高等学校教育の振興に関する懇談会(第1回) 議事録

1.日時

令和7年10月27日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議にて開催

3.議題

  1. 高校教育の充実について
  2. 広域通信制高校における教育の質の確保や管理運営の適正化を徹底するための課題の整理について
  3. 中高の円滑な接続に資する高校入学者選抜の在り方について

4.議事録

【度會参事官補佐】  定刻となりましたので、ただいまより第1回高等学校教育の振興に関する懇談会を開催いたします。本日は大変御多用の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は第1回目でございますので、しばらくの間、事務局のほうで進行をさせていただきます。私、高等学校担当参事官付の度會と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本懇談会につきましては、公開を原則としております。本日は報道関係者の方々や一般の方向けにユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきいただければと存じます。
 議事に先立ちまして、本懇談会について御説明させていただきます。
 まず、資料1を御覧ください。本懇談会につきましては、初等中等教育局長の決定により設置されております。主な検討事項といたしましては、高等学校教育の充実、広域通信制高等学校における教育の質の確保や管理運営の適正化を徹底するための課題の整理、中高の円滑な接続に資する高等学校入学者選抜の在り方、その他、高等学校教育の振興に関する検討となっております。
 本懇談会には座長及び座長代理を置き、座長は初等中等教育局長が定める者とし、座長代理は座長が指名することとなっております。この点につきましては、座長は荒瀬委員に御就任いただくこととし、座長代理には、荒瀬座長から御指名をいただいておりまして、塩瀬委員と田村委員に御就任いただくこととなっておりますが、よろしいでしょうか。
 御意見なしでよろしいかと存じますので、座長には荒瀬座長をお願いさせていただきたく存じますし、座長代理として塩瀬委員、田村委員に御就任いただくことをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、懇談会委員の皆様を御紹介申し上げます。オンラインでの会議となりますので、先生方におかれましては、会釈のみで御挨拶をいただければと存じます。
 まず初めに、荒瀬克己座長でございます。
 石崎規生委員でございます。
 岩本悠委員でございます。
 小坂康之委員でございます。
 篠原朋子委員でございます。
 神野元基委員でございます。
 長塚篤夫委員でございます。
 青木栄一委員と今村久美委員、そして、塩瀬隆之座長代理は、少し遅れての御参加予定となってございます。
 また、本日でございますが、今城純子委員、田村知子座長代理、堀田龍也議員におかれましては、欠席となります。
 本日はどうぞ皆様方よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、荒瀬座長にお願いをしたいと思います。荒瀬座長、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  座長ということで、教職員支援機構の荒瀬でございます。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、先ほど御説明がありましたが、この懇談会に関する初等中等教育局長決定という文書の中に検討事項が4つ示されていました。いずれも、高校教育の質の確保とか、あるいは質保証といったことに関わる大変重要な事柄が示されていると思っております。
 私自身といたしましては、これに関わって大きく2つのことに大変強い関心を持っております。一つは、高等学校在学中に成年に達する、主権者となる高校生一人一人がどのような力を身につけておくことが必要なのかという点。もう一つは、高校生がこれからの長い多様な人生を生きていく上で自分自身とどう向き合っていくのかということに関しまして、高校生自身のやりたい学びをどう高校生が自分で考え、具体的に学んでいくのか、こういったことについてとても強い関心を持っております。
 これらも含めて皆さんから様々なかつ真摯な議論をお願いいたしたいと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、今日の案件につきまして、まず、橋田参事官から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【橋田参事官】  高校担当参事官の橋田でございます。私のほうから、資料2に基づいてポイントの部分を説明させていただきます。
 まず、1ページ目をお開きください。こちらに本日御議論いただきたいポイントの部分を先にお示ししております。このポイントを説明させていただいた上で、後ほど関連資料のほうも説明させていただければと思います。大きく3つの柱がございます。
 まず、1つ目、高校教育の充実についてでございます。ここに例とございますように、高校教育の多様化が進む中、高校教育の充実をどのように進めていくことが必要か。スクール・ミッションやスクール・ポリシー等を踏まえた学校評価の活用によるPDCAサイクルの徹底や、積極的な情報公開を促進するなど、高校教育の質を確保する仕組みについてどのように考えるか。卒業後の進路等を見据えて身につけた力、学びの定着度合いや在学中の伸び、生徒の満足感・達成感、定性的・定量的なものを含めてでございますけれども、その望ましい測り方についてどのように考えるか。また、文系・理系のコース分けにより、特定の教科・科目を十分に学習しないことについてその改善を図るためにどのような取組が考えられるか。これらに関して、国、設置者、学校等の望ましい関係性をどのように考えるか。その際、校長のリーダーシップについてどのように考えるか。この点を深掘りで御議論いただければと思います。
 2点目でございます。広域通信制高校における教育の質の確保や管理運営の適正化を徹底するための課題の整理についてでございます。例えば不適切な教育活動が見られる中、その是正に向けてどのような取組が考えられるか。サテライト施設の管理運営に当たって、所轄庁間の情報共有や連携協力を図るためにどのような取組が考えられるか。情報公開の徹底や点検調査の強化に向けてどのような取組が考えられるかなどについて御議論いただければと思います。
 3点目、中高の円滑な接続に資する高校入学者選抜の在り方についてであります。例えば高校の特色化・魅力化の促進が期待される中、スクール・ミッション、スクール・ポリシーを踏まえた多様な選抜方法についてどのような方法や留意事項が考えられるか。入学者選抜において、中学校と高校の円滑な学習の接続や、多様な背景を有する生徒の個性・特性を踏まえた適切な評価を促進するため、どのような方向性や手法が考えられるか。学力検査を行わない選抜や調査書を用いない選抜の取扱いについてどのように考えるかなどについて御議論いただければと思います。
 それでは、関係資料を基にもうごく簡単に説明してまいります。3ページ目でございます。こちらは、高校の進学率は令和6年度に98.6%に上っているという状況でございます。
 4ページでございます。こちらは、全日制高校4,590校、定時制高校606校、通信制高校332校のデータでございます。
 続いて、5ページを御覧ください。15歳人口の推移でございますけれども、15歳人口はこの間年々減少してきておりますけれども、令和11年には100万人を割り込んで、令和21年には約70万人になるということで、令和21年人口は令和6年に比較して約34%も減少する見込みというところでございます。
 6ページ目は、これは高校の学科数の推移でございます。
 続いて7ページでございます。こちらのほう、専門教育を主とする学科の比率は年々減少する中で、普通科は最近30年間ほぼ一定、約7割で推移しているという状況でございます。
 8ページを御覧ください。文理分断と理数系の学びに関するジェンダーの偏りという資料でございます。特に義務教育終了段階では比較的高い理数リテラシーを持つ子供が約4割いるにもかかわらず、高校段階では文理別のコースを選択するシステムが契機になって、理系が約2割ということで半減していくというところでございます。さらに大学入学時の学士は、入学定員とも関連して理工農系学部の学生がさらに減少し、修士、博士と先細っているというところでございます。特に女子の理数系離れが深刻という状況でございます。
 その上で、10ページ目以降でございますけれども、高校教育の充実に関するこれまでの議論でございます。まず、新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキング審議まとめでございますけれども、これは令和2年の審議まとめでございます。その中では、特に第3章にございますように、この取り巻く状況等を踏まえながら、特に第3章(3)にございますように、各高校の存在意義・社会的役割の明確化(スクール・ミッションの再定義)、また、(4)にございますように、各高校の入り口から出口までの教育活動の指針(スクール・ポリシー)の策定というところが提言されているというところでございます。
 11ページを御覧ください。こちらは普通科改革といたしまして、設置者の判断により、普通教育を主とする学科として特色・魅力ある学科の設置を可能とするということで、例えば、学際的な学びに重点的に取り組む学科とか、地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科、これを例示しておりますけれども、3つ目にございますように、その他特色・魅力ある学びに重点的に取り組む学科、こういったものも当然可能になっております。ぜひともこの多様な学科の在り方を考えていただきたいという中で、こうした改革を進めているというところでございます。
 その上で、12ページを御覧ください。この中教審の審議まとめを踏まえまして、高校の特色化・魅力化に関わるスクール・ミッション、スクール・ポリシーに関わる制度改正、また、普通科改革に関する基準省令改正をしたというところでございます。
 13ページを御覧ください。こちらのほう、3つのポリシーでございますけれども、こちらを策定・公表することとなっております。中ほどより下にございますように、各高校における育成を目指す資質・能力を明確化・具体化するということ、カリキュラム・マネジメントを通じて組織的・計画的な改善へとつなげていくこと、高校の教育活動・業務内容を精選・重点化していくということ、また、学校評価において自らの取組を点検・評価していくというところがその内容でございます。この中で、生徒・入学者の学習意欲を喚起するということ、また、日々の教育活動の検証等を通じた見直しに取り組んでいただくということでこの3つのポリシーの取組を進めていただくというところでございます。この内容自体は各学校にきちんと定めていただくというところで取組を進めていただいております。
 14ページを御覧ください。こちらは高校生のための学びの基礎診断というところでございます。こちらのほう、高校生に求められる基礎学力の確実な習得と学習意欲の喚起を図るという観点から、文部科学省が一定の要件を示して民間の試験等を認定する制度を創設して、この多様な測定ツールの開発・提供・利活用を促進していくということで、平成31年度から利活用を開始しているというところでございます。
 15ページを御覧ください。現在7団体12ツールを認定しているというところでございます。
 続いて、16ページを御覧ください。こちらは令和7年2月の高等学校教育の在り方ワーキンググループの審議まとめでございます。生徒を主語にした高校教育の実現という観点から、これからの高等学校の在り方に関する基本的な考え方ということで、高校教育の実態が地域・学校により非常に多様な状況にあるということで、多様性への対応と共通性の確保、これを併せて進める必要があるという観点から、大きく3つの論点、こちらに基づいて具体的な方策も提言しているというところでございます。
 1つ目が、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方ということで、小規模校の教育条件の改善に向けてということです。この中でも、スクール・ミッション、スクール・ポリシー等を踏まえた教育活動の実施・改善、特色化・魅力化の内容等が盛り込まれているというところでございます。
 真ん中は、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方ということで、生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びの実現に向けてということで、不登校生徒の学習機会の確保等に関わる内容等を盛り込んでいるというところでございます。
 右側でございますけれども、社会に開かれた教育課程、探究・文理横断・実践的な学びの推進ということで、全ての生徒の学びの充実に向けてということで、普通科改革の促進、探究・文理横断・実践的な学び、専門高校の機能強化・高度化に係る内容等が盛り込まれているというところでございます。
 続いて、17ページ、これはDXハイスクールの取組でございます。大学教育段階でデジタル・理数分野への学部転換の取組が進む中で、その政策効果を最大限発揮するためにも、高校段階におけるデジタル等成長分野の人材育成が重要であるという観点から、必要な環境整備の経費を支援するという内容でございます。
 18ページでございます。現在1,191校を採択して取組を進めているというところでございます。
 19ページ、20ページには事例を載せておりますので、また御参照いただければと思います。
 その上で21ページ以降については、昨今の無償化に関する動きのところでございます。
 22ページでございます。こちらは今年6月の自民党・公明党・維新の会、三党の合意に基づくいわゆる高校無償化に関する論点の大枠整理の抜粋でございます。本日御議論いただく内容に特に関わる内容といたしましては、2ポツ、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保の1つ目でもございますけれども、高校無償化の大幅拡充がどのように高校教育の質の向上や子供たちの学びの充実につながるのか、スクール・ミッションやスクール・ポリシー等を踏まえた学校評価等の活用によるPDCAサイクルの徹底、一定の要件・基準による積極的な情報公開の促進など、高校教育の質を確保させる仕組みづくりの検討が必要という内容が盛り込まれております。
 23ページを御覧ください。こちらの8のところ、公立と私立の関係の上から3つ目でございます。過大な収容定員を設定したり、教育内容に課題が見られたりする広域通信制高校の管理運営の適正化や教育の質の確保・向上を図るため、定時制教育及び通信制教育振興法の改正も視野に、情報公開の徹底や点検調査の強化など実効性のある対応が必要という内容が盛り込まれております。
 24ページ、こちらは今年6月の骨太方針の内容でございます。この中でも、高校教育改革等への国の支援の抜本強化を図るということ、さらにいわゆる高校無償化については、これまで積み重ねてきた各般の議論という中で先ほどの大枠整理が引用されておりますけれども、それに基づき具体化を行い、令和8年度予算において成案を得て、実現するとされております。
 27ページを御覧ください。こちらは文部科学省の概算要求資料でございます。高校教育改革の実現に関わる経費としては、事項要求ということで、具体的な内容・額を示さない形の内容になっておりますけれども、こちらのほう、年末の予算編成に向けて具体化を図っていきたいと考えております。
 28ページを御覧ください。こちらは修学支援金の部分もございますけれども、こちらのほうも併せて事項要求というところでございます。先ほど、大枠整理、6月の部分を説明させていただきましたけれども、また、3党の協議は続いているところでございますけれども、私どもとしては、この大枠整理の方向性も踏まえながら今検討も進めているというところでございます。
 その上で、29ページ目以降でございますけれども、広域通信制高校における教育の質の確保等についてでございます。
 30ページでございますけれども、これは高等学校通信制課程の概要でございます。もともと通信制課程というのは、勤労青年に高校教育の機会を提供するということで戦後に制度化されたというところでございます。生徒が自宅等で個別に自学自習することとして、添削指導・面接指導・試験の方法により教育を実施しているというところでございます。これに加えて、多様なメディアを利用した指導を行うことができるという仕組みでございます。一方で最近では、勤労青年のみならず、多様な生徒に対して教育を提供しているような実態も見られるというところでございます。
 31ページを御覧ください。こちらは通信制高校と併せてサテライト施設ということで、面接指導等実施施設、さらに最近では、単位認定では直接関わらないものの、学習等支援施設ということで学習面・生活面の支援を行う施設も増えてきているというところでございます。
 32ページでございます。文部科学省で点検調査をやっておりますけれども、その中で明らかになった不適切な事案でございます。例えば面接指導の回数が不足している、あるいはその内容が高校教育にふさわしくないといったようなところ、相当する教員免許を有していない者が指導を行っているような事案ということで、私どもは所轄庁と共同で実地調査で指摘しつつ、その改善も促しているというところでございます。
 33ページにつきましては、通信制課程に関する制度の変遷というところでございます。国としても様々、ガイドライン、制度改正、認可基準(標準例)の策定等に取り組んできたというところでございます。
 34ページは、そのガイドラインの全体像でございます。
 35ページにつきましては、通信制課程については、こういった形で情報の公表ということで、省令の中でもその内容を規定しているというところでございます。
 36ページは、通信制課程の教員の数というところです。歴史的な変遷を経ておりますけれども、令和5年4月施行の部分については、少なくとも生徒数80人当たり教員等が1名以上必要であることを基準として設定するような内容になっております。
 続きまして、37ページ以降は所轄庁が認可に当たっての標準例ということで国が示している内容でございます。
 39ページにつきましては、今年、設置認可に関する調査を所轄庁に対して実施しております。調査結果といたしましては、1ポツにございますように、認可状況として、収容定員数あるいは在籍生徒数、いずれにしても増加している自治体が多いということ。一方で、定員の充足率については、この61自治体のうち、50%にすら満たない自治体が13自治体見られたというところ。さらに、2ポツのところ、文科省の標準例で項目を示しておりますけれども、確認していないとの回答が10自治体以上あった項目をこちらのほうにも少し掲載させていただいております。
 40ページを御覧ください。こちらは定員の充足率でございます。左が収容定員数ですが、一方で右側が在籍生徒数ということで、充足率が満たない自治体のところも課題としては認識しているところでございます。
 その上で、資料の43ページ、調査結果を踏まえた今後の対応の部分でございます。一つには、一元的な情報集約に係る通信制高校プラットフォームの構築ということです。なかなかこうした通信制高校、連携教育施設の実態が見えづらいと言われる中で、定員・実員、教育内容、入学・退学・卒業等に関する状況等を一元的に集約してホームページで一覧するような仕組み、これを構築していきたいというところでございます。
 また、点検調査についても、所轄庁による点検調査に有識者・文科省が同行して指導を実施するというところでございます。所轄庁による通信制高校の指導・監督の実態を分析して、所轄庁間の情報共有、連携協力体制の構築を含め、よりよい在り方を研究していきたいと考えております。併せて、アドバイザーの派遣にも取り組んでいきたいというところでございます。
 続いて、44ページからは高校入試の在り方についてであります。
 45ページを御覧ください。こちらは平成5年の通知でございます。学力検査の在り方については、中学校の教育課程の趣旨に即し、知識の量や程度を問う出題に偏ることなく、例えば論理式の解答を求める出題や思考力・分析力を問う出題を増やすなど、中学校の新しい教育課程で重視されるべき能力が適切に反映されるよう一層の工夫改善を図ることといった内容が盛り込まれているというところでございます。
 46ページを御覧ください。こちらは平成9年の通知でございます。この中では、学力検査について、1点の差を争わせるのではなく、一定以上の点数が取れれば足りるという基本的な考え方に立って取り扱うことが望まれるといったような指摘など、こういった指摘を踏まえて、学力検査においては一定以上の点数を得ていれば、他の資料によって選抜を行っていくという方法が広く進められるべきであるということが当時から盛り込まれているというところでございます。
 47、48ページについては、思考力・判断力・表現力を問う良問ということで、参考までに後ほど御覧いただければと思います。
 49ページでございます。こちらは令和7年の高校入試の配慮事項の通知でございます。その中では、調査書において出席等に係る日数の記入欄を設ける場合には、特定の入学志願者が不利益を被ることがないように配慮をお願いしたいといったような内容を示しているというところでございます。
 その上で、50ページでございますけれども、特に不登校生徒の教育機会の確保の観点で申しますと、在籍する学校における出席の状況のみをもって不利益な取扱いをしないようにするといったようなこと、さらに、生徒の自己申告書や学校以外の場における学習状況に係る資料も適切に勘案したりということで、そういった配慮を求めているというところでございます。
 51ページにつきましては、小中の不登校の状況の増加傾向、また、52ページについては、高校の不登校生徒数の全国生徒の状況というところでございます。
 54ページを御覧ください。こちらは今年4月のデジタル行財政改革会議で総理のほうから大臣に対して、いわゆる高校入試における単願制の問題点とその解消策の問題提起を踏まえまして、生徒の希望する進学につながるというメリットや現場の課題を丁寧に考慮し、希望する自治体での事例創出の具体化を図っていただきたいという指示がなされているというところでございます。
 それに対して大臣としては、入試の在り方としては、実施者の都道府県が決定するというものである一方で、デジタル技術を活用した併願についてはメリットが考えられる。その上で、例えば生徒の多様な個性・能力が十分に評価されるか、特色・魅力が損なわれないか、専門高校への影響という課題も想定されるということで、メリットや課題について整理をしつつ、自治体・高校関係者の意見も聞きながら丁寧に検討していくというスタンスを述べているというところでございます。
 55ページを御覧ください。こちらは中教審の教育課程部会でも議論されている内容でございます。入学者選抜の在り方、学力検査、多様な選抜方法に係る課題を踏まえまして、学力検査の改善といたしましては、思考力・判断力・表現力等を問う問題の出題の充実に係る課題の整理とか、中・高の担当部署の連携、さらには採点等でのデジタル技術の活用や負担軽減に係る取組。2の多様な選抜方法の拡充については、実際スクール・ミッション、ポリシー等を踏まえた多様な選抜方法を導入する場合にどのような方法・留意事項があるか整理すべきといったような点。さらに、不登校生徒さん、あるいは合理的配慮が必要な場合の基本的な考え方や配慮を含めた留意事項の整理というところでございます。また、学力検査を行わないことができる選抜や、調査書を用いないことができる選抜の取扱い等についても整理すべきという内容が盛り込まれているというところでございます。
 そうした内容を踏まえて、56ページに再度、冒頭で御説明させていただきましたけれども、大きく3点、こちらのほうに議論いただきたいポイントを示させていただいております。この内容に限らずというところもあるかと思いますけれども、またこの後、御議論ほどよろしくお願いいたします。
 少し長くなりましたけれども、私から以上でございます。
【荒瀬座長】  橋田参事官、ありがとうございました。1番、2番、3番の検討事項に関する説明をいただきました。
 ただいまの御説明を受けて、今日は初回ということもありますので、3つのことを大体30分程度、30分弱になるかと思うんですけれども、御意見を頂戴したいと思います。可能な限りたくさんの御意見をいただきたいと思いますので、大変申し訳ありませんけれども、できましたら短めに御意見をいただければと思いますし、私のほうも途中何か申し上げることなく、淡々と順に御指名をしていきたいと思います。手を挙げるのボタンを押していただいて、お話しいただきたいと思います。
 最初は1つ目の高校教育の充実についてということで、これは相当幅広いですけれども、これに関して、2つ目は広域通信制に関するもの、3つ目が中高の円滑な接続ということです。2つ目、3つ目は後でお話しいただくということで、1つ目の高校教育の充実についてということでの意見交換をしたいと思います。いかがでしょうか。
 長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  ありがとうございます。これは幅広い、本質的な課題、議題だと思うんですが、各高校がスクール・ミッションとかポリシーをもう既に策定しているわけですけれども、特に私立高校側のことを申し上げますと、高校全体の3分の1を占めている1,300校程があるわけですけれども、私立にはもとより建学の精神がありますので、そのミッションとかあるいはポリシーの下で育成を目指す資質・能力を示していることが多いと考えています。
 そこで昨年、実は私学側の研究所、日本私学教育研究所というところがございますが、そこで、私立高校全校に対して、各学校が育成を目指す資質・能力に関して、グランドルーブリックを作成したり運用しているかどうか、どのぐらいそういう学校があるかアンケート調査をしたんです。回答いただいた400校ほどのうち、グランドルーブリック、各学校が育成を目指している資質・能力の評価基準とするものを意味していますが、これを作成して運用している学校は実はまだ1割に満たないということが分かりました。
 法律を含めて多様な教育を進めようとしているわけですので、各学校がスクール・ミッションとかポリシーを掲げるということについては、どのような資質・能力を育成しようとしているのか、身につけるのか、または身につけられたのかを示す評価基準がないといけないのではないかと。もしそれがないとすると、掲げているミッションとかポリシーは単なるスローガンにすぎないということになってしまうわけです。そうすると、生徒の満足度とか、あるいは達成感といったもの、いわゆるロイヤルティーと言ってもいいんでしょうか、それを生み出せないんじゃないかなと危惧しているわけです。
 今回の学習指導要領が示していたコンピテンシー重視というんでしょうか、資質・能力の育成の指標として各学校がグランドルーブリックのようなものを策定することは、これからの質の高い高校教育にとって欠かせないものではないかなと、そんなことをこれは公私立問わず必要なことではないかなと考えているところでございます。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、神野委員、お願いいたします。
【神野委員】  よろしくお願いします。今、私も中学と高校の校長という立場でやっている中で、高校教育の充実という際に、非常に我々も変わっていくので難しいなと思っているのが、やっぱり総合型選抜とか学校型推薦と言われるような今の大学受験に学校現場がちゃんと対応できているのかというところ、ここがすごく重要なポイントだと思っています。
 というのも、やっぱりいまだ高校の先生自体が、総合型選抜で問われているような志望動機だとか非認知能力という部分に関しての理解がどうしても追いついていなくて、それでもって、学校現場の中で生徒たちに対して志望動機書の書き方や面接指導等というものがすごいボラがある状態というのがいまだ続いています。ここをしっかりとまず高校の先生方が理解することが、実は本当の意味の真の探究学習の意味とかSTEAMとかということの意味を理解していくのにすごく大切なんじゃないかなというのはすごく感じています。
 ですから、まず、高大接続もそうかもしれませんが、大学受験がどんどん変わっていっていること、そしてまた、それをちゃんと高校現場の先生方が理解できるように、これは外部人材にどんどん学校現場の中に入ってきてもらうのか、そういうようなやり方、カリキュラムをしっかり学校現場が取ってくれるような情報を取っていくのか、ちょっとやり方は考えなければいけませんけれども、その観点をすごく考えていく必要があるんじゃないかなともちょっと感じています。
 その先にちょっとつながる話もあるんですが、2番、3番以降でまたお話しさせていただきたいと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  よろしくお願いします。今後の高校教育の充実に向けてというところで大きなグランドデザインを描いていくに当たって、私はこの3つの大きな柱が必要だと考えております。
 やはり1つ目は、専門高校の抜本的な機能強化・高度化です。専門高校はしっかりと産業界と連携・協働しながら、実践的な学びの充実だとか、本当にこの先のAIだとかロボット等も活用しながらやっていけるアドバンストエッセンシャルワーカーとか、もう1次産業、2次産業もこれからよりテックを含めて必要ですから、こういったところの持続成長を牽引していけるような専門人材をしっかりと育てていけるような専門高校にアップデートをかけていくと。そのためにも、産業教育施設・設備とかの充実だとか、産業界からの人材の派遣もそうですし、場合によっては研究・副業含めた人材活用というところを本気で支援しながら取り組んでいくというところが一つ大きな柱かなと思います。
 2つ目は、やはり地域唯一の高校の魅力化というところです。こういったところにおいては、やっぱり地元市町村をはじめ地域と連携・協働体制をつくりながら、地域資源をふんだんに活用した探究的な学びとか越境学習、また、デジタルとかオンライン、遠隔教育なんかも抜本的に小規模校になるようなところは強化していくというところで、新しい時代の地方創生だとかにもちゃんと対応した人材を育てていけるようにしていくというところで、こういった辺りにはコーディネーターの配置もそうですし、地域留学とか、あとはスクールバス等のアクセスの確保というところをしっかりとやっていくというのが2つ目の柱として非常に大きいところかなと。
 最後、3つ目は、やはり今、高校生たちの7割以上が通っています普通科高校の改革と理数強化というところです。今後の社会で求められていく人材だとか必要なところというので、もう今は理数系もそうですし、デジタルとかこういった人材が本当に不足していくということが見えているという状況においても、普通科高校は、大学はじめ研究機関とかそういったところもしっかりと連携・協働を取りながら、探究もそうですし、文理横断とか、理数系の教育の抜本強化をこの期にやっぱりしっかりと図っていく。今後のAIとかDXもそうですし、こういった科学技術のイノベーションを生んでいくような人材とか、グローバルリーダーをしっかりと育てていけるというところに普通科自体もこの改革をしっかりと取り組んでいくと。そのためにも、デジタル・理数系の環境整備もそうですし、高大連携とか、国際交流・海外連携の推進、こういった辺りもしっかりと支援しながら、この機に高校教育の充実をしっかりと図っていくと。
 こういった3つの柱はやっぱり外さずに議論もしくはグランドデザインの積み上げというところが必要かなと思います。
 すみません、以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では続いて、小坂委員、お願いします。
【小坂委員】  まず、スクール・ポリシー、スクール・ミッションのPDCAサイクルの徹底ということで、実際に私も高校のほうで教諭としても、また、今、実際に教育長としても広く校長たちの動きみたいなのを見るんですけれども、やっぱりこれというのはもう本当に今まで地域のステークホルダーとか、そもそも子供たちを一緒に入れて学校の目標をつくっていったりとか、今までのいわゆるマネジメント観の大きな変化であるというところを考慮して、なかなかやっぱりつくるだけでほとんど機能してないというのが多いのかなと実感しております。
 そもそも先生たち、管理職だけで決めてしまうようなところもありますし、その評価、また、地域の人たちとのやり取りの部分、そういった部分が、管理職も含めて、研修とか、対話的にどういうふうにそういう目標を決めていくのか、コミュニティーをつくって目標を決めていくのか、評価していくのかというところを、少しそういった部分の研修みたいな部分にかなり力を入れないと、逆効果になるケースをかなり見ています。それが一つです。
 研修の部分でいいますと、ちょっとまた話、下のほうの魅力の部分でいいますと、専門高校においても、非常に業界の人たちが、高度な知識・技術というよりは、強い興味・関心、対話力だったり、レジリエンスでしたり、いわゆる資質・能力ベースのことをかなり求めてきているなと感じております。これはもう日本全土において、全ての水産業においてもかなり言われているなと思っておりまして、これは農業の部分、工業の部分でも聞いております。
 そういった部分で一つ取り残されているのは、これは理科もそうなんですけれども、実習教諭の先生、実習助手の先生たちというのが、教諭はかなりこういう部分は研修を受けて変化していくんですけれども、実習の先生が取り残されているケースを非常に多く現場で見ております。そういった方たちの今後の在り方とか研修の部分も具体的には少し配慮していかなければいけないことなのかなというふうに組織の長としては感じております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では続いて、石崎委員、お願いいたします。
【石崎委員】  ちょっと柔らかい話なんですけれども、2週間前に中国に行く機会があったんです。北京の校長先生たち何人かとお話しする機会があったんです。私が行った学校は、学校の中でAIの開発、学習じゃなくて開発をしていたり、マイクロチップを作る機械があったりとか、すごい学校だったんですけれども、中国の校長先生方何人かとお話したときに、学びの動機をどういうふうにしているんだというところで、日本も中国も一緒だなって思ったのは、やっぱり将来の職業とかそういったものが一つの動機づけになっている。将来何になりたいか、何の仕事をしたいかというような、そんなことが動機づけになっているというのは何か共通する部分だなと思ったんです。
 違うのは何かなと話していて分かったのは、中国の高校生というのは、将来就く職業を、その職業が社会でどう評価されているのかとか、収入は幾ら得られるのかとか、親戚がどういう意見なのかとか、結構そういうことが大きく影響していて、それに対して私なんかは、日本は生徒が何に興味・関心を自分で持つのかとか、将来役に立ちたいとかという使命感だとか、そういったものが結構動機づけになっているんですなんていう話をして、そんな違いがあるんだなと思いました。
 話していてやっぱり、今日の丸ポチ3つ目にあるんですけれども、生徒の満足感とか達成感とかの望ましい測り方とかとあるんですけれども、やっぱり学んだことや、高校を出て、今の多様な学びと言われているものが社会でどう受け入れられるのか、どのように評価されるのかというのは大事な視点なんだなと改めて思ったので、学校の中だけで、「ああ、すごいことが身についたね」というんじゃなくて、やっぱり社会で受け入れられるようなそういう仕組みをつくっていくことも大事なんだなと改めて思った次第でございます。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、篠原委員、お願いいたします。
【篠原委員】  ありがとうございます。私もちょっと飛躍した話を申し上げるかもしれないんですけれども、やっぱり今までの高校の枠組み、あるいは目先と言ったらおかしいかもしれませんけれども、数年後にはどんな進路を持つかとか、そういう視点でずっと議論をしていると、やはり何となく今までの延長のような気がしております。高校というのが義務教育ではなく、そして大学も含めて、あるいは社会に出るということの学業を修める意味での最後のステップだとすると、本当に本質的なところをいま一度きちんと身につけてもらう、そういう段階なんだと思うんです。
 それでいいますと、やはり例えば教科が、文理とか理文とかいろいろな言い方をしますけれども、そういう区分けというのはもう不要だと思いますし、産業界と連携という話もございましたけれども、今の産業界ではなくて、これからの未来の在り方を考えたときには、もっと創造的なところに飛躍していってほしいというような気持ちもあります。なので、すごく乱暴かもしれませんけれども、大学入試がいろいろと変わっている中で、教科の学びというのをどこかでやはりある意味ピリオドを打って、本当に探究活動をきちんとやるという、そういう時間をもっと高校生に体験してもらいたいなということをとても感じます。
 そのために、やはり基礎的な知識というのはもちろん必要なのかもしれないんですけれども、本当に知りたいときには自分たちでもう分かっていくかもしれない。分からないところだけを先生がサポートすればいいというような、そういう形での教育の在り方というのはこれから研究する余地があるのではないかなと感じました。ですので、ある意味、本質的な、例えば世界情勢も含めて、歴史のことも含めて、平和とは何かとか、環境とか、あるいは自分の心・技・体のことを考えたときに食べること、健康、そういう本当に大きなテーマで生徒たちが考えられる、そういう取組がもっと高校の中であってほしいというようなことを感じております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今6人の委員の皆さんから御発言いただいて、いずれも大変興味深くて、質問をしてみたいと思うようなこともたくさん出てきたわけですけれども、皆さんの中でもしどなたかにちょっと質問してみたいと。あと時間がそんなにこの部分に割けはしないんですけれども、もしよろしければ、お二人あるいは短ければ3人ぐらいは行けるかなと思うんですが、いかがでしょう。
 私が質問するのはよくないかもしれないけれども、大学入試の話も出て、神野委員も、入試が変わっているのに全然学校はそれが理解できてないんじゃないかというお話でしたし、今、篠原委員からも入試が変わっている中で、今までの学び、教科の学びにピリオドを打ってはどうかということですけれども、入試というのはそんな変わっているんですかね。
 すみません。ごめんなさい。岩本委員、どうぞ。
【岩本委員】  いやいや、どうぞ、ちょっとそれ続けてください。その後で大丈夫ですので。
【荒瀬座長】  いいですかね。入試はそんなに大きく変わっているんですかね。
 どうぞ。
【神野委員】  ありがとうございます。AO入試、総合型選抜でいえば、特に関関同立とかMARCHみたいなところだったりすると、そもそも共通テストとかを一切受けずに、志望動機及び面接というだけで評価される。あとは、一応評定平均みたいなことを見られたりしますけれども、例えばSFCとかであれば評定平均は3.5でよくて、それでもう志望動機と面接、それだけで判断されるというのが総合型選抜、AO入試と言われる世界になってきています。
 そうすると、今までの基礎学力みたいなものはそもそも検査しないんです。本当に志望動機と面接だけで判断で、そこで何が判断されているかというと、「じゃあ、SFCに来て、あなた何したいの?」と言ったら、「誰々教授の誰々の下でこんな研究がしたいです」「じゃあ、あなた、中高生の頃、何やってきたの」と聞かれて、「自分はそういうような研究がしたいから、中高生の頃から探究的な活動の中でこういうことやってきて、さらにそれを大学でもっと深めたくて、将来こういう人間なりたいんです」ということを説得力を持って、しかももう取り組んでいるということを言える人がやっぱり強いというのが、AO入試、総合型選抜の世界観としてあるんです。
 だけど、今言ったことは就職活動のときの社会人の面接みたいなもので、ある意味あのときの問われている能力に近いんですが、ここを指導したりだとか、そういう能力が大切なんだよということを言葉としてちゃんと保護者や子供たちに語りかけられるスキルを持った先生が現場にあまりに少なくて、正直、うちの学校でも、私が来て、私が最初やっていた。そこから少しずつ伝播していったという感じにすぎなくて、今、福岡、佐賀辺りの高校を見渡しても、そういうことをきちんと理解して指導されている先生はやっぱり数えるほどしかいないというのが現状だったりするんですね。
 逆に言うと、近年、私立とかで急にいろいろと注目を浴びている学校の一つのロジックは、最後の大学受験のところの総合型選抜、AO入試対策というところが上手な先生がぱっとやって来て、その人がいきなり実績を上げて、20人とかを大学に受からせた。それでもって今まで大学に行くような子供たちが出なかった高校から急にそういう実績が出たというので人気が出るとかということが起こっていたりもするんです。結構、だから、本来、でも、その力というかその考え方とかはまさに機会格差につながることなので、全ての高校がそういうことが一定ちゃんと子供たちに対して訴えられる機能を持つということはすごく大切なんじゃないかなというのは思っていたりします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。実はやり取りを少ししたいですけれども、時間の関係もあるので、またこの話もできると思いますし、ほかにも幾つかお尋ねしたいことがあったりしたんですが、一応それは置いておいて、岩本委員、どうぞ御発言ください。
【岩本委員】  そしたら、先ほど篠原委員の発言を非常に興味深く思って、そこでさらに伺いたいなと思ったことなんですけれども、篠原委員が言われたみたいに、質の高い探究的な学びの実現というのは、まさにもう全定通どの課程であってもどの学科においても、これは高校教育の今後の共通性というところで非常に充実させていくということは私自身も大事かなと思っていますし、次の指導要領の中間整理の中でもそれは書かれていたと思うんです。
 そのときに、具体的な方策はどういうものとかを篠原委員はお考えかなというところが質問です。例えば、今、総合的な探究の時間は3単位からが標準という時間になっていて、2まで減らせるということもありますし、3であれば、1学年ずつにすれば、1単位で1週間50分というぐらいで全日制であれば終わっていくというようなところで、本当にこれで探究というのが教育課程の基軸になって質の高い探究的な学びの実現が本当にこの先も図られるんだろうかみたいなところは、私自身かなり、ちょっと現場見ていてもクエスチョンがつくところなんです。篠原委員の、もう教科の時間にピリオドを打って、しっかりと探究できる時間の確保が必要なんじゃないかみたいな話があったと思うんですけれども、そこら辺、もし具体的な手だてとか方向性とか何かあれば、ぜひもう一段伺いたいなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
【荒瀬座長】  よろしいでしょうか。お願いします。
【篠原委員】  説得力を持って、きちんと制度的な裏づけもあってとかそういうことは全くなく、夢物語をお話してお恥ずかしい限りですけれども、私は通信制の学校にいたときにもそう思ったんですが、高校がある意味、昔なのかもしれませんけれども、昔の私がいた頃の大学のような学びを通信制ではしているということを感じていて、高校にも卒論があったらいいんじゃないかなということをちょっと考えています。
 3年生のときには、大学のための受験勉強をするのではなく、きちんと卒論をまとめる。1年なのか分かりませんけれども、そういう意味で1年生のときからそこに向けての学びというのをきちんと段階を追って目指していく。最後にそのプレゼンテーションをして評価を得ていくというようなところまでもしできれば、それは本当に高校の在り方が変わるかなということを感じています。
 そのプレゼンテーションは、地域で発表してもいいし、専門家が入ってもいいし、もちろん先生方も聞くことになると思いますけれども、いろいろな形で自分が考えていることをまとめていく、あるいはその先のことを考えて何かを発表していく力というのが多分これから必要で、恐らく本当に何の教科で何点取ったというのは、これからの世界では意味がないことが多いのだと思われるのですね。むしろ、さっきレジリエンスという言葉もありましたけれども、いろいろな苦しさにも耐えつつ、きちんとした枠組みの中でそういう論文なりプレゼンテーションなり何か総まとめを高校の段階でするという、そういう時間が高校時代にあったらいいのではないかなということを思っております。すみません、このぐらいのレベルで御勘弁ください。
【岩本委員】  ありがとうございます。今言われたのは非常に面白いなと思って、その卒論的なものがちゃんと、大学行く場合には大学入試なり何なりの入学者選抜の中でも評価をされるとかそういったところになれば、より接続性が増してくるのかなと思いました。あと、実際そういったことをやろうとすると、私はやっぱり今の探究のこの時間数だとか扱いでは到底そこに生徒も教員も時間が割けませんので、何かそこも含めて本当に質の高い探究的な学びの実現を高校段階においてどうしていくのかという、理念編だけではなくて具体の方策というのも今後こういった懇談の会の中でも議論があるといいなと思って聞かせてもらいました。どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変興味深いところなんですが……、小坂委員、申し訳ありません、短くお願いできますか。
【小坂委員】  はい、短く行きます。今、市町の教育長をやっている関係で、やっぱり今の議論でいうと、本当に小中がかなり追いついてきているんですね。小学校はそもそもかなり探究的に地方の学校なんかはやっていることが多くて、中学校がようやっと、部活動がやっぱりなくなってきて、探究的な方向にやろうじゃないかという動きが見られてきているので、高校教育においてはどこの部分をやろうかというのがすごく重要視されてくるだろうなと思いますし、ちょっと昔、ちょっと前みたいに、地域差はあると思うんですけれども、全部やる必要はなくなってきているなというのはあると思っています。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。御協力もありがとうございました。
 それでは、この件もまたこれからさらに議論していくとしまして、2つ目の議題であります、広域通信制高校における教育の質の確保や管理運営の適正化を徹底するための課題の整理についての御説明をいただきましたが、これに関して御意見がございましたら、お願いをしたいと思います。いかがでしょうか。
 長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  広域通信制は私立学校にとりわけ関係があるものですから、また一番手でお話をさせていただきます。各自治体が設置・運営しているまさに公立の狭域、狭いほうの通信制と違って、今申し上げましたように広域通信制はほぼ私立及び株式会社立ですね。ということなので、設置の認可とか管理運営というのは各自治体にとってなかなか大変なんだということをしばしばというんでしょうか、基本的に困難性があるということはこれまでも各方面からも言われているわけです。
 そういう中で文科省さんもいろいろと基準を変えたりしながら苦心していただいているところは分かるんですが、例えば先ほど御説明いただいた資料2の40ページなどを見ますと、ここも説明がございましたけれども、収容定員が過剰になっていると。これは年々そうなってきているわけです。学校数も増え、生徒数も増えというよりも、定員がまずある意味過剰に増えてきているということです。
 国の設置基準では、通信制高校の学則定員の上限がないんです。ですから、1校で2万名、3万名という学校が出来てしまっているという状況です。これは設置の認可権が、全国の、特に都市部のニーズがどのぐらいあるかということを把握した上で認可するというのが建前、立てつけになっているわけですけれども、それらは各県で次々と認可していますから、それが重複して過剰な収容定員を生み出しているというのはある意味当たり前のことなんです。そういう現象がここで起きているわけです。
 また、同じく資料の42ページに最新の調査結果が、文科のほうでしていただいて分かってきたことが幾つかあるわけです。広域通信制が全国で展開している、いわゆる連携協力施設というのが、各県あるいは地域と言ってもいいでしょうか、そこの入試日程をほぼ無視して、もう早い段階から入試を行っている。途中から不登校になって転編入する子とは違って、中学生の3年生の段階から早期に入試を行ってしまうような状況がある。これはもとより各地域の入試というのは、中学校の進路指導にも影響してしまうので、しっかりと秩序を持って行うと。ここは問題が大きくあることも分かりました。
 それから、居住している生徒数を把握してない自治体があると。認可している県で、私立広域通信制にどこの県の生徒が何人通っているか毎年調査してないと、これもおかしな話で、就学支援金が交付されるようになった現在は、居住地ごとの生徒数の把握などするのは当然のことで、そういうことがないまま設置されて運営されているということが、これは改めて分かったわけです。
 これらのことができていない、入試とか生徒数把握とかができていない広域通信制高校というのは、認可県が全日制高校と同様に、入試日程を適当にやってしまうなんていうのは全日制だったらこんなことは認められませんから、これは指導したり、場合によっては補助金を減額するなどのやはり厳格さが必要だと思うんです。基準をつくったというのはそういうことのためにあるわけですよね。
 長くなってごめんなさい。一方でもちろん通信制は、不登校生徒のセーフティネットだということは、これはもう今日その必要性がそれは増しているわけです。あるいは、多様な学び方の選択肢にもなっていると、これも通信制の良いところだと思うんですが、ただ、通学型の学びをする生徒が大半になってきているということも事実で、全日制以上の細やかな個別対応の指導が必要になっているというのが今日の通信制の姿じゃないかと思うんです。不登校生徒も通学型の生徒もいるわけです。
 そういう現状からすると、通信制は基本的には広域型じゃなくて、狭域型に転換していくという必要性があるんじゃないかと私は考えています。あるいは、既存の全日制でも通信制と同じような学び方ができるような仕組みをどんどん柔軟にしていくことが、生徒にとっては一層無理なく多様な学びをすることができる方向にいくんじゃないかなと。
 ただ、その際、最後に1点、高校の学びの習得度を証明するということも、これは必要だと思います。そういう仕組みも併せて進めていくということが大事ではないかと。
 ちょっと長くなりました。以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、神野委員、お願いいたします。
【神野委員】  すみません。私もちょっと長くなるかもしれません。まず、今思っていることが、今この広域通信制自体に対して何かもう少し強いハードルを課そうというような話がされていると思うんですが、先ほど長塚委員がおっしゃられていたことと近いんですけれども、もしそれをやるんだとすれば、同時に全日制の改革ということもしなければいけないと思います。
 というのも、今現状、10人に1人は通信制高校に行ってしまっているような高校生の在り方の中で、いろいろな子がいますよ。だから、いろいろな子がいるから、一概にこういう形ですねとは言えないけれども、私が会ってきたやっぱり不登校だったり通信制高校に通う子の中でも、本来、全日制学校に通えたら通いたかったか、自分が行きたいもしくは自分を受け入れてもらえると思っている全日制学校がなくて、通信制高校という選択肢しかなかった、こういう子たちは少なくないと思っています。仮に通信制高校だけを少し縛りを強くしてしまって、全日制高校側がそういう子たちを受け入れられるという環境が整えられなかった場合、その子たちはどこに行ったらいいのというような議論が起こらないとも限らないと思っています。
 だからこそ私は、今の10人に1人が通信制高校に行ってしまっているという現状においては、私も全日制高校の校長として思っていますけれども、全日制高校側がこの子たちを受け止められるような学校改革ができるのかどうか、そこにまずかかっていると思っています。そこをなくして、通信制高校側だけに何か規制をかけるというものは、逆に子供たちを取り残してしまうというような政策にしかなりませんから、まず一丁目一番地は全日制高校がこういうような子供たちをちゃんと受け止められるような学校に改革していくということが、一番最初にやるべきことだと強く言いたいと思っています。
 その上で、重箱の隅をつつくような感じで申し訳ないんですけれども、こういう言葉遣いをやめようぜということが多分我々が課せられていることだと思うという意味で、47ページの、これは高校入試の話なんですけれども、高校入試のところに書いてある資料の中のコメントのところで、「明治時代の我が国の産業革命として繊維産業が盛んとなったことを踏まえ」から始まって、「いったという主要な理解を問い、表現させる問題」と書いているじゃないですか。私は、子供たちに何かさせるという表現を安易に使うことを本当にやめたほうがいいと思っています。
 それは子供たち自体が学びの主体であって、子供たち自体が何かをするというような話にしていかなければいけないと言っている今の現行学習指導要領も次期学習指導要領も、今の教育議論の中で、実はこの「させる」、子供たちに何かさせよう、この言葉遣いを使っているうちは、実は私たちが本当に今教育改革しなければいけない本質を外れていくような言葉遣いだと思うんです。
 すみません、これ、重箱の隅で、ここだけに書かれていることだとも思うので、ほかのところは「問う」と書いているから申し訳ないんですけれども、でも、いまだ現場においてでいうと、小中学校に行っても、高校に行っても、これはかなり安易に使うんですね。探究させようとか、校則改革させようとか、それって本当に子供たちがやりたいと言っているんですかと私は毎回言ってしまうんだけれども、我々が本当に、今から子供たちが主体で、子供たち自体が学びに向かう姿勢をつくらなければいけないなんていうことを言っているその背景にある考え方からは絶対出てこない言葉遣いのはずなんです。
 こういうところをやっぱり厳密に捉えていって、そして全日制全体として、子供たちが中心だよねという雰囲気をつくっていくことでしかやっぱりもっとちゃんと全日制が選んでもらえるような環境は出来ないと思いますから、そこをまず一丁目一番地の高校教育改革としつつ、その上で通信制高校というところに対しての教育の質を上げていくということをどう考えていくのかという話はするべきなんじゃないかなと思っています。
 以上になります。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。ほかには。篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  広域通信制の質の確保ということで、まだまだいろいろな実態があるということは本当に悩ましいということに尽きるんですけれども、一つ、今までいろいろなルールをこの数年間結構新しくつくってきました。先ほども、それをまだ知らないというような担当の方もいらっしゃるという話がありましたけれども、やっぱり通信制の学校経営の在り方というものがまだ社会的に広く認知されていないということがあるのだと感じております。
 一つの具体的な方策としてなんですけれども、たしか今年度中に通信制の学校に関するポータルサイトを文科省さんのほうで開設をしていく予定だと聞いております。さっき資料にもあったと思いますけれども、それこそ定員であったり、学校の内容であったりということを一覧できるような情報を御提供くださるということだったと思うんですけれども、そこにぜひ、情報公開が徹底されているのかどうかという点をきちんと項目に入れていただけたらと感じました。
 通信教育規程の中で公表すべきことはもう列挙されていまして、それがホームページで学校側は公表しなくてはいけないことになっています。その項目がきちんとオープンになっているのかどうか、それをマル・バツで一覧できるようにするとか、あるいはこれは学校側が自分たちで入力するようにというような立てつけになっているようですけれども、例えば全く入力しなかったり、あるいは古い情報のまま放置されたりということもあり得るとすれば、やはり更新されている日にちなどがきちんと分かるように、これは数年前のままになっているとかそういうことがないように、例えば一般の中学生や、あるいは保護者がそのサイトに行ったときに、まさにこの学校がきちんとしているのかということが分かるような情報を一覧できるようにしていただきたい。むしろ学校の方針とかそういうものはホームページで見ればすぐ分かることなので、そういう情報の見せ方、厳選の仕方をぜひ御検討いただけたらと思っております。それが1点目です。
 それから、広域通信制というのは、出来たときには、国が承認するという、そういう立てつけになってスタートしているんですね。それはやはり広域だからということだったんだと思います。ですので、所轄庁が県単位で広域のことを管理するというのはやはり相当難しいのではないかなと思います。どういう形がいいのかというのは具体的な提案はできないんですけれども、国の関与をもっと強くしていくということは私は必要なのではないかなと感じております。
 それからもう一つ、これはまた飛躍しますけれども、勤労青年のためにつくられていた通信制ということであったり、あるいは全日制の中で通信制の課程を併記するようになっていったりということで、今この令和の時代にあって、全定通というこの昔ながらの3課程の在り方というのがやっぱり大きく変わるべき時に来ているのではないかなと思います。通信制にいれば、全日制がそういう課程をどんどんつくっていっていらっしゃるということは、やはり全日制の中でそういう教育の仕方をしていくということを目指しているんだと思いますし、さっき神野委員がおっしゃったように、リアルに保護者、それから生徒たちが通信制の学びあるいは通信制の高校を欲しているわけなんですね。
 まだまだ微力ですけれども、全国私立通信制高等学校協会、私通協という団体がありますが、毎年加盟校プラス非会員校の一部ですけれども調査をして、その結果をサイトで公表していらっしゃいますが、やっぱり通信制は、転編入生、学校を替わってくる生徒さんがやっぱり5割ぐらいいらっしゃるんですね。そのうちの84%ぐらいが全日制から来ている。全日制の学校が続けられなくて通信制が受皿になっているという実態はやっぱり如実にございますので、その点についてやはり一段の理解が必要かなと思います。
 最後に、この同じ調査の中で、経常費の補助金額のことを生徒1人当たりの平均で算出して示しています。広域と狭域の通信制は差が大きくございまして、広域の3倍の額を狭域は獲得しているんですね。ですから、広域の通信制の質の確保という意味でいうと、ルールが守られていない要因というのが何なのかということはやはり本当はもっと深掘りして調べていく必要があると思います。
 その中で、リアルに聞いた声として、やっぱり余裕がないんだということはすごくいろいろな学校の先生方から聞きます。ですので、例えば人件費の支出というのは広域であろうと狭域であろうと大差はない中で、やはり補助金の大きな差が現実的にあると思いますので、これはいつも、質の確保がなされてからそういう話ができるんだと言われるところではありますが、鶏と卵の関係もあると思いますので、今、実態として通信制の学校に通っている生徒が増えているという中で、そのことについていま一度御検討いただいたほうがいいのではないかなと思っております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  ありがとうございます。大きく3つあります。1つ目が法令違反等の不適切な事案についてです。これもやっぱり論外と言ったらあれですけれども、だと思いますので、少なくとも法令上義務づけられている情報公開の徹底だとか、その状況の把握や公表、そういった情報の集約は当然必要だと思いますし、法令違反等の不適切な実態が発覚した場合のペナルティの厳格化って、先ほど長塚委員も言われていたかと思いますけれども、これはやっぱりしっかり厳格化して明確化して、できるようにしていくということだとか、法令違反等が疑わしいようなときに、やっぱりその高校の教職員だとか保護者、生徒などからの通報だとか相談の窓口みたいなもののもちゃんと徹底して共有して、やっぱり最低限守るべきルールはしっかり守るというふうになっていないと、広域通信制を含めてやっぱり社会的信頼をどんどん失っていっているということになってしまいますので、ここは徹底する必要があるかなと思います。
 2つ目は、これは広域、狭域にも通ずるところですけれども、やはり質の確保といったときには、教育課程の今、特例となっている多様なメディア利用による学習、いわゆるメディア減免のここの抜本的な見直しはもう必要かなと思います。これは特例としてなっていますけれども、これが面接指導だとか特別活動等の貴重な対面とか協働的な学びの時間を大きく減らすというような特例になってしまっていますし、今そもそも最初つくられた考え方の勤労青年ばかりじゃない生徒がどんどんメインになってきている中での制度です。
 もっと言うと、このメディアを活用した学習というのはもう通信制のみに起きていることではなくて、今もう全日制でもメディア活用は当然やっているような時代ですし、今は一方通行のラジオとかそういった時代、当時の時代とも違いますので、こういった現状を鑑みれば、通信制のみにこの特例があるということ自体がおかしいです。全定通併せて使えるものにするのかも含めて、この特例自体がいつまで必要なのかということは、もう1人1台端末になったこのタイミングに抜本的な見直しの議論が必要だというのが2つ目です。
 最後、3つ目ですけれども、次の指導要領でも言われています質の高い探究的な学びの実現ということを考えたときに、今の通信の添削・面接・試験の内容及び回数も抜本的に改めて見直しをしていくという必要があるのではないかと思います。勤労青年であれば今の形でいいのかもしれないですが、そうでもないという生徒たちにとって、例えば先ほどの総合的な探究の時間を1学年1単位というふうにすれば、これは添削1回と面接指導1回をやったらそれで終わってしまうというのが今の添削とか面接の回数となっていますので、これで本当に学習の量と質は全日・定時制の課程と同等と言えるほどの探究がこれでできるんでしょうかということはちゃんと考えないといけないと思います。今後、総合的な探究に限らずですけれども、各教科科目の添削とか面接・試験の内容及び回数というのは見直しをされると思いますけれども、特に総合的な探究の時間だとか特別活動については、これはしっかりと内容と量と質というところを併せて見直しを図るということが今後必要かなと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今村委員、どうぞ。
【今村委員】  ありがとうございます。先ほどの神野さんのコメントにちょっと重なってしまうんですけれども、やっぱり改革を何事も進めるときに、現状のニーズになっている理由のところを踏み込んできちんと把握する必要があるかなと思うんですけれども、なぜこんなに広域通信制が選ばれるのかということは、やっぱり全日制の改革が遅々として進まないから、なかなかエンドユーザーとしての高校生のところまで進むには相当時間がかかるぐらいもう構造が出来てしまっている中で、やっぱり自由度がある広域通信制の居場所機能・学びの機能が、不登校の子供のみならず支持されているからというのが現在地だと思います。
 ただ、その中で、本当にビジネスベースに乗ってマーケティングされている学校も多くて、保護者にとっての選ぶ目線というものが、きちっと評価の目線が持てずに、本当に商業ベースのマーケティングで保護者が困って選んでいるということも起きているのも現実なので、私としては、これは基本スタンスとしては、質の一律な管理体制をつくるというよりは、評価機関をつくることがまず重要なのではないかと思っています。
 通信制の、広域通信制にしても狭域通信制にしても、そこで何を教えるかよりも何を子供たちが実際に学んだと思えているのか、どういう状態の子供たちにとって、本当にその子が自立を目指したときの学びの場になっているのかということを、狭域・広域両方の視点できちんと届いているということが、特に習得を図ることができるのが言ってみれば広域通信制のレポート的な学びでもあるとも一応言えるので、何とか広域通信制、狭域通信制、できればサポート校も含めて、何が子供たちに届いているよい学びの場なのかということの第三者評価機関をつくるということが重要だと思います。現状もあることは分かっているんですけれども、かなり業界団体というか当事者となっている広域通信制の方々によるものになっているので、これは本当に客観性を持った方々の委員構成の中で、自助グループではない形での評価機関が必要なのではないかと思います。
 その上で、設置のしやすさのところは、ある意味、広域通信制が切り開いてきた新しい学びの形のイノベーターといいますか、ある種のスタートアップ企業が生み出されるのと同じで、なかなか変わらない日本の高校教育の中で、広域通信制のような学校の形が切り開いてきたベンチャーシップみたいなものはこれからも残したほうがいいようにも思っています。なので、設置のハードルとか短期的な管理ハードルを上げるというよりは、第三者評価機関が3年後、4年後の評価のタイミングを決めて、その段階でできていないこと、指導しなければいけないことをきちんと評価をもって伝えていくというような体制でできれば、通常の全日制ではすくい取れない子供たちにとってのある種のオルタナティブスクールとしての広域通信制という形を高校生の学びのグランドデザインの中できちんと位置づけていくということが重要だと思います。
 ちょっと長いんですけれども、もう1点です。これは私、分からないので、本当にお聞きしたいし、調べていただけたらうれしいんですけれども、高校の学びの多様化学校の広がりは、実際どの程度のスピードで、どの程度のコストがかかっているのかということがやっぱり知りたいです。これだけ義務教育段階の不登校が増えている、その不登校の子たちを救っているのが広域通信制なのだとしたら、高校の学びの多様化学校をこのペースで広げていくよりも、今の広域通信制のサポート校の機能に重点的な何らかの支援があったり、事務の負担が普通の学校程度あることによって、困難な子供たちの受入れをきちんとしていける状態にあるということを、その受皿となっているということを支援の目線でサポートすることによって、実際に将来的に引き籠もっていってしまう可能性のある子たちに、この段階で自立に向かってレバレッジの利く高校生活を送らせてあげることができるのであれば、それは社会的なコストとしてかけるべきところなのかなと思います。社会に出る前の段階で、広域通信制のできればサポート校機能、居場所利用のところ、ここのところをどう応援していくのかというところが、というか、それしか、これだけの不登校の子供たちがいるという現実に支援施策は持てないのではないかと考えています。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今質問もありましたので、もしお答えいただけるのであれば、最後にお願いしたいと思います。
 それでは、3つ目の議題、中高の円滑な接続に資する高校入学者選抜の在り方について、こちらのほうで御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 長塚委員、お願いします。
【長塚委員】  また言い出しっぺになっちゃう。すみません。高校の入学者選抜については、多様で多面的な評価をするということを以前から文科省のほうとしても基本的な方針としていたと思うんですけれども、例えば公立高校の推薦入試、これは現在行われている県は21都道府県なんですね。以前はほとんどの県であったんですが、これはどんどん少なくなってきています。私立高校のほうは、これは各県の私学協会で日程を、この間に行いましょうということを決めるというようなことをしているわけですけれども、40の都道府県で県の私学協会で一応期間を決めたり、内容の方策などについても決めているわけなんですけれども、これが公立のほうがどんどん少なくなっているというのは非常に私は気にしておりました。
 私の記憶では、全国学力調査が大分県単位の競争のようなことになったあたりから、なぜか公立高校の推薦入試がなくなって一般入試化した。いわゆる学力を中心とした検査のほうに一本化してきているような感じがしてならないんです。もちろん学力調査も、知識だけじゃなくて思考力を見るという、AとBの問題を合わせるような形で変わってはきているんですけれども、もう少し多面的評価をするとか、多段階の多様な入試をするというようなことがまず前提にあって進められるべきじゃないかなと。
 学力3要素という現在の学習指導要領で中学生が学んでいる根幹のところをしっかりと評価してあげられるような多様で多面的な入試というものをもう一度しっかりと見直していくというんでしょうか、3観点の扱い、今後学習指導要領は少し変わるというふうになってきつつありますけれども、中学までの学びをしっかり評価してあげる。また様々な配慮をしながらですけれども。そのためにも入試の仕組みの方向性をもう一度確認していきたいなと、そんなふうに感じているところです。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 神野委員、お願いします。
【神野委員】  すみません、よろしくお願いします。現実、先ほど小坂委員もおっしゃられていた中で、小学校、中学校のところの探究の学びはすごく改革が進んでいるというお話がありましたが、私、今、佐賀市や宮崎市の教育委員会の伴走支援、特に宮崎市の教育委員会の最高情報責任者という立場でも入らせていただきながら学校改革をやらせていただいているんですけれども、やはり小学校の先生、小学校の校長先生のほうが、探究活動みたいなところに関しての理解とか、あと、現場での振り切りというところの思い切りがいいなというのは日頃感じています。
 それは何でなのかというと、中学校の校長、中学校の先生方でいえば、探究型に振り切ったときに、やっぱり保護者から、PTAから、「何でそんな時間をやるんですか」というような話の質問とかがやっぱり来てしまうからなんですね。保護者からしてみると、高校受験で探究的なところで学んだ非認知能力というのは生かせないのに、いわゆる学力検査しかないのに、なぜそんな時間を取るんですかというような質問になってしまうわけです。
 やはりこの力学を考えたときに、高校受験をしっかりと改革して、探究だとか非認知能力ということをしっかり測れるような在り方にしていくこと、そしてまた、それをしっかりと保護者に対してもちゃんと説明していくこと、そうしていくことが、結局小中学校で進めていきたい今の学習指導要領上の取組もしくは探究活動的な取組を根づかせていくのにとても大切なことなんだと思っています。
 そしてまた、先ほどの2番目の、これは通信制の話でしたが、全日制が不登校の子たちをちゃんと受け止めていくというような在り方を実現していくためにも、例えば高校受験の段階でそもそも不登校状態にある子の受験というものが限られてくるというような自治体もまだまだありますし、さらに言えば、不登校状態にあった子が評価されるというときに、学力検査一辺倒という中で、例えば不登校状態にあった子ももしかしたら自宅で、フリースクールで、ほかの学びの場で自分らしい何か活動してきたとしても、それを評価してくれる枠組みがないとすれば、入り口でもはや受け入れてもらえてないというような感覚になってしまうとも思います。
 ですから、そういう今の環境全てを考慮した高校受験の在り方を今打ち出すのが、ひいては学習指導要領をしっかりと現場に理解していっていただくということに対しても一定効果のあるメッセージになるんじゃないかなと感じています。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木でございます。遅参しまして大変申し訳ございません。議題の3についてですけれども、恐らくは、この議論は中3から直ちに高1になるタイミングでの入試という前提なんだと思います。確かにそれもあるんですが、まずそのことについて。義務教育を修了した人を対象にする入試だと思うんですけれども、そもそも義務教育を修了した認定というのが各中学校で行われるとは思うんですが、高校でせめて最低限、高校入試の段階で最低限義務教育を修了しているんだ、身についているんだという認定があれば、そこから先は結構いろいろなタイプの入試があっていいと思います。
 先ほど推薦入試の件を長塚委員がおっしゃいましたけれども、ある教育社会学の研究では、いっとき推薦入試が普及したときに、結果的にはいわゆる学力を重視した入試でも高得点を取るタイプの生徒を単に早期に選抜しただけであったと。推薦入試の趣旨からすると、恐らく異なるタイプの生徒を選抜したかったんだけれども、それが必ずしもうまくいかなかったということが分かったんですね。階層的な面でも、所得階層と連動した成績上位層を早めに採ってしまったということなんだと思います。
 そのことを踏まえると、まず推薦入試の振り返りというのが大事だと思います。現代の大学入試で言うところの総合型入試みたいな、入試の研究開発が進んでいますから、そういうものを参考にしながら検討していくほうがいいかなと。これは、要は、高校入試を高校の先生任せにしないということなんだと思います。入試のプロ、研究者もいますので、そういう人たちを巻き込んで開発していけばいいかなと思います。
 最後、1点ですけれども、先ほど言ったように中3の高校入試ということではなくて、現状を見ると、高校に入ったけれども、転籍というんですかね、退学して別の高校に入る生徒さんが増えていますので、やはり中途入試という表現がいいか分かりませんが、転籍に対応した入試の研究開発も必要かなと思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、小坂委員、お願いいたします。
【小坂委員】  ありがとうございます。昨年まで進路部長などを高校のほうでして、推薦の指導もしていた経験もあって、ただ、今、中学校の管轄をするようになって、すごく複雑な思いであります。
 というのは、高校はやっぱり大学の高大接続改革会議でも非常に変わって、子供たちが自分が何が好きなのかということと社会を結びつけて入試ができるようになった。それが本当にうまくかみ合ったときの入試というのは本当にすばらしいなと思っています。一方で、またそれがそのまんま中学校に来るというのが、これはできるんだろうかというのが、結構難しいなというところも感じています。ただ、いいものであるのは間違いないので、それをどういうふうに中学段階で自分の好きだったりをある程度はっきりさせて選んでいくのかというところなのかなと。
 あとは、やっぱりそのためには、横断的だったり、本当にいろいろな体験的な探究的な学習が必要になると思うんですけれども、全ての教科ではないんですけれども、中学校の先生の授業を見ていますと、ある一定の教科ではやっぱり教える量が多過ぎますので、もう一方通行の授業ですね。すっと通っていったら、もう後戻りすることができない。戻ってじっくりここをやるということがなかなか現状できない科目・教科もあるというところが、こちらが高校をよくするためにも中学側にもちょっと言えることなのかなとも思います。中学校側のボリュームの問題もかなりあるなと感じております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、石崎先生、よろしくお願いします。
【石崎委員】  入学者選抜というのは、どういう形でやろうと結局、合格する子と不合格の子を分ける作業なんですね。そういう意味では、それぞれいろいろなことをやって、いいね、いいねと評価するのは大事なことではあるんですけれども、結果的にやっぱり合格する子と不合格になる子を分けざるを得ないという中で、どれだけみんなが入学選抜に公平感を得られるか、納得感を得られるかという、そこが大事なんだと思うんです。
 大学入試制度改革のときにそんな議論が大きくあって、いっとき大きな議論になったのは記憶の方もいると思うんですけれども、そのときにもやっぱり、入試の多様化もあるんですけれども、一方で体験格差だとか地域格差だとか、それぞれの受験生の背景といいますか、そういったものが影響するというようなことが言われていたのは記憶に新しいところだと思うんです。ですから、入学者選抜制度を議論するときには、やっぱり公平性だとか、納得感が得られるかとか、そういったところをしっかりと議論していかないと、いろいろな入試制度がいっぱい出てくると、また混乱も招きかねないというようなこともあると思うので、そういった慎重な議論も必要だと思いますというのを思い出しました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。いろいろ思い出すことの多いお話でした。すみません、余計なことを言いました。
 岩本委員、どうぞ。
【岩本委員】  ちょっと繰り返しになってしまう、ほかの委員の方たちが言われたのと共通する部分がかなりあるんですけれども、高校において探究的な学びが進んだ一つの要因というのは、やっぱり大学入試の変化が影響していたというところは否定できないところだと思います。今後、次の学習指導要領においても、もうこれは小学校、中学校を含めて質の高い探究的な学びの実現というようなところが言われているような中で、やっぱりそうした学び、探究的な学びで培ってきたものをしっかりと高校入試においても評価をしていくということは、今後しっかりと制度としても仕組みとしても位置づけていく必要があるだろうと思います。
 今後これはやっぱり、今、中学校とかでもよく聞くんですけれども、今は中学校の総合的な学習の時間で学校によっては探究的な学びはしていなくて、学校行事の様々な準備に今でも使われているというようなことはいろいろなところでも指摘されていることですけれども、やっぱりそういった状況になっているその構造の一つは、それをやっても高校入試に評価されないというところで、どうしても生徒たちの進路実現ということを中学校側も一番に考えたら、そこでちゃんと評価されることに子供たちの限られた時間だとか教員の時間を使いたいとなるというのは、やっぱりどうしてもそういう構造ですので、高校入試も、生徒の選抜という意味も当然それは大事でありますが、やっぱりここが変わっていくということは、中学校や小学校、義務教育の学びに対してのいい意味での後押しになっていくものだと思いますので、そういった視点も含めて今回、高校入学者選抜の在り方というのは次のフェーズに入っていく動きをしっかりとやるべきかなと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬座長代理】  よろしくお願いします。途中から参加したので、既に議論されている可能性があるんですが、気にせずにしゃべりたいと思いますので、適宜吸収、スルーしていただけたらと思います。
 最初に、入試という観点からすると、先ほどの高校での学びの全日制・通信制のミスマッチのことも考えると、学び方も本当は含めた上での入試になるとよいなと思っています。現状、学力だけで見てしまっているところがあるので、高校に入学してから例えば全日制を辞めた上で広域通信制に移るとか、通信に行くんだけど、いまいちその学びが向いていなくてということからすると、本当は入試の中にも学び方とかスタイルも入っていれば、全日制で学ぶ力が分かるだろうし、通信制で学ぶ力も分かると思うので、高校の中でどう高校生活を過ごすかということも本当は入試に入っていたり、進路指導の段階でも中学校の先生が把握できるようになっているとよいのかなという気がしました。
 それが、さっきの2番と1番のときに僕は言えなかったのでここで勝手にひもづけてしゃべりますけれども、やっぱり広域通信制の話だけ質確保とかという話だと、結局、生徒たちが実際に選んでいる実態が把握できないと思うんです。だから、最初から広域通信制だけに行っているのではなくて、やっぱり全日制に一旦入ったけれども、辞めてしまってそちらに流れているというのも現実問題、存在するんだとすると、質を確保すべきは、高校生にとっての学びの質確保が大事なのであって、現状、教育の質確保の話で、どこか特定の校種だけの話になっていますけれども、高校生自身が多分過ごすであろう3年間から4年間あたりがちゃんと学べばいいはずなので、そのために提供できるものは何かと考えたときに、多分全日制と定時制、通信制でそれぞれ違っていて、全定通が並行したときにも1個の学校の中でいろいろなパターンを提供できるという学びの多様化の話になると思うので、あくまでも学びの質確保がありきで。
 多分、単に広域通信制が悪いというだけではなくて、向いている、向いていないというのを考えずにそこに飛び込んでしまっているとか、飛び込まざるを得ない状況というのもあるかと思いますので、以前からお話ししているように、やっぱ中学校段階でそれぞれで学べることと学び方に対する自分の向き不向きみたいなものをしっかりと事前に把握できる必要があると思いますし、それができていれば、多分入試を突破した後の高校生活の過ごし方が変わる。
 さらに言えば、先ほど青木委員もおっしゃっていたみたいな、転籍に関して対応したような入試もあったと思うんですけれども、これは私自身が思うのは、これは多分1番につながると思うんですけれども、文系と理系を分けるというのを中学校段階でやった上でスーパーサイエンスハイスクールとかに入ると、途中で替わりたいと思ったときに替われないんですね。改めて学んでみると、それは自分のやりたいことではないとかとなったり、高校1年生のときの進路選択で文系・理系を選んでしまうと、高2、高3で気が変わったとしても移れないんですね。
 それは結局、高校側が提供できる授業数が限られているからだと思うので、本当は自分が移りたいと思った時点でいつでも替われるとか、さらに言えば学校そのものも替わるということも、生徒にとっての不利益にならないような選択の自由度を本当は高校の中での教育が確保できていれば、例えば地学とか政経とかも学校によって受けられる学校と受けられない学校があったり、理系になるともう選べなかったりとかというのが制約されているのは、多分、現状の授業提示の可能性から制約されていることなので、本当はそういうところはもしかすると、通信制のほうがアーカイブも通じて充実に提供できるのであれば、高校生の進路選択自由度からすると満足度はそちらのほうが高いのではないかなとも思います。やっぱり高校生の学びが望むとおり提供できるかどうかというところでぜひ高校を見たり、高校の入学者選抜も見られたらなと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  高校入試についても全国的にもいろいろと改革をしているところがあるやに聞いております。例えば、たしか広島県だったと思いますけれども、15歳のあなたはどんなふうにいてほしいか、そのことを私たちは高校の入試で見ますみたいなことをたしか中学生に向けてきちんと分かりやすく伝えた募集要項的なものを作っていて、たしか入試の中で、先ほどの最初の私の話にも関わるんですけれども、自己表現だったかな、自分のことをプレゼンするというものをきちんと一般の学力試験や調査書と相当並行して実施していると。なので、生徒たちは、自分らしさを表現するプレゼンテーションを高校入試の段階で求められていくという、そういう取組をなさっていたように記憶しています。
 ですので、もちろん全国いろいろなやり方があるとは思うんですけれども、今いろいろな流れがある中で、学力とか、あるいは調査書、内申書で何か中学生の生活ががちがちにされているようなそういうことではなく、別の観点からの入学試験の在り方というのはまだまだ研究する余地があるのかなと感じています。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。あるいは、御質問とか、先ほどのような形で。
 今、御意見の中には出ていませんでしたけれども、それこそ塩瀬委員もおっしゃった、入学後どう高校生活を過ごしていくかみたいなことまでやっぱり考えた上で受験できるということが大事なんじゃないかとか、あるいはほかの方もちょっとそれに類することをおっしゃっていたかと思うんですけれども、そうなってくると、まさに今ここで先ほど事務局からの御説明の中にもありましたけれども、スクール・ポリシーというふうな中でその中で考えていくとすると、グラデュエーション・ポリシーがあって、そのためのカリキュラム・ポリシーがあって、入る際にアドミッション・ポリシーがあってというのは、要は、入学後どんな学びとか学校生活があるのかということを考えた上でその学校を選択して、入試を受ける。入試の形がどうかは分かりませんけれども。
 そんなふうに考えていくと、学校ごとに入試があっても別に不思議じゃないと私は思ったりするんです。今は県単位で決めなければいけないので、その県に住んでいる人はそれを受けられるかもしれないけれども、ほかの県の人は受けられないということになるならば、私立はそれこそ各学校が独自にやっていらっしゃるわけだから、公立高校もそういう意味では、それぞれの学校でうちの学校のスクール・ポリシーとしてこういう入試をしますというのがあって、そこで中学生の評価を受けながら学校改革も進めていくというのもあってもいいんじゃないかなと思いながらお聞きしていました。ありがとうございました。
 いろいろと多分、委員の皆さんももう少しこのことについて聞いてみたいとかとかいうこともあったかと思うんですけれども、事務局、いかがでしょうか。あ、今村委員がまさに手を挙げていらっしゃる、ごめんなさい。
【今村委員】  すみません、今の。荒瀬先生、時間がありそうだったので、ほかの方がほとんどおっしゃっていたから控えてたんですけれども。今、愛知県のほうでも、多分いろいろな県で始まっているのかと思うんですけれども、特色入試というのがあって、その学校ごとの特色を持った、特に専門学科みたいなところが多いんですけれども、こういう学びがうちの学校にはあるから、ここで何をしたいかということをプレゼンしてください、作文を書いてくださいということで、面接もありますというので、今、募集定員の20%ぐらいを定員にしてそういうふうな入試で採る子たちがいるというのが現状あります。
 このときにやっぱり、うちの組織でいうと、オンラインで困窮世帯の子供の支援とかをしているので愛知県の子もたくさん支援しているケースが多いんですけれども、塾にお世話にならないとなかなかその対応ができないという現状がある中で、うちのほうでは、見ている子たちに関しては、その特色入試のトレーニングというか、やっぱり自分で自分の思いを言葉にするって、それ自体はやっぱり変なテンプレート的な指導をしなければいけないというわけじゃなくて、その子の言葉を紡ぐということにはやっぱりサポートが必要なんですね。それをなかなか各学校がやるというのは大変なことで、特色入試を受けるにはそれなりのそういったコストをかけなければいけなくて、一般的には塾に行くということで、AO入試の、総合型選抜の早期化に近いような状況にはなっているんですけれども、これはやった子にとってはやっぱりとてもよくて、これにチャレンジして駄目だったとしても、枠が小さいので駄目だったとしても、やっぱり自分の人生のビジョンを1回考える機会にはなるんですね。
 なので、私も何とか学校ごとに求められることで、1回、どんな高校生になりたいか、高校で学んだ後どんな人生を歩んでいきたいかということを一旦考えて言葉にするという機会を何とかみんなが普通に持つようなこと自体は、特段コストをかけなくて、家庭負担になってしまうこのコストをどうするのかというところは当然考えなければいけないんですけれども、その機会自体の教育効果はものすごく大きなものがあると思うので、これは一般的な流れの中でこの学校は大体この辺だから学力的にというところで受けるのではない、特に募集定員が、今、子供が減っていてなかなか倍率も低い学校が増えている中で、実際のところは定員割れしているようなところこそ、そういった意欲を持って入ってくる子たちが生き生きと学ぶということにコストをかけるようなことももっと推奨していったほうが、結果的に高校の先生方にとって、育てがいのある子供たちの状況で入学してくることになるんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、塩瀬委員。すみません、そんなにたくさん時間を差し上げられないんですけれども。
【塩瀬座長代理】  じゃあ、短く。今村さんもおっしゃっていた、自分で自分の選んだことを言葉にするということが大事だなと思うのは、私自身、キャリア選択の授業とかで呼ばれると、最初に話すのは、理系と文系を分けることほど無駄なことはないという話と、あと、進路選択後の進路指導の話をさせていただいています。自分で選んだことを自分で言葉にすることで自分のキャリアにしていくというのがすごく大事で、なかなか選んだ後に後悔のほうが多かったりもするんですね。
 そういう意味でいうと、学校の中で本当にやってほしいなと思うのは、進路選択の時期の多様化。どうしても中1から中2に上がる時点でもう理系・文系を分けなさいと。でも、多くの生徒が、やってから、あれ? 違う気がするとなったときに、もう絶対に変えさせないというのが出てくるので、自分で無駄だと思っているのに逆のほうの勉強ずっとせざるを得ないという、個人で頑張っている子たちがすごいたくさんいるんですね。
 どんな子でも必ず迷うし、変えるし、それを自分の中で正当化するのと同時に、変更することも自由度を上げてほしいなと思うので、もう本当にパーセント・フォー・キャリアチェンジでもいいので、各都道府県で一律化したいのであれば、もう20%まではキャリア変更を認めてもいいとか、何かそれぐらいでもいいから、生徒たちの何かしたいと思うことに対してもどんどん自由度を上げていっていただきたいなと。現状ある中でもしできるのだとするんだとすると、先ほどの転籍に近い形で、もう一度考え直す時間とか。でも、自分で言葉にしているうちに本当にやりたいとなる場合もあると思うので、そこをもっと言葉にする時間が増えるとよいなと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。塩瀬先生に時間を短くしてくださいと言いながら、ちょっと一言だけ言いたいんですけれども、今村さんがおっしゃったことでとても興味深かったのは、その子の言葉を紡ぐにはサポートが必要だという、そのサポートすることこそ先生の仕事なんじゃないかなと思いますね。それができないとしたら、それは学校の中をやっぱり相当あちこちひっくり返して考えないといけないんじゃないかなということを思いました。
 もう一つ、専門学科等で特色入試が行われているということなんですけれども、それこそ普通科の特色化みたいなことを一生懸命一方で言っているのに、普通科が、うちの普通科はこんなことできるんですよと言って、普通科が自分のところの中身をしっかり考える機会にしていってはどうかなということも併せて思いました。
 すみません、ちょっと説明が中途半端ですけれども、以上です。
 では、時間があまりないんですけれども、事務局のほうで、先ほど今村委員から出た御質問の動き、それがもし分かるのであれば、あるいは何か次回資料を出していただくのであればそれも含めてお願いいたします。
【橋田参事官】  今村委員から御質問ありました学びの多様化学校ですけれども、すぐに確認できる公表資料ベースで申しますと、令和6年度が6校、令和7年度が11校ということで増えてきておりますが、その具体的な内容については、別のところが直接の担当部署になりますので、そちらのほうを確認した上でまたお伝えできるようにしたいと思います。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。今村さん、そういうことだそうです。よろしくお願いします。
【今村委員】  やっぱり少ないですね。しかも定員自体も少ないのではという予想ですけれども、分かりました。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、時間が来てしまいましたので、本日はこの辺りまでとしたいと思います。
 今後のスケジュールにつきまして、度會さんのほうから御説明をよろしくお願いします。
【度會参事官補佐】  本日も長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。
 次回につきましては、スケジュールなどを追って事務局からまた御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。度會さんは長時間ということでねぎらってくださいましたけれども、多分皆さん、もっと長くてもいいんじゃないかと思っていらっしゃるかもしれないし、今後の時間についてはまた事務局と御相談したいと思いますし、塩瀬先生とか田村先生とも御相談した上で考えたいと思います。
 それでは、本日予定した議事はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 ―― 了 ――

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