国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成24年8月10日(金曜日)  16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 報告書取りまとめに向けた審議
  2. その他

4.出席者

委員

赤井伸郎委員、浦野光人委員、大日向雅美委員、柿沼トミ子委員、柏木はるみ委員、堂本暁子委員、坂東眞理子委員、樋口恵子委員、藤原和博委員、山田昌弘委員

文部科学省

高井文部科学副大臣、合田生涯学習政策局長、杉野生涯学習総括官、笹井男女共同参画学習課長、湯澤女性政策調整官

オブザーバー

内海房子(国立女性教育会館理事長)、山根徹夫(国立女性教育会館理事)

5.議事録

【大日向座長】  それでは、定刻でございますので、ただいまから国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第7回)を開催いたします。
 お暑い中、お集まりくださいましてありがとうございます。本日は、委員全員が御出席とのことでございます。
 また、本日は高井文部科学副大臣に御出席いただいております。ありがとうございます。御紹介をさせていただきます。
 それでは初めに、本日の配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 本日は、資料1、資料2-1から2-3、参考資料1、2を御用意しております。資料の欠落、その他お気づきの点がございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上でございます。
【大日向座長】  それではこれより議事に移ります。
 前回の検討会で委員の皆様から頂きました御意見を踏まえつつ、事務局と御相談しながら報告書(案)を作成いたしました。本日は、この報告書(案)について検討をお願いしたいと思います。
 それでは、報告書(案)について、事務局から御説明をお願いいたします。
【杉野生涯学習総括官】  それでは、報告書(案)でございます。お手元には資料1と委員の先生方には机上配付1というのも同じくお配りしております。委員の先生方だけ机上配付1というのがございまして、これは前回からの変更部分を赤字で示したものでございます。適宜見比べてお聞き取りいただければと思います。
 まず、1枚おめくりいただきますと、「はじめに」という1枚が出てまいります。前回の素案の御審議で、樋口先生ほか何人かの先生方から、冒頭はっきりと結論めいたことを書いた方がいいのではないのかという御指摘をちょうだいいたしました。「はじめに」のところで、7回にわたって会合を開いて検討を重ねた結果、「本検討会として、ヌエックの機能・在り方をゼロベースで見直し、教育・学習支援等を通じて男女共同参画の実現を図る「戦略的推進機関」を創設すべきであるとの結論に達した」というふうにあらかじめ結論をお示しするという形でまとめてみたものでございます。
 それから、更に1ページおめくりいただきまして2ページですけれども、前回は、全体として4章構成になっておりましたが、柏木先生その他の先生方から、多少、1章目と2章目、ヌエックをめぐる諸情勢の部分と男女共同参画の現状に関する部分のダブりの御指摘をちょうだいいたしました。見直しました結果、前回の1章、2章を1つの章にまとめるという形で整理をさせていただいたものでございます。それに伴いまして、表題も「ヌエックの成果と男女共同参画の現状」という形にさせてもらっています。
 (1)は開設の経緯、(2)はヌエックの成果と、これは基本的に前回から変えておりません。(3)で男女共同参画の現状という形にいたしました。男女共同参画についての現状、課題面を中心に書いておりますけれども、こういう形で入れかえましたので、冒頭のところで男女共同参画社会基本法の制定の話から始まりまして、国の方針が、「女性の地位向上、社会参加」から「男女共同参画」へとシフトしたこと、それから、男女共同参画会議の設置、地域の男女共同参画センターが増設されたことなど、男女共同参画推進のための体制や施策について言及させていただいております。
 その(3)の最後のところですけれども、「このような現状を見る限り、今日に至るまで、日本の男女共同参画が十分に進んでいるとは言い難い」と、この部分、前回は「失敗ではないか」という表現をしておりましたけれども、柿沼委員の方から、そこまで言わなくてもいいのではないかという御指摘をちょうだいしまして、このような表現に改めさせていただいたところでございます。
 (4)は、前回に比べますと順番は逆転いたしますけれども、この部分で、高まる男女共同参画の重要性ということで、男女共同参画の今日的な意義について再整理いたしました。前回の御議論では、多くの先生からいろんな御指摘をちょうだいいたしました。例えば山田先生の方からは、グローバル化あるいはグローカル化といった流れについても言及してはどうかという御指摘をちょうだいしましたし、樋口先生からは、地域のコミュニティの再生の問題についての御指摘をちょうだいしました。あるいは浦野先生からは、産業構造の転換といったことまで踏み込んで書いてみてはどうかという御指摘などを頂きました。そういったちょうだいしました御指摘をもう一度整理いたしまして、こちらの方で文章化したものでございます。そういう様々な大きな流れ、あるいはこれからの展望ということを踏まえた上で、結論といたしましては、「男女共同参画の意義を正しく理解し、その実現を目指すことの重要性・必要性は、ますます高まっている」というふうにまとめさせてもらっております。
 次に、第2章、男女共同参画のための「戦略的推進機関」の確立でございますけれども、この部分は、前回は「ヌエックの適格性の検証」というふうな形で表題を掲げておりましたけれども、坂東先生の方から、ここはやはり戦略的推進機関を確立するという全体のくくりの中でヌエックの検証というものを埋め込んではどうかという御指摘をちょうだいしましたので、そういった形で表題から書き直させていただきました。
 それと合わせまして、3ページから4ページにかけまして、前回、素案の段階では、何よりも意識の変革こそ重要という表現をとっておりましたけれども、この点につきましても、堂本先生を始め多くの先生方から、やはり制度の問題というのが非常に大きいんだという御指摘をちょうだいしました。山田先生からは、重要な課題の一つということで意識の変革の問題が位置づけられるだろうという御指摘をちょうだいしましたけれども、そういう御指摘を踏まえまして、最初の3、4行を加えさせていただきました。「男女共同参画を巡る厳しい現状を打開するためには、現行の第3次男女共同参画基本計画が指摘するように、積極的改善措置の導入、関係する制度・慣行の見直し、セーフティネットの再構築など様々な面での改革が必要であり、国の責任において、改革を断行すべきである」ということをまずうたった上で、一方、意識の変革の問題も、そういった制度等の改革と並び、重要な課題であるという整理にさせていただいたところでございます。
 それから、坂東先生から、意識の変革のために、教育・学習支援だというふうに言い切っているけれども、それにとどまらず、様々な意味での研究機能といったことも重要ではないかという御指摘をちょうだいいたしました。中段のところですけれども、「教育・学習支援とその基盤としての実証的な調査・研究等が不可欠だ」ということで言葉を補わせていただきました。
 それから、このページあたりからですけれども、前回、藤原先生の方から、「戦略的」という言葉が十数回出てくる、という御指摘を頂きまして、もう一回見直しましたところ、確かに少し使い過ぎかと。その場その場の文脈の中で適切な言葉に差しかえさせていただきまして、基本的には「戦略的」という言葉は、「戦略的推進機関」というかぎ括弧つきの名称として使う場合に限らせていただきました。
 4ページ以降はそういった形で、部分的な修正を施しました。
 5ページの中段、(3)「戦略的推進機関」の創設のところでございますが、これはいわば結論めいた部分でございますけれども、特にこれは座長からも御指摘いただきましたが、戦略的推進機関の位置づけということを少し明確にする意味からもということで、「文部科学省を始め関係府省と連携しつつ」と、文部科学省のみならず、いろんな省庁があるわけでございまして、そういったところと連携しながら、国の戦略的推進機関ですから、そういう位置づけとして創設をしてはどうだろうかという趣旨で言葉を補わせていただきました。
 それから、3章の「戦略的推進機関」の在り方でございますけれども、まず(1)で中心となる機能・取り組みとして幾つかの内容を挙げておりましたが、前回、浦野先生から、やはり女性がこれから活躍してもらうためにも、マネジメント能力という言葉で代表されるような、そういった能力をきちっと身につけていただくような機会を用意するということの重要性の御指摘をちょうだいしました。それから、樋口先生の方からは、同様の趣旨でございますけれども、小学校段階、子供のころから女の子の育て方といいましょうか、リーダーシップ、マネジメント能力のようなものの育成が大切だといった御指摘もちょうだいしました。そういった御指摘を踏まえまして、6ページの1番目の丸、3つ目の丸のところに言葉を若干補わせていただきました。
 それから、地域の男女共同参画センターについての記述の丸の部分がございます。後段で、「その際、例えばブロック単位で男女共同センター等と共同開催するなど、より効果的な研修機会の提供方法を工夫する」と、これは、柏木先生の方から御指摘をちょうだいしました。Center of Centersではあるけれども、地域の男女共同センターといろんな意味で共同した事業を展開するということが必要なのではないかという御指摘を踏まえて、こういった文章を加えさせていただきました。
 それから、「国際機関や大学と連携・協力して」、この3行でございますけれども、坂東先生の方から、ヌエックに期待するものとして、国際的な視野での取り組みということを特に御指摘をちょうだいしまして、そこにございますように、「当該国の関係行政官や研究者・学生」に至るまで「研修機会の提供や研究協力等を行う」といった取り組みが考えられるのではないかということで、1つ項目を加えさせていただきました。
 それから(2)機能・在り方の見直しでございますけれども、6ページの一番最後の行に、「所要の法改正を行うのが適当である」と。これは、前回の議論といいますか、これまでの議論の中で何度か出てきていた考え方でございましたけれども、文章を重ねるうちに、いつの間にか「法改正」という言葉が抜けておりましたので、この段階で改めて、法改正を行って、しっかりと見直しを行うという趣旨がわかるように言葉を補わせていただきました。
 それから、(3)業務・組織・運営の見直しでございますけれども、3つ目の丸にネットワークに関する記述を加えさせていただきました。これは、何人かの先生に御指摘いただきましたし、堂本先生からもはっきりと、これまでのネットワークを更に広げていく必要があるという御指摘を前回頂きましたけれども、男女共同参画という観点からネットワーク、これまで十分ネットワークを広げておりましたが、「新たなネットワークを構築する」という記述を加えさせていただきました。
 その下は、前回、樋口先生からの御指摘、柏木先生からも御指摘がございましたが、地域における男女共同参画に関する共同研究、こういったことをヌエックと地域の男女共同参画センターが連携してやっていくのがいいのではないかという御指摘を頂きました。それを加えさせていただきました。
 下から2つ目の丸、「外部の研究協力者(非常勤)等の積極的な参画を得て」は、前回の場ではございませんでしたけれども、前回の御議論の後、藤原先生から御指摘を頂きました。ここは前回、「客員研究員の大幅な拡充」という言葉を入れておきましたけれども、藤原先生から必ずしも適切な表現ではないのではないかという御指摘を頂きまして、ひたすら拡充を目指すということではなくて、内容として正確に書くということで、「外部の研究協力者(非常勤)」という形で積極的な参画を得て、研究体制、その他の体制をしっかりと確立していくべきではないかという表現に改めさせていただきました。
 8ページの最初の丸は、施設の管理・運営を民間の方に委託する部分でございます。ここはもともと赤井先生からの御提案によるものでございましたけれども、先生の方から、管理運営のみを分離委託するとすれば、もう少し正確に、「コンセッション方式によるPFI」という表現に改めるべきではないかといった御指摘などを頂きましたので、全体として、表現の正確を期すために改めたものでございます。
 3つ目の丸、名称につきましては、前回、樋口先生から、名称については公募するなど、よく考えてくださいという御指摘を頂きまして、その旨を書かせていただきました。その結果、この報告書といたしましては、名称については何という名称にするということについては、この段階では決定しておりませんけれども、適切な名称になるように検討するということで宿題にしていただくという形で整理させていただきました。
 (4)見直しの進め方は、新しい法人を創設した後の業務の点検のくだりでございましたけれども、最後に3、4行加えさせていただきました。「新法人としての中期目標期間終了後に、新法人としての業務の実績を検証・評価する中で、男女共同参画基本計画で設定された様々な成果目標」、例えば初中教育機関や民間企業・本省におけます女性管理職の比率、その他、そういった成果目標の進捗状況、達成状況も検証した上で、必要があればさらなる抜本的な見直しを検討することが適当であると。これは、藤原先生から、今日もメモをお出しいただいておりますけれども、仮に当面の目標を男女共同参画の推進に置くということであるならば、例えば小学校、中学校における女性校長の比率や文部科学省の人事方針といったことをしっかりと目標として書き込んで、その達成状況を検証できるようにすべきではないかという御指摘をちょうだいいたしました。
 その御指摘を踏まえまして、実は基本計画では、現行計画もそうですけれども、国として、それぞれ成果目標が数値で示されておりますので、単に新しい法人の業務の状況を検証するだけではなくて、戦略的推進機関と言うからには、男女共同参画全体の進捗状況、すなわちこういった成果目標をきちっとチェックして、その結果、新しい法人がうまく機能しているかどうかを確認できる、そういった趣旨のことをこの場で盛り込ませていただいてはどうかということで、この3、4行を加えさせていただいたものでございます。
 最後に、「おわりに」は、「はじめに」に移行する形でまとめたものでございます。
 更にもう1枚おめくりいただきますと、9ページ、「報告書の概要」という1枚紙を御用意いたしました。これは、冒頭の「はじめに」で結論をはっきりと書いておくことに加えまして、前回、堂本先生から、1枚見れば全体の内容、方向性がわかるものをやはり用意すべきではないかという御指摘をちょうだいいたしました。堂本先生からもその後、いろいろ御指摘をちょうだいしまして、それを踏まえて、報告書の概要として、基本的な方針、中心となる取り組み、そのためのヌエックの見直しの方向性を簡潔にまとめたものを1枚作成して、最後に添付させていただいたものでございます。
 前回からの主な修正は以上でございます。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 それでは、ここから報告書(案)について、皆様に御意見をお願いしたいと思います。
 なお、この報告書(案)は、前回、報告書(素案)を御検討いただきまして、皆様から頂いた御意見をもとに加筆修正したものでございます。そして、本日が最終回ですので、できれば御意見は具体的に、何ページのどこをどのようにというような文言で御指摘いただくような御発言をいただければ、大変有り難いと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  事務局の方には、とてもよくまとめていただいたと感謝申し上げます。
 5ページ、(3)の「戦略的推進機関」の創設の中のフレーズの「この際、ヌエックが」というところ、「そのネットワーク等を生かしつつ、来るべき日本社会に求められる」というところですが、これを「来るべき」ということではなくて、「現在、日本社会に求められている」という、もう現実に今だというふうにした方が私はいいかなと思います。それで、「ゼロベースで機能・在り方を見直すこととし」というのは、「見直すこととする」ということで1回切ってもらった方がいいかなと。具体的に一言ですが、よろしくお願いします。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  前回のいろいろな意見をまとめていただいてありがとうございました。ずっとわかりやすくなったように思っております。特に前文ができたことと、最後に概要が1枚にまとまったことで、よかったと思っています。
 簡単に、口頭でどこにというのが申し上げてもわかりにくいと思ったものですから、資料2-3で、この報告書に対しての意見というのをちょうだいさせていただいております。一番初めに書きましたことは、この戦略的推進機関として再建する全体の趣旨について賛同するものであるということでございます。
 2番目の「戦略的推進機関」の確立のところですけれども、もともとヌエックの持っている4つの機能の中から、交流事業よりも、どちらかというと研究・研修に主翼が置かれているようですけれども、やはり交流事業というもの、研究の結果、交流事業があり、交流事業の結果、ネットワークが構築されるのですけれども、ネットワークの構築はいろいろ書いてございますけれども、研修からいきなりネットワークと飛んでしまっているので、交流という言葉を入れた方がいいと思っております。5ページの上から1つ目の丸に、「男女共同参画を進める上でも引き続き不可欠な女性教育の分野では、日本で最も豊富なノウハウを蓄積している」の次に1つ丸を加えていただいて、その資料に書きましたように、宿泊機能を生かした研修の効果として、全国的・国際的な交流の実績を示す効果は大きく、多様なネットワークが構築されているということを今までの実績として書き添えておくことが大事かというふうに思っております。
 同じく5ページでございますけれども、文部科学省を始め関係省庁と連携しつつ、施設を活用した教育・学習というところで、そこに宿泊研修機能を活用したということを入れたい。
 それから、ページに沿って申し上げますと、もう一つ後から書いてあることですけれども、比較的、国際的なことについての指摘が少し薄くなっているように思いました。ということで、中心となる機能・取り組みの3の後に4として、ここで連携するといった機能が特に重要であるということで、丸4として、「諸外国の関係機関との連携・協力といった機能」と入れていただければよろしいと思っています。
 その次ですけれども、今日、藤原委員がお出しになった資料で、今、読ませていただいたのですが、たしか義務教育においてとおっしゃっていますよね。藤原委員が、「女性教育や男女共同参画なのか多様化なのか」ということですが、下の方で、義務教育でとにかく男女共同参画を徹底しなさいというふうに書いていらっしゃるわけですが、実は私ども、今までずっと、大学とか企業とか、中央省庁とか地方自治体とか、女性グループということを言ってまいりましたけれども、実はずっと藤原委員がおっしゃっている義務教育のところを今まで入れてきてなかった。それで、その理由は、文科省が独立行政法人の教員研修センターというのをお持ちであるために、教員の研修をヌエックでしようとすると、いや、それはこの教育センターでやればいいではないかと今までも言われていたそうでございます。しかし、独立行政法人の教員研修センターが、果たして男女共同参画とかそういったことを小学校なり中学校なりで教えているかどうかとなると疑問でございます。そして、ヌエックがもしあらゆる分野、大学であろうが企業だろうが、そういったところでの教育や意識改革のプロジェクトを開発するのであれば、当然のことながら、教員に対してのプロジェクトも、ここと連携してやるべきではないかという問題意識から、これは6ページの丸1の「対象者に応じた効果的な教育・学習支援」というところですけれども、そこの丸がございます4つ目に、「教育委員会の指導主事、学校の中核的な教員(スクールリーダー)を対象に、児童生徒の能力を男女平等に開発・向上させるとはどのような教育実践をいうのかについて理解を促すプログラムを開発・提供し、講師の紹介・派遣等を独立行政法人教員研修センターと連携して行う」ということを入れてはどうかという提案でございます。
 そして、次に、配られているものだと7ページのちょうど真ん中ぐらいになりますが、(3)の業務・組織・運営の見直しというところの上から2つ目の丸で、原文では、「交流事業は、ヌエック主導による運営から、施設を活用しつつ、女性リーダーのグループや適切な民間団体に移行する」と書いてあります。しかし、実際に交流事業は、今までの趣旨から申しますと、大学があったり、国際的なものもあったり、企業があったりするので、それぞれのエキスパートと一緒にやることも結構ですし、同時に、ヌエック自体が主催することが当然ながら必要になってくるであろうということで、文言を「国内的・国際的交流事業は、ヌエック主導による運営から、施設等を活用しつつ、女性リーダーのグループや適切な民間団体、国際機関等との連携を強化し、多角的運営方式に転換する」としてはいかがかということでございます。
 長くなりますので、あとは国際的な問題ですので、全部国際的なところを、それぞれの文言を少しずつ強化させていただいたことと、これは5ページの中心となる機能・取り組みのところに、「アジア太平洋地域諸国のみならず世界各地域における女性教育等の関係機関や国際機関・団体等との連携を充実し、人材育成や調査研究を共同で行う等、男女共同参画の国際的ネットワークを強化し、ハブ機能の発揮を図る」ということと、一番最後の「報告書の概要」のところに、「諸外国の関係機関との国際的なネットワークを構築し、男女共同参画推進のハブ機能を発揮する」、この2か所を追加してはどうかという提案でございます。
 どうもありがとうございました。
【大日向座長】  大変細かく御指摘いただき、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】  本当に、様々な意見をよくぞおまとめくださいまして、後でお礼を言うのを忘れるといけませんから、特に座長にお礼を申し上げておきたいと思います。事務方の皆さんも、委員の皆様も本当に頭のいい、アクロバットを勉強させていただいてありがとうございました。
 私は、このまとめで、基本はこれでよろしいのではないかと思います。具体的なことで、運営に工夫することでいいのかなと思いますが、6ページに在り方としていろんなことが書いてあります。その中で、特に丸2又は丸3のどこかにつけ加えるか、あるいは丸4を立てるかと思っているのは、国立教育機関、情報機関、研究・学習機関を土台にして戦略的に進めていくというのですから、やっぱり調査・研究というのはとても大事なことで、今の日本の行政の中でいろんなことをやっていただきますけれども、20年ぐらい私が男女共同参画会議のメンバーだったときも申し上げたし、その前は、藤原房子さんが総理府の男女共同参画審議会の委員だったころ、繰り返しおっしゃったし、恐らく今は現役の山田先生が、社会学者でいらっしゃいますから、きっとおっしゃってくださっていると思うんですけれども、ジェンダー統計ということがこれだけ言われながら、実は政府のあらゆる資料の中でまだまだ貧しいのです。
 例えば、高齢社会白書で言うと、今、在宅でだれが介護しているかというときに、続柄で逆にまとめられているのです。男が30%で女が70%であると。こういう項目はするのですけれども、その先は、配偶者が何%、子が何%、子の配偶者が何%。これは嫁だか婿だかわからないです。これは恐らく、もっと細かく統計に入っていくことができればわかるのだろうと思いますけれど、意外とジェンダー統計、ジェンダー統計と言われながら、男女の在り方がわかりません。
 私、今、実は貧乏なおばあさんの研究をしておりまして、日本の世界に、これから生活保護の6割近くが高齢者でございまして、そのうち圧倒的多数が女性のはずなのですけれども、この辺すら、男女別は出していないと言われましたし、国民基礎年金が月収4万円以下の人、こんなのは統計があるはずです。4万でも5万でもいいから、国民基礎年金しかなくて、月収が年金で4万円以下の男女別を教えてと言ったら、「男女別は出しておりません」とはっきり言われました。本当に出していないのか、面倒くさいから突っぱねたのか、その辺はよくわかりませんけれども、実はこのあたりの数字がわからないと、政策は立てられません。女性がいかに就労するチャンスや昇進するチャンスが少ないからというその要因を含めて、なでしこ作戦でも何でも出していただいたのは結構なのですけれども、例えば今、言っているようなデータが男女別にわからなかったら、具体的な戦略なんて立てようがないと思います。
 持家に関しても聞きましたけれども、これもなかなか男女別が出てまいりません。
 それでも、介護保険が始まってから、例えば要介護になる要因の男女別が出てきまして、これなどはものすごく、高齢男性の健康保持に、女性高齢者の介護予防に役立ちます。
 本当にこの機関などが率先してやっていただきたいので、2か3の下に、今みたいなことをつけ加えられないかどうか。あるいは4と立てて、政府関係機関によって施行されるあらゆる調査に関して、必要なものは男女別を明確にするように要請し、その結果に基づいた知見を応用・分析し、政策を立案すると、この程度のことを別につけるかあらゆる問題の男女の状況がわかるようにしていただきたい。 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
【坂東委員】  私もいろいろな意見を持っていらっしゃる委員の方々のお声をこういう形でまとめていただいたことに心から感謝しております。座長、事務局、本当に御苦労さまでした。
 ただ、今、樋口さんがおっしゃいましたけれども、ジェンダー統計を丸3のところで、資料統計の、ジェンダー統計の収集・活用という形でカバーすることはできるのですが、シンクタンク的な機能ということで、丸4は立てて、政策提言、政策研究、そういったところは、この期に及んで皆様の御意見をまとめるのはちょっと難しいかなと思いますので、強くは主張しませんけれども、もしそこまで踏み込んで書くことができるのだとしたら、丸4を立てるべきだと思いますし、ジェンダー統計の収集だけ、ジェンダー統計をもっと熱心に作成するところまで呼びかけるということまでだったら丸3の中にジェンダー統計というのをつけ加えればよろしいのかなと思います。
 それから、全くつまらないことですけれども、エグゼクティブサマリーは、やはり2ページぐらいの、報告書の前の方がよろしいのではないでしょうか。この内容はとてもいいので、きっと最後まで読まないで、最後にあるよりも、目次の前にあった方が、きっと御覧になる方が多いのではないかと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかの委員の方、いかがでしょうか。まだ御発言のない方で。
 赤井委員、お願いいたします。
【赤井委員】  いろいろな意見がある中でまとめていただいて、ありがとうございます。座長とか事務局の方にお礼申し上げたいと思います。
 全体像としてはいいと思うのですけれども、この報告書は、この分野に詳しい方とか、男女共同参画にかかわっている方だけではなくて、この国の組織とか国のお金の面からいかに女性教育会館が変わったのかという一般的な視点から読まれる方もいらっしゃると思うので、その意味では、例えば1ページの「はじめに」とか最後のサマリーのところで、いかに変わったのかということをわかりやすく示すというのが重要なのかなというふうに思います。
 1ページの「はじめに」のところでは、「ゼロベースで見直し」と書いてあるので、まず大きく変わったのだなということはわかると思うのですけれども、その次に、どのように変わったのかということを一言であらわすところが、「教育・学習支援等を通じて戦略的推進機関を創設すべき」ということで、後を読めば内容はわかると思うのですけれども、もう少し何か一言で大きく変わったことを示せる言葉があればいいのかなと。
 これは参考までに思ったのですが、例えば9ページのサマリーの概要のところで、中心となる取り組みを見ると、研修プログラムを提供すると。最後の方だけ読むと、研修機会とかプログラムとか機会とか提言ということで、主に一言で言うと、私の感覚ですけれども、ハード的なものから、よりソフト的で、時代のニーズに合ったものに変えていくのだというところが、まさに中心となる取り組みのところにあらわれていると思うので、もう少し、よりやわらかい言葉で、今とは違って、もっとソフト的なプログラム開発とか、ここは教育学習支援とは書いてありますけれども、そういう言葉で、もう1行ぐらいそこを加えられると、よりぱっと読まれた方がわかりやすいのかなと思います。
 それと、2番目が用語ですけれども、6ページと7ページのところで、6ページの(2)が機能・在り方の見直しで、(3)が業務・組織・運営の見直しということで、機能と組織・運営とどう違うのかなというところは読めばわかると思うのですが、3番目は、より具体的な話に入っているということなので、この中にも書いてありますけれども、(3)に「具体的な」という言葉を入れてもいいかなと思いました。そこは細かい話です。
 最後に、3番目ですが、「報告書の概要」というところで、中心となる取組と、3番目の機能・運営の見直しということでわかりやすく書かれてあるのですけれども、3番の丸の項目は、それぞれのそれまでの報告書の1行1行をうまく抜粋されていると思うのですが、7ページの上の部分からとられた文章と下の部分からとられた文章があって、これで7ページのところが十分にメッセージ性でまとまっているのかなというところで、皆さんが同意されていればいいと思うんですけれども、特に私が興味を持っていた最後の、資産の有効活用というところに関しては、8ページの一番上の文章を概要のところに入れていただいているのですが、それよりも、7ページの真ん中あたりの丸5、ハードからソフトに集中するというところを概要に入れていただいた方が、よりメッセージ性があるのかなというふうに思いました。
 すみません、細かくなりまして。以上です。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】  このまとめを見て、非常によくまとまったなと思いつつも、別の疑問が少し出てきてしまいました。基本的に、今回のことは仕分け会議から文科省に投げられて、どうするんだということだったと思うんですけれども、私たちが議論したことは、多分それを超えているわけです。要するに、男女の共同参画社会の実現さらにはダイバーシティの重要性ということで、仕分けを超えた議論をしていたので、これの行き先が、本当に国立女性教育会館在り方の云々(うんぬん)だけでは、やっぱり我々の意図は通じない。もっと言ってしまえば、以前、藤原さんが「この新聞記事は何だ」っておっしゃった事件がありましたよね。内閣府と経産省と厚労省と文科省なんかが集まって、そのことを議論した。これはまさに縦割りでこんなことをやっていてもどうしようもないわけです。今回のこの提言というのは、こんなこともあるので縦割り行政を廃止して、国全体として、男女共同参画社会にかかわる推進機関が必要なのだというところにいかないと、多分、我々の意図は実現していかないのではないかなということを、やはり少し思うわけです。
 そういう中で、今日、私はそんなことを思った前に言おうとしたことは、樋口さんと坂東さんがおっしゃっていただいたのです。ジェンダー統計まで言うかどうかは別にして、しっかりしたそういう研究が国としてできていない。それを、アカデミックな世界だけに置いておく話では、私はないと思うのです。
 そういう意味からすると、研究機関という位置づけはものすごく大事なのだけれども、各層からいろいろ御意見いただいた資料がここにあります。これをざっと見せていただいたときに、大変ショックな御意見に遭遇しました。机上配付2のナンバー52の39ページをあけていただくと、「5月23日の委員会を傍聴して、研究機関にしたいという意見に危険を感じます。ナショナルセンターとして広く一般市民に開放されているからこそ、自由な活動ができると言えるのに、高度な知的研究機関となれば、男女共同参画社会実現を目指して活動してきた市民団体の拠点が失われます」という御意見です。これが多分、今まで利用されてきた方々の正直な御意見かなという気もして、やはりこれだけ感覚の差があると、本当にこの問題って難しいなと。我々としては、男女共同参画ということを議論したような形でやっていきたいと思う一方で、そのことにこの方も反対をされていないのだろうけれども、やはり市民団体の拠点として残すということについて非常に思い入れがあって、ここの落差を埋めるというのは極めて難しいなと思いました。
 でも、私はやはり男女共同参画社会・ダイバーシティに関する高度な研究機関というのは絶対に必要だと考えます。それは今現在、どういう状況になるのかということをジェンダー統計も含めて、やはりいろんな事例を集めて、皆さんに勇気づけをしていかないと駄目ですし、我々男性は意識を変えていかなければいけないしという意味でも、きちんとした研究が要ると思います。そのことが、ゼロベースで推進機関をつくるのだという、最初の「はじめに」で私は明確に意思としてあらわれていると思ったのですが、その割には、この中で「研究」という言葉はいっぱい使われていますけれども、樋口さんや坂東さんがおっしゃったような意味で、ぱしっとは書いていない。そこまで書くとなると、やっぱり縦割り行政を廃止しないと、この問題というのは到達しないと思ったので、自分自身もそこのところ、おかしくなってきてしまったのですね。どういうふうにこれをまとめていったらいいのだろうかなと。もともとの諮問の限界点というのを、そこに感じてしまったものですから。別に話をぶち壊す意味で言っているわけではなくて、これはこれでいいと思うのですけれども、要するに、これを本当にどう持っていくのといったときの戦術といいますか、その辺をどう考えたらよいのでしょうか。
【大日向座長】  藤原委員が手を挙げていらっしゃいますね。どうぞ。
【藤原委員】  浦野さんの話に多分に関連するので、ここで発言させてもらおうと思うのですが、3つ発言しますが、最初はすごく細かいことです。戦略というのにこだわっているのですが、文中で、あと2つ「戦略的」というのを消してもいい部分がありまして、5ページの3の(1)の1行目、「意識の変革を戦略的」にと残っていますが、これも消していいですよね。それからもう一つ、7ページの下から5行目の「外部の研究協力者等の参画を得て、戦略的な調査・研究」、これも「調査・研究・学習プログラム」でいいと思うので、まずこの2つは文中から消してしまっていいのではないかということです。これはきっといいですよね。
 2番目、3番目の話が、今の浦野さんの話とも絡んで、実に根幹にかかわる話で、この場で本気でやると大議論になってしまうわけなのですが、「戦略的推進機関」という言葉があと13回出てくるのです。今15個出てきたうち、2つ消したのですが、私には、やはりこのレポートを素直に読めば、あれもこれもという総花的なものに見えてしまいます。つまりこれは、全方位作戦であって、戦略的な作戦とは言えないと私は思っているのです。戦略的という意味は、何度も言いますが、投入できる資源が限られている場合に――この場合、恐らく限られていますよね。湯水のごとく、人も金も使えるという話ではないと思うのです。資源が限られている場合に、絞った対象に集中して投下することで、何としてでもその目標を達成するという場合、戦略的という言葉を使うのです。ツボを押さえるという感じです。しかもなおかつ、達成させるべき目標には責任が発生するということも加えておきたいと思うのです。
 ところが、ここにかなり安易に出てきている「戦略的推進機関」という言葉は、何となく私には、例えばサスティナブルという、持続可能なと言うと、みんな結構耳に心地よい。ちょっと遠慮なく言っちゃいますが、最近だと被災地復興とか被災地ということを言うと、何でも通ってしまうのです。例えば民主党の補正予算でもそうなのですが、例を挙げればきりがないんですけれども、1次、2次、3次補正で復興予算というのが去年組まれて、投下されていますが、その中に便乗がものすごくありまして、細かく見ればきりないですけれども、例えば1個だけ言えば、農林水産省から、反捕鯨団体のシーシェパードの妨害活動の対策費23億円というのが積んであるんです。これ、どこが復興予算なのか本当にわからないし、あるいはNHKに番組をつくらせるのに8.1億円とか、外務省でCNNに30分のドキュメンタリーを製作して、海外で放映してほしいというので3億円とか、訳が分からないのです。そういう便乗しやすいマジックワードというのがありまして、何かその一つとして「戦略的」というのが現政権は好きなのですね。
 そういう意味で、雇用戦略対話という、厚生労働省、経産省、文科省がやった会議がありましたが、私はそれが余りにも戦略的でないので、4回の会議にしっかり出ましたけれども、やめさせてもらいました。それぐらい、この政権は「戦略」という言葉を安易に使い過ぎです。多分、ブレーンにマッキンゼーとかボスコンの人間が多いからではないかと思いますけれども、もう少しきちっと使っていただきたいと思うのです。
 何となく、「新しい」くらいの意味で使ってらっしゃるのではないですかね。新しい推進機関、あるいは新時代の推進機関、あるいはちょっと画期的な推進機関ぐらいの、それはやはり、「戦略的」という言葉に失礼だと思いますし、このレポートの価値を非常に減じるというふうに私は思うのです。
 では、どうしたらいいかということなんですが、2つ目の今の話で、私はこれが本当に戦略的推進機関であるためには、戦略的な位置づけが政権によって行われて、かつ、政権によって戦略的な人事が行われないと、これは戦略的な推進機関にならないと思います。ですから、具体的なことを言いますと、この「戦略的に」を取ってしまって、かぎ括弧も取ってしまって、13個全部を普通に「推進機関」と。例えば最初の1ページ目でいきますと、「男女共同参画の実現を図る推進機関を創設すべきであるとの結論に達したので、ここに報告する」というふうにしておいて、「戦略的に」を取って、「政権がこれを戦略的な投資対象と認め、かつ戦略的な人事が行われた場合に限り、戦略的な推進機関と呼ぶ」というぐらいの、あるいは「戦略的な推進機関に位置づける」というふうにした方がいいのではないでしょうか。もしそれが位置づけられない場合は、先ほどの浦野さんの御指摘に戻るのですけれども、前に山田委員からも指摘があったと思うのですが、余りそういうふうに突出した、とんがった形にしない方がいいのではないか。仲よしクラブというと、何かよく悪口で言われますけれども、そういういい面もあるので、その部分で与えられた予算でそれなりに続けていく。ただ、ハードとソフトは分離するとか、専ら女性から男性も対象に加えるようなことは十分に変わっていますので、そういうことであれば、「戦略的」なんていう必要はなくて、推進機関でどうなのですかという話です。
 もし「戦略的な」ということにこだわるのであれば、最後にもう一回、言いますが、私の具体的な案は、文章に書くとしたら、こんな感じになります。8ページの(4)見直しの進め方の最後に、「政権がこの推進機関を各省横断的な『戦略的推進機関』と認め、かつ政権が指名する人事が行われたとき、この推進機関を『戦略的推進機関』と位置づける。」ということを入れたらどうか。具体的に提示いたしました。反論もあると思いますので、どうぞ。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 先ほどの浦野委員の御発言も含めて、内閣府の男女共同参画の中でお仕事をしていらっしゃる山田委員はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
【山田委員】  私は別に内閣府の代表ではないですけれども……。
【大日向座長】  ええ、そういう意味ではなくて。この間、男女共同参画の取りまとめをなさいましたよね。
【山田委員】  ええ。報告書等の取りまとめをしました。
 もちろん私の個人の意見として発言させていただきますけれども、何度も申し上げましたけれども、ここが男女共同参画のことを全部やれというわけではない。藤原委員がおっしゃるように、議論はもちろんして、有意義だったと思うのですけれども、そうなりますと、やはり制度の変革もありますけれども、ここに書かれているように、いわゆる教育機関として様々なレベルの意識を変革していく中心的存在になるべきだということで、私はこの報告書は非常にいいものができたと思っています。
 その中でも、特に影響力がある人の意識を変えることが制度を変えることの早道ではないかと思います。制度を変えれば何でも変わるというのはそうかもしれませんけれども、制度をつくったり変えたりする影響力のある人の意識をまず変えていくというところで、いろんなレベルのリーダー等の影響力がある人の意識を変えていく研修機関ということが一つあると思います。
 もう少し強調してもらいたかったのは、私はいろいろ地方に講演等に参りますけれども、やはり、我々が当たり前だと思っていることでもなかなか理解されていない方が影響力のある人の中でもまだまだ相当いらっしゃることは肌で感じております。中央にいるとわからないのですけれども、地方にいると、本当に女に管理職はやらせないなんていう企業の方もいっぱいいらっしゃいますので、そういう地域社会、地方にも目を届かせたような意識の改革をもう少し強調していただければよかったかなと思っております。
 以上です。
【大日向座長】  柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  国立女性教育会館を交流の場として、一般の人たちを引き離すのではなくて、相変わらず近づきたいと思ってもらえるような一つのツールが、8ページのコンセッション方式によるPFIの導入かなと思うのです。これは、主導権は相変わらず国立女性教育会館の方にあるわけで、地域との連携はまだまだ強く持ってもらいたいという思いがどなたに聞いてもありますので、そこで一般の方々との交流を行う、それとジェンダー統計というような非常に基幹的なものや基本的なものは両立できるのではないか、また両立することを求められているのではないかと、私は、これを見ながら理解したのです。自分の中ではそういうふうに受けとめているのです。
 それと、例えば7ページの運営の見直しなどの文言が「移行させる」とか「一層強化する」、「発揮する」という止め方になっています。これでは受け身のような印象を受けるので、戦略的というところから見ると、打って出るというか、もっとそういう積極的な書き方もあるのかもしれないと思っています。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 あと、まだ文言修正についての発言のない柏木委員は、いかがでいらっしゃいますか。
【柏木委員】  ありがとうございます。
 私も事前に、私案という形で資料2-2を提出させていただきました。その4に、機能についてということで丸を5つほどとりまして提出させていただいております。報告書(案)でいくと、3の(1)から「中心となる機能」と同じ機能のことを書いていますので、そこの部分かなと読みますが、アーカイブ機能、調査・研究機能、学習・研修機能のところは盛りだくさんに盛り込んでいただいていると思います。ただ、やはり私ども、あるいは地方で仕事をしているセンターとしての仕事をやっていく上でのプライドみたいなところでいいますと、事業をしていくときに県民の声をしっかり聞いていこう、調査・研究からもそれをフィードバックしていこうと考えていますし、縦割り行政ではないセンターとしては、その声をいかに政策に上げていくかに腐心しております。県とは対等な関係で仕事をしておりますけれども、県の縦割りの中では落ちていくところを、しっかりと政策として、ここのところはこうではないかと言っていく力があるセンターだと自負していますので、政策提言というところは、先ほど坂東委員からもお話がありましたが、重要な機能だと新しいセンターに対しては期待しています。ですから、政策提言のところは1項目、挙げていただけるといいかなと思います。
 もう一つ、私の書いた5の交流・ネットワーク機能も落ちているわけなのですが、これまで担ってきた交流・ネットワーク機能も非常に有効に機能してきました。これも、交流・ネットワークは縦割りではなくて、まさに必要なときに必要なところとネットワークを組んで必要な取り組みをしていこうというのがこのネットワークだという意味では、沖縄から北海道までもつながっていく、課題解決のためにつなげていくこともできる機能ですので、研修機能のところは十分に書いていただいていますが、是非交流・ネットワーク機能のところを報告書の3にもう少し盛り込んでいただきたいと考えます。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  私は、政策提言機能は大変重要だと思うのですけれども、いろいろな御意見がある中で、更に戦略的な位置づけは根本的にかかわる課題だと思いますので、山田委員、藤原委員がおっしゃったように、2段階方式というのでしょうか、改めて戦略的な位置づけをする。そのときに、人事でというところまではなかなか書けないだろうと思うのですけれども、2段階で考えるというのは現実的な方策かなと思います。
 それから、交流の関係で、堂本委員がおっしゃいますように、これは大変重要な機能だと思うのですけれども、特に7ページの(3)の2つ目の丸のところに書いてありますように、女性リーダーのグループや民間団体というのは、もう少しいろいろな主体を入れてもいいかなとは思うんですけれども、お仕着せではなしに自分たちが旗を立てて目的を明らかにして交流すること、それこそ地域の中のいろいろな課題を解決することについて、会館があれこれ、あれをやりなさい、これをやりなさいというよりも、御自分たちがいろいろ計画を立ててなさることを打ち出していらっしゃる。これはむしろ一歩前進とお考えになってよろしいのではないかなと思います。
 それから、とてもつまらない話で少し恥ずかしいのですけれども、1ページの「男女共同参画の実現」は、「男女共同参画社会の実現」じゃないでしょうか。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 いろいろ御意見ありがとうございました。浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】  意見というより、少し質問的に専門家の方にお聞きしておきたいのです。私は、エグゼクティブサマリーにあるようなことをやろうと思ったときに、今の女性教育会館の研究機能といいますか開発機能では、正直申し上げて、到底できないと思っています。それをやろうと思うと、やはりバックヤードにきちんとした研究機関のようなものが要ると思うのですね。このぐらいのことをやろうと思ったときにどの規模が要るのか、大日向先生や山田先生は、現役の研究者として考えたときにどうお考えですか。あるいは、予算の裏づけとか、いろんなことを含めて。私は、正直申し上げて、今の教育会館のスタッフでは、とてもこんなことはできないと思っています。いかがでしょうか。規模感といいますか。
【山田委員】  どれぐらいのことを目指すかによりますけれども、ここに書いてあるように、非常勤の外部の研究員等を動員してということになるのだと思います。そのときに、前々からも言われているように、研究費等の予算を別枠でつけて、個々の課題ごとにやっていくというのが多分、一番現実的な在り方なのだと思うのですね。だから、それを推進するということじゃないかなと私は理解していたのです。というか、今まで議論の中からそういうことが出てきましたので。
【赤井委員】  予算の話はまた難しいと思いますけれども、ハードを有効活用していけば、今まで以上に予算とかもまた生まれてくると思うので、そこも含めて、あとは外部の先生に外部の資金もとってきてやるということで、いろいろ柔軟には対応できると思います。
【堂本委員】  私も今、おっしゃったのと同じで、本当はこれだけのことをやるためにはかくかくしかじかの予算が要るという要求が必要なのでしょうけれども、最初から、これは行革のフレームの中で出てきている検討会なので、それができないという縛りの中での工夫ということかと思います。それでPFIというお話も出てきたし、別に寄附や何かを募ることによって、違った形での資源がどれだけ集められるのかわかりませんけれども、そういうことをやりながら拡大していくことが必要なんじゃないかと思っています。本当は、今、浦野委員がおっしゃったように、それから最初に藤原委員も、数字は申しませんけれども、膨大な予算を国が投入してやるべきだとおっしゃいまして、私もそれは全く同感なのですけれども、それができないから、いろいろ工夫をした報告書がこれだろうと思うんですね。そういうことで、各大学との連携で研究者の方に大勢、参画していただくとか、文科省だけではなくて各省庁からもいろんな活用をしていただくというシステムを使う中で工夫をしなければならないということは本当につらいのですけれども、そういう形でこの報告書がまとまっているので、やはりどうしても何か総花的とか、「戦略」という言葉を付すことにはならないということをおっしゃるんだと思うんですけれども、本質としては、現代の要求に対しては、ここに書かれている、浦野委員が本来はうたうべきだとおっしゃった、ここで散々議論された、日本国におけるこれからの将来像の中での男女共同参画の位置づけ、それに対しての研究あるいはプログラムの開発を、本当はきちっと、これが必要なものだと最初に書くべきなのかもしれません。今、お話を伺いながら、何かそんな気もしたのですけれども、それをみんな行革という枠の中だからということで我慢をしているというところがあるのではないかと思うのですね。そこを思い切って、今回は議論の中ではこういう議論をしましたときちんとうたって、それが日本としては大事なのだということまで書くべきなのかどうかだと思います。
【大日向座長】  浦野委員、今の堂本委員の御意見、いかがですか。
【浦野委員】  個人的な希望からいけば、そういうのもありかなと思いますけれども、やはりもともとどういう経過を踏まえてこの委員会が設けられているかというところの限界も、大人的に言うと配慮が必要かなという気はするのですよね。そういった配慮がないと、何か無邪気にはしゃいでいるねと言われかねないところも実は出てくるのかなと思ったりもするのですね。そこの落差を今後とも埋めていくのは非常に難しい。
【大日向座長】  赤井委員、どうぞ。
【赤井委員】  1点、よろしいですか。おっしゃったアンケートの39ページに、広く一般市民に開放されているのが開放されなくなるのではないかという懸念のようなものがあるみたいなのですけれども、一方で、49から50ページにあるような、資産が有効活用されていないので、無駄なものをもっと使うべきじゃないかみたいな話まで、意見はいろいろある。ただ、この報告書にはそれほど詳しくは書いていないのですけれども、コンセッションにすると、あたかも何か今まで使われていたのが使いにくくなるのではないかというイメージが残っているのかもしれないんですけれども、本当は全く逆で、多分、有効活用されるようになれば、よりずっと一般市民にも使いやすい施設に変わるとも思いますし、もっと活気が出てきて、ちょっと古くなっているところも大きく整備されたり改修されたり、悪いことだけではないというか、悪いことはほとんどなくて、本当に使いやすくなって、一般市民にもっと開放されるような形に変わるのがコンセッションだととらえ直してもらえば、ここでいう使いにくくなるので困るという意見は逆になるのではないかなと思います。こういう意見が報告書から出てくる、そう思われるのであれば、もっと使い勝手もよくなるという点をもう少し加筆してもいいのかなと思いました。
 以上です。
【大日向座長】  坂東委員、どうぞ。
【坂東委員】  私は、今、おっしゃったことに全く賛成です。
 もう一つ、先ほどの39ページの御意見に関して言うと、政策提言をするのは研究者の方だけ、学者の方だけではなしに、もっといろいろな、それこそ地域や団体あるいは行政で活躍されている方たちなど、多様な方たちの意見を取り込んだ研究、提言が必要で、アカデミックな研究だけに限定する必要はないと思います。
【大日向座長】  柿沼委員、どうぞ。
【柿沼委員】  今の国立女性教育会館をもう少し開放的な、積極的な部分でコンセッションのPFIの導入という一つの方策が盛り込まれています。ですが、そのことについての理解がまだ十分とはいえないので、本来はここでそんなに説明する必要はないのかもしれませんが、「こういうふうにするためにこういう方式を取り入れる」と1行ぐらいつけ加えた方が、誤解が生じないかもしれません。一般の方はなかなか中身のことがすぐに浮かんではこないと思いますので、よくしようと思って、この方式を取り込んでいくと。そして、今、分散している国立女性教育会館のお金や戦力を調査・研究などといったところに集約できる方向の一つの方策ではあるわけですから、そのあたりを、大きな外部的な力をもっと結集するのだというイメージと重ねた方がいいかもしれないと思います。
【大日向座長】  堂本委員。
【堂本委員】  先ほど浦野委員が非常に落差が大きいとおっしゃったのですけれども、確かに非常に充実した研究機関としての内容をヌエックが持っているかどうかというと、そこは何とも言えないんですけれども、30年間の蓄積と、研究者の方が相当いらしていることの蓄積があるんです。最近、行って、私も実際に来ている方たちと何日か泊まってお話をしてみますと、結局、なぜヌエックへ来るかというと、どこの大学に行ってもない。それだけの資料がある。それから、少ない人数のスタッフの方がもう相当ベテランになっておられるので、つくられるプログラムが地方の人から見れば相当レベルが高いのですね。そこで初めて触発されて、勉強して、それを地方へ持って帰って自分たちで使っているのだとおっしゃるんです。ですから、その落差がどの程度なのか。定量的には申し上げられませんけれども、相当なところまで、例えば恐らくジェンダー統計も、坂東委員が御専門かもしれないけれども、一応、日本の中できちっとジェンダー統計をやっているのはヌエックだけなんじゃないかなと私は認識していたのです。内海さんにそれを伺った方がいいと思いますが、ヌエックでジェンダー統計をやっていますよね。どうでしょうか。
【内海理事長】  自分たちで調査しているのもありますけれども、いろいろなところで調査したものを私たちの視点でまとめたこういったデータブックを3年に1回、発行しております。いろんな意味で自分たちができる調査は限りがありますので、世の中で行っているところで男女別にちゃんと調査ができているものについては、このように分析して本にしているところでございます。
【堂本委員】  ありがとうございました。
【大日向座長】  そろそろよろしゅうございましょうか。文言修正に関しては、このあたりで……、では、短めにお願いいたします。
【柏木委員】  では、短めに。
 私の私案の最後の6番目で、国のイニシアチブということを書きました。この部分が非常に弱腰になってしまった感があります。国には国立女性教育会館をしっかりと戦略的な推進機関として位置づけてほしいと願うものです。戦略的推進機関にするためには、国のイニシアチブと両輪でなければということが当初の議論であったわけです。国としてしっかりと戦略的にイニシアチブをとっていただいて、位置づけなり人員配置なりにしっかり取り組んでいただきたい。そのことを最後のまとめではしっかり書いていただきたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 皆様から、いろいろと貴重な御意見をありがとうございました。この報告書(案)に関しては、だいたい御了解いただけたと考えてよろしゅうございましょうか。
 ただ、先ほど浦野委員がおっしゃったことは、私としては大変重く受けとめさせていただきました。この会議をある意味で産業界の視点からけん引してくださったのも、浦野委員でいらしたと思います。男女共同参画は目的ではなく手段だとおっしゃった。そこを一つの取っかかりとして議論を進めていって、皆様に大変高度な議論をしていただきました。男女共同参画の在り方に関して、さすが各界の第一線の研究者、実践者の皆様ならではと思うような御議論を展開していただきました。したがって、その御議論と今回まとまった報告書の間に落差があるという浦野委員の御指摘は、深く重く受けとめさせていただきます。しかしながら、この会は先ほども少し発言をいたしましたが、そもそも国の男女共同参画の在り方そのものを議論することが目的ではございません。それをおっしゃっていただきたくて山田委員を御指名させていただいてしまったのですが、国の施策のレベルでの男女共同参画がどうあるべきかという議論を背景として、ヌエックの在り方をゼロベースに見直していただけた。そして、その結果、本日の報告書(案)という形にまとめさせていただけたのではないかと思います。
 また、「戦略」という言葉に関して、藤原委員の御指摘、そして具体的な文言も検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 その他、皆様からいろいろ貴重な御意見を頂きました。改めて、再度、事務局と検討させていただいて修正をさせていただきたいと思いますが、最終調整は、事務局と御相談の上、座長の私の方で作業するということで御一任いただければ大変有り難いと思います。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【大日向座長】  ありがとうございます。確定したものは、後日、委員の皆様に御報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日が最終回でございますので、お一人ずつ、御感想をいただけますでしょうか。あいうえお順で、赤井委員から回っていただくと有り難いのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
【赤井委員】  私は、皆様に比べますと女性教育という観点では素人に近いと思うのですけれども、一般国民の目線から見ると、この女性教育会館の在り方を抜本的に見直すということがすごく重要で、ここでいろいろな意見が出て、新しい方向性が出た。これを見れば、ある程度、大きく変わるのではないかという期待が持てるという意味では、これまでの経緯にこたえられるような報告書になったのではないかなと思います。
 ただ、この会議は終わりですけれども、逆に今日は新しいヌエックのスタートということで、やはり国民は、財政、厳しいですから、今後も引き続き、どのようにヌエックが変わったのか、1年後、2年後、フォローアップを通じて評価をして、大きく変わった、よくなったと思えるようになることが大事かなという期待も込めて、最後の言葉にしたいと思います。ありがとうございます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
【浦野委員】  この会に参加させていただきまして、本当にありがとうございました。産業界から見たときに、問題意識はあるけれども何もできていないのが産業界だなと思っておりまして、遅々とした歩みではありますけれども、今、現在進行形で努力はしているということだけはお認めいただければなと思いました。
 その上で、この7回で女性の方々のパワーは改めてすごいなと思いましたし、今度のオリンピックを見ても、ほとんど女性の活躍だけですよね。あのぐらい女性に企業で活躍してもらうと、多分、企業のサービスも商品も新しいものが出てくるなと思って、何年後かわかりませんけれども、是非こういうオリンピック並みの活躍をしていただきたいと思いました。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  私は、個人的には設立のときからに何らかの形で関わってきておりましたので、女性の社会参画という面での女性教育という視点から男女共同参画社会へという動きの中で、国立女性教育会館が脱皮していくというか、イギリスのダーウィンではないですけれども、自己変革をしながら世の中の方のための役に立っていく会館であり続けてもらいたいというのが思いとしてありました。今回、この検討会の一員として参画させていただいて、いろいろな角度からの議論が展開され、戦略的というところまで広がっていったことで、今後、次は私たち女性団体あるいは地域の人間とが、国立女性教育会館を運営する側の一員あるいは参画するメンバーの一人となることも大事であると思います。やはり、口で言っているだけではなくて、行動と理論が一致した上での日本に一つしかない会館の発展があるのだろうと思います。会館の発展というのは、会館自身が発展するのではなくて、男女共同参画が国民生活へ浸透していき、よりよい社会になっていくことを目指していくことなのだと思います。ありがとうございました。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柏木委員、お願いいたします。
【柏木委員】  地方の男女共同参画センターの代表というわけではありませんが、一人として参加させていただいて議論に交わらせていただきました。大変勉強させていただきましたことを、まず感謝いたします。
 地方といいましても一様ではありませんので、三重県がすべてではありませんが、地方のセンターが願っていること、ヌエックに対して非常に期待しております。地方は地方で大変頑張っておりますので、今後とも一緒に、男女共同参画社会というよりは新しい日本の社会の在り方をいち早く構築していきたいなと思っております。
 基本法ができてから13年ということですから、今の時期が遅いのか早いのか、わかりません。ただ、いい時期に見直しができたのかなと思っておりますし、第3次の基本計画の202030というところも、本当に実効性を持ってと書いているわけですから、実効性が出るように、これを機会に男女共同参画を進めていきたいと改めて思いました。よろしくお願いします。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  ありがとうございました。最初のうちの熱のこもった議論で、傍聴席の方が「あら、これは女性の大学なんかの教室で聞かせたいわ」とおっしゃったぐらい、非常に本質を突いたお話ができたのはよかったと思っております。
 先ほどオリンピックの話が出ましたけれども、競技に勝てれば、日本の女性もオリンピックには出られるからメダルもとれるわけなのですけれども、不幸なことに、どんなに働きたい、あるいは実際に研究者になりたいと思っても、こちらは入り口が狭くて、日本の女性たちは、経済の分野だろうが、福祉の分野だろうが、社会的な分野だろうが、恐らく学問分野でも、そういったところになかなかメダルをとりに入っていけないというのが、今、最大の日本の問題だろうと思います。
 この報告書が認識していらっしゃるのは、男女共同参画こそが社会の発展と個人の幸福の実現の前提条件であるとうたっておられるのですけれども、私は、その観点で、日本がすべてのことをそういう観点から認識するようにならないと、この国はメダルの数がどんどん減った国、先進国から落ちていってしまう国になりかねない。そういった意味では、やはり国立としてあることがとても大事だと思っているのです。例えばこれを本当に民営化してしまったりすると、アーカイブなどの国としてやらなければならない機能を失ってしまいます。情報にしても、そうです。持続性のあることがとても大事だと思っているので、大変小さいスタートですけれども、今日からスタートするとして、ここで是非ヌエックが大きく育つように、日本の女性たちもヌエック応援団になって、メダルがとれるような、オリンピックのメダルではなくて、ノーベル賞だろうが、もっと経済界の中でも本当に活躍できるような人材が育っていく一つの取っかかりになる組織として、これから発展していってほしいと思っております。ありがとうございました。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  皆様がおっしゃったとおり、最初のころは本当にいろいろな立場で御意見が表明されて、どうなることかと事務局の方もはらはらされたのではないかと思いますけれども、本当に座長、事務局の方たちの御尽力によってこういう形でまとまりました。ただ、飽くまでこれは第一段階、今の段階における報告書であって、また中間的な見直しが書き込まれておりますが、次の段階としては、まさに戦略的にこの男女共同参画社会の実現をどう進めていくかについての政治の意思が大きく問われることになると思いますので、この場に副大臣もおられますので、是非そうした明確な意思を表明していただきたいなと思います。
 先ほど男女共同参画の実現が「失敗ではないか」「不十分だった」と文言が変わりましたけれども、例えばいろいろな施設、大学共用の施設ですとか独立行政法人の地方の国立大学でも、年間予算が5億円ということはありませんよね。そういったことを考えますと、やはりそれが現在の非力さの象徴だなと感じますけれども、その現実を受けとめた上で、これを最初のステップとして、次に何をするか。そのためには、ここで書いたことを是非活用して、いい実績を上げていただきたいなと思います。Center of Centersとしての機能を発揮していただく、国際的な役割をしっかり果たしていただく、調査・研究、ジェンダー統計等について誠実に集めていただく。そして、特にお願いしたいのは、私は藤原委員から大変いい御意見を頂いたなと思うのですけれども、運営の知恵に多様性を取り込んでいく。独立行政法人という形、あるいはその資金調達において、補助金だけではなしに、いろいろな形で多様な資金調達を可能にするということを実現するためには、そこで働く方たちもいろいろな能力、いろいろな貢献の形をなさる方がいらっしゃるのではないかと期待しております。先ほど私は研究や政策提言は研究者だけが行うのではなくて、いろいろな場で活動していらっしゃる方たちがかかわることによって豊かな提言ができると申しましたが、是非そうした面も含めて、この新しい期待にこたえることが、次のステップをもたらす上で重要なのではないかなと期待しております。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】  ありがとうございます。
 事業仕分けという、ある意味では非常にマイナスの位置から出発したものでしたけれども、議論している間に時代の変化の波に直面し、言ってみれば、少子高齢化という現実が、経済社会から見ても、女性を活用しなければ、という事実が多方面から明確になりました。2012年、今までに出された様々な公的文書で印象に残るのは、なでしこ大作戦と、高齢者に関して、支えられる側から参加して支える側へ、これは人口構成の大幅な変化が世の中を変えていくという典型的な例で、それがちょうどこの時期に一致して、大変積極的な報告書を出すことができて、私は心から幸せに思っております。
 こういうことは、偶然の一致のように見えるけれども、実は時代の必然であって、ヌエックという名前がこれからどうなるかわかりませんし、藤原委員がおっしゃったことに、私も今日は珍しく大賛成でございまして、余り「戦略的」という言葉を安っぽく使わない方がいいですよね。何となく現政権に好かれるのではないかなんていう思わくから使い過ぎないように。私は、もちろん「戦略的」という言葉はとても大事な言葉だと思いますから、この中に入れていいし、一つの売りにしていいと思うけれども、余り使い過ぎるとちょっとと思うことは大変同感でございます。
 そして、今、こういうふうに社会全体の潮目が、もしかしたら地球規模で進んでいく少子高齢化の中で変わっていき、日本がこれをどう乗り切っていくかを世界中が注目しておりますときに、本当に内発的な変化として我々が変わって、先ほど柿沼委員が言われましたダーウィンじゃないけれども、一番強い者が生き残るのでもない、一番頭のいい者が生き残るのでもない、一番自己変革できる者がちゃんと生き残っていくのだということ。今、私たちに与えられた一つの試練でありチャンスと思って、こんな場に立ち会わせていただいて、皆様、本当にどうもありがとうございました。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  常に魂を入れるのは人事なんですね。言葉でもないし、制度、法律でさえもないと思います。これに魂を入れるとしたら、人事なんですよ。今現在、内海理事長がセンター長としてやっていらっしゃると思いますし、その人柄も私はちょっと知っているつもりですし、またその下に非常に優秀なスタッフがいることも知っています。でも、内海さんは社長、COOですよね。私は、これを本気でやるなら、会長、CEOが必要だと思っています。政権がこの人にやらせたいと指名するようなタイプの人事が起こるべきだと思います。非常勤でいいでしょうし、多分、給料は必要ないですね。兼務でいいのではないかと思います。
 その場合、戦略的であるためにはねらいを絞る必要があるというのは、もうずっと繰り返し言っていますが、もし産業界を徹底的にねらうのであれば、これは余談として聞いていただきたいのですが、私だったら会長に浦野さんを指名します。浦野さん、すみません。無給なんですね。もう一つ、教育界をねらうのであれば、どちらかだと思うのですが、私は、杉野総括官に責任をとってもらいたいと思います。これを本当にやるのであれば、そのような人事が行われなければ、まず達成不可能だとはっきり予言しておきます。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に山田委員。
【山田委員】  こういういいものができたので、是非実行していただきたいと言おうと思いましたら、藤原委員がまず人事だということで、是非是非実行していただきたいと思います。
 ヌエックに関しては、いろいろ注文はありましたけれども、逆に今までよくこれだけの予算と人員でやってきたなと私は思いまして、この方向に従って本当にやっていただければ非常に有り難いと思っております。
 あと数分だけ時間をちょうだいしまして、私は先日、男女共同参画会議で1分間だけ発言を許されて発言したんです。それは何かといいますと、私は社会学者で統計が専門なので、統計等を見ているのですけれども、2つ気になるのがあったのが、若年女性の自殺率が増えているというのが一つと、これは若年かどうかはわからないのですけれども、女性の海外への流出がここ数年の間で高まってきているというのがありまして、特に後者に関しては後で相当私のところに問合せが来たのですが、若い女性が生きにくくなっているんではないか。高齢者の自殺率は激減したのですね。世界一の高齢者の自殺率だったのが、多分、樋口先生の御尽力に従って高齢で生きにくい人がどんどん減っていったのだと思っているのですけれども、今度は逆に若年女性の自殺率と流出が増えてしまった。
 今、私は海外で働いている日本人女性の調査をしているのですけれども、やはり特に若い女性が日本の企業社会の中で生きにくいという現実がまだまだあると思っております。就職で差別されるし、入ってからは男性並みの長時間労働を求められるし、では専業主婦になろうと思ったら、男の方も収入が少なくてなれないというふうに、選択肢はたくさんあるように見えるのですけれども、どの選択肢をとっても若い女性にとって生きにくいという現実が、私は中年の男性なんですけれども、ついつい調査などをしていてわかってしまう。海外で調査をすると、私みたいなのは日本でなかなか生きられなかったという話をよく聞きますので、もちろん中高年の女性をますます生きやすくするのは当然ですけれども、是非是非若年女性に関しての生きにくさをなくすということを男女共同参画によって考えていただけたらと思っております。最後にお願いなのですけれども、各界に影響力を持っている皆様、よろしくお願いいたします。
【坂東委員】  特に私は頑張ります。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 最後に、国立女性教育会館館長からもお願いいたします。
【内海理事長】  大日向座長を始め、委員の先生方には本当にお世話になりました。ありがとうございます。4月13日から始まった会議、7回にもわたって、皆様、ヌエック、国立女性教育会館のことを本当に親身に思ってくださって、熱心に御議論いただきましたこと、心から感謝しております。ありがとうございました。先ほど赤井先生にヌエックは今日からスタートとおっしゃっていただきまして、私たちは先生方の御意見の一言、一言を胸に刻んで、これから新しいヌエックをつくっていくために努力してまいりたいと思います。
 浦野委員からも、これは今のヌエックでできるのかというお話がありましたが、私たちも、報告書を読ませていただきますたびに、まずはPFIというコンセッションの施設の民営化が本当にうまくいくのかも大変不安ですし、また事業も、藤原先生が総花的とおっしゃいましたけれども、本当に具体的に、多岐にわたって皆さんがいろいろ御議論してくださったことが書いてありますので、こんなにたくさん私たちでできるのだろうかという不安がないわけではありません。しかし、今の日本の男女共同参画の実態を考えると、ヌエックが一歩でも先に進まなくてはいけないという思いを、この検討会の皆様のお話を伺いながら、日々、強くしていったところでございます。これからもいろいろ困難があるかと思いますけれども、ヌエック職員一同、一丸となって取り組んでまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。(拍手)
【大日向座長】  ありがとうございました。
 最後に、私からも簡単に御礼申し上げたいと思います。
 大変難しい課題をちょうだいしたこの検討会でございましたけれども、本日、何とか報告書(案)を御了解いただける日を迎えることができました。これは、ひとえに委員の皆様の御尽力のおかげでございます。ありがとうございました。
 また、事務局にも、この暑い中、本当にいろいろ奔走していただきました。局長、総括官、課長、皆様、本当にありがとうございます。委員の皆様からも事務局へのお礼の言葉があったかと思いますが、座長からも改めて御礼申し上げたいと思います。
 私は、国立女性教育会館は、若い研究者としてスタートしたときにとって、憧れの登竜門でございました。以来、歴代の館長、スタッフの方に大変お世話になって、いろんな意味で育てていただいた大切な会館でございます。35年たって、改めてそれを見直すということは、私にとりまして本当に微力でございますし、重い責任を頂いたと思いましたが、委員の皆様の思いはもちろんですが、毎回、熱心に傍聴くださる方々、あるいは全国から熱心にお声を寄せていただいた方々の思いを背に、何とか今日までやらせていただきました。赤井委員がヌエックは今日がスタートとおっしゃってくださいました。そして、館長からも今、大変力強いお言葉をちょうだいいたしました。日本の男女共同参画のために、是非ともヌエックがこれまでの活動をゼロベースで見直した上で新たに誕生していただき、更にすばらしい役割を担っていただけるよう期待と願いを込めて、皆様の今日の御意見を事務局と御相談して、報告書にまとめさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。
 最後に、高井文部科学副大臣に御挨拶をちょうだいしたいと思います。
【高井文部科学副大臣】  改めて、7回にわたり、本当に大事な議論をしていただきまして、ありがとうございました。深く感謝したいと思います。最後の回だけでしたけれども、こうしてすべての皆さんの御意見を聞くことができて、私自身も大変よかったと思っております。
 ヌエックという一つの機関を議論することで、日本の社会が抱えている課題や、我々、国や行政がどうしていかなくてはならないかということまで議論していただき、提起していただいたと思っています。今回の報告書に基づいて、これをしっかり政治の意思としてやっていくということ、今日の理事長の御発言もしっかり受けとめたいと思っておりますし、一つの機関の話ではありましたが、まさに内閣としてしっかり共有しなければいけない議論をこの場でやっていただいたと思います。スタートにおいては、もともと事業仕分けというお話、行革という話は国の関与と予算を減らすという要請のもとに始まった議論でありましたけれども、ここへきて、かえってこれから国の関与をしっかりやって予算をとっていこうという話も出てきたわけでありますので、ある種、そこを乗り越えて、皆様難しい議論を何度もしていただいて、もともと難しい課題でスタートしたんだということをよくよく私も理解しておりますが、それを越えたいい案が出てきたと思いまして、これは本当に政治の意思としてしっかり受けとめたい、前に進めたいと思っておるところであります。
 皆様からもいろんなお話がございましたが、私は、皆様のお力もあって、男女共同参画社会は、昔に比べると遅々としてですが着実に進んでいると思っています。私よりも1つ下の世代では、夫婦2人で働きながら子育てもして家事もするというのが本当に普通になってきていると思いますし、生きづらい社会というのは、自殺の数を見てみても、女性だけでなくて男性も生きづらいのかなと、すごく思います。その生きづらい社会を解消していくことのためにも、この男女共同参画の理念をしっかり実現していくことは、いろんな意味で日本国にとって大きなプラスの要素があると思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
 私も、なぜ政治家になったのかというと、生きづらい社会を何とかできないものかという中で、やはり最後は政治かなと思って何もない中で飛び出したのが12年前でした。現在、この場にあって今日みたいな深い議論をしていただいているリーダーの皆さんに、この間、時間を割いていただいてすばらしい議論をしていただいたことを心より感謝して、あとは政治の意思でしっかり受けとめたいと思っております。ありがとうございました。(拍手)
【大日向座長】  副大臣、ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、本当にありがとうございました。

── 了 ──

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