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高大接続システム改革会議(第5回) 議事録

1.日時

平成27年8月5日(水曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)安西祐一郎委員
(副座長)片峰茂委員 
(委員)荒瀬克己,五十嵐俊子,浦野光人,岡本和夫,恩藏直人,金子元久,香山真一,小林 浩,佐藤東洋士,佐野元彦, 鈴木 典比古,関根郁夫,長崎榮三,長塚篤夫,南風原朝和, 羽入佐和子,日比谷潤子,山本廣基,吉田研作の各委員

文部科学省

(文部科学省)関政策評価審議官,河村生涯学習政策局長,小松初等中等教育局長,伯井初等中等教育局審議官,藤原初等中等教育局審議官,常盤高等教育局長,杉野私学部長,義本高等教育局審議官,里見生涯学習局政策課長,森田高等教育企画課長,大槻国立教育政策研究所長,水田初等中等教育局主任視学官,小林国際教育課長,今井教育制度改革室長,新田高等教育局主任大学改革官,塩見大学振興課長,橋田大学入試室長,他

5.議事録

(1)中間まとめ(案)について,事務局から資料1,2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西座長】  時間でございますので,ただいまから第5回高大接続システム改革会議を開催させていただきます。委員の先生方,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 まず,8月4日付けで事務局に異動があったということでございますので,御紹介いただければと思います。
【新田主任大学改革官】  失礼いたします。8月4日付けで事務局に異動がございましたので,御紹介させていただきます。
 初等中等教育局中岡審議官に代わりまして藤原初等中等教育局審議官でございます。
【藤原初等中等教育局審議官】  失礼いたします。1年ぶりに初等中等教育局に戻ってまいりました審議官の藤原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【新田主任大学改革官】  それから,藤原私学部長に代わりまして杉野私学部長でございます。
【杉野私学部長】  杉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【新田主任大学改革官】  あと,後ほど遅れて参る者もおりますので,後ほど御紹介させていただきます。
 以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局から配付資料について確認をお願いします。
【新田主任大学改革官】  議事次第とともに確認いただければと思います。議事次第にございますとおりに本日,資料1から資料2-6まで,それから参考資料1,2をセットで配付させていただいております。机上配付資料等はございません。落丁等ございましたら,事務局までお申し出いただければと思います。
 以上でございます。
【安西座長】  よろしいでしょうか。それでは,議事に沿って進めさせていただきます。
 前回の会議におきまして中間まとめの素案を示しまして,主に大学教育改革と大学入学者選抜改革の部分につきまして御意見を伺ったところでございます。この会議の審議につきましては,今年の夏頃を目途に一旦中間まとめを行うということにさせていただいております。
 中間まとめの案の中で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を含む高等学校教育の改革の部分の案文につきましては,本日初めてお示しすることになります。この箇所につきまして,おおむね次のような経緯で作成を進めてきたところですので,かいつまんで申し上げておければと思います。
 まず,6月18日に開催されました第3回の会議におきまして御報告いたしました「高等学校基礎学力テスト(仮称)の主な論点整理(検討・たたき台)」に対しまして,委員の皆様はもちろんでございますけれども,今回の改革を取り巻くその他多くの関係者の方々から,目的また対象者・名称等々,様々な観点から御意見・御指摘を頂いてまいりました。
 また,それと同時に,高大接続システム改革の内容に大きく関係いたします「教育課程の見直し」,また「教員の指導力向上」に関する検討につきましても,中央教育審議会で並行して議論が進んでおります。
 本日の会議におきましては,今申し上げましたような経緯,また中央教育審議会での議論,その他多くの関係者の方々からの御指摘等も踏まえた上で,6月18日に提示をいたしました主な論点整理(検討・たたき台)を,より具体化させた案文をお諮りしたいと考えております。是非皆様に御議論いただきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局から資料について説明をお願いします。
【新田主任大学改革官】  それでは資料1,中間まとめ(案)でございます。
 1枚おめくりいただきまして1ページ,目次を御覧いただければと思います。目次で1番,「中間まとめ」の背景と目的,2番からが基本的な内容・実施方法,それから3番目からが具体的方策でございますが,このうち3の1,高等学校教育改革。これが先ほどお話ありました,前回,項目のみお示しさせていただいたものについて今回初めて文章として御覧いただくものでございます。それから2番の大学教育改革,3番の大学入学者選抜の改革は,前回に引き続きということで,前回頂いた御議論を踏まえて修正ということでございます。
 更にめくっていただきまして,3ページからでございます。3ページ1番の「中間まとめ」の背景と目的,大きな変更等はございません。
 1枚おめくりいただきまして5ページからでございます。5ページからが基本的な内容・実施方法の(1)高大接続システム改革の基本的内容でございますけれども,こちらは二つ目の丸,「高等学校教育においては」ということで記述がございました。今回の記述の後半部分につきまして,そのエッセンスということで全体像をお示ししています。真ん中のアクティブ・ラーニング,2行目ほど下がっていただいて教員養成・採用・研修,それから2行更に下がっていただいて学習評価の在り方の改善,見直しと,その中で,一番下の方の行ですけれども,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入と記述してございます。
 1枚おめくりいただきまして6ページでございます。(2)段階を踏まえた着実な実施ということで,一つ目の丸,2段落目,下から2行ですけれども,前回の御議論を踏まえた加筆を2行してございます。
 それから,1枚おめくりいただきまして8ページでございます。8ページからが具体的方策で,高等学校教育の改革でございますが,こちらは(1)の生徒の主体的・協働的な学びの推進,それから下のところ,(2)教育課程の見直し,1枚めくっていただきまして10ページが(3)教員の指導力の向上,11ページ,(4)多面的な評価の充実,めくっていただきまして12ページ,(5)カリキュラム・マネジメントの確立とPDCAサイクルの構築,そしてその下,(6)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入という構造になってございます。
 8ページにお戻りいただきまして,順次,概略のみ,かいつまんで御説明させていただきます。
 まず(1)の生徒の主体的・協働的な学びの推進ということで,一つ目の丸にあるような「高等学校教育においては」ということで,自分の夢や目標を持って主体的に学ぶ力を身に付けさせることが重要でございます。
 「特に」ということで二つ目の丸の1行目,ある事柄に関する知識の伝達に限らず,学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行いという部分でございます。
 そして,飛んでいただいて四つ目の丸のところから「このため」ということで丸1,アクティブ・ラーニングの充実,そしてその下の「教育課程の見直し」を図るとともに,丸2番の「教員の指導力の向上」,丸3番の「多面的な評価の推進」ということですが,次の丸で,下から4行ほどですけれども,多面的な評価を推進という観点から,校長会等によって行われる商業等の検定試験,各種民間検定等と並び高等学校基礎学力テスト(仮称)を新たに創設するということでございます。
 (2)教育課程の見直しでございます。これは9ページを御覧いただきまして一つ目の丸,「これからの教育課程には」ということで,書いてございますが,「社会に開かれた教育課程」としての役割が期待されています。「こうした教育課程の理念を具体化するため」ということで,内容の系統性を示すのみならず着実に資質・能力を育むという観点から,そのために必要な学習・指導方法,学習評価等の充実を一体的に進めるということ。
 次の丸ですが,「特に,高等学校については」ということで,次の丸の一番下から2行目の行ですけれども,「共通性の確保」と「多様化への対応」という観点を軸として現在,中央教育審議会において検討が行われているということで,次の丸,特にこのうちの「共通性の確保」という観点からは,2行ほど下がっていただきまして,全ての生徒が共通に身に付けるべき資質・能力を明確化し,それを育む必履修教科・科目の改善を図るとともに,教科・科目間の関係性の可視化することとしております。
 また次の丸ですけれども,共通必履修科目の設置や科目構成の見直しなどということ。
 次の最後の丸ですけれども,他方,「多様化への対応」という観点について,1枚めくっていただきまして次ページでございますが,一つ目の丸,1行目,選択科目,専門教科・科目の見直しを図るとともに,特に理数教育についてはということで,3行目,後ろからになります数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探求活動を行う選択科目を新設するということ。
 「加えて」ということで次の丸,学び直しの多様な要請に応えるための学校設定教科・科目を設けることや,またカリキュラム・マネジメントの中での検討の中で整理する必要がございます。
 次の丸で,以上のような教科・科目等の在り方を含む教育内容の見直しを,学習・指導方法の不断の改善,それから学習評価の推進等と一体的に実施するということでございます。
 (3)教員の指導力の向上ということでございます。一つ目の丸,1行目からありますとおりに,高校の教員が課題の発見,解決に向けた主体的・協働的な学びを重視した教育を展開できるように,1行下がっていただきまして,教員の養成・採用・研修の各段階を通じた抜本的な改革について検討する必要があり,現在,中央教育審議会の教員養成部会で検討が進んでいるということですけれども,その三つ目の丸にありますとおり,養成段階においてはと,その下の丸,採用段階について,また最後の丸,研修段階についてはということで,次のページにいっていただきますと,特に研修については初任者研修,十年経験者研修,それから管理職研修等ということで記載しております。
 最後の丸,現在このような具体案について中央教育審議会の教員養成部会で検討され,中間まとめを行っているところであり,この提言と相まって改革を推進していくことが重要であると記述してございます。
 (4)多面的な評価の充実ということですが,ここについては三つ目の丸のところからの4行目,「学力の3要素」についてバランスのとれた学習評価が行われるよう,学習評価の在り方,指導要録の改善などの学習評価の改善を行う。
 あわせて,2行飛んでいただきまして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入することなど,多様な学習成果を測定するツールを充実するということでございます。
 次のページめくっていただきまして(5)カリキュラム・マネジメントの確立とPDCAサイクルということで一つ目の丸,高校生自身が基礎的な学習の定着度を把握し,学習の改善を図ることはもとより,高等学校教育全体の質の確保・向上を図ることが不可欠であるということ。この観点から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の活用も含めて,教育課程の編成,実施,評価,改善していく「カリキュラム・マネジメント」の確立,学校における「PDCAサイクル」を構築するということが記述されてございます。
 (6)からが「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入でございます。アの導入の背景ということで丸1,高等学校教育を取り巻く現状,次のページ,丸2,基礎学力の不足,学習意欲の低下,丸3,大学入学者選抜機能の低下,そして次のページ,14ページで高等学校段階の基礎学力を評価する新テストの創設ということで記述されてございます。
 その基本的事項として丸1,目的でございます。一つ目の丸,中ほどから高等学校段階における生徒の基礎的な学習の定着度を把握,提示できる仕組みを設けることにより,生徒の学習意欲の喚起,学習の改善を図るとともに,その結果を指導改善等にも生かすことにより,高等学校教育の質の確保・向上を図ることを主たる目的とするということ。
 丸2,対象者ですけれども,一つ目の丸,4行目ほどにあります悉皆(しっかい)による実施ではなく,2行飛んでいただいて学校単位での参加を基本としつつ,生徒個人の希望に応じた受検も可能とするということでございます。
 15ページ,具体的な仕組みのところです。丸1,対象教科・科目ですが,二つ目の丸の一番後のところから,対象教科・科目は,高校生の基礎的な学習の定着度を把握する観点から,国語,地理歴史,公民,数学,理科,英語といった必履修科目を基本として実施をする。
 そして次の丸,このことを前提に,平成31年度導入当初からの実施に当たっては,全ての生徒が共通に履修する範囲を上限として,国語,数学,英語で実施をするということ。
 次の丸,「さらに」ということで,次期学習指導要領が実施される段階における地理歴史や公民,理科等について追加導入をするということでございます。
 「なお」ということで,次の丸のところで1行目にあります保健体育,芸術,家庭,情報及び職業に関する各科目についての扱いについて記述してございます。
 それから,ページをめくっていただきまして16ページからでございます。丸2,問題の内容で,一つ目の難易度の設定では,二つ目の丸にありますとおりに「具体的には」ということで,高校生全体のうち,そのボリュームゾーンとなる平均的な学力層,それから学力面で課題のある層を主な対象として出題することとするということ。
 次のテストで測定する資質・能力ということで,次の丸の2行目にございますとおりに,基礎的な「知識・技能」を問う問題を中心としつつ,次の行の一番後,「思考力・判断力・表現力」を問う問題をバランスよく出題するということでございます。
 次のページ,17ページでございます。丸3,出題・回答・成績提供方式で,多様な出題・解答方式の導入ということで,2行目にございます「選択式」,それから2行飛んでいただいて「記述式」などということ,それから三つ目の丸,英語については四技能をバランスよく育成することが重要であり,その際の記述式に掲げた課題や対応方策も勘案するということでございます。
 次のIRTの導入ということですが,二つ目の丸,最後からありますとおりに複数回テストの実施を可能とすることから,過去に受けたテストとの比較ができるようにする必要があることから最後の丸の後半,次のページにかけてですが,複数の異なるテスト間の結果を比較できる「項目反応理論」を導入する方向で,今後,更に詳細な制度設計を行うということでございます。
 次の括弧,CBT(Computer-Based Testingの略称。コンピュータ上で実施する試験。)の導入ということで,2行目にありますような難易度,動画の扱い,それから記述式,英語の四技能等ということでの可能性から次の二つ目の丸の2行目,最後のところから,様々な技能を測定しやすいCBTの導入について検討する。その際,実現可能性も踏まえつつ,紙によるテスト実施も念頭に置きつつ検討するということでございます。
 次に生徒に対する段階別の結果提供ということですが,19ページ上から3行目,10段階以上の多段階で本人に結果の提供を行うということ。
 それから次の括弧で,学校や都道府県への結果の提供を行うこととしております。
 丸4,実施場所・回数・時期ということで,一つ目の括弧,実施場所として,二つ目の丸,学校単位で受検する場合には,原則,当該高等学校での施設で実施をするということ。
 次の括弧,受検回数・時期ということですが,1枚おめくりいただきまして20ページ,一つ目の丸,「導入当初は」ということで,高校2年次,3年次において年2回,在学中に4回受検することができる仕組みとするということ。
 「ただし」ということで,次の丸で,2年次の結果を大学入学者選抜に用いるなど過度に活用された場合には,高校生活に影響が生じるおそれがあることから,入学者選抜において活用する場合には,原則として,3年次以降の結果を参考資料の一部として用いることとするということでございます。活用の在り方は,後ほど出てまいります。
 それから次の丸,卒業した者,過年度卒業生についても希望者は受検を妨げない仕組みとするということ。
 次の括弧で実施日程について,それから下の丸5,受検料として低廉な価格による受検料の設定については,21ページ,低所得者等への支援策の検討ということ。
 それから丸6,活用の在り方といたしまして,一つ目の丸,5行目ほどからにあります生徒が主体的に活用するとともに,教員が高等学校での指導改善に生かすことが基本であるということ。
 それから次の括弧で,指導改善に用いる場合ということで,一つ目の丸にありますように,IRT(Item Response Theory(項目反応理論)の略称。)が問題を公表する性質のものではないということ。あるいは次の丸のところで,単元ごとなどの分野別の結果提供なども踏まえということで,次のページ,22ページでございますが,その活用方策に指導改善に用いる場合のカリキュラム・マネジメント全体の中での位置付けを明確化するということでございます。
 次の括弧で,国や都道府県等における教育施策の改善に用いる場合について記載しております
 それから次の括弧,進学時等に用いる場合ということですが,一つ目の丸,2行目から,副次的な活用方策として,一部の推薦入試・AO入試等の受検者層を特に念頭に置きつつ,進学時における基礎学力の把握するための方法として用いることが想定されるということですが,次の丸,「しかしながら」ということで,大学入学者選抜や就職等において,過度に活用された場合には,高校生活へ悪影響を与えるおそれがあるということから次の丸,「これらを踏まえ」ということで,現行学習指導要領下となる平成31年度から34年度までは「試行実施期」と位置付け,この期間は原則,大学入学者選抜や就職には用いず,本来の目的である学習改善に用いながら状況を探るということでございます。
 そして,「その上で」ということで23ページ,一つ目の丸, 35年度以降の大学入学者選抜や就職への活用方策については,この仕組みの定着状況を見つつ,関係者の意見も踏まえ,更に検討を行うこととするということで,二つ目の丸,「その際」は,先ほども出てきました2年次の結果は活用しないということ。それから二つ目のぽつで,進学時のみならず大学入学後の学習・指導に生かすということ。就職等の活用も考えられるけれども一定の配慮を求める必要があるといったことについて検討が必要であるとしております。
 丸7,民間の活用等ということで,英語につきまして三つ目の丸,「聞く」,「話す」,「読む」,「書く」の四技能を重視する観点から,民間の資格・検定等の知見を積極的に活用することについて,民間団体との具体的な連携の在り方を検討するということでございます。
 めくっていただきまして24ページ,丸8,その他で高等学校卒業程度認定試験との関係について記載しております。それからその下,障害のある生徒等への配慮,25ページ,受検希望者の見込みの把握,名称の在り方,今後の検討の進め方ということでございます。
 それから26ページからでございます。26ページからが2番の大学教育改革についてということでございます。それで,(1)大学教育改革の必要性,(2)三つのポリシーに基づく大学教育の実現のための方策ということでございます。
 めくっていただきまして28ページでございます。三つのポリシーに基づくガイドラインの策定等につきまして,一番下,日本学術会議における教育課程編成上の参考基準についてということで注釈を付けてございます。前回の御発言を踏まえた加筆でございます。
 29ページ,三つのポリシーに基づく教学マネジメントの確立で,大学に求められる取組としての体系的なカリキュラム編成の二つ目のぽつですけれども,学生の卒業後の人生の基盤として大学教育に求められる分野別の現代的なコア・カリキュラムの開発についてという3行でございます。こちらの方,加筆してございます。
 それから次の括弧の知識の伝達・注入を中心とした授業から能動的学修への転換の項の下から2番目のぽつですけれども,高等学校教育が能動的学習に転換することを前提として,高等学校のアクティブ・ラーニングと大学のアクティブ・ラーニングの違いということで,前回の御議論を踏まえた記述でございます。
 1枚めくっていただきまして30ページでございます。三つのポリシーに基づいてということが続いておりますけれども,下から二つ目の丸で,大学教育改革の一環としてということで,能動的な学習の状況,学生の学修時間等の実証的データ等をとることの重要性についても今回加筆したものでございます。
 それから31ページ8行目ほどの一つ目の丸で「さらに」ということで,社会との関係性についてということも今回記載して加筆したものでございます。
 それから(3)認証評価制度の改革,二つ目の丸のところの下から3行,「あわせて」ということで,認証評価制度と併せて大学の情報の提供の重要性ということ,これも前回の御議論で加筆してございます。
 それから31ページの一番下特に,各大学の三つのポリシーが,国のガイドラインも踏まえて適切に策定されているかといったことなどについても,認証評価の見直しの観点の例ということで,括弧書きで32ページ4行目までで加筆をしてございます。
 33ページからが大学入学者選抜についてでございます。(1)個別大学における入学者選抜改革で,アの一つ目の丸で大学入学者選抜の現状の課題ということで,四つ目のぽつで,いわゆる「学力不問」を揶揄(やゆ)されるような状況も一部生じているということについて,前回の御議論で加筆してございます。
 34ページでございます。二つ目の丸の最後の3行で,今後,調査書の様式等についての改善を行う必要があるという,これも前回の御議論の加筆でございます。
 それから35ページでイでございます。特に「入学者選抜が機能しなくなっている大学」における入学者選抜の改善ということで,これは新規の項目でございます。
 二つ目の丸のところで,高大接続改革答申におきまして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の結果を踏まえた高等学校の学習成果を大学教育に求められる水準の担保とすることが提言されたがということで,一方,三つ目の丸ですが,先ほど申し上げましたとおりに31年から34年までの「試行実施期間」には,その間は「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の結果を大学入学者選抜,就職等に用いないこととすると記載してございます。
 四つ目の丸として,この観点から,「入学者選抜が機能しなくなっている大学」における入学者選抜をどのような方策により改善するかが重要な課題となるということで,「求められるのは」ということで2段落目に,アドミッション・ポリシーの明確化と,これに基づく多面的・総合的な入学者選抜を確実に実施し,各大学で学ぶ力を備えていると判断される者を受け入れることが求められるとしております。
 そのための一つの方策として,調査書をより有効に活用することがございます。また5行ほど下がっていただきまして,特定の活動歴,資格・検定結果の成績等を重視するということなど,アドミッション・ポリシーにおいて明示することが考えられます。
 次の丸,また,入学予定者に対して,継続的に学力向上を支援するということがございます。
 それから次の段落,大学入学後における初年次のカリキュラムの充実,それから厳格な成績評価による進級や卒業認定ということがございます。
 最後の丸,「このような取組が効果的に進められるよう」ということで調査書様式の改善,大学入学者選抜実施要項,アドミッション・ポリシー等のガイドラインにおいて,これらの取組の観点も明確に盛り込む必要がございます。また,認証評価制度についても,このような取組について的確に評価すべきであるということでございます。
 次のページ,36ページでございます。ウは特にございません。エで,入学者選抜を支える体制の整備としまして二つ目の丸,「あわせて」という欄でございますが,こちら若干,前回の記述を踏まえて膨らませた形の記述をしてございます。
 37ページ目の大学入学者選抜実施に係る新たなルールの構築で,大学入学者選抜実施要項の見直しについてということですが,最後の二つの丸です。いずれの入試区分においても「学力の3要素」を確実に評価する観点から,従来の一般入試,推薦入試,AO入試という区分の意味合いが相対化することから,こうした区分に代わる新たなルールについて,例えばということで個別面接,校長の推薦書など,具体的な評価方法ごとに日程等を設定することが考えられます。これらを踏まえて関係者による議論が進められるとともに,新たなルールについて,十分な余裕を持って予告する必要があるということがございます。この最後の二つのところを加筆してございます。
 (2)からが「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入ということでございますが,こちらの方は余り大きな修正等はございません。
 38ページ,それから39,40,41,42,43ということで,文言の適正化と,あと二つほど,パーセンタイル値,それから素点についての注を付けております。
 以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。引き続きまして,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について,事務局から補足の説明をお願いできればと思います。
【今井教育制度改革室長】  失礼いたします。資料につきましては資料2-2,2-3,2-4を御説明させていただきたいと存じます。
 ただいま事務局より御説明をさせていただきました高等学校教育の改革全体像につきましては,今回初めて全体像を見据えさせていただいたところでございます。文章での説明は先ほどのとおりでございますが,その考え方を図式化して,できるだけ分かりやすく整理させて頂いた資料で補足の説明をさせていただきたいと存じます。
 なお資料2-2,2-3は,6月の段階の第3回の高大接続システム改革会議で御説明させていただいたものを若干ブラッシュアップさせていただいたものでございますが,改めて,簡単ではございますが御説明させていただきたいと存じます。
 資料2-2を御覧いただけたらと存じます。これは高等学校教育の質確保・向上に向けた全体的な取組を図式化したものでございます。
 真ん中のオレンジの円にございますように,学校での内外の活動におきまして,特に日々の授業を中心に高校生は様々な体験活動等々,運動,部活動,ボランティアなどもされています。そういった中で特に教育内容,学習・指導方法,そして学習評価,学校評価,こういった三つの大きな軸に沿いまして現在,改革を進めさせていただいているところでございます。
 一つは,青いところから出てまいります教育課程の見直しでございまして,これは本日,中央教育審議会教育課程企画特別部会におきましても大詰めの中間まとめに向けた議論がなされているところでございますが,次期学習指導要領の改訂,特にアクティブ・ラーニングの充実,教科・科目等の見直し,またカリキュラム・マネジメントの普及・促進といった議論がなされてきているところでございます。
 二つ目の改革の柱といたしましては,赤いところでございますが,教員の指導力の向上でございます。これは先月,7月でございますが,こちらも中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会におきまして中間まとめがなされ,教員の養成・採用・研修の一体的な改革について,その方向性として示されているところでございます。基本的なアクティブ・ラーニングといった新しい取組に対応できる教員の指導力の向上といったことが,その改革の方向性が示されているところであります。
 そして三つ目の柱でございますが,緑のところでございます。多面的な評価の推進ということで,ここには三つの柱がございます。一つは学習評価の改善,そして二つ目に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をはじめとする各種の検定試験の利用,それから普及・促進といったことがある多様な学習成果を測定するツールの充実,そして新たに追加をさせていただきましたが,学校評価の促進というものも,この多面的な評価の推進の中で組み込ませていただいたところでございます。
 資料2-3を御覧いただけたらと存じます。この三つの柱のうち,特に多面的な評価の推進につきまして整理をしたのが,こちら資料2-3でございます。この点,前回の御指導でもございましたが,必履修科目のところに総合的な学習の時間を追加するなど修正をしておりますが,基本的には,こちらの三角形が逆さまになった図にございますように,義務教育段階の学習内容の学び直しから必履修教科・科目,そして選択科目,専門教科・科目というふうに広がりを見せながら,更に高校生が様々取り組んでおられる活動,こういったものを多面的にきちんと評価する,そういった学習評価の充実とともに指導要録の改善,さらには民間,校長会等で実施していただいております専門科目での検定試験なども組み合わせつつ,特に必履修教科・科目,若しくは義務教育課程段階の学習内容などの確認ができる「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を位置付けて,日々の活動を通じた幅広い資質・能力の多面的な評価を進めてはどうかということで,前回の会議で御説明させていただいたところでございます。
 その前々回の会議では様々,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の観点で御指導いただいておりました。特にポイントといたしましては,こういったテストをきちんと本当に生徒たちが受けてくれるのか,また多くの生徒に受けてもらうための取組等はないのか,また学校,教育委員会でも今,様々な教育改善活動をされているが,そういったものとの例えばリンクが張れないのか等々の御意見を頂いてきたところでございます。
 そういったことも勘案いたしまして資料2-4を御覧いただけたらと存じますが,本日改めて,こちらの資料でその考え方を整理させていただきましたので,御説明させていただきたいと存じます。
 資料2-4でございます。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を活用した高等学校教育におけるPDCAサイクルの構築の考え方でございます。
 上段の方にございますように,現状における課題といたしましては,これまで御説明させていただいておりますが,ともかく中間層,学力の中堅,それから下位層を中心に学習時間が非常に少なくなってきているという問題が大きくございます。これは生徒本人にとっても大変厳しい状況になりますが,やはり社会全体にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
 それに対しまして,その高校生の学習意欲の喚起,学習改善,そして基礎学力の確実な育成を図るとともに,特に昨今,修学支援の大幅な充実なども行われております。それに見合う教育の質向上が不可欠であると考えておりまして,それらを課題解決に向けていくために,この中段以降にございます,学校現場における「PDCAサイクル」の確立を検討していってはどうかということであります。
 これは学校を中心に考えたPDCAサイクルでございまして,特に赤色,青色,緑,それから紫の,この順に御説明させていただきたいと存じます。
 Planのところでございますが,これは学校ごとに教育目標の設定から教育課程の編成等々,また日々の指導計画,そういったものを策定しておられますし,また日々見直しが行われていくという中でございます。
 そういったものに基づきまして,青いところのDoでございますが,今後はアクティブ・ラーニング若しくは義務教育の段階を含めた学び直しなど,日々の授業の充実をはじめとして多様な教育活動の展開をしていただくということになろうかと考えております。
 この実施をしたものにつきまして,今度は緑のところ,Checkのところでございますが,日々の学習成果の指導要録への適切な反映など,特に多面的な学習評価の充実を図っていくべきであろう。
 また矢印二つ目でございますが,そういった中で,こちらにございますように「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入をはじめとして既存の校長会,民間等で実施していただいている検定試験を,それぞれ多様な活動をしている高校生の適性に合わせて生徒の学力の定着度の確認をしていってはどうかということでございます。
 そして最後,Actionのところでございますが,そういった形で学習評価,若しくは確認された学力の定着度に応じて,各学校において生徒への指導改善,若しくは教材研究等に反映していただく。それがPlanに,また改正になったり,若しくはDoの方に移っていって実際の日々の多様な教育活動に生かしていただくと,こういったPDCAサイクルを回していけないかということでございますが,これらに対して青い矢印がそれぞれ出ております。それは学校におけるPDCAサイクルを確立するために国あるいは設置者からの支援を考えていってはどうかということであります。
 例えばPlanのところにつきましては,左斜め上のところを御覧いただきますと,現在,国におきましては「高大接続改革実行プラン」に基づいて検討を進めておりますが,まさにこの高大接続システム改革会議でも真剣に御議論いただいているところでございます。
 さらには設置者ごとにおかれましても,高等学校教育の充実に向けた計画の立案はされておりますので,そういったものを随時学校にも提示をしながら,その現場に対してしっかりとメッセージを出していくことがあろうかと考えております。
 またDoの国・設置者からの支援のところでございます。この点につきましては,多様な教育活動の展開の中で特に大事なのはアクティブ・ラーニング,また義務教育段階の学び直し等,また教科・科目の見直しが行われる次期学習指導要領の改訂,またそれに基づいた教科書の作成から供給まで行われることになります。また,そういったものを指導できる教員として,養成から研修まで一体的な改革を進めていく。そういった中で,この国・設置者からの支援が行われていくことが考えられているところでございます。
 またCheckのところにつきまして国・設置者からの支援というところで,例えば矢印目一つにございますように,今後,この秋以降,多面的な学習評価の改善でございますとか,また指導要録の改善も行うことを検討しているところであります。
 特に矢印目,二つ目でございますが,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入につきましては,高等学校卒業後に社会で求められる基礎力の定着度を確認するための良問の提供,またCBT-IRTの導入によりまして実施時期の柔軟化,さらには迅速にテスト結果を返すことで指導改善に生かしていけないかということ。さらには,そのテストの結果に応じて,不得意分野につきましては類題の提供など,学校における指導改善を支援していくことが考えられるのではないかというところでございます。
 そして最後,Actionに対しての国・設置者からの支援でございますが,一つ目は,こういったCheckを通じて明らかになった,例えば指導に困難を抱えておられる学校など支援を要する高等学校に対しまして教員の加配,若しくは補助指導員の配置など,指導体制の充実に向けた支援,あるいは様々な教育施策の検証・改善につなげていくということ。更に設置者におかれましても,その計画等の改善や教育研修の充実など,様々な改革に生かしていただくことで,現場を御支援するということがあり得るのではないかと考えているところでございます。
 以上,この資料2-2から資料2-4で,一応大きなイメージ図で御説明させていただきました。こういった流れの中で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」についての制度設計については,先ほど御説明させていただいたとおりのところでございます。
 私からの補足説明は以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。
 それでは今,事務局から説明がありました事項等々につきまして,御意見・御質問のある方,どなたでも結構でございます。お願いをいたします。札を立てていただければと思います。本日は,この件で最後までとれると思いますので,よろしくお願いいたします。
 金子委員,どうぞ,お願いします。
【金子委員】  今回のこの案は,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」がかなり明確に案を出されたという意味で,これまでの議論と少し違った段階に対して入ってきていると思います。これについて今まで十分に議論が行われていなかったので,これから議論を行うことが必要だと思います。
 具体的に,この報告書を見ますと,特に35ページですが,ここにかなり典型的に表れていると思いますけれども,特に「入学者選抜が機能しなくなっている大学」におけると書いてありますが,これは大学に対して大変失礼な言い方で,選抜を行っていない大学があると文部科学省が言っていいのかというのは,私は大変問題だと思います。どんなに定員に達していない大学であっても選抜を行っているから定員に達していないのであって,選抜を行ったことはないということはないと思います。
 問題は,そこの下に書いてありますけれども,学力不問といいますか,学力チェックがないというところが問題なわけです。これは,これまでも問題になってきたところでありまして,現在,大学の入学者の4割ぐらいは高等学校の内申書を基本的には参考として選抜しているわけで,客観的な学力の捕捉を行っていないという意味で,学力があるかないかは別として,少なくとも一定の学力をチェックしていないことが問題です。これは入学試験の問題を考える上で非常に大きな問題であるというのが,この委員会の初発の問題の一つだったと思います。
 しかし,その後に,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を使わない間でも,例えば多面的な入学者試験をすればよくて,内申書を調べるとか,いろいろな資格・検定試験の結果も使えばいいのではないかと書いてありますが,こんなことは既にやっていることでありまして,これではいけないから,わざわざ「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入しようという話をしているのであって,ここのところは,私は理屈としては何を言っているのかよく分からないです。
 基本的な問題は,今回の改革は高等学校までの一定の学力を着実に獲得する,教育制度全体のシステム全体の課題としての課題と,それと高大の接続の問題,この両者の問題を一体改革でやろうというところが今度はみそなんです。しかし問題は,今まで高大接続のところはかなり議論してきましたが,教育システム全体としての学力の保証の問題は余り議論してこなくて,どうもこの二つが分かれようとしているのではないかという感じが私はします。
 それで,それはなぜかといえば,多分,初等中等教育を監督する立場からすれば,むしろ,特に高等学校での学力維持は重要な問題になってくるから,高等学校の教育課程との連続性を議論してくると,どうしてもそうなってくるのではないかと思いますけれども,しかし初発の関心からいえば,これは高等学校教育を良くするための手段として,入学試験と切り離すという別の問題にだんだんなりつつあるところが,私はあるのではないかと。私は,これは一体としてやるところに意義があるのであって,できれば,なるべく一体としてやるということが,社会的なインパクトからいっても非常に重要であろうと思います。
 細かいところはいろいろとありますけれども,例えば実施年度を,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については最初の3年間は別にする。4年間は入学試験に使わないということでありますけれども,その後,様子を見て入学者選抜に使う場合もあるかもしれないという言い方であって,これは入試,接続と基本的には別なものだというふうにだんだんと考えられてこられているのではないか。
 それは,やはり私は,社会的な影響からも,あるいは教育全体に対するインパクトからいってもおかしいのではないか。やはり一体として考えるべきではないかと思います。
 それともう一つ,内容についてであります。これは,この問題が出てきました,私は大分初めから議論に関連していまして,もともと二つ。初等中等教育分科会高等学校教育部会というのがありまして,この部会で,やはり日本の高等学校教育は余りに多様化していること,それからカリキュラムも非常に多くなってしまっていて,高等学校教育までで基本的に得ていなければいけない基礎的な学力が分からなくなっていること,つまり余りに多様化し過ぎているということが問題で,基本的な学力の確認が必要だという議論が出てきておりました。それともう一つは接続の問題です。これら両方を一体として改革しようというのが今までの流れだったと思います。
 しかし,その高等学校教育の中で基礎的な学力の確認ということに関しては,高等学校のカリキュラムをどれぐらい消化しているかどうかが問題になっていたというよりは,むしろ小学校,中学校を通じて,どの程度基礎的な学力が獲得できているのか。要するに,それでもって大学教育を受ける基礎的な学力を獲得しているかどうかが問題だというところが問題だったと思います。
 そういう意味で,これは当初から問題であったわけでありますけれども,私はむしろ「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は言語的能力,数的能力,非常に基礎的な学力を確認すればいい。余り高等学校のカリキュラムに拘泥する必要はない。高等学校のカリキュラムに拘泥するのであれば,これは基本的に高等学校教育はどうやるかという問題になってしまいます。今度の改革は必ずしもそうではないと私は議論してきました。
 特に今度の案では,15ページですけれども,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」では国語,地理歴史,公民,数学,理科,英語をやるとなっていますが,本当にこれが必要なのか。私,この議論,最初のときから問題になっているのは,日本の若者のPISAの国際学力調査の結果を見ても,それから中学校の全国学力・学習状況調査を見ても,下から二,三割の学生は試験自体に余り反応できないような状況です。非常にこの間で,最近も授業についていけない子供が小学校の終わりぐらいからかなり出ているという問題が問題になっていますが,基本的にその二,三割の人たちがきちんと社会生活を送れるような学力を持っているかどうかということを確認する。もし持っていなければ,高等学校で少なくともそれだけは着実に獲得させるというのが一つの大きな課題だったのではないかと思います。
 科目を大きくするということは,それは高等学校でのカリキュラムとの対応は良くなるかもしれませんけれども,教育システム全体の課題には必ずしも一致しないのではないか。そういう意味で,私はむしろ「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,なるべく基礎的な議論に対象を絞って,しかも,そういったことがあることを確認する試験をやるというのが一大改革ですから,これは高大接続改革の一環として,一体として,時期もずらさずにやるべきではないかと思います。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。私も高等学校の生徒の基礎学力を担保するということと,この高大接続を一体的に改革していくということは,それこそ一体的であると理解をしてまいりました。また後半のことも,おっしゃる点は一理あるとも思います。
 文部科学省の方から何かありますでしょうか。
【今井教育制度改革室長】  失礼いたします。それでは御質問,二つ大きくあったと思いますので,事務局としての考え方を御説明させていただきたいと存じます。
 まず31年から34年の試行実施というところでございますが,この点につきましては,特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,その素地(そじ)となるテストが全くない状況で立案をし,これから実施に向けて準備をしていくという状況にございます。そういった中で,特にこれから社会を見通してCBTの導入でございますとかIRTという新しい理論を入れながら,かなり大規模なテストを入れていくということで,例えば18ページのところを御覧いただけたらと存じます。IRTの議論について御説明させていただいておりますが,例えば18ページの白丸,上から二つ目のところでございますように,IRTの導入に当たっての課題につきましては,今後検証を通じて,関係者の意見を踏まえながら試行を進めていくということが必要ではないかと整理をさせていただいております。
 またCBTにつきましても,これから,やはりICT化が進んでいく中で必要だろうと考えておりますが。例えば中段にございますCBTの導入の白丸三つ目のところでございますが,この点につきましても,具体的にいろいろな方式が考えられる中,やはり大規模なテストの実施例が十分にまだないということも踏まえながら,この導入すべきCBTの具体的な仕組みを検討していこうと考えておるところでございますので,こういった,そもそも素地(そじ)がない中で新しい手法をチャレンジングに取り組むという中で,具体的にどういう進め方ができるのか。それは現場の高等学校,それから,これは当然大学関係者も含めて,様々意見交換をしながら,実証データを積み上げながら進めていってはどうかということで,今回実施のところの考え方としては,31年度以降から34年度までは試行実施と位置付けるということ。
 ただし,それ以降につきましては,特に22ページ目の一番下にございますように,次期学習指導要領下で学習した生徒が,現在想定されておりますのは,高校2年生になるのが平成35年度ということでありますので,ここからは多様な科目の中から生徒の希望に応じて選択受検できる形で実施を目指すことで考えさせていただければということでございます。
 また,2点目のところの科目と読解力,数的リテラシー等で見た方がという御指摘でございました。私どもの中でもいろいろ議論はございますが,例えば,やはり高等学校で指導をしてテストをしていただくということで,今回,出題の科目等につきましては原則,教科を軸に考えさせていただいているところであります。
 16ページのところでございますが,この高等学校基礎学力テスト(仮称)で測定する資質・能力のうち,例えばでございますけれども,下段の方にございます,このテストで測定する資質・能力の白丸三つの中にもございますように,基礎的な知識・技能を問う問題を中心としながらも思考力・判断力をバランスよく問いたいということ。その過程の中で,特に二つ目の白丸以降でございますが,高等学校が進学や就職といった生徒の進路にかかわらず,やはり社会で生きていくための必要となる力を共通して身に付けることが,最後の学校の機関ということになろうかと考えておりますので,そういったものに役立つようなテストを作っていきたいということであります。
 そういった意味で,16ページの最後の白丸でございますが,その問題の作成に当たりましては,実社会の様々な事物,若しくは事象に結び付けた問題,若しくは条件を当てはめるだけではなくて,それを導き出す力を問うような問題,さらには,その解答を導く過程を重視する問題,そういったものも組み合わせて進めていければと考えております。
 金子委員の御指摘には,なかなかうまく,きれいに答えられないのですが,この高等学校基礎学力テスト(仮称)の中で,できるだけそういったものを取り入れたテストをしていけないかということで考えさせていただいているところでございます。
【安西座長】  金子委員,お願いします。
【金子委員】  すみません。この際,論点出しておいた方がいいと思いますので,少し言わせていただきます。
 まず後の方ですが,要するに社会で生きていくための基礎的な力を試すべきだというのは,それは私もそうだと思いますが,問題は,そのときに理科,社会が必要かどうかということです。ここに至るまでの,私は初等中等教育分科会高等学校部会で相当議論しましたが,要するに1990年代の初めから日本の高等学校教育は非常に多様化しまして,いろいろな職業学科を作るのと,それに応じて,今度はカリキュラム自体もものすごく多様化してしまって,教育内容が非常に多様化してしまって,標準的な学力がなくなってきているような状況です。それに対して,もう少し,ここだけは必要なものがあるべきだというのをセットして,それについてある程度の試験をやるべきだというのがそのときの議論だったと思いますが,しかし,そのときにかなり出てきた議論は,特に職業学科の先生です。職業学科の先生については,やはり職業学科というのは職業教育を中心としていろいろなことを教えていて,それに意味があるのだという議論でした。
 職業学科というのは必履修科目に,こういう形では入っていないです。でも,そういう形で教育するということも非常に重要であり,だから,理科,社会はなくても,そういう形で社会の中で生きていくための議論をいろいろな形で結び付けるという形もあり得るということです。
 しかし私は,読み書きと数的な能力は必ず必要だと思います。この部分は,とにかく確保しなければいけないと。そういう意味で基礎的なものがあると思います。
 しかし,学習指導要領上の必履修科目と社会的に要求される知識というのが,高等学校部分では一致は必ずしもしないのではないかと私は思います。これに関しては,やはり高等学校側が納得してもらわなければいけないので,これについて,かなり相当な議論が必要ではないかと思います。
 それからもう一つ,IRTとかCBTの問題ですけれども,要は,高校生の基礎科目について,基礎的な学力について確認するのであれば,全国一律の悉皆(しっかい)ではないにしても,相当数の生徒が受けることは想定しなければいけない。110万人で,それから100万人ぐらいにだんだんなってくると思いますが,しかし年2回で,2回受ける人もいるかもしれない。そうするとやはり100万人ぐらいの人たちを相手とした試験がなければいけない。
 そのためにCBTといいますか,コンピュータを使った試験がやはり必要なのではないかという議論です。しかし逆に,CBTを使わなければできないというものでもないのではないかと私は思います。最初は少なくとも,電子読み取りの今大学入試センターでやっているような試験の方法でやるということもできないことはありません。だんだんとCBTに移っていくことは可能でしょうが,それには,やはり一定の時間が掛かる。これは当然だと思います。できるものからやればいいのであって,CBT自体ができるのに時間が掛かるというのは,私は議論では余り理由にはならないのではないかと思います。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の内容,また,このテストと大学教育,あるいは大学入学者選抜等々との関係,もちろん高等学校教育との関係につきましては,今まで少なくともここでは,それほど議論がされてきたとは思えませんので,この件,是非御意見あれば,更にいただければと思います。
 それでは,何人かの方から札が上がっておりますので,そちらの御意見もいただければと思いますが,よろしいですか。関根委員,羽入委員,長塚委員,恩藏委員,浦野委員まで。まず,関根委員にお願いします。
【関根委員】  今回の改革全体で,特に私が思っていることは,基本的に日本の教育の良さについては,高等学校レベルまでで一定限の知識・技能が,ハイレベルというのでなくても,全体としていいレベルまで行っているということです。そこに良さがあった。それがだんだん崩れてきているという現状の中で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは,私は今まで日本が持っていた強みの部分を強みとして,もう1回確認していこうということかなと理解しています。
 ですから,金子委員も言われましたけれども,高校1年生の必履修科目だけで見ていくべきものではないと思います。本来でいうと,小学校から高校1年生まで全体の学習内容について,基礎学力をきちんと担保しましょうということでしょう。大事なのは,小学校から高校1年生までの力をきちんと付けていくということになると思います。
 ですから私は,できれば,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と,今現在,小中でやっている全国学力・学習状況調査については,将来的には一体化して,きちんと子供たちの基礎学力を担保しましょうという戦略なのではないかと私は思っています。
 ですから,そういった意味で,例えば16ページに出題の範囲の中に義務教育の内容も一部含めると書いてあるのですが,できればここのところで,将来的には全国学力・学習状況調査との一体化も検討すると書いてくださって,きちんと国家戦略として一定レベルの力を付けましょうということを打ち出していただけたら有り難いというのが1点です。
 それから,この中間まとめに沿っていきますと,先ほどの話にあったのですが,22ページで,31年度から34年度まで試行実施期間ということで,接続の関係でどうかという話があったのですが,私は,その基礎学力をきちんと付けるというメッセージを発するためには,この間,これを入試に使わないのも一つの選択肢ではないかと私は思っております。
 要は,きちんと高等学校までで基礎学力を付ける必要があるというメッセージです。そこに全力を挙げなければならないという意味で,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が必要なのではないかと思います。
 それから24ページ,民間のノウハウを入れるということですが,これについては賛成です。ICTのコンテンツについては,民間の方で作成,開発,販売,かなり大きく動いている様子があります。そういった部分では,民間と連携して,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」も作っていくということが大事ではないかとは思っております。
 それから,34ページで二つ目の丸の最後の方で,「学修の履歴についても適切に評価することができるよう」というのがあるのですが,これは非常にいいなと思っています。できれば,その学修の履歴についての前に「アクティブ・ラーニングなどの」というのも入れていただけないかと思います。つまり大事なのは,学校の授業でどういうことを学んでいるかということが一番大きいということです。今次の改革が,アクティブ・ラーニング的なものを高等学校にもっと導入していきましょうということですから,ここでは学修の履歴はそういうものも含んでいますということを明示した方がいいのではないかというのが私の意見です。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。羽入委員,お願いします。
【羽入委員】  ありがとうございます。今まさに言葉が出たアクティブ・ラーニングのことで,少し申し上げようと思っておりました。
 事務局にお願いしたいことですけれども,他の部会,小中高までの部会を先ほどまでやっておりましたが,そこでアクティブ・ラーニングという用語の使い方については大変慎重に扱ってまいりました。これは目的化することのないようにというふうに,常に私たち心掛けてきたつもりです。
 そういう観点から,本日頂きましたのを拝見しますと,5ページ目のところにアクティブ・ラーニングについての説明がございます。これで良いのかどうか,ちょっと疑問ではあります。それはそれとして,その後,十何ページぐらいまでアクティブ・ラーニングというのがどんどん出てきまして,例えば10ページの上から三つ目の丸の文章の中では,アクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の不断の改革となっていて,何かアクティブ・ラーニングが全てを解決する最良の策であるかのような印象を持つのは私だけなのかもしれませんが,そこが少し気になりました。
 さらに,このA3の大きい紙で資料2-4のところを拝見しますと,真ん中辺にございますけれども,アクティブ・ラーニングや義務教育段階を含めた学び直し等を行う授業をはじめ,このアクティブ・ラーニングと,それから義務教育段階を含めた学び直しって,これ,何と何が並列されているのか,ちょっと理解していないですけれども,これは並列する類いのものなのか。少し質が違うものではないかという気がいたしますので,これは他部会のこととの整合性を保つように慎重に扱っていただきたいと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。先ほどの関根委員の御意見に少し戻りますけれども,金子委員も言われました,高等学校の生徒全員についての,いわゆる基礎学力を担保するということだと,悉皆(しっかい)調査の方がいいのではないか,そういう論はいろいろおありになると思います。
 私の理解では,以前の中央教育審議会の初等中等教育分科会高等学校教育部会で,やはり高等学校の生徒であれば自分から受検をするという判断をすることは大事だと,そういう理念で個人ということになっていると思いますけれども,このあたりのところも,また御意見もいただければと思います。
 またアクティブ・ラーニングにつきましては,羽入委員の言われたことは,私自身は全くそのとおりだと思います。私はアクティブ・ラーニングというのは生徒,学生がアクティブにラーニングすることをアクティブ・ラーニングと言うのであって,外からの技法ではないと。それは外ではそういうふうに言っておりますが,どうもこの文面だと,いかにも,これができればもういいのだととれないことはないと思います。
 それでは長塚委員,お願いします。
【長塚委員】  それでは,最初に金子委員のおっしゃっていた点のテストのことですが,今回,この本文(案)に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の目的が明確に書かれた,14ページに基本的事項ということで,生徒の指導改善を主としてこれを行うということになりました。この点については高等学校教育部会のときにも,そのテスト結果を大学の進学などに活用してもいいのではないかということで,テストの目的は指導改善だけでなく,進路にも使うという意見が随分並行して続いていたと思います。でも基本は,やはり指導改善の意見が多かったと思います。悉皆(しっかい)にしたいという御意見も,もちろんそれにつながる話だと思いましたけれども,最終的には希望参加であるということが一番ベターであるとなったわけです。それは今,座長がおっしゃった主体性が重要であるということが,やはり基本にあったのではないかと思います。
 今回この目的が明確になったことは,指導改善に使うということにおいても,とても良いことだと考えます。ただし希望参加であるということですから,学校によって対応がまちまちになったりするということも,これは前提のことだといえます。対象者も中間層から下のところで,まさに基礎的な学力をしっかりと定着させるためのものであるということでございますので,学校によっては受検しない学校や生徒が出てきても,これはおかしくないだろうと理解しております。
 高等学校現場では生徒の学力,特に基礎学力状況を把握しないで日々の授業の指導などはできるはずはありませんから,結構多くのテストを既に実施して把握しているわけであります。その中で,この新しい全国的に統一されたテストでもって全体的な,全国的なレベルでの達成度をしっかりと測ることができるということになれば,それはそれなりに価値があると思っております。
 ただ,大学の方で,このテスト結果をどうしても知りたいということで焦ってしまうと,このテストのためのテストみたいなことが,また現場では起こるだろうと私は危惧しております。大学の今でいう推薦入試,AO入試に使うということになれば,そのテストの結果が特に物を言うのであれば,そのために何か集中したテストを学校で独自に行うようなことにもつながりかねず,高校生の多面的な評価をするということとは逆行するような方向に現場が動いてしまうのではないか。そういう危惧をもちます。実は学校の,ある意味,そういう体質が,これまでずっとあって,テストを中心に動いてきたことから脱却しようということでありますので,是非ここは慌てず慎重に取り組んでいただくことを望みます。今回のまとめ案の通り,結果をよく見ながら,それをどう使うかを検討するということの方が,私は適切ではないかと思っています。
 ちなみに日本の高等学校はアメリカの高等学校などと違います。アメリカの高等学校は高等学校入試がありませんので,地域の最寄りの学校に行くというのが基本になっています。ところが日本は津々浦々,公私立高等学校とも,全ての生徒が入学者選抜をして,それが階層的な高等学校に収まっているわけでありますので,その中で各学校,あるいは生徒たちが,今までの一つの物差しで測られてしまうような中で進路が決まっていくようなことにならないためには,この日本の独自の状況を何とか変えるための「高等学校基礎学力テスト(仮称)」であってほしいと思っております。
 これ以外の件も加えてよろしいでしょうか。
【安西座長】  はい。
【長塚委員】  すみません。本文(案)の11ページになりますでしょうか。高等学校教育改革の4番目の項として,多面的な評価の充実というのがございます。この評価のことは,実は秋口にまた検討すると伺っておりますので,ここの書きようはまだ少ないかと思いますが,高等学校の様々な活動について示していただいた図は,多面的な評価をするために高等学校の教育活動がいかに幅広く行われているか,単なる教科の学習・指導だけではないということを強くアピールするために作られていると思いますけれども,これはまさにこのとおりです。
 しかし学習指導要領の内容は,ほとんどが教科学習に割かれているわけでありまして,にもかかわらず高校生は,例えば部活動などはとても一生懸命やっている。そういうところで主体的に,多様な仲間と協働して物事に取り組む,チームとして取り組むなどの力が付いている。そういうものを実は社会も見ていたりするということがあるわけです。
 そういうところが大事だというのがこのペーパーだろうと思いますけれども,これからの授業をアクティブ・ラーニングにするという新しい教育方法論を教員が身に付ける中で,一方では部活動などをもっとしっかりやって,多面的に高校生の活動を評価するということは,実はなかなか大変です。これを誰がやるのかといえば教員でありまして,教育の学校現場は非常に大変であります。
 例えば先ほどアメリカの例を挙げましたけれども,欧米の高等学校の先生は教科指導の業務に特化していて,3時,4時になったら帰るのでありまして,日本のような部活動の指導を学校はしておりません。これは社会体育のスポーツとして行っているわけですけれども,日本の高等学校,あるいはそれ以下の学校には,そういうことが学校の教員に求められています。様々なことを教員がやりながら,こういう多面的な評価につなげていくとなると,本当に実はこれは理想であって,私も求めるところでありますが,生徒たちの指導をする教員に対する単に研修というレベルでは,これは済まない。仕組みの問題として,もっと大きく捉えていかないと,実は本来は解決しない問題ではないかと思っております。
【安西座長】  よろしいですか。
【長塚委員】  すみません,長くなりました。以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
 それでは,恩藏委員にお願いします。次に浦野委員,香山委員,佐野委員,荒瀬委員,吉田委員にお願いします。
【恩藏委員】  今回,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の全体像が分かって大変良かったかなと思っています。悉皆(しっかい)に関する問題提起は大分前からこの会議でも出ていましたけれども,今回,このPDCAサイクルの資料2-4の御説明を聞きながら,やはり,できれば悉皆(しっかい)で行ってほしいと改めて感じました。
 例えばPDCAのチェックのところを見ますと,一部の高等学校で抜けてしまうと,このサイクルがほとんど機能しなくなってしまう。そういう理解になるのではないかなと思います。では,どうしたらいいか。いろいろ考えていたのですが,例えば,結果の提供というところで10段階以上とありますけれども,パスかパスしていないかみたいな工夫をする。あるいは科目のところで先ほど,たしか金子委員がおっしゃっていましたけれども,共通に履修する高い科目だけで悉皆(しっかい)にするとかです。具体的には国語,数学,英語です。あるいは試行期間は,まずは悉皆(しっかい)ではないけれども,試行期間終わった後は悉皆(しっかい)でいくとか,そういったいろいろな工夫をしながら悉皆(しっかい)で行える可能性はないのかということを是非御検討いただきたいと思っています。
 特に,今回の改革はまさに国の戦略であって,国の世界的な競争力を高めていきたいというのが多分根底にあると思います。そういうことを考えると,最低限の学力の保証によって国力をアップしていきたい。そういう思いで取り組んでいるわけですので,一部で実施しないというのは,どうも私は納得がいかないと思っています。
 以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。この悉皆(しっかい)調査の件については,文部科学省の方で何かコメントはありますか。伯井審議官,お願いします。
【伯井初等中等教育局審議官】  義務との性格の違いというのはあると思います。義務の悉皆(しっかい)調査をやっているのは悉皆(しっかい)規模の調査で,公立学校は全て受検,受けておりますけれども,私立学校は,まだ現状としては半数程度になっております。あと,先ほど長塚委員からおっしゃいました,高等学校は非常に多様化を前提にした仕組みの中で,その共通性をいかに確保していくかというのを教育課程の中でも議論しておりますけれども,高校入試という選抜を経て,それぞれの高等学校に入学していくという仕組みの中で,その悉皆(しっかい)によるモニタリング調査をどこまでできるのかという課題もございます。
 一方で悉皆(しっかい)にした場合,現状の義務教育における全国学力・学習状況調査は入学者選抜とは切り離して行われておりますけれども,その入試活用という点をどう考えるのかという課題もございます。
 ただ,おっしゃるように,できるだけ多くの学校が希望参加制度の下でも受けないと,ここの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の目的とするところの趣旨が達成できないというのも御指摘のとおりですので。そういう意味では,どういう仕組みがいいのか。できるだけ多くの生徒が参加してもらえるような仕組みを,高等学校関係者の納得ということを前提に考えていかなければならないのではないかと思っております。
 先ほど来ありましたように,大学入試圧力というか,そういう大学入試の方からのアプローチで高校生に勉強を更にしてもらえるようにするというシステムの改革も一定程度必要なわけですけれども,一方で,高等学校では様々な多様な生徒に対して,日々の学習意欲を喚起するようないろいろな試験を高等学校サイドは既に行っているというのも現状でございますので,それとの調和をいかに図りながら,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を円滑に導入していき,なおかつ高校生の学習意欲を喚起しなければならないというのも,これ待ったなしの問題ですので,そこをどうしていくかという課題に引き続き御意見賜ればと思います。
 悉皆(しっかい)については,今言ったような,少しメリット,デメリットがいろいろございますので,更に精査しなければならないと思っております。
【安西座長】  ありがとうございました。
 それでは,浦野委員にお願いします。
【浦野委員】  私も,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に対する期待といいますか,今回いろいろ全体像が明らかになった段階での期待という視点から意見を述べたいと思います。
 それで,資料2-3に多様な評価というのがございます。先ほど長塚委員から,実際高等学校の現場は大変で,なかなかこういう多面的な評価というのはありましたけれども,そうは言いつつ,やはり,この理想を追い掛けてもらいたいという思いはあります。
 この多面的評価の最後にある部分というのは,私は,やはり大学に入学したいという人たちにとっては,更に大学で学ぶ意欲がきちんと分かる評価,あるいは社会に出ていく人にとっては,社会で貢献したい,働く意欲というものが分かるような評価になっていくべきだと思っております。
 そういう視点から,私,今回のこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは,大学よりは社会に出る人たちに視点を当てて,そこから1回見てみたいと思います。そういう目で見たときには,この高大接続システムというわけですけれども,4割ぐらいの人たちにとっては高等学校と社会の接続システムです。
 その視点で考えたときに,この資料の2-4でも指摘されているように,我が国社会にも悪影響を及ぼすという表現を使ってありますけれども,今,やはり産業界から見て,ごく普通の人のレベルの低下というのは明らかにあって,今後の日本の社会,いろいろ考えていく上で,イノベーティブな考え方,これは何も難しい発明とか発見をするという意味ではなくて,既存のものをいかに組み合わせて社会の課題に,課題解決に向かっていくかという,その意欲,これは,やはり日本のごく普通の人たちが持たないと,日本の社会というのは成長していかないと思います。そのレベルを保障するのが,金子委員がおっしゃっていた意味でのリテラシーだと私は思います。
 そういう意味で,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは,高等学校によって当然それをいかに利用するかは変わってくると思います。先ほど,これも長塚委員がおっしゃっていましたけれども,日本の場合には,幸か不幸か,高等学校は層別化されています。その中でスーパーサイエンススクールみたいなところ,ここにこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」ということを言ってみても始まらない。しかし,義務教育の補習をカリキュラムの中に入れなければならない,あるいはそのことを進めているような高等学校も現実にあるわけです。そういった高等学校にとっては,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をいかに利用していくか。
 この中にも4回のチャレンジということが書いてありましたけれども,そういった4回の機会をうまく活用しながら,生徒たちに,この基礎学力をできる限り身に付けてもらって卒業していく。このことが高等学校の質保証の一環に私はなってくると思います。もちろん学力は一つの側面にすぎませんけれども,でも重要であることは間違いない。
 そういう意味で,それぞれの高等学校が,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をいかに使っていくかということです。悉皆(しっかい)で生徒全員にこのことを課すということも含めて,それぞれの高等学校が考えていただければと思っています。
 そういう中で,16ページにありましたけれども,テストの中身を社会事象に,様々な事象に結び付けた問題という,これは私,非常にいい発想だと思います。やはり底辺校の高等学校の生徒は,学んでいることが社会でいかに役立つかということが現実としてぴんときていないと思います。
 そういう意味で,例えば因数分解なんかが会社の仕事の中では非常に役に立つ。考え方としてですということが,やはり分かるような問題が出てくると,何のために勉強しているのかということが具体的に分かってくると思っていまして,こういった作問があると本当にいいと思っています。
 それから,22ページのこの試行期間の問題です。考え方としては試行実施期でいいと思うのですけれども,そうはいっても,この実証的データというのはテストだけで得るものではなくて,それを実際に一部の大学が使用してみて,その追跡結果でどうなるかとか,あるいは就職という側面で,使いたい会社があればそれを許すとか,そういった部分がないと実証的データもたまっていかないと思いますので,ある意味,柔軟に,そこは考えていただければと思います。
 最後に質問ですけれども,24ページに,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,一番上の白丸です。英語以外の教科・科目も含め民間との連携の在り方について検討するとあります。これは私,非常にいいことだと思うのですけれども。一方で43ページを見ると,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の方については,英語における民間の知見の活用ということで,こちらは英語以外の科目については特段民間とのコラボレーションについては触れてられないのですが,これは特に意味があってそうなのか,一方だけそれが欠落したのか,そこを教えていただければと思います。
【安西座長】  文部科学省,お願いします。
【橋田大学入試室長】  この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の制度設計の観点からは,特に英語については四技能試験ということで,民間のノウハウを生かしていく必要があると考えております。そういう意味で,こちらのテストにつきましては,英語のところを念頭に書かせていただいているところでございます。
【浦野委員】  いや,私が聞きたいのは,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方は英語以外の学科についてもということがあって,こちらはそのことを一切触れていないですよね。今どき受験産業も含めて,ほかの科目についても,こういった部分での民間の知恵というのはいっぱいあると思いますけれども,それを英語だけに限っている理由は何ですかと聞いているのです。
【橋田大学入試室長】  作問の観点から申しますと,大学が共同で実施することとする試験が,今の大学入試センター試験の枠組みでございます。この新しい「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」においても,大学入学者選抜における共通テストとしての公共性の観点などから,大学との共同実施の知見も踏まえて体制を検討していく必要があるということが念頭にございます。
 ただ,この民間との連携について,どういう形がありうるのかは検討課題になりますけれども,メインのところでは大学との在り方を想定しているところでございます。
【安西座長】  極端に論理的理屈で言えば英語だけに限るということは,理屈で言えば違うかとは思います。理屈で言えばですけれども。ありがとうございました。
 たくさんの方が立てておられるので続けたいと思いますけれども,一応整理させていただくと,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」につきまして,やはり高校生の基礎学力がいろいろ分布していく中で,きちんとそれを担保しなければいけない。国家戦略と言われた方もおられますけれども,そういうことをしていかないといけない。それには悉皆(しっかい)調査ということも当然考えられるのではないか。
 また一方で,高校生のそれぞれの努力,力を見ていくためには多面的評価が肝腎である。また,やり方のいろいろ難しいけれども,そういう方向も大事である。
 一方で,その高校生の特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の点数だけを大学の側(がわ)でもって選抜に使われると,これは高等学校の側(がわ)としては,なかなか浮き足立ってしまうといいましょうか,そのための勉強になってしまう。
 一方で,先ほど35ページに入学者選抜が機能しなくなっている大学と,それは言い方はともかくとして,そういうことが書かれておりますのは,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を大学側が使わない。当面,当初使わないとしたときに,いわば素通しで。言葉はいけないですけれども,素通しで入学してきてしまうような大学について,一体その大学生の基礎学力をどう担保すればいいのかという課題が一方であるということだと考えられます。
 そういったパズルを全部きちんと組み合わせて答えを出していかなければいけないということだと。少し整理させていただければ,そういうことだと思われます。
 それでは,香山委員,佐野委員,荒瀬委員,吉田委員,日比谷委員,片峰副座長,お願いします。香山委員,お願いします。
【香山委員】  今,安西座長が整理をしてくださいましたので,その整理の上に立って,高校側の立場でお話ししたいと思います。伯井審議官からも,大学入試からのアプローチという観点で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を考えるという考え方も一方でありながら,小中でやってきた全国学力・学習状況調査の延長線上に,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をまず位置付けて,学力の3要素をしっかり伸ばしていく,それを確認するためのテストだというアプローチの両面があるというお話を頂きましたが,私は後者のアプローチからまずは実施をしていくことの方が,高等学校現場としては有り難いと思っております。
 といいますのが,いわゆるペーパーテストの点数だけをとりたてて重んじるようなことになりますと,学力の3要素を伸ばすといいながら,結局ペーパーテストで知識の量を測るという風潮になってしまって,本来の狙いとするところの三位一体の改革が空洞化する恐れがあるのではと思います。まずは学力の3要素を小中高で伸ばしていくためのテストという位置付けで,そちらの方からのアプローチを優先してやっていくことをお願いできたらと思います。
 特に関根委員もおっしゃいましたけれども,この全国学力・学習状況調査と一体化していくという観点でいいますと,やはり学習状況の調査も併せて活用していくことを是非お願いしたいですし,その記述は22ページにありますので,ここのところを国レベルで本当はやっていただきたいと思います。
 それから「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の方ですが,一つ気になりますのが34ページですが,その他とありまして,このその他が何を意味するのかというのが気になっております。私としては,38ページに丸2番の「思考力・判断力・表現力」を構成するところの丸の二つ目の下から3行目,4行目に,「大学入学以前に自ら行ってきた探求的学習や読書等も含む学習の成果」という表現があるわけですけれども,この探求的学習の成果,学習歴,ポートフォリオ,こういったものをしっかり大学の先生方に見ていただきたいと思っています。総合的な学習の時間をしっかりやっていくという上でも,ここのところの記述を明確に書いていただけたらと思います。
【安西座長】  ありがとうございました。高等学校側にいうことが全くないですけれども,今までのデータとして,よく取り上げられるものとして,大学の入試が要は簡単になってきた結果として,高等学校の生徒の学習時間が減っていると,そういうデータがありまして,こういうことが高等学校の教育と大学側のことが切り離された場合に,高等学校側が教育をどういうふうにやっていっていただけるのかということは,やはり一方であるのではないかとは思います。
 それでは,佐野委員にお願いします。
【佐野委員】  ありがとうございます。私は高校生の保護者なわけですけれども,実質的に実際,高等学校に98%の中学校卒業生が進学をして,かつ,これは公立高校の場合ですけれども,所得制限があるとはいえ,授業料の無償化になっているということを考えると,やはり高等学校が社会に出ていく最終的な教育機関です。私は大学も社会だと思っておりますので,そういう意味で社会に出ていく最終の教育機関だとすると,最低限,社会で生きていくための能力というものを担保する,保証するということは当然のことだろうと思っております。
 そういう意味で,いわゆる読み書きそろばんはもちろんですけれども,社会で生きていくための基本的な素養である公民ですとか,あるいは一般的な教養としての地理歴史,あるいは理科というものも,最低限のものは保証するということが必要だろうと思います。
 ただ,これだけの全国的な規模の,それこそ100万人単位で受検する,受けるものをやるためには,当初は国語,数学,英語というところでしょうけれども,やはり段階的に地理歴史,公民,理科というところに進めていただきたいと考えているところであります。
 それと,今回中間まとめでありますので,最終的に本改革が目指している高校教育改革,大学教育改革,それをつなぐ大学入試改革というところをいかに組み立てていくのかというのは,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」との位置付け,そしてまた,もう一つは多面的な評価の調査書でありますとか,指導要録,これをどういうふうに絡めていくかというのは,最終まとめに向けて,更に一層議論を深めていくべきだろうと思います。
 以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
 荒瀬委員,お願いします。
【荒瀬委員】  先ほど羽入委員がおっしゃって,安西座長もお答えになりましたので,私が言うまでもないかもしれませんが,アクティブ・ラーニングという言葉には本当に注意すべきだと思います。様々な高等学校の先生方とお話をしていて,アクティブ・ラーニングというものに対して極めて,空から降ってきた,どうしてもしなければならないものというイメージがあって,それが一つの型として普及されようとしている面があります。ですから教育方法,指導方法というのは生徒の状況に応じて様々でありまして,例えば同じ生徒であっても,どの時期ならば,いわゆるアクティブ・ラーニングの形の指導法が有効かというのは,それはそれぞれの教科を担当している教員がよく知っているわけですし,今後も研究はしていかなければならないですが,何かアクティブ・ラーニングというのが独り歩きしていくことは是非避けていただきたいと思います。
 別の部会では私,アクティブ・ラーニング教という呼び方をしておりますけれども,異端者を見つけろみたいな感じに受け止めていらっしゃる高等学校の先生方は少なからずいらっしゃるということを,まず申し上げたいと思います。
 それと,アクティブ・ラーニングということでもう1点申し上げますと,非常にたくさん使われているわけですけれども,今後,資料2-4のアクティブ・ラーニングは中黒が付いておりませんので,用語の統一をよろしくお願いしたいと思います。
 それから今回,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が明らかになりつつあるということで,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と併せて,いわゆる学力の3要素というのが初等中等教育,それから高等教育,さらには社会にも開かれたということで,生涯,将来生きていくためにも必要だという一つの軸が生まれようとしています。
 その観点から,これ大変大きな改革でありまして,私は期待を持ってここにも参加させていただいているのですけれども,冒頭,金子委員がおっしゃいました,一体であるはずのものだったのにもかかわらず,それが少しトーンダウンしているのではないかということは私も思います。確かに私は,特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」はすぐにでもできると思っておりまして,あしたはできないにしても,来年やろうと思えばできる。もっと言えば,こちらにも書かれていますが,民間のやっているものを使えば必ずできる,すぐにでもできると言ってきた人間ではありますが,一方で,先ほどのアクティブ・ラーニングに関するような独り歩き状態で,高等学校現場が大変混乱しているということ。それから学習指導要領が大きく高等学校については変わっていく。とりわけ選挙権年齢の引下げも含めて主権者教育をどのようにしていくのかといったような新たな課題もあるということもありまして,ここは本当に大きな改革を実際にやっていくということで,きちっとした広報と共通理解をしっかりとしていかないと,結果的に何かしら高等学校教育が揺さぶられて終わってしまうことになってはいけないと思いますので,その意味では,すぐにでもできるとは思いつつも,新学習指導要領の実施とセットということも一つの選択肢かということは思うわけであります。
 それと,いろいろと御意見が出ましたけれども,私は,やはり「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に関しましては,問題を見ない限りは何とも言えないということが一番であろうかと思います。ですから,先ほどの浦野委員の御意見でも,例えばスーパーサイエンスハイスクール(SSH)校はする必要はないかもしれないというような旨の御発言がありましたけれども,しかしながら基礎というのを何に置くかという点でいうと,いわゆる進学校の生徒がその基礎をクリアできているかどうかということは,これはよく分からないわけでありまして,しかも問題を見ていない以上は,これ悉皆(しっかい)か悉皆(しっかい)でないかというのも,私は悉皆(しっかい)派でありますけれども,しかしながら,やはり問題を見てからだと。
 その問題を見ることによって,この12ページにお書きいただいているわけですが,カリキュラム・マネジメント。これも学習指導要領の新しい改訂に向けた模索をしている部会で,今盛んに言われているところですけれども,このカリキュラム・マネジメントということをしっかりと各学校に入れていって,かつ,また定着していく中で,その中で,このテスト問題を学校としてやるのか,生徒の希望でやるのかといったようなことも含めて検討していけば良いと思っておりまして,そういったことを検討する上でも,もう少し時間がある方がいいのかもしれないということを思う次第です。
 実はカリキュラム・マネジメントに関しては,この資料2-4の左下の青の矢印のところで,国・設置者からの支援ということがありまして,学習評価や確認した学力定着度等に基づく生徒への指導改善や教材研究等への反映などというところへの支援として,高等学校に対する教員加配や補習指導員の配置など,指導体制の充実とお書きいただいています。これは非常に期待しています。
 結局,教員の多忙というのは,教員数が絶対的に足りないということも大きくありますので,こういう形で,本当にカリキュラム・マネジメントしていく中で必要になったもの。これは条件整備も含めてカリキュラム・マネジメントと呼ぶということでありますので,ならば,こういったことを本当に具体化していけるような予算措置ということも併せて是非お考えいただきたいと思います。
 以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
 吉田委員,それから日比谷委員,片峰委員,南風原委員,長崎委員,五十嵐委員,岡本委員,お願いします。6時までということになっておりますので,よろしくお願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。できるだけ短くしたいと思います。
 今,荒瀬委員もおっしゃいましたが,私も学習指導要領の改訂の委員やっていまして,そちらの方でも1回,少し意見を言わせてもらったのですが,ここで言っている「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と学習指導要領とどう関係あるのかという,この辺の情報がうまく伝わっているのだろうかと,私自身,自分が両方とも入っていながら,よく分からなかったというので,今おっしゃったのは非常に気になっている点です。
 私の認識では,やはり「高等学校基礎学力テスト(仮称)」というのは学習指導要領と密接な関係があって,それを実際にきちんとやっていればこういう力が付くよというものを見せるものではないかと思っています。
 だとすると,この14ページに,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は指導改善等のために役立てようというようなことがございますし,と言いながら,10ページあたりに教員に指導力向上というところに,いろいろ,こういう点で教員の指導力を向上させないといけないと言いながら,「高等学校基礎学力テスト(仮称)」はほとんど何も関係ないような形で書かれているのが,少し気になります。
 つまり私は,特に英語なものですから,どうしてもスピーキングとかライティングというテストに関しては,誰かが人間が,やはり採点をしないといけない。あるいは,スピーキングはどうなるか分かりませんが,私としては直接スピーキングであるとするならば,インタビューは誰かがやらなければいけない。もしそういうような設定でやるのだとすれば,今現在,高等学校の英語の教員はどうやってスピーキングを評価したらいいか分からない,ライティングの評価の仕方が分からない,パフォーマンス評価が分からないということを盛んに言うわけですから,私は高等学校の先生たちにそこに入ってもらいたい,インタビュアーになってもらいたい,またルーブリックを渡して,これによってスピーキングの評価をしてもらう,あるいはルーブリックを渡してライティング評価をしてもらうということをすることによって,教員の指導力向上につながるのではないかと思っています。
 ですから,そういう形で,もしこの「高等学校基礎力テスト(仮称)」というのを使っていただけるのであれば,本当に教育にそのままウォッシュバックされる。しかも,入試と関係ないローステークスのテストですので,そういう意味ならば一番向いているのではないかと私は一応思っています。
 以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございます。学習指導要領,それから教員の指導力向上と「高等学校基礎学力テスト(仮称)」との関係についてはおっしゃるとおりで,もう少しきちんと説明できるようにしていくべきだと私も思います。どうもありがとうございます。
 それでは,日比谷委員,お願いします。
【日比谷委員】  ありがとうございます。実は私のポイントは浦野委員と非常に一致していることでございましたので,そこはもう言いません。ただ,少し補足いたしますと,例えば頂いた資料2-3の右側の箱の一番上にも英検,TOEFL等の民間検定というのは出てきますし,現在でもいろいろなところに使われている民間の検定試験というのは,英語に限りますが,圧倒的に語学関係のものが多いので,どうしてもそこからとなるのかと解釈しておりますけれども,ほかの科目についても様々な方の知見を集めることは大事かと思っています。
 それで,こちらに重点を置いて話しますけれども,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が始まるとなると,どういう作問体制でやるのかということは,もう私が話す人は全員,戦々恐々としています。大学教員が作るのかと。
 本日,たまたま頂きました参考資料2の26ページに,これは現行の大学入試センター試験の作問体制が出ておりまして,大変いい資料を頂いたと思いますが,現在は点検協力者で高等学校の先生方,高等学校関係者となっていますが,60人程度お入りになっていますが,ほとんどが大学教員。先ほどからIRTのお話もありましたけれども,非常に大量の問題が必要になるわけですから,作問の体制を今からかなり真剣に考えないと,問題できない。破綻する。
 それから今,吉田委員おっしゃいましたけれども,評価の方も,コンピュータでできるようなものはいいですけれども,どうしても人が採点しなくてはいけないというところも,やはり,かなりの人員が必要になりますので,そこのところをきちんと考えないといけない。
 それから,例えば大学から人を出すとかいうようなことだったら,それはいいんですけれども,やはり,そこに人をとられると,その代わりの配置とか,そういうことも考えていただかないといけないと思います。
 以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございました。高等学校の先生方に関わっていただくのは当然というか,是非お願いしたいと個人的には思うところでございます。
 それでは片峰副座長,お願いします。
【片峰副座長】  大学として一言言わせていただきます。全体に,前回の素案の段階から比べまして,いわゆる「高等基礎学力テスト(仮称)」だけではなくて,それ以外の部分も,この前の意見を加味していただいて,非常にいいものになっていると僕は思います。そういった意味では,今後の議論の格好のたたき台になる。具体性を持って今後議論できるのではないかというのが一つの評価でございます。
 実は国立大学協会も,これに関する議論を開始してございます。開始したばかりですけれども,その議論も含めまして少し3点ほど,コメントを申し上げたいと思います。
 今回の高大接続改革に大学としてどう関わるか。最大のポイントというのは,やはり社会の変容に対応して,きちっと,その変容する社会の中で生き抜ける人材を育成すべく,不断に教育改革を行っていくこと。そのことを,例えば入学試験等々を介して,教育界全体に波及させていくということが基本的なところだろうと思います。
 そういった意味では,今回の全体の背景の部分とか,あるいは全体の考え方の部分の中に,今,大学が一番考えている人材育成の観点,例えばグローバル人材,もう一つ言うならば,地方創生に関わる人材,育成に関する記述を今回の高大接続改革の一つの理念のキーワードとして,加えていただくことを考えていただきたいというのが1点です。
 それから,先ほどからの観点で申しますと,当然のことながら,三つのポリシーを明確化するということ。その中で,アクティブ・ラーニング等々も含めまして教育改革をやる。その成果を実証的なデータとして世の中に公表していく等々というのは当然のことでございまして,それぞれの大学,それぞれに今努力しているところでございます。
 問題は,そのアドミッション・ポリシーを明確な形で入学試験に影響力を形として示すというところですけれども,とすれば,入学試験の在り方というのが今までの考え方と若干変わってくるだろうと思います。
 一つは,今まで競争試験だった。ところが,それぞれの大学がアドミッション・ポリシーに対応する入学試験,合否判定ということになれば,これはある意味,要するに資格試験の要素が非常に強くなります。
 一方で,もうぎちぎちした定員管理が行われているわけです。特に国立大学。最近も,定員管理をもっと厳しくしようという動きもあります。そういった入学定員管理に関する考え方の整合性をきちっとどこかでする必要がある。すぐにはなかなか難しいでしょうけれども,考えていただきたいということが2点目です。
 3点目,ここが大事ですけれども,今まで国立大学協会は,いわゆる入学試験の公共性の観点から,国立大学協会として自主的なシステムを構築してきました。それは要するに個別試験と共通試験と2本立てでやるということ。それから分離・分割方式ということがあります。でも,それに加えて5教科7科目という基本をもって,この国の入学試験の公共性を担保し,なおかつ,いわゆる受験生の水準を維持するということをやってきたのだろうと思います。
 そういった意味で今後,大学,特に国立大学協会の中で大きな議論になるのは,今までどおり国立大学としての一体性を維持するのか。それとも,もうそれはやめて,各国立大学それぞれがそれぞれの入試をやることにするのかというのは最大の議論になると思います。
 そういった観点で言えば 37ページに大学入学者選抜に係る新たなルールの構築が,かなり具体的に書き込んであって,これ自身に関して,個人的には私,非常にいいと思っていますが,例えば現在の区分制の入試においては早期化とか複雑化,これは大学にとっても非常に大きな荷重を掛けていますし,高等学校教育にも悪い影響を与える。それから,ずっと下の方になりますと,今までの推薦入試,一般入試,AO入試という区分の意味は相対化されているという記載もあります。
 そういう中で,新しいルールを作るということを明確に書いてあるわけです。ここが恐らく大学で極めて大きな議論になります。
 そういった意味で,ここに関する議論は,やはり,みんなが,社会が共有しなければいけないということだと思います。これをベースにして,やはり議論をもっと深めていくということがものすごく大事だと思います。
 それと同時にスケジュール感の問題があります。推薦入試とかAO入試に全力を傾けておられる大学,たくさんあるわけです。その中で,この新ルールがいつから発効されるのかというのは非常に大きな問題で,やはり現在の,要するに改革努力の連続性の中で,この新しいルールに移行していくということを考えていただきたい。
 そういった意味では,スケジュール感に関してもある程度明示していただく。そういった必要があるのではないでしょうか。
 以上でございます。
【安西座長】  ありがとうございました。なかなか,それぞれ重いことですので,時間をとらせていただいておりまして申し訳ありません。それぞれ本当に貴重な御意見を頂いておりますので,時間の関係は,多少延びるかもしれませんが,お許しいただければと思います。
 南風原委員,お願いします。
【南風原委員】  「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については,初めて本格的な議論が本日始まったと思いますが,ここまでの議論を拝聴して,まず性格が全くはっきりしないということです。財政的にも,また大学人,あるいは高等学校の先生方にも多大なコストが掛かることは明らかですけれども,どこに焦点を当てたテストなのかがはっきりしないということが一つあるかと思います。
 ですから,スケジュール的には,中間まとめに,そのはっきりしない状態で何か断定的なことを書くことは避けるべきではないかと思います。ここまで出てきた複数受検とか,段階表示とか,CBTとか,IRTとか,これらは全て本質的でない話で,なぜ複数なのか,何のために複数なのか,何のためにIRT,CBTなのか,段階表示なのか。目的がはっきりしないので,どれも定まらないと思います。
 まず,お金を払ってまで受検しようというのは何か目的がなくてはいけないわけで,大学に入学を希望する者はこれを受けなくてはいけないというのであればはっきりします。今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は,大学に行くかもしれない中間から低い層,プラス大学に行かない層と,二つの全く異質なものが入っているので,目的も指導改善と言ってみたり,最低限の能力の確保,ミニマム・コンピテンシーですね,そこを言ってみたり,あるいは受検への活用ということを言ってみたり,まるで違うことを言っている。それは一つは対象者に大学に入学を希望する者と希望しない者が混ざっているからだと思います。
 一方で「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」というのがあるのであれば,レベルによらず大学入学希望者なわけですから,そこで例えば幾つかのレベルを設けるなりという工夫で,そこで総括する。これは入学希望者は受けなくてはいけないので,お金を出さなくてはいけない。それははっきりすると思います。
 それと小中で教える内容まで含めた社会人として最低限の力の担保というのは大分違うことで,そのためにお金を出そうとは思わないです。これは高等学校の義務であり,そのために学校が新たにお金を払ったり,個人が新たにお金を払ったりというのは何のためか,これが分からないです。
 そういうミニマム・コンピテンシーというのはすごく大事ですけれども,それを50分程度のテストで測る。そのようなテストであれば,ほとんど大学人の力は必要ないし,役にも立たないと思います。ミニマム・コンピテンシーであれば,高等学校の先生方を結集して,それはやってもらえればいいです。そもそも,それを全国で一律にCBTとか何とかでというよりは,それはもっと個々の高等学校レベルでやる方が小回りが利いて,ここのところ,自分たちの生徒はここが足りないので,こういうところを強化したいというようなことでやっていく。それが高校でのアカウンタビリティーだと思います。
 そういった評価を支援するためのテスト問題を提供するとか,そういうことは国としてもできるかと思いますけれども,どうも,この一律の今目指しているところと,受験が絡んだり絡まなかったりというところがはっきりしないので,目的がはっきりしない限り大きなコストが掛かるところに踏み込むべきではないのではないかと,本日伺って強く思いました。
【安西座長】  ありがとうございました。この高校の新テストの目的については14ページに明記されておりまして,高等学校教育の質の確保・向上を図ることという,ほかにいろいろ書いてありますけれども,そういうことであるということ。これは案ですけれども。それから,高等学校のいわゆる基礎学力が相当分布しているということが背景になっていると思われます。
 それでは,長崎委員,お願いします。
【長崎委員】  今の方と同じように基礎学力調査についてです。本日の話合いの大きな流れとして悉皆(しっかい)でということを感じるのですが,私はこの種の調査が悉皆(しっかい)で行われるということに賛成ではありません。慎重に考えていきたいと思っています。
 理由は何かといいますと,先ほどPISAの話が出ましたけれども,PISAから見いだされた日本の一番の問題は,日本の生徒は学ぶ意欲を見失っているということです。そのようなときにテストで意欲を喚起するということは,またテスト圧力だけの勉強になってしまう。そこで,本来の意味での学習が高等学校で失われてしまうのではないか。それを非常に心配しています。私は数学教育の方なのですが,例えばテストで確実に点を取るために数学の授業が計算問題の練習になってしまうと,それは本来の学習ではないと思います。
 では,学力をきちんと身に付けていることをどこで保証するのかということですけれども,日本の小中高校では2000年ぐらいから評価の改革をやってきております。客観的な教科内容,つまり評価規準でもって多様に評価をするということを行ってきています。それを高等学校も,もっときっちり学校レベルでやっていけば,それぞれの生徒がどこまで身に付けているのかということを伝えられると思います。
 そのような意味で,悉皆(しっかい)ということ,先ほど座長がおまとめになったように感じたのですけれども,もう一度考えていただけたらと思います。
【安西座長】  全然まとめておりませんので。悉皆(しっかい)調査が流れでは全くありません。逆だと思いますけれども。いや,どうも申し訳ありません。言い方がストレートかもしれませんが,ちょっと誤解がおありになるのではないかと思います。
 それでは,五十嵐委員にお願いします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。小学校の立場です。素直な気持ちで,本当に子供たちが今付けている力,将来必要な力を正しく測る,そういうものを早く作りましょうというのを叫びたいぐらいです。
 私は「高等学校基礎学力テスト(仮称)」にとても期待をしています。同時に,非常に責任を感じていますし,非常に緊張します。先ほどからお声がありましたが,小学校段階でつまずきを落としてはいけない。しっかり見取らなきゃいけないと。いろいろな手段で見てあげないといけないという覚悟を持ってやらないといけないと思っています。
 それと同時に,こんなに力が付いているのに正しく評価されていないのではないか。こんなに育っているのに,上に行くと,いつの間にか違うことが重視されているのではないかと,そういう思いもあります。そこを今回の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」のところで,とても期待をしたいところです。
 小学校,中学校ともに全国学力・学習状況調査で基礎を測るA問題と,それから活用を測るB問題ができまして,AができればBが伸びる。やはりBはAができないと駄目なのではないかという誤解がありますが,決してそうではないです。基礎・基本と思考・判断・表現力は両輪です。なかなか基礎的なところがうまくいかない子供も,B問題でぐんと解ける子もいます。それは,やはり学び方にあるのではないかというのを,少し感じるところです。
 実は小学校では,どこでも総合的な学習の時間,何かしらやっていると思いますが,本校はその時間も含めて,防災について教科として研究開発校の加配を頂いてカリキュラム・マネジメントをさせていただいていて,防災をやっていますが,それには理科的な要因,自然のメカニズムとか,自然を調べることや,地形的な地理的な勉強も含まれますし,この地域にどんな震災があったかという歴史的なものも含まれますし,インタビューをして,高齢者の方にいろいろなことを言われて,改めていろいろ考えて,人を助ける,生きていくってどんなことだろうという公民的なことや,生きていくような,そんな大事なことも子供たちは学んで,こういう調査やインタビューや探求活動を通して,とてもいいものを作り上げて,まちづくりというので6年生でまとめています。ここで地域の人たちに,その学習成果を聞いていただいたら,本当に感心されました。大学のレベルとは言わないですけれども,ここまで小学校ができるというふうに感心されました。
 こんな学びがそのまま,どうやったら評価されるのだろう。もちろんやっていけばやっていくほど,教科をまたいで勉強する,培われるものがあるような気がします。
 そこで,先ほどの資料2-2をすごく期待を持って見ていましたが,学習・指導方法の工夫,教育内容。この教育内容の方も,教科というものを,ここで少し見直すチャンスがあってもいいのかと思っています。横断的に追求していくことで伸びる力もあります。そしてまた,この評価のところは,ペーパーで測れるものには,やはり限界があるような気がしますので,とりあえずはやってきた学習内容を整理していくポートフォリオ的なものしか思い浮かばないですが,それでも日々,授業の中で活躍しているのは,どういったルーブリックを作れば見取ってあげるだろうとか,この評価について私はもっと知りたくて,これを機に,このあたりが,もっともっと充実していけば,これを総合的に,これからの時代に付けたい資質・能力が,どれだけ達成したかを測るための「高等学校基礎学力テスト(仮称)」になるだろうと思います。それは大学にもきちんと有効に使えればいいですし,何よりも高等学校にいる子供たちがそれを測るものになれば,とてもいいのではないかと期待をしていますので,何らかの形でうまく早く,それができるといいなと思っています。
 以上です。
【安西座長】  ありがとうございました。今の御意見は当初,金子委員が科目で縦に切らないでいいのではないかと言われたのと共通しているところはあると思いますし,学習指導要領と議論とリンクとして,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が考えられているような面もあると思うので。そうすると,どうしても教科・科目別という感じになってきますけれども,そういうところも議論の余地はあるのかもしれないと思います。
 それでは,岡本委員,それから小林委員,そこまでにさせていただきます。岡本委員,お願いします。
【岡本委員】  ありがとうございます。ワーキングの方でいろいろやってきた立場から一言申し上げたいと思います。
 今の南風原委員の御意見ですけれども,私は,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の目標というのは,ここに書いてあるように,実際に高等学校の教育がどのように改善され,実際の学力の底上げが,別に高等学校だけではなくて小中高含めてできるかというところが目的だろうと思っております。ただ,そこまで言ってしまうと,南風原委員がおっしゃっていたように,では,そんなもの,お金掛けて誰が受けるのかという問題もありましょうし,金子委員が最初におっしゃったみたいに高大接続との一体化はどうなのかという問題はもちろんあろうと思ってはおります。ですけれど,そこを,あえて私はそのように申し上げたいと思います。
 というのは,これをやるときに,私自身はこのような改革が実際に日本の,これは関根委員のおっしゃったことに尽きているわけですけれども,全体の社会の力を上げていくという立場からすれば,もちろんこれは戦略的に国がどこまで関与するかということにも関係しますけれども,全体としては,教育システム全体としては高大連携を一環としてきちんと関わっているだろうということは一つあります。
 それで,私,この議論をするときに非常に恐れていたのはテスト。とにかく,これ名前も大事ですが,名前が大事で考えなきゃいけないですけれども,テストを導入すると現場が,またテスト,テストになってしまいます。私が知っている限り,達成度のテストは,いろいろなところで行われているのは知っていますが,ほとんどの場合,達成度の試験でいい点をとることが目的になってしまい,その結果,その後どうしようというのはなかなかできていないです。恐らく先生方の力を付けるというのも,単に先生方の学力をアップするというより教育力というのは,そういう実際どうやって教育改善につないでいくかというところが大事だろうと思いました。
 とにかく申し上げたかったのは,テスト,テストの繰り返しになってはいけないと。そういうふうになったら元も子もないじゃないかというのが私の思いだったわけです。
 したがって,例の悉皆(しっかい)という話も,どんなにできる子だって,やはりテストが増えれば,また重荷になるわけで,それは十分検討して考えていただきたいとは思っています。
 余り長くなるとあれなので,以上です。
【安西座長】  どうもありがとうございます。
 それでは小林委員,お願いします。
【小林委員】  12月に答申が出てから,いろいろなところで,この趣旨についてお話をさせていただく機会がありまして,大体この高大接続改革についての大枠については皆さん御理解いただいていて,いいことだ,総論賛成と。
 ただ一つ,いつもひっかかるのが,この「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の位置付けのところです。第一義的には多様化した高等学校のコアの学力をどうやって質保証していくか,担保していくかというところが,この14ページに書かれているとおり,本質的なところだと思っております。
 そうしたときに,ついこの間までは,これ希望者が有料で受けるということになっておりましたので,では,希望者にはそれはどんなインセンティブがあるかということを必ず質問を受けました。例えば先ほどの金子委員の議論にあった通り,少し言い方に問題があるかもしれませんが,入学者選抜が機能しなくなっている大学は,別に機能させたくないわけじゃなくて,経営的な判断で学力を問えずに採っているということです。つまり,希望者がわざわざ学力テストを受けなくても別に大学が判断すれば行けてしまうので,何のためにインセンティブが働くのだということを,よく御質問を受けます。
 もしこれが高等学校の質保証であるのであれば,先ほどの岡本委員とは逆になりますけれども,その理念から考えるとやはり悉皆(しっかい)で,できるだけ無料で受けられるようにしたらいいのではないかというようなことを,よく言われるということです。
 また,中高一貫校で,例えば学力の高い高等学校であっても,文理選択という形で分かれた後に,教科によっては義務教育レベルでつまずいている子もたくさんいるということで,できれば悉皆(しっかい)に近い形でというふうに個人的には考えているところでございます。
 以上でございます。
【安西座長】  どうもありがとうございました。
 いろいろ御意見を頂きまして,本日は特に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」に関連した御意見を多々頂いたわけでございますけれども,多少まとめさせていただければ,やはり,その導入の目的というのは,多様化している高等学校の高校生の基礎学力をきちんと担保したい。またそれを高校生一人一人,また学校の学習改善,指導改善に生かしていきたい。これが恐らく,ある程度基本的な共通理解としての導入の目的といいましょうか,趣旨になるのではないかと思われます。
 またいろいろ御意見はおありになるかと思います。それからの派生で,どういう方法がいいのか。科目の問題もあり,悉皆(しっかい)調査がいいのかどうかという問題もあり,多面的評価の問題もあり,それから大学との関係です。入学者選抜,今言われたような,ある意味,素通しで入学させているような大学の大学生の基礎学力をどうすれば担保できるのかと,そういう問題にもつながります。
 まとめさせていただければと申し上げながら,別に結論を申し上げているわけではもちろんございません。是非,更に御意見おありの方は事務局へ随時おっしゃっていただければと思います。一応,中間まとめにつきましては8月の下旬のこの会議でもって出させていただくということで,日程としては進んでおります。本日頂いた御意見を整理させていただいて,この案を更に前向きに改善させていただければと思いますので,是非御理解くださいますようにお願いを申し上げます。よろしゅうございますか。貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。
 では,今後の日程をお願いします。
【新田主任大学改革官】  申し訳ございません。その前に,冒頭8月4日付け人事異動の方を御紹介させていただきましたが,本日途中からの出席者について,最後でございますが,追加紹介させていただければと思います。
 高等教育局,常盤局長でございます。
【常盤高等教育局長】  常盤でございます。よろしくお願いします。
【新田主任大学改革官】  それから大臣官房,関政策評価審議官でございます。
【関政策評価審議官】  関でございます。よろしくお願いいたします。
【新田主任大学改革官】  それから,先ほどお話がございました次回でございますが,8月27日木曜日15時から17時を予定しております。座長からお話ありましたとおりに,できますれば中間まとめ案を精査したもので,更に案の取りまとめをさせていただければと思っておりますので,本日議論が尽くせなかった部分,またお気付きの点等ありましたら,随時事務局に文書等でお寄せいただければと思います。
 場所等は,追って御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【安西座長】  それでは,ここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム

電話番号:03-5253-4111(内線4902)

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