専修学校の振興に関する検討会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成20年1月23日(水曜日) 13時~15時

2.場所

合同庁舎第7号館F2、3会議室

3.出席者

委員

 青山伸悦委員、飯島寛委員、岩崎幸雄委員、黒田壽二委員、今野雅裕委員、関口修委員、丹保憲仁委員、戸谷賢司委員、中込三郎委員、福田益和委員、山内昭人委員、吉本圭一委員、四ツ柳隆夫委員(五十音順)

文部科学省

 加茂川幸夫生涯学習政策局長、清木孝悦生涯学習総括官、川上伸昭生涯学習政策局政策課長、上月正博生涯学習推進課長、寺門成真専修学校教育振興室長、その他関係局課担当官

4.議事要旨

  • 四ツ柳委員、戸谷委員より資料に沿って意見発表があった後、意見交換が行われた。
    • 高専について、JABEE(日本技術者教育認定機構)では、準学士課程ではなく学士課程を認定しているのか。
    • 本科と専攻科にまたがって学士課程に相当するところを認定している。すなわち大学と同じ学齢の本科の4年、5年と専攻科の1年、2年である。ただ科目によっては、3年で認定されるものもある。
    • 高専からの大学編入生は大学院に進学後も成績がよく、上位3分の1に入っている。高専での科学と技術及び技能に関する基礎教育があるから大学進学後も伸びる。なお、高専卒業の学士はワシントン・アコードレベルが認証しており、我々も企業も実力を認めているが、学士の学位そのものは申請して学位授与機構から授与されるようになっている。
    • 2点質問だが、私立で高専教育が可能なのか、また工学、機械という分野に限られている高専教育を他の分野に広げた場合にどうなるか。
    • 1点目について、私立で高専教育を行う場合、授業料が今のままでは立ちゆかず現在の最低3倍、望ましくは5倍必要である。どのような分野にどのような人材を、どのレベルの人材をどこで育てるか、またその人材が国際的な工業の中でもきちんと活躍していけるかというイメージとモデルを組まないといけない。2点目について、高専教育の分野を広げることについては、かまわないと考える。ドイツではホテル学科まである。日本の高専で分野を広げるとすれば、農業高校と農業短大の連携の可能性もあるし、農業と工業とビジネスを組み合わせた方法も有益ではないか。農業高校と農業短大が合体する工夫を検討するのは現実的であり、すでに検討された例もある。
    • 高専の教員で、高専出身の教員はどのぐらいいるのか。
    • 約10パーセントくらいである。高専を卒業して大学で工学博士の学位をとって、高専に戻ってくるケースが多い。
    • 専修学校に期待することは大きく3点。1つは高等教育機関として信頼性を確保してほしい。どのような授業内容、資格習得等ができるのか、それが職業でどのような関係を持って認められるのか明確に高校に示してほしい。2つ目は入学者の授業料の返還ができなかったという新聞報道もあったが、経営の透明性を高めてほしい。3つ目は、非常勤の教員が授業、生徒指導を行っていると聞いたこともあり、専任教員をしっかり確保して質を高めてほしい。
    • これまで6・3・3・4制という単線型の制度の中で教育は行われてきたが、高等学校に97.7パーセントが進学しているということを考えると、やや飽和状態であるように思う。今後、複線型の職業人育成のシステムをつくるという発想の転換が一部では必要ではないか。
    • 大学や短大の職業教育も大いに成果があるところであるが、やはり社会的な要請として職業教育に特化した高等教育機関が必要なのではないか。また、若者たちの視線もその点にだんだん向いてきているのではないか。
    • 確かに専修学校では第三者評価や専任教員の確保という点で1条校に比して劣る部分も認めざるを得ないが、各専修学校が教育の中身をしっかりと点検し見直しながら専任教員を増やして、生徒の将来を一生懸命支える体系になっている。
    • (戸谷委員からの意見発表で)専修学校に対するご指摘をいただいたが、それは現在の教育制度によるものであると考えている。専修学校は自己点検等も実施するようになってきており、財務の公開も進め努力をしているが、専修学校制度が非常に緩やかにできているため、どこまでやらければいけないのか制度上明確ではない。制度上きちんと位置づけ、どこまでやらなければいけないのかを明確にする必要がある。
    • 職業教育の重要性は確認されている。従来の大学・短大の学校制度のなかで成熟してこなかった職業教育を職業教育の体系化の観点からも複線型の制度として構築する必要性を次回以降議論する必要がある。
    • 教育体系にはアカデミックな普通教育的な体系と職業専門教育的な体系があっていいだろうという話はこれまでの議論で出てきているように思う。その上で、専門教育はその教育体系にある共通の要素を議論する必要。専門学校についていえば、8分野それぞれの分野ごとのカリキュラムの標準というイメージまたは8分野共通の教育方法を外から見えるように明らかにしていく必要がある。その上で、職業教育の体系が成り立つのか成り立たないのかという点について議論を絞っていけばよいのではないか。
    • アメリカでは、すべての高校卒業生に対して最低コミュニティカレッジの教育を受けさせようという流れで、コミュニティカレッジが急速に発展している。そのコミュニティカレッジに4年制大学の卒業生が入ってきて資格をとり、さらなる自分のキャリアアップを図っていくこともあるので、高等教育には多様なベクトルが存在すると考えられる。高等教育が何を目的として教育を行うのか、という点をもう少し時間をかけながら議論したい。
    • 国立や私立というカテゴリーではなく、NPOでも公立でも色々な学校が集まった機構を認めて、それが全体として1条校といえるのなら1条校として評価すればよいのではないか。質も経営も保証できるし、学生もそれぞれの希望を叶えられるのではないか。一様の形しかない単純な構造の学校制度というのはそろそろ終わってよいのではないか。自由自在に作れる専門学校のいいところを殺してしまい、公立高専のような型であれば、大きな産業に対応できる教育分野でなければ作ることができない。職業分野からのニーズがあるのであれば、そちら側からどのように支援してもらえるかという観点も必要である。
    • 「学校」かどうかという言葉の議論ではなく、実質の議論をしなければならない。
    • 「学校」であるかないか、「学校」であるべきなのかそうでなくていいのか、ということも次回以降議論の対象にしていただきたい。
    • あまり類型的な、ものの見事に分類されたような「学校」でなくてよいのではないか。我々は自分たちが思ったような学習ができない人たちに対して、どのような土台、基礎、基盤を供給できるかという観点で議論をすればよいのではないか。それが「学校」という名前の中に含めてもらえるなら含んでもらおう、含んだら困るのであれば現在のままの法律ではないところでまた別の名前があるかもしれない。大事な議論であり、次回以降続けていきたい。

(了)

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