国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年4月13日(金曜日) 午前10時00分~午後12時00分

2.場所

霞山会館 Room3 翠竹
東京都千代田区霞ヶ関3-2-1

3.議題

  1. 国立女性教育会館の現状、課題について
  2. その他

4.出席者

委員

赤井伸郎委員、浦野光人委員、大日向雅美委員、柿沼トミ子委員、柏木はるみ委員、堂本暁子委員、坂東眞理子委員、樋口恵子委員、藤原和博委員、山田昌弘委員

オブザーバー

内海房子(国立女性教育会館理事長)、山根徹夫(国立女性教育会館理事)

事務局

城井大臣政務官、合田生涯学習政策局長、杉野生涯学習総括官、笹井男女共同参画学習課長、湯澤女性政策調整官

5.議事

【湯澤女性政策調整官】 それでは、定刻でございますので、ただいまから、国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第1回)を開催させていただきます。本日はお忙しいところご参集いただき、まことにありがとうございます。

 私は、生涯学習政策局男女共同参画学習課女性政策調整官の湯澤と申します。座長が選任されるまで議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、資料1、2、3、資料4-1から4-4、資料5-1、5-2、資料6、参考資料としまして、国立女性教育会館のパンフレットをご用意しております。

 なお、机上配付資料としまして紙ファイルのものをご用意しておりますが、申しわけございませんが、こちらはお持ち帰りできませんので、ご了承ください。

 また、本日は柏木委員より、三重県男女共同参画センターのパンフレットもご用意させていただいております。

 資料の欠落その他お気づきの点がございましたら、事務局までお申し出ください。

 それでは、本日の議事でございますが、委員の皆様のご紹介、座長の選任、議事の公開方法の確定、城井文部科学大臣政務官あいさつ、事務局からの本検討会趣旨及び国立女性教育会館の現状と課題についての説明の後、委員の皆様からの意見陳述という流れを考えております。

 それでは、委員の皆様を50音順にご紹介させていただきます。

 まず、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授、赤井伸郎委員でございます。

【赤井委員】 どうぞよろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、株式会社ニチレイ代表取締役会長、浦野光人委員でございます。

【浦野委員】 浦野でございます。よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授、NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事、大日向雅美委員でございます。

【大日向委員】 よろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、全国地域婦人団体連絡協議会理事、財団法人埼玉県国際交流協会理事長、柿沼トミ子委員でございます。

【柿沼委員】 柿沼でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、三重県男女共同参画センター所長、柏木はるみ委員でございます。

【柏木委員】 よろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、前千葉県知事、堂本暁子委員でございます。

【堂本委員】 どうぞよろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、昭和女子大学長、坂東眞理子委員でございます。

【坂東委員】 坂東でございます。よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、評論家、樋口恵子委員でございます。

【樋口委員】 よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 続きまして、東京学芸大学客員教授、藤原和博委員でございます。

【藤原委員】 よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 最後になりましたが、中央大学文学部教授、山田昌弘委員でございます。

【山田委員】 よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 なお、昭和女子大学長の坂東眞理子委員におかれましては、所用のため、途中で退席となっております。

 続きまして、文部科学省からの出席者をご紹介させていただきます。

 初めに、城井文部科学大臣政務官でございます。

【城井大臣政務官】 よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 次に、合田生涯学習政策局長でございます。

【合田局長】 よろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 次に、杉野生涯学習総括官でございます。

【杉野生涯学習総括官】 よろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 次に、笹井男女共同参画学習課長でございます。

【笹井課長】 どうぞよろしくお願い申し上げます。

【湯澤女性政策調整官】 なお、オブザーバーとしまして、国立女性教育会館、内海理事長でございます。

【内海理事長】 よろしくお願いします。

【湯澤女性政策調整官】 同じく、山根理事でございます。

【山根理事】 よろしくお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 では、座長の選任に移らせていただきます。本検討会の座長につきましては、事務局といたしましては、国立女性教育会館を所管している生涯学習政策局との関係から、中央教育審議会生涯学習分科会長でいらっしゃいます大日向委員をご推薦さし上げたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【湯澤女性政策調整官】 それでは、大日向委員が座長として選任されましたので、今後の議事進行は大日向座長にお願いさせていただきたいと思います。

(大日向委員、座長席へ移動)

【大日向座長】 それでは、座長に選任いただきました大日向と申します。改めてどうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、本検討会の議事の公開方法につきまして、最初にお諮りしたいと思います。机上に資料3と番号がついている案が配付されております。事務局からご説明お願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 それでは、資料3についてご説明させていただきます。本検討会の内容の公開についてですが、まず議事につきましては、会議の円滑な実施に影響が生じるものとして本検討会において非公開とすることが適当であると認める案件を検討する場合を除き、原則として公開するものとする。

 次に、議事録につきましては、公開するものとする。

 次に、会議資料につきましては、議事と同様に原則公開するものとする。

 最後に、会議の傍聴につきましては、傍聴を希望する者は、文部科学省男女共同参画学習課の登録を受けることとし、登録を受けた者は、座長が認める場合を除き、会議開始後に入場し、または会議を撮影し、録画し、もしくは録音をしてはならない。また、会議の進行を妨げる行為をしてはならないこととする。以上でございます。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 ただいまご説明いただきました原案でいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【大日向座長】 それでは、議事の公開方法は原案のとおりとさせていたただきます。ありがとうございます。

 これで本検討会の立ち上げに必要な手続は終了いたしました。

 それでは、城井文部科学大臣政務官よりごあいさつをいただきたいと思いますが、その前に、プレスの入室を許可したいと思います。

(プレス・傍聴者入室)

【大日向座長】 それでは、本検討会の開会に当たりまして、城井文部科学大臣政務官よりごあいさつをいただきます。

【城井大臣政務官】 皆様、おはようございます。ただいまご紹介いただきました、文部科学大臣政務官を拝命いたしております城井崇でございます。

 本日の国立女性教育会館の在り方に関する検討会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

 今回の委員の皆様におかれてはお忙しい方ばかりでありますけれども、この課題の重みを十二分にご理解いただいて、ほんとうに快くご参加いただいた方ばかりでありまして、このことをまず御礼を申し上げたいと思っております。ありがとうございます。

 国立女性教育会館は、皆様ご承知のとおり、これまでも男女共同参画を推進していくリーダーに対する研修、そして、交流機会の提供、専門的な調査研究、情報収集・提供などの学習拠点として役割を果たしてきております。設立は昭和52年ということでありますが、今日に至るまで多くの方々のご支援によってほんとうに多くの女性教育指導者を育成してきたところであります。少子高齢化がこれだけ進んでまいりましたし、また、人口減少社会が到来したことによって働く方々の人数も減っているということ、こうしたところで、女性の社会進出をはじめとする男女共同参画のより一層の推進はいまだに喫緊の課題だと言えると思っています。

 我が国では、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるという目標の達成に向けてさまざまな取り組みを行ってまいりました。しかしながら、女性の参画が一部、徐々に進んでいるものの、その速度、そして、現状の数値ということを申しますと、今申した2020年30%の実現に向けては不十分だと思っておりまして、女性の能力や活力を引き出すためには、女性のエンパワーメントをさらに促進をしていく必要があると思っております。

 また、そうしたいわゆる理念、目的というところにあいまってでありますけれども、その一方で、本年1月の閣議決定、独立行政法人に係る制度、そして、組織の見直しの基本方針が出されましたけれども、こちらで国立女性教育会館の機能、あり方及び効率化に関する抜本的な検討を行うよう求められているところであります。

 今申しましたように、女性教育会館が果たしてきた目的、理念は一定理解をするところでありますけれども、その一方で、事業仕分けを含めたご指摘というところ、例えば女性教育をしっかり進めてきたということはわかるけれども、それはかかわりが一部の女性に限られていませんでしたかというようなご指摘も一部でございます。また、国民の皆さんの税金をある程度投じながらやってきた部分だけれども、それが国民の期待にかなう形で役に立ってきたかどうか。

 特にこの間の事業仕分けでも何度かラウンドがございましてやりとりもありましたので、その間も教育会館の皆様には効率化の作業を相当に進めてきていただいたと思っています。そうした部分も含めて、そうした目的、理念、そして、実際に効率化を含めた社会の要請というところをしっかり組み合わせながら、今後どうしていくかというところをぜひこの場で、ある意味で最終的な着地点を皆様と一緒に見出したいと思っています。

 その意味で、今回の委員の皆様にはほんとうにそれぞれの切り口から造詣深く、そして、かわりのきかない方々に我々としてはお願いをさせていただいた気もしております。その意味で、日ごろのご経験からもお感じいただいていることをほんとうに忌憚なくぶつけていただきながら、最終的な着地点をしっかり重みのある形で見出していくということでお願いできればと思っております。ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 なお、政務官はご公務のため、ここでご退席となります。ありがとうございました。

【城井大臣政務官】 よろしくお願いします。ありがとうございました。

【大日向座長】 それでは、事務局より、本検討会の趣旨についてご説明をお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 それでは、資料1をごらんください。本検討会は、本年1月に閣議決定されました独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針や、近年の男女共同参画を取り巻く社会情勢の変化などを踏まえ、国立女性教育会館の機能、あり方及び効率化等について検討を行うものです。具体的には、女性教育、男女共同参画に関する現状の検証や、女性教育会館が果たしてきた役割等の検証及び今後のあり方についてご検討いただくことを予定しております。以上でございます。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 ただいまのご説明に対して、ご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、ここから、国立女性教育会館の現状、課題についてご議論をいただきますが、その前に、独立行政法人制度とこれまでの独立行政法人改革をめぐる動きについて、事務局からご説明お願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 それでは、資料4-1をごらんください。こちらの資料の真ん中に、「中期目標・中期計画等」とありますように、独立行政法人制度におきましては、主務大臣から法人に対し中期目標を提示することにより、法人が達成すべき業務運営の目標を付与し、法人がこの中期目標に基づいて中期計画を作成し、これに基づいて業務を遂行することとなっております。

 また、右端の「評価体制」とありますように、中期目標の期間終了時には、中期目標の達成状況について第三者機関たる評価委員会より評価を受けることとなっております。

 さらに、その隣の「財務・会計」とありますように、独立行政法人は原則として企業会計によるものとなっております。

 こちらの資料を1枚おめくりいただきまして、独立行政法人と企業との違いについて、会計面から簡単にご説明させていただきます。ご案内のとおり、企業は収益の獲得が活動の基本となっており、その収益を得るために費用という犠牲を払い、利益を出していきます。一方、独立行政法人は、法令等で定められた行政サービスの確実な提供という成果を得るために、必要な財源である自己収入と国からの運営費交付金の合計金額を収益ととらえます。このため、予定された業務を確実に行った場合は、収益と費用の差額は発生しないという理解になっております。

 したがいまして、この差額が生まれた場合は、余剰としてとらえることになります。この余剰が経営努力によるものの場合、目的積立金として承認を受ければ、法人は使用することができますが、それ以外の場合は積立金と整理され、基本的に中期目標期間終了時に国庫に返還することとなっております。このように、収益や利益の考え方が企業と異なるため、企業会計を原則としながらも、法人の業績を見る点で留意する必要があります。

 なお、1枚おめくりいただきまして次のページにありますように、運営費交付金につきましては算定ルールがございます。これは毎年度一定の率で削減することを前提とした全法人統一的な構造となっております。女性教育会館につきましては、この算定ルールに基づき、独法化後12年間で約4分の1の予算を削減してきております。

 次に、これまでの独立行政法人改革をめぐる動きについてご説明させていただきます。資料4-2をごらんください。独立行政法人改革につきましては、平成21年に事業仕分け第1弾が実施され、同年12月に独立行政法人の抜本的な見直しについて閣議決定されました。ここでは、独法制度の根本的見直し、制度のあり方の刷新について明記されております。

 続きまして平成22年では、独法改革の第1段階としまして、独法の事務事業の見直しが行われました。事業仕分け第2、第3弾が実施され、同年12月に独立行政法人の事務事業の見直しの基本方針が閣議決定されました。ここでは、今後、改革の第2段階として、独法の制度、組織の見直しの検討を進めることが明記されております。続きまして、昨年、改革の第2段階として組織、制度の見直しを行うため、行政刷新会議に分科会が設置され、検討が開始されました。

 次に、資料4-3をごらんください。分科会ワーキンググループにおきまして、国立女性教育会館については、NPO法人化等の可能性を検討、具体的にいかなる組織形態が適切か引き続き検討、特に施設管理の面に着目し、日本スポーツ振興センター、国立青少年教育振興機構との組織統合の可能性について引き続きという内容の中間報告が出されました。

 最終的には、本年1月、行政刷新会議からの報告に基づき、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針が閣議決定されたところです。本閣議決定では、国立女性教育会館について、成果目標達成法人とする、女性教育及び男女共同参画の推進という政策目標の達成に向けて、本法人の機能、あり方及び効率化に関する抜本的な検討を関係者等の参画を得て行い、平成24年夏までに結論を得るとされたところです。

 次に、資料4-4をごらんください。1枚おめくりいただきまして、こちらが今般閣議決定されました独法組織の見直しのイメージ図となります。女性教育会館につきましては、真ん中の「成果目標達成法人」の一番下、今後の組織のあり方や大幅な合理化を検討というカテゴリーに入っております。

 独立行政法人に関する説明につきましては以上でございます。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 ただいまのご説明に対してご質問等ございますか。よろしゅうございますね。

 それでは、次に参りたいと思います。本日の議題の国立女性教育会館の現状、課題について議論をしてまいりたいと思いますが、事務局で資料を作成しておりますので、初めにご説明をお願いいたします。

【湯澤女性政策調整官】 それでは、資料5-1をごらんください。1ページおめくりいただきまして、2ページ目をごらんください。国立女性教育会館は、全国の女性団体等からの強い要望を受け、女性の自発的な学習を促進するための国立施設として昭和52年に設立されました。平成13年に独立行政法人に移行され、現在に至っております。

 1枚おめくりいただき、3ページ目は組織図となっております。理事長のもと、事務局長兼務の理事1名と3課1室体制となっております。このほか、会館の事業運営に関する基本的な事項について助言を行う運営委員会、会館が実施した業務についての評価と事業活動の充実等への提言を行う外部評価委員会が設置されております。職員数は24名となっております。

 次に4ページをごらんください。女性教育会館は、独立行政法人国立女性教育会館法第3条のとおり、女性教育指導者等に対する研修、女性教育に関する専門的な調査及び研究等を行うことにより、女性教育の振興を図り、もって男女共同参画社会の形成の促進に資することを目的としております。また、女性教育会館は、研修、交流、情報、調査研究の4つの機能を持ち、この4つの機能を有機的に連携させながら、文部科学大臣が定めた中期目標を遂行しております。

 次に、6ページをごらんください。6ページから8ページが中期目標に基づき、女性教育会館が実施する事業となっております。

 まず、6ページの左側の基幹的な女性教育指導者等の資質・能力の向上という柱につきましては、女性関連施設、地方公共団体等のリーダーとして必要となる能力等を習得するための研修、大学において男女共同参画が参画されるよう、大学の意思決定組織に属する教職員等を対象とした研修等を実施しております。

 続きまして、同じページの右側、喫緊の課題に係る学習プログラム等の開発・普及という柱では、科学技術振興機構からの委託を受け、女子中高生を対象に理系進路選択の魅力を伝える合宿形式の研修等を実施しております。

 次に7ページをごらんください。左側の調査研究の成果や資料・情報の提供等という柱では、女性教育情報センターとして、男女共同参画及び女性・家庭・家族に関する資料、情報を収集、整理し、大学等への貸し出し、文献複写サービスなどを行っております。また、男女共同参画社会の形成に顕著な業績を残した女性や団体、女性教育施設等に関する資料等を収集する女性アーカイブセンターを設置しており、デジタルアーカイブシステムを通じて広く一般に公開するとともに、展示室において所蔵展示などを行っております。情報センター、アーカイブセンターともに貴重なものが多数含まれており、外部の方より高い評価を得ているところでございます。

 続きまして、右側の国際貢献・連携協力の推進の柱では、開発途上国等の女性行政・教育担当者、NGOのリーダーを対象に、女性の能力開発に係る喫緊の課題をテーマにしたセミナーを実施しており、開発途上国の人材育成に寄与しております。このほか、アジアの5機関と協定を締結しております。

 次に8ページをごらんください。左側の国内の関係機関・団体等との連携という柱では、全国で男女共同参画を推進している施設、女性団体・グループ、研究者等の大規模なネットワークの形成を図ることなどを目的に、男女共同参画のための研究の実践の交流推進フォーラムを開催しております。本事業は、女性教育会館の主催事業の中で最も規模の大きなもので、毎年1,000名を超える参加者が会館を訪れております。

 続いて、右側の利用者への理解の促進・利用の促進という柱では、会館職員が教育委員会や女性関連施設等からの依頼に基づき、女性教育、男女共同参画についての講演等を行っております。

 以上、会館が実施する事業の一部をご紹介させていただきました。

 次に9ページをごらんください。こちらは、会館の施設と使用料金となっております。使用料金につきましては、施設の利用の目的に応じ料金設定がなされております。

 次に10ページをごらんください。こちらは会館の全施設の概観です。会館の土地は埼玉県から借りておりますが、黄色の塗りつぶし部分につきましては、今般、埼玉県に返還した部分となっております。

 続きまして、11ページをごらんください。こちらは利用者数の推移となっております。独法化以降、利用者数を伸ばしてきたところですが、平成22年度は改修工事のための休館と震災によるキャンセル、平成23年度は震災によるキャンセルのため、大幅に利用者数を減らしております。

 次に12ページをごらんください。左側の円グラフが性別利用者数ですが、女性が約6割、男性が約4割となっております。また、右側に利用者の年齢層のグラフがありますが、60歳代の利用が一番多くなっております。

 最後に、15ページをごらんください。運営費交付金と自己収入額の推移となっております。運営費交付金につきましては、平成19年度から毎年減少しております。また、自己収入額につきましては、独法化以降増加傾向にありましたが、先ほどご説明いたしました利用者数と同様、平成22年度、23年度につきましては、平成21年度と比べ激減しております。

 女性教育会館の概要については以上でございます。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 続きまして、国立女性教育会館からも、現状と課題についてご説明をお願いしたいと思います。

【内海理事長】 昨年の7月より国立女性教育会館の理事長を務めております内海房子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は検討会の委員の先生方、大変お忙しい中、国立女性教育会館についていろいろお時間を割いていただき、まことにありがとうございます。

 日本の女性の活躍度は、世界各国と比較いたしましても大変おくれているのは皆様ご承知のとおりでございます。当会館は、女性の活躍の支援をこれまで行っておりました。その長い年月を経て、確実にその成果も上がってきていると自覚しておりますけれども、残念ながら、世界の水準にはまだ追いついていないというのが現状でございます。そこで、私ども当会館では、これまでの事業を見直しまして、これからは新しい方向性をもって会館運営を行っていきたいと考えております。本日はその新しい方向性についてお話し申し上げ、それに関連する課題についてご説明したいと思います。

【大日向座長】 どうぞお座りになって。

【内海理事長】 私は会館に参ります前は、一般企業で40年間勤めておりました。昨年、当会館に赴任しましてまず強く感じましたのが、私のように企業で働いている人たちは、この会館をほとんど利用していないということです。私もそうでしたが、私の周りの、男性はもちろん、女性もあまり利用していない。全く存在すら知らなかったという人も多くおりました。

 では、どのような人が使ってくださっているかと申しますと、各地域で男女共同参画を推進してくださっている男女共同参画センターとか女性センターの女性関連施設の皆様や、あるいは地方自治体で男女共同参画を進めてくださっている方々、また、女性団体、女性グループの方々が多く利用してくださっております。当会館では、各地域における男女共同参画に大変力を入れておりますので、これからも引き続き力を入れていきたいと思っておりますが、加えて、一般企業でも男女共同参画を進める支援をしていきたいと思っております。

 私自身は一般企業で女性の活用も手がけて参りました。なかなか女性活用が進んだという状況でないのは、先ほど申しました日本の実態にもあらわれているところですが、ただ、この20年ぐらいを振り返ってみますと、確実にある段階までは女性の登用が進んでおります。ある段階と申しますのは、例えば主任、係長クラスとか、若手の課長クラスにおいては、かなり男女共同参画が進んだのではないかと思っております。ただ、上層部におきましては、やはりまだまだ男女共同参画とはほど遠いというのが実情ではないかと思います。

 そんな中で、企業における男女共同参画に会館が何ができるのかと疑問をお持ちになる方が多いと思いますけれども、私自身が企業で男女共同参画あるいは女性活用の施策を進めてきた中で、会館ではまた違ったアプローチで女性活用を行っているということに気がつきました。ですから、企業で行っていることと会館で行っていることを合わせまして、何とか違う角度での男女共同参画のアプローチができるのではないかと思っております。

 では次に、新しい方向性をもって会館運営を行っていく上での課題についてお話ししたいと思います。まず1つは、職員の意識改革です。会館業務がサービス事業であるという認識の転換を図らなくてはいけないと考えております。また、いろいろな会館業務においても、お客様の視点を持った業務の考え方といいますか、仕事の仕方とか、運営のルールなども変更していかなければならないと思っております。いずれにしても、職員の意識改革、そして、会館の業務変革をこれから行っていきたいと考えております。

 2つ目の課題が、国立女性教育会館という、「女性教育」という名称でございます。これまでも男女共同参画に関する事業を行っておりますので、女性教育という名称が実は男性の利用者の方の数を減らしているということも現にございましたし、またこれから新しい取り組みを行っていく上で、女性教育の振興を図るという、女性教育会館の名称が新しい取り組みを妨げるのではないかと少し心配しております。

 最後の課題ですが、予算のことでございます。先ほどもご説明がありましたが、これまで毎年約2,000万円ずつ減ってきております。これから先も当然、来年も再来年も大体2,000万ずつ減っていくということが予測される中で、将来の展望を描くというのは大変難しい状況にあります。もちろん業務の効率化を図っていくということは当然のことですので日々心がけてまいりたいと思っておりますが、新しい事業に取り組むとか、新規マーケットを拡大するということになりますと、どうしてもヒト・モノ・カネが必要になってくるわけです。新事業に予算をつけるというのは難しいとしても、せめて予算を減らさないでいただきたいというのが、職員一同、私たちの思いでございます。

 以上、私どもの新しい方向性とそれにかかわる課題について申し上げました。お聞きいただきまして、ありがとうございました。

【大日向座長】 ありがとうございました。以上、事務局と会館からのご説明をいただいたわけでございます。

 ここからは、委員の皆様に、以上のご説明を踏まえて、お考えになっていらっしゃることを自己紹介を兼ねてお話しいただけたらと思います。今日は途中退席される坂東委員からご発言いただきまして、その次に赤井委員にという順番で進めていきたいと思います。大変恐縮でございますが、お1人3分ぐらいをめどに1回目はご発言いただければと思います。それでは、坂東委員、お願いいたします。

【坂東委員】 申しわけありません。最初に発言をさせていただきます。

 1977年に当時、国立婦人教育会館がオープンしましたときには、私は、まだ内閣府ではなくて、総理府の婦人問題担当室の補佐クラスの職員だったので、画期的な施設ができたなと大変感動した記憶がございます。そして、その後も、特に地域の女性の活動の推進に大変大きな役割を果たされてこられたことに、職員の皆様、文科省のバックアップに心から敬意を表させていただきたいと思います。

 ただ、今、この時点において十分な活動はされてまいりましたが、今後どの方向に進むかということについては、やはり強みと弱みを仕分けする、あるいはほかの機関が力をつけてやっていることについては競合せず、新しい機能をつけ加えるということを考えなければならない時期なのではないかなと思っております。どれだけ重要な役割を果たしていると叫んでいても、それでは通らない。

 今、国立女性教育会館が行っておられる仕事のうち、あまり目立ちませんけれども、大変重要で、今後ともぜひ続けていっていただきたいと思っておりますのは、データベースアーカイブス、あるいはWinetのような情報提供の機能です。ナショナルセンターとして大変大きな役割を果たしていらっしゃいます。

 それに対しまして、特に地方あるいは地方公共団体の人材育成、養成、研修という分野について今まで大変大きな役割を果たしてこられましたが、その部分についてはほかでもかなり力をつけてこられた地方の女性センター等もございますので、再検討する必要があるのではないか。そして、今後、調査研究の部分につきましては、私は大学あるいは研究機関と少し立場が異なられるので、かなり難しいところがあるなと感じております。

 では、次にどういう機能をつけ加えるかということですが、国立ということ、日本にただ1つということ、そして、女性の人材育成を必要とするのは日本だけではなしに、国際的、特に開発途上国、特にアジアの国々で活躍できるような女性を育てる。これは女性だけではなしに男性も視野に入れたほうがいいのかもしれませんけれども、ほんとうの意味での高度な専門的な力を持った人材の育成を視野に入れなければならないのではないかなと思います。研修ではなくて、しっかりとした体系的な教育をする機関、人材育成をする機関という機能をぜひつけ加えていただきたい。それは国際的な視野を持った機能であってほしいと考えております。

 改めて、今まで国立女性教育会館が果たされた役割に心から敬意を表しますとともに、今後、国際的な部分、今、理事長がおっしゃいました、企業で活躍できる人材の養成の部分という新しい機能をつけ加える、今までの機能をそのまま保持するのではなしに、新しい機能をつけ加えるということをぜひご検討の中に入れていただければと思います。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 それでは、赤井委員、お願いいたします。

【赤井委員】 赤井と申します。私の専門は財政学とか、地方自治体での政策ということで、むしろ皆様方、女性教育というところがすごくご専門なんですけれども、私は逆に言うと、お金の効率性というか、立場がちょっと違うんです。これまで事業仕分けとかにもかかわってきて、国民の税金を投入するからには国民が納得するような形でお金が使われなければならないというようなところが視点になっております。

 女性教育に関しては特に私、そんな知識はないんですが、私の大学でも、今おっしゃられたように、国際的に活躍する人材を育てようというところが目的で、その点を経済学、政治学、あと、法律の観点から指導しています。もちろん男性にも加えて、女性も最近すごく元気になってきて、男女共同というか、同じような立場で活躍していただこうという教育はしているんですけれども、企業のほうではなかなかそこまでいかないということです。

 その課題をいかに解決していくのかという意味で、そういう目標を立てて、この女性教育会館があるという、その目標に関しては全然問題ない、すごく重要なことだと思います。それに対してのお金の使い方ということで、もっと望ましい使い方はないのか、効率的・効果的な使い方はないのかということで、あらゆる調査とか、ここでの議論もした上で、最も望ましいということを、国民が納得すればそれは望ましいと思います。同じお金でも、違う使い方をすればもっと効果的にその目標が達成できるのではないかと国民が思う間はなかなかお金が入れにくいのではないかということで、まだどうすればいいのかという結論は出ていないんですけれども、ここでちょっと議論を聞かせていただきながらいろいろ発言させていただいて、また私も勉強をさせていただければと思います。ありがとうございます。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 浦野委員、お願いいたします。

【浦野委員】 浦野でございます。私も特に女性問題ということについていえば素人なんですけれども、企業の立場から見たときに、先ほど内海さんがおっしゃったように、日本はまだまだ全く共同参画になっていないという実態は事実であります。そういう意味では、各企業、社外取締役に女性をお迎えして、員数合わせだけしているようなところがありますけれども、大抵の企業ではまだ大体部長クラスにとどまっているという現状があって、そのことは企業としてほんとうに深く反省しなければいけないなという認識に今立っているわけです。

 そういう目で見たときに、1つ、先ほど坂東さんもおっしゃっていましたけれども、もっと広くその課題をとらえたときに、今、日本の最大の問題というのは、従来からの均質な社会ではなく、いかに多様な活力を得て、日本として新たな成長力を得るかということだと思うんですね。今までほんとうに均一社会でした。それも、男性の均一社会ですね。そういった意味でいくと、多様化という部分をもっと広くとらえて、国の政策としてやっていく必要があるだろうと。先ほど赤井先生から効率的なお金の使い方ということがあって、そのことは私は異論は全くないんですけれども、その効率的なお金の使い方の前に、この国の目標として何をやっていくんだという、そこがきちんと定性的に納得が得られないとだめだと思うんですね。

 そういう意味では、日本の形というのは今からそういう多様な能力を駆使していくことが一番大事なことだと思っています。その中の1つとして、従来と同じようにこの女性の問題もある。もちろん、若年層の問題が今、非常に大きな課題になっているわけですけれども、年齢による多様化という問題もあるし、もちろんグローバルという意味での、国籍も含む多様性という問題もあるし、それから、障害者の皆さんとの問題ということもあるし、あるいは、どんな能力がこの国に必要なのかという意味での能力の多様性という問題もある。

 私は、男女共同参画ということが、そのことをもって日本が成長していく、あるいはよりいい国になるという意識があったとしたら、今はこの男女共同参画だけでは不足だと思っていますので、ぜひいろいろな意味での多様化を含めた施策として、この女性教育会館が生まれ変わっていくようなことがあれば一番望ましいのかなと思っている次第です。

 それからもう1つ、資源配分のあり方という意味でいくと、先ほど事務局の方から、企業会計と独法の会計の違いということの説明を受けましたけれども、やっぱり理解できないんですよね。中期計画というふうに主務大臣が示しながら、それが単年度会計なんていうことは企業では考えられないんです。やはり中期計画といえば、その中期計画期間中にどれだけの資源を投入してその計画を成し遂げるのかというのがなければ、単年度ごとに2,000万ずつ減っていきますって、それで中期計画をどうやってこなすんですかと、信じられないですよね。

 ですから、ほんとうの意味で民間活力ということで言うのであれば、この会計部分も政府としては抜本的に考え直したほうがいいんじゃないでしょうかね。例えばこういったダイバーシティの問題について、中期計画としてはこういったところをねらう。そうすると、それは全体で5年間で50億そこに投じますよと。その50億で目標が達成できなかったらその時点では解散ですけれども、これは企業も一緒ですね、清算されるわけですから。でも、その50億をどう使うかは、複数年度にわたってそこで実際に執行される方々の知恵によってやっていくんだというぐらいのことがないと、私はこういう単年度会計の中では、ここで掲げているような中期計画というのは非常にそらぞらしく響きますので、そういった検討ももししていただけるならありがたいなと思っております。以上です。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】 柿沼でございます。私は埼玉県生まれで埼玉県育ち、そして、埼玉県に今も住んでおりまして、埼玉県の婦人会員歴40年という長きにわたっておりますので、この会館ができる前後のところからずっとかかわってきておりまして、大友よふ会長が初代の運営委員として、そして、埼玉県の畑知事と一緒に誘致して、埼玉県で土地を提供して女性の拠点をつくるということでどれだけ尽力してきているかということをそばでずっと、陰ながらの下働きをさせていただいておりました。

 女性も社会へ出るということが当時の目標でしたから、まず教育ということで、女性教育会館ということで、都心から落ちついて勉強ができるということで、婦人会のほうでも、全地婦連としても緑の募金運動をして、あそこの緑を、3年分のお金をかけて桜を植えたり、さまざまな植林をし、環境整備を手伝ってきております。もちろん研修も泊まりがけで毎年毎年多くの人たちを巻き込んでしてきておりますので、国立女性教育会館は全地婦連とともにあり、また、婦人の勉強の場として、多くの人たちを地域のリーダーとして育ててきているという実績はあります。

 今、時代とともに要請が変わってきているということはあると思いますが、この女性教育会館をどうしていくかというのは、国が男女共同参画、そして、世界の中の女性たちの活力を生かす政策としてどう判断していくという、ほんとうに基本的な理念が求められている国立女性教育会館の今後のあり方だと思います。時代の要請を考えれば、ただ教育をするだけではなく、教育をして、そして、わかりやすい言葉でいえば、納税者を育てていく。経済の分野も巻き込んでいく。雇用、労働も巻き込んでいくといった範疇の広さが求められていると思います。

 そして、アジア地域との連携というのが先進国のみならず強く求められてきているときに、日本が男女共同の拠点ということで国立女性教育会館をアジアの拠点とすることは、これからの1つのリーダーシップをとっていける大きな展開にしていけるんではないかなと思っております。

 いろいろなことを思っておりますけれども、3分ということですので、また次回にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大日向座長】 有難うございました。柏木委員、お願いいたします。

【柏木委員】 柏木でございます。私は地方の男女共同参画センターから代表といいますか、1センターとして呼んでいただいたと思いますので、その視点からお話をさせていただきます。

 NWECは1977年に設置されたナショナルセンターですが、全国各地に男女共同参画センターが設置されるようになったのは1999年に男女共同参画基本法が施行されて以降のことです。センターの数は急速に増え現在350箇所ぐらいはあると思いますが、まだまだ事業の質や内容についてはばらつきが大きいのではないかと思っております。

 私事になりますが、NWECが設置された当時、私自身が個人的に頻繁に研修や交流に参加させていただきました。そのときの気づきとNWECでの学習からスタートして女性問題を考えるNPOとして地域活動を続けてきました。地域での活動の延長として4回世界女性会議に参加したNGOとしてワークショップを主催したり、日本女性会議2000津の副実行委員長も務めました。そのような訳で、NWECの研修に参加したことが今日男女共同参画センターの所長として仕事をしている原点になっています。

 話を全国各地のセンターのことに戻します。各地のセンターは行政が直営で運営している施設もありますし、NPOや指定管理で運営しているところなどさまざまだと思います。民間が運営しているセンターでは、公募の所長、民間採用の職員がどんどん活躍しはじめています。国立女性教育会館で学んだことを実践活動にフィードバックでき社会参画ができる人材が育ち、実を結んだ結果だと感じております。

 先ほど申しましたように、地域のセンター管理運営、実施内容は一様ではありません。地域のセンターへの学習支援や連携の強化がまだまだ必要ではないかと思っております。支援や連携のあり方については地域に出向いて地域のセンターのニーズを把握していただきたいです。地域特性ごとにブロックに分ける等、日本各地の特性や個別多様な課題に合わせた工夫をして支援をいただきたいと思います。

 お手元に2012年の三重県男女共同参画センターの年間事業パンフレットを用意させていただきましたが、三重県男女共同参画センターではNWECの事業プログラムを活用させていただいて、当センターの事業に組み入れ各種事業を企画させていただいております。例えば、NWECの「連携・協働による実践プログラム」を元にした人材育成講座や、「統計でみる三重の男女共同参画」というジェンダー統計データブック作成に際しても、NWECの資料を参考にさせていただいたりアドバイスをもらったりしています。NWECからの情報を頂いてホームページ上のコンテンツで情報提供をさせていただいたりもしています。職員研修として管理職、相談員、職員の研修にも大いに活用させていただいております。また、NWECからの調査やアンケートには積極的に協力したり、原稿依頼等にも協力しております。

 NWECの研修、交流、情報、調査研究事業は当センターの事業推進にとって不可欠な社会資源となっています。地域のセンターは今後ともNWECとの連携協働を強化しながら、目的と理念を共有するパートナーとして一緒に歩みを進めていきたいと願っています。

 職員には男女共同参画についての幅広く高い専門性がますます求められるようになってきていますので知恵を出し合ってプログラム開発、事業企画をしています。信頼性の高いNWECからの情報やプログラム、講師派遣などは期待するところです。男女共同参画についてのより深い理解と推進に戸惑ったり、悩んだりした時には何をおいてもまずNWECに相談してみようと思えるリーダー、パートナーとして国の内外に信頼される男女共同参画のナショナルセンターとしての期待はますばかりです。NWECは地方のセンターにとってなくてはならないナショナルセンターであることをお伝えしておきたいと思います。

最後に、NWECには男女共同参画センターのみならず、あらゆる分野の多様な主体との連携協働を強化していくことで更に重要な機関になっていくことを期待します。特に全国女性会館協議会との連携協働によるパートナーシップの確立を提案させていただきます。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 それでは、堂本委員、お願いいたします。

【堂本委員】 ありがとうございます。私は、今までのご発言にも出ましたが、日本の国として男女共同参画が進んでいない、あるいはそういう社会が実現していないということに危機感を抱いております。どうしてこういうことになってしまっているのか、ということをずっとこの間考えてまいりました。

 先ほど浦野委員が多様性ということをおっしゃいましたが、国民の半分を占める女性の能力が発揮されず、感性が取り入れられず、また抱えている課題が提起されず、労働力としても十分に活用されず、という形で進んでいるこの国のありようは、今や大きなひずみになっています。国の社会、経済、そして、国際的な評価としても、今や非常に問題を抱えてきていると言っても過言ではないと私は思っております。

 そうした中で、最初に確認をさせていただきたいことは、そうした国策の喫緊の課題として、男女共同参画を始めとした、多様性の時代を捉え、その中でNWECの位置づけを考えるということです。女性の問題をないがしろにするということは、国の興亡にまでかかわる問題です。「日本は、東日本大震災以後、女性の能力と労働力を活用できなければこの国は決して再起しないだろう」ということを、先日アメリカ人の評論家がテレビで指摘していました。

 これまでNWECは、歴史的に、日本の男女共同参画施策を下支えし、その成果もあげてきました。しかし、目に見えるような形でドラスティックには成果が上がっていないのです。これは、国としての男女共同参画に対する施策が、あまりにも蔑ろにされてきた結果ではないかと思っています。 今日の配布資料の中に文科省が所管する独立行政法人のリストがありますが、23法人の中で、科学やスポーツ、文化に関する法人には何百億、何千億という予算が組まれていながら、国民の半分を占める女性に関するNWECの予算は、わずか7億円です。あまりにも少なく、これでは飛躍しろと言われても、どんな努力をしても、効率をよくしても、大きな成果を上げることはとても難しいと思います。

 私も先ほど浦野委員がおっしゃったとおりに、単年度会計のあり方というのは納得がいきません。このような仕組みで「頑張って、目に見えるような効率的な成果を上げろ」とか、赤井委員がおっしゃったように「国民の税金を投入するからには国民が納得するような形でお金が使われなければならない」などと言っても、とてもとてもどうやって一体やったらいいのか想像がつきません。むしろこちらが伺いたいような、そんな気持ちで仕分けの議論も垣間見させていただいておりました。

 このような状況下で、最終的にこの検討会が設置されたことを、大変喜んでおります。ここはNWECのことを検討する場でもありますが、同時にそれは、日本の国策の本質についての議論にも及ぶのではないかと思います。まずは、男女共同参画社会のありよう、例えば多様な価値を十分に反映するために意思決定の場への女性や障害者の参画をどうやって進めるかなどを議論する必要があるのではないか。その上で、NWECがやるべき研修などの事業の在り方を検討すべきです。さらに、35年間の歴史の中で積み重ねてきたネットワーク拡大していくためにはどうしたらいいかというような方向性も考えるべきではないかと思います。1つの課題は、中央と地方の大きな格差で、その是正のためにまたNWECの果たす役割は限りなく大きいのではないかと思います。

 ということで、最初に申し上げたいのは、本質論から入っていただきたいと考えております。ありがとうございました。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 それでは、樋口委員、よろしくお願いします。

【樋口委員】 ありがとうございます。樋口でございます。私も本質論を引き継ぎますと、日本の現状とこれからというのは、近代3回目の大変革で、この席には専門の方がたくさんいらっしゃいますけれども、少子高齢化、人口減の条件下で日本はやっていかなければなりません。

 近い将来、世の中の根幹を揺るがすような大介護社会がやって来ます。社会保障だけでなく、もっと全体的に人間の生き方にかかわる変化です。

 これからの日本社会のビジョンを自分なりの言葉で表現すると、ワーク・ライフ・アンド・ケアバランス、三位一体の社会だと思っております。人生100年社会、超高齢社会というのは、人間に対するサービス、人を育てる、人を支えるということが大変大きな命題になってくる社会であり、基本的に長い間、歴史の中で女性が背負ってきたもろもろが文化の土台にならないと、日本の発展はおぼつかないのではないかと思っております。そういう視点からNWECのあり方も考えてみたいと思っております。

 さらに、NWECには多少個人的な思い入れがありまして、もう昨年仕分けられてしまいましたが、厚労省管轄の女性と仕事の未来館、2000年に創設されましたが、私はその初代館長でございます。とっくにその任を離れて、仕分け人の方に向かっていろいろとご説明申し上げる立場にはございませんでしたけれども、女性と仕事の未来館は完全に閉鎖された形になりました。ほんとうに文字どおり火が消えて、ほんとうに真っ暗になってしまっています。貸館等のわずかな機能は残っておりますが。

 先ほど申し上げましたように、この日本の未来、ワーク・ライフ・ケアバランスの中で、特に女性にとってはやはりワークの部分を拡大し、女性がほんとうに経済的に自立し、社会を支える存在にならなかったら、超高齢社会というのは、貧乏なおばあさんばかり増える世の中になります。長い間の日本の性別役割分業と女性に対する職場から疎外、社会保障からの阻外された結果です。この解決こそ日本の未来への切り札です。

 女性と仕事の未来館をつぶしたことは、それは私を含めてこれまでの関係者にも責任はあると思いますけれども、日本国の最近の政策の一大失政だと私はしっかり思っております。女性と仕事の未来館は、女性と男性のワークライフバランスの社会創造のセンター・オブ・センターズとしての機能を果たさなければと思っておりました。

 今ここで、NWEC万歳、今までやったことみんないいです、これからも予算をたくさんつけてくださいという形での論議が通用しないことは百も承知しております。それから、NWECが抱える問題点、例えば、距離の問題をどうやって克服したら、未来に対して展望が開けるのかとか。利用者の20%が60代以上でいいんだろうかなど。問題点は問題点として等身大に見すえた上で、未来館なき後、ワーク・ライフ・ケアバランス、人生のバランスのとれた社会をつくっていく拠点として、この会館が何らかの形で発展できるように論議に加えさせていただきたいと思っております。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 藤原委員、お願いいたします。

【藤原委員】 藤原です。よろしくお願いします。

 私、5年、中学校の校長をやりまして、かつ、私は一応、自分で結構子育てをしました。次男、長女については、おそらくうんちのお世話の半分、僕がやった自信があります。3人育てたんですけれども、その感覚からしても、これはおそらく全国の先生あるいは親御さんはみんな知っているんですが、小中では女の子のほうが絶対優秀です。放っておきますと、公立の中学校では全委員の委員長、部活の部長までが女性になります。そういう状況はみんな知っていると思うんですね。自分が女の子を育てた経験も含めますと、小中学校のときは、2歳ぐらい精神年齢が上じゃないでしょうかね。

 昔は、先生方によりますと、高校2年ぐらいで男子が追いついたという言い方をした人が10年ぐらい前まではいるんですが、私、これは一生追いつかないんじゃないかと思っています。つまり、男性というのは、ある種の危機、例えばそれが戦争であったり、場合によっては企業の中での戦争だったり、あるいは津波のような災害、そういうときでないと、男性性がなかなか出ないというところがあるんじゃないかなという気がします。ですから、平時には追いつかないという前提でいけば、なぜ男女共同参画が成し遂げられないかというのはものすごく問題で、それを本質的に考えたいと私は思ってこの場に来ております。

 つまり、NWECの予算を維持するべきか、1割、2割削減するべきかみたいな議論には全くかかわるつもりはありません。そんなことよりも、もっと戦略的に、どのように、だれが考えてもやるべき男女共同参画ですかね、もうちょっと別の言葉もあるのかもしれませんけれども、これを何年以内に達成するのかをもっとダイレクトに議論するべきではないかなと思います。

 もしかしたら、女性はきっちりしっかり続けていく仕事は得意だと思います。ですが、戦略性というのは、これはある意味では、いい意味で腹黒くなるということなので、いい意味での腹黒い戦略性を持たないと、ちょっとこれ、達成不可能じゃないかなと。そういうふうに考えた場合、むしろ5億円の予算をどうだこうだではなくて、5億円掛ける10年ですと50億ですよね。50億かけて何やるかということをきっちり考えたほうがいいんじゃないかと。どこに焦点を合わせて、そこに集中投下すると何が動くのかですね。

 その意味で、私は先ほどニチレイの浦野さんがご指摘になった、日本の社会が実は本質的に多様化していないというですね……。私は本の中でいつも言っているんですが、成長社会はみんな一緒の社会だった。それが今は成熟社会に入って、それぞれ一人一人の社会にもう分解していっているんだけども、実際に意識と実態、そこが追いついていない。それぞれ一人一人にばらけていくということをもっと加速しなければ、女性のほんとうの進出もないんじゃないかなと思っています。

 ですから、戦略的に動くときのかぎとなるのは3つぐらいかなと思っているんです。3つだけ言って、中身はあんまり言わないで今日は終わりたいと思います。1つは、義務教育のカリキュラムのあり方です。皆さんご存じのように、日本の小中学校では、完全に正解主義、要するに、正解があるという前提で、正解を教えるだけの教育が行われていて、この間の学力ゆとり論争でさらにそれが強まってしまいました。単一の解があるという前提でやった場合、これ、そういう社会になってしまいますよね。つまり、日本の義務教育では、多様性を認めようという本質はどこかにどけられてしまっているわけです。このカリキュラムに、クリティカルシンキング、要するに、疑うということを入れないと、女性のよさも出ていかないだろうなと私は思っています。

 2番目に、働く現場で時間をもっとずらす必要があります。例えば朝の8時から3時までの仕事と、それ以降の仕事とか、その真ん中の仕事というふうに、時間あるいは働き方をものすごくずらす必要があって、ずらせば、もっとそれぞれ一人一人になるはずなんですね。女性もおそらく働きやすい時間をとれるはずなんです。これがせっかく、原発のあの問題があって、節電がものすごい叫ばれて、去年の夏は相当これが行われたんですね。ところが、これがまた戻ってしまいそうな感じの雰囲気もある。ほんとうだったら、企業の中でも休暇なんかも一斉にとらない。5月の連休も一緒にとらない。夏休みも一緒にしない。とにかくワーク時間、仕事の時間をずらしていくということがものすごく大事なんじゃないかなと思っています。そのほうが女性はおそらく働きやすくなるんじゃないでしょうか。

 最後に言いますと、あと、夫婦のあり方なんです。実は私は最近著した『坂の上の坂』という本が、坂東さんのベストセラーの20分の1か30分の1、10万部売れているんですが、これで私の中心テーマが2人主義といいまして、日本の夫婦というのは実は夫婦の価値観で動いていないんです。夫の価値観と妻の価値観が別々に動いているものだから、だから、新しい価値観に編集されていっていない。そうすると、ここまで夫がやるのが果たしてどうなのかみたいなことも含めまして、そういう2人主義の価値観に全然なっていない。

 これをもっと哲学としても広げていけば……、私はフランスなんかは、自分で住んでいて、そういう感じがしたんです。個人主義よりは2人主義という感じがしました。それがゲイの2人のカップルだったりもするわけですけれども、とにかく2人である種の多様な価値観をすり合わせながら生きていくということをもう少し日本人のライフデザインの中に加えていかないといけないんじゃないかなという、この3つがかぎになる可能性があるかなと思っています。以上です。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 最後になりましたが、山田委員、お願いいたします。

【山田委員】 あいうえお順では最後になります、山田昌弘でございます。男性の中では、結構、昔から女性問題について関心がある研究者ということでいろいろなところに顔を出させていただいています。そして、今、男女共同参画会議の議員をさせていただいています。先日も会議が開かれたときには、野田首相から、女性の経済分野での参画がおくれているから伸びしろがあるから大丈夫なんだというふうな言い方をされたと思うんですけれども、じゃ、今度はその伸びしろをどうやってほんとうに伸ばしていくかというところが緊喫の課題になっていると思います。

 男女共同参画会議の女性と経済分野ワーキンググループでもいろいろ議論しましたけれども、男性と女性の教育のギャップが、先進国どころではなくて、世界の中で高等教育のギャップが一番大きいのは日本と韓国でした。つまり、ほとんどのほかの国は女性の高等教育進学率は男性よりも遜色ないか高いのに比べて、日本と韓国ではそれが相当ギャップが、女性のほうが低くなっているというデータが紹介されていました。

 なぜかというと、やはり家庭の中でまだまだ差別意識があるんだと思います。実はたまたまですが、私と大日向委員長と樋口委員は人生案内の回答者をしているんですけれども、先日ある相談が寄せられて、「姉である私は、ほんとうは県外の4年制大学に進学したかったんだけれども、親がお金がないと言って許されなかった。だけども、弟にはちゃんと県外の4年制大学に進学できるぐらいお金をかけた」。もちろん教育費が高くて、親の負担が大きいというのもあるんですけれども、やはり家庭の中で女性にはかけないで済むならかけないようにしようという傾向がまだまだ強いのかなと思っております。

 それは最近、法科大学院の受験者数の中で女性がもう頭打ちになって減少傾向になっているというところにもあらわれていると私は考えております。だから、せめて国のほうが女性の教育に対してお金をかけていくということは絶対必要なことだと私は思っております。まずそれが第1点でございます。

 第2点として、私、結構、NWECが主催する研究集会などの運営委員や、みずからも参加者として研究発表したこともありますが、私、社会学者ですので、地方の地道に活動している女性の現状というものにもっと関心を持っていただきたいと思っております。いろいろヒアリングとかに行きますと、もちろん地方で健康体操をしているグループもあれば、学習会をしているグループもある。そういう人たちが、年に1回NWECに集まって意見交換をしながら、自分たちの研究成果を発表する。まさにそのような事業が、地方で活動している女性関係団体をエンパワーするもとになっているということがあります。

 もちろんそういう成果は目に見える成果というわけではありませんが、まさに大きな成果だと思っていると。1つの別の例なんですけれども、私は婚活という関係から、結婚活動の支援事業もしているわけです。ある村が村の青年のために結婚活動支援をしたということがあったときに、担当者から聞いたのは、その村の青年たちからとにかく感謝されたと。結果的には、結構予算を使ったんだけれども、1組も結婚するカップルが出てこなかったということで、効率からいえば悪いのかもしれませんけれども、ある青年が担当者に語った言葉は、「これだけ私たちのことを大切に思ってくれている村に感謝している」というふうに言われたんですね。

 もちろん事業と直接的な結果ということからいえば効率性はないかもしれませんけれども、まさに若者たちへのメッセージになったわけです、事業をしてお金を使うということは。つまり、村が今の若者たちの将来を大切にしていますよというメッセージとなって、それを若者たちが実感したということになっています。つまり、もちろん効率よくお金を使うということは大切なのかもしれませんけれども、それは単なる数値であらわれてということだけではないということを私は1つ言いたいと思っております。

 つまり、地方で活動する女性のためにお金を使うということは、まさにその人たちが国から大切にされているということの大きなメッセージになっております。だから、樋口先生もおっしゃいましたけれども、女性と仕事の未来館がなくなったということは、もしかしたら、国は女性の仕事について考えていないという逆メッセージになったんではないかと私はすごく懸念していますので、その点も考慮して女性教育会館の未来について考えていただければと思っております。以上です。

【大日向座長】 ありがとうございました。皆様から一通りご発言をいただきました。NWEC、会館が、これまで40年近くにわたって果たしていらした功績を非常に高く評価しているという点では多くの委員が一致しているというふうに聞きました。しかしながら、時代の流れに沿った改革、課題もあるのではないかというところでも、多くの方が一致していたかと思います。

 しかし、それを議論するときに、単にNWECのあり方、会館のあり方を議論するのではなく、日本という国が男女共同参画をどういうふうに推進しようとしているのか、その本質ですね。国としてのある種、覚悟まで問わなくてはこの議論は実りあるものにならないという点でも多くの方が一致していたかと思います。

 こうしたご意見をいただいた後、しばらく時間がございますので、いろいろな方のご意見を踏まえてもう一度ご発言なさりたいという方もおられると思います。また、会館の方もどうぞご遠慮なくご発言いただきたいと思いますし、事務局からも何かお考えがありましたら、どうぞ議論に加わっていただければと思います。20分ほどそのための時間をとりたいと思いますので、どうぞ自由に意見を。

 それでは、柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】 私はこんな国の会議に出させていただいておりますが、日々地域で暮らしております。地域というのは匿名社会はないわけですから、非常に固有の、みんなわかり切ったところです。ですから、例えば男女共同参画とかという言葉を使わなくても、集会所があったときに、あそこはだんなさんが来なくて、奥さんが来たと。そうしたら、奥さんは代理ですから発言できないとか、用水の草刈りに来たけれども、女の人だから力がないだろうから500円プラスするとか、弱々した男性よりよっぽど働くんですが、実態として、日常的にまだまだそういったところも現実的にないとは言えないところもあります。

 しかしながら、例えば国立女性教育会館へ今日は勉強に行ってくるんだということでバスを仕立てて出ていくときは、大手を振って出ていけるわけです。これがどこかほかのところへ行くんですと、なかなか、何を日中からというのがありますが、国がバックアップしているから大手を振ってと。

昭和50年の国際婦人年以降年月はたっておりますが、男女共同参画のすそ野の広がりというのはもっと広げていく必要があると思います。頂はもうマラソンのトップのように非常に高くなっておりますけれども、先導も必要ですけれども、後塵がどこら辺にあるかということは、やはりすそ野を広げていく必要として、日本の現状は男女共同参画が進んでいないということです。

 女性は、先ほど藤原さんがおっしゃったように、学校の成績は優秀なんです。それは私どもの県の埼玉県の知事も、いつも表彰式に行くと女の子ばっかりと言われるんです。でも、私はそこで、「じゃあ、どうして知事、その表彰された女の子たちが社会で活躍していないんでしょう。表に出て能力が発揮できていないんでしょう。そこが問題じゃないですか」と申し上げるんです。

 やっぱり国立の女性教育会館として、見直しは時代に合わせてしていかなければなりませんが、地域の人たちのすそ野を広げるということでいけばまだまだ教育は必要ですし、多文化共生を、外国人もまじって入れているところからの観点で考えてみれば、いろいろな方々のカリキュラムをもっと多様化していくとかということも考えていく必要はあると思います。国立女性教育会館を女性と仕事の未来館のようになくしたり、統合したり、あそこは単なる宿屋じゃありませんので、男女共同参画の拠点、日本のこれからをどうするかという大きな考え方の拠点の1つだととらえておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。

【大日向座長】 坂東委員、お帰りの前にどうぞ。

【坂東委員】 申しわけありません。大変何度も順番を乱して申しわけございません。

 私、皆様のご意見を最初に聞かせていただいて、まず現状認識についてはほんとうに、今、座長がおっしゃったとおり、一致していると思うんですが、次のステップとしてどう踏み出すか、そこの部分についてぜひいろいろ建設的な発言をこれからの回で積み上げていただきたいなと思います。

 そして、その次の段階、1つの方向としては、今、柿沼委員からのご発言があったように、地方ではまだ差別とか抑圧とかそういったものが残っておりますが、一般に女性たちの意識はかなり啓発されている。例えば私どもの大学の学生たちを見ておりましても、女性たちは自分の、能力が男性より落ちるとか、そういったような引け目はもうほとんど感じておりません。

 むしろ一番の問題は、企業、経済界ですね。公務員も含めますと、働く職場が一番問題なんだろうと思います。ですから、経営者の方、あるいは中間管理職の方たち、男性に対する広報、啓発というのはまだまだほんとうに足りないと思いますけれども、それはどこが、だれがやっていくのか、それについて国立女性教育会館が果たせる役割というのはどこにあるのか、これは1つ、ぜひ皆様方、特に浦野さんのご意見をお聞きしたいと思います。

 また2つ目は、私は先ほどもう具体的なことを言ってしまいましたけれども、国際化はもう否応なしに来るわけです。ある一部の人たちが外へ出ていく国際化ではなしに、日本の国内で外国の方たちが働く。日本の企業が外国の企業にテークオーバーされる。そういったようなことも含めて、国際化は好きだ嫌いだなどと言っているようなレベルではございませんので、そこで通用する人材を養成する、これは緊喫の課題だと思います。

 そして、女性たちがもちろん職場できちんと自立した仕事をする力を身につけるのも、いろいろな場で、私どもの大学も、今、グローバルビジネス学部をつくろうとしているんですけれど、そうしたものとは別に、国として、平和構築に貢献できるとか、途上国の開発に具体的なリーダーシップを発揮できるとか、そうした専門的な人材を送り出す。それはおそらくいわゆる学部ではなくて、社会人の方たちの再入学、教育をして送り出す。また、イメージとしては30前後の方たちでしょうか。そういったようなことを私は1つの、日本が持たなければならない、今現在の日本に欠けている大きな機能だと思っています。それをぜひこの国立女性教育会館で1つ開発していただくことを新しい機能として大いに期待しております。

 男性の啓発についてはいろいろなアプローチの仕方があると思いますので、男性の方たちのご意見も含めて、またいろいろ深めていただければと思います。

【大日向座長】 ありがとうございます。坂東委員に1つお願いがあるのですが、先ほど最初のご発言のときに、会館の新たな機能として、新たなシステマティックなものを打ち出す必要があるというようなお考えをおっしゃってくださいました。その点は私もお聞きしたい点ですので、次回にでももう少し具体的にお考えなどお聞かせいただければと思います。

【坂東委員】 まだ最初は皆様方が全体の方向性をお話しなさっておられると思いますので、もう少し具体的にお話が煮詰まりました段階で提案させていただきたいと思います。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 今、浦野委員のお考えも聞きたいというお声がありましたが、いかがでしょうか。

【浦野委員】 今、皆さん方がおっしゃったことを一番気にしているのがやっぱり企業ですね。気にしているというのは、世間体を気にしているという意味ではなくて、やはりみずからの成長力がなくなってきていることに対する最大の関心事が、この多様性ということだと思うんですね。そういう意味では、企業の、全国を見れば何百万社とあるわけですから、その中の一部ではありますけれども、戦略的にこのダイバーシティということを考えていこうという動きは間違いなくあります。

 そういう中で、特にこの女性の問題についていえば、多くの企業がいわゆるポジティブアクションということをこの10年ぐらいの間にやってきたと思うんですね。このポジティブアクションの結果どうだったかということを、私どもの会社だけでなくて、いろいろな会社の方々とお話をして聞いたときに、必ずしもポジティブアクションがすべての女性にすんなり受け入れられたわけではなかった。結果として、ポジティブアクションの結果、逆に女性を退出させることになってしまったみたいな例もあるんですね。

 ですから、非常に難しいところではあるんですけれども、1つの劇薬という意味では、こういうポジティブアクションを国としてとっていく。先ほど政務官のほうから、2020年で30%とおっしゃっていましたかね。それをほんとうに劇薬をもってやっていくんだという国の意思があれば、これはこれで相当変わっていくと思うんですけれども、これはやっぱり戦略性の問題だと思うんですね。

 一方で、こういったダイバーシティの問題というのは、すべての分野が協力していかなければいけないので、1つは、文科省として、高等教育の場でこれをどうやっていくのかということが非常に大事だと思うんですね。先ほど藤原さんがおっしゃっていたように、正解のある課題しか対応してこなかった学生たちが、大学においてもそういう教育しか今は受けていない。

 いわば、今だめな日本が、例えばG8でも全く発言力がない。あるいは、1人頭のGDPで見たら、先進国の中でも最低のクラスになってきた。そういった日本が今、潜在能力すらなくし始めていますね。今、大学の中で主体性を持って学んでいる学生が少なくなってきているということは、日本は30年後もだめなんです。そういう潜在能力すら失ってきている日本に対する危機感をやはり持つとしたら、ここは高等教育。

 それから、産業界の中でも、どうやって戦略的にダイバーシティを考えていくのか。もちろん働く場という場で考えたときにはそういうことなんですけれども、それをやはり整合性を持って支えていく場として、今後、女性教育会館があれば一番いいかなと思っていました。

 私としては、坂東さんがどんな提案をされるかわかりませんけれども、1つは、ほんとうに研究機関として、今、こういうダイバーシティのことをどういう分野の学問でやるかと。もちろん経済学も社会学もいろいろなさまざまなアプローチがあると思うんですけれども、これを、分野を超えて研究、政策提言をしていくような機関として成り立ちをもう一度考え直すというのは、1つの手かなと思っております。企業としては、今、ほんとうに戦略的にダイバーシティのことを考えない企業は、必ず清算されていくんだろうと考えています。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。では、赤井委員、お願いいたします。

【赤井委員】 どうあるべきかというのはまだ私も考え中で定まっていないんですけれども、今、大学のお話が出て、高等教育のほうでも、激動している世界で活躍するような人材をいかにつくるのかということで、ちょうど去年の暮れぐらいから、リーディング大学院ということで、大学院の中で、私の大阪大学だと、数百名の大学院生が選ばれた中で、さらに20名を選んで徹底的に教育すると。それはすごいお金をかけて教育するプログラムが始まって、海外に連れていって、それも全部国費で連れていって、学生の負担はゼロで、そういうような超エリートをつくろうというような取り組みとか、いろいろ取り組みはなされているんですね。

 それは男女かかわらずされているわけですけれども、そういうようなところで女性が世界でどのぐらい活躍できるのか、そこのところを見ながら、でも、やはり結果としては女性がそれほど活躍できていないのであれば、そこのところをどう考えるのか。今のプログラムでは男女関係なく教育しているんですけれども、教育の中で、やはり女性が社会に出て活躍できるために、女性にどういうような教育をするべきなのかというところはちょっと大学でも考えないといけないのかなというようなところは思っています。

 そういう意味で、女性教育会館でそういうところと連携して、世界のリーダーを養成するときに、特に女性が活躍しやすいための教育プログラムはどうなのかとか、その辺を考えるとこれはおもしろいのかなという気が、ちょっと感想ですけれども。以上です。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 いかがですか。では、樋口委員、お願いいたします。

【樋口委員】 これは企業との関係を語る回が別にあればそのとき申し上げたかったのですけれども、ちょうどお話が出てきましたので。

 私はもともと、女性が就労の場できちんと待遇されること、ワークライフバランスのための保育施設等が整うことが、男女共同参画社会が実現する基本の「キ」だと思ってずっと活動してきました。

 最近、こんな活動にもかかわっています。最近、J-Winという、内永ゆか子さん、IBMにいた方が主宰する会なのですけれども、今年で5年目になります。ダイバーシティ・アンド・インクルージョンという言葉を使っています。これは参加企業の共通した大戦略で、大企業、50社ほどがエントリーして、その中で10社ちょっとぐらいをファイナリストに選び、私は最終審査の委員長をつとめました。

 トップ、ダイバーシティ担当者、課長から課長補佐ぐらいの現場の女性五、六人、ここは上司は立ち合わせません。私はその面接を担当し、10年前、15年前の私が大学の現役だった時代の企業の姿と、一部かもしれませんが大きくさま変わりしているのに驚嘆しました。

 15年前には例えば日本一のメガバンクである三菱東京UFJの支店長に女性が約一割いることは考えられませんでした。課長まで行く女性は増えたけれど、部長が出ない、重役が出ない。今年大賞を取りましたのはアステラス製薬、準大賞が三菱東京UFJと日産自動車でございました。ほかにも6社ほど受賞企業があります。

 そうした企業に共通することは、ダイバーシティを進めなければ生き残れないという認識です。グローバリゼーションの中、諸外国との会議へ出ていくと、男性ばかりで出てきているのは日本しかない。これは変だ、おかしい、恥ずかしいというキーワードが、受賞するような会社には共通語になっていました。

 いくつかの企業では、常務クラスが10人いるとすると、10人の女性課長を完全に1年間メンティーとしてつける。男性から苦情が出ると、「男は、入社の翌日から毎晩飲み屋でメンターしてもらっているじゃないか」とトップがすすめていく。

 浦野委員のニチレイさんは、女性と仕事の未来館にも大変ご協力いただきまして、まさにそういう企業の1つでございます。今、男女共同参画に一番敏感でないのが政界と官界で、企業経営者は生き残らなきゃならないと思っておりますから、、猛烈に動き始めている。そうした動きを含めて、女性と仕事の未来館がこうなったからには、NWECがちゃんと継承して広げていただくということを、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。私は企業が変われば日本は変わると思っています。

【大日向座長】 ありがとうございました。

 そろそろ時間も残り少なくなってまいりましたので、このあたりで今後のこの検討会の進め方について少しお諮りしておきたいと思います。この検討会は、私も先ほど申しましたように、会館が果たしてきた役割は非常に高いものがあるということは皆さんが一致して認識したことを踏まえた上で、しかし、新たな役割、機能を模索するというために設置された検討会であると理解しております。決して女性と仕事の未来館のような形の結論を出す会ではないと思って座長をお引き受けしておりますが、ただし、時間が限られておりますね。検討会のまとめを出すのが夏ぐらいでございますか。

【笹井課長】 夏までにということです。

【大日向座長】 一応夏ぐらいまでという要請を受けております。そういたしますと、皆様、思いはこの国の男女共同参画の本質を問うということを心一つにしながら、NWECがそれをどういう形で体現できるかという具体に話を進めていくことが必要になっていくかと思います。

 そのためには、開催の回数も、また、時間も限られておりますので、皆様のご発言をよりよく生かすために、レジュメをご提出いただくということも次回から検討していただくことはいかがでございましょうか。先ほど坂東委員が先にお帰りになるので少し先走って申しましたが、今、私が申し上げたようなこの検討会の趣旨にそって、皆様のお考えをレジュメとしてお出しいただくこともあるかと思います。全員の義務では決してございません。ご希望があればということですが、そういうこともお考えいただけますでしょうか。お願いしてよろしいでしょうか。

【堂本委員】 いいですか。

【大日向座長】 はい。

【堂本委員】 このレジュメの性格を議長に確認させてください。わずか3か月の検討会というのは、まずないのではないでしょうか。大抵1年や2年の期間があります。この検討会は、実質5回から6回しか今予定されていません。しかも今日のお話ですと、この国の方向性、抜本的な課題とNWECをどうつなぐのかといった、ことを考えるとなると、とても急いでやらなければならない。そこで、このレジュメが、先程坂東委員がおっしゃったような構想案という意味なのか、それとも、単に議論のたたき台となるレジュメなのかを、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか伺いとうございます。

【大日向座長】 貴重なご指摘ありがとうございます。次回はまだ検討会が始まって2回目ですので、それほど具体のものでなくて私はいいと思います。しかし、議論を進めていく上では、その方がお考えになっていることが明確に見える化できるような形でお示しいただければという、そうしたざっくりとしたもので申し上げたことでございますので、そこを確認していただいたことありがたいと思います。

 それを含めまして、この検討会には関心をお持ちくださっている方も多いと思います。したがいまして、関係者の意見をお聞きする機会を設けるということも考えられるのではないかと思います。いわゆるヒアリングということでございますね。もし皆様が、こういう団体からヒアリングをしたらどうかと、そういうご希望もあればぜひご意見をいただければと思いますが、ヒアリングの回を持つということはいかがでございましょうか。

【堂本委員】 よろしいのではないでしょうか。

【大日向座長】 今ここでその団体名なり、個人名をお挙げいただくことが無理でしたら、次回までに、あるいは次々回でも結構ですので、事務局のほうにお届けください。事務局と検討させていただくということで進めさせていただくということでよろしゅうございますか。

 また、文科省のホームページの上で意見募集というやり方もあろうかと思いますので、確かに限られた期間でございますが、多くの方の貴重な意見を参集して、委員の皆様にぜひともNWECのあり方として、ほんとうによい形はなにかを夏ぐらいまでにおまとめいただければと願っての提案です。そういうことでご理解いただけるということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。

【堂本委員】 もう1つだけよろしいですか。

【大日向座長】 はい、どうぞ。

【堂本委員】 内閣府の障害者制度改革推進会議も非常に急いだ会議で、私はそこのメンバーでした。通常国会に改正障害者基本法を提出するということが決まっていたからです。いま座長がおっしゃったように、レジュメを提出したり、あるいは、しなかったり、どっちでもなんですけれども、されたものを事務局が前日ぐらいまでにみんなメールでそれぞれの委員に送ってくださいました。もし事務局が可能であれば、検討会の場へ来てから読むのではなく、次の会議の前に皆様のお考えを十分に勉強させていただいて出席もできるかと思いますが、いかがでしょうか。

【大日向座長】 ありがとうございます。ところで今まで局長も、総括官も、課長もご発言がありませんでしたが、今のご質問に対するお答えや今後の進め方なども含めて何かありましたら、どうぞご発言いただければと思います。いかがですか。では、局長、お願いいたします。

【合田局長】 先ほど来、精力的にいろいろな角度からご意見をいただきまして、大変ありがとうございます。今の件につきましては、ご指摘のようなことで、私どもとしてできるだけの努力をさせていただきたいと思いますので、こういうことができたらいいなということがあったらぜひ遠慮なくご提案をいただいて、私どももできる範囲で対応したいと思います。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 総括官はいかがですか。

【杉野生涯学習総括官】 特にございません。

【大日向座長】 よろしゅうございますか。

 それでは、今、局長がおっしゃってくださいました、そういう方向で次回以降、ぜひ皆様も事前に事務局に何かおありでしたらお届けください。事務局と相談をしながら進めていきたいと思います。

 次回の議題でございますが、まず本日のご議論をもとに、事務局のほうで論点を整理していただきまして、それをもとに次回の審議をさせていただきたいと思います。

 今後の日程等につきましては、資料6でございましょうか。事務局のほうから、今後の日程についてご説明いただけますか。

【湯澤女性政策調整官】 次回の第2回目につきましては、来週4月20日金曜日、1時から3時までとなっております。場所は、今日と同じ場所、こちらの霞山会館で行いますので、よろしくお願いいたします。

 本検討会は、第5回目までを予定しておりますが、審議の状況によりましては、7月以降の開催も考慮したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【大日向座長】 ありがとうございます。

 といたしますと、次回というのは来週ですね。もう1週間しかないんですが、今、堂本委員が言われたように、できれば前日でも結構ですので、どういう議題で次回審議が開催されるのかということをメールで流していただければ、皆様も心づもりがおできになるのではないかと思います。限られた時間で事務局もほんとうに大変だと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、若干早いのですが、これで閉会とさせていただいてよろしゅうございますか。ほんとうにお忙しい中、今日はありがとうございました。

―― 了 ――

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