高大接続システム改革会議(第6回) 議事録

1.日時

平成27年8月27日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. 多面的な評価検討ワーキンググループの設置について
  3. その他

4.出席者

委員

(座長)安西祐一郎委員
(副座長)片峰茂委員 
(委員)荒瀬克己,五十嵐俊子,乾 健太郎,岡本和夫,恩藏直人,金子元久,香山真一,河野真理子,小林 浩,佐藤東洋士,佐野元彦,関根郁夫,長崎榮三,長塚篤夫,羽入佐和子,宮本久也,山本廣基,吉田研作の各委員

文部科学省

(文部科学省)土屋事務次官,前川文部科学審議官,伊藤総括審議官,関政策評価審議官,河村生涯学習政策局長,德田生涯学習政策局審議官,小松初等中等教育局長,伯井初等中等教育局審議官,藤原初等中等教育局審議官,常盤高等教育局長,瀧本総務課長,浅田教育再生実行会議担当室長,大槻国立教育政策研究所長,水田初等中等教育局主任視学官,今井教育制度改革室長,新田高等教育局主任大学改革官,塩見大学振興課長,橋田大学入試室長,他

5.議事録

(1)中間まとめ(案)について,事務局から資料1,2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。


【安西座長】  定刻でございますので,ただいまから第6回高大接続システム改革会議を始めさせていただきます。御多用の中,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 まず,事務局から配付資料について確認をお願いします。
【新田主任大学改革官】  失礼いたします。それでは,議事次第の方に書いてありますとおり,本日資料,資料の1で中間まとめ(案),それから資料の2で多面的な評価検討ワーキンググループについて(案),それから,ここから参考資料でございますが,少し番号の落丁がございますが,参考資料の1として高大接続改革関係資料という分厚いもの,参考資料2の1枚物と参考資料3の1枚物,それから机上の方に,五十嵐委員,南風原委員の資料がございますけれども,前回ペーパーで御意見をいただければということの中で,特に本日配付を御希望された委員につきましてお二人,机上の方におかせていただいております。落丁等ございましたら事務局までお申し出いただければと思います。以上でございます。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,議事に従いまして進行を進めさせていただきます。
 前回の会議で中間まとめの案をお示しいたしまして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を含む高等学校教育改革の部分の案文を中心に御意見を伺ったところでございます。
 本日は7月13日に審議いただきました大学教育改革また大学入学者選抜改革の部分も併せまして,これまでの検討内容を盛り込みました中間まとめの案について審議を行っていただきたいと考えております。
 この会議の審議につきましては,今年の夏頃を目途に一旦中間まとめを行うということになっております。本日の審議をもって取りまとめを行わせていただければと考えております。委員の皆様には,これまでの審議経過を踏まえまして,今回の中間まとめの案文について御議論を是非いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局から資料について,まず説明をお願いします。
【新田主任大学改革官】  それでは失礼いたします。資料の1,高大接続システム改革会議中間まとめ(案)というものを御覧いただければと思います。前回と同様(案)とございますけれども,8月5日の版から頂いた御意見等も踏まえまして修正をさせていただいた2回目の案ということでございます。これを基に御説明させていただきます。
 本日,御議論いただくために加筆・修正した部分を中心に御説明させていただきます。まず開いていただきまして,3ページから御覧いただければと思います。3ページが中間まとめの背景と目的ということでございますけれども,例えば一つ目の丸の4行目,「地方創生への対応等」といったワーディング,それから二つ目の丸の下から2行目,「グローバルな環境」等ということで,前回,地方との関係,それから国際との関係について御発言ありましたので入れてございます。それから二つ目の丸の2行目,「答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだして」,前回,「答えのない問題」というワーディングがございましたけれども文章の精緻化で,「答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだす」としております。また,一番下の行にも,「答えが一つに定まらない問題に解を見いだしていく」という表現で直してございます。
 それからめくっていただきまして5ページでございます。5ページの大きなローマ数字の2,基本的な内容・実施方法でございますけれども,2つ目の丸,高等学校についてというところの部分につきまして,5行目からで,「このような中」から3行ほど加筆をしてございます。文章の流れの中で記述をしてございます。そして「学習・指導方法の工夫の延長上に」といった記述,それからアクティブ・ラーニングのところで「アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の抜本的充実を図るなど,学習・指導方法の改善を進めるとともに」というような,これ,後ほど御説明させていただきます。それと「小中学校段階を含め」といった記述を加筆してございます。
 めくっていただきまして6ページでございます。6ページで,今度7ページの方を御覧いただきますと,段階を踏まえた着実な実施の(2)のところで,三つ目の丸,「次期高等学校学習指導要領については」という段でございますけれども,7ページの1行目の「このため」以降,5行を付け加えてございます。これは下の方の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」についての段階に関する記述があったのですが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の31年度から,それから34年度,35年度からという段階実施の話の記述がございませんでしたので,平衡をとるために記述を加筆してございます。
 めくっていただきまして8ページでございます。ローマ数字の3の具体的方策における1.高等学校教育改革の(1)でございますが,これ,従来,「課題の発見と解決に向けた生徒の主体的・協働的な学びの推進」という表題でございましたが,内容が実は高等学校改革の全体的な基本的な考え方に関する記述になってございましたので表題を改めるとともに,そのような内容になるように,三つ目の丸に,「そのために必要な力を育むため」という以降の文章,それから四つ目の丸,「このため,今後は」ということで,「具体的には」ということで「ア.育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目等の見直しなどの『教育課程の見直し』を図るとともに,イ.アクティブ・ラーニングの視点からの『学習・指導方法の改善』と教員の養成・採用・研修の改善を通じた『教員の指導力の向上』,ウ.学習評価の在り方の見直しや指導要録の改善などの『多面的な評価の推進』」といったこと,これらについて,かなり文章を書き直してございます。この内,アクティブ・ラーニングにつきましては,アクティブ・ラーニングという言葉と,それから学習,学習・指導方法,これらの改善といった内容等について,言葉が若干精緻さを欠いておりましたので,内容を整理して精緻化するとともに, 8の注でございますけれども,「『アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善』とは」ということで,注釈を新たに書き加えてございます。
 それから次のページで,(1)の一番後のところで,次のページの2行目からの丸ですけれども,ずっと流れてきまして,「これらの三つの観点から取り組む改革をそれぞれ密接に関連付けながら」「PDCAサイクルの構築を図ることをもって,高等学校教育の質の全体の確保・向上を実現する」ということで,この(1)の結論として付け加えてございます。
 (2)改革の方向性のところからが,アの教育課程の見直しでございますけれども,一番後の行,「特に,国語科,地理歴史科,公民科等々」と書いた次のページでございますが,3行目からの「例えば」以下,「例えば,地理歴史科においては,『世界史』の必修の見直しにおいては」と書いて最後のところ,「科目『公共(仮称)』を設置する」というところまでを加筆してございます。これは後ほどのところで理数探究といった科目の新設等につきましては記述がありましたけれども,ここのところの必履修科目の見直しについての記述がございませんでしたので,中央教育審議会教育課程企画特別部会の記述の動きと並びをとって記述を加筆したということでございます。
 それから2つ目の丸の「このため,必履修科目に関する見直しとあわせて」というところで,「スーパーサイエンスハイスクールにおける」ということで,「数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う選択科目」としか従来書いておりませんでしたけれども,これが「数理探求」という名前の仮称で新設されるということですので,これを名前の方,付け加えてございます。
 それから次のイの学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上というところですが,従来,ここの欄が,教員の指導力の向上のみについて記述をしていたというところについて,「学習・指導方法の改善と」ということで,一つ目の丸,それから次のページの,イの二つ目の丸になります。次のページの一つ目の「このような中で」といったところの二つの丸の部分を付け加えてございます。これは従来,前のところの教育課程の見直しと,それから教員の指導力の向上の間に学習・指導方法の改善という論点が入るわけですが,ここを改善するものとして付け加えた上で,そのような「学びの質や深まりが重要」であって,そのような中で「いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善を図ることが必要」で,それで「自らの指導方法を改善」するということが求められ,「以下のような視点に立って」ということで,1,2,3とあって,こうした力量をということで教員の指導力の向上の方の記述の流れに改めております。
 それからページをめくっていただきまして12ページ,それから13ページからが「高等学校基礎学力テスト(仮称)」ですが,何か所か言葉の語調を直した程度でございます。
 それから14ページでございます。入学者選抜機能の低下のところで推薦入試・AO入試に関する記述がございましたので,注の20として,AO入試それから推薦入試についてのそれぞれ制度の概要及び現状ということについて注釈を付けてございます。
 それから丸の4,高等学校段階の基礎学力を評価する新テストの創設ということで,「このような中」ということの,次のページですけれども,「このような中,社会で自立し,社会に参画・貢献していくために必要な力など」とあって,次の丸のところでございますが,実はこの間に,下に注の23になりますが,本高大接続システム改革会議としての内容が記述されておりましたが,これは従来の高大接続改革答申,それから中央教育審議会高等学校教育部会の報告の中で書いてあったことなので,それはそのようなものとして記述した上で,次の「各学校においては,本テストを活用しつつ」,「確実な育成を目指すとともに」「指導方法の改善を図ることなどを通じて」「資質・能力を確実に育んでいく」ということで,本文で流れを受けたという記述にしてございます。
 それからイの基本的事項からでございますが,ここの部分については,まず丸の2,対象者でございますが,4行目,「高大接続改革答申等も踏まえ,希望参加による実施とする」ということで記述を改めてございますが,これは前回,それから「悉皆(しっかい)による実施ではなく」という言葉が入っておりましたが,「希望参加による実施」ということと「悉皆(しっかい)」という言葉と,それから次の丸のところに出てくる「できるだけ多くの学校や生徒」に参加してほしいという考え方につきまして議論がございましたので,内容を整理したということでございます。
 それからもう一つ,対象者一つ目の丸のところの5行目ほどに「基礎学力」という言葉が出てきますが,これは従来,ここから後ろのところで「基礎学力」それから「基礎的な学習」それから「学力の基礎」といった言葉が散在しておりましたので,それについて,この後ろから整理をして記述をしてございます。 あと次のページ,16ページ以降,16,17,語調を整えたぐらいです。
 18ページのところでございますが,多様な出題・解答方式の導入ということで,記述式の導入に当たっての課題の中で信頼性の確保というところに対して,注釈として「適切な評価基準」と,それから「採点者の研修」といったことの必要性ということを書いてございます。これは後ほど御説明いたします。
 それから19ページ,めくっていただきまして20ページでございますけれども,前回,注の29でございますが,IRT(Item Response Theory 項目反応理論)について御発言がありましたので,IRTについての内容の注釈を付け加えてございます。
 それからめくっていただきまして22ページからということですが,前回,22ページの丸の6,活用の在り方の三つ目の丸のところで,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と,それからその前段階における義務教育における学力・学習状況調査,これらについて学習の定着度の把握と改善を図る仕組みということとの共通性と,またそれを段階ごとに整備をしていくことの必要性という発言がございましたので付け加えてございます。
 それから,その2つ下の「なお,『高等学校基礎学力テスト(仮称)』の問題等を通じて,直接,生徒や教員に高等学校学習指導要領が示す考え方が伝わることや」という丸でございますが,2行目後ろから「テストの結果とともに指導改善に役立つ情報を提供することなどを通じて教員の指導向上にもつながることから」という記述を加えてございます。これは先ほどの採点者の研修の話と一緒でございますが,前回,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施と,それから教員の指導力との関係性について御発言がありましたので加筆をしたということでございます。
 それから指導改善に用いる場合という記述のところで,次のページ,23ページ目でございますけれども,23ページ目の三つ目の丸,「また」のところでございます。ここは加筆してございます。前回,PDCAサイクルの確立ということと,それからそこにおける設置者の役割ということが,これが積極的に求められる,支援の役割が認められるという御発言がございましたので付け加えたものでございます。
 順次めくっていただきまして,24ページ,それから25ページ,26ページ,語彙の調整でございます。
 27ページからが大学教育改革でございます。大学教育改革(1)大学教育改革の必要性,2つ目の丸のところで,3行目「質的転換に取り組む必要がある」以降でございます。「地域社会,国際社会,産業界等社会のあらゆる分野」ということで4行加筆してございます。これは前回,地域それから国際社会との関係性についての御発言があったことで加筆をしてございます。
 めくっていただきまして28ページでございます。28ページで三つのポリシーですけれども,ウの三つのポリシーに関するガイドラインの策定のところで,一つ目の丸の一番後の4行目から,「また,三つのポリシー,さらにはアドミッション・ポリシーと入学者選抜方法との関係が不明である大学が多く見られる。」,これを加筆してございます。
 それから次のページ,29ページ,それから30ページ,31ページ,32ページ,33ページと順次,特に大きな変更等はございません。
 34ページからが大学入学者選抜の改革でございます。(1)個別大学における入学者選抜改革ということで,34ページから,そして35ページのところで評価方法の例が1,2,3,4,5,6,7,8,9とございまして,9のその他で,注の43のところで「例えば」ということで,「総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料などが考えられる」ということで注釈を付け加えてございます。
 それから,めくっていただきまして36ページ目でございます。36ページ目,イでございますが,これは前回,御議論がありました。前回は特に入学者選抜が機能しなくなっている大学における入学者選抜の改善等ということで,入学者選抜が機能しなくなっている大学とはどういう大学なのかということで御議論がございましたので,それに合わせて文章を,名称を変えていることでございます。そしてその中で,それに合わせて文章,表記を変えてございますが,特に四つ目の丸の7行目,「このため」以降です。入学者選抜で学力の評価が十分行われていない大学においてもということで,「例えば,小論文,口頭試問,プレゼンテーション等を活用して,『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』の評価に取り組む必要がある」ということを加筆してございます。そして「また」ということで,調査書をより活用して学力についてもきちんと判定をするということについても次の段落で,その重要性について加筆をしているということでございます。
 それから次のページ,37ページでございますけれども,37ページ6行目ほどからの一つ一つ目の丸,「さらに」ということで,こういったことについて認証評価でも評価を明確に行うことが重要であるということで,この丸を加筆してございます。
 次のページ,めくっていただきまして38,39,大きな加筆がございません。39,40,それから41,42,これ以降,43,44,45,幾つか語調を整えたところはございますけれども,大きな変更はございません。
 以上,前回の御議論を踏まえた加筆のところでございます。以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
 それでは,今,事務局から説明のありました事項につきまして,御意見,御質問をいただければと思います。どなたでも結構でございます。16時50分ぐらいまではとれると思いますので,札を立てていただいて,御質問,御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 羽入委員,お願いします。
【羽入委員】  ありがとうございます。前回,発言させていただきましたときにアクティブ・ラーニングの件についてお話をいたしましたが,それについて検討いただき,注として加筆していただきましてありがとうございます。
 もう1点ですが,これは私だけの感覚かもしれないのですけれども,高等学校教育改革と大学教育改革と,それと大学入試改革という三つのものを一体的にというのが大前提だということはよく理解できるのですが,ここで記述されているその記述の仕方として,高等学校について書かれている,そして大学教育改革の必要性についても書かれている。その大学入試改革は,この二つの改革との関連で,ここでは取り上げているのだというようなことだとしますと,もし可能でしたら,例えば5ページがございますが,ここに高等学校がどのようなものか,それから大学教育がどうかということと,四つ目の丸になりますけれども,大学入試選抜についてはと書いてありますが,これがその前の二つの丸と関係しているということを少し記述してもよいのではないかと思いました。高等学校教育のシステム改革,それから大学教育改革との関連で大学入学者選抜について考えると次のようになるという,その三つ目の関連性が,どうも私には並列ではないように思ったものですから,御検討いただければ幸いです。
【安西座長】  ありがとうございました。大変大事なポイントだと思います。今の点について,ほかの方,いかがでしょうか。5ページの白丸四つ目のあたりのところ,三つ目と四つ目のあたりといいましょうか,もう少し三つの改革の関係を,特に大学入学者選抜について,教育とどういう関係があるのかということを書き込むべきではないかということでございますが,おっしゃるとおりだと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 この中間まとめの構造として,私の理解では高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜とこういう順序で本文が並んでおりまして,それは恐らく教育改革をむしろ前面に出しているのだと思います。ただ,入学者選抜については,やはり日本の社会の仕組みといいましょうか,その中で非常に浸透したものでありますし,高等学校教育,大学教育との関係は非常に深いものでありますし,なぜ大学入学者選抜を教育との関連で行わなければいけないのかということを5ページのところに少し書き込めれば大変有り難いと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 ほかには,いかがでしょうか。
 片峰委員,お願いします。
【片峰副座長】  それでは,大学入学者選抜の件に関して少しコメントと御質問をしたいと思います。一つは,今回の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の記載が39ページからございます。しかしながら,ここは非常に大きなチャレンジということで,40ページ,具体的な制度設計の考え方のところにも書いてございますけれども,これから検討して具体的な制度設計に取り組むという書き方になっています。その中で大学関係者を中心に,このテストの具体的なイメージというのは全くつかめないという意見がたくさん出ています。もう一つは,この間の議論で明確になったのは,もう一つの共通テスト,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方,これは入学者選抜というよりも高等学校の生徒のいわゆる中位より下の,いわゆるボリュームゾーンと言われるところの学習意欲を喚起すると,そこに最大の目的があるということで,このテストはどうも国立大学を中心に入学試験には使えないのだろうというのが一つの結論でよろしいのではないかと思います。
 そういう二つの背景の中で,34ページから35ページのところに,個別大学における入学者選抜改革に関する,いわゆる選考方法の例示がございます。ここに,いわゆる三つの学力の中のいわゆる知識とか技能とかいうものを大学としてはどういうふうに評価したらいいのかというのが非常に悩んでしまうというところがあるわけです。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は使えない。新しい「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」というのはまだイメージがつかめないと。そういう中で当面は従来の科目別の試験を,いわゆる新しいテストの評価が定まるまでは,やはりやりたいという大学がほとんどだと思います。そういった意味で,ここの記載が少し大学に誤解を与える可能性があるというのを一つ危惧します。それが一つです。
 もう一つは,38ページにございますけれども,この前もここは少し私も質問いたしましたが,新たなルールの構築についてです。ここも,より具体的に書き込んでありますが,しかしながら,いわゆる入試の区分により入試時期を変えるという考え方から,入試の方法で時期を変えるという考え方に変えられています。ここも非常にたくさんの誤解がありまして,従来の国立大学で言えば分離分割して,要するに学生定員を分離分割するということで対応してきました。前期・後期入試あるいはAO入試,推薦入試という形で。学生定員の配分,分離分割と,この入試方法による入試時期の分割という考え方の整合性に関してそれぞれの大学によって受け取りが違います。例えば入試方法によって学生定員を割り振るという考え方をされる大学もあります。あるいはもう今までみたいな分離分割は新しいルールの中では不可能であるという考え方をされる大学もあるわけです。そういったところでもう少し丁寧に書いていただければ有り難いです。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。この点,今,片峰副座長が言われたことも大変大事なところでございますけれども,これに関してほかの方,何かありますでしょうか。
 中間まとめ,今までのところは全体のやはり改革の骨格について固めてきた,そういう面はありまして,今後,今,片峰副座長の言われた,特にテストの内容あるいは問題のイメージです,これをやはりきちんと出していく必要があり,そのためには,今新テストワーキンググループで岡本委員が座長として進めていただいておりますし,それから問題について,一方で作業のグループもありまして,いろいろな議論をかなり具体的に進めているところだと思います。この中間まとめの,本日の段階を過ぎましたら,議論はそういうところに入っていくと理解しております。
 それからもう一つの日程等々につきましても,やはり具体的にそれぞれの大学設置形態にまたいろいろ違いますし,あるいは高等学校のこともありますけれども,具体的に現場ともいろいろな意見交換をしながら詰めていくというのが本日以降の課題になってくると認識しております。
 文部科学省の方はいかがでしょうか。
【橋田大学入試室長】  先ほどございました学力の3要素と選抜方法との関係につきましては,今後アドミッション・ポリシーのガイドライン等も作ってまいりますので,関係方面の意見も聞きながら,イメージが分かるようにしていきたいと思っております。
 また,先ほどの入試の新たなルールの構築のところにつきましても,今の段階ではこの記載ぶりでございますけれども,実際,2次試験との関係ですとか,スケジュール感も含めてどういった形でやっていくべきか。ここは,大学関係者のみならず高等学校関係者も含めて意見を聞きながら,整理を進めていきたいと思っております。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
 金子委員,お願いします。
【金子委員】  これ,前回にも少し申し上げましたが,今度の高大接続システム改革会議中間まとめというのは,具体的な入試改革に向けての基本となる論点を固めるという意味で非常に重要だと思いますが,それで,中身についてはかなり立ち入った議論がこれまでよりも更に大きくされていると思います。ただ,かなり基本的な点について,少し私は省略した印象を少し受けますけれども,やはり3ページ,4ページのあたりで,なぜこういった改革が必要であるのかということについて,もう少し議論があってもいいと思いますのと,特に少し申し上げたいのは5ページ,6ページ,7ページのところですが,一体改革にどういう意味があるのかということはやはり非常に重要な点であると思います。この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と,それから接続試験として,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」については,一体に進めていくということが今非常に重要です。特に2020年,平成32年を目途にしてこれを行うということが,これ,原則としてこれまでも議論されてきましたし,様々な困難があるわけでありますけれども,これについては一応了承されていると思いますが,その言い方が,6ページから7ページに掛けて,これ,前回申し上げたと思いますが,まず基本的にはやっぱり平成32年度から実施ということをきちんと書くのが原則ではないでしょうか。ここに書いてあるのは,高等学校の学習指導要領と多少ずれるので,そのために仮実施ないし本格実施という期間ができるということを書いてあるわけでありますけれども,それはそれで当然そうだとは思いますが,基本的には平成32年度を目途に本格実施を行う,その姿勢でもって重々進めていくのだということが明確に文章として表れているべきだと思います。以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。一体改革の意義というのは,先ほど羽入委員のおっしゃったことと通じるところがあると思いますので,そこはもう少ししっかり書かれるべきだと私も思います。
 それから7ページにあります今後の2020年あるいは2024年等々のことについては,文部科学省の見解をお聞きできればと思いますけれども。今の金子委員の御意見について。
【金子委員】  特に少し,申し上げたいのですけれども,下から7行目で,「また,平成32年度から実施される」と書いてあるのですが,その「される」というふうな,もう既にこれ,受け身になって,既成事実であるかのごとく書いてありますけれども,実はこの中間報告ではそれをやるということをきちんと本当は,この報告自体の趣旨として述べなければいけないのではないでしょうか。
【橋田大学入試室長】  御指摘の点を踏まえまして,少し書きぶりを検討させていただければと思います。
【安西座長】  どういうふうにするということでしょうか。
【橋田大学入試室長】 32年度から「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施していくことを打ち出すような形で修正することを検討させていただければと思います。
【安西座長】  検討というか平成32年度から実施するということをこの会議でもってこの中間まとめに入れるということをここで了解いただく必要があると思いますけれども。今から検討すると言われるとどうかと思いますが。それは皆さまの御意見だというふうに,御意見を伺った方がいいと思いますけれども。中間まとめとしては平成32年度から,この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施すると,こういう中間まとめにしたいということだと思いますが。
【塩見大学振興課長】  よろしいでしょうか。
【安西座長】  はい。
【塩見大学振興課長】  「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」につきましては32年度から実施ということで御議論いただいておりますので,「される」というような受け身ではなくて,もう少しはっきり書くということは修正させていただけたらと思っておりますし,一方で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につきましては平成31年度からの導入ということで,試行的に導入ということで考えておりますので,そのあたりも同様に,その実施時期が明確になるような,より適切な表現にするという方向で修正をさせていただけたらと思っております。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
 山本委員,お願いします。
【山本委員】  中央教育審議会の答申を踏まえた形で,この高大接続システム改革会議のまとめとしては随分大部のものになったのですけれども,非常に意欲的に書かれていて,ここでの議論が反映されたようなものになってきたという感じがしております。
 それからIRTのこと,CBT(Computer-Based Testingの略称。コンピュータ上で実施する試験)のこと,それから記述式といったようなことが,いろいろ意欲的な取組が書かれているということで,実現していく方向で進めないといけないと私も考えておりますが,1点だけ少し。冒頭に安西座長が言われましたように,岡本委員を座長とする専門家の新テストワーキンググループであったり,あとフィージビリティーに関する検証事業等も動いているということですので,そこで是非,最終的なまとめまでに是非お考えいただいておく必要があるのかというのが,財政的なことです。経費的なことです。検定料については,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方では数千円程度,受検者から徴収すると。この徴収することがどうかという議論もあろうかと思いますけれども,それが一つ。それから「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の方では適切な価格を設定すると書いてございます。ただ,先ほども申し上げましたように非常に意欲的な取組がいろいろあるわけでして,こういったことについてのコストといいますか初期投資費用,それから実施経費も現在の大学入試センター試験に比べるといろいろなことが,例えば記述式だといろいろな,採点に要する時間的なこと,それから採点者の確保の問題,あるいは実施に関わる経費,人材確保,こういったことについては全く現段階では触れられていないわけです。ただ,最終的なまとめに至るときには,一定程度,財政的な見通しを持った制度設計というものをやっぱり提案していかないといけないと考えますので,是非,先ほどのワーキングあるいはいろいろなところの検証事業の中で一定のコスト算出もしていただきたい。こういったところであればこのぐらいのことになるとかですね,もう少し目に見える形のものをやっぱり提示しないと,これ,お金どうするのという話になったときに,絵に描いた餅になってしまうのではないかという批判を免れないなということがありますので,是非その辺は十分な検討が必要だろうと思います。今回のまとめ案については,これでもちろんやむを得ないと思いますけれども,是非この後半年の間に,その辺はきちんと詰めていく必要があるかと感じております。
【安西座長】  今,山本委員の言われた財政といいましょうか,受検料からテストの実施に要する費用その他の予算,お金の面については非常に大事だと個人的にも理解しております。この点についてもやはり最終報告書に向けて,ここで議論されてしかるべきだと思っておりますが,今ずっと出てきましたことで私が自分の考え方を申し上げておりますけれども,是非皆様からも御意見をいただければと思います。大変大事な問題を御指摘いただいたと思います。
 この点,文部科学省はいかがですか。
【橋田大学入試室長】  今回,中間まとめで方向性を一定程度示されておりますけれども,これを踏まえて実際どういう形でCBT,記述式等の組合せをやっていくのか。採点体制を含めてどうやっていくのか。幾つかシミュレーション等をしながら進めていく必要があると思っております。この点については,実務的な検討の場を設けるなりして,シミュレーションを行いながらコスト試算や実現可能な体制等を検討していきたいと思っております。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
恩藏委員,お願いします。
【恩藏委員】  私学の立場で少し御質問させていただきたいと思います。39ページの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のところの対象者を先ほど少し見ていたのですけれども,例えば現在の大学入試センター試験ですと,大学によって導入しているところもあれば,そうでないところもあります。また特定の大学の中でも学部によって導入していたり,していなかったりといろいろあるわけです。つまり,私立大学の立場として,どういう形で我々はこれから取り組むのかよく分からないというのが一つです。これに対して,もう一つの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,15ページのところで,何度か議論にも上がりまして,悉皆(しっかい)か希望かということで,ここでは希望参加という形になっております。今後の,最終段階でもう少し明確にされるのかもしれませんが,もし現時点で何か方向性があれば,お示しいただいた方がいいかと思いました。以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
 文部科学省,お願いします。
【橋田大学入試室長】  39ページのアの導入の背景の二つ目の丸に書かせていただいておりますけれども,個別大学の選抜につきましても,この三つのポリシーに基づいて,「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力」,「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」,この三つの要素を多面的・総合的に評価していただくという前提でございます。そのための方策として,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の積極的な活用が重要になるということで,完全に義務化することは難しいのではないかと思っておりますけれども,できるだけ使っていただけるようなテストの在り方を考えていきたいと思っております。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
【恩藏委員】  今,座長から御意見を求められましたが,要するに現時点では全てではなくて,できる限り利用させていただくという理解でよろしいわけですよね。
【橋田大学入試室長】  私どもとしてはそういうふうに考えておりますけれども,そこの点を含めて委員の皆様で御議論いただきたいと思っております。
【安西座長】  よろしいでしょうか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では小林委員,お願いします。
【小林委員】  先ほど高等学校教育と大学教育と入学者選抜の一体的な改革のつながりがいま一つだというところがあったと思いますが,以前の,12月22日の高大接続答申のときには,本日参考資料の2でお配りいただいております初等中等教育から大学教育までの一貫した接続イメージというところの図の一番右側に,「『生きる力』『確かな学力』を義務教育段階から確実に育成する」というような表記があったと思いますが,これがなくなっておりまして,やはり幼稚園・保育園から義務教育段階,それから初等中等,大学まで一貫した,この「『生きる力』『確かな学力』を育成する」という考え方のベースが抜けているのではないかと思っております。その中で確かな学力を構成する要素として学力の3要素というのが記述されていたと記憶しておりますので,これの関係性をもう少し明確にした方がいいのではないかと私は思います。
 もう一つ,重要な学力の3要素ですが,ここでは十分な「知識・技能」,それを基盤にした「思考力・判断力・表現力」,それから三つ目に「多様な人々と協働して学ぶ多様性・協働性」というところが出てきていますが,学校教育法の第30条でいきますと,これが,三つ目のところは「主体的に学ぶ態度」となっておりまして,若干解釈のし直しが入っていると思います。こちらの,先日20日に出ました中央教育審議会教育課程企画特別部会の論点整理の中でも,学力の3要素というのは学校教育法上の三つが入っておりまして,その中の三つ目は「主体的に学習に取り組む態度」となっております。ここら辺の三つ目の「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」というのをどのように位置付けるのか。これは何か学校教育法上変えるのか,それとも何か解釈や定義をここに付けるのかというところをどのようにするか,少し教えていただきたいと思いまして御質問でございます。
【安西座長】  私ばかりが,お答えしているわけではないのですけれども,申し上げて恐縮ですが,この中間まとめ(案)では,今,小林委員の言われた,特に小学校・中学校との関係がほとんど何も書いていないというのは気が付くところであります。そのことと,やはり今,小林委員の言われました,昨年12月に出ました中央教育審議会答申で,特に「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」でしょうか,そういう言い方等は学校教育法の「主体的に学習に取り組む態度」という文面と違うのです。それがなぜ違うのかということについては中央教育審議会答申,中央教育審議会での議論で相当いろいろやってまいりましたが,そのことがこの中間まとめには全く反映されていないのです。そういうことは私,中央教育審議会答申に関わっていたということもありまして,かなり気が付くところであります。今,こういう文面で案になっておりますけれども,今言われたことを,やはり分かりやすく書き込んだ方がよければ,そういうふうにさせていただいた方がいいのではないかと思います。
 学校教育法ですから法律ですので,それは厳然と法律であります。一方,答申で文面が変わっておりますのは,私の理解ではやはり多様な人々と協力して生きていくということが,これからの国境の壁が低くなってきている時代には大事だということが反映されているのだと思っております。
 そういう意味でも初等中等教育と,初等中等教育に含まれますけれども高等学校教育,それから大学教育がどういうふうに今後関連していくべきかということをやはりこの中間まとめにも多少入れた方がよければ,その方が分かりやすいのではないかと私も思いますが。
【塩見大学振興課長】  安西座長。
【安西座長】  塩見課長,お願いします。
【塩見大学振興課長】  今,御指摘いただいた学力の3要素の点についてですけれども,今,安西座長からお話がございましたように,12月の中央教育審議会の答申におきましても学校教育法の学力の3要素ということについては明らかにした上で,更に今回,高等学校から大学まで通じてということでございますので,学校教育法の3要素は基本的には初等中等教育におけることについて規定してた部分でございまして,むしろ大学まで発展させて考えたときに,社会で自立して活動していくために必要な力という観点から捉え直しということで,ここでもう一度吟味をして言葉遣いを変えたという経緯がございました。今回の中間まとめにおきましては,この答申の基本的な学力の3要素の考え方を継承して議論いただいたということで,今回このような形になっているというところでございますが,御指摘のように少し説明が足りないところがあると思いますいので,補わせていただければと思っております。
【小林委員】  先日発表になった中央教育審議会教育課程企画特別部会の論点整理のところには,そこが整理されて入っていませんので,両方読み比べると少し違和感があるので,答申の中身は非常に理解しておりますが,そこら辺が分かるような記述にしていただけるといいかなと思います。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
 金子委員,お願いします。
【金子委員】  これは文章そのものの問題ではなくて,文部科学省にお聞きしたいのですけれども,今回の中間まとめは高大接続問題に限らず,高等学校教育についても大学教育についてもかなり踏み込んだ言い方をしていると思います。一つ,やはり問題になると私が思いますのは「高等学校基礎学力テスト(仮称)」ですけれども,この書き方は今度の指導要領の変化にもかなり細かく配慮した言い方ではありますが,しかしもともと,この議論が出てきた初発の問題関心は,学習指導要領自体が悪いから問題だと言っているのではなくて,むしろ高等学校に関しては非常に学力格差が広がっていると。だからこの学力の広がりをなるべく抑えるというか,少なくとも基本的な点を押さえるようなことが必要である,そのために何らかの手段が必要であるというのが初発の関心であります。それがいつの間にか学習指導要領の変化の議論にかなり引きずられてしまったように私は感じるのですけれども,むしろ重要なのは学習指導要領にかかわらず新しいものができたとしても,やはりかなり大きな高等学校間格差は残るわけでありますから,その問題についてどう考えるのかということは,私は非常に大きな問題として残るだろうと思います。これに関して,ただ,この試験の問題だけで議論するのはおかしいというのは,私もそれはそのとおりだと思いますが,こういった点に関してどのように今後議論をされていく体制をとられるのか。例えば中央教育審議会でそういった議論が行われるのかといったことについて伺いたいと思います。
 それからもう一つ,大学についても,先ほどから幾つかお話が出ていましたが,今回,この標準テストができるということにしても,それをどのように活用するのか,あるいは学内でどのように使うのか。これは一体改革でこういったことをやるべきだという議論はここに書かれていますし,それがないと新しい標準テストは生きないという議論は分かりますが,そういったものを大学がどのようにしたらやるようになるのか。大学はそれを生かすためにどのような体制が必要で,それをどのような形で誘導していくかといった点について,この高大接続システム改革会議以外の点で何らかの形で議論がされるようになるのでしょうか。そういった点について伺いたいと思います。
【安西座長】  この点は文部科学省にお聞きすべきだと思いますが,個人的には私も文部科学省に同じことをお願いしておりまして,いろいろなところで,この会議に関連した議論が進んでいる,あるいはこれから行われるのではないかと思いますので,そういった議論との関連性を適宜やはり委員の方々に御理解いただくようにした方がいいのではないか。例えば認証評価制度の改定といいましょうか,それについても中央教育審議会で行われると思いますけれども,そういうことが余り,この中に書いてあるのですが,余り我々の間で理解されていないのではないかとも思います。ほかにもいろいろな議論があると思うので,できれば文部科学省側でそのあたりの,どういう議論が並行して進んでいるのかということについては配慮していただければ。情報について,こちらへ頂くことを配慮していただければ有り難いと思っておりますが。
【小松初等中等教育局長】  初等中等教育局から少し,今,御質問のことについてお答えをしたいと思いますけれども,まず高等学校教育,お話の初発の問題意識との関連で申し上げますと,高等学校教育というものが非常に普及をして,高等学校教育としての目指すところというのは制度としてきちんとありますけれども,一方において多様な需要や多様な方向性,資質を持ったお子さんたちが入ってくる。社会に出て,社会の成員としてきちんとした責務を果たしていただくということも含めて,非常に多様な発展をするということも求められる機関になっているわけでございます。そういう意味では,例えば高等学校のいわば無償化ですが,こういった政策も膨大な公費を入れるわけですけれども,事実上の皆教育としての位置付けもはっきりしてきているということがありますので,他方では多様性,資質や動機等に合った教育を提供しなければいけないということがございます。また,この内,大学に進学をする方たちは,5割とか,短大を入れると6割とかそういうことになり,それ以外にもほかの道へ行かれる方,あるいはほかの進学をされる方,あるいは就職をされるという方もありますので,これまた小中学校とも少し違う対応をしなければならないということがまずございます。こうした中で,高大接続ということと絡みまして,就職される方等も含めて,高等学校として独自にきちっとした学力を付けなければいけないという点と,それから大学に進学して,更にそうした大学の目的に沿って学ぶのに必要な資質をきちっと身に付けなければいけないということとの間をどう整理するかということは,これは高大接続の問題として取り上げられてきているということでございます。余り長くなってもいけませんが,この議論の過程では,中央教育審議会高等教育部会を設けまして, 一つは高等学校の今後の教育の在り方,あるいは学力保証の在り方という方向性は示していただいております。これは高大接続の答申にも反映をしており,現在行われている学習指導要領の全面改定の議論にも反映をいたしております。ただし,学習指導要領は,いわばナショナル・ミニマム・スタンダードとしての教育課程の内容構成,それから授業方法論等を基本的に扱うものでございますので,その全部にそれで応えるわけではないということは御理解いただきたいと思います。ただし今回は,それがアクティブ・ラーニングとかという言葉に象徴されておりますように,今までの価値観とか比較的一律の考え方からは脱却していこうとしておりますので,必然的に学習評価の問題を伴います。そこで今回の中間まとめにおいては,学習評価の問題の基になるところまでは御議論が詰められておりますけれども,今後,その学習評価等については,更にやり方等を詰めていくこととしているというのがまず流れでございます。これらにつきましては来年度末までに,今のような流れの中で議論を整理していきたい,今のこの学習評価に一番関係するところだと思います。
 この,今回おまとめいただいております中間まとめの今までの御理論の中で,あるいは去年12月の答申においても同じような御議論が行われてきたと思いますが,その高等学校教育における,先ほど金子委員がおっしゃった初発の問題に関連するところ,今,私が御説明しましたところに関連するところは,本日の資料の45ページの裏をめくっていただきますと,一つは高等学校教育,この教育内容の見直し,学習指導要領の改訂,それから方法論のお話,そして多面的な評価の推進というところがございます。底上げは,全体が絡みますけれども,高大接続の特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」等との関係で言えば,この評価の推進のところが一番関係が深いと思います。この評価につきましては次のページ,ページというか同じページの下ですけれども,青と赤と緑による図で相関関係が示してありますが,この多面的な評価の緑のところの書いてあるところを見ていただきますと,学習評価の改善,これは日頃の授業その他を通じた学習評価の改善,それからそれを測定するためのツールの改善,この中には,例えば校長会等が実施する検定試験のように,先ほどの話でいきますと専門高等学校とか,そういったところが特に求めるものもありますし,各種民間検定試験のようなものもあります。こういう中で,高等学校の共通的な,最も基礎的な,いわば学習の定着状況を測るツールというものが一番欠けているのではないか。これが高等学校の方々も含めて,一緒になって高等学校教育の掲げている目標に向けてしっかりしたものが作れれば,それは非常にいいのではないかと。これは高等学校部会でも議論をされたところでございます。その部分を扱おうというのが今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の部分だと考えております。
 もう1点だけ申し上げますと,その次のページをめくっていただきますと別添資料3というのがございます。本日御議論がございました義務教育,このお皿みたいなやつ,何か聖火台みたいなやつですけれども,この下の義務教育段階からつながってくるところがあって,その右側に日常的な評価というのがありまして,今のその中の様々なツールがある,その中の「高等学校基礎学力テスト(仮称))」として今回の高等学校そのものとしての学力の定着と大学への進学等に必要な底力といったものを共通に測る尺度を開発できないかということから,これにアプローチをしようということで,別添資料4の,これをPDCAサイクルにうまく乗せて,高等学校における指導の改善に結び付け,それがうまくいっているかどうかをまたこれで測るという一つのツールを作ろうということです。
 少し説明が長くなって申し訳ありませんが,私どもこういう順序で考えておりまして,このツールの測定の部分と,それから学習指導要領の内容・構成・方法論,そしてそれと結び付いての学習評価のさらなる議論の詰め,これを大体並行して,あるものについては今年の冬ぐらい,あるいは学習指導要領全体で言えば来年度一杯というようなスケジュールの中で総合的にやりたいと思っております。
 なお,一言だけ付け加えさせていただきますが,教員養成につきましても,併せて中央教育審議会教員養成部会で中間まとめが出たところでございまして,これをさらして御議論いただきながら,今のようなものが教員の力量によって先へ進めるような枠組み,あるいは条件整備を努めるという議論が進んでいるところでございます。
 長くなりまして申し訳ありませんでした。
【安西座長】  ありがとうございました。
 金子委員,どうぞ,お願いします。
【金子委員】  今おっしゃったこと,大変よく分かるのですが,ただ,私が申し上げたかったのは,かなり高等学校教育の在り方について,今までと考え方を変えて,かなり大きな変換を持ち込みたいというお考えであると受け取るのですが,ここの場は,基本的には高大接続のテストを考える場であります。それは,実際に高等学校教育の改善を行う,そのものを議論する場では必ずしもないと思います。もう一方で,今おっしゃったような高等学校教育の改革を議論しているのは,私も感じていますのは,教育課程の改革の議論の中でそういったことが行われているということです。ところが私,去年,おととし掛けて,中央教育審議会高等学校部会というのが初めてできまして,そこで議論したところの印象を申し上げますと,教育課程そのものの問題では律しられない問題が非常に大きい。やはり高等学校間の格差が大きい。それから高校生の実態,それから高等学校の先生の実態,これも,例えば今回のような改革をするのであれば,個々の教科だけの先生が新しい教育課程に応じて,それぞれディスカッションして新しい教え方を学ぶというだけではなくて,むしろ様々な科目の先生が集まって,総合して教え方を考える。例えば工業高等学校においてもそういったことは必要になってくるだろうということです。そういったことを私は感じました。
 私がお聞きしているのは,そういった議論をこれからどのような場で文部科学省としてはやっていかれるのか,それをお聞きしたかったわけです。
【安西座長】  小松局長,お願いします。
【小松初等中等教育局長】  今の御質問に端的にお答えいたしますと,今,金子委員がおっしゃったようなところに特化して,これを例えば高等学校教育,この間の部会の続きの全体を,カリキュラムとかを中心とするのではなくて,むしろ別の部分を中心にしてやるということを当面,場を具体的に設けるということは考えておりません。ただ,先ほど申し上げましたように幾つかの場面に分けて考えざるを得ないと。つまり家庭の在り方,本当は厳密に言うとそれと少し違いますが方法論や評価論,そういったものに広げて考える部分と,それからこうした測定のツールや,あるいは大学とか小中とのつなぎといったものを考える部分,それから教員の力量をどうするか。この教員の力量はどうするかにつきましては,今,金子委員から御指摘がありましたように,確かに個別の教員がディシプリンごとに方法論を改善するというのでは追い付かないところがあります。これにつきましては教員養成の中でも以前から問題になっております,例えば教科の内容構成学であるとか,教職実践演習の改善であるとか,そういったこととセットにしなければいけないと思いますが,全体を高等学校だけでやるとすると余りに膨大なものになりますので,今現在,そういう形ではなくてパーツで考えていくことにしておりますけれども,一つの中心になるかと思いますのは,少し趣旨は違うのですが,学習指導要領の今回の来年度末までの全面改定の議論の中で,一応中間まとめをこの8月末ということでほぼおまとめいただいていて,これからディシプリンごとの点検とか検討してまいりますけれども,それと同時に幼小中高の横串の検討の場を設けます。これにつきましては,中間まとめの場でも,縦と横がばらばらにやっても,多分,その問題は解決しないので,途中でクロスするような形でいろいろ考えてほしというような要請が出ておりまして,そういう形で検討の場を設けていく。そのときに高大接続なんかでも今お出しいただいているようないろいろな意見をいわば持ち込んで,議論の場を更に深めていくというようなことになろうかと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 香山委員,お願いします。

【香山委員】  先ほど小林委員から「生きる力」「確かな学力」といった言葉が抜けているという指摘がありましたが,生きる力を養う,あるいは確かな学力を養っていく上で非常に重要なのが,やはり家庭の経済だったり,家庭の環境だったりという部分が多分にあるわけですけれども,今回の中間まとめの中で,低所得者への支援策の検討について,きちんと記述してくださっていますので,大丈夫かと思いつつ,日本は相対的貧困率が非常に高い国ですので,経済力がない,往々にしてそれが学力にも影響を及ぼしているといったような状況がある中で,本当に国がどこまで支援をするのかといったことは現場の者としては非常に不安に思っております。具体的に就学支援金を支給する家庭のお子さんに関しては,無償で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を受けるようにして,ある程度国が全ての国民といいますか,ほとんど全ての国民の基礎学力を上げていく方向に動くといったことが今回の高大接続の非常に大きな目玉になるのではないかと期待しているのですけれども,そのあたりの財政的な見通しを教えていただきたい。
もう一つは,もう既に大学の方には,改革の方向性について理解を示して大学入試を改革しているところには,何がしか財政的なインセンティブを与えているのではないかと見ているのですが,今後,高等学校においても,都道府県等における教育施策の改善ということが言われた場合に,進んでこの方向性について積極的に改善を進めている都道府県について,財政的なインセンティブを与えることによって改革の加速を考えるといったようなことも必要ではないかと思いますけれども。以上2点,お尋ねしたいと思います。
【安西座長】  これは2点,文部科学省,お願いします。
【小松初等中等教育局長】  まず1点目のところでございますけれども,このテストをやるのにどのくらいのコストが掛かり,また希望者参加の中で,どのようなコストの負担を誰がするかということについては,正直言いましてこれから考えなければいけない点もございます。しかしこれは,実際に問題を開発してみて,どのようなものが適当であるかということとセットでないと,なかなか具体的な結論には至りませんので,このための調査・研究というものを,これがまとまりましたら,この方向に沿って早急に行いたいと思っております。私どもとしては,そのために必要な調査・研究の費用等につきましても,これをお認めいただけますれば,これがまとまりますればそれに沿って用意をしたいと考えております。
 その結果として,今おっしゃいましたように極力低廉であることも重要ですし,それからまた所得や進学機会との関係も考えなければいけないと思います。この問題は,このテストの費用だけではなくて,先ほど言及いたしました高等学校無償化の問題とか,それから就学支援金,奨学金,それから大学生への奨学金,こういったもの等の全体のいわば進学保障,それから貧困対策等との関係で考えていかなければいけないと思っています。いずれにしてもそれをこれからちょっと具体的に詰めてくと,もしこの方向で定まればそういう形にさせていただきたいと思っております。
 それから,先ほどお話がありました都道府県ごとにということでございますけれども,これは大学の場合は今入試のやり方とかが,相当システムが大学入試センター試験の普及とかも含めましてはっきり見えておりますけれども,高等学校につきましては,今これからの学習指導要領とかをどうするかとか,あるいは中学校と高等学校のつなぎの問題をどうするかとか,こういったことを含めて考えなければいけませんので,今この時点において特定の,熱心に取り組むところと取り組まないところをというのを県ごとにまとめて,どこにインセンティブを出す,出さないというところまでは,まだ正直言って検討が進んでおりません。これからの課題として受け止めさせていただきたいと思います。
【安西座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 河野委員,お願いします。
【河野委員】  どうもありがとうございます。前回,お休みをしてしまいましたので,多少出遅れ感がありますが,まず感想を述べさせていただきます。初回,拝見したときから今に至りまして,社会の変化や状況を大変多く入れていただき,また社会とそれと生徒たちとの関係これからの試験との関係なども丁寧に書かれていて,とてもよく背景と意図が伝わるものになってきていると思いました。特に多様性というところでは,きめ細やかに気遣った表現を例示も踏まえて入れていただいているので,大変分かりやすく思いました。
 その上で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」についてですが,説明としては,対象についてもとても丁寧に分かりやすく書かれていると思います。ただ,今後これが普及していったときに,各学校の校長先生等が導入についていろいろ悩む場面も出てくるのかと思いますので,例えば教育委員会との連携ですとか,質問できるような機会ですとか,幾つかサポート体制があるとよいと思いました。この中間取りまとめにどうのということではないですが,継続的に検討していく必要があるのではないかという感想を持ちました。
 これも中間取りまとめの後のことかもしれないのですが,普及をしていく場合に大切なこととして,例えば,まだずっと仮称となっているのですけれども,できれば早めに仮称を正式な名称にしていき,そしてできれば愛称のようなもので皆さんにも親しんでいただけるようなものを作るですとか,Q&A集のようなものを作るですとか,その後のことになるかもしれませんが,検討していくこともあるのではないかと感じました。
 それから先ほどの御意見と被るのですが,予算はすごく重要なことだと私も思っていましたので,特に試験の開発についてはしっかりとってしっかりやらないといけないと思います。やはり後でというのは,いろいろまずいこともありますから,試算していただくときにはそれなりにきちんと多めにとっていただき,その後も検証できるようなフォローできる余裕を持った金額をおさえていただいた上で対応していっていただきたいと思います。
 最後に一つ,すごく細かいことですけれども,頂いた資料の21ページのところで,本当に小さなことで恐縮ですが,上から2行目のところに,「受検することを妨げない仕組みとする」という文章がありますけれども,ここについては,現役の高校生が受検することが原則であって,それ以外の既卒の人たちが受検することも許可するという意味ですよね。ちょっと表現として「妨げない仕組みとする」というのが既卒の人を余りウエルカムしていない感じになっているように感じるので,もう少しよい表現があってもいいのかと思いました。
 以上です。
【安西座長】  最後のところだけ,文部科学省に答えていただけますか。
【河野委員】  そうですね。すみません。
【安西座長】  「妨げない」というのはどういうことですか?
【今井教育制度改革室長】  失礼いたします。この点につきましては,そもそも高等学校の教育の質保証という観点で,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の議論をしておりましたので,ベースは高校生だということを念頭に置いておりました。ただ,やはり今,河野委員が御指摘のように,それ以外の方々も受けることがあるだろうということで,そういったことも受け入れるという趣旨で書いておりましたが,表現が少し排除しないという少しニュアンスが強いので,もう少しそこは積極的な表現に変わるように修正をさせていただこうと,検討させていただきたいと存じます。
【安西座長】 多少表現は変えた方がいいのではないかと思います。
 ありがとうございました。今,河野委員の言われた,特に社会との関係です。これも非常に大事で,こうした教育改革を何のためにやるのかと言えば,やはり子供たちが将来社会で豊かな人生を歩んでほしいからだと思いますけれども,なかなか中間まとめのこの会議としては,前に中央教育審議会答申も出て,あるいは今,学習指導要領の議論もされていて,そういう大きな話が,更に前には大学について質的転換の議論も随分行われまして,今,高大接続改革というところに絞った内容の議論をここでしておりますので,どうしてもフィロソフィーといいましょうか,理念が抜けるところはあるかと思います。一方で中間まとめであるために,まだ,先ほど最初の方にありました問題の例が出ないとなかなか対応し切れない,しにくいとか,あるいは予算・財政の問題をどうするのかとか,そういったことは非常に大事な問題でありますけれども,これからのこの会議でもって是非,具体的に進めていきたいことをおっしゃっていただいているのだと思います。
 羽入委員,お願いします。
【羽入委員】  ありがとうございます。表現の問題ということで,一つ提案といいますか感想を申し上げたいと思います。改めてこれを読み手として読んだときに,高等学校の方は高等学校の部分を読むと思いますし,大学の人は大学を,そして多くの人が大学入学者選抜のところを読むと思います。けれども,まずそこを例えば読んだ場合に,34ページを御覧いただいて,個別大学における入学者選抜,アというところですけれども,そこの最初の丸ですが,筋だけ見ますと,「高大接続システム改革を実現する上で,大学入学者選抜については」,ずっと下に行って,「などの課題が存在しており,その改革に取り組むことが必要である」と書かれています。ここは,大学入学者選抜について課題があり,そしてその解決に取り組むことが必要であるということだと思います。そうすると,ではその課題とは何かということで4つ書かれております。今までの入学者選抜というのが非常に否定的に書かれていて,例えば「知識の暗記・再生」,そういった「単なる適用の評価に偏りがちで」というようなことが,「総合的に評価ができていない」とか,それから2番目は,「能動的学習を妨げる」とか,非常に否定的です。私の提案はむしろ,課題があるので,それを解決するために今ここに提案するというスタンスで書くということです。そうしますと,最初の文章は,「知識の暗記・再生や暗記した解法パターンの単なる適用の評価に陥らないようにするということが必要である」ということと,それから最後の方にあります「一人一人の能力や体験を多面的・総合的に評価できるようにする」という,それが必要だということ。こういう少し否定的なスタンスから入らないで,2番目について申し上げますと,「入学選抜の在り方が高等学校教育における能動的学習を推進させるように」とか,そういう逆の書き方をした方が,この意図もここで示せるように思います。そのことともう一つ,そうでないと,例えばAO入試で入った人が,「入学後の大学教育に支障を来す」原因になっているみたいなことをここに書きますと,自分はAO入試で入ったけれども,そうだったのだろうかとも思ったりしないように少し配慮した方がいいと思いますので,ここはポジティブに書いて,このような課題を解決するためにこの提案をしているというふうなニュアンスにするといかがかと思いました。
【安西座長】  ありがとうございました。この34ページあたりのところもやはり温かく前向きに書いた方がいいかとは思います。答えが一つではない,そういう問題について記述式の,これテストをやっているようなものなので,やはりこの文章の書き方自体が大学入学者選抜に関連があるのかもしれませんけれども,是非,今のような御指摘はいただければと思います。
 岡本委員,お願いします。
【岡本委員】  ありがとうございます。いろいろ,これ,読ませていただいて,少し悩んでいるところもあります。中間まとめは,この高大接続システム改革会議というのはあくまでも私の理解では中央教育審議会答申の上に立っているということで,その特別な問題を抽出しているということなので,どこかに中央教育審議会の立場に立つということが,当たり前のように書いていないのだけれども,それは書いていただければいろいろな部分が一つは解決するのかと思っています。
 それで,これはやはりいろいろ具体的に議論する中で2つの側面があって,こういう方向で行くということをみんなで納得していくということと,現実にそれを実現するためにどうしたらいいかということが,もう既に両方ここで議論されてきていると思います。だからこれは中間まとめの限界かもしれません。例えば,先ほど問題になった段階を踏まえた着実な実施というのも,それは実際にやるときには,ある日突然,だから平成31年度から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を始めます,「大学希望者学力評価テスト(仮称)」は32年度から始めますといっても,その次よーいどんで出来上がったもので出発したのでは,これは大きな改革ですから,いろいろ問題があるだろうという含みで書いてあるわけで,つまりそこの辺は柔軟に対応していただきたいという思いだろうと思っています。
 その上で,考えてみますと,実際に例えば幾つかこれからやらなければならないことがあると思います。一つには具体的にどういう例えば問題を作っていくのか,どういう制度設計,具体の,財政も含めてということが一つあろうと思いますし,それからもう一つは,これも大きなことですけれども,これ,義務教育からずっとつながる話ですが,中等教育において,これが一体どういう教育改善に生かされていくのかという,ある意味で壮大な実験が始まる,実験と言うと悪いですけれども,よい試み,よい意味の試みが始まっていくと。大学は大学の方で,ではそれにどういう対応で高大接続を考えるのかという議論がこれから始まっていくのではないかなと思われます。先ほど恩藏委員がおっしゃったみたいに,では私立の大きな私学はどういうふうにするのだ。では国立はどうするのだ。国立は多分,国立大学協会でいろいろ考えられると思いますけれども,そういう部分があって,その議論というのはそれなりに時間が掛かるから,ある意味で,何ですかね,上手な制度が離陸できるように一定の時期が必要だろうというのが6ページに書いてあることではないかと私は理解しております。多分,それで間違っていないと思っています。
 最後に一言だけ。やはり今回のことでいろいろな高等学校も,それなりに私,見させていただいていますけれども,義務教育も含めて,これからの日本,言葉はうまく言えないのですが,ある程度,私,数学ですから言いやすいのですけれども,ある程度の基礎力というか,というのをやはり担保しておかないと,そこから先に新しい力になっていかないので,トータルに日本がこういうテスト,テストと言うとまずいので,むしろ「高等学校基礎学力テスト(仮称)」,前も出ましたように診断テストと言った方がすごくいいのかもしれないけれども,そういうのを生かして全体が上がっていけば一番いいなという思いで最終報告の方にまとめていっていただければと思っています。
 少し感想みたいになりました。
【安西座長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 五十嵐委員,お願いします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。今,小中も含めてという言葉がありましたので,私も同じように考えています。机上資料の方にも入れていただいておりますが,今回のこの高大接続システムの改革というのは日本の教育全体の改革なので,小中は関係ないのではなくて,全て連動しているということを,もう少しそのあたりに重きを置いた文章が欲しいなというお願いをしたところ,先ほど説明いただいたのですが,5ページの最初の部分で,この高大接続システム改革の基本的内容の丸の2つの11行目に,「これに対応するため,初等中等学校段階を含め」という,この「初等中等学校段階を含め」というこのたった10文字なんですが,これの意味はとても大きいと思っています。
 先ほど小松初等中等局長から御説明いただいたのですが,後ろの資料のところに別添資料というふうに,2番のところに書かれてありますように,これは高等学校教育の質の確保・向上に向けた全体的な取組の図ですけれども,これはまさに小学校も中学校も同じです。今までのことに踏まえて学習・指導方法,それから学習評価,学校評価,教育内容をどうやって改革していくのかというのは,これはずっと,この入り口の,今の上の部分が大学であるとすると,この下の,本当に植物の道管・師管ではないですけれども,ぐっと管のように下の義務教育も同じことであると思っています。ですので,評価については,今どうやっていくかという入試の話が出ていますが,それと同時に,ここの委員会ではないのかもしれないですけれども,学力の,そういうペーパーで測れない評価については,ここに多面的な評価とありますが,それもとても興味のあるところで,それも同じように義務教育につながっていくと思っています。そして,この先の,今の小学生も本当に影響がありますので,高等教育それから大学教育と,こういうのを,新しい教育を受けていった子たちが,また横の赤いところにあるのですが,教員となってまた新しい指導をしていくときに,経験してきた,自分の経験した教育の在り方が,また次の時代を担っていくという,循環していくと思いますので,これは全て関係があるのだということを10文字から読み取りたいのですが,もう少し強調できないかという思いもあります。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。私もやはり,そのあたりのところをもう少し入れていただいた方が充実するのではないかとは思いますけれども。
 ほかにはいかがでしょうか。
 荒瀬委員,お願いします。
【荒瀬委員】  本日で中間まとめとして一つのまとめができるということですし,あくまでも中間まとめであるし,これまでの議論を踏まえているということで,これでいいと思いますけれども,何となく,私だけの感覚かもしれませんが,会議全体が重たい気がしておりまして,それはやはり先ほどからの,表現が少し後ろ向きであるとか,あるいはこれまでの,結構いろいろと勢いのあるお話があったし,また教育課程の改訂に関しては教育課程に向けた,羽入委員がまとめてくださった方で結構元気のいい話とかが出ているのですけれども,どうもこれ,元気がどうして出ないのかというと,これからの話とはいえ,やはりお金は大丈夫なのかとか,それから大きなアドミッション・センターとか必要になってくるのですが,本当にそういう財政的なものがどうなのかということが,なかなか暗雲のようにかぶさっていて,重たくって,そこのところが難しいというのと,それと関わる話なのですが,さっき岡本委員がおっしゃったことですけれども,中央教育審議会答申に基づいてこの会議が動いているわけですよね。中央教育審議会答申は,ちょっと長い副題が付いていて,「すべての若者が夢や目標を芽吹かせ,未来に花開かせるために」という大変前向きな,今後展開していくぞというふうな副題が付いた答申に基づいてやっているのに,現実の問題になってくるとみんなこう……。本当に入試は変わるのでしょうかとか,大学では,これ,変えろと言うけれども,ガイドラインってどんなものが出るのでしょうかとか,あるいは高等学校教育も,結局様々な課題をどうクリアしていったらいいのか,あるいはまた,私,今,京都の小さな大学にいますが,奨学金の制度も随分変わってきて,あれは奨学金と呼ぶべきものなのか,はたまた学生ローンと名前を変えた方がいいのではないかと。結局,家庭の経済状況が厳しい中で大学を続けられなくなった学生が出たら,たちどころにあの奨学金,貸与制の奨学金というのはものすごく大きな負担となって若者にかぶさってくる。決して「すべての若者が夢や目標を芽吹かせ,未来に花開いていく」というところになかなか動いていない。是非やっぱりだから,お金のことというのは大変大きなことでありますので,中間まとめですから,ここに書くかどうかは別として,今後,議論していく中では,そういった支えがない限りは,全てが本当に絵に描いた餅になってしまう,大変残念なことになってしまうわけです。今までやってきたことを続けてやっていこうではなくて,今までやってこなかったことを新たに今後の我が国の社会と我が国に生きる若者のために考えていこうということですから,是非,何もいつも笑いながら議論をするということがいいとは思いませんけれども,明るい気分になるように,明るいものが伝わるような中身にしていかなければならない。そのためには是非お金を取ってきていただきたいということを文部科学省に心からお願いしたいと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。
 文部科学省はよろしいですか。
 そのとおりだと思いますし,一方で,やはり明るく議論をしていくことがお金を呼び込む可能性もあると思いますので,そちらの方も皆様よろしくお願いをいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。
【金子委員】  もう一つだけ最後に,時期の問題ですが,非常にリアリティーのある問題になって申し訳ないのですが,先ほどから申し上げていますように,この入試改革は32年度,2020年度に一応実施という方向で私は進んでいるものと思いますが,ただ,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については32年度から35年度に掛けては試行期間で,実際に使えないという状況になっていて,ある意味では中途半端な状況になるわけです。先ほども,かなり微妙な問題があるというお話が出ていましたが,これ,私,本当に微妙だと思います。なぜかといいますと,平成32年度,今年の18歳人口は120万人ぐらいですが,平成32年度までほとんど変わりません。118万人から大体120万人までで続きます。私,32年度実施というのに非常にこだわるのは,そこはやっぱり大きな日本の大学改革の転機になると思うからで,この時期までに体制を変えておかないと,非常に大きな問題がまだ,今まで解決できていない問題が更にひどくなると思います。ですが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,更にそれから3年間猶予ということになりまして,かなり減って,もう110万人台前半になってしまうような状況の中に行くまで「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は使えないということになります。この時期,今から5年後ですけれども,どういうことが起こっているかというと,各大学はもう学生を集めることに血眼になり始めているはずです。大学進学率は,今年の春の速報で見ましたが,皆さんお気付きかどうか知りませんが,ついに51%で7年目に入りました。全くフラットです。これ以上上がる見込みは,非常に早急にはないと思います。そういう意味で,今から5年後の大学は血眼になって学生を集めている時期です。その時期に,まだ「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方は使えないという状況になっているわけです。これはかなり厳しい状況で,それから後,10年ぐらいでもう100万人ぐらいに落ちていくわけですから,私,試行期間を作るのは仕方がないといいますか,様々な状況があるようですし,それから指導要領と合わせなければいけないというようなこともあるのかもしれません。ただ,私は,これは決して,何ていいますか,早過ぎるということは決してありませんし,できればなるべく前倒しといいますか,2020年度までには,これから日本の学力試験がどうなるのかという見通しが立てられるような状況になることは非常に望ましいと思います。この数字自体を変えろとは私は申し上げませんけれども,そのように非常に大きな問題が抱えられている数字だということは是非申し上げておきたいと思います。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ,岡本委員,お願いします。
【岡本委員】  ちょっと反論というわけではないのですけれども,別に,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について試行と書いた7ページのところは,あくまでもこれは,私の理解では,大学入学選抜や就職に直接使うのは控えろという意味であって,その間にいろいろな整備ができていくわけですけれども,テストはできてくるのだと理解しています。それで本来の目的である学習改善に用いながらという部分は生きているので,こちらの方でいろいろなことができるのではないかと私は思っています。それで,これは議論が要ることですけれども,この本来の目的である学習改善というのはもちろん高等学校や中学校も含めてですが,あるけれども,大学も入っていると私は理解しております。つまり入試には用いない,就職には用いないけれども,大学での教育改善には使う可能性があると,できると私は理解しています。いや,別に反論というわけじゃないです。
【金子委員】  すみません,ちょっと今の,大学の改善に使えるというのは,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をどうやって使うのですか。
【岡本委員】  実際,もともとこの話の発祥は,だから例えば現実問題として大学に入ってくる学生さんたちの半分は試験なしで入ってくる。その場合,その人たちがどのぐらい高等学校で学んだかという,いわゆる学力の担保とかいうのには絶対使えるだろうと。私,数学だからよく分かるのですが,この入ってきた学生を,大学は入ってきた学生を一生懸命教えてよくできるようにするというところは全く異議がないわけだけれども,いろいろな多様な学生が入ってくるので,どのぐらいの力を持っているのかという材料がないわけですね。そういう意味です。
【金子委員】  入試には使えないけれども,入ってきたやつは点数を出させて,どれぐらいの力かを一応確認すると。それで指導すると。そういう使い方もあるだろうと。
【岡本委員】  そう。あるだろうということです。そういうことです。
【金子委員】  あるかもしれません。私は選抜に使った方がいいと思いますが,そういうお話は分かりました。
【安西座長】  いろいろ高等学校の関係者からも,やはりそのテストをダイレクトに,ただ入試の一貫として使われるのはどうかという議論は大分ありましたことと,それから高等学校の多様化の中で基礎的な学力をしっかり担保することが第一義ではないかと。また,非常に大きなテストでありますので,大規模なものでありますので,やはり着実に経験を積んでいった方がいいのではないか。いろいろなそういう議論の中でのこの考え方だと理解しております。
 それからもう一つは大学側で,本当にきちんと教育をするのか。それから,ただ入学者をかき集めるということではないかという論については,私の理解では,第1は三つのポリシーについて,ガイドラインを含めて,やはりきちんとした提示を国の方から出してもらうということ。それから第2に,調査書・指導要録について,やはり改革をしていただくということ。これは,この会議でやっていくという案にこの中ではなっております。それから第3に認証評価制度が,第3サイクルが2018年度から始まりますので,そのときを期して,この認証,特に大学の評価です,これについて,このまとめの考え方をきちんと入れていただくと。こういうことを組み合わせて,大学が非常に多様化しておりますけれども,やはり大学生はしかるべき学びをしっかりやってほしいと思いますので,そういう形でもってまず担保しながら始めていきたいという考え方だと理解しております。それがベストかどうかというのは金子委員の言われるように,いろいろ考え方があるかと思いますけれども,現時点での考え方は以上申し上げたことではないかと思います。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 恩藏委員,お願いします。
【恩藏委員】  先ほどの議論で,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が平成32年導入ということで,ただ,その一方で現行の学習指導要領は36年まで続くということです。つまりギャップがある。それに対して,このまとめでは40ページと41ページに,それぞれ制度設計の考え方が示されているわけですが,大学で入試をやっているときに,受験生への配慮というのですか,あるいは公平性の担保と表現を変えてもいいかもしれませんけれども,我々はそれらを大事にしております。ですので,是非現場で混乱しないように,この過渡期の配慮をしていただければと思っております。
【安西座長】  ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 乾委員,お願いします。
【乾委員】  細かいことなので遠慮していたのですけれども,財政の問題,それからフィージビリティーの問題が非常に重要だという御指摘が何度もありますが,特に新テストの記述式,CBT,IRTに関して,少し細かいことですけれども,42ページ,43ページのあたりで,平成32年度から導入して,36年度に本格的に導入するということが書かれてあったその後に,様々な検討事項が書かれております。この検討事項をしっかり検討していくというのは非常に重要なことと思います。何ですが,2点ありまして,一つは非常に細かいことですけれども,「検討が必要である」という記述と「検討する」という記述は,これは何か使い分けておられるのかということと,それからこれは中間まとめですので,最終的なまとめに向けて,それまでに検討するということと,それからその後も含めてもう少し長期的な検討が必要であるということを少し区別しておいた方がいいのかと感じました。
 それからもう一つ,非常に細かいのですけれども,本日の一番初めに,修正点の中の一つに入っていたのですが,「正解のない判断」というのが一つ残っておりまして,42ページの下から数行目のところに「正解のない判断を相当回数伴う問題」というのがありましたので御指摘いたします。
 ありがとうございます。
【安西座長】  今の点はいかがでしょうか。
【橋田大学入試室長】  「検討が必要である」というのと「検討する」というのは同じ意味と捉えております。
 いろいろな課題がございまして,最終報告に向けて方向性を示していく部分,それを踏まえて実務上更に検討を進めていく部分がございます。今後最終報告に向けて何を盛り込み,また実務上更に何を検討していくか,そこの部分も含めて整理していきたいと思っております。
【安西座長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 大変いろいろ御意見を頂きまして,特にこの中間まとめ,本日以降,やはりやるべきことが具体的にかなりあるということであります。一応まとめて申し上げますと,特に小学校・中学校,先般,全国学力・学習状況調査の理科の件が公表されましたけれども,小学校・中学校においてはかなり協働学習等を含めてアクティブな学習に向けての実践が進み始めていると。総論ですけれども,その中で金子委員も御指摘のように高等学校の教育の問題が,やはり大変大きな課題として今まで残っていた感覚はありまして,昨年の11月に学習指導要領,次期に向けての諮問のあったときに,今後,高等学校の問題が浮上するということで,今,相当,前向きのというのでしょうか,議論が行われていると理解しております。そういう中で,大学については昨年の12月の中央教育審議会答申で,高大接続答申,それからその前の,数年前だったと思いますけれども大学教育の質的転換答申,これも4年ほど議論した結果でありましたが,そういう中で大学教育もまた,やはり転換していかなければいけない。そういうことが全部重なりまして,そこのはざまのところにあります大学入学者選抜について,アクティブに学んできた小学生,中学生,高等学校生が,大学に入学するときにどういう評価を受けて入学していけばいいのかということが議論の課題になってきたということだと理解しております。そういう中で,この高大接続システム改革会議においては,答申それから文部科学省の高大接続改革プラン,これも1月に発表されたわけでありますけれども,それを受けて実際具体的に,この改革プランをどういうふうに進めていけばいいのかという議論をしていただくということで始まったわけでございまして,ただ一方で高等学校教育の問題が非常に大きく浮上してきたこと等々もあって,やはりもう一度全体像を,特に教育改革が大事だということの全体像をお互いに共有をして,その中で入学者選抜の具体的な方法について議論をしていく。こういう今,時期にあるのではないかと思いますので,今までの議論を踏まえて,この中間まとめの案,本日いろいろ御意見を頂いたものを入れさせていただいて,中間まとめにさせていただいて,今後特に,先ほどありましたように問題のイメージでありますとか,あるいは財政の問題でありますとか,日程の問題でありますとか,多々具体的なことがありますけれども,それを中心に是非議論していただければと思います。
 よろしいでしょうか。大体まとめさせていただきましたけれども,ほかに特にありますでしょうか。
 先ほど言われました試行実施期間という名称がなかなかこれ,試行なので,では試行の間はどうしているのだという言われ方はあり得るかと思いますけれども,私の理解では,これは経験を積み上げていく期間であって,2020年に「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」,それから2019年に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を出発させるということも,やはりこの中間まとめに入れさせていただくということだと理解しておりますが。
 
 よろしいでしょうか。できれば本日頂いた御意見,かなり大きな,この高等学校教育,大学教育,それから入学者選抜のやはり関係とかそういうこと,それから具体的な,これから何をするのかとか,あるいは平成32年をどうするのかとか,そういうことも含めて非常に貴重な御意見を頂いておりまして,できれば頂いた御意見でこの案を修正させていただいて,これは事務局と相談しておりませんけれども,一度修正したものを皆様にお配りして,時間が非常に短くなると思いますが,それで御意見を頂いて,それで最終の中間まとめにつきましては,私の方へ一任をいただければ。このステップでいかがかと思いますけれども,よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西座長】  本日頂いた意見は非常に大事なので,きちんとそれを入れた案を,文面を作らせていただいて,至急もう一度御意見をメール等で頂くようにして,そして最終案については私の方へ任せていただくということにさせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは,そのようにさせていただきます。中間ですので,まだこれからが本当に具体的なことに入るかと思います。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
 本日はここまでではございませんので,もう一つありまして,この会議で,中間まとめの案にも入っておりますけれども,調査書・指導要録等についての検討をしたい等々のことが,ここでやっていきたいということだと思います。検討体制の中で検討予定になっております多面的な評価検討ワーキンググループをこの会議の下に立てさせていただきたいという件でございます。事務局から説明をお願いします。
【新田主任大学改革官】  それでは,資料の2を御覧いただければと思います。資料の2,多面的な評価検討ワーキンググループについて(案)でございます。2の検討事項のところを御覧いただければと思いますけれども,今後の高大接続システム改革会議で御議論いただく中で,高等学校における多様な学習活動や学習成果を適切に評価するための具体的な方策(指導要録や調査書の改善等)の在り方等につきましては,専門的な見地からワーキンググループで御議論いただく必要があるということでワーキングの設置でございます。
 1枚めくっていただきまして,高大接続改革に関する体制についてということで,これは第1回のときにお配りさせていただきましたが,真ん中やや右の新テスト・評価というところで新テストワーキングが現在設置をされておるわけですが,その下のところの丸の2の評価検討ワーキングというのがございますけれども,この部分についての設置ということでございます。委員の構成等につきましては別途定めるということでございますけれども,そしてあとは4のところでございますが,評価検討ワーキングの運営ということで,(1)そして(2)のところで,会議については新テストワーキングと同様に非公開で行い,検討状況を高大接続システム改革会議に報告するということでございます。ということでワーキングの設置についてお諮りをする,決定案ということでございます。
 以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。多面的な評価検討ワーキンググループにつきましては,今後,多様な学習活動,それから学習の成果を適切に評価するための推進方策等,検討を行っていただきたいと考えております。ただいまの事務局からの案でございますけれども,何か御意見ありますでしょうか。今の案でよろしいでしょうか。
 それでは,ただいまの事務局からの案について,お認めいただいたことにいたしまして,この会議の下に多面的な評価検討ワーキンググループを置かせていただくことといたします。メンバー等については文部科学省と相談をさせていただければと思います。
 それでは,今後の予定等について事務局から説明をお願いします。
 その前に申し訳ありません。先ほどの中間まとめの案について,本日の内容について,個々の内容については御了解いただいたということでよろしゅうございましょうか。一応念のためでございますけれども。
 それでは御了解いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは,今後の予定等について事務局から御説明お願いします。
【新田主任大学改革官】  本日ありがとうございました。次回につきましては調整の上,追って御連絡をさせていただきますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【安西座長】  それでは,
 本日の会議はここまでにさせていただきます。大変貴重な御意見を頂きまして,誠にありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム

電話番号: 03-5253-4111(内線4902)

(文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム)