○: |
最終的に第2次報告をまとめ、文部科学省としてモデル的な事業を実施するということだが、モデルとなるようなアクションプランを作るということか。
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△: |
実際に事業化する場合に参考になるようなアイデア集として報告をまとめたい。
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○: |
第9回懇談会で生涯学習全般をまとめていただきたいとのことだが、厚生労働省の審議会の委員も行っており、キャリアコンサルティングの概念も提起させていただいた。生涯学習とキャリア形成の支援を含めて話させていただき、第10回でプレゼンをしたほうがよいかと思う。
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△: |
生涯学習といっても、それだけでなく広い観点からプレゼンテーションをいただきたい。またテーマは項目ごとに切らず、第10回以降の話も含めてご発表いただきたい。
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○: |
第1次報告を受けて、女性研究者への支援策はどのように具体化するのか、報告いただきたい。第2次報告をまとめる前に、モデル事業として行うのか。
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△: |
女性研究者支援と、生涯学習システムの構築は性質が違う。女性研究者支援については、国ができる部分、大学などが行う部分に分けて提言している。女性研究者30%の目標はゴール・アンド・タイムテーブル方式で、大学等が計画的に行うものであり、我々としては会議等でお願いをして機運を高めていく。また研究費の出産等への配慮については、報告を受けて担当課が既に施策化している。第2次報告は生涯学習がテーマであり、政府として制度や運用を改正していくというものではなく、社会全体でどう取り組んでいくか知恵を出すもので、行政の手法としてはモデル事業として実施することが考えられる。研究者については、モデル事業で行うものではないと考える。
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○: |
第2次報告では、第1次報告で総論として軽く書いたことをはっきりさせなければならないが、それをどのくらいまでやるのか。第2次報告を終着点とするのか、その先があるのか。総論全体を第2次報告でやろうとすると、事は大きく、場合によると拡散してしまう恐れがある。前回の提言は求心的だが今回は遠心的な方向を持っており、その全部を9月まででまとめてよいのかどうか。それをはっきりさせずにモデルの実現を提案しても、不明瞭なものになるのではないか。
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△: |
モデル事業をこういう形でやるようにというのは難しく、行政、地域、企業が、システムに少しでも近づけるようなアイデアを提言するのではないかと思う。9月で議論が足りなければ、第3次報告もありうる。
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○: |
第2次報告では、現場に具体的な形を与えるためのアイデア集を緩やかな形でまとめるということか。
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△: |
そのとおりである。 |
○: |
ここは生涯学習政策局だが、生涯学習か社会人教育か、どういうスタンスなのかというところからスタートするべき。私は大学の中での生涯学習部門にかかわっているが、大学開放についての高等教育局の委員会と、この懇談会では問題提起が少し異なる。
総論に基づいてゆるやかな形で自由なアイデアの「見本帳」を作るなら、その出発点となる私たちの意識の方向性を、最初に議論すべきではないか。
また、資料10で総論について整理していただいたが、そのなかで矛盾があると思ったのは、将来の姿で「個人による主体的な参画」とあるが、その一方で「地域活動への参画」とある。前にも述べたが、生涯学習は地域との関わりのためだけにやるのではないと思う。生涯学習の成果は地域活動に活かさなければならない、あるいはキャリアモデルを作らなければならないと思い、「社会に参画する」など、あるところに自分を埋め込むのが正しいのか、それが強く出ることに違和感がある。生涯学習は「何かをあてがう」のではなく、一番大切なのは「個人の幸せを追及する権利」ではないか。あえて刺激的に言えば、「地域」、「キャリア」、「参画」は、生涯学習ではなく社会人教育である。自由さ、個人の主体性を忘れず、一番最初に書きたいと思う。
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○: |
4つの柱のなかでの優先順位をつけ、総論のどこに焦点をあてて第2次報告につなげるか、毎回議論を行う必要がある。私は生涯学習の成果の評価・活用が一番重要と思う。第2次報告の結果を元に、別の審議会等で検討してもよい。自由な学習というより、それを支援するための枠組みをここで議論するのだと思う。
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○: |
私が生涯学習とは何かという議論がしたいと言ったのは、そういうことである。評価についての議論もしたいと考えている。
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○: |
本当に政策的にぶつかるのは(3)学習成果の評価で、文部科学省が提言しても厚生労働省にはねられたり、その逆もある。いろいろな学習をして特定の枠をはめないほうがよいという意見もあるが、資料2で「「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書では、評価という枠を与えることで学習を刺激する資格制度、職業能力評価制度について記述されている。これは労働サイドで書かれているため、イギリスのNVQの話だけ書いてある。イギリスではNVQから進めて、GNVQというアカデミックと職業教育の中間に位置するものがある。労働、文部科学と別々にやっているこの評価の部分を議論したい。
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○: |
いつでも、どこでも、誰でも参画でき、その成果が社会的に正当に評価されるのが生涯学習だが、はじめから地域、キャリア、参画といったことだけを考え、狭い評価になってはならない。評価は非常に多様な制度があると思う。たとえば一度、生涯学習の評価のあり方だけを出発点としてもよい。評価が可能になるにはどういう枠があるかと考えたほうが、枠を考えてから評価を考えるよりもイメージが明瞭かもしれない。厚生労働省の委託訓練制度、教育訓練給付制度などがある一方、大学が社会人に開かれて生涯学習と重なったとき、大学の評価制度と生涯学習の評価制度が重なってくるかもしれない。そこまで幅広い中で、生涯学習で何が可能で、そのためにはどういう枠が整備されるべきかという全体を取り込んだ議論をする必要がある。
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○: |
8年前にアメリカの高等教育の視察を6週間ほどして、UCLAのエクステンションプログラムにおいて、インターンシップに参加した。会社員や主婦などいろいろな人が参加していた。会社員は修了証をもって会社で交渉すると給料が少し上がったり、おばあさんが家で退屈だから大学で学び、社会に参画できたのがうれしいという感想があった。社会人教育も生涯学習も同じであり、両方入ってよいのではないか。
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○: |
私はその違いをあえて尖鋭化したのである。UCLAは大学が行っている世界最大の生涯学習機関であり、そこで一定の単位を取得すると社会的に認められるようになっているが、日本はまだそうではない。それが認められるにはどうしたらよいのか。認められたものが給料に反映せず、個人の幸せに結びついてもよい。何か勉強をさせて、その成果をなんとかするということばかりでなくてもよい。
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○: |
生涯学習については歴史的な変遷がある。私はこの懇談会では生涯学習全般を論じるのは難しいだろうと思う。生涯学習はきわめて哲学的な議論にもなりうるが、ここでは「多様なキャリアの支援」に力点をおいて、生涯学習のあり方、活用の仕方に議論を絞ったほうがよいのではないか。
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○: |
限られた期間でまとめるには、枠を設けたほうがよい。 |
○: |
それに異論はないが、出発点としてある程度の共通の認識を持ちたいということである。
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○: |
多様なキャリアの支援は男女を問わないと思うが、この懇談会は「女性の〜」という名だが、男女を対象としてよいのか。
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○: |
まだ社会が見えてこない初等中等教育の部分と、ある程度社会に入った時期は違うと思うが、資料10の円環の図では後者のみのようで、時系列的に成長していく部分の議論をどうするか、分かりやすくすべきではないか。
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○: |
私は子どもの問題から議論を始めたいと思っていたが、具体的なモデル作りの対象者をどうするかが見えていない。理念的には初等教育から壮年までだが、大人の問題といっても今の大人か、将来の大人かで変わってしまう。誰をターゲットとするかという中には、男性・女性も入る。多様なキャリアには男女同じ問題があるが、そこに女性の問題を加えるなら、現在か未来の女性かで変わる。今の女性と10年、20年後の女性では、プランそのものが変わってくることも考える必要がある。
あまり哲学的には触れてならないと思う。キャリア問題は、現実的な問題と人間の生き方にかかわる問題の区別があまりできずに、議論されている。厚生労働省は現実的で、中高年の雇用問題をまず考える。女性の問題としては、第1次報告では研究者という非常に高度な女性を対象にしたが、多様なキャリアを考えるなら、幅広く主婦を含む女性まで考えるのかどうか。年齢、経験的な広がりを含めていくと、「主体的」ということが大きな意味をもつ。
個人的には、キャリア形成というとある枠に入れるという面が強いと思う。文部科学省として女性のキャリア支援を考えるなら、生涯学習として、枠に入れるのでなく個人による主体的な選択・参加に焦点を当てたいと思う。
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○: |
女性の多様なキャリア形成で一番問題になるのは20代後半から30代前半で、男性と異なる。今の現実の生涯学習政策局のスタンスとしては、1986年くらいから放送大学で自分は教えているが、学習のスタイルはそれ以外のものがなく、放送大学でいつでも誰でもどこでも学べるというだけである。女性の多様なキャリア形成をどれほど支援してきたのか、まだ十分でない点が多い。20代後半から30代前半の女性の再挑戦のための「枠」をどうするのか。学ぶ喜びというのも大切だが、それ以外にもほしい。UNESCOの生涯学習のスタンス、OECDのリカレント教育のスタンスなど、いろいろ議論はある。枠に入れないというが、逆に枠をはめないでどうやって推進できるのか、もっと考える必要がある。
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○: |
生涯学習を広い意味で考えると男女共通だが、そのなかで女性のキャリアという部分を十分考えるべきである。
また年代の問題は、全年代を考えるべきである。大学はお年寄りのカルチャーセンターをやるのかと同僚に言われたりする。フランスでは以前、60代を越えた第3年代Third Age、75歳を過ぎた
第4年代Fourth Ageという言い方がされた。社会に出るまでが第1年代、世の中で働いているのが第2年代である。今までの大学は第1年代ばかりだったが、第3年代も相手にすれば商売になるのかという。問題はそうではなく、第1〜4年代のそれぞれに必要な生涯学習の可能性があることが分かってきた。今の大学では、現役の学生のダブルスクール的な役割、第2年代の委託訓練などキャリア形成やスキルアップなどがある。また高等学校以下の0年代もあり、大学でも導入教育を考えており、生涯学習機関としてそうした年代対象の講座を置くことも不可能ではない。年代によって求められるもの、与えられるものが違うものの、すべて対象になる。そう考えないと、キャリアが資格から仕事へという狭い意味になる。全年代的に考えれば、キャリアは狭い意味ではなく生涯の過ごし方であり、それをどう組み立てるかというところで、違う年齢ごとに生涯学習が関わりうるが、それはどういう関わりうるのか検討が必要である。評価により学習が実効性を持つが、その評価とは何なのか。一色ではなく様々である。大学の単位を認定する講座が一方にあり、まったく違う評価が他方にある。
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○: |
生涯学習が4年代をカバーするということには同意するが、この懇談会ではどこに焦点を当てるのか議論が必要。第2世代に必ず議論は向くと思う。絞り込むのは7月までの4回でやればよく、残りの3回でこれまでの総論についての緩やかな共通認識について第2次報告を作る。事務局に聞きたいが、モデル的な事業の実施はどこで検討するのだろうか。考えていることがおありならば、途中で割り込んでここで議論したほうが、具体的なイメージができると思う。
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△: |
モデル事業として特定の形を示すのではなく、この懇談会で提起する課題、問題点、アイデアをもとに、いろいろなモデルを出して行きたいと思う。
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○: |
課題を見せておいて、それを解決してもらうということか。 |
○: |
最初から(1)〜(4)全部というより、テーマを決めて項目ごとに進めた方がいいと思う。
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○: |
柱の中で、どれを優先すべきか意識して進めていくべきと思うが、順番にはこだわらない。
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○: |
キャリアの継続について、建築の場合、ある大手の会社で産休後、職場に復帰してきた人が、本人としては産休前と同じという意識だったが、ストレスがたまってやめてしまった。その人の部署について、育児を生かすという観点から保育園などの設計を担当したのかと聞いたところ、そういうことは考えていなかったという。キャリアを認める側が、その人の通った道のメリットを評価し切れていないところがあると思う。キャリアの継続について頑張るようにという報告になるのか、それを認めるようにという方向性になるのかで違うと思う。
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○: |
私は広い意味でキャリアと言ったが、個々人が生涯の過ごし方を組み立てるときに、生涯学習がどう関われるかが重要である。そのときに、そのための評価システムは十分考える必要がある。キャリアの形成に生涯学習がどう関わるかといったとき、その生涯学習とは何なのか。その関わっている学習、教育システムは何か。教育システムの中で評価するということを考えてきたが、それに同時に社会の側がどう対応するかという問題もある。
つまり4つのポイントとして、キャリアの形成に生涯学習が広い意味でどう関わるか、評価システムがどうなるか、その評価システムを既存の様々な学習・教育システムがどう動かすか、そしてそれに社会的にどう関与するかがある。
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○: |
生涯学習審議会で議論しているような、自分なりの個性、迷ったものも含めてプラスに転じていくような主張の仕方、それを相手に認知させる仕組み、たとえば生涯学習パスポートのような提言は、厚生労働省ではなく、ここでしか議論できないところと思う。日本の評価システムは一本線で、中断すると極端に言えばキャリアが終わってしまう。欧米は、履歴書の書き方を見ても、やったことを何でも書いた分厚い履歴書になっていくが、そのような社会の知恵を使っていきたい。
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○: |
大学では履歴書の書き方をモデルに従わせていて、今おっしゃったようなことが全然伝わらない。
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日本は大学が通過点になっているが、ヨーロッパでは一年大学にいて、仕事をやめてからまた1年大学に行ってと積算されていく。日本で社会人大学といっても、社会人が4年いて、また出て行く。第1年代だけが大学にいる人間という暗黙の前提がある。
履歴書の書き方にしても、欧米は一番上に一番新しいことは書くが、日本は一番上が一番古い。生きる道を組み立ててきたことが、履歴書に反映されなければならない。
生涯学習は、新しい起爆剤となる可能性があるが、ただきれいな意見ばかり出てきて実際にあまり行われていないため、しぼんでいる気がする。ここで少し刺激を与えていきたい。
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○: |
ここ5、6年、労働市場における人々の就職、転職の選択行動、表現手段が急激に変化している。自らを詳しく語る職務経歴書を求められなくてもどんどん出すようになり、インターネットでの求職も広がり、職業能力が構造化されている。初めて就職する学生も新しい基準を学習し始め、転換期にある。そういう現実も踏まえて、意見を交換していきたい。
いろいろな観点があるだろうが、私は最終的にはモデル事業への施策提言の条件づけのようなものを、型にはめてまとめていきたい。たとえば放送大学、インターネット、市町村での生涯学習などいろいろあるが、私は大学という教育機関を、どのように女性の多様なキャリアを支援するための生涯学習機関として発展させていくかの条件設定をしていったほうが、明快な議論になるのではないか。大学ではオープンカレッジ、生涯学習講座など展開しているが、大学まるごとを生涯学習機関としてどう展開させていくことが必要なのか、懇談会のテーマとの関係で提言したい。市町村における生涯学習など広げていくと、散漫になるのではないか。
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○: |
それは、大学に不満があるからではないかと思う。大学が生涯学習機関を持つのは流行しているが、みな大学がカルチャーセンターをやればいいと思っている。早稲田でも大学全体を生涯学習機関化するという掛け声はあるが、それとオープンカレッジやエクステンション事業を切り離している。社会人入学や聴講生を受け入れ、それとは別にエクステンションセンターは大学のカルチャーセンターとして、お年寄りを集めてお金を儲けるという考えが残存している。大学全体を生涯学習機関化するという掛け声がありながら、同床異夢になっている。ただ実際には、重要な点だがそれだけに絞れるかという疑問はある。
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○: |
大学には、Center of Excellence として研究機能に特化する意識があり、生涯学習、高等教育とは別という論理があるのでまとめるのが難しい。トータルな生涯学習機関としての大学というのを、1つ提示してもいいと思う。
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○: |
Center of Excellence と生涯学習機関としての大学の役割は、両方必要であり、同じ大学の中で二極化してもいいと思う。
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大学は、学校教育法には書いてないとしても、初等中等教育の積み上げとしての教育機関である。それから研究の分野と、生涯学習センターのコミュニティーとしての大学がある。
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○: |
何年か前に、研究型大学、専門教育型大学、サービス教育型大学という分類が提案されたことがある。
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○: |
初等中等教育が持たない部分を受け持つ学部の高等教育、研究の部分、生涯学習にかかわる部分と、3つに重なり合って大学はできている。条件によって、3つの円の部分は変わってくる。生涯学習とキャリアとのかかわりは大学以外にも考えられ、学んだことをベースにして、大学や地域などで教える側に移るという可能性、実例もある。推奨するモデルパターンをいくつかあげていけば、有効な提言になると思う。
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○: |
多様なキャリアを考える視点として、将来の姿を考えられるが、結局は個人が主体的に選択できるような支援が考えられなければならない。同時に特に今の女性の問題は、環境に対してどう働きかけるかという問題もある。私は個人が主体的になるような支援と、それを刺激するような環境という観点で、提案をしたいと思う。
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ぜひお願いいたします。 |
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本日、進め方についてご意見をいただいたので、後日、この議論を整理させていただきたい。
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・事務局より次回の予定について説明があり、閉会となった。