平成19年5月31日(木曜日)15時〜18時30分
文部科学省10階「F3・F4会議室」
佐々木秀彦、鷹野光行、高安礼士、中川志郎(主査)、名児耶明、水嶋英治
中田大臣官房審議官(生涯学習政策担当)、平林社会教育課長、馬場社会教育実践研究センター長、行松地域学習活動推進室長、渡部社会教育課長補佐、関根美術学芸課美術館・歴史博物館室長 ほか 関係官
【委員】
意見公募で誤解されていることがあったかと思ったが、学芸員の採用者数は、もちろん新規採用者数ではないですね。新規採用で毎年これぐらい採用されていると誤解していた人がいたようなので、そこは、既に働いている人という形で誤解が生じないよう整理したい。
【委員】
21行目の「古美術等の美術館等、資料の実物性の要請が強い博物館と同じ考え方を当てはめる事はできない」というのは、わざわざ入れる必要があるのか。次のところで、博物館の範囲が広がっているというのを出しているので、あえて違いを強調する必要があるのか。
【事務局】
これは、博物館概念の無制限な拡大という警戒感が、非常に意見としてあるので書いた。やはり館によって違うことを具体的にするほうがいいのでこう書いている。
【委員】
どこかで1カ所、こういう具体的例を出しておいたほうがよいのではないか。
【委員】
8ページの13行目、「 設置者の違いや、施設の規模、学芸員数・収蔵資料数などによる定数・定量な基準による審査だけではなく」というところは、他に違う表現がないか。学芸員制度が以前の基準の全面的見直しで、学芸員数は地域の事情に合わせる旨改正されているので、この表現だと、こういったものについても審査するようなイメージに捉えられかねないと思う。
【事務局】
基準の中にそういう定量的なものは特に入れなければいけないということでなければ、「だけではなく」という部分まで切って、つまり、「博物館がその活動において」以降だけ書いてもいいという気もします。
【委員】
博物館の諸条件とか、諸要件という記述に変えられないか。
【委員】
平成15年の基準の見直しの中では、大綱化、弾力化という大目標があって、変わったという経緯がある。今の懸念は、またもとへ戻るようなニュアンスがあるのではないかということ。
【委員】
例えば学芸員の数を入れないといっても、せめて複数の学芸員を置くぐらいは入れたい。
【委員】
博物館が、どれだけ実践しているかという点に重きを置いた審査を行えることではどうか。
【委員】
ここに挙がっているものは全部、どちらにしてもやることはやる。ただ、それで落とすとか落とさないということは、むしろ後段のほうが大事だということを言いたいわけだから、そういう意味では、「よりも」という表現は、前段に述べたことよりもこっちのほうが大事なんだということが明確になるという意味で、そのほうがいいと思う。
【委員】
やっぱりそうすると、「よりも」じゃなくて、「審査だけではなく」云々の、「どれだけ実践しているかという視点に、より重点を置いた審査を行う」ではどうか。
【委員】
その場合、新設館を初めて登録しようというのは無理。
【委員】
「しているか」より「するか」が適切か。
【委員】
しかし現実のところ、収蔵資料数は設定できるのかどうか。
【委員】
どちらにしても、登録審査の内容としては、基本的に点数が1万点以上でないと登録になれないということではないが、それが申請の中に入ることは事実。ポリシーと実際やっているアクティビティーだけで判断するだけではないので、これは副次的なものとしてはどうしても必要。だから、今までこれが中心だったけれども、それだけではなく今後はこちらが重要になるということを言いたいわけだから。だから、記述としては、簡単に言うと「よりも」でいいのではないか。
【委員】
8ページの3行目、イギリスのことを述べていて、では我が国はという文章は、「基盤こそ違うものの」に、少し言葉をつけ加えたい。「博物館の成立基盤こそ違うものの」ぐらいでどうか。
【委員】
運用自体が違うということだね。
【委員】
基盤というのは、非常に広く意味をとろうとしている。成立基盤というと、その成り立ちみたいになるので、ある意味、狭くなるということもあろうかと思う。
【事務局】
MLAの利点という中には、いわば寄附者に指標を与えるようなところもあって、そういう意味では、ドネーションに支えられている博物館制度というものと我が国の制度とはかなり違う。そういうニュアンスもあって、「基盤こそ違う」という表現になっている。
【委員】
あと、よくある反論として、歴史的経緯や風土が違うのでは、海外と同じ適用は無理だというのがある。
【委員】
「このような考え方は、博物館の社会的基盤こそやや異なるものの」ではどうか。
【委員】
「社会的基盤」というのは、プロセスから何から全部包含するから、それは良いアイデアかもしれない。
【委員】
前回の案では、1)、2)、3)、4)の記述がこの部分に入っていたので、非常に膨大で分かりにくかったが、個々の説明を後ろの別紙に移して整理している。
【委員】
24行目の「ICOMが示す博物館の定義である」というところは要らないのでは。単に非営利性、存続性ということは、博物館の存在の存続性だから。コレクションの保持の継続性ということ。
【委員】
単に常識で非営利性と博物館の継続性というふうに、普通の日本語として読んでもいい。
【委員】
私はむしろ入っていたほうがいいと思う。というのも、今までの相当施設は営利法人が入っている。だから、一般論で述べると、今まで入っていたのにどうしてだろうという感じが生じるのではないか。
【委員】
ICOMの部分は、別にあっても良い。ただ、同じところで、営利法人立、個人立博物館については、「慎重に判断すべき点もある」といいながら、31ページの別紙6の表現については、容認している。水族館とか動物園は営利法人がやっているものが多いので、これは前向きな文章だが、9ページのほうは「慎重に判断すべき点もある」というのはどうか。
【事務局】
31ページの私立博物館で、まず営利法人のほうは、最後の12行目に、登録基準を設定するに当たっては、当該法人の博物館部門の経理の明白性の確保といった条件がついているということと、個人の博物館については、永続性、安定性という点で慎重に判断すべきなので、どちらかといえば、法人化を促す方向で考えるべきだ、という意味で、両方とも留保をつけた格好になっている。
【委員】
でも、31ページを見ると、ICOMのことをきちんと書いている。だから、ここを見れば詳しく書いてあるので、本文では要らないかもしれない。
【委員】
ここでは、基本的な考え方はICOMとアメリカの博物館を比較しても、若干違うところがあるので、重なるところはあるけれども、入れておいて良い感じがする。
【委員】
10ページの7行目、共通基準のレベルの考え方の、「現行制度における登録博物館の基準を基礎として、後述するようなきめ細かな」で、「きめ細かな」という記述がひっかかる。むしろ館の機能に即したというか、基礎に加えて、次ページ上のほうに出ているような、機能といった表現のほうがいいと感じた。ハードルがものすごく高くなるのではないかという誤解がなければいいと思うので。
【委員】
20行目以下の経営のところ、ここで具体的に書かれている会計的なことが、マネージメントの部分に何も触れられていないが書かなくていいのか。例えば、会計の透明性を保つとか経営内容の情報公開をすることは、審査するときには要件として入らないだろうか。これからは入れていくべきではないかと思っている。11ページ、「さらに、上記を基礎として」という中、「計画と計画に対する資源の適切な投入」のところに、財務・施設というところがあるので、この文章の中に、そういったことが少しでも予想されるような表現を入れていいのではないか。
【委員】
「資源の適切な投入」で意味が読みとれるのではないか。
【委員】
それを補足して、財務・施設等の観点というのもあって、その中で一応包含しているというようにご理解いただければと思う。
【事務局】
今の透明性の確保という点は、非常に大事なポイントのような気がします。経営だけではなくて、コレクションや、その他の分野についても透明性というのは大事だと思われます。
【委員】
特にマネージメントの中では重要な視点かもしれない。今の話を踏まえて、文章を再考してみたい。
【委員】
11ページ1行目、「職員」が2つ重なっているが、前段はむしろ経営責任者という話なので、職員はいらないのではないか。あと、5行目の「加えて」のところ、「希少動物の保護等」の部分で博物館に関連する基準、関連する制度はこれだけしか書けないか。
【委員】
確かに、「希少動物の保護等」だけだと、いささか全体とのバランスが悪い。
【委員】
中間まとめでは、括弧の中に、「動物園の登録基準を考えるに際しては、学習支援の点ばかりではなく、動物愛護や希少動物の保護といった観点を加えるなどが考えられる」とあって、ちょっと違う書き方になっている。「他の博物館制度」の中身を1つ、はっきり書けばいいということ。
【委員】
そうそう。ただ「希少動物の保護等」と1つだけ例示として出てくるのは、どちらかというと一般的ではないものなので、あってもいいがもう一つあったほうがいい。
【委員】
ICOMの博物館倫理とか、あるいは、文化庁の登録美術品公開制度とかそういうことか。
【委員】
「他の博物館制度」だから、制度で例示する必要があるが。
【委員】
登録制度は、国際化の中で非常に重要になっている。希少動物の保護等の裏には、動物園とか水族館のような施設では、国際的な枠組みに入らないと動物が収集できないところがあって、そういう意味では登録博物館に入っていることだけで大分違う。
それから、ワシントン条約の関係で、日本では1点1点全部法的にクリアしていくと2カ月かかる。ところがアメリカの場合は、登録してあるということで一括許可になる。だからチェックが1週間で済む。登録博物館に対して、登録のメリットは、他の制度との関連の中で浮かんでくれば非常にいい。
メリットは、今後、国際化すればするほど出てくると思うので、登録制度は今後、重要になってくるのではないか。だから、税制のメリットが非常に喧伝されているが、登録すること自体に大きな意味が将来的にはついてくる可能性が非常に高いと思う。
【委員】
(4)、(5)、(6)、(7)までですが、この前とあまり変わっていない内容ですけれども、お気づきの点がありましたらお伺いします。どうでしょうか。
(特になし)
特になければ、また後でありましたら、お申し出いただきたいと思います。
【委員】
14ページ13行目、「学芸員の活動実績」は、どちらかというと展示関係が多いので、展示というのを入れた方がよい。
【委員】
学芸員の課題は、前から言われているが、基本的に日本の博物館の学芸員の抱いている有り様というのは、やはり研究を主体にした、教育普及活動も含めて、わりと狭い。ところが、全体的には数が少ない。少ない結果として、あらゆることに関与しなければならない。それを何とかしてくれというのが、学芸員調査の中では非常に多い。ですから、一般的に市民サービス、あるいは学習支援をこうやりたいと思っても、できないジレンマがあるというようなことがおそらく背景にある。
【委員】
皆さんから挙がってきたコメントとかパブコメの内容を見ると、市民サービス、学習支援をこれだけしたいけれども、実際にできない、数が少ないということは非常に挙がっている。予算が少ないからだという理由である。予算が少ないということはどういうことなのかと突き詰めていくと、学習支援のための材料とかを調達したい、あるいはここを教室にしたいとか、いろいろな学習支援の活動をするための条件を満たしたいと思っても、予算規模が極めて小さいので、そこへ回らないというのが、パブコメとか一般のコメントの中にある。
【委員】
14ページの四角の、「展示資料に関する収集」というのは、「展示」って、あえて要るのか。「収集・保管・展示等の基礎的な」で展示があるが。
【委員】
「資料」でいい。は「資料」ということで、「展示」を削除。
【委員】
15ページの1行目も同様にあるが。
【委員】
「基本的な実践技術」は、「基本的な技術」か「実践的技術」か、どちらかでもいい。
【委員】
養成の段階なら基本的でいいが、専門性だから、基本的と言ったら変ではないか。
【委員】
「実践技術」が適当。
【委員】
大学における基礎課程、基本的な学芸員の養成段階の在り方についてということで、主に大学でどうするかという内容になっているが、いかがか。
【委員】
16ページの、「(
)専門分野に関する研究能力」のところの13行目、前段では、学部等で勉強する、館種というか、資料に即した専門分野で、13行目の真ん中後半で、「また資料の管理・保存に関しては」という、資料の取り扱いに関する専門性を出しているが、これは通常だと、「(
)博物館に関する科目、資料論」になっていくという感覚がある。
さらに言うと、今後改善すべきは、今までは、自分の専門で取った、学部や大学院で培った専門能力を、館種の活動に即して身につけていないところがある。研究論文としては修士論文を書いたが、それを資料と絡めて、どのように館で展開していくかというところは断絶していたところがある。それを学部レベルで、基礎課程で解消できるかどうかというのは、ハードルが高過ぎるように思うが、そこを検討したほうがいい。特に、大学の養成だけでなく館での養成等も含めて議論いただきたい。
【委員】
「情報学や保存科学といった資料の取扱いに関する専門性」がここで入ってくるとすると、もう一つ、「学習支援に関する専門性」というのも入ってしかるべき。それらは()に入れてしまうならば、それでいいが、博物館の活動は、確かに考古学とかそういう実際の物に関する専門性と、それを活用する専門性とを並べていいはず。また、学部の段階で研究能力までつけるということを謳うことが適当かどうか。
常々、博物館に携わってきた立場からすると、博物館における専門性と言われると、資料に関する専門性だけが謳われてしまうけれども、そうではないという主張は、博物館学の中ではある。そこをどう反映させられるのか。
【委員】
それは、この制度検討の中でも終始言っていること。ここにうまく反映されていないということがあるかもしれない。
【委員】
それから13行目、14行目の2行については、25行目ぐらいに入れておくのが無難という気もしないでもない。おそらく次のワーキンググループでは、これが大事な議論の要点になるのではないか。
【委員】
この分け方は、1つには、資料とそれに関する専門分野の能力で、研究能力は、本文に「基礎的な研究能力」とあるので実証的な手続はきちんとわかっているイメージがあって、それを博物館という場で生かせる力というのが、()の博物館に関する体系的な学修、いわゆる博物館学で、それは資料論であり、展示とか、伝える、教育普及、コミュニケーションである。それら2つを、座学や実技を含めて学んで、実際にそれが血肉となるのは、
の実務経験という論理構成だと理解している。
その基本線を踏まえた上で、資料に関する保存とか、保存科学や資料管理、公開に関する技術、理論をどう位置づけるかという議論になると思う。私の理解では、それは博物館という場でこそ発揮できる事柄なので、むしろ2のほうに入るという理解。
【委員】
そうすると、()は「専門分野」と書かずに、資料に関する部分を謳い、あとの保存科学とか学習支援に関しては(
)できっちり学ぶ。だから、あまり(
)でもって専門性と言わずに、基礎的な研究能力というところにとどめた方がよい。
【委員】
資料だけ前面に出すと、資料だけではないという反論もある。
【委員】
16ページ、大学における基礎課程の()、(
)、特に(
)の21行目、22行目、23行目で、
、
、
があるが、私の理解では、教育に関する能力は、
のコミュニケーション能力の中に入っている。したがって
、
、
は、博物館の登録の基準で出ている、マネージメントが
、資料が
、交流が
という、これに合わせた整理をして、もちろん今、議論しているのは、現行の科目とのすり合わせでこういう書き方をしていると思うが、こちらの分類に分けたものが必要という書き方にしたらどうか。
【委員】
その3本柱を基本にして、別紙で、どうしていくか展開させたほうがいい。そうすると、そもそもの中核的な機能と整合性がとれて、一貫性が出てくる。その中でも、おそらくは今までよりも教育やコミュニケーションに関することが重視されるというのは、もちろんあると思うが。
【委員】
14ページ四角の中に4つ項目が挙がっているが、先ほどのマネージメント、コレクション、コミュニケーションにまとめることができる。これは、教育と研究を表に出すという書き方でいいが、これに対応させる基礎課程の科目というか、体系的な学習の書き方をすれば、よりこれが求められるという整合性がとれるのではないか。
そうすると、14ページのところが、(
)専門分野に関する研究能力で、あとの
、
、
が(
)の中に入ってくることになる。
【委員】
文の構成として、大学と博物館が協働して体制づくりをする必要があると言って、そのうち、大学における基礎課程はこうで、博物館に関するものはこうだという。それで、で、博物館の中ではこうする。基本的に大学院の可能性としてはこういうものがある、というふうに区切っている。これは今までの議論の流れから、形としては整っているが、若干こなれていないところがあるので、整理が必要。ここの部分は、後の現職学芸員との関連もあるので、ここを保留にして、次に行ってまた戻ります。
【委員】
18ページ12行目、「指導者的立場にある博物館長は」、これは限定していて、館長を出していいのかなと。公立の場合、専門家でない場合が多い。
【事務局】
博物館長は、そもそも責任者として能力を持った人がなるべきであって、博物館の館長になってから研修を受けるのは特に強調するかどうかは、議論のあるところ。
【委員】
実態はそうです。新しく館長が来るたびに、まず僕らの仕事を理解してもらってやっている。
【委員】
将来を見据えたら、本来そういうのは、あるべき姿で、こんなこと必要ないかもしれない。ただ、今の過渡期の段階では、こういうことも現実的には必要だけれども、形を変えて入れられないものかという気はした。
【委員】
以前フランスに調査に行ったとき、パリ博物館の館長になるための資格というのがあった。館長になるべき者はマネージメントの研修を6カ月受けることが義務化されて、それを拒否すれば館長になれないというものだった。要するに、自然科学者が必然的にマネージメントができるというわけではないので両方必要だと。そういう館長のことをハイブリッドディレクターと呼ぶ。それが新時代の館長のあるべき姿であるという話だった。アメリカでは、一時期、専門性を持ったディレクターがほとんどやめさせられて、銀行家が館長になることがアメリカの美術館界を席巻した。それでは、あまりにもひどいというので、ハイブリッドディレクターの話が出てきて、揺れている。だから、基本的にこのようなことを言わなくてはいけないのは極めて残念だが、それが実情ではある。
【委員】
善意でやっていて困る場合もある。熱心なために、つまりアカデミックな分野のことがそのまま通用すると思ってやっていることが、困る場合もある。
【委員】
ただ、18ページ9行目に、「館長のキャリアパスに応じた研修形態」と書いているので、これは最終報告だから、12、13、14行はカットしてもいいんじゃないか。
【委員】
フランスでは文化財学院や、美術館の専門の養成課程があるから可能だ。
【委員】
これは大事な問題で、能力、スキルとともに権限の問題もある。本当に名誉的な、お飾りの館長しかいない所もある。一方で指導力を発揮するための権限がないというところもある。本来であればそれとセットにして、運営に関する諸問題ということだと思う。
【委員】
ちょっと譲って、館長はそういう能力を持っていることを前提にして、「不可欠であり、さらなる資質向上のための」ではどうか。
【委員】
ここは、要するに館長は学芸員出身というイメージの中で、入っている。どこかに必要だと思うが、ここに入れることなのかというのが、現実と比較すると大分違う。経営のほうに入れるべきなのか。
【委員】
経営のマネージメントのところに入れてもいいし、これはキャリアパスの一環として入れたということ。
【委員】
あるいは館長と限定しないで、館長等、一番上に立つ者はということではどうか。実質的には副館長が力を持っている場合もあるし。
【委員】
それでは、(2)現職学芸員の段階的な専門的資質・能力の向上という部分については、それほど大きな問題はなかったように思うが、大学における学芸員の養成課程の在り方、大学と博物館が協働して学芸員を養成する、というところは大事なところだし、大学関係者も一番関心が高い。
【委員】
16ページ28行目、実務経験の話だが、基礎資格を有する者を積極的に「雇用し」がいい。「採用」というと、インターンなのかという話になってしまうので。
【事務局】
()博物館に関する科目の体系的な学修のところ、20行目から、「特に、求められる学芸員の役割が多様化・高度化していることに対応し、現行の「博物館に関する科目」をより充実させる必要がある。具体的には」で、
を「資料に関する能力」、13行目の後ろから14行目にかけて、資料の管理・保存に関するというようなことが、資料に関する能力になるという記述は、いかがか。
に、コミュニケーション能力、
にある、教育に関する能力。ですから、
と
を含めて、
の表記にする。
で、「コミュニケーション能力、教育に関する能力」として、括弧の中については、(博物館における教育や学習支援能力)とするのはどうか。
【委員】
「展示」のほうが良いのではないか。
【事務局】
は「経営能力」というところが、表現として「能力」という表現がどうかというご意見がございまして、例えば「経営に関する知識」とかそういうことでよろしいでしょうか。あるいは「経営・運営にかかる知識」とか「関する知識」というような表現の仕方ではどうか。
【委員】
はカタカナを使用してはどうか。
【事務局】
では、は、「マネージメントに関する理解」にします。
は、「収集・管理・保存といった資料の取り扱い」でよろしいか。
【委員】
情報について言及が少ないと意見公募で指摘されていたので、そこは入れたほうがいい、ドキュメンテーションを。
【委員】
ただ最近、資料というのは、資料とそれにまつわるドキュメンテーションを含むという扱いになりつつある。ドキュメンテーションのない資料というのは資料としての価値がないといわれている、要するに、ただとっておくだけではいけないということ。
【委員】
最近は、物体としての資料と、それにまつわる情報をもろもろ含めて、文化資源というような言い方をしている人もいる。
【委員】
エクセレンス・アンド・エクイティーは、まさにそう。ドキュメンテーションとマテリアルを両方含んで、それが博物館の資料に関する優先性を言っているので、ドキュメンテーションという言葉で一括したほうがいいかもしれない。
【事務局】
これに関連して、32ページに、別紙7で、「博物館に関する科目」の見直しの方向性という部分がございまして、この中に、資料に関する能力の部分はとりたてて書いていないですが、これは書いていなくてもよろしいでしょうか。
【委員】
やはりドキュメンテーションがちょっと弱い。
【委員】
の教育への対応のところは、資料とすべき。
【事務局】
教育活動のところに書いてあることは、コミュニケーションの中に入りますから、ほんとうはの資料に関する能力の部分が、何かないといけないですけれども、今のところ、その部分が空欄になっています。
【委員】
要は資料に関する、情報という考え方が入って、保存科学の考え方、I.P.Mみたいな、そういったものを入れる必要がある。
【委員】
が、コミュニケーションと教育への対応の部分は今回の強調点であるので量が多くなっていいと思う。あと、先ほどの別紙7、教育への対応のところに書いてある7行目、「博物館における教育や学習支援の機能は、今後、より中核的な機能として位置付ける」は、また反論が出てくると思う。教育、教育と言うのはどうなんだということがあるが、今回の改正の趣旨としてはそちらの方向であることは間違いないので、より充実すべき機能であるという。
【委員】
ただ、イギリスの「コモンウェルス」は、教育のない博物館は博物館ではないと言い切っている。あれには事前調査が非常になされていて、ほんとうの意味で博物館が教育に関与しているのは23パーセントしかない。7割以上が本当の教育にコミットしていないとある。そういう意味では、我が国の方は、社会教育施設としての博物館という位置づけだから、教育というのはかなりインパクトのある形で提言していいのではないか。
しかし、この間の多くのパブコメを見ると、教育や学習と言っていて、軽々しい感じがするというのがある。しかし、研究が重くて教育が軽々しいという、その発想自体が私にはあまり理解できない。教育というのは決して軽いものじゃない。そこらあたりは、博物館人もよく自覚しなきゃいけない。
【事務局】
私として委員の先生方にご理解いただきたい点は、基礎資格と専門資格の二重構造は、今、学芸員は、学芸員と補という2つの資格がありますが、これは、補助としての補があるというだけなので、基本的には任用資格で、学芸員は一つの資格ですね。
今度の制度は、専門資格と言われているところが、実務経験を得て、要するに学芸員として任用される。任用資格がそこに移っているということで、その前の基礎資格というのは、今までにない新しい資格で、一定の知識経験、専門性を持った人だという認証を与える。そういう資格を新しく考えているものですから、今と大分違う構造になって、しかも非常に近接した2つの資格ができるということについては、法制論上、非常に難しいかなと危惧を持っています。今後、中教審などいろいろなところで議論されると思いますけれども、この辺については、今の構造のままこれから進んでいくかどうかについては、かなり懸念を持っているということを先生方にご理解いただきたい。
【委員】
でも、これが通るといいですよね。ある意味、非常にすっきりする。ぜひご努力をお願いしたい。
【委員】
この前のご議論を踏まえて、よって立つ論拠として、ユネスコの勧告は非常に古い。しかし今でも生きていて、ある意味で非常に重要視されている勧告でもあるから、これを論拠に持ってきたということはいいと思う。
それから、博物館倫理について、日本博物館協会の中でつくろうということで、途中までいったが、どうなっているか。
【委員】
保留中である。
【委員】
10年ぐらい前に、孔子鳥事件があったときに、博物館行政の中で、こういうことが今後起こらないようにする規範をどうしようかと、当時、社会教育審議会の中でもいろいろ問題になったが、結果的には、ICOMの倫理規定を挙げて、こういうものに則すべきだという通知を出した経緯がある。そんな経緯があるがゆえに、自分のところで規範を持っていないのは、借り物になってしまうので、そういう意味では非常に重要。
資料は十分あるので、こう書いておけば、これが論拠になって、前進させることも可能と思うので、内容としてはいいと思うが。
【委員】
これからのまとめ方というか、戦略として時間的プログラムを考えないと、言いっ放しで終わってしまう可能性が多いので、登録基準を先にやるべきか、倫理を考えるべきかというのは、もう一度検討しないといけないと思う。
【事務局】
ここでは、ICOMのものがあるので、館でまず定めてもらい、その上に、各博物館の、いわば植物、動物、いろいろな館種の違いがあるので、そういう団体で博物館の倫理の策定をしてもらうという整理にして書いています。
【委員】
レベルとしては3つあり、倫理規定を持たない国または団体はICOMの倫理規定を準用してくださいと書いてあるので、それが第1。第2として、そういう包括的な倫理規定を持たないところでも、収集基準、これもないところが多かったが、持つところが増えてきていて、その中で、違法な収得などに対しては毅然とした態度で臨むというようなことを書いている基準が多い。それは全体的な規範ではないが、少なくとも収集については、持っているところが多くなってきたということ。
それからもう一つ、最後には、日本博物館協会としての、あるいは日本の博物館としての倫理規定のようなものをつくるという、3つのステージがある。私は、どこから始まってもいいと思う。だから、どちらが先かというのは確かにあるが、そのレベル、レベルで考えていってもいい気がする。
【委員】
この点について、中間まとめで、市民参画、連携が増えていく中で、こういうものがないと困る、あったほうがより活動できる、というところがあったので、これからこういうこともあるので、さらに強く求められるという記述があっても、将来を見据えた上ではいいという感じがする。
【委員】
先ほど11ページ5行目で、何か例がないかと言っていたところは、ICOM倫理規定とか、文化財の不法輸出入の制限、条約がある。そういったこともこの中に入れておけば、11ページの中に入れて、かつ21ページのほうにもつながる。
【委員】
関連づけるのでいい。
【委員】
22ページの資格の創設のところ、多様な人材の活躍する場は絶対必要と思うが、資格の創設まで今回あえて述べるかどうかというところが多少疑問。今のところ、あまり中身がないように思う。
【委員】
そういう意味では、下2行はなくてもいい。資格の創設というのは、そう安易にはできないだろうという感じはする。
【委員】
次の段階じゃないかという感じはする。かえってこのことで、学芸員の資格に関することが拡散してしまうのではないか。
【委員】
資格の創設というよりも、社会教育主事とか、最近ではアートナビゲーターなどいろいろな民間資格、あと江戸検定の1級を持っている人とか、そういう多方面の資格を持っている人材を、博物館にも協力してもらう程度ぐらいに書いておいたらどうか。
【委員】
活躍の場を与えるために、他の機関でいろいろな資格を出している、そういう人たちとの連携というものか。
【委員】
資格と、意欲があって博物館にかかわる人とはあまり結びつかないような気がする。
【委員】
そこにある考え方は、基礎資格者の有効活用というところだろう。
【事務局】
一貫して制度論を論じていますので、制度論に関係ないのであれば、確かに、あえて書いておく意味もなくなってくる。ただ、その制度というのは、国家資格以外民間のものを含めた制度ということですので。
【委員】
制度論に入るかどうか、「サポート体制づくり」とあるが、学芸員有資格者や専門知識を有する人材の活用の場をつくることは重要とはまさしくそのとおり。
【委員】
例えば経営診断する人とかそういう専門家を、養成するようなことをやったらいいという議論もある。ほかでも、例えば観光業界でも、博物館に近いところで何か新たな資格をつくるのは、サポートする意味でも望ましい。
【委員】
基本的には、資格の創設と言い切った場合、どういう資格かということに対して答えられないと、ここへ書いておく意味はない。正直言って、どういう資格を与えるかという議論はまだ詰まっていないというか、まだイメージがわかないということがある。例えば学芸員というものは、今度新たなシステムができて、それをサポートする一つの新たな資格が法の中で想定されるというものがないといけない。
いつも言うように、昔ミュージアムナビゲーターの有効活用と言ったが、なかなかうまく機能しないで、すぐしぼんでしまった。やはり思いつきではだめで、資格の創設というからには、そういう基本的スタンスが必要。
【委員】
さまざまな人材の活躍の「場の創設」ならいいが、「資格の創設」だから問題がある。それは書く必要がないという形もあるが、考えているということは示したほうがいい。だとすれば、「資格の創設」でいう資格というのは、どこの資格なんだということもあるし、いろいろ詰めておかないと、過剰な期待を抱かれてもいけないということもあるので、とりあえずこれを生かすのであれば、さまざまな人材の活躍の「場の創設」とするのがよいのではないか。後につなげるという意味で、仕組みについて検討が必要であるというような表現にしていきたい。
【委員】
登録制度、それからもう一つ、アメリカでやっていますレベルアップを含めた、それから上級学芸員という新しい制度対応も含めて、今度の改正博物館法を実効あらしめるための具体的な組織として、こういうものが必要ではないかと最後に謳うことによって、そういうものの必要性について、博物館の館長方のモチベーションが上がってくれば、具体的に効果があるのではないかというような内容になっている。
【委員】
大筋このとおりでいいと思うが、1つ、学芸員の養成を支援するという項目が、括弧のレベルであってもいいかと。端的に言うと、博物館と大学が協働してやっていくのを支援するというか、コーディネートするような役割も期待できるのではないか。養成制度の中では、17ページ24行目あたり、「複数の大学院や博物館が連携して各々の教育資源を有機的に活用してカリキュラムを編成し」等々、このあたりのことをバックアップする役割も期待される感じがするが、いかがか。
【委員】
書きぶりとしては、それだけ単一に1項目起こすのではなくて、これは全国の博物館に関するネットワーク形成支援ですけれども、今の話は、大学との連携ということと非常に関連深いので、その考え方も1つあろうかと思う。ある意味で、連携ということもこれから非常に重要で、今度の教育基本法の中でも、地域連携ということを非常に強く言っているので、そういう意味では、第三者機関みたいなものがそれを推進、維持していくという意味で、機能するというのは非常に重要だと思う。
【委員】
でも、大学と博物館が一つのテーブルで話す場というのが、なぜかいままでなかった。
【委員】
イコール日本博物館協会かもわからない。中心になるところは、もっとコンソーシアムみたいな形になるのかもしれない。
【事務局】
そういうところもおそらく議論があると思いますが、今、動物園、水族館も含めて、すべての館種をカバーできるところはないのかもしれないので、そこを含めて、いろいろな団体、協会の中で議論を進めていただくことが必要かなと思います。
【委員】
中核団体と、全体を包含してくるような一つの委員会形式のものというのは、どうしても広範囲にならざるを得ない。そこは、どこかが中心になってやると思わないとできない部分がある。
【委員】
26行目の、「法が一層機能するようにとの視点」で、さらに、そうなるとどうなるかというのを一言入れてもいい。人々にとって、国民にとって博物館の公益性を示す、拠り所としての法であるという点。
【委員】
それはぜひ入れたい。
【委員】
だれにとっての法改正なのかは、「おわりに」で強調したほうがいい。というのも、「はじめに」で、なぜ法改正なのかについて、教育基本法が改正されて、それに伴って博物館機能をどう変えるかというところに収斂させているので、その進み方でいいが、「おわりに」はより普遍的な観点に立って謳った方がいい。
その流れでいくと、博物館法で決めるのは、基盤整備というか、一番中心になる最も基本的なことで、その精神、考えをしっかり運用していくのは、さまざまなところが協力し、責任を持ってやっていくことが必要であるという展開がいい。
【委員】
公益の及ぶところは限定的だが、法の実効性を考えると、やはりそれを運用する分野があるわけなので、そういう意味では若干、最近言われている社会貢献というものに直接、実は関与していくという部分は、どこかにあってもいいのではないか。
【委員】
29行目は、第1パラグラフと第2パラグラフをひっくり返せば、最後に、「さらに発展させることを期待している」で、座りがいいのではないか。
【委員】
なるほど。そんなことも含めて、「おわりに」については、余韻が残るような、期待をこめる感じで読み終わるようにしたい。
それでは、本日の会議はこれで終わります。ありがとうございました。
(以上)
(生涯学習政策局社会教育課)