専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第24回) 議事録

1.日時

令和4年2月10日(木曜日)10時30分~12時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和4年度専修学校関係予算案等について
  2. 「職業実践専門課程を通じた専修学校の質保証・向上の推進」委託事業 中間報告
  3. 職業実践専門課程の充実に向けて(骨子案)
  4. 報告事項

4.出席者

委員

植上 一希  福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
多 忠貴   学校法人電子学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事
川口 昭彦  大学改革支援・学位授与機構顧問、一般社団法人専門職高等教育質保証機構代表理事
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐久間 一浩 全国中小企業団体中央会事務局次長、労働政策部長
千葉 茂   学校法人片柳学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会副会長
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授・客員研究員
前田 早苗  千葉大学大学院国際学術研究院教授
松本 晴輝  株式会社進研アド専門学校事業部長
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

根本 幸枝  社会教育振興総括官
神山 弘   生涯学習推進課長
岡 貴子   専修学校教育振興室長
佐々木 俊治 専修学校教育振興室室長補佐
船木 茂人  専修学校教育振興室専門官
木俣 佳鷹  専修学校教育振興室専修学校第一係長

5.議事録

【吉岡座長】 それでは、所定の時刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議の第24回を開催いたします。吉岡でございます。音声等、届いておりますでしょうか。よろしくお願いいたします。
皆様には御多用の中お集まりいただき、ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、本日もウェブ会議方式にて開催させていただきます。会議はライブ配信されますので、委員の皆様におかれては、その旨御留意の上、御発言いただければと思います。
まず初めに、事務局に交代等がありましたので御紹介いたします。

【神山生涯学習推進課長】 先月から着任しております、生涯学習推進課長の神山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉岡座長】 よろしくお願いいたします。
続いて、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【吉岡座長】 続いて、事務局より、本日の配付資料の確認をお願いします。

【岡専修学校教育振興室長】 本日の配付資料でございます。資料につきましては、資料1から資料7、また、参考資料といたしまして、参考資料1と2ということで配付しております。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは、議事に移ります。最初の議題として、令和4年度専修学校関係予算案等の報告です。事務局より、資料1、資料2の説明をお願いいたします。

【岡専修学校教育振興室長】 失礼いたします。
それではまず、資料1に基づきまして、令和4年度専修学校関係予算案につきまして御説明させていただきます。
まず、資料1のほうを御覧いただきますようお願いいたします。
現在、令和4年度の専修学校関係予算案、国会のほうで御審議いただいているところでございますが、まず、全体でございます。
専修学校教育の振興に資する取組、資料でいきますと左側の青の部分でございますけれども、全体といたしまして21億円という形で計上しております。
この中で人材養成機能の向上といたしまして、まず、専修学校におけます先端技術利活用実証研究事業でございます。こちらに関しましては、産学が連携いたしまして、実践的な職業教育を支える実習授業等におきまして、VR・AR等の先端技術の活用方策について実証・研究するということと併せて、新型コロナウイルス感染症の影響が続いておりますので、遠隔教育をソフト面から支えるモデルを開発して、新たな教育手法の普及促進を図るというものでございます。こちらは前年度より増額という形で、6.9億円計上しております。
続きまして、2つ目の事業でございます。専修学校におけます地域産業中核的人材養成事業でございます。こちらに関しましては、中長期的に必要となります専門的職業人材の養成に係る新たな教育モデルの構築を進めるということと併せて、地域特性に応じた職業人材養成モデルの開発を行うものとなっております。
内容といたしましては3点ございまして、1つ目が、赤字でございます専修学校と業界団体との連携によるDX人材養成プログラムでございます。こちらは来年度新規で行うものでございます。そのほか、専門学校と高等学校の有機的連携プログラムの開発・実証、また、学びのセーフティーネット機能の充実強化ということで、高等専修学校の機能の高度化について盛り込んでおります。こちら全体といたしまして、前年度2.5億増の9.8億円という形で計上しております。
続きまして、留学生の学びの支援推進事業でございます。こちらにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続いている中で、なかなか留学生が渡日できないという状況がございますが、質の高い学びを継続できるような専修学校留学生の総合的な受入れのモデルの構築を行うというもので、前年度同額で計上しております。
また、リカレントの関係でございますが、赤字の部分、こちらは補正予算でございますけれども、DX等成長分野を中心とした就職・転職のためのリカレント教育推進事業ということで、特に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、就業者、あるいは失業者の方たちが希望する就職ができないというような状況に関しまして、専門学校も拠点としながら、就職・転職につながるプログラムを提供して受講生のキャリアアップを図るというものでございます。
続きまして、質保証・向上の取組でございます。
職業実践専門課程を通じて専修学校の質保証・向上を推進するということで、内容といたしましては、職業実践専門課程の充実に向けた取組ですとか、教学マネジメントの強化の推進を通じて、職業教育の充実、専修学校の質保証・向上を図るという取組を進めていくというものでございます。
また、その下でございます。職業教育魅力発信力強化事業ということで、専門学校、また、高等専修学校が担う職業教育の魅力を発信するといった事業を行うものでございます。
右側の部分でございます。オレンジの部分でございますが、専修学校の教育体制、施設整備に関する取組といたしまして、前年度同額、5億円ほどを計上しております。
1つは私立学校施設整備費補助金となりまして、こちらは教育装置、学校施設の耐震化、また、アスベスト対策に係る経費、あるいはエコ改修などの学校環境改善に係る経費を補助するというものでございます。
また、その下でございますが、私立大学等研究設備整備費等補助金でございます。こちらは新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、授業を実施する際に必要となります情報処理関係設備が整備などに係る経費につきまして、補助を行うものでございます。
その下につきましては、専修学校への修学支援に資する取組ということで、高等教育の修学支援の着実な実施という形になっておりまして、来年度293億円を計上するといたしてございます。
その他関係予算といたしまして、右下に掲げている関連予算について計上しているものでございます。
続きまして、資料2枚目になりますが、令和3年度の補正予算でございます。
こちらは大きく柱といたしまして、2つございまして、1つは新型コロナウイルス感染症の拡大防止というものでございます。こちらは学校におけます感染症対策支援といたしまして、特に高等専修学校におけます保健衛生用品の購入費や消毒業務の委託、また、地域の実情に応じまして、感染症対策を行うものに対して支援をするということで305億円の内数を計上しております。
また、学生の学びを継続するための緊急給付金に関しましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、特に厳しい経済状況にあります学生の学びを継続するための緊急給付金というものを支給しているものでございます。
その下でございます。「新しい資本主義」の起動の関連でございますが、先ほど御紹介いたしましたリカレントの関連でございます。DX等成長分野を中心といたしまして、就職・転職支援をするというものでございまして、専門学校についても拠点として就職・転職支援を実施するというものでございます。
一番下の部分でございますが、学校施設の整備ということで、専修学校(専門課程、高等課程)におけます衛生環境の改善、情報通信環境整備や耐震対策、防災機能強化等の施設整備を推進するというもので、令和3年度補正予算で措置をしております。
続きまして、資料2のほうを併せて御説明させていただきます。こちらは地方財政措置の関連でございます。
現在、職業実践専門課程認定校に対しまして、各都道府県において独自の補助を行っていただいている自治体がございますが、令和3年度におきまして、19の都府県で実施をしております。右下の部分に実施を行っている自治体につきまして、掲載をしております。こちらにつきましては、職業実践専門課程が制度化されて以降、補助を行っていただいている自治体が増えておりますが、このたび令和4年度から職業実践専門課程認定校に係ります追加的な経費の都道府県の補助に関しまして、特別交付税措置が講じられるということになったものでございます。文科省といたしましても、各都道府県に対しまして、こういった職業実践専門課程に対します補助の創設、あるいは充実を促していくということにつきまして、さらに、職業実践専門課程の推進に努めていきたいということで考えております。
説明は以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。予算案と、それから補正予算とでございますが、よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。「職業実践専門課程を通じた専修学校の質保証・向上の推進」委託事業の中間報告でございます。三菱総研から御報告いただきますので、資料3を御用意ください。どうぞよろしくお願いいたします。

【三菱総研】 三菱総合研究所でございます。当社は、令和3年度職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進ということで、2本の事業を受託させていただいております。
その中で、現在文部科学省で御検討されている「今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けて 骨子案」を事前に御提供いただき、そちらに関連するデータを集めて資料に掲載しました。骨子案に基づき、職業実践専門課程の実態や現状をお知らせするようなデータを集めております。また、中間報告のため、各数値は暫定値となっております。
それではまず、職業実践専門課程の質保証・向上のための実態調査から御報告いたします。
こちらは、認定学科に対して3年に一度、フォローアップを文部科学省が行っておられます。このフォローアップ対象学科に対して、これまでも調査の御協力をお願いして、いろいろな職業実践専門課程の実態のデータを集めております。今年度は、引き続き、文部科学省、それから私立専門学校等評価研究機構と連携させていただきまして、フォローアップの対象学科に対して調査を実施しました。
なお、本事業の背景といたしまして、現在、別紙様式4という様式でフォローアップをするというのが制度上のフォローアップとなっていますが、かなり様式に多数の項目が記載されているため、逆に審査のほうが難しいといい事情があります。そこで、当社で学科記入シートを開発しまして、調査を進めました。
このページは御参考ですが、認定学科の全学科に占める割合を分野別に示したものです。分野別に割合の差が出ています。今年度、初めてフォローアップする年度に対しては全て調査をかけましたが、2回目のフォローアップに当たるところは、「工業」と「商業実務」に絞りまして調査をさせていただきました。
それでは、本年度の調査対象の分野、学科について、こちらは地域別にクロス集計をかけたものとなります。地域別について、3種類に分類しています。東京はN=40ですので、少ないですが、東京に加えて、その他大都市圏、その他の地方の三種類で分類しました。
ただ、このときに注意していただきたいのが、地域によりまして、分野別に差が出ているということです。このときに指定養成施設の割合に偏りがあるので、今回の調査では読み解きの際に少し注意をした方がよいものが幾つかありました。
それではまず、学科の調査と、学科が企業等連携をしている授業についての調査です。
学科数は364学科で、1学科が、大体平均3件ぐらい授業を回答しておりましたので、990件の授業についてデータをとっております。
まず、指定規則上の科目かどうかについて、医療分野の割合が多くなっています。以降、Nが小さいところについては、言及を割愛させていただきます。
また、地域別に見てみますと、「その他地域」というところで、指定規則上の科目であるという回答が多くなっております。
続きまして、全授業における企業等と連携した実習・演習等(講義除く)のの割合を出してみました。「5%未満」というところが多くなっています。5%未満だから、いい悪いということではなく、御覧いただきたいのは割合に差があるということです。
これを分野別に分けてみますと、分野別にもかなり違いが出てきています。例えば、分野であれば、「商業実務」において、企業等連携の実習・演習の割合が小さい学科が比較的多くなっています。また、「その他地域」のところで、割合がやや小さくなっています。
続きまして、企業等と連携した授業、これは講義を含んでおりますが、授業の実施場所についてです。企業の中で行われる実習、ここには医療系の実習も含まれますが、そういったものよりも、校内の授業の方が約6割で多くなっています。また、特に指定規則ではない科目について、校内実施の割合が多いということで、学校の中での企業等連携というものが非常に重要になってきているという実態が分かります。
なお、分野別に見ますと、「工業」、「商業」のほうで校内の授業が多いということでございます。また、「その他地域」では、校内が、ややほかの地域と比べると少なくなっています。
続きまして、企業等連携の授業の内訳でございます。5種類に分けまして、学校に選択をしていただきました。校内で全ての授業を学校の外の先生が担当しているというケースと、学校の中で行っており、企業等講師が一部の授業、例えばリレー講義などを例に挙げて質問しましたが、リレー講義のような形になっている授業が約6割となりました。こちらも、指定規則上の科目ではないものについて多くなっております。専門学校や職業実践専門課程の教育において、非常勤の先生が非常に重要な役割を担っておられるという現状を表していると思います。
先ほどもお示ししました分野別のグラフですが、「工業」、「商業実務」で多くなっています。
地域別のグラフでは、「その他地域」のところで、全ての授業を企業等講師が担当しているという割合が、その他大都市圏と比べますとやや少なめという結果となりました。一部連携については、割合はほぼ同様でした。
それから、企業等と連携する際に、授業を準備するところから成績評価まで、どの段階で連携しているかというのをお伺いしましたところ、約7割で、あらゆる段階で連携しているという回答が得られました。認定学科として企業等連携に取り組んでおられるという実態を表しているのではないかと思います。
また、「企業等との連携を深める上でどんな工夫をされていますか」という自由記述をこちら側で分類させていただいたところ、例えば、企業等からの「講師選定のための条件提示」であるとか、「企業等の教員や指導者と打合せ」というのが非常に多くなっています。学校が、非常勤教員による授業の水準や質をコントロールするために行っている工夫が表れていると考えられます。
次は研修です。研修時間について、そもそも学校として研修時間というものを把握しているかどうか、規則等で定めているかどうかを確認し、時間数を回答してもらいましたが、規則等で定めていないなど把握できない場合は回答できないとしてもらいました。そうしましたところ、「回答できない」とした学科が約3割から4割程度ありました。
次に、その研修を企画した主体は何か、どこかを質問しました。複数回答となっていますが、集計時に重みづけをして単一回答にしています。学校の中で企画している研修がどれぐらいあるかなというところを見ましたところ、実務研修に関しては約6割程度でございました。
ここで注目したいのが、「その他地域」について、学校の中で企画しているという研修の割合がやや少なめとなったことです。
次の指導力研修についても、同じように、やや少なめとなっております。
そしてまた、先ほどの実務研修と比べますと、業界団体が提供している研修が少なくなっています。認定要件上は同じ文言の要件で規定されていますが、研修の内容によって多様な差が出てきております。
また、学科の教育成果に対して与えられる企業からの評価を、どのように情報収集しているかを質問しました。ほとんどの学科で、アンケートやヒアリングを行ってしっかり情報収集しているという結果となりました。
こちらのページは御参考です。認定学科での取組の好事例は、こちらの2種類の資料のほうで御報告しております。
それでは、次の調査からの御報告です。

【三菱総研】 では、2本目の調査、「効果的な職業教育のマネジメントのための実態調査」について、私のほうから御報告をさせていただきます。
私どもでは過去2か年、職業教育のマネジメントという観点で、学校様に御協力いただきまして、アンケート調査、ヒアリング調査をさせていただきました。今年度に関しましては、個別の教員、また、自治体の4部署に対しての調査を進めております。今回の御報告では、過年度の調査と今年度の調査、それぞれについて御報告をさせていただきます。
教員のアンケートに関しては、主に教職員の人材育成等の実態について調査させていただきました。今回の調査は、各団体様に御協力をいただく形で実施しております。結果的に全国の学校様に御協力いただいていますが、必ずしも全国的な実態を表しているものではないという点は御留意いただけましたらと思います。調査票に関しては、一般教員、学科長と学校長等の3種類に分けて、ウェブ調査という形で実施をしております。
また、都道府県のアンケート調査は、自治体の専修学校担当、高校教育担当、産業振興担当、雇用労働担当の4部署に対して、専修学校の認知、専門学校との連携状況等に関して調査を行っております。
回答者の基礎情報としては、結果的に、分野は、全般的な傾向と同じような形で御協力をいただいております。
また、下段が職業実践専門課程の認定学科かどうかというところで、約8割程度が認定学科の御回答となっております。一方で、一般教員においては、1割ほどの方が認定学科かどうか「分からない」というような御回答をいただいているところです。
次は教員の指導力に関してになります。
まず、教員の指導力については、非認定学科と比べて認定学科のほうが教員研修等の取組を行っている割合が高いというような結果でした。
研修等の具体的な参加時間について、左側が実務に関する研修、右側が指導力に関する研修ですが、いずれも認定学科のほうが研修時間は長い傾向がございました。一方で、認定学科においても、年間10時間以下という教員の方が約6割となっておりました。
研修の満足度については、認定学科の方に関しては比較的満足、十分な研修等を受講することができたというような回答が多くなっております。また、学校の支援に関しても、支援を受けられているというような回答が多くなっておりました。
一方で、研修を十分に受けることができなかった理由に関しましては、「多忙で研修等を受ける余裕がなかった」という回答が最も多くなっておりましたが、一方で、「求める内容の研修が実施されていなかった」という回答も3割程度ございました。具体的にどんな研修が受けたかったのかという点に関しては、右側に記載をしております。
続きまして、常勤教員をどのように育成しているかということに関しまして、あまり取り組めていないという学科長、あるいは学校長の方が二、三割程度いらっしゃることが分かりました。取り組めていない理由としましては、「育成担当者の方に時間的な余裕がない」という回答に加えて、「指導者の方にも余裕がない」というような回答が多くなっており、先生方の御多忙がうかがえるところです。
ここからは、職業教育に対する評価についてです。基本的には、非認定学科と比べて認定学科では、生徒からの評価、例えば授業アンケートや卒業生のアンケート、教育に関する情報の把握、あるいは経営に関する情報の把握、いずれにおいても認定学科のほうが優れているというような結果になっていました。
また、認定学科がどのような観点で教育効果を評価しているかについては、「生徒の実践的・専門的な知識・技能の習得」、「教育内容に対する生徒の満足度の向上」、「生徒が希望する進路の実現」を重視していることが分かりました。
企業等からの評価については、「基礎的な専門知識・能力」を挙げたところが最も多くなっていて、「高度な専門的な知識・能力」、あるいは、「実習等での学びの経験」というものは比較的少なくなっていました。
また、企業等からの卒業生の評価に関しては、「不十分」、あるいは「分からない」と回答した先生方が比較的多くいらっしゃいました。
37ページ以降、自治体の調査結果の御紹介になります。
まず、各4部署に対して専修学校について認知しているかを聞いたところ、産業振興担当あるいは雇用労働担当で、「あまり知らない」という回答が比較的多くなっておりました。
次に、高校との連携の状況について、専修学校担当においても高専連携の実施状況を「把握していない」という回答が約半数でした。また、高校教育担当において、教育委員会が高校や専門学校の情報提供を実施しているかについては、「実施していない」という回答が多かったです。
次に、専修学校の評価です。「職業に直結する教育」、「地域産業を支える人材の育成」というところで評価が高くなっています。
課題については、「情報発信が不足している」、「地域に定着する人材の育成ができていない」というような課題が指摘されています。
期待については「着実な人材育成」、「高校生の多様な進路の実現」、「人材流出の防止」を期待するという意見が多くなっています。
今後の専修学校の振興策については、現在と同程度という自治体が約9割となっていました。
認定学科の具体的な取組の把握については、フォローアップのタイミングで把握しているという回答が約9割となっていました。また、認定学科への支援を行っているところは、先ほども御説明がありましたが、4割ほどでした。
専修学校担当が、認定学科が非認定学科と比較して優れていると評価している点に関しては、「企業との連携」と「教育内容の実践性」でした。
課題に関しては、「制度の理解が十分ではない」こと、「取組や教育内容を学校外に十分説明できていない」ことが挙げられました。また、認定学科への期待は、「多様な進路の確保に協力してほしい」、「人手不足の解消に貢献してほしい」、「企業等との連携を深めてほしい」、「情報発信に力を入れてほしい」、「変化に即応した教育を行ってほしい」等が挙げられているところです。
実習等に関しては、教員研修や教育評価等、ほかの項目と比較すると、非認定学科と比べてどちらが優れているというところは言い難い状況でした。これは、指定養成施設の指定規則上の実習であるかどうかということによって、大分やり方等が変わっているということが原因ではないかと推測されます。
制度への理解のところをお願いいたします。
こちらに関しては、専門学校がフォローアップを認知しているかについて、「初めて聞いた」というような回答も1割ほど存在する状況でした。
次に、制度への理解について、専修学校制度、職業実践専門課程の認定制度、学校評価、質向上、情報公開等々について知識を持っているかを質問していますが、いずれも「知らない」というような回答が2割ほどでした。
以降、関連データになりますので、私の説明はここまでとさせていただければと思います。ありがとうございました。

【吉岡座長】 ありがとうございました。いろいろと興味深い数字も出ていたと思います。
それでは、ただいまの三菱総研からの説明について、御質問、御意見を伺いたいと思います。まず、御質問があればと思いますけれども、直の質問ということがあればそちらを優先したいと思いますが、その場合、手を挙げるボタンを押していただければ、こちらから御指名させていただきます。そうしたらミュートを外して御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、御自由に御意見等、伺いたいと思います。もちろん質問が加わっても構いません。よろしくお願いいたします。
多先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【多委員】 学校法人電子学園、多でございます。よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】 よろしくお願いします。

【多委員】 三菱総研の皆様方からの詳細な説明に、改めて深く感謝を申し上げます。実情が非常に明確に把握できたと考えております。その上で、幾つかの点につきまして所感を述べさせていただきたいと思います。
まず、資料10ページから11ページにかけて、全授業における企業等と連携した実習・演習の占める割合というところでございます。これにつきましては、まず、職業実践専門課程の趣旨というものは、企業との連携であります。企業等と連携して実習・演習等を実施することが認定要件になっているということに対しまして、全授業に占める割合において、5%未満が約4割で最多というのが実態だということがよく分かりました。
しかしながら、このデータだけで実践的な教育が行われていないということは言えないわけですが、一方で、職業実践専門課程における企業と連携した実習・演習について、連携の具体的な在り方、企業と連携する実習・演習とはどういう在り方なのか、もしくはその方法はどうなのかといったところが不明確なところもございますので、今後、要項において連携の在り方、方法について明確化する必要があると感じました。
続きまして、12ページから13ページ目にかけて、授業の実施場所の部分でございます。
まず、13ページのほうで、工業分野、商業実務分野において、校内での企業連携が多いという御指摘がございました。この背景には、例えば工業分野であれば、情報、ICT、AI、商業実務であればビジネスなど、技術革新が著しい業種においては機密事項が非常に多いということで、企業内への受入れが必ずしも積極的ではない、あるいは、受入れのキャパが限定されているということに起因する可能性があると考えております。本校、日本電子専門学校におきましても、特にICT、AIなど先端テクノロジーの分野において機密事項が多いことから、企業内への立入りというものが著しく制限されているということも実態としてございます。
一方で、企業等と連携している授業の実施場所についてです。約6割が校内で実施されているという実態を踏まえまして、校内で実施される企業連携授業におきましては、校外、すなわち、企業内での連携授業と同等の専門性があり、また、実践性といったものの担保を視野に入れた授業の在り方、また、方法等を明らかにする必要があると感じました。
続いて15ページ目、企業等の連携の種類、これは地域別のところでございます。東京都や大都市圏に比較してその他の地域におきましては、企業の数や規模に差異があることから、企業等の講師が全授業を担当することは極めて困難であるということは承知しております。しかしながら、専門学校の卒業生が地域の産業の活性化を担っていくんだという観点から、当該地域に属する専門学校における企業連携、もしくは講師派遣といったものの改善、あるいは促進に向けた方策を今後検討していく必要があるのではないかと考えています。
続きまして、18ページから20ページ、教員研修のところです。「職業実践専門課程の充実に向けて 骨子案」のほうにも記されておりますが、職業実践専門課程の充実に向けたPDCAを支える基盤として、組織的な教職員体制の構築というものが必要であります。その構築に向けて、研修も大切な要素の一つであるわけです。したがって、学校が組織として、計画的かつ継続的な研修の企画、推進が肝要であるというふうに捉えています。
なお、その際、先ほども申し上げたとおり、都市部と地方との格差というものを解消する方策も併せて検討していく必要があるのではないかと考えているところです。
そして、29ページから31ページ目、教員の指導力の部分です。認定要件になってございます実務及び指導力に関する研修が、認定学科の約6割において年間10時間以下という実態に対して、一般教員、また、指導担当者ともに「時間的な余裕がない」という物理的な要因がございました。しかしながら、変化の激しい社会環境におきまして、技術革新等に直接触れる研修であったり、また、多様な学生に対応する能力というものを養うための指導力向上に向けた研修など、専門学校特有の課題に対する研修の重要性は論を待たないわけでございます。よって、学校組織として業務の効率化、もしくは平準化というものをしっかりと図った上で、研修に充てる時間を確保していくとともに、専門学校を取り巻く現況に即した研修を計画的かつ継続的、また、タイムリーに実施していく必要があると考えております。
続いて、35ページから36ページ、職業教育に対する企業等からの評価でございます。企業等からの卒業生の評価が「分からない」という回答が一般教員で約3割、学科長で約2割、学校長で約3割となっているわけでございますが、全専各連のほうから提出させていただきました骨子案でも触れました、卒業生一人一人が職業実践専門課程の学修成果であるというふうに捉えるならば、その評価を把握できていないということによって、PDCAのサイクルそのものが回らなくなるということが危惧されるわけです。卒業生評価の情報がどこでストップしているのかということは、この資料だけでは定かではございませんが、経営層から一般教員、また、職員に至るまで、評価データというものを共有、把握する仕組み、また、システムといったものを構築していくことが肝要であると考えております。
最後に、37ページから45ページ、社会からの認知の部分でございます。各専門学校におきましては、社会的認知度向上といったものに向けた広報展開といたしまして、職業実践専門課程はもとより、専門学校が進める職業教育の必要性であったり、もしくは優位性というものについて、学校訪問やガイダンス、また、それぞれの学校のホームページの活用などによりまして積極的にアピールをしております。また、各都道府県の専門学校団体におきましても、自治体や高等学校の進路指導協議会の先生方に対するアピールも行っているという実例もございますが、これらには限界もあるというのが実態です。職業実践専門課程を所管する文部科学省、専門学校を所管する自治体、連携する企業や地域など、文字どおり産官学が一体となった広報活動の実現によりまして、社会からの認知度向上につながる仕組みを形成すべきであるというふうに強く考えているところでございます。
長くなりました。私からは以上でございます。ありがとうございました。

【吉岡座長】 多委員、ありがとうございます。大変重要な指摘であったと思います。
それでは、他の御意見、いかがでしょうか。今の多委員の御意見に対する意見でも構いませんが、よろしくお願いいたします。
植上委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【植上委員】 皆さん、よろしくお願いします。植上です。
私からは、質問が1点とコメント1点、させていただければと思います。
まず質問なんですけれども、ありがとうございました。すごく興味深いデータだなと思いました。まず、前半の部分、9ページからある企業等連携の割合のところで、地域別のデータがあって、そこからずっと、東京都、その他大都市圏、その他地域という形で比較をしていただいて、非常に興味深いなと思いました。これは、今後の対策を考えていく上で非常に大事だなと思ったんですけれども、確認させていただきたいのは、一方で、分野別の影響力というのも非常に強いんじゃないかなと思っています。専門学校が地域ごとに分野別の偏りがあることを考えたときに、この辺り、分野と地域とある種のクロスのデータとかがあればありがたいなと思っているんですけど、この辺りの関連についてということが1点、ちょっと質問として挙げさせていただきたいなということです。
もう一つ、コメントということなんですけれども、これは先ほど多先生のコメントとほとんど重なるんですけれども、今回ざっと見させていただいたときに、やっぱり教員研修の在り方というのは非常に大事だなと感じました。特に、今回のデータで明らかになったのが、実務系よりもむしろ指導力の研修というのがより求められているということが、時間数、そしてまた、ニーズとか提供団体というところのデータから分かったんじゃないかなと思っています。
一方で、気になる点としてあるのが、これもちょっと質問になるのかもしれないんですけれども、30ページのところで、受けたい研修というところが自由記述等でもありました。ここ、ちょっと細かいところで、読ませていただくと、例えば、学生への研修とか生徒指導の研修というのが一番上位とかに入っているんですけれども、これも本当に非常に大事な研修だなと思っていて、こういった開発が大事だなと思いつつ、職業実践専門課程ならではの研修の必要性というものがニーズとしてあったのかどうかとか、その辺りもちょっと伺いたいなと思いつつ、今後、職業実践専門課程ならではの指導力の研修の在り方ということも考えていく必要が、よりあるんじゃないかなと今回の調査を見て感じた次第です。
ちょっとコメントと質問みたいなことが合わさってしまいましたけれども、2点お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは今の御質問、1つは分野別でとっていった場合の地域性をどういうふうに考えるか、データがあるかということと、もう一つは、職業実践専門課程独自の課題というようなものが浮かび上がっているかどうかということだと思いますが、何か資料等ございますでしょうか。

【三菱総研】 御質問ありがとうございます。単に地域だけではなく、他の要因があるのではないかという御指摘、そのとおりと思います。8ページに学科の地域別の分野構成を挙げております。我々のほうで着目しましたのが、例えば、その他地域で「医療」が他の地域と比べますとやや多めであるとか、「商業実務」が多めであること、一方で、「工業分野」が、東京がNが40ですので比較しにくいですが、その他地域と比べますと割合が異なる、「文化・教養」も少なめであるなど、こういうことが恐らくほかのデータにも影響している可能性が高いと考えられます。例えば、その他地域で、指定規則上の科目であるという割合が多めに出るというのが、こうした影響が見られるところと思われます。
また、先ほども多先生からもお話がありましたように、地方のほうで小規模校というものが多くなっており、支援の必要性があるのではないかという御指摘をいただいて、そのとおりだなと思って拝聴しておりました。こうした学校の立地、規模、分野など、複数の要素が影響していると考えられます。
一方で、こちらの調査は経年でとっておりませんが、その他地域、つまり地方における学科がどんどん減っていっている可能性、学科の多様性が減っていっているという可能性もあるかもしれないと感じました。地方になれば企業の業種が少ない、多様性が少なくなるということが学科の多様性が少なくなることにつながっている可能性です。地域人材という意味では、当然のことかもしれませんが、地域の高校生の多様な進路という観点からも、その他地域の多様性についてもこうしたデータから見えてくるものがあるかもしれません。
また、2点目、研修の件でのご質問です。自由記述で出た主な回答を分類し、掲載いたしました。先生の御指摘の職業実践専門課程ならではというところですが、例えば一般の先生と学科長の先生、つまり、現場で生徒と向き合われる先生方と、学校長では、求める研修にやや違いがあるように見受けられました。学校長の先生のほうが、先生がおっしゃったような、いわゆる職業実践専門課程としてのマネジメント上の趣旨の研修希望が多く、現場で生徒と接しておられる先生方は学科運営やマネジメントの研修希望もありましたが、どちらかというと、日々学校で起こっていることに対する研修希望が多くなっていたと思います。
質問のお答えになっていないところもありますが、以上でございます。

【植上委員】 ありがとうございました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは、千葉委員、お願いいたします。

【千葉委員】 ありがとうございます。調査につきましては、大変詳細に調査をされておりまして、強みも、また、課題も十分に見えるような大変貴重な調査をしていただいたと思います。
その上で、私どもの専修学校という学校種という特徴をもう少し考えて調査をしてみたらいかがかなと、これは提案になりますが、我々専修学校、専門学校というのは、大学の学位と違って、専門士、高度専門士という称号をもらうという教育機関です。そのミッションというのは、どちらかというと地元に対する人材の供給、あるいは、その専門分野に対する適正な人材の供給といったところが我々のミッションになるのではないかと思います。先ほど岡室長のほうから御説明いただきました文科省予算などにもそれは反映をされておりまして、我々はAIとかVRとかという研究・教育も行っておりますが、それ以上に地元に対する中核人材の養成というのが大変大きな予算がついていることからも、我々の役割というのがそういったところにも見ることができるのではないかと思います。
そういう意味では、地域とともに人材育成をして、そして、大事なことは、それが地元にきちんと就職をしているということ。それからもう一つは、専門を学び、専門職として地域貢献をしているという関係性をもう少し出していただくと、専門学校の性質というか、そういったものも我々も再認識をしますし、また、社会に対するアピールにもなるのではないと思います。
また、大学とは違う第2の高等教育機関、第3なのか分かりませんけれども、もう一つの高等教育機関として、そういう特徴を持った選択肢があるということをアピールするためにも、そういう視点も持ったらいかがかなと思います。いわゆる成果について専修学校、専門学校のアピールをできるような、そういう調査を加えていただいたらいかがかなということで意見を述べさせていただきます。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
今、寺田委員、佐久間委員、小杉委員、浦部委員が挙手されております。時間の関係もございますので、まず御発言いただいて、その後、まとめて御質問等に三菱総研のほうから答えていただくというふうにしたいと思います。
寺田委員、お願いいたします。

【寺田委員】 2点、細かいことですけれど、お伺いします。
11ページ、12ページの企業連携の実習等の問題で、これは実践課程のキーポイントなわけで、これを見ますと、全体的にまだまだ特色が出ていないなという印象です。
細かく見ますと、11ページのほうで言いますと、「工業」、「商業」、「服飾」が非常に低い。これはさもありなんで、それに対して、「医療」、「衛生」、「教育・社会福祉」といったところが、いわゆる資格系が多い、これは当然そうなるんだろうと思います。問題は、量的にまだまだ非常に低い水準にとどまっているということをどう捉えるかということと、もう一点、さらに深掘りすると、その次の12ページの、11ページでは連携実習等の全体の数字ですけれど、問題は、企業の中でというのが、12ページのほうで見ると、やっぱり3分の1強ということなんですけれども、これは、例えば「工業」、「商業」とクロスさせたら、資格課程の場合はいいとして、「工業」、「商業」など国家資格化が十分なされていない分野との関係で見たらどうなるのかなというのが知りたい。1点です。
それからもう一点は、31ページの常勤教員の指導力のところの話で、常勤教員の育成に取り組めていない理由というのを見てちょっとびっくりしたんですけれど、「時間的余裕がない」という上2つ、これはそうでしょうね。どこでもそういう話になるんだろうと思うんですけど、学科長や、特に学校長が、この3番目の棒で「育成計画を立てるノウハウがない」とか、「専門家がいない」、特に学校長が50%もそう答えているというのはちょっと驚きで、えっ、これなら進まないなという印象を持つわけですが、質問は、「ノウハウがない」というのを括弧書きで「専門家がいない」ということに代表させているんですけれども、ほかにどういうことがあるんでしょうかね。マニュアルがないとか、あるいは、そういうシステム自体が存在していないということなのか、そこを伺いたいと思います。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは、佐久間委員、お願いいたします。

【佐久間委員】 全国中小企業団体中央会の佐久間でございます。いつもありがとうございます。
先ほど千葉先生はじめ諸先生方から御発言賜りましたご意見、本当にご尤もだと思います。私からは、この表の中での「企業との連携」については、特に重要だということで、方向性としても、従前より確実に出ていると思うんですけれども、この調査結果を見て、連携の方策とか、それから、実際、具体的にどういうふうに実行していくのか不明確な点が多く、今後の伸びしろがまだまだあるなということを感じているところでございます。
例えば、調査結果の17ページ、認定学科の現状として、講師選定の条件とか、講師の折衝するときの大変さというか、こういうのに比重を多くかけていると思いますが、企業等の教員、指導者の打合せなどを通じ、学校内にいる先生方でしたら、通常、専門学校とおつきあいのある企業と交流されているのでよく分かると思いますが、企業に依頼をするとなると、専門学校の事務局が一社毎に動かなくてはならない。実は、これが実務的に大変な作業になってくるのではないかと思います。事務局としては、企業先も見つけなきゃいけない、また、従来からおつきあいのある企業ばかりだと、技術や学生の就職先も従前と同じような教育ばかりになってしまいますから、今後、企業を拡大等していく中では、負担のかかる状況になるのではないかと思います。
私が思うには、実際の企業の方々、経営者とか管理者とか、そういう方々を講師として選定する、また、学内の理論的な先生方をお願いしながら、学生を企業の実習などを通して、企業人、職業人として育成するという、バランスが非常に大切だと思いますので、この辺の指導者の打合せも非常に重要であり、大変な作業であると同時に、この工程が重要な要素となるのではないかと思います。
それから、35ページになるのですけれども、職業教育に対する企業等からの評価についてですが、卒業生への評価は、これは評価をしているということで課題ではないと思うのですが、ここではもちろん、基礎的な専門知識を持っています。「高度な専門知識」が21%、これが高いか低いかもあるのですが。それから、「実習等での学びの経験(実践力)」、これはすでに備わっているというように見たほうがいいのか、課題として見たらいいのか。それから、「社会人としての常識・マナー」、こういうのは本来、低い傾向が出やすいのですが、4割弱はある程度備わっているということになります。これは課題なのか、それとも、ちゃんとマナーができているよという評価をしたほうがいいのか、その辺の数値の意味と位置づけが分かりにくいと思います。
それから、最後にもう1点ですが、社会からの評価というのが40ページにございます。回答数が45件なので、サンプル数が少なく、専修学校の担当者から専修学校に対する課題というように見たほうがよいのか判断しづらいのですが、「地域に定着する人材の育成ができていない」、「情報発信が不足している」、「専修学校のことをよく知らない」、の項目があげられており、専修学校本来の役割に対して、このような課題があげられている点は興味深いところです。そこの中で、赤枠にはついていないんですけども、「企業との連携が不十分」というのも、専修学校の担当者でも感じている点ではないかと思います。まさに企業との連携というのが、専修学校の中にいらっしゃる方の見方として理解して良いのか分かりませんけれども、どういう点で連携が不十分として考えられているのかということをさらに分析することで、課題の解決の方向性や具体策が見えてくるのではないかなと想います。
すみません、感想的なものになってしまって申し訳ないんですけれども、以上でございます。ありがとうございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは、小杉委員、お願いします。

【小杉委員】 ありがとうございます。コメントが2つです。
1つは、植上委員と基本的に同じなのですが、地方ということの意味です。地方と学科がそうですけれども、学科のその背景にあるのは実は産業構造だと思うんです。例えば、東京は非常に工業が多かったですけれども、東京は今、情報産業が非常な勢いで集積されていまして、そういう意味では需要がすごく大きいんですね。それに対して、医療サービスというのは全国あまねく必要なサービスで、そこのところの色合いがあって、そこで、千葉委員の意見とも重なるんですが、要するに、地域の需用に対してどれだけ見合っているかということが大事なのであって、地方で小さいから云々という議論はちょっと違うかなと思いました。地域分けについては少し慎重に考えたほうが、それを前面に出すことはちょっと考えたほうがいいんじゃないかなと思います。
それからもう一点は、これも佐久間委員が取り上げた17ページなんですが、これは私もとても大事だと思います。企業との連携の中のキーポイントの一つは、現場のことを、新しい情報をきちんと知っている非常勤の講師をどれだけ教育の中に取り込めるかというところがポイントになるので、これは、この後多分議論になります報告書の中でも、ぜひ非常勤の講師の話は入れてほしいなと思うところでありまして、連携の一つのポイントは非常勤である、これは非常に重要だと思いましたので、コメントさせていただきます。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
では、浦部委員、お願いいたします。

【浦部委員】 葛飾総合高校、進路指導部主任の浦部です。よろしくお願いします。
私のほうからは、高校という立場から1点御質問させていただきます。
社会からの認知ということで、御質問の中に、自治体内の個別の専修学校についての認知で専修学校担当に聞いたり、高校教育担当に聞いたりという質問があったと思うんですけれども、そもそも、もちろん出てきた答えを見て知らない方が非常に多いことにびっくりしましたが、何をここでお聞きになったのかなと。個別の専修学校について、知っていますかという質問だったんでしょうか。1校1校がどういう教育をしているかなど、個別のことについて、たとえ担当であってもなかなかそこまでは把握し切れないと思い、「あまり知らない」と答えた方もいたのかなと思いましたので、趣旨というか、そこのところをちょっとお聞きしたいなと思っております。
それから、その次のページのところで、教育委員会としては、特に情報提供をしていないという項目があったんですけれども、これも内情というか、どういうふうな形で担当が決まって、担当が何を促すのかというのは様々だと思うのですが、そこの趣旨に賛同した担当者が担当になると、割と高校のほうにいろいろな情報を流していただいたり、そうでない方が担当になると、全くそれが途切れてしまうというような、組織として、どういうふうなお立場で高校に対して情報発信をしているのかというのが、高校側からしても把握し切れていないので、こういった状況を実際に把握した後、どのような方向性を持って文部科学省さんなりが対応されるのかなというところをお聞きできればと思います。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは今、ちょっと質問系の御意見がございましたので、1つは、今、浦部委員がおっしゃっていた社会からの認知について、ある意味では質問の仕方といいますか、どういう形で問いがなされて、そこの感触はどうだったかということも含めてというのが1点目。
それからもう一つは、寺田委員から、育成に関して「ノウハウがない(専門家がいない等)」という形になっているのですけれども、その部分について何かもう少し情報がないかということだと思います。
三菱総研のほうで何か補足があればと思いますが、いかがでしょうか。

【三菱総研】 先生方、ありがとうございます。2点目の寺田先生のご質問は、学校ヒアリング調査からご回答させていただきますので、私からは浦部先生の御質問にご回答いたします。
先生のおっしゃるとおり、個別の自治体内に立地している専門学校について、個別の学校の教育にまで踏み込んで設問設定しておりません。全体的な認知を問う設問とし、5段階で、「よく知っている」から「全く知らない」まで主観的な認知度を質問しました。回答者は専門学校の教育内容を御存知ないことが多いので、「どちらとも言えない」が多くなっていると思われます。
それから、もう一点の寺田先生のご質問は、学校ヒアリング調査から御回答いたします。

【三菱総研】 説明させていただきます。
アンケートでは前提として、教員の経歴もとっており、経歴が非常に多様である、さらには、他校での経験が長いような方も学科長、学校長になっているということが分かっています。そのような中で、過去の調査からは、実は学校内での研修よりは外部研修に頼っている学校様も多いというような情報も得られております。
ヒアリングでは、もちろん人事制度、研修体系等を整えて非常に熱心な学校様もありますが、そうではない学校様もやはり存在するところです。育成するべき先生方の人材の多様性と組織体制のそれぞれで、いろいろな状況があるというのが実態と推察しておるところです。

【吉岡座長】 ありがとうございます。大変興味深い調査だったと思います。また、多委員の御発言の中にもありましたけれども、非常に重要なのは、専修学校のほうがいかに組織的に対応ができているかというのがかなりやはり要で、個々の教員等の能力の問題よりも、こちらとしては組織的な対応がどういう形でできているかというマネジメントの問題だと思いますが、それが重要だということがここからも浮かび上がっているのではないかと思います。
それから、これは小杉委員がおっしゃったんだと思いますが、地方の産業構造の問題はやはり非常に重要で、地方の産業構造によっては多様性が失われていくような要素があるということはやはり重要なことで、これは地方における専修学校の役割といいますか、機能している部分、非常に重要なところと絡んでいますので、その辺のところは考えていく必要があるのかなと思いました。やはり即戦力としての需要ということと、それから、若い人たちの将来的なことまで含めた能力の開発ということとの関係というのは非常に難しいですけれども、重要なことだと思いました。
ありがとうございます。時間のこともございますので、次の議題に移りたいと思います。
三菱総研、ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。「職業実践専門課程の充実に向けて 骨子案」について、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【岡専修学校教育振興室長】 失礼いたします。それでは、職業実践専門課程の制度の充実に向けて、資料4のほうを御覧いただければと思います。骨子案につきまして、御説明させていただきます。
前回の会議におきまして、多先生から全専各としての骨子につきまして御説明いただきました。また、これまで委員の先生方から様々な御意見を頂戴しているところでございます。そういったものを踏まえまして、今回、骨子案という形でお示しさせていただいております。
まず、1ページ、1番でございます。「はじめに」でございますが、職業実践専門課程制度の経緯等でございます。
1ポツ目でございますけれども、職業実践専門課程につきましては、実践的な職業教育に取り組む学科ということで、平成25年度に文部科学大臣が認定する制度として創設されたところでございます。
現在の状況、2ポツ目でございますが、全体の約4割の学校・学科におきまして認定を受けている状況となっております。
また、平成30年の中央教育審議会答申におきまして、「高等教育のグランドデザイン」がまとめられておりますけれども、その中でも職業実践専門課程では、学校関係者評価や情報公表等が要件として求められており、こうした質保証・向上の取組は全ての専門学校でも進められていくことが必要だということで記載されております。
また、先ほど御紹介いたしました令和4年度から、職業実践専門課程認定校への都道府県による補助に対しまして、特別交付税による地方財政措置というものが講じられるとなっております。こういったことも含めまして、さらに職業実践専門課程の充実というものが期待されます。
併せまして、その下のポツでございます。職業実践専門課程の充実を図るということと併せまして、専門学校におけます職業教育の質向上を実現するというためには、組織的に企業等との連携体制を構築するということ。そして、PDCAサイクルを確立させながら、職業教育のマネジメントを行うことが重要だということでございます。
2ポツ目でございます。職業実践専門課程の効果と課題でございます。
職業実践専門課程におきましては、教育課程の組織的・定期的な見直しによって、業界の動向・人材ニーズを踏まえたカリキュラム編成や、既存の授業内容・授業方法が改善されるということ、また、実践的な教育が企業と連携して行われているということで、実習・演習の質が充実しまして、教育内容に対する生徒の満足度の向上にもつながっているということでございます。
また、企業と連携して教員に対する研修が実施されるということで、就職先となる業界において求められる、ちょっと文言が足りておりませんでしたので補足しますが、知識や技術につきまして、教職員の理解や指導力の向上につながるというような効果も見られます。
また、学校関係者評価や情報公開が実施されるということで、専門学校におけます様々なタイプの職業教育の可視化にもつながっているところでございます。
2ページ目になります。「一方、」の部分でございますけれども、課題の関連でございます。先ほど委員の先生からも御発言がございましたけれども、まだ職業実践専門課程につきまして、高校関係者、また、企業などへの周知、認知度向上が十分でないといった点がございます。
また、企業との連携におきまして、協力を得られる企業の確保が難しいといった課題もございます。
また、認定を受けた学科、現状、約4割でございますけれども、認定要件の充足状況につきまして、さらなる確認を要すると考えられるような事例も見受けられます。今後は、この認定を受けている学科におけます個々の実践専門課程の取組の充実を図るということと併せまして、さらに量的な拡充、普及を図っていくことも重要だと考えております。
3ポツ目以降が職業実践専門課程の充実に向けてということでございます。こちらは前回、全専各さんのほうからも御発表いただいた内容を踏まえまして、まとめさせていただいております。
1つ目が学修目標の具体化でございます。学修目標の具体化に当たりましては、各分野の専門学校がどのレベルまでの人材養成を目標とするかというのを整理した上で、到達目標を明確化するということが必要となりますけれども、その際、個別企業の人材ニーズということだけではなくて、業種・職種、分野、また、地域や全国的な状況を鑑みながら業界全体、あるいはその地域におきまして、必要とされる人材像を明らかにしていくということが求められます。これに当たりましては、いきなり各学校に、はい、やってくださいというのは難しいところもあるかと思いますので、まずは取組が進んでいる業界分野の例を参考として示しながら、他に普及させていくということも考えられると思います。
また、(2)教育課程の編成・実施でございます。こちらは現在の職業実践専門課程の認定要件に即したような形で対応してまとめさせていただいております。
①が教育課程編成委員会の在り方でございます。企業との連携によりまして、継続的に教育内容の向上・刷新を図り、人材育成を図っていくということがこの実践専門課程におけます重要な要素となっております。ですので、この教育課程編成委員会におきまして、企業の委員の先生から有益な具体的意見を得ながら、それを適切に教育課程に反映させていくことが重要だと考えております。
また、その委員の選定に当たりましては、業界全体の現状ですとか人材ニーズというのをきちんと把握していただいて、必要とされる人材像ですとか、そういった人材を育成するに当たって、教育課程編成にどのように反映させることがふさわしいかということにつきまして、十分な知見を持って意見を述べていただくような委員の先生に参画していただくということが重要でございます。
また、編成委員会の運営方法でございますが、形式的にならないようにということで、例えば、事前に生徒の学習成果というのを委員の先生に十分に共有して理解を深めてもらうということですとか、委員会での議論を踏まえて、具体的にカリキュラムにどのように反映したのかということをきちんと報告をして、さらに改善意見を求めるといった取組も有益であると考えられます。
また、3ページ目でございます。実習・演習等の在り方でございます。こちらは職業実践専門課程でも重要な要素となりますので、さらに演習・実習の充実が求められるところでございます。
先ほど三菱総研さんからの発表もございましたが、実習・演習につきましては、まだ割合なども十分ではないような事例もあったかと思いますけれども、さらに充実させるために講義形式と異なる演習と実習、実技、実験の違いを明確にした上で、事業形態や企業等の連携の在り方に関しまして、分野ごとの特性を踏まえて連携科目数の目安など具体的な要件を明確化していくということが必要であると考えています。
また、その下のポツでございますが、コロナの中でオンライン授業を活用している事例も多くございます。また、コロナ後も見据えて、オンラインと、さらに対面の授業による教育効果を高めていく手法について検討というのも必要だということでございます。
また、実習・演習の実施に当たりまして、より充実した内容となりますように、学校と企業側等の日常的な情報共有でありますとか、学校における事前の学習準備、また、学内の講義のみでは不十分な重要項目の補完などを実施するということも有効だと考えられます。
また、現在の認定要件の中で、実習・演習に加えまして、生徒の学習成果の評価といったものも要件となっているところでございますが、企業側の評価も重要となりますので、評価の基準を事前に設定するといった部分の工夫も有効だということでございます。
③で教職員研修の在り方でございます。先ほどの三菱総研さんの報告の中でも、教職員研修の部分でいろいろ課題が見受けられたというものでございます。
さらに、職業実践専門課程を充実していくというところにおきまして、教職員の研修は重要だと考えております。特に、専攻分野におけます実務につきまして、教育内容や方法に反映して教育活動を実践するということで、実務に関する知識、技術、技能の習得・向上に関する研修のほか、生徒に対する指導力向上の部分の研修、まだ十分でないといったデータもございましたけれども、そういったところの組織的な研修の充実が求められるというものでございます。
また、先ほど委員の先生からも御指摘ございました、こういった部分につきまして、非常勤教員も含めて、より効果を高めるための教員研修の在り方について、さらに明確化をしていくということは考えられるものでございます。例えばという部分でございますが、各学校で教員として身につけるべき能力を明確化し、それと連動した教育研修計画の策定、あるいは、専門分野の最先端の知識を得るための研修機会を提供できる企業等の協力の確保、また、個々の教員で先ほどこういった研修を受けたいというようなデータもあったと思いますけれども、そういったニーズも踏まえながら研修機会を設定するということも有効だということでございます。
(3)以降は学習成果の可視化、学校評価、情報公開でございます。
①学習成果の可視化でございますが、企業との連携を円滑に進めて教育内容に対する理解を得ていくというためにも、学校における学習成果を可視化いたしまして、企業で必要とされる人材を育成しているということを客観的に示していくことが重要でございます。その際に継続的な学習の記録を作成したり、学習ポートフォリオを活用するということ、また、卒業生による満足度調査ですとか、就職先企業による卒業生調査を実施しまして、その結果を分析していくということ、また、在校生によります授業評価実施をするといったことも有効だと考えられます。
②は学校評価の部分でございます。4ページ目にかかる部分でございますが、現状、職業実践専門課程の認定要件といたしまして、学校関係者評価の実施とその結果の公表を求めておりまして、関係者といたしましては、企業等の役員または職員の参画を求めております。評価の結果を踏まえて、教育活動や学校運営の改善につなげていくということは引き続き重要でございますので、学校関係者評価というのは引き続き基本としながら、さらには、職業実践専門課程の充実を図るということで、専門学校における特性を踏まえて、職業教育におけます第三者評価の仕組みも参考にした検討というものが必要ではないかということでございます。
また、③の情報公開でございます。専門学校がその教育活動、あるいは教育内容を社会に対して正確かつ積極的に伝えていくことによって、社会への説明責任の遂行、あるいは教育の質保証・向上、そして、社会からの信頼の獲得などにつながっていくものと考えております。引き続き、この情報公開は重要になりますが、修学支援新制度の創設などによって、専門学校においても情報公開も進展しているところでございますけれども、さらに公開が求められる内容ですとか、公開の手法をより分かりやすく示していくことも求められると思っております。また、その際、就職率ですとか中退率等の各種データを比較可能な形で公開していく方策も検討していくことも有効だということでございます。
(4)PDCAサイクルを支える基盤に関してでございます。職業実践専門課程充実に向けたPDCAを回して職業教育のマネジメントを効果的に発揮するため基盤的要素といたしまして、組織的な教職員体制の構築というものが必要になっております。各学校におきまして、それぞれの教育理念や教育方針を明確にしながら、教職員の採用・配置・育成・評価を組織的に行うということが求められます。また、各教員の授業改善を継続的に行うことで授業の質を維持・向上させていくということは重要でございますけれども、その際、組織として研修の機会を確保するとういうことでございますとか、授業評価を実施して、そのフィードバックをきちんと実施していくということも有効でございます。こういった取組に関しましては、研修と同様でございますけれども、常勤教員のみならず非常勤教員にとっても重要だというものでございます。
また、このPDCAサイクルを回していくということは、職業実践専門課程の充実にとどまらず、専修学校全体の質の保証・向上にも寄与するものだということでございます。
(5)以降は職業実践専門課程充実に向けた具体的方策でございます。これまで各項目につきまして、今後のまとめるべき視点ということを挙げていただいておりましたが、今後、職業実践専門課程の認定要件につきまして、さらなる明確化を図る必要があるものにつきましては、実施要項等の見直しなどによりまして、より関係者に分かりやすく示していくということが必要だと考えております。その際、現行専修学校に係る制度等、様々ございますので、そういった部分の整合性も踏まえながら検討することが必要だということでございます。
5ページ目でございます。一番上のポツでございますが、職業実践専門課程につきましては、フォローアップを行っておりますけれども、きちんと認定要件を確認できているのかといった部分ですとか、他方、業務が過大になっていないのかというようなところも勘案しながら、フォローアップ手法についてきちんと見直しを行って、さらなる質の向上につなげていくということが重要かと考えております。
また、職業実践専門課程の充実を図るために、認定校における高度化・改革等の取組に対して支援を進めていくということも必要です。また、職業実践専門課程の充実に当たりまして、現在、主として私学担当部局が担当しておりますけれども、その取組をきちんと推進するということ。また、私学担当部局のみならず教育委員会、産業振興部局、雇用労働部局等とのさらなる連携も促していく必要があるというものでございます。
また、専門学校、企業、高校関係者、保護者、多くのステークホルダーの方たちに職業実践専門課程の制度の意義というのをきちんと周知をしていくということ、また、先ほどの委員の先生の御発言の中にもございましたけれども、高校との連携の観点で、高校については、専門学校への送り出し先になるということでございますので、さらなる連携を進めていくことが必要だということでございます。
また、企業との連携に関しまして、関連業界と連携する手法でございますとか、卒業生の求めに対しまして、さらなる求人先紹介の取組などを示していくということも必要でございます。
また、前回の会議で委員の先生からも御意見を頂戴いたしました。職業実践専門課程認定校におきましては、地域や大学を含めた産学連携の取組に積極的に参画をするということで、その職業実践専門課程の持つ職業教育のノウハウ、あるいは教員の資産・資源等を地域貢献にも活用していただくということで、職業実践専門課程それ自体の社会的なニーズの向上にもつなげていくことが必要だということでございます。
4番は、さらなる検討が必要な事項でございます。
(1)経営基盤の強化でございますが、職業実践専門課程の充実と併せまして、職業教育のマネジメントを確立させるためにも専門学校全体の経営基盤を強化していくということが求められます。このため、専門学校におきましても、大体5年程度を見越した中期計画の策定というのが必要だというものでございます。その際、安定的な学校運営や教育が進められますように、中期計画に基づいて必要な資源に対して投資をしていくということが重要でございます。また、経営基盤の強化方策といたしまして、連携企業からの支援などを含めました財源の多様化といったことも検討していくということが重要だと思います。
また、(2)遠隔授業の在り方でございます。コロナウイルス感染症の影響が引き続き継続することが想定されますが、コロナ後も見据えながら教育の質を担保し、遠隔授業を効果的に実施していく在り方についても、引き続き検討が必要だということでございます。
最後、その他でございますが、こういった職業実践専門課程の充実を図るための取組を契機といたしまして、専修学校全体の質の保証・向上に寄与する方策につきましても、引き続き検討が必要だというものでございます。
続きまして、資料6のほうを御覧いただければと思います。こちらが「質保証会議のまとめを踏まえたアウトプット」の、あくまでもイメージでございますけれども、この骨子につきまして、また、先生方の御意見を頂戴いたしましてまとめる形になりますが、それぞれの事項につきまして、主に、またさらに深掘りをして検討していくべき部分があるかと存じます。
令和4年度以降の部分でございますけれども、それぞれの事項を関連いたしまして、先ほど三菱総研さんからもいろいろとデータ等を発表いただきましたが、関連の委託事業を行っておりまして、様々なデータですとか事例等を収集しております。そういった委託事業で得たデータ等を活用しながら、さらに個々の事業について、見直しの方向性についても内容を詳細検討し、令和4年度以降、職業実践専門課程要項の見直しにつなげていきたいということで考えております。
私からは説明は以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございました。
それでは、この後、この点につきまして議論をしていきたいと思います。御意見、御質問等、御自由にいただければと思います。
吉本委員が挙手されております。よろしくお願いします。

【吉本委員】 私からは、資料4について3点、関係することで、ここに書いてないことも含めて、合わせると4点ですけれども、お話ししたいと思います。
1点目は、職業実践専門課程と専門学校との関係です。例えば、「1.はじめに」の6つ目のポツですけれども、専門学校の「職業実践専門課程の充実により、専門学校全体の質の保証に大きく寄与していく」。これはすさまじい仮説でありまして、どこにもそういうことは論理も根拠もないし、よく分かりません。4割の学校を充実させたらあと6割が、あるいはシステム全体が、学校全体の質の保証に大きく貢献していくというのは分からない。実際にここの文章には、職業実践専門課程に特化したことも書いてあれば、例えば4ページ目の(4)PDCAサイクルを支える基盤などは、これは専修学校全体のことを書いてあるのであって、専修学校全体を充実させれば職業実践専門課程も充実するということを書いてある以上のものではないはずなんです。それから、5ページ目の4ポツの(1)経営基盤の強化もそうです。
ということで、少し文部科学省のほうに考えていただきたいのは、「職業実践専門課程の充実により、専門学校全体の質の保証に大きく寄与していくことが考えられる」というこの文章は、見直してほしい。
実は質保証システムということを考えると、吉岡座長が部会長を務められる中教審質保証システム部会というところで高等教育の質保証が扱われています。そうすると、これは、専門学校を含めた高等教育の質保証を扱われているということでしょうか。大学分科会ではありますけれども、そこでの議論がここの専門学校に適用されるのか。私の理解としてはほとんど適用されないことを扱っていると思うんですが、その意味では、中教審の中で、専門学校の質保証を検討する分科会、部会はどこかにあるのか。これは吉岡座長というよりも岡室長、あるいは、神山課長等にお聞きしたいことにはなりますけれども、これが1点です。
2点目は、今度はこの骨子案全体として書いてあることは、最後のまとめもそうなんですけれども、この提言は学校に求めているのか、それとも他の誰に求めているのかということです。例えば、2ページ目の3.(1)学修目標の具体化ということで、これは少し文章が上手に書いてありますけれども、「各分野の専門学校がどのレベルまでの人材養成を目標とするかを整理した上で」ということは、各分野の団体にもしかすると向けられた言葉かもしれない、あるいは個別の学校なのかもしれない。最初は個別の学校だったような気がしたんですけど、文章をちゃんと書いてあるのでよいようにも見えるのですけれども、それでは、前のほうの文章の「様々なタイプの職業教育」であるとか「各分野」という分野は何でしょうかということはどこにも明らかにされていないと思います。
この骨子案の後ろのほうにもあるんですけれども、3ページの②の実習についても、「分野ごとの特性を踏まえた連携科目数の目安など」というところの「分野」は、例えば多様なバスケット分類になっている文化・教養分野でも科目数〇〇というような形を想定するのでしょうか。それはできないと思います。分野分類が破綻しているということは、どこか書いておかなきゃいけない。分野の分類をもう一回見直すということをはっきり書く必要があることです。
いずれにしても、この提言文章が、誰に対して求められるのか、個別の学校なのか、特定分野の団体なのかということですね。取組が進んでいる業界の例を参考にしながら他に普及していくということですけど、それが進んでいない分野ではどういうふうにまとめるのかという疑問もわきます。しばらく待っとけということかもしれませんけれども、お考えをお聞きしたいと思います。微妙なところだと思っております。
それから、同じ箇所ですけども、3.(2)の①教育課程編成委員会の在り方でも、その中の2つ目のポツで、「業界全体のニーズを把握して十分な知見を持って意見を述べられる委員」を、これは学校が探すのでしょうか。3,000の職業実践専門課程にふさわしい業界を見渡せる専門家が3,000人もおられるんでしょうかと。そんな多数おられるんならば、それぞれの分野ごとの人材目標が明確に設定できるはずなんだけれども、まだ学修成果目標の体系化はどこにもないように思うんですね。こういう3,000の課程が、それぞれの学校が、みんなそういうスーパースターを探してくるんでしょうかと。もうちょっと何か、書いてあってもこれは実行しようがない、そのような人材を3,000の学校がみんなそれぞれ探せと言われても、あまりちゃんとした人を探してなかったと叱られても、これは困るように思うんです。分野ごとの能力評価の基準、職業能力評価基準などのようなものもありますし、そういうものを参照してということであれば、多くの専門家が広い視野でアドバイスすることができると思います。それを専門学校の分野と突合させていくような方向というのは、これは個々の学校がやることではなくて、文科省、ないしはもう少し上位の団体や組織でやらなきゃいけないはずです。
③の教職員研修の在り方ということについても、3つ目のポツに、「各学校において教員として身に付けるべき能力を明確化する」とあります。これも各学校に求められるんだろうかと疑問に思います。
(3)の①学修成果の可視化、「学校における学修成果を可視化し」、これも学校に求められる、しかし、どこかレファレンスなりベンチマークがあるんだろうか。レファレンスなしに学校がそういうことを、適切であったとか、適切でなかったとかできるんだろうか、こういうことを思います。
細かな文言で言うと、3ページ目の「卒業生による満足度調査」というのは、これはちょっと話が違っています。卒業生による進路、キャリア、能力の調査をしなきゃいけないんです。この骨子案の論旨からいえば、学修成果が到達されたかどうかということを評価しなきゃいけないと思います。
大学における目標としては、分野別参照基準があります。大学現場ではあまり使われていませんけれども、そういうものがあります。専門学校でそういうものがないまま、3,000の学科があるべき学修成果を設定し、それを実証把握する、闇夜に手探りで何かを探し当てる、そういうことをやらなきゃいけないのかどうか、もう少し文言の書きぶりを期待したいところです。2点目は以上です。
3点目は、目安ということで、3ページ目の②実習・演習の在り方の中に「実習の目安」とありました。ここで、③の教職員研修の在り方のところには、これは③そのものの表現ではないんですけれども、実務家教員やみなし専任、あるいは非常勤に相当する者、非常勤であって、なおかつ深く学校の教育に関わっている者という意味でみなし専任、専門職大学で考えられる在り方など、こういう職業実践専門課程の制度ができた後にできた考え方というのを要件の見直しのときに考えて、「実務家教員、あるいはみなし専任教員の目安」ということを考えなければ、職業実践的な教育をやる教員の土台ができていないように思います。
4点目は、実にシンプルですけれども、1ページ目の脚注に、職業実践専門課程の要件が6つあります。千葉委員は、専門学校は専門士を出すんだとおっしゃいましたけれども、職業実践専門課程は専門士、または高度専門士を出すところかというと、これは前回、前々回にお話ししましたように、東京都のデータを私は調べてみたところ、全国だととても数を調べるのが大変なので東京都だけ調べたわけですが、東京都で2年制・3年制の職業実践専門課程433学科の中で、7学科は「専門士」の称号を出していないんです。職業実践専門課程が専門士を出すというハードルは、決して高くありません。この2つのハードルの要件の違いは、卒業時に成績によって判定して卒業させるかどうか、ですから。この7学科は成績評価していないのか。恐らくそうじゃなくて、推測するに単純に、専門士授与の申請という都道府県に出す手続が面倒くさい、あるいは価値がないと思って出していなかったと。しかし、職業実践専門課程ができた時には、これは何か得になるかもしれないと思って申請したと。
そこで提案です。職業実践専門課程の要件④「総授業時間数が1,700時間以上、または総単位数が62単位以上」に替えて、「専門士または高度専門士を授与していること」、というふうに要件を変えれば、千葉先生のおっしゃる職業実践専門課程は専門士を出しているよと、こういうアピールが明確にできるわけです。今の段階では、いや、そうでないところだってあるよと、そう言えるんですよね。将来的には、良い専門学校は全部職業実践専門課程になっているよと、7割、8割そうなってほしいと思うのです。その第一歩としてこういうことを考えます。
以上、4点申し上げました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
今、12時10分でございます。現在、手を挙げていらっしゃる方々の御意見を伺った後に、今、事務局に対する質問もあると思いますので、それについて、まとめて事務局から答えられるところは答えていただくというふうにしたいと思います。
松本委員、千葉委員、多委員、寺田委員、浦部委員の順番で御発言いただきます。
松本委員、お願いします。

【松本委員】 進研の松本です。私から御質問と意見、簡単に述べさせていただければと思います。
まず1つが4ページの情報公開、一番下のポツのところに「就職率や中退率等の各種データを比較可能な形で公開していく」という記載がありますけれども、これは何と何を比較可能と書かれているのでしょうか。他の学校とも比較できるといった意味なのかと捉えたんですけれども、ただ、いずれにせよ、私たち進研アドは学校教員とコミュニケーションをとっていく中で、専門学校から発信される情報について、就職率、あとは資格合格率なんかもそうなんですが、その母数が学校ごとに異なっているであったり、また、割合だけが掲載されている学校も多くて、正直、信用できないものもちょっと散見されるという指摘が多くございます。ですので、例えば、就職率というのは、母数は在学生数で示すんだといった統一の見解だったりとか、情報発信のルールみたいなものを発信して、学校ごとに基準が違うという今の状況は変えていく必要があると思っています。こういった取組が、ひいては専門学校全体の信頼の向上にもつながるかなと考えています。
もう一つだけ、その下にPDCAサイクルに関するところがありますけれども、質保証とか向上に向けとても重要ではあると思うんですが、これも進研アドが多くの専門学校様の御支援をしていく中で、取組の成果を定量的にはかることができている学校というのはあんまり多くないんじゃないかなという印象を持っています。どうしてもその感覚的な部分で評価している節というのがございまして、もちろん、感覚が全部悪いというわけではないんですけども、それのみですと認識のずれとかが生じてしまって、正しいチェックというか評価が難しいのではと感じています。ですので、これはアセスメントとかといったものを活用して、定性だけではなくて定量にも取組評価できる体制構築が専門学校に求められているんじゃないかなと感じています。
私からは以上になります。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
では、千葉委員、お願いします。

【千葉委員】 ありがとうございます。
私のほうからはちょっと意見を申し上げさせていただきたいんですけれども、最近は教育機関、高等教育機関にももちろんですけれども、学修者本位という考え方が最近は大分強調されるようになってきているんです。このレポート自体が学修者にスポット、焦点を当てた視点というのがちょっと足りないという感じがいたします。
職業実践専門課程というのは、企業や社会のためだけではなくて、学修者、これにはリカレント、リスキリング、こういったものも含まれますけれども、そういう学修者のためにつくられた制度でありますし、学校であります。そういう学校が行う職業実践専門課程ならではの教育システムから生み出される学修者に対する利点というのを少し盛り込む必要があるかなと思います。
それは、1つは、このシステムによって、技術の変化に対する適合がきちんとできるということ。また、実践的な実務者が教えてくれるということによる学修意欲の向上、あるいは、社会が真に求める人材を養成するということによって社会的認知の向上ということが学修者の利益になるのではないのかなと私は考えます。そういうような視点を一番最初のところにでも、1行2行入れていただくとよろしいかなと思います。
意見としては以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
多委員、お願いします。

【多委員】 ありがとうございます。多でございます。私のほうからは質問という形になります。
今回、文科省のほうに作成いただいた「今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けて 骨子案」というものにつきましては、前回、第23回の協力者会議にて全専各連のほうから提出させていただいた骨子案をベースに作成をしていただいたものでございます。その比較において大きく変わったところが2点。まず、4ページ目の(4)PDCAサイクルを支える基盤というものが独立して掲載されていること。それから、(5)職業実践専門課程充実に向けた具体的方策が記されたことであります。
前者につきましては、職業実践専門課程の充実に向けたPDCAを回していくためには、組織的な教員体制の構築が不可欠であるという視点で焦点化されたものと理解をしております。
一方で、後者におきまして、実施要項の見直しというものに加えて、フォローアップ手法についての見直しというものが記されております。この両者の見直し、非常に課題が山積している、多岐にわたるといった点もございますので、今後どのようなスケジュール感で見直しを行っていくのか、事務局の見解が現在あれば、後ほどお聞かせいただきたいと思います。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
寺田委員、お願いします。

【寺田委員】 寺田です。
簡単に申し上げますけど、毎回言っていることと同じことを申し上げるんですけれども、今回の骨子案では随分具体的なところまで踏み込んでいただいたなと思います。認定要件の問題をはじめ幾つかあると思うんですけれども、その点では大変評価したいと思うんですけれど、やっぱり見えていない非常に重要な問題が、繰り返し申し上げておりますけれども、最終的に、質の保証であるとか充実であるとか向上であるとかということを図って、どこに持っていくのかということをちょっと触れないといけないんじゃないかなという気がします。資料6では、今回の委員会での最終目標としては、方向性の提示ということを右下に書いてあります。この方向性に関わることです。
先ほど吉本さんの発言にも垣間見られたんですけれども、大学セクター等との関係で微妙な問題があるんだろうと思っていますけれども、具体的には、2の「職業実践専門課程の効果と課題」の「課題」の最後のところでも頭のところでもいいので、1ページ、2ページあたりでもよろしいので、方向、目標にどういう充実した実践課程にしていくかということについて論及してほしいなと思います。
高等教育機関の一種としての認知を進めていくということになると、なかなかこれはすぐに、多分、文科省の中で合意が難しいんだろうなという気がいたしますけれど、少なくとも、前回も言いましたけれども、専門職大学、短期大学、あるいは通常の専門課程との違いの中で特色を出せるような、しっかりした実践課程にしていくというあたりぐらいは言えるんじゃないかなという気がしますので、その点での検討をお願いしたいと思います。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
浦部委員、お願いします。

【浦部委員】 お願いします。
私のほうからは5ページのところなんですけれども、高専連携とのことが書いてあります上から4つ目のところになります。「保護者」と書いてあるのは、高校に生徒を通わせている保護者という意味で、保護者というふうに明示していらっしゃるのかなというところをちょっと明確にしていただきたいなというところと、あと、「高等学校は専門学校への送り出し先となることからさらなる連携を進めていくことが必要である」というのは、個別の高校と個別の専門学校がやるべきものなのか、それとも、大きなところで教育委員会、先ほど教育委員会からの周知があまり最近なされてないという実感を持っているという感想を述べさせていただきましたけれども、どこがそういうことを大きな視点で進めていただけるのか、個人個人の個別の高校がやるべきものなのか、個別の専門学校がやるべきものなのか、何か大ざっぱに連携が必要、これは必要に違いないんですけれども、その具体的な進め方についてもしっかりと示していただくと、我々高校としては非常に方向性が見えてくるかなと思います。
以上です。

【吉岡座長】 ありがとうございます。挙手されていた方は以上だと思います。
私から一言。1つは、先ほど御質問にありましたが、大学分科会の中の質保証システム部会との関係、これは細かいところは多分、難しいところがあると思うのですけれども、非常に端的に申しますと、今、質保証システム部会で直接的に扱っているのは大学設置基準、それから認証評価機構の在り方等ということで、そういう意味では、いわゆる大学を中心にしたシステムが念頭に置かれています。
しかし、そこでは大学設置基準や認証評価機構の在り方と同時に、やはりかなり重要な論点として、公表性をどういうふうに担保していくかという点が入っています。そこで議論されていることは、直接とは言えないと思いますけれども、ここでの議論、専修学校の在り方にいろんな点で関わっていると感じているところです。それが1点目です。
それから、もう一つ意見といいますか、今の議論を聞いていて、それから、この骨子案を読んでの意見なんですけれども、私も千葉委員と非常に重なるところがありまして、最初のところに中教審のグランドデザイン答申が触れられていますけれども、グランドデザイン答申の一つの非常に大きな柱は、学修者本位の教育という点でした。もう一点は、社会に開かれた教育という点だと思いますが、学修者本位ということを考えた場合に、企業やその地域のニーズだけではなくて、そこに入った生徒、あるいは、そこに進んでいこうとする高校生であったり、あるいは、会社からリカレントで入ってくる人たちのニーズということをきちんと把握しておく必要があるだろうと思います。
これはあらゆる教育機関でそうだと思いますけれども、実際に社会の変化は、特にインターネット等が発達しているので、若い人たちのニーズはどんどん発展していくわけです。それが全て正しい方向であるかどうかは分かりませんけれども、しかし、多分、企業が把握しているのよりも速いスピードで世の中を変えていっているのが若い人たちの感覚なので、それを抜きにしては多分、学校教育自体が追いつかなくなってくる。企業のニーズよりも、多分そこで学んでいる人たちのニーズや、あるいはそのキャリア意識、あるいはキャリアデザインということを考えないと遅れてしまうだろうというふうに感じました。その点は、何らかの形で入れたらいいかなと私も思ったところです。
すみません、既に23分になっておりますが、今いろいろと御意見、御質問あったところで、事務局からまとめて、答えられる範囲でお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

【岡専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。様々意見を頂戴いたしまして、非常に参考になります。
それでは、順番に御意見等いただいた部分につきまして、漏れがあるかもしれませんが、御説明させていただきます。
まず、吉本先生のほうから、まとめに関しまして、「職業実践専門課程の充実により、専門学校全体の質の保証に大きく寄与している」というところ、かなり飛躍しているのではないかという御意見を頂戴したかと思っております。この充実というのは、4割を充実させることも当然なんですが、量的に、4割にとどまらず、さらにそれをもう少し拡充、量的にも増やしながら専門学校全体にも、質の向上にも寄与したいしたいという趣旨で書かせていただいておりますが、十分にニュアンスが伝わっていない部分もあるかと思いますので、文章等につきましては、見直し等をさせていただきたいと思います。
また、中教審の中での専門学校の質の保証の部分につきましては、今、座長のほうからコメントあったとおりでございます。専門学校に特化した部分としましては、こちらの専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議におきまして、まさに平成24年に設置をされまして、御議論いただいているところでございますので、引き続き、先生方から御意見を頂戴したいと思っております。
また、2点目の学校に求めている部分と、あと、誰に求めているのかよく分からないといった部分、御意見を頂戴いたしました。例えば、学修目標の具体化ですとか、教育課程編成委員の確保でありますとか、各学校でできるところとできないところ、団体としてやるべきところというところがあるという御意見を頂戴いたしました。そういったところも踏まえまして、今、記載が十分でないところもあるかと思いますので、記述につきましては見直ししたいと考えております。
また、3点目といたしまして、目安の関係で実務家教員に関して御指摘を頂戴いたしました。御指摘のように、職業実践専門課程、まさにそういった実務家教員ですとか、そういった先生方が関わっていただいているかと思います。そういった部分につきまして、要件として入れ込むことができるかどうか、現状などもきちんと分析して、引き続き検討させていただきたいと思います。
また、併せまして、専門士についても御指摘を頂戴いたしました。前回の会議でも補足で説明させていただいたところでございますが、専門士に関しましては、現在、修業年限2年以上につきましては、9割以上で専門士の認定がなされているところでございますので、職業実践専門課程の認定と非常に重なってくる部分も多いかと思います。現状もきちんと分析しながら、要件として盛り込めるかどうかにつきましても、引き続き検討させていただきたいと思います。
また、松本先生から情報公開のコメントをいただきました。先生御指摘のとおり、学校ごとになかなか情報公開の基準が異なったりして分かりづらいといった部分、あるかと存じます。今、認定要件の中で情報公開を求めておりますので、かなり詳細な情報は公表されているところであるんですが、それは、例えば、各学校のホームページの非常に分かりにくいところまでいかないとたどり着かないとか、そういった課題もあるかと思いますので、先生からいただいたコメントも踏まえながら、学校ごとにきちんと一覧として分かるような在り方につきまして、引き続き検討したいと思います。
また、千葉先生から御指摘いただきました学習者の視点に充てたという部分につきまして、記載が足りないというところ、ごもっともかと思っております。いただいた御意見を踏まえまして、記載につきましては追記させていただきたいと思います。
また、多先生から、フォローアップの見直しに関しまして、スケジュールといった部分につきまして御質問いただきました。こちらはまさに、また関係の先生方とも御相談させていただきたいと思っているところでございますが、まず、認定要件の部分につきまして、さらに明確化していくというところを来年度、令和4年度ではやっていきたいところなんですが、それと並行して、従来の要件のままのフォローアップをやるべきなのかどうか、現場ではちょっと混乱するのかなというような懸念もございまして、ただ、一方、全くやらなくていいのかというところもございますので、このスケジュールにつきましては、引き続き、どのやり方が一番ふさわしいのかということにつきまして検討した上で、また御相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、寺田先生のほうから、質の保証・向上をどこに持っていくのかというところが明確ではないという御指摘をいただきました。こちらに関しましても、御意見を踏まえまして、もう少し、どういう方向性にしていくのかというところにつきまして、記述を書かせていただきたいと思っております。
また、浦部先生のほうから高校との連携の関係で、保護者についてもう少し明確にということを御指摘ございました。こちら、御指摘を踏まえて修正させていただきたいと思います。
また、個別の高校と専門学校との連携ということではないのではないかという御指摘がございました。こちらで想定しておりましたのも、最終的には個々の高校と専門学校との連携ということもございますけれども、当然その学校だけということではなくて、教育委員会なりそれなりの単位できちんと進めていくということが必要かと考えておりますので、その点ももう少し分かりやすく記載させていただきたいと思います。
具体的な進め方というところにつきましても、もう少し分かりやすく書かせていただきたいと思います。
足りない部分があるかと思いますが、事務局のほうから説明は以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
手を挙げられた方はほぼ皆さん発言されていますが、吉本委員と小杉委員が今、手を挙げられていますが、時間がほぼもういっぱいなので、ほんの短いコメントをお願いしたいと思います。
では、吉本委員、お願いします。

【吉本委員】 資料6の題名ですけれども、「質保証会議」まとめというのか、「質保証・向上会議」とするのか考えていただきたい。私は、「質保証会議」ではなくて「質保証・向上会議」だと思っているんですけれども。
以上です。

【吉岡座長】 分かりました。
小杉委員、お願いします。

【小杉委員】 リスキリングとかリカレントとかいう方向性は、書き込んでいただきたいと思います。
以上です。

【吉岡座長】 分かりました。リカレントの問題、重要だと思いますので。
ということでちょうど時間なのですが、今、いろんな御意見いただいたことの一つは、この骨子案、いろんなところに言及はされているのですが、すごく一般的な書き方になっていて、これは実際にはどういうことだということがよく分からないところがあるという御指摘がかなりあったように思います。骨子ですので、どこまで踏み込んだ形にするかということは考えていかなければならないとは思いますけれども、その点、つまり、ここで言っていることは、こういうことを具体的にイメージしているのだということも考えていく必要があるだろうと思いますし、ここでまとめを出していくからには、実効性のあるものを出していかなければならないと考えております。
よろしいでしょうか。ほぼ時間ですので、発言されなかった方も、もしも何かありましたら、また事務局のほうにメモでも送っていただければと思いますし、発言された先生方も、こういう点、また気がついたということがあれば、事務局のほうに御連絡いただければと思ってございます。
その他、何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、事務局のほうから御発言いただければと思います。次回の日程等お願いいたします。

【岡専修学校教育振興室長】 長時間にわたりまして、どうもありがとうございます。次回会議の日程につきましては、3月30日水曜日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
活発な御意見、ありがとうございました。事務局のほうで大変だと思いますが、これを踏まえて、より充実した案をつくっていくということをお願いしたいと思います。
本日、これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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