令和7年6月9日(月曜日)10時~12時
文部科学省内及びオンライン
議題1:消費者教育推進委員会における検討内容の公開について
資料2に基づき、事務局より「消費者教育推進委員会における検討内容の公開」について説明を行い、委員から承諾を得た。
議題2:令和7年度文部科学省の消費者教育関係事業について
資料3-1および資料3-2に基づき、事務局より「令和7年度文部科学省の消費者教育関係事業」の説明を行った。また、資料4に基づき消費者教育フェスタの方向性についても説明を行い、委員からの主な意見は以下の通りいただいた。
【上村委員長】 まず、資料4「成年年齢引き下げ等を踏まえた効果的な消費者教育実践モデル構築」で、昨年は消費者教育支援センター山形と、奈良女子大学がモデル事業に応募し、効果を上げてくださった。
今年は、6月17日まで公募期間となっているが、皆さんにうまく情報が行きにくく、周知が十分ではないと消費生活センターから聞いている。6月17日までどういう形の公募をしているのか、もう少し丁寧に説明いただけるとありがたい。質問だが、今、公募の情報はホームページに載っているか。
【大谷係員】 ホームページのほうには、今日中には載るようにしたい。手続は進めている。
【上村委員長】 文部科学省が公募していることは探すと出てくるが、消費者教育のページに公募情報が出てこないので、皆さん、どこで何をやっているかにたどり着いていない。できるだけ今日中に公募情報が行き渡るようにホームページに載せないと、例年応募してくださるところは良いが、慣れない方たちが応募することが厳しいかもしれないと考える。
事業規模、採択数に関しては、記載のとおりか。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 はい。
モデル事業について、上限額は454万円としており、1委託先につき227万円が上限となる。このぐらいの規模で提案いただきたいと考えている。
【上村委員長】 応募に関しては、委員会で審査し、選んでいただくということだが、もし、応募が2件に達しなかったとか、2件、3件来たが、採択しにくいという状態だった場合には、どうなる予定か。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 採択数2件と記載させていただいているが、まず、事業の審査委員会を設け、そこで審査をする。その中で2件以上、応募いただいた場合は、それぞれ評点をつけて、場合によってはコメントをいただいた上で採択を決めるということになろうかと思う。または、内容の状況次第だが、場合によっては規模の調整も含めてコメントをしていただいた上で、採択数を決定するということになろうかと思う。
逆に、我々が想定している件数のエントリーがなかった場合は、が、例えば1件出てきた場合には、それ1件の審査は当然するので、その中でコメントあるいは意見があれば意見をつけ、ある種、要件をつけて採択するということになろうかと思う。基本的には、一定の水準以上のものになっているということが我々の希望であり、現時点で必ずそうするとは申し上げにくいが、再度募集し直すといったことも考えている。
【上村委員長】 2年前、再募集をやったことがある。その再募集の終わる期間が遅かったので、フェスタなど、イベント会場の都合がつかなかった。早い時期に募集をしていただかないと、なかなか参加者がなく、また時期が、2月とか、遅くなってしまうことが発生する。今説明があったように、審査委員会に判断をいただきコメントもいただきということで進められると思うが、再度募集をするということに関しては、早めに判断いただき、また広報を早めにしていただければありがたい。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 その辺りは、期間が到来すれば、どのぐらいエントリーがあるかということは把握できるので、審査を進めながら、状況を判断してまいりたい。
【松葉口委員】 公募説明会が5月30日にあったが、参加された方はいらっしゃったか。
【大谷係員】 フェスタとモデル構築にそれぞれ1団体に参加いただいた。
【白上委員】 こういう委託事業の進め方として、ある程度、この委員会などで議論があり、次は、どんなモデルを協働しながらやっていくかという、仮説感が出てきているはずである。例えばこの大学の先生の研究であるとか、幾つかに当たりをつけ、個別に、こういうことで今回は出ますのでどうでしょうか、とアプローチをしながら、それが5団体、10団体とコンペを上げていくという手筋で本来しておくと、説明会で1社だけということにはならないと思った。
いずれにしても説明会を終えているので、一旦、ここにお集まりの委員が、つながりのところに声かけということが必要と思う。もし再募集ということであれば、その逆算で、どんなところにモデルがいいだろうかという知見を集め、直接つながりがなかったとしても、この後に出てくる調査の結果で、幾つかのモデルとかも上がっているので、そういったところにさらに深めて、こういった予算の使い方はどうでしょうかとアプローチしていくことが大事ではないかと思った。
【柿野委員】 以前は、日本消費者教育学会や関係の先生方にメールし、公示情報をお知らせしていた。そういうアプローチがない限り、公示情報は事業者でなければほとんど見ないはずなので、こちらからのアプローチをもっと積極的にやっていくということが欠かせないと改めて思う。
【須黒委員】 審査委員会のメンバーで、書類審査をするが、書かなくてはいけない項目が抜けていたりするとどうしても審査結果が厳しくなるので、適切な審査を行うためにも、企画提案書をチェックし、足りないところ、書かなければいけない項目、審査の対象になる部分について、審査委員会に諮る前に事務局でチェックし、エントリー団体に助言いただけるとありがたいと思う。
【上村委員長】 よろしいでしょうか。
確かに説明会に参加していなくてエントリーをする方は、事情が分からずに十分な書類が作れないということがあるかもしれないので、エントリーしてくださった場合、書類チェックを事前に事務局のほうでしていただき、足りない情報などは申請者に伝えるということを先生方に認めていただいてよいか。
モデル事業、今までせっかく蓄積がされてきたところで、支援センターも、奈良女子大学もいい活動をしてくださったので、続いていくような声かけをして、6月17日までに申請くださるところには、書類の不備など、丁寧に見て、受け取っていただきたい。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 応募エントリーがあれば、書類の組立て状況、内容を含めて、事務局で確認をした上で、各審査委員の先生方には審査をお願いできるような形で対応したい。
【上村委員長】 事業の内容、取組例など、大学等と地域の消費生活センターや消費者団体等の多様な主体による連携・協働体制を構築しているか、学生団体が頑張って何かやっているか、消費者庁設置の消費者教育コーディネーターなどを活用した事例がないか、金融教育や他の消費生活に関連する教育との連携した活動がないか、期限は迫っているが、こんなのがあるんだよという声かけをいただくだけでも周知になるのでよろしく。
資料5で、消費者教育連携・協働推進全国協議会とあるが、これが消費者教育フェスタの公募だと理解し、どこにそれがあり、何の募集をしているのか、なかなか皆様にぱっと理解いただけない。この長い名前で公募がされており、事業の内容は消費者教育フェスタの企画・運営業務全般であるということは、近くの方たちに声かけをいただきたい。
フェスタをやってくださったところがモデル事業に、モデル事業をやってくださったところがフェスタにという形で高まっていくといいと思う。「この間はできたんだけれども、今年は無理です」という、早めに声かけをしておかないと、特にフェスタのほうは、場所、イベント会場の関係があり、声が上げにくい、計画が立てにくいということがあるかと思う。
事業規模については、1件当たり255万1,000円を上限とするということで、2件程度で、審査委員会が決定する。公募説明会に参加いただけていない方がエントリーされたときは、イメージがぱっと浮かばれない可能性があり、また書類の不備などあるときにはチェックを事務局にお願いできればと思う。
ぜひ声かけいただき、応募していただけるように、お願いしたい。
【島田委員】 こういった議論は、本来であれば、募集の前になされるべきところである。募集の終了間際になると、なかなかいろいろな声がけも難しくなってくる。いろいろなスケジュールの関係で難しい面があるとは思うが、できれば募集開始前にこの会議を開催するということを、尽力いただきたい。
【あんびる委員】 地方の自治体だと、応募しようと思っている側が、自治体の担当窓口に相談をして、「こういう感じで考えているんだけれども」と相談しながら、企画を練っていくこともできる。この公募の場合、相談できる窓口がなく、連絡先のみであるため、ハードルが高くなってしまうのではないか。相談できるような窓口があれば、自分たちの考えていることが合っているか、書類のここがまだ詳しく書けないが大丈夫か、などといった相談もすることができ、今躊躇してしまっているところからの応募も見込めるのではないかと思う。
【上村委員長】 消費者庁と文部科学省が連名でいろいろな情報を発出している。その体制を地域にも理解してもらい、地域の方たち、教育委員会、消費生活センター等が連携しやすくなってきつつある。その辺は相談窓口のようなところで、これはアドバイザーの先生にいろいろ話を聞いてもらったほうがいいとか、そちらだとこの先生が詳しそうとか、この領域だったらこうだという提案を、その場で返事ができなくても、分かっていそうな委員に聞いていただけるのではないかと思うので、事務局のほうでお願いしたい。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 どうやって事業化に向けた掘り起こしをするかだが、事業の単位で見ると予算を取りながらというところで、どうしても動き方の制約も出てきてしまうが、アイデアベースで、そういうものがあるのだったら考えてみたいと思っている自治体あれば、そのアイデアをお聞きし、うまくチャンネルを提供したいので、どういう形ができるかは考えてみたい。
【上村委員長】 教育アドバイザーの派遣については、45回が予算化されているということか。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 これは、予算上このぐらいの規模ということで想定している。実際は、1度の派遣が1回だけで終わるわけでは必ずしもなく、アドバイザーの先生方に相談しつつ対応していく。
【上村委員長】 先生方になってくださっているアドバイザーは、今ホームページ上に、こういう先生がいらっしゃいますよというので載っているか。
【河村男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐】 はい。
【上村委員長】 先生方との連携ができるようにつなぐのも、事務局にお願いすることになる。
昨年9月に消費者庁との連名で通知を出して周知をしてくださったが
消費者庁がコーディネーターの窓口、アドバイザーに関しては、文科省の事務局が受けているという形で、だんだん省庁の垣根を越えて推進がされているので、これに関しても声がけいただければと思う。
【柿野委員】 消費者教育アドバイザーは、長く制度として進めてきているが、これまでの派遣でどれだけ成果があったのか、振り返る必要があるのではないか。また、その中でモデル構築とかフェスタの開催の候補をアドバイザーの活動を通じて見つけるのはどうか。各事業がばらばらに動いている気が以前からしていた。そこがつながって、私たちもフェスタに出させていただく場合には、近江八幡でのこれまでの活動があるから出せたのであり、何か助走みたいなものがないと、いきなり公示されて、出しませんかと言われても難しいと思う。その助走部分を一緒にアドバイザーがやっていくとか、何か少し考え方をシフトしていく意味でも、アドバイザーのこれまでの成果と課題を検討する必要があると感じる。
【あんびる委員】 アドバイザーの効果測定だけでなく、フェスタや、事業につなげるという視点は重要だと思った。
ただ、教職員の先生方が、私の派遣先は多かった。教育現場は日々の業務で多忙というところもあるので、そこを念頭に入れ、連携先の掘り起こしも含めて考えていくようにするといいと思う。
【上村委員長】 アドバイザーの成果を振り返ってみて、何をどう動いたらより効果的にフェスタやモデル事業が動くだろうかというのを、ここの委員会でも意見交換をさせていただければありがたい。
【大久保委員】 私は地方在住ですので、地方の立場から申し上げます。公募の案内をいただいてから県や自治体などの消費生活の担当の部署の方々に対して、こんなのがあるんですよという話をしてきたが、「やりたいと思うけれども、やれると思えない」ようで、「運営のノウハウが全然見えてこない」ようである。やる気を大事にできる相談の場があると、もっといろいろな人が手を挙げやすくなると感じた。もしなかなか手が挙がらないのであれば、もっと幅を広げ、「生涯学習でもできるんじゃないか」とか、「こんな場でもできるんじゃないか」という柔軟な視点や現場感覚もきっとあると思うので、そんな声もすくい上げられると、告知の効率もよくなると感じた。
【萩原委員】 応募する際に、例えば審査基準にある「ワーク・ライフ・バランス等の推進に関する評価」とか、ほかに「くるみん」とか、いろいろあるが、これを取れるところは限られてくるはずである。大きいところしかまず無理で、地方のほうでやろうと思ったNPOは、まずこれは取れない。事業規模からも、申請すらもできない。
例えば、私の経験だと、私の関わっているNPOなども、出そうと思ったときに、これを取れていないので、点数でもう15点ぐらい負ける。そうすると、もう出してもしようがないよねという諦めもあると思う。これは、男女共同参画を進めるとか、そういったこともあってこの審査基準に入ってくるのだが、それが逆に申請団体が増えない一つの理由にもなってしまうので、その審査のときの評価、ここは考慮していかないと難しいというところである。
あと事業企画に関するモデル、例えば国立女性教育会館は、事業企画研修をちゃんとやり、全国津々浦々で進めるための企画をつくり、それをまたフィードバックしている。生涯学習、全国老人クラブ、生活学校等、全ていろいろなところとつなぐ重要なテーマで、広がりを考えるのがいいと思った。
消費者教育は、この委員会が主催する何かを打って出るのもあってもいいと思う。
オンライン上でもいいと思うが、そういうのを見せて「そうか、こういうのも企画できるんだと」いうことを共有していく場があってもいいと。一番最初のフェスタというのは、そんな意味合いもあったのではないか。
【上村委員長】 そんな感じだった。
【あんびる委員】 事業としてやっていくにはどうしたらいいかというノウハウも必要なので、今までやってきた中で、ある一定の木型みたいなものを提示して、ここを埋めていくとできるようなフォーマットを提示するという考えもある。
【白上委員】 各団体の事業フェーズがある。ある程度事業規模が大きくなってきた団体というのは、当然申請書を書くスキルとかノウハウもあり、人材もある。そういうところでいくと、この予算というのは事業的に少ない。高いコストをかけて人を雇っているし、それなりのものをやろうと思うと規模感を持ってやっていきたいというイメージがある。この事業の予算というのは、数百万円規模の事業をやっていった経験がない、そういう先に裾野を広げていくという意識で焦点化していくと、相談業務、企画研修ということで、事務局側の手間はかかるかもしれないが、でもそれをやることによって、次のフェーズに押し上げていける。
そうすると、その地域がある程度の事業規模で担っていく組織体なり活動なりが広がっていく。事務局側がもう少し、手間もかかるかもしれないが、ハードルを低くしていくということがとても大切になっていくと思う。
【萩原委員】 これはプログラムオフィサーの仕事になる。申請書の書き方から何から、丁寧にやる人材がいないと、なかなか難しいと思う。それはかなり専門性が必要になってくる。申請書の書き方というのはすごく重要。
【白上委員】 過去に手を挙げたところというのは、次の活動ということになると、それは常に新しい人を掘り起こしていかなければいけないということになってくる。そうすると、前年のフェスタのところでもう来年の見込みというか、打つ手を打っておく、つながりを用意しておく。フェスタに相談ブースを設けるとことは今年度できるのではないか。
そうすると、フェスタに来られた方、全国の基本を見に来る方も、熊本みたいなものをうちの地域もやりたいと思ったときに、そこに相談ができ、来年度こういうことを検討していると、数か月の準備期間がもてる。
【あんびる委員】 フェスタに次年度相談ブースを設けるとか。
【上村委員長】 フェスタに次年度相談窓口を置き、ポスター発表か何かをしていらっしゃる方たちに、次年度はどうですかと言う。そういう形にできるといい。
【萩原委員】 自治体とか、そういうところがやろうと思ったときには、秋にはもう予算取りが決まってしまうので、ここだけの予算では、少な過ぎてしまうので、先取りして、どうですかと、その団体のエンパワーメントというところの視点で持っていったらいいのではないか。大きいところではなくて、皆さんがこれをやることによって、さらに地域に影響力を与え、皆さんの団体のエンパワーメントにつながってきますよいくというメリットを見せていくということ。
【上村委員長】 消費者教育推進委員会で少し、やるべき仕事というか、やれる仕事の中に入れておくと、またアドバイザー制度も生きてくるというところがあるかと思うので、アドバイザーの、これが課題としたら、どうすれば全国にいろいろなそのネットワークがうまく組めるかというところは今後考えていけるところと思う。
議題3:令和6年度「消費者教育に関する取組状況調査」について
資料6-1および資料6-2に基づき、事務局より令和6年度「消費者教育に関する取組状況調査」の説明を行い、委員からの主な意見は以下の通りいただいた。
【上村委員長】 ヒアリング調査で山梨が出てきた。山梨県立大学との大学間連携事業というところで、現場から神山委員、補足していただければ。
【神山委員】 大学等調査のところで、例えば課題のところでは「指導者や講師となる人材がいない」という結果が31.0%で課題である。その一番多かったのは「他の優先課題があり取り組めない」だが、2つ目の「指導者や講師となる人材がいない」というところは、山梨大学のこちらのヒアリング調査だが、昨年度まで山梨県立大学と山梨大学とのいわゆる教養教育科目を、「大学アライアンスやまなし」という取組において連携を行った。このように今、大学等もなかなか経営が大変になっているが、例えば教養教育を周りの大学と連携してやると、地域の学生たちも、多様な、その大学にとらわれない、その地域の大学の先生が担当される。私の場合は消費者教育になるが、これも消費者教育を推進していく一つの手段にもなるかと思った。
またもう一つ、今年度からは山梨大学全体に試みで、900名ぐらいいる全学部の1年生を対象とした、「消費者市民社会を生きる」という科目を開設した。今年度は山梨大学だけだが、数年とやってきて、できれば地域の大学ともに連携した科目にしていきたいというところまで想定してやっている。
今年度の調査については、まとめて初年次教育学会というところで発表したいと思っているが、一番人数が増えたときに課題となるのが評価とか、あと人数が多くなったために、個々の学生までにどのようにフォローアップするのかというところが課題となっている。
【上村委員長】 そこでモデルをつくっていただいたら、地域の大学間連携が進む可能性も示唆していただいたかと思う。この結果に関して御質問とか補足とか、松葉口先生、何か感想とかがありましたら。
【松葉口委員】 調査全体については、幾つかいろいろと質問というか、意見というか、この調査は実態が分かって、ずっと継続していて本当にありがたい。最初は総花的に実態を踏まえるということでいいと思うが、何回かやってきて何か経年変化を出していただきたい。
また、連携しているかしていないかについて、本当はやっているところでも、これはやっていないかもみたいな感じで、もう既に答える段階でバイアスが生じる。そこらをこれからどうするかということを考えたほうがいい。
そもそも、例えばこの大学への調査は、どこに調査を依頼しているのかによって大分変わってくる。今回の調査は、多分どこかから連絡が来るのかなと思っていたら全く連絡がなかった。それと関連して、例えばこのヒアリングは、具体的な例を出していて非常に分かりやすいが、このヒアリングのピックアップ自体もどういうところから情報を得てピックアップしているのか。
私自身、教職大学院のほうで消費者教育とESDを絡めて理論と実践というものを立ち上げている。消費者教育基本計画などで学校現場で広げていく上での研修みたいなものが必要だということが非常に課題として出ているがゆえにそういう科目も立ち上がっているが、そういうものは全く入っていないと思い。ヒアリングをどのように選定しているのか、調査をどのように実施しているのかというところが非常に気になっていた。
【上村委員長】 ずっとやってきた調査のため経年変化は出していける。状況によって、この調査を活用して発信してくる先生方がかもしれない。まず経年変化が追える状態にしていきたい。
一つの大学のところである先生が頑張っても、それがずっとその地域に根づくかどうかというところがなかなか厳しいところがある。大学の調査を実施するときに、文部科学省がやる調査だから回収率はいいが、その調査を受ける窓口になる担当者が代わると、消費者教育といったときに何先生のところに何を聞けばいいかがちゃんと把握できない。前のときには聞いてもらえた話が聞いてもらえないという事態が発生するというのは、こういう調査があって、こういう結果が出て、こんな数字になっているよねというのを皆さんに共有できると、情報を先生方のほうからでも声をかけてもらえる体制ができていい。
【島田委員】 今回の調査の概要を拝見して一番気になったところは、担い手がいないというところの調査結果。消費者教育の推進法ができてからもう13年たつというこの時点でもあまり、そこがまだまだ課題として残り続けているというところで、どう打開するかというところが非常に大きい課題。
担い手をどうつくるのか、どうコーディネートしていくのかという辺りのまとめの文書をこの委員会として作る時期に来ているのではないか。
平成27年にこの委員会で「いつでもどこでもだれでもできる!消費者教育のヒント&事例集」というものを作成していて、これは非常に充実した中身を消費者教育支援センターに委託して作られたんだと思うが、そういったものを、観点を少し変えて、どうコーディネートしていくのか、担い手をつくっていくのかというところの視点からそういった資料を作っていくという辺りがあってもいい。新たに予算化しなければいけない話なので今年度すぐという話ではないと思うが。
【上村委員長】 確かにそういうところで何か取りまとめた文書を出せる体制を考えたほうがせっかくの成果を生かせるのではないか。次回の2回目のところも継続的に島田委員が出した御提案について対応を考えるということができれば、ちょっと前に進むかもしれない。
【柿野委員】 今の観点は非常に重要。地方では消費生活相談員の担い手確保ということが今非常に大きな問題で、今年度で交付金が切れてしまう自治体も多く、相談員さんの配置そのものが難しいと聞く。地域でどういう形でやっていくのがいいのかを委員会として示すことはとても意義のあることではないか。
【上村委員長】 相談員が担い手としてかなり限界のときに、学校の先生方との連携をどうするか、また学校を退職された方とか地域のNPOの方とかというのをどう御一緒につくっていくか、ここで意見交換をしながら提案していけると、この結果を生かし、次のステップがより具体的に見えるという形になる。
【あんびる委員】 この調査でも教育委員会調査のところだが、町、村が低い。消費者センターや企業・団体等の様々な主体と連携・協働した消費者教育を実施している教育委員会は全体で43.9%で、町、村になると33.8%、32.7%と著しく低くなっているが、そもそも町、村で常設の消費生活センターがなかったり、相談日も限られていたりという中で、消費生活センターと連携していくことは難しい。そういう中で、ではどのような消費者教育の推進ができるのか。そこに注目していかないと、消費者教育の地域格差というのが解消できない。そういう視点もとても重要。そこも含めてのコーディネーターというものをどう捉えて推進していくのかということが大事。
【柿野委員】 今あんびる委員がおっしゃったこととすごく重なっているが、相談体制の広域連携という、人口減少社会の中で地方をどうしていくかというときに、相談の広域連携というのは少しずつ進みつつあって、小さな町村の相談を隣接している市で受けるなどというところがあるが、そこは相談だけで、教育については置き去りになっているなという印象を持っている。広域での連携の在り方とか、そういったモデルとして示していけるとすごくいいと思う。
【中森委員】 大学生協連の学生生活実態調査という調査をやっていて、学生の消費支出の動向とか、独り暮らしにはこれぐらいお金がかかるとかという調査をずっとやっている。その中で、学生が実際に遭遇している消費者リスクみたいなことも調査項目にも入っていて、様々な取組をやっている。学生同士で気をつけながらケアしていくみたいなことも含めて、将来的には取組を一緒に連携させていきたいと考えている。
学生と最近のリスクについて話をしていたところ、非常にリスクが広がっていて、例えば資産形成社会と言っているので、結構NISAとかを普通に学生はやっている。国際情勢が変わったらNISAがすごく目減りして大変だみたいなことでショックを受けている学生がいたりとか、「僕の友達はパチンコにはまっています」、「えっ、まだそんなやついるの」みたいなことも含めてあるので、様々なリスクをいろいろな形で学生同士で情報交流もしつつ取組をやっている。また何か御紹介させていただく機会があったりとか、連携させていただく機会があればと思っている。
【上村委員長】 私が今勤めている東京農工大は、イノベーション人材、スタートアップとかと言って、単にサラリーマンで人生を終える生活設計ではない生活設計を学生が立てなければいけなくなっている。ずっと同じところに勤め続ける人生ではなくて、いろいろ変化に対応しつつ、どううまく生活設計を立てていったらいいのかというのができないと、何かもう家庭も持てないという状況がどんどん若い人たちの中に広がっているのを、消費者教育の中での視点で連携・協働をやって、消費生活はこういう形でリスクに対応して、生活の質を上げていこうみたいな話をやっていただけるといいなと。
【あんびる委員】 今のご発言に関連して。この調査を見て、金融分野についての消費者教育としての取り扱いが少ないと感じた。27ページの学校教育分野においても、金融関係に関連するところ、金融トラブルに関する知識を含む金融リテラシーとか、家計管理や生涯を見通した計画的な生活設計に関することは低い。
日本証券業協会がこの5月に出した新NISAの開始1年後の利用動向に関する調査で、新NISAを始めた動機・目的で、20代の3割弱が将来の不測事態の備えとして始めている。不測事態とは、病気や自然災害などなのだが、コロナのときに投資信託のKPIで金融庁が発表しているものだと、7割の顧客がマイナスだった。コロナなどで収入が減ったから、即現金化したいといったときには多くの人が損をしてしまうという事態になるわけで、消費者としてこのような金融分野の知識を知っておくというのはとても大事だと思う。
もちろん、金融経済教育においてはどの金融商品にも偏らないという制度的中立を守って金融経済教育を進めているが、例えば消費者側だったりとか、環境団体であったりとか、もちろん弁護士団体であるとか、いろいろなところが関わることで価値的中立というのが保たれると私は思っている。消費者教育側からのアプローチというのも非常に重要になってくると考えている。
【上村委員長】 消費者教育・金融教育・環境教育などでの連携・協働をさらに進展させるためにも、調査結果を活用して生活者の視点で生活の質(well-being)をあげてきた蓄積を再評価し、第2回の消費者教育推進委員会にむけて、消費者教育フェスタやモデル事業が成果をあげるよう大学などとも連携して新たな科学技術を活用する道を探っていきたい。
男女共同参画共生社会学習・安全課
消費者教育推進係
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ファクシミリ番号:03-6734-3719
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