくりいただきまして,2ページ目で御説明させていただきたいと思います。まさに,今,山極委員より御指摘のとおりでございまして,やはり高等学校の多様性というのは大前提に考えなければいけないと考えております。そのため,この資料の右側の赤い箱にございますように,社会で自立するために必要な基礎学力についてのその後でございますが,各学校がそれぞれの実情を踏まえて目標を設定し,取組が進められるようということであります。なので,この目標を定める際に,例えば当該学校の生徒の状況を見たときに,テストを一斉に実施して,その学力を確認,測るということができるような状況ではないということも十分あり得ると思います。そういった場合には,無理に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をやっていただく必要はないだろうと。そういった意味で,矢印の左側にありますように,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の活用という赤い破線で囲っていることもあれば,青い破線で囲っておりますように,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を使わなくとも,きめ細やかな指導の中で基礎学力の定着を図ると。これが学校の実情に応じて選べるというのが大事なのではないかというふうに考えているところでございます。

【安西座長】  よろしいでしょうか。

【岡本委員】  大丈夫です。

【安西座長】

それでは,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】  前回からいろいろ議論を進めていただいて,大分,もともとの理念に近い形になってきたのではないかというふうに私自身は非常に思っております。この中で,特に主語を見たときに,学校がという言葉が多いというふうに感じておりまして,先ほども岡本委員の方から学校ごとの目標設定に対して,学校が選択するとか,そういった言葉が出ております。そのときに,今回の資料では出ていないのですけれども,もともとの中で生徒が数千円程度の費用負担というのがあったというふうに思います。理念の方は大分絞り込まれて定まってきたと思いますし,名称の方も随分検討していただいているというのも感じております。あとは費用負担の問題をどのように考えるかというところが残っているような気がしますが,ここら辺について,どのような議論がされているか教えていただければというふうに思います。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  失礼いたします。御質問ありがとうございます。

今の点につきまして,私どもも現場の方に伺いまして,中間まとめをベースに御相談をしてきました。御指摘の中には,指導改善に使う場合に,やはり経費がとれるのかどうかについて懸念があるという御指摘があるのは事実でございました。一方で,各学校の実態をいろいろお伺いしていく中で,例えば現在でも高等学校の学びをするために学校徴収金という形で一定の経費を納めている。その中の経費で,例えばですけれども,実は使用義務が係っている教科書も,そういった意味では実費を出して払っているということもございますし,それを補完するための例えば副教材でございますとか,そういったものもある。また,場合によっては民間で実施されているテストも先に頂いて実施しているという例も随分見えてきたところでございます。なので,私どもといたしましては,指導改善であるから経費がとれないというよりは,むしろ,このテストが子供たちのため,若しくは学校教育を行っていく上で非常に有用であるということを感じていただく中で,先ほど特に学校が目標を設定して取り組んでいってはどうかということが出ておりますので,学校が基礎学力を定着させるために,こういった「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を使って,若しくはいろいろな様々なツールを使って,子供たち,生徒に対して指導に当たっていきますということを明示しながら運営がされていく,それは本格実施以降だとは思いますけれども,なってきた場合には,その経費の問題についても納得性を頂きながら取り組んでいくことができるのではないか。ただ一方で,これが余りにも高くなると,それは無理だと思いますので,様々な面で経費をどういうふうに低廉な価格に抑えるかについての検討はこれからまさに進めさせていただきたいと考えているところでございます。

【安西座長】  岡本委員,お願いいたします。

【岡本委員】  今のことで尽きていると思うのですが,新テストワーキンググループでは,まさに今,事務局から説明ありましたとおり,学校の目的,目標というような中で,例えばうちの学校はこのテストを利用してというようなことが明示されておれば,負担を求めることというのは,それは学校が負担するのか設置者が負担するのか,それはいろいろ考え方があるでしょうけれども,もちろん,額にもよるけれども,それはある意味でいいというか,ワーキングで議論するときに,一応,そういうことを担保しておくと,もっと先の議論ができるので,つまり,ワーキングがそこを詰めるあれではないと思いますが。

それで少しついでですけど,先ほどの山極委員の御意見,私も全く同じ意見です。それで,そういうこともあるので,さっきみたいな前提を置いて,その上で,これは本当に高等学校や教育委員会,あるいは学校法人もいろいろあると思いますけど,そちらに御意見を伺いたいというようなことになっているということです。

【安西座長】  よろしいでしょうか。学習意欲の喚起というのは,もちろん,テストだけでということではない,むしろ,学校の最も大事な目標,目的だというふうに思っておりますし,また,中央教育審議会等においても,教員の資質向上の答申も出ていますし,いろいろな形でもって,今,高等学校の教育自体についてもいろいろな議論が並行して進んでいるところだと認識しておりまして,そういう中で,テストと呼んでいいのかどうか分かりませんけれども,やはり生徒一人一人のためにいい形で使われていってほしいということでこの案が出てきているというふうに理解をしているところであります。

関根委員,お願いいたします。

【関根委員】  目的につきましては,設置者,学校,高校生ということで三つ示されていますけれども,基本的には,基礎学力の習得が最大の目的であって,設置者とか学校とか高校生の目的というのは,実は下位目的ではないかという感じがします。ですから,その辺の混乱が少しあるのかと思います。費用負担の問題でもそういうふうに混乱や誤解があると困りますので,この仕組みを作ることによって,学力保証をきちんとしていこうという共通認識が必要ではないかと私は感じております。私も学校現場におりましたので,この仕組みというのは,それぞれの学校で,自分たちの学校に入ってきた子供たちをどこまでどういうふうに育てようかということを明確にしていくには非常に効果的です。私も校長のときに,そういうものを学校で独自に作った覚えがありますが,なかなか大変でした。こういうものがあれば,自分の学校は,どのレベルをまず目標にしよう,というように,非常に使いやすい形になっただろうと思います。こうしたことをやっていくことで,基礎学力というのはだんだんとついていくという気がします。

そこで,是非お願いしたいのは,現状の課題として,学習時間とか学習意欲が低下傾向にあるだとか,基礎学力の定着に大きな課題があると言われていたのですけれども,このテストをやることによって,全体的に上がっていると実感できるよう,どういうふうに変化していっているかについての検証をやはりきちんと続けていっていただきたいと思います。これは現場でも学校ごとにやっていきます。ただ,トータルとして,この仕組みを導入したことによって,やはり効果があるというところは明らかにしていく必要があるのではないかと思います。

問題作成に高等学校の教員らに参加してもらうという件ですが,これは是非,進めてほしいと思います。現場の教員がそういうものに参加することによって,自分の問題意識が高まってきますので,是非,現場の教員をたくさん活用していただけたら有り難いと思います。

【安西座長】  ありがとうございました。

河野委員,お願いいたします。

【河野委員】  ありがとうございます。まず,熟考に熟考を重ねていただいて,非常に分かりやすくおまとめいただきましてありがとうございました。前回お休みしているので,もし前回出ていたことがありましたら割愛していただければと思いますが,診断と運用面について,意見を述べさせてください。

まず,資料1の1ページのところに複数レベルの問題という言葉がありまして,以前も伺っているのですが,もう少し複数レベルのイメージを教えていただけたらと思いますのが診断の一つ目。

もう一つ,診断を受ける方の身になった場合ですが,イメージですけれども,気軽に受けられるというものにするのか,いや,結果が残ってしまうから今回は受けない方がいいというイメージになるのか,結構,そのあたりというのは大切なことなのかと思いまして,その辺の感覚的な作りを教えてほしいと思います。

それから,運用面といいますのは,先ほど御意見が出ていたことと一緒ですけれども,これを作った後の運用では教員の活動が非常に重要だと思いますので,今,同時に,例えば資料2の都道府県教育委員会のところに教員の研修等と書いてあるのですけれども,このあたりも同時並行で作り込んでいただいて,スタートしたときにはうまく行くような形で運用面の御検討も同時でお願いできればと思います。

それからいろいろなところにきめ細やかな配慮や少人数への対応が感じられまして,大変よろしいこととは思いますが,先ほども出てきました人手の問題になり,人件費に関係してまいりますので,たとえば民間人などをうまく活用して補佐につけるというか,何かそのあたりのお取組について,御意見は出たでしょうか。

以上,よろしくお願いします。

【安西座長】  よろしいですか。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  御質問,ありがとうございます。

まず,複数レベルの問題のイメージにつきましては,これは先ほど三つのシステム全体の中でポイントがあると申しましたアイテムバンクをどう作り込むかだと考えております。このアイテムバンクで大量の問題ストックをさせていただきながら,これから試行準備を通じて,その難易度なども確認しながらストックをためていくと。これがうまく進めば,難易度に応じてテストを提供していくことも可能になるというふうに考えているところでございます。この点については,28年度から研究開発事業をとっておりますので,この研究開発事業の中でいろいろと試行,準備を重ねながら進めていければというふうに考えているところであります。

また,テストにつきましては,基本的には学校の御判断,若しくは設置者の判断ということでございます。ただ,あわせて学校が受けないとしても,生徒が受けられるということで,その考え方を整理しております。これは現場に伺った中で,是非受けさせたいと学校として思うのだけれども,自分たちの生徒を見たときに,全員には受けさせるのは少しまずいと。なので,学校として,例えば生徒には推奨しながら,でも,全員を受けさせないというやり方はあるかという問いかけがございました。それは,実はここにございますように,学校としては義務化しないけれども,例えば生徒にうちで土曜日に開くから来たらどうですかという形で,受けたい子が集まってくるようなやり方もある。結果,それが3割なのか,5割なのか,7割なのかというのは,多分,学校の状況に応じて様々ではないかというふうに思っております。なので,必ずしも学校で受ける,受けないだけで判断するのではなくて,学校がうまくいざなっていくということもあり得るのではないかというふうに事務的には考えているところでございます。

それから,運用面での教員の活動とか,また特に民間の方の活用ということでございますが,先ほどの資料で申し上げますと,例えば資料2の4ページ目の設置者の活用のイメージの中に教職員のことも書いておりますが,補習指導員というものも書かせていただいています。この補習指導員につきましては,私どもとしては,例えば企業のOBの方でございますとか,学校を退職された退職教員の方,若しくは様々なNPO活動をされている方々,そういった方々が特に自らの強みを持って学校にアプローチしたいということで,例えば学習支援をする場合もございますれば,進路アドバイザーとして入るという,様々な学校を支援するやり方がございますので,そういった中で,是非,民間人のお力もかりながら進めていくということはあり得るのではないかと。一例ではございますけれども,そういったことも考え得るということでございます。

【河野委員】  ありがとうございます。今,最後におっしゃってくださったところ,最後に申し上げようかと思っていたところです。意欲がある60歳以上の人,たくさんいますので,是非,民間人もうまく活用していただければと思います。よろしくお願いします。

【安西座長】  ありがとうございました。

それでは,五十嵐委員,それから宮本委員,お願いいたします。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。

資料1の3ページを見ながら考えたことですけれども,もう当たり前のことではありますけれども,学力というのは知識,それから技能だけではなくて,それを活用して思考判断,表現していく力,そしてまた主体的に学ぶ力というものがありまして,こういうものが対立するものではなくて,両立して全部大事なものだという前提がありますので,今,小学校,中学校では,それを基に,いかに知識,技能もつけつつ,そういう活用型をつけるかということで,詰め込みだけではなくて問題解決的な学びに一生懸命頑張っているわけです。ですので,この高等学校の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」も,そういった下から積み上げられてきた学び,それと直接関わるものでないと,そうはいってもテストはテストでこれを学ばなければならないといったことにならないように,日頃の小学校中学校で培ってくる大事にしている学び,子供が主体になるような学びがそのまま連動していくような内容であってほしいと思います。それがこの資料の3ページの図にあります高等学校教育の中の主体的・協働的な学習,日々,こういう授業をこれから改革といいますか,既にやっている学校もあると思いますが,こういった授業と両立できて,その中のテストであることというふうにしていかないと,間違っても暗記を再現できるような内容であっては絶対にいけないと思いますし,もっと子供が気軽に,ああ,少し挑戦してみようかというものであってほしいと思います。

そういった意味では,1ページにありますように,先ほど話題になっていたのですが,複数レベルの問題から学校が選んで受検してやるということ,多様に応じたというあたりは,私はとても大事だと思っていまして,例えば小学校の児童でも,基礎,基本的な習熟型が得意な子,それから少しそれにはつまずきがあるのですが,つまずいているということではなくて,問題解決的な活動ですごく力を発揮しつつ,そういう知識,技能なんかも習得していくような子と,いろいろなタイプがありますので,いろいろなタイプの子に力をつけるような,自信をつけるような,そういう内容であってほしいというふうに思います。なので,いろいろなレベルといいますか,むしろ,テストではなくて,下にも書いてありますが,検定とか診断ってありますが,自分は今度はこれに少し挑戦してみようというようなものであると,多分,意欲的に自分の苦手なところ,得意なところを生かして学力をつけていく,先生だけじゃなくて,子供自らというような学びとつながっていくのではないかというふうに思います。

以上です。

【安西座長】  ありがとうございました。これはよろしいですか。

それでは,宮本委員,お願いいたします。

【宮本委員】  ありがとうございます。

多様な高校生を抱えている高等学校の実態をよく見ていただきながら,高等学校全体がどの学校でも子供たちの学力をしっかり高めていくために使えるようなテストにしようという方向性で検討されてきたということが非常によく分かります。多様な子供に対応するように,レベルも複数,あるいは実施する時期,あるいは方法についても,かなり学校に任せてもらえているというところで,各学校それぞれが子供たちの学力をどう高めていくか,様々な工夫をしていく,その工夫の中にこれがしっかり位置付いていけば,このテストを活用して子供の学力をつける,指導改善をするという, PDCAサイクルの中にしっかり入っていくようなものになるのかというふうに思っています。具体的なところにいくには,まだまだ課題はたくさんあると思いますけれども,全体としては非常にいい方向性でまとめていただけていると思っていますので,是非これが本当にいい形になるようにしていただきたいと思っております。

それと先の話になりますけれども,資料2の7ページのところで,今後の検討の方向性ということで,中間まとめのところでは31年度から34年度までは試行実施期と位置付けて,この時期は原則,大学入学者選抜や就職には用いないということが明記されておりますけれども,その後のことは今後検討すると書いてありますけれども,このテストの今の性格からすると,やはりこの基本的な考え方は是非変えないでいただきたいと思います。安易と言っては失礼ですけれども,やはりこれはすぐ選抜や就職に使うということになってしまうと,せっかくいい形でこれがスタートしていっても,それがやはりうまく定着していかないという可能性がありますので,例えば受検する子供自身が,自分はここまでできたのだという形で,自ら提示するような形ならばいいと思いますけれども,逆に選ぶ側がこれを強制的に求めるというようなものになってしまったのでは,せっかく今,いい形でこのテストが始まろうとしているのに,その趣旨がまたゆがめられてしまうのではないかというふうに思います。これは今後の検討のところだと思いますけれども,是非,やはり今,お示ししていただいたテストの趣旨というものをしっかり生かせるようなものにしていただけたらと思います。

以上でございます。

【安西座長】  ありがとうございました。

山極委員,それから長崎委員,お願いいたします。

【山極委員】  すみません,今の御意見に関連することですけれども,一方で「大学入学希望者評価テスト(仮称)」というのが複数回の実施を見送るということになって,しかも「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が1年次,2年次というふうに前倒しになって,そうしますと,高校生にとっては年中試験があると。これも複数回実施するということが明記されていますから,かなり負担が多くなる可能性があると思います。とりわけ,資料2の7ページに,今,御意見があったように,将来的に考え得る副次的な利用の例というところで,大学等を受験する生徒が,自らの成果を示すものとして自発的に提出というものがあります。「大学入学希望者評価テスト(仮称)」とどう切り分けるのか。例えば,AO入試というところにこれが利用されるとすれば,やはり高校1年次,2年次からこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を受けようという希望が出てくるし,その希望が出てくることは歓迎すべきことだと思いますが,それが負担になっていく。しかも「大学入学希望者評価テスト(仮称)」の切り分けが難しくなっていくということになると,なかなか位置付けが難しくなるのではないかと思います。特にこれ,ボリュームゾーンを対象にしているということが明記されていて,高等学校教育の底上げということを目的にしているならば,大学の受験とは切り離して考えるべきだと思いますけれども,そのあたりの区別化というのはどういうふうにお考えのなのか,少しお聞きしたいと思います。

【岡本委員】  今,おっしゃったことは,やはり残っていて,実は少し視点を変えると,もともとこういう学力の担保を,入学試験と全く関係なく,大学に入ってきた学生たちの学力はどのぐらいあるのだという学力の達成度の基準って,今,何もないわけです。そうすると,入試に使うだけじゃなくて,大学が大学での教育のときに使うと。では,それをどういうふうに使うのか。もちろん,入試の問題も残っていますけど,これは大きな課題として私は残っていると思っています。もちろん,御存じのとおり,別に高校生を二つに分けて,上が大学に行って,下が大学に行かないと,そんな単純なことではないので,いろいろな人がいろいろな大学に行っているわけですから,使い方も多様になってくるだろうと。最初におっしゃった高等学校で試験づけにならないようにするというのは,これも少し変な言い方ですけれども,もうこれ,学校現場の方がどういう工夫をなさって,それを我々がどういうふうにサポートできるか,つまり,邪魔しないようにできるかということに係っているのではないかと思っております。2点目のことについては,非常に重要な課題であるというふうに認識しております。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  失礼いたします。1点,補足だけでございますが,例えば学校現場でのテストの実施状況については,悉皆での調査ではないのですが,幾つかいろいろ伺ってみますと,やはり多くの学校では,例えば定期考査に加えまして,実力テスト,これも県が独自でやられる場合もあれば,各学校が工夫しながらやっているという場合もございます。結局,私どもとしては,更にそれに追加するという形になるのか,学校運営の中で,一体,どのテストをどういうタイミングで使うのか,そのときに,例えばうまく差し替えてみるということもあり得るでしょうし,場合によっては使って追加するということもあると思います。なので,子供たちの状況,その学校の状況に応じて,既存の様々なテストと切り替えていくか,替えていかないかも含めて,これは学校現場での目標の設定の仕方,取組方によって対応できるような形で進められないかと考えているところではございます。

【安西座長】  私の理解でといいましょうか,皆様,御理解いただいていると思いますけれども,今回出てきたこのスキームといいますかフレームワークというのは,高等学校教育の多様化に対応したいと。それから,一つの高等学校の中でも,多様な生徒がいる,そういう高等学校の状態があるので,それにも対応していきたい。そういう多様化に対して,一方で学力の3要素といいましょうか,そういうことを総合的に身につけていってもらいたい,そうした中から出てきたフレームワークだと思いますし,何か特定のある高等学校レベルだけに何か対応したいということではないと理解をしております。

それから,もう一つは,これは以前の中央教育審議会の高等学校教育特別部会の頃からでありますけれども,基本は高等学校が預かっておられる生徒さんのためにどういう指導の改善をしていけるのか,あるいは生徒一人一人が自らどういうふうに自分の学びを改善していけるのか,そういうことのために使っていきたいということで議論がされてきて,先ほどもありましたけど,そのいわばもとのところへ,ある意味,収れんしてきた,そういうフレームワークだというふうに見ております。

それでは,長崎委員,お願いいたします。

【長崎委員】  基礎学力調査もいろいろ具体的になってきたと思います。そこで質問が三つあります。一つ目は,評価というのは先生による内部評価と,こういう基礎学力調査による外部評価という,内部評価と外部評価のバランスということに関してです。御提案の中を見ていくと,指導要録については書いてあるのですが,学校の先生たちの評価活動とこの基礎学力調査との評価活動の関係はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

二つ目は,基礎学力調査の調査時期についてです。先ほど調査時期が3年ではなく2年ということだったのですが,調査内容と調査時期の関係が非常に難しいのではないかと思っております。例えば,数学Ⅰの調査時期が2年の終わりとなれば,多分,数学Ⅰを2年間続けてやってくる学校が出てくるのではないでしょうか。国語も同じようになってくるのではないでしょうか。そして,授業が基礎学力調査の問題解決を目標にするような形になってきてしまうという心配はないでしょうか。そのような調査内容と調査時期について,どのようにお考えになっているのか,もう少し具体的にお願いします。

三つ目は,御提案にありますような,このような学力調査をやって,さらなる教育の向上へということに関してです。私たちは,いろいろな学力調査をやりますが,学力調査をやって,その分析結果が現場に届いていくということ,が大切だと思っています。そこでさらなる教育への向上へということですが,この調査結果をどのように現場の先生に伝えていくのかというのがはっきりと見えません。それに加えて,この結果はどのように公表されていくのでしょうか。もし議論されていたら,お願いいたします。

【安西座長】  これは岡本委員,お願いいたします。

【岡本委員】  幾つか御質問があったと思います。私の言葉でいうと,内部質保証と外部質保証のバランスということは当然大きな問題ですけれども,実際,こういう第三者的な試験とか調査とかいうのを使って教育に生かしていこうというときに,基本というのはあくまでも内部調査であって,外部の試験を受けて,それを全く使わないで,何点だったというので終わったら,外部質保証ともいえないわけで,単にやってみただけというだけで,それを初めて学校の方に生かしてやってみるのであって,突き放したような言い方ですが,それはもう高等学校の現場がきちんと動いていれば,自動的に解決するだろうと思います。

それから,公表の問題っていうのは,恐らくこれは具体的にどうやって設計していくのかということと,高等学校がどういうふうにこれを活用していくかというところで解決することで,今現在,これしかないでしょうというのは余り決めない方が私はいいのではないかと思っています。

真ん中は何だったでしょうか。

【南風原委員】  時期と内容です。

【岡本委員】  時期と内容,それは,一番大事なことです。すみません。一番大事なことを忘れました。そこは全くおっしゃるとおりです。ただ,これ,どういう形で試験をするかということにも関わってきますけれども,つまり,これは,私が期待したいのですけれども,あくまでも高校生から見ると,自分が本当にどこまで理解しているのかということが分かって,更に学習意欲が,まあ,数学ですから,数学というのは分からないから,要するに学習意欲が上がらないという部分もあって,分かるとやはりうれしくなって,また,勉強しようかという気になるというところもあるので,そうすると,範囲のことも含めて,ここまで勉強していなかったら受けられないというような,必ずしも設計にしなくても私はいいのではないかと思っています。だから,本当にこれ,高校1年生にした場合,義務教育レベルのことが本当にしっかり身についているかということがあればいいという意味じゃないです,少し数学でいうと,数学1と中学校の数学と非常に連携しているので,要するに現場の先生たちの生かし方には十分生かせるのではないかと思っています。おっしゃるとおり,具体のところをぎっちり決めるというのは残っているとは思っておりますが,ただ,一応,私の個人的な意見としては,最終報告をまとめて,これから実施の方に向かっていろんな具体の計画を行っていくときに,とにかく余りがっちり決めて,範囲が狭くなるようなことはやはりやめて,ただ,テーマは具体的に残して,これをやるという形にしつつ,具体的に進めるようにしていっていただきたいとは思っております。

【安西座長】  ありがとうございました。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  すみません,少しだけ補足をさせていただきます。

まず,一つ目の御質問で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と学習評価の関係でございましたが,この点につきましては,例えば資料1の3ページ目,A3の資料の3枚目でございますけれども,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」活用による基礎学力の定着という赤い破線の上二つのところの多面的な評価の推進ということも考えております。この中では,例えば民間でかなりすぐれた検定試験も行われております。また,各種校長会でも実技を踏まえた検定なども加わっておりますので,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がターゲットとしているところというのは必ずしも高等学校の教育活動全般をやっているわけではございませんので,恐らく役割分担,使い分けをしていきながら,様々なものを活用して多面的評価を進めていく。それを更に下にございますように,日々の学習成果,それの評価という意味では,教員の先生方の評価も充実させていく取組が不可欠だろうと思っております。そういったことがうまく進めば,資料2の8ページの上の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の全体イメージの右側下にございますように,高等学校では多面的な評価,若しくは多様な学習活動をしていただく中で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の活用も含めて多面的評価を進めていくという流れにつなげていけないかというところでございます。

また,二つ目の調査時期につきましては,基本的には高校1年,2年と書いてございますが,我々としては,今回,学校設置者,若しくは学校が判断すれば,どのタイミングでも受けられるということを念頭に置いていきたいと考えております。なので,基本的にはこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の問題,それから提供の方法が,先ほど岡本主査からもございましたように,具体的にどうなるかということに応じて,場合によっては高校1年の段階でも,望んだ分野,例えば数1であれば,数と式までだったらできるので,それと義務教育段階のものが欲しいですというものに応えられるようなシステムが組めれば,場合によってはそういったものを提供していくことも考え得るだろう。ただ,これは恐縮でございます,まさにアイテムバンクの作り方,テストの提供の仕方を更にこれから深く検討していきたいと考えておりますので,その中で今のような御指摘も含めて,更に検討を深めたいというふうに考えているところでございます。

【安西座長】  再々でございますけれども,テスト,テストという名前で議論しておりますけれども,これは高等学校の教育の非常に大きな転換期にあって,また,高等学校の教育が多様化しているという中にあって,高等学校の教育に資するような,そういう施策の一環として行われるべきものだと捉えておりますので,そのことは申し上げるまでもございませんけれども,テストでもって生徒を仕分けするということを目的にしているわけではないということは是非共有させていただければと思います。

それでは恩藏委員,それから長塚委員,お願いいたします。

【恩藏委員】  前回の議論から大分明確化していただきまして理解が進んだのですが,一つ,御確認をさせていただきたいと思います。

まず,複数レベルの問題とありますが,レベルの意味によって,大分,捉え方が違ってくると思います。通常我々が考える難易度的なレベルと考えた場合,1年次と2年次に,レベルを学校が変えられるのかどうかです。というのも,学校が選べるという設計になっています。しかも1年,2年,場合によっては3年でも受検するということになるのかどうか。それとか,1人の生徒が,自分は最初のレベルをクリアしたから,次のレベルにチャレンジしたい。そういったようなことが可能かどうか。実は,そういうレベルアップ的な試験だと,どうしても,もう一つの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」との類似性というか,近づいてきてしまって,どうしてもこの二つのテストが混乱するのではないかという気がします。ですので,複数のレベルを用意することは,悪いことではないのですけど,通常我々が考える難易度的なレベルだと逆効果になるかもしれない。そんなイメージを持っています。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  失礼いたします。御質問ありがとうございます。

今,複数レベルにつきましては,先ほどの資料2の5ページにもございますように,私どもが対象としたいと考えておりますのは平均的な学力層から,むしろ底上げが必要な学力面で課題がある層というふうに考えております。その上で,テストの中は義務教育段階の学び直しも含めて考えていきたいというふうに考えておりますので,複数の難易度というのは,むしろ,上に上げていくというよりは,義務の学び直しをどこまで見られるテストが構築できるのかというところも含めて考えているところでございまして,そういったことができるのも,基本的にはアイテムバンクという形で,大量の問題を集めてくる,そのときにターゲットとして,今,中間まとめでは,例えば数1を上限として,若しくは高等学校の国語総合,それからコミュニケーション英語1を上限として義務を含めていくということでございますので,難易度の作り方については,これからまさに試行を通じて準備していきたいと思いますが,イメージとしては,こういった子供たちを対象として,義務の方を含めて見ていけるような難易度を設定していけないかどうかということで検討を進めていければというふうには考えているところでございます。

【安西座長】  恩藏委員、お願いいたします。

【恩藏委員】  すみません,それであっても,例えばレベルがあるということは,次のステップがあるわけですから,例えばここに書いてあるような意欲の向上を図るとか,喚起を促すということになると,やはり次に次にというふうになるのではないか。そうすると,先ほど山極委員が言っていたように,高校生の負担が重くなっていく,そんな気がします。いかがでしょうか。

【今井高校教育改革プロジェクトチームリーダー】  失礼いたします。

この点については,やはり学校現場での実践研究なども踏まえながら,更に検討を進めたいと考えておりますが,確かに今のように意欲を喚起していくためにレベルを上げていくと上に上がるということもございますが,私ども,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」で考えていきたいと思っておりますのは,むしろ,日々の高等学校でなかなか状況が分からないことで悩んでいる高校生もおられるわけでございますので,今のような難易度を上げていくというイメージよりは,むしろ,その中で定着していくことを達成する。なので,ある意味,そのテストで一定程度終われば,次のステップである,例えば専門的な分野の方でむしろ伸ばしていく,若しくは例えば英語の授業であれば,今度はTOEIC,TOEFLに挑戦していくと。いつまでも「高等学校基礎学力テスト(仮称)」だけでやり切るのかどうかというのは,やはりまだまだ議論すべき点があるのと考えておりますので,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」でどこまでも上げていくというよりは,むしろ,ほかのいろいろな検討などもフル活用しながら,すみ分け,そういったものは試行とか準備期間の中で更に詰めさせていただく方向で考えさせていただけたらと思っております。

【安西座長】  よろしいでしょうか。

【恩藏委員】  はい。

【安西座長】  テストというと,どうしてもいわゆる普通高校の生徒向けの問題を考える傾向があると思いますけど,それを超えて高等学校教育の多様化というのが進んでおりますので,そういうことも含めて,レベルという用語がいいのかどうか分かりませんけれども,いわゆる診断,検定という言葉も出てきておりますけれども,そちらの方もある面,多様化していかないと,高等学校教育の多様性ということに対応しにくいのではないかと。個人的な見方ですけれども,そういう中での複数というふうに私としては見ているところがございます。まだ議論の段階でありますので,是非いろいろ御意見いただければと思います。

それでは,長塚委員,お願いいたします。

【長塚委員】  このテストの実施とか運用,活用が,かなり現場に任せられてきているので,現場が相当考えなくてはならない,そんな感じがしております。多様性の一方にある共通性のところで,この学力の担保,質保証をどうするかという議論からここに至っていると思いますが,高等学校は高1年生の時に学ぶ科目が必履修科目で,そこまでが基本的に言えば義務教育の延長上にあります。例えばイギリスなどですと,制度は違いますけど,高校1年生ぐらいまでが義務教育の範囲で,そこの時点で全員が達成度,到達度を調査するような仕組みがあります。その後,かなり選択的な科目を中心に大学進学に必要な科目だけで,高度な勉強をするというようなことになっています。制度が違う部分と内容的に似ている部分が日本の高校教育の中にあるわけですけれども,高1年生の必履修のところまでの,しかも限定的な基礎的な科目を,基礎力のテストとしてやるというのは,理にかなっているし,世界的に見ても必要性があり,日本の多様な高校教育の現場においても必要性があるのだろうと思います。つまり,全国的な視点でという言葉が入りましたけれども,そこでどのぐらいの基礎力がついているのかということを把握することは必要だろうと言えます。

ちなみに,全国学力・学習状況調査というのが日本では小中学校で行われていて,私立の中学校は,実は御存じかもしれませんが,半数だけが参加しています。これは希望参加です,基本的に。公立の方は国立も含めてほとんど参加されておられますけれども,私学は半数参加している。何で半数参加しないのか。別に調べたことはないのですが,推察すると,全国学力・学習状況調査そのもののレベルに関係があるかもしれませんが,余り必要性は感じないということ。もう一つは,序列化への懸念です,公表されたときに序列的に載ってしまうことは不本意だというようなことで恐れを感じている,その辺の二つの背景があるのではないかと思うのですが,このテストも希望参加型になって,序列化などにつながらない様にしていることは非常に重要だということは指摘されていたとおりであります。ただ,主体的に参加することの意義はとてもあって,先ほど言いましたように,全国的な視点でどの程度かということを把握することができるわけです。もちろん高等学校現場で生徒の学力状況を把握しないで授業を指導していることはないのであって,いろいろな民間のテストとか,自分たちの実力テスト,その他でやっているわけですけれども,あえてこのテストの意義をいえば,それが全国レベルでどうなのかということが分かるという意味で大いに価値があると言えます。また,学外から見たら,学内の学力保証結果に対する信頼性も高まるだろうという思いがいたします。

ただ,少し長くなって恐縮ですが,全国学力・学習状況調査のテスト自体は,到達度とか達成度というのは,まだしっかりとしたものとしては位置付けられていないというのが文部科学省の認識だと思います。ある年とその次の年の国語の小学校のテストでは,20点ぐらい平均点が違います。つまり,そこで確認しましたら,達成度を測るテストにはなっていないと言うことでした。強いて言えば,県別の平均点があの県よりも高いとか低いとか,あの学校より低いとか高いとか,相対比較の中でしか実はまだ測られていません。今回,このテストは相当,問題を蓄積して到達度を測れるようなものにしようとしていますが,IRTなどを使って研究開発するのだというところは物すごく意義があると思います。その意味では,やはりこれは最初からすぐにいいものができるわけはないので,ストックがないわけですから,相当蓄積を重ねていく中でしか,このテストの本当の真価は表れてこないだろうというふうに,ゆっくり構えていく必要があるということを,期待とともに現場からも是非お願いしたいと思います。

もう1点だけ,すみません。設置者に対する期待があるわけですけれども,高等学校の3割強と言ってもいいでしょうか,高等学校の約3分の1が私立学校です。最近問題になっている株立の広域通信制高等学校など問題がありますけれども,全国で28万人,高校生の8%が定時制,通信制に在学していますが,そのごく一部が株立です。これも設置者の一つですけれども,多くの私立学校は学校法人立です。学校法人立が例えば教員の加配をするというときには,自主財源でやらなくてはいけないわけでありまして,この辺はあまりここに書き込んでいただいてはおりませんけれども,選抜性の高い私立学校に進む生徒もいれば,公立学校を落ちて私立に来ているような生徒もいるということでは,私立高校でも指導を非常に必要とする場合もあるわけですので,そういうところにも行き届くようなものにしていただきたいものだという要望でございます。

以上です。

【安西座長】  ありがとうございました。

ほかによろしければ,この件についてはそろそろにさせていただければと思います。

大変貴重な御意見をいだたきましてありがとうございました。この件につきましては,最初に岡本委員が言われましたように,次回は具体的なことを検討させていただくことになるかと思います。本日のいろいろな御意見を踏まえて,次回,また具体的な議論に移らせていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。

 

(2)「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について

資料3-1,3-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

 

【安西座長】 それでは,続きまして,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきまして,審議を行わせていただきます。今回,御議論いただきます「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に加えまして,先のことを申し上げて恐縮ですけれども,次回につきましては各大学における個別選抜改革の推進策についても議論をしていただきたいと考えております。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,テストという名称はどうかというふうに私も思いますけど,また,これから御議論いただきます「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に加えまして,各大学における個別選抜改革をどういうふうにしていったらいいのかということの議論は次回に行わせていただければと思っております。そのようにして,高大接続改革の全体像というのでしょうか,それをやはりつかんでいく必要があるのではないかというふうに考えております。

それでは,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきまして,まず,岡本委員から御報告いただいて,それから事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

岡本委員,よろしくお願いいたします。

【岡本委員】  ありがとうございます。

新テストワーキンググループにおきましては,前回の高大接続システム改革会議の議論,これまでの議論も踏まえまして,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」ですが,の論点メモ(案)に示されている内容や,併せてマークシート式の問題イメージ例というのを検討してまいりました。詳細は後ほど事務局から御説明していただきますが,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきましては,改革の狙いの実現に向けまして,関係団体,いろいろな方の参画を得て,今後,より実証的,専門的に検討していく必要があるというふうに考えております。今回,マークシート式の問題の改善を目指しまして,物理と世界史で評価すべき能力と問題イメージ例をたたき台として用意させていただいております。これらのイメージ例につきましては,マークシート式の改善に当たっての考え方を示すことを重視して作成しておりまして,大学入学選抜の直接のモデル問題として検討したものではございませんので,その点は御理解いただければと思います。このイメージ例につきまして,本日,御意見を頂くとともに,今後もこれらをたたき台としながら,よりよい作問の在り方について検討していくことが必要であると考えているところでございます。

後はよろしくお願いいたします。

【安西座長】  ,事務局からお願いいたします。

【橋田大学入試室長】  それでは,まず,資料3-1を基に御説明させていただきます。「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の論点メモ(案),改訂版でございます。

去る1月29日の高大接続システム改革会議の場では,特にこのテストの記述式に関連いたしまして,大学入試の現状を踏まえた記述式の導入の意義や課題,あるいは採点の在り方,また,フィージビリティーの検証の必要性などについて御意見を頂戴したところでございます。これらの御意見ですとか新テストワーキンググループの議論を踏まえながら,今後,この記述式の採点の在り方を含めて,フィージビリティーの検証に取り組みながら,具体的な制度設計に取り組む必要があると考えられることから,この資料3-1の冒頭の部分では,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきまして,論点メモ(案)の内容の方向を基本としながら,この改革の狙いの実現に向け,関係団体等の参画を得て,今後より実証的・専門的に検討することとしてはどうかといったような形で記載させていただいております。

また,資料の2ページ目の(3)の一つ目の丸の部分でございますけれども,共通テストで検討している記述式のイメージをより明確にするという観点から,現在,国立大学の二次試験で行われているような解答の自由度の高い記述式といった形ではなくて,条件付記述式を中心に作問を行うことなどについて明記させていただいております。

さらに,2ページ目の(4)の丸1の部分でございますけれども,新たな技術開発も行いながら採点の効率化を図っていくということが重要であるということを踏まえまして,コンピューターを活用した採点技術などの新たな技術の開発と活用,これを積極的に進める旨を追記させていただいております。

これらのほか,資料の4ページ目の一番最後の部分でございますけれども,最終報告を取りまとめていただいた後,実証的・専門的な検討を行っていくわけですけれども,それを踏まえまして,昨年の1月の高大接続改革実行プランに示されたスケジュール案に基づきまして,平成29年度初頭には新テストの実施方針,また,31年度初頭を目途に実施大綱を策定していくといったようなスケジュール感も示させていただいております。その他,多肢選択式の記載をマークシート式に改めるなど,何点か文言の修正を適切にする観点から修正させていただいております。委員の皆様方には,これらも踏まえまして,このテストの在り方について,引き続き御議論いただければと思っております。

あわせて,今回は資料の3ページ目の4ぽつにお示ししておりますけれども,マーク式の質的改善を図るということも今回の課題の一つになっておりますけれども,その問題イメージ例についてもお示ししております。その内容については,これから補足説明いたしますので,あわせて御議論いただければと思います。

【福澤高等教育企画課専門官】  失礼いたします。それでは,資料3-2を用いまして,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で評価すべき能力とマークシート式の問題イメージ例,たたき台ということで説明させていただければと思います。

現行の大学入試センター試験につきましては,これまで二十数年間実施してきておりますが,これまでも問題につきましては,毎年度,様々な改善を図ってきております。その不断の改善の努力のもと,更に今回の高大接続の議論でお話として出てきております学力の3要素をどのように評価するか,あるいは思考力,判断力をどのように評価していくかということ,更に現行指導要領の趣旨ですとかポイントをどう示していくか,また,各教科,例えば今回,物理と世界史ですので,観察・実験や歴史的な考え方,思考を行う際の物の見方,考え方というものをどのように問題として落としていくか,あるいは問いたい力を測っていくかというようなことを考えながら,このような問いもできるのではないかということで,その一つの例として考え方を提示させていただいたのが今回の問題となってございます。

それでは,具体的に説明させていただきます。

まず,2ページをお開きいただければと思います。まずは物理からでございますが,2ページから7ページまでが物理につきましての学習指導要領の指導事項,出題範囲全体でございます。

8ページを御覧いただけますでしょうか。8ページが中間まとめ等々でお示しいただきました重視すべき学習のプロセスとしてオレンジ色の枠で示していただいたものでございます。さらに,今回,この問題イメージ例を作っていただきました作業チームの先生方から,これを受けて評価してみてはどうかという具体的な能力としてアからキに示された力,これを物理としては測ってみてはどうかということで御提案いただいたものでございます。問題として,イメージ例としては,物理は二つお示ししておりますが,これらの中から問えるものを問うてみるという形になっております。

それでは,具体的に9ページを御覧ください。9ページの方はイメージ例の1となります。今回,このイメージ例1では,物理基礎,物理の9ページにお示ししました指導事項に関しての問いとなっております。また,後ほど出てまいりますが,物理の問題ではありますが,地学の実験器具,あるいは地学の実験の中でどのような物理的な考え方をするかという地学の場面をかりて物理の力を測るという問題になっておりますので,一応,地学の指導事項も括弧つきで示させていただいております。下に米印で示しておりますとおり,解答に当たって必要となる地学の知識は問題文で示しておりますので,これは「地学基礎」を学んでいなくても解答が可能なように,そこは注意しております。

それでは,10ページを御覧ください。先ほどお示ししました力の中から,ここに挙げておりますとおり,ア,イ,ウ,エ,カの力を測る問題ということとなっております。今回の問題につきましては,10ページのその下になりますけれども,既存の問題とどのような観点で異なっているのかというところが今回のポイントでございます。

今回の問題ですが,一つ目を御覧ください。観察・実験の場面を通じた可能な限り探究活動の文脈,そうなるように設定してございます。どのような事象を捉え,対象として仮説を立てて,根拠,検証,観察・実験,考察をしていくかというのが観察・実験としては非常に重要ではございますが,その場面を通じて問題が必要なものを問うという問題となってございます。これは問題全体を通じてそうなっております。

2番目,先ほども申し上げましたとおり,他教科との関連,あるいは日常生活や社会との関連というものも,今回,物理ですが,理科としては非常に重要ではないかというふうに考えておりまして,他教科との関連では地学の場面,地学の実験をする場面で物理的な力を問うということ。さらに,隣のページにありますように,ソーラーカーのようなものを出してきまして,日常生活や社会との関連なども測ってみようと思っております。

3番目でございますが,観察・実験においては,当然ながら,必要な情報やデータなどを自ら膨大なデータをとったりしますので,その中から何らかの説明,あるいは考えを立てるにはどのようなデータが必要か,自らが考えて必要なものを選び,それを使う必要があるということで,そのような問題も出しております。

また,4番目といたしまして,グラフを書いて考えて,その答えを出してみると。数値からグラフを書いてみるという問題も立てております。

また,今の学習指導要領では,言語活動でありますとか,理科でいえば観察・実験,又は探究活動というようなものが重要視されておりますので,対話形式というようなもの,観察・実験においても共同研究者とともに研究する場面もあろうかと思いますので,対話形式なども取り込んでおります。

テストといたしましては,解答形式としても幾つか挑戦してみたものがございます。代表的なものといたしましては,6のアを見ていただければと思いますが,計算した結果の数値を丸・丸掛ける10の丸乗という問題を今回用意させていただいておりますが,この数値をマークで入れるということをテスト形式としては新たに立てております。これまで数学ではこのような形をとっておりましたが,理科は実は幾つかの選択肢に答えが用意してあって,正しい数値のものを選ぶという形の問題でございましたが,数学でもこのようなやり方をしておりますので,今回,この物理の問題でも計算した結果,出てきた数値をマークするということで,自ら考えて式を立て,その式の計算をした結果の数値をマークするということで,思考して判断して計算した結果を測るという問題にしてみたというものでございます。

11ページからは問題ですけれども,御説明しましたとおり,ソーラーカーという日常的な題材から起こしまして計算をする,数値を入れるという問題となっております。

12ページを御覧ください。更にソーラーカーの問題から太陽エネルギーの問題を考えてみようということで,直達日射量を考える。日射量計を使うのですが,この日射量計はよく地学の学びで出てくる道具でございます。その中でも,熱,熱量,あるいは光の束をどのように捉えるかというような物理的な力を問うという問題にしております。

13ページでは,先ほどもありましたとおり,対話形式をとり,かつ,観察・実験の基本的な技能の部分,あるいは作法といいますか,技能の部分であるところを問うということで問2を立てております。更に問3では計算,14ページも考え方を立てての計算問題としております。

15ページを見ていただきますと,表1という表が下の方についておりますが,観察・実験の結果,このような実測といいますか,数値がとれたというところから,この数値を見ていただきまして,16ページに行くと,この数値の中から必要なものを選んでグラフを作成し,そのグラフから出てきた答え,求められるものがありますので,その出てきた答えを数値として答えるというような問題となっております。このように観察・実験を通した問題となっております。

続きまして,18ページは同じように問題イメージ例の物理の問題となっております。同じように指導要領ですとか問1からどのような観点で異なるのかというような問題でございまして,ガリレオ温度計を問題の起こしとしまして,問題が続いております。

22ページ,23ページを見ていただければと思います。これも一つの問題としての提案のようなものではございますが,22,23ページでは,資料1,資料2ということで,データやグラスを示しております。その前のページである20,21ページでは,この23ページから必要な数値を自ら選んで拾ってきて,その前の2ページの計算で計算をしてみるということで,必要な情報を自ら選んで拾ってくるというような問題を作るために資料集のようなものをお示ししたものでございます。

駆け足で恐縮ですが,24ページからは世界史の問題となっております。世界史も同じように指導事項が26ページまで続き,27ページでは中間まとめ等々で示していただきました学習のプロセス及び作題チームで考えました評価したいと考える具体的な能力,アからカを示しております。

この問題につきましての考え方は28ページに示させていただいております。28ページでは,大きく問1,問2と問3,問4の2つのグループで分けております。世界史はどうしても膨大な知識を扱って,どのように歴史的な考えをとるかという問題となっておりますが,問1,問2のグループでは,どちらかといえば,三百数十年間,隣の29ページにありますとおり,三百数年間にわたっての長い期間,更に日本,中国,ヨーロッパ,旧ソビエト連邦地域という広い地域の軍事,経済,政治,税制,あるいは内乱のようなもの,複雑な情報を大量に扱うわけですが,それを多面的,多角的に考えて,地域を特定し,細かい知識も含めて問いに答えていくという問題が問1,問2となっております。

29ページにございますとおり,グラフからAが中国,Bがヨーロッパ,Cが日本であるということが歴史的な知識,様々な知識を活用すれば分かります。そこから30ページの問題に入っていくという形でございます。

30ページを見ていただきますと,細かい説明は省略させていただきますが,問1では適切なものを全て選べという問いとなっております。これまでは正しいものを一つ選べ,あるいは正しいものを二つ選べという答えの指定はございましたが,正しいものを全て選ぶという形の問いはまだしておりませんので,そういうものも一つの問い方として,形式としてあり得るのではないか。あるいは,問2のところでは,上の丸1から丸8の中で中国以外のものを選び,X群,Y群の中からつながるものを連動する,つながるものを選ぶと。4組成立するのですけれども,そのうちのどれか一つでもいいから答えてみてくださいというのも,これは一つの問い方として新たなものであろうと思います。

最後に31ページでございますが,これは旧ソ連地域についての問題ですけれども,教員の発問のところを見てください。旧ソ連地域のGDPは18世紀には上昇傾向を示している,この理由は何だと思いますかの後ですが,皆さんで仮説を立てて話し合ってみましょうという問いとなっております。仮説を立て,その根拠を示しながら話し合うということは小学校の社会科からもうスタートしております。そういうようなものを高等学校でも学びの中で取り込んでいただき,また,テストとしても問うてみてはどうかということで,問いとしてみたものでございます。問い方の巧拙はともかく,問3,問4では自らの仮説の根拠として挙げ得るもの,挙げ得ないものということで問うています。問4では自らの仮説を統計データを使って示そうとしたら説得力のあるもの,あるいは役に立たないと思うものはどれかというものを選ぶという問題という形で,仮説とその根拠というものの学びを問う問題としてはどうかという形での御提案とさせていただいております。

少しお時間過ぎましたけれども,説明は以上でございます。ありがとうございました。

【安西座長】  ありがとうございました。

それでは,岡本委員,また,事務局からの御説明につきましてこれから議論していただければと思います。御質問,御意見のおありになる方,どなたでも結構でございます。よろしくお願いします。

南風原委員,お願いいたします。

【南風原委員】  ただいまのマークシートのところではなく,論点メモの方ですけれども,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の論点メモで全部で3ページ半ありますけれども,半分以上が記述式問題についてということで,何か肥大化しているというか,評価テストの狙いということと記述式の関係がすごくアンバランスになっているように思うのですが,大事なことは,そういう解答形式の選択ではなくて,何を測っていくか,何を問うていくかということだと思います。マークシートの問題であれば,何を問うているかというのはすぐ分かることですけれども,記述式となると,何を問うているかは答案をどう採点するかということとセットで,これは何度か繰り返し申し上げていることですが,何を問うているかという点では,どういう採点基準がここで導入されるかということがすごく大事になってきます。

まず,何を問うかということについては,論点メモの1ページの下の丸で,「統合的な思考力や表現力」,その数行後には「複数の情報を統合し構造化して新しい考えをまとめるための思考力・判断力やその過程や結果を表現する力などを評価する」とあります。これは望ましいことだと思います。一方で,どのような形で評価していくかというのが2ページの(3)「作問と評価の考え方について」ということで,その中の三つ目の丸です。「解答については,上記の考え方に基づく作問において設定した条件への適合性を中心に評価する。」つまり,設定条件に適合しているかどうかが採点基準だというふうに出しているわけで,そうすると,1ページ目に書いてある狙いと,この採点基準というのが全然合わないように思います。1ページ目のものがどのような形で評価されるのかということがすごく大事なことになります。

ここで条件の適合性を評価するというのは,恐らく採点の効率を考えて,いわば自動採点や客観採点に近いものが意識されているためにこういう基準が出てくるのだと思います。1ページ目の測りたい本質からではなく,採点の手間を考えて,こういう基準が出てきているとしたらおかしなことになると思います。そういう採点基準,条件の適合性で評価する,しかも短文記述式であるというようなこと,それで何が測れるのか。マークシートを超えて何が測れるのかというベネフィットが明らかでなくなってしまいます。ベネフィットは明らかでないのだけれども,コストは明らかなわけです。ということですので,ここのところはまず導入すると言ってそれから考えるのではなくて,そういった採点基準のことも含めて,本当にベネフィットがあるかどうか,改革の狙いに合ったベネフィットが実現できるかどうかということをまず考える。そして,導入の可否,是非を含めて,今後の検討課題とするのが適切ではないかというふうに現時点では考えます。

【安西座長】  これはいかがですか。何かありますか。

【橋田大学入試室長】  こちらの方,問うべき能力ということでお示しさせていただいておりますけれども,この資料2の(3)の一つ目の丸の最後の方にございますように,問うべき能力の評価と採点等テスト実施に当たっての課題の解決,このせめぎ合いの中で両立をどう図っていくかというところは,記述式の導入に当たっては一つの課題になってこようかと思っております。それで,今回の問題イメージ例等の中でも問うべき能力等々,教科別でお示しさせていただいたりしておりますけれども,やはりこういった作問をより合理的に行っていくという観点からは,思考のプロセスですとか事象間の関係性等々について,今の入学者選抜等でどういうことが問われているのか,その総合的な分析も必要になってこようかと思っております。

また,今,全国学力・学習状況調査等も実施されておりますけれども,その中でも,例えば文字数は少ないけれども,30文字程度だけれども,100字程度のものよりもいわゆる正答率が低かったりという事案も結構ございます。そういった全国調査の知見の蓄積もございますので,そういった分析も行いながら,ここの難易度設定の在り方を含めた作問の考え方の構造化を図っていく必要があるかと思っております。

【安西座長】  ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。鈴木委員,お願いいたします。

【鈴木委員】  ありがとうございます。

先ほどこの会議の前半で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」ですが,これについて議論があって,そこではやはり高校生の自主的な力の向上ということを非常に重視していくのだということで,安西座長の方からもテストというよりも,テストの性格が非常に変わっていくのだと,それを理解してもらいたいという言葉があったかと思うのですが,高大接続ということを銘打っているわけで,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」,いわゆる大学に入学する希望者の学力を評価するのだという場合に,これも先ほど入学者選抜という言葉が出てきましたけれども,大学としてはどういう学生を選抜していくかという一助にこれをするということで受け取ってよろしいのかというふうに思いますが,高等学校の基礎学力は,イメージ的には序列をしたり,学力を見たりするということではないというふうな反面,大学では,これはテストだということになってくると,高等学校と大学との間の関係が一応,どういうふうな関係でこの二つの試験が連動しているのかということをもう一度,確認する必要があるのではないかというふうに思うわけです。先ほど安西座長の方から,次回は各大学における個別選抜改革について述べていただくというお言葉がありまして,これなども各大学がそれぞれに選抜をしているわけですけれども,それを改革して,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の方に近寄っていく,あるいは整合性を持つようにしていくということなのか,そのあたりのお考えを聞かせていただければというふうに思うわけですが。

【橋田大学入試室長】  また次回の回になりますけれども,今回,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が入ってくることによって,個別選抜での取扱いがどのような形になっていくかというところ,あわせてセットでお見せするような形で,少しそこのところ,また準備を進めたいと思っております。

【安西座長】  よろしいでしょうか。

山極委員,お願いいたします。

【山極委員】  資料3ですけれども,先ほどの「高等学校基礎学力評価テスト(仮称)」に比べて,これを導入するに当たって,大学及び高等学校がどういうふうに利用するのかということが書かれていないです。これは議論があったと思いますけれども,要するに希望する大学,希望する高等学校によって,これは自由に選択できるものなのか,あるいは個人で選択できるものなのかといったような,それは「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の場合にはありましたが,ここではどうなっているのでしょうか。これは負担の問題とも絡めて,例えば作問,採点に関わる人的資源をどこがどういうふうに提供するかということにも関係します。そのことをやはり少し書いておかないと,将来,現行の大学入試センター試験でも,利用する大学もあれば,利用しない大学もあるし,利用する教科,科目数もそれぞればらばらでございますから,そのことについてのある程度の将来の指針というのを立てておくべきではないかと思うのですが,その点について,お考えをお聞きできればと思います。

【安西座長】  これは大分前から話があったことだと思いますが,事務局からお願いできますか。

【橋田大学入試室長】  中間まとめの中では,受検につきましては大学入学を希望する者という形で盛り込まれております。また,各大学での利用の観点から申しますと,アドミッション・ポリシーに基づく入学者選抜の取組の中でこれを活用いただくというところでございますけれども,このテストを導入するに当たっては,当然,できるだけ多くの大学に活用いただくというところが重要になってくると思いますし,また最終まとめに向けては,そこの利用の在り方をどういう形でやっていくかというところは個別選抜の改革の部分も含めて整理をしていきたいと思っております。

【塩見大学振興課長】  補足で申し上げさせていただきますと,先ほど鈴木委員からも御意見いただきましたけれども,今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」,それぞれ位置付けは明確に違うものだと考えておりまして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は先ほど御説明ありまして,御議論いただきましたとおり,あくまで高等学校の指導改善でありますとか高校生一人一人の学ぶ意欲の喚起という観点から検討いただいているものでございますし,一方,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきましては,これは現行の大学入試センター試験に代えて導入するということで御検討いただいているものでございまして,あくまでこれは入学者選抜の一つのツールということで検討いただいているというふうに考えております。ですので,それぞれ両者持っている役割というのは異なるものだという前提で御議論いただいているものでありますし,それからあわせまして個別選抜の話,次回御議論いただくことになろうかと思いますけれども,個別選抜におきましては,それぞれの大学がそれぞれのアドミッション・ポリシーに基づいてどういった選抜を実施するかということを御判断いただくわけでございますけれども,その際に,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきましても,それぞれの判断において,そのツールとして活用いただきたいと。是非そうした活用に耐え得るものになるようにということで御議論いただいているというふうに理解しております。

また,両者はこのように性格が違うものではございますけれども,今回の高大接続改革ということを考えますと,高等学校教育と大学教育を一貫した理念のもとでそれぞれの改革を是非図っていこうと。そのために入学者選抜の在り方についても改善をしていくという視点であると思っておりますので,両者ともに高校教育,大学教育によい影響を与えるようなものとして御議論いただくことが大事ではないかと考えております。

【山極委員】  少し確認ですけれども,今,おっしゃったように現行の大学入試センター試験に代わるものとして,この導入を考えているということであれば,現行の大学入試センター試験のような利用の方法を前提としているということでよろしいでしょうか。

【塩見大学振興課長】  失礼します。

中央教育審議会の答申,あるいは中間まとめにおきましては,そういう前提での御議論だったかというふうに考えておりますけれども,具体にこの新しいテストをどういった形で設計し,どういった形で利用いただくようなものにするかということについて,まさに皆様に御議論いただき,また,今後の制度設計を踏まえて,更に実証的に検討していくというふうなことではないかと考えております。

【山極委員】  申し訳ありません,もう一つだけ確認ですけれども,それは3月のまとめに取り込むのですか,やり方,導入の仕方ということに関しての議論は3月までに決定するということでよろしいですか。

【塩見大学振興課長】  決定いただきたいといいますか,ここで是非御議論いただいて,3月のまとめにお決めいただいたことを盛り込んでいくことだというふうに思っております。

【安西座長】  鈴木委員,お願いいたします。

【鈴木委員】  先ほど「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方では,アイテムバンクというコンセプトといいますか,それが出ておりました。それで,複数レベルの問題というのも先ほど話題になりましたけれども,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の場合に,アイテムバンク的なものと,それから複数レベルの問題というあたりのものも想定されるのでしょうか。

【塩見大学振興課長】  すみません,アイテムバンクのお話につきましては,恐らく1年の間に複数回,それぞれの判断で受検できるような仕組みにしようという際に基本的には必要なってくる仕組みではないかというふうに考えておりまして,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきましては,本日の資料3-1の4ページの方にもございますとおり,これは前回の御議論でもお示しさせていただいて議論いただいたところではございますけれども,複数回実施の関係につきましては,今回,例えば記述式の導入でありますとか英語の多技能を評価するような問題の導入といったようなことも御議論いただいているわけでございまして,こういった事柄を中心に考えていくことで,今回の入学選抜改革の大きな狙いというものが非常に大きく実現できるのではないかということを踏まえて考えますと,複数回実施につきましては,ここにもございますように,引き続き,こういった事柄の検討実施の状況等を踏まえつつ,また,CBTの導入でありますとか複数回実施のための等化といったような事柄による資格試験的な取扱いということの可能性も含めて,今後,引き続き検討いただくいうことが適当ではないかというふうになっておりまして,今回のテストにおきましては,複数回につきましてはこういった考え方で御議論いただいているものと承知しております。

【安西座長】  よろしいですか。

乾委員,お願いいたします。

【乾委員】  ありがとうございます。

南風原委員の記述式のコストとベネフィットの話について,一言だけお話しさせていただきます。コストがかかるというのは本当にそのとおりと思います。一方,ベネフィットですけれども,現実に今,大学を受験する人たちの中で,半数近くが全く記述式をしていないと。そういう中で,ボリュームゾーンに対して記述をしてもらうということの意義というのは,やはり高等学校教育に与える影響を考えると専門ではないですけれども,大変大きいと想像します。コストを考えたときに,やらないという選択肢も含めて検討するべきだということはもちろんそうだと思いますけれども,実施するとしても,大きく二つの選択肢が出てきています。一つは,別日程でかなりしっかりやる,それも選抜性の高い問題,難易度の高い問題もやるという方向。もう一つは,同日程で最低限のボリュームゾーンの学生たちに対して基礎的な問題を出題するという方向です。今,出てきている問題のイメージは,どちらかというと重たい方の問題イメージですが,基礎的な問題の方もしっかり問題イメージを出していただいて,そちらの選択肢もしっかり考えていくようにしなければ,オール・オア・ナッシングのような議論になってしかねないというふうに考えます。

本日,こうやってマークシートの方の問題イメージ,非常にいいものを出していただいたのですけれども,記述式の方は一旦,かなり重たいものを出していただいた後,そのままになっていますので,これを例えば30字で基礎的な問題で本当に記述をやらせるということはどういうことなのかということを具体的に出していただくのが重要なのかなというふうに考えました。

【安西座長】  ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょう。長崎委員,長塚委員,それから五十嵐委員,お願いいたします。

【長崎委員】  最初の方に少し議論がありましたが,論点整理の(3)の丸の2番目でございます。過去の大学入学者選抜問題を更に作問の考え方を高度化して構造化を進めるというのを是非進めていただきたいと思います。

というのは,大学入試の結果については,大体,正答や解法と,あとは正答率と得点分布あたりが出て終わってしまいます。ところが,例えば,PISA調査,これは2000年から行われているのですが,その調査では,設問の目的に加えて,調査が終わった後で生徒の実態から問題の特性などをきちんと調べています。つまり,各問題について,この問題ができるのはどれぐらいの正答確率があるのか,どんな特性を持っているのか。そして,得点分布が出た場合には,単にレベル分けするだけではなくて,レベル1の生徒はどのようなことができて,レベル2の生徒はどのようなことができるなどとしています。モデル化されていますので,抽象度が高いのですけれども,単に得点を出したり,レベル化してりするだけではなく,それぞれのレベルでどのような知識を使って,どのような能力が可能なのかという,レベルの特性も明らかにしております。そのようなことができるとよいのではないでしょうか。ただ,そのためにはIRTという高度な分析方法が必要ですので,実現可能性の問題もあると思います。

なお,先ほどの基礎学力調査の方でもレベルとか到達度というお話が出ていました。是非,基礎学力調査の方も単にレベル分けするのではなくて,レベル1はこういうことができている,レベル2はこういうことができていると分析をして,生徒にはだからこのように頑張っていこうというメッセージを送ることができるようになるとよいのではないかと思います。

以上です。

【安西座長】  ありがとうございました。

長塚委員,お願いいたします。

【長塚委員】  複数回実施の件に関して意見したいのですが,思考力とか表現力も大事だということになって,そうすると,記述式が必要だということになって来ています。そうなると,採点その他で複数回というのがなかなか難しいということで,むしろ,マークと分離実施ぐらいのところでという話にだんだんなってきていて,それはそれで正論の一つだと思うのですが,そもそも実現可能性からすると,当面はこうならざるを得ないと言えます。ただ,複数回というのは,例えばアメリカのSATのようなものがイメージされていると思うのですが,なぜアメリカでは複数回実施しているのかということなのです。その複数回やった中で,高校生が自ら自分の実力を知ることができるというふうなことを,非常に難易度の高い大学に行かせる私学の高等学校の校長が言ったりしております。SATの役割というのは,複数回やるというのは,これは民間がやっていますけれども,意味があるわけです。それは日本ではどうかというと,これは民間の模試会社が実は半ばやっておられるものがあって,それで自分の実力を把握して,最後に大学入試センター試験などに対応していくということになっています。アメリカとは大分,仕組みが違いますけれども,SATなどに代わる複数回という意味では,日本では結構,テストをどんどんやってきているという実態があると言えます。また確かに,複数回やっていく意味はあるのですけれども,個々の大学がさらに個別入試をその後やるとなると,それだけでも,もう複数回になります。生徒は大変です。個別入試は,アメリカのことばかり言って恐縮ですが,SATの後に,個別入試をする場合もありますけれども,基本的にはないわけです。SATで取得したもので,多くの州立大学にも出願できるわけです,もちろん私立にも。ですから,複数の州立大学から入学の可能性が出てくるというような,いろいろな可能性を高校生が手にすることができるということです。それが日本の入試の仕組みの中にないわけです。ですから,その新たなテストの先にどうしても個別入試をやりたければ,それはやってもいいわけですけれども,できるだけ多くの国立大学も,まずはこのテストでもって判断をして,可能性を示していただくようなことをしないと,今,ここで入試改革しようとしている割には,実態的に変わらない。大学入試センター試験が記述型に少し変わるとか,マークが記述に近いものになるとかいう話に終わってしまいそうな危惧を感じております。その点で是非,国立大学を中心に,入試制度そのものを,このテストをどう使うかを考えていただきたいというふうに思います。

さらには,そういうことをしないと,外国からの留学生がやってくることはないのではと思います。例えば,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を英語でやって,同じ内容でどれだけ取れるかということを測って,外国から留学生を受け入れるようなことが国立大学も含めてできるようにならないと,このテストの意味が余り広まらない。非常に閉じられた日本の伝統の中だけで,このテストの在り方を議論し過ぎているというふうに思います。

以上です。

【安西座長】  ありがとうございました。

それでは,五十嵐委員,お願いいたします。そこまでにさせていただきます。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。

本当にそのとおりだと思います。閉じたものではなくて,これからグローバル社会で活躍する子供たちのためのものでなければいけないと思っています。内容も,学力評価テストというふうになっていますので,今,入試の問題になっていますけれども,これが日々の高等学校,中学校,小学校の授業の評価にも,やり方もしっかりと考える見直すきっかけになっていくのではないかと思います。今,見せていただいて,どういう資質・能力が大切で,重視すべき学習のプロセスは何か,それでどういう具体的な能力を評価するかという制限のある入試の中で,こういうふうに構造的な問題を作られたということは本当に大事なことだと思っております。こういうものから,逆ルートで日々の授業は,まずは記述式ということもありますが,自分の考えはしっかり書くこと,正しいことを選択することがゴールではなくて,自分の考えをしっかりと書いて,そのプロセスも大事にして,最終的にはこういう問題にもありましたが,議論,討論の中でどういうふうに考えを見つけていくかという,そういう流れの授業に変えていかなければならないですし,また,教員がじゃあ,目の前の子供をどう評価するかという方法は,先ほど出たのですが,正解を求めるペーパーじゃない評価方法,例えばルーブリックです,こういうふうに自分が次の段階に進歩していくのだ,成長していくのだというような,そういう評価方法を日々の授業の中でももっともっと生かさなければならないと思いますし,そういうふうに変わっていくきっかけにもなると思います。ですので,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の内容をとにかく変えていく,できる範囲の中で制限はあると思いますが,新しい方向に変えていくということが全ての教育の内容に影響してくることだと思っています。

よろしくお願いします。

【安西座長】  ありがとうございました。

時間が過ぎてしまいましたので,一応,ここまでにさせていただければと思います。まだ御意見おありになるかとも思いますが,是非,事務局の方へ直接おっしゃっていただければと思います。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。大変貴重な御意見を頂きまして,特に個別大学の入学者選抜との関係については,是非,議論をさせていただければと思っております。

それでは,よろしければ,その他の事項について,事務局からお願いします。

【新田主任大学改革官】  ありがとうございました。

次回につきましては,2月24日水曜日,15時から3階講堂で,この場所で予定しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【安西座長】  ありがとうございました。

それでは,本日はここまでにさせていただきます。改めてですけれども,大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。

それでは終わらせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム

電話番号:03-5253-4111(内線4902)

(文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム)