全国的な学力調査に関する専門家会議(令和8年度第1回)・全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ(令和8年度第1回)合同会議 議事要旨

1.日時

令和8年6月1日(月曜日)13時00分~15時00分(令和8年度第1回)

2.場所

Zoomを用いたWeb会議

3.議事

(1)令和8年度全国学力・学習状況調査の実施について
(2)「令和7年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」の最終報告について
(3)今後の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について
(4)全国学力・学習状況調査結果の利活用について
(5)その他

4.出席者

 委員

 耳塚座長、足羽委員、礒部委員、宇佐美委員、大津委員、川口委員、斉田委員、髙瀬委員、土屋委員、冨士原委員、石田委員、澤田委員

5.議事要旨

【議事1】令和8年度全国学力・学習状況調査の実施について

・資料1-1、1-2に基づき、事務局から報告があった。

【議事2】「令和7年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」の最終報告について

・資料2-1に基づき、事務局より説明があった。
・資料2-2に基づき、福岡教育大学より説明があった。
・説明の後、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

【委員】 
資料2-2、25ページ目の訪問調査レポートの中身について教えていただきたい。
 これだけ重層的に進めていただいた研究成果を広めていくに当たり、今、全国各地で、若年教員が非常に増えてきている状況にある中、若年教員への支援として、様々なことが行われていたと思う。この中で特に印象に残っていることがあれば御教授いただきたい。

【川口准教授】
 いろいろ要因はあると思うが、同僚性の構築は大きいと考える。若手の先生が問題や悩みを言ったときに、それをほかの方が聞いたり、アドバイスを言ったりできるような関係をつくっておくことが一つ大きいのではないかと思った。学校内の働きやすさは大きいと感じた。

【委員】
 校長先生のリーダーシップと併せて、同僚性、若手教員の支援があるかと思うが、特に今後、この調査結果を基に授業改善を進めていただくときには、この若年教員の支援はどのようなものかという点に非常に興味があったのでお伺いした。

【委員】
 今回の研究で大変期待していた点として、成果を上げることができなかった学校に訪問調査に行かれた際に得られた知見と、もしその研究の成果があれば、お尋ねしたい。

【川口准教授】
 今回、学校を単年度の調査で選ぶことの限界として、2021年度と2024年度の成績を比べて、伸びているところ、あるいは、下がっているところを探すというような方法をとったが、たまたま2024年度がよかった、悪かったということで、成果が上がった、上がっていなかったという判定を下されてしまう可能性がある。むしろ成果を上げることができなかった学校としては、そもそも経年ではなく生徒の1年のみのテスト結果で議論されるとよろしくないのではないかといったお叱りにも近いような言葉をいただいている。どういう子供が学校へ入ってくるかというところは大きい。そこを踏まえて学校がどういう力を子供につけたのかという見方をしていかないと少々危ういところがあると感じた。また、成果を上げることができなかった学校が何もしていないわけではない。つまり、成果を上げることについて、例えば、調査時の学力は厳しいが、小学校6年生や中学校3年生がゴールではなくて、その後の就職や地域社会に戻ってからを見据えて実践されている。むしろそこを見てほしいというようなお声もあり、実際そうだと感じた。つまり、たまたまそのときスコアが悪かったからやっていないというような捉え方はよくないと感じ、そのように報告書でもまとめた。

【委員】
 それはよいほうにも当てはまって、訪問調査をやったとき、たまたまこの年の子供たちはよかった、もしくは、課題があった、ということをよく言われたりもしたので、データ追跡的にいろんな意味で拡充することが大事だと、改めて考えさせられた。

【委員】
 英語の学力のトレンド、差異の分析の部分について、SESについてはコントロールされたということだったが、前回の英語の悉皆の成績での影響を、もともと英語の成績の高いところや低いところの影響などをキャンセルするようなことは何か行われていたのか。

【川口准教授】
 データセット上、単年度のクロスセクションデータになるので、過去の要因、特にスタート地点では学力が一番効いているのは間違いないものの、そこをコントロールすることはできない。

【委員】
 1章のスマートフォンに関するところ、ここの注釈の記述のとおり、標準化された場合の結果だと思うが、これは学校内で平均的な学力を持っている生徒が50になるという理解でよいか。とすると、もともとの関心とずれるかもしれないが、こういう標準化をセンタリングしないときというのは、この差異は、スマートフォンを持っている・持っていないや、使用時間と学力の関係は、むしろ開くと考えたほうがよいか。

【川口准教授】
 データとしては偏差値化している。つまり、全国平均で平均的な子供が50になっている。「各年度・学校段階では」という表記はつまり、小学校・中学校では、という意味。

【委員】
 承知した。6章の経年変化の分析は非常に重要な分析と示唆をいただいていると思う。このPVを使った分析で、SESや幾つかの変数でコンディショニングをされていると思うが、このコンディショニングモデルは、どう設定するかによって、結果として得られる差や平均、変化が変わり得るところかと思う。この共変数は、いろいろなパターンで試したときに、数学はほぼほぼオーバーラップしていて、なかなか下がるとは言い難いと高い可能性で言えそうか。逆に、極端な話、こういったコンディショニングをしない形でPVを運用することは可能だと思うが、そういうときには例えばMLEと近い結果になっているのか。PVを用いることが、よく分散については意義があると一貫して言われていると思うが、今回のように平均に関してもPVを用いることはどうかについて教えていただきたい。

【川口准教授】
 PVに関しては、アメリカの学力調査以降、古典みたいになっているところもあるが、まずコンディショニングに関しては、分析に利用する変数を基本まず投入せよというのが、一応基本ルールと考えていただければと思う。入れないと、最初に置いた事前分布へ引きつけられてしまうので、基本的には入れないとシュリンクが起こり、差が縮小して設定されるということが、まずシミュレーションでは分かっている。その場合のシュリンクの影響はMLEよりも悪いというのが一般論で、コンディショニングなしでPVを使うと、MLEよりも悪い推定になるとお考えいただければと思う。この辺は結構頑健な知見で、シミュレーションをしたが間違いないと思う。回帰分析をするのであれば、その回帰分析による確率変数でコンディショニングするのが理論的にはベターということになる。ただ、PISAやTIMSSといった国際学力調査では、二次分析者がどういう変数で分析するか分からないので、使い得る分析でのデータの変数を全て主成分分析などでまとめて、コンディショニングする方法が一般には使われていると理解している。それで基本的には問題ない。この場合、PVを使った場合の一番の欠点、危険なのは、コンディショニングに使っていないものを回帰分析の独立変数にするというケースで、この場合はバイアスが大きく出るということになる。今回は、そのバイアスについては避けているという理解である。

【委員】
 では、SESは資料2-2にあるのだが、休校期間や習い事も、この分析モデルを入れるという前提で統制されたとの認識でよいか。

【川口准教授】
 その通り。

【委員】
 承知した。これは、多重代入でも言われている融和性という概念と同じことなのか。

【川口准教授】
 全く同じ話である。

【委員】
 第4章のジェンダーによる算数・数学の学力は非常に興味深く見た。女子のほうが学力中位層に固まっていて、男子は広く分散しているという傾向もあった。今回の調査においての結果だが、例えば資料2-2の13ページに、小6では「変化と関係」において男子のほうが女子よりも学力が高かった、ほかの領域は女子のほうが男子より高かったとあるが、この領域別の学力については、前回の経年変化分析調査だけではなく、ほかの今までの経年分析でも同じようなことが言えたのか、それとも今回のこの調査結果のみなのか。

【川口准教授】
 私もこういった領域別の結果の分析を全国学調でやったという例は知らないので、多分今回が初めてではないかと思う。たしかTIMSSが公式でも領域別の数学について男女差を出していたような記憶がある。そのときは、特に日本に関しては、言及はなかったと思う。

【委員】
 この部分が非常に興味深く、例えば、記述式の設問は女子が高いというのは何となく分かるが、この領域の偏りは非常に興味深い。逆に言えば、学力的に高くはない領域が何か大きな影響を与えているような気もした。

【委員】
 資料2-2の14ページ左上のほうに「実生活と結びつけた授業」を行った学校ほど女子児童の算数を「好き」と感じる割合が高いという結果と、「生活の事象との関連を図った授業」を行った学校ほど算数好きの男女差が小さい傾向が見いだされたという結果が出ているが、これは、この2つの項目が「好き」と答える女子の割合を上げる効果があるように特に目立って見えたと考えてよいか。

【川口准教授】
 まず、資料2-2の14ページのグラフになるが、すごくやっている学校でも、やはり女子のほうが「好き」という確率は低いので、僅かに縮めると考えていただくのが良いと思う。これが決定的に効いているというよりは、この辺に差があるかぐらいの弱い発見であると捉えていただければと考える。
 

【議事3】今後の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について

・資料3-1、3-2に基づき、事務局より説明があった。
・説明の後、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

 
【委員】
 IRTに関して周知が必要という話だが、推算値やPVのような話をし始めると、ホームページで見た程度ではやはり厳しいかなと思う。先ほど議題2で多重代入法の話が出たが、そうした統計の欠測処理等も踏まえて理解していかないとなかなか使いこなす方向には行かないと思う。単純に学ぶ機会を深める程度ではちょっと厳しく、全員が必要とは思わないが、分析に関わる方に関しては、やはりそれなりの高度な研修の機会を与えていくというような書きぶりにしていかないといけないのではないか。また、保護者に対する調査について、紙からコンピュータに移すということに関して、全く反対ではないが、何年か前に「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」で、中学校の回収率が30%を切ったときがあった。単純に紙ではなくてオンラインでとやってしまうと、回収率がものすごく低い値になる危険はあることから、一定の回答率を確保すると書いてはいるが、やはりここはかなり強調していただきたい。もし回収率が非常に下がってしまうと、もう保護者に対する調査は意味がないという話になってしまいかねないので、ここの手だては十分講じていただきたい。

【事務局】
 学校現場や教育委員会の方々からも、IRTについて、なかなか難度が高く、どのように理解していったらよいかとお悩みの声を頂戴しているところ。全員まで必要ではなくても、一定の方は深い分析ができるように、というのは御指摘のとおりと思っており、どういった手だてが講じられるのか、しっかり考えなければいけない。例えば、教育委員会にそういった専門の方がいるだけではなく、近くの大学に頼れる人がいる、もしくは、教育委員会に限らず、知事部局等とも連携するなど、どういったことができるのか、考えていきたい。また、保護者に対する調査について、御指摘のとおり、回収率が下がって調査が成り立たなかったら元も子もない。実施に当たっては、回収率を高くするための工夫を行い、そうすると保護者の方、学校の方に負担がかかってしまうかもしれないという悩みを持ちつつも、一定の回答率が確保できないと調査として成り立たないので、そこは御協力をお願いしつつ、回収率を高める手だて、調査としてしっかり成り立つ手だてを講じてまいりたい。

【委員】
 昨年度の理科で、IRTでスコア結果を各市町村、学校現場に返したが、多くの市町村から、このIRTスコアあるいはバンドの意味が分かりにくく、教員はもとより保護者にどう伝えたら、それぞれの子供さんの学びの姿や、今後どう伸ばしていくのかということを伝えていくために、その伝え方が非常に難しいという声をたくさん頂戴した。県の職員も頑張って、分析、勉強に励んでいると思うが、なかなかスカッとした回答を市町村に返すところまで至っていない。これから全ての教科がIRTになっていく中で、これをどう伝えて、評価と指導の一体化が図られるような形でこの調査結果が活用できるようになればなと思っている。また、実際に子供たちにフィードバックされてこの調査が生きていくだろうと思っているので、国も含めて、指導・助言を手厚く充実するようにお願いしたい。

【事務局】
 こちらのIRT、そもそもどういったものかといったような入門的な理解や、グラフの読み取り方、授業の改善等、そういったことを分かりやすい形で、研修動画も国立教育政策研究所のほうで作成している。文部科学省としても、そういった周知、教育委員会が使いやすいように、改めて丁寧にお伝えしていきたいと考えている。

【委員】
 資料3-1、12ページから13ページの、特別な配慮が必要な児童生徒への対応について。記載事項についての個々の意見ではないが、継続的に検討を進めていくことや、引き続きCBTの配慮問題、プログラムの作成を行っていくこと、あるいは、合理的配慮やその基盤となる基礎的環境の整備というところの記載はすごく大事なことだと思っている。それに関連して、ぜひ、このCBT拡大文字問題プログラム等の使用状況についての検証を実施して、課題の整理とその対応の検討を行っていただきたい。配慮の必要な児童生徒が問題にストレスなくアクセスできて、自分の力が十分に発揮できるように、CBT拡大文字等の問題プログラム作成に反映させていきたい。さらには、MEXCBT本体の修正や新たな機能の追加等の検討にも反映をさせていただきたい。ある中学校の弱視学級に訪問をして、学校で実際に利用しているGIGA端末でのCBTの拡大文字問題プログラムの操作を見てきた。そうすると、私たちの想定とは異なる問題点が幾つか確認できた。一例を挙げれば、その学校ではノートPCタイプのGIGA端末を使用していたが、教育委員会のルールで、ブラウザの設定を変更できないようになっていたために、細かい設定ができない状況になっていた。実際の端末、別の端末も含めて複数台使って操作しながら、弱視生徒の個別の見え方やニーズに対応できるように調整を試みてみたが、なかなか設定は大変で、限界もあった。また、異なるeポータルだと別の課題が生じてくるのではないかとも思った。端末の種類、各自治体のeポータルの選択、そして、各自治体の制限があり、せっかく拡大版の問題プログラムがあったとしても、諦めて通常版で受験するというような生徒がいるかもしれないと思った。そのようなことから、配慮問題プログラムの検証を強くお願いしたい。場合によっては、現場や教育委員会に向けて何らかの周知や啓発が必要になってくるのかもしれない。

【事務局】
 全国学力・学習状況調査は、平成19年度に始まったときから、点字問題、拡大文字問題、ルビ振り問題を作成して、様々な状況にある子供たちが受けられるように努めてきており、CBTになっても当然続けていきたいと考えている。事前のブラウザ設定や各学校での事前の準備が、通常の問題を使用する子供とは違う準備が必要だったケースもあるかと思っている。そこも踏まえて、それぞれの子供たちが力をしっかり発揮できるような環境をどう整えていけるのかについて、問題のプログラムの内容や、実施面でも改良の余地があると捉えた。実際には、各学校の御協力もいただきながら、どこまでできるのか悩ましいところはあるが、児童生徒が力を発揮できるよう私どもも点字問題を作ったり拡大文字問題プログラムを作ったりしているので、しっかりそれが活用いただけるように取り組んでまいりたい。

【委員】
 IRTの効果的な活用について、やはりIRTの分析をして、さらに各学校において授業改善に持っていくまで、というのはなかなか難しいものがある。研修動画も見たが、この動画を見ただけですぐに理解できるかどうかというところも含めて、研修機会を取っていただいたり、学校ではここが必要というポイントを示していただくなりして、各学校が分析して授業改善につながるようにしていただけるとありがたいと感じている。また、結果公表について、7月中旬ぐらいに学校には公表されるが、7月中旬というとどうしても学期末で、とても忙しい中で慌てて振り返りをするよりは、6月ぐらいまでになるべく早く示していただくことで、子供たち自身への振り返りが充実するのではないか。小学校は、令和9年度からCBT化ということで、事前に令和8年度からもサンプル問題で試すことができるということだが、その結果、各学校での実態や課題を吸い上げていただき、いろいろな説明に加えていただくことも考えられると思う。ぜひ実態を把握し、課題を吸い上げていただき、実際の実施に向けて取り組んでいただきたい。

【事務局】
 各学校現場で生かしていただくための知見について、具体的な事例がないと、各学校現場で御理解いただくのはなかなか難しいのかと思っている。これまで、それぞれの設問の反応率ごとに子供たちのつまずきを把握して、こういった指導改善ができるのではないかということを行ってきたが、IRTを導入することによって、IRTのバンド別の課題のつまずきの見え方がより見えやすくなると考えている。具体的な問題や授業改善につながっているほうが各学校現場の先生方につながりやすいという側面もあると思うので、IRT全体の総括的なものと、個別具体なものを組み合わせながら、少しでもIRTで示すことのよさが学校現場の皆様に伝わるように努めてまいりたい。結果返却の時期については、長年課題として認識しており、実際に調査を受けていただいてから、できるだけ学校現場への返却を早くしたいと思っているが、特に採点や集計のところで時間がかかり、早くすることがなかなか難しいという現状がある。自動採点により早期化できないかと資料3-1に書いたのもその思いがあり、できるだけ学校現場への返却を早くするためには、採点の部分や集計の部分を早くしなければならない。できるだけ早く戻せるように、7月中旬としているが、そこは常に追求してまいりたい。来年度、小学校は初めての教科調査でのCBT実施だが、サンプル問題を今年の秋以降に公開したいと思っている。サンプル問題を使っていただき、実際の子供たちの反応を見ながら、事前検証を行った結果、各学校の実施の段取りや実際の調査の進め方についても課題が見えたら、4月の実施に向け、調査マニュアル等にも反映して、少しでも円滑な実施につなげてまいりたい。

【委員】
 資料3-1、5ページ目の上のところ、ICT端末上で出題・解答するところについて、第一印象として、マルチメディアや様々なツールを使うこと自体が目的化しているような印象を受けた。第2段落の2行目のところに、「学習指導要領で育成を目指す資質・能力をより適切に測る」という言葉があるが、本来はこれらの資質・能力をいかに適切に測るかというところが目的であって、そのために従来の紙ベースの方法でよいのであれば、別にマルチメディアを使わなくて十分となる。より適切に測るためにはマルチメディアや様々なツールを使うことが望ましいということがより伝わるような形で構成などを作り直していただいたほうがよいと感じた。

【事務局】
 あくまで子供たちの資質・能力をよりよく測るためには、CBTを使うことが効果的であり、資料3-1の中でも、英語の話す力を測る問題や理科の観察・実験の問題を例示として挙げた。あくまでマルチメディアの活用は手段であり、目的はしっかり子供たちの資質・能力をより効果的に測っていくことである、ということが伝わるよう、資料のつくりも含めて考えてまいりたい。

【委員】
 PBTのときには紙が配られて、児童生徒が鉛筆と消しゴムで解くという条件は基本的に一緒と考えられるが、CBTのときの条件の統一化というのはどんな形で進められているのか、教えていただきたい。

【事務局】
 CBTでの実施については、各学校で御用意いただいている端末を使ってやる調査としている関係上、必ずしも条件が統一できていないというのは御指摘のとおり。一方、GIGAスクール構想で整備いただいている端末は、一定の仕様が整っている。メーカー等で細かなところは違っているが、子供が使い慣れている端末で実施することで、厳密に同一のものではなくても、一定の範囲内で行っていただいているという状況。

【委員】
 例えば、iPadでペンを使って手書きのように入力をする学校もあれば、ノートパソコンでタイピングをして打つ学校もある。両方認めているということか。英語のライティングだと、ペーパーだと間違ったら消しゴムで消すが、タイピングの場合には、パソコンの機能を使えば文字や単語の入れ替えが簡単にできるようになる。それは条件として認めているということか。そうだとすると、PBTとCBTで測っているものが少し変わってくるかと思う。今後、CBTで測れる能力を調査していくということか。

【事務局】
 子供たちの学力の状況等を正確に適切に把握していく上で、できるだけPBTとCBTの差がないほうが好ましいというのは御指摘のとおり。実際そういった指標などで課題が見えてきたときには、その問題のつくりや実施の方法についても反映していくことで、より差分が生じない工夫をしていかなければならないと思っている。

【委員】
 例えば、パソコンによっては、入力した文字を直してくれる機能がある。その辺りの指示とかはしているのか。

【事務局】
 基本的には、子供たちの学力を正確に把握するという意味では、端末にもともと備え付けられている機能を用いて答えるというのは当然望ましくない。そういった機能は使わないようにというのは、調査の方針としてはある。

【委員】
 資料3-1の6ページの多様な子供への対応というところで、柔軟に対応するために、令和7年度からCBTでの実施を可能としたが、これは選択肢を広げたということであって、実施を強制するものではないということについて、その方針で適切だと考えている。逆に、可能としたということなので、子供たちに参加ができるという案内を誰がするのか、学校なのか、そういう子供たちがいるセンターや教育委員会なのか、その辺りの理解がなかなか及ばない。参加できるということすら案内されていないのではないか、周知されていないことがあるのではないか、と少し不安や心配がある。把握されていることがあれば教えていただきたい。

【事務局】
子供たちへの案内の仕方については、いろいろやり方があるかと思うが、基本的には、この調査は学校で参加いただいているので、学校がその御本人に直接関わっていただいたり、教育支援センターにいらっしゃるお子さんについては教育支援センター経由で関わっていただいたりしている。後日実施で受けることを可能としていることの周知をしていただきたいという旨は、昨年度来、教育委員会や学校にお願いをしている。一方、御指摘のとおり、あくまで目的としては、本来受けたいにもかかわらず学校に行けなくて受けられなかった子供が受けられるようにするということにある。調査に参加しなければならないとなることは本望ではない。そういったことも併せて伝えて、自宅や教育支援センター、病院などで調査に参加される子供に対する呼びかけを今後丁寧に行ってまいりたい。

【委員】
 強制でないというのは大事だと思うが、むしろ参加したいのにそういう情報すら保護者や家庭に伝わっていないことや、参加したいという人に対する要望が回収されているかが心配だった。何かうまい方法があるかどうかすぐ提案できないが、よろしくお願いしたい。

【委員】
 解答データや、教科科目のデータを取得する際に、使っている学習ポータルや端末に関する情報というのは、何らかの形で収集されているのかどうか。できれば収集してほしい。

【事務局】
 どの学習eポータルを使っているかは把握できるが、端末は、今は把握できていない。ただ、特定の端末であること等で力が発揮できないというのは本望ではなく、引き続き考えてまいりたい。
 

【議事4】全国学力・学習状況調査結果の利活用について

・資料4に基づき、事務局から報告があった。主な意見は以下の通り。

 
【委員】
 先ほどからの議論を聞いていて、やはり厳しいと思ったところは、学校現場の先生方が求めているのは、多分IRTを使って目の前の子供のためにどのように授業を改善するかという腹落ち感だと思うが、一方で、今のツールは多分腹落ちまではいかず、そのツールを使ってどうやって現場の子供たちとつなぐかというところが欠けていると考える。そうすると、指導主事や教育センターの方に、現場の先生方も理解できるよう、IRT分析の仕方や、分析ツールで出た結果を個々の子供の学びの状況が見える形で翻訳することができる方を育てないと厳しいと考える。そういう方を育てるには、大学において、IRTも現場のことも分かるという方を育てないといけない。今の教員養成は、現場が分かる人、または、IRTが分かる人はいる。しかし、両方をつなげる人がいない。今の教員養成の改革では、そこは重視されておらず、まずいと感じている。だから、両方分かるという人を育てるというスタンスで、適切にツールを使う人を育てないと厳しい。

【委員】
 先ほどの委員のおっしゃることもよく分かるが、ただ、それを実現するとなると、相当の年数がかかりそうな感じもする。現場の先生からは、この全国学力・学習状況調査の結果をちゃんと読み取れるようになりたいというニーズのほうが聞かれる。まず現職の先生や指導主事の先生が、IRTを使って分析を行うことよりは、その結果データを見て、より授業改善のために何ができるのかを考えるための裾野を広げていくということに、まずは取り組んでいただきたい。また、教職課程の授業で、文部科学省や国立教育政策研究所で作成された動画や、学生にデータの分析をさせるような演習をやっている。その際、擬似データを分析していると、1万人のデータが一気に出てきて学生がびっくりしてしまう。扱うデータとしては、1,000人ぐらいでも良いかと考える。

【事務局】
 今提供しているもので十分かどうか、どのようにお伝えしたら、より分かりやすく、まさに腹落ち感があって御理解が進むのかといったところを我々も考えていきたい。先ほど御紹介した分析ツールについて、なかなかとっつきにくくて触るのをやめよう、といったことは非常にもったいない。多くの場面で活用いただきたいと思っている。 例えば、IRTの結果の示し方についても丁寧な説明とともにお伝えしつつ、今年度は試行的に行っている分析ツールも、御意見いただきながらできる改善を進めていき、どういう形がよいのかを今後中長期的に考えていきたい。

【委員】
 これもぜひいろんな場面で活用させていただこうと思うが、まずグラフの読み取りに皆さん苦労しているので、そういうところから裾野を広げていく努力を私たちもやっていきたい。せっかくの学力調査なので、いろいろ活用していただけることを目標に、お願いしたい。

【委員】
 結果分析ツール、非常にすばらしいと思うが、インターフェースについては、デザインの専門の方にもいろいろ御意見を伺ったほうがいいかと思った。人によって感覚がいろいろあるかもしれないが、選択した地域・学校を薄い青、そして、全国を濃い折れ線にしていたが、表示されるものは逆ではないか。全国が折れ線、そして、選択した地域・学校が棒グラフとなっていたが、これは逆のほうがよいのではないか。また、散布図など、学校単位のものはあるが、こちらは学校の規模などが影響すると思うので、バブルチャートにしたほうがよいのではないか。それから、資料4の7ページのほうは、右上に正答数の層別の分布とあるが、正答数の層別に分布ということになると、A層の中での分布、B層の中での分布という意味にも取れる。これは言葉の問題だと思うが、デザインや言葉について、いろいろな専門家の方の御意見をいただき、ブラッシュアップしていただきたい。

【事務局】
 技術的にどこまでできるかという部分はあるが、より正確に、そして分かりやすく、活用いただける形となるよう考えていく。