専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第18回) 議事録

1.日時

平成29年12月8日(金曜日)10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省9F生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 平成30年度専修学校関係概算要求等について
  2. 職業実践専門課程制度の進捗状況等について
  3. 社会人等向け短期プログラムについて
  4. 職業実践専門課程における第三者評価の検討状況について

4.出席者

委員

植上 一希  福岡大学人文学部准教授
浦部 ひとみ 東京都立青井高等学校主幹教諭、東京都高等学校進路指導協議会事務局長
大井川 智明 日本商工会議所企画調査部担当部長
岡本 比呂志 学校法人中央情報学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会副会長
川口 昭彦  大学改革支援・学位授与機構顧問・名誉教授、専門職高等教育質保証機構代表理事
黒田 壽二  金沢工業大学学園長・総長、日本高等教育評価機構理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー
小林 光俊  学校法人敬心学園理事長、日本児童教育専門学校校長、全国専修学校各種学校総連合会会長
今野 雅裕  政策研究大学院大学特任教授
清水 信一  学校法人武蔵野東学園常務理事、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
前田 早苗  千葉大学国際教養学部教授
前鼻 英蔵  学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事、全国専門学校青年懇話会会長
吉原 宏幸  東京都生活文化局私学部私学行政課長
吉本 圭一  九州大学人間環境学研究院教授

文部科学省

常盤 豊   生涯学習政策局長
塩見 みづ枝 文部科学戦略官
萬谷 宏之  生涯学習推進課長
廣野 宏正  専修学校教育振興室長
星川 正樹  専修学校教育振興室室長補佐

オブザーバー

関口 正雄  特定非営利活動法人私立専門学校等評価研究機構理事

5.議事録

【黒田座長】  皆さん、おはようございます。未着の方が2名いらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまより「専修学校の質保証・向上に関する調査研究協力者会議(第18回)」を開催させていただきます。皆様方には、師走の大変お忙しい中にお集まりを頂きまして、ありがとうございます。

 はじめに、委員の紹介をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  今年度より新たに御協力いただきます委員といたしまして、前回御欠席でございましたので御紹介させていただきます。

 日本商工会議所企画調査部担当部長、大井川智明委員でございます。

【大井川委員】  大井川でございます。よろしくお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  以上、御紹介でございます。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 続きまして、事務局に異動がありましたので、これも併せて御紹介をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】  前回開催いたしました6月の会議以降、事務局内に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 まず、生涯学習政策局長に常盤が着任しております。

【常盤生涯学習政策局長】  常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  続きまして、生涯学習統括官が異動いたしまして、文部科学戦略官として塩見が着任しております。

【塩見文部科学戦略官】  塩見でございます。よろしくお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  最後でございます。私、専修学校教育振興室長の廣野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【黒田座長】  皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会議を進めてまいりますが、本日は報道関係者より写真撮影と録音の申出がございました。これを許可しておりますので、皆様方におかれましては御承知の上、御発言をお願いしたいと思っています。

 まず初めに、事務局より本日の配付資料について確認をお願いしたいと思います。

【廣野専修学校教育振興室長】  本日の配付資料でございます。お手元にも議事次第を御用意させていただいておりますが、資料1から11までを御用意しております。

 また、前回配付資料及び議事録又は参考資料といたしまして、皆様方の机上にドッチファイルで資料を御用意させていただいております。もし落丁等ございましたら、御指摘いただけますと差し替えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【黒田座長】  よろしいでしょうか。

 それでは、議事に移りたいと思います。最初に議題として、平成30年度専修学校関係概算要求等について、事務局より説明をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  それでは、資料1、2について御説明をさせていただきます。

 資料1につきましては、平成30年度の専修学校関係予算の概算要求の全体像をまとめた資料でございます。こちらにつきましては、昨年度の予算全体額といたしまして、一番下の合計の括弧でございますが、約36億円でございます。これに対しまして、30年度の概算要求といたしまして50億ということで要求させていただいてございます。年末でございますので、今、調整の真っただ中でございますが、このような状況になってございます。

 内容といたしましては、昨年度に御議論いただきました今後の進行の在り方についての報告でも3つの柱として御提示いただきましたように、「専修学校教育の人材養成機能の向上」、「専修学校教育の質保証・向上」、そして、「学びのセーフティネットの保障」ということで柱を立てまして、それぞれ提言を踏まえまして必要な要求をさせていただいているところでございます。

 続きまして、おめくりいただきまして、2ページです。その中の一部でございますが、「職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進」についての資料を御用意させていただいてございます。これまで本会議でも様々な御議論、御提言を頂きまして進めてきておりましたメニューで、学校評価の充実を主に中心に取り組んできたところでございます。この事業の中身の組み換えとして、マル2でございます。来年度の要求といたしましては、「教職員の資質能力の向上の推進」ということで、研修に力を入れる形でメニューを組み換えさせていただいているところでございます。

 そして、その右隣り、マル3でございます。第三者評価の取組をこれまでも御議論いただき、進めてきたところでございます。第三者評価の取組自体は、実施から今年で4年が経過するということ。また、本日、議題の中でも御発表いただきますが、様々な取組を通じて多くの知見を得ることができたと考えてございます。次年度の取組といたしましては、そうした第三者評価も含めて、先進的な取組の推進ということで、職業実践専門課程の高度化に資する取組について幅広く調査研究が行われるメニューとさせていただいてございます。次年度につきましても、様々な検討に資するような取組を進めていけるよう、必要な予算を獲得し、様々な形でまた先生方にも御協力いただきたいと考えてございます。

 そして、来年度の要求につながるということでございまして、資料2で公開プロセスについての資料を御用意させていただきました。こちらは政府全体の取組といたしまして、各府省で行っている事業について、その実態を把握・点検し、結果を今後の取組に活かしていくことを進めてございます。その一部でございますが、外部の有識者を交えて公開の場で議論する「公開プロセス」というものがございます。この質保証・向上の事業につきましても、今年度6月にこの公開プロセスの対象になりまして、様々な角度からの御指摘を頂いたところでございます。

 内容につきましては、2ページに評価の結果又は取りまとめていただいたコメントをまとめてございます。大きくは、評価という取組以外の様々なアプローチで質保証・向上のための取組を検討していく必要があるというご意見を頂いてございます。また、評価の取組としての実質といった点についても着目する必要があることを御指摘として頂いております。

 このような公開プロセスでの御議論、御指摘を踏まえまして、来年度の概算要求に反映させていただいたのが、先ほど御説明した内容になってございます。1つは、評価に偏らない事業内容とさせていただいたということ。また、経費の圧縮ということで、メニューを精選させていただいたということでございます。

 このような御指摘も踏まえまして、今後の対応について、3ページの下段でまとめございます。既に昨年度の「これからの専修学校教育の振興のあり方について」(報告)でも頂いておりましたとおり、質保証・向上の取組として、評価以外のアプローチについても御提言を頂いております。教職員の資質能力の向上の推進。また、社会的な理解度・認知度の向上。そして、職業実践専門課程の質保証・向上に向けた方策の検討ということでご提言頂いてございますので、こちらについては今年度の事業又は来年度の要求に組み入れさせていただいているものもございますし、さらに赤字で書いてございますけれども、第三者評価の位置付けについては、また、この会議でも御検討、御議論いただきたいと考えてございます。

 また、評価の実質化につきましても、来年度の取組の中で進めていきたいと考えてございますし、その結果を踏まえた御議論についてもお願いしたいなと思っているところでございます。

 2つ目のマルにございますように、自己評価公表の実施率が義務という制度的な位置付けに対して100%になっていないことにつきましても、様々な角度からどのような形で取組が進めていけるか、本会議でも御議論、御検討いただきたいと考えているところでございます。

 以上、資料1、2の御説明でございます。

【黒田座長】  ありがとうございます。ただいま説明のありましたことについて、何か御意見、御質疑ございますか。特別よろしいでしょうか。概算要求ですから、満額実践に向けて、ひとつ御協力いただきたいと思います。

 それでは、次の議題に移ります。「職業実践専門課程制度の進捗状況について」、事務局から説明をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  それでは、「職業実践専門課程の進捗状況について」、資料3、4、5に基づいて御説明させていただきたいと思います。

 なお、今回、今年度の実態調査の調査概要について資料4を御用意させていただいております。こちらの内容につきまして、受託頂いております三菱総合研究所の沼田主任研究員に質疑応答の対応で御発言ができるようにお願いできればと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

【黒田座長】  是非そうしてください。

【廣野専修学校教育振興室長】  ありがとうございます。

 それでは、資料について御説明をさせていただきます。まず、資料3でございます。今年度、新規の職業実践専門課程の日程についての申請状況をまとめた資料でございます。今年度の申請は学校数でいきますと、104校から新たに167の課程について認定の申請が出てきてございます。それについて、今、内容についての確認をさせていただいているところでございます。経年的な推移で見ますと、やはり学科数の新規の申請数は低減状態になってきてございます。また、学校数もこの104校が丸々新規というわけではございませんで、既に認定を受けている学科を持っている学校が、新たに別の課程についても推薦する、ということも含まれますので、104については、そのまま純増ということにはならないかと思いますが、学科数については167が新規の申請ということでございます。

 なお、名称の変更も申請の中にはございますし、また、認定の取り下げといった変更等もございますので、全体の数字については、また改めて確定した段階でお示しできればと考えてございます。

 資料4でございます。職業実践専門課程の取組、今後の制度の在り方、振興の方策についての検討の材料となるようにということで、実態調査をさせていただいているところでございます。この中間報告ということで、データを集計したものを検討の材料としてお示しさせていただいてございます。こちらは1ページおめくりいただきますと、11月29日までの集計についての分析でございます。こちらの調査の分析評価につきましては、今年度、まだこの調査についての検討会議で更に分析を進めて頂きたいと考えてございますので、あくまでも中間報告として受け止めていただければと思ってございます。この分析に当たりましては、本日御欠席の寺田委員を委員長として植上先生、岡本委員、小杉委員、清水委員、吉本委員にも分析についての御協力を頂いておりますので、引き続きの御協力をお願いできればと思ってございます。

 また、おめくりいただけますでしょうか。全体について細かくやっていますと時間がかかりますので、かいつまんでの説明とさせていただきます。2ページでは、回答数の学科の区分について、まとめてございます。認定の学科で多い傾向といたしまして、医療分野の中では認定学科が少なく、非認定学科では大きくなっているということがございます。こうした分野の状況が調査結果にどのような影響を与えているのかについては、更に調査委員会での分析をお願いしたいなと思っているところでございます。

 もう一枚おめくりいただきまして、3ページは、認定年度の状況を示すものでございます。初年度の認定が最も多く、そこから大体半減ずつしている状況でございます。

 次、4ページでございます。認定課程と非認定課程ごとに、教育課程に関する様々な取組状況について伺ったものでございます。認定課程と非認定課程の差が10ポイント以上あるものを赤枠で囲ってございます。こうした取組の差が認定、非認定の中でどのような影響を及ぼしているのかというところで更に分析したいと考えてございます。ただ、認定課程におきましては、全体の傾向として様々な取組をより積極的に講じているという状況が見られるのではないかと思ってございます。

 続いて5ページでございます。昨年度の検討会議でも御指摘がございましたが、教育課程編成委員会、職業実践専門課程で取り組んでいただいてございますが、そこでの取組が効果的に運用されているのかどうかというところが御指摘としてもございました。その取組状況でございます。検討の内容をカリキュラムへ反映したということと、その状況をどのような形でフィードバックして確認しているかという取組で、教育課程編成委員会の方で確認している割合が約9割となってございました。

 一方で、学校全体の評価の取組としての学校関係者評価で確認しているところは、半数強に留まっているというデータでございます。

 おめくりいただきまして6ページは、教育の中で重視している取組を、認定、非認定ごとに確認したものでございます。こちらは10ポイント以上差があるものは赤枠で囲わせていただいております。すべての取組において認定学科が非認定学科を上回っているという状況でございます。特に注目したいと思っておりますのが、一番上でございます。地域産業界との連携でございまして、こちらも職業実践専門課程の認定の要件の一部でもございますので、こうした特色、他機関との連携が現れてきているのではないかと思ってございます。

 続いて7ページでございます。各種方針の策定状況を伺っております。大学でいうところの3ポリシーでございますが、専門学校においての取組状況を伺いました。認定課程においては8割以上の学校で、これらの方針が策定されているという回答でございます。

 8ページ、「教員に対する研修における企業等との連携」ということでアンケートを取らせていただいたものでございます。様々な企業との連携としてアプローチがあるところでございますが、すべての方法において認定課程においては企業との連携が積極的に行われていることが表れているかと思っております。

 9ページで、「教職員の資質向上・担保に関する取組」ということで、研修以外に教職員の資質向上策として取り組んでいる事柄について質問をいたしました。こちらは認定と非認定で20ポイント以上差があるものについて赤枠で囲っているところでございます。認定課程において学生による授業評価が9割以上実施されていることも、このようなデータから見て取れましたので、そういったところについての分析を深めていければと思っております。

 10ページが、教職員の能力開発への専任職員の参加状況を伺ったものでございます。こちらの参加の割合も認定学科の方が数多くの教員を参加させているという状況であろうかと思います。

 11ページ、学校評価の実施状況は、専修学校全体としては100%に至らない状況もございました。職業実践専門課程でアンケートに回答いただいたところでございますが、自己評価、学校関係者評価については100%の実施、また、実施するということでございます。

 12ページでございます。学校評価関係者評価の実施体制についても伺っております。教育課程編成委員会との連携が7割ということで行っている状況でございました。ただ、その実質面での取組という点では、委員会への事前説明、資料の事前配布という状況については、まだ不十分な点があるのではないかというところでございます。

 13ページは、今年度の取組といたしまして新たに導入いたしました認定学科のフォローアップ、また、情報公開の方法の改訂についての認知の状況を確認したものでございます。まだフォローアップについては認知の状況が低いということがございますので、引き続き周知が必要だと考えてございます。

 一方で、情報公開の面につきましては、最新の情報を公開する取組についての認識と対応については、非常に高い状況になっているということでございます。

 以上でございます。まだほかの項目についても調査をしているところでございますが、今回は中間報告ということで出させていただいたところでございます。実際の詳細分析については、また引き続き実態調査の委員会の皆様方にもお願いしたいと思っているところでございます。またこうしたデータを基に、今後の更なる充実につなげていけるような検討を進めていきたいと考えておるところでございます。

 続いて、資料5は職業実践専門課程について、中ほどに現状と課題でもございますが、昨年度のあり方検討会議におきましても、社会的認知を高める周知を図っていくことが課題として言われているところでございます。そうした対応の一方策として考えているところでございまして、現在、職業実践専門課程が認定されたということを公的に示すものとしては、官報で告示をさせていただいているところがございます。個々の学校の手元にその認定されている状況を示すものがないことについて、関係の方々からもそのようなものがあったらいいのではないかというお声を頂いているところでございます。そうした証明するものを活用しながら、様々な場で職業実践専門課程というものの存在、また、そのような取組について周知を図っていけるようなツールとして活用できるようなものということとして、認定の証明をする証明書の発行の仕組みを構築できないかということで、その検討をさせていただいているところでございます。このような取組に限らず、更に職業実践専門課程の周知、また、認知度の向上に深く資する取組について御意見、御助言を頂ければと考えているところでございます。

 以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございます。ただいま事務局から説明のありました職業実践専門課程の新規認定状況、それから、実態等の調査について、何か御質問、御意見はございますか。

 それでは、吉本委員、どうぞ。

【吉本委員】  新規認定状況を丁寧に説明いただきましたが、そのニュアンスを聞くと拡大がストップしているようにも思えるのですけれども、4割で止まるということはどういうことなのか。データから簡単には言えないと思うのですけれども、調査に関わってみますと、もともとその条件を普通にほぼクリアできており、たくさんの書類を書かないで済めば、もうそれでもともとクリアしている学校があると考えるか、ないと考えるか。あるとすると、それはどれくらいか。数の確定は難しいかもしれませんが、なぜそういう学校がこの課程を申し込まないのか。その辺の分析を少しお聞かせいただければと思います。

【黒田座長】  何か御回答できますか。

【廣野専修学校教育振興室長】  資料4でお配りさせていただいた回答校の学科の区分でも、分野によって認定課程と非認定課程の特徴が出て来る。具体的には、医療関係については、非認定学科での比率が高いところが分類としては出てくるところがございます。そこが認定を受けない、受けようとしない、受けられない区分がまた更に分析の中で分類していくことが必要かと思いますが、既に資格取得の養成課程で認定を受けているところも医療の関係では多いかなというところもございます。そのようなところでは、まさに就職後の先との連携を図りながら要請を図っているという取組の実態としてはあろうかと捉えてございますが、そこがあえて職業実践専門課程という認定、そこはわざわざここまで申請して書類を作成して体制を整えてということを超えてまで受ける意義がどう捉えられているのかというところも、精緻な分析がなければ判断ができないところではございます。

 まず、取組として、今、認定を受けていないところが、企業と連携した実践的な教育を展開していないことではないだろうと受け止めてございます。そのようなところがこの認定を受けていただくか、受けていただかないかというところについては、確かに手間の部分が回答の中でも頂いているところではございますので、そこの手間が進まない状況なのかどうか、また、それを受けたことによって何かの効果が得られるということが認定を受けようとしない要因であるのかどうか。そこについてはまた分析が必要かなと思っておりますが、効果については今、実態調査を進めさせていただいている中で明らかにしながら発信をしていきたいなと思ってございます。

【吉本委員】  今、「手間」という話が出ましたけれども、それ自体はそんなに大したことでもないようにも思うのですよね。ということは、国家資格があれば、それを超えるようなメリットはないし、インセンティブがないという点を認めて、その上で、我々はどういう議論をするかということが課題ではないかと思うのです。調査を何年も実施していますので、およその傾向が見えているようにも思います。三菱総研の委員会でもそういう議論はしています。条件を満たすのに、なぜ非認定学科なのかというような問いをみんなが持っているので、少しそこの議論を先に進めて、2割ぐらいは普通にしっかりしたインセンティブがあれば増えるのではないかと推測します。つまり、この制度が専門学校のデファクト・スタンダードになっていくものなのかどうなのかということが、結構大切かなと思うのです。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 では次、前田委員、どうぞ。

【前田委員】  直接このことではないのですけれども、先ほど認定を取り下げているところが少しあるというお話があったのですが、その理由はどこにあるのか、お分かりだったら教えていただきたい。

【廣野専修学校教育振興室長】  頂いておりますのが、募集を停止したとか、取組自体を閉鎖に向けて、組織の改編に向けてやっている途上であるということを理由として認定の対象を外すといったことについて頂いております。

【黒田座長】  よろしいですか。

 職業実践専門課程の高度化周知の必要性について、岡本委員、前鼻委員、何か御意見ございますか。

 それでは、前鼻委員、どうぞ。

【前鼻委員】  データの方で質問があるのですが、非認定学科、医療系は、どのような学校なのかと思うのです。多分、単科の看護の学校が多いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【廣野専修学校教育振興室長】  非認定学科が664御回答いただいている中で、医療分野がこれでいきますと304学科になります。うち学校名で、「看護」と名の付くものが172学科ございました。その学科が単科なのか、ほかの課程を持っているのかというところは、データからはまだ追い切れていないところでございますが、看護と名の付くところとしては、そういう172学科でございます。

【前鼻委員】  気になっていたのは、病院とかの看護学校があるわけですが、比較的そういったところは専各に入っていないので、こういう通知が各都道府県からきたとしたときに、取組として、専各で一体になっていろいろやっているのですよという言葉が届いていないと思うのです。そういう意味で、専各に入っている学校さんの専門課程の推進と、入っていないところに対しては、全く働きかけが都道府県の行政単位になってしまうので、届いていない。そこに職業実践専門課程を認定するというメリットを感じないというところにつながっているのではないかなと感じているものですから、ここのところを少し細かく分析する必要が、専各に入っている、入っていないという部分も実は必要ではないかなと思っております。

【黒田座長】  ありがとうございます。それもまた今後分析する必要があると思います。

 岡本委員、どうぞ。

【岡本委員】  職業実践専門課程4年目ということになりますが、学校数で32%、学科数で39.5%、2年制以上ですね。約40%という数字は、私は当初発足のときに想定した以上の専門学校が取り組んできた結果の数字ということで、これほど多くの専門学校が取り組んだのかなと、私は受け止めているのです。

 一方で、申請をしない学校や学科もありますので、その辺の分析も必要かと思いますが、さっき言ったとおり、医療系に限らず国家資格を有する認定施設、養成施設については、国家資格があり、認定施設だからということも理由になっているのかなと思います。

 それから、学校の規模ですね。専門学校は何千人とか、1,000人以上の学校とか、大規模校もありますが、一方で、200人、300人、あるいは地方にいけば100人とか、それ以下もあるわけでありまして、そういう中小の専門学校ですね。都道府県協会などでいろいろな声が聞こえてきますが、事務的な手続をする人員をなかなか割けないとか、あるいは、産学連携の企業側の協力を得る恒常的な取組が、コスト面、人的な面、学校運営上、なかなか手が回らないという声も聞こえてきます。

 一方で、認定された後のメリットといいますか、その結果どうなのだということも含めて、そういう意味では、都道府県のいろいろな認定学科に関する助成も少しずつ、今、全専各で調べても8県ぐらいでしょうか。助成すると。額は少ないのですが、そのような一定程度の補助も始まっております。高等学校側も大分関心を持って少しずつ認識を広めていただいているということでいいなと思うのですが、都道府県における助成の振興策も併せてやっていただくことで、たとえ規模が小さい学校、小さい学科であっても、認定に向けての取組が進められるということはあるのではないかと思っております。

【黒田座長】  ありがとうございます。ほかにございますか。

 どうぞ。

【吉原委員】  資料5についての意見ですけれども、職業実践専門課程のより一層の周知方策ということで、この認定書を発行するという取組は非常によい取組だと思っておるのですが、この「学校の申請に基づき」ということに限定しているところに引っ掛かっております。というのも、改めて申請をすることになると、そこにまた手間が発生するということで、やはり中には申請されない学校さんも出てくるのだろうなと。そうすると、ある学校には認定証があって、ある学校にはないという状況があると、この「より一層の周知方策」という趣旨からすると、少し中途半端な感じがするなと感じております。これは意見ですけれども、であれば最初の認定時の告示の官報掲載されるタイミングですべての学校に認定証を発行してしまった方が、各学校さんにとっても手間もないですし、実際、申請を受けることになると、その申請を受け付けて内容を確認してという作業も発生してしまうことからすると、一律に発行してしまう方が今回の目的にもかなうものかなということで、是非御検討いただければと思います。

【黒田座長】  ありがとうございます。この件、重要なことなのですが、何か分けた理由はありますか。

【廣野専修学校教育振興室長】  これまで既に認定を受けた学科、学校もございますので、そのようなところの手当をどうするかというところもあるかなと思っておりました。御指摘いただいたように、通常新たな新規の認定の際に、それと併せてこういうものも発行していくというところで、通常の認定の事務の流れと組み合わせてやっていくところが平常的な発行の手続としてはあり得るかなと思っておったところでございます。

 一方で、既に認定を受けて、これから特段、申請手続きがないところもございますので、そのようなところが活用したいということで、申請いただいたところに対しては発行していくのを基本的な考え方として採ったところでございます。その辺も一律にやってしまうのか、それとも申請があったところにするのか。これは発行すること自体というよりは、発行したものを活用していただくことが重要かなと思ってございましたので、一律にバンテージするよりは使うところに対して証明書がお届けできるように、この資料については考えを採っていったところでございます。

【黒田座長】  そのようなことらしいのですが、いかがですか。

【吉原委員】  分かりました。

【黒田座長】  ほか、ございませんか。

 どうぞ。

【大井川委員】  ありがとうございます。資料4の調査の件で、若干関心があった部分で申し上げたいのです。6ページで重視している取組2-5ですけれども、「産業界との連携」というところで、認定学科は55%、重視しているという結果になっていまして、これは全体を見ますと、もともとの学科区分との整合性で見ますと、ちょうどこんな感じかなと思っております。私が関心あるのは、むしろ重視していながら産業界側の協力がなかなか得られないとか、あるいは専門課程を4年してきた中で、産業界との連携で何か問題となり得るようなものが果たしてあるのか、ないのかというところに関心を持っていまして、その辺は今回の調査では拾えそうな部分があるのでしょうか。

【廣野専修学校教育振興室長】  データでクロスがどこまで詳細に細分化できるかというところだと思います。

【三菱総合研究所(沼田主任研究員)】  三菱総合研究所と申します。

 本日の資料に載せていないのですけれども、産業界との連携に当たっての課題なども把握しておりますので、分野別に分析することを通じて実施できていない団体、学校様の傾向なども見えてくるのではないかと思います。

【黒田座長】  今、一応、資料は揃っているということですね。そういうこともまた次回出していただければ、もう少し明確になるのではないかと思いますが、ほかにございませんか。

 吉本委員、どうぞ。

【吉本委員】  結局、その分野をずっと皆さんも概ね理解して、今、専門課程の4割近くが保健医療系であって、2割しかその分野が申請していないとなると、その分野を申請しなくても国家資格があるから、専門学校として高い質を保っていると自信がおありなのだろうし、それは厚生労働行政でチェックをしているとも見えるのです。そうすると、わざわざそういう学校は認定しないというのではなく、そういう学校や厚労省等に確認して、質の高い職業教育をやっているということが分かったら、何も申請しなくても、厚生労働省と文部科学省が一緒になって認定して、専門学校としての質の高い職業教育をやっているのはこの範囲であるというぐらいの議論をしてほしいなと思います。

【黒田座長】  理想的なことなのですけれども、私が気になっていますのは、最近は高等教育機関として専修学校がカウントされるようになりました。だから、進学率も専修学校を入れての進学率という表現を取るようになってきています。そうなってきますと、専修学校の高等教育機関としての位置付けが非常に重要になってきます。どちらかというと専修学校は先ほどから言いますように、国家試験に引っ張られている。国家試験というのは文部科学省の所管ではなくて、ほかの省庁の所管になっていますので、そちらの制度に基づいて作られている学校が多いわけです。そういうところでどの辺まで文部科学省がタッチできるのか。本来ならばこういう教育機関と資格試験というよりはうまくマッチさせていく必要があると思うのですけれども、その辺の他の省庁との話し合いがまだできていないということなので、少し気になっているところなのです。専修学校を高等教育機関の中に加えたという、大きな変化があるわけですので、その辺のことも加えながら考えていく必要があるだろうと思っています。

【小杉委員】  私からも一言だけ。専修学校側にしてみれば、要するに、認定を受けることが学校としての競争力を高めるかどうかということだと思うのです。認定を受けていないところは、ほかのところから競争力があるから、今のところは必要ないという判断が、多分、看護等には働いているのだろうと思います。今、看護があちこちに乱立していますから、この後、学生集めも厳しくなると、きっとまたこういう認定に対して関心を持つのではないかということで、ある意味では市場の競争力があるかどうかというところにポイントがあるのではないか。ここの会議をもった理由というのは、宣伝などによる競争力ではなくて、質をきちんと保証することによる競争力を持たせることが国全体にとっては必要だということで、質保証による競争力を持たせる1つの手立てとして、このような仕組みを作って推薦してきたのだと思うので、現状において今必要ないという判断で参加していないところは、それはそれで学校の選択ということで私はいいのではないかと思います。そこら辺は市場の問題だと思います。

 そういう意味で、認定証発行というのは、質の保証による競争力を高めるためには重要なことなので、吉原委員がおっしゃるとおり、これは自動的に出るべき種類のものだと思います。

 さらに、このような証書を出すだけではなくて、このようなことを作ったとか、こういうものを発行してこれを渡しますというのを、是非、新聞発表や広報して、第1号を渡すときには写真を撮って広報するとか、そのぐらいの競争力を高める手段になるようなことを含めて考えていくべきではないかと思います。

【黒田座長】  ありがとうございます。

【今野副座長】  職業実践専門課程の比率ですけれども、先ほど岡本さんも言われましたように、私も当初の予想よりはかなり各学校がチャレンジしてきてくれて、予想よりも一回り、二回り大きい感じだなと思っています。これからどうなるのかということですけれども、もともと制度を議論していたときの感じでは、新しい職業専門大学を構想したときに、それを専門学校としても視野に入れながら、更に一層の改善を図る必要があるということで、あれとの見合いで構想されてきた部分もありますので、専門学校の側ではそういうことで是が非でも新しい職業実践課程に移行しなければならないという意識がそれほど従来高くなかったのではないかなと思うのです。ただ、そのような経緯がありながらも、専門学校のレベルを高めることに大いに役に立つだろうという趣旨で専門課程を導入しましたので、小杉先生が言われるように、各学校でこれからどうするかというのは、選択権はもちろんあるわけですけれども、新しい制度を作りましたので、できるだけ国としては各専門学校が実践専門課程の方を意識しながら改善を進めていくことが望ましいと思いますので、十分に趣旨の理解が進んでいないとすれば、さらにいろいろな形でやることは、是非必要かなという感じを持ちました。

 以上です。

【黒田座長】  ほかはよろしいでしょうか。

 どうぞ。

【浦部委員】  高等学校という立場なのですけれども、高校新卒者が専門学校への進学者のかなりの割合を占めていますが、現場では様々な職業実践専門課程についての資料が配布されてきております。ただ、実際に専門学校への進学指導をする際に、職業実践専門課程の部分について説明をするという機会がやはり少ないです。去年と今年とどのように変わったかと言われても、実態としてほとんど変わっていないと申し上げるしかないとは思います。ですので、資料等の配布については、かなり行きわたっていて目にする機会も非常に増えてはいるのですけれども、この先はそれを具体的にどのように指導の側面で広めていくかというところなのかなと思っております。

 したがいまして、各学校が努力するとか、あるいは、各教員が努力するというよりは、たとえば教育委員会レベルでさらなる浸透に向けた対策を立てていただくことの有効性が考えられると思います。それを次の一歩として現場としては期待しているところです。

【黒田座長】  ありがとうございました。いずれにしても、この広報がまだ不足しているということでありますので、これは団体としても是非ともしていただきたいと思います。

【小林委員】  ありがとうございます。今、浦部先生と小杉先生の、ご意見を伺いました。また、東京都からも、認定書がある意味では非常にPRになるし、質の向上にもつながるので、一括配布などで、PRをすることができれば、より良いのではないかとお話を頂いています。今、ちょうど4年が経ったところです。このような調査で実績が明らかになってきたことも含め、浦部先生におっしゃっていただいたように、今後は、教育委員会等で組織的に指導していただけるような体制を組んでいただくことを是非お願いしたいと思っています。これはこの委員会の意見としてもお願いしたいところです。

 以上です。

【黒田座長】  ありがとうございます。予定した時間になっていますので、次に移りたいと思います。

 三菱総研の沼田さんにも御協力いただきまして、ありがとうございます。これからもよろしくお願いしたいと思います。

 それから、認定証明書の発行については、先ほど意見がありましたように、余り負担をかけない格好での発行、それはこれから認定するところは同時に発行していいわけですが、過去に認定したところの申請を受け付けることになるのですかね。できるだけ学校側の負担にならないような格好での認定書の発行をお願いしたいと思います。

 最初から言っていたことなのですが、職業実践専門課程の認定の在り方について、私はもう少し厳しくていいのだろうと思うのです。岡本委員が言われたように、余りにもたくさんの予想を超えた認定をされてきているということですから、認定を受けていない専修学校と、認定を受ける専修学校の課程が、どこが違うのだということが社会的に分からなくなってきている感じを受けるのです。ですから、専門職大学の話も出ていたわけでありますが、それとのつながりの関係もはっきりしてこなくなってきたということで、この専門課程の認定というのは、今後どうあるべきか、余り準則主義で、書類さえ整っていたら、それで認定するというやり方でなくして、もう少し内容を精査した上で認定をしていく必要があるのではないか。そうしないと、せっかくこの制度を作っても、これが光らなくなるのですね。専修学校が全部これになってしまうという可能性がありますので、それではこの意味はないと私は思っているのです。

【吉本委員】  異論があります。結局のところ、専門学校は質的に保証されていないのだと教育再生実行会議で議論されたことがあります。実践的な職業教育を担う高等教育としては大学でしか質保証ができないという議論があり、大学以外のカテゴリーで新たな制度を作らないと結論があったようですので、そうであれば専門学校の質はどうやって認定されるのか。職業実践専門課程がそれであるとすると、3,000の専門学校のうち、900だけが質的に適切なものを持っていると認定したことになるのか。職業実践専門課程が認定しようと思うと、更にこれを厳しくするのか。私はこのデファクト・スタンダードとしての職業実践専門課程がもう少し増えていいと思うのです。前回の質保証向上の会議でも、職業実践専門課程から出てくる情報は、質的に高校で余り信用されていない。もう少し信用されるように、きっちり情報を絞り込んで、ちゃんと精査して公表しなさいという議論になりかけていたと思うのですけれども、そもそもこの専門学校の質が認められるというのはどういう状態なのか。ここの質の保証・向上の委員会の中で確認をしていきたいと思うのですけれども、そういうことは必要ないのでしょうか。

【黒田座長】  是非ともそれは必要なことなのです。認定した以上は質保証がされているということになるわけですから、この質というのは何かというところから、まずやらなければいけないと思いますけれども、それは追々やっていかなければいけないことですし、また、第三者評価のこともあります。後ほどまた出てくるみたいですけれども、質を保証して認定するということですから、質の保証をされていない認定制度というのはあり得ないと思います。

【吉本委員】  そうすると、現状の認識としては、文部科学省もそのように思われているのでしょうか。どうでしょうか。3,000の専門学校の一部は質が保証されて、それが認定されている。6割ぐらいはそうでないと。そうしたら、どういう方策を立てているのか。我々はどういう方策をこれまで議論してきたか。あるいはすべきなのか。

【黒田座長】  その辺のことをこれからこの会議で議論をしなければならないと思っているわけです。

【廣野専修学校教育振興室長】  現状の考え方ということで、きちんと整理がし切れていないかもしれませんけれども、専修学校制度の中における専門学校というカテゴリーがございます。その専修学校の中においてどういった質保証に取り組んでいただくかという観点から、自己評価とその公表が義務とされてございます。比較的自由度の高い枠組みの中で、それぞれの学校における創意工夫ですとか、社会のニーズに応える形で取り組んでいただくのが専修学校制度でございます。専修学校制度としての枠組みの中での質保証ということと、一方で、職業教育を実践的に提供していく枠組みとしての職業実践専門課程がございましたので、そのような取組をしているということで認定要件を設定したものについて申請を頂いて、その内容が確認されたものを認定していくという枠組みでございます。専修学校、専門学校そのものの質保証の在り方と、職業実践専門課程の取組、認定をどう結び付けていくのかということについて、また、先生方、皆様方の御議論、御意見もまたお願いしたいなと思ってございます。

【黒田座長】  こういう制度化については大きな議論があるわけですから、今後、そのようなことについて議論をしていきたいと思います。

【吉本委員】  簡単に一言だけ。そのような意味で職業実践専門課程以外の課程についても質の保証・向上の必要があります。前から何回か発言をしましたけれども、それを是非、政策に提案していただきたいと思います。ここで議論もしたいと思います。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 それでは、ここの議論はこれで終わりにしておきたいと思います。先ほど言いましたように、認定証明書の発行に当たっては、きょうありました御意見を踏まえながら、事務局において手続を進めていただきたいと思います。

 次の「社会人向け短期プログラムについて」、事務局から説明をお願いいたします。

【廣野専修学校教育振興室長】  それでは、資料6、7について御説明させていただきます。専門学校による社会人向け短期プログラムにつきましては、昨年度の検討会議、又はその報告においても提言いただいていたところでございます。

 また、政府の方針といたしましても、社会人の学び直しを推進していくということで、受講者の数を増やしていくということも目標がございます。現在、まさに議論、検討が進められているところでございますが、人生100年時代構想会議の中でも、何歳になっても学びができるリカレント教育ということが検討のテーマとして位置付けられてございます。

 そのような中で、専門学校につきましては、既に正規の課程、又はそれ以外の附帯的な事業の中でも社会人の受入が、状況としては他の学校種に比べて進んでいるところで、専門学校は学び直しの機能を果たしていると考えているところでございます。

 その中で更に社会人の学び直しを充実させていく、また、リカレント教育の機能を強化していくという観点から、右にありますように、学び直しの課題も現に幾つかのデータの中から見えてきているところがございます。そうした専門学校が果たしている社会人向けの学び直し、又はリカレント教育における機能を活用しつつ、その学び直しの課題を克服しながら、更に機能を強化していくというアプローチといたしまして、社会人向けプログラムの可視化、又、経済的コストの軽減、時間的コストの軽減という要素をどう捉えていくかということから、専門学校につきまして短期のプログラムについて焦点を当てつつ、このようなプログラムがあるのだということを可視化できる枠組みの構築。そして、それに対して経済的負担を軽減する仕組みを、この専門学校における社会人向け短期プログラムの創設のコンセプトとして位置付けていけないかということで、1枚目でございます。

 では、その認定されるプログラムについて、どのような要件、枠組みを設定していくのかということで、2枚目にまとめさせていただいた考え方でございます。現在、可視化という意味では、専門学校につきましては先ほど御議論も頂いております職業実践専門課程という認定の枠組みがございます。また、大学等につきましては、職業実践力育成プログラム、「BP」と通称で呼んでおります、社会人向けに提供されるプログラムを認定する枠組みが既にございます。

 また、これらの職業実践専門課程、BPにつきましては、厚労省が所管しております専門実践教育訓練給付の対象として、枠組みとして入れられているところがございます。このようなことを踏まえつつ、今後新たに短期に着目した専門学校のプログラムを捉えていったときに、どのような要件かというところが下のオレンジで囲っているところでイメージを構築しているところでございます。

 提供するのが専門学校でございますので、専門学校が企業と連携をして実践的なプログラムを提供するという観点からは、既に職業実践専門課程の認定要件がございます。これが、緑字で下につながっているものでございます。順序が逆になりますけれども、赤の部分が今、職業実践専門課程で言いますと、2年以上の正規課程が認定対象でございますので、より短期の部分に着目してということで、大学でもBPでも範囲として設定されている部分を採り入れていけないかということでございます。それが赤字の部分になってございます。そして、社会人向けということで焦点を当てたときに、職業実践専門課程につきましては、社会人向けという観点での要件設定がございませんので、大学のBPで設定されておりますオレンジの部分を採り入れていきながら、社会人向けの専門学校が提供するプログラムの認定の要件の枠組みとして考えていけないかということで、資料にさせていただいたところでございます。

 一方で、そのような枠組みが専門実践教育訓練給付の対象として連携ができるのかどうかにつきましては、こちらは厚生労働省との相談にもなってまいりますけれども、そのような枠組みの中でどのような位置付けで要件を設定していくかについては、また擦り合わせも必要になってくるかと思いますが、ベースとなる考え方として今回お示しさせていただいてございます。

 今後、下の段になってまいりますけれども、制度の具体化に向けた検討事項といたしまして、短期プログラムの時間設定があろうかと思ってございます。今、BPにつきましては、履修証明プログラムの120時間を最低時間と設定してございますが、この履修証明プログラムの120時間を、下限を下げようという動きも検討されているところでございます。

 一方で、職業に結び付くプログラムということを念頭に置きますと、どのぐらいの時間で提供されるプログラムが実際に就業に結び付くのか、職業につながるスキル、定職に結び付くのかという観点もあろうかと思いますが、参照すべき部分として、BPの下限を今ここで出させていただいております。

 期間としての上限でございますが、2年未満というところで短期、社会人にとっての負担がかからない範囲が必要になろうということでございますので、今、2年以上については、専門学校について職業実践専門課程がございますので、それ未満ということから考え方を設定してはどうかということでございます。

 また、審査体制の在り方でございます。現行の職業実践専門課程、専門実践力育成プログラムの審査の方法が前例としてございます。今回新たに認定しようとする枠組みとしての短期プログラムの中身、内容がどのようなものであるのかという確認を、どういう体制で取っていくのか。なお、職業実践専門課程につきましては、専門学校のもともとの取組がベースになってございますので、企業の連携体制ですとか、情報公開の取組を確認するということでやってございますが、専門実践力育成プログラムについては、外部の有識者に御意見を頂いてという形で認定のプロセスを取っていると言い切ってございます。

 3点目でございます。職業実践専門課程との連携をどう捉えていくか、でございます。企業との連携を、体制を構築しているときに、正規の課程のノウハウを短期に圧縮する形で提供する場合、ベースとなる企業との連携、又はその要件を満たされていることが確認されていることもございますので、重複する認定要件については手続を簡略化するなど、その効率化も観点としてあろうかと考えてございます。

 今後のスケジュールでございます。次回、また最後に御提示させていただきたいと思いますが、年度内にもう一回ということを考えてございます。その際に、詳細案を提示いたしまして、そこから新制度を創設して周知を図っていくということで、来年度の夏、通常の職業実践専門課程のスケジュールと連動させる、合致させる形で募集を開始し、認定プログラムを告知するというのが、最短としては考えられるところでございます。また、これも専門実践教育訓練給付との連携を考えたときに、そちらとのスケジュールの関係もございますので、これはあくまでも最短ということでお示しさせていただいているものでございます。

 資料7は、社会人の学びに関する調査ということで、こちらも三菱総合研究所様に受託いただきまして調査をしていただいた中間のもので、概要でございます。どのような短期のプログラムが提供されているのかについて調査を頂いたものでございます。

 ざっと概略でございますが、5ページでは、1年以上2年未満の正規課程として社会人を比較的多く受け入れている課程の分野を示しているところでございます。分野でいきますと、看護ですとか、介護福祉といった分野において社会人の学び直し、留学者、受講者が多いという傾向がございます。

 次のページでございますが、正規の課程ではない附帯的な位置付けで行っている一般向けの事業でございます。附帯事業の中には、委託を受けて提供しているものがございますので、そういったものを除いたものということで捉えてございます。そのような分野を見ますと、やはり介護福祉についての提供、開設が多いということがございますし、また、経理・簿記も分野としては数として多いことが挙げられるところでございます。

 また、議論の中で参照いただける部分もあろうかと思いますので、随時参照いただければと思ってございます。

 以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明がありましたことについて、御意見を伺いたいと思います。

 きょうは沼田主任研究員もいらっしゃっていますね。何かありましたら、御発言を頂きたいと思います。何かございますか。

 どうぞ。

【大井川委員】  この学び直しに関しましては、複線型の教育だとか、あるいは、人生100年の構想会議でも出ているような考え方がいろいろ出されているわけですけれども、対象者は一体だれなのかなというのをもう少し踏み込みつつ、こういった議論をしていった方がいいと思います。

 今のアンケート調査の中身を見ましても、学び直しといっても、結局、介護あるいは医療関係者といった方が非常に多くて、その他の方々はどういう状況になっているのかというと、実際、学び直しの範疇に入っていないのかなという感じがしてならないのです。政府が進めようとしている社会人の学び直しはもっと大きい範囲で、一般的な雇用者、サラリーマン等も含めた方々だと思うので、私自身もその答えは明確に持っていないのですが、彼らが学び直しといった場合に一体それはどういう学び直しなのかというのを、もう少し踏み込んだ上でやった方がいいのではないかなと考えております。

 感想でございますけれども、以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 川口委員、どうぞ。

【川口委員】          ありがとうございます。実はまさに今、廣野さんの御意見も出て、人生100年という担当者と6月頃、3時間ぐらいこの辺で随分議論したので、それをしゃべり出したら終わりませんから、簡単に一言だけ。今、このリカレント教育というのは、主に大学と申し上げていいと思います。これは、御存じのように、大綱化のときから大学は導入されて、私もそれでドタバタやったことがあるのですけれども、そのとき以来、ほとんど日本は増えていないのです。これは国際的に見ても日本は非常にユニークで増えていない。ほとんどほかの国は増えている。何だろうという、その議論を6月にやったのです。そのときに申し上げて、まず、今、御意見があったことはそのとおりで、例えば、「受入の現状」というこの表があって、これは分野によって三菱総研の調査では表が出てまいりましたので、そのとおりですし、これは専門職大学院の中のリカレント教育の学生さんの占める割合も、調べると非常に特徴があります。ですから、この辺も含めていろいろ分析していただければいいかなということと、もう一つ、大問題があります。多分、今の御意見と通じるところがあるのですけれども、このリカレント教育をどのように社会が見るのか。学校が見るのか。大学を含めた学校が見ている、あるいはデザインするのか。お願いして申し訳ないのですけれども、この調査でもう少し、社会というのは実際にリカレント教育を受けた人も含めて一体どういう問題点があって、もちろん、お金の問題などは、例えば、専門職大学院を受けた方には、確かリクルートがやったのか、調査があって、どのような学生さんがどのようなことに問題点を感じているかというのがあったのです。例えば、そういうことも含めて調査をしていただければ、一体どういう手を打ったらいいのかということが分かる。

 それから、もう一つは、大学というか、教育機関の方にも、伸びない原因があると思うのは、特にリカレント教育の場合は、今まである学生さんが入ろうとしたときに、例えば、今までの経験、単なる学歴だけではなくて学修経験、学修成果というものをちゃんと評価して、どのようなところに位置付けましょうということをやらないといけないのですけれども、どうも日本は余りそういうことはなくて、2年でもいいかとか、1年かなとか、そういう年限のところにいってしまうのです。その辺があるので、これの調査は大変難しいと思うのですけれども、そういう問題点をあぶり出していただかないと、これはなかなか、幾ら単にプログラムを作ればいいとか、援助すればいいという問題では多分ないような気がいたします。

【黒田座長】  ありがとうございます。

【廣野専修学校教育振興室長】  御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、リカレント教育、学び直しを大きく捉えたときに、現状の課題と必要な対策、取組が大きく存在している中で、今回、御提示させていただいたのが、専門学校が機能として持っている職業教育の部分をどのような形で貢献、資する形で切り出していけるかというアプローチでございましたので、御指摘いただいた大きな視点が今回の資料の中では提示できていなかったところであろうかと思います。まさにそれが今、リカレント教育、人生100年時代構想の中でのテーマで大きくされているところでございますし、それに合わせて給付の仕組みについても検討されると聞いてございますので、そのような大きな流れの中で専門学校の短期のプログラムをどのような形で位置付けていくかというのはあるかと思います。ありがとうございます。

【黒田座長】  ほかはございませんか。これは日本の国全体で考えないと進まない話でありますけれども、私のところも社会人教育をやっていますが、ほとんどの人が会社を辞めて来ています。会社を辞めないと、派遣させてもらえないというのです。派遣で来ている数はほんのわずかです。それでも土曜、日曜にやっているのですけれども、勤務時間外で来ている人が大半です。所帯を持って生活がありますから、稼がなければならないということで、会社を辞めてもほかで稼いでいる人が多いです。そういう人に対する教育というのは、本当に一人一人、皆、自分が目指しているものの内容が違うのです。だから、一定のプログラムで物が終わるということではないと思うのです。一人一人に合った教育をやらないと、短期間で処理できない。そういうこともありますので、恐らくこの専修学校の学び直しについても同じだと思うのです。1つのことを仕上げていく。それにどれくらいの時間がかかるか。今、履修証明の120時間というのがあります。120時間をまともにこなせる社会人はまずいないです。ですから、これは少し小分けするか、何かしないと、対応できないのではないかという感じを持っているのですが、検討は今、されているのですね。

【常盤生涯学習政策局長】  しています。その120時間について、今、黒田先生がおっしゃったように、もう少し弾力化して短縮できないかということも今、検討しているということです。

 それから、今、川口先生にもおっしゃっていただきましたが、今回の調査は専修学校、専門学校に限ったものでありますが、人生100年時代構想会議の方ではいろいろな議論がありますので、リカレント教育についてどのような、本当におっしゃられたように何十年も同じ議論をしているのだけれども、全然実際は増えていないというところがあります。供給サイドの問題もあると思うのですけれども、受け止める方の構造的な問題もやはりあると思うので、今、黒田先生がおっしゃっていただいたように、職を継続しながらスキルアップをする方と、職を辞めてキャリアチェンジをするために学修する方と、もう一つは、最近で言うとシニア層の学びをどうするかという問題も、まさに人生100年時代ですので、そういうこともあろうかと思うので、もう少しきめ細かい議論と、それが実際に職業にどのようにつながっていくのかというところをもう少し突き詰めて考えていく必要があるという問題意識は持っております。またそのあたりは並行して今、議論が進んでいますので、御紹介を別途の機会にさせていただければあり難いと思っております。

【黒田座長】  どうもありがとうございます。

 どうぞ。

【大井川委員】  今の話でもう一つだけ追加させていただきたいのですけれども、商工会議所でもいろいろ実務研修をやっておりまして、非常に多くの企業の派遣という形で従業員の皆さんに社会貢献だとか、経理といったものも含めてIT関係も参加いただいております。これはどうして企業派遣で参加いただいているかといいますと、当然、1日講座とか二、三日の講座で済むわけです。その日は当然、個人で払っているわけではなくて、企業が負担しているのが普通でございまして、別の何かのネットで見たので調査の出所は分かりませんけれども、専門学校で在職中に学び直しをしている方が、確か回答者はほとんどだったと思うのですが、その方々が今現在従事している職業と関連があるのかどうなのかというところがありまして、ほとんど関連がなかったような気がするのです。それは何なのかなというのがあるのですが、それはそれとして、企業派遣は短期だったら企業の方々、お金も従業員のために出して派遣もしてくださるのだけれども、専門学校の場合は、なぜか個人が土日を使って、仕事とは必ずしも関係ないことをやっているという実態がもしあるのだとすれば、多分、この学び直しの専修学校における学び直しの在り方は、今の局長のお話のとおりですね。少し踏み込んで、もう一回体制から考えた方がいいのかなと思っております。その上での認定だとか、そういう在り方だと思っております。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 専門学校は何かありますか。

【小林委員】  実際、都心にある専門学校は、社会人の学び直しの学生に教育しているところが非常に多いと思っています。当学園では、学生全体の約7割5分が、学び直しの社会人という構造です。短い課程も、それから、初期の職業実践専門課程に対応している2年以上の課程も、両方、社会人の方々が非常に多いという特徴が見られます。短い2年未満の課程につきましては、保健医療福祉の専門職養成をしている当学園では、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの、国家資格に準拠した講座や課程が多いです。また、国家資格には準拠しない、IT関係の学校さんの講座や課程もかなりあると思います。このような2年未満の短い課程に対しても、学ぶ学生たちへの支援体制、そして、それに対する評価をどうしていくかが、重要なテーマの1つだと思っています。

 学び直しに対する調査資料の11ページを見てみますと、2年未満の一般向け附帯事業の学修動機として、「現在の職種で今後必要なスキルを身に付けるためのキャリアアップのため」という、向上心と目的を持って学んでいらっしゃる方々が圧倒的に多いです。専門学校等で学んでいる学生は、職業へのはっきりとした目的意識を持っている学生が非常に多いと感じております。このデータの「仕事以外で生活上の必要性を感じたため/教養を深めるため」という趣味での学修と感じられる16%以外は、全部目的がはっきりしていると取れます。「その他」を省いた8割ぐらいの人たちが、職業への目的をはっきりと持って学んでいる。このような方々が専門学校の2年未満の課程の中にもかなりいらっしゃるわけです。学科や分野等も含めて、そこをもう少し細分化して調査をした方がいいのではないかと思っております。

 以上です。

【黒田座長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【吉本委員】  履修証明プログラムの120時間を更に半分に割るというのは、今も大学が4単位を2単位に切って、2単位を1単位に切ってやっているようなもので、勉強しやすいかもしれないけれども、職業に本当につながるものになるのかどうかという、何の保証もないままやってはいけない気がするのです。もともと履修証明プログラムにも、正規の課程の一部分に相当するものをモジュールとして設けるという可能性を持っていたと思うのですが、余りに小さ過ぎて議論が展開しなかった部分があります。小さくすると同時に大きな位置づけをすべきです。新たな専門職大学でも就業年限を短くすることとか、どのくらい本当にうまくいくのか分かりません。年限を短くするより、むしろ単位を認める方が楽でしょう。単位を認めることで就業年限を実質的に短くする、また、長期履修学生制度もあるわけだから、その辺の弾力化をすると同時に、仕上がりのまとまりのレベルを崩さないように議論してほしいと思うのです。だから、60時間まで引き下げる方向で検討していくのはよいですが、その結論が先にありきではなくて、全体の中に今60時間でも学位プログラムなどの全体のパーツとして有効性を持つがモデルとしては幾つかあると書いてもらわないといけないと思うのです。

【黒田座長】  その辺のことは非常に重要なことなので、別個検討していただくことにしたいと思います。

 どうぞ、小杉委員。

【小杉委員】  実はたくさんあるのですけれども、そのうちの1つだけ。厚労省サイドで言えば、訓練というのは仕上がり像が重要で、その仕上がり像に達しない、小さな区切ったものは認められない。そのような発想が当然あるわけで、ある意味では、専門実践教育訓練給付金にしろ、一般の方の給付金にしろ、仕上がり像というのはしっかりしていないものに対しては給付金を出すわけにはいかないという仕組みを持っているので、お金のことでそちらとの接続を考えるのだったら、その部分は多分、それはそれで別に厚労省が審査することなのでここの議論とは関係ないのですけれども、小さくすることにはマイナス面と言いますか、外から見たら認められないようなものもあるのだということを理解していただきたいと思います。

【黒田座長】  今、小杉委員が言われたことは当然のことなので、各学校が考えることだと思います。

【岡本委員】  資料6の数字で、社会人受入の現状が、専修学校正規課程で5万9,000人と、10.5%。それから、附帯事業受講生が5万8,000人で、相当の社会人が学んでいるということで、これを更に2020年までに大学を含めて100万にしていこうと、私は大いにこれは推進していただきたいと思っておるのですが、社会人の定義をお聞きしたいのです。大学であろうと、専門学校であろうと、高卒であろうと、例えば、学校を出た後、1年以上の職歴があればという定義になるのか。あるいは、例えば、フリーター、アルバイト、派遣、非正規、いろいろな雇用形態がありますので、年齢で切った定義なのか。その定義のお話と、さっき小林会長からもお話がありましたように、この分野別とか、学科とか、どの分野でどのくらい社会人が学んでいるのか。その辺の数字も併せて今後出していただくとあり難い。

 IT業界に関して一言言うと、非常に今、求人難なので、景気が良過ぎて人がいないと。どこも企業が困っている、プロジェクトが回らない状況で、1つ心配なのは、IoT、ビッグデータ、AI、セキュリティもそうですが、常にICT、ITは学んでいかないと陳腐化してしまう業界ですので、忙しく目先の仕事はあるのだけれども、ITに携わる職業人の知識やスキルがレベルアップしていかないと、気が付いたら非常に陳腐化した状態のままでいるということも起こり得るのだと思うのです。ですから、会社を辞めて学ぶというのは難しい状況もありますので、土日や夜間、あるいは短期間で学ぶという意味では、私は60時間というのは必要かなと思っています。

 もう一点、正規課程もしくは附帯事業ということで、これは学則上、附帯事業も別科という形で、学則上の位置付けが必要なわけなのですが、この辺も柔軟に社会人のニーズに合わせた、あるいは産業界のニーズに合わせた受入をしていく上で原理原則に基づくわけですが、特に附帯事業の学則の取扱、柔軟な運用も必要かなと。これは要望であります。その辺、社会人の定義と実態と学則の柔軟な運用ということで、聞いておきたいと思います。

【黒田座長】  ありがとうございました。ほかにございませんか。

 どうぞ。

【前田委員】  さっきの吉本委員の話の中にも少しあったのですけれども、私も履修証明プログラムには大学で少し関わっていて、気をつけなければいけないことは、指導をし過ぎると、それは修士レベルになってしまうのではないかということです。この履修証明プログラムは単位ではないので、なかなか難しいのですけれども、正規の学位につながるような道筋が見えると、いいのかなと思いました。それは検討されているのかどうか分からないのですけれども、本学では仕上がりは、ルーブリックで示しているのですが、ある程度達成度がちゃんと見えたときに、それが正規の何か学位につながるような仕掛けもあると、それはそれでまた多様化の1つかなと思っています。

 以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございます。その辺のことも今、別のところで検討されていると聞いています。

【岡本委員】  社会人の定義だけお聞かせください。

【廣野専修学校教育振興室長】  今回の調査で使いました社会人の定義でございますけれども、これは私立高等学校等実態調査の中でもずっと使っている数字です。社会人につきましては、現に職についている者、これは給与ですとか、経常的な収入を得る仕事についている者に加えまして、そのような仕事に就いていたのだけれども退職した方。あと、加えまして、主婦(主夫)の方も両方含めるということで調査をさせていただいております。

【黒田座長】  よろしいですか。

 それでは、この辺にして次に移りたいと思います。まず、今、説明のありました、短期プログラム認定制度の詳細については、きょう頂きました御意見を考慮して、事務局において手続を進めていただきますようお願いいたします。

 次の「職業実践専門課程における第三者評価の検討状況について」、事務局から説明をお願いします。

【廣野専修学校教育振興室長】  資料については、8から10でございます。分野横断的第三者評価について、また、平成29年度第三者評価の仕組みの構築については、私立専門学校等評価研究機構に委託をし、取り組んでいただいているものでございます。内容については、当機構の関口理事に説明をお願いしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

【黒田座長】  それでは、関口理事、よろしくお願いします。

【私立専門学校等評価研究機構(関口)】  関口です。

 資料は御案内のとおり、資料8、9、10でございます。職業実践専門課程の第三者評価事業については、いろいろ変更もございました。基本的には4年目ですが、一昨年、この会議で報告をさせていただいて、昨年はその機会がございませんでした。資料の8は、昨年度の成果の一部といたしまして、「分野横断的な第三者評価の仕組み」ということでまとめたものでございます。まずは、こちらを中心に、28年度の段階でどのような成果になったかということを御案内しつつ、今年の方に移っていきたいと思います。

 それでは、これまでの事業の取組でございますけれども、大きく2つございまして、専門学校の当初は8、途中から11の分野について、分野ごとの第三者評価の在り方を検討いたしまして、その基準を作ってモデル事業を行うという流れの事業が1つ。

 それから、それらの分野の共通項を探って、分野横断的な第三者評価の仕組みを構築するというのが2つ。事業としては、大きくこの2つを4年間、基本的には推進してきたということでございます。

 資料8の7ページを開けていただきますと、まず、最初の方の分野ごとに第三者評価の在り方を検討していくことについて、これは28年度で採択されました11の分野、それから、評価機構の方がその仕組みというところで取り組んだ内容がございますので、ざっと御覧いただければと思います。1から8までが、継続的にその前の年等からやっている事業で、9から11が新たに加わったものでございます。

 それで、この分野横断的な仕組みの構築ということでは、同じ資料の1枚表紙を開いていただきましたところに目次がございます。どのようなまとめ方ということでございますが、特に2から参りますと、分野横断的な第三者評価の仕組みの方向性ということ。それから、3のシステムの基本構造ということで、評価基準の体系であるとか、分野横断的な第三者評価の仕組みに関する諸課題。4といたしまして、評価の基準モデルということで、評価項目、評価基準を示しておりまして、実際に第三者評価事業を専門学校の中で進めていくときの評価の進め方等を含めまして、5、6でまとめてございますので、この細かい内容については御説明することはできませんが、御覧いただければということでまとめさせていただいておるところでございます。

 それで、御報告の中心は、この分野横断的ということでございます。28年度、分野横断的な仕組みということで取り組んだわけでございますが、11分野が個別に取り組んでみて、その11の分野の共通項という訳には、現実にはいかなかったということでございます。なぜかと言いますと、各分野の学修成果の捉え方は極めて分野独自でございまして、その分野に精通した人、専門家でなければ、その学修成果の指標と言いますか、水準がなぜそうなのかということについて、本当のところは周りからよく分からないというのが、当然の事情ですが、そのようになっています。そのような独自の学修成果による分野の基準作りまで至ったのは、11の分野すべてではありません。そのうちの3つか4つは、かなり一生懸命取り組んでいただいて、国家資格系のものであっても、現実の業界側のコンピテンシーに合わせて、どのような学修成果基準が望ましいのかということで、認定基準を超えてそのようなものをイメージするという積極的な動きが3、4の分野についてございました。そのようなところは、特にそれらの共通項を探すのは難しいということでございました。

 同時に、これを検討いたしましたところで、そもそもこの11の分野個々が職業のコンピテンシーや、学修成果の共通性から見て、1つの分野と言えるのかどうか。例えば、情報ITとひとくくりにしていますけれども、それが1つの分野とまとめることについて、それは大項目的なのか、中項目的なのかということも含めて、1つの分野ということになかなか言い難い分野もあったなということが、皆さんの意見からも出ました。更に言えば、11ということになっていますが、そもそも職業教育における分野そのものというのは、どのように分類されていくのか、体系化されるのかということを、この11の分野を真剣に取り組めば取り組むほど、同時にそういう課題が惹起されることに至ったということがございました。

 ということで、なかなか11分野共通ということにいきませんでしたので、どうしたかと言いますと、これまでの私どもの評価機構の機関別の評価項目、大項目、それから、文部科学省が職業実践専門課程の検討と同時に出しましたガイドラインの項目は共通項が多いのですが、そのほかの評価機関の項目。さらに、この事業について文部科学省から出されました方向性ということでお示しいただいた項目等を総合的に調整いたしまして、できるだけシンプルな大項目に整理し直したものをひとまず作りました。それが、こちらの今の資料の12ページを御覧いただければと思います。

 12ページの右の方は、文科省の専修学校における学校評価ガイドラインの項目でございますが、評価機構のものは基本的にこれとかなり共通項がございます。これをモデルにいたしまして、左側の分野横断的な第三者評価モデルの機関別、分野別ということではなしに、大項目を整理し、もう少しシンプルにして作ったものが、これでございます。

 そして、今申し上げた11の分野のうちの、例えば、柔道整復であるとか、情報ITであるとか、PT・OTのリハビリの分野など、特に学修成果基準の析出に積極的に取り組んだ分野においては、この機関別評価的な評価大項目のうちの大きく1、2、3としておりますが、教育関連の大項目、特に教育成果を分野独自の基準内容に入れ替えて、自分たちの第三者評価の評価項目の全体に差し当たりしましょうということになったわけでございます。それが分野横断的なものについての1つの対処としての評価基準の出し方ということで、28年度は終了いたしました。

 今年度は、最終的に今申し上げましたような、機関別の項目のうちの教育関係に分野独自の基準を出せたところは、そこにそれを当てはめるという方式を踏襲しつつ、事業を進めていこうということにいたしております。その中で、評価機構が引き受けました、この委員会の中で出てきた、今、検討中の課題について、少し申し上げたいと思います。

 機関別評価項目の中で問題になりますのは、1つは入試の捉え方でございます。大学等も選抜のないところもあるかと思いますが、おおむね入試を行って選抜しているという基準はあります。専門学校においての実情は、そのような入試、学科試験による選考がほとんどないのが現実であります。しかし、そういう中で、AO入試であったり、それから、専門学校の場合はかなり一人一人の学修の意欲であるとか、態度であるとか、あるいは学力の調査も事前にするところもあります。一人一人の対応ということで入学選抜を行っているという事情もあるので、専門学校の実情にふさわしい入試の在り方を反映させるべきではないかというところで検討課題として出ております。

 もう一つは、重要な財務でございます。専門学校については、運営費交付金に当たる経常費の補助がございません。したがいまして、経営的には健全な剰余金を生み出して、それを再投資して発展していくという形で専門学校は運営しているということでございます。そうなりますと、単年度での収支相償という発想ではなくて、3年とか5年の中期計画を立てて、その投資時には単年度で見て財務状況が悪化することがあっても、5年なり、あるいは3年の中で、どのようにそれがきちんと成果を生んでいくのか。つまり、単年度で見ても健全な赤字という発想をもって、実際には財務運営をしているということがございますので、その辺の実情と、大学一般についての財務の評価の両方に精通した人を今回は検討委員に2人、公認会計士の方に入っていただいて、専門学校にふさわしい財務の在り方を検討しているということになっております。

 PDCAサイクルにつきましては、この間ずっと議論してきておりますが、今の財務や入試等、専門学校に固有の様々な事情もあります。また、高等学校や保護者の方たちの専門学校についての信頼などについても十分でないという事情から考えて、PDCAサイクルをきちんと回しているよということで学校に任せるといいますか、いきなり最初からそれをするのは難しいと。やはり第三者評価の対象として、機関別評価項目をきちんとやって、それを公開するステップが最初のうちは必要ではないかという議論もしているところでございます。同時に、PDCAの目標達成サイクル、改善サイクルも、今申し上げましたように、中期の目標に対してどうなのかという視点とチェックも必要ではないかと検討、意見が出ているところでございます。

 それから、分野別の評価及び、その評価項目につきましては、専門職大学における分野別の認証評価について考え方が提示されているところでございます。分野別の評価団体による専門職大学の評価が1つある中で、もう一つとして、分野別評価がすぐには難しい分野について、専門職大学等が教育課程等の状況について当該専門職大学等の課程に係る分野に識見を有するものによる検証を定期的に行い、その結果を公表するとともに文部科学大臣に報告することという措置が明示されているわけでございます。これについて私は担当の方に質問させていただきましたら、本来の在り方というのは、分野別の認証評価機関が存在して、それによる評価が本来の姿で、それができない場合の措置としてこういうものがあるのだというお答えを頂きました。ということは、専門職大学も強く意識して、この分野別の第三者評価も事業プロジェクトでは考えてきたところから言うと、分野別のきちんとした基準による評価を本来の在り方として、こちらの職業実践専門課程の第三者評価についても考えていくべきなのかなと思われてくるところでございます。

 もう一つ、この専門学校及び職業実践専門課程の第三者評価にとって、1つ重要な出来事がございましたのは、厚生労働省のカリキュラム等検討委員会が、柔道整復、それから、按摩・マッサージ・指圧士の「あ」と、鍼師の「は」と、灸師の「き」の頭を取って「あはき」分野と申しますが、それと連続に行われまして、単位の大幅な増加等を養成施設の質保証という点で大きな変更がございました。そして、現在行われているのが、リハビリテーション分野でございます。この分野の第2回のカリキュラム検討委員会におきまして、養成施設における第三者評価の導入が決定いたしましたので、大学と専門学校すべて養成施設については、第三者評価が平成19年度からも導入が検討されているという事態になりました。これは既にリハビリテーション等の評価機構が存在いたしまして、大学と専門学校数百について、その指定規則どおりにこれが行われているかというチェックを大体一巡終えたところでございます。そして、これで第三者評価が行われるときには、やはり学修成果をどこに求めるかという、現場側のそのようなものも反映したものになるだろうと、リハビリテーション評価機構の方々はおっしゃっています。

 それから、5年に1回、カリキュラム検討委員会が医療分野で行われていることも併せて決定しました。これは大変大きなことなのですが、そうすると、柔整と「あはき」は、もうやってしまったのですけれども、4年半後にもう一回やります。そのときには恐らく、この分野においても分野別の第三者評価になるだろうということで、これは大変インパクトの大きいことでございました。

 あとは検討の委員の方たちから、分野別、機関別といったときに、機関別が主で分野別が従のような受け止め方をされるけれども、実はそれは違うのではないかと。つまり、分野別評価は教育ですから、教育についてそれがどういう基準であり、どうなされているかということがまずあって、そのことを為すためにいろいろなものが整備されているか、システムがあるかという考え方で評価を考えていくべきではないかという御意見もございましたことを御紹介しておきます。

 それから、分野別評価と機関別評価が一体的にということは、私どものこの28年度、29年度でも同じ方向をいこうと、分野別を項目のところで読み替えるということで一体的にと考えているわけです。しかし、これは平成28年の8月の中教審の大学分科会の大学院部会の専門職大学院のワーキンググループでの報告の中に、専門職大学院のみの大学の場合の機能別と分野別を一本化して受信する場合の留意事項として、両評価の質の維持をきちんと図ることが必要だと述べられているわけです。ここのところが先ほどの分野別、専門職業大学のところでも暫定的な措置で出てきているものについて、機関別評価はともかくとして、分野別評価の質の担保をどう図るかという問題があるかと思うのですが、同じように、この第三者評価事業においてもその問題はあって、分野の識者とか、専門家を入れるということだけでは何も担保しない。つまり、必要なのは、その分野においての学修成果を基にした基準が明確であって、その基準に基づいて分野別の評価をなされるということが担保されないと、この質の担保につながらないのではないかという方向で検討していきたいということでございます。

 資料の3枚目に、これは既に御案内しているものではございますが、今後の分野別の評価を含めました評価組織の取組イメージということで改めて入れていただいたところでございます。

 そして、ここでこれからの職業実践専門課程あるいは専門学校の第三者評価については、既存の評価組織、例えば、評価機構のようなものの中に、これは機関別評価を中心に行っているわけでございますが、なかなか今申し上げましたような分野別に学校側と業界側が一緒になって育成目標としての学修成果基準を紡ぎ出していくことが難しい分野もたくさんあります。あるいは、そういう話し合いがなかなか持てないところが、この評価機構等の中に部会を作りまして、これを支援する形でその分野における評価基準を明示し、評価の実施を支援する形で、この評価機構自体は機関別評価と分野別評価も合わせて行う。同時的あるいは一体的に行うことを主として、もちろん、外側にリハビリテーションの評価団体等、既にできているところについては、どう一体的に行うかということについて連携していくという在り方で、専門学校あるいは職業実践専門課程の評価の進め方をしていったらどうかということでございます。実際には独立した分野別評価団体を作るには、財政面でなかなか難しいものがございます。先ほどの最低限の質の保証として、どのように学修成果を基にした評価の視点、基準を作るかということについては、これからもその基準作りについて、例えば、国の方から研究開発事業という形についての御支援を、個々の分野あるいは評価機構その他のところが巻き込み型でやっていくところについての御支援を頂けることが望ましいかなと思っております。

 いずれにせよ、先ほども触れました分野分類の問題は連動しますので、これは避けて通れないということと、それから、現在の専門学校教育内容を大きく業界とともに進展させていくときに、この分野別評価の基準作りが大きなエンジンになるということだけは間違いないので、引き続き御支援を頂ければ大変あり難いと思っております。簡単ですが、事業の報告とさせていただきます。

【黒田座長】  関口理事、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまから今の御発言について御意見がありましたら、お願いします。

 川口委員、何かありますか。

【川口委員】  これは、私が今、関口さんがおっしゃったこととつながりまして、それから、その前の議論と小杉さんもおっしゃったこと、すべての議論に関わるのですけれども、実はもう一つ大問題が日本にあって、Qualifications Frameworkが日本にはないのです。これは大学との学位とのつながりといった議論がされるのですけれども、Qualifications Frameworkは、それぞれの業界でこの分野では、あるいはこの業界ではどういうものをやって、例えば、8段階だったり、12段階だったり、世界でいろいろなものがあるのですが、それこそまさに企業との連携というのはそういうところで分野で議論しておいていただければ、まさにどのようなところに、例えば、学修歴をどう位置付けるか。そうすると、その人がリカレント教育でほかの分野に行ったときに、それはどのように考えるかというのが、これはあした急にできるものではありませんけれども、やはりそういうものがないと、その議論ができないのですね。そういう意味では、さっき関口さんの言う部会あたりでは、そういうことをちゃんと議論して、では、ほかとどうつなげるか。この議論をしないと、なかなか進まないのではないかと思いました。

【黒田座長】  ありがとうございます。ほかにございますか。ないようでしたら、この件については、今後、非常に重要なことでありますので、引き続き検討させていただきたいと思っております。

 それでは、最後にその他として、何かございましたら御発言を頂きたいと思いますが、最後に今後の予定もありますので、事務局からお示しを頂きたいと思います。

【廣野専修学校教育振興室長】  資料11をお配りさせていただいております。今後の予定について、候補日でございます。次回、年度内にもう一度と言っております。年明けの3月1日15時半から17時半で候補日として提示させていただいております。調整の上、正式な御案内は改めてさせていただくということでお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございました。

 本日の議題はすべて終わったわけでありますが、あと1分ほどありますので、何か御発言ございますか。よろしいですか。

 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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