令和7年1月21日(火曜日)13時30分~15時00分
文部科学省5階 5F2会議室(Web会議併用)
市原 康雄 学校法人名古屋技芸学園理事長 植上 一希 福岡大学人文学部教授 岡部 みどり 上智大学法学部国際関係法学科教授 小木曽 稔 新経済連盟渉外アドバイザー 河原 成紀 学校法人河原学園理事長 小林 浩 リクルート進学総研所長 瀧本 知加 京都府立大学公共政策学部福祉社会学科准教授 野田 文香 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構教授 福本 卓也 東京都生活文化スポーツ局私学部私学行政課長 堀 有喜衣 独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員 前田 早苗 千葉大学名誉教授 吉岡 知哉 独立行政法人日本学生支援機構理事長 吉田 寿美 東京都立上野高等学校校長、全国高等学校進路指導協議会会長 吉本 圭一 滋慶医療科学大学教授
江﨑 典宏 審議官 中安 史明 生涯学習推進課長 米原 泰裕 専修学校教育振興室長
【吉岡座長 】 それでは、定刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただき誠にありがとうございます。
早速議事に入りたいと思います。本日は、「今後の専修学校の学校評価の見直しについて」として、資料1に基づき事務局から説明いただいた後、職業教育評価機構の関口先生より、専修学校の学校評価ガイドラインの改正等に関する提言について御説明いただきたいと思 っております。また、最後に関口先生からの説明を踏まえまして、事務局から第三者評価のイメージ例を説明いただき、全体での意見交換を行いたいと思います。
それでは、事務局及び関口先生より、資料1から3について続けて説明をお願いいたします。事務局、お願いします。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。それでは、資料1に基づきまして説明させていただきます。
まず、専修学校の学校評価の見直しについて、制度設計の方向性の案について説明させていただきます。経緯等につきましては前回会議で御説明いたしましたけれども、今回の法改正により、専門学校に大学と同等の項目での自己点検評価の義務づけと、外部の識見を有する者による評価の努力義務化が措置されたところでございます。つきまして、評価の実施方法等について整理し周知することが必要でございますので、この検討を行っているものでございます。
この検討の出口といたしましては、専修学校における学校評価ガイドライン、これも現在あるものでございますけれども、この会議でいただいた御意見や、この後、御説明いただく職業教育評価機構に委託しております調査研究を踏まえまして、全面的に改定し周知していくということとなります。
また、今日検討に入っていただく前に、専修学校の評価制度導入の目的についてあらかじめ共有させていただきたいと思います。今回の法改正では専門学校の高等教育機関としての位置づけを明確にしたということでございますけれども、評価に関しても大学等と同等の評価を行い、その教育の質を確保することを目的として制度化されたところでございます。
そもそも大学の認証評価制度は、平成14年の中教審の答申で、大学における質の保証の方策として、大学の設置認可制度による事前規制を大幅に緩和することと併せまして、大学設置後の教育研究活動の状況について、第三者が客観的な立場から継続的に評価を行う体制を整備し、設置後も含めたシステム全体として大学の質を保証していくことを目的として、平成16年度から導入されたものでございます。
この評価は、設定した基準に照らしての適格性の認定を行うことを求めているものではなく、大学の理念や特色は多様であるということを踏まえて、各評価機関が、当時は「個性輝く大学づくりを推進する」と言われているんですけれども、そういったことにつながるような認証評価の在り方に配慮することとされているところでございます。
なお、大学の認証評価の実態がこうなっているかというのは議論があるかもしれませんけれども、専門学校の評価制度を検討するに当たっても同様に、監査的な評価ではなくて、教育の質を保証し学校の価値を引き出して改善を促すことに軸足を置いたような評価としていくことが重要であると考えているところでございます。
次に、参考資料1を御覧ください。現在、中央教育審議会の大学分科会におきまして高等教育の在り方についての検討が行われているところでございますけれども、現在、提示されております答申案におきましては、認証評価制度の見直しについても記載されているところでございます。
ここでは、評価負担の軽減とともに、教育・学修や研究の質を一層高めるために、例えば学部・研究科等に応じた定性的評価の導入、教育研究情報に基づく定量的評価を行って、これらに基づいて在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのかといった、大学等の教育の質を数段階で示した上で公表することなどが示されているところでございます。
大学の現在の認証評価制度や検討の動向を踏まえつつ専修学校の評価制度を検討していただく必要がございますけれども、前回会議でも何人かの委員から御指摘がございましたが、専修学校と大学は制度や実態も異なりますので、こういうところを踏まえながら専修学校にふさわしい評価制度を構築することが重要であると考えておりますので、そういった視点で御検討をお願いしたいと考えております。
それでは、各論点について説明をさせていただきます。資料1に戻りまして、2ページを御覧ください。
まず、評価項目についてでございますけれども、この後、具体的な評価項目の案等につきましては職業教育評価機構の関口先生から説明がございますが、この評価項目の取扱いについては基本的に自己点検評価と第三者評価では項目は同じとして、自己点検評価の結果を第三者の視点でエビデンスに基づいて改めて確認をしていただくということを、この第三者評価の基本的な考え方としたいと考えておるところでございます。 ただし、評価の項目のうち、学校運営や管理に関する部分につきましては、右の真ん中でも書いておりますけれども、学校法人制度等に基づく様々な評価、監査的な活動がございますので、重複を避けるためにも、第三者評価では重点的に確認する項目として、自己点検評価の項目のうち教育内容に関することに重点を置いてもよいのではないかと考えているところでございます。
また、分野や資格によっては評価や第三者による点検が既に制度化されているものもございますので、評価を実施する際には評価の費用対効果ということも考慮し、そういう点も踏まえて、メリハリをつけた評価としていくのがよいのではないかと考えているところでございます。
続きまして、4ページを御覧ください。第三者評価の実施主体の設定に当たっては、専門学校につきましては大学等と比べて規模の小さい学校が多いということもございますので、評価の作業量自体は少ないんですけれども、それと同様に職員の数も少なく、評価に関する業務、評価機関に支払う費用、コストによる負担増というのが課題になってくると考えています。また、現実問題として、第三者評価を実施できるような組織・団体も少ないという実態もございます。
つきましては、第三者評価を円滑に実施するためには、評価の安定的な質の確保の観点から、まずは評価を専門的に行う組織・団体による評価が望ましいと考えますけれども、こういった状況を踏まえると、数名の評価者の委嘱等による評価も認めてはどうかと考えているところでございます。
また、評価の質と信頼性を確保、担保するためにも、実際に評価を実施する方が評価を実施するにふさわしい者であることが必要だと考えておりまして、その専門性や中立性については要件を示していくことが必要であると考えているところでございます。
5ページを御覧ください。具体的にはこのように案を考えているところでございます。まず要件といたしまして、やはり複数名による評価が望まれると考えております。また、専門的な評価が可能な者といたしまして、専修学校に識見を有する者、大学評価等の経験者、当該学校・学科の分野に精通している者、こういった方がふさわしいと考えているところでございます。
また、中立性の要件といたしましては、下に三つ書いてございますけれども、その学校や学校法人、学校の経営に対して3年程度携わっていない方がふさわしいのではないかと考えているところでございます。
また、留意事項として下に2点示しておりますけれども、一つ目は、学校が評価の組織、団体や評価者を選定して依頼するということになりますので、最終的な評価者の選定の責任を学校が負うということになってまいります。ですけれども、文部科学省や既存の評価機関が評価者に対する研修などを行い、そうした研修等の受講経験があることでもって選定の信頼性を後押しすることも行っていきたいと考えているところでございます。
また、二つ目でございますけれども、評価者に個別に依頼をする際にも、個人が独立して評価を行うのではなく、評価者間で連携、協力して組織立って評価をしていただくことが大事だと考えているところでございます。
続きまして、6ページを御覧ください。評価を求める対象についてでございます。今回の法改正では専門学校に対して第三者評価が努力義務化ということでございますので、必ずしも評価を実施なければならないものということにはなっていないところでございます。ですが、下の黄色い囲みにありますが、この努力義務でございますけれども、今、様々な認定制度がございますので、評価の実施を求めるべき制度もあると考えているところでございます。
具体的には、大学等と同水準の質の保証が求められるような場合、例えば高度専門士の認定、大学院に入学資格が付与されるような課程の認定、こういったものであったり、また、特別な教育課程や取組に対して文部科学大臣等が認定を行っており、その認定要件に関するフォローアップが求められている場合であったり、学校関係者評価が既に義務づけられている場合、こういったものが想定されるところでございます。
ですが、先ほども申し上げましたとおり、評価実施者の実際的な確保については問題もございますので、実際に認定制度を評価の対象としていったときに対象となる学校の数も考慮しつつ、どの制度から優先的に第三者評価を求めるのかということについては検討が必要と考えているところでございます。
なお、一番下の※に記載しておりますけれども、学校関係者評価につきましては、一般課程、高等課程については引き続き努力義務としてまいりますが、専門課程については大学等と同様に法令上は規定をしないということで考えているところでございます。一方で、学校関係者評価につきましては、学校関係者、保護者や関連企業、地域の方々等に学校について深く理解してもらって意見を聞く場として有用という御意見もありますので、学校の判断で実施することは当然許容できると考えているところでございます。
続きまして、7ページを御覧ください。評価期間についてでございます。今のガイドラインでは自己点検評価は毎年度に1回は実施することとされていますけれども、特に第三者評価についての規定はございません。大学等につきましては7年以内に1回認証評価を受けることが義務づけられておりまして、また、専門職大学につきましては、この認証評価、機関評価に加えて分野別評価を行うこととされており、その評価は5年以内に1回評価を受けることとなっているところでございます。
今回、専門学校の評価期間を考えるに当たっては、教育内容を重点的に評価するという観点で専門職大学の分野別評価との親和性が高いと考えますので、今回5年以内に少なくとも1回実施するとしてはどうかと考えているところでございます。
続きまして、8ページでございますけれども、評価結果の取扱いでございます。大学等における認証評価につきましては、評価機関が中心となって評価を実施しておりまして、評価機関が結果の公表もする、文科大臣に対しても報告をするという形になっているところでございます。
専門学校におきましても、当然結果につきましては学校のホームページに掲載するなど、社会に公表するとともに、所轄庁へ報告するスキームとしていくことが必要だと考えているところでございますけれども、この評価結果の取扱いは基本的には学校が責任を持って行っていくと考えているところでございます。そういう意味では、学校を中心に評価を企画し実施していくということになるのかと考えているところでございます。
したがいまして、学校が第三者評価者や機関に評価の受審を依頼し、評価結果を受け取って学校が結果を公表する。所轄庁に対しても学校が報告をして、特に課題がある場合は所轄庁から指導・助言をしていただくという形のスキームがいいのではないかと考えているところでございます。
文部科学省への報告につきましては、各種認定制度ごとに規定をしていくような形で整備をするのがよいのではないかと考えているところでございます。
一旦、私から説明は以上でございます。次は関口先生のほうから評価項目等の説明についてお願いいたします。
【関口職業教育評価機構副理事長】 職業教育評価機構の立場で御説明したいと思います。
資料2に「1、専修学校における学校評価ガイドライン改正に向けた考え方」がございます。こちらは新しいガイドラインの本文に入る部分も含まれておるんですが、その文章のレジュメを読み上げかつコメントすることで進めたいと思います。
また、最後の項目例の表につきましては、特に解説文はつけておりません。これを御覧いただきながら口頭で御説明したいと思います。
それでは、資料2の最初の1ページの専修学校の学校評価ガイドラインの改正等に係る提言ということで、まず現行の学校評価ガイドラインと自己点検評価についてです。このガイドラインに基づいて自己点検評価をやっているということでここ10年以上推移しておる中で、定着しているとも言えるかと思います。ただ、実施率につきましては93%ということで、100%ではない。今回学校教育法上の義務化ということですから、これは本来的には100%であるべきものだろうと思います。
また、現行のガイドラインに対応する形での自己点検評価、第三者評価につきましては、現状で東京都と大阪府については、特に第三者評価については独立した専門の評価機関による評価受審校に対して受審料の半額補助をしていただいているという現状がございます。
その次の段落、丸2としましたが、ガイドライン改正の必要性については令和5年度の協力者会議のまとめにおいて、評価の充実や外部の識見を有する者による評価など、このガイドラインの見直しが必要というところの記述が一つの根拠になっております。
それから現ガイドラインは、策定から11年経って、新たな諸制度への対応が必要であると。新たな諸制度の中の特に職業実践専門課程、以降職実と略して申し上げますが、職実においては職業教育のマネジメントの中心である認定要件についての運用が10年以上様々になされてきました。これについては課題も生じてきているため、そういうことも踏まえた新しいガイドラインの内容になるべきではないかということであります。
次にまさに今、御説明がありました学校教育法の改正に対応するということで、専門課程については自己点検評価の義務化と、同じく外部の識見を有する者による評価を努力義務化ということに対応する必要があります。
それと別に改正に当たっての留意点ということで、まず一つの視点は、今、米原室長から御説明がありました中教審等における大学等の認証評価制度の見直しの動きということです。認証評価は4クール目になってくるんでしょうか。その中で、途中から内部質保証重視、さらにその実質としての教学マネジメントという流れの中について注目をずっといたしてきております。その点は令和3年度のこの会議の主題であった職業教育のマネジメントの観点から、引き続き留意していきたいと思います。
次に、専修学校における各養成施設等の規則における評価・監査活動への対応ということで、例えば柔道整復やあはきなどの医療系等については六、七年前に現場のありようとか養成施設の状況に応じた改正ということで、カリキュラム等検討会がそれぞれの分野についてなされました。と同時に、それは5年に1回カリキュラム等検討会を開くという厚生労働省の方針で、コロナがあり遅れましたが2回目が開かれようとしております。その動きとともに教育活動への評価とか監査対応ということの動きがございますので、それも押さえる必要があるだろうということ。 さらにこれもただいま御説明がありましたように、評価業務の学校への負担を配慮するということで、後ほど示させていただきますが、現状の10の大項目を重点化ということで少し圧縮するという形で対応する必要があるのではないかということがあります。
それから何よりも、学校教育法の改正により、専門課程については学校評価の根拠法が第132条の2に新たに定められ、高等課程と一般課程は従来どおり小中学校等の学校評価の定めであります第42条に準ずるとのことですので、根拠法が違うというところにガイドラインも対応しなければならないということであります。
留意点による改正ガイドラインの構成につきましては、前のガイドラインを御覧いただきますと、情報提供への取組に関するガイドラインというのが附属資料でついております。今回はこれは別立てにし、学校評価のことに関してのみのガイドラインとすべきではないかと提言をさせていただくところであります。
ガイドラインの構成としましては、専門課程と高等課程の学校評価の規定条項が異なるために、第1部を専門学校の学校評価、第2部を高等専修の学校評価としまして、附属資料も大幅に少なくしまして、評価項目例と関連法令のみという形でまとめてはどうかということであります。
一般課程につきましては専修学校の一部でありますが、御承知のように、入学資格というのは特にございません。それから、非常に多様で、かつ学校の教育の形も様々でございますので、なかなか共通項を持ってガイドライン化するのは難しい。そこで、ひとまず各一般課程の学校が専門課程、高等課程の内容を参考にして、それぞれの学校が独自に取り組んでもらうということをガイドラインに記載するということにしています。
なお、専修学校ではございませんが、各種学校についても一般課程と同じように多様性ということがありますので、注記で同じような対応ということで触れたらどうかという考えでございます。
用語についてです。現行のガイドラインでは自己評価という用語が使われております。そもそも専門学校についての学校評価が言われ出したときには、最初は自己点検評価と言っていたのですが、ガイドラインでは自己評価という表記になっていて、今回の学校教育法の改正では再び自己点検評価です。今後は改正ガイドラインではもちろん自己点検評価とし、第三者評価及び学校関係者評価という用語はそのまま使用するということとしています。
それから、職業教育のマネジメント等々で特に経営、運営のところで重要な概念であります中期事業計画は、これまでは教育のところを中心に、「中長期的な計画」とか「中期的な計画」という表記でありましたが、教育活動を支える経営、運営も評価の項目に入ってくるということでありますので、これは中期事業計画で統一したということであります。
評価項目につきましては、学校教育法の公布文書の留意点のところだったかと思いますが、自己点検評価及び外部の識見を有する者による評価の評価項目はガイドラインで示すとなっております。
第42条において小中学校は生徒指導や学習指導に限定されていたものに対して、これを施設設備や運営なども入れるようにという方針が出されているわけでございます。もともと現行ガイドラインでも認証評価の項目例を参照にしたものが参照例としてはついていますけれども、その辺の考え方を整理して、認証評価の特に当初の機関別評価項目というものについて参照して、項目の中に付け加えるものは付け加えるという方向でございます。
それから、質保証会議で言われている学修成果の適切な把握、可視化の観点ということも重視すべきだということで、評価項目について考えているということであります。
さて、今までのところは考え方をこの会議のためにお示ししたということでありますが、これから、2の「はじめに」以下については、ガイドラインの本文の中の冒頭の文章案ということで御検討いただきたいということであります。
まず、教育、組織及び運営並びに施設及び設備の状況につきまして、組織的、継続的改善を図るための自律的な質保証への取組が重要であるという専門学校のスタンスを示す。
丸2として、関連法令遵守、設定される評価基準への適合性に加えて、学校自らが設定する成果の達成や関連業界、地域のニーズの充足等も質保証の重要な取組であるという視点。
そして、学校評価は職業教育のマネジメントが有効に機能しているかどうかを確認するための手だてであるという視点。
それから、社会との連携強化、とりわけ育成する人材に関連した業界との教育課程編成等における連携は、職業教育のマネジメントの中核をなすと捉えるということであります。
ちなみに、職業実践専門課程は学校評価ガイドラインとほぼ軌を一にしてできたものでございまして、現行のガイドラインでも専門学校への言及から職員実践専門課程の実践的な職業教育という用語は常に使われており、既に職業実践専門課程の学校評価という見方は最初から強くあるということでもございます。
また学校評価の実施におきまして、専修学校団体・職能団体、企業・関係施設の参画等、連携が重要になるという視点があります。
さて、社会の信頼を得るため、自己点検評価及び第三者評価の結果の公表が必要であるとは当然のことです。ついては、少し脱線するかもしれませんが、職業教育評価機構等においては、現在、評価結果だけではなくて、その基となる第三者評価機関が指定した評価項目、これはおのずとガイドラインに対応するものですが、いわゆる自己点検評価を学校がやるところの評価とももちろん関連するのですけれども、そうではなくて、第三者評価機関が指定した項目に基づく自己点検評価報告書というものに基づいて第三者評価を評価機関がするわけでございますが、その自己点検評価報告書までも開示すべきだとして検討中です。
なぜかというと、評価結果だけではなぜそういう評価になったのかということが外から分からないので、評価報告書自体を公開することで、その評価結果が妥当なものであるかということを、ある程度開示された内容から、いわゆる世間が一定程度判断することができるとすべきではないかということです。
図についてです。専修学校が自律的に取り組む教育改善の仕組みで、職業教育のマネジメントにおいて重要な中期事業計画、これもおおよそ5年相当ということで策定されることが多いわけですが、第三者評価に基づく改善のサイクルも、今回御説明がありましたように5年ということであれば、この改善サイクルと同期を取るということがより実効のある改善活動になると思われるということを示しています。
その際に、各年度の自己点検評価というのも単年度のPDCAサイクルがあるわけですが、単年度のものと短期の事業計画というのも当然立てますから、そちらも同期を取っていって、1年ごとにどのような成果があったかということを確認しつつ、それらの二つのPDCAサイクルの同期を取らせたことで実効のあるもの、それから中期事業計画の実質というものが向上するのではないかいうことを、この表においてはメッセージとして伝えたいということでございます。
続きまして、5ページ目、項目例の表を御覧いただきたいと思います。基準、項目、評価の指標と分けてございまして、基準につきましては、現行の10の大項目に当たるものにつきましては、御覧いただきますと、教育に関するものは1から教育環境の6までつながっております。そういうことで、基準7に教育に関する以外のものについては一本化しました。
そこにおいては、いわゆるマネジメントに属する中期事業計画と財務基盤、学校運営、さらに内部質保証に対応した学校評価の実施と改善活動、そして、外からの理解と情報の公表というものを中項目的にそこに入れているということでございます。また評価の指標ということで中項目に当たる項目の評価の視点というものを示しております。
基準2の1の丸2、評価の指標のところには、例えば教育課程編成について、ここは職業実践専門課程に特化している性質のものだった場合には、職業実践専門課程ということを注として入れてございます。
同じような表記といたしましては、基準3の2の学生募集及び入学者の選抜、収容定員の管理について、修学支援制度の機関要件の確認であるとか、外国人留学生キャリア形成促進プログラムなど、特に文部科学省が認定している制度というのを中心に注を入れているということでございます。
基準4の学修成果でございますが、1として学修成果目標の設定と、2として学修成果の把握ということで、評価の指標については丸1のところに書きましたけれども、資格等の数値化ができる合格とか取得率とか就職等々だけではなくて、それ以外の知識、技術、技能、態度等の学修成果目標についても明確に設定することにしております。
それから、中項目的な項目の2の学修成果の把握につきましては、丸2に資格・免許以外の、そこに言いました知識、技術等の学修成果目標については、目標設定の仕方と関連しますが、その成果の把握の方法の開発に取り組むこととしておるところでございます。
基準5につきましては、項目を御覧いただきますと、教員のマネジメントこそ職業教育のマネジメントの中核であるという視点から、教員の配置、募集、採用、それから、2の組織編制、そして、3の教員の資質の向上と、ややマネジメントの時系列的に三つの項目を立てているということであります。
特に、3のところに、職業実践専門課程の認定要件にもなっているところの丸1と丸2で、特に丸2について、教員の授業及び指導力等を修得・向上するための研修を企業等と連携して組織的に行っているということについては、かなり課題性が高いということは指摘されていることであります。なぜかというと、授業力の向上ということに企業はどう関係するのかということは一番最初から三菱総研さんの調査結果でも問題として出ていたところであります。しかし、認定要件になっているわけなので、この辺をどうするかということで、これは検討すべきことではないかという意味でも挙げてあります。
同時に、職実の認定要件そのものも、11年経っているわけですから、その運用についても様々な調査結果が出ていることでもあるので、学校評価ガイドラインの改定ということに端を発してでもいいと思うんですけれども、職実の認定要件の見直しということについても当然そういうことになるのではないかと思います。
その際に、認定要件の教育課程編成や、それから企業と連携した実習という認定要件のレベルに対して、教員の定義から始まる教員の在り方やマネジメントという視点の1項目の中の一つの手だてである研修だけしか認定要件になっていないというのは、構造としては基本的にいびつではないかと思っております。教員についての基準を定めることと関連して、教員についての認定要件ということについては課題ではないかと思います。
それから、3の学校評価の実施と改善活動のところに、現状では職実の認定要件に入っているというところから、学校関係者評価委員会というのを入れております。これは少々迷ったところでありますが、現状は入っているということです。基本的に、専門学校については、学校関係者評価の規定は今度の改正の中には入っていないわけです。自己点検評価といわゆる第三者に当たる外部の識見を有する者の評価しかないわけなので、この取扱いについてはまた御検討いただければと思っております。
駆け足で恐縮ですが、私からの説明は以上です。
【米原専修学校教育振興室長】 関口先生、ありがとうございます。
続きまして、私のほうから資料3に基づきまして、今、関口先生のほうから評価の項目等について説明がありましたけれども、実際にどのような評価としていくのかという点について具体的イメージを持っていただくほうがいいかと思いましたので、イメージ例1、2ということで作成をしております。これについて簡単に説明させていただきます。
まずは、学校が設定した評価項目、ガイドラインに基づいて設定した評価項目、内容、基準に基づいて自己点検評価をしていただくということになりますが、その評価結果を踏まえて第三者評価を行うということになります。
評価に当たっては、数値で簡潔に評価結果を示す部分と所見を示す部分に分けてはどうかと考えているところでございます。具体に書いておりますけれども、項目として、教育課程、教育の実施ということであれば評価内容として三つの項目があって、評価基準としてそれぞれあります。このうち、職業実践専門課程や、様々な認定制度で要件となっているものについては、認定を受けている場合には評価の中に盛り込んでいくという形になると考えているところでございます。
自己点検を端的に数値で結果を表して、第三者評価にも同じようにそれについて結果を表す。下にございますけれども、評価結果への所見ということをそれぞれの項目について示していくという形をおおよそのアウトラインとしてはと考えているところでございます。
数値で示す箇所につきましては、右の下に赤線で囲っておりますけれども、これまでのガイドラインでは4段階で示しておったんですけれども、やはり2と3の間の解釈が難しいということもありますので、シンプルに3段階にしてはどうかと考えているところでございます。やるべきことがしっかりとやれていれば基本的には2となるという基準でと考えているところでございます。
この場合も、やはり2となるか1となるかで学校にとっては大きな違いになってくるので、ここの線引きをある程度明確にしておく必要があると思っているところでございます。2はおおむね基準を満たしている、1は基準を満たしていない、このおおむねのところの考え方でございますけれども、この考え方としましては、基本的には各項目において主要な事項で望ましい所見ではなくて大きく改善を要する事項がある場合には1となってしまうということ、明確にそういうものがなければ2となるというところかと考えているところでございます。ただし、主要であるとか大きな改善かどうかなどにつきましては、各項目を踏まえて評価者に最終的に判断していただくことになると考えているところでございます。
このように評価結果は簡便に示していくということであるんですけれども、やはり重要なのは所見の欄であると考えておりまして、各評価項目について評価や分野の専門家の方々から様々な改善に向けた御意見、所見をいただいて、よりよい教育や学校運営の実現に反映したということが大事だろうと考えているところでございます。
こちらから説明は以上でございます。忌憚のない御意見をよろしくお願いいたします。
【吉岡座長】 ありがとうございました。
それでは、御自由にということですけれども、細かいことでも結構ですが、まず質問があれば質問をいただければと思います。では、吉本委員、お願いします。
【吉本委員】 吉本です。簡単な質問です。第三者評価者というのが、資料1の5ページに、専門的な評価が可能な者云々というのがありますね。それともう一方で、資料3の下側には、「第三者評価は~評価者は、関連企業、関連団体、大学教員、所轄庁等で構成」というのがあって、この二つはどんな関係なんでしょうか。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。そういう意味では、資料3に書いておりますのは、一応法律上は専門学校の職員以外の者となっているので、それで身分としてはどういう方なのかというところで書いているんですけれども、肩書は置いておいて、基本的には資料1の5ページの要件を満たすような方と考えていますので、資料1の5ページのほうをより重視していただければありがたいなと思っているところでございます。
【吉岡座長】 よろしいでしょうか。
【吉本委員】 併せて確認します。やはり「所轄庁等」といきなりなっているのはもともと違うかと考えます。「所轄庁等」は丸1に入るのかどうかわからないのですけれども、そういう対応がない言葉を使わないでいただければと思います。よろしくお願いします。
【関口職業教育評価機構副理事長】 私が発言してもよろしいですか。
【吉岡座長】 どうぞ、もちろん。
【関口職業教育評価機構副理事長】 認可権を持っている所轄庁が評価者側に入るというのはあり得ないのではないかと基本的には思うんですけれども、所轄庁として東京都の福本委員、いかがですか。
【福本委員】 おっしゃるとおりでして、実情もそうですし、権限のバランスからしても所轄庁が評価者側に入ることはあまりよろしくない構成なのかと思っております。そういった意味では、所轄庁の位置づけについても、今回の報告書を第三者評価の結果を受理するという形になっておりますけれども、これを踏まえて日頃の指導、助言、行政に生かすようにという御趣旨かとは思うんですけれども、この辺りがどこまで見切れるかどうか、活用できるかどうかということも新たな所轄庁の課題になるのかと思って、その辺も今日伺えたらと思ってございます。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございました。確かにおっしゃるとおりだと思います。「所轄庁」につきましては取りたいと思います。
先ほど福本委員からもお話ありましたけれども、現在、所轄庁である各都道府県にこういう御意見や状況を伺ったりもしているところではあるんですけれども、この間も委員からの御指摘がありましたけれども、所轄庁もなかなか体制的にもとても厳しい状況もあるので、あまり負担をかけられないと思っているところでございます。
一方で、専修学校、専門学校はいろいろと課題のある学校もあったりもするので、当然所轄庁はふだんの活動の中で財務状況の把握等々をされて指導いただいているものと思いますけれども、こういった評価の結果も踏まえて指導に生かしていただくということが大事だろうと思っているところでございます。
基本的には、今回簡便に1、2、3で示しているというところもございますので、やはり1のような評価があった場合には、中身によるんでしょうけれども、しっかりとウォッチをして、改善を確認していくようなことが必要であればそれをやっていただかなければならないと思いますし、改善や所見というところにつきましては、そこまで踏み込んで所轄庁のほうで何か対応していただくということではないのかとも思うところでございます。
【関口職業教育評価機構副理事長】 誠に度々恐縮ですが。
【吉岡座長】 どうぞ。
【関口職業教育評価機構副理事長】 評価者として所轄庁のOBの方は非常にたくさん関わっていただいて、学識者ということで、特に学事関係の管理職をされた方については、私どもの職業教育評価機構をはじめ、非常に評価者として事情にも精通しておられるということで加わっていただいていることをここで申し上げておきたいと思います。すみません。
【吉岡座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。結構重要です。 小林委員。
【小林委員】 小林でございます。今日初めて参加しますので、質問の趣旨がずれていたら御指摘いただければと思います。
資料3で御提示いただいた、これはあくまでも評価基準イメージだとは思うんですが、これは関口委員が御報告いただいた基準ごとに評価内容があって、その評価内容ごとに評価結果をつけていくという形のイメージを提示されています。これは最終的に、例えば評価するときには、この、教育課程、教育の実施というのは基準2になると思うんですけれども、基準2の総合点みたいなものをつけるのかどうか。あるいは、大学ですと全体に適合、不適合というのがありますけれども、全体としての評定をつけるのかどうか。これは恐らくイメージなのでこれから変わっていく可能性があると思うんですが、現状のイメージ、あるいは情報公表、先ほど自己点検評価書も出していくといったときに、自己点検の点数と第三者評価の点数がずれていますよというようなところまで見せていくのか。そのイメージをお話しいただければと思います。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。そこにぜひ御意見もいただきたいところでもあるんですけれども、今、我々としては“評価内容”の単位ぐらいである程度まとまった評価の数値を出していく。もちろん所見はもう少し細かく出していただくことが大事だと考えています。
当然自己点検評価についても結果は公表してもらうことになりますので、そういう意味ではこういう形で第三者評価の結果と違いがある場合は違いをきちんと見せていく、当然違いがある場合は、なぜそれが違うのかというところの所見も含めて示していただくということが大事であろうと思うところです。そういうことで自己点検評価の質の向上にもつながっていくのかと思っているところでございます。
【吉岡座長】 ありがとうございました。
【小林委員】 大学認証評価では、全体の適合、不適合は出しますが、基準ごとの評価「S、A、B、C」は出していないですよね。今後どうなるか分かりませんが、その辺りところも専門学校だけ厳しいというような形にならないような見せ方というのも必要なのかと思いました。ありがとうございます。
【関口職業教育評価機構副理事長】 職業教育評価機構では、あるいはほかの評価機関でも、大項目というような基準の下にそれを内訳にした中項目がございます。しかし、中項目単位では評価者が困るんです。より具体的にどうなのかというエビデンスは小項目に対応したエビデンスを出すということにもなっていますから、これができているか、できていないかで、最初の判断は、ここで言いますと評価の指標に書いてあるような内容を具体的に検討するということが一つです。それをさらに細分化するということはできますけれども、少なくとも中項目をさらに分けた小項目レベルでしか具体的な評価作業というのはできないと私は思っております。
ただし、一方で、ホリスティックというか、細部へずっと行く方向じゃなくて、例えばここの教育理念、目標という大項目全体を学校としてどう捉えているのかというのは、小項目及び中項目を見た上で、それについてはできるだけ理事長さんとか学校長さんに書いてもらうという形でやっております。
【小林委員】 ありがとうございます。
【吉岡座長】 一番の専門の前田委員の発言をお願いします。
【前田委員】 ありがとうございます。前田でございます。私のほうから、まずお伺いしたいのは、関口先生が御報告くださった5ページです。今、半分お答えいただいたような気がするんですけれども、例えば評価指標で言うと、基準1の評価指標の丸2なんですけれども、「設定している目的及び目標に応じて、養成する人材像を明確にする」、学校はこれはできると思うんです。続く、「教育課程編成及び卒業認定の方針との関連性」については、特に教育課程と要するに養成する人材が合っているかどうか、この辺りはどのようなものを出していただくことをイメージされているのか。こういう適切性については、恐らくこれですと文書で出して終わるようなものでないものがあると思うんです。それはどの程度学校側が文章で書く、もしくは何か証明する資料を出すことになると思いますが、この辺りのことはどのぐらいをイメージされているのかということが、まず第1点お伺いしたい点でございます。
それでもう1点は、文部科学省にもお伺いしたほうがいいかと思うんですけれども、そうして出てきた文書を、例えばその専門の人がどのぐらいの人数がいたら見られるのか、お1人でそれは全部判断できるのかどうか、その辺りも関口先生のお考えをお伺いしたいです。文部科学省については、先ほどの資料1の5ページのところの原則3名という中で、「当該学校・学科の分野に精通している者が1名になる可能性もある」と、この辺りとの関係でお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。 【吉岡座長】 では、まず関口委員からどうぞ。
【関口職業教育評価機構副理事長】 最初の御質問の1の1の丸2ですね。これは、具体的に言えば、例えば学生便覧等には育成人材像ということの記述が大抵の学校はあると思います。そして、それをカリキュラムにどう反映するかという記述と具体的なカリキュラムが示されている。これは提出書類ということになっているかと思うんです。
それから、教育課程編成ということは、例えば職実だと教育課程編成委員会、もしくは、その前提となる教育課程編成の学校としての全体的な作業の在り方ということの中で、その育成人材像ということに向けてカリキュラムがきちんと編成されているかという視点でカリキュラム編成を行いますから、その検討、そのカリキュラム編成委員会の議事録とか報告書とか、あるいはそれを包み込むような学校に教育課程編成の組織体というものがあれば、そこにおいてのエビデンスというものを提出してもらうというようなことが第一ではないかと思います。実際にそういうものを提出してもらうというように、これに該当する私どもの機構のほうではやらせていただいているということであります。
それから、分野、学科が非常に多様だった場合に、どれくらい専門性を持った人、これは同じ分野の教育をしていらっしゃる管理職の人や、あるいは業界の人というのを評価として迎えるということになるわけですけれども、これは現実に大変苦慮しているところでございます。単一の分野であれば、例えば柔道整復分野ということであれば柔道整復師の方を1人と、同分野の人を1人というのは最低限必要ですが、理想的には、教育に携わる柔道整復師の養成施設のほうから2名、業界の方も2名とするのが少なくとも理想です。
しかし、学科を二つ、三つ持っているというところは学校としても普通ですし、最大で1校で30学科持っているというところもあります。そうすると、分野も工業分野から教養分野から様々にあるということで、これで一つの学校をトータルに機関別評価をしようとなったら、数十人をそろえなければいけないということになってしまうわけです。
こういう場合は、申し訳ないんですけれども、今の現行のこの分野の問題は深刻なんですけれども、8分野ございます。職業実践専門課程では2分野までについてはそれぞれ2人ずつそろえるということで、大体専門分野の評価者というのは4人、2分野より増えると、その分野ごとにまた2人を足すという形で対処せざるを得ないということでございます。
これでお答えしましたか。
【米原専修学校教育振興室長】 では、私のほうから。3名とした理由についてなんですけれども、今、関口先生のほうから規模が大きい学校の話が出たんですが、小さい学校で言うと、それこそ80名も学生がいないような学校もあるというところです。一応ガイドライン等で示すのは最低基準、少なくともこのくらいはというところと考えると、1名に評価をお願いするというのはない、2名だけで評価をするというのもなかなかないなといったときに、どんな小規模校であったとしても最低3名はいていただかなければいけないのではないのかというところで、3名というのをお示ししているところでございます。
もちろん今、例にあったように、40学科もあるようなかなりの学科、規模の学生数がいるような学校については、それに応じた形の評価者の人数というのが必要になってくると思うところでございます。 【吉岡座長】 では、河原委員、お願いします。
【河原委員】 河原です。よろしくお願いいたします。
評価主体のところについてなんですけれども、2点ほど気になるところがあります。まず、ここに挙げられている要件のうち、丸2の「大学評価等の経験者」についてですが、大学評価の経験があるからといって専門学校の職業教育の実態や課題に精通しているとは限りません。そのため、妥当な評価を行えるのか懸念が残ると思います。
大学の認証評価では、大学改革支援・学位授与機構がピアレビュー、つまり他大学の教員、研究者を評価者として想定しており、日本高等教育評価機構も同様に、大学での経験が10年以上あることを基準に評価者の推薦を受け付けているようです。大学改革支援・学位授与機構では、仲間内評価にならないように、企業関係者や高等学校関係者なども評価者に加えていますが、それでも大学の教員、研究者が主な評価者として想定されています。
この枠組みを専門学校の第三者評価に置き換えた場合、丸1の「専修学校に見識を有する者」や、丸3の「当該学校・学科の分野に精通している者」は適切と思われますが、丸2の「大学評価等の経験者」については違和感を覚えます。
そしてまた、地方の専門学校や入学者が100人前後の小規模の専門学校の場合、丸2の「大学評価等の経験者」を手配するにはあまり縁がなく、現実的には難しいと思われます。一方、丸3の「当該学校・学科の分野に精通している者」であれば、例えば専門学校の教員のうち、学科設置、カリキュラム開発、資格実績や就職の実績の進捗管理に携わった経験のある役職者であれば任務を果たすことができると思います。この場合、必要な人数をコストを抑えながら確保できる可能性も高いと感じております。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。この大学評価等の経験者を入れたということについては、おっしゃるこの三つの要件があるんですけれども、この三つを全員入れなければならないということではなくて、“又は”でよく、例えば1と3の人だけですということも可能だと思っています。
ただ一方で、今回組織じゃなくて個人に評価をお願いする可能性があるとしたときに、かつ組織立って評価をお願いしなければいけないといったときに、大学評価とかそういう経験がない方ばかりが3人いたときに、誰がどう取りまとめるんだ、進行するんだという話もあります。そういう意味ですと、評価についての、評価機関というか、学校評価をしていく専門家の方というのは一定役割があるだろうとは思っているところでございます。
ですので、そういう意味では、組織にお願いする場合にはこういう要件の方は要らないのかもしれないんですけれども、個人の3人や5人にお願いしますというときに、仕切ってくれる人、リーダー的な方という意味でも期待をしているところで、こういう方を設定しているところでございます。 いずれも、これを全員満たさなければいけないということではないので、そこは学校の状況や、実際選ぶ方がどういう方なのかによってくると思いますので、そこは柔軟に御判断いただく話かと思ってございます。
【吉岡座長】 では、瀧本委員、いかがですか。
【瀧本委員】 瀧本です。前回から変わったところは、5年に1回ということで、これはすごくいいなと思います。なぜかというと、専門職大学と足並みをそろえるというか、教育内容を重点的に評価するという観点で、分野別評価と親和性が高いというところで、そこの枠組みが少し見えてくるのでいいかと思います。高等教育における実践的な職業教育に特化した枠組みというところから職実、専門職大学は始まっていると思いますので、そこを意識する評価をしていくことが大学とは異なる評価の在り方を考える点でも重要かと思います。
そこで私が少し気になるのは、職業教育の内容の評価というのを誰がどこでするのかというところです。今回見ておりますと、それを第三者評価で行おうとしているところがあるような気がしていて、それは現実的なのかと思っています。
といいますのは、前回のガイドラインでは、学校関係者評価のところで業界団体の方や職業の専門性を持った方に入っていただいて、そこで学校関係者評価の枠組みを活用していくということで職実にも義務化されていたということがあったと思います。今回それはなくされるということだったので、そこに少し齟齬を感じています。
といいますのも、例えば本学でも社会福祉士の養成をしていますけれども、社会福祉士の養成の実習先の関係者の方に一緒になって会議に入っていただいて、どう養成していこうかというようなことを話す機会があります。そういった場では、第三者というよりは一緒に教育を担っていくパートナーのような感じで業界の方に入っていただいているので、こちらとしても実質的な教育の質保証にすごくつながっているなと思うわけです。
そうしますと、第三者評価的な立場で業界の人から見られるよりも、第三者評価のところはすごく限定した形で設定して、学校関係者とか、それがなくなってしまうということで発言しづらいんですけれども、学校関係者評価のところで職業教育の実質的な評価をしてもらうほうがいいのではないかと思います。
といいますのも、関口先生がお出しいただいた今日の資料の、やはりこの項目が出てくるとそこにぐっと見入ってしまうわけなんですけれども、教員のところとかは教育の質というところでもすごく大切です。こちらの項目はいろいろ考えて御検討いただけたとか思うんですけれども、やはり教育課程を実施するのに必要な資格要件というのはその判断がすごく難しいと思うんです。そこを高望みするというか、たくさんの高度な基準をつけないのかつけるのか、ということは教育の質に直結するという場面も、部分もあると思うんですが、学校教育法や専修学校設置基準との乖離がすごくあると思うわけです。法律や制度の立てつけを超えて評価項目がすごく厳しいというのは、何かすごく変な感じがします。
なので、こういう第三者評価というところを減らして、関係者評価みたいなところを大きくすることで、より学校自体が自主的に自分たちの職業教育の内実に沿った形で評価できるような制度にするほうがいいのではないかと思います。意見です。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
ではもう一度、河原委員、どうぞ。
【河原委員】 度々すみません。学修成果というのは大分広い概念だと思うんですけれども、学修成果といっても職業分野によって成果と言えるものが多様になります。資格合格率や就職率、さらには関連分野就職率という見方を導入しても、職業分野の多様性を網羅できないと思います。
例えば、文化教養課程の学科に漫画学科というものがありますが、この分野は資格が取れれば、あるいは専門学校で漫画家になるための技術を習得すれば、誰もがプロの漫画家になれるということではありません。市場から選ばれることが必要です。そういったところが看護師などの、資格、就職、仕事が密接に接続した分野とは同じように扱えない点だと思います。
プロの漫画家になる過程では、専門学校で漫画執筆の技術を身につけ、卒業とともにプロの漫画家のアシスタントになる。あるいは、一旦普通の企業で仕事をしながら出版社に漫画を投稿し続け、漫画誌の編集者の目に留まるのを待つといった進路が珍しくありません。そうすると、資格合格率、就職率、関連分野就職率といった指標では簡単に学修成果をはかることができないと思います。
第三者評価があらゆる職業分野の学科を網羅するというのであれば、学修成果の評価指標を職業分野の多様性に応じて緩やかにしておかないと、学科によっては全然就職できない学科という評価になりかねないということもありますので、かえって専門学校の多様性を阻害してしまう恐れがあると思います。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
では、吉本委員、お願いします。
【吉本委員】 基本的に今回の進め方が難しくなっているのは、文科省はもともと学校評価の見直しについて、典型的には資料1ですけれども、外部の識見を有する者による評価の努力義務化というのを入れないと困るという、ここに最初尽きているはずなんですね。ところが、今、そのためには項目が要るから、職業教育評価機構の専門的なかなり精緻に細かく書いてあるものを利用して、一緒に議論しているから複雑になっているのです。少なくとも、第三者評価者という外部の識見を有する者という重要な議論が飛んでしまっているんです。この評価者3人ぐらいで第三者評価を担ってもらう、つまり評価機関も少ない、学校は多い、規模が小さい、この条件を満たすための方法論を今考えているはずなんだけれども、だんだんどこかずれている気がしました。
なので、まずは単純に言うと、この基準、項目、こういうようなものは第三者評価者3人がこれを全部やろうとするととてもじゃない。もちろん職業教育評価機構がやるならそれは当然できる。つまり職業教育評価機構がやることと、3人の「外部の識見を有する人」がやることを一緒に議論しているところの議論が混乱しているように思います。
基本的には皆さんが言ったような形で、例えば河原委員が言ったように、私は常に学修成果というのは資格だけではないという話をしていて、丸3として「知識」、「技能」、「態度」、「応用」の目標とその達成度の把握について、これを抽象的ながら表現する、そこに向かっているということを説明する。こういう自己点検評価に対して、外部の識見を持つ人が、なるほど、理解できましたとか、いや、理解できませんとか、こういう判断をするぐらいのものにしないといけないと思います。学修成果の「1」については丸3、丸1、丸2の順に書いておかなければいけないし、そうなんですけれども、いずれにしても議論を、この第三者というところに外部評価者、第三者評価者に焦点を当てたいと思います。
そういう焦点を当てたときには、では、どこからそういうのを持ってくるかというと、専門学校の、特に職業実践専門課程には学校関係者評価をやっている外部者、それから、教育課程編成委員会に入っている外部者、こういう人たちをどこかでまとめて登録をしてもらう。そこは職業教育評価機構でやっていただいていいと思うんです。それで、短大などで工夫して作っているALO、認証評価リエゾン・オフィサーがあります。各校の第三者評価に向けての総括的な連絡責任者ですが、専門学校でも、こういう役職を各学校がつくっておけば、その人たちが中心になって、よその学校の評価にも関わることができるはずなんです。そういう議論を少ししてほしいなと思います。
【吉岡座長】 分かりました。
では、岡部委員。
【岡部委員】 ありがとうございました。多分ここの中で一番門外漢なので、最後まで待っていようと思っていたら、いつの間にか意見の話になってしまって、すみません、その前に質問させてください。
今、吉本先生にお話しいただいたおかげで、議論がどういうふうに進む方向なのかがある程度分かってきて、非常に安心いたしました。私自身も一応大学に所属している人間として、自己点検の部分と第三者評価の部分というのと、その峻別というのをどうやっていくかというところは最初に明らかになっていたほうがいいと思うので、そちらはぜひよろしくお願いしたいと思います。
私がぜひ関口先生にもっと説明いただきたいなと思っていた部分が、先生が課題性が非常に高いとおっしゃっていた教員の質をどう評価するかというお話です。ここはまさに私は全く門外漢なので教えていただきたいんですけれども、一般的な古い認定要件をどういうふうに現代に合わせて改善していくかという部分と、あと普通の大学ではなくて、要するに職業訓練の目的を持つという学校の性質に照らした形での特性としての課題というのと2種類あると思うんですけれども、それぞれどんなところで一般的な課題として皆さん専門家の方に情報が共有され、知見が共有されているのかというところを教えていただきたいなと思いました。
【関口職業教育評価機構副理事長】 先ほど教員のところで申し上げたんですけれども、教員についての職業実践専門課程の認定要件が、研修を組織立ってやっている、しかもそれは企業と連携してという、この規定そのものは、レベルというか範囲が教員に関してはすごく下位にあるものが、ほかの教育課程編成とか企業との実習と同じような認定要件として出ているということが問題ではないかということなんです。
これについて、私の職業実践専門課程の認定要件について、文科省の当時の室長さんと私の全専学連の立場でいろいろやり取りをして、根本的にそのときに文部科学省さんと一緒に取り組んだのは、職業教育の教員の定義なんです。職業教育の教員はこうあるべきだと、その中も幾つかあるかもしれませんが、そこで実質的に言えば卓越性を持った実務家教育というものを定義できるのかという問題で紛糾したということです。
そして、その定義に基づいてそういう人材というのを分野ごとにまず配置を考えて、そして、配置の中で適切な人がいなければ採用するか育成するしかないのではないかという話になります。そういう基本的なマネジメント過程と、それから育成ということに着目すると、いろいろな手だてがあるけれども、その中でやはり教員研修は非常に重要だという話に次になってくるわけです。そういう教員の全体のマネジメントの構造性を持ったところで認定要件をするべきではないかということを申し上げたかったということです。
【岡部委員】 ありがとうございます。
【吉岡座長】 では、野田委員、お願いします。
【野田委員】 ありがとうございます。野田と申します。御質問ですが、基準4の学修成果は非常に重要な項目ということで、皆様から御指摘いただいているところだと思うのですが、こちらの指標で挙げていただいている内容が、学修成果の目標を設定しているかどうか、周知しているかどうか、アセスメント方法を開発しているかどうか、ということが中心で、具体的に学修成果が上がっているかどうかは問うていないような印象なのですが、この点についてどうお考えかということです。
あとは、基準の最初のところです。基準1で教育理念、目的、目標で、学校全体の目標と、それをまたブレークダウンして学科ごとの、いわゆる大学で言う学部のディプロマポリシー、カリキュラムポリシーというのを作って、それに沿って学修成果が出ていますかという一連の流れ、動線を見ますと、実際に評価の作業をするときに、この基準4と同じことを言っているように見えるのですが、こっちの項目にもあったりあっちの項目にもあったりと反復しているように見えます。実際に根拠資料に基づき作文を一個一個書いていく作業になり、評価委員もそれを一つ一つ照らし合わせて確認する作業になりますと、やはりその動線をいかに短くするかというところが、つまり評価負担をお互いいかにシンプルにして、動線を短くして、同じことをやらない、ここで一発で確認するというスリム化が必要かと思います。 例えば基準1の丸2は基準4の学修成果の学科ごとでどういう目標を定めていますか、それを周知していますかというところに結局結びつくので、そういう反復している、重複しそうなところをなるべく一括化して、凝縮化しないと、これだけの学校数で限られた評価人員で第三者評価をやろうとしますと、とても疲弊してしまいます。本当に重要なところだけ、学修成果と内部質保証と教育課程、認定課程など厳選した上で、どうしてもこれは入れなければいけないというところに絞ったほうがよいのかと思いました。意見になってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
【吉岡座長】 ありがとうございます。オンラインで参加されている堀委員、吉田委員、小木曽委員、何か御意見ありますでしょうか。
【小木曽委員】 では、小木曽、発言させてください。
【吉岡座長】 どうぞ。
【小木曽委員】 私は経済団体に所属をしているので、経済団体でよく第三者評価とかそういうものが問われる場面に遭遇することがいろいろあり、また、企業として第三者評価を受ける場合があるという立場から、特に事務局のほうにお考えをお聞かせ願えればと思うことがあります。
外部というところで、私はステークホルダーとして気になっているのが、当然この教育機関を利用する方、利用者の方、それから保護者の方、あと最近、総理の話を聞いていると、地方創生と大学とかいろいろな教育機関との連携ということが言われているので、地方から見たときの評価軸みたいな話、それから経済界から見た評価軸、質の高い教育になっているかどうかというところを、この評価基準の中でそういったものがどのようにすくい取れるのかということを教えてください。
第三者評価の議論をする過程の中で、必要なステークホルダーに意見を聞くとか、そういう機会についてどういう担保がなされるのかというところもお聞きしたいです。今までの議論の中で大分やり取りがされていたところと一部重なってしまう部分があることは御容赦ください。念のためそこを、そもそも論のところでお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。地方創生や、企業の方々の御意見をどう入れていくのかという話だと理解をしておりますけれども。必ずしも評価の文脈だけでそれを実施していくべきものではないと思っています。当然評価者としてそういう方に入っていただいて、そういう視点を含めてしっかりと評価していただくというやり方もあると思いますし、例えば職業実践専門課程の認定を受けている場合には、当然企業の方に入っていただいてカリキュラムを作ったりとか、研修だったりとか、そういったところで加わっていただいて、実際にカリキュラムに反映していくということもありますので。学校の活動や外部が支える活動、場面というのはいろいろあると思うんですけれども、そういったところを様々な接点を通じて企業の方、地域の視点というものを入れていくと思っているところです。
そういう意味では、評価で地域の視点を入れる場合であればやはり人選のところでそういう視点が入ってくると思いますし、この評価の指標や項目は学校ごとに考えていくので、それは東京の都会の学校と地方の学校ではまたその指標だったりとか項目だったりが変わってくるところもあると思います。
ただ、今回のガイドラインで示すということになってくると、そこはある程度一律のところになってくるので、そういう視点がなかなか見えにくくなってくるんですけれども、そこはアレンジの問題であろうと思うところでございます。
【小木曽委員】 御丁寧にありがとうございました。今回の発言質問の趣旨は、要するに関係者として支えていくということがどう経済界として貢献できるかという立場でお聞きしました。よろしくお願いいたします。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。では、植上委員、お願いします。
【植上委員】 植上です。コメントと、あと質問をと思います。
まず、今回提案していただいた案について、私はすごく賛成していまして、特に第三者評価もそうなんですけれども、自己点検の評価の重要性を非常にアピールされている部分があるのではないかと思いました。特に関口先生のところで、学校評価が職業教育のマネジメントが有効に機能しているかを確認するための手段というような打ち出し方は、専門学校の評価を考えていく上で非常に重要なポイントなのではないかと改めて思っています。
そうなったときに、自己点検評価をきっちりと機能させていくということがより重要になってくるんだろうなと思いますし、また自己点検評価を中心とするような内部質保証の人材の育成とか確保も同時に課題になってくるのではないかと考えています。
その点に関して、例えば全専各やTCE財団、全専研などがこの間、内部質保証人材の育成プログラムの開発や、実施などもされていますので、その辺りの経験なども非常に大事な資源になるかと思っています。また、やはり現場にどういった人材がいるのかという調査をかけながら、自己点検評価の充実ということも一方で議論していく課題なのかと改めて感じました。
あと、細かい点の質問になるんですけれども、第三者評価を求める対象について、6ページ、この辺りはまた今後の議論になるのかと思っているんですが、今回の参考では高度専門士、外国人留学生キャリア形成促進プログラム、また、職業実践専門課程というような形で書かれているんですけれども、どういう順番でされていくような心積もりなのかというのをお聞きしたいなと思っています。
1点懸念しているのは、外国人留学生キャリア形成促進プログラムは令和5年に始まったばかりの制度なので、現場に対してひょっとしたら混乱もないかというのは懸念しているので、その辺りの感触などを伺えればなと思って質問させていただきました。よろしくお願いします。
【米原専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。順番というところで、ここはまだまだ我々の中で考えているレベルということでお聞きいただければと思うんですけれども。やはり職業実践専門課程、できればこの制度で一斉にやりたいというところはあるんですけれども、いわゆる職業実践専門課程のボリュームがかなり多く、約2,600校中の1,110校、専門課程の40%ぐらいでございますので、それをいきなりやってくださいとするとなかなかしんどいだろうと思います。そこは5年を第1クールと考えると、第2クールぐらいからなのかと思ってはいるんですけれども、その点はまた団体のほうのお考えもあったりすると思うので、調整していきたいと思います。
外国人留学生キャリア形成促進プログラムは去年から始まった制度ということで、御指摘の点は非常によく分かるところもございます。ただ、評価は5年間でということになってくるので、令和8年4月1日施行からの5年間なので、そういう意味でまだ6年、7年ぐらいの間にやっていただくということになるとは思いますので、準備等もできる状況なのかと思いますし。文科省としても評価をしっかり実施していくための支援はどういう支援ができるのか、なかなか悩ましいところはあるんですけれども、何か評価を実施するための後押しみたいなものを検証含めて考えていきたいと思っております。そういうことで何とか円滑に評価の導入をしていきたいと思っております。
【関口職業教育評価機構副理事長】 お答えしたいんですけれども、よろしいですか。
【吉岡座長】 はい、ではどうぞ。
【関口職業教育評価機構副理事長】 評価者評価を許容するのかという話についてはまだ議論がされていないかと思うんです。第三者評価機関としては職業教育評価機構、専門職高等教育質保証機構等の機関しかなく、努力義務化もしくは義務化の対象の範囲が大きいから対応できないのではとか、規模の小さい学校は事務負担や評価費用などの点から受審できない等々の理由もあって、評価者評価ということでどうだろうかという話ですよね。 これにはいくつか整理し、対処を考えるべき課題があります。
例えば文科省の資料の評価のイメージ例の自己評価というものと、私どものような専門の評価機関が指定した自己評価項目は、結果的に一緒であっても性質が違うものです。これに基づいて出してくださいというわけですから、それを評価するというのが第三者評価の言わば基本的な方式であります。
そうすると、自己点検評価結果の持つ意味合いが、この場合はいわゆる自己点検評価は義務化ですよという話の自己評価補結果になっているんですけれども、第三者評価の本来の在り方は、第三者評価機関が指定した自己点検評価項目に沿って出してもらったものを評価しますという構造ですから、そこのところは誤解がないようにしなければいけないとか。
それから、「評価者を組織立って」と言ったときには、お話も出ましたけれども、研修が必要です。研修は3種類必要で、評価者の人たちの研修が必要ですし、それを取りまとめて学校と連携をしていくリーダーの研修が一つ必要です。それから、学校側で評価の手順だとか組立てだとか評価者の選定だとか連絡だとかをする、マネジメントをする人の仕事というものもある種専門的なので、この対象の研修を含め、3種類の研修が必要となります。 この場合、第三者評価機関が既に評価者のストックを持っていること、また、全専学連の財団のほうでは内部質保証人材の育成研修をしていることに注目しておく日宇用があります。総じて評価者評価というものが世の中にも信頼されるような形というのをつくっていくことに協力することについてはやぶさかではないんですけれども、もう少しその辺はここでの評価者評価についてのコンセンサスを得る議論が要るのではないかと思いました。
【吉岡座長】 ありがとうございます。そろそろ時間なんですけれども、私は今の御意見を伺っていて、一つは大学での認証評価の考え方とかシステムと、ここで今これから議論していくこととはかなり重なるところがあるんですが、かなり違うところもあると思っています。大学の認証評価というのはまず評価団体自身が認証されているというので、評価団体の評価というのがそれ以前にある形になっている。これも最近問題になっているところではありますけれども、認証評価団体というのが認証されている、その評価団体が評価するという形を採っている。しかも、基本的にはそれが機関別の評価になっているわけです。
大学の場合、どういうことかというと、それぞれの学部にいろいろな問題があったりするということがあったにしても、それを大学がきちんと統括できているかどうかという視点がかなり重要なわけです。だから、そういう意味では、要するに大学という名を掲げている以上、組織として統括性を持っているかということの評価がある。したがって、その評価というのは、例えば私学であれば建学の精神があり、それを基にしてどういう人材をつくるかということが問題になり、それに3ポリシーがあって、それにカリキュラムとか、場合によっては課外活動や何かも含めて、それがちゃんとまとまっているかを見ていくという構造だと思います。
そのことが教育の質を上げるという考え方なんですが、専門学校、専修学校の場合は、同じく質を上げると言っても、組織としての全体統括性というのが大学の場合のような形では重視されないのではないか。つまりそれぞれの課程がどういうふうに人を育てていけるかという、それを育てていくためのカリキュラムが整っていて、人が整っているかということであり、そこで学んだ学生が、最終的にはどこに就職できるかとかは別にして、そこの基礎的な力を得るだけのカリキュラムができているかということをきちんと見ていこうということだと思うんです。
したがって、まず認証評価団体のようなものを外につくるという話とは少し違っていて、現にある専門学校で行っている教育を、まずは自分たちで、今、言ったように、自分たちはこういう人材をつくろうとしている、そのためにこういうことやろうとしているということの、本来自分たちの中でシステムをつくって、そこの自己点検をやる。ただ、それだけでは身内だけの話になってしまうので、それをやはりもう一度外側からチェックするという仕組みをつくろうと。それをどうやってつくるかという。これは難しい話なんですけれども、発想の仕方と現状との関係は違っているのかと思います。
もう1点、これは細かい点なんですけれども、先ほど学校関係者評価と第三者評価の関係ですが、多分ここで文科省が第三者評価と言っているのは、特に専修学校について言っているのは、ほとんど外部評価と近くて、要するに自分の中の学内での点検だけではなくて、ほかの学校であるとか、場合によっては企業であるとか、地元の企業や何かというのも含めてですけれども、そういう外側の人を入れるというぐらいの意味、取りあえずはということで第三者評価と言って、この第三者というのは自分たちの組織の中ではないというぐらいの意味合いが強いのかと思って聞いていました。そういう意味では、学校関係者評価はその中に包摂される可能性があるということなのかと思いました。
ただ、今いろいろな御意見を伺っていて、評価をどうするかという非常に難しい問題にもやはり関わっていて、大学の評価は今言ったように機関別評価が中心で組み立てられているんですけれども、それ以降、実際問題としては分野別の必要性が非常に大きな課題になってきているわけです。つまり、学部とかが世界的に通用するためには、世界的な認証評価機関の認証評価を得ていなければ通用しないので、そういう分野別評価をどう組み込むかというのは次のステップの問題なわけです。 専修学校の場合は、むしろ分野をどう考えていくかということが非常に重要だということで、これは前回、前田委員がおっしゃっていたんでしたか、要するに両方の間を、両方を複合したような形の評価システムを考えなければいけないとどなたかが発言されていたように思いますけれども、そういう意味で少し仕組みの考え方が違っているのかと思いました。
そういう意味ではいろいろ、今日の話だと統括した仕組みを考えていく、そのための、何のためにやるのかというのが多分一番重要な議論かと思いました。
よろしいでしょうか。どうぞ。 【福本委員】 東京都の福本でございます。所轄庁の観点から2点お願いがございます。
1点目は、学校関係者評価がある意味、発展的解消という形で外部の識見を有する方の評価という形になったのだということは非常に得心いたしました。教育の質の保証・向上ということで、瀧本委員がおっしゃったように、学校関係者評価の有効性というのも非常に大事なのかと思っていますけれども。専修学校はやはり保護者とか、それから地域という観点も非常に大きな役割があるかと思いますので、なかなかの利害関係を持つ方に近しくはなるんですけれども、自己点検評価に位置づけてしっかり再編されるのか、第三者評価の中に位置づけていただくのか、議論から消えてしまうような危惧がありまして、また再考いただけるとありがたいなと思っております。
それから、2点目は第三者評価ということで、こちらの部分は機関による評価にはならないということは十分承知しておるんですけれども、場合によって第三者の方が非常に近しい方になってしまって、身内の中でと言いますと語弊があるんですけれども、第三者評価をどうやって質を上げていくかというのも、今はもう時間もありませんので委員に第三者の方の集まりでというのも仕方ない部分があると思うんですけれども、この評価をどうやって向上していくか。
どうも伺っておりますと、これが職実とか、あるいは外国人留学生キャリア形成プログラム、あるいは高度専門士の課程認定に活用されていくというお話です。ひょっとしたら高等教育の無償化のほうにも連動していくのかもしれませんけれども。前回の協力者会議で、上野高校校長の吉田委員がおっしゃっていました、学生あるいは生徒、保護者が学校選びをする際の大事な指標になるということもありますので、そういった観点からも第三者評価の質が上がっていくような何かの仕組みも、この制度導入下で仕掛けていただけるとありがたいなというのはございます。
【吉岡座長】 ありがとうございました。非常に重要な点だと思います。
吉田先生、どうぞ。
【吉田委員】 オンラインで参加しております上野高等学校長の吉田でございます。活発な御意見を伺いながら、なるほどと思っておりました。第三者評価を学校に入れることによって、教職員も外向きの目を意識しまして、そのような学校での教育活動が行われることは想定されます。基準3の学生の受入れ、学生支援の項目については、本当に今後考えていきたいと思っております。以上です。
【吉岡座長】 ありがとうございます。
前田委員、そろそろ時間を過ぎていますので、手短にお願いします。
【前田委員】 前田です。重々承知しているんですけれども、私は今回の資料を頂いたときに、学校関係者評価がないと思って探したんです。前回の第三者評価の仕組み自体はこれでいいと思うんですけれども、これと今日お示しいただいた基準例との差が非常に大きくて、これはちょっとつながらないぞと思っておりまして、さっき瀧本委員のおっしゃった意見に近いんですけれども、やはり学校側に立って構わないので、これだけのことがちゃんとできているかというのを、学校関係者の目が入ることによって、割と大ざっぱなと言うと変ですけれども、第三者評価が有効に機能するということになり、やはりいきなり第三者評価に移行していくのはできないのではないかというのは非常に不安に思っておりますので、そのことだけどうしても申し上げたかったです。すみません。失礼いたしました。
【吉岡座長】 ありがとうございます。大学の認証評価も基本的にはピアレビューなのです。幾つか団体がありますが、基本的には大学同士が自分たちの質を上げようという視点なので、そういう意味では、この場合もやはりその点は非常に重要で、いわゆる外側のステークホルダーの意見をどうやって取り入れるかということだけの議論になると大体教育はうまくいかなくなるような気がするので、その辺は非常に重要なことだろうと思います。
それからもう1点は、これは大学でもいつも課題になることで、せっかくやっても公表しないというか、それが見る人に届かないということがあるので、やはり公表のシステムのことを常に念頭に置いて、分かりやすい評価システムをつくらないと機能しないだろうと思います。だから、それは最初から念頭に置いて、どういう形でやるかということが、分かりやすいもので誰でもアクセスできるような結果を出せるようにということは重要だろうと思います。
すみません。終わりと言いながらしゃべっておりますが。ということで、ほかに何か、今日のところはよろしいでしょうか。何か時間内で発言できなかったとか、後でこのことも重要だということがあった場合には、事務局にメール等で御連絡いただければ、反映させるなり、次回以降の議論にのせていきたいと思います。
【市原委員】 一言だけいいですか。
【吉岡座長】 はい、市原委員、どうぞ。
【市原委員】 市原です。一番重要なのは、やはり今言われたような学校関係者評価がどう生かされるか、どう成果につながっていくか、これが一番大事なことだと思うので。この学校関係者評価をどう生かしたか、その評価をすることが一番大事じゃないかと私は感じております。
【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、事務局もその点を考えに入れていただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から何かございますでしょうか。
【塩屋専修学校教育振興室室長補佐】 最後、事務局からでございます。
次回の本会議の開催日の御連絡でございます。次回、34回目の本会議につきましては、3月18日火曜日、朝10時半より文部科学省のほうで開催をさせていただきたいと思ってございます。
事務局からは以上です。
【吉岡座長】 ありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室