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今後の家庭教育支援の充実についての懇談会

2002/01/17
今後の家庭教育支援の充実についての懇談会(第4回)議事要旨

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会(第4回)議事要旨

 

1.日   時    平成14年1月17日(木)14:00〜16:00
       
2.場   所  文部科学省別館(郵政事業庁庁舎)11階大会議室
       
3.出席者    
   (委員) 河合座長,大下委員,大日向委員,門川委員,北村委員,河野委員,坂本委員,嶋崎委員,福内委員,宮崎委員
   (文部科学省) 池坊大臣政務官,近藤生涯学習政策局長,寺脇大臣官房審議官,名取主任社会教育官   他
   (事例発表者) 浅野氏(貝塚市立中央公民館館長)
中川氏(貝塚子育てネットワーク)
沼野氏(貝塚子育てネットワーク)
      
4.議題
    (1) 学習機会の充実のための方策について
       (2) 地域における子育て支援の充実のための方策について
    (3) その他
      
5.議事
         ・事務局より配布資料について説明があった。
     
<事例発表について>
          貝塚市立中央公民館の浅野館長より,貝塚市立中央公民館の子育て支援を中心とする活動等について配付資料に沿って説明があった。(概要は以下のとおり)
       貝塚市は,人口約8万9千,世帯数約3万の町で難波から30分程度の位置にあり,公民館は3館ある。公民館が初めて設置されたのは昭和28年で,大きな文化ホールを持つ公民館として出発した。創設以来,社会の変貌,時代に適応した講座などの主催事業の開設に力を入れてきた。それと同時に,主催事業が終わった後の修了生を中心に,地域で自主的に生まれたグループなどを含めて,各グループが自らの力で学べるように,職員は市民の悩みや願いなどの共通する問題を引き出して,市民自身が話し合いながら,お互いに理解しあい,学び,実践し,まとめ,それを記録し,それを来られない人に伝えていけるような自主グループの育成に力を注いできた。実践の中から起こる数々の問題についても,その問題解決で得た学びの部分を地域づくりやまちづくりにつなげていけるような流れへと努力した。このように学習と実践を通じて活動の輪を広げるという取組を積み上げ,人材を育成し,活動の振興を図ってきた。
       さらに,個々のグループだけではなく,グループが横に手を取り合いながら,連絡会,協議会などのネットワーク組織をつくって,公民館に集い,学び,さらにつながり,支え合って学ぶ喜びを分かち合えるように努力してきた。
       館外にも飛び出して,日常的な生活の中で学んだことを生かし,周りの人々,社会的に弱い立場にある人々とも手をつないで生きる市民の育成に努めてきた。
       このように貝塚市の公民館活動の特色は,公民館は市町村設置なので全国にはいろいろな公民館があるが,貝塚では法(憲法・教育基本法・社会教育法)にうたわれた公民館の精神を忠実に具体化するよう努めてきたことである。
       また平成15年で創設50周年になるが,府や市を挙げて部落問題に取り組んだ昭和45年頃から余暇活動的なものから権利としての学びの視点を持つという方向に大きく転換した。さらに,創設以来,10年,20年と市民と関わってきた職員がおり,昭和60年に教育委員会の要綱を整備し,専門職制度を導入した。その中心は自主的な活動で,市民の主体性を育てるために市民に寄り添い,きめ細かく関わりながら市民と協同の活動を広げてきたというのが特徴である。
       子育て支援については,まだ子育て支援という言葉がなかった昭和50年に保育付き講座の「おやこ教室」を開設した。これは現在も続けているが,世間ではまだ小さい子を連れて公民館で講義を受けているのではなく,子守りでもしてたらいいのにという意識が大半の頃であった。その中で,子どもをしっかり育てるためにも,子どもの発達の道筋や,子どもが置かれている状況,親のかかわり方,また親自身の生き方なども考えて,学びの機会を提供して,乳幼児を持つ母親の学びの場を保障していくということになった。以後この保育を充実していくことが,子どもを安全に見守るということだけではなく,楽しくまた子どものためになるようにするという努力が,女性の学ぶ権利と子どもの発達権をともに保障していこうという取り組みになった。
       昭和61年には,幼い頃からの文化活動を通じて子どもたちに豊かな心を育てていくための公民館の施策として「ファミリー劇場」という親子劇場が発足した。その2年後,「おやこ教室」の修了生や,学習グループ,地域で生まれた子育てサークル,ファミリー劇場などに呼びかけて,昭和63年,公民館がちょうど35周年になった年に子育てネットワークが発足した。この子育てネットワークの会とファミリー劇場の活動をつなげることによって,学習と文化を結びながら子どもの健やかな発達を図ってきたところである。
       子育て支援の中で目指してきたこととして,まず,将来や人生を見通したり,地球的規模での視野を持ちながら,大きなつながりの中で物事を見て子育てをし,自分の生き方などを考えていくということを大事にしてきた。2番目には子育ては地域ぐるみで取り組もうと,ともに育ち合いながらまちづくりにも参画していこうということを大事にしてきた。ひとりぼっちになる母親がいないように,孤立した母親に自分のことを話せる居場所をつくりながら,悩みを共有しあい,共感しあえる関係をつくっていく中で解決の糸口をお互いに探っていくということを大事にしてきた。わからないこと,特に子どもの発達等については,専門家の先生に聞くなどして学ぶ。子どもを中心にしながらも,子どもばかりの人生ではなくて,親も楽しむということを実践してきた。その中でまた,父親も巻き込んで,男性も一緒に子育てに取り組み,親も子も人との関係のなかで育っていこう,子どもたちに大人が知恵や力を合わせて,汗を出し,時には笑い,時には泣き,苦難を乗り越えて,懸命に生きていく姿を見せていこうということで,さまざまな活動に取り組んできたところである。
       モデル的な実践例として,遊びを中心とした北小学校のふれあい事業がある。今,貝塚市では,家庭・学校・地域が協力して各校区で教育コミュニティづくりを進めており,少し前の平成10年に,公民館活動の課題や地域の課題を結びながら実施した。その目標の1つが数年来の公民館の学びを地域で生かしたいということで,2番目は子どもの日常的な遊び場として学校を活用してやっていきたいということである。3番目が北小学校の校区が貝塚市内でも高齢化が非常に進んだ地域にあり,高齢者の知恵や経験を生かして,子どもと高齢者をはじめ,いろいろな人と活動の出会いや交流を図り地域の連帯意識を高めていくことであった。
       また,完全学校週5日制に向けて,地域住民自身が主体的に自分たちで取り組んでいけるようにすることを目標にして,相互交流,相互学習を通じて,住みやすい地域づくりにつなげていけたらと思い,取り組んだ。例えば,子どもたちがお年寄りに手紙を出したり,グループの人たちが車いすでお年寄りをお迎えに行くということもあり,昔の遊びや三夜音頭という伝統文化,わらべうた,昔の物売りうた,あるいは手作りコーナー,お年寄りのおしゃべりコーナーなどを催して,参加した人が楽しんだ。
       これを組織した実行委員会は,公民館のグループのほか,地域社会教育関係団体をはじめ,伝統文化活動や,地域ボランティア活動,福祉関係団体なども加わり,公民館と地域と学校とが結び合って,相互に学び合う場となり,この取組を契機に余裕教室を活用した「北校区ふれあいルーム」が生まれた。これは,学校を拠点に,公民館活動,地域団体活動が結び合った新たなネットワークの事例だと考えられる。
       この事業を通し,公民館は情報提供をしながら,リーダーの育成や,様々な人と活動を結ぶコーディネーターの役割というものが大切だということを学んだ。また生活や地域の中では,子育てや老い,介護の問題,また伝統文化の継承の問題などが混在しており,地域の人たちがこうした問題に自らの手で協力して取り組んでいくことの大切さを学んでいる。
       現在,ふれあいルームという形で,住民自身の手で企画・運営・管理され,その姿を毎日子どもたちが見たり,また一緒にふれあう取り組みが生き生きと進められているという状況である。
     
          続いて貝塚子育てネットワークの中川さんによる説明があった。
              (概要は以下のとおり)
       貝塚子育てネットワークは,子育てサークル5サークルが所属している乳幼児部会,幼稚園部会,小学生部会,中高生部会の4つの部会に分かれている。活動内容としては,各部会ごとに座談会や講演会があるほか,子育てには学びが必要だということで,必ず子育ての講座を設けている。また,相互の交流会,親子レクリエーションなどをしている。乳幼児部会に関しては講座の実施時の保育の問題があり,今の母親は少子化の影響でよその子どもを見る機会が少ないので,保育も学びの一つであるとして,3回の講座のうち1回は保育に回るようにしている。どうしても手が足りない場合は,部会のOBの母親が保育をするという状態である。
       それ以外に各部会ごとの会議を行っているほか,各部会のリーダー,ネットワーク委員,代表者などで月1回代表者会議を行っている。また年に1回,ネットワークの意義や根本を見直すために,ネットワーク全体の委員の研修会も開いている。
       会員数はよく分からないというのが実態で,ファミリー劇場という親子劇場の会員も入っている。450人のもちつき大会をしたことがあり,約500名が会員として入っていると思われる。そのうち運営委員はおおよそ20人程度である。年齢層は20代の母親から40代後半の母親までで,非常に縦のつながりがあるのが特徴だと思う。縦のつながりがあるということは,若い母親にとって子育てについての人生の目的が持てるということがあるとともに,相談できる先輩がすぐ身近にいるということでもあり,先輩は,こういうおばさん,母親になりたいという憧れの対象でもある。また,親世代だけではなくいろいろな世代の知恵と経験とを集めて子育てをすることができる。そういう意味でも,縦のつながりはよいものである。
       ネットワークの会は公民館の働きかけで発足した。もともとは公民館主体の運営でいやいやでやっていて,ネットワーク活動の意義を理解していない時代があったが,その後に親主体に変わっていった。親が主体的にやっていけるようになるには,公民館のかかわり方が大きく,お膳立てをし過ぎず,常に問題意識を持っていてくれるというところがよかったのではないかと思われる。
       子育て中の親にはつらい課題に対することをやりとげた後の達成感というか,私たちも何かできるのだ,この人たちとだったら何かできるという思いがある。そして,実践することによって,次の課題が何かと見えてくる。そのときに一緒に同じしんどい思いをした人とのつながりができ,こういうことからだんだんと自分たちで運動をするという形に変わっていった。
       大きな成果としては親の縦のつながりと横のつながりができたということがある。サークルでは人とのトラブルが非常に多いが,トラブルを経験することも大事である。子どもも親も小さいうちにトラブルを解決するのに横の人間関係と縦の人間関係がしっかり組まれているということがよいことではないかと思う。
       公民館の支援としては,人的支援,財的支援,物的支援の3つの支援に加えて,精神的な支援があり,目に見えないノウハウのようなものは,私たち一人一人の親にとって非常に大きな支援になる。それを「飴とムチ」と言っているが,時には優しく暖かい目で見守ってくれたり,時には厳しく突き放されたりしながらも,大人も育ってきたのではないかと思う。そういう相互の支え合いというのがある。
       サークル内でいろいろなことが起こるが,その際に年上の母親,OBの母親から大事にされた経験がある人は,次の世代の人も大事にしてあげることができる。上から大事にされ,そしてさらに下の若い母親たちを育てるという関係が支え合いの中で育まれている。
       公民館の支援のもとでネットワークの会をやってきたが,今度は地域に返すということをやっている。子どもたちが幼稚園,小学校に上がると,PTA活動,子ども会活動が入ってくるので,今まで身に付けたことを積極的に地域に返している。
       小学校の余裕教室を利用したふれあいルームも生まれており,青少年指導員や,子ども会,地域にいる保育士,そういう方たちと一緒に映画会などの事業をして一緒に子育ての思いを学び合っている。
       地域の中で子どもを思う団体同士のつながりがないというのが新たな課題であり,この10年の中で地域の中の団体をコーディネートする役割というものを模索してきた。青少年指導員や子ども会の役員たちともいろいろやりとりをしながら,少しでも地域の中で子育てができたらなと思っている。
       現状としては手薄であり,本当に一人一人精一杯いろいろな活動に手を出しているという状態である。そういう中で,次のリーダーや担い手を育成していかないといけないし,今のネットワークの会の母親たちもだんだんと年を取っていって,新しく入ってくる若手の母親との世代間のギャップや溝をどういうふうに埋めていくのかが課題である。
       中高生の子どもたちの地域での居場所づくり,活躍できる場づくりというのを意識してやっていこうと思っている。
       このほか,仕事を持つ親のサークルとの兼ね合いや,そういう方たちにもネットワークに足を運んでもらう方法,サークルや部会に参加できない親たちをどうやってサポートしていくかということも課題である。
       平成14年からの活動の中で,学校を出発点として,学校,地域の中で自分の子ども,周りの子どもたち,貝塚の子どもたちにどう取り組んでいけばよいかというところに主眼を置いている。今までは,子育てをしていてよかったと思える町になったらよいとしていたが,これからは住んでいて良かったなと思える町,高齢者まで含めてそういうふうに思える町になったらよいという思いを持ちながら活動を続けている。
     
          さらに同じ貝塚子育てネットワークの沼野さんから説明があった。
              (概要は以下のとおり)
       北校区ふれあいルームも最初は公民館が中心であったが,今はネットワークの会も含めみんなで活動を育てている途中である。公民館では他の団体の方と出会う機会は多いのに対し,自分たちが地域に帰った時のつながりが意外になかったが,ここで婦人会の方との関係が開かれた。私たちは,婦人会の方には「今の若い母親は。」などと言われるので苦手だったのだが,ふれあいルームの活動の中で「なかなかお母ちゃんはよう頑張ってるなあ。」と言っていただけるようになって,一緒に活動している。
       第一中学校の選択授業について。若い母親たちには保育も学びのひとつであると言っている。今は,保育に来ても我が子を見るのに精一杯でよその子まで見ることができない。それは我が子を抱くまで赤ちゃんを触ったことがないという母親たちが増えていることにある。そこで,土曜や日曜に講座があるときは,地域の中学生や高校生に保育に来てもらっていた。お兄さんお姉さんたちに遊んでもらう方が子どもたちに好評だったこともあり,中学生と若い母親をつなげられることを何かできないかといろいろ考えていたところ,「開かれた学校づくり」ということで,3年生の選択授業の中で地域の人を講師に迎えるという話があったのが契機となり参加した。
       当初,母親たちには,「中学生には保育は無理。」,「中学生に子どもを落とされたらどうするのか。」などといろいろ不満な声はあった。いざ実施してみると,参加した中学生が大事に赤ちゃんを抱いて,上手にあやしてくれる。一昨年は,いわゆる不良で,髪の毛を染めて,短いスカートを履いていたような女の子が赤ちゃんを上手に抱いたりし,今年参加してくれた男の子たちの中には,まゆげを剃った男の子たちで赤ちゃんを抱いている姿もあった。
       母親たちも「なんか中学生って,怖いと思ってたけど,あんないいとこいっぱいあるんやなあ。」と言ってくれて,それがよかったのではないかと思っている。中学生はみんな不良だと本当に思っていたという母親が,「いやあ,みんないい子なんやね。うちの子もあんなふうに中学生になっていくんやねえ。」と言ってくれたことが,選択授業に参加して一番よかったことである。逆に,中学生たちも,「母親って大変だな。」と言ってくれたり,妊婦さんのお腹を触らせてもらったりして,中学生と母親たちとのつながりができた。
       プレイパークは,小学生部会の母親たちが講座で学んでいる中で,今の子どもたちは遊んでいてもすぐに帰る時間を気にしたり,何人かいてもマンガを読んだり,ゲームをしたり,群れて遊べないなど,本当に遊びが下手になった。子どもたちは何をしているんだろう,遊び場とか時間とかそういうものがないのかという話になって,どうしたらいいんだろうと皆で考えた時に,公民館から東京の世田谷区の「羽根木プレイパーク」を教えてもらった。それを参考に,母親たちがボランティアとなって,子どもの遊び場づくりを行った。子どもたちの広場ということで,春休みの1週間,ゴールデンウイーク,夏休み,連休に開いたが,子どもたちが目一杯遊んでくれている。春休みなどは1週間開いていたら,「明日,この続きしよう。」と子どもたちが言って帰っていく。明日のことを考えて遊べるというのはよいと思って取組を続けている。
       ここでは子どもたちと中高生とを出会わすことを考えており,遊びのリーダーである中高生を育てるために,プレイリーダー養成講座という形で中高生の子たちにも来てもらっている。竹馬づくりや水鉄砲を作ることをお兄さんたちから子どもたちに教えるということをしている。
       父親たちも巻き込むために「アリ地獄大作戦」と言って,ちょっと手が足りないから来てほしいと言って頼むと,父親たちがだんだんとはまり,そこでよく遊び父親のサッカーチームができている。
       ネットワークの活動の中で,子どもがいろいろな大人に出会うことを大事にしているが,プレイパークの活動の中で,よその母親,よその父親というのを子どもたちが見て育っている。子どもが親以外に頼れる人がいるというのは非常によいと思う。
       貝塚市子ども広場は,子どもの放課後,普段利用する遊び場がほしいという話から,公民館が窓口になって空き地を貸していただけることになり,毎週水曜日開くこととなった。去年の夏頃から子どもたちが来ているが,水しかなく,テントもないが,どろんこになって遊んでいる。あそこで,あんなことをやってみよう,と思える場所があるというのがいいところである。
     
          続いて,門川委員より,京都市教育委員会における家庭教育支援のための取組について配付資料に沿って説明があった。
              (概要は以下のとおり)
       京都市では,明治元年維新により人口が下降した時に,「まちづくりは人づくりから」ということで,学制発布に先立つ明治2年に自分たちで金を出し合って,当時の自治組織である番組ごとに64の小学校を作り,地域ぐるみで運営した。行政としては,そうした伝統を生かし市民とのパートナーシップをキーワードに取り組んでいきたいと考えている。
       地域と結ばれた学校づくりの1つは「地域に開かれた学校づくり」,もう1つは「地域の子供は地域で育てるという環境づくり」をどう支援していくかということである。学校を核とした取組ということで,学校改革,教職員の意識改革から始めなければならない。学校が変われば,地域が変わる。学校サイドからは,そういう取組をしていきたい。校長,教頭だけが地域に顔を向けていて,教職員は学校の中だけ見ているということではなく,各学校に「開かれた学校づくり委員会」を作り,地域教育主任を設置し,地域社会全体を視野に入れた学校運営をしていくことを目指している。
       コンセプトの1つは,「知ってください」であり,学校の様子,取組,子どもの様子についての説明責任をきちんと果たしていこうということで,いろいろと取り組んでいる。いろいろな地域版の学校便りを作って,町内会,隣組で回覧板で回してもらう。またすべての学校でホームページを作成し,情報発信している。
       2つ目のコンセプトは,「学校へ来てください」ということで,自由参観日,参観週間等を設けている。実際に,北区の学校で,ある月は全部参観日とし,おじいさんもおばあさんもおじさんも子どものいない人も学校へ来てもらい,学校の子どもの生の姿を見てもらっている。
       3つ目のキーワードは,「知恵,力を貸してください」であり,学校支援のボランティアを子どものため,地域のために活用させていただこうということである。華道を小学校段階から取り入れたり,河合先生に桂坂小学校の6年生の道徳の授業に講師で来ていただいたり,地域にあるものをいろいろな形で使わせていただいている。
       4つ目は,「子どもたちが地域で学ぶ,地域から学ぶ」ということである。学校の余裕教室を活用して,すべての小学校に「ふれあいサロン」を設置しており,和室,ふれあい教室を設け,女性会や地域の老人会に昔遊びを教えてもらったり,裏千家の茶道などの活動もお願いしている。学校と地域社会との垣根をできるだけはずしていきたいと考えている。「ようこそ!まなびや」事業として,ふれあいサロンを使っていろいろな事業に取り組んでいる。
       京都には38の大学,短期大学があるが,大学と小学校がどう連携していくかということも考えている。
       学習機会の提供として,父親を対象とした家庭教育ウイークエンドセミナーや,シングルマザー&ファーザーの講座,就学前の子育て講座を開いている。情報発信のため,頭を柔らかくしてできるだけ読みやすい家庭教育新聞を作っており,15万部作成し,市内全保護者等に配布している。
       子育て支援総合センター「こどもみらい館」は,2年前に国公私立の垣根を超えた共同機構としての取組の拠点として開設したものである。教育と福祉と医療が三位一体となっており,医療相談や福祉の相談も行っている。開館2年半で来館者が70万人(1日平均:1.273人)になっているところである。
       運営には子育てボランティア500人が登録されている。電話相談ボランティアについては専門家による10回の講座を有料で受けてもらった後でボランティアをやってもらっている。このほか,子育てが終わられた方などにボランティアで来てもらっており,読書ボランティアも含め,毎日20〜30人のボランティアが「こどもみらい館」にかかわっている。
       子育てサークルとの連携としては,京都市内には約20の子育てサークルがあり,「こどもみらい館」に情報コーナーを作ったり,共同事業を実施したりしている。子育てのネットワークも両立させていきたいと考えている。
       現在,子どもカウンセリングセンター(仮称)の建設に取り組んでおり,約20億円をかけて建設し,来年の春のオープンを予定している。私立幼稚園も市内の全園で子育て相談事業をやっているほか,就学前,保育園・幼稚園の保護者を対象に「こどもみらい館」でも相談を受け付けている。
       地域の取組としては,3年前に「人づくり21世紀委員会」が,京都市内の教育・福祉,文化,スポーツ,医療,経済,マスコミを網羅した77の団体により,「今,子どもたちのために大人として何ができるのか,何をしなければならないのか。」ということを話し合い,行動するために発足した。3部会で構成されており,全市を網羅するとともに,各地域ごとのきめ細かい取組も行っている。
       また,中学校区ごとに「地域生徒指導連絡協議会」を作っている。小学校・中学校を単位とした取組と全市を網羅した取組の両方から一人一人の子どもに迫っていきたいと考えている。
       取組体制の確立として,「地域教育専門主事室」を平成9年に開設した。ベテランの校長36人により「開かれた学校づくりチーム」,「地域子供育成サポートチーム」,「学級崩壊未然防止サポートチーム」等を編成している。京都市は小学校に3,000学級ほどあるが,学級崩壊ではないかという電話が一本あれば,必ずサポートチームが出向いていって,いろいろな指導をし,手助けをし,未然に防いでいる。
       「家庭の教育力向上サポートチーム」を昨年の7月に設置したが,これは市民参加のサポートチームである。様々な事業をしても,本当に来てほしい人に来てもらえない。例えば,学校でPTAの講座を行う,あるいは出前教育講座を行うと言っても,本当に手を差しのべなければならない人に来てもらえない。行政は家庭までは入れないが,せめて戸口まで行って出前教育相談ができないだろうか。そういうことを目指してサポートチームを作っている。非常に難しい面もあるが,何とかしていかなければ問題の解決にはならないということで,取り組みはじめたところである。
       「道徳教育振興市民会議」は,市民ぐるみで道徳教育を振興していこうという趣旨で河合先生を座長に発足した。
     
      <質疑応答及び意見交換>
     
          貝塚市の公民館では,「開館以来歴代専門職的職員が存在」とあるが,地域で活動をしていると,例えば公民館あるいは児童館などの職員も公務員として2年ないし3年でほぼ替わってしまう。住民としてもやっとお互いに気心が知れて,気持ちの上で連携ができると思っていた矢先に替わってしまう。行政として地域教育,家庭教育を支援する上で非常に都合の悪いことが多い。地方公共団体の人事異動というのはそういうものだと思うが,そこを何とかできないか。
                 貝塚市の専門職的職員については資格などはあるのか,何年ぐらいいられるのか,引継はどうなっているのか,専門職的職員がいるためにどういう効果があったのか。
     
          制度として教育委員会要綱で取り入れたのは昭和60年で,それ以前は制度はなかった。公民館が誕生した時は文化ホールを持っていたので,文化事業を中心に公民館が回転していたが,年代ごとに公民館の活動が停滞せず,10年なり,20年なり,貝塚市の状況や市民の実態を見ながら,それに見合った活動に情熱をもっていた職員がいたということである。
                 昭和60年に制度化したのは,その2,3年前に職員が頻繁に替わった時に非常に職員チームとして苦しかったため,何とか専門職的な職員を制度化したいということで,当時の社会教育課長を中心に職員が話し合いながら,専門職制度を敷いていったということである。その時職員が話し合ったのは,社会教育分野でも仕事に携わるものが市民に専門的なことでいろいろ情報提供したり,相談にのったりすることが必要ではないかということである。社会教育分野では,嘱託も社会教育主事の研修に行っている。嘱託については専門職の位置づけをしていないが,研修をして専門的な資質を上げていくということで努力している。
     
          日本の人事ではどんどん替わっていく。本当は,替わらない方がよい人がどこの分野でもあるのだが,替わっていってしまう。
     
          長くいるとよいことも沢山あるが,時には新陳代謝も必要ではないか。長くいると刺激がなくなる。また,人間には相性があり,この辺の兼ね合いが難しい。それらをうまく組み合わせることが必要ではないか。根本的なものは変わらないが,多少のものが変わっていくということも必要だと思う。
     
          ネットワークができる過程や,ボランティア団体との関わり合いにおいて,人が替わっても,変わらないムードというか,変わらない精神が伝わっていく。また替わった人がいろいろなところで援助に来てくれるということをやっていかないといけない。
     
          貝塚では職員全員が専門職ではなく,替わる人もいる。長くいる人が誰とでも合えばいいのだが,合わない人がいたり,専門職の地位にあぐらをかいているような人がいると,専門職制度が悪い方向に行ってしまうので,そういったことを謙虚に考えていきたいと思う。3館の職員が毎月1回合同ミーティングをやって話し合いをしているし,他から替わってきた職員にも丁寧に関わっていこうと努力している。仕事や市民への対応で,こういう専門職員がいるからいいんだと言われるような専門職として勤務していきたいと考えている。
     
          貝塚の子育てネットワークの会だが,乳幼児部会,幼稚園部会,小学生部会,中高生部会と数多くの事業をされていて,中心的に運営を担っている方は20名程度と聞いたが,事業に伴う母親たちの負担感というのはどうなのか。また,ネットワークの会の発足の前に貝塚ファミリー劇場というのを作っておられたが,ネットワークの会とファミリー劇場と行政の3つの連携はどういう状況にあるのか。
     
          各事業のサポーターの人数はばらばらで,乳幼児部会は各サークルからネットワークリーダーが出て25名ぐらいで年間の行事をこなしている。幼稚園部会については5名,小学生部会は,5,6名と,まちまちだが,それぞれ活動してもらっている。一般の参加は,一応どなたでも参加できるということで,公民館タイムズなどを通じて,広く呼びかけている。一般の市民には単発で参加してもらうだけで,まだ運営などには入ってもらっていない。
                 自分の子どもに合わせた学びということで,自分たちのやりたい講座を自分たちで作っていくという活動をしているので,つらいのはある程度仕方ないと思っている。確かに,乳幼児部会などは,我が子を連れて自分たちの子どもの保育をしなければならないのに,一般の方の子どもを保育するのは大変ということもあり,その場合は先輩の母親などが一般の方の子どもの保育をするという形で講座を実施している。親子劇場とネットワークと公民館の関係については,ネットワークの母親の多くが親子劇場の会員でもある。
     
          公民館の職員が,リーダーの力量などを見て,つらいようであればカバーをしている。市民自身でできそうであれば,できるだけ市民の方にやっていただくということで,専門職員がそばにつきながら,活動自体をつぶしてしまうようなことにしないように細やかに配慮している。ファミリー劇場の方が文化ホールで何かを実施する時にはホールの借上料を公民館が負担するといったように,予算面でも支援している。
     
          事業の実施に至るまでの準備はどのようにしているのか。
     
          だいたい月1回の会議で話し合っている。講師を呼ぶ講座などは前段階から練っているが,普通の講座などは月1回の会議で内容等を話している。
     
          中学校で赤ちゃんを見せるのはよいことだが,全国でどれくらい行われているのか。
     
          京都市では,中学生に生き方探究チャレンジ体験ということで,週に連続して3日ないし5日,一つの学年全員に希望する体験をさせているが,保育所や幼稚園に行く子が結構多い。身近なところに乳幼児があまりいないということで,子どもにもよいし,お兄さん,お姉さんが身近にいないということで非常に好評である。
     
          文部科学省としては,高校生の保育体験を促進するためのモデル的な事業を行っている。保育体験が全国でどの程度行われているかということについて網羅的に把握はしていないが,全国各地で地域の実情に応じた様々な取組がなされているものと承知している。
     
          貝塚市でもほとんどの中学校で職場体験をやっており,その中に保育所や幼稚園も含まれている。
     
          保育体験は,いろいろな仕事の現場を見せるということの一環としても行われているが,このケースは幼児を扱うということに特化されている。私も「危なくないのか。」と思うが,事故などは今までにないのか。
     
          事故は起きていない。
     
          一般的にいうと,子育てサークルのようなものは,誰かが作って誰かが卒業して終わっていくという状況なので,4,5年で終わると言われている。行政から見ると,何かやっているという感じである。これに対して,10年というのは長い活動である。市民の意見を聞いたり,市民の要請について行政がバックアップするということで,子育てについてもものを考えていくと組織として継続していくのか。こうしてある程度固定化されたものが中長期的に計画されるには何か秘訣はあるのか。行政とのタイアップだということであればそれでもよいが,逆に言うとサークルを育てるということを具体的にどうやっているのか。
                 また,子どもにしろ,老人にしろ,一番難しいのが怪我や病気である。何かあったときにどうするのかという心配があるが,行政が関わった方が皆が言いやすいところがあるのではないか。逆に,これは個人事だから,何かあっても一切個人事であるということで一線を引かれているのか。
     
          ネットワークの会の活動が継続している一番の秘訣は学びがあるということである。ただの仲良しグループであれば,そのうち終わってしまうが,公民館などで学んでいるということで,自分たちのやっている活動が確かなものであると感じられる。学びの中で自分たちのやっていることは大事なことなんだと,それぞれが確信を持っている間は続けていこうという気持ちがある。他には,やれそうな人を一本釣りしていくことなどがある。
                 また,プレイパークなどでは,ナイフを使うし,のこぎりも使うので,保険に入っている。ただ,プレイパークのモットーが,自分の責任で自分で遊ぶと言うことなので,そのことをまず来てくれる子ども達には伝えているし,母親達も定期的に消防署に行って救急法を習うなどといった活動をしている。保険は掛けているが,ネットワークの活動には財源がないので,別途保険代を集めている。ただ,保険代100円と書くと,子どもがちょっとねんざしたぐらいで大げさに騒ぐ親もいるため,今は参加費という形でお金を取っている。ただ,親の方にはかなか自分の責任で遊ぶということが浸透しにくく,そこが難しい。
     
          スポーツ保険というのがあって,この講座に関わる人と主催者側全員にかかるということになっている。子どもを預け,もし万一何かあっても,ちゃんとフォローをしているので,預かる方も預ける方も安心ということになる。ネットワークの会は縦のつながりがあるというのが特長であり,研修会などで先輩の母親の話などを聞いて,今は大変だけど,もう少ししたら楽になるだろう,自分たちもこのようになるんだという見通しを持てることが,「今はつらいけれど,もう少し頑張ろう。」ということにつながっていく。
                 子育てサークルも5サークルが所属していることで,お互いの悩みが重なってくる。どのサークルでも起こり得ることをリーダーたちが情報交換をし,その中で解決の糸口を見い出すということがそれぞれの子育てサークルが長く続くということにつながっていくと思われる。
     
          縦のつながりという話だが,4,5年前に貝塚市で公民館の利用者が集まって公民館大会を実施した時に,沼野さんが「公民館に来ると,人生が一直線に見える。」と表現した。子育てを終わった方も来ていて,その方たちが学びながら地域で頑張っている姿を見ている。子育てネットワークやファミリー劇場で活躍された方が,今度は老いのところで頑張って,介護のネットワークなどで活躍されている。そういう姿を見て,本当に人生を見通した中で,今自分がここの位置にいるんだということを感じながらやっていける。それは個々人の学び合いでもあるし,グループ同士の学び合いでもある。
     
          以前,毎年,京都の若狭湾まで小中高校生を連れて行っていたが,代表を務めていたボランティアの人が,もしも事故に遭って訴訟沙汰になったら家が破産するという理由で去年でやめてしまった。こういうネットワークの活動というのは主体となってやられている方がどの程度本気になって楽しんでいるか,熱中しているかということでだいたいパワーが決まってくる。発表者の方は本当に夢中になってやっていただいていると感じた。斜めの関係も含めた形の縦の関係というのが今後の子育ての大きなキーワードになると思う。
                 北校区のふれあいルームはよい取組である。小中学校を,地域のカルチャーセンター,コミュニティセンターの中核組織として位置づけ,例えば小学校の7年生には70代の人,8年生には80代の人といったように,皆が学び出会う場を広げていったらよいと思う。
     
          貝塚の子育てネットワークは最初公民館主導で結成されたが,今年3年目になる新座子育てネットワークは市民側から公民館に働きかけて協力をしてもらってつくったという経緯がある。現在,各地から子育てネットワークをつくりたいということで相談があるのだが,行政側から仕組んでいくと,母親たちはどうしても受け身になってしまい,行政主導になって市民に戻っていかないという不安を言われてしまう。そのあたりは,15年前と今とで状況が違うかと思うが,先駆的に行われた立場から見て,行政が仕掛けていく際にどのあたりで市民側に活動の主体を移していったのか。運び方について,注意していた点,心がけた点などはあるのか。
     
          子育てネットワークだけではなく,文化活動などいろいろなことを個人からグループネットワークへと組織していった。自分の楽しみだけではなくて,身につけたものを地域へ返していこう,まちづくりまでつなげていけたらいいのではないかというものをずっと持っている。つらそうであれば,少し助けていき,市民側が達成感のようなものを感じながら,次の課題へ取り組むというのが重要である。続けておられる方の中には,自分達の活動をちらしで報告したり,記録もご自身でやっている方もいる。最初は,手取り足取りやりながらも,そのうちに自分達でやっていく。その時にリーダーを育成するというのも大事なので,進んでやる気のある人,失敗してもまたやるぞという方たちを中心に,全体として進んでいくように持っていくことが秘訣であると思われる。
     
          行政はサポートしているのがよい。引っ張っているとか,指導しているというものとは差が出てくる。また,褒めることが重要である。
     
          孤立感を感じているから,褒められたら,「何だ,私でも主婦になって子育てばかりで暗かったけど,こんなに頑張れるんだ。」という気になれる。自分を褒めてやりたい,主婦だってこんなに輝けるんだということである。
     
          ネットワークで活動されているのは圧倒的に主婦の方だと思うが,地域で仕事をしている母親達はどういう形で参加できるのか。
     
          乳幼児サークルなどはお昼の活動だが,中高生部会などは夜や日曜日に講座を開いて,働いている母親が参加できるようにしている。
     
          京都市では,開かれた学校づくりを進められている中で池田小学校の不幸な事件があったが,どういった防御策を講じながら,開かれた学校づくりをそのまま進めていこうとしているのか。
     
          池田でも大変な事件が起こったが,一昨年に京都の伏見で日野小学校事件もあった。12月21日に伏見区の日野で子どもが殺され,2月5日,犯人と思われる者が自殺するまで,ずっと逃走中し,保護者・市民を想像を絶する不安と恐怖に陥し入れた。その間,警察からは校門を閉めてほしいという要請があったが,京都市では日野小学校だけはマスコミが押しかけるので校門を閉めたが,全市の300の幼稚園,学校は校門を閉めなかった。
                 この事件を契機に,河合先生を座長にして専門家会議を立ち上げて,この事態をどう乗り切るかということをずっと考えてきた。その際の河合先生のアピールが,「開かれた学校づくりと子どもの安全確保というのは両立する,両立しなければならない。そのためには,人と人とのネットワーク,心と心のネットワークを作り切る。」ということであった。殺意のある人が殺しに来たら,校門を閉めても意味がないのであるから,頑張り切ろうということで,寒風吹きすさぶ中で,PTAも地域の女性会も体育振興会も皆で全市でパトロールをし,登校する子どもに声をかけていくという取り組みを実施した。
                 それを基にして,もう一度,例えば女性会であれば,「ぬくもりのある地域社会を作っていこう。隣のおばちゃん復活」ということで,学校に行く子どもを見れば,地域のおばさん,おじさんから声をかける。子どもが返事をしなくても声をかけていく。そのうちに返事をしてくるだろうという取り組みを進めている。
                 学校も,センサーや,監視カメラをつけるなど,できる限りの措置を講ずるとともに,全教職員が名札をつけ,名札をつけていない人がいたら,声をかけるようにしている。
     
          最近,公園デビューができなくて,同級生の子どもを殺してしまったという事件があり,本当に来てほしい人にどうやったら来てもらえるようになるのか,呼び込めるのかと思っているが,京都市の取組である戸口出前教育相談の実態と,どのような成果を上げているのかを教えてほしい。
     
          この問題に手を突っ込むことについては,教育委員会内部でもPTA等でもいろいろ議論をしたが,ここに手を突っ込まずに,できるところだけやるということであったらだめだろうということで,敢えて取り組んだものである。しかし,全市を挙げてすぐにはできないということで,まずは,小学校6校,中学校1校でもって,先進的な取組をするモデル校とした。PTA及びPTAのOBと,カウンセラーの講座を受けたサポーターとにより,井戸端会議的なものを繰り返しながら,あそこの親は大変だとか子どもも大変だとかいうところの戸口まで行って連れ出し,5人でも10人でも,座談会的なもの,井戸端会議的なものをやりながら,悩みを共有しながら,相談に乗っていくということを始めたところである。その中で,いろいろな悩みを初めて打ち明ける方もいて,本当に悩みを抱えているのだと感じている。まだ始まったばかりなので,非常に難しく,なかなか来てはもらえないが,ますます孤立されるということではあってはならないので,威圧感を与えないように温かくねばり強くやっていくつもりである。
     
          公民館でも,来られない方をどうするのかというのは大きな課題である。ファミリー劇場は会員制度で費用がいるということもあり,公民館やネットワークという枠を外して,一市民として,地元に帰ってもっと公民館で学んだことを生かしてもらいたいと考えている。公民館で育ったリーダーが地元でPTAや子ども会のお世話をしたり,公民館や会員制度のあるところで活動できない親の子どもたちも一緒に活動してもらっている。その拠点となるのが学校ではないかということで,北校区のふれあいルームについてはモデル的にやっていただいている。
     
          校区内で全市的に刺激しあいながら,学校を拠点に地域社会の連携を広げていくためには,母親が中学校に行った時に母親と学校をつないで連携を助けるといった,コーディネートする人がこれから非常に重要になると思う。
     
          参観週間は,学校にお年寄りも含めて皆が行き,子どもたちが「僕たちは地域の皆に見られている。」と感じ,学校の先生も「地域の人達が関心を持って学校に来てくれているんだ。」という気持ちを持つので,連帯感をつくるという意味でもすばらしい。
     
     
       最後に河合座長より,1月18日付けで文化庁長官に就任することに伴い,委員を辞任する旨の報告があり,次回から大日向副座長が座長に就任することとなった。
     
       事務局から,次回は2月7日(木)に開く旨の報告があり,閉会となった。
     
              (男女共同参画学習課家庭教育支援室)

 

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)

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