専修学校の振興に関する検討会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年2月18日(月曜日) 13時~15時

2.場所

合同庁舎第7号館5階F1会議室

3.出席者

委員

 青山伸悦委員、飯島寛委員、岩崎幸雄委員、黒田壽二委員、関口修委員、丹保憲仁委員、戸谷賢司委員、中込三郎委員、福田益和委員、山内昭人委員、吉本圭一委員、四ツ柳隆夫委員(五十音順)

文部科学省

 加茂川幸夫生涯学習政策局長、上月生涯学習推進課長、寺門成真専修学校教育振興室長、その他関係局課担当官

4.議事要旨

  • 山内委員、関口委員より資料に沿って意見発表があった後、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。
    • 専修学校と短大は設置基準に大きな差異があるにも関わらず、平成10年に2年制の専門学校が大学3年次に編入できるようになって以降、短大と専門学校は同等であるという解釈が進行したように思う。
    • 短大が大きな義務を背負っているのに対し、専修学校が設置基準等の大きな変更なく1条校化が認められるのであれば、専修学校は義務を果たすことなく、恩恵だけ享受できるのではないか。
    • 意見発表の中で、専修学校をなぜ短大・大学にしないのかとの指摘があったが、昭和34年にできた工業等制限法があったため、都市部で大学・短大をつくることができなかった。同法は平成14年に廃止されているので、今後、疑問の出ないような設置基準を持つ新しい学校種をつくっていきたい。
    • 専門学校から大学に編入学した者は立派に大学を卒業して社会人になっている。設置基準が人を決めるわけではない。専門学校から大学に編入学した者が立派な社会人になっているという実績からすると、専門学校生と大学生の間に大きな差はないのではないかと思う。
    • 質的保証は教育に対してだけではなく、色々な学習資源に対しても必要であるというのは当然である。また、短大、専門学校、大学と色々な学校を持っている学校法人があるが、それは各学校の目指す目的が違うので、それぞれの学校を持っているのだろう。
    • 大学・短大の基準が緩く、これが大学・短大で良いのかというところもある。例えば、留学生について専門学校は50パーセントを超えると行政指導が入るが、大学・短大にはその制限はない。大学は安定した経常費助成を受けるために留学生を受け入れ、受け入れた分についてはまた別の助成金が出るといういわば二重取りになっている。
    • 職業教育に特化した教育は専門学校がやればよい。学術を背景にした職業教育は大学でなければできないと思うが、もっと我々の身近な生活を支える職業人の育成は専門学校が一生懸命やる。ただ教育の質の保証は担保しなければならない。キャンパスが広いとか、建物が立派だとかそういったことで判断をするのではなく、その学校がどのような教育を行って、学生に対してどれだけ教育の質の保証を担保しているかというところを見ていただきたい。ただ、設置基準に対する指摘は、専修学校側も受けとめていかなければいけない議論であろう。
    • 大学と同じ方法でない高等教育機関があるというのは世界の趨勢である。例えば、OECDの分類によれば、レベル5が高等教育段階である。レベル5は学術的なものないしは研究ベースのプログラム等を扱うもので、3年以上のものを「5A」という。「5B」は、3年以下で実践的、技術的教育プログラムを扱うもの。これを日本に当てはめると、短大は「5B」である。「5B」のカテゴリーが「5A」と同じことをしないといけないという現在の設置基準が間違えているのではないか。教育と研究をあまり強調しすぎるのではなく、学術理論的な研究は大学が、実際的な研究は短大、専門学校が行うということも考えられるのではないか。
    • アメリカ高等教育協会では高等教育のカテゴリーについては、また別のとらえ方をしており、アメリカではコミュニティカレッジの教員でも先端的な研究をしている者もたくさんいる。日本もそのような方向にいってほしい。
    • 例えば、第三者評価については専修学校が1条校ではないから実施していないのか、実施していないから1条校にできないのか、両方の見方がある。大学・短大も専修学校も、あるべき姿と消費者としての学生のニーズにかなりずれがあるのではないか。その点を踏まえつつ、新しい設置基準のあるべき姿を議論したらよいのではないか。
    • 今基準を持っている短大のようなカテゴリーを使って、専修学校がそこに行けないのか行けるのか、短大の基準をリフォームすれば専修学校がもっと行きやすくなるのか。短大には教育と研究を行っているという自負がある。先ほどのOECDの「5B」というカテゴリーがあるのであれば、そこに入りたい学校は入り、入りたくない学校は今まで通り専門学校のままでいる等、色々な方向があると思う。
  • 黒田委員より資料に沿って意見発表があり、その後、以下の意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。
    • 1条校であろうとなかろうと、制度上、専門学校が高等教育機関であることには変わりはない。専修学校が1条校になった場合のメリットがどこにあるかということよりも、現在の自由闊達に運営できる専修学校制度をいかに活性化するかということが大事である。1条校との「差別」を是正するという理由だけで、専修学校を1条校の中に組み入れて国の政策にのっとった教育を行うことは避けた方がよい。
    • 平成17年に中教審が出した高等教育のグランドデザイン(「我が国の高等教育の将来像(答申)」)には積み残しの課題があり、その課題があるまま今日まで来ていると理解している。ここ数年で高等教育の在り方が大きく変わってきていることをも含めて、近い将来、どこかの段階で中教審のレベルで本格的な日本の教育体系のグランドデザインを議論するような提案をいただければありがたい。

(了)

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