令和8年7月16日(木曜日)15時00分~17時00分
文部科学省 15F1会議室 ※対面・WEB会議の併用 (東京都千代田区霞が関3-2-2)
【堀田座長】 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまからデジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議(第3回)を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、3名、工藤委員、野澤委員、山口委員が御欠席でございます。また、中川座長代理、市川委員、内田委員、田邊委員、松下委員がオンラインでの御参加、そして、それ以外の委員は対面での御出席となってございます。
本日は、冒頭の撮影の希望がありまして、それを許可しております。事務局の指示に適宜従って御協力いただければと思います。
それでは、事務局より、連絡事項等、よろしくお願いいたします。
【西田教科書課課長補佐】 本日の会議開催形式及び資料につきまして御説明させていただきます。今回の会議は、前回と同様、対面、オンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催でございます。前回同様、報道関係者と一般の方向けに会議の模様をユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきください。ユーチューブ配信用の音声は、会議室中央にございます音響機器でまとめて使用してございますので、対面の委員におかれましては、御発言時も含め、お手元のタブレット端末のマイクはミュートのままにしていただきますようお願いします。カメラにつきましては、御発言時も含めて、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですけれども、議事次第に記載のとおり、資料1から4、加えて参考資料が1から5となっております。委員には紙でもお配りしておりますけれども、お手元の端末でも御覧いただけます。御不明な点がございましたらお申しつけください。
では、冒頭の撮影はここまでとさせていただければと思います。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。事務局からの事務的な御案内は以上でございます。
【堀田座長】 ありがとうございました。
それでは、早速議題に入りたいと思います。まず、前回に引き続きまして、議題1は、「紙・デジタルがそれぞれ効果的な学習場面について」でございます。前回会議では本議題に関しまして、小学校・高等学校それぞれを代表する委員から、児童生徒の発達段階とか各教科における活用例も含めて御発表いただいたところでございます。また、教科書発行者と教材発行者を代表する委員から、現行のデジタル教科書に含まれるコンテンツ、あるいは教材・学習支援ソフト等について御発表いただいたところでございました。
今回の会議では、同様の議題の下ですが、認知科学を御専門とされる柴田委員からまず御発表いただく予定です。また、特に外国語、英語における現行のデジタル教科書、これは一番国として予算を投じてきて、学校現場で一番使われているわけですけども、その活用例につきまして、東京家政大学人文学部の太田洋教授をお招きしておりまして、太田先生に御発表いただくということになります。
それでは、まずは柴田委員から御発表をよろしくお願いいたします。
【柴田委員】 それでは、発表させていただきます。よろしくお願いします。スライドの投影をお願いします。
本日のタイトル、「道具が思考を変える~認知科学から見たICTツール~」というタイトルで発表させていただきます。よろしくお願いします。
では、次お願いします。次スライドお願いします。私、ふだん90分で講義することも、講演することも多いんですけども、今日は15分ということで、ハイピッチで進めさせていただきます。頑張ってついてきてください。よろしくお願いします。
自己紹介、最初、私、大事だと思うので、ちょっと話したいと思いますが、私、目指すところ、「人を賢くする道具を作る」ということです。今、AI、ブームです。コンピューターがどんどん賢くなっている。ただし、私が目指す方向性というのは少し違う。私は、私を賢くしたい。そのために研究を行っているということになります。
20代の頃から、そしてコンピューター科学をやりました。ユーザーインターフェースの研究をやってきました。そしてコンピューターを使って何とか人間知的にしたい。そう思っているんですけども、もちろんコンピューターって、大量データ処理もしくは高速データ処理、これは非常に得意なところなんですけれども、人間のベーシックな能力である読み書きをサポートするとなると逆にうまくいかないところが出てきたりなんかする。
もっとうまくやっているものがある。紙と鉛筆だという話なんですね。紙と鉛筆って、CPUも何もない、コマンドも一切ない、コンピューターに比べたらできることが圧倒的に少ない。なのに、読み書きをうまくサポートする。そうしたら、その秘密を解き明かす必要があるかな、私、そんなことを思いました。
そしてやったのが認知科学です。紙を見て人は何を感じ、何を考えているのか、そこを解き明かす必要がある。そして、その秘密をコンピューターツールに生かしていきたいと私は思っているわけです。
そして私は専門はといったら、2つのこと言いますね。ユーザーインターフェースデザイン、すなわちコンピューター科学です。それから、認知科学ですという話です。
今、私の研究室ではコンピューター科学の方が圧倒的に多いです。私、学生には、文系であろうと理系であろうと、コンピューター科学しっかりやってくださいね、これから非常に大事な学問ですよということを言います。ただし、そういう私が、今日は少し視点を変えて、コンピューターの弊害に焦点を当ててみたいと思います、という話です。
紙と鉛筆に学ぶICTツールの開発。そして今日は認知科学の話に入っていきます。やっていきますね。
次お願いします。最初、読みの話をします。
次お願いします。読みというと、皆さん、例えば、左側にあるジャン・フラゴナールの「読書する少女」のあの絵をイメージするんじゃないのかと思います。非常に静かなところで、静かに何分間かに1回ページをめくり、ぱら、ぱらと、そういう情景をイメージするかと思うんですけども、例えばこれ教育に携わっている人というのは、多くの場合、右のスタイルですね。たくさんの資料を並べて、非常に手を使うことも多いということを言いたいです。
次です。次お願いします。目で見るだけだったら、紙で見ても、ディスプレーで見ても、現状のディスプレーはかなり高品質な文書を出しますから、読みのスピードであるとか、理解度であるとか、そうそう大きな違いは出てきません。
ただし、読むということは、目で見るというだけのことではなくて、手も頻繁に使うんですね。例えば、ページをあっち行ったり、こっち行ったり、そして複数の文章を比較して、位置をずらしたりとか、そんなことも行われますし、1つのページに関しても、指でなぞったり、書き込んだり、そんなことなんかが頻繁に行われる。すなわち、人は文章を読むときに、目だけじゃなくて手も使っているということですね。そして私がこれまで行ってきた実験を踏まえると、手を使う頻度が増えれば増えるほど、紙のよさというのは顕著に表れてきますということです。
そういうことを踏まえて、私はこう考えています。紙は、見やすいのではなくて、むしろ扱いやすいのだということですね。紙のよさを強調するならば、私、こういう言い方をします。紙は表示メディアというよりも操作メディアだということです。もっと言います。見て何ぼじゃない。触って何ぼだ。それが紙のよさだと、そういう言い方を私したりなんかします。
次お願いします。私がやってきた実験というのは、多くの場合、大人を対象にしているんですけれども、例えば子供を対象にした場合というと、実は目で見るということが主眼であっても、結構違いが出てくるんですね。すなわち、大人は読み書きの能力が確立されています。子供は、今これから確立されていかないといけない。そういう子供において、道具の若干のよしあしの違いということが大人以上に子供は顕著に表れるんだと私は考えています。
幾つかサンプルの例をお示しします。例えば紙の方が理解度が高い。この引用がついていますけれども、青は、これ小学生の実験になります。そして緑は、レビュー・メタ分析といって、複数の実験を総括的に扱った、言ってみればより信憑性の高いデータという、サンプル数が多いという意味で信憑性が高いと言ってもいいかと思います。
そうすると、紙の方が理解度が高い。そんなことが言われています。特に長文で高いと言われています。さらに文章の種類でいったら、物語よりも説明文で高いと言われています。そして、感度が高いのは、むしろ低成績群よりも、ふだん高成績な子供の方が道具のよしあしに感度が高いと言われています。
そのほか、例えば、ほかのことは、ちょっとここに書いていることを見てください。時間の関係上、今日はちょっとスキップしようかなと思います。
では次お願いします。パフォーマンスの違いじゃなくて、今度はプロセスの違いですね。紙とデジタルでどういうプロセスの違いが生じるのかという話をします。そうしたら、デジタルでは読みが浅くなる傾向があると言われています。これ、shallow hypothesisといいます。デジタルを目の前にすると、早く読むというわけなんですね。そして、読み返しや読み飛ばしというのが結構多くなるとも言われています。あと、マインドワンダリングといいまして、ちょっと上の空で別のことを考えている。そんな時間帯なんかも多いというようなことも結果としては上がってきています。その理由としては、デジタルでは、結構すいすい、例えば短文を見たりとか、スライドしたりとか、そういう読み方をふだんすることが多いので、やっぱりデジタルで文書を出して読んでくださいというと、ふだんと同じような読み方をするためではないのかなというようなことが考察として言われています。
あと、デジタルでは処理モードが変わると言われています。例えば文書を読ませて、結局どんなことを言いたかったのとなると、紙の方が結構成績がいいというわけです。それに対して、デジタルは、逆に細かな、例えば何年に何が起きたとか、何のイベントがどうだったとか、そういう細かな文レベルのことにおいて注意が向くようで、そこの成績がよいと言われています。
理由は、これは考察レベルであるんですけれども、デジタルでは認知負荷が高くて、その状況で読むということを考えたら、推論が必要な要約であるとかいうことよりも、事実ベースの細かな文レベルで解決がつく、そういう具体的なことの方が処理がしやすいんですね。だからそういう処理になったのではないのかなということが言われています。
次、3つ目です。デジタルでは分かった気になりやすい。パフォーマンス比較すると同時に、どちらの方が成績よかったと思いますかと、そんな質問をするんですね。そうすると、結構多くの人がデジタルの方がよく理解できました、効率的に作業できました、テストの成績もいいと思いますという返答をすることが多いです。ところが、同じ人に関して、データを分析してみると、実は逆の結果が出ているということもしばしばあるということです。
こういう現象は、私がやっている実験においてもしばしば出てきます。結構経験のある人よりも、若い人、いわゆる学生とか、もしくは学生を卒業して入社1年目、2年目ぐらいの方がそういう傾向が顕著に出てきます。紙の方が理解できますという、ごめんなさい、ディスプレーの方が理解できますと言います。ただし、実際の評価の結果は逆に出ることがあると。すなわち、人は、自分のことは自分が一番よく分かっているなんて言いますけれども、時にそうでない現象があるということですね。正しく自分のことを判断できない、そういうことがありますということです。
では次お願いします。今度は手書き(手描き)の話に入っていきたいと思います。
次お願いします。プリンストン大学でこんな実験が行われました。はい、今から講義するよと。半分はノートPCでメモを取ってくださいねと。残り半分は紙に手書きでメモを取ってくださいと。そんな実験を行うわけです。後でテストするよ、よく聞いてねと。で、テストをします。そうしたら、成績は手書きの方がよかったですと。
メモを回収します。そうしたら、メモの長さはPCの方が圧倒的に多かったんですね。すなわち、PCでは大量にメモを取っていながら、講義内容を実は覚えていなかったということがあります。メモの内容を分析しています。そうしたら、PCでメモを取った人は、先生の発話内容との重複が多いんですね。つまり、先生が言っていることをそのままメモにするケースが多いというわけなんです。これって何だろうって考えると、考えないで先生が言っていることを機械になってただ入力しているのではないのかということが考察されるわけです。言ってみれば人が入力マシーンになっている状態です。ただ、こういう能力というのは、今はっきり言ってAIの方が圧倒的に人間なんかよりうまくできますから、こういう能力を人間がマスターするということにほぼ意味がないと思われるわけです。
それに対して、手書きでメモを取った人は、先生の発話内容との重複が少ないです。先生が言っていないことをメモ取っているんです。先生が言ったことを自分の言葉に置き換えて、もしくはその中から重要なものを選んで、もしくは自分が考えた結果をメモを取っていた。すなわち講義を聞きながら考えていたんですね。その上で、少ないメモ。それがいい成績につながったと考えられるわけです。
この実験、非常に面白いことがあって、追加実験が行われています。はい、皆さん、注意してくださいよと。私が言うことをそのままメモを取るのではなく、自分の言葉に置き換えてメモを取ってくださいと教示を与えます。結果は変わりません。すなわち、人は心がけでは自分の行動を変えられないということがあるということですね。それが全ての場合がそうだというわけではないんですけど、特にそういう現象があるということなんですね。だからこそ、ユーザーインターフェースというのは意味をなすんですね。これは要は心がけではなくて、道具を与えられたら、道具こそが人の行動を決定してしまう。そういうことが時にあるという話です。
次お願いします。どうしてそんなことが起きるのかというと、私、こんな実験をしてみました。文書を与えて、キーボードでメモ取ってくださいと言うわけです。そして一方には手書きでメモを取ってくださいと言うわけです。それと同時に、目の前のディスプレーにどんどんどんどん単語を出していきます。同時に単語も覚えねというわけです。そうすると、手書きの方がよく覚えられます。タイピングでメモを取る人の中には、タッチタイピングができて、非常に高速にメモを取れる人がいます。そういう人でも結果は変わりません。高速にメモが取れますから、時間が余るはずなんです。余った時間で覚えればいいじゃないか。そういうわけにはいかないんですね。それはタイピングしていながら、実は頭がタイピングに集中していたんですね。手書きの場合には、書きながら頭を単語を覚えるということに使えたということなんですね。
多分この話をしたら非常に納得いくんじゃないのかなと思いますけども、私、タッチタイピング歴が30年以上あって、非常に高速にタイピングできる自信があります。ただし、タイピングしながら講義は絶対にできません。私、コンピューターサイエンス学科にいるので、周囲にはタイピング速い人はたくさんいますが、私が話しかけると、大抵タイピングが止まるか、もしくは会話がストップするか、どちらかになりますということです。
それに対してこんなことを考えてみてください。黒板に対して何か物を書きながら講義ができないなんていう先生、私は見たことがないです。これ全員できるんです。というくらい、そこには決定的な違いがあるということを言いたいわけです。
次お願いします。今度はタイピングではなくて描くということを考えてみたいと思いますね。哲学者のシェーンがこんなことを言うんですね。描くという行為、それは頭の中に描きたいものがあって、それを外に出すという外在化のプロセスとは違うんだよと。人は描いたものを見て考えている。もっと極論を言うならば、描いているその最中にも頭は働いているんだよということを言うわけです。だから、描ければいいというわけじゃないと。描き方、そのプロセスがとても大事だということを言うわけです。
次お願いします。じゃあ、描き方がどう違うのかということを見てみたいと思います。アナログで例えば私がこの線を引くという場合、こんな感じになります。これは私、線を引くなんて意識しているわけじゃないんですよ。手が動くんです。そして、そこに線のようなものが描かれたということを、私、後で認識するというプロセスになります。だから、アナログの場合にはこうなります。描いてから考えるんです。
それに対して、デジタルで、例えばパワーポイントであるとか、もしくはドローツールなんかをイメージするといいと思うんですけども、まずは線コマンドを選んで、そして始点を選んで、終点を選んで、そしたらパチンとそこに真っすぐな線が描かれるということになります。このプロセスはこうなります。描く前に何を描くかを宣言しないといけないということですね。だってコマンドを選ばないといけないですから。コマンドを選ばないと何も起きないですからね。
だから、ストローク一つ一つに意思決定のプロセスが違うということなんです。描いててから認識するということとは、まず何を描くか宣言しないと描くことができないと、そういうデジタルの世界との違いですね。これが思考の弊害として時に機能して、デザインを誤った方向に導きかねないという話です。
次お願いします。もう一つデジタルの表現ってちょっと問題があって、描かれたものが整っているんですね。きれい過ぎるんです。しかも何度でもやり直せるんです。ここちょっと下のところに、平行でない2本の線がありますよね。これ平行でないですよね。平行にできますよね。何となく気持ち悪くて平行にしたくなってしまう。そして平行にしようと思ったら、これパワーポイントなんかだと、選択して平行とやるとバチンと平行になるわけです。で、平行にしちゃうというわけなんです。これはっきり言って1ピクセルでもずれていたら、人間の目ってすばらしいもので、ちゃんと気づきます。そして平行じゃないな、何となく気持ち悪いなと思います。
そして右側の方に、これちょっと公園の絵があるんですけども、例えばデザインってどんなんだろうとなると、公園の絵を私どんなものを描くかって決まっているんじゃないんですよ。公園の全体のレイアウトを描こうと思ったら、まず、線を描いてみて、そしてベンチどこに置こうかなと。ここにビルがあるんだなと。そうしたら何時ぐらいに、これは日陰になる、日なたになる。日陰で弁当を食べてもらうにはどうしたらいいだろうと。さらに遊具も置きたいという、そういうニーズもあると。そうしたらベンチからどれぐらい離すべきなのと。そういう、そこでのワークスタイルなりライフスタイルをそこで考えるべきことなんですね。
ところが、それって非常に難しい。悩む。悩んで筆が進まない。そうしたら、筆が進まないと私何にも仕事してないように見える。そこに中途半端に整った平行でない線があったら平行にしちゃいますよね。そして、それをどんどんやるわけです。私は何かの作業をした。作業をして、仕事が進捗しているかのように一遍見えるわけです。その実、デザイン問題はどうなったのというと、全くデザイン問題は解決せずに、これ全てがそうなるとは言わないですけどね、時にデザイン問題から離れて、右下の方にある直線的な整ったベンチですよね。きれいな絵です。これは何のデザイン問題でもないです。単にきれいな絵を描いただけ。こういう問題に問題がすり替わってしまうことが時に起こってしまうことがあるということです。
これはプロのデザイナーは非常によくこの点は心得ています。だからこそ、初期の段階には意図してCADは使いません。最終的な提出は絶対CADです。ただ、初期はアナログでやりますという、そういうデザイナーが多いです。
次行きましょう。ここからは私がデジタル教科書のやった実験をちょっと紹介していきます。これはまだ未発表の研究のため、結果、特に数値に関しては、ちょっと本日、簡略化、省略させていただきます。
次行きましょう。とある小学校で私実験を行いました。小学校1年生対象に算数の授業です。1クラスはペーパー、紙を与えて、もう一つのクラスはタブレットを与えて、それで振る舞いがどう違うのということを分析します。これ体育館でやっているのは意味があって、多角的にビデオ撮影しているんです。正面からと、ペアで作業させていて、それから後ろの方から肩越しに、タブレットに対して何するの? 紙に対して何するの? とビデオに撮っています。それを後でビデオ分析してという、ちょっと手間のかかる実験をやっています。
次行きましょう。算数の問題としては、こんな問題を出します。これ、リンゴ、青リンゴと赤リンゴが何個かあって、「つぎの式をつくった人はどうかんがえてかぞえたのでしょうか。絵をかきながらとなりの人にせつめいしましょう」。問題1は4+5+5+4+2と。問題2は12+8。この2つについてどう考えてこの式をつくったのか説明してくださいって。小学校1年ね。
次お願いします。課題1はというと、課題1、左側の方にあるんですけど、そしたら、これ多分皆さんすぐ分かると思うんですけど、1、2、3、4、5と番号振っていますけど、この順に対していけば、4+5+5+4+2というふうにすぐ答えが出るということになるわけです。
次、課題2です。今度、12+8はというと、こちら2つのアプローチがありますね。1つは、こっちの籠アプローチと私が呼んでいるもので、そうしたら、青線で囲ったところの籠3つを足せば、これが5、5、2なので、12になるんですね。12、それプラス残ったもので足して8という、これ、籠ごとに分類するアプローチです。右側の方にあるのは、今度は青リンゴと赤リンゴと色ごとに分類する色アプローチですね。これ、皆さんが見たら、両方あるねとすぐ気づくかと思うんですけども、これ小学生を対象にした場合、最初の課題1で、籠ごとに分類することになっています。そしたら課題2も同じように考えるんです。そして圧倒的に籠アプローチの方が多いんですと。
これ先生に相談したところであると、色アプローチというのはちょっと発想の転換が必要かもねと、小学校1年生にとってね、と言います。
結果はこうなります。課題1、課題2とも、正答率ともに、紙とデジタルで違いはありません。ただし、課題2でアプローチに違いが見られるんですね。発想の転換が必要だと言われる色アプローチについては紙の方が優位に多かったということがあります。
次お願いします。振る舞いを分析しています。何で紙で色アプローチが多かったのかという話に入っていくわけです。プロセスの違いがあります。タブレットでは、意図せぬ振る舞いが多かったということです。ページをめくろうとしたんだけれども、実はめくれなくて書き込みがなされたとか、あと、もしくは青色で書き込もうとしたんだけれども、実は違う色が選択されていたとか、そんなことなんかが結構あります。こういうことはきっと思考を中断させた可能性というのは十分にあるでしょうねという話です。
次、タブレットでは、描き直しが多かったわけです。消す回数が圧倒的に多いんですね。消して何を描くかって、結果同じものを描くんですよ。すなわち、サイズがちょっと違う、大きくしようとか、要は、きれいなリンゴを描こうとするというわけです。数えるんだからただ丸を描けばいい。それなのに、何かちょっと、これちょっと線が交わっちゃった、もう一回描き直しとか、そういうことを一生懸命やるようになるというわけです。中にはリンゴを塗り潰すケースなんかも多くなります。あと、中にはリンゴのへたまで描くとか、ちょっときれいなリンゴを描こうとするケースが多く見られました。
これはこれでいいことだというふうにも取られますけれども、算数の本来の目的とはちょっと違うだろうという話です。
次です。紙では発話が多くありました。議論が活発だったと考えられます。
あと、紙では、内容分析して、課題に関する発話というのが多かったですね。問題をよく考えた形跡が見られましたと。
あと、紙ではアイコンタクトが多かったということになります。すなわち、隣の人とのコミュニケーションで顔を見て話すというんですね。それに対してタブレットの場合には、タブレットを下に置きますから、下を見て、相手の顔を見ないで、ねえねえ誰々ちゃんと言いながら画面を見ながら話すということが多かったということがあります。
それを踏まえて、こうしたプロセスの違いが紙で発想の転換を可能にしたのではないのかと考えられますということです。
次です。道具の使い分けの話をしてみたいと思います。ちょっとまとめに入っていきますね。提言です。コンテンツが同じでも、道具が変わるとパフォーマンスが変わるということが、時には思考も変わるんですね。
人は心がけで自分の行動を変えられないことが時にある。道具が思考を決定することもあるわけです。だからこそ道具の選択ということは大事なわけです。同じものが表示できればいいというわけじゃないということを私言いたいんですね。
さらに、人は自分のことが時に分からない。先入観で判断しがちなんですね。だから、デジタルの方が理解度が高いと思っていたにもかかわらず、実は逆だったということも時にはあるんだよと。人は時に道具の選択を誤る。実践も大事だが、時に客観的・科学的な判断も必要であろうと思います。
さらに、できるを重視し過ぎない。そんなことも大事だと思いますね。これまでできなかったことができるようになる。このメリットって誰の目にも分かりやすいんです。しかし、その手のことは常にこれまでできていたことが逆にできないようになるという側面を常に伴うんですね。そこにフォーカスするということも私大事だと思っています。おのおののメリット、デメリットを冷静に判断する目、それが多分必要だろうなと思います。
それから、タブレットっていろんなことができます。便利です。何でもできる汎用デバイスは何をするにも最適でないアーミーナイフのようなものではないのかなと私は考えているわけです。
例えば料理をするとなって、アーミーナイフで、これ、持ち運び便利だからってアーミーナイフで料理する人はいないですよね。大工だって、アーミーナイフで家建てようなんて考えないですよね。みんなそれぞれの専用デバイスの方がやっぱり使いやすいというわけなんです。
例えば、エスキモー、雪を表現するのに50以上の言葉を持っていると言われます。雪を毎日見て、それが生死にも関わる、そういう状況において、白いものを見て、雪なんて呼んでしまうわけにはいかないというわけなんですね。我々日本人は雪という単語しかないですよ。湿った雪、乾いた雪、形容詞でもって補って雪を表現するわけです。ところが、エスキモーの人が見て、湿った雪と乾いた雪は全く別物であって、別世界であって、同じ単語なんかで呼べない。だから違う単語で呼ぶ。それがプロの物の見方だと思うわけです。
そうしたら、我々、読む。本当に単語一つでいいんでしょうか。我々が読むということを本気に対峙するならば、読みにも実はいろいろありまして、複数人で読む状況もあれば、複数の文書、単一の文書、さらには内容に書き込んだりするときもあれば、しないときもあれば、それら様々な読むという状況において、この状況は紙がいいでしょう、この状況はデジタルがいいでしょう、デジタルだっていろいろでしょう、この状況はスマホがいいでしょう、この状況はタブレットがいいでしょう、この状況はキーボードを使った方がいい。そういうことを状況に応じてきちんと使い分けていく。そのことが多分私大事だと思います。
次お願いします。じゃあ、使い分けの指針ってどうなんだろうとなったら、ちょっと幾つか私持ってきました。ちょっとキャッチーな表現ね。目を使うならデジタルでいいかもねという話です。手を使うなら、手での操作性に圧倒的にいいという物理的な紙を使うということはメリットがあるでしょう。
次、情報を受け取るならデジタルでいいかもねと。ただし、中に手を突っ込んで知識をつかみ取らないといけないような状況、逆にこれ指導の場合でいったら、つかみ取らせたい状況ですね、児童に。そうであるならば、紙ということは選択の余地があるかなと思います。
あと、描くものが最初から決まっていて、それをきれいに表現、すなわちデザイナーが最後の最終形を表現するというんだったら、デジタルでいいかもしれないですね。ただし、これ、最終形が決まっているわけじゃない。考えるために描くんだとなったら、妙にきれいな表示をしない紙の方がもしかしたらメリットがあるかもしれない。
さらに、相手に情報を伝えるだけだったらデジタルでいいかもしれない。ただし、丁寧なコミュニケーションしようと。例えばカウンセラーの人がデジタル使うってほとんどないわけで、紙と鉛筆を使うわけなんですね。相手の目を見ながら話をしたいからです。そういう状況を重視するならば、紙の方がいいかもしれないですね。
じゃあ、使い分けにおいての注意はということで若干述べたいと思いますが、授業の狙いに応じて現場の先生が学びの道具を都度選択すべきなのかと私は思います。授業に応じてなんていったら非常にアバウトになるんじゃないのかな。そしてデジタルの機能を重視して、動画を使うからタブレットをというのは、これはあまりに短絡的かなと思いますね。だって、みんなで動画見るんだったら、大きなディスプレイに表示して全員で見ればいいじゃないですかと。1人1台タブレットの利点を生かしていると言えないわけなんですね。だから、見るという状況が、個々人にスピード変えたり、もしくは個々人で何度も見たりと、そういう状況だったらやっぱりメリットはあるかなと思います。
さらに、私の例えば今日の話を踏まえると、例えば考えるなら紙ということになるのかなと。例えばアバウトに言ったらそうとも考えられるかもしれません。ただし、じっくり考える。例えば考えるとなったら、教育で考えないなんてないですから、何でも紙というと、私、それをまた違うだろうなと思います。じっくり考えるということを現場の教師が今日はどれだけ重視するのかということがまず前提としてあるかと思います。考えることもそうだけれども、ネットで調べる。今日はこの利点を活用しようと思ったら、私はやっぱりタブレットでいいと思うんですよ。だから、その都度、何が重要で、今日学び取ってもらいたいものは何なのかということをやっぱり都度考える必要があるのかなと。
次、これコミュニケーションは飛ばしましょう。
次です。教材のデザインについて、最後一つだけ意見を述べさせていただきます。デジタル機器なので、様々な機能を持ち込めます。その気になれば何でも持ち込めます。その方が売り込みもしやすい。使う側としても便利になります。要は、できないことができるようになるわけですから、あれもできる、これもできる、これは便利になります。しかし、それがよい学びをもたらすのかというのはまた別の話だと思います。
必要以上にインタラクティブにしないということが大事だと思います。例えば算数の問題でちょっとアニメーションを表示することによって分かりやすくなる。確かにそれはそうかと思います。ただし、いきなり分かりやすいということが、場合によってはじっくり考えられない子供になってしまう、そういう懸念もあるのかなと思います。
あと、算数の問題なんかで、ちょっと書くとヒントが出てくるようなものがあったりなんかするんです。そうすると、子供がヒントを手がかりとして問題を考えてしまうということがあるわけです。子供は答えを出すということに最適化します。そして目の前に便利機能があったら、それをどんどん利用する。それが本来の学びじゃないだろうと大人が言ったところで、それは子供に本当に通用するのかということがありますね。すなわち、子供は適応力抜群ですから、いい機能が与えられたら、その機能を利用して答えを導くということに十分適応してしまいますということを私述べたいわけです。
デジタル教科書のコンテンツだけじゃなくて、インタラクティブな機能デザインについても指針が必要なのかもしれないかなと私考えていますということをちょっと述べたいかな。
以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、続いて太田教授から御発表いただきまして、その後皆さんで意見交換ということになります。太田先生、よろしくお願いいたします。
【太田東京家政大学教授】 よろしくお願いいたします。私はタイトルに書いてあるように、令和5年、6年、7年と3年間、学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業の英語の授業について関わってきています。それの具体的な例を5つ持ってきましたので、それについて、デジタル教科書がどのような意味があったのかということを表したいと思います。
やり方は、左に書いてあるように、課題、どんな問題点があって、手だて、それをデジタル教科書がどのように解決するように使ったか、そして、最後、目指す姿というのは、このようにデジタル教科書があることによって児童生徒は変わってきましたという3段階の出し方で、この研究は行われています。
以下、一つ一つの具体例を挙げたいと思います。次お願いします。まず令和7年度の池田先生。最初に書いてあるのは、その単元のゴールの活動です。「ALTに日本や鹿屋市のことをもっと知ってもらうために、自分の市を英語で紹介することができる」。このようなことで、じゃあ、どういうこのことを始める前に課題があったかというと、赤字のところが主なところです。
先生に指示されたことのみに取り組む傾向が強い。自分で学び方を考える機会が少ない。これはネガティブに映りますが、授業を見ると、とてもスピーディーで、子供たちは先生の指示に従って、とてもスムーズに学習が進んでいます。
ただし、やはりここで池田先生が思ったのは、どうも自分が指示するとやるんだけど、指示することだけしかやらないなあ、最後の英語で紹介することができるというのに対して、もうちょっと広げられないかなあと思ってこのような課題を立てました。
そこでどうしたかというと、デジタル教科書やほかのいろんな機能に多様な学習方法があるんですよということを、右側の学習方法にチェックを入れて選択するというふうに、こういう学び方をいろいろ、いろんなことで学べますよということを池田先生が出しまして、そういうことをやりました。そうすると、生徒たちは自分自身で学び方を選ぶようになったという事例です。
例えば、左側は池田先生が出した学び方、いろんな学び方を示したということです。これも、今まででしたら、デジタル教科書があるといろんなやり方というところが違うところです。
Q2、右側は、生徒がどういうものを使って、プレゼンテーション、最後のプレゼンテーションを改善するためにどんなやり方を使ったかということです。ここにもいろんな工夫が出てくると思います。
次は、約90%の生徒が学び方を変えたということがアンケートのところで分かります。実際にどういうふうに変えたかということが具体的に右側のところに出ています。デジタル教科書にはいろんな機能がありますので、その機能をそれぞれが考えて使っていたということになります。これが1つ目です。
2つ目です。今度は三枝先生の結果です。最後の活動は、「自分の夏休みを、トム先生の家族や親戚に伝えよう」という単元末の活動に向かって、どんな課題があったかというと、毎時間の目標と実際にやった振り返りがどうも整合してないよということで、彼はどういうものをつくったかというと、この後も出てくるんですが、表計算ソフトに家庭学習の取組記録というのをそれぞれが書きます。ポイントはそれだけではなく、全体で共有する。つまり、お互いに学び合うということをしました。それによって自己調整して、変わってきましたというのがそこの内容です。
その具体的な表計算ソフトというのはどれかというと、次の7ページになります。この7ページ、これが普通のエクセルです。一番左が名前で、それぞれの子がどんなゴールに向かって自分の課題を立てて、実際にどのユニットの何をしたかということがプルダウンで選べるようになっている、そして振り返るという、これです。
この先生は、後で出てきますが、藤木先生という先生がこのような家庭学習のシートを使っていたので、それを参考にして自分のをつくったということです。
お互いに学び合うというのは、私も実際に見ていましたが、いろんな学び方が、教科書をただ使うだけなんですけども、ただ使う、でも、いろんなコーナーがあるので、いろんな使い方をして、それをお互いに学んでいるということになります。
具体的に、左側のQ5というのは、どんなことを使ったのかということを具体的に子供が答えています。じゃあ、なぜそれを使ったのかというのが右側のQ6で、デジタル教科書を見るとこういうことを授業でやったなと思い出せるとか、デジタル教科書のストーリー、これで分からないところが分かる。つまり、デジタル教科書は身の丈に合っているという言い方をしていましたが、子供たちがネットに行くと、本当に分からないのが出てくるんだけど、デジタル教科書だと質が担保されていて、レベルが担保されているというところが違うということです。
9ページは、今度は野村先生です。これは中学校の例で、日本の中学校の多くはそうですが、生徒が教科書の内容を読んで、それについてどう思うか自分の意見を言うというのはとても難しいです。
じゃあ、デジタル教科書でどうやったらそれに対応できるのかというときに、写真にありますように、教科書の内容を引用したり、これが自分の意見に近いぞ、ここを使えるぞというのを引用したり、マーカーを引いたりということをまずやるという。ゼロから自分の意見をつくるんじゃなくて、読んでいる教科書の内容から引用する。そして、ここでも出てくるのは、手だての黒丸の3つ目です。学習支援ソフトでお互いに意見を共有し、お互いに参照できるようになる。これが9ページの右側のところに入れているものです。
これによってどういうことがあるかというと、やはりこの先生が一言言ったのは、これをやってから、白紙になる、白紙で出す、つまり何にも書けないという子がいなくなりました。要は、教科書の中から引用すればいいんだという学び方を得たり、または友達のを参考にして、この言い方でいいんだ、この意見、自分の意見に近いぞというようなことができるからということです。
11ページは、野村先生が語ったことです。下から2番目の後半、「教科書の文を引用すれば、意見を書くことはそこまで難しくない」ということを生徒が理解したというところです。最初は、先生自体も、本当に書けるんだろうかと思ったんですが、実際にお互いに共有させるとか、デジタル教科書から得るということができるようになってきたという、そういう例です。
令和5年の藤木先生。この先生は、「自分たちが暮らす地域の魅力を、自分の気持ちを織り交ぜながら発表できる」ということです。これもよく普通の教室にはありがちの、児童の理解度に差があるので、やはり発表するといったって苦手意識を持っている児童もいますよねということで、ここでもどうしたかというと、先ほど出た三枝先生と同じように、単元の発表をする。そのために家庭学習をする。するときに、ただ、しましょうねではしないので、この後出すんですが、やはり共有できる、学んだことを共有できて、どんな学びをしたのかというのを共有できるようにシートをつくってやったということです。
そのシートが何かというと、「家庭学習シート」ってそこに書いてあります。この先生もそうですが、個人でやってくるだけではなく、やってきたことを教室で生かしてみんなでやろうよということです。
実際に、13ページのところを御覧ください。これも先ほどのと同じですが、やはり名前が書いてあって、それぞれの名前で誰が何やっているかというのが全部分かると。で、お互いに学べる。先生にとっては、いい例を共有したり、課題を抱えている子をそこで助けたりとか、そういうことができるということです。
具体的に、デジタル教科書を使うことによって自分の発表をよりよい内容にすることができましたかというのは、90%の子ができたと言って、どんな目的で使ったかというのが右側に書いてあります。ここに書いてあるように、教科書の活動をそれぞれ自分の必要に応じて選んでいるということがここからは分かります。
最後の例です。最後の例は加藤先生です。これはやはり「現状の課題」と書いてあるように、教師が示した学習方法で満足し、伸び悩んでいる生徒も多いということで、ここでは何を考えたかというと、先生が示すやり方ではなく、自分自身で必要な語句、単元の最後の活動をやるのに必要な語句を自分で考えてリストを作成させるということをさせたということです。
やらせたこと自体は別段すごく大変なことではありませんが、子供たちが、今までだったら先生が、はい、これを覚えなさいよってやっていたところを、自分たちで子供たちが選ぶ。だから、「目指す姿」に書いてあるように、生徒自ら「自分が表現するために必要な語彙は何か」というのを考えて、そしてリストをつくって練習をするというふうに発想を変えたということです。
左側は、自分で選びましたかというのとか、じゃあ、どうしてそれで選びましたかというのも、やはり単元の活動を意識して自分で選びましたよということをやりました。
加藤先生が言われていたことが、1行目の右が、1行目の後半からあります。自分(授業者)がメインで動かすという視点から、生徒がメインで動く、そして力を貸すべきところでサポートするという視点に授業観をシフトすることが重要だと気づきましたという実践です。
これは先ほどの先生方の印象的な声です。「苦手な子も大丈夫ですよと」いうのは、藤木先生という、さっきスプレッドシートを共有する授業をやられた先生なんですが、何でそうなのかというと、それはお互いに共有ができるからだ、いい例をまねできるからだというので、だから大丈夫です。同じ発想が野村先生が教科書の内容を考えるというときに「白紙がいなくなりましたよ」というのも同じです。
ここまでは、子供たち、「子供はデジ教に戻る」というのがあったんですが、最後の右上の「授業中に余白を取るようになりました」というのは、これは池田先生がおっしゃっていたんですが、全部が終わった後に言っていたんですが、やはり余白を取るというのは、今までだったらスピーディーに自分でいろいろ授業を組み立てていたんだけど、ある程度余白を取らないと、子供が試行錯誤する時間が持てないということを彼は最後に言っていました。とても印象的な言葉でした。
最後です。ここで見るのは、5人の先生の共通点です。先生が引っ張る。先生が主語ではなく、子供が主語。そして先生はそれをサポートする。先生は何にもしないわけではなくて、そこの左側に書いてあるように、1から4のサポートをする。そうすると、右側に書いてあるように、子供たちは自分たちで選んだり、自分たちで探したり、そしてお互いに学び合うということが、変わってきたと。これが共通的に、共通で見える、私がこの3年間関わった授業から見えてきたものです。
以上です。ありがとうございます。
【堀田座長】 ありがとうございました。短い時間での御報告ありがとうございます。
それでは、今の2つの御発表を踏まえまして、意見交換としたいと思います。若干時間押していますけども、できるだけ多くの委員の方々の御意見を伺いたいと思いますし、また、せっかく今日、ここに発表者いらっしゃいますので、御質問等もあれば伺いたいと思います。対面の方も、オンラインの方もいらっしゃいますので、挙手ボタンを押していただいて、私の方で指名していきたいと思います。いかがでしょうか。
弓倉委員、お願いします。
【弓倉委員】 太田先生、どうもありがとうございました。ちょっと教えていただきたいんですが、9ページのところですが、令和6年の野村先生のところで、マーカーを引かせたり、メモを取らせたりというところをつけていらっしゃいますが、そこ、マーカーは紙でもできるんじゃないかなということがあったので、それがまず一つ、デジタルでなぜマーカーということを着目されたのかということを一つ教えていただきたいです。
あとそれから、意見を共有してお互いに参照できるというところ、ここはいいところもあると思うんですけれども、逆に危険なところもあって、いい意見に引きずられてしまうとか、自由な発想を妨げてしまうとか、そのようなことが起こり得るのではないかなと思ったんですけれども、こちらの研究の方ではいかがだったでしょうか。教えてください。
【太田東京家政大学教授】 御質問ありがとうございます。マーカーは紙でもできる。そのとおりだと思います。ただ、私が見ていたのは、やはり気軽にまずは線を引いて、ここかな、違うかな、こっちかな、で、ああ、違う、違うと消したりとか、後で、最後整理して、自分の意見は結局はどこを引用すればいいだろうというときに、最後、そこまで試行錯誤して、引いたり、消したりとか、色を変えたりとか、そういうようなことを実際にやっていました。こういうのは紙だと、1回引いてしまうと、というのはあるのではないかと思います。
それから、意見に引きつけられる、この危険性はもちろんあると思います。そこが先生のポイントで、先生は、だから、この実践では、実際に授業でただ選べばいいというわけではなく、どちらかというと自分でちゃんと考えて、必要だと思ったとこから引用しなさいということを言います。
あとは、その子たちに、どうしてそういうふうにやったのみたいな感じで聞く。ここら辺は1人でやるところと全体で共有するところの違いがあるのではないかと思います。
この引用して共有することの一番のメリットは、そこに白紙がいなくなりましたというところだと思います。それまでだったら、こんな意見なんて書けるわけないじゃん、分からないよというところで終わっていた。しかも英語でどういうふうにやっていいかなんて、日本語だったらまだ言えるかもしれないけど、英語じゃ無理だよねというところが、ああ、そっか、だから、この子の意見って、それをまず写しても、まずはスタートとしていいんじゃないかというところはすごく大きなところだと思います。もちろんそこから先に行くのも先生のサポートの仕方によると思います。ありがとうございます。
【弓倉委員】 ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ある方、挙手をお願いいたします。オンラインの方々よろしいですか。内田委員、お願いします。
【内田委員】 お二人の先生方、御発表ありがとうございました。柴田先生の認知科学から見た紙、それからデジタルのところについては非常に興味深く拝見をいたしました。現行の学習指導要領に基づいてデジタル教材を活用している学校についても事例として見られるわけですけれども、なかなか家庭学習で、デジタル教材ですと、時間を計ってというところがあります。そういった部分で、紙の方の優位性というところがやはり影響しているのかなというところを非常に感じたところです。
お二人の先生にちょっとお伺いをしたいのは、自ら学ぶ際に、それぞれの優位性と工夫でどういった視点で我々取り組めばいいかというところについて御示唆をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【堀田座長】 ありがとうございました。後で質問ほかにも出るかもしれませんので、後でと思います。今の内田委員の御質問の趣旨は、次の学習指導要領に向けて中教審等で議論されているのは、先生に教わってしっかり分かるということのみならず、自分の力で自分の興味に基づいて自分の学びを自分でつくっていくみたいなことを、できるだけ、多様な情報をうまく集めながら、そして取捨選択しながらやっていくというような、そういう学びを前提としたときに、紙とデジタルみたいなことがどう機能するのかということへの御質問かと思います。
では、ほかにも御意見や御質問ありましたら挙手ボタンお願いいたします。
森委員、お願いいたします。
【森委員】 柴田先生、御発表ありがとうございます。これは教科書というか、教材発行者として1点感じたことがございまして、簡単にヒントを出さないというお話、大変興味深く感じました。教材はやはり答えを教えるものではなく、答えを導くため、導く力を育てるというところだと思いますので、とても重要な観点だなと思いました。一方で、デジタル教材の場合は、動画だったりヒントだったりとかを出しやすい、提示しやすいものですので、どうしてもそういう設計になってしまうのかなと思っています。
また、ヒントを出せることが価値なのではなく、どのタイミングで出すか、どの程度ヒントを出すかという設計がこれからは重要になってくるのではないかと思いました。
したがって、子供の思考を止めない設計を、デジタル教材をつくるときに考えておくということが重要なのかなと思います。紙教材は、多分、初めから、考える時間を自由につくりやすい、自然につくりやすいのだと思うのですけれども、デジタル教材もその強みを損なうことなく、思考を支援する道具として、あらかじめ設計していくということが損なわれないでつくられていれば、デジタル教材としても有効ではないかと思った次第です。ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。これまた後でお二人には御回答の時間を差し上げたいと思います。岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】 ありがとうございます。教科書協会の岡本でございます。まず、お二人の先生方、御発表、大変勉強になりました。ありがとうございます。それで、それぞれの先生方への質問というよりは感想に近いものになってしまうかもしれませんけれども、柴田先生の御発表の中で、読解の部分と、あと、実際に手を動かして書くところがありましたけれども、読解の話に、読みの方につきましては、デジタル教科書の推進ワーキンググループの中でも長文がやはり紙優位だというような御発表があって、その当時もそういった御意見をいただいておりましたので、発行者としても今そのように認識しているという状況にあるということをお伝えしておきたいと思います。
それから、一方の手書きの方につきましては、教科書ってあまり書き込み欄ばっかりが多いという出版物じゃないので、教科書というよりもノートとかのツールとの組合せの中で、紙とデジタルの双方の特性みたいなものを教えていただけたなと思いまして、大変参考になりました。
従来、授業の方では、デジタルが導入される以前は紙中心で、教科書のほかにも教材ですとか教具とかノートなんかを組み合わせて先生方が設計して学習していたと思うんですけれども、今、私たちの社会と同じように学校現場にもデジタル機器が導入されてきたということを受けますと、先生に御指摘いただいたようなことを踏まえて、紙とデジタル、双方の特性を生かして道具を組み合わせて子供たちに学んでもらうと、そういった道具の吟味というのは非常に重要だなと改めて感じました。ありがとうございます。
それと、太田先生の方に関しましても、実証研究の中でお使いいただいたのは、恐らく教材とセットになっているデジタル教科書だったかと思うんですけれども、教科書とか教材、それからソフトウエアも含めて効果的に組み合わせて、子供の主体性とか、個別最適な学び、協働的な学び、その辺りを促進できるすごいよい事例だなと思って伺っていましたので、次の教科書を設計する際の参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。
以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。松下委員、お願いいたします。
【松下委員】 今日の内容は、保護者としても新しい知見が入ってきて、大変充実した内容でした。今後なんですけど、指針をつくっていく中で、大人の世界も、デジタル優位、デジタルがたけている人の方が能力があるというような、ちょっとそういう価値観が入ってきつつある中で、今日のお話は、道具によって認知の仕方が変わってくることだったり、紙優位の部分があるというお話でしたので、保護者としても大変視野が広がりました。ぜひ今後、先生方が実際に授業で実践で使っていかれる中でも、今日の御発表でもありましたが、道具として、紙でも、デジタルでも、ぜひ皆さんおっしゃっていたように、子供たち、まだ道具として使うというよりは、それに引きずられていくような、道具として使っているというより使うことが楽しいとなっていって、デジタルの方に傾いていくというよりは、両方を道具として使えるような、子供たちの育ちに即した、いい方向に育っていくような、ぜひ研究を進めていただいて、指針づくりに役立てていただければと思いました。
ありがとうございました。以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。松谷委員、お願いいたします。
【松谷委員】 私学から参りました松下です。よろしくお願いします。
柴田先生、本当に道具は思考を変えるということで、なるほどなというふうに。やはり紙で学ぶことと、それからデジタルを使った方がよい内容、これからやはり指導者として、教員がそういうことをしっかりと取り分けてうまく使えるようになれば非常によいのではないかと感想を持ちました。ありがとうございました。
さらに、次の太田先生の方は、事例の研究で、私どもも学校でももう既にこういった授業を、主体的な学びを進めておるところで、この事例研究のところで、やはり学んで共有していく、学び合うということが、今までの授業の形態と、新たに学び合いのそういった授業になったということが大きな変革しているふうに私どもも実感を得ているところで、その方が非常に学力とか、生徒が前向きに学びを進めているというふうに印象を本校でも感じているところなんですね。
やはりこういったことがデジタルのよさであって、共有して、今まで白紙だった生徒が自分の意見をいろいろ仲間の意見を参考にしてつくり上げていくというので、デジタルのそういった教科書が非常に重要ではないかと感じました。ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。髙瀬委員、お願いします。
【髙瀬委員】 御発表ありがとうございました。まず、こちらの最初の発表の中なんですけれども、なるほどというふうにやはり実感として思ったのが、6ページにあります、紙の方ではページの行き来が容易で、効率的に答えを出せるというところですとか、あとは、紙の本では物語の前後関係をよく覚えているというのは、やはり低学年等、高学年もそうなんですけれども、国語の学習などでは実感として感じているところです。
それから、紙とデジタルそれぞれ道具だと思うんですけれども、それぞれの特徴、よさをきちんと理解をして使っていく必要が今後あると思っております。最後の21ページにありますように、使い分けの注意というところに、授業のねらい、何を学ばせたいかに応じて現場の先生が学びの道具として都度選択すべきというところがありましたけども、まず、教師もきちんとねらいを明確にして、デジタルを使っていくのか、紙を使っていくのか、あるいは両方を用いて子供たちに選択させていくのかとか、そういったことが必要になってくると感じました。
そして、こちらの外国語の方の発表ですけれども、今、白紙の子供がいなくなったということですけれども、まずは他者参照というんですかね、共有ということが弊害もあるのではないかということがあったんですけども、他者参照して、まず自分自身ができるようになるという実感を持って、そして、そこからまた自信を持っていき、自分の学びにしていく。そして、他者参照しなくてもできる力を身につけたりとか、他者参照というのは基本的には効果的であると見ていますし、やり方としてはよい方法かなと思います。自分の考えを広げ深めていく点では、創造性が足りなくなっちゃう、他者を頼ってしまうんじゃないかという考え方もありますけれども、基本的には他者参照しながら、広く深い学びにつなげていくというのは考え方として大事かなと思いました。
以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。挙手ここまでとしたいと思います。今から柴田委員と太田先生に少しずつお時間を差し上げたいと思いますので、可能な範囲で結構ですので、コメント等をお願いいたします。柴田先生、どうぞ。
【柴田委員】 そうですね。森先生の意見にちょっと私、返答しようかな。やっぱり使い方はとても大事なところですよね。やっぱりぽんと与えて、それですぐ簡単に使えるようになると、現場はそういうのを求めるかもしれないですけど、実際にはそんなことないと思うんですね。どんな道具でも使い方次第でいいものにもなり、悪いものにもなるということだったら、例えばアプリケーションをつくって提供する際に、それがどういう効果をもたらす可能性があるのか。と同時に、それがどういう弊害をもたらす可能性があるのかということも同時に提供する必要があるのかなと思いますね。
やっぱりこれができますと言われると、やっぱりどうしてもそこに妄信的になってしまう可能性があるから、その反対の側面も一緒に提示して、それを踏まえて、やっぱり現場で考え、現場でというか、その都度、その状況によって目的というのは変わりますから、そういう側面というのはあるのかなとは思いますね。
【森委員】 ありがとうございます。
【堀田座長】 よろしいですか。
【柴田委員】 はい。
【堀田座長】 太田先生、お願いします。
【太田東京家政大学教授】 いろいろありがとうございました。私はやはり先生の役割がとても大切。先生の役割が、今までの役割は、先生が教える、先生が導く、先生が授業をつくるというところから、やはり子供たちに委ねる。ただ、子供たちに委ねるといっても、危険性は、逆に、委ねるイコール放任するではないので、だからこそ、よく言われる、教える、または見る、そしてまねる、1人でする、自己調整するという段階があるように、この中で今までの多くの、誤解を恐れずに言うと、多くの英語の授業はどちらかというと、テンポのいい授業がいい授業だというようなことになってきましたが、そうではなく、一人一人が試行錯誤をする。英語で言えばストラグルするという部分も大切で、そういうときに、先生はそこでサポートをする。そういうときに自分でやるための1つのきっかけがデジタル教科書にあるのではないかなというのが私が5人の先生をずっと見ていて思ったことです。
以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。お二人に御発表いただきまして、今後、紙とデジタルのそれぞれのよさを踏まえてどのように使い分けていくか。子供が使い分ける場合もありますし、教師がその都度検討していく場合がもちろんあります。そのときの大きなヒントをいただいたかと思います。
太田先生の発表にありましたように、次の学習指導要領はといったらいいでしょうか、我が国の教育は、どちらかというと全員を同じように連れていくみたいな教育から、もう少し一人一人を大切にし、一人一人が自分らしく学んでいくということをもう少し強調していくような形にしていこうとしたときに、今までのやり方だと、選択性が低いとか、あるいは先生が言っていることが分からなくて結局時間与えられても何もできないとか、そういうようないろんなお子さんがいる中で、デジタルで、あるいはほかの人の参照できることが学びのトリガーになって、そこから学びが始まっていくみたいな話ですね。これは髙瀬先生おっしゃったところと同じかと思いますが、そういうようなことも含めて、一人一人ができるだけ自律的に学ぶということ自体も非常に重視されているところでございます。
そのときに、それぞれが自分のペースで学ぶ、委ねるに値するぐらい自分の力で学べるぐらいになっていくというときに、その前にちゃんと知識が入っているというか、自分の力で読めるというか、そういうようなことはやっぱり何より重要なわけで、そのときに柴田委員のおっしゃったような、紙のよさをうまく用いながら、デジタルも用いながら、使い分けながらみたいなことを先生も子供も理解して使っていくということはとても大事なことだと思いますし、私たちのこの指針は、全てをデジタルにしようとしているわけではありませんので、紙とデジタルのそれぞれのよさをしっかりと学校現場が理解して使い分けられるように、第一弾の指針としてこれを出そうというところでございます。
非常に示唆に富む御意見をいただいたと思っております。ありがとうございました。
続いて議題2です。議題2は、「健康への影響について」です。これは最初の主な論点という、参考資料3に当たりますかね、主な論点に書かれていることの1つでございまして、これは教科書の一部デジタルにしましょうみたいな議論では常に論点の1つになってきたものでございます。今回は、医学とか、または学校保健の観点から弓倉先生、弓倉委員に御発表いただきたいと思います。お忙しいところ御準備いただきました弓倉委員、よろしくお願いいたします。
【弓倉委員】 ありがとうございます。それでは、本日は、「デジタル教科書使用時の児童生徒の健康課題」について、問題提起をさせていただきます。
教科書となれば、授業中だけではなく、家庭学習にも広く使われる可能性があり、健康配慮は、端末利用上の注意だけではなくて、教科書制度の設計に含むべき課題だと思っております。
本日は、医療者の立場から、デジタル教科書の活用を持続可能なものにするために必要と思われる健康配慮を制度設計の中に位置づけるよう提言をさせていただきたいと思っております。
次のスライドお願いいたします。まず、本日の基本姿勢でございます。デジタル教科書には、今までお話がございましたように、様々な教育上の有用性がございます。ただし、日常的に使う段階では健康配慮の実装が前提になると考えます。言い換えれば、健康配慮は、現場任せの努力目標ではなくて、発行・採択・使用の各段階で確認すべき条件だと思っています。
ここで重要なのは、よくデジタル教科書が健康被害を起こすエビデンスがないと言われるんですけれども、それは健康被害を起こさないことが確認されたということではないということでございます。健康に対する影響につきましては、十分な継続評価が必要ですので、健康配慮を単なる注意喚起にとどめず、実装の確認と継続的モニタリングに進める必要があると考えております。この仕組みを十分に整えないまま使用時間だけが拡大することには医療の立場から懸念がございます。
次のスライドお願いいたします。文部科学省は、デジタル教科書の活用に関してこれまでも非常に重要な資料を作成してこられました。平成30年にはデジタル教科書のガイドラインで、制度の概要や活用方法、使用上の留意点が整理されております。
また、令和4年には、児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック、以下ICT健康ガイドブックと呼ばせていただきますけれども、こういうものが作成されております。これらを作成したということは非常に高く評価しています。
次のスライドお願いします。このスライドは、ICT健康ガイドブックからの図でございます。左側にはタブレットを使用する際の姿勢が示されています。右側には教室環境への配慮が示されています。このように文部科学省のICT健康ガイドブックでは、姿勢、視距離、照明、映り込みなどの具体的な健康配慮が既に整備されてきております。
次のスライドお願いいたします。さらに配慮項目として、端末の使い方であるとか、教室の環境、さらに身体症状という3つの項目が整理されています。
課題は、これだけの多くの配慮事項を学校現場どこまで実行できているかです。デジタル教科書は家庭学習にも関わりますので、保護者への啓発が十分に取れているかも重要な課題になります。
次のスライドをお願いいたします。日本眼科医会さんにも聞いてみました。日本眼科医会さんも、ICT教育やGIGAスクール構想と目の健康について、眼科の学校医向けに具体的な注意点を示しております。そこでは、学校と家庭でのスクリーンタイムの増加、デジタル端末と眼精疲労・ドライアイ・近視進行への関与も懸念されています。学校医と、学校や教育委員会と目の健康や色のバリアフリーについて情報共有することが重要ということになっております。
次のスライドお願いいたします。ここで強調したいのは、デジタル化の対象が授業内の、授業中の教科書だけではないということです。教科書がデジタル化されるだけでなくて、デジタル教材、デジタルワーク、宿題、学級連絡、配付物、家庭での復習、検索、動画視聴などが全て端末上で行われるようになってきます。その結果、学校と家庭の双方で近くを見る時間及び画面を注視する時間の総量が積み上がっていきます。健康影響を考える際には、学校での使用、家庭学習、私的利用を含めた総スクリーンタイムとして考える必要があります。
学校は、端末をさらに使わせるという場であるだけではなく、目を休ませ、屋外活動を確保し、健康的なICT利用を教える場でもあるべきではないかと考えます。
次のスライドお願いします。家庭だけで端末使用を管理することには限界があると考えます。保護者から見ても、どこまでが学習で、どこからが私的利用なのか、線引きが難しくなります。学校における予防教育が必要であろうと考えております。
次のスライドお願いいたします。デジタルデバイスの使用による目の健康への影響としては複数の観点があります。長時間の画面注視による眼精疲労やドライアイのほか、近見作業の増加と屋外活動の減少は近視進行の誘因になります。
近視は、多因子性であり、いわゆる遺伝要因と環境要因の両方が関与しますので、デジタル教科書単独の因果を断定することはできませんが、総量としての画面注視及び近見作業を評価することが重要になってまいります。
また、睡眠への影響も大事でございますし、長時間の近見、画面注視等の関連が指摘される後天性内斜視も今後注意すべき項目の1つと考えております。
次のスライドお願いします。このスライドはタブレット使用時の視距離について示しています。実際の授業場面では30センチ以上の視距離を保つことが難しいこともよくあると聞いております。大切なのは、注意喚起だけではなく、学校と家庭で実際に視距離が確保されているかどうかを確認する必要があります。
次のスライドお願いします。さらにデジタル教科書では色のバリアフリーも重要になってくるかと思います。日本人では、男性の20人に1人、女性の500人に1人に色覚特性があるとされております。したがって、色覚特性のある児童生徒がいる前提で教材設計する必要があると考えています。
次のスライドお願いいたします。ここから文部科学省の実証研究を振り返りたいと思います。まず、令和元年度調査では健康面のアンケートが行われておりました。対象は児童生徒271人で、姿勢、画面との距離、体調不良、目の疲れなどが調査されました。この調査では15.9%が体調不良を自覚して、38%が目の疲れを訴えたとされております。
次のスライドお願いいたします。令和3年度のデジタル教科書の実証研究では、健康面の調査がさらに体系化されまして、症状だけではなくて、生活習慣や睡眠、家庭のICT利用まで調査をされました。その結果、目の疲れや首・肩の症状、昼間の眠気などが一定の割合で認められております。
次のスライドをお願いいたします。令和3年度調査によりますと、保護者の対策として、姿勢については過半数が注意している一方、機器の使用時間については6割以上が特に制限していないとされておりました。
睡眠については、自宅でのICT利用時間が長いほど睡眠時間が短い傾向が示されております。
また、姿勢が悪い、30センチ以上離せない、見づらいといった場合には、身体的な疲れや痛みがデジタル教科書で出やすい傾向が示されております。
学校での姿勢指導と視距離の確保は重要でございますが、ただし、これだけで健康影響を十分に評価できるのでしょうか。
次のスライドお願いいたします。近年の実証研究では、調査項目が姿勢・視距離中心となっており、健康影響全体を把握するには十分とは言えません。過年度調査で分析ができている項目は削除して項目数を絞ったというようでございますけれども、医療者から見ますと、まだ、やはりなお継続的な評価が必要ではないかと考えております。
次のスライドお願いします。ここから見えてくることを整理をいたします。第1に、文部科学省は、ガイドラインの作成やICT健康ガイドブックの作成、実証研究などの努力を重ねていらっしゃいました。この点を高く評価すべきだと考えております。
第2に、国会審議における「約6割の教師・児童生徒が実行できている」という言葉の根拠なんですけれども、これは主に姿勢と視距離を指していると考えられます。ただし、仮に6割が実行できていても、残りの児童生徒は十分に実行できていない可能性があり、きちんと受け止める必要があります。
第3に、令和7年度調査では、姿勢・視距離については令和6年度よりも注意できている児童生徒の割合が増加したとあります。この点は評価ができるのですが、一方で、健康面の継続調査項目はやはり姿勢と視距離に限られております。
姿勢と視距離は重要ですけれども、それだけでは健康影響の全体像は把握できません。それ以外の因子についても引き続き継続的モニタリングが必要ではないかと考えます。
次のスライドお願いいたします。今後継続が必要と考えられるモニタリング項目としては、症状と使用状況の両方があります。症状では、目の疲れ、眼痛、頭痛、首・肩の痛み、睡眠、近視進行など、使用状況としては、総スクリーンタイム、休憩、視距離、屋外活動時間などがあります。
学校の使用だけでなく、家庭での使用を含めて評価しなければ、実際の健康影響を把握できません。
健康配慮を注意喚起だけで終わらせるのではなくて、実装確認、そして、継続的モニタリングに進める必要があると考え、提案をさせていただきます。
スライドをお願いいたします。健康配慮は、単なる留意事項ではなく、発行・採択・使用の各段階で確認されるべき事項だと思います。発行者には、文字のサイズや行間、拡大、画面の明るさ、色覚への配慮、音量、長時間注視を避ける画面設計など、健康とアクセシビリティーの両方から配慮が求められます。
採択権者には、教育効果や機能だけでなく、見やすさ、操作性、色のバリアフリー、休憩・視距離を確保しやすい設計かどうかを確認する視点が必要かと思います。
学校・教育委員会には、視距離や休憩、照明、映り込み、机・椅子、屋外活動、家庭連携、就寝前利用の啓発、就寝前に利用しないようにすることの啓発を運用として確認する役割があります。
さらに養護教諭や学校医、眼科学校医等と連携し、症状、近視進行、睡眠、家庭での総スクリーンタイムを継続的に把握する体制が必要だと考えます。
これらはデジタル教科書の安全で持続可能な活用を支えるための条件だと考えています。
次のスライドをお願いします。これがまとめでございます。第1に、デジタル教科書の活用推進と健康配慮はやはり両立させる必要があると思います。健康配慮は推進を妨げるものではなくて、安全で持続可能な活用の前提となるものでございます。
第2に、健康配慮は、注意喚起のみでなく、実装確認と継続的モニタリングに進める必要があります。
第3に、そのためには、学校医・眼科学校医等との連携を含む健康管理体制、こちらの方を制度の中に位置づけることが必要ではないかと考えているところでございます。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。大変貴重な御示唆をいただいたかと思います。ありがとうございます。
それでは、委員の皆さんと意見交換としたいと思いますが、御質問や御意見、御確認等ありましたら、挙手ボタンを押していただいてと思います。いかがでしょうか。
皆さん挙手される間に僕の方からちょっと主査としてお尋ねなんですけど、18ページに、健康配慮、こういうことを指針に盛り込むと。大変具体的で様々な指標が出されて、これは非常に参考になるなと思いました。学校現場の先生がガイドラインを、指針を読むときに、ならばどうやったらいいのかなという具体的な対応を考えるときに、例えば映り込みというのはどうやって調べ、どうやってやればいいんですかという。追跡調査等で、文科省の調査でやる場合と普通の先生が日常的にやる場合とあるときの日常的にやるときの、具体的にこの中のどれかはこうやってやればいいよみたいなのがあるものでしょうか。
【弓倉委員】 ありがとうございます。例えば今、映り込みの話を例として出されました。文科省のつくられたICT健康ガイドブックですと、例えば窓際ではあまり使わせないとか、それから、カーテンを、黒いカーテンを、遮光カーテンを使うというようなことが書かれているんですが、しかし、全ての学校の教室に遮光カーテンが用意されているかどうかということは恐らくまた別の問題だと思います。そこは学校におけるそういう環境がちゃんと整っているか。子供たちが見るときに、画面がやっぱりぎらぎらと光が反射したりしますと非常に目も疲れやすい。その辺は、やはり学校環境側が、学校側が環境をいかに整えていくかということになってくるかと思いますので、そこの部分については、学校が、自分たちのカーテンであるとか、それから、机の配備ですとか、それから、ここではあまり使えませんけど、電子白板の問題ですとか、あの辺については考えてやっていくべきだろうと考えています。
【堀田座長】 分かりました。ありがとうございました。そうすると、環境整備というか、そういうところにも関係するので、もしかしたら予算が伴うようなこともありそうだということかと思います。先生による確認だけではなくて、いい環境をつくるということかなと思いました。
内田委員、挙手いただいていますので、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 貴重な御説明ありがとうございました。我々、教育従事者に限らず、PC等作業する者については、VDT検診を受けているわけですけれども、定期健康診断等で児童生徒を対象に受診項目としてVDT検診などを導入する必要があると見られていますでしょうか。
また、各学校において、学校薬剤師等が照明について、月に一度ペースで確認をしていたりしますけれども、そういったことについても配慮する必要があるとお考えでしょうか、伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
【堀田座長】 お願いします。
【弓倉委員】 ありがとうございます。VDT検診、これは大人でICT作業をする人には義務づけられておりますけれども、VDT検診をするというほどのことはしなくてもいいだろうと私は思っております。学校健診の中で対応できればいいのかなと思っております。
先ほど、継続的なモニタリングが必要だという話をさせていただきましたけれども、これはただ難しい会議体をつくれとか、大きな予算をつくれというということではなくて、例えばできる範囲からまずやっていくということが可能だと私は考えております。
例えば、担任の教師や教職員が学校環境、教室環境の環境整備をする。そして生徒に対しては、視距離、姿勢の対応を指導するというような形で、担任教師や教科主任の先生方が生徒指導をする、あるいは環境を整える。そして学校側としては、保護者対応として、このような家庭でのVDT作業や、それから総スクリーンタイムの積み上げに御注意くださいというようなお知らせや、お便り、健康便りを年に1回ずつでも継続的にお出しをする。
それから、養護教諭は、例えば年に1回ある今の保健調査票の中に、ちょっと項目は増えるかもしれませんけれども、このような目に関する部分を項目を増やすことによって、症状としての目の痛みや頭痛、倦怠感等が出てきていないかどうかというものを把握する機会を持って、学校医や学校医の先生方と連携をして、必要ならば専門医につなげるというような形でも恐らく対応はすぐにできていくだろうと思います。
そういうことを対応していかないと、ただやみくもにデジタル教科書を始めてしまうということに、いわゆる懸念がつながると思います。
近視については、毎年、視力を測っておりますので、近視の進行具合については学校の健康診断で把握できると思いますので、そのような形で、今ある学校の様々な資源をうまく活用していただきながら、継続的なモニタリングをして、活用に結びつけていって、子供たちの目を守っていただければと考えております。
【堀田座長】 ありがとうございます。岡本委員と柴田委員が挙げていらっしゃいます。ここまでにしたいと思いますが、時間ちょっと押していますので、手短にお願いします。岡本委員、お願いします。
【岡本委員】 ありがとうございます。18ページの表は私も大変参考になりました。発行者の段階で確認すべき視点というのが具体的に示されておりまして、こちらについては、今、教科書のデジタル部分の技術的な標準仕様、これをどうするかというのを今検討しているところですので、今日先生に御指摘いただいたところ、特にアクセシビリティーに関する規格について参考にして検討させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございます。柴田委員、お願いします。
【柴田委員】 私、ちょっと質問が長くなってしまうかもしれないですけど、お答え次第でいいように判断していただければ。デジタル教科書が健康被害に起こすエビデンスがないというのは、これ、誰の意見なのかとかね。例えばエビデンスをどう捉えるかだと思うんですけども、エビデンスに近いものはあるんじゃないのかとかね。真面目に答えるとちょっと長くなるので、ちょっとよきに。でも、質問としてはそうです。
【弓倉委員】 ありがとうございます。柴田先生の御指摘来るかなと思ったんですけど。私ども、今回、この委員を受けるに当たりまして、結構様々な文献を探してみました。健康課題、やっぱりきちんとデジタル教科書を使っている群と使ってない群で、RCT研究をして、そして具体的な健康的な被害が出たというデータ見つからないんですね。なので、だからデジタル、しかも近視については遺伝性もありますので、環境だけで起こるわけではないですから、どのような形で御説明しようかと思ったんですけども、デジタル教科書をやっている国トゥーコーで、RCT研究をやって実際に比較したものがないと。だから、そんなに心配する必要は、健康に対して心配する必要はないというような声を聞くこともありますので、エビデンスがあるということを証明することとエビデンスがないということを証明することは全く違うので、そこの取り違えが時々あるものですから、そこをちょっと言わせていただきました。よろしいでしょうか。
【堀田座長】 ありがとうございます。市川委員がもしかして挙手したいと思っていらっしゃるでしょうか。市川委員、もし御質問等あればお願いします。
【市川委員】 すいません、内田委員の質問と一緒で、これは学校としては健康をしっかり考えなきゃいけないなってよく分かりました。以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。大変貴重な御示唆をいただきまして、ありがとうございました。最後のエビデンスの件は、疲労とかの観点から私どもの研究チームでもやったことありますけど、端末を使って、子供はちょっと肩凝りを感じたり、親指に疲れを感じたりみたいな話はあるんだけど、それがデジタル教科書によるものかどうかの特定というのはやっぱりできないわけで、そういう意味で明確なエビデンスがないという話を、だからといって健康に被害がないという話ではないという、ここは多分様々な角度から様々な研究、実践、追跡調査がこれからも繰り返し行われていくべきことなのかなと思っております。ありがとうございました。
それでは、議題3に参りましょう。「教科書の形態に関する意向調査の結果について」でございます。こちらは、今回の制度改正に当たって、事務局において教育委員会等の教科書の採択をする方々に学校種や教科別に望ましいと考える教科書の形態について割とシンプルに問うた、そういう調査であります。これは当然参考資料3の主な論点の1つに、形態の在り方を考えるに当たって、どういうときには、どういう方をどういうふうに使えばいいか、それは発達段階によって違うのか、教科によって違うのかみたいな話がありますから、そのための基礎データとして今回調査していただいたということになります。
それでは、後藤課長からまず御説明をお願いいたします。
【後藤教科書課長】 ありがとうございます。資料4-1に基づきましてまず御説明をさせていただきたいと思います。
まず1ページ目でございますけれども、この調査は、国公私立の小・中・高校段階の全ての教科書採択権者であります市町村から都道府県までの教育委員会、また私立学校、国立学校を対象として行わせていただいたものでございまして、昨年の10月から12月を調査期間として回答を集めさせていただいたものでございます。
このページにありますように、設問は3つございました。1つは、望ましいと考える教科書の形態という設問1ですが、今までは教科書は紙でつくらなければならないというところでございましたけれども、今回の制度改正を受けまして、紙とデジタルの部分を組み合わせて1つの教科書をつくるということですとか、あるいはフルにデジタルでつくるということが可能になるということで、どういう形態が、どういう学年段階のどういう教科でいいかというのを答えていただいている。
2つ目の設問2は、そのうちのハイブリッドな形態と書いてありますが、紙とデジタルなコンテンツを組み合わせて1冊の教科書をつくると。こういう教科書のときに、①から⑥まで選択肢ありましたけれども、①のにようにほとんどを紙でつくって、一部だけ、一部少しだけデジタルを組み合わせるようなものから、例えば⑤のように、逆にほとんどがデジタルで、一部が紙というような形で、紙に比重を置いたつくり方なのか、デジタルに比重を置いたつくり方なのか、そのグラデーションのところで、選択、意向を問うたというのが設問2でございます。
設問3は、ハイブリッドな形態の教科書、紙とデジタルを組み合わせてつくり分けるというときに、紙とデジタルのつくり分けの考え方について少し意向を取ってみたもので、1つ目は、各教科等の本質的理解の獲得にかかわる基本的な内容を紙でつくって、発展的な内容はデジタルでというようなつくり分けのパターン。②は、単元ごとにつくり分けるというような、そういうパターン。③は、そうではなくて、学習過程や活動場面に応じて適宜紙とデジタルをつくり分けるという、そういうのがいいのかというようなところで、各採択権者の意向を問うたというものでございまして、上に調査内容のところに書いてありますが、この3つの設問に対して、小学校の低学年、中学年、高学年、それから中学校段階、高校段階というふうに全部で5段階の学年段階というか、学年段階を5つに分けて、なおかつそれぞれの段階について国語の教科書の場合、社会の教科書の場合、算数の教科書の場合というふうに全ての教科についてそれぞれ聞いたという、こういう調査でございます。
具体的な回答の結果は、恐れ入ります、この資料の6ページ目以降のところに、全て、回答のデータを、6ページから最後の17ページに至るまで全て掲載をさせていただいておりますので、またじっくり御覧になっていただければと思いますが、これらの調査結果のポイントを2ページのところで整理しておりますので、これを使って御説明させていただきたいと思います。
まず、2ページ目の最初でございますけども、今回の調査の結果ですけれども、まず設問1に関わる部分でいけば、結果的に全学校種、小学校は低学年、中学年、高学年を分けましたが、それも含めてですが、それから全教科を通じて、ハイブリッドな形態、紙とデジタルを組み合わせて1冊の教科書をつくると。この形態の教科書を望む回答が最多であったというようなところがまず設問1に係る結果でございます。
3ページ目を御覧になっていただきますと、小学校、中学校、高校、本当は先ほど申し上げましたように、各段階ごとに教科に分けて、全ての教科ごとに聞いておりますが、それを全て1回総括したグラフにしておりますけども、こういった形で、小学校、中学校、高校いずれでも、ちょうど緑のところ、ハイブリッドな形態でつくる教科書が使いやすいのではないだろうかという、そういう回答が最もこのぐらい多かったという、こういう調査結果でございます。
2ページ目戻っていただきまして、そういった形でハイブリッドな形態がいいという回答が多かったわけですが、しかし、その中で、紙とデジタルのつくり分けの比重の置き方については、学年段階によって少しちょっとグラデーションがあったというような結果になっておりまして、具体的には、①にありますが、小学校の低学年・中学年のあたりでは、これは全ての教科にわたって、ほぼ紙か、あるいは紙の方がデジタルよりも多いというような形でつくられたものを望むという回答の割合が多くなっているということでございます。
ちょっと4ページを御覧になっていただければと思いますが、これは後ろのページのデータをグラフ化してみたものでありますが、小学校の低学年、中学年いずれも、オレンジと黄色の部分ですが、「ほぼ紙」、「紙が多い」を合わせると、真ん中の全部の回答の50%を超えているというのは、全ての教科に当たって、こういった意向が、現時点では採択権者の方から調査結果として見えているということでございます。
2ページに戻っていただきまして、一方で、②のところでございますが、小学校の高学年や中学校なんかを見てみますと、デジタルの割合が半分程度以上のものを望むという回答が多く見られる教科も出てくるというところが1つの特徴でございまして、これは5ページ目を御覧になっていただければと思いますが、先ほどのグラフの小学校高学年、中学校をつくってみましたけれども、赤で囲っておりますところのように、「半々程度」よりも、以上、「デジタルが多い」というのが50%を超えるというふうな教科が、例えば小学校の高学年ですと、理科とか音楽、図画工作、家庭、保健、英語、また中学校の方ですと、地図帳とか、音楽や美術、技術・家庭、保健体育、英語、こういったような語学系とか、あるいは実技系の教科なんかではデジタルの割合が多いようなつくり方というのも使いやすいのじゃないかというふうな意見も出てきているというのが今回の調査結果の1つの特徴です。
2ページ目に戻っていただきまして、③ですが、紙とデジタルのつくり分け、使い分けの考え方についてですけれども、これについては、学校種や教科によってこれは様々な回答がありましたけれども、基本的に全体として見れば、学習内容、単元ごとにつくり分けたり、あるいはやはり学習過程、活動場面に応じて適宜にデジタルと紙を使い分けて使い分けるというのが望ましいという回答が多い傾向があったというところでございました。
それから、2番、2ポツのところでございますが、小学校の、これはフルデジタル、全てがデジタルな教科書についての回答の状況でございます。小学校低学年や中学年では今回の調査結果では、いずれの教科についても、全てがデジタルの教科書を望む回答の割合は非常に少ないという、そういう結果でございました。小学校の低学年では、逆に、教科によっては全てが紙の教科書を望むという、そういう回答も全体の10%以上になっているという、そういう教科も幾つかあったところでございます。
また、3ポツのところですが、一方で、小学校高学年以上になると、教科によっては全てがデジタルの教科書を望む回答が10%程度以上あるという教科なんかが、青字で書いてあるような教科がそうなんですけれども、出てきていたというのが、今回の採択権者に聞いてみた意向調査の結果のポイントでございます。
すいません、手短にと思うんですが、続きまして、資料の4-2の方を簡単に御紹介させていただければと思います。先ほど御説明させていただいたのは、今回、今後の新しい教科書の採択に向けて、どういった現時点での意向があるかというのをこの会議での議論に資するようにということで取らせていただいた調査の概要でございましたけれども、そういった教科書採択にちょっと関わるということで、資料の4-2のものはちょっと親しみやすいような感じでつくっているんですが、今、文部科学省のホームページにも掲載をして、教育委員会関係者の皆様にもお伝えしているところですが、ちょっと宣伝といいますか、今回の制度改正で、教科書を選定する、採択するために、選定していくというための労力が一気に増大するのではないかというふうなことを御心配されるという場合がありますので、単純にそういうことではありませんよということを整理させていただいたものでございまして、採択の候補となる教科書の数が一気に今回の制度改正で増えたりするということではないということを説明させていただいています。
次の2ページ目のように、今回の制度改正で、教科書づくりにバリエーションが増えると。教科書のつくり方のバリエーションが増えるということになるわけですが、つくられる教科書の数が1つの同じ内容の教科書が3つの形態でつくられるとなるのかというと、次のページでございますが、そういうわけではなくて、少なくとも文部科学省から教科書発行者の皆さんに同じ内容の教科書を3通りの形態でつくってほしいということを要請する考えはございません。むしろ、まさに先生方に今御議論いただいて、これから文科省としてつくっていこうと思っている大臣指針なんかを十分御参考にいただきながら、各学年段階や教科ごとの特性に応じて、こういった教科書がいいのではないかと、こういった形態でつくるのではいいのではないかというところをお考えいただいて、紙とデジタルを適切につくり分けて、使い分けて、教科書をそれぞれ発行者の皆さんで創意工夫でつくっていただくと、こういう進め方なわけでございます。
それから最後ですけども、あわせて、今回の制度改正で、現行の教科書にも、QRコード、二次元コードの掲載がありますけれども、これは国会審議の中でもあった点でございますけども、今、現行の教科書に教材扱いで載っているQRコードが、それが全て基本的にそのまま教科書に入ってくるということではなくて、教科書として、全ての児童生徒が共通的に使って学んでいくべき内容であって、教科書である以上、教科書の使用義務というのが基本的に法令上かかりますので、そういった学習指導要領に照らして、それにふさわしい内容であるかどうかというのを、教科書検定も通じて、一定の枠組みの中である意味絞り込みながら認めて、動画コンテンツであるとか音声コンテンツなんかを教科書として扱って認めていく。そうでないものは、逆に言えば、教材、デジタルな教材であるとか、あるいは紙の教材であるとか、そういった形で、教科書と教材というのをきちんと分けてやっていくということでありまして、今、同時に、学習指導要領の見直しの議論も中教審で進んでおりますが、そこの議論の中でも、教科書の内容、分量の全体的な精選ということも言われておりますので、そういった点も踏まえながら、デジタルな部分も、新たに入ってくるデジタルの部分も含めて、教科書全体をスマートに見直していくということも併せて教科書検定の仕組みの方も通じて対応してまいりたいと考えているということでございます。
すみません、長くなってしまいました。以上でございます。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、委員の方で何かこの件についてコメント等ありましたら、挙手ボタンを押していただいてと思います。最後に中川座長代理にはちょっと一言お話しいただこうかなと思います。あとの方は皆さん一度は発言されていますので、ここでも発言したいという方は挙手ボタンをお願いしておきます。
内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 御説明ありがとうございます。現行の教科書においても、各学校、高等学校においては、各学校が教科書選定委員会を設定して、理由書を書いて提出する作業がございます。バリエーションが出てまいりますので、こういったものにつきましても、それぞれ設定について御配慮いただいていければなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田座長】 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
髙瀬委員、お願いします。
【髙瀬委員】 御説明ありがとうございました。低・中・高学年による違いですとか、また、教科による違いもこのデータから出てきたと思いますので、これらを基にしながら指針をつくっていくということと、繰り返しになりますが、紙のよさ、それからデジタルのよさがありますので、そちらの両方が使えるということが大事ではないかなと思います。
それから、最後の4-2の資料にありましたけれども、QRコードで、デジタルも検定の今後対象になっていくということですけれども、やはり内容が膨大にならないように、質とかも含めて考えていただけたらなと思います。使い手の教師、また子供たちにとって使いやすいものとなるようにしていただきたいと思います。
以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。
ほかよろしいでしょうか。
では、中川座長代理、お願いします。
【中川座長代理】 ありがとうございます。放送大学の中川です。今日は会場からの参加ができず申し訳ありません。座長代理としてコメントさせていただきたいと思います。
まず、3人の方の様々な立場からの御発表本当にありがとうございました。私自身は紙かデジタルかという2項対立に陥らないということの重要性を改めて感じたところです。
今回の法案成立というのは新たな教科書の在り方のスタートだと理解しています。この会議体でも紙を否定するものではありません。どうしてもここは誤解されるところですけども。そしてその上で、学校ではデジタル学習基盤として、子供も教師も慣れてきた現状がある中で、子供が学びを深める、あるいは広げるためにデジタルのメリットもうまく生かすことができるよう進めていくことが重要だと考えています。
事務局から最後に御説明のあったハイブリッドに関する意向調査ですが、個人的には、発達段階の違いがあるものの、もっと教科書に関する意向調査ですね、もっと紙に偏る環境になるかと思っていたら、予想以上に、紙が多いという回答も含めたハイブリッドへの回答が高かった印象を持ちました。
また、紙とデジタルの使い分けは、学習内容、学習過程、活動場面の特徴に応じて使い分けることが望ましいという回答が多いという傾向。この結果はとても印象的で、あまり固定的にならずに、選択肢があることがとても重要に思います。ハイブリッドの在り方も、一律で配置や考え方に偏らないことも検討していくことが必要あると思っています。
今できる範囲で、様々な児童生徒の実態や学校の状況に対応できる選択肢が少しでも多くなる可能性を探るべきだと考えています。
今日はありがとうございました。以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。
私、ちょっと見逃していましたが、チャットの方に松下委員からコメントが出ています。健康被害というか、健康影響のところで出ております。
あともう一つ、話題にしておくべきかなと思うんですけど、東京都のある市では、今の現行の教科書のQRを端末で読み込もうとすると、その先は見れないと。それはあらかじめ、見るべきところは全部フィルタリングを解除するように教育委員会に申請し、そうすると10日ぐらいで解除してもらえるので、全部申請しなきゃいけないと。今、教科書に載っていて、子供はそれを触れるようになっているんですけど、そういう制約があると。多分これは教育情報セキュリティーポリシーがちゃんと定まっているかとか、そういう話だと思うので、この会議体のミッションとはちょっと違うんだけども、そういう影響が出ているという例があります。
このように、環境整備も含めて、できるようにしとかないと、せっかくの新しい教科書のメリットが生かされないというようなことにもなりかねないので、この会議で検討していることは、これはこれで重要だけども、関連するほかの様々な会議体でやっていることとうまく連携しながら、結果として現場にしわ寄せが行かないようにしないといけないし、必要なら、予算、松下委員のさっきのコメントにもありましたが、予算等の配慮もしていかないといけない部分もあるのかなと思っております。
皆さん、今日は大変貴重な御提言もいただきましたし、それに対する意見交換もできましたので、この辺りまでとしておきたいと思うわけですが、次回等につきまして、事務局からお願いいたします。
【西田教科書課課長補佐】 まず、本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で、公開させていただきます。
次回の会議につきましてでございますが、既に御案内のとおり、8月3日10時から12時の予定で開催させていただきますので、引き続き御予定の確保をお願いできればと思います。
以上でございます。
【堀田座長】 ありがとうございました。
次の会議もまた委員の皆様に御発表いただくということで、事務局と連絡を取り合っていただいているかと思いますが、準備のほうをよろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議はここで閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
初等中等教育局教科書課