専修学校における学校評価・情報公開の在り方について(論点案)

総論

(背景・現状)

○ 社会の様々な領域において、組織をどのように統治するかという「ガバナンス」の在り方が注目を集めるようになっており、専修学校についても教育の質保証・向上を図るとともに、学習者の適切な選択に資する観点から、学校評価・情報開示等への適切な対応が求められている。

○ このほか、公的財政支援に対する納税者の意識も高まっており、様々な形で公費が投入される教育機関に対しては、より大きな説明責任が求められるようになっている。こうした中、専修学校制度においても、平成18年の学校教育法改正により、自己評価の義務が課せられており、その一環として、財務諸表等の利害関係者への閲覧に関する義務も課されている。

○ 特に、法律で義務付けられた自己評価及び結果の公表等への対応については、専修学校の取組が十分ではない状況を踏まえ、その取組の実質化を促すとともに、第三者評価等への取組についても、専修学校が自主的に進める活動を支援・促進していくことを目的として学校評価ガイドラインを策定する。

(専修学校における学校評価の目的)

○ 専修学校の学校評価においては、より自由度の高い学校種としての特性も考慮しつつ、当該学校の実践的な職業教育活動等を評価し、改善・支援等を行うことにより、生徒等が、産業界等のニーズを踏まえた質の高い職業教育活動等を享受できるよう学校運営の改善と、専修学校教育の発展を目指した学校評価を行うことが重要である。

○ 小・中・高等学校のように学習指導要領等で教育内容の一定の質が担保されている学校評価や、大学のようにインプットを明確に評価しつつ、学問の自由と大学の自治の中で行う大学評価とは別に、実践的な職業教育を目的とする専修学校については、特に、職業に必要な知識・技能・態度(=アウトカム)に係る質保証の視点を踏まえた評価を行うことが重要である。

○ 実践的な職業教育を行う教育機関として、産業界等のニーズを踏まえ、どのような理念・目的・目指す人材像等を掲げ取り組んでいるのかについて、学校が産業界等へ適切な説明責任を果たすとともに、相互の課題やニーズ等を共有し、実質的な連携強化を図りながら、産業界等において必要な人材養成を実現するという視点が重要となる。また、このような視点の下、専修学校については、産業界等の社会・地域との関わりの中で、専修学校の1教育目的、2教育方法・内容、3ガバナンスの3つの柱を基本として評価する必要がある。

○ これらのことから、専修学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する評価を積極的に行い、その結果に基づき学校運営の改善を図ること、及び、評価結果等を広く雇用側の経済団体、職能団体等に公表していくことが求められる。また、社会経済にとって有意な人材を育成するかという観点から、学校評価において、積極的に企業・関係施設や、経済団体・職能団体等からの参画を得ることが重要である。

○ 以上のような指摘を踏まえ、専修学校の学校評価は、以下の3つを目的として実施するものであり、これにより専修学校の生徒が質の高い実践的な職業教育等を享受できるよう学校運営の改善と発展を目指すための取組として整理する。 

  1.  各学校が、実践的な職業教育等を目的とした自らの教育活動その他の学校運営について、社会のニーズを踏まえた目指すべき目標を設定し、その達成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより、学校として組織的・継続的な改善を図ること。
  2.  各学校において、生徒・卒業生、保護者、企業・関係施設、経済団体・職能団体など学校関係者等により構成された学校評価委員会等が、自己評価の結果について評価することを基本として行う。また、学校関係者評価の実施とその結果の公表・説明により、適切に説明責任を果たすとともに、学校関係者等から理解と参画を得て、地域におけるステークホルダーと専修学校との連携協力による特色ある専修学校づくりを進めること。
  3.  各学校の設置者(p)、所轄庁、国等が、学校評価の結果や取組状況に応じて、専修学校に対する支援や条件整備等の改善措置を講じることにより、一定水準の実践的な職業教育の質を保証し、その向上を図ること。

(専修学校における学校評価に関する法令)

○ 専修学校の学校評価は、平成19年の学校教育法及び同施行規則の改正により、1)自己評価の実施・結果の公表に関する義務、及び2)学校関係者評価の実施・結果の公表に関する努力義務が課されている。

(学校評価に関する関連法令)

 ■ 学校教育法(抄)
  • 第四十二条 小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。
  • 第四十三条 小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
 ■ 学校教育法施行規則(抄)
  • 第六十六条 小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、自ら評価を行い、その結果を公表するものとする。
  •  2 前項の評価を行うに当たつては、小学校は、その実情に応じ、適切な項目を設定して行うものとする。
  • 第六十七条 小学校は、前条第一項の規定による評価の結果を踏まえた当該小学校の児童の保護者その他の当該小学校の関係者(当該小学校の職員を除く。)による評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。
  • 第六十八条 小学校は、第六十六条第一項の規定による評価の結果及び前条の規定により評価を行つた場合はその結果を、当該小学校の設置者に報告するものとする。

   ※これらの規定は、幼稚園、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校、各種学校に、それぞれ準用する。

 

自己評価・学校関係者評価

○ 小・中・高等学校等については、文部科学省が「学校評価ガイドライン(平成22年改訂)」を定め、PDCAの評価サイクルによる「自己評価」や、自己評価の結果を評価することを基本として行う「学校関係者評価」、それら評価結果の公表等について、各学校の取組の目安となる事項を提示している。   
  ※「自己評価」・・・・各学校の教職員が自校の教育活動その他の学校運営の状況について行う評価。
  ※「学校関係者評価」・・・小・中・高等学校の学校評価においては、保護者、地域住民等(当該校の職員を除く)により構成された評価委員会等が、自己評価の結果について評価することを基本として行う評価。

第三者評価

○ 第三者評価については、法令上の義務付けはないが、小・中・高越学校等の「学校評価ガイドライン(平成22年改訂)」においては、自己評価や学校関係者評価に加えて、第三者評価を導入することにより、学校評価全体の充実を図るための取組の目安が示されている。

  ※ 「第三者評価」・・・・学校教育法に規定されている学校評価の一環として、学校とその設置者が実施者となり、学校運営に関する外部の専門家を中心とした評価者により、教育活動その他の学校運営の状況について、専門的視点から行う評価。

(専修学校における学校評価の定義等)

○ 実践的な職業教育機関としての専修学校が、社会全体の信頼を得ていく上では、産業界等からのニーズを踏まえた教育活動等の評価や情報公開が、組織を改善するためのPDCAマネジメントサイクルの中に位置づけられ、1教育の質の改善、2社会に対する説明責任、3学校評価を通じたガバナンス改善に向けた自主的な取組を促進していくことが重要となる。

○ その際、1学校として専修学校設置基準等の一定程度共通に求めるべき取組として、義務的に行われているかどうか評価(アクレディテーション)及び情報公開を進める視点と、2専修学校教育の充実に向けた自主的な取組として、各学校の特色を活かす取組を評価(エバリュエーション)し、専修学校教育の支援・促進を図るという視点とを整理した上で、評価活動に取組ことを前提とする。

○ 本ガイドラインでは、上記方法令の規定や目的等を踏まえて、学校評価の実施方法を以下の3つの形態に整理する。 

  • 自己評価       :各学校の教職員が行う評価
  • 学校関係者評価  :生徒、卒業生、企業・関係施設、業界団体、中学校・高校等、自治体等の学校関係者などにより構成された評価委員会等が、自己評価の結果について評価することを基本として行う評価
  • 第三者評価     :学校とその設置者が実施者となり、学校運営に関する外部の専門家(当事者・学校関係者でない者)を中心とした評価者により、自己評価や学校関係者評価の実施状況も踏まえつつ、教育活動その他の学校運営の状況について専門的視点から行う評価

○ それぞれの考え方は次のとおりであり、進め方のイメージ例を添付する。
 別添1:専修学校における学校評価・情報公開イメージ(案)参照

専修学校の自己評価・学校関係者評価

○ 法律上の義務とされた「自己評価」については、校長のリーダーシップの下で、当該学校の教職員が参加し、その目的・計画等に沿って達成状況や取組が適切に行われたかどうか等について評価・公表を行い、学校運営の改善等に活用する。本ガイドラインにおいては、当該学校の実践的な職業教育に関する取組の確実な実施と充実が図られるよう、専修学校における取組の目安をガイドライン等として取りまとめ、各学校の取組を推進する。

○ 法律上の努力義務とされ、自己評価結果を踏まえ当該学校の関係者が行う「学校関係者評価」は、職業教育に関する効果的な評価の仕組みとして、卒業生、保護者、企業・関係施設、業界団体、中・高等学校(専修学校と接続の関係がある学校の関係者)、自治体関係者など、専修学校と密接に関係する者が学校関係者として参画する評価委員会等が、自己評価の結果について評価することを基本として行う評価活動とする。

専修学校の第三者評価

○ 「第三者評価」への取組については、制度的な整備がなされていない中でも、産業界等との連携による実践的な職業教育を目的とする専修学校の評価において、その分野等において、当該学校と直接関係をもたない業界や、学校運営に係る外部の専門家が参画する独立性の高い、自主的な評価活動を促していくことが必要である。

○ このような第三者評価を通じて、専修学校が自らの状況を客観的に見直す機会として捉え、専門的な分析や社会経済のニーズを踏まえた方向性などの助言によって、学校の優れた取組とともに、学校運営の改善・充実など更なる学校の活性化が期待される。

○ このため、自己評価・学校関係者評価も踏まえた第三者評価の具体的な方向性を示すとともに、各分野における自主的・自立的な第三評価の仕組みの構築を目指し、本ガイドラインにおいて先導的な取組の指針となるものをとりまとめることとする。

○ 大学等における第三者評価については、国の認証を受けた評価機関が大学等の評価を行う認証評価の仕組みが構築されているが、こうした制度は、小・中・高等学校等の評価制度を準用している専門課程には導入されていない。このため、高等教育段階の実践的な職業教育を行う専門学校としての特色が生かせるような第三者評価の在り方について、更に検討するとともに、先導的な取組への支援が必要である。

(課題)

○ 学校評価制度導入後の課題として、主に次のような点が挙げられる。

  ■ 学校評価の実施割合が低く、各学校により評価方法等にバラツキがある。
  ■ 専修学校の分野特性や3課程(高等・専門・一般課程)の特性などを踏まえた評価方法が確立されていない。
  ■ 専門的知見を備えた評価要員の確保が困難など評価の実施体制が十分に整備されていない。
  ■ 企業・関係施設、業界団体等の参画による学校評価の導入事例が少ない。
  ■ 評価結果が設置者、自治体関係者(専修学校担当)への報告がなされず、活用されていない。 

○  制度導入後の学校評価の取組状況について「専修学校の質保証・向上に資する取組の実態に関する調査結果(平成23年3月)」(以下、専修学校の質保証等実態調査。)をみると、義務化された自己評価をはじめ学校評価活動の実施率は低く、各学校における学校評価に係る課題として、実施体制の構築、実施方法に関する知識の取得等が多く指摘されている。一方で、学校評価に取り組んだ学校の成果については、学校改善の取組につなげるなど、その活用・効果に関する回答が多かった。 

  1). 私立専修学校の学校評価の取組状況

       ◎ 自己評価を実施している専修学校は      62.2%
         当該結果を公表している専修学校は      17.1%
       ◎ 学校関係者評価を実施している専修学校は  15.6%
         当該結果を公表している専修学校は       5.6%
       ◎ 第三者評価を実施している専修学校は     5.5%
         当該結果を公表している専修学校は       3.0%

  2). 専修学校における学校評価に関する課題 (上位4つ)
  •  実施体制の構築
  •  実施方法に関する知識の取得
  •  専修学校における自己評価・外部評価ガイドラインの策定
  •  評価要員が確保できない
  3). 自己評価、学校関係者評価の成果 (上位4つ)
  •  次年度の学校改善の取組の参考になった
  •  改善点が明確になった
  •  教職員の改善への意識が喚起された
  •  全教職員の課題に対する共通理解が推進された
     ※「文部科学省委託調査 専修学校の質保証・向上に資する取組の実態に関する調査研究事業(平成23年3月)」
     回収数:1648校 

○ 専修学校については、その目的、対象、制度の特性から、カリキュラム等の面での自由度が高く、産業界等とのニーズに即応しつつ多様な教育を柔軟に展開する上での強みを持って、職業や実際生活に資する教育を行う学校としての特色がある。

○ 一方で、全体的な学校運営、教育水準等における質保証の面では、他の学校種に比べ、1専門性を有する分野の特性※、2教育の目的、対象等に従って設定された高等課程・専門課程・一般課程などを踏まえ、その形態は様々であり学校ごとの差異が大きいことが指摘される。
   ※専修学校設置基準においては、8分野(工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養)ごとに規定。

○ 制度上の形態としては、専修学校の目的に応じた分野の区分ごとに教育上の基本となる組織を整備し、それぞれ1つ又は2つ以上の学科を設置することとされているため、学校の理念・人材育成像等が関連する分野の特性を踏まえ必要な教員組織、施設、設備その他を備えることとなっている。

○ また、3つの課程については、1中学校の教育の基礎の上に心身の発達に応じて教育を行うものを対象とする高等課程、2高等学校卒業程度の者を対象とする専門課程、及び3入学資格、教育対象等を制度的に限定していない一般課程の三つの課程に区分されている。

○ このため、それぞれの学校または学科単位における分野特性や、3つの課程(高等・専門・一般課程)を踏まえた多様な評価項目・指標例の設定や当該学校の職業教育の内容に密接に関係する業界等との連携による学校評価など、専修学校の目的に沿った適切な質保証システムを構築していくことが必要である。その際、専門士、高度専門士の指定を受けた課程に対する評価等についても留意する必要がある。

○ 評価活動における課題としては、学校評価のいずれも実施割合が低く、各学校により評価方法等にばらつきがあるため、基本的な評価指標、評価体制、評価手順等を定めた基本的なガイドラインを策定するとともに、各専修学校の特色を踏まえた評価システムの構築を促進する必要がある。

○ 専門的知見を有する評価要員の確保ができない、実施方法が分からない、時間がない等の課題に対し、専門的知見を有する専修学校の関係者をアドバイザーとして派遣し、研修を実施するとともに、評価活動の効率化が図られるような環境整備が必要である。 
   ※ 想定される具体的な先行事例

  •   専修学校関係団体、業界団体等におけるモデル的なガイドラインの策定・研修の実施
  •   地域ごとの先進的モデル校等の普及・啓発
  •   学校評評価アドバイザー等の学校への派遣
  •   学校間の連携による学校評価・改善の取組
  •   ICT等を活用した学校評価業務の効率化      等

 

○ 専修学校の評価結果が公表されず、また、設置者、所轄庁への報告がなされず、学校運営の改善や支援のための施策等に活用されていない。

(学校評価により期待される取組と効果)

○ 自己評価に加え、学校関係者評価を行うことが、学校側に大きな負担となるが、自己評価、学校関係者評価、第三者評価を受けることを通じて、学校の現状と課題、学校と業界等の共通理解や信頼関係を深め、相互の連携・協働を促す手段として、また、専修学校の教育活動そのものの質向上、学校運営の改善・強化を目的として実施されることが必要である。

○ さらに、こうした学校評価の取組を通して、若者の職業的自立を巡る課題への対応、産業構造の変化に対応した社会人の学び直し機会の充実など、雇用対策等において社会に貢献する地域の実践的な職業教育機関として、または、グローバル化に対応した専門人材育成機関等として発展する積極的な機会と捉えた学校運営の改善につなげるなど、それぞれの専修学校の特色を発揮できる評価活動に取り組むことが期待される。

○ また、学校評価活動が、生徒等の学習意欲や資質・能力向上につながるような取組みとすることを念頭に、生徒の就業先となる業界等との密接な連携を図りつつ、教育内容・方法等を改善・充実する質保証・向上のための取組として学校評価活動を推進することが期待される。

○ このような期待も踏まえ、学校関係者評価や第三者評価に関わる企業・関係施設、業界団体、自治体、地域住民、小・中・高等学校などのステークホルダーとしての外部意見等を積極的に活用する評価活動に取り組むことが必要である。

○ 現行制度では、学校教育法に基づく小学校の制度を準用した学校評価制度となっているが、後期中等教育段階の高等課程、高等教育段階の専門課程の段階を踏まえた学校評価システムとしてガイドラインを策定し、それぞれの課程に求められる機能の改善・充実につながるよう評価項目の設定や、評価体制等を整備する。

 

自己評価、学校関係者評価、第三者評価の実施 

(学校評価の流れ、具体的な留意点)

 別添2:進め方(案)参照 

(専修学校の特色を踏まえた具体的な評価の視点(例)) 

 別添3:主な視点例参照 
⇒ 次回、学校が共通して求められる視点と、専修学校としての特色を踏まえた目標・評価項目・指標等の設定を含めた主なもの。今回ご議論いただき、次回は小項目、関係データ等を整理し御議論頂く予定。

(専修学校の自己評価・学校関係者評価における評価主体)

○ 実践的な職業教育を行う専修学校の評価における「学校関係者」の定義を整理することが必要である。現在、学校関係者として参画する者として保護者が最も多いが、産業界等のニーズを踏まえた教育内容・方法の改善、学校マネジメント改善等について評価を行う者は、ステークホルダーとしての企業・関係施設や、経済団体・職能団体等を例示し、積極的な活用を促していく。
  ※ 学校評価ガイドライン(平成22年改訂):保護者、地域住民、学校評議員、青少年健全育成関係団体の関係者、接続する学校(小学校に接続する中学校など)の教職員その他学校関係者により構成された委員会等が評価

○ 学校関係者評価の枠組みの中で、評価者をどのように位置づけるか。専修学校のステークホルダーとしての学校関係者となると、第三者評価の評価者と一部重なってくる。例えば、

  •  学校の専門分野における業界関係者(就職先企業、施設等の実習先、分野別の業界団体)
  •  卒業生(同窓会関係者、卒後一定のキャリアを持った人)
  •  保護者
  •  地域住民
  •  中学校、高等学校等の長、進路指導担当者等(専修学校との接続がある学校の関係者)
  •  学校運営に関する専門家(学校マネジメント等有識者、財務等の専門家)
  •  地域の都道府県等自治体の関係者(専修学校担当・教育委員会など)                
        * このほか、学校関係者評価の評価者として、当該分野における評価の専門家(第三者評価機関の評価者など)も考えられる。 

○ 学校評価が適切に行われるため、専修学校の評価に携わる評価者が一定の知識等を修得する機会や、学校における担当者や外部の学校関係者評価に携わる者の知識の向上等を目的とした研修機会の提供・充実のための方策が必要である。

(第三者評価の実施体制)

○ 第三者評価は、学校とその設置者が実施者となり、その責任の下で、第三者評価が必要であると判断した場合に行うものであり、法令上、実施義務や実施の努力義務を課すものではない。また、専修学校の分野特性や課程等を踏まえた専門的な第三者評価体制の整備は全国的には十分進んでいない。
○ このような状況の中で、実践的な職業教育を行う専修学校ついて、専門的な評価を行う第三者評価の主体としては、業界、地域、専修学校の実情等に応じて、当面、次のような取組を含め柔軟に対応することが考えられる。

  1. 第三者評価体制が十分整備されていない当分の間は、当該学校の当事者・関係者ではない分野における専修学校、企業・関係施設、業界団体等が参画する独立性が高い第三者評価組織等における評価を推進する。
  2. 都道府県や地域ブロック単位など、一定の地域内の複数の学校・団体が協力して、関係業界の協力を得ながら互いの学校の教職員を第三者評価の評価者として評価を行う。
  3. 学校運営に関する外部の専門家を中心とする独立性の高い評価チームを編成し、評価を行う。

  ※  学校評価ガイドライン(平成22年改訂)では、第三評価の実施体制として、学校とその設置者が実施者となり、その責任の下で、第三者評価が必要であると判断した場合に次のような手法で実施。

  •  (ア)学校関係者評価の評価者の中に、学校運営に関する外部の専門家を加え、学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ評価を行う
  •  (イ)都道府県単位などの、一定の地域内の複数の学校が協力して、関係業界の協力を得ながら互いの学校の教職員を第三者評価の評価者として評価を行う
  •  (ウ)各学校において、学校運営に関する外部の専門家を中心とする評価チームを編成し、評価を行う。

○ 1.の評価を行う際には、評価に参加する外部の専門家が、評価活動だけでなく、自己評価や学校関係者評価の実施に関する助言を行うなど、学校評価プロセス全体の改善に関与してもらうなどの運用も効果的である。

○ 2.については、学校関係者が評価し合う関係となるため、馴れ合いにならず、新たな気づきをもたらすような評価を実践できるよう工夫が求められる。また、企業等や関係団体等の業界関係者や、中学校・高等学校等、一定の地域内の接続する学校間で協力して実施すれば、当該学校間の連携協力を図る上で有効である。

○ 3.の評価を行う際は、評価者の確保や事務局体制の整備など、実施に際しての実施者の負担が大きいため、学校・地域の実情に応じて負担軽減とメリットを十分に考量して実施することが求められる。

学校評価の評価結果の公表・報告と支援・改善

○ 評価結果を公表する際には、併せて、その結果を踏まえた今後の改善方策等につながるよう、学校関係者、所轄庁等からの理解と連携強化、支援を促すような仕組みの構築が必要である。
○ 各専修学校は、自己評価及び学校関係者評価の結果並びにそれらを踏まえた今後の改善方策をとりまとめた報告書を設置者及び所轄庁に提出する。
  これらを一つの報告書にまとめて提出することも考えられる。

(実効性の高い学校評価の推進のための国、都道府県等の役割) 

○ 全ての学校において、これまで述べてきたような学校評価の実効性を高めるための取組を実現していくためには、国等による積極的な支援が必要不可欠である。その際に参考となる施策は、次のような学校評価にかかわる継続的な人材育成と確保など取組例が考えられる。 

○ 管理職、学校評価に関わる教職員等を対象として、学校評価の目的や方法、積極的な学校情報の提供に関する研修等を充実する。

○ 地域や業界の特性を踏まえ、複数の学校が協力して、教職員を相互に学校関係者評価や第三者の評価者委員とすることにより、学校間の連携を促進するとともに、学校評価を行う人材を確保する。

○ 国は、都道府県、専修学校の関係団体、専修学校に係る第三者評価を行う団体等に対し、実効性の高い学校評価に関する好事例の収集や、学校評価の実施に伴う負担を軽減するための手法や学校運営改善モデル等に関する研究を重点的に行い、その果を普及する。

○ また、学校評価に関する指導・助言体制の整備や、地元業界関係者、大学関係者等を各学校に派遣するアドバイザー制度の体制整備のモデル構築を支援する。

○ 専修学校の学校評価の取組状況や事例等を都道府県、関係団体に情報提供を行い、学校評価の結果が学校に対する支援や条件整備において活用されることを促す。

○ 学校評価に係る効率化と負担軽減の取組として、ICTを活用した外部アンケートの集計業務や分析業務の効率化を図り、客観的なデータを構造的に整理する等の学校評価に係る負担の軽減を図るための環境整備を推進するためのモデル構築を行う。

○ 学校評価の基本となる自己評価や学校関係者評価を最大限に活用し、教育活動その他の学校運営の改善を確実に進めていくために、地域、業界、学校の実情等に応じて、第三者評価の取組を支援し、学校評価システム全体の実効性を高めていくことが期待される。

○ 所轄庁である都道府県等では、各学校から提出された評価結果の報告書をもとに、各学校における教育の特色や、課題に向け他取組状況等を把握し、域内の専修学校における職業教育の資向上や、学校運営の改善等の取組において活用されることが考えられる。

(評価者の確保及び研修) 

○ 各学校において自己評価や学校関係者評価が適切に行われるためには、評価に携わる者が評価について一定の知識を持つことが不可欠である。このため、各学校における学校評価の取組の中心となる教職員の研修や、企業・関係施設、業界など学校関係者評価や第三評価の評価者の知識の向上等を目的とした研修の充実を図る。 

○ 学校評価を進めるに当たり、専修学校関係団体や業界団体においては、学校に対して評価活動に関する指導・助言・情報提供を行うとともに、学校評価に関する知識や資質の向上のための研修の充実を図るなど、学校評価に向けた環境整備を図ることが望まれる。

○ また、各学校単独では、卒業生・保護者以外の評価者の確保が困難な場合も予想される。専修学校関係団体、業界団体等において数校をまとめた学校関係者評価や、第三者評価のための体制整備を行うことや、関係団体、所轄庁、教育委員会等とも連携し、研修や評価活動に参画した評価者の候補者リストを作成するなどの工夫が望まれる。

○ さらに、各学校においては、学校評価活動において、専修学校の継続的な質的向上、学校マネジメントの改善を図る観点から、評価結果を踏まえた改善や研修の実施等において、次のような教職員の資質・能力向上を図ることを位置づけていくような工夫が期待される。

 1 理事長等の経営管理能力の向上

 実践的職業教育として公共性を持たせるため、学校の経営方針を経営、学校中心から生徒、社会の視点へ重点を置くこととし、経済団体、行政、職業に関わる分野別の関係団体による産学官交流により学校運営管理者研修等の継続的な実施を行い、経営管理能力をスキルアップする。また、将来の専修学校卒者の社会的位置づけを形にしていく。

 2 学校管理者の技量、管理能力向上

 校長、教頭、部長クラスの上級管理者に対し、専修学校設置基準等関係法規や、社会経済における専修学校への期待を理解し、学校運営や生徒の教育活動等にどのように活かされ、また、今後の専修学校教育の向上を捉えているのかといった観点から、学校の理念・目的・教育方針を形にしていくために必要な管理能力等のスキルアップを図るような研修等を行う。期待される人材像として、学校運営において、学術的な専門スキルを持ち、統括できる教員を育成することが必要。

 3 中堅管理(教職員)者研修の充実

 専修学校の教務内容の充実に欠かすことができない課長・学科長等の中堅管理職に対し、生徒・学生指導、教務のあり方、ライセンスの指導、クラス管理、スクールカウンセラー、ミドルマネジメント研修等、他の学校の教員との交流等の研修を通して、中堅管理者としてのスキルアップを図れるような研修等を行う。期待される人材像として、卓越した実践・実務的な職業教育のスキルを修得した教員を育成することが必要。

 4 直接生徒・学生と接する現場教職員

 専門的な最新の知識・技術・技能の修得を重視する専修学校では、職業のキャリアや専門スキルが重視され教員は教職経験がない者が多い。このため、専門学校卒後に教員となる者や、業界で専門職に従事し教員となる者など教員のキャリアが多様である中、新任教員に対し、それぞれの経緯を踏まえた研修を企画・実施する必要がある。学校の理念や教育方針に沿って、教員の指導力等を修得するために、どのような研修機会等が提供されているかが重要。

 5 学生だけでなく、可能な限り教職員もインターンシップ制度を実施

 

 経済社会が急激に変化する中で、「より最先端、高度なスキル」の提供が出来る教育環境をつくるため、教職員と業界等と交流や、その時代において新たに必要な技能等の修得が図れる機会をつくることが必要。

積極的な情報提供・情報公開 

○ 専修学校の運営等に関わる関係者の理解を深め、連携・協力を推進するための積極的な情報提供となるような工夫が必要ではないか。

○ 教育機関としての最低限の条件は満たしておくべきものは公開すべき。
 ⇒ 次回、情報公開の具体的な方向性について提示し、御議論頂く予定。

お問合せ先

文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課

(文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課)

-- 登録:平成25年01月 --