検定試験の自己評価シートについて

 平成23年2月1日

  現在、検定試験は、細かなものを含めると全国に数千程度の種類があるとも言われ、知識や技能の習得度を測る物差しとして、社会の様々な場面で活用されています。

 検定試験の質の向上を図り、受検者や利用者に対する信頼性を高めることは、学習成果を適切に生かすことのできる、生涯学習社会の実現を図る上からも重要なことです。

 このような中、文部科学省が設置した有識者会議*で、平成22年6月に取りまとめられた「『検定試験の評価ガイドライン(試案)』について(検討のまとめ)」(以下「検討のまとめ」という。)において、検定試験の評価及び情報公開の必要性、評価の視点と内容、情報公開が望まれる項目などが示されました。また、今後は検定事業者や関係団体等の民間主導で評価の取組を進めることが重要であるとの提言も行われています。

 これを受け、平成22年11月に、関係者等によって「検定試験の自己評価に関する研究会」を立ち上げ、検定事業者が自己評価に取り組みやすいようにするための検討を行い、今般、「検定試験の自己評価シート」(以下「自己評価シート」という。)として取りまとめました。

 検定事業者の皆様方におかれては、本自己評価シートを参考として、積極的かつ主体的に自己評価と情報公開に取り組んでいただきたいと考えています。

 そのことにより、検定試験の質の向上と信頼性の確保が図られ、検定試験による学習成果の評価の社会的通用性が向上するとともに、検定事業が一層活性化することを願ってやみません。

                                      検定試験の自己評価に関する研究会

* 検定試験の評価の在り方に関する有識者会議(生涯学習政策局長決定)

評価の必要性について

○  「検討のまとめ」において、自己評価とは、『各検定事業者が、自ら行う事業(検定試験)について点検・評価することにより、PDCAサイクル*に基づき、組織的・継続的な事業改善に資するとともに、評価結果の公表を通じて、受検者や利用者(学校・企業等)に対する事業の透明性を確保する。』とされています。

   *「目標(Plan)-実行(Do)-評価(Check)-改善(Action)」

○ このように、自己評価の目的は、検定試験の優劣をつけることではなく、飽くまで、自らによる組織的・継続的な事業改善のための  方策であることを十分認識した上で、取り組むことが重要です。

○ また、自己評価や情報公開を通じて、その質の維持向上を図り、信頼性を確保することは、広く人々の学習意欲の向上や学習成果の社会での活用促進、また、消費者保護の観点からも意義を有するなど、社会全体の利益にも資するものと考えられます。

○ 受検者や利用者(学校・企業等)からの信頼度や社会的な認知度が高まることで、結果的に、検定事業全体がより発展していくものと考えられ、検定事業者にとっても、自己評価の取組を進める意義は大きいものと考えられます。

○ なお、教育分野においても、国際的な競争の波が押し寄せており、その対応として、検定業界が検定試験の更なる質の向上を図っていくことが必要な状況となりつつあることにも考慮が必要です。

自己評価シートについて

○ 自己評価シートでは、「検討のまとめ」を参考に、各評価主体が検定試験の評価を行う際の視点やその内容として考えられるものについて、「1実施主体」、「2実施内容」、「3実施手続」、「4検定結果の活用促進」、「5継続的な学習支援」の5分野に分けて評価項目を設定しています。

○ 自己評価シートの「評価」欄は、5段階(A・B・C・D・E)とし、評価項目に係る実績や取組の状況、その根拠等に基づき、以下の基準により評価することとしています。

  なお、例えば、「達成されている」は、「取り組まれている、できている」等適宜読み替えてください。

     A:十分達成されている

         B:おおむね達成されている

    C:一部達成されている

    D:余り達成されていない

    E:ほとんど達成されていない

○ 自己評価シートに、可能な限り根拠となるデータを用いた説明や、受検者・学校・企業等の視点(アンケート調査など)からの分析を記載するなど、客観性の確保に努めることが重要です。

○ 自己評価シートでは、上記の分野ごとに情報公開が望まれる項目を例示していますが、情報公開を行う項目については、検定試験の実施主体や目的、内容、規模等に応じて設定することになります。

○ 自己評価に当たっては、幅広く多面的な視点から評価し、その結果を公開するよう努めることが重要です。検定試験の実態は多種多様ですので、自己評価シートについても、検定試験の内容や特色等に応じて、評価項目を追加又は削除等の上で活用してください。

○ なお、自己評価シートについては、多くの検定事業者で活用いただけるよう、文部科学省ホームページ等で広く周知されることを望みます。

 情報公開について

○ 情報公開は、検定事業の透明性を確保する観点からだけではなく、自己評価の信頼性や客観性を確保するために必要であり、評価の前提ともなるものです。

○ 各検定試験の信頼性を判断するのは、最終的には受検者や利用者に委ねられることから、検定事業者において、実施主体に関する基礎的な情報を含めて検定試験の現況が把握できるよう、受検者等が判断するために必要な情報が適切に公開されることが必要です。

○ 検定事業者は、検定試験の内容や特色を受検者や社会に分かりやすく説明することが重要であり、自己評価の結果についても可能な限り積極的に公開されることが望まれます。

○ 情報公開については、単に分かりやすく公開しているという事実のみならず、その情報に容易にアクセスできることも重要です。

○ 特に、自己評価シートについて、ホームページに『自己評価』のキーワード  が入ったアイコン等を用いて掲載するなど、受検者や利用者に分かりやすく公開することを提案します。

研究会の構成について

検定試験の自己評価に関する研究会

                                            (五十音順、◎:座長)

 卜部 崇  財団法人専修学校教育振興会事業部事業課事業課長代理

 太田晴久 財団法人日本英語検定協会総務部総務課長

 小林 薫   東京都立北豊島工業高等学校長、社団法人全国工業高等学校長協会理事

 藤本雅浩 特定非営利活動法人全国検定振興機構専務理事・事務局長

 山極清子 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授

          株式会社wiwiw社長執行役員

◎山本恒夫 八洲学園大学長、一般財団法人資格標準化機構理事長

※オブザーバー 文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課

 

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

電話番号:03-5253-4111(内線2092)

(総合教育政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)