「学校から社会・職業への移行」に係る縦断調査に関する検討会(第2回) 議事要旨

「学校から社会・職業への移行」に係る縦断調査に関する検討会(第2回)が、以下のとおり開催されました。

1.日時

平成24年12月25日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省国立教育政策研究所第一特別会議室

3.議題

  1. 東京大学社会科学研究所、慶應義塾大学及び海外における縦断調査について
  2. 自由討議

4.出席者

委員

赤林委員、石田委員、妹尾委員、中村委員、樋口委員、深堀委員(五十音順)

文部科学省

生涯学習政策局
上月大臣官房審議官、西澤調査企画課長、亀岡主任社会教育官

国立教育政策研究所
尾﨑所長、杉野次長、萬谷研究企画開発部長、小桐間国際研究・協力部長

オブザーバー

国立教育政策研究所
笹井生涯学習政策研究部長、藤田生徒指導・進路指導研究センター総括研究官

5.議事要旨

事務局より配付資料の確認及び資料の説明が行われた。

(1)東京大学社会科学研究所、慶應義塾大学及び海外における縦断調査について

石田委員より東京大学社会科学研究所における縦断調査、樋口委員及び赤林委員より慶応義塾大学における縦断調査、深堀委員よりアメリカにおける縦断調査並びに卯月専門職よりイギリスにおける縦断調査について説明があった。

(2)自由討議

  • 海外の事例や現在問題になっていることを考慮すると、親調査などで親についての情報を得ることが必要。家庭に関する内容も把握しておかなければ縦断調査の意義が限定的になる。
  • 学校経由で調査をする場合、家庭に関する質問を生徒に聞くことを学校がちゅうちょすることが多い。東大の縦断調査ではその点を考慮し、卒業後に保護者調査という形で保護者の学歴、職業、所得について回答を得た。親から直接情報を得るのは大事。
  • 学校教育も家庭教育も共に重要であるが、学校教育の効果と家庭教育の効果を識別して把握することが重要。例えば、インターンシップを受けた人の就職がいいと言うが、それ以前に、家庭教育などの影響でインターンシップを受ける人は仕事に対する意識が高いということも言える。就職の成功がインターンシップの成果であるのか、インターンシップを受ける段階の個々人の態度の違いなのかは議論になっているところである。
  • 個人情報の問題で学校から情報が出てこないのであれば、学校経由で実施するメリットは少ない。ただし、個人経由であれば学校関係の情報の入手が困難になる。
  • 政府統計の基本計画では行政記録の活用を促進する方向であるので、学校が自ら公表している情報については、子供に学校名を聞いておけばある程度のリンク付けが可能ではないか。
  • 学校の地域や規模、学科などであれば情報も集めやすくリンク付けが可能ではないか。
  • 学校基本調査とのリンクが可能であれば、就職率などがわかり有益ではないか。
  • 学校基本調査とのリンク付けは必要だが、その上で学校基本調査で聞いている項目を重複して聞いてはいけないので、それ以外のプログラムの具体的な中身を聞くことが必要。
  • 文部科学省や国立教育政策研究所が実施する調査であれば、家庭環境の影響を排除しつつ、学校のプログラムが及ぼす影響について把握することが不可欠である。学校経由の調査では把握できないものもあるが、学校経由でなければ把握できない部分も視野に入れつつ調査を進めていく必要がある。
  • 非正規雇用や早期離職などの若者が持続可能な就業に円滑に移行できない現状について、学力だけでなく非認知的なスキルも影響を与えているとすれば、学校外の外在的な要因が大きいことも考えられるので、学校のプログラムだけでなく外の要因も調べる必要がある。
  • 学力調査とのリンク付けが技術的に可能にならないか。また、技術的に無理であれば、テストを受ける中3生に学校名を聞いておき、その子供に学力調査を学校に開示請求してよいか尋ね、了承された場合に子供からの請求として学校から情報を得ることはできないか。子供又は保護者が了承すれば学校は拒否することができないので、このやり方であれば教育委員会を通さずに学校に対して直接情報を請求することができる。
  • 学力データの獲得の難しさを考えると、高校受験時の学力に関するデータが得られれば、高校段階からの把握で十分ではないか。学力データと調査データとのリンクはそれほど重要ではないのではないか。
  • その場合、文科省としてどのようにして高校のランクづけデータを準備するのか。
  • 大学の研究においては、民間の高校偏差値表などを基に学校をランク分けし、学校内の成績は主観的にどうだったかと聞いた結果とマッチングさせた結果で学力データを代替してきたので、学力データが得られれば魅力的である。
  • 学校基本調査からわかる高卒者の進学率や就職率によって大まかな学校のランク付けを行うと、学校の教育や教員の質を加えた後の結果となるので、高校教育で何がつけ加わったか、出発点はどうだったかということを把握するための情報としては不十分である。
  • 子供の方に高校名を聞いて、別途その高校に対して調査を行えばマッチングは可能だと思うので、調べてほしい。カナダなどではソーシャル・セキュリティ・ナンバーを使ったマッチングを行っているので参考になるのではないか。

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生涯学習政策局政策課