令和7年6月17日(火曜日)15時30分~17時30分
市原 康雄 学校法人名古屋技芸学園理事長
植上 一希 福岡大学人文学部教授
岡部 みどり 上智大学法学部国際関係法学科教授
小木曽 稔 新経済連盟渉外アドバイザー
河原 成紀 学校法人河原学園理事長
小林 浩 リクルート進学総研所長
瀧本 知加 京都府立大学公共政策学部福祉社会学科准教授
野田 文香 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構教授
瀬戸 裕一郎 東京都生活文化スポーツ局私学部私学行政課長
堀 有喜衣 独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員
前田 早苗 千葉大学名誉教授
吉岡 知哉 独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉田 寿美 東京都立調布北高等学校校長、全国高等学校進路指導協議会会長
吉本 圭一 滋慶医療科学大学教授
橋爪 淳 審議官 中安 史明 生涯学習推進課長 米原 泰裕 専修学校教育振興室長
【吉岡座長】 定刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただき大変ありがとうございます。
今年度より委員の変更がございます。参考資料1にあるとおり、東京都の福本課長の異動に伴い、後任として瀬戸課長が新たに委員に就任いただいておりますので、御案内いたします。また、吉田委員の所属も4月より変更になっておりますので、この点も併せて御案内いたします。
加えて、文部科学省事務局にも異動がありまして、4月より橋爪大臣官房審議官が着任しておられます。それでは、橋爪大臣官房審議官より御挨拶いただきます。橋爪審議官、お願いいたします。
【橋爪審議官】 ありがとうございます。本日は、お忙しいところ、皆様にはこの会議に御出席いただきましてありがとうございます。ただいま御紹介いただきました文部科学省担当審議官の橋爪と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
4月から着任しておりまして、お伺いしましたところ、本会議、今回35回目ということで、非常に長い間続いてございますが、この体制では昨年12月からということで、これまで直近のところでは専修学校の学校評価について御議論いただいて、おかげさまで、専修学校における学校評価ガイドラインも無事に改訂されたということで。
すみません。何かカメラがありますので、座って失礼いたします。
ということで、私どもも先日、各都道府県等に対しまして御案内をさせていただいたということでございます。この場をお借りしまして、改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。
本日の会議では二つの議題ということでございまして、一つ目は、昨年の法改正を踏まえました政省令改正の内容を御説明させていただくということで、二つ目は、専修学校の現状や今後の我が国の状況を踏まえた上で、専修学校としてどのような対応を取るべきか、論点を整理していきたいということで考えてございます。
ぜひ先生方の率直かつ忌憚ない御意見いただきまして、今後に向けて取り組んでいきたいと思います。事務局としてもしっかり取り組ませていただきますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
【吉岡座長】 橋爪審議官、ありがとうございます。
本日は、議題の二つ目に、一般財団法人日本国際協力センター、通称JICEでございますが、JICEより留学生の状況について御説明いただくために、大前様と米田様に陪席いただいておりますので、御紹介いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【日本国際協力センター(大前)】 よろしくお願いいたします。
【吉岡座長】 それでは、早速議事に移ります。議事の一つ目ですが、資料1について、事務局より御説明をお願いいたします。
【米原専修学校教育振興室長】 それでは、一つ目の議題につきまして説明をさせていただきます。資料1に基づいて説明をさせていただきます。
昨年の学校教育法改正を受けまして、現在、制度の詳細について政省令の改正等の作業を進めているところでございます。その内容についての報告でございます。
まず、1ページ目でございますけれども、こちら今回の省令改正の概要でございます。かなり細かく書いておりますので、この詳細の中身につきまして、これから説明をしていきたいと思います。
2ページでございますけれども、昨年の法改正の概要でございます。専門課程を高等教育機関としての位置づけを明確にするため、大学等との制度的整合性を図るための措置を行うとともに、専攻科制度の導入でしたり、一定の要件を満たす専門課程を特定専門課程として、この課程の修了者に大学編入資格及び専門士の称号を付与することとしております。
また、一番下でございますけれども、質の保証向上のため、自己点検評価、外部の識見を有する者による評価が導入されたところでございます。
この法改正の中身を踏まえまして、今、政省令で細かく中身を定めていくということで説明をさせていただきます。
3ページを御覧ください。まず、修了認定でございますけれども、今回、法改正で授業時数、単位制、どちらも導入できるということにしておりますけれども、専門課程については、大学と同様に省令で単位制とすることにしております。
具体的な基準といたしましては、31単位×修業年限以上とするようにしています。
、現行は30単位以上ということで設定しているものでございますけれども、基本的には教育課程を大きく見直していただくということは考えておらず、各学校で今の教育課程を前提に単位制、31単位に組み替えていただくということを考えているところでございます。
そのほか、真ん中下にございますけれども、自己点検評価、外部の識見を有する評価というのが導入されたところでございますので、その適切な実施と必要な体制を確保して行うことについて省令上も規定をしてまいります。
また、高等教育機関として位置づけていくために、大学等と同様に、教育の質の向上に向けて教職員向けの研修を行うことについて規定をしてまいります。
こちらでは、この研修にいて現時点で具体的な取組の内容について細かく言及するつもりはございませんけれども、既に多くの学校では研修や勉強会など質の向上に向けた取組を行っていただいていると思うので、そういったことにしっかりと取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
続きまして、4ページでございます。今回の法改正により、この特定専門課程については、大学編入資格が得られるものとして位置づけております。
その基準を文科大臣が定めることとなっておりますけれども、この基準は、これまでの大学編入資格と同様に、一番下にございますけれども、修業年限2年以上、通算62単位以上とします。
これによりまして、2年生以上の昼間学科の基準と同様になりますので、基本的にこの基準を満たすものについては全て特定専門課程となり、大学編入資格が得られるということになります。
次に、5ページでございますけれども、この今回の法改正で特定専門課程を修了した者については専門士と称することができることを法律で規定しております。したがいまして、これまであった告示に基づく、この専門士の課程認定制度は廃止いたします。
基準を満たす学校は学則で、特定専門課程であり、専門士と称することができる旨を記載していただくため、該当する学校には学則変更の手続をしていただくということが必要になってまいります。
次に、6ページでございます。高度専門士についてでございます。
高度専門士の称号につきましては、これまで告示に基づく文科大臣の認定制度がございました。また、同様の基準で、省令に基づく大学院入学資格の指定制度が併存をしておりました。
今回の改正で高度専門士については、これまで告示であったものを学校教育法施行規則、省令で規定するとともに、この大学院入学資格の指定を受けた専門課程及び専攻科の修了者が称することとできることとして、高度専門士の課程認定制度は廃止することといたします。
なお、大学院入学資格の指定につきましては、引き続き同様の基準で行うということで考えております。
次に、7ページでございますけれども、7ページは、今説明いたしました内容を資格の観点から、もう一度、整理し直したものでございます。
専門士、高度専門士ともに基準の内容を変更するものではございませんが、それぞれの認定制度は廃止し、専門士については特定専門課程を修了した者が称することができるということで学則に記載いただくこととし、高度専門士については大学院入学資格の指定を受けた専門課程及び専攻科の修了者が称することができるという形になっております。
次に、9ページを御覧ください。専攻科関係の説明でございます。
新たに今回の法改正で制度化された専攻科についてでございますが、この設置については、学校教育法の施行令で、届出で設置できる旨を規定いたします。
また、一番下にございますけれども、一定の要件を満たす専攻科については、適格専攻科として大学院入学資格を付与し、修学支援の対象とするということで進めております。
次のページ、10ページを御覧ください。この適格専攻科の具体的な基準につきましては、1月の会議でも説明をさせていただきましたけれども、これまでの専攻課程に大学院入学資格を付与する基準と同じ要件を専門課程と専攻科を合わせて満たすということが必要であり、また、専門課程と専攻科で体系的に教育課程が編成されていることを求めることということとしております。
この体系性の確保のため、制度創設の現時点では、関連する二つの資格を専門課程と専攻科で取得するものとして、「看護師」、「自動車整備士」、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」の3分野でスタートします。
11ページを御覧ください。こちら適格専攻科となることにより、先ほど申し上げましたとおり修学支援の対象となります。
これはこれまで、例えば自動車整備士の2級と1級、これを取得する4年間の課程であれば、一つの専門課程であれば、この4年とも修学支援の対象になっておりましたけれども、それぞれ別の2年課程として2級課程を取得して、その後また新しく1級の専門課程に入学する場合には、1級の専門課程には新たに入学するという整理になりますので、修学支援の対象になりませんでした。
結果として、ほぼ同じ内容を学び、同じ資格を取得するのに、この4年課程と2年プラス2年課程で取扱いに差が生じておりましたけれども、今回、適格専攻科となることによりまして、この後半の課程についても修学支援の対象とすることができるということとなります。
次に、今後のスケジュールでございますけれども、13ページを御覧ください。
この省令については、近日中にパブリックコメントを開示しまして、7月上旬の大学分科会にお諮りする予定としております。
7月下旬ないし8月上旬ぐらいまでには政省令の改正を行うこととし、来年、令和8年4月1日の施行に向けて、各学校で学則変更等の手続いただく必要ございますので、学校ないし都道府県に対して、手続に遺漏がないように、しっかりと周知してまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
【吉岡座長】 ありがとうございました。おおむね我々が議論してきたことを踏まえた形での改正と、それの具体化ということだと思います。
それでは、ただいまの御説明について質問等あればお願いいたします。どうぞ、河原委員。
【河原委員】 河原です。すみません。教えていただきたいところがあるのですけれども、まず資料1の1ページの専修学校設置基準の二つ目のポツのところで、研修について書かれていると思います。あと34ページ、専門課程に関する規定の検討のところで、教職員の研修のことについて書かれていると思いますが、職業実践専門課程の認定に関する規定の第2条の1項の4号にある、企業等と連携して教員に対し専攻分野における実務に関する研修を組織的に行っていることとあるのですが、類似な趣旨だとは思うのですが、企業等と連携してというのがここで外れていることに関して、もしよろしければ教えていただければと思います。
【米原専修学校教育振興室長】 今お尋ねいただいた件でございますけれども、職業実践専門課程は特別な認定をしているので、それに対してはさらに、その普通の一般的な専門課程よりも特別な義務を課しているということで、企業との連携というのを要件としているところでございます。
ですが、今回の規定は、全ての専門課程に係ってくるということなので、そこの嵩はないけれども、きちんと、いわゆるFD・SD的なことをやっていただきたいということを書いているものでございます。
【河原委員】 ありがとうございます。
【吉岡座長】 よろしいでしょうか。
では、吉本委員、お願いします。
【吉本委員】 幾つかあるのですけれども、1点だけ。特定専門課程と適格専攻科を設定する際に「体系的な」という表現がどこかありましたよね。
【米原専修学校教育振興室長】 10ページの右側の三というところです。
【吉本委員】 10ページのこれだね。その体系的に特定専門課程と適格専攻科を設定できる分野というのを、どこまで認めるか。今回は三つだからいいのでしょうが、これを、今後、もう少し理解を広げていく必要は出てくるんだろうと思っているんですよね。
例えば短大や高専の専攻科をつくるときと、関係しないわけはないけれども、何を体系的というようなことをNIADのほうで評価しているかもしれませんけれども、こういう文言として書く必要はないのかなというふうに思いました。
そこで、ちょっと質問ですけれども、この場合に、例えば自動車整備士にしましょうか。自動車整備士の2級と1級って、基本的には1級は2級の上に積み上げるところなのですけれども、2級の養成課程を修了していない実務経験のみで2級を取得した受験生は入れるのか入れないのか。プログラムが体系的であることと、学修者が前の同じタイプの課程をたどっていなければいけないかどうかは別のことだと思うのですけれども。
例えば2級というのは、あれは試験で取れましたかね、2級は。
【米原専修学校教育振興室長】 試験では取れない。
【吉本委員】 試験では取れないかな。(、養成課程修了以外のルートはあります:後日発言者の補足)。
例えば介護だったらば、2年課程の、これはもともと初任者研修と実務者研修とがあるので、途中までの実務経験の段階が入って、飛び級じゃないけれども、資格取得試験への飛びつきができるようになりますよね。そういうのも体系的に広くだんだん拡大していくとすると、あり得るので、考え方として、考え方としてですが、同じ課程をたどっていないと入れないのかどうか。
単純な質問ですけれども。
【米原専修学校教育振興室長】 お答えいたします。こちら基本的に、この三つの資格については、この前の資格、専門課程の資格を取っていないと次の資格が取れないものに限定しているところでございます。ですので、恐らく類似のものとして、ほかにも幾つか資格あるのですけれども、例えば建築士とか、2級、1級あったりします。そういうのを今回は対象にしていないと。なぜなら、その2級がなくても、いきなり1級を受けられるとか、例えば管理栄養士と栄養士とか、いろいろ上級的な、上下関係のある資格ってあるのですけれども、そこは対象にしていないということでございます。
我々も、どういう形でその体系性を説明していくのかというところを検討したのですけれども、例えば大学院であれば大学院を修了したら当然修士が出るし、学部であれば学部を卒業したら学士の学位が出ると。この専攻科を修了したときに、これ適格専攻科ですけれども、高度専門士が出るということになるので、専攻科への入学要件については、必ずしも専門課程を経ていなくても、例えば短大だったり、ほかの養成施設だったり、看護師、いろいろ養成施設がありますが、免許を取っている場合、資格を取っている場合で、ほかにもあり得るので、そういうところからも看護師免許を持っていれば基本的には助産師、保健師の専攻科には入学できるという形にしなきゃいけないので、そういう意味で、一応その専門課程と専攻科で十分に何かしらの学び、その前の学びとセットでちゃんと学べているのであれば、高度専門士、大学院入学資格というのを認めていくということになります。
なので、そのトータルの学びが適切に担保されているというところを何でもって証明するのかというところで、現時点ではこの資格で、ほかの指定養成規則等でしっかりとした学びが確保されているという前提で、これを設定したものでございます。
もちろんこれからまた分野を広げていくかいうことも想定されないわけではないのですけれども、その際は、またいろいろな考え方をしっかりと整理していく必要があるだろうと考えているところでございます。
【吉本委員】 理解したので、ちょっと最後コメントだけ。
今のでいくと、確かに栄養士と管理栄養士がつながっていなくてもできる、体系的なプログラムだけれども、管理栄養士だけの課程を、以前は大阪の大手前専門学校がつくっていましたね。2年制の専門課程なのだけれども、管理栄養士を取れると。他の短大で、栄養士資格を取って専門課程に入学するというルートがありました。この場合には、専門課程ではなく、他の短期大学士課程や専門課程等を前提とした適格専攻科など専門課程での資格を取っていない場合も含めて、いろいろあり得るわけですよね。
だから、その辺の、当面はということですよね、この「体系」という部分はそのりょうに理解しました。
今の話でいうと、もうひとつ分野をあげると、当然ながら、助産師を21歳で取ることはできるということですよね。18歳で看護科や、衛生看護科を卒業し、その専攻科2年で二十歳、看護師になっていれば、プラス1年の助産師適格専攻科で助産師を取得すると21歳ですね。もちろん大学入学資格がそれであるのかないのかはちょっと分かりませんけれども、資格上は、そういう形でできますよね。
そういう例外があるから僕いけないと言っていなくて、逆にそういうのをちゃんと理解しながら、そういう多様なキャリアパス、学習の展開経路を拡大していくという。つまり、自動車整備だって、2級を持って現場で自動車の整備を相当やった人たちが、もうこれは短縮で1年の課程にしてもいい、あるいは何単位か認めるというような専門職大学の設置基準の考え方が適用できる。今後の話ですけれども、課題になると思うのです。
【米原専修学校教育振興室長】 専攻科の入学資格については、これは別に適格専攻科に限らないのですけれども、今の短大とか高専にも専攻科ありますけれども、基本的にその入学資格と同じというふうに設定をする予定にしてございます。
ですので、高校の専攻科だったり、専門職大学の前期課程だったり、あと短大卒業、高専卒業、ないし外国で14年の課程を修了であったり、もちろん専門課程の修了も入りますけれども、そういった形で何かしら、その専攻科に入るための要件を満たしているということが必要になってまいります。
その他として、専修学校の専攻科において、専修学校の特定専門課程を修了した者と同等以上の学力があると認めた者という規定、ある意味、バスケットクローズ的な規定もございますので、最終的には学校の判断になってくる点もあろうかと思います。
【吉本委員】 というか、これは制度上ですけれども、二十歳で看護師を取っているわけだから、1年課程の助産師のの適格専攻科は当然入れると。21歳で看護師と助産師を取ることができると、確認ですがこういうことですよね。そういう積み上げになりますから。
【米原専修学校教育振興室長】 看護師の資格の年齢要件を把握していませんので、お答えできません。
【吉本委員】 年齢要件というか、衛生看護科プラス2年、ないしは看護科、中学校から5年一貫で、二十歳で取れる形があるということですね。
【米原専修学校教育振興室長】 いずれにせよ、入学要件がございますので、この要件に合致するかどうかというところで、そういう意味では、二十歳、21歳であったとしても、学校の判断で入学させることはできるということになると思います。
【吉本委員】 いや、学校の判断じゃなくて、制度的にできるということの確認です。
【米原専修学校教育振興室長】 制度的に学校の判断で入学させることはできるとなっています。高等学校と同等の学力があると判断するとですね。
【吉本委員】 少し時間が長くなりましたから後でいいです。
【吉岡座長】 それでしたら、事務局、後で確認してみてください。
ほかにいかがでしょうか。オンラインの方々も含め、何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。専修学校の現状と今後の社会の変化を踏まえた検討の論点について、事務局及び一般財団法人日本国際協力センターの米田様から御説明をお願いいたします。
では、まず事務局からですね。よろしくお願いします。
【米原専修学校教育振興室長】 それでは、資料2を御覧ください。今回から専修学校、特に専門課程の現状や産業界の現状等を踏まえながら、専修学校が今後求められる役割を果たすために必要なことは何かについて御議論いただき、専修学校全体として取り組んでいくべき方向や、国として対応すべきことなどについて整理をしていきたいと考えているところでございます。
まず1ページでございますけれども、専門課程の状況について共有をさせていただきたいと思います。
上のオレンジの折れ線グラフでございますけれども、こちらが専門課程の学生数でございます。横ばいでずっと来ていたのですけれども、コロナ前に少し増えて、コロナR3年以降、少し減って、このR5、R6はほぼ横ばいという状況になっているところでございます。
下の青い棒グラフですけれども、これについては学校数でございますが、ここ5年程度は少し減少傾向にあるというところが出てきております。
次に、2ページを御覧ください。上の青い折れ線グラフが、高等学校の卒業後に専門課程に進学した数でございます。令和3年度までは大体同水準を維持しておりましたけれども、それ以降は毎年1万人近く減少しており、学生募集にかなり厳しい状況が見えるというところでございます。
下のオレンジの折れ線グラフでございますけれども、こちらは留学生数で、コロナ以前には一度8万人ぐらいまで増加して、R2年以降、少し急減して、令和5年度から底を打って、令和6年度にかなり増加をしているという状況でございます。
本年度、令和7年度の数は、またこれから出てくるのですけれども、昨年度の日本語教育機関の留学生数が大体、翌年度の専門学校の留学生数に影響を与えるという関係にあるところ、令和6年度にも日本教育機関の留学生数が大きく増加しているので、本年度も留学生数は増加しているものと考えられるところでございます。
以上が専修学校の専門課程の状況でございます。
次に、3ページを御覧ください。我が国の労働市場全体の状況でございます。
専修学校は職業教育機関でございますので、産業界の状況を踏まえて必要な人材を育成するということが求められておりますので、まずは産業界の状況について簡単に共有したいと考えております。
こちら3ページは、労働力人口の推計でございます。労働政策研究・研修機構の推計でございますけれども、2040年までには楽観シナリオでも110万人、悲観シナリオだと900万人、労働力人口が減少するとされているところでございます。
ですので、現在の経済規模、豊かさを我が国が維持しようとすると、労働力不足という問題が出てくると考えられます。
4ページを御覧ください。推計ではなくて今の話でございますけれども、日本商工会議所による調査では、ここ数年でも6割以上の中小企業が人手不足と回答しており、その労働力不足ということは今の状況としても見てとれるところでございます。
5ページを御覧ください。特定分野で人手不足ということであれば、その分野へ労働移動を促すということになると考えておりますけれども、この分野ごとの人手不足の状況を見てみると、多少の分野ごとの差はありますけれども、どの分野でも人手不足という状況であるということですので、そもそもこの労働力不足ということを何とかすることが求められていると考えられるところでございます。
6ページを御覧ください。一方で、こうした人手不足の状況に対する企業の対応は、多くの企業が採用活動の強化ということで、この全体として人手を奪い合って、人材を奪い合っているというような状況でございますので、各企業の動きとしては理解できるものの、全体としては、なかなか抜本的な解決にはなっていないのではないかと考えているところでございます。
少し資料飛ばさせていただいて、9ページを御覧いただければと思います。
こうした産業界の状況を踏まえまして、専修学校、特に専門課程に求められることは何かについて論点を設定し、これから御意見をいただきたいと考えているところでございます。
一つは、人口や労働力人口の大幅減が見込まれる中、我が国がこれまでと同水準の経済規模・活動を維持していくためには、より質が高く、生産性の高い人材が必要だと考えられます。我が国において、こういった将来起こり得る事態を見越した上で、専修学校において職業教育の質の向上にどのように取り組むことが求められるかということを論点の一つとしてはと考えているところでございます。
また、もう一つは、労働力を補う上で、今、外国人労働者が増加しているという状況もございます。それに対応する形で、専修学校においても留学生が大幅に増加しているということで、論点の二つ目、下でございますけれども、こういった労働力人口の減への対応として、外国人労働者の増が見込まれると。その見通しと近年の留学生の大幅な増を踏まえて、専門学校における適切な留学生の受入れや管理をどのように実現するかと、こういった二つの論点を設定してはと考えているところです。
これは二つとも大きな論点でございますので、そもそもこの二つの論点、視点でよいのかという点についても御意見をいただきたいと考えているところでございます。
その上で、今日は、特に二つ目の留学生の対応について中心に御意見をいただきたいと考えております。
少し資料を戻っていただいて、まずエビデンスを共有させていただきたいですけれども、私のほうで全体的なお話させていただいて、この後、日本国際協力センターのほうから、また細かい説明をさせていただきたいと思っております。
7ページでございますけれども、留学生数、先ほど申し上げましたとおり、左上でございますけれども、令和6年度に急増しているという状況がございます。
左下でございますけれども、現在の留学生の割合というのは13.6%ということで、これもまた増えていくと考えると、かなりの割合が留学生で占めているという状況になってきていると考えております。
また、右上、国別の留学生割合では、ネパールからの留学生が38.9%ということで、こちら令和5年度と比較すると、かなりネパールからの留学生が増えているという状況でございます。これは令和5年度は1万人ぐらいだったのが今2万人弱となっていますので、3倍ぐらい増えているという状況でございます。
中国、ベトナムについては、それぞれ伸びてはいるのですけれども、率としては、そこまで伸びていない。ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ、こういったところは2倍から3倍ぐらいの伸び幅になっているということで、南アジアを中心に、かなり専修学校、専門学校への留学生数が増えているというところでございます。
また、8ページでございますけれども、文部科学省といたしましても、近年の取組といたしまして、外国人留学生キャリア形成促進プログラムという認定制度を令和5年度から開始しておりまして、留学生の円滑な就職に向けた支援を促進するよう取り組んでいるところでもございます。
先ほど留学生について論点、簡単にお示ししましたけれども、10ページを御覧ください。
もう少し詳細に留学生関係の論点をお示しすると、まずは、この質の高い留学生を獲得するためにどうしていくのか。
次に、特定の国からは特定の分野・学校に留学している傾向があると思われるので、この専修学校への留学の認知度を国際的に上げていく必要はあるか、また戦略的に留学生を受け入れる国を開拓していく必要はあるか。
さらに、国内の日本語教育機関経由の受入れが大半であるということでございますけれども、専修学校においても直接受入れを拡大していく必要があるか。
留学生が日本において希望する進路を実現するために必要な方策は何か。
また、留学生が在籍者の大半を占めるような学校が増加する可能性もある中、受入れ基準、管理方法などを見直す必要はあるか。
こういったことが詳細に論点としてあり得るかと考えているところでございます。
ただ、これからJICEからの調査の結果についても説明お聞きいただきますけれども、こういった様々なエビデンス見ながら、この論点の案を我々としても整理したところでございます。
不十分な点もあろうかと思いますので、こういった論点、視点、どういった整理の仕方があるかというところにつきましても、忌憚のない御意見をいただければと考えているところでございます。
事務局からの説明、以上でございます。
【日本国際協力センター(米田)】 一般財団法人日本国際協力センターの米田と申します。
資料3になりますけれども、令和6年度専修学校の国際化推進事業、留学生受入れ等状況調査につきまして、調査結果を報告させていただきます。
それでは、2ページ目をお願いいたします。本日の御報告の内容としましては、調査概要、留学生の受入れ状況、進路状況、それからもう少し細かく都市圏、地方圏に分けて、分野別に分けて、留学生の出身地別に分けて、特徴を見ていきたいと考えております。最後で、ちょっと提案をさせていただくというような順番で御報告させていただきます。
それでは、早速ですが、調査概要につきまして御報告いたします。
まず、4ページ目になりますけれども、この調査は専修学校の国際化推進事業の、黄色い枠で囲っている部分になりますけれども、外国人留学生受入れ等状況調査というところで実施いたしている調査となります。
弊センターでは、この国際化推進事業の前事業に当たります留学生の学びの支援推進事業におきましても同様の同調査を実施しておりまして、令和2年度から留学生の調査を実施いたしております。
次のページお願いいたします。調査設計と回答状況の概要となりますけれども、令和6年度の調査は2024年の12月に実施いたしました。回答校は2,663校中1,734校ということで、ウェブアンケートフォームで回答をいただきまして、オンライン回答をいただいておりまして、回答率65%となっております。
主要な調査項目としましては、黄色い枠で囲った部分になります。
それでは、次のページお願いいたします。今度は留学生の受入れ状況というところになります。
二つ表が上下に並んでおりますけれども、まず上のほうからの御説明になりますけれども、留学生在籍状況割合前年度比較ということで、令和5年度の調査と令和6年度の調査で留学生が在籍している学校の割合を比べましたところ、赤枠で囲ってありますところの612校、35.3%ということで、令和5年度と比べますと令和6年度は、留学生が在籍する学校の割合が、統計的にも有意に増加しているというような結果となっております。
この回答校、留学生が在籍していると回答している612校の中で留学生の人数は5万1,743人ということで、先ほどJASSO様の全体の調査のところでは、今年度7万6,402人ですかね、こちらが留学生全体の人数になっておりますけれども、ほぼこの5万1,743人というところも65%、66%ぐらいになっているので、この調査、おおむね全体調査を反映しているような結果になっているかと思っております。
こちら留学生数は過去最高水準で、コロナ禍の影響前にほぼ戻ってきているかと考えております。
その中で留学生数の1年生のみを見てみますと、3万5,054人となっておりまして、今度、その下の表になりますけれども、留学生の入学経路割合前年度比較というところで、どこから留学生が経由して専門学校、専修学校に入っているかというところを見ましたところ、令和5年度と令和6年度を比べたところ、国内の日本語教育機関からの入学が8割、83%ということで、令和5年度は70.2%だったところから83%と非常に増加、有意に増加しているという結果になっております。
こちら令和5年度ですかね、日本語学校の学生数が9万人になったところで、さらに今年度10万人というところになっておりますから、またさらに今年度増えていくということが予測されます。
次のスライドお願いいたします。8ページですかね。こちらになりますけれども、留学生の分布の特徴と在籍校の集中傾向ということで、こちら二つのグラフがございますけれども、まずピンクの棒グラフのほうは、生徒数に対して留学生がどの程度、何%在籍しているかというのを並べたもので、一番左の棒は0-20%以下、留学生の人数が20%以下の学校が342校あるというような意味合いを示しておりまして、80%から100%となると、留学生が非常に多い学校になると、それが122校というような結果となっております。
それに対して、緑の折れ線グラフは、左から順に、その学校に在籍する留学生を累積して合わせていったグラフになっておりまして、このグラフから示唆されることは、吹き出しに書いてありますとおり、留学生数が8割の学校が約全体の2割あるのですけれども、その2割の学校に留学生の過半数、この調査でいえば2万6,000人近くの留学生が在籍しているということで、見方によっては、留学生が特定の学校に偏在しているというようなことも言えるかと思います。
次のページをお願いいたします。ちょっと細かい図になって恐縮ですけれども、こちら留学生の学科ですね。縦に31分類の学科が載っておりまして、横軸に留学生の出身地を載せております。
右下の赤枠になりますけれども、昨年度、1万3,764人、1年生がいたところが、今年度は3万4,069人ということで、人数、まず増えているというところと、どういった分野に留学生が多いかというところ見てみますと、真ん中の赤枠になりますけれども、令和6年度一番多かったのは、商業実務のビジネス・経理系が25.6%ということで、前年度よりも7%ほど増えていて、全体の割合としても最も多かった結果となっております。
それに続いて工業分野、一番上の赤枠になりますけれども、自動車・バイク・航空系の9.2%が2番目に多い、前年度に比べても増加率が高い結果となっております。
一番下、青い枠で囲んだところになりますけれども、日本語系に関しましては、令和5年度は22.9%ということで最も留学生の中では分野としては多かったのですけれども、今年度は人数は増えているんですけれども、割合としては13.8%ということで、割合としては低下しているというふうになっております。
先ほどもありましたけれども、じゃ、どこの出身地の留学生が多いかというところを見ていきますと、黄色く枠で囲ったものでネパール、ベトナム、中国というふうになっておりまして、これ令和5年度は、ベトナム、中国、ネパールの順でしたので、ここら辺の順番も少し変わってきているというような状況になっております。
次のスライドお願いいたします。ここからは今度は留学生の進路状況ということで、まずは全体の留学生の進路状況を見ていきたいと思うのですけれども、赤枠で囲った部分が、これ令和5年度と令和6年度の全体の進路を、どういった進路があるかというところを比較して、人数と割合を比較したものになりますけれども、赤枠で囲った部分の日本で進学、専門学校卒業して専門学校に進学したというところ、留学生が29.5%ということで増加傾向にあると。令和5年度が11.2%だったのに対して29.5%となっていて増加しているというところと、あと日本で就職した留学生は、上の水色の枠になりますけれども、34.2%、技人国の在留資格で就職している学生が全体の34%を占めたという結果になっております。
これらを合わせると、卒業生のうち83%が就職・進学をしているというような状況で、加えて進路の11番目に帰国という、3番目の青い枠になりますけれども、こちらが6.8%ということで、令和5年度に比べますと帰国の割合が減少しているということで、合わせて考えますと、日本で専門学校を卒業した留学生は日本で定着する、定着が増加しているというようなことが言えるかと思います。
こちら進学の割合が非常に高くなっているのですけれども、その御説明というか、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
次のスライドお願いいたします。こちら専門学校の8分野から日本語学科を取り出して、8分野、日本語を除くものと日本語系というところで進路を比べた表になっております。
左側の表が8分野となっておりまして、こちらの人数と割合を、赤枠で囲った部分を見てみますと、こちらは就職の割合が7割ということで、技人国での就職が約半数、それに対して進学は8分野では1割程度ということになっております。
一方、日本語系のほうを見てみますと、右側に囲んだ赤枠になりますけれども、今度は対して就職が1割で進学が8割ということで、先ほどの全体の表を見ると、あたかも進学がすごく増えているような印象があったかと思いますけれども、このように分野を分けてみますと、やはり日本語系の人数が多かったというところで、全体的に、進学というところで数字を引っ張っているというような傾向が見てとれます。
次のスライドお願いいたします。今度は、いろいろ留学生がいて、都市圏・地方圏、また出身地、分野別に傾向を見てみました。
今回は便宜的に都市圏、地方圏というふうに分けて、人口が多いところが都市圏といたしまして、その周辺も少し含んだ12都府県と35道県ということで、ピンクが都市圏で緑が地方圏ということで、違いを見ていきました。
次のスライドお願いいたします。こちらはまず学科の分布になりますけれども、ピンクが都市圏にある学科で緑が地方圏にある学科で、それを分野別に並べてみました。
横軸は全部で100%ということで見てみますと、全体としましては、都市圏に7割の留学生がいる、7割の学科が集中していますけれども、学科別に見ていきますと、教育・社会福祉──介護福祉系になるかと思いますけれども──は、地方圏のほうが60学科あるということで、全体の半数を超えている。また、日本語系に関しましても、約半分半分ということで、この二つの学科系に関しましては、全国に分布しているというようなことが言えるかと思います。
次のスライドお願いいたします。次は、今度は出身地別に、どのように都市圏、地方圏に留学生が在籍しているかというのを見たグラフになりますけれども、特徴としましては、例えば台湾、韓国、中国といった東アジアからの留学生というのは9割近くが都市圏に在籍しているというようなことが、このグラフから見てとれます。
それに対して、フィリピンやインドネシアを見てみますと、中段の辺りになりますけれども、緑の帯のほうがピンクの帯よりも長いということで、こちらの留学生に関しては、地方に在籍している留学生が多い。
一方で、近年増えているというところのネパール、スリランカといった留学生に関しては、都市圏、地方圏に満遍なくというか、偏りなく分布している、在籍しているというようなことが、この調査から分かりました。
次のスライドお願いいたします。こちらは分野別の進路を全体で見た図になりまして、どのような進路で卒業したかというところを8分野で並べてみたものになるのですけれども、これを見てみますと、先ほど大体8分野の就職が7割程度と申し上げましたけれども、その7割を支えているのが工業、教育・社会福祉、商業実務といった分野で、赤色で、こちら就労率という言葉で書いておりますけれども、7割を超える就職率というような形になっておりまして、一方で、衛生や文化・教養の帰国の部分、ちょっと黒太字にしておりますけれども、こういった分野を見ますと、一定数の割合で帰国している学生も多く見られるというようなことが8分野全体として見てとれます。
次のスライドお願いいたします。このように専修学校の留学生というふうに見てきたわけですけれども、その中で、いろいろ見ていく観点があるのじゃないかというところで、やはり専修学校の留学生と一くくりにするというのは非常に難しいんじゃないかというようなことが、調査から分かって感じたことであります。
考慮すべき要素としては、出身地や分野・学科、都市・地方でかなり数字の振る舞いが違うといったものが見られたので、提案としまして、国家資格の有無と日本の定着傾向を軸に、4分類を少し最後、御提案させていただきました。
次のスライドお願いいたします。こちらの4つの分類ですけれども、縦軸に卒業後、定着傾向なのか、帰国傾向なのかというところと、卒業後に国家資格、取れるかどうかというのは別として、国家資格があるものとないものというところで横軸に取っておりまして、右上のAと書いてあるところの青色の枠になりますけれども、こちらは工業系の自動車・バイク・航空系や介護・福祉系というところで国家資格があって、就職率も高く、安定した定着傾向のあるグループとなっております。
下に移りまして、Bのほうになりますけれども、こちらは衛生、医療というところで、国家資格としては調理師や理美容師などがあるかと思うんですけれども、ここの留学生は卒業後にそういった資格を取ることはすぐには難しいというところで、実際の就職も特定技能という資格で在留資格で就職している方が多いという結果になっております。
左上のCの部分になりますけれども、こちらは商業実務系やIT・情報処理系の留学生が該当しまして、卒業後に何か国家資格があるわけではないのですけれども、技人国の在留資格で就職している人が多いというところで、かなりボリュームゾーンとしても大きい分野になるかと思いますけれども、こういったビジネス・サービス分野ということで分類いたしました。
最後にDの部分になりますけれども、文化・クリエイティブ系というところで、語学・ガイド系やデザイン系、ファッション系というところで、先ほども見ていきましたけれども、就職する人もいますけれども、帰国する人も多い。また仕事、想像する部分にはなりますけれども、就職する場合でも、必ずしも日本にいて就職をする必要がない職種ということもあり得るのかなと考えられて、この分野に関しては比較的、定着というよりは帰国する人がいるというところで、こういった分類にしております。
ちょっと駆け足でございますが、こういった形で今年度、令和6年度の調査を実施してまいりました。
引き続き調査を進めてまいりますけれども、今年度は外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定校とそうでない学校等の就職率なども比較して、実際に制度がどのように効果があるのかといったところも見ていければと思っております。
最後になりますけれども、次のスライドお願いいたします。
本日お時間の関係で大分スライドをお見せできなかった部分もあるのですけれども、委員の皆様の御関心に合わせて、こういったものも見ていただければと思います。
また、報告書のほうも、弊センターのホームページにも掲載しておりますので、御覧になっていただければと思います。
駆け足でございましたが、以上となります。ありがとうございました。
【吉岡座長】 米田様、ありがとうございました。
ただいまの事務局及びJICEからの説明について御質問、御意見等あれば、どなたからでも構いませんし、どの分野でも構わないので、御質問、御意見いただければと思います。いかがでしょうか。
【植上委員】 いいですか。
【吉岡座長】 植上委員、どうぞ。
【植上委員】 貴重な御報告ありがとうございました。質問をさせていただきたいのですが、本当にデータに関する質問なんですけれども、やっぱり都市圏と地方圏と、また留学生という観点、非常に重要かなというふうに思っておりまして、今回、特に報告では15ページ、16ページで、学校の分布並びに留学生出身地別の地方圏と都市圏の割合というのを出していただいているんですけれども、もう少しざっくりとしたことを聞きたいんですけれども、要するに、都市圏と地方圏で留学生の全体的な割合はどうなっているのかなという、学生数の割合がどうなっているのかなというのをちょっとお聞きしたいというのが質問になります。すみません。ざっくりとした質問で申し訳ないんですけれども。
【日本国際協力センター(米田)】 調査の中ではあったと思うのですよね。ちょっとぱっと今、頭の中に出てこなくて申し訳ない。ちょっと確認させていただきますけれども。すみません。
都市圏は66%で、地方圏が34%というふうになっております。もう一度申し上げますけれども、都市圏が66%、地方圏が34%というような結果となっております。
【植上委員】 それは学生数、留学生数。
【日本国際協力センター(米田)】 留学生数ですね。
【植上委員】 なるほど。となると、結構多いですね、やっぱりね。分かりました。
あと、もう1点。その地方圏というところでざっくりと分類というのを14ページでしていただいているのですけれども、地方圏でもその留学生の数みたいなところで、幾つか僕も見ていると、例えば、ある県だと、なかなかうちの県には留学生来てくれないんだよねというような声とかも聞いたりするんですけれども、今回、調査した範囲で分かることでいいので、こういったところに留学生が来がちで、こういったところはちょっと厳しいというような、何か傾向があればということなんですけれども。もしあればです。
【日本国際協力センター(米田)】 ちょっと直接的な御回答にならないかもしれないのですけれども、本日お配りした資料の25ページに、出身地・地域別に見る在籍傾向と分布の特徴というのがございまして、これはどこに多いかということではないかもしれないんですけれども、さらに細かく見ていくと、25ページになりますね、特徴が見られるかもしれないというところで見たところで、例えばフィリピンの留学生を見てみると、福井県にフィリピンの学生全体の20%がいて、香川県に13%、これが上位の二つの県になりまして、インドネシアでも、大阪府が16%、石川県が14%ということで、割と何か直観的な感覚で少し値違うなという感じがするかと思うんですけれども、やっぱりこういうところを見ると、例えば、こういった県には既にフィリピンやインドネシアの留学生の、留学生というか、コミュニティが存在していて、そういったところが留学生にとっては留学の際の魅力になるといったことが推測されるかなと思います。
2段目になりますけれども、今度、じゃあ県でどういった留学生が多いのかというのを見ていくと、これも石川県が、石川県の留学生の41%はミャンマー出身ということで、奈良県で見ると57%がベトナム出身、沖縄県に至っては92%がネパール出身ということで、かなり偏っているというか、こういった部分も何か支援を行う際のリソースの配分として、やはり、じゃネパール語のパンフレットがいいね、とかというようなことが言えるかと思います。
最後の3段目になりますけれども、今度は出身地別と分野で見ていきますと、スリランカの学生さんは37%が工業分野に入学している、韓国の留学生になると調理・栄養系、ネパールだと商業実務分野というところで、こういうのを見ていくと、今度は国籍別にある程度就労、どういった目的があるのかなというのも明確になってくるのかなというふうに考えております。
【植上委員】 ありがとうございました。やっぱり地域と、また国籍、自治体や企業との関係、もしくは先ほどあった、やっぱりネットワークみたいなところが効いている可能性があるということですね。ありがとうございました。
【吉岡座長】 すみません。オンラインのほうで小林委員と岡部委員が挙手されているので。では、まず小林委員からお願いします。
【小林委員】 御説明ありがとうございました。大変分かりやすい説明で、大分理解が進みました。
二つお伺いしたいのですけれども、一つは、ネパールが非常に増えているということなんですが、ちょっとこれあれですけれども、東大でも中国人だけが増えていて結構問題視されていたりとか、国の偏在というのは結構、国家の経済安全保障上の課題になったりすると思うんですけれども、このネパールが増えているというのは、ネパールの国の戦略なのか、日本の何か取組なのか、それとも何かそういった、どこかがエンゲージしているところがあるのか、どういったものかと一つ、分かる範囲で教えていただければと思います。
二つ目が、29ページ目に最後、課題・提言というのをまとめていただいているんですけれども、これ今見ていたんですけれども、これどういうことを御提言されようとされていたのか、簡単に御説明いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
【日本国際協力センター(米田)】 ありがとうございます。まず1点目のネパールの方が非常に増えているというところで、これがどういったところ、何か戦略があるのかというところですけれども、それ自体には明確な回答というのはちょっと持ち合わせていないんですけれども、これも今日の配付資料の中で、ジニ係数を算出した、23ページになりますけれども、これは、23ページのグラフを見ていただくと、留学生の出身別に、どういった、どこの留学生がある学校に集中しているか、一定の学校に集中しているのかというのを見ていきますと、ネパールの学生がやっぱり一番、特定の学校に集中しているのが見てとれまして、例えばミャンマーなんかも最近増えているかと思うんですけれども、比べてみますと、このジニ係数自体はゼロから1を取るんですけれども、ネパールが0.7、一番今回高かったんですけれども、それに対して0.58ということで、まだ比較的満遍なくというか、偏りが少ないというところで、ネパールが非常に多かったという結果になったんですけれども、こちらに関しては追跡というところで、ちょっとネパール人の留学生が多い学校さんにも何かこれ理由があるんですかというようなことをメールなどで聞いてみたんですけれども、特に何か特別なことをしているわけではないんだけれども、やはり日本での就職が魅力的で、ネパールの留学生が来ているんじゃないかというようなことは、回答としてはいただいております。これが1点目の御回答になればというところですけれども。
2点目の29ページにございます4分類の課題と提言というところですね。ちょっと今日お時間が少なくて、なかなか御説明まで行けなかったんですけれども、やはり受入れ、定着と一言に言っても、分野をこのように分けて見てみると、それぞれなかなか言えることが違ってくるのではないかというところで、例えばAの部分に関しては、こちらは既に安定した定着が認められる、工業系や介護福祉系になるかと思いますけれども、こちらは都市圏、地方圏で比べてみると、都市圏の就労率のほうが少し地方圏に比べて低かったというような状況がございまして、そういった都市圏の留学生に対する支援がもう少し必要ではないかというところですね。やはり定着するには、介護福祉分野だと奨学金、修学資金支援制度がかなり有効に活用されて、効果的に活用されているというところで、そういった部分の拡張などもさらに進めていくとよいのではないかというような提言をさせていただいております。
次に、Bに移りますけれども、こちら先ほども申し上げたように、卒業後、国家資格というものがあるのだけれども、実際に、じゃあ留学生がその国家資格が取れるかというと、そこまでは難しいと。日本語の問題があったり、実務経験が必要だったりというところで。こうした部分は、そういった資格制度が留学生にとって取りやすいものかどうか、在留資格が取れるかどうか。特定技能だと、家族帯同が難しいといったところで、やはり、ある時期から日本から離れなきゃいけないみたいなこともあるかなと思いますので、こういった部分で在留資格の専門性に準ずる在留資格があるといいのではないか、必要ではないかというようなことを課題として挙げております。
それと、BとDと重なるかと思うのですけれども、こちら帰国する学生が多いというところで、もちろん定着も大事ですけれども、日本をよく知ってもらって、そういった日本の技術を持ち帰っていただく。技術、問題があるかもしれないですが、技能ですね。国に帰って活用するといった分野として、BやDといった分野、必ずしも日本で住んで定着するということ以外にも、自国に帰って、その専修学校で学んだことを生かせるのじゃないかというところで、そういった意味で、得た知識や資格などが国際的に通用するかどうか、国に帰ってからも通用するかどうかといったところで、そういったことが必要なんじゃないかということも提案させていただいております。
また、Dに関しては、必ずしも日本語の授業にこだわらず、英語による授業を展開することによって、留学生にとっては魅力的に映るのではないかと考えております。
最後、Cの部分になりますけれども、こちら卒業後に国家資格があるわけではないというところで、やはり大きな問題としては、留学生の日本語の能力の問題というのは非常に大きな問題として全体的にあるかと思うんですけれども、特にこういった卒業後に国家資格があるわけではない場合には、やはり日本語の能力を高めるということが何よりも就職にはつながるという部分があるかと思いますので、日本語能力の向上、もしくは就労に有利な資格取得の支援というのを進めていくとよいのではないかということを御提案させていただきました。
以上となります。
【小林委員】 ありがとうございます。
【吉岡座長】 よろしいでしょうか、小林委員。
では、すみません、岡部委員、お願いいたします。
【岡部委員】 ありがとうございます。私も何点かあるのですけれども、できるだけ手短に。
最初は、今、小林先生がおっしゃったのと私も全く同じ関心を持っておりまして、特定の国からだけ突出した形での、しかも沖縄でしたっけ、特定の地域への就職に流れるような動きというのが経済安全保障上いいのかという問題はずっと思っておりました。
それで、まずやるべきことは、このシンクタンクのほうで調べていただくというのももちろん大切ですけれども、これはむしろ文科省の方が、横の連携というか、省庁間の連携をもう少し積極的にやっていただければよろしいんじゃないかなということがあります。難しいお願いかもしれないですけれども。
何が言いたいかといいますと、やっぱりここ、そこであったように、基本的に特定技能で入ってくるという、そのハードルが非常に日本の場合、ブルーカラーのハードルがすごく高いんですよね。その代わりに、いわゆるホワイトカラーというか、ちょっとそこはグレーゾーンですけれども、その特定技能でないところの、この技人国というところも含めて、それ以外のその入り口というのは非常に、ほかの国に比べると逆にハードルが低いような感じさえ持っています。
なので、結局それが、先ほどのお話があったように、家族を帯同させたいとか、日本国内の移動の自由が欲しいとか、そういった目的で好まれるのはある程度仕方がないというか、それあっていいことだとは思うんですけれども、それがちょっと制度の誤用とか濫用とかにつながるようなことになるといけないと思いますので、特定の国から、あるいは特定の学校に流れる傾向が非常に固定化するということがあった場合は、その背景に、例えばその仲介業者がどんな人がいるかですとか、あるいは学校の側との聞き取りをもう少し行うとかいった形で、できれば出入国管理ですとか、そのほかの関係各所との連携をしたほうがいいと思います。
グラフの中にもありましたように、スリランカとかバングラデシュなんていうところも、どちらかというと、特定技能では日本語能力の問題で入れないという人が多いところで、そういった人たちがこういった専修学校のルートを通じて日本に入ってこようとしているということもあるので、御提言にもあったように、日本語能力を高めるということも含めて、少し専門学校、専修学校の方々にもやっていただくことが増えてくるのじゃないかなと思っています。
もう一つは、大切なことですけれども、介護の話です。介護関係で、専修学校の介護部門に入るという人が増えているというのは、これはある程度、日本の労働市場の需要にも合致してあることだと思うのですけれども、他方で私伺いましたのが、厚生労働省のほうで介護学校の卒業資格がない人にも、何かその資格が与えられるような制度ができているような話を聞いておりまして、もしそれが本当ですと、せっかく専修学校で学んでいるということとの整合性が図れなくなるので、これはぜひ厚生労働省などとの連携を密に深めていただきたいなと思います。
すみません。長くなりました。以上です。
【吉岡座長】 ありがとうございます。事務局、何かありますか。
【米原専修学校教育振興室長】 専修学校は分野がかなり多岐にわたっておりますので、それぞれの担当省庁と全て連携していくの、なかなか難しいところもあるのですけれども、大きな分野の担当省庁とは適宜連絡しながら、情報交換しながら対応していきたいと思っていますし、また出入国管理庁とも、いろいろと意見交換しながら対応していきたいと思っているところでございます。ありがとうございました。
【吉岡座長】 では、河原委員、お願いします。
【河原委員】 すみません。資料の26、27ページをちょっと勝手に見させていただいて、先ほど話が出たように、地方のほうが就労率が高いというのが感じ取れたのですが、それについて理由をお伺いしようと思っておりました。先ほどちょっと一部、介護系で支援が手厚いということも話されていたので、もしそれ以外に理由がありましたら教えていただいてもよろしいでしょうか。
【日本国際協力センター(米田)】 こちら、やはり私どもも気になって、実際、委員会のほうでも、どうしてだろうねという話にはなったのですけれども、これもあくまで推測の域は出ないかと思うんですけれども、例えば地方と都市圏の比べた場合、都市圏のほうが就職する場合に、ライバルとして日本人も出てくるというか、地方に比べると就職、市場に対して、同じ日本人も競争相手として含まれているというところで、地方のほうがより競争相手が、若い人というか、若い人が都会に出ていって、地方ではあまりいないということで、競争相手が少ないんじゃないかというようなことや、また、ある学校様からは、地方の学校は手厚く、そこら辺、地域の企業としっかり組んで、そういったところで就職支援を手厚くしているというようなところも、そういった、この数字の違いに現れているんじゃないかということは、話として上がっております。
【吉岡座長】 では、野田委員お願いします。
【野田委員】 野田でございます。貴重な御報告ありがとうございました。
全体に対するコメント・意見ですけれども、まず、先ほどの小林委員の御質問で、なぜネパールが急増しているかという点について私も気になって調べたのですが、一説にすぎませんが、オーストラリアの次に人気なのが日本で、カナダもそうですが、オ-ストラリアが現在、外国人留学生受け入れの上限を定めて制限措置取り始めているんですね。日本の場合は学費も手頃、生活費も手頃ということで、ネパールの日本留学斡旋のいろいろなホームページを拝見しますと、「日本は夢のような国」であると語られています。専門学校、大学などで質の高い教育が受けられて、文化もすばらしいということで。
特に今回の論点にある、「直接受入れの拡大」という点について、入学選抜の話と関連するのですが、ネパールに関しては、日本語学校経由から専門学校に入ってくるというルートが出来上がっています。いわゆるネパールで日本語学校のエージェントが非常に盛んで、日本語学校経由モデルが既に固定的なルートになっています。、実際に渡日前試験制度で、母国で日本留学試験が受けられるところが13か国17都市ありますが、ネパールは途中から受験会場から外されています。というのは、現地で日本語能力をN2相当に上げて試験に合格するほどの、レベルに達成することは非常に難しいということで、まずは日本に来て日本語を向上させてということになると思います。
また、この質の高い留学生の獲得をどうするかという点ですが、この質の問題には、不法就労などの逸脱行為の話から、日本語能力、言語能力が追いつかずに、授業についていけないなどの、学力不振や中途退学の問題、あるいは就労に適した能力を持っていないなど、課題に幅があるかと思います。
同じような話が韓国、台湾にもあります。日本以上に少子高齢化が厳しい中で、外国人留学生を多く受け入れて、特に地方大学や学校の定員割れを留学生で補うということで、韓国では1か国からの集中が相次ぎましたので、認証制度を導入して、その評価指標の中で多様性が担保されているかどうか、出身国が極端に偏っていないかという点を確認しています。また、韓国語の語学能力試験のが何級以上を何%満たしているかという点も指標にしており、認証されたを受けた優良校であれば、ビザの発給プロセスを簡素化できたり、留学生のアルバイトの時間数を延長できるとか、優良校として留学の優先リストに掲載され、政府の奨学金が得られるなど、優遇措置が取られます。一方で、不合格であった場合はビザ発給の制限が課されるとか、質が悪い場合は留学生受入れ停止ということになっています。
不法就労の件については、このたび日本語学校の認定制度が導入されたと思いますので、2029年までに特定の基準を満たしていなければ留学生ビザでの外国人の受入れができないということで、今、申請数に対して3割から4割程度の日本語学校しか認定されていませんので、ここで一定の質のコントロールがされているかと思います。東京都のほうでも専門学校の留学生受入れの管理指針というものが出されていると思います。
ですので、こちらのコンプライアンスの問題については、法務省と協働して、そういう意味での質の担保というものは動いていると思うのですが、もう一つは日本語能力のほうですね。今、法務省の告示で、専門学校への入学に関する日本語能力の要件というのが、幾つかの種類の日本語試験の点数や級と日本語学校での1年以上の在籍と8割以上の出席のいずれかとなっていると思うんです。そこのばらつきをどう見るのかというところが、この受入れ基準の日本語能力の判断の仕方といいますか、基準について、検証が必要かなと考えております。
【吉岡座長】 野田委員、ありがとうございました。実際問題、なかなか難しい話ですけれども、韓国とほかの国でも同じような問題抱えているということで、日本もそういう段階に入っているので、それをどうするかということですよね。何か今のお話で御意見とかありますでしょうか。JICEのほうからも何か御意見あれば。
【日本国際協力センター(大前)】 JICEの大前です。ありがとうございます。
今のお話に少し関連して、ちょっとコメントまでとなるんですけれども、やはりその質の高い留学生をいかに日本に呼び込んでいくかというのは非常に、専修学校だけではなく、留学生の受入れというところで私どもも関心を持っているところでして、これ私どもふだん、より関わるのは、ODAの技術協力のほうでの留学生の方々が多いんですけれども、やはり各国からこの質の高い優秀な方々にいかに来ていただくかというところが、現地での学力であったりですとか、今、野田さんもおっしゃられましたように、やっぱり漢字圏の方々は親和性が日本語と高いので、そういった面で、日本に来てからの学習吸収度にちょっと影響が出てくるですとか、はたまた、その後のキャリアをどのように考えていらっしゃるかというところも、最終的には個々人なんですけれども、国、地域によっても若干の傾向性が出てきたりということもございますので、その辺りをどう捉えて、日本としてなり専修学校として、戦略的な募集、選考につなげていくかというのは非常に重要な観点だと思いますし、それをこういった調査で量的なり質的、定性的にも、お役に立てるようなデータが取れるのであれば、皆様から御意見をお伺いして、今は入学のルートとして数字出しておりますけれども、例えばそれにプラスアルファして、どういった要素が情報として御入り用なのかということもまた、この後の議論でありましたら、御教示いただければ幸いでございます。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では、市原委員、どうぞ。
【市原委員】 名古屋は以前、定員の8倍を超える留学生を入れたという本当に不名誉な学校がありましたが、実は現在、名古屋のほうでも、日本語学校から専門学校を設立してビジネス系の専門学校やっているというのが増えてきているんですけれども、その中で中国籍のオーナーというのがちょっと目につくようになってきたんですよ。そのようなことが全国的にあるのかどうかというのをちょっとお聞きしたいなと思いまして。ちょっとお聞きしたいと思いました。
【日本国際協力センター(米田)】 苦笑いをして……。調査としましては、オーナーがどういった方かというところまで、ちょっと調査は聞いてはいないのですけれども、いないというのが現状でございます。
【市原委員】 特に本当に学習意欲があって、ちゃんと目的意識を持った留学生を入れて、しっかり教育をしていただければいいんですが、ちょっとその辺が懸念材料になるのかなと、名古屋のほうでもぱたぱたっとそういうのが出てきたので、思うところでございます。
【吉岡座長】 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
恐らく、今お話を伺っていて、なかなか難しいのは、まず、その質の高いといったときに、何を具体的に指標にするのかと。これだけ、しかも分野がいろいろあって、ある分野で必要な能力と、そこに例えばその学校に入る能力と、それからほかの分野で必要とされる能力って多分いろいろあって、なかなかそこに基準を立てるのが難しいかなということが一つあるだろうと思います。
それから、日本語能力というのは基本ではありますけれども、しかし、日本語能力にしても、どのレベルの日本語能力をその職種が要求しているのかというのも結構差がありますし、日本語というのは世界的に見ればマイナー言語なので、その言語を習得するということをあまり高く掲げてしまうと、多分、留学生にと至ってはハードルが高くなっていく。日常会話ができるのか、どのレベルの専門性を要求するのかというのは、大学ではもちろんそのことも問題になりますけれども、専修学校等でもそのことをどういうふうに考えるのか。学校任せにしていいかというと、そうもいかないですよね。その辺のところは難しい問題です。
でも、何かある程度の客観的な指標というか、を立てることができれば、少なくとも次のステップに判断が進むという気はいたします。
それから、入学レベルの話と、それから卒業していった、卒業段階での調査というのは、これ実はなかなか難しいと思うんですけれども、卒業段階での就職であるとか、あるいは進学するにしても、その学校を出た後の進路の取り方がどうなっていくか。さらにその先になると、調査しようがないところかもしれませんけれども。
その辺のところを、やはりある程度は視野に入れなくちゃいけないのかなというふうには思います。実際に調査というレベルでやるのはなかなか難しいかなと思ってはいますけれども。
では、植上委員、どうぞ。
【植上委員】 じゃあ1点。先いいですか。
今、吉岡先生がおっしゃったことと、あとまた大前さんがおっしゃったこととの関係で、専門学校における外国人留学生の教育を考えていく上で、もう一つ大事なのは、外国人留学生たちが専門学校で何を学んでいるのかという、また、どう成長しているのかということを見ていくということも大事かなというふうに思っています。
先ほど河原委員が尋ねていただいた、例えば地方における就職率の高さが、推測としてはお答えになったのが、企業との連携とか、手厚い教育がなされているのではないかということ、米田さんのほうからおっしゃっていただいたと思うんですけれども、恐らく、私も幾つかしか専門学校見ていないんですけれども、やっぱり専門学校において職業教育という魅力と、また地域に根差した様々な連携というのは、専門学校がこれまで果たしてきた一つの強みなのかなというふうに思います。
こうした強みを外国人留学生の教育に生かしているところもあれば、また、なかなか難しいところもあるのかなというふうに思いますので、この辺りをぜひ調査。そちらにお任せするだけではないと思うんですけれども、また調査しながら、専門学校における外国人留学生教育の意義ということを見ていくというのは必要なのかなというふうに、今、吉岡議長の話も聞いて思った次第です。
【吉岡座長】 では、河原委員。
【河原委員】 すみません。河原です。私どもの法人ですけれども、専門学校で留学生は20%以下といったところで留学生が少ない部類にはなるのですが、介護分野や日本語学校で留学生を受入れています。性善説だけでは難しいというか、教育上、非常に苦慮をしているところがあるのですが、やはりせっかく日本を選んでくれた学生に対して、しっかり能力をつけて活躍してもらいたいという思いがあって、ちょっとハードルは低くないのですが、専門学校が、留学生に対して高度な技術の修得、国家資格の取得、希望に沿った就職といった成果を保証できる信頼性の高い教育機関であることが不可欠ではないかと考えております。また、質の高い専門学校にこそ、質の高い留学生が集まるのではないかなというふうには思っています。
ですが、日本人学生にとって質の高い授業が、留学生にとって同様に質が高いと評価されるとは限らないかなと思っています。
日本人学生と留学生では、日本語能力にとどまらず、高校卒業までに培われた基礎教養や文化的背景が大きく異なっていて、入学時点での学習基盤には明確な違いがあると思います。
例えば、これはちょっとざっとした例ですが、日本ではテスト中に他者と解答を相談することはカンニングとして小学校から指導されているのですが、他国の中には、それを自然なコミュニケーションの一環として、肯定的に捉える文化もあります。そのような国からの留学生は、試験中でも周囲と相談をしようとすることがあるかもしれないかなと思います。指導するうえでいろいろ苦労しています。
また、日本人学生が部活動などを通じて自然に身につける集団行動も、個人主義を重んじる国の学生には違和感を覚えさせるかもしれません。
さらに、社会常識、勤労観、労働観、道徳観にも大きな違いが存在していますし、このように日本語能力の差は差異の一部にすぎず、仮に日本語能力試験のN1を取得している留学生であっても、日本人学生との間には依然として大きなギャップがあるのではないかなと思います。
そのような背景を踏まえると、留学生に日本人学生と同一の授業を受けさせ、同じ成績基準で評価するのは現実的ではないのかもしれないと思います。
例えば、介護福祉士国家資格対策の授業で、日本人学生であれば全員が合格できる質の授業を提供していたとしても、同一内容の授業では、留学生は基礎教養や社会常識、日本語能力の面で不利な状況に置かれているため、十分な成果が得られない可能性があると思っています。したがって、留学生には、日本人学生とは異なるカリキュラム及び授業を提供する必要があると考えています。
すなわち、基礎教養、日本語能力、社会常識等において明確に異なる背景を持つ留学生のみを対象とする専門学校であったり、そういった学科であったり、あるいはそういったクラスの設置が不可欠ではないかと思っています。
逆に、日本人学生と留学生に同一のカリキュラム、授業、単位認定基準を課すことは、例えるならば、英検4級の受験者と英検2級の受験者に対して同じ教材と評価基準で学習を強いるようなものであり、不合理であるばかりか、双方にとって教育の質を損なう要因ともなりかねないかと思っています。
なお、留学生のみを対象とする専門学校を新設しようとする場合、学校教育法の124条の我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除くという専修学校の設置要件に抵触する可能性もあるかなと思っています。
また、留学生専用の専門学校、学科、クラスを設けることに対して、日本人学生との交流機会が減少することを懸念する声もあるかと思います。しかし、同じ校内に日本人学生がいる場合には、サークル活動、ボランティア、スポーツイベント、学園祭などを通じた自然交流が可能です。
仮に留学生専用の専門学校を設ける場合であっても、日本人が在籍する専門学校との定期的な合同イベントや交流の機会を創出することで、補完的な対応が可能だと考えられると思っています。
もっとも日本人学生との交流機会があったとしても、それだけでは日本文化、社会常識、勤労観、企業文化などを深く学べるとは限りません。日常会話の中で、こうした本質的な価値観まで踏み込んだ対話が行われることはあまり期待できないと思います。そのため、留学生専用のキャリア教育科目を設置することが不可欠ではないかなと思われます。
あるいは、留学生と日本人学生を分離しない方法を取るのであれば、留学生の専門学校入学前の日本語学習期間を延長し、現在2年とされている留学ビザの期間の見直しを含む制度改革が必要ではないかと思います。その上で、N2以上の日本語能力と一定程度の日本の社会常識や価値観を習得してから専門学校へ進学できる仕組みを整備するべきではないかなと思います。
このような対策を講じなければ、専門学校が質の高い留学生を獲得する、育成することは難しいのではないかなと勝手に考えております。すみません。
【吉岡座長】 ありがとうございます。いろいろと考えなければならない問題があると思います。
今、堀委員が挙手されていますので、堀委員の御意見を聞きたいと思いますが、堀委員、よろしいでしょうか。
【堀委員】 ありがとうございます。今の河原委員のお話、大変興味深かったのですけれども、外国人労働者の政策が今大きく変わって、日本が海外から労働力を受け入れるという方向に今振れているわけですけれども、その中において、専門学校が非常に重要な役割を果たすということが期待されているということは間違いないところだと私も思います。
ただ、今、河原先生もおっしゃったように、日本語能力だけではなくて、日本社会でうまくやっていけるというような、そうした能力も併せて身につけていただきたいなというふうに思っていまして、もしこの外国人労働者政策が大きく転換するとなると、一つは景気が悪くなったときですけれども、あと現状、社会統合の問題って既にもう大きくなっていて、いかに日本がうまく社会統合していけるか、あるいは、どうやってうまく定着してもらえるかというのは、非常に大きな課題だろうということで、そこにおいて専門学校が果たす役割ってすごく大きく期待されるところだと思うんですけれども。
今、河原委員がおっしゃったように、私たちが当然だと思っていることが当然身についているわけ、違う文化を身につけている人が入ってくるということなので、いかにそうした日本人らしさというか、日本の社会でうまくやっていけるような、そうした能力を職業教育を通じていかに身につけてもらうかということが、専門学校では期待されるんだろうというふうに思っていたのですけれども。
先ほど留学生専用のキャリア教育であるとか、特別なカリキュラムというものを、どこまで用意しなきゃいけないのか、用意できるのかというの、ちょっと分からないのですが、ただ、この受入れ基準の中に多少なりとも、そうした点をぜひ入れていただけないかなというか、それが非常に重要なのではないかなというふうに思いまして、発言させていただきました。
以上です。
【吉岡座長】 ありがとうございます。事務局どうぞ。
【米原専修学校教育振興室長】 今、留学生向けの学校というのが成り立つのかということですが、先ほど河原委員からもありましたけれども、学校教育法の124条で、我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除くと専修学校の定義として規定されているので、そういう意味で、専ら対象とするものは専修学校にはなれないという形に一応規定としてはなっているというところがございます。
また、留学生向けの特別な教育というところについて、やっぱり我々としても当然必要だと思っていますし、出入国管理長官の要請としてあります。
例えば資料2の8ページを御覧いただきたいのですけれども、今、文部科学省で外国人留学生キャリア形成促進プログラムという認定を行っておりますけれども、当然これ質の高い留学生に対して質の高い教育を行っているものとして認定をしていくと。
下のほうに認定要件幾つかありまして、細かく書いていますけれども、このマル3ですけれども、今、河原委員おっしゃっていただいたようなことを念頭に、留学生の割合が2分の1以下であれば、日常の中で日本人も多い環境の中で自然と身についていく部分もあるだろうと要件を設定しています。もちろん特別な教育をしていただくというのも非常に望ましいです。
ただ、これで認定要件としては、2分の1を超えて留学生がかなり多いという状況になった場合には、やはり適正な進路指導であったり、授業科目300時間以上の日本社会の理解を促進するため、日本国内において就職するために必要となる日本社会の理解の促進に資する授業科目というのを求めたりということもしているところでございます。
ですので、学校の状況とか分野によっていろいろと中身、内容、教育課程が変わってくるとは思うのですけれども、我々としても、日本への就職を念頭に定着をしていただくということであれば、こういったことも、特別な指導で、特別な力を留学生に身につけていただくというところは必要ではないかと考えているところでございます。
【吉岡座長】 ありがとうございます。いや、実は非常に大きな問題に突き当たっているなと思います。要するに、外国から来た留学生、これは多分、専門学校だけではなくて、大学なんかでも同じ問題ですし、そうじゃなくて、単に働きに来る人たちもそうなのかもしれないんですが、一方で、日本語の能力をきちんと身につけるための日本語教育が、やはりあるレベルまでは必要だということは、多分これにはある種の合意があると思うんですが、実はその日本語教育自体が必ずしも体系化されていないという問題がある。日本語教育って結構いろいろなやり方があるんですよね。
ヨーロッパ語だと割と体系化されていたり、教育方法は国家管理されているようなところもあると思うんですが、例えばフランス語なんか、もう完全にシステムができているわけです。しかし日本語って必ずしもそうなっていないというのがまず一つの、日本語教育自体にそういう問題があるということと、もう一つは、やはりこれは学校の問題というよりも、本当にそれこそ日本文化の問題があると思うんです。これをこんなところで言ってもしようがないと思うんですけれども。
我々は、例えば外国人に対して日本のビジネス文化というのを分かってほしいと言うけれども、我々が我々のビジネス文化がどういうものであるかを外国人に教える訓練を受けていなくて、我々はそれを教えるだけの経験もノウハウも持っていないんですよ。だから、結局その会社に入った人に対して会社の人が、要するにビジネス文化が分かっていないとかという、そういうのは来るんですが、じゃあ、日本の独特のビジネス文化って何なのかとか、日本のよさというのもそうかもしれないですし、問題点が何であるのかということについて、日本側がきちんと体系化された知識というのを持っていないので、それを外国人に分からせるのが非常に難しいので、結局、やれば分かるというか、分からないやつは駄目だというか、結局そういう話になってしまう。
これすごく重要なことで、多分、外国人を受け入れていったときに、ある一定の、それこそ外国である一定の教育レベルを持っている人たちであれば、異文化に慣れている人たちであれば、多分それはある程度できるんだろうと思うんですけれども、それに慣れていない人たちを日本に受け入れていく場合には、そこをやはり日本側がきちんと説明できる体系というのをちょっと真剣に考えないと、いつまでたっても同じことの繰り返しかなというふうに思います。
これ全然解決ではないんですが、しばらく前から、すごく重要な問題だと思っているところです。
一つは、もちろん学校の中で、そういう日本人との交流というのを少し積極的に、先ほど河原委員がおっしゃったように、例えばサークルであるとか部活動みたいな、そういう、いわゆる授業以外のキャンパスライフというのをもう少し体系的に考えるということは一つ必要なことかなと思います。
これ日本人の中だって、要するにいろいろな人たちがいて、それでうまくキャンパスライフを送って、ちゃんと就職していくために必要な訓練を受けるということと実はつながっていると思うんですが、そういうところですよね。
多分その問題をうまく我々がやらないと、いつまでたってもうまくいかない。それは、日本が島国だったということかもしれないですし、日本の歴史の問題かもしれないんですが、その辺はやはり自覚的にやらなくちゃいけないかなと思います。
そういうやっぱり教育プログラムのようなものを考えていかないといけないかなというふうに、すごく大きな話ですけれども、それを少し積み重ねていく。それをどこかでやっぱり専修学校でやっていくということは重要なことじゃないかなというふうに思います。
一つは、専修学校って直接職業と結びついていたり、それから一般的な大学の教育と若干違うのは、やっぱり技術とか技能とかという、場合によっては言葉がうまく通じなくても一緒にそのことをやることによって身についていくという分野、全てじゃないですけれども、そういう分野を持っているところなので、そういうところって多分、言葉が違うとか文化が違うところの接点は大きいのだろうと思うんですね。
例えば芸術分野って言葉はあまり通じなくても、日本人も外国行って何とかなっていっちゃうわけなので、そういう技術とか技能とかというものの部分を大切にしていくというのが、専修学校、専門学校が、いわゆる大学と少し違う道を開いて、さらにその社会的な訓練の場になっていくということかなと、非常に抽象的な言い方しかできないんですけれども、今伺っていて思いました。
では、吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】 いろいろ新しいことをお聞きして、とても面白かったんですけれども、まず、その国際センターのほうで4類型に。これ、ずっと考えているんですけれども、まだ、もうちょっとしっくりいかなくて。この軸には日本語学校ないしは日本語の専門学校、これが何か循環的に使われている部分が、ここには表現しにくいグループで、それを仮に除いてあるのかなとも思うんですけれども、どちらかというと上の定着のところのほうに、そういうのが入っていくんのでしょうね。
つまり、1回日本に定着して、日本で仕事を得るためのステップとしては、日本語学科に入って、留学、専門学校ないしは大学のほうに行ってという、こういうフローですよね。だから、上の定着の部分に多分こういう日本語の専門学校も入れるんでしょうけれども。
帰国のほうはかなりすっきりしていて、これは先ほどの話じゃないんですけれども、専門学校だからというよりも、例えば衛生分野などでは、調理だって、日本食だけちょっと学んでいれば日本語も何も要らないし、日本の料理のお店は学校に行かなくても出せますけれども、そういうような形で、普通に出身国に戻っていくために、そもそも戻って付加価値つくわけですよね。
他方で、介護などでは付加価値はつくのかもしれないけれども、出身国に戻ってみると、基本的には現状が必要とされる知識・技能の低いレベルで人材が供給されているから、わざわざ必要以上に高いレベルまで行ってしまって、帰ったときの価値がない可能性もある。
そういう意味で、日本への定着型になるので、その帰国と定着の軸は意味があるんですけれども。この国家資格かどうかというのは、先ほどの介護の資格型、養成校の資格もあれば、実務訓練もあるから、結構、専門学校として扱いにくい領域でもありますよね。
ということで、この4類型、いろいろ見ながら面白いと思いつつ、もうちょっと僕自身もまだ整理が必要な感じがして、そういう意味では次の論点に、じゃ次回何をこれで議論をするかというと、ちょっとまだしにくい、すぐにはしにくい感じがしたんですよね。
そこで、もう一つの関連するコメントとして、河原委員が言っていた、2+2ができない留学生という米国での議論とか、四則演算をする大学教育の質の低い私学があるという日本の議論をする人たちと同じ議論で、そうした職業専門の基礎としてのキャリア教育のような形を付け加えるときに、これって、どう評価するかなというのが難しいところで、そこら辺に連動している話があると思いました。
その辺の議論をずっと考えていくと、座長おっしゃられたように、この会合で、この協力者会議でできることは、全くないというわけではないと思うんですけれども、かなり出口のほうの技人国系のところは、大学教育と一緒にというか、大学教育型で議論するほうがもっと有効で、要するに専修学校型の手に職でという留学生は、そのまま帰れるような部分のほうが顕著なので、そういう意味では、ここの会議でやるというよりも大学教育と一緒にやるとか、あるいはそもそも課題は労働省系の議論のほうにあるように思います。もちろん、入り口のところは、ここに結構関係している、日本語学校と日本語専門の専門学校ですが、この調査協力者会議が「専修学校」という範囲を超えた議論をするのでしょうか。。
基本的に、これは本当に政治学の話をやるので、我々が本当にこの適任であるのかどうか、ちょっと微妙なところもあると思います。
我々の適任は何かというと、結局、論点の、米田さん説明いただいたけれども、論点をまとめて、次、何回かやるのに、どっちの方向で何を議論するんでしょうかというのは、もう1回確認をしたいところです。
僕はやっぱり、論点を言っていただいたときに、質の高い職業教育というのは、これは当然で、質の高い職業教育の受ける、それを説明できないんだと思う、みんなが。どういう知識、どういう技能、それから、留学生だからちょっと軸が違って、どういう態度や、あるいはどういう知識・技能・態度を使った経験を提供するかという、そもそも論に返らない限り、ここ固有の議論はできないんじゃないかと思うんですよね。
1回「質の高い職業教育」ということで教育課程の制度整備と質保証の評価の仕組みの議論は終わったということになっています。また、NQFも終わったという話ですけれども、NQFは本来セットになって、その学習成果が、専門学校の学習成果ってどんなものなんですかという、こういう議論なしに終わっていると、ただ絵に描いただけで、ホームページがぺたぺたっと貼り付けてあるというだけで終わってしまうわけですよね。
だから、そこの質の高い専門学校の教育というところにやっぱり焦点を当てて、それが何かを論じるべきではないでしょうか。幾つかの分野でモデル的にこういうゴールがあって、知識・技能・態度を修得して、そうするとそれが、留学生には知識・技能としては、ルーブリック的に言えば、少し下の水準でも修了させることになる。ダブルスタンダードをつくるわけじゃないけれども、あるタクソノミーのあるレベルが少し少なくても、専門学校の専門課程として修了でもいいよという共通感覚の形成が重要と思われます。知識・技能の代わりに、例えば態度とか、その他の応用経験をちゃんと用意してあり、その点で専門士の学修成果を確保しましょうよというふうに、議論が次にできるのかなと思うんですよね。
だから、次の議論のところのぜひ、最初のスライドの、僕はここの資料の1の、戻っていいですかね。ちょっと今までの議論、もう既に吉岡座長のほうでまとめていただいたとして、もう1回さらに次の論点が何なのかというところを確認をしておきたい。
学校教育法の一部を改正する法律の概要の資料で、この趣旨の、2ページ目ですかね、スライドの2の、人生100年時代とかリスキリング・リカレント教育ということを含めて、だから職業教育が必要になっているという前口上があります。だから専門学校は一番そうした職業教育に近い、また専門職大学もそういう形でできましたけれども、目に見えやすいはずなんですよね。
専門職大学も、しかし実際には、多くが18歳人口が入っていくだけにほぼなっています。静岡の農林環境専門職大学などとか、幾つかだけがリカレント型になっているという感じがするんですよね。
リカレント型にしようとすると、もう1回戻って、専門学校それぞれが、このプログラムではどこまでの知識を求めるのかという学修成果を目に見えるようにしなければ、リカレントの学修者も困るし、あるいは留学生も同じように困るというか、留学生育てる人がここまでしましょうねという目標提示が、学校学校でばらばらな現状に終始する。我々も説明できていないんだと思うんですよね。
そこら辺にもう少しその学修成果という軸、これは次の論点、やっぱりもう1回提起してもいいんじゃないかと思うんですよ。
ちょっとその全体の流れの方向、スケジュール感というか、これからどんな議論をしようとするのかというところを教えていただければと思うんですね。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。
【吉田委員】 すみません。よろしいでしょうか。調布北高等学校長の吉田と申します。入学のときに卒業後どのような希望を持っているのかというのを各高校では1年次の入学時のときに伺います。卒業時にその希望がかなえられるかどうかというのを一つの学校を見る指標となっております。
また、それと同時に、入学に当たって、なぜこの学校を選んだのか、それから、どのような手順を経て、この学校にたどり着いたのか。例えば通っていた塾は何ですかとか、あるいは誰に勧められてこの学校を選んだんですかというような調査を行っています。
恐らく専門学校のほうでもそのような調査は行っていると思うのですが、私は資料2の7ページのところで、日本での就職を希望する専門学校留学生は7割いたのだけれども、卒業生のうち日本で就職した割合は、令和5年度は約4割ということで、3割の専門学校の卒業生が結局、就職しなかったと。その背景が何だったのかなというのを専門学校の現場の方々お分かりになっていると思いますので、そういったところを吸い上げることも大事だなと思うと同時に、先ほど河原委員がおっしゃっていたことも、深くうなずけるところがございます。
日本の高校生が海外の大学に行くときには、まず語学学校に行ってから大学入学という形と、それから、もうそうではなくて、高校の間に英語力を身につけて、そして大学に直接入学する形です。やはり語学の壁というのはありまして、ある程度の語学力がないと、学校、大学につながらないということを分かって留学をしています。ということで、やはり語学というものがある程度できないと、日本の学校の専門学校の授業をそのまま受けるというのは難しいと思います。
反面、もう既に東京都の定時制高校では外国籍の生徒が7割いる学校もありまして、そこではどのようなことが行われているかというと、生徒に授業以外の時間で日本語指導の時間を取っていたり、あと相談窓口をたくさんつくって、個々にいろいろな困ったことを相談したりなど、そういう対応を取っています。
専門学校も、外国からの留学受け入れるに当たっては、日本語指導、相談窓口、それも複数の相談窓口というのが考えられることではないかなと思いました。
以上です。
【吉岡座長】 では事務局どうぞ。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。吉本委員からお話ありました今後のスケジュールとその論点どういうようにしていくかというところは、今日いろいろとお話伺いながら、また我々も考えていきたいとは思っているんですけれども、最終的には年度内にある程度報告書というか、紙にしてまとめていきたいなと思っているところでございます。それはゴールでありますけれども、今回のお話、非常に難しいのは、今の状況としては、個々の専門学校が個々の戦略で今頑張って、今この状態が結果的にできていると。当然、制度の枠内でということではあるんですけれども。こうした状況があって、そこにはあまり政策的に何かやっていることはないという状況ではあります。
今後5年後、10年後を見越しながら、そもそも“質の高い”ということの再定義が必要だというのは本当におっしゃるとおりだと思っていて、もちろんいろいろな学校がいろいろな留学生向けにメニューを提供していくということではあるんですけれども、そこに、もしかすると、こういうのが望ましいというようなものが、専門学校、専修学校の位置づけを考えたときに、あるということであれば、そういうものを伸ばしていくための方法も考えていかなければならないですし、それが個々の学校任せでいいのか、国全体として何かしらそういう方向に持っていくための仕組みないし支援というのを考えていかなきゃいけないのか、その辺りもあると思います。もちろん制度的なハードルが何かあるとすれば、それを考える必要もあると思いますし、そういったところをまず考えていく必要があると思います。
そういう意味で、望むべきというか、いろいろな留学の形、留学生の目的がある中で、専修学校としてこういう留学というのが望ましいのではないか、みたいなものが見えてくると、また、それにひもづいて、いろいろとできることも出てくるのかなというふうには思っているところでございます。
現状、大学とかであれば、世界の各地域に拠点大学を置いて戦略的に、その日本留学全体の紹介をするとか、そんなこともできていますが、そういう組織的なことも今、何も専修学校、専門学校関係ではできていないので、そういうことも含めて、そういうことをやっていく必要があるのかないのか、各学校任せでいいのか、そうではないのか、そういうところも、いろいろと御意見いただきながら考えていきたいなと思っているところでございます。
あと、吉田委員からいただいた、資料の7ページのこの下の国内就職の状況、この表、実は我々も非常にちょっとミスリードもあるかなと思いながら、なかなか、あまりいいデータがないので、これを出しているところもございます。7割の留学生が日本就職希望しています。ここは多分、留学時に聞いているデータだと思うんですけれども、これは最終的なゴールである就職率の43.9%というのは、例えば日本語学科の学生は次、専門学校とか大学に進学すると、この43.9%入ってこないということになるので、日本語学科のボリュームが増えれば増えるほど、この就職率、就職者割合が減っていくという状況になっているので、本当にこの就職希望者に対して就職できている率というのが、実はエビデンスが我々もつかめていないところがあります。
そこは非常に大事なポイントだと思いますので、今回、JICEのほうの調査ではある程度、就労率みたいな形で配慮して出していただいたりしているんですけれども、もう少し我々としても、希望する者に対してどのくらいが最終的に就職できているのかというところのエビデンスも、できるだけ見つけていきたい、つくり出していきたいと思っているところでございます。
以上です。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
【吉本委員】 もう1回、確認ですけれども。
【吉岡座長】 じゃあ、すみません、吉本委員。
【吉本委員】 要するに論点を外国人というふうに、あるいは日本語、日本語学校と日本語専門学校ないしはその専門学校の中の留学生、これ論点一つに絞るのですかと。それの、言ってみれば、専門学校というのが何も分からないまま、こっちの分野はこのレベルで、こっちの分野はこれでもよくといって、ばらばら、ばらばらやるのか。もう一つ参照の基準づくり、レファレンスとして、専門学校における質の高い教育の在り方というのを論点に一つ入れておいていただきたいと思います。それがマイナーでもいいんだけれども、そうでないと、言いましたように、ここの部会がその専門性を的確に把握できるものだけを扱っているのかどうかというのが、まだ何か分からないところでございます。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたような専修学校全体の職業教育の質というのは、今回の資料には9ページでお示しさせていただいていますけれども、当然重要な論点であって、それについて一つ目の論点のほうでしっかりと、これからの社会を念頭に置きながら求められる、専修学校において求められる職業教育の質というのは議論をしていきたいというふうには思うところでございます。
プラス今、留学生のこの激増している状況を踏まえての、じゃ、何かしらの対応というところが必要なのかどうか含めての整理をしていきたいというところでございます。
一応その2本立てで大きくは考えていて、今日は後半のほうを少し させていただいたというところでございます。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
そろそろ時間になりましたが、何か今、ぜひ今日という御意見述べたい方がいらっしゃいますでしょうか。オンラインの方々もよろしいでしょうか。
ありがとうございました。結構大きな問題で、ただ、すごく重要なのは、やはり専門学校、これ専門学校に限らず、いろいろな学校そうですけれども、やはり入ってきた学生がそこできちんと伸びるにはどうしたらいいのかというのがまずあって、その条件は何かということを考えるべきで、結果としていい学生を出しているところがよくて、そうじゃないところが駄目だという話よりも、どれだけそこできちんと中で教育が行われて、結果的には幾つかばらつきがあるにしても、その中で、どういうシステムをつくればよい教育ができるというか、生徒が伸びるか、学生が伸びるかという話がまずあるんだと思います。ということで、よろしいでしょうか。
それでは、今日の議論はここまでということにさせていただきます。
最後、何かございましたらですが、よろしければ事務局から何か。
【塩屋専修学校教育振興室室長補佐】 次回、第36回の本会議につきまして御連絡申し上げます。次回の会議につきましては、8月か9月頃の開催を予定しておりますが、詳細につきましては、改めて日程調整させていただければと思ってございます。
事務局からは以上でございます。
【吉岡座長】 ありがとうございます。論点、また事務局で少し整理して、次のほうにつなげていただければと思います。
それでは、本日の会議、これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございます。
文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室