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教育バウチャー(児童生徒数に応じた予算配分方式)について

平成18年9月8日
規制改革・民間開放推進会議
教育・研究WG

1. 教育バウチャーの意義
 教育バウチャーとは
…教育に使途を限定して換金できるバウチャー(切符)を一人当たり一定額となるよう児童生徒・保護者(学習者)に交付。実際には、学校の選択によりその学校に通う児童生徒数に応じて教育予算を配分する方式を取れば足りる。
 バウチャー使用学校についての一定水準の確保を図るが、現在よりもはるかに緩い基準で可。政府が、最低限の外部性と価値財性を満たす基準作成に加え、教育機関が真実の情報のみを広く公開するよう厳格に監督する。併せて、教育現場に責任と権限を一体的に付与し各学校の自主性・自律性を尊重。

 教育に関しては、学習者の選択を自由にする。学習者主権の確立が課題。その究極型は教育バウチャー。

 バウチャーは需要者への補助であるから、多様な教育機関を奨励しようとする際に生じる憲法89条による教育機関への公金支出制限の問題を避けることができるという利点がある。

 教育バウチャー制度のもとでは、学校が補助金を獲得するためには、補助金所管行政庁ではなく、学習者側の満足度を高めなければならない。

 (諸外国にも多数の事例)例えばオランダでは、生徒が200名集まれば学校は自由にでき、補助金も、生徒一人当たり一定額を自動的に交付。バウチャーの先駆的事例。英国も同様。米国では、低所得者対策として多数の実現例と効果検証論文あり。
→別添【資料】P4〜24参照

 現在は、私学も、国公立学校も、教育の基本的内容は同じ。にも拘らず、私学選択者は、自らの低い公的助成に基づく高い授業料に加えて、公立学校通学者の授業料まで納税により二重に負担させられている。憲法の平等原則違反の疑いも濃厚。
→別添【資料】P2 参照

 内閣府「学校制度に関する保護者アンケート」(平成17年10月6日公表)においては、児童生徒数を基準とする予算配分方式に、回答者の5割近くが賛成し、反対は1割強。

2. 教育バウチャー制度に対する批判に理由はない
 手続きが煩雑…生徒数のみを基準とするなら、形式上機関補助でもバウチャーと同等であってむしろ簡単。切符の交付などが現実に生じるわけではない。

 機関補助は研究の基盤づくりに必要不可欠…教育と研究とでは公的関与の根拠(教育は外部経済・価値財、研究は公共財)も形態(教育は受益者に直接対処できる、研究では広く国民が受益する以上その奨励は研究実施者を対象とする)も異なる。

 過疎地の学校などではバウチャーも競争も成り立たず、不平等…諸外国に見られるように過疎地、低年齢児童、障害児などに関する一定のバウチャー増額は当然。また、単一学校しかなくとも、維持存続が学習者によって決せられる以上、脱落しないことへのインセンティブは発生。

 学校間の著しい教育格差が生じる…根拠がない。諸外国の実例は逆。現在の格差こそ不公正。機関補助にはそれを是正させ、水準を向上させるインセンティブが存在しない。

 政策的な誘導ができなくなり、学術研究の発展に支障が生じる…教育に関して万全の誘導ができ、国民を正しく導くことができると考えるのは空想的。むしろこれまで不十分な最低限度の品質管理はバウチャーでこそ効果的に達成できるというのが諸外国の経験が証明するところ。加えて一定の公共的意思決定が不可欠な研究分野と教育とは政策的に独立のもの。

3. 「教育バウチャーに関する研究会」の今後の検討に期待する
 様々な見解を公正・中立的に取り上げ各々の意義・問題点をバイアスをかけずに公平に評価。

 現に存在する肯定的な事例や評価を咀嚼した上で、日本に導入する上での制度設計や環境整備の在り方について検討(日本に導入する上での問題点の抽出。それを解決するために必要な法改正等の検討。)。

 バウチャー、すなわち学習者の選択に基づく予算配分方式の導入に向けた具体的な工程の策定。

以上


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