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調査研究の概要 |
1. |
博物館を取り巻く環境 |
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(2) |
我が国の現状と背景 |
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変革の波 |
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●博物館設置主体に関する要件の緩和
博物館法で言う登録博物館は、その設置主体が地方公共団体、民法法人、宗教法人、日本赤十字社等に限定されており、所管は教育委員会となっている。また、博物館相当施設については、設置主体が国、株式会社、学校法人、個人でも指定出来るが、公立の博物館相当施設の場合は教育委員会所管の施設に限るという運用がなされてきた。しかし、首長部局所管の博物館も増え、博物館の連携も必要なこところから、博物館相当施設への道を開き、更に大学博物館設置の方向も進み学社連携の必要性も高いところから、学校法人の設置する博物館も登録博物館への道を検討すべきであるとしている。 |
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新しい博物館の「機能」と「条件」 |
1. |
機能 |
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(7) |
人材・組織 |
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○ |
提言 |
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博物館活動を実施していく人々の中心をなすのは学芸員である。学芸員はすでに述べた博物館の諸機能を担当し、実施していく専門職である。それだけに日本の博物館学芸員は博物館活動に関する幅広い知識と認識とを併せ持つ必要がある。このことから考えると、いかに小規模博物館といえども複数以上の学芸員を配置する必要がある。 |
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中規模以上の博物館にあっては、博物館の機能を職務分担する組織化が必要である。 |
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学芸員は、勤務する博物館の収蔵資料に対して専門知識を有するとともに、博物館機能全般にわたっての深い知識を有していなければならない。 |
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現状の学芸員の身分や処遇、さらには資質においても、国や地方公共団体等個々ばらばらであり、教育職員に見るような統一した位置付けを実現すべきである。また、人材を確保するためにも、学芸員人材バンクのような組織や団体の設立が望まれる。 |
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学芸員を中心とする博物館職員は、資質向上のための研修の機会を多く持つように努力しなければならない。 |
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各部門の情報機器の導入による新しいシステムを担当する新しい職種の職員を配置すべきである。 |
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(8) |
運営・管理 |
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博物館を担当する部局を一元化一本化し、できれば博物館を専門に担当する部局を、国や地方公共団体に設置し、博物館の主体性を確立していく必要がある。現状の博物館は、都道府県教育委員会所管の有無により登録制度が行われているが、所管による位置付けは廃止するべきである。 |
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登録審査等は、これまで都道府県教育委員会にその事務が機関委任されており、運用の基準に差異が生じてきており、また、平成12年4月からは、都道府県の自治事務とされている。博物館のレベルの向上を図るため、全国的に機能する博物館登録審査委員会のような組織を設置すべきである。 |
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博物館の登録・相当施設などの審査は、主として所管の違いや、施設の規模・学芸員数・収蔵資料数などによる定数・定量な方法によりその評価が行われているが、今後はこうした方法ではなく、博物館の理念に基づく機能や条件を、どれだけ実践しているかという活動内容を重視した審査を行うべきである。 |
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博物館の独立行政法人化が今後進められていくことが予想され、すでに法人化された博物館も多く見られるが、法人化を行う場合、社会教育機関としての地域社会に果たす役割を明確にうたい、博物館の機能を十分に発揮できる条件を整えたうえで行うべきである。 |
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博物館のマネージメントは、経済的な視点もさることながら、地域社会の人々にどれだけ満足して受け入れられるかを考える経営そのものであることを忘れてはならない。 |
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(12) |
博物館の評価 |
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博物館は、自己評価を定期的に、もしくは必要に応じて実施しなければならない。評価は、博物館の施設の改善や運営、学芸活動を実施していくうえにも大いに参考となるべきものがある。 |
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博物館は、博物館の利用者を含めた外部からの評価を受けなければならない。外部からの評価は、内部評価では気付かない指摘もあり、欠くことのできない要件である。 |
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博物館の評価は、理念や目的、方針にそった質的評価を中心とし、入場者数や経済的指標など、外形的数表のみの評価では不十分である。博物館活動全体をとおしてみた、包括的公正な評価でなければならない。 |
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博物館の評価方法については、常に討議し、最善の方法を構築する必要がある。 |
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博物館の評価は、常に公表し、評価の内容について地域住民や博物館利用者に対して説明を行わなければならない。 |
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2. |
条件 |
1) |
望ましい博物館の条件(総論) |
(1) |
関連法規の見直し |
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多様化する各種博物館を博物館法に定める登録認可条件で区別することは困難であり、法第19条に定める所管条件などを見直す必要がある。しかし多様化する博物館に求める、望ましい姿を規定する条件を現状のみで定めるのも問題であり、今後も博物館が時代とともに更に多様化する可能性が大きいため、「望ましい博物館」が如何に在るべきかについての統一認識の下に新たな基準を定めることが望ましいが、法的には最低の規範にとどめるべきである。しかし、博物館が教育分野において果たすべき社会的役割の重大さを考えれば、博物館の登録実務と登録原簿の保管は第10条に規定するように教育委員会が行うのがよいと考えられる。 |
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調査研究を必要とする学問分野は著しく細分化・高度化している。(中略)博物館に対する国民の要求も多岐にわたり、提供すべき教育的公共サービスも質量ともに変化している。この様な中で学芸員は自己の専門分野に関わる調査研究能力を高めるとともに資料その他についての幅広い知識を身につける必要が高まっているが、更にそれだけではなく、教育能力や独創的な企画力、経営能力の向上も求められている。 |
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博物館施設の設置主体や管理運営の所管は、現状では多くの省庁・部局に及んでいるが、新たな基準に基づく各種資格の認定は、生涯学習・社会教育施策の統一的かつ継続的な実施という観点からすれば文部省が一括して担当すべきである。付随する多くの課題を遅滞なく処理するためには財団法人日本博物館協会の様な全国組織を強化するかまたは新たに設立する事が必要であろうと思われる。 |
2) |
各論(提言) |
(4) |
人材・組織、専門職員の養成 |
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人材(学芸員)・専門職員の養成 |
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1 |
大学における博物館講座により取得される学芸員資格は、その質を高める必要があり、大て学院または博物館で長期実習のうえで取得可能とすべきである。 |
2 |
博物館利用者、学校教育関係者などに対応できる指導員を博物館に配置・養成する事が必要であるとともに、学校教育に博物館を効果的に活用するために、教員免許取得条件の教科に博物館学を加えることが必要である。 |
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