高等学校教育の振興に関する懇談会(第2回) 議事録

1.日時

令和7年12月10日(水曜日)14時00分~15時30分

2.場所

WEB会議にて開催

3.議題

  1. 高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン(仮称))骨子について

4.議事録

【荒瀬座長】  ただいまから第2回高等学校教育の振興に関する懇談会を開催いたします。お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。
 この懇談会でありますけれども、御承知のように公開を原則としておりまして、本日も報道関係者の皆さんや一般の方々向けにユーチューブで配信しております。
 ではまず、配付資料につきまして、度會さんのほうからでしょうか、御説明をよろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】  本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事並びに配付資料は、議事次第のとおりとなっております。資料について不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと存じます。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。議事次第を見ていただきましたら、本日の議題は1件のみとなっております。高等学校教育に関する基本方針、グランドデザインという仮称がついておりますけれども、この骨子についてということであります。この件のみ、今日はこれだけで議論をしたいということでありますけれども、高等学校教育の振興に関する懇談会の、我々のこれからの議論におきまして大変重要な内容を含むものでありますので、これにつきまして委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 今日御欠席の今城委員からも御意見を頂戴しておりますので、後ほど事務局のほうから御説明をいただくことにしております。
 ではまず、御説明のほうを橋田参事官にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【橋田参事官】  高校担当参事官の橋田でございます。私のほうからまず、このグランドデザインの説明に入ります前に、人材育成をめぐる全体状況について説明いたします。
 資料1を御覧ください。文部科学省では先月、省内に人材育成システム改革推進タスクフォースを設置いたしまして、高校から大学・大学院までを通した人材育成に関する課題の検討に取り組んでいるところです。この中にございますように、強い日本、未来の成長の基盤となる人材育成として、議論する課題と方向性のイメージをお示ししております。労働人口減少、AI・DXの進展等による産業構造転換に対応するため、新たな価値創造や、生産性向上を実現する産業イノベーション人材育成が急務との認識の下、下のほうにございますとおり、大きく3つの柱、社会変革を見据えた徹底した高校教育改革、大学教育の構造改革、産業イノベーション人材の育成を強化する仕組みの創設に取り組むことにしており–ます。
 続いて、資料2を御覧ください。こちらのほうはグランドデザインの骨子になります。こちらのほうは、経緯といたしましては、自民党、公明党、日本維新の会の3党の合意において、国においては高校教育改革に関するグランドデザインを今年度中に提示するとされたところでございます。こうした中、先ほどのタスクフォースにおいて議論を進めまして、このたび、先月末、骨子として公表したというところでございます。
 本日の懇談会では、高校教育に関する有識者として豊富な知見・経験をお持ちの委員の皆様から御意見を伺うとともに、今後、関係団体等の意見も伺いながら、年度内にはグランドデザインを作成すべく検討してまいりたいと考えております。
 それでは、資料に沿って説明させていただきます。
 1ポツのグランドデザインの背景でございます。2040年を見据えますと、少子高齢化、生産年齢人口の減少、地方の過疎化が一層深刻化するというところ、さらに、先ほどの産業構造、社会システムの変化を踏まえた労働力需給のギャップ、いわゆる理系人材不足の可能性が指摘されているというところでございます。そのような社会を見据え、高校から大学・大学院に至るまでの一貫した改革により、高校改革の方向性として、AIに代替されない能力や個性の伸長、我が国の経済・社会の発展を支える人材育成、一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保の3つの視点を示しております。
 この3つの視点について、2ポツの高校改革の方向性において、それぞれ視点、また、取り組む方向性を示しているというところでございます。視点1では、AIに代替されない能力・個性の伸長について、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する。さらに、情報活用能力、問題発見・解決能力等の育成、探究的な学び等への学習観の転換、生徒の「好き」を育み、「得意」を伸ばす、一人一人の能力の伸長、主体性の涵養といった内容を盛り込んでおります。このため、教育課程の柔軟化、校長のリーダーシップの下でのスクール・ポリシーに基づく教育活動の具体化、改善などを盛り込んでいるというところでございます。
 続いて、2ページを御覧ください。視点2では、我が国の社会・経済の発展を支える人材育成について、2040年にはいわゆる文系人材の余剰、理系人材不足、エッセンシャルワーカーの不足が懸念されているという中で、これらの分野を支える人材育成が重要という内容を盛り込んでおります。このため、理数系やAIに関する関心の向上、探究・文理横断・実践的な学び、普通科に偏った学科構成の見直しや専門高校の機能強化・高度化などについて盛り込んでいます。
 視点3では、一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保について、少子化が加速する地域における高校教育の維持や学びのアクセスの確保、多様な背景を有する生徒の増加を踏まえ、柔軟で質の高い学びの選択肢を保障することが必要というふうに盛り込んでおります。これに対応して、生徒の地理的アクセスの確保に留意しつつ、一定規模の確保、小規模校を含む学校間連携や遠隔授業の推進などについて盛り込んでいるというところでございます。
 その上で、最後の※印のところでございますけれども、この視点1から3を踏まえまして、例えばいわゆる理系人材育成等に関する目標設定、こちらのほうを検討していきたいと考えております。
 続いて、3ページを御覧ください。高校教育の充実に向けた支援についてでございます。公立高校は、地域における高校教育の普及、機会均等を図る重要な存在という中で、就学支援金制度の見直しに伴う影響を考慮し、公立高校への支援の拡充という基本認識をお示ししております。その上で、本グランドデザインを踏まえ、今後、都道府県において実行計画を作成し、安定財源を確保した上で、新たに創設する交付金等により支援することとしております。この交付金の創設に先立ちまして、今回の補正予算案に、高校教育改革を先導する拠点のパイロットケースに関する予算を計上しているというところでございます。この点はまた後ほど御説明いたします。
 その上で、下のほうでございますけれども、交付金の対象となる取組・留意点といたしましては、先ほどの視点1から3を前提としつつ、専門高校の機能強化・高度化、普通科改革を通じた特色化・魅力化、地理的アクセス・多様な学びの確保に関する取組を基本とするという内容を盛り込んでいるというところでございます。
 4ページを御覧ください。こちらのほうは高校教育に関する個人支援の拡充について、3党の議論を踏まえ今後具体化するとともに、支給方法の取扱いについても検討するという内容を盛り込んでおります。
 さらにその後ろの資料を御覧ください。いわゆる高校無償化と併せて公立高校への支援の拡充を図るため、国のグランドデザインに沿った緊要性のある取組を先行的に支援することとしており、左下にありますとおり、令和7年度補正予算案では2,950億円を計上し、各都道府県に基金を設置して、改革を先導する拠点のパイロットケースを創出し、取組成果を域内の高校に普及することにしております。さらに、令和9年度からは、都道府県の実行計画に基づく取組を支援できるよう新たに交付金等を創設し、より一層の支援の充実を目指しているというところでございます。
 その次のページを御覧ください。基金の内容について御説明いたします。特に中ほど以降でございますけれども、今回、先導的な拠点として3つの類型を示しております。
 まず、左側にございますように、アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援では、技術革新のスピードが加速する時代に適した課題解決能力の獲得に向け、探究的・実践的な学びの積み重ねや深まりのある学びの実現を求めるという内容でございます。
 真ん中の理数系人材育成では、理数系の高等教育段階への進学者の増加に向け、先進的に新たな知を生み出す力を育成するため、理数的素養を身につけつつ、自ら問いを立て、解決する研究を行う高等教育を見据えた文理融合の学びの実現を求めるという内容でございます。
 右側の多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保では、人口減少地域に魅力ある学びの選択肢を増やすため、地域の教育資源を活用した学びや遠隔授業を活用した学びの実現を求めるという内容になっております。
 こうした取組に関わって、学科・コースの再編、高等教育機関・産業界との連携、あるいは域内の教育機会向上に貢献する取組等に関する経費を支援できるという内容になっております。
 その次のページを御覧ください。こうした基金における取組の一環として、高校と地域の連携による学力向上・学習支援の取組も1つ以上の拠点で行っていただくということを想定しております。取組例として例えば外部機関との連携による学習内容の高度化、地域人材との連携による自主学習の支援、探究活動の深化や資格取得等の多様な進路に向けた支援などを示しているというところでございます。現在、補正予算案は国会で審議中でございますけれども、今後、審議の状況も踏まえつつ、また、公募に向けた準備を進めていきたいと考えております。
 最後に、資料3を御覧ください。今回、高等教育とも連携しつつこの取組を進めることにしておりますけれども、こちらのほうは日本の高等教育の構造ということで図にしたものでございます。伝統的な大規模校、第1世代大学と称しておりますけれども、主な特徴としては、主に大都市圏に位置するということ、理工農・保健系の比率が比較的低いというところがございます。一方、比較的新しい時代に創設された大学、第3・第4世代の主な特徴としては、大都市圏以外にも立地し、規模が比較的小さいということ、理工農・保健系の比率が比較的高く、資格関係分野で人材を育成している、女子学生が比較的多いというところがございます。理工系人材需要への対応、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの確保の必要性を見据え、今後の高等教育システムの在り方を見直す必要があるという内容でございます。
 次のページを御覧ください。そうした中、特に4ポツのところでございますけれども、2040年の教育として、高校3年生は65万人、また、大学入学者は46万になるという状況が想定されるというところでございます。先ほど御説明したような構造が変わらない限りは、大学入学者の減少というのは、第1世代大学に比べて、地方の立地も多く、理工農・保健系、女性の比率が比較的高い第3・第4世代大学への影響が大きくなるということで、様々なギャップも今後増大していくというところでございます。
 そうした中で、5ポツにございますように、一つには、先ほど御説明した高校改革基金での取組ということと、もう一つ、大学教育の構造改革ということで、大都市の私立大学の理工農・デジタル分野の重視、知事と学長が地域に不可欠な人材を育成し、地域の高等教育へのアクセスの確保方策を協議・実行する、公立の高専の設置を促進するということで、成長分野転換基金に今回の補正予算案で200億円追加計上しておりまして、既存分と合わせて1,000億円ということで推進するということで、高校、大学が一体となりながら推進していくとしております。
 資料の説明は以上でございます。
 その上で、本日御欠席の今城委員から御意見を頂戴しておりますので、私のほうから読ませていただきます。意見の部分を読ませていただきます。
 2ポツ、高校改革の方向性~2040年に向けた高校の姿~についての部分でございますけれども、骨子2ページの視点3の実現するための取組の方向性の中で、全国どこにいても学びが保障されるよう、生徒の地理的アクセスの確保に留意するという内容を取り入れていただいたことにつきまして、中山間地域が多くを占める本県にとっては大変心強く思います。一方で、一定規模の確保という内容につきましては、この一定規模がどの程度を示すのか必ずしも明らかではありませんが、過疎地に求められると厳しい地域や学校があります。この2つの内容が一つの文脈で述べられることには違和感があり、小規模校の存続が困難となるのではないかと危惧しておりますという御意見を頂戴しております。
  以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 残りの時間を全て、今ご説明いただいた資料1、それから資料2が骨子でございまして、次が資料番号はついていませんけれども、いわゆる高校無償化と一体となった高校教育改革というものを、これを仮に資料2.5みたいな感じで呼べば、誤解がないかもしれません。そして、資料3がついております。
 それぞれの資料に関しまして分けて議論をしようということではございませんので、どこからでもお話をいただければと思うんですけれども、まず確認をしておきたいと思います。とりわけ資料2.5は絵がいろいろ描いてありまして、1ページの右下にも国から都道府県に補助金とあって、3ページにも都道府県教育委員会がいろいろと協力機関だとか改革先導校に対して支援をしていくというふうな絵が描いてあるんですけれども、これは公立高校全体というのではなくて都道府県立高校に限ってというふうに考えればいいんでしょうか。
【橋田参事官】  このところはまず、広域的な自治体の立場、また、都道府県に公立高校の配置義務の適正化の努力義務がかかっているという中で、原則は都道府県立高校を対象としてイメージしております。一方で、県域全体への取組・成果の普及の観点から、政令市あるいは市町村立高校においても、こういった趣旨を踏まえてパイロットケースになりたい場合、県として、そうした政令市・市町村立高校を含めてこれに取り組んでいくというような形になれば、県の判断で政令市・市町村立高校も対象になり得るということです。その詳細については、自治体向けにも説明会でも少し説明しておりますけれども、改めてお伝えする予定にしております。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。要は、全国に都道府県立でない公立高校も少なからずありますので、そこで学ぶ生徒たちにとっても光が当たらないと、何かどこの高校に行ったかによって違ってくるというのはちょっと話がおかしくなってきますし、本来この取組の趣旨からしてもそれではよくないだろうと思いますので、ぜひお考えいただければと思います。御説明の際に言ってくださるということですので、よろしくお願いします。
 では、皆さん、どうぞ。御意見のおありの方、いつものように手を挙げるボタンを押していただきましたら。
 では、田村先生、どうぞ。
【田村座長代理】  ありがとうございます。いわゆる2040年問題、職業観・学歴観のミスマッチについて具体的な数値を示しながら御説明していただいておりまして、このN-E.X.T.ハイスクール構想の必要性について十分理解できたかと思います。その上で申し上げます。
 視点1に示されている、AIに代替されない能力や個性の伸長という方向性自体には賛同いたします。しかしながら、視点2、我が国の経済・社会の発展を支える人材育成との組合せで読みますと、経済が前面に押し出されている一方で、持続可能な社会や、個人と社会のウェルビーイング、さらには人権、多様性、包摂といった視点が相対的に薄くなっているように感じました。理系人材であれ、エッセンシャルワーカーであれ、能力や個性を伸ばすことの必要性が、本人のキャリア形成や経済界・社会の発展に特化して語られている印象をどうしても受けてしまいました。
 しかし、高校生が学問を深める、その先にどんな未来を描けるのか、自らの能力と人生をかけて実現したいと思える未来を見通せる教育が不可欠だと考えます。公教育の目的は、主権者としての資質・能力、共感性を土台とした市民性、よりよい社会づくりへの貢献意欲、大きな課題に直面しても希望を持って解決策を模索する意欲やレジリエンス、未来を主体的に描く力の育成といったものにあるかと思います。
 それらは人権、多様性、包摂を尊重し、誰一人取り残さない社会を築くための基盤です。こうした市民性の視点を経済的価値と並列ではなく、むしろその根底に据える必要があるように思います。どれほど優れた能力やスキルも、その使い方を誤れば社会の発展や人々の幸福につながらない可能性があります。だからこそ公教育の目的について、市民性や人権の保障を中心に、こちらにもより明確に位置づけていただくことが重要ではないかと思います。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変重要なことをおっしゃっていただいたと思います。田村先生のおっしゃってくださったことは、これまで高等学校教育に関しての議論、もちろん初等中等教育全般に関する議論もそうですけれども、非常に大事にしてきたことを踏まえた上でのこういうグランドデザインが出来ているということですね。これはあくまでも骨子でありますので、当然この底には我々も含めて、これまで議論してきたことがあって初めてこれが成り立つ。
 ですから、社会の求める人材をいかに支えるかというのは、ちょっと時代的に違った気がしますが、2040年の話じゃなくて1930年ぐらいの話になってしまうのですが、そうじゃなくて、2040年を見据えるということは、求められている多様なものはあるんだけれども、その中で一人一人をいかに大切にしていくか、その人の意思決定に基づいて自分の人生を幸福に、他者と共に生きていける、そういう社会をつくっていくというために必要な、先生が今おっしゃってくださった、主権者としての資質・能力をはじめとして、まさに今から生きていく一人の市民としての市民性とか人権の保障とかそういったことを大事にしていくというのは当然底にあるものだと理解したうえでということですね。文部科学省の皆さんともそれで共有できていると私は思っておりますので、そのことに基づいて。ただ、御確認いただいたことは非常に大事なことかと思います。
【田村座長代理】  すみません、よろしいですか。もう本当に重々そのような土台の上で書いていただいた文章だと思うんですが、そういうことが一言でも二言でも冒頭に入るといいんじゃないかなと思いました。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  なるほど。ありがとうございます。やっぱり書かれたものが出てしまうと、言葉がないと、いかにもないかのようになってしまう。
【田村座長代理】  そうなんです。これだけが単独で出てしまうと、そういう読み方をされてしまう可能性もあるかなということを危惧しました。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。とても大切なことですし、橋田参事官、よろしくお願いいたします。
 それでは、手を挙げてくださっている方が、今村委員、それから小坂委員、塩瀬委員の順で御発言をいただきたいと思います。では、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  意見ではなくて、資料をきちんと理解したいので質問をさせていただきたいんですけれども、先ほどの資料2.5ですか、3ページのこの補正予算案の資料の2ページ目などを読んでいると、これは結局、モデル校を各県からこの3つの3類型ごとに募集するという、そういう理解でよろしいでしょうか。そして、その募集の仕方というのは、かなり大きな額なわけなんですけれども、1校当たり幾らぐらいを想定したものをまず募集する想定を今の段階でされているのか。まず予算の申請に関することでお聞きしたいのが1点目です。
 もう1点が、様々な資料の中にやっぱり理系人材の確保というところがとても重要になってきているという中で、私たちも高校生たちと関わっていると、やっぱり文系志向の子がとても増えているのは、大学の学部もそういった学部のほうが増えてきているからというところも含めてやっぱりトレンドになっているなと思うんですけれども、この予算を使って例えば通常の普通科3年制の高校が高専になっていくみたいな発展もあり得る選択肢なのか、それも視野に入れていらっしゃるのかというところもお聞きしたい点の2点目です。
 3点目なんですけれども、これは1校ごとのエントリーというかモデル事業にすべきなのか。例えば地方なんかでは、私が今参加している石川県の能登においては、今5校であと数年後には200人になるという現実が、5校合計で1学年200人の現実が目の前に迫ってきているわけです。ただ、立地条件的にやっぱり地域から通いたいという人たちもいる中で、キャンパス制のような形にしていくのかどうかという議論が今湧き上がっているわけなんですけれども、そういうような学校群として新しいモデルをつくっていくみたいなところの手の挙げ方もあるのかとか、具体的な予算の使い方や手の挙げ方のところの質問なんですけれども、その辺りをお聞きしたいです。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。この後の話にも関わりますので、先にお答えいただいていいですか。
【橋田参事官】  今回、各都道府県、この3類型に対応して計3校程度のイメージで募集をかける予定にしております。その上で、経費としても、いわゆるソフト面だけではなく、設備・施設面も含めて支援ができるということで考えております。機械的に1県当たり幾らぐらいになるのかというのは、単純に割っていくと60億という数は出てきますが、中身に応じて精査をしながらやっていきたいと思っております。今後に向けて、中身や対象経費をお示ししながら、やっていきたいと考えております。
【今村委員】  でも、あれですね、3類型3校の募集が想定ということで……。
【橋田参事官】  というところでございます。
【今村委員】  ならすと60億だから、本当にならしてしまえば、1校当たり20億の申請ぐらいが想定されるということですか。
【橋田参事官】  当然中身を精査させていただいて、いいものは支援させていただいて、場合によってはその額に至らないところも出てくるという中で、審査もしっかりとさせていただきたいと考えています。
 その上で、先ほどの2点目でございますけれども、実は資料3の2枚目の一番下の方になるのですが、大学教育の構造改革のところで、公立の高専の設置を促進していくというところもございます。これは高等局のほうの成長分野転換基金の方で支援できる形になっております。私どもとしても高等局とも連携しながら、そうした高専の設置促進についても推進していきたいと考えております。
【今村委員】  ということは、この予算外のところで、成長分野転換基金で取り組むということですね。
【橋田参事官】  というところです。高等教育のほうの基金のほうで支援は可能になります。
【今村委員】  今回の件とは別だけれども、連動して連携してやっていきましょうと。
【橋田参事官】  というところでございます。
 最後の、能登のような5校が連携してというところでございますけれども、今回私どもパイロットケースとしており、取組・成果は域内の高校に普及するという名目も掲げております。その上で具体的にどういう要件でのネットワーク化を許容するかというのは、今後公募要領に向けて詰めていきたいと思います。例えば今回の3類型のうちの3つ目の類型は、学校間連携や遠隔授業などを想定したものもございますので、中身も踏まえながら、連携事例もできるだけ拾えるような対応も考えてみたいと思います。
【今村委員】  ありがとうございます。ちょっとごめんなさい、私、荒瀬先生、コメントだけいいでしょうか。
【荒瀬座長】  どうぞ。
【今村委員】  すみません。ありがとうございます。何となく輪郭が分かってきました。
 正直、1校20億というレベルのことを考えると、まずはエアコンだ、トイレだ、何か廊下のきしみだとかというところを直したいみたいな話が先に来てしまうような気もしていて、やっぱりこのビジョンに対して、これからのここに示されているビジョンをどう描くかというところがとても重要だということ、そのビジョンのために、トイレだ、エアコンもいいんだけれどもということで、ビジョンを描くという力がどれぐらいどういう体制で各県が取り組むのかというところに支援がないと、その想像力ってどこができるんだろうというところもちょっと心配になってしまいまして、そういったビジョン形成のところにも何らかお手伝いの仕組みがあるといいのかなと。例えばここにいる委員の人たちが出向くとか、分からないですけれども、何らかビジョンの描き方のところでお手伝いできることもあるのかなと。そうじゃないと、つまらない使われ方にしたら本当にしようがないなと思うので、そのように思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  今村委員、ありがとうございました。本当にすごい金額が示されて、これ、下手したら、これまでの高等学校への支援とちょっと桁が違うという話になってくるので、そうなったときになおのこと、2つのことを申し上げたいと思うんですが、なおのこと、先ほど田村先生のおっしゃっていたような、基本的な、もう絶対に忘れてはならない、一瞬たりともおろそかにしてはならない基本的な考え方をしっかりと持った上でやっていかないと、とにかく事業が先行してしまって、生徒一人一人の思いとか願いとか、言ってみたら未来がないがしろになっていくということのないようにしなければいけないということと、もし本当にこれが、単純な割り算ではないと橋田参事官がおっしゃったのでそれはそうなんだろうと思うんですけれども、20億の3つとなると、これを1つでも県以外の市町村に渡すというのは大変な勇気の要ることだと思いますので、その辺りを考えるとやっぱり県でまとめてしまうんだとなる可能性もあるので、これは地域によっては、相当数の県立学校以外の学校がある地域もありますので、ぜひともその辺り誤解のないように都道府県教育委員会にお伝えいただきたいと思います。
 すみません、では、小坂委員、お願いいたします。
【小坂委員】  ありがとうございます。私、小学校・中学校の視点と高校でやっていた視点がありますので、その視点で話をさせていただくと、やっぱり先ほどの委員が言われていたように、意味のないものに使われてほしくないなと思います。そういう意味で本当に、先ほどからイノベーティブとかエッセンシャルワーカーみたいな話が出ていますけれども、やっぱりそういう物で補える部分も当然あると思うんですけれども、イノベーションが起きるというのは、私もサバ缶を宇宙に飛ばしたときもそうだったんですけれども、やっぱり雰囲気とか校内の状況とか校風だったりするわけですね。
 そういう部分の根幹は先ほど田村委員の言っていた個人とか社会のウェルビーイングの部分につながると思うんですけれども、そういったビジョンを形成していったりとか、対話的な雰囲気だったりとか、そういったものも一緒にセットしていかないと、やっぱり私は専門高校が長かったので、こういうものが来ると、まず物を、最新の物を買うと。今最新の物を買うという、買った瞬間もうそれは古くなりますので、買った瞬間から劣化が始まるので、そういったもので終わってほしくないなと。やっぱり手で覚えるようなことも必要ですし、交流で覚えるようなことも必要だと思います。そういう意味で、イノベーションを起こす、言ったら、民間だったらそういう社風があるわけで、そういった部分も学校の中に取り入れるというような方法になっていくといいなと。つまり、技術ではなくてマインドを育てるという部分に、ぜひそこも評価していただきたいと思っています。
 もう一つ、連携という部分で、今は横との連携、高校同士の連携というのはあると思うんですけれども、職業系高校に結構力を入れて書かれていますので、やっぱり中・高の連携という部分で、中学校に対して、今、探究学習がかなり進んできていたり、進まなかったりという現状がありますので、こういった大きな金額を使ったときに、中学校の引上げだったりとか、そういったモデルケースみたいなものも大分つくることができるのではないかなと思いますし、それが間口となって、高校に魅力を感じて進学する者も出てくると思います。そういった記述は少しなかったのかなと思いますので、ぜひ連携という意味では、横つながりだけじゃなくて縦つながり、できれば大学も。大学もこの金額で何か、やっぱり実学的なこととか、普段の研究とは違う形になる可能性もありますので、大学ともつなげられるような形での連携をお考えになって何か御提案いただけるとうれしいなと思いました。
 以上になります。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。連携は、本当に大事な言葉だと思います。縦も必ずしも中高だけじゃなくて、小学校と高校が連携するというのも大事でしょうし、いろいろな連携が大事だと思いました。
 それと、さっき今村委員もおっしゃっていたんですけれども、物だけではなくというのは本当にそうだと思う一方で、物が足りていないとか、トイレがひどいとか、エアコンが入ってないとか、こういったところが私立無償化によって公立が劣勢に陥る可能性があるということも指摘されているところですので、物という点でも、これだけの金額があるなら、一方でそれも考えることができるようにしておかないと、ちょっと厳しいんじゃないかなと。とにかく今までいろいろな方法で使ってやってこられた公立高校があるわけですけれども、ちょっとそういったことでない、本当に学ぶ場としてふさわしい場をどう整えていくのかということも含めて考えられるといいなと思いながらお聞きしました。ありがとうございました。
 では、塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬座長代理】  ありがとうございます。資料2の表現について3つと、全体の位置づけをお伺いできたらと思います。
 まず、1つ目なんですけれども、1ページ目の、2の(1)のところ、視点1<AIに代替されない能力や個性の伸長>というところなんですけれども、この表現はやめられないでしょうかというのが提案です。江戸時代に飛脚が活躍していたとして、そこに馬車が出来たり、自動車が出てくると、飛脚の仕事が脅かされます。その当時に教育行政があったとして、「馬に負けない飛脚を育てる」と言ったら、大丈夫かと心配されてしまう気がします。そこは戦うところが間違っていそうな気がするのです。
 特に<実現するための取組の方向性>のところ、ここに書いてある4点は、AIの使用方法が一つも書いていません。AIと対抗するのに、そのAIをまったく使わないところも含めて、結局この表現ではAIからただ逃げるだけのメッセージに聞こえてしまいます。ちゃんとAIを使いこなせることのほうが大事なのではないかなとは思います。この書きぶりのままだと、AIを怖がってただ嫌いなのかと思われてしまいそうな気がします。もっとちゃんと新しい技術に真っ当に向き合うことが必要で、別に技術そのものが悪いわけではないことを理解しなければなりません。カーナビよりも上手に道案内をしなくても人間の敗北ではありません。単なる使い方の問題だと思いますので、何かその新しい技術との向き合い方についてちゃんとメッセージとして伝わる骨子の表現が大事だと思います。
 2点目は、2ページ目の(3)、視点3です。<一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会・アクセスの確保>というところに関して、2つポツがあります。1つ目が<過疎地域によってアクセスしにくい>、2つ目が<不登校と日本語が母語でない>、という話ですけれども、これはやっぱり多様な学習ニーズというのがネガティブな例外対応の話のように扱われているように見えてしまっているのが残念に思います。
 まるで共通化できなかった2点だけがここに書かれていますが、実際問題、全ての生徒にとってちゃんと個別の学習ニーズが存在しているはずです。それがまた多様なんだという当たり前に向き合う必要があると思います。それこそ、高校生は自分自身が学びたい教科を本当に学べているのかといえば、現時点でも期待どおりに学べていませんし、もっと早い進捗で学びたい生徒さんにとっても十分に学校が応えることができているかというと、そこも足りていないと思います。
 そういう意味では、<実現するための取組の方向性>のところに、この2点だけではなくて、「実際に学びたい教科が学びたいときに本当に学べているのか」と言ったことも問題点として指摘しておきたい。地学や物理、それから公共などの選択科目も、学校で1年生、2年生のときに理系や文系を進路選択すると、後で志望が変わっても、受験希望校が変わっても、「あなたは一度選んだのだからもうその科目を受講し続けなさいというふうに嫌々当該科目を続けさせられてしまう」というのは、本当の意味で生徒の多様な学習ニーズに応えられていないことになります。個別最適とかいう前に、そもそも現時点でニーズに応えられていない現実を受け止め、在籍する学校によっては提供されている科目も制限されている生徒もいます。そうなると、ますます地域で共通のアーカイブ講義や遠隔講義を導入するというのは、それら全生徒の学習ニーズに応えるためにも、導入を検討使するべきだと思います。この「多様な学習ニーズ」というのを、例外対応といった位置づけで表現するのではなく、もっとすべての生徒の多様な学習ニーズに丁寧に応えるというポジティブなメッセージに変えていただきたいなと思っております。
 このことは、実は理数系を極端に増やそうとするときにも顕著に生じる問題だと予想されます。現状の高校における文理選択とは、高校入試段階と、あとはほとんどが1年生から2年生への進路選択時で理系に進む決断をする生徒がいると思います。そのため、2年生や3年生の途中で、興味関心が変わるなどして進路変更をしようという生徒もいる中で、その変更を許さない現状の制度だと思います。これは急に高校に理系課程だけ人数を増やしたとしても、おそらく高校受験時の理系科目の学力は総じて変わらないまま小中学校から高校に送り込まれてくるとしますと、進路のミスマッチが高校に入ってから多数生じることが容易に予想されます。本気で日本全体で理数系進学者を増やしたいのであれば、小中学校時点の理数の授業時間を増やしたり、高校での進路ミスマッチのフォローアップ制度を増やすなりしておかないと、大量に学年途中で戸惑いを抱える生徒が量産され、そもそも受皿としても耐えられないと思います。何かそこをもっと踏まえた上で、やはり希望の変更とか進路変更にも柔軟に対応できるような高校教育のカリキュラム準備や余力が必要だと思います。DXやICTを活用するとすれば、この余力を生み出すために使うことで、ぜひ多様な学習ニーズをポジティブに捉えていただけたらと思います。
 3点目は、3ページ目の上から2つめの項目、<実行計画の策定・実施及び支援方策>の2ポツ目です。ここで、実行計画の策定に当たって、<教育委員会だけではなく首長部局、関係部局、地域の関係者、産業界などと連携・協働、幅広い意見を聞いて策定>とありますが、この対話相手に肝心の高校生が入っていません。高校の在り方を尋ねる相手として、一番の当時者である高校生をちゃんと入れておくべきと思います。これは子どもの権利条約への批准もそうですが、本当に子どもの意見を聞くチャンスを教育行政が提供できているかというと、なかなかできていないままです。
 ましてや18歳成人に触れる記述が一言もありません。高校生は、在学中に全員が18歳成人に達するのではなかったでしょうか。成人とは、主体性を持った大人の一員のはずです。そうであるならば、主体性を持っている大人からなぜ意見を聞かないのか、というのが一番大きな問題だと思います。主体性を与えるとか、主体性を引き出すとか言う前に、18歳が本当に主体性ある成人として認めるのであるならば、その生徒たちの意見も入れた上で高校教育の方向性の検討があるべきだと思います。もしグランドデザインの中に本当に高校生も一緒につくるメンバーとして入ってもらうべきだとご理解いただけるようであれば、何かこの項目あたりに明言いただけるとよいかと思います。
 最後に、全体像に関わってなんですけれども、今回のグランドデザインが、先ほどのタスクフォースと絡んで、<高校教育、大学・大学院教育と一体化して>と書かれています。しかし、それだけでは結局「大学予備校としての高校改革」の話に終始してしまわないでしょうか。実際問題、都市部で70%の大学進学率、地域によっては50%程度の大学進学率である実態を考えますと、それ以外の高校生30%と50%は、それぞれの地域で大学には進学しない高校生も当然いるわけです。その高校生たちにとっては、地域によっては高校を最高学府として学んだ後に、地域社会を牽引していく存在になっていくのだと思います。そういった大学に進学しない生徒たちは、このグランドデザインの対象からは、こぼれてしまうことになるのでしょうか。グランドデザインが高校全体を対象にすると考えるのであれば、そういった大学に進学するかどうかにかかわらず、高校生全体にとって意味のある高校教育改革に資する骨子を提案すべきかと思います。現状だと、何かそのあたりが曖昧か、あるいは抜け落ちていて、見えにくい印象を持ちました。ぜひ高校で学んだ後に、そのまま地域社会を引っ張っていくような高校生も対象としていただけるのであれば、そういった地域の実情もしっかりと取り込んで骨子に反映することもご検討いただけたらと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。先ほども申しましたが、骨子という形で示していただいていますので、今後、成文化していただく際にぜひ、今、具体的におっしゃっていただきましたので、御検討をぜひ願いたいと思います。
 今のは全て骨子に関する言葉の話でしたけれども、言葉のことでいうと、資料1の1ページの真ん中辺り、「産業界の参画を得て、高校・大学・大学院等を一気通貫で改革し」という、何か突然、みんなで卓囲もうかみたいなそういう言葉が出てきて、これは辞書を引くとマージャン用語として出てくるので、文部科学省の文章としてはどうかなと思います。出てくる言葉が文部科学省でお考えになった言葉ばかりでないというのは承知しているつもりでいますけれども、ぜひ「一体的に」とか通常の言葉で十分通じますので、子供たちも読む可能性のあるものであるということを考えると、マージャンが駄目とは言いませんけれども、ちょっと言葉の使い方は気をつけていただかなければならないんじゃないかなと思います。以上です。
 すみません、お待たせしました。岩本委員、どうぞ。
【岩本委員】  それでは、ちょっと資料を映させていただきながら話させていただけたらと思うんですけれども、まず大前提として今回の基金の話だとか今回のグランドデザイン骨子は、本当にもう画期的な動きになってきていると。振り返ったときに、これが本当に日本の高校教育が変わっていく潮目になる年に今年、特に来年なっていくというような動きをつくっていただいて、本当に文科省の皆さんに私は心から感謝をしていますし、これをぜひ、もう最初で最後の機会じゃないですけれども、関係者一丸となってこれをしっかりといい形で物にしていきたい。教育関係者だけではなくて産業界含めて、地域も含めてやっていくと。そのためにぜひ中身をしっかりとさらに詰めていきたいというところであります。
 ちょっと映させていただきながらですね。
 それでは、1点目が規模の話です。先ほど今城委員のほうからも、一定の規模の確保というところに対して危惧を示されていたかと思うんですけれども、実は私のところにもいろいろな地域だとか現場の方から、ここに対してのものすごい危惧、不安を聞きます。一定の規模の確保のために、このせっかくの基金だとか今後の交付金が統廃合のためのツールとして使われてしまうのではないかとか、統廃合のインセンティブみたいな形になってしまうのではないかということの声、不安を聞いていますので、ここに関しての考え方の、そうじゃないということを含めて整えのための意見が1つ目になっております。
 まず、学校の規模というところに関しては、世界的に見ても、この規模が最適だという、一律に教育的にこれが最適という規模感はないですし、各高校のスクールミッションだとか地理的条件に応じて適正な規模というのは本来学校ごとで違うというところが大前提かと思います。また、今回のグランドデザインに出ていますけれども、生徒を主語にして考えると、財政とか大人の都合でなく、生徒を主語にすると、生徒が望む生徒にとっての適正な規模というのは、生徒の声を聞いても多様であるということで、一律ではないというのが見てとれるかと思います。
 さらに、最近の高校の規模に関する分析結果を見てみると、1学年120人というところの規模感で切ってみたときに、小規模校が大規模校に比べて多様な人間関係の中で得られる学びに関する学習環境が劣っているかというと必ずしもそうは出ていない。逆に、地域だとか含めて多様な人たちと関わる機会が多いというふうに出ていますし、高校1年から3年生の中での高校生たちの伸びを見てみると、多様性の尊重だとか協働する力とかそういったところは小規模校の子たちのほうが大きく伸びているというような結果で、さらにコーディネーターの配置されているようなところが伸びが大きいというふうに出ています。
 これまた、多様な人間関係の中での学びに限らず、主体性とか協働性とか社会性とか学ぶ意欲とか、これ全体を見ても、小規模校と大規模校はそんなに遜色ない状態ですし、伸びに関しても生徒は小規模校の方が伸びているというようなところが出ていますので、必ずしも小規模校だと駄目だというようなことではないということははっきりさせておいたほうがいいかなと思います。
 とはいえ、適正化というのは大事だと思います。配置及び規模の適正化というのは高校の標準法の第4条に出ている文言ではありますけれども、今はもう第5条の学校規模の基準の条文自体は平成23年に全て削除をされているという状況ですので、今、全国的にこの規模が基準であるというものが一律に何かがあるということではないというところですので、ここもしっかりと全体、不安になられている方も含めて共有しながらやっていくということが必要かと思います。ですので、この法律に照らしても、各都道府県が適正性を判断していくとなっていますということです。
 また、2040年に向けて今回のグランドデザインは出ていますけれども、多様で質の高い教育への特に地理的アクセスの確保、ここを留意するということを考えると、配置の適正化というところが非常に重要になってくるということだと思います。これは何を言っているかというと、子供たちの学ぶ機会とかアクセスを、教育の機会均等を実現していくとなると、通えるところの選択肢がそもそも少ない郡部においては、小さくても残していくという選択肢も当然再編の考えではあると思いますし、都市部においては大きくても再編するというような発想も当然あるということで、一律に規模だけで判断するということではなく、配置を見た上での適正配置のための再編というのが今後より一層重要になってくる考えだというようなところを改めて共有する必要があるかなと思います。
 また、今年の2月に提言、高校のワーキンググループの審議まとめで2年以上かけて出てきた、この審議まとめ自体が2040年に向けたグランドデザインの下敷きになっていくような部分かなと思いますけれども、こういったところを踏まえれば、特にグランドデザインにおいて、今回2月に出た審議まとめの1つ目の柱になっていた小規模校の教育条件の改善というところがグランドデザインの中で見てとれなかったので、ここはちゃんとそういった話なんかも含めて今後書き込んでいく必要があるかなと思います。
 ということで、一応ここは今後骨子をさらに細かく書いていくというときに、一定規模の確保の部分だとかを含めてちょっと修正、こういった形で誤解が読んだ方に生じないように丁寧に書いていくということなんかも提案をさせていただけたらと思いますというのが規模に関してのところです。
 2つ目が今後のグランドデザインの柱というところを考えたときに、先ほど言いました審議まとめで大きい柱として出ていました小規模校の教育条件の改善というところをしっかりと位置づけていく必要があるかなと思います。視点2は、我が国の社会・経済の発展を支える人材育成という形で割と今回、経済・産業というところが強く出ていて、それ自体は私は問題ないと思っていますけれども、ここに地域の視点がちょっと今回のグランドデザインは弱いかなと思っています。やっぱり各地域が本当に大きな危機感を持っていますし、そこは高校教育が今後もしっかりと一体となって支えていく必要あるというところですので、この視点2のところも、我が国の地域・社会・経済の発展を支えるみたいな形で、地域の人材育成というところを忘れていないということも視点として加えていく必要があるかと思います。
 3点目は、中身というよりもこの進め方に関してです。これ、グランドデザインを今年度描いた後に各都道府県が実行計画をつくるというふうに出ていますが、グランドデザインをつくったときに、実際その後の交付金の規模感とか、あと、どのくらいの期間それが使えるのかとか、ここが出ていないと、各都道府県が予算感だとかなしに実効性のある計画というのはやっぱりつくれないと。逆に予算の裏づけとか規模感なくつくって、後で予算がないから自分たちの都道府県でそれちゃんとやってねとか言われても、やっぱり困ってしまうというところですので、ちゃんとした実行計画を本気でつくってもらうということを考えたら、やっぱりある程度の規模感や期限を示す必要があるかなと思います。令和9年度から年1,000億から2,000億の交付金の安定財源を含めた確保ということを前提に、各都道府県がその上で何をやっていくのかというようなところの前提をしっかりと共有した上でつくっていくということが大事かなと思います。
 最後、先ほどいろいろな、今村委員含めて出ていましたけれども、これがただトイレの改修だとかそういったものだけで終わってしまってはいけないというのは多分皆さん思っている。それも大事ですが、ばらまきになってはいけないというところですので、ちょっとここに出されていますけれども、例えば採択するときの要件の中に、ハード面のみならず、教育課程の刷新だとかコーディネート人材の配置だとかそういったものを含めたハードとソフト一体的にやっていくところをちゃんと採択していくとか、採択要件をしっかりと明確にしながら、併せて目標設定、評価、改善、個々のサイクルをしっかりとやるような形で運用していかなければいけないというところで、実際の目標案、類型ごとの案とかも今回資料としてはつけさせていただいていますけれども、ここをしっかりやっていくためにも、学校関係者だけではなく、社会に開かれたPDCAサイクルの強化ということで、首長部局だとか産業界とか含めてこのPDCAの中にしっかりと入っていく体制をセットで、この交付金等を活用した高校教育改革を社会全体で進めていくということが必要かなと思います。
 すみません、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。岩本委員のおっしゃった1つ目のお話の中で、規模とか配置に関しておっしゃった中で、各都道府県が適正かどうかというのを考えるということでしたが、これはさっきから言っていますように、設置者がということの理解でよろしいですか。つくってらっしゃるところが考える。設置者だけじゃなくて、実は関係者と言うべきかと思うんですけれども。
【岩本委員】  そういうことです。市立高校だったら市だろうとか、そういう意味ですね。
【荒瀬座長】  そのとおりです。
【岩本委員】  はい、そうです。
【荒瀬座長】  あるいは、つくっているところも大事かもしれないけれども、そこで学んでいる生徒の声もというのはさっき塩瀬委員からも出ていましたし、本当に関係している人たちの声を広くやっぱり受け止めながら進めていくということが大事だという、そういう意味合いだと思って……。
【岩本委員】  そうです。まさに全国一律でこうだではなくという。
【荒瀬座長】  ということですよね。
【岩本委員】  はい、そういう意味でございます。
【荒瀬座長】  言葉にこだわって申し訳ないですけれども、ばらまきではなくてなんですが、1度たりともばらまきってあったですかね。
【岩本委員】  いや、ばらまきにしてはいけないという声を聞いている。いや、そんなふうには当然これもしてはならないというのは当たり前のことですという、そういう意味です。
【荒瀬座長】  ちょっと逆説的に申し上げますと、1度たりとも公立高校にそういうばらまきがあったのかなと思って、この際ばらまいてもいいんじゃないかという、そういう話を私、公式の場ではなくて話をいろいろしている中では、このお金使って本当にトイレ改修したらそれだけでうちの学校は随分変わると思うんだという切実な思いを持っていらっしゃる学校関係者もいらっしゃる。ですから、そこのところもやっぱりしっかりと受け止める必要はあるんじゃないかなと思いまして、すみません、こだわってしまいました。
 それと、岩本委員の出された絵の中でも、3色に分けるときに、私、これは一つ岩本委員に提案ですけれども、文科省の方にも聞いていただけたら一番うれしいですけれども、使う色は光の三原色にしませんかと。緑と赤と青にして、これが重なることによって光が届くみたいなイメージをつくれると、何か私は単純なので元気が出るんですけれども、それはそれとして……。
【岩本委員】  ありがとうございます、そこまで見ていただいて。
【荒瀬座長】  すみません。では、神野委員、お待たせしました。お願いします。
【神野委員】  よろしくお願いします。この骨子に書くことなのかどうか分からないながらちょっと御発言させていただきたいんですけれども、今回子供たちの学びということに関してすごくフォーカスの当たった骨子になっているんですが、もちろんそれが一番大事なんですけれども、これを実現していく先生方の働き方みたいなところに言及する必要はないのかなとちょっと思っております。
 このアドバンスト・エッセンシャルワーカーという、あえて言葉がすごい出てきているからこれを取り上げてみたいと思うんですけれども、教員自体がそもそもエッセンシャルワーカーじゃないですか。とすると、ここで働く教員たちはアドバンスト・エッセンシャルワーカーになっていかなきゃいけないと思うんです。というのは、高度なテクノロジーを使いこなし、AIを使いこなしながら、今までの業務は圧倒的に生産性を向上しながら高付加価値で働いているというような教員たちでなければ多分いけないはずで、そういう目標・視点みたいなものをこの骨子の中に書けないかなというのは思ったところです。
 現状の例えばChatGPTとかGeminiみたいなものの使い方そのもので想像できる世界をやっぱりもう少し超えたところで、新たな学校の形、N-E.X.T.ハイスクール構想ということを描く必要があるんじゃないかなと思っています。例えばですけれども、今、熊本市が電話応対、学校にかかってくる電話を全てIP化して、録音できるようにしているじゃないですか。全て保護者からの電話を録音できるということは、それはAIをかませれば全部文字化できる、文字起こしできるということで、文字起こしできるということは、それは全て報告書の形式までも全部勝手にできるということで、学校内においての情報共有みたいなものは、AIを使ったり、センシング技術みたいなものを使っていけばもっともっとスムーズになるということが起こせるわけです。
 現状まだそれ、うちの学校で実はそういうことを試し始めているんですけれども、ですが、まだまだそれを公立の学校でやろうという旗頭を揚げているところはないんじゃないかなと思います。それが、今まででいうと、従来、公立の先生方って、朝、教頭の目の前にある電話のところに並んで、出席確認やったり、保護者に電話したりするというくらい、保護者との連絡網をちゃんと取るということがすごく難しくなっていたり、もしくは連絡が取れたら最後、それをちゃんと情報共有しなければいけないから、情報共有のために何かメモを書いたり、自分たちで報告書を作ったりするという、そこもものすごい大変だったりしてきたわけですよね。
 一度トラブルが起こったりすれば、そのトラブルの履歴をどう残すのか、いつ、どのタイミングで誰に連絡を取るのか、どのタイミングで管理職に相談するのかなというところもすごい大変だったわけですけれども、仮に教員がアドバンスト・エッセンシャルワーカーというふうになっているのであれば、この辺りは物すごいスムーズに今行えるはずなんです。そういうような教員の働き方改革もまた、このN-E.X.T.ハイスクール構想の中で何か打ち上げていけると、何か未来の学校みたいなものが見えてくるんじゃないかなと少し思った次第であります。
 以上になります。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。とても大事な視点ですね。伴走していく教員がフーフー言っている状態では伴走できないので、そういう意味では本当に大事なことだと思います。
 では続きまして、石崎委員、お願いいたします。
【石崎委員】  大分後のほうでみんな言われてしまった感もあるんですけれども、今回パイロットケースを創出し、取組成果を普及していくという流れになっているんですけれども、この選ばれた3校は、よかったねという話にはなるんですけれども、本当に2040年どころか、この二、三年のうちに生徒が集まらなければもう統廃合になってしまいますよという、目前に迫っているような学校もいろいろなところにあるように聞いています。だから、やっぱりそういった学校をどう生き延びさせていくのかということの視点も絶対、特に少子化が進んでいる地域では必要だと思いますし、そういったところがしっかりと救われるようなやっぱりスピード感というか、そういったものも求められているんじゃないかなと思います。
 だから、先ほど参事官から、成果の普及というお言葉がありましたけれども、その成果の普及も含めて、全ての学校がやっぱりきちんと生き残っていけるようなスピード感と方策を進めないと、2040年になった頃にはみんななくなっちゃっていたみたいなことにもなりかねないので、そこのところの視点はぜひ持ってほしいなと。今本当に困っている中で頑張っている学校が救われるような、各県3校じゃなくてというところをぜひ考えていただきたいなと思うのが1点でございます。
 それから2点目は、私も教員の確保についてお話ししようと思っていたんですけれども、やっぱりこれだけのことをやるからには、それにふさわしい人たちが教員になっていくということが求められていると思うんですね。本当に教員が人気のない職業になってしまったというのは繰り返し繰り返し報道されていますけれども、それを抜本からやっぱり変えていくというところを、この骨子に入れることではないのかもしれないんですけれども、そこを考えないと、教育というものが本当に先細りになってしまうんじゃないかなと思います。
 前回の答申のときには、教員は高度専門職でというところを、盛んに高度専門職という言葉いっぱい使っていますねという話を私はした覚えもあるんですけれども、本当に高度専門職としてふさわしいような仕事の内容と処遇も含めてやっぱり考えていく必要もあるだろうし、どこにお金を使うのかというのは国のお金は限りがあるわけですから、あれもこれも出せないよというお話もあったかとは思うんですけれども、でも、やはりそういうところにもお金を使っていくという視点も必要なのかなと思っております。
 以上2点でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。神野委員からもありましたし、今、石崎委員からもおっしゃっていただいた、教師のことを考えるというのは、欠くべからざることだと思います。今、我々は、現在のこの懇談会は中教審ではないですけれども、中教審のほうでは、まさに学習指導要領の改訂に向けた議論と同時に、その学習指導要領を進めていくための教職員の在り方についても議論が続けられているところなので、その意味では、神野委員と石崎委員からおっしゃってくださった、先生、教職員の働き方に関わることあるいは確保に関すること、これはもう不可欠の話だと思います。ありがとうございました。
 それでは、篠原委員、お願いいたします。
【篠原委員】  ありがとうございます。今まで委員の先生方がおっしゃっていたことを本当に私も全て、田村先生の冒頭の発言ももう全く同感でしたし、それぞれの皆様の御発言に賛同することばかりなんですが、あえて幾つか申し上げます。
 すごく雑駁な印象論なんですけれども、やっぱりこれだけ大きな規模のことを、今村委員がおっしゃったように教育現場がきちっと受け止めて、この補正予算を受けて効果的に実行ができるのだろうかということについて若干の不安がございますというのが正直な思いです。ですので、そこをいかに意味ある形でこの大切なお金を使えるのかということについての、やはり何か伴走体制というのか、あるいは国のリーダーシップというのか、というものが少し必要なのではないかなという印象を強く持ちました。
 その際に、荒瀬先生がおっしゃったように例えばトイレが全部きれいになればみたいな話もありましたけれども、そのこともやっぱり大事だとは思うんですね。ですので、要するに、国のお金の使い方として、まず、こういう最低限の設備はどの公立高校であってもそろえるんだという、GIGAスクールじゃないですけれども、そういうものが、例えば今の神野委員がおっしゃった教員の働き方改革に必要なツールも含めて何かもう少し、それこそグランドデザインがあった上で、その上で各県からの提案というような、何かそんな段階が必要なのではないかなという気がいたしました。そうじゃないと、各県3校ですかね、そういう学校だけは何かピカピカするけれども、その提案に乗り遅れてしまったところはどうなるのかというような、何かそういう変な格差が生まれてきてしまうのではないかなということを危惧しました。
 それから、2点目については、骨子の2ページ目の下に、先ほど岩本委員もおっしゃったような目標設定の大切さというのが書いてありますけれども、これも全くそのとおりだと思うんですね。「目標設定を検討する」とあるんですが、これはどこがまず検討するということなんでしょうか。主語がちょっとよく分からなかったんですけれども、このことを伺いたかったです。それと、ここに例えばいわゆる理系人材の育成や専門学校における人材育成等と書いてありますが、やはり何かこの例も含めて、経済・科学技術の発展みたいなところへのシフトが全体的にこの文章では感じられていて、田村委員がおっしゃったような幅広い視点での高校の在り方みたいなことを、やはりこの文書だけでも理解してもらえるような形でのまとめ方を最終的にはお願いしたいなと感じました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。今、御質問が出ました。お願いします。
【橋田参事官】  先ほどの骨子の2ページ目の下の※印のところは、今の時点で目標設定をお示しできていませんけれども、最終的にグランドデザインの確定版の中では、何かしら目標的なものが国の立場として示せないかと考えています。ここの主体としては、国として、最終的にはグランドデザインの中で何かしら盛り込めないかというところです。
 ただ、これは今日の皆様方の御意見や、今後、関係団体の御意見も聞いていくことになりますので、その中で、どういった形でやるのか、どこまでできるか検討していきたいと考えています。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。篠原委員、よろしいですか。
【篠原委員】  ありがとうございました。これはぜひお願いしたいと思います。
 その上で一言だけちょっと付け加えたいのは、この3類型というのがずっとベースになっていますけれども、今日のお話にもあったように、これに含まれないようなお話というのもやっぱりあると思うんですね。そういうことに対する提案というのもやっぱり受け止めていただいたほうがいいのではないかなと思いましたので、その意味でいうと、何か柔軟にもう一つ受け止められるような形での柱立てができたらいいのではないかなとは感じました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。今の御意見も、篠原委員もそうですし、ほかの方からもいろいろ出ておりますので、よろしく御検討ください。あらためて確認をしておきますと、この基本方針というのは、これはあくまでも国として出すというものであって、これが当然ながらベースですので、ですから、それに向けて我々は今、こういったことも書き加えてはどうかというのをこれまでの議論と、その上で考えたことをさらに申し上げていると私は理解しております。
 それと、篠原委員のおっしゃった、これは今村委員も心配を言ってくださったんですけれども、各県の教育長の、相当たくさんの方にお目にかかってお話をしてきましたけれども、その中では本当にいろいろと各県の状況に応じてこれからのことを考えていらっしゃるというのは、これは間違いないです。ですから、県以外の団体等やあるいは国が積極的に支援をするというのも必要かもしれませんけれども、しかし、各県は各県で相当考えていらっしゃるところがあると思いますので、そういったところに今は御期待をしているということが国としての基本的なスタンスなのかなと思っています。
 すみません、お待たせしました。青木委員、お願いします。
【青木委員】  青木です。どうもありがとうございます。私は4県の高校の将来構想づくりに関わってきましたし、今も関わっている県もあります。主としてそういう経験を踏まえて今回コメントさせていただければと思います。
 今、荒瀬先生がおっしゃったように、改革マインドを持っている県というのはやっぱりあるんですね。ただ、高校改革を本気でやろうとするときにぶち当たる壁というのはどうしても財源ということでありまして、その意味で今回の補正予算に始まる文科省の予算獲得の御努力というのは、私含めて高校教育に関わる者にとっては大変ありがたいことだったと思います。
 その上で、グランドデザイン全体については、やはり予算を取るという目的があるわけでありまして、その意味で産業教育にかなりコミットするというか産業界との関係に配慮するというのは、それはそうなんだろうなと思います。とはいうものの、歴史的に見ると、産業教育というのは特別の法律もあるぐらいでありまして、恐らくこれを実施あるいはより制度化していくという局面になると、グランドデザインの視点2の辺りというのは、特出しの計画などを考えていくといいんじゃないかなと思います。つまり、産業、産業というように、産業界の要請に応えるというのがあんまり前面に出てはいけないのではないかという懸念も確かにあるんですけれども、恐らくその点については、特出しでそういう部分というのは対応されていくのかななんていうふうに個人的には思いました。
 あとは、基金というスキームですけれども、これは最近、他省庁の所管事業でもよく採用されるものでありますので、一般論としては、予算をしっかり獲得し、年度をまたいだ事業にこういうものはなじむスキームですので、妥当な政策手段の選択だと思いますが、基金一般に関する議論としては、やはり執行率の問題等、実施の局面での課題が指摘されているところであります。文科省としては、この基金を都道府県に造成するということでありますから、基金の推移というかその使われ方についてはしっかりチェックをするということが必要になろうかと思います。
 中身についてですけれども、何人かの委員おっしゃったように、教員に注目すると、やはり理系人材ということで言えば、もうシンプルに数Ⅲ/Cをしっかり普通に教えられる学校であってほしいし、そういう先生をしっかり確保するというのが何よりも最優先だと思います。高校の理系人材というのは恐らく他のセクターと取り合う人材になっていくわけなので、これは海外の事例を見れば明らかですから、例えばスキルのアップ、高度化を大学院でしていただくとか、リスキリングなどの機会を提供するなどして、より高校の理系教員にとっての魅力ある職場づくりというのが大事だと思います。
 他方で、カリキュラムで、今回の資料でコンピューターグラフィックスと数学の関連が言及されていたかと思います。確かにそうだなとは思うんですけれども、それを現職の毎日授業している先生に考えてくださいというのはいかにもハードルの高いことであります。例えばこういうコンピューターグラフィックスと何か数学を関連させてバックキャストでカリキュラムづくりをしていくのは大事かもしれませんが、それは先生に任せるんじゃなくて、研究開発だとかそういうコーディネーターとかカリキュラムコーディネーターみたいな人も別途必要なんじゃないかなと思います。あんまり現有戦力ばかりに依存してはいけない部分ではないかなと思います。
 また、県の単位で議論に関わると、やはり市町村の役所とか都道府県の県庁だとかの人材不足も今、非常に問題になっていて、国家公務員もそうですけれども、エッセンシャルワーカーも大事なんですけれども、公務労働へのパイプラインとして高校教育を位置づける必要もあるのかなと思っています。
 あと、インターンという言葉が、グランドデザインだから出てこなかったかもしれないんですけれども、産業界との関連でいうと、やはりもう思い切ってカリキュラムの中にまでインターンを組み込むぐらいの話をしていくほうがよくて、割り切って、産業界にも人を出しますよ、現役の高校生を出しますよ、ただし、学ぶその場は提供してくださいよというぐらいのお互いウィン・ウィンの関係になるようにしていけばいいのかなと思います。
 それから、県の議論に関わる身からすると、今回のグランドデザインで、やはり今日冒頭荒瀬先生がおっしゃったように、今回の名宛人は県ですかというところがあったと思うんですけれども、私、県の議論に関わっていても、アクターとしての、ステークホルダーとしての市町村というのがなかなか浮上してきにくい構造なんですね。
 そこで、私としては、今回、高校標準法も含めて都道府県立の高校が念頭に置かれた制度設計であるわけなんですけれども、それはそれでいいと思います。ただし、今後の高校教育の在り方を考える上では、市町村立高校だとか、市町村と都道府県が広域連合や一部事務組合などのスキームを使った、みんなで資源を持ち寄って高校を支えていこうという、どちらかというと規模の小さい高校を念頭に置いたものだと思いますが、そういうものもあっていいと思います。県立高校は高校標準法の精神に基づいて今後もやっていくということでいいと思うんですけれども、そうじゃないスキームもありますよということも考えていく必要があるかなと思います。
 あとは、理系に行かない高校生ということに関しては、今回細かい資料も出ているんですけれども、やはりこれは研究開発の課題だと思います。やはり大学などに委託するなどして、どうして理系に行かないんだろうか、あるいは理系に行くようになった高校などがあれば、そういうパイロットスタディーみたいなケーススタディーみたいなものもどんどんやっていくほうがいいと思います。
 最後です。地方の高校生の進路で、専門学校がやっぱり多いんですね。いろいろな意味で大学には行けないけれども。そうすると、専門高校も含めて高校教育の在り方を考えないと、高校を卒業していきなり就職という人や、いきなり大学に行く人ばかりではないので、そこも考える必要があるかなと思います。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、青木先生のおっしゃってくださった内容は、ヒントになるようなお話もたくさんあったんじゃないかなと思います。こういったようなことも含めて、全部を多分このグランドデザインには盛り込むことは難しいと思うんですけれども、こういったようなことも含めた説明をぜひ文科省からしていただいて、いろいろなことができるということで考えていただけるのがいいのではないかなと思いました。
 では、岩本委員、どうぞ。
【岩本委員】  よろしいですか。先ほど篠原委員含めてほかの委員の方たちが言われていた、一つ一つの学校、今回でいくと、例えば1つの都道府県でいったら3校みたいな、学校だけにフォーカスが行っているけれども、そこだけじゃ駄目じゃない? というような意見が結構あったかと思います。
 それについてなんですけれども、私はやっぱり私学と公立高校の一番の大きな違いというのは、いわゆる教育委員会みたいな、学校だけではなくて、それを支えている、つくっているオペレーションシステム、OSみたいな仕組みというところで教員の採用だとか入試も含めて動いているというところですので、それを考えると、その1校だけをピカピカにするというのは、私学だったらそれはやりやすいと思うんですけれども、公立の高校という単位でいくと、そこだけではなくて、OS自体もそれに耐え得るものにアップデートも同時に図っていかないと難しいという意見でもあったのかなと思います。
 例えば教員の募集だとか育成だとか、高校入試の改革だとかというのは、1校ではできない話で、OS側がちゃんとそうなっていないといけないとかですね。今村委員が言われていた、例えば今回の実行計画もちゃんと巻き込んで一緒に本当にビジョン、意志のこもったものをつくっていくというと、もしかしたら今の教育委員会だけの人員とかパワーではなかなかできにくいかもしれない。
 そうすると、例えば今回の基金でも、実行計画づくり自体にも一部資金が使えるとか、評価の指標の開発にも使えるとか、伴走の体制をつくるというところにも使えるとか、1校だけに、学校だけが使うというよりは、システム全体がアップデートをしながら一校一校を後押ししていけるとか、普及につなげていけるという、そっち側にも併せて光を当てた形で改革を進めないと、恐らく公立の場合は私学とちょっと違う部分があるので駄目じゃないかという意見だったのかなと思いますので、今後、基金・交付金の使い方のところでなのか、グランドデザインの描き方の中でそこも含めていただけるといいのかなと思いました。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。これまでいろいろな委員がおっしゃった中に今おっしゃったこともたくさん入っていて、さっきも申しましたけれども、そういったことを含めてどう使うかというのは、やはり県の教育委員会に、今の場合、県の教育委員会で、しつこいようですが、私は県だけではちょっと寂しい気はするんですけれども、それは置いておいて、都道府県の教育委員会に委ねるということで、都道府県の教育委員会の皆さんのこの仕事に関するモチベーションをそがないというのもとても大事なことだと思うんですね。
 お金がついたからまた仕事が増えたではなくて、これをもって、先ほど岩本委員がおっしゃったように、最初で最後とおっしゃったけれども、最後であっては困るのですが、この仕事にどのような知恵を出していくのか。その中でアウトソーシングする部分とか、あるいはどこかと協働を図る部分とかそういったことも出てくるかもしれませんが、そういった様々なことに使えると。1校に20億もありだ、でも、1校20億でないやり方もありだというようなことを考えていただくというのが、今日我々のお出しした意見のざっとしたまとめとしては、様々な形で使えるようにしていただくことによって高校教育の充実を図るというのが重要だと考えます。
 すみません、では、長塚委員、どうぞ。先生、時間があまりなくて申し訳ないです。
【長塚委員】  いえいえ、とんでもございません。すみません、今日は公立高校の話が中心なのでちょっと後出しになってしまいましたけれども、今、岩本先生が私立のことも比較して触れていただいたので、私立のほうから見た意見をちょっと言いたいと思います。
 グランドデザインの基本認識として、2040年の理系人材不足があることとか、あるいは過疎地の公立の支援をするというのは、非常によく理解できることで、予算規模としても画期的なことだと思っております。ただ、グランドデザインという言葉なんですけれども、大学教育との接続まで考えたときに、私立高校も含めたような物言いでないと、「グランド」という言葉を使って本当にいいのかなということをちょっと懸念します。私立高校が大学進学者の4割を占めているわけですし、私立高校の約半数が大学系列なので、先々の心配をしたときに、私立高校の役割もしっかり認識してもらうメッセージがあってもいいんじゃないかと。多様な教育をしている私立の存在意義とか私立高校のもこの2040年問題に向けて改革する役割があるのは当然だと思います。
 重ねて、今回のプランの引き金になっている高校無償化に関して、世間的にちょっと事実の確認が不足しているように思うことが2つほどあるので、簡潔に申し上げたいと思います。1つ目は、高校の教育の質を保証するというのは、教育費、とりわけ生徒1人当たりの教育費だと思うんですが、その平均額を見ますと、全日制では公立は年間132万円、私立は107万円なんです。私立のほうが随分教育費をかけているという誤解があるんですね。これは文科省の統計から分かるわけなんですけれども、私立はそのうち保護者負担が65万円で、そのうちの約7割が今回の無償化で軽減されますが、完全無償化ではありません。そしてなにより、私立の1人当たりの教育費が向上するわけではないんです。そこが誤解されていて、私立が豊かになって、教育の質を上げるための資金が増えるということは全くないのが今回の高校の無償化だということ、これが1点目です。
 もう一つは、無償化で高校進学の進路が私立に偏ってしまうんじゃないかと、そういうふうに思われていますけれども、この20年間見ましても、全日制の生徒数は、公立が260万から180万人で80万人減少、私立は110万人から100万人と10万人減少しているんです。私立にも学則定員がありますから、増えているのは広域通信制であって、私立の全日制がこれ以上増えるということはなくて、むしろ横ばい。今年は最新の数字では99万に減りました。ということで、私立に偏っていくというのは、それははっきり言って偏った見方であると思っております。ちょっと念のため申し上げました。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。先生、すみません、時間がなくて申し訳ありませんでした。
 今日これで皆さんに御発言いただいたということで、今日の議論はここまでとしたいと思います。ありがとうございました。
 では、次回につきまして、度會さんのほうからお願いします。
【度會参事官補佐】  本日も様々御意見いただきまして、ありがとうございました。
 次回につきましては、追ってまた事務局から御連絡をさせていただきますので、改めて御連絡いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。本当にたくさんの御意見をいただきましたけれども、伺っていまして、とりわけ、岩本委員がおっしゃった、今回の件については文科省にも感謝しますというお話がありました。長塚委員からありましたようにいろいろな見方がありますので、一概に見てしまうと誤った見方をしてしまっては駄目なので、ちゃんと見る必要があるんですけれども、いろいろな動きの中で常に文科省が教育の質の確保・向上をいかに図るかということを考えて、私たちにもこういった観点から意見を求めてくださっているということについては本当にすばらしいことだと思っておりまして、感謝します。とてもありがたいことだと思っています。ですので、私たちもどしどし思っていることをお伝えして、少しでも我が国の高校教育が、生徒を主語にした本当に実りのある豊かなものになっていくように努力をしてまいりたいと思います。
 本日はこれで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
―― 了 ――

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