平成24年5月23日(水曜日) 17時30分~19時30分
文部科学省3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2
浦野光人委員、大日向雅美委員、柿沼トミ子委員、柏木はるみ委員、堂本暁子委員、坂東眞理子委員、樋口恵子委員、藤原和博委員
合田生涯学習政策局長、杉野生涯学習総括官、笹井男女共同参画学習課長、湯澤女性政策調整官
内海房子(国立女性教育会館理事長)、山根徹夫(国立女性教育会館理事)
【大日向座長】 それでは、定刻でございますので、ただいまから国立女性教育会館の在り方に関する検討会第3回を開催いたします。
本日は、赤井委員と山田委員がご欠席との連絡を受けております。なお、神本美恵子文部科学大臣政務官が本日は傍聴にいらしてくださっておりますので、ご紹介させていただきます。ありがとうございます。
それでは初めに、本日の配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
本日は、資料1-1、1-2、資料2から資料5、参考資料1、参考資料2をご用意しております。なお、本日は浦野委員よりご提出いただきました資料もご用意させていただいております。資料の欠落、その他お気づきの点がございましたら事務局までお知らせください。
【大日向座長】 ありがとうございました。
それでは初めに、本日を含めまして、この検討会で委員の皆様に、これから何をどのようにご議論いただきたいか、いただくべきか、私のほうからお諮りしたいと思います。
これまで2回開催いたしまして、国立女性教育会館のあり方に関しての皆様のお考え、思いは、おおむね次のように集約できるのではないかと考えました。
まず1点目は、日本の男女共同参画の実態は、国際水準からして大きくおくれている。また国内的には都市と地方の格差が大きくて、地方での男女共同参画への取り組み推進の必要性が極めて大きいということです。こうした実情をかんがみても、国、政府の男女共同参画への基本姿勢が問われるところである。同時に、男女共同参画推進に向けてNWECがナショナルセンターとして果たすべき役割・機能は、一層大きいということです。
しかしながら、その一方で、そもそも男女共同参画とは何を目指すべきなのか、今日の社会的・経済的要請に即して考えるときに、NWECの機能、役割、体制を従来のまま維持・発展するだけの方向性で議論を進めて、果たして時代の要請にこたえ得るナショナルセンターとしてあり続けられるのかという疑問の声もあったかと思います。
いずれも、今後のNWECのあり方を考えるこの検討会の中核をなすご意見かと私は考えます。両者のご意見は、意見表明こそ異なりますが、NWECが果たすべき機能とは何か、それを推進していく体制はどうあるべきか、根本から議論する必要性を示唆していただいているのではないかと思います。この点を、より踏み込んで考えますと、従来のNWECを成立させてきた前提そのものを問い直すことから議論が必要ではないかと、この間振り返って私なりに考えました。
NWECは、ここ三十数年、職員はじめ関係者の方々がその設立理念の実現・発展に尽くされてきたことは言うまでもありません。しかし、それでもなお、こうした検討会が必要とされているのは、なぜなのか。あえて申し上げると、時代の要請にこたえ切れていない面も残念ながら出てきているのではないかと私は考えます。
こうした点を改めて気づかせていただいたのは、皆様のご意見です。とりわけ経済界からご参加くださった浦野委員のご発言に、私は大きく示唆をいただいた思いがございました。浦野委員は、企業というのは、経済界はそもそも初めから男女共同参画そのものを目的とすることは必ずしもない。そうではなくて、これからの日本社会、企業の発展のあり方を考えたときに、女性の力の活用なくしては始まらない。女性の就労促進や、その力の活用を推進したときに、その結果として男女共同参画がいかに大事かという点につながる、こういうご指摘をいただけたかと思います。
しかし、これまでNWECの活動、取り組みに、果たして、こうした視点、つまり女性の就労支援、働く女性の支援ということがあったのだろうか。あったとしても、極めて限定的なものではなかったかという疑問を私は禁じ得ません。そして、それはなぜなのか、この間、しばらく時間がございまして、事務局と打ち合わせを進めさせていただきまして、私なりに明らかになったと思うことがございます。
それは、そもそもNWECを規定している法律、会館法の目的規定というものに原因があるのではないか。この会館法の目的規定が、NWECの活動を、時代の要請の即して一層幅を持たせて充実・発展させていくことに、何らかの制約をなしているのではないか、そんな思いがございました。もちろん、この会館法の目的規定、よくご存じの委員もおられると思いますが、必ずしも全員の共通理解とはなり得ていない、私も含めて、私は自分の不明を恥じつつ、必ずしも全員の共通理解とはなり得ていないというふうに考えます。
そこで、まず本日は、初めに、このNWECの会館法の目的規定、つまり法律に、NWECの目的、業務の範囲がどのように規定されているのか。そして、それが今日、さらには今後の日本社会の男女共同参画推進を考えていくときに、果たしてこれでよいのだろうかということを、まずもって皆様に共通理解をもってご議論いただきたいというふうに考えました。
そこで、まずこの点について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。笹井課長ですか、よろしくお願いいたします。
【笹井男女共同参画学習課長】 それでは、お手元の資料2を御覧いただきたいと思います。あわせまして、机上資料の1ページも御覧いただければと思っております。法規集という紙が入っているところです。
国立女性教育会館、これは独立行政法人という位置づけの法人でございますけれども、独立行政法人の制度におきましては、2種類の法律がございます。
1つは、この1ページにございますような独立行政法人通則法というものでございまして、これは、いろいろな独立行政法人がございますけれども、それの共通ルールを定めている法律ということでございます。独立行政法人国立女性教育会館も、この通則法の適用があるということでございます。ただ、こちらを御覧いただきますと、通則法という名前のとおり、個々の法人についての話ではございませんで、共通したルールがこの中に定まっているということでございます。
それから、同じくお手元の机上資料の43ページ以降をあけていただきたいと思いますが、独立行政法人国立女性教育会館法というものがございます。これが、今、座長からお話がございましたNWECの法律ということでございまして、「個別法」と言われております。先ほど御覧いただきました通則法と、この個別法とが合わさって独立行政法人という制度が規定をされているということでございます。
独立行政法人国立女性教育会館法を御覧いただきますと、これも先ほど座長からお話がございましたように、独立行政法人の名称でございますとか、あるいは会館の目的、それから業務の範囲というようなものが規定をされている法律でございます。この具体的な法律に基づきまして、NWECというものが設置されているということでございます。
先ほどの資料2に戻っていただきたいと思いますが、この独立行政法人国立女性教育会館法の中から、「会館の目的」規定と「業務の範囲」を定めております規定を抜粋したものが、資料2の1ページ目でございます。
現在の国立女性教育会館の目的でございますが、まず3条を御覧いただきますと、「会館は、女性教育指導者その他の女性教育関係者に対する研修、女性教育に関する専門的な調査及び研究等を行うことにより、女性教育の振興を図り、もって男女共同参画社会の形成の促進に資することを目的とする」という規定になってございます。ですから、NWECの目的といいますものは、女性教育の振興を図るというのが直接的な目的ということでございまして、それによって男女共同参画社会の形成の促進に資するというのが、さらにその上位の目的ということになろうかと思っております。その手段といたしまして、女性教育指導者等に対します研修ですとか、あるいは専門的な調査研究ということが、この3条の中で例示をされているところでございます。
具体的な業務の範囲でございますが、第11条というところを御覧いただきたいと思います。第11条には、第1項の中で、第1号から第7号まで規定をされておりますが、第1号から第4号までは、女性教育指導者等に対する研修というものが中心的な規定になってございます。第2号のところを御覧いただきますと、女性教育指導者等に対する研修を行うこと。それから第3号では、第1号に規定されています施設を、そういう研修のための利用に供すること、第4号は、研修に関し指導及び助言を行うこと、という規定になってございます。
それから第5号では、女性教育に関する専門的な調査及び研究を行うこと。第6号では、女性教育に関する情報及び資料を収集し、整理し、及び提供すること、ということになってございます。第7号は、前各号の業務に附帯する業務を行うこと、ということでございまして、第1号から第6号までの業務に関連するような業務を行うというのが第7号でございます。
それから第2項では、前項の業務の遂行に支障のない範囲内で、施設を一般の利用に供することができる、という規定になってございます。
2ページ目を御覧いただきたいと思いますが、これは第1回のこの検討会でご説明をさせていただいたことでございますけれども、国立女性教育会館では、この第1ページ目にございます目的ですとか、あるいは業務の範囲を踏まえまして、4つの機能ということでまとめているところでございます。研修、情報、交流、調査研究、こういう4つが、女性教育会館の機能であるということが、この資料の中で書かれているところでございます。
説明は以上でございます。
【大日向座長】 ありがとうございます。
本日の検討会は、国立女性教育会館NWECの役割・機能についてご討議いただく回でございますが、先ほど申しましたように、日本の男女共同参画推進の一層の重要性、そしてそれを担うべく、ナショナルセンターとしてのNWECの意義ということを改めて考えたとき、果たしてこの会館法でいいのか、ここから皆様のご意見をぜひいただきたいと思います。
女性教育の重要性はもちろん言うまでもありません。しかし、女性教育の振興にかなり特化した規定で、果たして女性の労働力、社会参画支援ということまで広めて考えられるかどうか、まずそこからご議論いただいてはどうかと思っての提案でございます。よろしくお願いいたします。
では、柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】 それでは、現場からの意見ですが、国立女性教育会館法の中では、男女共同参画社会の形成のために女性教育の振興と一くくりにされています。が、現場から見ますと、勉強して、その先どうするのということと、それから、もっと雇用という労働の分野、経済分野と政策決定分野へのアクティブな参画というものを、女性の方々も実際には動いておりますし、あと、男女共同参画社会の形成の中で、男性や若者に対してもっとアプローチをするためにも、この目的を広げていただかないと、実態と合ってこないのかなというふうに思います。
ですから、国立女性教育会館法という、女性教育という名前も、もう少し考慮すべきではないかと考えるところでございます。ですから、業務の範囲についても、女性教育に関するということだけではなくて、男女共同参画社会の形成のために分野を広げていただきたいと思います。
【大日向座長】 ありがとうございます。
ほかに。
浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】 今、柿沼さんがおっしゃったとおりだと思うんですね。
それで、たまたま昨日、女性の活躍による経済活性化の推進に関する関係閣僚会議というのが開かれたという新聞記事が出ていたんですけれども、ここで言っていることというのは、この女性教育の先にあることを言っているわけで、ここにやっと政府全体が気づき始めたのかなと思います。
我々経済界も、そこのところに気づきながらも、なかなかまだ具体的に動けていないというところを大きく反省すると、そもそも、この男女共同参画社会そのものも、その形成ということが目的化してしまっていて、その先にあるものが、今、人口が減っていく中で、あえて私は成長というふうには言いませんけれども、少なくとも豊かな社会づくりには、やはり女性の力が必要だし、それから、今後ほんとうに経済成長がなかなか難しい中で、この新聞にも「眠る労働力340万」と書いてありますけれども、これをやはり活用できない日本というのは、絶対豊かにはなれないと思うんですね。
ですから、今まではそういうことをねらいながらも、まだ女性教育がしっかりやっていないから、女性教育会館という名前だったと思うんですけれども、もう今は、まさに柿沼さんがおっしゃったとおり、女性の参加によって豊かな社会づくりを行うとか、もうそういうふうに、うんと目的規定を、手段からほんとうの目的に切りかえないと、ここの目的というのは、私は単なる手段と思うんですね。今にしてみればですよ、その当時は、これでよかったかもしれませんが、今現在は、もうこれは単なる手段でしかないということで、目的規定そのものを書きかえるところから始めたらいいのではないかなと思いました。
【大日向座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】 今の関連なので、ここでちょっと発言させていただきたいんですが、私も、けさ、ちょっと新聞を見まして、朝日新聞などにもこういうふうに書いてあるんですね。「経済の再生、女性の力で」と、「政権、実現へ工程表」というぐらい、非常にはっきりした記事なんです。「女性にどんどん社会に進出してもらい、経済成長に結びつけるねらいがある。6月までに具体策をまとめ、日本再生戦略に盛り込む」と、はっきりうたっているわけです。女性の視点を生かしたビジネスの支援、仕事と育児の両立に役立つ対策が中心で、政策を進めていく工程表も示すと。
これは、一体どこでやっているんでしょうか。私は、この会議と全然違うところでこういうことが起こっていて、しかもここまではっきりということは、多分、僕の認識では、これ、経産省なのか内閣府なのかだと思いますけれども、それが知らされないで、何だか知らないけれども、並行して女性会館の問題だけがここで議論されているというのは非常におかしな話だと思うので、杉野さんか笹井さんから、これはどこで検討されて、どのようなメンバーで、こういう工程表まで出すという話になっているんでしょうか。
【大日向座長】 では、笹井課長、お願いいたします。
【笹井男女共同参画学習課長】 ご説明させていただきます。
この「女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議」でございますけれども、昨日の夕方に第1回が開催されたものでございます。もともとは国家戦略会議という、これも政府の会議でございますけれども、その国家戦略会議におきまして、女性の活躍によって経済を活性化する必要があるという民間議員からのご提案が4月の会議でございました。これを受けて、内閣総理大臣から、、関係閣僚が集まって会議を設け、6月までに重点課題を整理し、年内に工程表を作成するようにというご指示があったところでございます。6月までにまとめるものは、先ほどお話ありました日本再生戦略、これは年央、今年の中ごろに政府がまとめるというものでございますけれども、日本再生戦略に反映をさせるということと2つあると理解しております。
このため、昨日、中川男女共同参画担当大臣と、古川国家戦略担当大臣が共同座長という形で、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、外務大臣、それから農林水産大臣、このような方々が、関係閣僚ということで集まって、会議を行ったところでございます。
このまとめを行っておりますのは、国家戦略会議というところの事務局でございまして……。
【藤原委員】 内閣府ですね。
【笹井男女共同参画学習課長】 内閣官房、それから男女共同参画局がございます内閣府というところが中心になって会議を行っているところでございます。
きのうは第1回の会議でございまして、これから第2回、それから年内に工程表をまとめるための会議が予定されているところでございます。
【藤原委員】 そんなスピード感覚ではないみたいですよ、6月までに具体策をまとめと書いてあって、新聞に既に、各省庁の予算に女性枠を設け、起業をしたり農業を始めたりする女性を支援する。政府調達でも女性活用企業を優先する。各省庁に、イクメン、父親の会を設置、育児休業後は休業前と同等のポストに復帰、政府の専門チームが女性の採用拡大などを2015年までに2万社に働きかけ、有価証券報告書に女性管理職の比率を盛り込む制度改正を検討。ものすごい具体的ですよね。
女性会館とは全然違うところでこういう議論が起こって、ここまでの非常に具体的な、工程表まで示すと言っているのは、僕は異常なことだと思うんですけれども、ここのメンバーが知らないうちに。
【合田局長】 ちょっとよろしゅうございますか。
【藤原委員】 はい。
【合田局長】 どうも申しわけございません。実は、昨日の閣僚懇談会、私も大臣の随行で傍聴させていただいていたんですけれども、報道されていますようなご提案が、経産大臣とか、あるいは厚労大臣からご発言ございました。そういったようなことを閣僚会議ベースで取りまとめていこうという話になっているということも、そのとおりでございます。したがいまして、今日、ちょうどいいタイミングですから、そういうことをきちんと私どものほうから、この場でご説明、ご報告をしなければいけなかったと思って、いたく反省をいたしております。
ただ、そういうことですので、この女性教育会館のあり方論というのは、政府全体としての男女共同参画を進めていく具体的なアクションプランをつくっていく、その中の一環として当然位置づけられるべきものだろうというふうに思いますし、文部科学大臣がその閣僚会議のメンバーになっておりますから、したがって、こちらのほうの検討の状況を何らかの形でその閣僚会議の取りまとめに反映をしていくということは、この会議でご議論をいただいて、そのご議論次第では十分あり得ることだと思いますから、その場合には、私ども、文部科学大臣を通じて、この検討の状況を閣僚会議のほうに反映をさせていくということはさせていただきたいと思います。
【藤原委員】 でも1つだけ、僕、確認しておきたいことがあるんですが、政権としては、この工程表まで出すという、女性の経済分野での社会参画をもっと促進するために6月までに工程表を出すというそのチームに、女性教育会館については声をかけなかったということですね。それははっきりしていますよね。女性教育会館の、例えばセンター長は、声かけられました? これ。
【大日向座長】 ちょっとよろしいでしょうか。
女性の経済分野への参画促進を主として、国の男女共同参画推進をいかに進めていくか、政策をいかに進めていくかに関しては、男女共同参画を議論する国家戦略であったり、そういう審議会が国にあるわけですね。一方、NWECの在り方を検討するこの会が、そうした国の審議の会との接点がなく置かれているとしたら、それこそNWECのこれまでの活動が女性教育に特化していた狭さがあったのではないか。その点を変えるために私はこの会館法というものを根本から見直すことが必要ではないかというふうにご提案させていただいたわけです。
むしろ、事務方にもう少しお尋ねしたいのは、この法律というのは、会館法というのは改定していただくことは可能なんでしょうか。
【合田局長】 それは、もう当然そのことも視野に入れてご検討いただければいいと思います。
さっきの閣僚会議との関係で、事実関係だけちょっとご説明しますと、閣僚会議のメンバーは閣僚だけでございます。したがって、有識者が入っておられるような会合ではございませんので、各省が、各省所管の政策について、こういう工程表でやりたいということを持ち寄って、それで閣僚会議として決めるという仕組みでございますから、この検討会議の結論次第で、必要なことは、文部科学大臣がその場で、こういうことでやりたいという計画として提案をするという段取りになろうかと思います。
【大日向座長】 NWECは、いわゆる日本の男女共同参画施策を、ナショナルセンターとして推進、実現していくための会館なわけです。ですから、国、内閣府の中には、仕事と生活の調和委員会とか、男女共同参画推進連携会議等々あります。そういうところで議論していることは、女性教育の重要性であると同時に、女性の社会参画、労働力の推進のことを、今、藤原委員が言われたようなことを議論しているわけです。それも受けて実現できる会館になってこそ、私はほんとうのNWECの機能の充実、発展につながるのではないかというふうに考えております。
もう少し、この会館目的法に関して、皆様からご意見をいただければありがたいと思います。
浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】 済みません、今のことに関連して、私の今までの経験からすると、今、これは、先ほどの局長、課長のお話からいけば、政治の世界で起こっていることですね、まず。やはり政治の世界で起こったことの工程表というのは、ほとんど信頼できなくて……、いや、ほんとうに。例えば障がい者の雇用のことを考えてみましょうか。もうあれででき上がったと思っているんですよ、何にもでき上がっていないですよね。要するにパーセントだけ決めて、そのパーセントを維持できなかったら、お金を払いなさい、それで終わりなんですよ。政治の世界というか、あるいは、もしかしたら役所もそうかもしれませんね。
なぜ、ほんとうに障がい者の方々が十数%もおられて、その方々の雇用の先にあるものは何かと、我々経済界は、今やっとわかり始めたわけですね。前回も言ったかもしれませんが、例えばタオル1つとってみても、障がい者の方々の触覚でつくり上げたタオルというのは、我々健常者にとって、めちゃくちゃすばらしいタオルになるわけですよ。そんなことは今まで考えもしなかった。まして女性というのは半分いらっしゃるわけですから、その方々の能力というのを、男はあまりまだわかっていないんですね。
ですから、今この政治の世界で、多分整えようとしている工程表というのは、何年までに、ヨーロッパから批判されないように、例えばノルウェーみたいにすごいことをやっている国からしたら日本はおくれているみたいな批判を浴びないために、とりあえず数字合わせしようぐらいのことですよ。ですから、ほんとうにここから先にあるものをやろうと思ったら、我々やはり民間人が力を合わせて、ほんとうにその先にあるものというのを求めていかないといけないと思いますので、私は、ほんとうに今回、このNWECが新しくそういう先にある目的を見定めて、ターゲットにして生まれ変わっていただくということを、ほんとうに望みたいと思います。
【大日向座長】 ありがとうございます。
坂東委員、お願いします。
【坂東委員】 男女共同参画社会の形成につきましては、政府が全体として取り組むということで、男女共同参画推進本部が設置され、すべての省の閣僚がメンバーになっております。そして有識者の方も加えて、男女共同参画会議で全体的な計画をつくって、もう既に3次の計画までできております。
そして、その際に、文科省、厚生労働省、農水省、経産省、それぞれの省庁が、それぞれの行政分野において男女共同参画社会の形成のための行政を行うという位置づけの中で、文科省も女性教育会館を機能させていくという形で取り組んでいらっしゃいました。その行政は文科省の設置法の範囲内、すなわち教育・学習で行政をされているわけですね。それは、厚生労働省は厚生労働省設置法の範囲内で、いろいろな行政に取り組んでおられるのと同様です。
ただ現実に、男女共同参画社会を形成するということになりますと、それぞれの縦割りでは到底カバーし切れない、三遊間に落ちるような球がいっぱいあるわけで、特に新しい課題、新しい行政需要を男女共同参画推進本部、推進会議でカバーしていこうという形ですので、長い間、この女性教育会館のあり方については、例えば内閣府が所管したらどうかという意見もございましたけれども、内閣府はそうした個々の行政を担当する省庁ではございませんので、文科省のほうで具体的な行政をやっていただく、そこと協力関係をするというふうな今までの位置づけです。
ですから、そうした今までの位置づけを根本的に変えるということになりますと、1つの法律を変えるだけでは済まないかもなという感じがいたします。
【大日向座長】 いかがでしょうか、この点。もし、事務局からお答えいただければと思いますが。
【合田局長】 そういったようなことも含めて、この場では、せっかくの有識者の方々が集まった会合ですから、そういう役所の縄張りとか、そういうことはちょっと外して、あるべき論をやっていただければいいというふうに思います。私どもとして、お話のように役所として受けとめ切れないテーマもあるかもしれませんが、それはそれで関係のところへお伝えするということは可能だと思いますので、そこは自由にご議論いただければよろしいかと思います。
【大日向座長】 ありがとうございます。
では、堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】 私も、議論を先へ進みたいと思うんですが、座長が今お引きになった法律の限界があるのではないかということで、確かに、合併前の厚生省と労働省があったとき、そして文科省があったとき、やはり日本は非常に強い縦割りがあって、その縦割りが相当社会のひずみをつくってきた。そのことの反省から、今の内閣も省庁横断的にということを、今回の行革なんかでもおっしゃっているわけでございまして、この法律を変えることもですけれども、これをどう読み込んだらいいかということですが、私は、今日のペーパーに書かせていただいたんですけれども、やはり時代の要請にこたえる新規事業を開発していく。それをやるところが、例えば農水省でしたら、農業試験場というところがございますし、科学技術庁にはもう膨大な、何兆というようなけたがつくような、そういった研究所があった上で行政が推進されています。男女共同参画については、今、坂東委員おっしゃったように、男女共同参画局が内閣府にあるために、そこの研究については、文科省の所管ではございますけれども、やはり、もう粛々とNWECがやってきたということがあると思います。
いきなり女性を登用、幾人増やせ、何のといったところで、それはあまりにも乱暴な議論でございまして、やはり人口統計とか、それから国の経済動向とか、そういったところの科学的な分析の中で、女性を、どこでどういう形でポジティブ・アクションが使えるのか、あるいはダイナミックに女性たちを登用していくための政策は、あらゆる省庁の中でどういうふうに展開していくかということが、どこかで研究されなければならない。それをやるところは、何度も座長おっしゃいますとおり、このナショナルセンターであるNWEC以外に、今のところ日本にはありません。
そして、女性会館の議論をと藤原委員はおっしゃるんですけれども、女性会館の建物なのではなくて、やはり35年間そこで積み重ねてきた、労働に関しての研究もたくさんございます。それから、ワーク・ライフ・バランスに関しての研究もたくさんございます。どれだけこのNWECの中から出た研究や、それからそこでもって、来た全国の人たちが、今まさにこの内閣が言っている、今、日本で女性が大事なんだと、そのことを私たち女性が、私はNWECのメンバーではないんですけれども、NWECのスタッフにしろ、そこでほんとうに研究していらした方が、どれだけ大きな声で、今まで言いどおしに言ってきたかわからない。
やっと、もうほんとうに国が破綻と言っていいぐらい、浦野委員が何度もおっしゃいますけれども、このままでいったら、私は日本の経済はおかしくなってしまうと思う。やはりきちんとした形でワーク・ライフ・バランスが保たれて、そして女性が単に労働力として働くだけではなくて、自己発揚して、研究でもいいし、それからいろいろな形で社会の意思決定のところにきちんと参画していくと。単に労働力として働くのであれば、また戦後の、女性が使われたような形になってしまうので、そうではないと、ほんとうの意味で、今度は女性が1人の人間として、人格として、きちんとした形で社会の中で力を発揮していく。もしそれができないのであれば、やはり日本は疲弊していく以外にないと、私は思っています。
ですから、我が国の経済発展、そしてもう1つ、とても大事なのが特に地方でございまして、活力のある地域社会をつくるのであれば、生涯にわたっての女性の教育、あるいは男女共同参画の政策について、まさにこの法律に書いてあるような専門的な調査研究を行っている、そこでほんとうに正しい方向性を今NWECがやらなかったら、どこがやるのかと。今こそNWECが逆に、ほんとうにその力を発揮しなければならない。
そのためには、今までのやり方ですと、少なくとも、人材が少ない。だからそこで、ほんとうに大学や何かと連携して、力のある日本の英知をそこに結集して、集めて、日本のこれからの男女共同参画社会の形成はどうあるべきかということを、NWECの場でもって研究する、その土壌として使うべきだと思うんですね。
そのために、私も立法府におりましたから、たとえ閣法としてこれを改正するにしても、今のような国会だと簡単に変えられないかもしれませんので、それをどういう運用ができるのか。それから、もし臨時に何らかの新しい法律を、むしろこの法律を変えるよりも、特別法のような形で、いろいろな形で、NPO法なんかも特別法で、本来の民法よりも大きいような法律になってしまいましたけれども、今これだけ国が求めているのであれば、新しい法律を特別法という形で出すということもあり得るかもしれませんし、これの修正がいいのか、もっとダイナミックに考えたほうがいいのか、その辺のところを議論させていただけたらうれしいです。
【坂東委員】 よろしいですか。私も全く、今、堂本委員のおっしゃったことに賛成です。この法律を改正する、この法律の上に乗せるのではなくて、あの機能、あの場所、あの施設とは別の機能を持った新しいセンター機能、ほんとうに男女共同参画にストレートに役に立つ機能を持ったものを別途の法律でつくるというほうが、今ある法律を変更するための多大なエネルギー、時間をかけることは政治的な状況を見ると、非常に難しいと思いますので、今の法律をそれはそれとしておいておいて、今の埼玉県のあの場所に、新しい強力な機能を持った専門的な機関をつくる、機能を持った機関をつくるということのほうが生産的ではないかなと思います。
【大日向座長】 ありがとうございます。
少し、伺いたいのですが、新たな強力な機能をつくるというときに、現在のこの会館を規定している女性教育ではやはり足りないということですか。
【坂東委員】 教育機能を持った部分は、一部分に限定して存続する。ゼロにはしないにしても、例えば1年に1回、今も全国の方たちが集まって情報交換をされておりますが、ああしたような機能は別の形で存続、主体は少し、例えば全国女性会館協議会に委託するとかというようなこともあり得るかもしれません、それは続けながら、メーンの建物、メーンの、例えば特に情報センター、そうしたものを活用して専門的な機関をつくる。
私は、これは政治の意思があれば可能だろうと思います。たまたま先日、沖縄へ行ってまいりましたが、今度科学技術大学院大学が、大変高いレベルの大学が沖縄に、恩納村に大学ができるということで、大変皆さん期待して、張り切っておられましたけれども、それに相当するような高度の大学院大学をあの場所につくるということは、十分可能なのではないかなと期待しております。
【大日向座長】 浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】 1回目に申し上げたことを再度繰り返すんですけれども、私は、今のような議論になってきたら、もう1つ飛び越えてほしいんですね。要するに、今ほんとうに日本にとって必要なことは、戦略的な多様化なんですよ。この女性の活用という問題もそのうちの1つなんですね。例えば電話の世界でいったら、我々は、電話線、有線の電話もまだ普及していなかったんですね。ところが今、もうほんとうにセルラーがどこでもという世界になったときに、インドにしても中国にしても、電話線を飛び越えてそこに行っているわけですね。
我々は、今ほんとうに世界の中で日本がもう一度と思えば、やはり、女性の活用はもちろんそうなんだけれども、もう一歩先へ行く戦略的多様性ということをなし遂げていかないと、やはり日本の経済ってうまく回っていかないと思うんですね。ですから、国家戦略としても、私はもうそのぐらいのことをばんと言わないと、ただ世界についていくだけの世界に終わってしまうので、今もちろんお2人がおっしゃったこと、そのとおりだと思いますけれども、もう一歩、できれば越えたいなというのが私の思いです。
【大日向座長】 有難うございます。
【堂本委員】 樋口さんが手を挙げていらっしゃる。
【坂東委員】 私は、そのためにも世界に通用するような高度の人材、オンリーワンの機能を持った強力な機関ができれば、非常にその意味があるのではないかなと思います。今の日本の社会にとらわれ過ぎますと、20世紀型になってしまいます。21世紀の社会を見据えて、国際社会に通用する人材を送り出すことが必要ではないかと思います。
【大日向座長】 柿沼委員、どうぞ。
【柿沼委員】 国際的に通用する人材の育成機関ということの高さと幅と奥行きさを充実させていくということも、もちろん女性自身には大切ですけれども、男性側にももっと強く働きかけていかなければならないのではないでしょうか。やはりそこを強力に進めないと、売り手側の女性だけができても、買い手側の、と言ってはおかしいでが、要するに経営者側がそのことを十分理解して、女性の能力を、ただ経済的な面だけではなくて、社会的に、人間としての女性の能力をきちんととらえられる男性方を育成しなければならないと思います。
それと、若い人たちに、もっと日本のありようというのでしょうか、全体的なことをもっと、世界の中での今の状況というものを教えていくということも、もっと幅広い視点で行っていく必要があるだろうと思います。もう少し歯車を転がしていく必要があるだろうと。30年教育だけやってきた現状が今の状況ですし、ナショナルセンターの教育的なことは大事ですから、そこの分野と同時に、ウイングをもっと広げるということをやるべきだろうと思います。
【大日向座長】 ありがとうございます。
では、樋口先生。
【樋口委員】 どうぞ先に。
【堂本委員】 私はもう、1度当てていただきました。
【樋口委員】 皆様のおっしゃるとおり、大体賛成でございます。私は浦野委員のおっしゃっていることを、初回からほとんど大賛成なんです。政財界全体はやっと今気がついたか、何で女性と仕事の未来館をつぶしてくれたのかと言いたい思いです。
はっきり言って、例えば浦野委員がおっしゃいますような、女性が経済界にどんどん進出して、日本だけの特殊現象と思われるような状況を改革するには、もちろんNWECは大事な役割を果たせますけれども、女性と仕事の未来館ははるかに雇用や労働と近いところにいたはずなのに、それを、わずか1年半前の、同じ政権がつぶして、そしてNWECも壊しかけて、今何がこの潮目を変えたか、私は結局、世の中の動きというものと常識がようやく政財界の中枢に到達したのだろうというふうに思っております。
ですから基本的に、大日向座長が今回、根拠法規というものをもう一度、私もよく存じませんでしたから、それを改めて考え直させる機会をつくっていただいたことは、とてもありがたいことだと思っております。なるほど、ここまで教育に特化していたのかと、そこまで縦割りだったのかと。いわゆる縦割りの中で、文科省の女性教育会館に、労働部局が、よい意味で競争心を抱き、女性と仕事の未来館をつくったかなんていう歴史を、今ありありと思い出していたところでございます。今はそんな時期を通り越して、まさに、あえて言えば総力戦の時代になってきて、今の新しい事態にどう対応していくかということを、ここで考え直さなくてはと思っております。
そういう意味で申しますと、私は、日本経済界のおくれを取り戻すには、やはり男女共同参画以外にないと思っている、その意味では、浦野委員以上に、女の当事者として思うぐらいでございますけれども、ただし、経済活性化のためにだけ男女共同参画が必要であるというような出発では、成功しないと思っております。私はむしろ、先ほどおっしゃいましたけれども、男性を含めた人間の幸せを追求していくと、いや応なく男女共同参画ということが大切になってくるのではないかと。
北欧モデルをただ1つのモデルにする必要はございませんけれども、坂東さんが沖縄から帰ってきたと言いましたけれども、私はストックホルムとヘルシンキを通って帰ってきたばかりでございまして、何も北欧モデルが理想のモデルとは思いません。いろいろなモデルがあってよろしいとは思いますけれども、男性、女性がともに働き、そして少なくとも女性の待遇が男性の8割には十分超えている。そして国会議員、地方議員など、方針決定の場に4割から5割が参画しているという社会で、出生率も上がり、経済発展の見通しも日本よりはるかに高く、大事なことは、男性、女性含めて、そこに生きる人の満足度が高い。
この、ハピネスというか満足度と言ったらよろしいんでしょうか、経済発展、もちろん大事です。もちろん大事ですけれども、そのことともう1つ、私たちが男女共同参画を考える1つの目標の中に、人々の幸せとか人生の充足度とか、そういうものをぜひ入れてお考えくださいますようにということです。
【大日向座長】 それでは、堂本委員、どうぞ。
【堂本委員】 私は、誤解を招かないためにはっきり申し上げておきたいんですけれども、この検討会の結論を出さなければならないのが6月で、今ここで、坂東委員ともども、ほんとうにダイナミックに展開する必要が、私も今日は「活動のダイナミックな展開」という題で、ちょっと紙を出させていただいたんですけれども、それはあるんですけれども、この6月までに出す結論は、そこにはとても到達できない結論だと思います。行政改革というところから、こちらに振られてきた検討会であるために。
それで私がはっきり申し上げたいことは、そういうところが必要だから、NWECをやめていいという論理は全くないということを、すごく強調したいんですね。35年間、日本中の女性たちが積み重ねてきたその財産、これをもし捨てるとしたならば、それこそ次のことはまたゼロから始まるような、根なし草みたいなことになってしまいます。ですからやはりNWECは、日本の女性政策、男女共同参画社会形成の根っこなんですね。
これからどのような木を大きく茂らせ、どんな枝を大きく茂らせ、そして今、樋口さんがおっしゃったような人間の幸せを、私も単に労働力ではないとつくづく思うんですね。戦後、女性たちはほんとうに働いたんですけれども、そうではなくて、やはりもう戦後ではございませんから、男女がともども、ほんとうに、樋口さんの言葉で言えば充足感、あるいは自己発揚ということがちゃんとできる、そういった意味での憲法に保障されているような人間としての尊厳、そして個人の尊厳、平等、そういったものが担保されるようなために考えるのであれば、私は、ほんとうに今までNWECがずっとため込んできて実現できなかったことが、今まさに木を植えて、早く花を開けと。そんな6カ月や1年ですぐに花が開くわけではないですけれども、でもずっとNWECにはそういった木の芽がいっぱい出てきていたはずなんですが、それを全然育ててもらえなかったのが、この日本国でございます。
ですから、これからどういう花を咲かせるかということは、大いに、戦略会議だろうが、それから内閣総理大臣だろうが議論していただいて結構ですが、そのための根っことして、私たちは、ここの検討委員会のミッションとしては、ぜひともその根をほんとうに大事にして、それが20世紀型だといって切り離す必要は全くない。それは、21世紀への移行は20世紀がなければできません。ですから、その根っこを大事にしながら、次のことを議論したいということで、誤解を招かないために言わせていただきました。
【大日向座長】 済みません、1つ、進め方を考える上で、申し上げる時間をいただきたいと思います。
まず1つ、堂本委員が6月とおっしゃいましたが、もうちょっとありますね。7月、8月ぐらいまでは、状況によって延ばすことが可能と伺っておりますが、それでよろしいでしょうか。
【杉野生涯学習総括官】 はい。といいますのは、もともと政府の方針として夏までに結論を出すという話になっておりまして、当初は私ども、夏は夏でも早い夏と思って、6月までの日程を、先生方にご無理を言ってご照会させていただきましたけれども、そもそものいろいろなご議論をしていただいておるわけでございまして、正直申し上げまして6月末までに無理やりということができるかどうかというのは、やや自信がございません。したがいまして、7月の日程を既にご照会申し上げておりましたけれども、7月はお集まりいただくことになるかなと思っておりまして、あえて言えば、それでもというときには晩夏ということで、8月の日程も改めてご照会をさせていただくこともあり得るかなと思っておりますけれども、それぐらいの幅を持って十分にご審議をいただきたいというふうに思っているところでございます。
【大日向座長】 まず1点、期間を、もうちょっと猶予があるということでございます。
それからもう1つ、期間もそうですし、現行の行政の体制の中で、縦割りの中で議論しなくてはいけないことでは私はないと考えております。先ほど局長が、可能かどうかはわからないけれども、とにかくあるべき論を徹底的に議論してほしいとおっしゃってくださいました。ですから、現行は縦割りでいろいろ制約があることは十分皆様承知です。でもNWECが今まで果たしてきた役割を一層、堂本委員が言われるように、ほんとうに結実させ、花にするために、やはりあるべき論を徹底的に私たちは議論し、それがどういう形で実現できるか、できないかは、事務方ないし政治のほうにゆだねるとしてもこの検討会は、私は、空虚な夢を語ることはできないと思いますが、大いにNWECが果たされた35年の蓄積をもとにした夢を語るべき場だというふうに考えておりますので、期間の延長とともに、そこはお含みいただいた議論をこの後お願いしたいと思います。
それからもう1点、経済発展や労働力活用に新たな意義を見出す時にきているのではないかと考えます。浦野委員が経済発展、労働力の活用の意義についておっしゃておられます。私もまたNWECが女性教育に特化しすぎていたのではないかと問題提起したときに、NWECは経済発展、経済成長をはじめとした時代の要請にこたえ得ることが必要ではないかという問題提起をさせていただきました。
しかし、その場合の経済発展は、人間のハピネスと拮抗するものではない、むしろ、人間のハピネスの追求なくして今の企業の発展はないと思っています。昔のように、企業はもうければいいだけの企業ではありません。もちろんそういう企業がないとは申しませんが、これからの企業のあり方を、いろいろな経済界の方とお話ししているときに、人間のハピネスを根幹に考えた経済発展を考えておられる。そういうことも含めて、ですから私は、NWECの機能が女性教育ということに特化させている現行の会館法の文言そのものの問題点をどう考えるかということを、今日は投げかけさせていただいたわけです。
議論をさらに少し発展していただくために、資料2の2ページ目の4機能に注目していただければと思います。NWECが果たしてこられた4機能が示されています。今まで皆様にご議論していただいたことを、もっと具体的に見える形にして検討できればと、考えるのですが、果たしてこの4機能で十分なのかというようなことも一方でおきながら、残った時間、NWECのほんとうの今後のあるべき機能ということを、ぜひとも夢を語っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、お待たせいたしました。
【坂東委員】 よろしゅうございますか。
私は、ほんとうに今の皆様のご意見に大賛成でして、これからの日本の経済を女性が支える役割というのは、だれももう否定できなくなりつつある。やっとほんとうに潮目が変わったなというふうに思っておりますが、その人材養成は、例えば私どもの昭和女子大学も長い間、家庭で良妻賢母、男性たち企業戦士を支える役割の女性たちを育ててきたわけですけれども、来年からグローバルビジネス学部をつくりまして、女性たち自身がプレーヤーになるという方向に踏み出しますが、それぞれの大学が、特に学部レベルで、企業で通用する女性を育てる、送り出すという教育機能をお持ちになっていくだろうと思います。
ですから私は、今、この女性教育会館、あれだけのすばらしい施設、場所があり、今までの情報の蓄積、調査研究をされてきたことの上乗せをするのは、経済界で役に立つレベルの人材養成ではなくて、21世紀の世界をつくる、世界の中で日本がどういう役割を果たすのかと。もちろん経済もその中の1つの役割ですが、平和構築とか、ほんとうに日本がもっと、自分たちの幸せだけ、自分たちだけが、ぬくぬくとという言葉を使うとよくないですけれども、そうした生活を送ることを目的とするだけではなしに、開発に貢献する、いろいろなグローバルな視点を持って、そういったところで十分に役に立てるように人材を送り出す機能というのも視野に入れなければならないのではないかなというふうに思っております。
【樋口委員】 1つ確認をよろしいですか。そういう形で、今の、ちょっと潮目の変わり出したこんなときに、ほんとうに政治というか世の中というのは生ものだと思って感心しているんですけれども、せっかくのこのチャンスにNWECを使って、あえて言えばNWECの今までの歴史も踏まえながら、それを使って未来に何ができるかというのを議論してみたいと思うし、それが今、ずっと出てきている流れだと思うんですけれども、そのとは、ここが文科省であるということを少し忘れてもいいのか。あくまでもこの建物は文科省の一部であって、その枠の中でやはり考えなければいけないか、もう一度、ちょっと確認です。
【大日向座長】 杉野総括官、お願いいたします。
【杉野生涯学習総括官】 もう既にご議論は、生涯学習政策局はおろか文科省の枠を越えたご議論を重ねられていらっしゃると思っておりまして、そういうご議論を、あえて申し上げれば、ぜひ抜本的なご議論をやっていただくことになっておりますので、ご議論いただきたいと思っております。
ただ、余計なことかもしれない、おしかりを受けるかもしれませんが、1点だけ、役所の立場から申し上げますと、こういうご時世ですので、行政の肥大化、あるいは、俗な言葉で言うと焼け太り的なものだというような見方をされる場合も、こういうご議論だけではありませんけれども、いろいろな場面でもよくございますので、枠を越えてぜひご議論いただきたいと思うんですけれども、いずれご議論あると思いますけれども、その上で、どうやってその機能をめり張りをつけていくのか、あるいは効率的な運営を図っていくのかということも含めて、いずれご議論いただきたいというふうに思っておりますが、これはあくまでも役所からの希望でございまして、まずは先生方、枠を越えて、あるべき姿、未来の姿を存分にご議論をいただきたいというふうに思っております。
済みません、余計なことまで申し上げました。失礼しました。
【樋口委員】 ありがとうございます。
【大日向座長】 では、まだご発言なかった柏木委員から。
【柏木委員】 ありがとうございます。
今日は3回目ですが、すごくおもしろいなと思って、わくわくして今聞かせていただいておりました。立場の違いとか考え方の違い、すごく大事だなと。こんなにもおもしろい議論が聴きながら、これをNWECでやれたらどんなにいいだろうと思います。それぞれお考えや意見は違うと思いますけれども、NWECが大事だというところで、今、方向性として話が進んでいるかなと思っていますので、こんな議論が多分NWECでもできるかなと、ぜひしたいなというふうに思いました。
実は、ちょっと時間がありましたので、お隣の建物に文科省の情報ひろばというところがありまして、そこをちょっと見てきました。文部科学省がどういうことを女性行政、男女共同参画についてしているかというところで、こんな説明がありました。
『男女共同参画社会の実現に向けて、教育・学習の果たす役割は大きい。学校教育としては、発達段階に応じて、社会科、家庭科、保健体育、道徳、特別活動において、人権の尊重、男女平等、男女の相互理解と協力の重要性、家庭生活の大切さなどを指導する。社会教育においては、男女共同参画学習の機会の提供をしていく。1977年に、我が国唯一の女性教育のナショナルマシーナリーが設立されています』と、こんなことが書かれていまして、やはりNWECというところは国として男女共同参画を進めていくところなのだ、そのように文科省も位置づけているのだなと思いまして、少し安心もしました。また、先ほど大日向さんのほうからご指摘がありました会館法のお話もあり、私もこれも読んではいたのですけれども、そこまでは考えなかったのですが、局長は、これを変えていくということも視野に入れてと。あるいは、これを変えるのは難しいので、さらにもう1つ別な法律なりの位置づけを持ってもいいのではないだろうかと、非常におもしろい議論になっているなというふうに、わくわくして聞かせていただいています。
もう1つ、提出資料の資料1-1の中に、男女共同参画の実現により、どのような社会を目指すのかと。「主なご意見」というのが、まとめていただいてあります。
私も、皆様方のご意見に賛成なのですけれども、これまで男性が中心に引っ張ってきた社会を、これからは男女共同参画社会に、男性と女性がともに参画してものを決め、責任も役割もとっていく社会をということかと思いますが、そのもう一歩先のところで、性別、障がいの有無、国籍、人種、さまざまなバリアを超えた多様性のある社会をつくっていくというところに行くのかなと思っております。その中でも、特に多様性、私たち日本の男女というのは、ある意味違う文化の中で生活をし、生きてきたようなところもありますので、男女の多様性がまずあって、それからそれ以外の多様性というところに進んでいくのかなと考えております。
それからさらには、これからの21世紀、企業経営とか日本の発展だけではなく、国際的な視野もにらんだ上で、21世紀我が国社会がどうあるのかという議論こそが大事なのだと、私もそのように考えています。言い方は、いろいろな言い方がありますが、人間の開発、人間のハピネスという言い方もありました。人間開発、十分に個性と能力を発揮できる社会をつくっていくことが、国家の発展、安定にもつながっていくのだというところは、国連でも書かれていることで、私もそのように認識しているところです。
そういう社会が男女共同参画の目指していくところと、私なりに今まで考えてきましたので、このもったいない社会、人材活用ができていない社会を何とか変えていくようにしていかなければならないと聞かせていただいておりました。実は私、連休中、ニューヨークに行ってきました。いろいろな気づきがありました。人種のまぜご飯とか言われるニューヨークというところで、さまざまな課題がありつつも、やはり人種の多様性とか、さまざまな人たちが、自分らしくかどうかはわかりませんが、生きていかなければいけない国、あるいは街がそこにはありました。日本の国もそのような社会、国になっていくのではないかと思っていますので、いいところは学びつつ、日本なりに、やはりそういう多様性のある、ドラスティックな、活力のある社会を目指していくというところが男女共同参画の究極かなというふうに思っております。
最後に、4つの機能がNWECにはあるということですが、機能それぞれの充実が必要です。そのためには、省庁の枠を超える等、いろいろなやり方があると思いますが、それこそがNWECがこれからしていかなければいけない役割なのかなというふうに考えています。
【大日向座長】 ありがとうございます。
それでは、柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】 幾らインターネットが発達しましても、人間、ネット上だけで暮らすわけではありませんので。私は、今の土地つきの、埼玉県にあります会館の場所、このNWECを守って、そこでどう利用価値を高めていくかということがとても大事だと思っています。今、日本に、約200万人も外国人が住んでおりますので、この機能の中に、高度な国際的な研究成果の情報発信とかということだけではなくて、もっともっと、男女共同参画社会を豊かなものにするための間口として、もう少し、在日というか在住というか、そういった外国人までも巻き込んだ展開もあってもいいのかなというふうに思うわけでございます。国際貢献・連携教育の推進の母体にもつながっていくのではないかなと、1つの視点ですけれども、加えさせていただきます。
【大日向座長】 ほかにいかがでしょうか。
【堂本委員】 大胆に話していいということなので、今日、資料4で、私は紙を用意させていただきました。
そこで、下のほうに「期待される役割機能」ということを書かせていただいたんですが、一番今思っていることは、このNWEC、教育会館の4機能というのを見せていただきまして、それぞれの4機能は大事なんですけれども、同時に、NWECの中に、仕事上縦割りの形ができることは避けなければいけないのではないか。とすれば、そこをどう改革していくかということは、ここのところにちょっと書かせていただきましたけれども、大学ですとか、それから各地方の女性団体、あるいは男女共同参画センターや女性センター、それから地方自治体の男女共同参画の担当者、あるいはNPO、NGO、こことは今のところいろいろ連携を持っていらっしゃるんですけれども、その連携をもっともっと強化する。量的にも質的にも強化をする、数も増やして、全国くまなく、網の目のようにネットワークがそれぞれのレベルで張れるような形にしたらいいと思います。お金がないではないかとすぐ言われそうですけれども、そこは後から考えるというお話だったので、あえて言わせていただきます。
そして、今あまり活発に行われていなくて、多分新理事長はそこを今一生懸命ご努力していらっしゃる、新たに企業とのネットワークを構築する。そして、その企業で、浦野委員が何度もおっしゃっていますように、ほんとうに企業の人事担当者に、いかに女性がきちんと会社の中で、あるいは会社だけではないかもしれませんが、そういうところで働く、農業の場でも同じですけれども、男女がともに働く。男女だけではなくて、もっと多様な資質の人が働き合うということが、21世紀型の産業のあり方だというようなこと。そして、その中で女性をどのように起用できるのかというようなことを担当者と十分に話し合うような場ですとか、逆に女性の方たちに、管理職になるのが日本は大変少ないので、管理職になっていくことについてのレベルの高いワーキンググループというか、そういうようなことを果たしていく。理事長が一番お得意としていらっしゃるところですけれども、そういったことを大胆にやっていく。
そのためには、そういった企業とのネットワーク、あるいは、ただ一時的にそこに人が集まって、年に1回何か講習をやるというのではなくて、それが連続的に、ここに書きましたが、女性の指導者をはじめとして、全国の――これは法律から、実は会館法の中に書いてあるのをとったんですけれども――女性を対象とした教育・研修、それを、こういった連携の中でやることによって、ダイナミズムを展開する。それから同時に、男女共同参画の政策あるいは実態についての調査研究というのもやるために、情報事業を十分に充実させていくというようなことを徹底してやってみると。そのためには、大変な人材と、それから能力を必要といたしますけれども、そこは後の問題で、理想としては、それが21世紀型のインクルーシブな社会をつくっていく第一歩につながっていくのではないかと思っています。
そこから後はお読みいただきたいと思いますけれども、大学との連携、あるいは企業との連携、そしてNPO・NGOとの連携、そして情報事業について、夢のようなことだけではなくて、現実に可能性のある事業について書かせていただきました。
特に5番目に書きました理工系分野への女性研究者・技術者の進出ということは、非常に大事だと思っております。よその国は、高学歴、いわゆる高等教育は女性のほうが多いですけれども、ヨーロッパもアメリカも。韓国と日本だけが女性の高等教育への在学率、大学に在学している人の数が少ない。とても残念に思います。何とか日本も高等教育にどんどん進出していくことによって、非正規は女性が非常に多いわけですけれども、そういったような差別、格差からも脱却していけるだろうというふうに思いますので、こういった理工系の研究者などについても定着を図る事業というのは大事ではないかと考えています。
どうもありがとうございました。
【大日向座長】 ありがとうございました。
機能にかかわる貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。この後、何度も繰り返して恐縮ですが、やはり会館の役割・機能を、今日は徹底的にご議論いただきたいと思うのですが、そのときに、例えば浦野委員は、男女共同参画は手段ではなくて目的だと言われた。坂東委員も……。
【坂東委員】 逆です。手段であって目的ではない。
【大日向座長】 失礼いたしました。手段であって、目的は何かを議論しなくてはいけないということですね。それを受けて、坂東委員が、例えば平和構築を考えることのできる女性と言われました。このように、NWECが養成すべき人材とは何なのかということを、私はもう少し明らかにしていただく必要があるかと思うんです。
例えば、あの嵐山の土地つきのすばらしい会館があります。先ほどどなたかが、あの会館でできることを考えようとおっしゃいました。でも、私は議論が逆ではないかと考えているんですね。ほんとうに、NWECがやらなくてはいけないこと、NWECでなくてはできないことは何かを考えることがまず先にあって、そのために、あの土地、すばらしい環境をどうやって生かそう、生かせるかという議論が必要なのではないでしょうか。そうでないと、現状のNWECの範囲の中でまた議論が集約されてしまうのではないでしょうか。藤原委員は資料をせっかくお出しくださっていますが、まだその点についてご議論ないですが、果たしてあの土地つき会館が必要なのかという問題提起も、資料の中であえてしてくださっています。その問題的に答えていくためには、あの土地と会館がなくてはできないほどの機能って何なのか、役割って何なのかと、そこを徹底的にご議論いただきたいと思います。議論が逆転してはいけないと思っています。
そういう意味で、どうぞ、人材とは何なのか、グローバルな人材、21世紀に求められる人材とは、NWECが果たすべきものは何か、そのあたりをもう少し明確に、徹底的に議論いただきたい。樋口委員が言われるように、女性と仕事の未来館がつぶされたことの二の舞には絶対したくないわけです。
【藤原委員】 関連して、それでは、最初に大日向さんが設定していただいた仮説というか、もしかしたらこの会館法の目的規定そのものに問題があるか、あるいは制約があるのではないかという、そこに返りたいと思うんですけれども、私は、とにかくこれは本質論から議論すべきだと思っていて、今までの議論の流れは、なぜか、もうNWECありきで、それをどう拡大・発展させるかと、こういうことになってしまっている感じがあります。皆さん、そう感じられませんかね。非常に僕は不思議なんですけれども、そこはもう皆さんコンセンサスありますよねというふうにおっしゃっているんですが、ほんとうにあるんでしょうか。
もう一度、ここで何をするべきなのか、つまり男女共同参画社会を実現するために何を一番大事とするのか、それがほんとうに女性教育なのかという話にもなるわけですね。もしかしたら、この議論の流れの中では、男性教育なんじゃないのと、こういう疑問だってあるわけです。
私、最初から申し上げていますが、浦野さんが指摘された多様性というものが日本の企業社会で全く実現されていないと、これはそのとおりだと思います。もし、この男女共同参画を実現するためには、日本人の多様性、あるいは多様性に対する耐性というか、いいんだと、リスペクトすべきなんだということを徹底的にやるんだとすれば、これは文科省の問題ではもうなくなって、日本全体の社会を変えるわけですから内閣府になければいけないでしょうし、あるいは、新しいワークライフバランスを働きかけるということを徹底的にやらなければならないのであれば、それを、嵐山でしたっけ、あそこにあるよりは、企業に対して徹底的に働きかけるのであればもっと中心部になければいけないのではないですか。あるいは、研修機能というのはほんとうに大事なのかというようなことも、ちょっと僕は疑問が残ります。
ですから、もし多様性というのを徹底的にやるのであれば、多様性教育というのが目的規定になければいけない。それを特に男性、あるいは、もしかしたら小学校、中学校、高校の男性の教諭に徹底的に教えるのか、そういうふうにねらいを絞っていったほうが、実際に実現が早いのではないかなと思うんです。
実際、皆さんおわかりのように、私も2度目のときかな、言いましたけれども、現在の文科省が設定する新指導要領に沿った義務教育では、画一化が行われます。間違いなく画一化が行われます。そういう教育をしているんですね、日本は。これ、どうするのと、ほうっておくのかどうか。つまり現在の教育では、子供たちが意見を多様に持って、それを吸い上げるという、先生のほうが吸い上げるということをしていませんので。そういうことをほうっておくのかどうかなんです。
それから産業界については、どうも、浦野さんに聞くとニチレイは違うらしいんですけれども、、やはり同じように指摘しましたけれども、多様性というのを保障するのであれば、男も相当働きにくくなっているんですね、今の企業社会って。そういう意味では、全体を直していかなければいけないんですけれども、その1つの具体的な手法として、例えば「時間をずらす」ということをもっとやらなければいけないんです。朝早くから働くやつがいてもいいし、3時から働くやつがいてもいいしと。あるいは週の休日もずらしていいし、連休や夏休みなんてもっとずらしていいと。ほんとうは、もっとずらしていけば、女性も働きやすくなるはずなんですね。男も働きやすくなるはず。わりかし弱っちい草食系男子もですね。
そこもほとんどなし遂げられていないでしょう。今回、節電がありまして、去年の大節電キャンペーンのときに、多くの企業がそういうことをやったんですね。働き方をずらしましょう、1日の時間をずらしましょう、それから休日をずらしましょうとやったんだけれども、今年、さらなる節電ということになっているんですが、去年やってみたら、やはり効率が悪くなったから戻しますと、そういう結論になってしまっている。ね、浦野さん。残念ながら。ほんとうは、原発が使えないというような、その危機を1つの大きなきっかけにして、産業界が全体をずらしても効率が上がるような働き方にしていかなければならないのに、それが行われませんでした。
ですから、教育の世界でも画一化が行われていますし、残念ながら産業界でも画一化に戻っちゃっているんですよ。違います?
【浦野委員】 違わないです。
【藤原委員】 そうですか。大きな流れとしては、僕は戻ってしまっているように思います。非常に保守反動というか。最先端の企業だけが、ニチレイはじめ、そういうところが出てきている。だからことさら、ある意味ではPRにもなるのではないかと思うんですけれども。そういう全体の、企業と教育というようなところを画一化から逃れさせて多様性をやるんだと。
そういうことであれば、それをどこが担うのかというのも、NWECじゃないかもしれないと私は思います。そういう前提でなければ、つまり男女共同参画社会をなし遂げる、絶対に。そのナショナルセンターが必要だ、これはいいです。でも、なぜそれがNWECなのか。あるいは、なぜそれが嵐山になければいけないのか、なぜそれが土地つきでなければいけないのかというのは、これは分離しなければいけない。その機能をもっと、こうあるべきですよねという話がどんどん起こっていいんですが、その器がどこなのかは別に議論しないとおかしいんじゃないでしょうか。
【大日向座長】 柿沼委員。
【柿沼委員】 確認ですけれども、この嵐山の国立女性教育会館ができたきっかけというのは、お上からというよりは、皆さん方が、自分たちが一堂に会していろいろな議論をしたり、切磋琢磨する場所を、日常から切り離した場所に欲しいということで、わざわざちょっと遠目のところに設定がなされたというふうに、当事者の方々から伺っております。
そして、今までは女性教育ですから、そこで勉強を重ねた方々が全国に散って、地域の男女共同参画の形成に対して少しずつ寄与してきているという状況の中で、やはりここの、藤原委員のお書きになった「「女性教育会館」が女性運動のメッカとしての役割を終えているのなら」というのがありましたけれども、女性運動というのは……。運動ではないと思います。これは運動ではないと思いますし、そういう「メッカ」という言い方とはまた、私は違うのではないかなと思います。女性教育会館として、例えば宗教のメッカとか、そういうところではなくて、さまざまな活動の拠点としての、そして指導的な役割をしてきておりますが、女性の、男女共同参画を進めていくときの仕事を終えているならば、こういう議論は出てきていないわけです。ですから、少し前提としてのご理解が違うのかなということがありまして、その辺りは、ちょっと私のほうは異論を挟ませていただきたいと思います。
【藤原委員】 メッカじゃないんですか。逆に聞きますけれども。
【柿沼委員】 メッカというのは、どういう意味で。
【藤原委員】 象徴という意味です。つまり、そこに1つの運動の象徴……。
【柿沼委員】 でも、運動ではないと思うんですね。女性運動というものではないと思います。運動ではないと思います。
【藤原委員】 いや、最初ですよ。最初の流れからいって、消費者運動だったり、そういう時期があったんじゃないですか。そこから男女共同参画というふうになっているんじゃないですか。
【堂本委員】 ちょっといいですか。質問ですけれども、藤原委員のイメージなさる女性運動というのは、どういうものなんでしょう。
【藤原委員】 日本では、やはり男性社会というのが形成されていたと思います。特に明治政府からずっとですね。その前は違ったようではありますけれども、その中で、女性の権利というものが非常に弱かったし、それを抑え込んでいたのではないかと実際思います。それをだんだんと、その権利を付与していくということに女性のほうが立ち上がって、そういう運動の中で獲得してきたものが大きかったですね。
そして、ある時期からそれを男女共同参画というような言い方をして、もっと、それでは女性に参画してもらおうじゃないかというふうに国民の意識が進んだ、あるいは政権の意識もおそらく進んだと。そういうことではないかと思うので、初動期そういう時期があったというふうに思いますし、それを、かなり女性教育会館がメッカとして役割を果たしたのではないかというふうに理解しているんですけれども。あそこに展示をされていた、例えば日本で初めての、主婦で参議院議員になられた方の展示とかもありますよね。
【大日向座長】 先ほど藤原委員が言われた、男性を含めた多様性の推進等の教育問題を含めた議論は、まさに女性教育会館の在り方、機能として、今ここで議論したい点だと私は理解しながら伺っていたんです。しかし、なぜそれが女性教育会館でなければいけないのかというふうに最後におっしゃいました。逆に、では女性教育会館以外のものがあると考えて、どうして女性教育会館ではいけないとお考えなんでしょうか。そこが知りたい。
【堂本委員】 知りたい。伺いたい。
【藤原委員】 女性教育会館が文部科学省所轄の独立行政法人であって、生涯学習局におさまっていますよね。そこでできる問題を超えていると思います。
【大日向座長】 それに関して、だからこそ、私は会館の目的法の制約を今回提起させていただきましたし、事務方も、先ほど杉野総括官が随分と思い切ったことをおっしゃってくださったと思うんですが、文部科学省に縛られない議論をしてほしいと言ってくださいました。
しかしながら、ではどこの省庁でもいいというわけではなくて、会館を35年守ってきてくださったのは、私は文科省だと思っています。ですから文科省を中心としながら他の省庁も入っていくような、そういうことは夢と言われるかもしれませんけれども、全部解体するのではなくて、文部科学省中心となってNWECを守り続けていただきながら、もっと広い、多様性だとか、男性を含めた問題、労働の問題、経済の問題も考えられるような法の何らかの改定、あるいは省庁の所管の問題も考えていただく可能性がないものなんでしょうか。
笹井課長、いかがでしょうか。
【笹井男女共同参画学習課長】 先ほど来事務局のほうから申し上げておりますように、この検討会としては、そういうような自由なお立場でご議論いただければ大変ありがたいと思っております。役所のほうの話といいますのは、役所のほうで検討していくということになるのかなと思っております。
先ほど総括官からも申し上げましたように、行政の肥大化というような観点で見られるようなものは、なかなか難しかろうと。ですから、これもあれもというのはなかなか難しいとは思うんですけれども、どこのところを充実させていって、どこのところは精選をしていくのかというような形でのご議論をいただければいいのかなというふうに思っております。
【大日向座長】 さらに踏み込んで伺いますと、今回、会館の目的法を討議資料としてあえて出していただいたというのは、全くこれが変更不可能なら出していただかなかったと私は思うんです。議論していいと言ってくださったからには、何らかの変更の可能性も考えていいということですね。
【笹井男女共同参画学習課長】 そのとおりでございまして、2つ、ちょっと事務的な話になりますけれども、申し上げたいと思います。
まず1点目は、今回の検討会は本年1月の閣議決定を受けて議論をお願いしているわけですが、閣議決定の文言で申し上げますと、「女性教育及び男女共同参画の推進という政策目標の達成に向けて、本法人の機能、在り方及び効率化に関する抜本的な検討を行う」、それが24年夏までということになっておりますので、政府としての意思というのはそういうようなことであるということを踏まえていただければと思います。
それから2つ目といたしまして、先ほど申し上げました個別法でございます独立行政法人国立女性教育会館法でございますけれども、先ほど通則法の話もさせていただきましたが、この1月の閣議決定を受けて、通則法の改正案というのが、今、国会に出ております。その中で、これまでの独立行政法人の通則法のルールを一部見直しましょうということになっておりまして、それの審議が今後予定をされているところでございます。
その通則法が成立するという前提でございますけれども、平成26年4月から新しい法人制度に移行する、そのためのいろいろな措置をやっていきましょうということになっておりまして、今度は個別法のほうも、個々の独立行政法人の個別法も今後改正をしなければならないということがございます。それを平成26年4月までの間にやっていくということになっております。
NWECに関しましては、今現在ご議論をいただいているところでございますので、ここでの結論を受けて、個別法を、もし改正をする必要があるということになれば、26年4月に向けてやっていくということでございますので、政府全体として、1月の閣議決定を受けて、そういうような取り組みを今やっているところであるということでございます。
【大日向座長】 ありがとうございました。
堂本委員。
【堂本委員】 そうだとすれば、座長、ありがとうございます。ほんとうに期待が持てます。その点、個別法をそういうふうに変えることができるのであれば、もう次回までに、どういう法律に変えたいか。今日ここでは、ちょっととっさには出てきませんが、大急ぎで考えたいと思います。
それから藤原委員に、ぜひ、私は最初のころの、まさに柿沼さんは現場にいらしたから、いろいろ、全国の女性たちがNWECを、どういう形で集まれるようにしようといった現場をご存じなんですが、1つね、どうしても藤原さんのおっしゃっていることで、私が納得いかないことがあります。
国立のなんですよ。それで運動というのはね、反体制で起こる。だから戦前には、それこそ命を落としてでも女性の参政権を獲得するために、女は死んででも闘ったんですよね。だけれどもNWECのために、NWECをつくるために闘ったか。これは国立なんですよね、国がトップダウンでつくったナショナルマシーナリー。そうすると、そこは運動ということはあり得ないし、運動のメッカというのも、その現場にいたわけではありませんけれども、私の知る限りの歴史ではそうではない。
だから、例えば女性の参議院議員とか、戦後に大勢出た、それはむしろ女性運動ではないです。初めて女が日本でもって権利を行使できた、平等になったことで、それは私たち女性の歴史をそこに、まさにアーカイブなんですけれども、女性の歴史をそこで大事にしているということで、それはフランス革命だったら、これはほんとうの革命ですよね。だけれども、日本の場合は残念ながら敗戦という形で、棚からぼたもちで、私たちはそういった平等の権利を憲法で保障されたわけですから、これはぜひ。
やはり男性だから、もしかしたらわかりにくいのかなと思って、あえて手を挙げてしまったんだけれども、女性の運動というのは、もっと違うところだったと思います。もっともっと激しい運動は、NWECなんかで運動している人はいかないんですよ、そもそも、と言ったら違うのかしら。その辺はちょっと、樋口さんみたいに古くからかかわっている方に伺いたいけれども、多分、私は運動家ではなかったのでね、当時。わかりませんけれども、国立なんですよ。ナショナルのところに、男のところでも何でも、運動家がたむろすることはあるかしら。大学は別ですけれどもね。どうだったんでしょうね、その辺、私も存じませんけれども。
ありがとうございました。
【大日向座長】 では、坂東委員。
【坂東委員】 私は、さっき柏木さんがわくわくされたとおっしゃいましたけれども、ほんとうに文部科学省は偉いなと思って聞いております。女性教育指導者だけを対象とするのではなくて、男女共同参画社会を形成する人材、それをリードする人材というのは、もう男性にも貢献してもらわなければいけないわけですし、もちろん国際的な場でも、ジェンダーの視点を持って平和にかかわっていく、あるいは開発経済にかかわっていくような人を育てる、ほんとうにどんどん対象が広がるなと。でも、あまり広がり過ぎると今度は収拾がつかなくなるので、具体的に実現する部分はどれだろうという戦略を、ここでみんなで話し合わなければいけないのかなという感じがいたします。
ほんとうに、女性教育指導者に限定しないんだと、企業の方たちとも連携していこうといのは画期的です。国際的な、私はほんとうに多様化ということを考えると、男女共同参画と並んで、今グローバル化というのが日本にとってはほんとうに避けて通れない課題ですので、ぜひその視点も入れていただきたいなと思います。わくわくしてくるんですね。 国立なんですよ、日本の代表的なセンターなんですよね。
【柏木委員】 すごく坂東さんのご意見をうれしく思って聞きました。ほんとうにそうなんですね、NWECは77年に開館していますから、75年の世界女性会議の後にできています。女性の運動は、敗戦を経て女性たちは選挙権を持ったぐらいで、成功していませんので、NWECが女性運動のメッカとして建設されたわけではないというところは、ほんとうに思います。
具体的な話になりますが、文科省の所管で言えば公民館が実は全国に1万7,000、図書館が3,000、それから博物館が5,600、大学の数、企業の数、私は正確にわかりませんが、NWECがそれらの全ての機関とつながれたら、NWECは活発な、新しい社会をつくっていく人材の養成ができ、社会づくりの担い手が輩出できたのではないかなと、連携の可能性とその成果を想像してわくわくしております。
さらにその連携の中の機関として、全国にある、男女共同参画にかかわる388ヶ所のセンターや例えば日本女性学習財団ですとか、女性と仕事の未来館はつぶれてしまいましたが、頑張っている女性の関連のところもありますので、そういうところとも一緒になって、いわゆるナショナルセンターが中心になって、いろいろな人材のネットワークを構築していく、いわゆるきずなといいますけれども、情緒的、感情的な話ではなく、やはりきちんとしたシステムをつくっていったら、新しい、21世紀の日本の多様性のある男女共同参画社会がつくっていける。ぜひNWECにそのような機能をもってほしいと思います。
NWECではない別の場所、機関にその機能をもたせては、移管することも考えて見ましたが、妙案はなかなか出ません。NWECのあの土地の広さが問題視されますが、将来を展望したときに、あの場所にある意味が生きてくるように思います。スローライフ社会へ予兆や、どんどん過疎化が進む地域の中で、NWECが地域と一緒にあの土地の活性化地域モデルとなって、男女共同参画の発信ができる地域嵐山になっていくのも、1つのあり方かなと思いますし、今の場所で今後も男女共同参画を進めていきたいと。そこに固執するわけではありませんが、可能性が多いと。
将来首都圏で起きる災害のことを考えても……。
【藤原委員】 おかしい、やっぱり。
【柏木委員】 首都圏に移すのは難しいなと思っていますし……。
【藤原委員】 どうして、そこありきなんですかね。
【柏木委員】 ありきではなくて、あってほしいということ。
【藤原委員】 本質論で、せっかく大日向さんが会館法の目的規定をいじれるのかという話をしましたよね。つまり目的をずらそうとしているわけです。目的が別になるのであれば、手段は普通、別につくらなければいけないんですよ。どうして目的を別にするのに、手段を同一にして、となるんでしょうか。普通そういうことはしないですけれども。
【大日向座長】 目的を別にすると申し上げているわけではないです。目的をより拡大したいと考えているんです。ですから私は、新しい法律をつくると坂東委員がおっしゃったときも、うなずけませんでした。35年のNWECの実績、蓄積、そこに新たに時代の要請に即した目的をさらに充実させることを考えたいと思っております。女性教育だけではない。
【藤原委員】 そうすると、すべての組織は生き残っていきますね。
【大日向座長】 それはわかりません。
【藤原委員】 要するにスクラップ・アンド・ビルドのスクラップは、全く図れないことになりますね、その理屈ですと。つまり目的をずらせば、幾らでも生き長らえるということになりますよね。すべての組織は、その役割を終えても。
【大日向座長】 ずらすではなく、目的を明確化してほしい、充実、発展させて。ですから、そういう充実、発展させていくときに、そぎ落とすものもあると思っています。
【藤原委員】 ですからね、だから生き残るのが前提ではなくて、目的をしっかり明快にしましょうでいいんじゃないですか。
【大日向座長】 そうです。そのために……。
【藤原委員】 そこにね、嵐山じゃなきゃできないということをおっしゃること自体が、僕は、なぜそこがつながるのかがわからない。
【大日向座長】 そうですね、そこは私もさっき申しました。嵐山を、私は壊したいと言っているわけではないんですが。
【藤原委員】 もちろん……。
【大日向座長】 でも初めに嵐山ありきの議論ではなく、目的を明確にして議論していただきたい。
【藤原委員】 あれ、ほうっておくといったって大変なんですよね。ではあそこをやめて、センターはもっと都会にもってきましょうといっても、あそこを多分買ってくれる人はいませんから。つくばの教員研修センターでも同じことが起こるんですけれども。だから、何とか生かさなければならないというのは、これまた別問題だと思うので、せっかく本質論に返っているのだから、要するに男女共同参画がほんとうにどうしたら実現できるのよというふうに、もっと絞ったほうがいいと思うんですけれど。
【柏木委員】 絞って、明確化して、そして機能を充実させていきたいというところは賛成です。そういう前提でお話をさせていただいています。
【藤原委員】 機能を充実するかどうかわからないんです。絞り込んで、そこに集中しましょうという話かもしれないじゃないですか。
【柏木委員】 それは充実ですよね、ある意味。
【藤原委員】 充実って、何で充実なんですか。要するに目的があったら、それを達成するための手段って、普通、戦略的には絞り込むものなんですよ。絞り込むんです、もっと。お金が5億から50億かかってもいいんだけれども、絞り込んで、徹底的にそこをたたいたほうが実現するんですよ。どうして、その拡大とか充実とか、「もっと、もっと!」というふうになるんでしょうか。
【大日向座長】 わかりました。
浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】 今の皆さん方の議論を聞いていて思ったんですが、ちょっと皆さん方に怒られるかもしれませんが、何かこう、また男女共同参画社会みたいな、そういう画一化に進みそうな気がするんですね、今の議論というのは。私が言っているのはそういうことではなくて、例えば男子にイクメンが出てきたりするわけですね、今。女性の方で、もちろん意思決定の場にも参加してもらう、そういう女性がいてもいいし、従来どおり家庭で子育てに励む女性がいたっていいわけですね。
そういう、ほんとうに多様性ということを藤原さんはおっしゃったわけで、日本というのは国立という名のもとに、何でも画一化してきたんですよ、言ってみれば。ですから、ほんとうに我々が今日議論しているようなことを心底やろうと思ったら、民間がどこかで出てくるんです、自然発生的に。それが国立だけに頼っている中では絶対だめなんですね。
ちょっと1つ事例を挙げさせてもらいますが、同じようにこの仕分けに遭って、農水省の農業者大学校というのはつぶされました。でも民間がすぐ立ち上がったんですね、必要だから。わずか2カ月で8,000万集まりましたよ。で、来年度、新しい農業経営大学校をつくろうというところに。必要なものはできるんですよね。
我々、今、民間がそこまで、ほんとうに企業が、やはり意思決定ができていない情けなさはあります。でも、これからそういう、男も女も障がい者の方も外国の方も含めた多様性というものをほんとうに追求していこうと思ったら、自然発生的に、私はできると思いますよ。それを待っていられないという皆さん方の気持ちは重々わかるので、ですから当分の間、そういう意味で国立があったって全然構わない。というか、むしろやはりリーダーとなって引っ張っていくという必要はあるでしょうけれども、ですから私、理想的に言えば、この独法がなしになって、一般社団法人で嵐山にできたっていいじゃないですか。そういうふうに民間がほんとうに思えば、やっていきますよ。
だから、いろいろな、今でも萌芽的に、樋口さんからもご紹介ありましたけれどもJ-Winとか、あるいは女性経営者協会とか、結構あるんですね、民間の中に。そういったものとのコラボレーションというものが、いずれ私は出てこなければいかんと思うし、もう私も、そういう意味ではその1つの役割を今の産業界の中で果たせられたなというふうに思っていますので、思いは一緒だと思いますけれども、どうも議論がまた1つの画一化に向かうようなことではいけないと思っています。
【大日向座長】 ありがとうございます。
樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】 ちょっと話をもとへ戻すようで申しわけないですけれども、もとは藤原委員のペーパーから出てきたのかもしれませんけれども、メッカという言い方はちょっと誤解を招く言葉かもしれないと思いますけれども、例えば、運動の中心地のようになっているのではないかというお言葉だったわけですか。
【藤原委員】 そういう運動の流れもあり、それが発展して、もっと昇華してということだと僕は理解していたので。というのは、あそこへ行ってみて、展示物の見学などで、ほんとうに戦後初めて主婦から参議院議員になられた方ですか、あのしゃもじがすごく象徴的でしたけれども、そういうのが展示してありましたから。そういうことで僕は理解していたんですね。
【樋口委員】 そういうこともあっていいと思います。そこで堂本委員からあそこは国立であると。ある意味で国立は体制であり、運動は反体制である、だから運動とは、ある意味で、あまり関係ないというふうに私には聞こえました。それで樋口さんはどう思うとちらっとおっしゃってくださいましたので、きっと私自身の中に運動家的要素を持っているのでおっしゃったと思うのですけれども、私は、はっきり言って、国立機関は体制かもしれないけれど、運動は反体制であるなんて全然思わないです。
やはり国立というのは、国民の税金によって維持されているから国立機関であり、国の政策によって展開されている。それで、だれが主権者であり、だれが主人公かといったら、これは国民であります。運動をやっている人であろうと、やっていない人であろうと。国立は体制、運動は反体制などといったら、政策提言の運動もむずかしくなります。
【堂本委員】 ちょっとそこは、樋口さん、そういう意味で言ったのではなくてね、運動全部イコール反体制ではないですけれども。
【樋口委員】 全くないです。
【堂本委員】 ないですけれども、ここでお書きになっている書き方がどういうふうに書いていらっしゃるかというと、「「女性教育会館」が女性運動のメッカとして役割を終えているなら、何のメッカ(象徴)として、蘇らせることになるのか」というふうに書いていらっしゃるわけね。そうすると、運動のメッカというのは、例えばほんとうに反体制的な運動のメッカというような意味で言えば、そういうのとは……。
【藤原委員】 いや、そういう意味ではないですよ。私が書いているのは、そんな意味ではないです。女性の権利を獲得していく運動というのはいっぱいあったそうですから、それは一部には反体制というのもあったんでしょうけれども、それは体制の中にもあったでしょうし。そういう意味で、その運動のすべてのという意味です。
【樋口委員】 運動というのは何かと言い出すと切りがないんですけれども、極端なそれこそ政府転覆とかいうのもあるかもしれません。ですけれども、多くの運動というのは、形は変わっていても社会改良につながるものであり、私は、女性運動も、それこそ右から左まであって、その中で、むしろ内部の対立のほうがひどいんじゃないかというような運動の歴史があったことも承知しておりますけれども、基本的に、私は婦人参政権だって、棚からぼたもちと申しますけれども、私はやはり明治から始まる大正期の大正デモクラシーの中での、それこそ市川房枝を含めたいろいろ人たちの運動の成果が女性参政権であり、そのおしゃもじ展示の奥むめおさんも、まさにその1人を形成していた運動家でもあり、そしてそのことが女性会館に展示されていて、何の不思議もないと思っております。
そして、やはり制度をつくっていくのは、これは言ってみれば国立女性会館ができたのだって、やはり、これは1975年の国際女性年がございましたときに、国連主義をとっている日本は、はっきりとそこに賛同する形で参加いたしました。でありますから、国立女性教育会館の設立も、これはもうちょっとみんなの運動でできたらよかったとは思うのですけれども、でも設立の趣旨からいって、あくまでも国連主義をとる日本国政府の意思として、国家意思としてつくられていたし、その国家意思を支えてきたのは、それこそ明治以来連綿と続く女性運動の結果でもあったと言えます。運動は反体制、国立は、要するにナショナルオーガニゼーションは何か1つの体制である、その体制といったって、それを時々刻々制度を変えていくのも運動であり、そしてそれが国是となり、そして国立教育会館であり、国の政策であり、その間に女子差別撤廃条約を批准し、男女共同参画社会基本法もでき、そして時々刻々、その役割を強化する割合を果たしてきたと思っています。
【大日向座長】 坂東委員。
そろそろ時間ですので、坂東委員が最後で。
【坂東委員】 申しわけありません。
先ほどの、ちょっと私は、この法律を変えるためのエネルギーはすごく大変なんじゃないか、だから新しい機能を付置するための新しい法律のほうがいいのではないかと言ったことについて、ちょっと訂正させてください。私は、やはり旧時代に公務員をしておりまして、金と権力のない内閣府で大変苦労しておりましたので、各省庁の持っておられる権限に手をつけてはいけないとずっと考えていたのですけれども、今ほんとうに時代は変わったのだ。だから、ほんとうに、よりみんなが納得してくださいるようなビジョンを提示するということが、今、この委員会では一番期待されているんだなと、こういうふうに思います。そういう点で、新しい法律の提案も視野に入れ、ぜひいい議論が積み重なればいいなと思っております。
【大日向座長】 では最後に、堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】 私もさっきちょっと、もう座長に申し上げましたけれども、ほんとうに笹井課長がおっしゃったようなことがよければ、そこに向かって働くことが大事だと思うんですね。
それで藤原委員に伺いたいのは、さっきからスクラップ・アンド・ビルドとおっしゃるんだけれども、別に私たちは嵐山に固執しているわけではないかもしれませんが、未来館が一番そうなんですけれども、ビルドされたら、何にもなくなっちゃったんですよ。それで日本に今1つしかない、それを今ビルドしてしまって、何が新しくできるかといったら、やはり35年営々と培ってきた、図書館にしても何にしても、もうなくなってしまいます。これは女の宝物なのでね、そういう意味で、別にそこをスクラップ、わざわざしなくても、今おっしゃったような大胆な、新しい21世紀型の改革をするために、浦野委員もおっしゃいましたけれども、そこにほんとうに女が民間でつくれるだけの力があればいいですけれども、なかなか女性にはそれだけの力がございません。とすれば、今、どういう形でそこを、新しく機能を、改革していくのかということが議論の中心なのではないかと思うので、私は拡張・強化と申し上げているので、それを言いたくて手を挙げました。
ありがとうございました。
【大日向座長】 ありがとうございました。
そろそろお時間も尽きつつあります。今日、皆様のご意見を伺いまして、私は大学でジェンダー論をやっておりますが、学生に聞かせたいほど、大先輩たちが女性問題をめぐっていろいろと、熱いご議論を展開していただきましてありがとうございます。
私は先ほど、NWECの機能の充実・発展という言葉を使ったために、藤原委員から、それではスクラップ・アンド・ビルドができないじゃないかと言われてしまいましたけれども、皆様、その後に藤原委員がおっしゃった言葉を覚えていらっしゃいますか。ほんとうに目的を達成するために必要なお金が5億から50億になっていいとおっしゃってくださったんです。決してNWECが果たしてきた機能をなおざりにして、全部ご破算にしろと考えていらっしゃる方ではないと思いました。仮に現状の予算を10倍にしても、ほんとうに必要な機能が見つかったら果敢にやろうじゃないかというふうなお言葉ではないかと私は受けとめました。
ただし、あえて藤原委員に申し上げれば、私がなぜNWECの機能の充実・発展という言葉を使ったかといいますと、やはり35年の歴史というのは捨てがたい重みがあると思っています。ゼロから、どこか全然別のところがまたやるのではなく、ここまで、35年のものをしっかり精査して、捨てるものは捨てる、充実するものは充実して次に進めていこうと思っての発言だったということは、最後に一言申し上げさせていただきたいと思います。
先ほど笹井課長から、この会館法、あるいは独行法、通則・個別法に関する、ほんとうに、それこそわくわくするようなコメントをいただきまして、堂本委員が、それだったら、今日初めて聞いたのですぐ答えが出せない。次回までに考えてくるとおっしゃってくださいました。どうぞ、今日のこのご議論を次回に踏襲して、次回はNWECの機能のご議論を踏まえて体制・組織についてもお考えいただくことが予定されていますが、その体制・組織を考えるときにも、この会館法について、再度精査し、そこからスタートして、NWECが今後果たすべきほんとうの機能とは何か、そしてそれを進めるための体制・組織というところに話を進めさせていただければと思います。
ちょうど時間が参りましたので、今後のことを事務局のほうにお戻しさせていただきます。
【合田局長】 ちょっとその前に、一言だけよろしゅうございますか。
この会の進め方でございますが、今、座長おっしゃっていただいたようなことで進めていっていただければというふうに思います。
私どもが投げかけられている問いは、男女共同参画を進めるそのときに、女性教育であれ指導者養成であれ、どういったような事柄であれ、そのことが重要かどうかということではなくて、その事柄について、ほんとうに国として、どうしても国としてやらなければいけない機能なのかどうか。そのときに、それを女性教育会館という手法でやらなければいけないのかどうかということについて問いを投げかけられていて、それに対するお答えを出さなければいけないということなんだと思うんですね。
ですから、そのときに、今の現行法の制約に縛られていただく必要は全くないというふうに思います。そのかわり、その新しい何かというのは、どうしても国がやらなければいけない事柄であって、それが、あの場所でもしやるということであれば、あの場所でならなければいけない理由、女性教育会館という形でやらなければいけない理由というのが明確である、そういう何かというものに限定をするということは、どうしても必要だという問いを投げかけられているということを踏まえて、ご議論いただけると大変ありがたいと思います。
【大日向座長】 よく承知いたしました。ありがとうございます。
それでは、事務局のほう、よろしゅうございますか。
【湯澤女性政策調整官】 では次回ですが、6月5日火曜日、16時から18時までとなります。場所は3F2特別会議室となります。
次回の議題につきましては、先ほど座長からもご案内ありましたように、組織・運営のあり方に入ってまいりますが、本日の国立女性教育会館の役割・機能について、引き続きご議論いただくということを予定しております。
それから、前回ご了解いただきました「国立女性教育会館の在り方に関する意見募集」についてですが、これまでのところ、文部科学省ホームページや、電子政府の総合窓口からメールをいただいております。こちらが19件寄せられております。それから郵送、ファクスによるものが5件、合計24件のご意見が寄せられている状況でございます。これらの詳細につきましては、次回ご報告を申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
また、今後の会議ですが、先ほども事務局のほうからご案内ありましたように、候補日を、第6回、第7回というふうにご案内さしあげたいと考えております。
第6回につきましては、7月6日金曜日、16時から18時。第7回が7月18日水曜日、13時から15時とさせていただきます。場所はまた別途ご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
最後に本日、参考資料として配付させていただいております議事録ですが、既にご確認させていただいておるところではございますが、文部科学省のホームページに掲載する関係上、何かお気づきの点がございましたら、来週の28日月曜日までに、事務局までお知らせいただけると幸いでございます。
よろしくお願いいたします。
【大日向座長】 ありがとうございました。
ただいまのご説明について、何かご質問ありますか。よろしゅうございますか。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
── 了 ──
生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係