専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第26回) 議事録

1.日時

令和4年9月29日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 意見交換
  2. 大学設置基準等の改正を受けた専修学校設置基準の在り方
  3. 今後のスケジュール

4.出席者

委員

植上 一希  福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
大谷 武士  全国中小企業団体中央会労働政策部長
多 忠貴   学校法人電子学園理事長
河原 成紀  学校法人河原学園理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐藤 由利子 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース准教授
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授
冨田 伸一郎 株式会社ウチダ人材開発センタ代表取締役社長
野田 文香  独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部准教授
長谷川 知子 静岡県スポーツ・文化観光部総合教育局私学振興課指導班主査
前田 早苗  千葉大学名誉教授
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

藤江 陽子  総合教育政策局長
里見 朋香  大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
神山 弘   生涯学習推進課長
中安 史明  専修学校教育振興室長
船木 茂人  専修学校教育振興室室長補佐
木俣 佳鷹  専修学校教育振興室専修学校第一係長

5.議事録

【神山生涯学習推進課長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催したいと思います。
 私、生涯学習推進課長の神山でございます。
 本日は御多忙の中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 委員の御紹介に関しましては、資料1にございますので、資料1の配付をもって代えさせていただきたいと思っております。
 なお、本日の欠席者でございますけれども、大谷委員におかれましては本日御欠席となってございます。
 次に、本会議の座長に関してでございますけれども、文部科学省からの指名により、座長は吉岡委員にお願いして、お引き受けいただいてございます。以後の議事進行は吉岡座長にお願いしたいと思います。
 それでは、お願いいたします。

【吉岡座長】  今、座長を指名されました吉岡です。
 まず、本会議の公開についてお諮りいたします。事務局から説明をお願いいたします。

【中安専修学校教育振興室長】  資料2の案を御覧ください。本会議は原則として公開し、配付資料及び議事録も公表することとしてはどうかと考えております。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 本会議の公開について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、御異議ないようですので、資料2のとおり、原則公開ということで進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、初めに私から御挨拶させていただきます。改めまして、座長を務めさせていただきます、日本学生支援機構の吉岡です。この会議には昨年2月の第20回からメンバーに加えていただいております。恐らく、当時、中教審の大学分科会の質保証システム部会で座長をしていたことから座長を指名されたと考えております。私、専修学校につきましては、我が国の高等教育の多様性を担保する重要な機関だと考えております。専修学校で行われている教育分野はもちろんですけれども、学生の構成、それから教員の方たち、また地域との結びつきも大変多種多様です。近年、リカレント教育の充実、あるいは地方・地域の高等教育の活性化等が課題となっておりますけれども、専修学校はその重要な要の一つだと思います。また、学生のキャリア形成という点、キャリア形成のステップにおいても大変大きな役割を果たしています。以前勤めていた大学でも、ダブルスクールのような形で専門学校に通ったり、休学や留年をして資格を目指したり、あるいは大学卒業後に技能を身につけるために専門学校に入り直す学生もたくさんおりました。この会議は専修学校の質の保証・向上を議論しておりますけれども、学修者本位の教育という視点からすれば、質保証というときの質は、何よりも教育の質、学修者の学びの質であり、質の保証・向上は、一人一人の能力を引き出し、可能性を広げるものでなければならないと思います。質保証のための枠組みが専修学校の多様性を阻害したり活動に枠をはめたりすることにならないように心していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に藤江総合教育政策局長より御挨拶いただきます。藤江局長、お願いいたします。

【藤江総合教育政策局長】  ありがとうございます。皆さん、こんにちは。総合教育政策局長をしております藤江と申します。委員の皆様方におかれましては、課長からも申し上げましたけれども、大変御多忙の中、この会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。この会議の開催は、これまで25回を重ねてきたということで、今回から新たに6名の委員の方に御参加いただいております。
 これまでの経緯を改めて簡単に御説明いたしますと、令和2年度から3年度にかけては、本会議におきまして、職業実践専門課程の充実方策についてということで御議論いただきまして、昨年度末に、今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けてというものを取りまとめていただいたところでございます。今後とも、人口減少ですとか、あるいは技術革新の進展の中にあって、専修学校教育の人材養成機能の充実を図るためには、各学校で創意工夫を凝らした質の高い教育が提供されることが大切であるというのは、吉岡座長にも御指摘いただいたとおりでございます。そのためには、企業等との連携により教育の質の向上を進める職業実践専門課程の認定制度のさらなる充実を図り、専修学校の特徴を最大限生かしながら教育の質を確保していくこととしているところです。この職業実践専門課程につきましては、令和4年度より、この課程を支援する都道府県に対する特別交付税が措置されているところでございまして、現在では24都県において支援をいただいております。文部科学省といたしましても、引き続き制度面での充実を進めていきたいと考えております。令和4年度からのこの会議では、さきの取りまとめにおいて課題とされました職業実践専門課程のフォローアップの見直しということに加えまして、専修学校設置基準の在り方ですとか留学生の卒業後の定着促進など、様々な課題について御議論いただいてはどうかと考えておりますので、委員の先生方におかれましては忌憚のない御意見を賜りますようお願いいたしまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  藤江局長、どうもありがとうございました。
 引き続き、里見大臣官房審議官から御挨拶をお願いいたします。

【里見審議官】  ただいま御紹介いただきました、総合教育政策局担当審議官の里見でございます。私も総政局に戻ってまいりまして、専修学校の重要性を改めて感じているところでございます。皆様方と一緒に考えさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に移りたいと思います。本日、初回ですので、前回までの会議の検討状況を把握し、今回の1年半の会議で何を議論すべきかという、そのことを中心に自由に意見交換していただければと考えております。また、新しいメンバーもいらっしゃることを踏まえ、全ての委員の方から、自己紹介も交えながら、取り上げるべき議題や御関心などについて御発言いただければと考えております。議論の呼び水とするために、事務局からこれまでの経緯等の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【中安専修学校教育振興室長】  失礼いたします。専修学校教育振興室の中安と申します。
 資料としましては、お手元、机上配付で「専修学校の現状と課題」と書かせていただいておりますものと、資料3、この2つを中心に、あとは参考資料で御説明させていただければと思います。
 まず、机上配付資料とさせていただいております、「専修学校の現状と課題」という青い色味のペーパーを御覧いただけますでしょうか。
 こちらですけれども、皆様にとっては御案内のことだと思いますが、改めまして、専修学校、社会の変化に即応した実践的な職業教育機関であると。18歳人口は減少を続けておりますけれども、専門学校に通う学生数自体はそんなに減っておりません。留学生を獲得されて、人手不足の分野に人材を輩出いただいているということだと考えておりまして、高等教育機関に留学する留学生の約4割が専門学校に行っていると、そういう状況でございます。
 制度的特徴としましては、藤江局長からお話のあった職業実践専門課程を典型に、学校と地域産業が連携したカリキュラムを組んでいただいておりまして、各種国家資格の指定養成施設となっているということでございます。
 当面の主な課題としまして、まさにこの会議で議論いただきたいと考えておりますのが、専修学校教育の質の保証と向上というところになってくると思ってございます。認定率は約4割でございまして、特別交付税措置が今始まったところというところでございます。
 この他の話題として、修学支援新制度の話題でございます。主に中間層への拡大、多子世帯とか理系支援ということがありますけれども、こちらは実は吉岡先生にも御参加いただいている別の会議の場で議論されていくということになっておりますので、重要なトピックであるんですけれども、この会議のトピックとはなっていないということについて御説明させていただきます。
 また、便宜上、その他と書かせていただいていますけれども、リカレント教育とか留学生の受入れ、こういったことについて、特に留学生の受入れについては教育未来創造会議でも議論になっているところでございますけれども、こちらの会議でもファクトの整理あるいは提案ということについては御言及いただければありがたいなと考えている次第でございます。
 資料3のほうに移っていただきますと、本会議のアジェンダ、テーマ案でございます。
 令和2年から令和3年の取りまとめでは、職実の充実、また各学校に行っていただいているフォローアップの見直し等というところを御提言いただきました。
 その際、「今後の課題」とされたものについて、経営基盤の強化、遠隔授業の在り方等々、7つほど掲げていただいていたという状況がございます。
 そうした状況を踏まえまして、今回の有識者会議の検討議題ということで、以下でどうかということを例として掲げさせていただいております。
 1つ目が設置基準、専門学校の設置基準、専修学校の設置基準の見直しでございます。こちらについては後ほど別のトピックとして詳細を御説明させていただきます。
 それから、2つ目が留学生の卒業後の定着促進でございます。こちら、映写しますけれども、参考資料の37ページを御覧ください。これは留学生の推移でございますけれども、2020年のところまで、一番右端を見ていただきますと、大学の学部等に留学されている方が8万3,077人と。それに続いて多いのが、専門学校ということで7万9,598人。その他、日本語教育機関が6万人強、大学院が5万3,000人という状況でございまして、専門学校のポーションが多いということになってございます。
 それから、38ページを御覧いただければと思います。専門学校の中では11.6%が留学生ということになってございます。
 39ページを御覧ください。こちらは卒業生のうち日本に定着している方の割合ということですけれども、日本での就職を希望する専門学校の留学生のうち、約3割が日本で就職できていないという状況があり、こちらは大学に比べてギャップが大きいという状況がございます。原因は何か、制度的なものの検討の余地がないかというようなことについて御議論いただくということかと思っております。
 それから、40ページを御覧ください。近年の留学生の特徴ということでございます。非日本語圏が増加しているということでございまして、このことの影響や対応ということについても御議論を賜れればと考えてございます。
 それから、続きまして、資料3で申しますと高度専門士制度の改善というところでございますけれども、参考資料で申し上げますと42ページを御覧いただければと思います。高度専門士は、下半分に要件、左の枠囲いに書いていますけれども、修業年限が4年以上あるいは124単位ということで、教員要件などは異なるんですけれども、教育内容に係る形式的な部分については大学等と同じになっているということでございます。
 その次のページを御覧ください。この4年課程が今どういう推移になってきたかということでありますけれども、91年からの統計でございますが、2011年ぐらいまでは大分増えてきていたんですけれども、それぐらいで頭打ちになってきているという状況で、大分成熟してきているという状況があろうかと思います。
 その次のページを御覧ください。こちらは、教員養成課程、養成施設における教員養成の事例でありますけれども、このあはきの例で申しますと、国家資格の受験資格のために3年出て、その後、教員になるために2年の勉強をされているということで、都合、合計すると5年なんですけれども、このような場合は通算することができないので高度専門士にはなれないというような状況があるんですけれども、そういったところについて改善の余地があるものかどうかということ等についても御議論を賜れればと思っています。
 それから、46ページをお願いできますでしょうか。こちらからは国際通用性の話でありまして、東京規約ですとか世界規約というものが結ばれてきている中、高度専門士中心に、国際通用性についても少し議論の余地があるのではないかということを考えておりまして、様々な知見を賜れればと考えてございます。
 その他、資料3のほうにまた戻っていただきますと、職業教育分野分類の検討、こちらは評価の観点等から東専各等中心に御論議いただいているところだと思いますけれども、そういったことについても議論を深めていただいてはどうかと思っております。
 私からは以上になります。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、この後、意見交換に移りたいと思いますが、まず今、事務局から、これまでの総括と今後の展望のようなお話がありましたけれども、いわゆる質問があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、これからの意見交換の中で、何か御質問等あれば、そのときに質問も混ぜてお話しいただければと思います。それでは、まず、どなたからでも結構ですので、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。では、すみません、植上先生がまず最初かと思います。

【植上委員】  自己紹介がてらということでいいんですよね。

【吉岡座長】  では、植上先生、よろしくお願いいたします。

【植上委員】  福岡大学の植上です。改めまして、植上です。よろしくお願いします。
 今回、文科省のほうでつくっていただいた議案並びに課題の整理、総論として賛成に思っています。特に課題について、やはり職業実践専門課程を基軸にしながら、専門学校の質保証、そして向上を推進していくことの重要性、今後高まっていくのではないかなと考えています。最近ではデジタル社会化が本当に進んでいく中で、業界、そして企業との連携の中で必要な人材、そして、それに基づく実践的な教育というものを更新していく際に、職業実践専門課程の仕組みというものが高等教育の新たなモデルみたいな形で輝いていくのではないかなと1つ思っている次第です。
 また、先ほど室長のほうからも紹介いただいた留学生の問題というのが、コロナ禍を契機として、やはり非常に重要になってくるのがあるんじゃないかなと考えています。私も最近、いろいろな外国人留学生の専門学校の方々の話を聞いているんですけれども、やはり外国人留学生の方々、そしてまた専門学校の方々向けの教育のプログラムの在り方とか、そしてまた教員の在り方ということも今後議論していく必要があるのではないかなと強く考えている次第です。後の議題にもなると思うんですが、設置基準の議論についても今後積極的にやっていくということですので、このあたり、非常に期待している次第です。
 すみません。ちょっと長くなりましたけど、自己紹介がてら、以上になります。よろしくお願いします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、寺田委員、お願いいたします。

【寺田委員】  こんにちは。寺田です。
 事前にもちょっと目を通したんですが、資料2の現状と課題に書いてあること、当面の主な課題、特に下の箱ですね。それと資料3のアジェンダについてがどうも相応していないので、ちょっと戸惑うんですが。具体的に言いますと、先ほど冒頭、局長のほうからは、職業実践課程の充実ということが当面の課題と、資料2でもそう書いてあるんですけれども、「これらを踏まえ、今回の有識者会議の検討課題は以下でどうか」ということの中に入ってこないという問題が1つあります。加えて、資料3の2つ目の丸の今後の課題とされたものの中にリカレント教育があって、これも一番下、3つ目の丸のところでは適宜扱うとなっておりまして、正面から扱わないのかなという心配があります。というより、リカレント、専修学校、先ほども説明あったとおりで、あるいは専門職大学などもそうなんですけれども、リカレント教育という観点からこれを位置づけるということがますます必要になっているんじゃないか。詳しいことは避けますけれども、国際的にもそうで、ますますそうじゃないかなと思います。ただし、リカレント教育に関して、文科省がというわけじゃないですけれども、どうも曖昧に使っている。リカレント教育の定義が非常に曖昧で、元は、あれはフィンランドかどこだったかの人が最初に言い出した言葉なんですけれども、少なくとも3つぐらい――ごめんなさい、具体論になって。やめておきましょうか。いいですか。

【吉岡座長】  いや、時間は割とありますので、続けてくださって結構です。

【寺田委員】  そうですか。それでは、言いたいことはこの3つの中の1つなんですが、1つは、初期教育といいますか、養成課程、最初に受ける教育訓練を、特に職業教育を受けなかった人が年齢を重ねた段階で最初から若い学生と一緒にやると、そういうタイプですよね。どういうものを私たちが想定しているかということなんですが、もう一つは転職訓練、あるいは厚労省の言葉で言うと転換訓練といいますか、こういう意味合いもあります。新しい分野に取り組む、チャレンジすると。それから、3つ目が実はポイントで、既存の職業人の、厚労用語で言うと向上訓練ですね。このことがあって、こうなりますと、まさに企業との連携で、具体的な労働現場での人材育成ニーズあるいは昇進ニーズに対応したリカレント教育ということになるわけですけど、さて、そこまで踏み込んでいくのがいいんじゃないかなと個人的には思っています。ここが、特に日本の場合、労働市場が内部に閉じられる傾向がある中で、大変ポイントになるんじゃないかなと思っています。
 それから、国際的通用性については議論するんでしょうかね。これらを踏まえ、「検討課題は以下でどうか」となっていますが、そこに入っていないので、ぜひ入れてみればどうなんでしょうかと思います。
 主に、扱うべき議題に関する意見でした。失礼しました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。私もリカレント教育という言葉で指されている、語られているものが往々にして幾つかの層があるというのは以前から感じております。さらにこれに加えて退職後の新しい人生という話のリカレント教育も日本の場合はかなり使われていた時期があるので、混乱していると思います。また、企業の要請と、それから学校の在り方とか、特に転職なんかになると企業は嫌がりますので、そういうところも含めて検討していく必要があるだろうと思います。それから、国際通用性については、もちろんここでも議論していきたいと考えております。ありがとうございました。
 それでは、すみません、多先生、よろしくお願いいたします。

【多委員】  令和3年度に続きまして委員を拝命いたしました、学校法人電子学園の多でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 令和3年度における協力者会議の論点は、職業実践専門課程の充実でありました。これに向けて骨子を策定し、議論を重ねた上で、今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けてという取りまとめがアウトプットされたわけでございます。一方で、この協力者会議は、職業実践専門課程に特化して議論するものではなく、文字どおり、専修学校の質の保証・向上というものを目指して、言わば専修学校全体を俯瞰して議論を進めるべきではないかということが令和3年度当初から課題として提起されていました。それが取りまとめの巻末、また、先ほど室長のほうから御紹介いただきました資料3のアジェンダ案に記されているテーマであると認識しております。専修学校の質保証・向上に向けた大切な論点であると私自身も感じているところです。その上で、時間も限られておりますので、2つのテーマに絞って意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、留学生の卒業後の定着促進についてのところです。まず、専門学校で学ぶ留学生の数でございますが、少し古いデータで恐縮なんですが、日本学生支援機構が2019年に調査した結果、留学生総数の25%、約7万8,000人が在籍しておりまして、そのうち約70%が日本で就職を希望しておりました。しかしながら、実際に就職したのは40%であったということから、約3割が日本で就職できていないというのが実態でありまして、生産年齢人口の減少が進むこの日本にとって大きな損失と言わざるを得ないと思っています。そして、その背景にあるのが在留資格の壁であります。専門学校卒の留学生は、在留資格である技術・人文知識・国際業務というものを取得して就職するということが可能であるわけでありますが、大卒の留学生が取得する在留資格である特定活動(告示46号)というものと比較すると、就労範囲に大きな格差、制限がございます。いわゆる技能実習とか、もしくは特定技能といった足元の人手不足への対応とは一線を画して、少子高齢化や先ほど申し上げた生産年齢人口の減少に伴う未来の人材不足、これの救世主として期待できるのが留学生であると私自身は認識しております。とりわけ高度な専門的な知識・技能を身につけた専門学校卒の留学生の在留資格というものを見直して、卒業後の定着促進につなげていくことが肝要であると考えております。これにつきましては、本日総理官邸で開かれました教育未来創造会議において主な論点案の一つに位置づけられております、卒業後の留学生等の活躍に向けた環境整備ともリンクしております。この会議には構成員の1人として参画させていただいておりまして、本日、在留資格の見直しについて発言させていただきました。先ほど室長のほうからもお話がありましたが、今後の教育未来創造会議の進捗にも注視しながら、本会議のテーマの一つである留学生の卒業後の定着促進について、協力者会議で議論させていただきたいと考えております。
 2点目は、職業教育分野分類の検討促進というところでございます。全国専修学校各種学校総連合会が2006年から展開いたしました、いわゆる専修学校の一条校化運動、これが基点となりまして、中教審の今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方についてというものの答申や教育再生実行会議の第五次提言に実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化というものが明記されたことなどによりまして、2017年に学校教育法が一部改正され、専門職大学、専門職短期大学が制度化されたわけでございます。55年ぶりの学制となったこの学校種につきましては、最終的に大学体系の中に位置づけられたことによりまして教育の質が担保されていく中で、専門学校全体に対する公の評価というものが、教育再生実行会議の第五次提言にある、教育の質が制度上担保されておらず、必ずしも適切な社会的評価が得られていないとされたままにとどまっているのではないかと私自身考えているところでございます。こうした状況を踏まえまして、専門学校が進める職業教育の質保証、また広く社会からの認知、信頼の向上というものを念頭に置いた取組といたしまして、この協力者会議で議論している職業実践専門課程の充実、これをさらに議論を深めていく、そして、一方では、国際通用性への展開、NQFの確立というものが肝要であると考えております。そして、このNQFの策定に向けましては、知識や技能、態度、応用といった共通した学修成果を、職種や業種ごとに可視化することが必要であるということに鑑みまして、東京都の専修学校各種学校協会では、その礎となる職業教育分野分類の開発に着手しております。本日の机上配付資料にある第26回から第32回の会議における議題案を見ますと、分野分類に関しては、来年の3月、第28回の議案に上がっております。これに対して、現状の進捗について触れますと、現状の専修学校専門課程における8分野分類や学校基本調査における分類とは区別をいたしますとともに、国際通用性の観点から、ISCED(国際標準教育分類)との比較というものをする中で、職業そのものの実態にフォーカスした分類を現在進めているところでございます。本年末までに中間報告書をまとめる方向で動いておりますので、来年3月の第28回の協力者会議において、この中間報告を基に一定の方向性はお示しできるものと現時点では考えているところでございます。
 以上、申し訳ありません、長くなりましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。

【吉岡座長】  多委員、大変明確に問題点を析出してくださって、ありがとうございました。特に最初のほうの留学生の就職の問題というのは本当に大きな問題で、一向に進んでいないという気も私もいたします。これは企業等の社会の側の問題もありますので、いろいろなところが関わっていただかないとならない問題だと思います。ありがとうございます。
 それでは、吉本委員、よろしくお願いいたします。

【吉本委員】  滋慶医療科学大学におります吉本です。
 私はこの協力者会議設立当初からメンバーですが、特にこれからの議題ということで出されている、出されているというか、方向性として、ちょっと微妙に資料3のところの、職実の充実というところがずっと出てきていて、皆さんも枕言葉のように使われているんですけれども、このことは既に、どのぐらいやっていますかね、5年ぐらいはやっていると思います。我々、5年間やってきました。5年間やってきて、もしできていないとしたら、これから先、何があるのか。いささか、この枕言葉にこだわるのはそろそろやめてもいいのかなと私は思っています。むしろ、職実の充実を踏まえた専修学校の課程の充実全体の話をしなければいけない。そういう意味で、括弧に書いてあることは適切だと理解しています。括弧の、専門士制度との連携ですね。この専門士制度並びに後ろのほうにある高度専門士制度、それからその手前にある1年制専門学校卒業生への称号、私は仮に準専門士という言葉を皆さんの前で使ってお話ししていますけれども、準専門士、専門士、高度専門士、こういう称号、資格ですね。この資格を学校教育法の中でどういうふうに書くのか。もちろんそれは我々、そこの課程の内実に職業実践専門課程の経験、5年、6年、7年、もう何年なんですか、8年なんですか、という蓄積が使えるんだと思っています。具体的には、ぜひ議論したいのは、単位制度の在り方という、これまでの検討を踏まえてということでありますけれども、例えば、もう明確にこれは議論したいと思うんですけれども、専修学校設置基準の第20条の専門課程の単位数。20条の前でしたね。ごめんなさい。20条の前の800時間というところがあるんですけれども、16条ですね。16条の専門昼間の授業時数は、1年にわたり31単位以上とするという表現に換えたい。なぜならば、ここにはあるんですけれども、例えば18条、19条にある。特に19条ですけれども、専修学校の専門課程における生徒の学修の成果を証する必要がある場合においては、当該生徒が履修した授業科目の時間数を単位数に換算すると、45時間を1単位とすると決めているわけです。そこで、私は文部科学省の方にも聞きたいとまた思っているんですけれども、学修の成果を証する必要がないということはどういう場合に生じるのかと。学修の成果なんて要らないということがあり得るのかどうかと。学修の成果を証する必要があるならば、全て単位制にすることが適切ではないか。単位制とするのであれば、800時間というのは、これは31単位以上という換算ができると私は確信しております。ということで、もちろん45時間の学修をもってということなんですけれども、ということになれば、専修学校設置基準16条は31単位以上、高等課程のほうはまだちょっと詰めておりませんから、皆さんと一緒に議論したいと思いますけれども、ここのベースはどちらかというと高等課程の議論を展開しにくいメンバーだと思いますので、それは専門課程だけでもまずはスタートすると。専門課程だけで方向は出てくると思います。このことによって、学校教育法の中に、専門士を卒業した場合には専門士の称号を、1年制以上の場合には準専門士。1年制以上というよりも、31単位以上の場合、31単位でちゃんと卒業の評価をして卒業した場合は準専門士、62単位以上の単位を取得し、成績による評価の下で卒業の認定をした場合は専門士、124単位以上で卒業の的確な認定をして卒業させた場合は高度専門士を与える、こういうふうに制度の――どこかありましたね。専門学校制度の複雑化の解消というのは、もうこれでかなり明確にできる。学修の質を保証するという意味で、単位制度にすることは極めて重要だと考えています。これは恐らく大学設置基準の見直しとの関係の議論もありますし、それは細かな、1単位を何時間にするかというのが柔軟につくれるということですので、この議論もまたすればいいですけれども、メインは、卒業の認定は単位である。なぜなら、一つ一つの授業の科目の学修の成果を証する、証をちゃんとする必要があるということを考えているからです。ちなみに、時間数でもよいという考え方があったのは、典型的には厚生労働、医療系の養成所の指定規則によったと思いますけれども、多くの指定規則がだんだん単位制に変わっていますので、これはもともと単位制という形で厚生労働省と協議されて、きちんと理解できるような形で進めれば、何ら問題ないと考えています。
 以上、よろしくお願いします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。単位制の問題というのは非常に重要ですので、どこかで少しまとめて議論したいと思います。また、技術的な部分があるので、事務局のほうで整理していただければと思います。
 寺田委員は手が挙がっていますが、もしもよろしければ、また最後にお願いいたします。

【寺田委員】  また後で。はい。

【吉岡座長】  今、直接手を挙げていただいている方はいらっしゃらないのですが、佐藤委員が挙手されましたので、では、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】  ありがとうございます。自己紹介を兼ねて、専修学校の留学生の状況についてお話しさせていただきます。東京工業大学の佐藤と申します。
 私は留学生政策、特に最近は留学生の日本就職について研究しております。既に何人かの委員の方、文科省の方からも御紹介ありましたとおり、日本の留学生における専門学校留学生の割合が28%、高等教育機関で学ぶ留学生に限ると、その割合は4割を超え、本日配付の資料にもありましたとおり、専門学校の学生全体に占める割合も1割以上ということで、非常に存在感が増しております。留学生が増えた背景には、日本語学校の方たちが、東日本大震災の後、ベトナム、ネパールなどの非漢字圏からの留学生のリクルートを強化したことがあります。これらの国の留学生の特色として、非漢字圏なので、日本語の習得にハンディがあり、特に読み書きの能力が不足していることと、また、アジアの中で比較的貧しい国の出身で、日本語学校の年間授業料約80万円、専門学校の年間授業料約100万円が、自国の平均年間所得の数倍に上るという、かなり所得水準のギャップがあるところから来ているため、アルバイトを、週28時間が上限ですけれども、目一杯行うという傾向があります。アルバイトにかなり時間を取られることもあり、また、非漢字圏という語学的なハンディもあり、なかなか日本語能力が、日本語能力試験のN2レベル、高等教育機関において日本語で授業を受けるのに最低必要な水準に到達することが難しい。このため、N2に到達しているか、いないか、ぎりぎりぐらいの人が、かなり沢山専門学校に入ってきているという課題がございます。このことについては、例えば東専各さんが2020年、留学生の受入れについて職員に対して調査され、それから2021年には3,000人ぐらいの留学生に対する調査をされているんですが、教職員の方の多くは、日本語力が低い、また経済力が低い留学生が増えていることを課題として挙げておられます。また、留学生に対する調査からは、学校にいる間にだんだん日本語力が上がってきていること、学校の中でかなり日本語の授業も実施しておられることがわかります。しかし、やはりべトナム、ネパールの学生を中心に、日本語の読み書きが難しいし、3割ぐらいの学生が、授業の内容が十分理解できていないという回答が見られますので、学生の側から見ても、なかなか難しい状況があることが窺えます。
 もう一つ重要な点は、分野によって留学生が集中していることがあります。東専各の学校調査では、ビジネス分野で留学生の割合が43%、次いで文化、教育、技術、介護などの分野で留学生の割合が高く、日本人よりも留学生が多い、あるいはほとんど留学生ばかりで教育しているというコースや学校もあります。そういった環境では、留学生が日本人学生と接することで体得する日本的なコミュニケーションの取り方とか、日本人の物の考え方や文化、そういうものを学ぶ機会が限られます。しかし、彼らが日本で就職するためには、日本語力を上げると同時に、そういう日本人の物の考え方やコミュニケーション・スタイルについて理解する機会を増やしていく必要がある。そういう機会が学校内では限られる中、アルバイトを通じて、そのような経験をしようという動きも見られます。私も、ベトナム人を中心に10人ぐらいの専門学校留学生にインタビューをしたんですが、アルバイトには、もちろん生活費を稼ぐという目的もあるんですが、それだけではなく、日本人が喋る自然な日本語に触れる機会であり、日本人と接する機会であり、日本人のビジネスプラクティス、どんなふうにお店で接客するかとか、そういうことも含めて学ぶ機会になっているという回答もありました。多くの留学生がアルバイトをしているという状況の中で、専門学校での学びと、アルバイト先での学びという要素をどう考えていったらいいのか。例えばホテル・観光分野ですと、もう既に教育の一環として、ホテルに派遣し、そこで職業実践的な学びをするということもあるわけですが、他の分野においても、関連の職場において、インターンシップなり、仕事体験の機会を増やし、それに対する対価が得られるようにできないかと考えます。彼らがあまり学びと関係ないところでアルバイトするよりは、できるだけ学びと関係のあるところでアルバイトさせる可能性はないかと感じております。専門学校の留学生というのは、大学の留学生よりも、日本で就職したいという意欲が強いんです。ですので、やはりそういう意欲がある学生にどういうふうに就職に向けて必要なスキルをつけさせていくか、それを学校内で教育すると同時に、職業実践というか、働く経験と組み合わせながら高めていくことが課題かなと感じております。
 すみません。長くなりました。いろいろ皆様に教えていただきながら、この会議に参加させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  佐藤委員、ありがとうございます。私も、今のお話にある非常に大きな問題、コロナでキャンパスが閉じられてしまったり、実際に来られなくなったということが2年から3年続いてしまったという、そこをある意味挽回しなくてはいけないという、そういう課題がやはり非常に大きいと思います。おっしゃるとおりで、これは多分4年制の大学生でもそうだと思うんですけれども、アルバイトはお金のためだけにやっているわけではなくて、そこでいろいろなことを学んでいるということも含めて、特に留学生は日本人の生活と触れるというのもすごく重要ですので、その部分をどういう形で考えの中にいれるか。教育課程に組み込むというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、我々が考えていくときに、そういう点も含めて考えていく必要があると思います。ありがとうございます。
 それでは、野田委員、お願いいたします。

【野田委員】  大学改革支援・学位授与機構研究開発部の野田と申します。このたび初めての参加となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど留学生の話題が出ていたところですが、このアジェンダの関心としましては、専門学校の称号の国際通用性、NQFの構築に関心がありまして、今現在、日本が加盟した東京規約と今月13日に新たに締結した世界規約に関わるところで、国際的なモビリティーを高めるための国内情報センター、NIC-Japanという組織で、3年前に授与機構内に設立されたのですが、そこで仕事を担当しております。そこで課題となっておりますのが、やはり高度専門士の対外的な国際的な認知でして、まずNICが設立される前、同じNICの海外の情報センターにアンケートを取りましたところ、やはり日本の教育制度で、外国から見たら分かりにくいというところが、専門学校、ほかに短大や高専も出てくるのですが、いわゆる学位以外の教育資格が分かりにくいという点、それらの質の違いが何かという点があり、情報発信をどうしていくかという問題にもつながっているかと思います。
 あとは、留学生に関することですが、これも専門学校の留学生ないしは卒業した外国籍の方々に試行的にインタビューしましたところ、専門学校で得た知識や技術は母国に帰ってかなり評価されており、特にアニメや漫画、美容、介護などその国で教育プログラムが十分に整備されていない分野で高い評価を受けているようです。一方で、専門士や高度専門士という教育資格については、労働市場などで十分に認識がされていないという、これは全てではないと思いますが、そういう側面があることが分かっています。特に職業教育の位置づけがその国によって異なりますので、日本の専門学校が当該国においてどの学校種に相当するのかといった、日本としての専門学校の位置づけ、情報発信がとても重要だと感じていまして、つまり互換性がどこにあるのかというところで、その一つの参照ツールとして、ナショナル・クオリフィケーションズ・フレームワーク、これを少なくとも教育資格については早急に構築すべきだと考えております。現時点では日本でNQFは制度化されていませんので、海外の方々が何を参照するかといいますと、その国々のNICですとか政府機関、あるいは日本ですと文科省さんとかNIC-Japanなど各所の情報も参照されていると思うのですが、先ほど話題に出ましたユネスコISCED、こちらが専門士と高度専門士が同じレベルに並べられていますので、修業年限、学修時間の関係から、なぜ大学院に進学できるはずの高度専門士が格下、専門士と同じになっているのだという問合せも実際にございました。ですので、そこの正しい情報を発信していくことが重要だと考えております。
 もう一点、今の法的な位置づけとして、高度専門士が付与される専門課程の認定条件と大学院入学資格が得られる専門課程の指定要件は、制度が別々の立てつけになっていますが、実質は一致しているので、高度専門士を持っていれば大学院入学資格を得られると文科省さんも御説明されていることもあり、実際は、実質的にはそういうことだと思います。ただ、別々の制度になっていますので、ごくまれに、高度専門士を持っていながら、大学院入学資格が得られる課程のリストに挙がっていないという隙間ができてしまっています。これは恐らく、申請の手続上の問題など理由は分かりかねるのですが、やはり高度専門士を持っていれば直ちに大学院入学資格が得られるというように、ここが法的にイコールで説明できるようになれば、よりクリアに情報発信ができるのかと考えております。
 長くなりました。以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。その辺の資格の問題は、多分日本の国内でもあまりみんなちゃんと理解できていないと思いますし、それから、ここで、日本で取った資格で海外に出ていって、海外で少し教育活動したいという日本人もいるでしょうし、もちろん留学生たちがここで取っていくということもあると思うので、その辺はちょっと制度の整理も含めて考えていく必要があるだろうと思います。ありがとうございます。
 それでは、冨田委員、お願いいたします。すみません。バックの色と挙手の色が重なってしまっていて、ちょっと見落としました。失礼しました。

【冨田委員】  初めて今年から参加いたします、ウチダ人材開発センタの冨田と申します。よろしくお願いいたします。
 今回のメンバーでは私が企業1人ということでございます。私自身、ウチダ人材開発センタという会社は、親会社は内田洋行という会社でございまして、学校には非常にお世話になっているところでございます。弊社も実は企業の人材育成が一番のなりわいでございますが、他の人材育成の会社と違うところは、小学校から大学まで様々な形でちょっと御支援させていただいているということでございます。専門学校様、専修学校様とのお付き合いというのは、職業実践専門課程が多分できるとき、その頃からずっとお付き合いをさせていただいておりまして、私自身もいまだに教育課程編成委員会に属して、いまだに活動しております。ということで、今回、取りまとめのところ、私も拝見させていただきまして、多分これは20ページかな、拝見させていただきまして、職業実践専門課程を採用される学校様が増えたということは非常にまずよかったと思っております。また、実際、私も教育課程編成委員会に出ていると、よかったのは、今まで、その前は本当に企業と専修学校様というのが離れた存在でございました。どういう教育しているのかなということが我々は分からなかったんですけれども、入って、いろいろ会議を重ねる中で、カリキュラムが非常に向上していくということを実感いたしまして、非常にそれはよかったなと思っております。また、課題としては、これを知っている企業さんが少ないということで、もっとPRしていけばいいんじゃないかなというところ、それが私思ったことでございます。
 さて、今後の課題でございますけれども、今、企業のほうでは、これもなかなか定義がされていないんですけれども、やはりDX、DXというのが非常に、デジタルトランスフォーメーション化というのが騒がれておりまして、これはITの企業だけではなくて、本当に様々な会社様が今取り組んでいることでございます。それはもう、定義がされていないものですから、本当に基礎的なITリテラシーから、あるいは高度な情報化、あるいはDX、デジタル人材の育成ということで今いろいろ皆さん取り組んでいらっしゃるということでございます。その点でいくと、専修学校様のDXというのは一体何なんだろうということで、これは高等教育機関を含めまして、ちょっと興味があるところでございます。
 また、今、私、リカレント教育のほうの文科省さんの審査委員もやらせていただいておりまして、このリカレントのところもまだまだ発展するところがあるだろうと。そして、リカレント教育というのは、大学よりもやはり専修学校様のほうが何を教えるかというのが明確でございますので、非常にリカレント教育に有効な学校様じゃないかと考えております。
 最後になりますけれども、東京規約ということで、NQFの構築ということで、国際通用性ということがこれからの課題だということで、私はここはちょっと勉強不足であるんですが、企業のほうでは今、デジタルクレデンシャルということで、デジタルバッジというふうにも言われているんですけれども、これからはやはり日本だけの企業ではなくて、いろいろな方たちが日本の会社に入ってこられるときにどういうふうにスキルを認定するかというところでは、やはりこういったスキルを可視化する、そして、それをデジタルクレデンシャルあるいはデジタルバッジみたいなもので証明するというのが今非常に喫緊の課題になっております。そういった意味では、やはり、大学あるいは専修学校の各国との単位の互換だったり、あるいは留学するときの物差しだったりということが多分あるんだろうなと思いますので、そこはいろいろ勉強させていただきたいなと考えております。
 ということで、今年、私、まだまだ勉強不足ではございますが、企業の立場としていろいろ発言をしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。企業の方からの視点というのは非常に重要ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、前田委員が挙手されていますので、前田委員、お願いいたします。

【前田副座長】  前田です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私も随分この会議長いんですけれども、専修学校の質保証システムを構築していく会議と思って参加してきまして、そのあたりがなかなか難しい問題をいろいろはらんでいると今も感じています。
 やはり皆さんもおっしゃっていたように、東京規約ですとかNQFというのは私も非常に関心があります。質保証システム部会では、たしか東京規約という言葉は一度も出てこなかったのではないかと、意外な気がしました。しかし、専門職業教育を担う専修学校にはなじみやすく取り組みやすいものであって、これがあることによって、専修学校にとっての目標ですとかカリキュラムがうまく作れていくのかもしれないと感じています。
 もう一つ気になっているのが設置基準の問題です。大学設置基準が現在提示されている案の方向で改正されるのだろうと思いますが、私は質保証システム部会に参加していて、大学の裁量でできることが拡大されるのは、基本的にいいことだと思っています。ただ、例えば、基幹教員について部会で話し合われたことは、設置基準の条文になると表現されていないわけでして、やろうと思えば、今までの専任教員は4分の3でよくて、あと4分の1は理屈をつけて非常勤で対応できるのではないかと危惧しています。単位計算にしても、文部科学省に届け出する必要なく、自分たちの判断で全部の単位を講義並みにすることができてしまうわけです。ですので、認証評価機関は、認証評価の際に大学が大きな変更を行ったとき、それが大学の目的と整合する方向での変更なのかを説明させることが重要だと思います。評価機関が外から手を突っ込んで細々と調べるのではなく、大学がよい教育を提供するためにどのように改革をするのかということを説明させることが重要だと思っています。そうしますと、専修学校の場合、基幹教員や単位計算などの制度改革を取り入れたときに、一体そういうことを専修学校に問うシステムがあるのだろうかということが気になっています。易きに流れないように大学が自分自ら質保証ができるということを示していかなければいけないわけで、その素地は専修学校がどこまでできているのかというあたりは注視しないといけないと感じております。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。設置基準の問題点の話もしてくださいました。確かに、これは大学に限らずですけれども、基本的にこういう法制度というのは、やはり教育機関は教育機関としてのちゃんと考え方があるだろうということがある種の前提になっているところがありまして、それを利用していろいろ悪いことをするだろうというふうには必ずしも設定していない。それは非常にしにくいことでもあるし、規制をかけていくことがプラスになるかということの、そういう論点の問題がちょっと一方にあると思います。ただ、だからといって野放しにしていいわけではなくて、大学の質保証の話では、おっしゃるとおりで、設置の基準の問題と、それからその後の認証評価等、公表の制度や評価の問題というのが非常に重要な意味をこれまで以上に持ってくるということだろうと思います。その点では確かに、専修学校のシステムの中でその点をどういうふうにしていくのかというのは大きな課題だと考えております。ありがとうございます。
 それでは、浦部委員、お願いいたします。

【浦部委員】  お世話になります。東京都立葛飾総合高等学校進路指導部主任の浦部と申します。併せまして、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長を務めております。この会には本当に長年お世話になっております。高等学校側からということで拝命いただきまして、大変ありがたく存じているところでございます。
 初めに自己紹介ですが、私の所属しております都立葛飾総合高校は総合学科の高校ということで、生徒の進路希望が多様です。専門学校への進学者は、例年3分の1から4分の1ぐらいというところで、現在のところでもかなり希望者が多くなっています。また、家庭的、経済的に厳しい状況に置かれている生徒もおり、日常的な面談内容も多岐に渡っているところです。一方、都高進の事務局として、長年専修学校の研究協議会を実施してまいりました。コロナの関係で実施を見合わせた年もありましたが、本年度は12月6日に都内の高等学校の教員を対象として、研究会を行う予定で準備を進めております。
 29ページのところにあります取りまとめの最後で、高専連携の取組を通じた都道府県や企業の理解促進ということでまとめていただきました。高等学校から専修学校に進学する割合が昨年度も24%ということで、かなりの割合を占めていると把握しております。ですので、大きな進路選択の一つと位置づけられているところではありますけれども、なかなかその理解の浸透に課題が生じているというのも現状であると思っております。一例を申し上げますと、先ほど来、少し専門学校に対して制度的なものが分かりにくいという御指摘がありましたが、留学生に対してというのもあると思いますが、やはり高校生が理解する際になかなか難しい点があると思われます。例えばですけれども、高度専門士から大学院に進学するという道筋を描いて高度専門士という選択肢を取る生徒がどのぐらいの割合いるかとなりますと、かなり少数派であるとも思われます。また、そういった指導が高等学校の中で十分に行き渡っているかとなりますと、実際には少し難しいと言えます。現状理解の促進ということでまとめていただいたんですけれども、具体的にこの先どういうふうにそれを進めていくのかという視点が少し私のほうでも見えにくいと思っているところです。ですので、前回、教育委員会ですとか自治体等社会全体で課題に取り組んでいくというところで終わっていた部分を今後どのように進めていくのか、という点です。こちらのアジェンダの中に少しそういった部分があるのかと思っていたんですけれども、特にそういった点は見られなかったので、取りまとめでまとめた部分で完結してしまったとも思われます。皆様の御意見をいただき、私自身も考えていきたいと思います。
 また、高等学校では今年度、新学習指導要領ということで学びの内容が大幅に変更になっておりますし、また、1年生は学校に全員タブレットを持参するということで、新しいシステムで動き始めております。学校の中がかなりそういう意味で新しい部分がたくさん出てきておりますので、その点も踏まえまして、高等学校での教育、そして、その先に専門学校でどう学ぶかというところの道筋をつけ、さらに社会につなげていくという流れの中で人材をどのように育成していくのかというところを先生方と意見交換させていただきながら私自身も学んでいきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。高大接続ということはよく言われますけれども、高校から大学への高大接続も実は同じような問題を持っていると思うんですけれども、専修学校等に進むときのキャリアパスの見え方というのは非常に分かりにくい。大学に進む場合でも実は非常に分かりにくい。その後、社会に出ていくプロセスが非常に見えにくいというのは大変大きな問題だと思います。その点についても考えていかなければならないと思います。
 それでは、続いて小杉委員、それから河原委員、そして最後に長谷川委員の順番で御発言をお願いいたします。では、小杉委員、お願いいたします。

【小杉委員】  ありがとうございます。私は長く労働政策研究・研修機構という厚生労働省関係の研究機関に属しておりまして、今はもう第一線を離れて顧問のような形になっておりますが、そういう関係でこの会議には長く参加させていただいております。
 特に労働行政の中でも人材開発、職業能力開発の分野の研究をずっとしておりましたので、今回のテーマの中で関心があるのは、何といってもリカレント教育です。リカレント教育も、私が関心があるのは、リスキリングのためのリカレント教育、もうその1点です。現在の日本の状況を考えますと、本当に社会構造が大きく変化する中で、もう先進諸国からはっきり言って後れを取り始めていると。特にデジタル技術革新ではかなり後れを取っているという状況なので、まさに賃金が上がらないという状況を突破するためには、どうしたって能力開発に力を入れるしかないと思っております。そこで大事なのがやはりリスキリングという考え方で、そこにぜひ、専修学校は大きな力を持っているので、その方面で力を発揮してくれないかというのをすごく思っているところです。専修学校というのは、やはり柔軟性、例えば社会の変化に対して対応できる柔軟性があって、それで、特に職業実践の場合には企業との関係もかなり深いところまで関係をつくってきています。それだけに、実践的な教育プログラムを構築できる力がある学校だと思うんです。この学校がリスキルのためのプログラムを提供できるようになる、これがとても大事なことだと思っています。それは本体教育からは少しずれるかもしれませんが、本体教育の中でも特に在学中に卒業生との関係の中で社会変化というのを実感しておいていただいて、後々もう一回母校に帰って学ぶとかいうような関係が構築できるような、社会がどんな変化をしているかということを学生に伝えるという点も重要ですし、また、大企業の場合ですと、企業内でリスキリングという形で転換する可能性も、そういう教育力を持っていますが、特に中小企業ではそこがなかなか厳しい。やはり教育プログラムをどこかで提供してもらう必要が出てくるので、協力してつくっていくということだと思いますけれども、そういう機関として非常に期待できるのが特に職実だと思っております。
 さらに、ちょっと先のことを考えると、例えば現在、保育園が定員割れを起こしているという話が来ていますね。少子化の中で、保育士需要というのは労働力需要として縮小の方向が考えられるわけです。既に保育士として働いているたくさんの人たち、実は能力を持った人たちが職がなくなる可能性もあって、そこをどうするかということを考えたときに、学ぶということには、ただ可能性のあるプログラムを提供するだけじゃなくて、それに対して学ぶ意欲を持ってもらわなければならないわけで、そのためには、例えば保育士さんの場合だと、やはり人に関心があって、育てる、ケアに専門的な能力を有していて、そういう人たちが次の学びに行くためには、やはり対象を例えば障害を持った方とか高齢者とか、そういうことに振り替えていくという形の職種転換というのをスムーズに進めると、そういう可能性が、プログラムをどう提供するかという可能性があって、そのための前提としては、やはり教育内容のモジュール化みたいなことを進めていくべきだと思うんです。それは多分、先ほどから出ていた国際通用性とか可視化というところとすごく関係があると思うんですけれども、今のところ、この職種の免許資格は他の省庁の管轄下なので、すぐには動けないかと思いますが、そういうことを前提に考えると、先々の職種転換も考えて、教育プログラムをある程度モジュール化した形で整理しておくということが大事だと思っていて、今の段階でできることとしては、在学生に対する将来の可能性を考えた学校との関係あるいは社会の見方のプログラムを提供すること、それから、ある程度先々の変化を見据えて、国際通用性も含めて、モジュール化ということを進めていくことが重要じゃないかなと思っています。
 今関心があるのは以上です。どうもありがとうございました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、河原委員、お願いいたします。

【河原委員】  学校法人河原学園の河原です。よろしくお願いいたします。今回から委員に参加させていただくようになりましたので、右も左も分からないので御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
 私ども学校法人河原学園では、愛媛と愛知のほうで専門学校と大学、そして高校、幼稚園のほうを運営させていただいております。委員の中に多先生がいらっしゃいますが、多先生は東京のほうで専門学校を経営されております。私は愛媛県のほうで専門学校を経営させていただいているのですが、四国、そして愛媛松山というと、新幹線も通っておりません。非常に小さなまちで、人口減少、そして、子供たちというか、18歳人口の県外流出というのが非常に多い地域でございます。私どもは、専門学校10校を経営させていただいているのですが、一つ一つの学科は20人、30人といった規模で、中にはもっと少ない学科もあります。なぜそういう学科をあえて運営しているのかというと、これは地域課題を背負っているということです。その学科がないと地元で当該職業の人材を育成できない、そうなるとその産業そのものが衰退していく、地域が衰退していくという、地方で学校を経営していると直面する固有の実態があります。そういった、ユニットというわけじゃないのですが、小さい単位で経営しているわけですが、地方の専門学校は、大方というか、そういった学校がほとんどではないかと思います。そういう意味では、そういった現状を踏まえながら、いろいろ今回の制度について検討していければと思いますし、地方で悪かろう、教育が悪かろうというのではなくて、教育の質を高めることに私たちも、個人的というか、法人単位で取り組んでおります。例えば職業実践専門課程の制度では、企業や実務者との実習連携強化、企業や実習に即した教育課程の改善の色合いが濃いのですが、実際のところ、教育課程の改善、実習授業の改善は、テキストや教材の改善に依存するところが多いのではないかと思っております。教育課程を変えたのに、実習の内容を変えたのに、テキストや教材は従来どおりというわけにはいかないと思いますが、一つ一つの単位が小さいと、いろいろな課題があって、なかなか着手できないことがあります。実は私どもは大学も運営しておりますが、テキストや教材については高等教育全般で同じような課題を抱えているのではないかと勝手に思っております。そういう意味では、テキストや教材の開発にもっとフォーカスしたようなことで検討できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】  ありがとうございます。恐らく地方の高等教育の在り方というのは非常に大きな問題で、地方創生というふうに割と一からげに言われている話ではとても片づかないようないろいろな問題、大学においてもそうですけれども、非常に大きな問題で、その中で専修学校が持っている意味は非常に大きいので、ぜひいろいろとお話が伺えればと思います。
 それでは、長谷川委員、お願いいたします。

【長谷川委員】  静岡県私学振興課の長谷川と申します。このたび委員を拝命いたしました。私のほうは、静岡県のほうの私立の専修学校と各種学校の認可等の事務に携わっております。本県については、私立専修学校ですと、休校を含めて約80校、自分が担当しているという状況で、実際、同じ専修学校についても、やはり大学法人が設置しているような基盤がしっかりした専修学校もあれば、個人立の、個人が運営されている専修学校というのも存在していて、日頃から、様々な学校がある中で、一つの基準の中で運営していくというのもなかなか難しいところもあるのかなと思いながら事務をしているところでございます。自分のような立場の者からなかなか、今回のこの委員として力不足なところもあるかもしれませんけれども、自分の経験などを踏まえて何かお力になれたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の取り上げていただいている検討事項の項目については、それぞれお話もお伺いして、必要な項目だと思っております。特に日頃の自分の業務のほうを通して、この事項の中でも特に専修学校の設置基準の見直しというところは、今回は大学設置基準の見直しを受けて検討というところでございますけれども、ちょっとこの場では違うのかもしれませんけれども、やはり日頃事務に携わっている中で、他にも設置基準のところ、見直したほうがいいんじゃないかと。どうしても、今この場ですとかなり、専修学校についても前向きというか、できているところをさらに向上していこうというところが結構大きいのかなというところの中で、どうしても今自分が事務の中でやると、そういう学校もあれば、ちょっとここはという学校様も中にはあります。そういうところをよりきちんと底上げというか、保証できるような基準というんですかね、明確な基準というところも、今、専修学校制度がある中で、基準がある中で、ちょっと見直したりとか、何か設けたほうがいいんじゃないかなというところもあるかなと思っております。
 あともう一つは、冨田委員も仰っていたように、職業実践専門課程についてなんですけれども、本県についても職業実践、なかなか、事務で毎年推薦のほうを依頼するんですけれども、その中でも、やはり結構、ここ最近ですと、申請してくださる、推薦してくる学校様のほうがある程度固定化しているところがあるかなと思うんです。やはり、前向きで、やるところは、新しい学校を設けたりすれば、推薦を上げてくると。ただ、やらないところはやはりちょっとやらないと、特にそこに推薦を上げてこないというところもありますので、1つ思っているのは、教育内容の向上としての職業実践なんですけれども、やはり企業様とか社会的認知度がちょっとまだ低いのかなと。ここを受けているから学校がさらに評価されるというようなところも1つ学校としてはあったほうが、今後認定が増えていくというか、職業実践のほうにより取り組んでいってくださる学校が増えるんじゃないかなと思っております。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 これで一応全ての皆様から御発言いただきました。非常にいろいろな問題が議論されたというか、俎上に上がってまいりましたが、前回までで一応取りまとめという形を取ったので、これからの会議の中では、やはりこういうかなり大きな問題を扱うという側面がどうしても出てくるだろうとは思っております。この会議自体は、「専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議」という会議で必ずしもよく分からない名称ですけれども、やはり専修学校の持っている様々な問題、非常に具体的な規定上の問題だとか制度上の問題から、そういう大きなところも考えなくてはいけない。やはり、高等教育といいますか、日本の教育全体の中での専修学校の位置づけの問題とか、それぞれの専修学校というものを今後どうするかというような、そういう問題を視野に入れない限りは、議論が非常につまらないといいますか、小さな議論で、結局いじくり回してしまうということになるような気がいたします。そういう意味では、一方で、設置基準をどうするかとか、そういう具体的な問題もありますけれども、どこかで常にそういう大きな問題といいますか、大きな視野というものを持ちながら議論が進められればと思います。幾つか技術的な問題等もございましたし、この後の議論もそうですけれども、ここで発言し切れなかったとか、うまく説明できていないなとか、多分事務局分かっていないなと思うようなことがありましたら、文章で事務局のほうに送っていただければと思います。これから、今日の議論を、かなり大変ですけれども、事務局がまとめて、今後の議論をつくっていくということになると思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の議題がございますので、そちらに移りたいと思います。今ちょっと最後のところで長谷川委員もおっしゃってくださいました、大学設置基準等の改正を受けた専修学校設置基準の在り方についてということについて、事務局から説明をお願いいたします。

【木俣専修学校教育振興室係長】  専修学校第一係の木俣と申します。よろしくお願いします。
 先ほど委員の先生方からも話がありましたが、今般、大学設置基準等の改正が行われたことを受けて、現在、専修学校設置基準の在り方について検討を進めてございます。背景としましては、御案内のとおりですが、2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申、また、今般のコロナ禍を受け、高等教育の在り方が急速に変化したことを踏まえて、本年3月に審議まとめが出ておりまして、これらを踏まえて、高等教育局において、大学設置基準等の改正が行われ、具体的には教員に関する規定であったり単位数の算定方法などについて見直しが行われたところでございます。今回の大学設置基準の改正が行われたことで専修学校設置基準に影響があるものとしては3つございまして、1つ目は単位数の算定方法、2つ目は教員に関する規定について、3つ目は通信制の学科における授業の方法等についてでございます。
 まず、単位数の算定方法について御説明させていただきます。先ほど委員の先生方からもお話がありましたが、大学設置基準においては、単位数、改正前は前提として1単位の授業科目は45時間の学修をもって1単位という規定ですけれども、講義と実験・実習・実技というものが分けて規定してございました。今回の改正を受けて、講義から実験・実習をひっくるめて、15時間から45時間までの範囲で大学の定める時間の授業をもって1単位として、大学の判断でできることと規定を改めることとなったという状況でございます。専修学校設置基準においてどうするのかということについては、結論から申し上げますと、改正は行わず、現行規定を維持する方向でどうかと考えてございます。理由としましては、やはり専修学校は職業教育を主たる使命としてございますので、実習・実技をしっかりと重視して、実践的な職業教育を引き続き行っていただくということを設置基準上も示していきたいというようなものでございます。
 続きまして、専任の教員に関する規定についてでございます。大学設置基準においては、専任教員という規定を改めまして、基幹教員という規定に改めてございまして、この基幹教員にした理由としましては、先ほども委員のほうからお話ありましたけれども、4分の1の範囲で、年間8単位以上授業科目を担当する基幹教員については、他の学校と兼任を、ダブルカウントできるというような改正を行い、多様な教員登用の促進等を図り、より質の高い教育課程の実現を推進するということで、背景としましては、情報という分野がどこの学部であっても学修すべきという時代にあって、情報の教員が足りないので、本改正により、教育課程、高等教育、大学教育をさらに質を高めるというような背景でございます。専修学校設置基準については、まず現行なんですけれども、専任の教員という規定にはなっておりますが、大学と違いまして、必要な教員数のうち、半数は専任の教員にしてくださいねという規定になってございます。そこの現行規定をどのように改正するのかということについては、まず、専修学校についても高等教育機関なので、そこは基幹教員として改めてはどうかと考えてございます。その上で、これまでは一つの専修学校においてのみ専任の教員として算定するということを原則としておりましたが、大学設置基準のように、要件を満たす教員については、複数の学校・学科において基幹教員として算定できるようにしてはどうかと考えてございます。この要件については、2つ目は、どの範囲で認めるのかということについては、改正後は基幹教員のうち、そのうちの4分の1の範囲内でダブルカウントできるようにするというふうに改正してはどうかと。3つ目に、どの基幹教員がダブルカウントできるのかということについては、大学と同様に年間8単位以上というふうに規定を合わせてはどうかと考えてございます。
 続きまして、経過措置について御説明させていただきます。この新しい教員の規定はいつから適用させるのかということについては、こちら、スケジュールのイメージを描いてございますけれども、令和7年4月に開校・開設する設置の審査より適用させてはどうかと現在考えてございます。なので、令和6年4月に開校するものについては、現行の専任の教員規定として審査が行われるということでございます。なお、こちらは新しく開校したりだとか学科を開設するという場合の話なんですけれども、現行、学則等で専任の教員というような規定があると思うんですけれども、専任教員から基幹教員と改めることのみのために学則変更の届出というものは不要とすることを考えてございます。それから、専修学校は都道府県が所轄になってございますので、令和7年4月に向けた開校・開設を行うための届出の締切りまでに必要な手当て、様式の変更であったり規定の改正を行っていただこうと考えてございます。
 最後になりますけれども、通信制の学科における授業の方法等についてでございます。これはあまり大した話ではないのですが、専修学校においても大学と同様に通信制の学科を設置できることになってございますけれども、先ほど申し上げた令和4年3月の審議まとめにおいて提言がなされまして、通信制大学における授業の方法について、かなり印刷教材だったり、いわゆる紙文化を念頭に置いて規定がなされているところ、今の時代にそぐわないということで、クラウドでの教材やオンデマンドでの映像教材配信など、デジタルに対応する観点で見直しを行うよう提言されたことを受けて、改正が行われたところでございます。専修学校設置基準においては同様に、デジタル化に対応する観点で改正を行おうと考えてございます。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。会議の時間が5時半までですので、質疑等、御意見等を伺って、この方向でいいということであれば、そちらの方向に進めるということにしたいと思います。
 まず、非常に単純な質問があれば、手短にお願いいたします。吉本委員、お願いします。

【吉本委員】  必ずしも単純な質問ではないかもしれない。まず、単純な、単位制度のほうの話ですけれども、これは前に説明したところ、ここでは23条と書いてありますけれども、実際には19条のことですよね。単位制の学校だけの話ではなくてということだと思いますけれども、大学でやれるけれども、職業教育を行うから一と二は分けなければいけないというロジックは何か特別に立てられるんだろうかと。専門学校はもちろん職業実践専門課程もありますけれども、職業または実際生活もしくは教養ですから、それがなぜできないのかということはちょっと疑問がありますと。
 それからもう一点、教員のほうは、これこそやはり、前田委員がおっしゃったように、少し議論すべきかなと。私は専門学校の教員の勤務状況というのをいろいろ調査とかしていますから、結構時間数しっかり担当していますので、基幹教員という制度ができたらば、4つは楽にできるなと。5つか6つぐらいを全部基幹教員という形で、グループ内でかなりシェアすることができるということは、それも考え方ではあるんですけれども、そのような適用も想定しているということでしょうか。

【吉岡座長】  事務局、お願いします。

【木俣専修学校教育振興室係長】  御質問ありがとうございます。
 まず、2点目の教員の規定に関する御質問なんですけれども、4つ5つというのは、4つ5つの学科で兼任することを想定しているかどうかという御質問でよかったでしょうか。こちらにつきましては、年間8単位以上というときに、授業準備時間等も踏まえると、かなり教育エフォートが大きい問題なので、4つ5つ授業を担当するとなると、単純計算だと、8単位掛ける4というな話になってくるので、実態として、実際にそれができるかどうかというと、理論上できはするんですけれども、実際にそこまでの学科であったり学校で兼務できるかというと、そこまではなかなかできないのではないかと考えてはおります。

【吉本委員】  学校によっては、スーパースターの先生が学園グループにおられて、同じ科目をいろいろな学科でやるというときは、準備は、限界コスト下がっていきますから、ある程度、僕なんかでも授業をやっていて、5こまずつぐらいはやっていたわけなので、大学でもですね。もう実はこれは普通にできますね。それでもいいということを想定しているということですよね。

【木俣専修学校教育振興室係長】  はい。

【吉本委員】  スーパースターの基幹教員が、学園の5つ6つの学校の基幹教員として、その職責を担うことができると。これは学園にとっては少しいいことかどうか、そういうことですね。
 前のほうのところは、ベースは23条のことの話をしたかったんじゃなくて、19条ですよね。

【中安専修学校教育振興室長】  すみません、専修学校教育振興室の中安でございます。吉本先生、ありがとうございます。
 ここはまさに、23条をここで引っ張っているのは、大学のほうの設置基準の改正に合わせて、そのはね的な部分でやるとしたらここですという意味で申し上げています。一方で、先生にもとより問題意識を持っていただいています、単位制の導入をもうちょっとしっかりやるべきじゃないかという話については、ここで提案している内容より深い内容だと理解しておりまして、そのことについては今日の資料には出てきていないんですけれども、また後刻、先生のお話におきまして、別途、どう進めていくか、先生方に御議論いただきながら、事務局としても資料を出していきたいと、そういうふうに考えてございます。

【吉本委員】  いいんですけど、単純に、23条は単位制の学科の話であって、19条は専修学校全体の単位数の換算の仕方ですから、両方に係る話ですよねと、それを言いたかっただけです。

【吉岡座長】  分かりました。ちょっと事務局のほうで整理してもらいます。
 すみません、ちょっと私も技術的なところで、基幹教員のカウントの仕方なんですが、現行制度だと、例えば、この数字がいいかどうかは別にして、20名の必要教員のうち、今だったら、10名以上だから、事実上10名はいなくちゃいけないということですよね。それの4分の1にするというのは、20名中の10人のうちの4分の1ということなのか、それとも20人全体の4分の1ということなのか、どちらでしょうかという非常に単純な読み方の問題です。

【木俣専修学校教育振興室係長】  こちらは、10名のうちの4分の1でございます。

【吉岡座長】  そうですね。だから、20名の例でいうと、基準の基幹教員は10名。他校の基幹教員でこちらでも基幹教員になれるのは基幹教員の4分の1以下だとすると、10名中の4分の1以下だから2人まで。そういうことですね。

【木俣専修学校教育振興室係長】  はい。

【吉岡座長】  だから、それほど大きな数ではないとも言えるかもしれません。ありがとうございます。
 先ほど前田委員からのお話もありましたけれども、システム部会での議論はやはり、大学も同じですけれども、新しい学部をつくったり学科をつくったりするときに、人の手当ては実際に非常に難しい。特に先端的なものをつくろうとするときに、特に私学なんかだと、古くからいる先生をカウントしたまま、足していかなくてはいけないので、それもきついと、そういう事情もあって、教員の枠を完全に外してほしいという議論まであったんです。それに対して、一定程度の新しい改編の枠を、改編の方法を楽にしていくということが一つの考え方でした。これは私の個人的な意見ですけれども、今回の専修学校について考えると、プラス面のほうを考えると、やはり専修学校は、先ほどからありますように、非常に新しい問題に対応する必要があるところだと考えますけれども、そうだとすると、一定程度改編がしやすくなるということは悪いことではないかな。それから、特にDXみたいな問題だと、そもそも教員がいないので、そういう人たちをリクルート、今までだったら専任にしなくてはいけなかったのを、他のところにいる、籍を置いている人に授業を持ってもらったりするということが可能になるかなと。それが多分、ここでの一番プラスのほうに考えた場合ですね。マイナスに考えた場合はもちろん、人員削減で、事実上のコスト削減みたいな話になりかねないところがあるので、そこのところをどういうふうにチェックするかということがあると思います。
 それから、大学の場合は、ここにありますように、教育課程に責任を負うというのが一方に非常に重くかけてありまして、他大学の教員であっても、例えば、教授会は出なくてもいいでしょうけれども、教務委員会であるとかカリキュラム編成委員会とかというのには出席して、カリキュラム全体を見ていく責任を担う、それが基幹教員の事実上の資格、質的な資格であると、そういう枠をかけてあります。今回のこの専修学校の場合には、その部分は逆に入っていないんです。全体をどういうふうにするかというような、いわゆるカリキュラム編成とか単位の問題に関わるような仕事というのはここでは入っていません。事務局としては多分、専修学校の場合はむしろ目的がかなりはっきりしている、それから、やる授業の内容も明確なので、カリキュラム編成とか、そういうことを特に入れなくてもいいというのが多分事務局の考え方かなと思っています。
 ということで、何か他に御質問あるいは御意見ございますでしょうか。では、まず多委員、お願いいたします。それから河原委員、お願いします。

【多委員】  ありがとうございます。今の基幹教員のところでございますけれども、ICTであるとか、もしくはデジタルというテクノロジーの部分は、今後、分野を横断して必要となってくるということが考えられるわけです。それらを担う人材が必要だということはもとより、それを教える人材も不足していく。よって、これをうまくシェアリングできないかという発想がこの基幹教員の基点になっているというふうに今のお話を聞いていて感じました。そのような中で、基幹教員について、上限を定めた上で、実務に精通した教員が一つの専門学校にとどまることなく、他の専門学校でも活躍するということは、当該分野における教育の質の向上に一定の範囲で資するものと考えることはできると思っています。一方で、それぞれの専門学校は個別企業と密接に連携する中で、社会や時代のニーズ、これを教育課程に反映させて、それぞれが特徴ある授業を展開しています。これはそれぞれの専門学校にとって大切な商品であると言っても過言ではないわけです。今回、基幹教員の要件を、大学と同様にかどうかは分かりませんけれども、仮に教育課程の編成等の責任を担うレベルと位置づけられた場合におきましては、その教員は一つの専門学校にとって、例えば産学連携とか、もしくは新設学科の開発などにおいても中心的な人物であるということが想定されるわけです。これを他の専門学校と兼務する場合、教学のみならず、法人としての経営戦略面でのリスクマネジメントというものにも留意しなければいけないと思いました。また、多くの専門学校では教育と経営の距離が極めて近いということがございますので、専任教員の多くは、教育のみならず、学校の組織そのものへの帰属意識が高いということがあります。こうした学校種の教員が、上限があるとはいえ、2つの学校を兼任するということによる当該教員のモチベーションについても熟考する必要もあると思いました。
 最後に、ICTもしくはデジタルということをキーワードにした、いわゆる成長分野の授業を担当するという観点においては、卓越した実務能力を持つ非常勤教員を基幹教員という趣旨の中で有効的に活用していくということもあるのではないかと思った次第でございます。
 私からは以上です。ありがとうございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 河原委員、お願いします。

【河原委員】  まず、単位数のほうについてなんですけど、講義と実習・実技の区別を相対化することによって授業方法の多様化は促進されますが、その区別が各専門学校の意図と判断に委ねられ、場合によっては曖昧になってしまい、そして、職業実践専門課程の制度趣旨を損ねてしまう可能性があるのではないかなと思っています。また、ただでさえ実習・実技授業は講義授業と比較してアセスメント、例えば小テスト等による授業成果評価が難しいのですが、さらに、実習・実技、講義が複雑に混交する授業となると、より複雑なアセスメントの仕組みが求められるようになり、質保証の観点からいえば、かえって現場の負担が重くなるのではないかと思っております。他方、専門学校から大学に編入したり大学院に進学したりする場合を配慮して、単位認定及び単位互換等については、妥当性とともに、柔軟に実施できる基準等を検討していただきたいと思っております。
 あと、教員についてですが、専門学校に関して、既存の専任教員にも一律で年間8単位以上という条件が課せられるということになれば、この条件については問題がないと言えます。しかし、現実に複数の学校で基幹教員を兼務する者が現れた場合、学校法人や専門学校によって、建学の精神のような理念レベルの差異だけではなく、教育方針はもちろん、教育成果や授業成果の評価基準も大きく異なることが珍しくないので、例えば毎回の小テストで一定の得点率を授業成果目標とする学校もあれば、そもそも小テスト得点を授業目標としていない学校もあったりします。それぞれの学校法人や学校で対応すべき個別の問題になるかもしれませんが、兼務基幹教員のFD等が不十分となり、教育の質を低下させない工夫が必要になるのではないかと思います。実際に複数の学校法人や専門学校で兼務する非常勤教員のマネジメントには手を焼く側面も多くあり、これは大学も同じではないかと思っております。
 すみません。以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。基幹教員についてもう一言付け加えますと、今お話に出ていたように、複数の学校を兼務するというのが主たるイメージとして今議論進んでいましたけど、むしろDXや何かでは企業の人であるとかそういう人たち、大学の場合は特に、例えば企業の研究をしている人間に講義してもらうとか、そういうことのイメージのほうが先行していたように思います。あとは、大学の場合は大きいですので、学校内で学部を超えて新しい学位プログラムをつくる際のカウントの仕方みたいな、そういうのが多分委員の中で共有されていて、それがメインだったと思います。ですから、ちょっとそういう意味では前提となっているイメージが違うかもしれませんが、専修学校の場合でも、特に地元の例えば企業の人に積極的に関与してもらうというような、使い方というのは変ですけれども、制度の活用の仕方はあるのかなと思いました。ありがとうございます。
 他に御意見、いかがでしょうか。長谷川委員、お願いします。

【長谷川委員】  すみません。私のほうも基幹教員のほうについてなんですが、すみません、そもそもの話で、今回、見直し後のところで、学校・学科において基幹教員というところになっているんですが、ここが、専修学校の場合は専任教員の考え方が分野ごとに、分野ごとで教員数は決まっていると思うんですが、今回からは学科ごとにするという見直しになるんでしょうか。
 あと、そもそも通常の学校であれば、専任の教員の方は、通常、学校設置者に雇われている常勤の職員の方が多いのかなと思うんですが、結構この専任の教員自体が定義がちょっと曖昧になっているところが1つあるかなとなると、基幹教員のほうを定めるときにもう少し規定を踏み込んでいただけるとありがたいなというところと、あと、基幹教員について、一応兼任先のところでは年間8単位以上授業を持つとなっているんですが、通常の本務のところは特に、年間8単位以上授業を持たなければいけないとか、そういうところの縛りとかはなくていいんでしょうか。

【吉岡座長】  すみません。あとちょっと事務局に引き取っていただきますが、最後のところでいうと、およそどの学校であっても、大学の場合もそうですけれども、基幹教員としてカウントできる人間は8単位持ってなくてはいけないので、例えば大学の場合だと、授業を少ししか持たずに研究に専念している人を、専任であるからといってカウントすることは今まで可能だったんですけれども、今回の改正で、やはり教育ということ、特に念頭に置いているのは学部の教育なので、学部の教育をやる教員というのはそれに責任を持っている。その責任を持つということの具体的な考え方として、授業は8単位持ちなさい、それから、会議に出るとか、カリキュラム全体に責任を持ちなさいと、そういうことを考えているわけなので、所属元とか何とかというわけではなくて、どんな場合でもという、学校の在り方の問題ということでございます。

【長谷川委員】  必要ということですね。

【吉岡座長】  前半の部分、ちょっと事務局、どうぞ。

【長谷川委員】  ありがとうございます。

【木俣専修学校教育振興室係長】  まず1つ目の、必要教員数を分野ごとに見ているという話については、引き続き、分野ごとで必要な教員数が決まっているので、そこは改正はしない予定でございます。ただ、先ほど御質問があった話でいうと、違う分野の学科が設置されている中にあって、そこで例えば教育課程を編成するに当たって必要な基幹教員としてダブルカウントができるという改正を今回行うというのが趣旨でございます。
 2つ目の、専任の教員が現状かなり曖昧だから、今回、この際、少し踏み込んだ規定をしたほうがいいのではないかという話ですけれども、そこは本日の議論を踏まえて検討、整理させていただきたいと思いますけれども、大学と違うという状況でいいますと、大学の場合は、大学を設置する際に教員審査を行っていて、この人が専任の教員と言えるかどうかということを文科省の大学設置室で一律で行っておりまして都道府県ごとにどのように審査されているのかという調査をかけさせていただいたんですけれども、専任の教員の審査については、各都道府県において柔軟に審査されている状況でございましたので、そういった状況を踏まえて検討させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

【長谷川委員】  ありがとうございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 5時半になりましたので、吉本委員、ごく簡単にお願いいたします。
【吉本委員】  長谷川委員の指摘、全くそのとおりで、8単位以下しか担当していない教員というのは普通に専門学校にたくさんおられて、短大にもたくさんおられて、大学にも、研究というばかりじゃなくて、たくさんおられるので、その人たちが本務教員という言葉でなくなる、基幹教員でもなくなる、ただの教員だという形も実に面白い制度で、私はそういう意味で基本的に賛成ではないというか、もう少し考えなければいけない議論だというふうに明らかに思いました。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 時間になりましたのですが、今いろいろ御意見いただきましたので、どうしましょうか。事務局のほうである程度調整していただいて、次回、状況報告するということで、大きな問題はやはり基幹教員の問題があると思いますので、大学のほうとの関係もあるので、その辺をちょっと詰めていただければと思います。
 時間数については、専修学校のほうはあまり変えないということのほうでよろしいでしょうか。大学のほうはかなり大学の自由にできるような格好にするんですけれども、専修学校ではそこはあまり変えないというのが事務局案ですけれども、それはそれでよろしいでしょうか。河原委員、それはそれでよろしいでしょうか。

【河原委員】  はい。ありがとうございます。

【吉岡座長】  じゃあ、基幹教員の部分を中心に少し整理して、次回ということで大丈夫ですね。ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 最後に、その他ということですが、時間ですので、何かございますでしょうか。では、事務局のほうからお願いいたします。

【中安専修学校教育振興室長】  すみません。次回の会議ですけれども、3か月か4か月後をめどに、多分年内だと思っていますけれども、開催させていただければと思っておりますが、日程調整は追ってかけさせていただきます。ありがとうございます。

【吉岡座長】  ありがとうございました。コロナということもあって、なかなか実際に対面で議論できないということがありますけれども、遠方の方はこのほうが参加しやすいということがあると思いますが、やはり対面のほうが腹を割って話せるというところもないわけではないですので、今後、コロナの状況を見ながら、ハイブリッドになっていくと思いますけれども、開催の方法等も考えていきたいと思います。大変いろいろな議論、ありがとうございました。専修学校の可能性という議論が非常に中心的になって、そういう意味では大変実りのある議論だったと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

(文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)