資料2 これまでの主な意見概要(案)

 本資料は、検討会議のこれまでの議事要旨及びヒアリング資料から主な意見を重複を避けつつ整理し、各事項ごとにできる限り網羅的にまとめたものである。

1.現在の専修学校についての議論

  • 専修学校については、体系的な教育訓練のノウハウを蓄積した機関として、企業外での教育訓練を広く提供している点など評価すべき。
  • 専門学校は地元の特に中小企業に対して、多く人材を輩出している大きな役目を果たしているので、各地域において評価されている。
  • 高等学校卒業者の約2割弱が専門学校に進学する状況が続いており、専門学校は後期中等教育以後の高等教育機関としての役割を果たしてきている。
  • 高等学校における専門学科(専攻科)への入学志願者が陰りを見せるなかで、職業教育の充実のため、専門学校の重要性は増しているのではないか。
  • 専門学校から大学に編入学した者が立派な社会人になっているという実績からすると、専門学校生と大学生の間に大きな差はない。
  • 専門学校は、720万人超の卒業者を輩出しており、直接的に関連分野に就職した率は9割以上で非常に就職率がよい。また就職氷河期の中でも、75パーセント以上の就職率を誇ったということは、非常に驚異的な数字である。
  • 専門学校は実践的な知識・技術を修得するという職業能力教育のニーズに応えた、より実践的な教育を行っているという意味で短大・大学とは異なる役割を果たしている。
  • 現行の専修学校には3課程(高等・専門・一般)が混在しており、体系化の議論とともにわかりにくい3種類の名称の見直しが必要。
  • 専門学校の就職率は、大学・短期大学より高いが、職業教育機関でありながら、20パーセント程度が就職未決定になっているという問題をきちんと考えなければいけない。
  • 専門学校を選択する生徒には、看護士、保育士などのように将来の職業を見据えている者、大学には入れそうもないので変更する者、モラトリアムの延長としか思えない者がいる。
  • 高等教育機関としての信頼性(授業内容と資格取得や技能修得の明確化、就業現場で活かせる資格・技能や知識技術の質の向上、第三者評価等の実施と情報公開)の確保を期待する。
  • 入学辞退者への授業料の返還システムなど学校経営の透明性(健全な経営、財務の公開)を期待する。

2.「新しい学校種」に関する議論

1.総論

(1)「新しい学校種」創設についての議論

  • 社会が求める知識、技術及び技能を総合的に教授鍛錬し、職業及び実際生活に必要な能力、又は専門性が求められる特定の職業を担うための能力を育成する「新専門学校(仮称)」の創設が必要。
  • 中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、専門教育を施し、職業及び実際生活に必要な能力を育成する「新高等専修学校(仮称)」の創設が必要。
  • 専修学校には色々な高等教育機関との棲み分けをしながら、きちんとした位置づけを与えるべきであり、1条校化ということがあってもよい。
  • 1条校化によって専修学校の持ち味である柔軟性がなくなるのではないか。
  • 普通高校、大学、研究大学院という系列と専門高校、専門学校、専門職大学院という系列があり、適格な学校を1条校にすることはありえる。
  • すべてが1条校という単線型ではなく、幅広い教育機関を作っていくことが重要であり、1条校化は軽々にすべきではない。
  • 学力が落ちて大学に行かない学生たちに生きる力を持たせるために職業教育に特化した高等教育機関が必要。
  • 大学でも職業教育を行っており、新しい学校種をつくるのに、職業教育をキーワードとするだけでは説得力に欠けるのではないか。
  • 従来の「緩やかで自由」な状態と「一定の高い基準」との選択の問題であって、それは一律にどちらにすべきということでなく専修学校自身の選択に任せる事柄である。
  • 専門学校が1条校かそうでないか、生徒や保護者には問題ではなく、専門学校は高等教育機関という認識である。
  • 1条校であろうとなかろうと、制度上、専門学校が高等教育機関であることには変わりはない。緩やかな設置基準により、柔軟かつ自由闊達に学校運営できる点こそ、専修学校の強さであり、それを活かすべき。
  • 専修学校が設置基準等の大きな変更なく1条校化が認められるのであれば、専修学校は義務を果たすことなく、恩恵だけ享受できるのではないか。
  • 高等教育の1条校は、現行の大学、短大設置基準が最低の水準であり、高等教育の国際的な「質の保証」が問われる今、これらを下回るような新たな学校種の創設を行うべきではない。

(2)「新しい学校種」と既存の1条校との関係についての議論

  • 「新しい学校種」は入学資格を特定するとともに、学校体系において適切と認められ、かつ他の学校種と棲み分けることができる独自の目的を規定する。
  • 専修学校は高校や高専をまねるということではなく、現在の教育の実践型、あるいは職業直結型の教育をレベルアップするということでよいのでは。
  • 職業教育に特化した教育は専門学校がやればよい。
  • 大学・短期大学等でも職業教育を行っており、「新しい学校種」のみに「職業教育」の冠をつけることには反対。
  • 大学・短大も専修学校もあるべき姿と消費者としての学生のニーズにかなりずれがあるのではないか。
  • 1条校化を目指すのであれば、1条校である大学・短期大学、高等専門学校等を目指せば済むことではないか。
  • 昭和34年にできた工業等制限法(平成14年廃止)があったため、都市部で大学・短大を作ることができなかった。
  • 大学・短期大学、高等専門学校、高等学校においても、専門教育を通じての職業教育を行っており、大学・短期大学と新しい学校種の職業教育との違いが明らかでない。
  • 短大、専門学校、大学と色々な学校を持っている学校法人があるが、それは各学校の目指す目的が違うので、それぞれの学校を持っているのだろう。
  • 「新しい学校種」の創設を目指すのであれば、今までの学校体系では対応できないという根拠をお示しいただきたい。
  • 「新高等専修学校」については、従来ある専門高校とどのように違うのか。学習指導要領に基づいて教育をするということであり、また目的も高等学校と変わらない。
  • 大学・短大と同じであれば意味がなく、大学・短大とは違う独自の性格をもった学校が1条校の体系に入りうるのかどうか、入るとしたらどういう形があるのか、整理する必要がある。
  • 大学の専門学校化と専門学校の大学化が進み両者の棲み分け、特色化を如何に考えるか。
  • 高専でも短大でも職業教育が行われており、どういう形で役割分担を果たしていくべきかを議論した上で、専修学校がどういう形でアイデンティティを持って、職業教育の中での役割を果たしていくかを議論する必要がある。

(3)我が国の教育システム等についての議論

  • 1条校の学校制度の中で、大学を頂点とする普通教育の体系と複線となる職業教育の体系を構築し、職業教育体系における専修学校の位置づけ、使命・役割を明確にしていくことが重要。
  • 日本の教育システム全体を俯瞰し、いかなる改革、改正が必要かを検討すべき。
  • 重層化している高等教育のあり方、また、社会環境に生き残れるだけの教育力を持った教育機関をつくり上げていくということも、この機会に検討すれば、高等教育全体のあり方が展望できるのではないか。
  • 「新専門学校」については高等教育全体、「新高等専修学校」については中等教育全体の議論の中で考えるべき。
  • ここ数年で高等教育の在り方が大きく変わってきていることも含めて、近い将来、どこかの段階で中教審のレベルで本格的な日本の教育体系のグランドデザインを議論するような提案をいただければありがたい。
  • 直面する課題を解決する能力を持った人材を育成するという教育サービスを提供するためには、教育体系の見直しが不可欠。
  • これからの時代は勉強した人材が社会でどのぐらい担保されているかどうかが重要であり、新しい設置基準での職業教育体系を構築していく必要。
  • 従来の大学・短大の学校制度の中で成熟してこなかった職業教育を職業教育の体系化の観点から複線型の制度として構築する必要性を議論する必要。

(4)専修学校と1条校との格差又は差異についての議論

  • 専門学校は、卒業しても受験資格がない資格があるなど、入学してから分かる差別が色々ある。他省庁所管法令でも、学校とは1条校とする、というような規定がたくさんあり、それが結果的に国家資格の受験要件や給与や採用など、色々な面での差になっている。
  • 専修学校と1条校には格差があり、一定の要件を満たした専門学校は大学・大学院に編入可能であるにもかかわらず、「学生」ではなく「生徒」という呼称になっている。
  • 専修学校は、学校であるのだから自己点検やアスベスト対策などをやれと言われ、1条校並の義務と責任を負っているにも関わらず、法律上は学校ではない。そのようなあいまいさに大きな問題点が存在する。
  • いわゆる「激甚災害法」等の対象に専修学校を加えるよう法改正をする必要。
  • 留学生の受け入れや通学定期の指定学校の要件等を1条校と同様にするよう、見直す必要。
  • 専修学校と1条校の「差異」あるいは「格差」については、個別に全て洗い出し、各省庁にそれを投げて一つずつ解決していくという地道なことをしていくべき。
  • 専修学校が様々な1条校との「差異」を解消したいという実質的な理由で1条校の新設を求めることに関しては理解する。
  • 現在の専修学校を「新しい学校種」と残りの専修学校とに分ければ、残りの専修学校には依然として「格差」は残ることになり、残りの専修学校の切り捨てではないか。
  • 1条校と専修学校にあるのは「格差」ではなく、それぞれの学校の違いによる特徴であり、「差異」である。
  • 1条校との「差別」を是正するという理由だけで、専修学校を1条校の中に組み入れて国の政策にのっとった教育を行うことは避けた方がよい。

2.各論

(1)設置基準全般

  • 専修学校がどこまでやらなければいけないのか、制度上明確にすべき。
  • 「新しい学校種」になるのであれば、学校の方もそれなりの規制は考慮していかなければならない。
  • 「新しい学校種」には、それにふさわしい専修学校及び他の学校種の基準等とは異なる独自の基準を設定する。(入学資格、修業年限等)
  • 設置基準の中核である1校地及び校舎の面積、2校地・校舎・施設設備の内容、3教員資格及び教員数など具体的な内容が明らかでない段階では、新しい学校種の構想に賛意を表すことはできない。
  • 専修学校は設置基準も極めて緩やかであり、そこに専修学校の特徴がある。
  • 高等教育機関は、図書をはじめとし、教員等や視聴覚資源、機械器具等、豊富な学習資源の整備が不可欠。

(2)教員資格

  • 教員の資格とは、教える資格であり、必ずしも大学等を修了した資格ではないという考えは大切。
  • 専修学校の教員は、専修学校卒業という資格を認めているので、高等教育機関という位置づけをするのであれば、准教授や助教等の職階の問題も考える必要。

(3)自己点検・評価、第三者評価等

  • 「新しい学校種」(新専門学校)は自己点検・評価及び第三者評価を行う。
  • 専門学校も第三者評価を行い、高等学校あるいは保護者に対して教育の質を確保する必要。

(4)助成措置

  • 1条校か否かにかかわらず、高等教育レベルの学習をしている人たちに支援が必要。
  • 1条校となった場合には「一定の高い基準」の確保が求められることや、職業教育・専門技術教育の1条校機関としての役割に鑑み、国庫等の支援は必要ではないか。

(5)現行の専修学校制度との関係

  • 「新しい学校種」になれるのは(専修学校のうち)ある程度学校としての要件を備えた学校群である。

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

(総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)