専修学校の振興に関する検討会議(第9回) 議事要旨
1.日時
平成20年7月14日(月曜日)13時~15時
2.場所
旧文部省庁舎2階 第2会議室
3.出席者
委員
青山伸悦委員、岩崎幸雄委員、黒田壽二委員、今野雅裕委員、小杉礼子委員、関口修委員、丹保憲仁委員、寺田盛紀委員、戸谷賢司委員、中明夫委員、中込三郎委員、福田益和委員、吉本圭一委員(五十音順)
文部科学省
上月正博生涯学習推進課長、寺門成真専修学校教育振興室長、その他関係局課担当官
4.議事要旨
寺門室長から、配付資料の「新たな学校種に関する主な議論の整理(骨子案)」について説明があり、その後内容について意見交換が行われた。
意見交換の主なものは以下のとおり
1.検討の状況・背景等について
- 職業教育とは何なのかということにも視点を広げて議論をしていきたい。
- 委託訓練など生涯学習に対して専門学校がどれだけ貢献してきたかについて、触れておくべきではないか。
- 専修学校に関するこれまでの制度改革・改善等を評価した上で、現行制度の中での問題を浮かび上がらせる必要があるのではないか。
- 1条校と言われている学校が本当に教育機関として求められている機能を発揮しているかどうかという問題がある。専修学校が果たしている機能と大学が果たしていない機能とは何かという議論が必要。
- ライフロングエデュケーションの観点から、専修学校だけでなく大学等の1条校も含めた上でどのような職業教育が提供されてきたのかについての反省も必要ではないか。
- 各省庁が質を担保している各種資格に対応した教育を行ってきた点が重要である。90年代初め以降拡大したのはこうした分野で、業務独占資格など就職に有利であり、現在、学生のおよそ6割が占める。
- 職業教育は資格による部分も大きいが、美術や写真といった資格がない、外部団体による第3者評価等が行われていないにも関わらず、社会的に評価されている職業教育があることも重要なポイントである。
- 学術教育を中心とする若者に対する育て方と職業教育を中心とする育て方があるという議論に焦点を絞っていくべきではないか。諸外国においても複線型の教育体系を持っている国のほうが多いのは国際的にみて明らかである。
2.本検討会議における新たな学校種の提言(概要)について
- 複線型の教育体系には賛成だが、既存の大学等においても職業教育を行っているので現行制度との整理は必要。整理としては現状の学校教育で対応している医師、教師などの一部の職業を除き専門的に特化された職業については新たな職業教育体系に移行し、既存の各種学校、専門学校制度もこれに位置づけ、最初の就職前の職業初期教育に加えて、2サイクル、3サイクル目の教育(職業継続教育)に対応していく必要があるのではないか。
- ドクターコースを持つ大学院のステータスは独創的な考えを提供できる人材であるかどうかを厳密に審査して学位(博士)を出してきた点にあったが、文科省はどんな大学でも学位を出せるようにしてしまったので大学院と大学の違いが崩れてしまった。そういう仕切りがなし崩し的に崩れていくと専門学校と大学の存在意義がぼやけてくる。
- 研究大学院と教養中心の大学では持っている機能も違う。こういったことや1条校の要件について、再度、中教審なりで議論してもらうことが必要。
- 職業教育の定義は社会的なコンセンサスで決まるものである。
- 高等教育レベルでの専門職業の教育機関をつくるのであれば、専門学校だけでなく、既存の大学・短大からその教育機関に入っていくものがあることも考えられるが、高等教育機関として専門職業人を育成する以上、現在の大学、短大レベルの設置基準から大幅に緩和することは現実的ではない。
- どういった教育内容、教育レベル、国際通用性をもった学校にするのかについて、各省、職業団体なども含めて議論することも考えられる。
- 職業というものは労働市場のニーズにオリジン(源泉)があるのではないか。職業教育の定義を考えた時に、労働市場と教育というものをどのようにリンクして整理していくかという視点も必要。
- 初等中等教育の段階で、職業やどういう仕事があるかということについて教えられていない現状がある。少しずつ教えていくべきだ。
- 新しい学校種を設計すると言う場合に、職業教育とは何かについて明確なコンセンサスが必要であるし、独自の設置基準を考える必要がある。また職業教育を職業による教育と考えた場合に、職業教育を行える実務家教員のような人材を一定割合もっていることがコア。
次回は、「『新たな学校種に関する主な議論の整理(骨子案)』の3.新たな学校種の提言に関する論点」以降についてご議論いただく予定。
(以上)