今後の家庭教育支援の充実についての懇談会
2002/03/01今後の家庭教育支援の充実についての懇談会(第6回)議事要旨 |
1.日 時 | 平成14年3月1日(金)14:00〜16:00 |
2.場 所 | 東海大学校友会館「霞の間」(霞が関ビル33階) |
3.出席者 | |
(委員) | 大日向座長,大下委員,北村委員,兒玉委員,坂本委員,福内委員 |
(文部科学省) | 池坊大臣政務官,近藤生涯学習政策局長, 寺脇大臣官房審議官,名取主任社会教育官 他 |
4.議 題 | (1)中間報告案について (2)その他 |
5.議 事 | ・事務局より本懇談会の中間報告案について説明があった。 |
○ | 家庭教育というと,小学校に行く前にひらがなが書けるといったイメージがあるが,言葉の意味はどういうものなのか。
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○ | 家庭教育は基本的倫理観や生活習慣など主として家庭で親またはそれに代わる人が子どもに対して行う教育一般という意味で捉えている。それに対する外側からの支援,サポートという意味で,家庭教育支援という表現を通常使っている。
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○ | 家庭教育と言うと,早期教育をイメージする人もいる。日常の親子の関わりのなかに教育的なものが含まれているというニュアンスで「親子のふれあい」と入れると,誤解を軽減できるのではないか。
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○ | 冒頭部分に,「乳幼児期からの親子の絆をもとにする。家族とのふれあいを通じる。」といった趣旨の表現を加えたい。
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○ | 父親について触れている箇所について,周りの父親たちからは,「30代でこれから家を建てようとしていると子育てを楽しむ余裕はない。」,「生活が苦しくなってきている中で,今は父親に対してもっと子育てをというような風潮ではないのではないか。」といった意見が出た。
一方,若い母親からは,近所の年輩の女性方とコミュニケーションを取ることよりも,ITを活用して気軽に様々な情報を得られるようにしてほしいという意見があった。 |
○ | 30代,40代の方が仕事が大変で余裕がないという話もあると思うが,仕事か子どもかという二者択一ではなくて両方とも大切である。忙しくて子どもに割く時間がないからといって,子どものことが免除されるものではない。母親も父親も子どもを育てる当事者であり,それをベースに仕事もしているということを書き込むべきである。
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○ | 父親たちが幼稚園の活動に参加してくれるようになってきている。厳しい状況があるとは思うが,父親も活動の中に入ってこないといけないという風潮が出てきているし,そういう方向に行ってほしいと思う。
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○ | 父親が家庭教育に参加することは賛成であり,父親も当然,子どもと一緒の時間は大切にしたいと思っている。子育てを楽しむという方向に生き方を変えられるようにするというよりも,そういう世の中になるべきではないかと思う。
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○ | 子育てに関わることが楽しいのだという要素がないと長続きしない。職業を離れた立場で親自身が生き生きと活動していれば,それが子どもたちにも伝わって生き生きしてくる。子育てが楽しいものだということもきちんと入れ込んでほしい。
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○ | 家庭教育に対する父親の責任だけではなく,子育ての中に親自身も「学ぶ」ことや「喜びがある」という表現が入るとよい。
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○ | 30代,40代の人も子育てをいい加減にしてよいと思っているわけでは決してない。子育てが重要であることの原則論は経済状態によって変わるものではないので,企業に対しては,原則論を誤解を招かないようなソフトな希望として書くのがよいのではないか。
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○ | 若い人たちの特徴を書いている部分についてだが,自慢話や成功体験だけ言われると誰でも嫌になる。失敗談も含めて自分の体験というものを,もっと世代を越えて伝えていくべきである。
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○ | 若い母親たちは,必ずしも地域の人が好きではなくて,子育てに悩むと隣町の支援センターで相談し,解決すると自分の町で何事もなかったかのように過ごすという現状がある。それではこれから立ち行かないので,皆で支援することや,若い人も少し意識を変えていくことが必要である。
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○ | 子育てに悩みを持つ母親の一部には,コミュニティの人ではない,他人の目に見えないところで,相談したいという意見もある。
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○ | 今の母親は,年輩の子育て経験者の経験は聞きたいが,自分のダメなところを指摘されたり,成功談を聞くのは別だと思うようである。また,以前に保護者にアンケートをとったところ、悩みの相談相手を希望する人としては友人や親が多く,幼稚園の教員など教師は思ったよりは少ないという結果が出て、カウンセリング的な話の仕方や聞き方の研修の必要を感じ、研修し大変役立った。子育てのリーダーになる人は、やはり研修も必要と思う。
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○ | 独断的な成功体験は聞きたくないということを書いてはどうか。親の受け取り方に配慮して経験を上手に話してくださる方もいるが,地域のボランティアの初心者の方にはそれがわからない方が多い。
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○ | 若い親たちが近所の人たちとつながりを持ちたくないという話があったが,現代の若い世代はなかなか地域と接点を持ちづらい世代である。働いている母親にも共通することだが,地域の活動が平日の昼間が主体で,働く環境によってなかなか入れない。触れてみれば,つきあいもそれほど大変ではないし,ITをかなり使ったりしているが,触れる接点がないという状況がある。
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○ | 町会長に自分のことを相談したら,町中に広まってしまったという例もある。 |
○ | 祖父母世代との意識のギャップに関して,若い親を中心にみるのか,子どもを中心にみるのか用語を統一した方がよい。中高生の保育体験が非常に有益であるのはそのとおりであり,敢えて「男子」にも言及してほしい。
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○ | 父親の家庭教育参加の促進については何かきっかけが必要である。自治体や教育委員会が,父親の家庭教育学級やワークショップのような受け皿づくりを積極的に展開すべきであるということを入れてほしい。例えば,群馬県では予算措置をして父親クラブの活動を推進しているが,教育委員会等が父親が参加できるような機会と場づくりのための予算措置をしてはどうか。
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○ | 高齢者を地域の先生とする部分で,父親も地域の先生として積極的に参加すべきことを書いてほしい。父親たちが来やすいような環境を作っていくことが必要である。
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○ | 近所の小学校が開催する催しは父親の参加率が非常に高い。父親を呼び込む「基地」になるような楽しい活動をして,地域全体にも影響を与えている。
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○ | いろいろな地域で子育てを応援してあげようという50代の方々が増えてきているが,当事者そっちのけで自身の生き甲斐の場にされてしまう傾向もある。
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○ | 企業に対して,文部科学省が具体的にああしなさい,こうしなさいと言うことは構造的に難しい。企業社会,産業社会に対して,どういうスタイルが望ましいかという言い方になる。また,全体的に,若い母親が読んで親しみを感じる表現にしてほしい。
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○ | 「仕事一辺倒から子育てを楽しむ」というように生き方を変えられるような意識の変革ということを書き込んでほしい。企業も地域も子育てをともにするのだというコンセンサスが必要である。
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○ | 体育館やグランド等を持っている企業は,施設を積極的に地域に開放することや,親が子どもの教育のために休む時には企業も協力と理解をしてほしいという書き方にした方がわかりやすい。
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○ | 家庭教育を支援していくには,企業と地域が変わっていく必要がある。不況ということはともかくとして,原則論として父親や働いている母親が子どもと関わる必要性を明確に書き,企業は具体的に何をしたらよいのかということを書くことにより,企業側もわかってくれるのではないか。
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○ | 今回の報告案で目新しいものはどれか。 |
○ | 社会で親と子が育っていくのを支えるという基本的なスタンスに立った上で,「子育てサロン型」学習スタイルの展開など幅広い方が参加しやすいような子育て支援の方策や,これまで手が届きにくかった親等へのアプローチを盛り込んだことなどは,一歩進んだものと考える。
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○ | キーワードの一つが「子育ての社会化」という表現である。中心は親で,それを地域や企業,地方公共団体が手助けをする。「あなた一人じゃない。皆が手助けをするから大丈夫だ。」というメッセージになるものと,企業関係者や行政関係者への呼びかけになるものとがあるとよい。 |
(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)