新しい時代に対応した統計調査の推進に関する検討会(第11回) 議事要旨

新しい時代に対応した統計調査の推進に関する検討会(第11回)が、以下のとおり開催されました。

1.日時

平成23年11月24日(木曜日)15時30分~18時00分

2.場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 文部科学省における統計法第55条に基づく統計法の施行状況について
  2. 今年度調査企画課で実施した調査結果(「学校基本調査」、「学校教員統計調査」等)について
  3. 「生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会」の検討状況について
  4. その他

4.出席者

委員

馬場座長、金子委員、田中委員、廣松委員、村上委員(五十音順)

文部科学省

西澤調査企画課長、上田課長補佐、土山課長補佐、卯月専門職

5.議事要旨

事務局より配付資料の確認及び資料の説明が行われた。

(1)文部科学省における統計法第55条に基づく統計法の施行状況について

 標記について事務局から説明があった。

(2)今年度調査企画課で実施した調査結果(「学校基本調査」、「学校教員統計調査」等)について

 標記について、事務局から説明があった。

 各委員からの主な意見等は以下のとおり。

○「学校基本調査」について

  • 学生の卒業後の状況把握について自己申告制をとっている大学においては、学生が申告しなければ大学は回答のしようがない。また、卒業直後に就職していない学生も、半分程度はその後就職しているというデータもある。つまり、本調査の調査結果は、実態よりも悲観的なデータが出やすく、この調査のみで学生の状況を全て把握するには限界があると思われる。
  • 「学校基本調査」だけを見るともっと詳しく調査をすべきという発想になりがちだが、一つの調査で全てを把握することは難しい。調査項目を詳細にすることで、その調査としては分かりにくくなるという欠点もある。
  • 総務省統計局では5年に1回の実施であるが、「就業構造基本調査」を行っており、3年以内に辞職する若者が多いことが示されている。また、厚生労働省の「国民生活基礎調査」では年代別学歴別賃金の状況が調査されており、若年代については年収200万円以下と、自活できない収入の者が多いことが示されている。若者の就業状況の詳細な把握にはこれらのデータと組み合わせて分析していく必要があるだろう。

○「学校教員統計調査」について

  • 女性教員の割合は大学でも増えているが、ここ5~6年で頭打ちになっているように思われる。准教授に多いなど、職種の偏りがあるのではないか。このあたりは学術会議の論文等で検証されていると思われる。
  • 精神疾患が理由での離職というのはどのように把握しているのか。(事務局より、以下の通り回答。調査票は各学校の管理職が記入している。離職の際、具体的な理由を明記し提出する義務はないが、精神疾患の場合は休職期間を経てから離職することが多いため、管理職もそこから判断していると思われる。)
  • 個人的には小・中学校はむしろ精神疾患による離職者が予想していたよりも少なかった印象。(事務局より、以下の通り補足。本調査とは別に、文部科学省初等中等局児童生徒課で、休職している教員の人数を調査している。調査結果を比較すると、休職者は離職者の10倍近くに上っている。公立学校の教員の場合、休職制度が整備されているので、最終的な離職者の数を減らしているのではないか。)

その他、事務局より以下3点について各委員から意見を伺った。

1)大学における自校出身者の定義について

  • 現行のままで問題ないのではないか。
  • 自校出身者の割合について、例えば国立大学などの場合は首都圏と地方との差などを論じる必要があると思われるが、調査項目として立てるとすると全大学に影響を及ぼし、調査全体を煩雑にする。そこまでの対応は必要ないのではないか。
  • 大学院のみ海外の機関といったケースも多いのではないか。

2)大学教員離職者数等について

  • 大学にも精神疾患による離職者は昔から一定数いると思われるが、小・中学校教員のような政策的問題にまでは至っていないと思われる。

3)週担当授業時数が平均授業時数を大幅に超える教員について

  • 医学部の実習は患者の診察であると同時に学生への指導になっている。現状の調査票ではこうした部分を調査票の記入対象とするか否かはグレーゾーンになっている。
  • 調査の考え方としては学生の時間割のコマ数を基準にするか、教員の一日のスケジュールを基準にするか、のどちらかになる。具体的には実習を授業時数に計上しない、あるいは別に分けて計上する、のいずれかである。現状の調査票では実験や診察など、何でも含められるということだが、実際日本の教員は時間割外に論文指導を行うことも多い。そこを厳密に定義する、というのは不可能であろう。調査票作成者である事務局が混乱する可能性も高い。
  • 今後の政策課題としては、大学教員が教育に割く時間が少ないというのが課題になっていくと思われる。
  • 科学技術・学術政策局では大学教員の研究時間について「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」でサンプル調査を行っているので、そちらを付き合わせて状況を把握するのがよいと考える。なお、この調査では学期内であるかどうかで分けて集計している。
  • 詳細に調査を行うならばコマ外も含めた、教員の一日のスケジュールを把握すべき。これは小・中学校の教員も同様である(小・中学校の教員については過去に「教員勤務実態調査」が行われている)。

(3)「生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会」の検討状況について

 事務局から、「生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会」の検討状況について説明があった。

 各委員からの主な意見等は以下のとおり。

  • 「社会生活基本調査」では以前NPOの活動について調査を行っていた。生涯学習についてはNPOの存在が大きくなっているので、そうした動きについても把握すべきだろう。
  • 生涯学習について、教育機会のdemandに関する調査はどこで行っているのか。具体的にどのような知識が必要だと考えているか、「生涯学習に関する世論調査」で調査されているよりも細かい調査を行う必要がある。

(4)その他

 卯月専門職から、補助学習費の分析について説明があった。

 各委員からの主な意見等は以下のとおり。

  • 付表の学力テストの調査結果だが、メディア接触以外の時間については調査されていないのだろうか。外遊びの時間などの状況が分かれば、子どもの生活の全体像が把握できると思われる。
  • 中学校受験と高等学校受験についてはどちらに比重を置くか、地域ごとの傾向が実際にはかなり異なっているので、地域ごとの分析を行っても良いのではないか。特に中学校受験については東京など、都市部で比重が高いと思われる。学校基本調査の、地域ブロック別進学率及び就職率の傾向とも相関してくるのではないか。

 

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