令和8年3月17日(火曜日)10時00分~12時00分(令和7年度第8回)
Zoomを用いたWeb会議
(1)令和8、9年度調査に係る今後のスケジュール(予定)について
(2)今後の全国学力・学習状況調査のCBTでの実施について
(3)全国学力・学習状況調査結果の利活用に向けた状況について
耳塚座長、宇佐美委員、大津委員、川口委員、斉田委員、髙瀬委員、垂見委員、土屋委員、寺尾委員、福沢委員、冨士原委員、益川委員、松谷委員、三浦委員
・資料1に基づき、事務局から報告があった。
・資料2-1、2-2に基づき、事務局からの報告があった。主な意見は以下の通り。
【委員】
IRTやCBTが入ってきて、使う技術が非常に高度になってきている。それを簡単に分析できるものを提供するという方針は示されていると思うが、教員養成の現場で関わっている立場としては、学校現場、あるいは教育行政の方たちの知識が追いついていないと考える。それをどうするのかという問題意識もあまり教員養成の現場には下りてきていない気がしている。学力調査の意義にしても、IRTは非常に分かりにくいところがある。その解釈等については、教員養成課程の中でも少し触れていかないといけない。行政に関わる方や管理職になる方には、少なくとも学力調査やIRTがどういうものなのかを伝える仕組みづくりが必要ではないか。そういった記述もどこかにあるとよい。
【事務局】
結果公表の改善等に当たっても、周知に関して課題がある点、委員の皆様から継続して指摘をいただいていたところ。御指摘のとおり、根幹は教員養成の段階から触れていただけるようにするという点もある。関係課とも相談してさらに考えてまいりたい。
【委員】
教員養成に加えて、研修についても配慮をしていただく必要がある。
【委員】
1点目は、フィードバックの早さを担保するために、自動採点を盛り込む考えがあるかどうか。CBTによって、多肢選択の部分についてはほぼ即時的に採点できるかと思うが、短答式や短い記述式等で自動採点の技術が入ってくると、パフォーマンス評価としてのスピーキングや書くことについては少し後になるかもしれないが、特に国語、算数・数学についてはその技術導入の見通しも資料2‐1に書いていただけると、迅速なフィードバックを軸にした強力なサポートになると考える。
2点目は、地方学調との連結に関して。資料2-1の9ページにあるように、国が経年変化に対応できるようになると地方学調との連結が図れる、というような説明について、同意見である。もちろん地方学力調査で独自にIRTを採用しているところもあるが、それは力がある自治体に限られていて、必ずしも全ての地方学調がIRTを入れられるわけではないという前提に立つ必要がある。一方で、国の調査を基軸にして、地方学調において学力の伸びや変化量について推測ができるようになることについて、よりしっかりと検討がなされるべきである。
3点目は、資料2-1の7ページ目に記載のあるアダプティブ方式について。思想がちぐはぐになっていないか気になるので、詳しい具体的なビジョンがまだないようであればそうお答えいただきたいが、アダプティブ方式そのものは、調査の時間を短くしたり測定精度を上げたりすることが目的になると、副次的に個別最適化のようなことができるようになるもの。例えば資料2-1の8ページのところでは、悉皆調査のほうは出題数、出題範囲の制約がある状況で、もし悉皆でアダプティブ方式を入れるとなるとそのよさを活かし切れるのかという点に大きく疑問に感じる。なぜ測定精度の向上が課題になっているのか、あるいは児童生徒ごとに解答時間が違い得る仕組みをどのように理解を求めるか、という点も十分議論をした方がよい。
【事務局】
まず、自動採点を用いたフィードバックの迅速化という点について、本日の資料3-2の8ページを御覧いただきたい。MEXCBTにおいては、学力調査の過去の調査問題を搭載して、授業や家庭学習で配信して使うことができる環境が整ってきている。それを案内していこうとしているが、その過去問題について、短答式は難しいが選択式の部分は自動採点で即時に結果が出る機能が使える形になっている。したがって、委員が御指摘くださったようなフィードバックの仕方とも、今後、可能性として十分にあると思っている。他方で、この機能は、公開された過去の調査問題の範囲で備えているが、令和7年度の中学校理科以降始まった問題のプログラムが、一つの問題プログラムの中に公開と非公開の問題を同時に含んでセットにした、ある意味分冊としてのプログラムになっている。ゆえに、この非公開の部分も含めて、一気に解答を返してしまうことになり得るような現状の仕様の前提になっている。
そうした辺りのMEXCBTの機能の改善も考えなければ、悉皆調査での公開問題と非公開問題をひっくるめた形でのハイブリッドな問題構成において、全面的に自動採点の良さを活かすところにはまだ少し踏み切れない、移行し切れないところに技術的な課題が残っている。この辺りは、さらにどのように改善できるのかを検討してまいりたい。続いて、2点目。国を基軸・媒介として、地方自治体・学校も学力変化が推定できるようになる可能性は感じているところ。ただ、実際の手法をどのように取ればよいかについては、これから検討していこうという段階。実際には一部の自治体から、問題の共有や分析の仕方等の相談が増えつつある。実際に具体的にどのような方法が可能か、支援方策について今後さらに研究を進めてまいりたい。最後に、アダプティブ方式の活用は、昨年の6月の段階においても、あくまで中長期的な課題としての位置付けだった。これをどのような形で導入していくのかという具体論にはまだ踏み込んでいない。特に、悉皆調査にアダプティブ方式を入れるかどうかも、それを念頭に置いてここに記述したということでもない。これからの議論だと思うが、例えば経年変化分析調査において、スコアの分布に関して特に学力推定値・能力値の精度を高めにいくという点で、アダプティブ方式を導入するというのは一つの筋論として存在し得ると思う。そもそもアダプティブ方式をMEXCBTを活用して実際に円滑に実施できるかどうか、そしてそれぞれの二本柱の調査にどのようにうまく活用できるか、組み合わせて設計していくことになるので、これは中長期的な課題として、さらに検討したい。
【委員】
制度設計がどんどん高度化していく中、この学力調査結果が教育現場で有効に活用されるためには、児童生徒たちが真剣に受けてくれることが、重要な条件になる。そのためには、学校現場や教育委員会に、このIRT・CBT化による全国学調実施の意義がよく伝わることが、児童生徒が真剣に受験をしてもらうために非常に重要と考える。学校現場でIRT・CBT化による調査の意味がまだあまり理解されていないように思う。
その上で、1点目、全国学調を二本柱で実施し、経年変化分析調査と悉皆調査をCBT・IRT化していく際に、受検する側にとって、受験する意味がはっきりと理解できるように、していただけるといい。悉皆調査は、問題を多く出して、現在の学力をより多角的に測ることができる。経年変化分析調査は、国として目指す学力の経年変化が分かる。そうした違いが教育委員会や学校にはっきり分かるような形で伝えていただけると受験者にとってもよいのではないか。経年変化分析調査の結果が教育政策の改善に使われているという具体的な事例があると、より現場も納得しやすいだろう。例えば令和3年度と比べて令和6年度の学力が多少低下傾向に見られたことを踏まえて、どう政策に活かされているかといった事例があれば教えていただきたい。
2点目、国と地方の学力調査の関連を関連づけられるようになるということだが、全国学調データと地方学調データを、児童生徒の情報で紐づけさせるのか。国の全国学調データには児童生徒の個人情報が含まれていない場合、どのように関連付けるのかが気になった。国と地方の学調は目的が異なる。制度設計上目的が異なる地方学調と国の学調とを、ただIRT・CBTを使っているから技術的にリンクできるという単純な話ではない。それぞれの調査目的と、どのような問題であるかをよく吟味しながら、双方活用できるところは活用して教育改善につなげてほしい。地方学調をやっていない自治体も多いので、その辺りの配慮も必要。
3点目、今後、全国学調は全てCBTで実施していくということだが、手書きの重要性もあるので、学校教育の中で手書きの指導が薄まることのないようにしていただきたい。このことに関連して、学調を受検するときには、デバイスの違いで、入力がキーボードの場合もあれば、iPadのように手書きの場合もある。入力の違いは、今後どのように考えているのか教えていただきたい。
【事務局】
まず、特に現場の方々に対し、IRT・CBTの意味を御理解いただくという点に関して、現在、国立教育政策研究所において、IRTに関する研修にも使っていただけるような動画を作成している。今春以降、御案内できる予定。IRT・CBTの意義の周知を広げていかないといけないという点に関して、令和7年度の中学校理科の結果返却との関係で説明を努めてきたところだが、それについて十分ではないと思うので、さらに周知を徹底してまいりたい。その上で、悉皆調査と経年変化分析調査それぞれの意義・役割、経年変化分析調査の結果の政策的な活用についても、ぜひPRしてまいりたい。英語に関しては、特に令和6年度の経年変化分析調査において、令和3年度と比べて23ポイントのスコア低下という結果が見られた。この点について、令和7年度夏の時点では実施結果の報告書を公表したが、報告書を御覧いただくと、問題そのものは公開をしていないが、問題の内容と解答率も情報として公表していた。それを分析した内容は、中央教育審議会の教育課程企画特別部会の外国語ワーキンググループでも紹介した。例えば基本的な単語、文法事項といった部分の理解が不十分で、「書く」領域での正答率の低下が見られた問題が非常に多かった。また、「話す」領域においては、特に正答率の低下、無解答の増加が見られた。こうした個別の領域にも踏み込んだ分析もしており、これが新しい学習指導要領の議論の一つの材料としても使われている点について、私たちも分かりやすく発信していきたい。
次に、地方の学力調査との関係であるが、特に全国学力調査においては、経年変化分析調査、悉皆調査ともに、現在までの実施の枠組みにおいて、児童生徒個人の情報を基本的には取らず、答案の番号のみ国としては取得をしている状況。現在、令和8年度調査の結果返却の中で、例えば自治体ごとの状況に応じて、自治体の中で保護者の同意等の手続きが整備されているなど一定の条件をクリアしているような場合には、学習eポータルのIDと、この調査で取得している答案番号との対象関係をお返しすることができないか、現在実務的な検討を進めている。ただ、そのような、子どもに着目した情報の取得ないし返却は、まだ検討段階にとどまっている。この専門家会議でも、例えば委員の皆様からもパネル分析、追跡調査といったような御指摘をいただくこともあるが、現在は小6と中3の追跡分析ができるところには至っていない。また、地方学力調査において実施されている教科や、学年、目的は様々であり、実施の有無も様々である。全国学調と地方学調の連携に当たっては、決してCBTを実施している自治体だけ考えるのではなく、それぞれの学力調査の在り方に関してそれぞれの目的にしたがって考えなければならず、国と地方の役割分担も当然考えないといけない。当座の課題として、CBT化に伴う連携方策を具体的に考えたいと思っているところであるが、別に地方の独自学力調査を画一化していくということではなく、それぞれの目的に応じて、ニーズに対応して支援していくのが基本の考え方になるのではないかと考えている。
最後に、手書きに関して。本日の説明の中でも、一部紙を併用し、メモ用紙を使うといったことを今後の調査の実施の考え方として紹介した。そのような中で、長い文章や複数の資料にメモや矢印を付けたり、図を描いたり、記述式の問題の下書きをしたりできると思う。そのように紙の併用を当座考えているが、MEXCBTの機能開発も必要となってくる。民間の英語の試験のCBTでは、色付きのマーカーを引いたりしながら問題を解くこともできるが、MEXCBTでは、問題文・資料などに直接書き込んで、それを使いながら解くことができる仕様にはなっていない。その辺りも併せてさらに開発を進めていきたい。
【委員】
令和9年度からの悉皆調査のCBT移行に伴って、令和9年度経年変化分析調査のように一部PBTを併用するデザインも考え得るかなと思っているが、この点、どのようにお考えか。もちろん、オペレーション上、結果返却が煩雑になり得ることは承知しているので、必ずしも強い意見ではないが、令和6年度経年変化分析調査のモードエフェクトが私が事前に考えていたレベルよりは色濃く見られていて、客観的に見てその発生の理由が多分分かっていないのが気がかり。すなわち、縦書きであることや、パレットを使っていることだけでは説明ができない。やや抽象的な話になるが、CBTで受けること自体による解答者のマインドセットの変化があり得るのではないかと考えている。こういったことが、経年変化分析調査の固有の話なのか、悉皆調査ではまた違う形で顕在し得るのかが気になっている。もちろんIRTをどう使っていくことかということ自体は、悉皆調査の場合は今後検討していく部分が多分にあるとは思うが、CBTの結果を解釈する上では参考になり得ると考える。
【事務局】
全体としては資料2-1の19ページに示したように、PBTとCBTの関係については、経年変化分析調査で分析を続けて適切に対応していきたいが、他方で、いただいた御指摘も大変重要。一つのアイデアとしては、悉皆調査が4月に実施され、また独立して経年変化分析調査が実施されるという令和6年度までのの実施方法を、経年変化分析調査の実施時期を悉皆調査と近接させて実施できるようにすることで、御指摘の部分も加味した対応も可能となるかと考えている。まさに令和9年度の設計をどうするのかというところで、また御相談したい。
【委員】
学校で実際に令和9年度からCBTになるというのは、結構大きなことと受け止めている。このCBTでの調査に円滑に移行できるように様々準備も考えられていて、令和8年度の秋頃にはサンプル問題等もあげていただき、実際に取り組めるのは本当に良いと思う。一方で、このサンプル問題に取り組む中で、見えてくる部分もあると思う。課題等があれば、そこを吸い上げて改善に結び付けていただきたい。また、やはりIRTに関する理解は、まだまだ学校では進んでいないところが正直ある。研修で使える動画等も作成していただいているが、このIRTの分析を学校ではどのように行っていったらよいか、分かりやすく説明していただくことが必要。それから、子どもたちへのフィードバックという点で、今、7月中旬に子ども向けの評価等結果が返却されているが、令和9年度以降になると、さらに6月などに早めることは可能なのか。子どもたちは学力調査を受けた後に、間を置かずに振り返りができるとさらによいかと思うが、CBT化が進んでいく中でそういったことが可能になっていくのかどうか、お考えがあればお聞きしたい。
【事務局】
まず、学校としてこのCBTという変化を受け止めるという点について、サンプル問題をこの文書上は盛り込んだところ。後ほどの議事で紹介するが、MEXCBTでは、過去の調査問題を全てCBT化し、各eポータルを通じて活用できるような状態にした。これを教材の一部として活用できる点について、現場に発信を進めていきたい。また、特にこれまでは中学校を中心に現場の意見をお聞かせいただく機会が多かったが、今後さらに小学校の現場の御意見もしっかり受け止めてまいりたい。
2点目、IRTの理解、IRT分析の活用方法については、この調査の実施の要になってくる部分なので、とりわけ令和7年度はIRTバンドを、指導の個別化にどう具体的に適用して応用するのかというところもアピールさせていただいた。複数の教科で広がっているので、授業アイデア例等の充実も併せて、しっかり現場に浸透できるように努めたい。
3点目、まさに現場から、引き続き結果返却をさらに早期に行ってほしいという声があることは承知している。自動採点機能の使用に関して、技術的に乗り越える課題が大きく残っているが、当座の中間的な対応として、令和7年度の中学校理科に関しては、中学校理科の公開問題の全体を集約してまとめた問題セットをMEXCBTに搭載した。学校によっては、これを振り返りとして、その公開問題セットをeポータル上で子どもたちに解いてもらうと、自動採点の機能がすぐに使え、子どもたちにも迅速にフィードバックができる。この辺り、まだ初年度で公開問題セットの活用に関しては十分現場には行き届いていなかったかもしれないが、そういった活用方法があることも発信をしていきたい。いずれにしても、結果返却の早期化は学力調査の根幹に関わる部分として、引き続き改善を志向して検討していきたい。
【委員】
今後のCBTとIRTの導入によって、資料2-1にも書かれているとおり、一回の調査で幅広い領域や内容の調査ができるようになっていく方向かと思う。ただ一方で、少し検証しなければいけないことがある。IRTになることによって、CBTというコンピューター上での実施というだけではなくて、問題の構造自身が変わってきているということもある。過去問がCBTで公開されるというのは、活用に関してもとても大事なことだと思っているが、公開される過去問については、IRTではない構造が前提の学力調査の問題であり、やはりその問うている問題構造等が変わることによって、測りたい力、子どもたちの資質・能力が本当に測れているかどうか併せて検証する必要もあるかと思う。検証を行いながら、CBT・IRTという組合せの強みと課題を明確にしていくことが大事ではないかと思った。
【事務局】
幅広い領域で出題ができるメリットがある一方で、CBT・IRTを前提とした問題の構造に変わっていない問題があり、CBTとPBTで必ずしも一緒にできない部分もあるだろうという点も、過去の問題の取扱いに関しての留意点として押さえるべきところ。重要な御指摘をいただいた。また、測りたい資質・能力を適切に測っていくという部分について、様々な工夫をするための検証も続けていかなければならない。当座ここまではCBTの導入のための試行・検証を令和3年度以降、事業として続けてきたが、今後、実際の運用について固めていくとともに、より高度にその資質・能力を測定していくための検証というフェーズに、私たちも移行していくことが必要になってくる。本日御欠席の委員からも、特に問題に関しては、問題を解くに当たって必要となる素養(アトリビュート)、問題解決に必要な素養もしっかりと念頭に置いて、問題の作成・分類もしていかないといけないのではないかという御意見もいただいている。例えばOECDの中でも、その内容だけではなく、定式化といった問題の軸を複数持っているので、それがCBTや紙で測るのに特異な部分のアトリビュートがどこかといったところもしっかり認識し、問題の作成、結果の分析をしていくことが必要。
【委員】
CBTになることによって問題の構造が変わることを、問題作成者がどれだけ意識しているかは大変重要。ただ単に紙が画面に変わるだけなのか、ラテラル・リーディングのような、コンピューターだからこそできる問題を作るのか。ただ、日本の学校現場でそんなにラテラル・リーディングは推奨されていない一方で、OECDでは、もう問題自体がそういった構造になっている。単に紙が機械に置き換わるだけというように今回のCBT化を捉えるのか、それともCBT化によって問題自体、もしかすると学習の内容自体を変えていくことになるのか、この点がまだ、見通せていない感じがする。
【事務局】
全国学調のCBT化は、単にPBT時代の問題冊子と同じものをCBT引き写すことで進んでいくものではないと思っている。その点は、CBTならではの部分、紙でも測っていた部分、紙で測っていたもので若干測りにくくなる部分を例えばどう補うのか、CBTで測りやすいものをさらにどう広げていくか等、いろんな視点があろうかと思う。その上で、MEXCBTの機能状況も、完全な状態でスタートしているわけではない。例えば表計算の機能活用も当初から指摘されているが、これを問題に取り入れて、ネットワークを通じて安定して実施できるかといった部分はまだ検証できていない。そのような様々な機能の活用は、それぞれの教科ごとにやりたいことが山のように出てくることだと思う。令和7年度から、まずは安定して円滑に実施をし切るというところで、私どもも準備を最優先にしてきたが、本日委員の皆様から御指摘いただいたように、次のフェーズもしっかり見据えて準備に取りかかっていかなければならない。
【委員】
全国学調の結果を学校現場でしっかり活用してもらうことについて、たくさんの御意見をいただいている点、本当にありがたい。国がこれだけの大きな規模でやっているこの学力調査が、一つ一つの学校で活かしていったほうがいい、何とか活かしていきたい、という思いはあるので、そういう意味では、いろんな視点で、現場で活用できることはこれからも考えていきたいし、こういう場でも御意見をたくさんいただきたい。IRTについては、現場ではなかなか分かりにくいというのは本当にそのとおり。恐らくそれぞれの学校の中で浸透させるにはかなりいろいろな手を打っていかなければいけないのではないか。以前S-P表が出たときに、各自治体でS-P表とは何か、どのように見るのか、といった研修を、教務主任を中心に行っていたこともあった。同じようにしていくのがいいのかは分からないが、やはりIRTについても現場への研修を行うことや、教員養成の段階でも様々な角度から分析方法を浸透させていくような手だてが必要ではないか。
それから、地方の教育委員会で行っている学力調査との関連は、行政の施策や学校経営方針にも活かせるので、そういう意味では、やはり自治体の教育行政でしっかり活用し、それが自治体から学校に下りてくると、学校の中での活用もしっかり浸透していくのではないか。全部を把握はしていないが、身近なところで見るとまだまだ浸透はしていない。ぜひこうした学力調査を活用して、教育施策の中にもしっかり取り入れていけるところまで考えていけたらよい。
それから、資料3-2に、MEXCBT上で実際に実施する際の一連の流れ、イメージ図がある。1人1台端末を活用して、子どもたちが自分の学力、または何が理解できて何が理解できていないのかを、全国学力調査を基にして把握していけると、教員としてはそれが授業にも非常に活かせるのではないかと考える。さらに、CBTになることで解答する際に道具や手法がPBTの時と違ってきたときに、例えば数学なら数学で求めている学力、求めている力が変わってこないのかということについては不安に思う。コンパスで円を描くのと、端末上で円を描くのと、やはり子どもの認識というのは違ってこないのか。そうした点についても考えていかなければいけないと思うし、そうしたものについての資料提供や分析の提供をしていただけると、現場としてはありがたい。
【事務局】
IRTを中心としつつ、この結果の分析・活用に関して、個人、学校、行政、それぞれのレベルでしっかりさらに様々な手だてを講じて浸透を測る必要があるという御指摘、大変重いものである。これはある意味反省が必要な部分であるが、この数年間、CBTの導入を円滑に進めるというのが行政として最優先の取組になっていた状況がある。その中で、この数年の専門家会議の中でも、分析・結果活用といった部分での議事も少し少なくなっていた点は否めない。後ほどの議事で説明するが、こうした事例の収集、良い活用事例の展開、IRTの理解に関しては、さらにこの状況の中でしっかりと進めていかなければならない課題だと思っている。特に学校現場の中での浸透具合に関しては、学力調査の学校質問において、結果の分析・組織的な教育活用に関する項目があるが、肯定的回答は常に9割あるものの、「よく行っている」という回答が、コロナ禍を挟んで少し落ち込んだ状況が現に見られる。その辺り、しっかりと現場の状況をつぶさに見ながら、活用いただけるような発信をしたい。
【委員】
調査結果を即時的に返すのは、多肢選択に関しては簡単だが、記述式に関しては、現状でも少なくとも人手が入っており、CBTになっても採点に関して人手がかかるのは変わらないので相当時間がかかるという話があった。令和8年度に紙でやる教科の記述式の解答データについて、採点した結果のカテゴリーや類型だけでなく、元の解答を、画像など極力電子的な形で残しておき、後で問題を公開するときに、それらを学習させた上で、機械採点や自動的に回答させて即時的なレスポンスを返すということが、今はまだ難しいと思うが、将来的に可能になるかもしれない。そのための素材として積極的に保存していただきたい。短答式だったらおそらく可能だと思う。解答が長くなってくると、非常に技術発展の余地があるところなので、極力お願いしたい。
【委員】
CBTの問題が、PBTの問題と基本的な問題作成上の違いがあるというお話があった。現在、CBTの問題を作るための別の動きがあるのだとは思うが、作っている人たちはおそらくPBT、紙で問題を作ってきた人たちが中心だと思う。その人たちがCBTの問題を作るときに、どういう点について留意すべきかについての情報提供を早めにお願いしたい。また、全国学力調査が始まってもう20年近くたっているわけだが、結果として課題になっているところは、いろんなところで重なってきている。けれども、最終的に、全国学力調査が実際の授業をどのように変えていくのかという点についてはまだまだ弱いのではないかと思う。MEXCBT等を使い、そうした改善が進むような手だてをこれから考えていっていただければ。
【事務局】
CBTとPBTでもちろん違いもあるが、根幹としては、学習指導要領で育成を目指すこととされている資質・能力を測るという点において、その出発の部分は基本的には一緒であり、調査の目的上同じ方向性かと思う。その点で、さらにCBTの良さを活かせるような形での出題に転換していく部分がある。また、PBTで測ってきたものを、引き続き測りたいものがあるとして、それをCBTで測れるようにするための工夫も必要かもしれない。逆に、既に測りにくさがMEXCBTの機能上も現状明らかな部分については、一部紙を使うことも考えている。MEXCBTには自治体や学校の先生がCBTの問題を作って、オープンに搭載したものが増えてきている状況もあり、そのような取組が先行しているところもある。そういった問題作成といった部分の知の共有も、今後進めていかなければいけない課題と感じている。
【委員】
CBTは、教員にとっても、仕事の量・時間を非常に少なくして情報を把握できるので、プラスになるのではないか。さらに、過去の問題等の情報も、一つのタブレットから得られるということで、非常に良いのではないか。問題について、これから出てくるデジタル教科書の傾向も踏まえながら考案していただければよいのかなと考える。また、デジタルだけではなく、ハイブリッドという形でも教科書のデジタル化が進んでいると思う。そういったことについてもお考えいただきたい。最後に、IRTについては私学も含めてまだ教員の勉強不足が否めない。さらに情報をいただきながら勉強できればと思う。
【委員】
資料2‐1の19ページに、経年変化分析調査の将来像についての記載がある。19ページの最後の行を見ると、経年変化分析調査の目的に即した改善の検討を進めていくという表現があるが、ややこの辺りは具体性が欠けているように思われる。この会議でも将来的な検討課題は既に何度か御発言をいただいているところであり、例えば経年変化分析調査に理科を加えることなどは政策課題にも適っていることかと思う。国全体の水準と格差の経年的な把握に加えて、個人の変化も把握可能な調査の設計はどうあるべきか、といったことも同様。この2点、すぐに実現はできないかとも思うが、少なくとも検討を始めるぐらいのことは書けたのではないかと思うが、この辺りはいかがか。
【事務局】
確かに経年変化分析調査に関しては、現状、英語の実施を決めて、その後、理科の追加に関しては具体化されずにここまで来ている状況である。この参考資料2でも記載があるが、私どもとしても課題として認識している一方で、問題の作成等の準備といった部分もある。なかなか難しさもあるが、引き続き検討をしていきたい。現状、悉皆調査の理科と保護者に対する調査を掛け合わせた分析ができないという限界も生じている。そのため、例えば実施のサイクルとして、経年、英語、理科という3年サイクルでやっているところを掛け合わせた分析ができるように改めるような扱いもアイデアとしてはあるかもしれない。引き続き改善を検討していきたい。また、パネル調査、個人の追跡・把握といった部分は、令和7年度調査、令和7年度の会議の中でも複数、委員の皆様から御指摘いただいた。地方学力調査との連携といった部分とも併せて、来年度以降具体的にどのようなことが考えられるか研究していければと思う。
【事務局】
本日欠席の委員から、3点意見をいただいた。1点目として、抽出の経年変化分析調査に関して、とりわけ結果分析には、時間的余裕を活かしてきめ細かに分析をしてほしい。さらに、その経年変化分析調査の中に、基礎的な基盤となる事項を厳選して入れ、かつ問題の解決に必要な素養(アトリビュート)、問題の構造といった部分の分析もできるようにしたらどうか。現状は問題の概要、内容・領域・観点ぐらいの情報しかおそらくない部分について、もう少し分析軸を増やせないかという御提案かと思う。
2点目、CBTに関して、とりわけ質の高い問題に接する学習の機会を、全ての児童生徒に保障していくことが大変重要。
3点目、地方学調との関係という点に関して、例えば地方の独自の学力調査の問題の中に、過去の全国学力・学習状況調査の問題、CBTの問題などをそのまま利用できるような提供ができないか、そのような仕組みや利用促進も考えていってはどうか。
・資料3に基づき、事務局から説明があった。