令和8年6月22日(月曜日)10時~11時
対面・Web会議の併用
1.報告書(案)について
2.その他
【佐藤座長】
皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議、第13回になりますけれども、開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、議題1として、報告書(案)について議論を深めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、前回、報告書案についての議論を行って、委員の方々から御意見をいただきましたので、それを踏まえて、事務局において修正をしていただきました。このことについて、事務局のほうから説明をお願いします。
【片桐調査官】
それでは、報告書案について説明をさせていただきます。資料を御覧ください。
前回5月25日に行われた第12回の会議において委員の皆様からいただきました御意見を踏まえ、修正や加筆等をしましたので、その主な内容を説明させていただきます。
まず、全体としまして、日本語指導が必要な児童生徒数などの人数等は、5月に公表しました令和7年度受入状況調査や令和7年度就学状況調査等の数字にしております。
まず、4ページ、基本的な考え方の(1)の3つ目の丸に、子供たちの支援に当たり「長所・強み」に着目することが書かれており、追記や修正をした部分を赤字にしていますが、特に外国人児童生徒等が有する多言語・多文化の経験や背景も強みとして捉えて生かしていくことや、在籍学級における外国人児童生徒等に効果的な指導は全ての子供にとっても有効であり、学校における多様性の包摂を進めるという視点を持つことは重要であることを追記しました。
5ページ、(4)、広域的な取組については、都道府県教育委員会がハブとなって取り組んでいただきたいこととして、研修の実施や専門人材の市町村への派遣などを追記しました。
6ページの一番下、幼児教育施設等における取組については、幼児の発達を踏まえた安心できる環境は、ほかの幼児にとっても言葉を豊かに育むことにつながることや、7ページ、小学校へ引き継ぐ情報として、言葉の発達状況などの例示や、小学校においては、引き継がれた情報に過度にとらわれるのではなく、子供の様子の観察が必要であることなどを追記しました。
11ページの一番下、初期日本語指導については、入学後も在籍学級や「特別の教育課程」と連携しながら継続的な実施が必要であることや、12ページ、個別の指導計画については、本人や保護者の希望等の記載、計画を作成するまでの関係者間の検討のプロセスが重要であることなどを追記しました。
15ページ、指導体制については、日本語指導の専門性を有する者が限られていたり、教師等の異動によりノウハウが引き継がれず持続的な校内体制が構築されないという課題があることや、17ページ、日本語指導補助者や登録日本語教員を活用する際の留意点などを追記しました。
20ページ、教師等の指導力の向上については、教員養成において多くの大学が外国人児童生徒等教育について取り組まれるよう、カリキュラムの考え方などの例示や教員の確保・配置が必要であることや、24ページ、進学・就職については、キャリア教育は小学校から高校まで、いずれの学校段階においても重要で、地域の団体等と協働して進めることが望まれることなどを追記しました。
以上、皆様からいただいた御意見を反映させていただいておりますので、御確認いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤座長】
どうもありがとうございました。前回の会議、それからメールで皆様からいただいた御意見、可能な限り入れていただいていると思いますけれども、基本的には、この報告書案をこれで進めていけたらと思っています。
それでは、今回最後ですので、名簿の順に従いまして、お一人ずつ御発言いただければと思います。
時間が限られておりますので、お一人3分以内でお願いします。
名簿順でお願いします。オチャンテ委員からお願いします。
【オチャンテ委員】
資料をまとめてくださってありがとうございます。これが最後ということで、まず、文科省の皆様において、本当に子供たち一人一人を取りこぼさないように、日々様々なことを考えながら取り組んでいるんだなって、すごく今回改めて感じましたことで感謝しています。
また、委員の皆様と御一緒にできたことも大変ありがたく思っています。皆さんが本当に子供たちのことを考えて、それぞれのお立場から熱意を持って発言しているんだなと私自身もすごく刺激受けました。本当にありがとうございます。
今回の資料読ませていただいたんですけど、ちょっとここ読んでいくと、自分自身の過去とかも思い出しながら読んでいるんですけど、本当にこの外国にルーツのある子供たち、私自身もそうでしたが、自分の意思で、まず来日しているわけではないですし、日本に進み続けるかどうかも自分で決めているわけではないんですね。当たり前なんですけど。私自身も16歳で来日するときに、当時もし両親から3年後に帰国しますよって言われていれば、そのまま従っていたと思いますし、将来を考える余裕も全くなかったんです、当時は。今年はもう来日して30年になるんですけど、当時の自分には30年後、30年間日本に住んでいくということも、言われれば、きっと信じられなかったと思います。
そうですね。私は、兄もそうなんですけど、私は15、兄は16で、学齢期を超えて来日したんですけど、やっぱり高校で教育、日本語を学習する機会をいただいたことで、その後の進路につなげることができたと思います。今の自分があるというのは、やはり高校のときに、本当にいろんな先生に日本語の指導も受けたし、進路、キャリアについても一緒に考えてくださった先生がいたから今の自分がいると私は思っています。
今はきっと私と同じような、また兄と同じような学齢期を超えて来日する子供たちはやっぱり増えています。ダイレクトで来たりする子供たちも増えています。どの地域にいても、この学ぶ機会が保障されること、どうしても今は残念ながら、本当に地域によって差がいまだにあるので、やはり、どこの地域にいても、その学ぶ機会は保障されること、そして日本語を身につけ、自分らしく自分の将来を切り開いていけるように、そういう支援はますます大切なのではないかなと感じました。
そして、やはり今、日本にいる子供たち、将来はどうなっていくのか、帰国するか定住の見込みがあるかどうかは、今、日本にいる子供たちのことを考えて、日本で生まれ育っている子供たちもどんどん増えてきていますし、やっぱり自分たちの持っている強み。すごく、この報告書の中で強みという言葉は、強く私が感じたんですけど、やっぱりその強みに気づき、その強みに自信を持って生きるための働きづくり、環境づくり、そしてその強みを日本の子供たちと共有し、お互いのそういった持っている強みを認め合えるような学校、学級づくり、そして社会になっていけたらなと思います。
今回の報告書の内容には、そのような環境づくりになるためのいろんな工夫もされているし、教員養成大学からの働きとかということも併せて書いてあったことと、そして日本語指導の先生たちの立場とか、母語支援のキャリアについてとかも取り込んでいったこと、本当にとても感謝しています。
この実際まとめられた内容を実践して、現場で、現場の先生にも見てもらえるような、現場の先生にも刺激になっていくんじゃないかなと思います。本当にこの報告書の内容を、そのような環境づくりになっていくのではないかなと思いました。私自身も続けて声上げていけたらなと思っています。
すみません。ちょっと感想になってしまったんですけど、こんな感じで、まず終わりたいと思います。ありがとうございました。以上です。
【佐藤座長】
オチャンテ委員、ありがとうございました。
では、続きまして小島委員、お願いします。
【小島委員】
まずは本会議の委員の皆様をはじめ、国際教育課など文部科学省の各関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
子供たち一人一人の持つ能力を十分に開花させて、そして自立へと向かえるような確かな力を養うため、私たちに一体何ができるのか。この間、会議の場だけではなくて、皆様に本当に多くの貴重なお時間を割いていただきまして、忌憚のない意見交換をさせていただき、その対応に応じていただきましたこと、これまでの真摯な御議論の場をつくってくださったことに心から感謝を申し上げます。
そうした時間を共にさせていただいたからこそ、子供たちの多文化・多言語の背景というのを強みとして捉えて子供たちの可能性を引き出していこうという方向性を皆様と共有できたことというのは非常に大きな一歩であったと確信しております。
私個人としましては、子供たちの年齢相当の資質・能力を育むために、その強みを生かして、どの段階の子供に、どう指導していくのかという、その視点の重要性について、個別最適な学びに向けて今後さらに強く打ち出していく必要があるのではないかと感じております。
子供の発達段階と日本語レベルに応じてどのような指導が必要かを具体的に提示していく、そのための重要な一歩として、現在実施されています日本語指導が必要な児童生徒等の受入状況に関する調査につきましても、難しいとは思いますけれども、この名称自体も見直されることと、そして、その調査項目も、子供たちの多文化・多言語の背景を強みとして捉えることができるような内容に刷新されることを切に願います。
一方で、今回の報告書の中で、就学促進の観点においては、心残りな点もございます。最新の文部科学省の調査で、依然として、就学以外である、不就学状態の子供たちが全体の8%以上、つまり約12人に1人でしょうか、そうした子供たちがいるということ、また、自治体が実際に確認できた不就学の数というのも増加しているという厳しい現実があることです。今回、この課題の解決について十分に踏み込めなかったことは非常に残念でした。
外国人学校と、現在の文部科学省の調査では書かれていますけども、この学校に就学する子供たちが増加しているという実態もこれまでの調査で分かったところでございますので、今後の施策にさらに前進することを強く祈念いたします。
加えて、前回の会議で申し上げました、進学や就職に向けたきめ細かい支援を促進していくために、子供の日本語の力を示す指標をJLPTのみに限定するべきではないという点が、もう少し出せたらよかったのかなというふうに思っているところです。
現実問題として、小中学校の現場で、日本語指導が必要とされる子供たちの指導においてすら、将来の進路やキャリアを意識するあまりに、JLPTのテキストを用いた試験対策のような指導が行われているケースも、やっぱり実際、珍しくはありません。学校教育に即した指標が確立されることは、学習指導要領が求める資質・能力を育む本来の教育を学校現場で実践することに直結いたします。
今回の報告書で重要なメッセージであります子供たちの多文化・多言語の背景を強みとして捉える、この可能性を引き出していくための教育を現場でしっかり実現できるためにも、発達段階に応じた子供たちの日本語の力が社会で適切に評価されるよう、JLPTに代わる指標というものが、明確な指標というものが国から早急に提示されることを心から願います。
そして同時に、子供たちの多文化・多言語の背景を強みとして捉える取組というものが今後あらゆる場面で広がっていくこと、そして、それらの理解が全ての子供たちの学びを豊かにしていくんだという、そんな理解が、学校だけでなくて社会でも当たり前な日常になっていくことを心から願っております。
この会議に参加させていただきましたことに感謝申し上げます。以上でございます。ありがとうございました。
【佐藤座長】
小島委員、ありがとうございました。
齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】
よろしくお願いいたします。前置きはなしで、しゃべりたいと思います。
私からは、どうしてもこういう会議では、現状の問題点というのが先に挙げられて、その解決ということに議論が及ぶわけですが、それは当然必要なことですけれども、既にこれまでにも現場の先生方の取組の中には、今回議論した報告書の向かう方向に沿ったような教育というのは実践されているということで、簡単に2つほど紹介させていただきたいなと思っています。
一つは、日系の子供たちがたくさん住む地域での中学校での取組ですけれども、子供たちが自分の地域に住むエスニック・コミュニティの現状について知らないので、その地域にいる日系の方々の人数を調べたり、またハローワークさんにお願いして、その方々がどういうところに就職しているのか調べたり、また、その就職先がなぜそこに限定されてしまっているのかを議論するなどを通して、生徒さんたちが自分が何を目指し、それを実現するためにはどういうことを学んでいく必要があるのか、また自分自身は、家族の歴史としてどういう歴史の中に位置づけられて今私があるのかという自己認識を形成するような学習を、日本語の指導として、日本語の力をつける試みとともに行われていました。それはもう既に15年ぐらい前の取組です。
また最近ですけれども、ある小学校の人権教育の取組で、アイヌについて学校全体で学ぶ取組を行っているところがあるんですが、そこで日本語の学習で、外国人の生徒さん方を少人数で取り出して、同じようにアイヌの文化について学んだり、言葉について学ぶという活動されていました。
ここでは子供たちが、日本にも日本語、日本文化以外、アイヌの文化があったり、多様性というのを包摂した──包摂という、またちょっと難しいかもしれません。多様性というのはあり、それを維持、尊重するという動きもあるんだということを、自分のこととしてではないにしても、日本において自分が暮らすというときのある種、自分を受け入れてくれる素地があるということを感じられるような教育だったのではないかというふうに思っています。それもまた言葉の教育と結び合わせて行われていました。
私としては、最後に一つ、ぜひ皆さんと今後も一緒に議論していきたい点としては、どうしても外国人児童生徒等教育といったときに、日本語指導が別のものというような扱われ方をされがちです。ですけれども、今回の報告書にあるように、日本語教育あるいは日本語指導というのは、全人的な子供たちの教育を後押しするような内容、活動として行われるものであり、自己実現、自律性の涵養、そして市民として彼らにこの社会で、日本とは限らないかもしれませんが、社会で自律的に学び続けられるような力を持ち、そしてその声を外に伝えていけるような力としての言葉を高める、そういった教育なんだという位置づけで、外国人児童生徒等教育の中にしっかりと位置づけた形で一体化、一体的に実施できるような、そういった提案というものを今後も皆さんと議論できればと思っています。
ありがとうございました。
【佐藤座長】
齋藤委員、ありがとうございました。
佐古委員、お願いします。
【佐古委員】
佐古です。私は日本語指導専門とするわけではなくて、教員養成大学にいる人間でございますので、この会議に出席いたしまして、高い専門性をお持ちの委員の皆さんの御報告であるとかディスカッションから、とても学ぶことは多かったと思っています。
そしてまた、この報告書、読ませていただきますと、外国人児童生徒等の教育の充実、特にその中核をなす日本語指導について、課題と支援のあり方を幅広く丁寧に整理されたというふうに受け止めております。ありがとうございました。
一方では、これを読みますと、今後外国人児童生徒等の教育を充実させていくためには、いかに多くの課題があるかということもよくわかるように感じております。課題の解決に向けた構造的あるいは戦略的な施策の展開が必要だと思っています。
中でもやはり私の立場から言いますと、学校教育において日本語指導を行い得る教師人材の絶対的な不足というのがあるかと思っています。これは今後かなり切迫したことになるように考えておりまして、そのような観点から、具体的に日本語指導の可能な、あるいは日本語指導の基礎を修得した教員の養成については、もう少し踏み込んだ施策を、これから展開されるべきだろうと思います。
1点目は、日本語指導に関する基礎的能力を有する教師を今後どの程度──どの程度というのは数の問題ですね──数量的に養成しなければならないのか。可能であれば、そのような数値目標も出しながら、大学の教員養成を方向づけるということがあってもいいのではないかと思います。
2点目は、これは報告書の中にも触れられているんですが、教員養成課程における日本語指導に関するカリキュラムについて、モデルやガイドラインをやはり示していただければ、教員養成大学とすれば非常にありがたいと思います。
これには2つのレベルがあって、一つは、今、教員養成部会で議論されていますように、全ての教員の共通部分として、日本語指導に関しては何を学生が身に付けるべきかということについてのカリキュラムであるとか、ガイドラインが求められると思います。もう一つは、教師としての強みや得意分野に関する部分として、どのような内容を修得すべきかについてのモデルやガイドラインが求められると思います。このように、教員養成に関する明確な施策が提示されることを期待しています。
3点目は、これも議論の中に出てまいりましたが、実際の教員採用の時点で、日本語指導ができるということについて何らかの考慮といいますか、そういう者を重点的に採用するように方向づけていただければ、学生の履修も進むと思います。
4点目は、これも教員養成部会の検討事項と関連するんですが、現在、教員免許を持っていないけれども、特定分野の専門性を有する社会人を一定の教職に関する教育を受けることによって教師として登用するというルートの検討がなされておりますので、このようなことも活用して、日本語指導可能な人材を、教師としての教育を受けた上で、学校で働けるようにすることについても今後、積極的には検討すべきでないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【佐藤座長】
佐古委員、ありがとうございました。
高階委員、お願いします。
【高階委員】
高階です。まず、ここまで報告書をまとめていただきましてありがとうございました。
学校現場の校長という立場で考えますと、どうしても外国につながりのある生徒たちが入学してくると、「どうやって授業をすればいいのか」「連絡事項をどうやって伝えれば良いのか」「保護者懇談をどうしよう」「成績評価はどうすれば良いか」とどうしてもネガティブな感情が生まれてくるかなと思います。それは仕方ないことかなと思う一方で、少し角度を変えてみると、外国人教育を推進することができるチャンスですし、多様な価値観、文化、言語に触れることで、子供たちの考え方の幅を広げることができるチャンスというふうに捉えることもできるかなと思います。
また、教員にとっても、言語に頼らずにどうやってこの教科の概念を教えたらいいんだろうということで、先生方がそうやって悩むことで、全ての生徒にとって分かりやすい、ユニバーサルのデザインの授業が推進されるのかなと思います。
この報告書の案でも書いてありますように、学校における多様性の包摂を進めるという、そういったポジティブな視点で教育を進めることが大事ではないかなと思います。
私自身、自分に言い聞かせている部分もありますが、とにかく、これをチャンス、ポジティブに捉えて、これからも邁進していこうと思っています。
なので、極端な言い方になるかもしれませんが、ある意味、日本の教育を次のステージに引き上げることができるチャンスなのかなと思っておりますので、これからも前向きに頑張っていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
【佐藤座長】
高階委員、ありがとうございました。
徳永委員、お願いします。
【徳永委員】
報告書の取りまとめ、ありがとうございます。本当に丁寧に作っていただいて感謝しております。また、様々な委員の方々と対話をすることで、私自身も多くを学ばせていただきました。
改めてこの報告書を拝読して、思ったことを幾つか共有させていただきます。
今回の報告書の重要なコンセプトの一つとして、子供の持つ強みに着目して力を発揮できるようにするエンパワーメントの視点というのがあると思います。
話題提供のときにも話をさせていただきましたけれども、外国につながる子供に問題があると見るのではなくて、多くのポテンシャルを持っていること、その視点の転換が非常に重要だということ、一人一人多様な背景や経験を持つ子供がどのような強みを持っているのかとか、どうそれを伸ばしていけるのかとか、彼らの強みが発揮できるように、どう学校やその環境を改善することができるのかなど、関わる先生方や支援者、そして学校、教育委員会などが、この点について考えて真摯に取り組んでいくということが非常に重要なのではないかと思っています。
そういったときに、この実現に向けて、この強みを生かすという視点がどこまで現場に伝わるのかというのが少し懸念点でもあるので、分かりやすく、この視点が何を意味しているのかとか、もう少しかみ砕いて伝えていく工夫を今後していく必要があると思っています。
もう一点は、基本的な考え方にも強調されていると思いますけれども、この報告書は外国人児童生徒のみを対象としたものではなく、全ての子供の教育の充実化を目指しているというところが非常に重要だと思っています。
学校全体として多様性を尊重して、外国人児童生徒等に限らず、誰もが安心して参加しやすい学習環境を形成していく視点が重要であると書かれていますし、この報告書全体、様々なところで、全ての子供にとって重要だということがちりばめられているように思いますので、必ずしも外国人児童生徒を担当しない先生方や支援者や学校にとっても参考になる非常に重要な報告書であることが伝わるように、工夫が必要だと思っています。
この今の2点と関連して、どのようにこの報告書を周知していくのか、伝えていくのかということの工夫、形式的なことかもしれませんが、報告書ができて終わりではなくて、それをどのようにアクセス可能なものにしていくのかというところを次のステップとして考えていく必要があると思います。
しっかり読み込まないと理解できない状況にあると思いますので、例えば動画やパンフレットとか、ウェブサイトだったりとか、ポイントを分かりやすく伝えていくことを期待します。また、この報告書のオーディエンスとして様々なステークホルダーがあると思っていまして、教育委員会だったり、学校だったり、支援団体だったり、大学だったり、企業だったりというところで、もしかしたらステークホルダーに分けて整理していくということも伝わりやすさにつながるかもしれません。
最後に今後への期待ですけれども、最後の報告書のところでキャリア支援について丁寧に記載していただいています。長期的な視点から、こういった子供たちの進学とか就職、その後の人生を支えるキャリア支援が今求められていると思います。全体的に見ると、それを実現するための資源とか情報が不十分な中で、今後、国や自治体が予算をしっかりつけてサポートしていくという、その仕組みづくりを非常に期待しています。私自身も大学の教員として、大学や専門学校に進学する外国につながる若者たちが増えていく中で、特別枠を高等教育の中でつくっていくとか、入学後も様々な障壁があるので、卒業できるように、大学の中の支援体制もつくっていくなど、高等教育の支援体制を厚くしていくことも今後もっと取り組んでいく必要があると改めて思いました。
以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
徳永委員、ありがとうございます。
野口委員、お願いします。
【野口委員】
改めて取りまとめをいただいた事務局の皆様に感謝したいと思います。ありがとうございました。また委員の皆様のご意見から学ばせていただきました。
私は次期学習指導要領改訂に向けて、教育課程企画特別部会、先日取りまとめ案が出た特異な才能のある子供に関わる特別な教育課程のワーキンググループ、特別支援教育のワーキンググループでも委員をやっておりまして、次期学習指導要領の柱の一つに多様性の包摂が掲げられたということもあり、本会議においても、ほかの会議と共通する部分がたくさんありました。
既存の学校に何かをプラスアルファで付け足すというよりも、土台そのものを多様な子供がいることを踏まえて見直していくことの大切さというのを、この会議においてもたくさん発言させていただきました。
特に困難さの要因が子供にあると考えるのではなくて、環境そのものが多様性を前提に設計されていないがゆえに困難さが生じているという社会モデルの視点について、これまでかなりたくさん意見をしてきたかと思います。
本会議においてよかったなと思う点は、個人モデル的に子供の困難さの要因を子供のみにおいて、例えば学びの場を最初から完全に分けて、子供が日本語や日本に適応してから通常の学級でほかの子たちと学ぶということではなくて、最初から通常の学級に包摂されているということを前提としている、そういったことを皆さんと前提として共有できたことが非常によかったなと思います。
また、本取りまとめにおいても、子供たちの差異を弱みや欠陥として捉えるのではなくて、むしろ強みに着目をしてエンパワーメントされることの大切さ、また通常の学級そのものにおける多様性の包摂を高めていくことの重要性も指摘されている点も改めて評価したいと思います。
また、日本語指導が必要であって、さらに発達障害があったり、不登校状態にあったりなど、複合的なニーズがあることを踏まえていくということも、皆さんと共有できたかと思います。
具体的な施策としては、今、仮称で2階シートと呼ばれているものを、より包括的に作成していくという点と、在籍学級との学びと、ひもづけていくという観点も方向性について示されたことも、すばらしいと思います。
最後に私自身、中高とアメリカで過ごして、自分自身が外国人児童生徒であったということを踏まえて、当時のことを本会議を通じて思い出しました。これまでは、蓋をしていた部分がありましたが、周りから差別されないように、下に見られないように一生懸命、同化しようとしていた自分の存在をすごく思い出しました。
いろんな制度が整っていく中で、もちろん専門性などもすごく重要だと思う一方で、日本にいる子供たちが自分らしさを捨てて日本人に同化しなければならないとか、自分は日本人じゃないから駄目だとか、やっぱりまずはそういうふうに思わなくていいような、専門性以前に、そういう関わりが当たり前にされるような、そういう学校を増やしていきたいと改めて思います。
このような理念を、子供たちもそうですし、学校現場の先生たち、保護者など様々な人たちに伝わるよう私自身も今後、尽力していきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
野口委員、ありがとうございました。
バトラー委員、お願いします。
【バトラー委員】
まず、このすばらしい報告書をまとめて下さって本当に感謝いたします。この13回にわたって非常に実りある、いろんな意見交換ができたのではないかと思っています。
委員の方々が今までにおっしゃったこととかぶるところがたくさんあるんですけれども、私はこの13回にわたる会議を振り返ってみて、言語教育というのは長期戦なんだなということを改めて痛感しました。
やはり長い目で見た組織的、計画的、そして継続性のある支援というのが非常に重要であるということです。特に今回の報告書の中で、外国につながる児童生徒に有効な指導というのが全ての子供たちにとっても有効なんだということが記載されたことは、大きな一歩なんじゃないかなというふうに思っています。
他の議員もおっしゃられていたことですが、今後は、いかに先生方にそうしたことを周知して理解していただくか、研修の場や、それから実践の場で、いかに広めていくのか、具体的にどういうふうに広めていくのかというのが次の課題になるのかなと思います。
それから、最後に1つだけ。今回、報告書を読み返して思ったことなんですけれども、外国人児童生徒という言葉とか、外国につながる子供たちというような言葉の使い方に関することです。今後、この「外国」といフレームワークでこの子供たちをがんじがらめにしないような、もう少しインクルーシブな用語の使い方というのを検討していってもいいのではないかというふうに思いました。
何年いてもあなたは外国人ですよというような形ではなく、あなたたちも日本社会の重要な一員なんですよといったような、もう少しインクルーシブなメッセージが送れるような、そういう社会になっていければいいなというふうに思いました。
以上です。
【佐藤座長】
バトラー委員、ありがとうございます。
浜田委員、お願いします。
【浜田委員】
失礼いたします。浜田でございます。本当に今回第13回というこの数字に改めて驚いております。委員の先生方、これまでおっしゃったように、これまでこの会議を支えてくださいました事務局の皆様、そして取りまとめに御尽力くださった皆様に本当に感謝をしたいと思います。
特に今回、基本的な考え方として、全ての子供の教育保障が社会統合の基盤であるということ、そしてそのために国が今よりさらに主導的な役割を果たしていくということが確認されたということが非常に大きいのではないかなというふうに感じております。
また、この社会統合の基盤となるというのは、日本のどこに住んでいても、それは共通のことですので、それを実現するために、特に散在地域での課題に対応するために都道府県が広域的な取組で支えるといったようなことも、具体的に示されたということは非常に大きいことではないかなというふうに感じております。
それを踏まえまして、何点か感想を述べさせていただきます。
先ほども野口委員のほうからもありましたように、今回1階、2階ということで整理をしていただいていますけれども、その2階シートというふうな具体的な御提案もある中で、やはり先ほど野口委員のコメントにもありましたように、2階での指導が充実するということは当然大事なことですけれども、1階での指導がどのような形になるかということが非常に重要ではないかというふうに思っています。
結局、サラマンカ声明などでもありますけれども、社会がどのような形になるかということは、やはりその学校全体の中で、公立の学校の中でどのような形で子供たちが包摂していくかということが非常に大きく関わってくるのではないかなというふうに考えております。
そういう意味で、今回も日本語指導は日本語指導担当だけがやるものではないということを書いてくださっていたんですけれども、この多様性の包摂という理念の下で、通常での学級での授業や活動がどのようなものになっていくかということについて、これまで多くの委員の先生方も触れておられましたけれども、それをやはり現場に浸透させるということが非常に重要ではないかなというふうに思っております。
そして、理念としてそういったものが共有されるということは当然大事なんですけれども、具体的に、では、その包摂された学習活動というのはどういうものなのかとか、あるいはそれを実現するために教員にどのような資質・能力──技術ということも含めてですけれども──が必要なのかということをもっと議論して、きちんと制度として整えていくということが大事ではないかなというふうに思っております。
現在、免許法の改正の議論も行われておりますけれども、それも含めまして、それから現職教員の在り方ということも含めまして、今後さらに議論が深まっていくということを期待しております。
高階委員からもございましたけれども、これは日本の教育全体をグレードアップする、バージョンアップする大きなチャンスですので、ぜひ今後の取組を期待したいと考えております。
それから2点目ですけれども、もう少し短期的な現状の改革案といたしまして、今回、指導体制のモデルを示すこと、そして人材育成にも関わってきますけれども、日本語指導のガイドラインを作成するという、これも具体的なことが挙げられているということ、非常に大きかったかなというふうに思います。
先ほど佐古委員からも、一体、日本語指導者何人必要なのかというふうな問題提起がございましたけれども、結局どのような指導体制がモデルとして掲げられるのかということがないと、それも多分、計算難しいかなということですので、そういった観点でも、ぜひモデルを提示していただきたいというふうに思いますし、それからガイドラインにつきましても、できるだけ具体的に、初めて担当になった人がそれを見て授業ができるようにというようなところでまとめていただければというふうに思います。
最終的には日本語指導といったようなものが免許状と結びつくような形できちんと位置づけられることが望ましいとは思いますけれども、本当に目の前の子供たちは、もう待ったなしの状況ですので、その状況を救うためのものとしてガイドライン、あるいは今回も含められております登録日本語教員の活用も含めました、もう本当にあしたから教えられる人をどう確保していくかということについても、ぜひ実現に向けて、引き続き御助力をいただければというふうに思っております。
また、このモデルやガイドラインの策定に当たりましては、関連分野の専門家がきちんと関わるような形で、これまでの研究や実践の蓄積がきちんとこういったものに反映されるようにということを強く期待しております。
そして最後ですけれども、これも言わずもがなですけれども、こういった体制あるいは施策をバックアップするための財源の確保について、引き続き皆様の御努力をよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
浜田委員、ありがとうございます。
次は横溝委員お願いします。
【横溝委員】
皆様と一緒になりますが、報告書の取りまとめ、それから今まで一緒に議論させていただいた委員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
本報告書の示された内容が広く共有されて、今後の外国人児童生徒等教育の充実につながることを期待しています。
ただ、一方で、この分野における自治体の取組には人的、財政的な限界があることも事実ですので、ぜひ今後も、文部科学省中心に、具体的な情報提供や実証事業などを通して自治体の取組を後押ししていただくことを非常に期待しております。
指導主事として勤務しており、各自治体から質問の多いプレクラスと教育研修の日程について、今後の期待も込めて、お話をさせていただきます。
5月末にプレクラス設置に関する報道があって、本市にもプレクラスに関する問合せが非常に多く寄せられています。視察に来られた方々のお話を聞くと、初期の日本語指導や学校生活への適応を担う仕組みとして、大変参考になるという評価をいただいています。
一方で、必要性は理解できるが、自分たちの自治体だけで設置・運営することは非常に難しいというふうにも聞いております。特に小規模な自治体においては、人材確保や予算面の課題が大きいと感じております。現状は市町村が主体となってプレクラスを設置しておりますが、今後は都道府県が主体となるようなプレクラスのモデル事業についても検討していく必要があるのではないかと思っています。
その際、広域のオンラインによる実施も有効的な選択肢になると思いますが、単なるオンデマンド型ではなく、子供と先生が対面に近い形で、双方向に関わりながら学べる仕組みも非常に重要だと考えております。
子供たちがあしたも参加したいなと思えるような学びを実現するために、指導の確保だったり、カリキュラムだったり、1日の指導時間だったり、多くの検討が必要になると思います。
横浜市においても、現在の取組が完成形とは考えておりませんので、今後、モデル授業等もぜひ一緒に参加させていただきながら、よりよいプレクラスの在り方について共に検討できればと考えております。
それから2点目の教員研修についても、外国につながる児童生徒への指導・支援は、一部の教員という課題だけではなく、全ての教員が身につけるべき専門性になりつつあると思っております。特に教員の経験年数に応じた研修等が今後、より必要になってくるのではないかなと思っております。
先日、横浜市で、特別支援教育コーディネーターを対象とした、本分野に関わる研修を行いました。この研修では受講後に、自校の実態に照らして校内へ発信することまでが研修の一環として課題とされております。
提出された資料を拝見すると、学校の課題や強みを的確に捉えたものが多く、研修が学校改善につながる可能性を非常に強く感じております。
研修そのものも重要ですが、受講者が自校の課題と結びつけながら主体的に学べるような研修というのが今後も必要ではないかなというふうに感じました。
今後、文部科学省の皆さんの力をお借りしながら、現場と共にまた前進していけたらと思っております。
以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
横溝委員、ありがとうございました。
それでは、最後に吉田委員、お願いします。
【吉田委員】
よろしくお願いいたします。有識者会議の皆様、そして文部科学省の事務局の皆様、このように報告書をまとめていただきまして誠にありがとうございました。
子供が日本のどの地域に来ても、自分の持っている強みを認められながら持っている可能性を開花させることができる、そういう教育が受けられるようにするのだという考え方が、報告書の大きな柱になっていることが、まずとても大切だと思いますし、そこに対する国の責任に言及している点も、とても重要であると考えております。
また、私は、会議を通して、散在地域について発言させていただくことが多かったのですけれども、報告書では、散在地域の困難についてもかなり言及され、それに対して、広域的な取組の必要性ということを明確に示していただいたことも重要だと考えています。
散在地域は、実は人口減少地域でもあり、地域的に重なりが大きいと言えます。現在、この散在地域になかなか教育支援が届いていないのですけれども、実は、人口減少が進む地方こそ、今後の地域の在り方を考えたときに、多文化共生ということが重要なテーマになってくると考えます。だからこそ、子供たちの教育をどうするのかについて、そういった地域全体の視点からも考えていかれるべきだと思いますし、この報告書を基に全国の散在地域に充実した教育支援が広がっていくということを、今後、期待したいと思っています。
残念ながら、まだなかなか散在地域には基本的な情報も伝わっていないところもあると思っています。弘前大学は文部科学省委託事業でオンライン・アセスメントを開発させていただいたのですが、現在、県内から、新たにオンライン・アセスメントしたいという依頼が届くことも出てきています。そのこと自体はとても重要なことですが、残念なのは、高校2年生になってから依頼が来るというようなことも実際にあるということです。中学校で支援を受けていたことがあっても、その中学校での情報が高校にうまく接続していない。そのために、高校に受け入れてからしばらくしてから、先生方がお気づきになって、アセスメントしたいという御依頼が来るというようなことがあるわけですね。
やはり中学から高校というのは、学校の設置者が変わるということで、支援についての情報の流れがあまりうまくいっていないと感じます。これは多分、全国共通の部分もあるかと思うのですが、高校進学後、様々なものがうまく伝達されていくには、一つは、やはり高校入試の段階で特別枠や特別措置がきちんと実施されて、その過程で、中学校ではこういう支援を受けてきたので、こういう高校入試では配慮が必要です、入学後の支援が必要ですというように、そこが接続していくようなことがとても大事だなというふうに考えています。
個別の指導計画についてもかなり報告書に書かれたのですけれども、個別の指導計画、あまり詳しいことを書いていくと、作る側が大変になってしまうという問題もあります。ですので、以前の会議でも少し発言させていただきましたけれども、特別支援教育の個別の教育支援計画に当たるような、数年単位で活用される、支援に必要な基本的な情報が全てまとまった文書が一度きちんとつくられて、それが学校種を超えても引き継がれていくような、そういったことが子供の日本語教育にとどまらず、キャリア支援という点でも極めて重要になってくると考えています。
そして、今回の報告書では、プレクラスということが大きく取り上げられました。ここでもう一度、確認しておきたいのですが、この報告書が浸透していくときに注意しなければならないことがあるということです。プレクラスへの注目があるということはとても大切なことですし、横浜市の実践のようなすばらしい取組もあるわけですけれども、ここは野口委員や浜田委員がおっしゃったように、プレクラスと学校教育全体での教育活動の接続が強調されることが重要だと思います。実は報告書の中ではきちんと言及されてはいるのですけれども、伝わっていくときに、そこが落ちたままプレクラスの部分だけが強調されて伝わっていってしまうと非常に怖い面があると考えます。そこで、改めて、プレクラスは通常の学校の活動と連動し接続されてこそ意味があるのだということを、報告書の内容を広げていくときに重要な部分として伝えていくことが必要だと、最後にもう一度、強調させていただきたいと思っています。
そのためにも、バトラー委員がおっしゃったように、外国人児童生徒等という表現をやはり再検討することは必要なのではないかと、私も思っています。「ことばの力のものさし」を文部科学省で開発されて、そこでは「文化的言語的に多様な背景を持つ」という言葉が使われています。この言葉は子供たちの強みにも着目することになりますし、2階建て部分だけではない、在籍学級にいながら、その多様性が尊重されることの重要性についても同時に伝えることができる表現なのではないかと思っています。
ぜひそういったことも、今後、この報告書の精神を伝えるという意味で御検討いただけるといいのではないかと思います。
ここからは、この報告書に書かれたことをこれからどう広げていくのかという、次のフェーズに入っていくと感じています。
前回会議でも少しお話ししましたが、8月28日に、弘前大学に置かれている独立行政法人教職員支援機構の地域センターであるNITS弘前大学センター主催で、散在地域教育委員会会議を開催させていただこうと思って、現在、準備を進めております。散在地域の教育委員会の方々にも、この報告書に書かれていることを伝える一つの機会としてぜひ生かさせていただきたいと思います。また、今後も長い目で、この場に参画させていただいた委員の一人として、この報告書を広げていくお手伝いをさせていただければと思っております。
ありがとうございました。
【佐藤座長】
吉田委員、ありがとうございました。
それでは、最後に私からもお話をさせていただきます。
まず、1年3か月にわたって熱心に御議論いただいた委員の皆様、そしてヒアリングを通じて貴重な意見寄せていただいた関係者の皆様にもお礼申し上げます。
委員の皆さんの発言が大変活発で、座長である私は進行に徹する時間が多かったです。時に自分も委員として発言したいという思いもありましたけれども、それほど議論が活発だったということであって、座長としては大変ありがたかったです。
これまで12回にわたって、この教育の在り方について多角的な視点から議論を重ねてきました。私として大変よかったと思うことは、子供の捉え方の転換と、この教育の方向性を明確に示すことができた点です。子供たちを支援の対象としてだけ捉えるのではなく、これからの日本社会を支える一員として捉える、そしてその教育も子供の力や可能性を育んで生かしていくという方向性を示したということです。
子供一人一人の長所や強み、特に多言語や多文化に注目して、その力を引き出していくエンパワーメントの視点が、この報告書全体を貫く考え方になったと思っています。
外国人児童生徒等教育が、今日皆さんからいろいろ発言があったように、特定の子供たちのための教育だけではなくて、日本の教育全体の質の向上と包摂につながる取組として位置づけたということにも意義があると考えています。
外国人の子供たちにとって効果的な指導や支援としては、結果として全ての子供たちにとっての学びやすい学校づくりにつながる、つまり共生社会の統合を支える基盤であるということを示したということは、とてもよかったと思います。
その理念を実現していくために、これまで地域や学校の取組に委ねるということが多かったんですけれども、それを国がより主導的な役割を果たして、全国的な教育の水準を高めていくということを明確に打ち出したということもこの報告書の特徴になっています。
そして具体化に向けて今回初めて提言したのが、入学前の段階から支援を行うプレスクールと初期集中指導を行うプレクラスの充実と、それを全国的に展開をしていくということです。そして日本語指導については、単なる言語習得にとどまらずに、学校生活、教科の学習への参加を通して理解する力、表現する力、他者と協働して学ぶ力を育てるということを打ち出し、その実現のためにガイドラインの整備をすることも提案されています。このガイドライン、とても重要ですので、ぜひその内容について具体性を持って、より現場に即したものになることを願っています。
指導体制の充実に向けても、特別非常勤講師制度、登録日本語教員の活用、日本語指導補助者、母語支援員の配置の充実といった人材育成についても提起できました。そしてキャリア教育についても、日本語指導、学習支援、キャリア教育を一体的に推進するということをこの報告書に示したことは、とても重要な成果だと思っているところです。
ただ、この子供たちの増加と多様化は今後も続いていくことが当然予想されるわけです。ですから課題が解決されたわけではありませんので、本報告書が示したこの方向性を実効性のあるものにしていくためには、国が迅速に環境整備を進めるとともに、自治体、学校現場がそれぞれの実情に応じて取組を着実に進めていくことが必要です。
そのために人材の確保・育成であるとか、地域間格差の解消であるとか、この教育を学校教育全体の活動として定着させていくということが、今後の重要な課題と考えております。
そして、繰り返しになりますけど、この教育は言うまでもなく一部の子供の支援にとどまるものではなく、日本の教育と社会の未来を支える重要な取組です。この提言が具体的な施策につなげていくことと、皆さんから話がありましたように分かりやすく伝えていくことも課題だと思います。
最後になりますけれども、委員の皆さんそれぞれの立場から、引き続きこの教育に関わっていただいて、発展させていただくことを期待しています。
この会議を通じて築かれたつながりや議論の成果が、今後も教育現場、さらに地域や行政の取組の中で生かされて、新たな実践や政策へと発展していくことを願っています。
最後に、本会議支えていただいた事務局の皆さんにも、この場を借りて心より感謝申し上げます。会議の準備、運営、資料作成、関係者との調整、そして報告書の取りまとめに至るまで多大な御尽力いただきました。委員の皆さんから様々な意見や提案を出していただきましたけれども、真摯に丁寧に整理して、一つの報告書にまとめていただいたことに深く敬意を表したいと思います。
最後に改めまして皆様の御尽力に感謝申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、限られた時間ですけれども、委員の皆様から御意見をいただきました。本日、またさらに御意見いただきましたけれども、この後の報告書の取りまとめについては座長に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局とも相談して最終的な報告書を取りまとめてまいりたいと思います。
報告書がまとまり次第、事務局から委員の皆様に共有させていただくとともに、公表させていただく予定でございます。
それでは、最後に、橋爪審議官より一言いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【橋爪審議官】
ありがとうございます。先ほど、佐藤座長からも温かいお言葉をいただきまして、本当に感謝申し上げます。
改めまして、有識者会議の委員の皆様、昨年4月4日の第1回会議以来、今日で13回目ということでございます。隣にある、これまでの会議資料だけでも、太いファイル1冊にまとまっておりまして、これまでの皆様方の様々な御意見、それからヒアリングさせていただいた様々な情報が詰まった、重要な宝物ではないかと感じております。お忙しいところ御協力いただきまして、本当にありがとうございます。
本会議の課題につきましては、その検討の間にも、様々に状況の変化もあったかと存じます。昨年11月には、新たに関係閣僚会議が設置され、今年の1月には、政府として「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」も取りまとめられております。
また同時に、現場の状況といたしましても、日本語指導が必要となる児童生徒の数が大幅に増加の傾向をたどっていることや、不就学の可能性のある子供たちの存在、また集住・散在の進行、母語の多様化など、様々な課題がございますが、今回御検討いただいた事項に関しては、まさにオンゴーイングで状況が変わっているような状況で、それがまた一部の地域や学校だけでなく、全国的な広がりを見せている、非常に重要な課題と我々も認識をしております。
委員の皆様からもございましたが、こうした多様なバックグラウンドを持つ児童生徒の存在というのを、しっかり強みとして捉えて、日本の教育に生かしていかないといけないということも、重要と認識しております。
今回の取りまとめでは、こういう状況の中で、これまでの延長線上だけでなく、新しい方策も含めて御議論いただき、この報告書の精神や具体的内容は、佐藤座長はじめ、委員の皆様から今までいただきましたので、改めて私から申し上げることはございませんが、総合的に、方向性の考え方、それから具体的な御提案、これらをバランスよくまとめていただいたのではないかと感謝しております。
これからは、この報告書の考え方をしっかりとお伝えするとともに、その内容を具体化して実践していくというフェーズに入っていくわけでございますが、先ほどもございましたように、日本全国様々な先行事例がございます。また状況も様々に異なっております。私どもといたしましても、地方自治体や学校の皆様、さらには関係省庁や関係者の皆様と意見交換をさせていただきながら、今回いただいた報告書を踏まえ、実施に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
引き続き、委員の皆様にもお力添えを賜りたく、お願いを申し上げますとともに、この1年3か月の御尽力に、改めて感謝申し上げまして、事務局代表いたしまして御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。また引き続きよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【佐藤座長】
橋爪審議官、どうもありがとうございました。
では、事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【片桐調査官】
皆様、本当にどうもありがとうございました。事務局からも委員の皆様の御協力に感謝申し上げます。これまで本当にどうもありがとうございました。
先ほど佐藤座長からございましたように、本日の御議論、御意見踏まえまして、座長と相談しまして、報告書の修正、確認を進めてまいります。
公表日につきましては、後日改めて連絡をさせていただければと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。それでは、皆様、これで最後になりますけれども、本日の会議はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
※(参考)会議終了後、当日会議を欠席の委員から御意見が提出されたため、以下のとおり掲載する。
【工藤委員】
本報告書案は、外国人児童生徒等の急増という現状を踏まえ、教育の質の確保と共生社会の実現に向けた重要な方向性を示しており、大いに意義あるものと受け止めております。
中学校現場の立場から、特に日本語指導等の充実に関して、以下の点に期待を申し上げます。
まず第一に、指導体制の抜本的な充実です。日本語指導が必要な生徒が増加する中、専門性を有する人材の不足や教員の負担増が大きな課題となっています。年度途中の転入や散在地域での対応の難しさもあり、個々の学校の努力だけでは限界があります。
今後、提案されているような指導体制の基本モデルの提示や、広域的な人材確保・配置の仕組みの整備を進め、学校が見通しを持って体制を構築できるよう支援されることを強く期待します。
第二に、全教員で支える日本語指導の実現です。現在、日本語指導は一部の担当者に依存しがちであり、担任や教科担当との連携が十分とは言えない状況があります。ガイドライン等により、どの教員でも実践可能な具体的指導方法を示し、学校全体で支える体制を構築できるようにしていただきたいと考えます。
第三に、初期支援と中学校教育との接続の強化です。来日直後の生徒に対する初期日本語指導は、その後の学校生活への適応や学習の基盤形成に極めて重要です。初期支援の全国展開に加え、中学校段階での継続的な指導や教科学習との連動が円滑に行われる仕組みづくりを期待します。
第四に、進路指導の充実です。中学校段階における進路選択は、その後の進学・就職に大きく影響しますが、日本語能力や制度理解の不足により適切な選択が難しいケースも見られます。多言語での情報提供や保護者への支援、早期からの系統的なキャリア教育の強化を求めます。
最後に、学校現場の負担軽減と持続可能な仕組みづくりについてです。外国人児童生徒等への対応は教育の質的向上に資する重要な取組である一方で、現場の過重負担につながる懸念があります。人的配置や外部人材の活用、関係機関との連携強化などを通じて、教育の質と持続可能性の両立を図っていただきたいと考えます。
中学校は、義務教育の仕上げとして、自立した社会の担い手を育てる重要な段階です。多様な背景を持つ生徒がともに学び合い、それぞれの強みを生かせる教育環境の整備が、共生社会の実現につながるものと確信しております。
今後、本報告書の提言が着実に実行されることを強く期待いたします。
【平田委員】
外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議の報告書案の取りまとめにあたり、委員の一人として申し上げます。
まず、現場の実態に寄り添った素晴らしい報告書案を作成いただきました、座長をはじめ事務局、委員の皆様に心より感謝申し上げます。本県が議論に参画できたことを大変光栄に存じます。
今回示された報告書案は、今後の方向性を明確に示すものであり、本県教育委員会として深く賛同し、高く評価いたします。特に、外国人児童生徒等の存在を単に「日本語能力の補充が必要な存在」とするのではなく、彼らが持つ多言語・多文化の背景を「強み」として生かしていくエンパワメントの視点は極めて重要です。こうした多様性を包摂する指導は、全ての子供たちの資質・能力を高めることにつながり、活力ある日本社会を築くための「基盤的投資」に他なりません。
また、学校現場だけの対応には限界があるという課題に正面から切り込まれた点も、大変意義深いものです。このことは、外国人児童生徒等教育を児童生徒個人や個別の学校の問題ではなく、社会モデルの課題として構造的に解決すべきという示唆であると受け止めております。この視点の転換を受け、私たち都道府県教育委員会の果たすべき役割の重さを改めて自覚いたしました。学校や市町村だけに任せるのではなく、都道府県が「ハブ」となり、受け入れ経験の少ない学校も含めた知見の提供、研修の実施、日本語指導補助者や母語支援員といった専門人材の確保・派遣、さらには関係機関との連携構築を主導していかねばなりません。本県としても、この広域自治体としての責務をしっかりと果たす決意です。
最後に、本報告書案を実効性のあるものとしていくためには、国による主導的な役割が不可欠であり、強い期待を寄せております。
具体的には、来日直後の初期支援となる「プレクラス」のモデルづくりや、初めて外国人児童生徒等教育に携わる教師でも一定水準以上の指導が可能となる具体的なガイドラインの速やかな提示をお願いいたします。また、全ての教師が多様性の理解や包摂の視点、日本語指導に関する基礎知識を学ぶことができるよう、教員養成や採用・研修の仕組みの抜本的な充実を、スピード感を持って進めていただきたいと存じます。
本県におきましても、本報告書を道標とし、誰一人取り残されることなく、地域社会の一員として共に生きる多文化共生・共創社会づくりのため、外国人児童生徒等が将来、多様性を活かしながら活躍できるよう、着実に取組を進めてまいります。
総合教育政策局国際教育課