○ | 資料5で女性の理工系分野への進学拡大とあるが、この懇談会で女性研究者といったとき、理工系に特定するならその説明が必要である。必ずしも理工系の研究者だけの問題ではないと思うので、そのあたりを書き分けていただきたい。
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○ | 人文社会系、自然科学系は違うので、そこをもっときめ細かく考えていただきたい。
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○ | 工藤委員のプレゼンテーションについては、資料4の図で、背景のところに書き込めばよいと思う。工藤委員の発表は、今までの施策決定のプロセスが成り立たなくなっているということだと思う。学校教育のなかでの建物の考え方が大きく変わっており、世の中の仕組みを変えていくとき、いろいろな視点が入らなければ立ち行かなくなっているということが、背景のなかに入ってくる。それは日本だけの問題でなく、世界的な動きである。
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○ | 女性が家から出てきて社会で活動するようになると、都市が変わってくる。女性の視点を有効に社会に還元するシステムを作ることが次のステップである。 女性には様々なライフスタイルがある。施設計画の面では、女性のためにトイレのなかに全部ベビーチェアーをつけたケースもあるが、実際は子供を産めない女性もいる。女性と結婚、出産をセットにするのでなく、多様な視点が必要。
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○ | 工藤先生の話は、課題の中の環境の整備のところに入るのではないか。
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△ | 資料の表は未完成で、施設の視点は背景に入れなければならない。また、課題としてあげたのは議論の例示なので、総論をつめて各論に入る段階で先生方のご意見をいただいて整理していきたい。
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○ | 先ほど篠塚委員が女性研究者の定義の話をされたが、科学技術分野における女性研究者が文科系に比べて教授の数も圧倒的に低い状況なので、底辺を先に引き上げるという意味で、女性研究者を科学技術分野に限るのだろうか。底辺を引き上げて、なおかつ全体が引き上がればよいかとも思うが。
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△ | この懇談会で取り上げる女性研究者には、人文社会系、理工系を全部含む。ただ理工系分野がとくに進学、研究者が少ないので、人文系と理工系を分けて丁寧に考える必要はある。
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○ | 軸の中に男と女という関係と同時に、PTAなど地域に住んでいる人々という別の軸がもうひとつあり、行政・大学・地域の連携といったことが1つの柱になる。「学習する地域と大学」という議論があり、地域社会の枠組みが大学と連携して回りだしたとき、地域がグローバルな地域になるという言い方があるが、そういう部分をうまく書ければいい。 職場は隔離された世界というが、私は国際会議に行くとワークシャドーイングとして息子を後ろに座らせて、自分の発表を見せている。裃をつけて生活する世界であると男が決めた部分をブレークスルーするのは、コミュニティーや地域である。別のコンセプトを持ってくることにより、多様なキャリアを支援するという図式になる。広く言えば生涯学習の充実ということだが、もっと工夫して、コミュニティーや地域の役割として別の柱が立てられると思った。
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○ | 私は学生結婚して、すぐに子供ができ妻は大学を中退した。キーワードの1つはリカレントである。1回も働いたことがないのでどうしたらよいか分からず、孤立していた。ネットワークやキーパーソンに出会う、1回でも勤めたことがあれば相当違ったと思う。学校を卒業したあと、働く期間が短かったりするとネットワークが切れてしまうが、絶やしてはならない。そのためには生涯学習はとても重要である。たとえば公民館で登録すると自治体などのイベントについてのお知らせが来て、情報のネットワークができ、それをきっかけに次のステップに進み、仕事ができたり活動をはじめるという話をたくさん聞いた。生涯学習は、情報や人的なネットワークを作るのに大事な役割を果たす。 地域には必ずキーパーソンがいて、生き方のモデルとなる。キーパーソンが上手に活動できるような、きっかけの豊かな社会がいい。 大学院の機能について、文科系についてだが、いま女性で正規でなく、研究生や聴講生として入ってくる院生が面白い。自分の人生の問題について勉強したいという意欲を持っている。問題意識がはっきりしていて成果物も早く出てくるが、そういう人々が大学の教員のポストをつかむことはたいへん難しい。大学院は専門の研究者を育てるだけでなく、公民館などよりも、生涯学習の大事な場所になると思う。
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○ | 社会人で入学してドクターをとったり、その後社会活動に専念する人が多くなってきている。そういう人たちがうまく社会に貢献できるようシステム化したい。
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○ | 2足、3足、4足のわらじを履くのが可能というのも、多様なキャリアである。そういう人を企業、大学が正規のスタッフとして採用していくよう、大学も頭を切り替えなければならない。
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○ | 2、3年前に大掛かりな意識調査を行い、生涯学習をどう使おうとしているか、年齢階層別にチェックした。一般的に生涯学習はお年寄りの趣味や稽古事と捉える傾向があり、確かに高齢者の方は生きがい作りや友達の発見が多かったが、若い方はたとえばコンピューターなど社会に出て行くための勉強、40代くらいはキャリアアップ、スキルアップの項目という傾向が出る。自治体としては、生涯学習というと趣味、教養、稽古事に傾斜し、スキルアップに関しては若干弱かったことを反省している。 生涯学習をした方が、それを活かすよう、つなぐ部分ができていない。学んだ結果の成果がつながっていないのは問題である。 渡辺先生にいただいた資料を、タテとヨコに広げると懇談会に有益ではないか。タテというのは大学、社会人になってからのリカレント、スキルアップ、さらに必要とされる能力についてである。ヨコというのは、たとえば中退した生徒、フリーターになった生徒について、誰が面倒をみるのか、いまは社会的な仕組みが何もないが、どういう教育を誰が担うか。またドロップアウト、たとえばリストラされた人々に対して、どういう教育的なバックアップをしていくか。タテヨコに広げていくと、広い意味でのスキルアップ全体への視点ができるのではないか。 キャリアガイダンス、プランニングについて、そのスキルが全然蓄積されてないのではないか。地域で、退職した教員やサラリーマンでスキルを持っている人が、それまでのキャリアを活かすはけ口がないが、これをうまく使う仕組みができないだろうか。
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○ | 理系の人は、途中研究を中断しても、後からまた同じようにできるかという問題がある。理系でない場合は、大学を卒業してブランクがあってもまたトライできる。女性研究者の支援といったとき、理系と文系では違ってくると思う。
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○ | たとえばIT関係では、育休をとり1年間のブランクは大きいので、IBMではe-ラーニングのプログラムを作って、家庭でも子育てのあいだに勉強させるというプランを普及させようとしている。 一番の問題は、たとえば分子生物学の遺伝子関係の発展途上の分野では、自分で実験しないとできないということがあるが、何年もやっていた場合、戻る時の年齢制限がいま問題になっている。今まで研究者というのは井の中の蛙で、狭い分野を深く専門的にやっているときに、育休でふと離れて広い視野で見られるというのは、発想の転換になると思う。
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○ | 生物学は非常な勢いで進んでいる。一時中断して家庭に入り、また大学院に入りなおして50代でドクターをとり、いま助手をやっている人も知っており、必ずしも不可能ではないと思う。 私自身も、子育て時にコンピューターを使い、自宅で研究を行ってきた。今はネットワークの時代なので、そういう条件は非常に整っている。やる気があり、理解ある指導者につけば、時間はかかるかもしれないが、分野によっては可能と思う。
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・郷委員より「女性研究者の支援方策」について、配布資料に沿って発表。
○ | 理科教育を充実させようという議論のなかに、中学高校の技術家庭という位置づけのものはありえないのだろうか。技術の領域、理科というより生活に近づけた部分のPR、職業教育科目の部門をもっと強調してもいいのではないか。 男女共同参画ということで家庭科は共修になったが、技術は置き去りになっており、技術は男の人に手伝ってもらうと子供たちが思いがちになるのではないか。技術はいま変わってきており、パソコンをいじるのは男も女も関係ない。技術面の科目を含めて議論していただきたい。
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△ | 女性のキャリアを支援するとき、生活の大切な部分を皆で担うという課題が出てくる。いま衣食住の根源が乱れているというのが大きな社会問題である。そういうことも含めて、女性のキャリアの支援というところで、大きな問題になる。 キャリアを伸ばす学びの場をもっと支援するということと、学んで開発したキャリアをどう位置付け、つなげていって社会の中で生かしていくかという支援の方向性がいま限られていて、研究者になるか企業で働くか以外にも、生かし方が多様になっていくことが大切である。学びの機会を増やすと同時に、受け皿の多様性を確実にしていくことが重要。学んだものを企業や地域が連携して生かしていく多様な場を作ることや、つなげる役割を果たす人、実効性のあるキーパーソンを作ることや、ネットワークの継続性をもっとシステム的に立てるためにどうするかが問われていく。 キャリアを開発するとき、皆が働いて皆が同じ方向にいくのではなく、生活が豊かになる方向性を作るためには、技術の面や、生活する力をつける教育が重要と思う。
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○ | それは今考えられていることで、たとえばスローフードや食育といったことを先取りして政策として提示してもよいかと思う。
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○ | 生活科など教育の中身は変わってきている。男の子でも女の子でも、学校でパンの焼き方を教わってきて、私に焼いてくれたりする。バブルの絶頂期に就職した世代は、男性でも食に強く関心をもつなど親が変わってきていて、子供も食文化に対して意識を持っている。 研究などの環境を整える視点のなかに、女性の視点を入れていくことが、誰にでも居心地のいい場を作っていくことになる。生活者の視点を入れることが、研究者を育てる重要な視点である。
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○ | 次回はぜひ、集中的に施策についてまとめていくという方向と、全体的な話と、2つに分けて討論したほうがよい。具体的な施策と、グローバルな多様化に関する提言と、別々に議論してはどうか。
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△ | 次回は研究者分野の支援のところでたたき台を事務局で用意して、それをもとに研究者についてご議論いただきたい。
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△ | 郷先生の資料の最後で、性差の研究と、女性の特性を発揮できる研究分野について、ご説明いただきたい。
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○ | いわゆる社会的性差、ジェンダー研究はすでに行われているが、生物学が発展してくると遺伝子の情報が無視できない。人間はゲノムを見れば多様であるが、そのうえで男女(一人一人)の特性があるのは間違いない。それを研究の対象として、そのうえで本当に一人一人が特色を生かせる社会が実現できると考えている。
女性の特性を発揮できる研究分野があると思うが、女性研究者が少ないので証明が難しく、主観的な言い方しかできない。しかし女性の研究者が多く出てくれば、女性の特性を発揮できる分野が見えてくると考える。
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・事務局より次回懇談会について説明があり、閉会となった。