令和4年度消費者教育推進委員会(第2回)【議事概要・配付資料】

1.日時

令和4年10月21日(金曜日)10時~11時

2.場所

霞ヶ関ナレッジスクエア

3.議題

  1. これまで実施した消費者教育に関する取組状況調査結果のまとめについて
  2. 今年度開催の消費者教育フェスタの最終確認について
  3. その他

4.配付資料

5.議事録

議題1:これまで実施した消費者教育に関する取組状況調査結果のまとめについて
資料1に基づき、「持続可能な地域社会の実現に向けた消費者教育及び環境教育推進事業「成果につながる事業展開に向けた実践的調査研究」」委託事業者より「成果につながる事業展開に向けた実践的調査研究」委託調査概要」について説明を行った。委員からの主な意見は以下の通りいただいた。
 
〇平成22年から大学への調査、教育委員会への調査を継続しているというところを、分析し直して、今から何を明らかにしていきたいか、どのような方向を目指すのかという議論を踏まえて、これからのあるべき調査を考えるのにとても貴重な分析かと思う。
 
〇平成22年のときの取組状況調査において、大学調査のほうは上村委員が担当、萩原委員が教育委員会の質問項目を担当した。当時は非常に興味深い結果と思い、それを経年比較することで振り返ることはいいと思う。
 
〇ヒアリング調査に関しては、特に大学についてはSDGsに取り組んでいる大学に焦点を当てるという傾向が見受けられるかと思う。

〇被害防止の観点、SDGsに配慮したエシカルな消費という観点をどう結んでいけばいいのか検討が常に大事だと考える。そこで、これまでの取組状況調査の中で調査対象として挙がっていた、大学1年生等を対象にした、いわゆる被害防止も含めた取組をしている大学に対して、SDGs関係などの若年者層への広がり等ヒアリングすると参考になるのではないか。
 
〇消費者被害防止のみならず、それに加えて、SDGs関係、エシカル消費等、消費者自身の日々の商品選択や消費者としての行動を見直す取組が行われているかヒアリング調査で分析していけたらいいのではないか。
 
〇静岡県の県民生活課が頑張って取り組んでおり、そこに教育委員会がどう関わっているのか明らかになるとよい。
 
〇静岡県は、ポータルサイトをつくった以降も、消費者教育の講師を育成して、その講師の人たちが積極的に高等学校で専門講師として授業をしていたり、教育委員会との連携が必ずあるはずなので、教育委員会がどのように関わっているかという視点を持ってお話を聞いていただくといいのではないか。
 
〇教育委員会は、ほかに優先課題があり消費者教育を重点的に取り組めないと言っているところが非常に多く、ここをどう乗り越えていくかというのが、消費者教育推進委員会の1つのテーマなのではないか。
 
〇優先課題があり取り組めないと言っている中でも、例えば教員が消費者行政部局に人事異動し、連携を促進しているような自治体や教育委員会があると思うので、例えば新潟県、沖縄県には異動して3年目になる公民科の教員がいたりするので、そういう仕組み等が明らかになるようなヒアリングになるといよい。
 
〇滋賀県近江八幡市では、消費者庁の補助金を使って消費者教育に関する実証研究を実施しているが、研究指定校になると、教育委員会が主導で動くということを目の当たりにしたこともあり、近江八幡市教育委員会をヒアリング対象にしてはどうか。
 
〇近江八幡市教育委員会が、主導的に今年度から動き出しているので、その点についてヒアリング調査し、どうやったら連携が可能かというあたりを分析していければいいと思う。
 
〇消費者庁の推進会議で、消費者教育に関する効果検証や評価について、ロジックモデルやKPIなどの議論をしているが、文部科学省で実施してきた教育委員会調査や大学調査の結果も役立つと思う。
 
〇京都大学の場合は、生協が連携して取り組んでおり、大学だけではできないが、生協のお店とかも連携すると、全学的な取組になることを知ってもらえるのではないかと思う。
 
〇だまされないための教育と社会を変革するための消費者教育の2つの切り口で考えがちだが、根底部分は同じだといえる。アンケートの質問項目を考えるとき、大学、学校が被害に遭わないための、だまされないための教育に取り組んでいる場合と、例えば、熱心にSDGsに取り組んでいる場合が分かるようになるといいと思う。
 
〇大学で学ぶことかもしれないが、多角的、多面的にものごとを捉えたり、先生が言っていることを疑ってみたりするなど、そういう経験を学校教育の中でしてきていない学生が多い。
 
〇批判的な思考を持っている生徒は扱いづらい生徒という扱いを受け、そういった経験が積み重なった学生ほど、自分の意見に対して、正誤性を確かめる傾向がある。グループワークの中で意見が異なるとファシリテーターに自分の意見が間違っていないか確認を求めてくる傾向にある。
 
〇実態を把握するためのアンケート調査ではあるが、例えば、「18歳の成年年齢引下げに対して取組をしていますか」という質問だけではなく、上記質問とともに、そういった回答者が多角的・批判的見方、捉え方を意識させるような消費者教育を行っているか確認をし、その質問項目から、回答する側にどんな教育が大切か気づきを促していくなど、二次的、副次的な効果がある質問になるよう工夫を加えることも大事だと思う。
 
〇消費者教育というのは、商品に関する知識や被害防止なども大事な柱であると同時に、例えば生産、流通、経済、環境、社会参画、市民的能力なども含めて消費者教育であるが、単純に社会教育行政の担当者に、消費者教育に係る取り組みをしていますかと質問しても、消費者という言葉が事業名称等に入っていないと「取り組んでいない」と回答することも大いにあり得ると思う。
 
〇質問の仕方の工夫、質問紙の作りにもよるが、最初の大前提として、質問項目に「ここで言う消費者教育というのは、事業名称に消費者という言葉がなくてもよく、幅広く、消費者市民社会の形成に関わるものであれば、消費者教育と受け止めて御回答ください」と前提条件をつくって調査することが大事だと思う。
 
〇だまされない教育よりも、一歩進んで、「あなたが商品を選ぶときに何を根拠に選んでいますか」とか、「あなたが選んだ商品、企業に対して、それが社会を変える力があるんですよ」といった、質問を投げかけることで、結果的にはだまされないこと、選択が大事であること、SDGsにもつながるし持続可能な社会にもつながるような質問項目あるとよいと思う。
 
〇持続可能な社会をつくっていくためにどういう人間を育成すればいいか、どういう考え方を深めていったらいいかという視点の捉え方が大事だと思う。
 
〇どれだけ深掘りできるか分からないが、調査項目の組み合わせ等によって見落としている結果や、次の調査に向けて、今後、継続して調査するべき項目、地域で、どんな形で問題が発生しているのかというのを、今後どう捉えたらいいのか分かるとよい。
 
議題2:今年度開催の消費者教育フェスタの最終確認について
資料2―1~3-3に基づき、令和4年度「学校種・地域の特性に応じた好事例の把握・展開」委託事業者より「今年度開催の消費者教育フェスタの最終確認について」の説明を行った。委員からの主な意見は以下の通りいただいた。
 
<消費者教育フェスタin岐阜に関する意見>
〇専門学校の事例発表ということで、どのような取組が、各学校で行われているのか、多くの方が知ることで、自分の学校でできることが増えていくんじゃないかなと思うので、大変期待している。
 
〇専門学校の学生が学んでいる内容は、職業人としての内容なので、単に消費者としてお買物をするという立場だけではなく、職業人として地域の方にサービス等を提供し、地域の事業を盛り上げていくのか、発信力のある若い人たちの意見やアイデアをうまく生かして、新たな消費者教育としての消費生活モデルの提案ができればいのではないかと思う。
 
〇認定書については、参加者や岐阜開催フェスタを知っていただく方に、文部科学省のお墨つきの認定証だと誤解しないようにしなければならない。
 
〇この消費者教育フェスタin岐阜は今までになく斬新で具体的なものとなっていると思う。
 
〇Q&A10のうち、シナリオがあって模範回答を用意されていると思うが、優秀な回答よりも間違えた回答の方が逆にしっかり覚えると思うので、可能であれば、臨場感を出すために、全てお手本通りの回答にならないような流れにしていただきたいと思う。
 
〇Q&A10の質問をざっと拝見し、大変実践的な取組として参考になる部分もあるなというふうに思う。
 
〇一般社団法人日本教育検定普及協会の認定証というもなかなか面白いアイデアだと思うが、この消費者教育フェスタの性格として、チラシのサブタイトルにもあるように、「専門学校における消費者教育の取り組み方」として、どのように伝えることが効果的なのかという課題について話し合う、あるいは意見交換、情報交換をすることが大事。
 
〇専門学校の学生の意見を伺えるのは大変参考になると思うが、受け手の立場から発言することになると思うので、伝える側の視点として、どういうふうな意見交換、情報交換が充実したものになるのかという点が少し気になった。
 
〇伝え手の側からどういうふうに伝えるのかという問題意識を持って参加される方もいらっしゃると思うので、そういった方にも参考になる取組となるよう工夫していただければと思う。
 
〇Q&Aの作り方について、個人の消費生活に関することが中心の項目だが、専門学校というのが、職業教育としての意味合いを持ち、消費者の視点を持って事業活動をしていくことが非常に有益な観点の実践報告にもつながっていくと思うので、このQの中にも、そういった投げかけを入れてたほうがよいと思う。
 
〇消費者指向経営という言葉が正しいのか分からないが、その橋渡しになるようなクイズを入れておくといいかなという印象を持った。
 
〇Q&Aには、消費社会生活という、聞いたことのない言葉があり、例えば、消費者市民社会という言葉をこの中に用いてくるのもいいと思う。
 
〇後半部分、8、9、10のあたりの作り方をもう一度再構成していただけると有難い。
 
〇専修学校に特化したイベントとなっており、参加される専門学校の学生には、卒業後、消費者の視点を持った職業人になってほしいという思いが強くあり、Q&Aにそれに関わる質問を入れてほしいと考えます。
 
〇一般的な質問に絞るということであれば、それはそれでいいかもしれないが、専門学校を卒業後すぐに職業人になられる方が多いと思われるので、質問のどこかにすぐに役立つ知識とつながる質問があるとよいと考える。
 
〇実践事例では、あまりに優れた事例だと、ほかの学校等が実践できず、フェスタの趣旨に少し見合わないこともあったかと思う。今回実践事例として発表する2校については、消費者教育の視点を持った優れた取組を行っていると思うが、この発表の中か後にコメントで、フェスタに参加される他の専修学校でも、実は消費者教育の視点を持った取組がもうなされている、あるいは、まだそのような視点を持っていない専修学校に対して、この視点を入れることによって、消費者教育の進展が見込まれることに気付くように進めていただければ、消費者教育フェスタの効果がさらに上がるのではないかと思った。
 
〇専門学校の生徒達が地域性を生かした学びにより、また、事業者の生産活動において持続可能を意識した消費者志向が注目されていることから、地域に根づいた消費者志向経営の事業者を増やしていこうということが発信できるとよい。
 
〇学校で新しい知識・視点を学んできた学生が、例えば、「いや、料理長、もっとこういうふうにすると無駄がなくなってフードロスが減りますよ」と提案したとする。そういった積み重ねが、現場に新しい視点を加え、即戦力として活躍していく。そんなシナリオが描けると明るい地域の未来が示していけると思う。
 
〇今回のフェスタをきっかけにして、岐阜の専門学校の学生が岐阜県内の調理現場で変革を起こしていくことが示せれば、消費者の一人一人を変えていくだけでなく、様々なところに影響力を与えていくのではないかと感じた。
 
<消費者教育フェスタin東京、浜松に関する意見>
〇様々な主体が参加し、それぞれ独自の取組が一緒になったときに、どのような知恵や価値が生まれてくるか、ということを楽しみにしている。
 
〇東京開催、浜松開催は、最終的にどの方向にゴールを持っていくのか難しい部分もあり、しっかりコントロールできると、良い結果になるのではないかと思う。
 
〇東京開催では、誰もが当事者となる消費者教育という身近にある教育が、横断的にそれぞれの教育分野をつないでいけるのではないかという思いがある。
 
〇関係団体の方たちとともに考えるフェスタを東京では開催し、浜松では地域の団体の方々に御参加いただきながら連携をより深めるとともに、浜松で連携が進んでいることを、全国のほかの皆様にも知っていただきたく企画を考えた。
 
〇浜松開催は、オンライン配信はなく、開催地域の実情をお伝えしたいと思う。
 
〇今年度は教育委員会と連携するには手順が必要であったということを理解したので次年度以降の参考できると思った。
 
〇浜松開催のテーマは「子供・若者の社会参画を育む消費者教育~浜松発!地域の多様な主体にある連携・協働の形~」となっているが、それぞれ違う立場の方々が基調講演と事例報告をするので、散漫になることが危惧され、テーマの目的に沿ってどうまとめていくのか気になった。
 
議題3:その他
参考資料に基づき、事務局より「「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の見直しについて(令和4年7月22日第32回消費者教育推進会議資料1)」について説明を行った。委員からは承諾を得た。
 
<参考資料外の意見について>
〇霊感商法と消費者教育に関して、日弁連でも検討を進めているところであるが、先日、消費者庁の検討会で報告書が発表され、その中でも、ごく簡単ではあるが、消費者教育との関係にも触れられていた。
 
〇特にSNSを通じた勧誘商法の中でも心理的な手法は幅広く活用されているので誰でも関係するものであり、それに関わる知識、理解を身に着ける消費者教育は特定の人のものではないと考えている。
 
〇消費者被害はだまされるばかな人の話ではなく、誰でもだまされる状況にあるし、そういう人たちをどうなくしていくのか、サポートしていくのかということを社会全体で考える必要があることへの理解につながる、そういう重要な意味を持つ教育だと捉えており、積極的に検討してもらいたいと思っている。
 
〇霊感商法というのが人ごとではないことと捉えて消費者教育推進委員会でも取り組んでいく必要があるのではないかという御指摘として捉えをさせていただければと思う。
 
〇生活設計は家族単位で行われてきが、お金の管理がデジタル化し、各個人で生活設計を考えていくことが求められるようになってきており、経済と生活の質を冷静に客観的に考えて、貯蓄だけではなく投資が必要である等、自分が求める暮らしを設計する力を消費者教育ではつけていくことが求められているのではないかと考える。
 
 

お問合せ先

男女共同参画共生社会学習・安全課
消費者教育推進係
電話番号:03-5253-4111(内線3462)
ファクシミリ番号:03-6734-3719
メールアドレス:consumer@mext.go.jp

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(男女共同参画共生社会学習・安全課)