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調査研究協力者会議

2001/09/18 議事要旨

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会(第1回)議事要旨

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会(第1回)議事要旨

1.日時

平成13年9月18日(火)  10:30〜12:30

2.場所

霞が関東京會舘「エメラルドルーム」(霞が関ビル35階)

3.出席者

(委員)

大下委員、大日向委員、河合委員、北村委員、河野委員、兒玉委員、坂本委員、嶋崎委員、福内委員、宮崎委員

(文部科学省)

池坊政務官、近藤生涯学習政策局長、寺脇審議官、名取主任社会教育官  他

4.議題

  • (1)今後の家庭教育支援の充実について
  • (2)その他

5.議事

  • 池坊大臣政務官より挨拶があった。
  • 河合委員が座長に選出された。また指名により大日向委員が副座長となった。
  • 会議内容の取扱についての了承がなされた。
  • 事務局より配布資料について説明があった後、最近の家庭をめぐる状況と課題等について意見交換が行われた。(主な意見は以下のとおり。)

<家庭教育一般について>

  •   子どもを育てるのは家庭であるという大原則の上で、地域や学校が大いにサポートしていくことが重要である。
  •   家庭教育としては、「我が家の価値観」、「我が家のルール」をつくることが重要で、地域では、高齢者等に「地域の先生」となってもらって子どもたちに地域のルールを教えてもらうといったことが必要。
  •   「我が家のルール」を子どもたちと一緒に作っていこうとすることはとてもよいことであり、皆が実行していくようにすることが重要である。
  •   子ども同士で教える子どものルールもあるので、「ガキ大将」を養成して異年齢の子どもの交流を促進することも重要。
  •   倫理観、職業観、人生観、創造力、企画力、計画力といったものは、企業の研修で身につくものではなく、原点は家庭教育にある。
  •   子どもを産むと同時に親になるのではなく、子どもの成長とともに親も成長していくものなので、若い親は、過度に緊張せずに気楽に子育てをして欲しい。
  •   子どもを持つことが幸福な出来事ではなく、「人生のリスク」のように考える人が増えている。

<家庭教育に対する支援の在り方について>

  •   現在は、父親だけでなく、母親も「親になっちゃった、困っちゃった」という感覚のようであり、親になる前に親になることを考えるような立ち止まりが必要なのではないか。同時に、子育てには多くの喜びがあることを、どうしたら若い世代の親に理解してもらえるか考えることが重要。また、今の親の○×式の思考法が多様な生き方を容認できないことにつながり、過干渉や放任といった極端な現象を生んでいるのではないかと感じている。
  •   これ以上追いつめてはいけないといったがんばり方をしている親もいれば、無関心な親もおり、今後は、一人一人の親に合わせた支援をしていくことが望まれている。家庭をめぐる社会の環境が変わっているので、子育て支援は「親育て支援」という考えの下に親の生活を支援することが重要。はじめから立派な親がいるわけではなく、親が育っていく可能性を信じることを基本とすべき。
  •   家庭教育は親の責任であると同時に、親の権利や喜びでもあるということを保証するような方向の支援ができればよい。
  •   若い親は昔の親とは違った形態で社会に参画しているとともに、子育ての目標も確固たるものではなくなっているので、40代、50代の年齢の人が、今の親に対して「自分たちの子育てはこうだったからこうすればよい」といった成功体験に基づいた話をしても通用しない。「子どもが人生」という生き方では納得できないという姿勢が求められているので、まず、親の人生があって、その上に子育てがあるといった形で若い親を納得させる仕組みが必要。
  •   親が自分自身で選択していくことや親の自立を支援するということが、時間はかかると思うが、重要なことである。
  •   子育ての当事者に軸をおいて施策を進めていくことが重要である。
  •   幼稚園児の親は多様化しているが、問題が起きた後で正常に戻すのは非常に大変である。母親に「お母さん先生」という形で幼稚園の教育に参加してもらうといった、親のすばらしいところを活かしていく取組みが重要である。

<家庭教育に関する学習機会の提供、子育て支援のためのネットワークの充実について>

  •   出産から1歳6ヶ月、3歳、小学校入学時と手順を踏んで子育てのことを勉強していくことは意義があることで、中身の充実を図るべきである。
  •   親は乳幼児健診に参加すると言葉が遅いといった問題を指摘されると思っている。うまく親を安心させてあげることが大切だと思う。
  •   親になるための親教育が重要。また、妊娠期の子育て講座の中に、仕事への復帰の方法といったキャリアに関する視点も取り入れて欲しい。
  •   子育てサロンに来る親は、従来型の学習機会を求める親とは違った多様な人である。子どもと手遊びなどしながら、ちょっと近所の先輩ママ等と話をするという学習スタイルのネットワークが広がっているが、社会教育の関係者のこうした学習スタイルについての理解がまだ十分でないので、社会教育の関係者にこうしたスタイルをもっと理解して欲しいと感じている。
  •   子育てネットワークが市区町村単位でできていくことが支援の受け皿となっていくので、ネットワークの形成の支援に力を入れて欲しい。

<父親の家庭教育参加について>

  •   父親にとっても子育ては自分のためになる。子どもは、親が子どものためにしたことの何倍ものものを返してくれる。子どもと接すること、地域社会で集うことによって、生きることの充実感や達成感が与えられる。今は父親になることの通過儀礼のようなものがないが、父親学級は、学習という意義があるほかに、男を職業人から解放して個人に戻してくれる。地域でネットワークをつくり、父親が自分自身を見つめて地域のおやじの役割をするような居場所を提供することが家庭教育への支援につながるのではないか。
  •   父親が仕事上の責任も出てきて、忙しくなってくる時期に、ちょうど子どもが思春期にかかる。子どもの壁になって対決することが求められる存在として、この時期をどう乗り越えていくのかが家庭教育の上で大事である。時事通信が今年の6月に実施した「父親の育児参加に関する世論調査」によると、「父親は時間の許す範囲内で育児に参加すればよい」という回答が最も多いが、これでは、いつまでも問題が解決しない。男性が意識を変え、子育てを自分の人生の課題として受け止めるようにするための意識改革の面での支援の在り方を考えていきたい。
  •   家庭教育手帳等の支援が母親どまりとなっていて父親まで届いていないのではないか。特に、30代、40代の男性は、自分の転勤と子どもの教育、共働き、不登校といった、ライフの課題を多く抱えており、父親に必要な情報を伝える方法を考えていきたい。

<家庭教育に関する資料について>

  •   資料を読んでもらうための工夫がもう少し必要ではないか。
  •   家庭教育手帳はもらえば使うようになるので、配布してもらえるのはありがたいことであるが、地域のネットワークの中でもらった人の方がよく利用する。
  •   資料は読み解くための仕掛けがあってはじめて効果を持つのではないか。真面目な親は資料の内容と子どもの姿とを比較することによって悩んでしまうという面もあり、資料を教材として考える組織とワンセットになった活用が重要。
  •   幼稚園では、一部分を印刷して渡すとか、子育てに関するマンガなどと一緒に本棚に置いてみるといった工夫をするとより多く読まれている。
  •   子育ては私的なものであるということから考えると、公的機関による支援は議論が出るものであるが、世の中の変化を考えると、資料のお行儀の良さというものをもっと下げても顰蹙を買うといったことはないのではないか。
  • 次回日程は別途調整することとし、閉会となった。

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)

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