令和8年5月25日(月曜日)13時~15時
対面・Web会議の併用
1.調査結果について
2.報告書(案)について
3.その他
【佐藤座長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議、第12回になりますけれども、開催いたします。
委員の皆様においては、御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
冒頭、事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。これは事務局のほうからお願いできますか。
【金城国際教育課長】
先生方、こんにちは。4月1日付で国際教育課長を拝命しました金城と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤座長】
それでは、早速、議題に入りたいと思います。
まず、議題1、調査結果について、事務局より報告をお願いいたします。
【金城国際教育課長】
それでは、私のほうから御説明させていただきますが、本日公表いたしました2つの調査につきまして、概要について説明いたします。
まず、画面に投影されています日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査につきましてでございます。調査結果本体は参考資料1にございますけれども、大部になりますので概要をベースに御説明いたします。
この調査は、上段に「調査の目的」と記載していますが、小中高の日本語指導が必要な児童生徒の在籍状況や日本語指導の状況等を把握するための調査で、2年に一度実施してございます。今回の調査から国立大学附属学校と私立学校も対象としていますけれども、過去の調査結果と比較するため、概要に記載した数字は公立のみとなってございます。
まず、【1】の在籍状況についてでございますが、令和7年度は外国籍、日本国籍の児童生徒の合計が8万4,759人と過去最高の人数となっております。また、前回調査と比べまして約1万5,000人の増加となってございます。また、その下の表には在籍人数別の学校数を示しておりますけれども、日本語指導が必要な児童生徒が1名以上在籍する学校は、前回調査よりも約1,500校増の1万2,668校となってございます。
次に、右側に移っていただきまして、【2】の日本語指導状況についてでございます。まず、日本語指導につきましては、約9割の児童生徒が何らかの指導を受けておりますけれども、受けられていないと回答のあった割合がやや増加して、約11%となってございます。受けられていない理由につきましては、教育委員会からの回答では、日本語指導補助者を増やした以上に対象の子供が増えている、専門性のある人材が確保できない、支援員配置への予算確保ができないといった理由が挙げられてございました。
また、その下の「特別の教育課程」による指導は、義務教育段階で約76%、高校段階で約15%となっております。高校は令和5年から制度化したため数値は低くなっておりますが、前回比で10ポイント増となってございます。
続きまして、左下にございます【3】の進路の状況でございます。中学生の高校等進学率は前回比微増の91.5%、高校生の大学等進学率は約5ポイント減の41.2%、高校生の中退率は約1ポイント減の6.4%となっております。大学進学率が減少した原因につきましては、今後分析が必要でございますが、大学等進学率の減少と合わせまして、非正規就職率が9.3ポイント増の49.6%となっております。将来自立した社会生活を営む上で課題であると考えております。生徒のみならず保護者向けの進路の情報提供や、令和7年度に作成したキャリア実践ガイドの周知などを今後行ってまいりたいと思っております。
続きまして、右下のほうですが、【4】の支援者の配置状況でございます。こちらは日本語指導の支援者、母語支援員、いずれも約1,000人ほど増加してございます。
最後に【5】のICTの活用状況ですが、活用していると回答のあった自治体が100自治体ほど増加してございます。
続きまして、2ページ目を御覧ください。この図は、集住と散在の状況を表したものでございます。日本語指導が必要な子供の在籍数について、左が100名以上の受入れ、右に行くに従って受入れ数の少ない自治体を表しておりますけれども、受入れの多い自治体と少ない自治体の双方が増えておりまして、全国で集住と散在が同時に進行している状況が見てとれるかと思います。
続きまして、3ページ目を御覧ください。こちらは都道府県別の在籍状況を表したものでございますけれども、愛知や神奈川、東京など、これまでの傾向と同様に、産業の集積する地域に多く在籍している状況でございます。
4ページ目を御覧ください。日本語指導の状況としまして、中国語やポルトガル語など具体な名称を記載した言語のほか、「その他」の言語の人数も増えておりまして、言語の多様化が進んでおります。
続きまして、外国人の子供の就学状況等調査について御説明いたします。こちらも調査結果本体は参考資料2にございますので、追って御確認いただけると思いますけれども、この概要資料に基づき説明いたします。この調査は、学齢相当の外国人の子供の就学状況の把握や教育委員会における就学促進の取組などを把握し、課題を整理し、教育委員会の取組のさらなる改善を促すために令和元年以降、毎年実施してございます。
表の下段の左側にあるように、学齢相当の外国人の子供の数は17万7,726人、また、義務教育諸学校への在籍数は15万人を超え、共に過去最多となっております。また、右のほうに移っていただきまして、グレーでハイライトしています丸3の「不就学」は、数・割合ともに前回調査よりも減少して911人、0.5%となっております。また、2つ右側の丸5の「就学状況把握できず」については、8,013名に増加しております。割合は微増の4.5%となっています。右側の一番端っこを見ていただきまして、丸3、丸5、丸7の合計である「不就学の可能性のある子供の数」は、9,153名と前回調査より約700人増加しております。文部科学省では令和2年に就学促進等のための指針を策定し、自治体の取組を支援してきたところでございますが、引き続き支援を強化したいと思っております。
説明は以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、今、新しい調査結果、2つ報告いただきましたけれども、何か今の説明について御質問などがありましたら挙手ボタンでお願いできればと思いますが、どうでしょうか。よろしいですか。調査結果ですので、今非常に増えてきているということが報告ありましたけれども、それではよろしいですね。
【オチャンテ委員】
すみません、オチャンテです。
【佐藤座長】
どうぞ。
【オチャンテ委員】
1つ、ちょっと教えていただきたいんですけど、就学の調査、今まで減少傾向だったんですけど、今回は就学の可能性の数字が増加したとなっているんですけど、こういう増加したと思われるような、予測されるようなものがあれば何か教えていただきたい。なぜ増加になったのか。それとも、もう少し詳しく調査してからこうなったのか。もし何か分かる点があれば、ちょっと教えていただければ幸いです。
以上です。
【佐藤座長】
課長、お願いします。
【金城国際教育課長】
ありがとうございます。今、ご質問があったのは、「就学状況が把握できず」という数字が増えているとのことですが、住民基本台帳に記載されています外国人の子供の数がそもそもぐっと増えているというのもあるんですけれども、ただ、この「就学状況が把握できず」の数字が大きいということについては、私どもとしても課題と考えておりまして、教育委員会でも就学案内の郵送をするとか、戸別訪問をするとか取組を続けていただいておりますけれども、継続的に調査をしているという自治体もあるというふうに聞いていまして、そういった自治体がさらに増えていくように私どもとしても支援を行っていきたいと思っております。
【オチャンテ委員】
ありがとうございました。
【佐藤座長】
よろしいですか。
【オチャンテ委員】
はい。
【佐藤座長】
ほかどうでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議題2の報告書に入っていきますけれども、その前に、平田委員が13時45分頃退出される御予定と伺っていますので、最初に平田委員のほうから5分ほどで御発言いただければと思います。平田委員、お願いできますか。
【平田委員】
ありがとうございます。平田です。大変お世話になっております。報告書をまとめていただく大変な作業だったと思います。心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
群馬県は昔から外国人児童生徒が大変、特に集住地域に多くいた経験から幾つか取組をしているところです。もう既にお話ししたところではありますけれども、可能であれば、私たちの経験からこういう観点を入れるとよいのではないかということについて何点かお話をさせていただければと思います。
私たちは広域の教育委員会であり、基本的には、例えば義務の場合は市町村、あるいは県立の場合でも学校現場、特に義務の場合、市町村の取組というのがとても大事だと思いますが、例えば散在地域というのはノウハウもなく、そこの散在地域を置き去りにしない指導体制の標準化というのが、私たちが群馬県のハブとして果たすべき最大の役割というふうに考えているところです。その指導体制の標準化に当たって幾つか大事にしているところがあるので、お話をさせていただきます。私たちは県だけれども、これを国に置き換えて、もしお使いいただけるところがあればお使いいただければと思います。
まず1点目は、共通の支援理念というのが非常に大事で、群馬県では、多層型支援モデルというのを提示しており、全体を3層として、1層目が通常の学級、2層目が入り込み指導、3層目が取り出しによる個別支援というふうになります。日本語指導で多くの場合は、個別対応である2層または3層に特に目が向きがちなのだけれども、大事なのは第1層というふうに考えるところです。そのためには、特定の担当者だけではなくて、全ての教員が一定水準の専門性を備えることが非常に大事なので、教員の支援、そして指導力向上に力を入れています。今年度からは全ての教員が資質向上をすることができるように、市町村の域を越えて巡回する多文化共生教育コーディネーター、MEC(メック)というふうに呼んでいますが、を配置して、特に専門人材が不足する散在地域にこのMECが直接訪問して、ケース会議の設置・運営・伴走支援をすることで各学校の体制づくりを支援しています。
次に、指導ノウハウの全県展開です。これまで集住地域では群馬県、前からたくさんの外国籍の日本語指導の必要な児童生徒がおりましたので、そこで培った先駆的な指導のノウハウ、教材を県が一元化してポータルサイト「ハーモニー」で公開して、突然、外国人児童生徒が転入した例えば散在地域の学校であっても、即座に標準的な対応が可能になるように頑張っているところです。また、研究協議会を開催して、市町村間の人的ネットワークづくりも進めています。
次が、教員の指導力向上、指導人材の育成です。市町村単独だと日本語指導に係る専門性の高い研修というのはやはり困難なので、今年度から県として、学級担任も含めて日本語指導に係る全ての教諭に向けて日本語指導新担当研修講座を新たに開設しました。日本語指導の経験が浅い教員を対象として実践的な研修を行い、こちらはなかなか好評になっているところです。
4つ目が包括的支援の充実です。児童生徒・保護者が抱える困難さというのは、言葉の壁だけではなくて、市町村の事務局や、あるいは学校現場だけで対応するのはなかなか難しい複合的な課題がたくさんあります。そのため県の委託事業として、心理の専門家による母語カウンセリング、多言語での電話相談を一括して実施して、現場のバックアップに心がけています。
こういうふうに都道府県の中で、市町村でどうしても子供たちの受ける支援に格差が生じてしまう現実はあるのだけれど、その格差というのは生じてはならないことだと思っております。義務教育の所管は市町村ですけれども、やはり都道府県、広域の自治体がハブとなって、共通の理念と一元化したインフラをパッケージとして標準化して提供していくことが重大だと考え、一生懸命頑張っているところです。
何か御参考にと思って発言させていただきました。どうもありがとうございました。
【佐藤座長】
平田委員、ありがとうございました。群馬県の取組について4つほど御提案いただきましたけれども、この報告書の中にも、盛り込まれている内容だと思いました。ありがとうございました。
【平田委員】
それはありがとうございます。
【佐藤座長】
それでは、議題2の報告書(案)について、事務局のほうから説明をお願いいたします。
【片桐調査官】
それでは、報告書案の検討に当たりまして、中央教育審議会において個別の指導計画の作成・運用等に関する検討が行われており、日本語指導が必要な児童生徒の指導計画にも関係することから、まずはその検討状況について事務局から説明をさせていただきまして、その後、報告書について説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず、資料は参考資料3となります。不登校児童生徒や特異な才能のある児童生徒に係る特別の教育課程ワーキングにおいては、不登校児童生徒や特異な才能のある児童生徒に対する特別の教育課程の制度化について検討がされており、個別の指導計画等についても議論が行われています。
下の赤囲みのところになりますが、現行制度では、「児童生徒理解・支援シート」や、障害のある児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒について個別の指導計画が作成されている実態がありますが、新たに、特異な才能のある児童生徒の指導計画の在り方についても議論がされています。
今後、複数の特例に重複して該当する児童生徒の存在も想定される中、「児童生徒理解・支援シート」や個別の指導計画の在り方について、対象の児童生徒を包括的に支援し、教育の質を向上させるとともに、学校現場の過度な負担を軽減する観点から、関係性を整理する必要があるため、議論が進められているところです。
現行制度の「個別の指導計画」としては、特別支援教育と日本語指導のものがあり、現在検討されている特異な才能のある児童生徒の個別の指導計画の項目イメージと比較すると、氏名等の基礎的情報、対象活動の目標・内容等、学習状況の記録が共通・類似しています。
そのため、指導計画の作成・運用・管理の在り方として、学習内容等を関係者が簡易に確認・共有・改善できる必要性の観点から、他の特例との関係の整理も含めた指導計画の運用の在り方について検討が行われています。この内容については、4ページ目にイメージ案をつけています。
個々の児童生徒に着目した特別の教育課程の編成・実施に当たっては、対象となる児童生徒一人一人の個性や特性に応じて資質・能力の着実な育成を図るため、指導計画等を作成・活用することが必要です。
現状、各学校では、障害のある児童生徒、日本語指導が必要な児童生徒などのために指導計画等を作成し、活用されていますが、重複する記載があったり、計画等を相互に連携して機能させることが困難といった課題があります。
こうした現状も踏まえ、教師に過度な負担感を感じさせず、児童生徒をできる限り包括的に支援し、教育の質の向上につなげるために、これらの計画等を一つの電子ファイルで一体的に運用することができる様式、仮称として「2階シート」と言っておりますが、これを国として示し、特別支援、日本語指導、不登校など「2階」における複数の特例に重複しても、俯瞰的に当該児童生徒への支援ができるようにすることについて議論が進められています。
中央教育審議会においては、今後もこの2階シートについて検討がされますので、日本語指導の観点から、引き続き、関係課と連携を図ってまいります。
続きまして、資料3、報告書案について説明をさせていただきます。この会議では、外国人児童生徒等を含めた全ての子供に質の高い学びを提供できるよう、これまで関係者からのヒアリングを交えつつ議論を重ね、このたび、この成果について、国、地方公共団体、学校、その他の関係者が今後取り組むべき施策の具体的な方向性について提言を行うため、報告書案として取りまとめております。
まず、報告書案の構成は、「はじめに」「1 総論」「2 各論」としており、「1 総論」では「現状の成果と課題」と「基本的な考え方」、「2 各論」では、ライフコースを見据えて、「1.小学校就学前・来日直後の取組」、「2.小・中・高校段階での取組と支援策」として、指導内容や指導体制や教師等の指導力の向上について、「3.進学・就職へのきめ細かい支援」としていますので、主な内容について説明させていただきます。
まず、2ページ、「はじめに」として、学校に在籍する外国人児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒が急激に増加し、中央教育審議会の答申や総合的対応策などが取りまとめられる中、本有識者会議で外国人児童生徒等を含めた全ての子供に質の高い学びを提供できるよう議論を重ねてきたことや、今後、この報告書を踏まえた施策に取り組んでいくことを求めることとしています。
3ページ目から「総論」となっております。「現状と課題」については、文部科学省が実施している調査の結果によると、先ほど課長が説明したとおり、日本語指導が必要な児童生徒が急増しており、一部の児童生徒は特別な配慮に基づく指導を受けていないことや、一定の不就学者が存在していること、外国人児童生徒が集住する地域がある一方、学校に数人程度が在籍する、いわゆる散在地域も増加しており、児童生徒等が日常的に使用している言語については、従前から多くを占める中国語やポルトガル語、フィリピノ語以外にも様々な言語が使用されており、母語の多様化が進んでいます。
これまで国は、日本語指導が必要な児童生徒に対する「特別の教育課程」の制度化、日本語指導に必要な教員定数の改善、日本語指導補助者等の配置や就学促進等を行う自治体に対する補助事業等に取り組んできており、外国人児童生徒等を学校につなぐ仕組みや就学後の支援の取組は一定程度進んできたものと考えられます。しかし、これらの取組が追いつかないほどに外国人児童生徒等は増加しており、今後もさらなる増加が想定され、散在化の進行や母語の多様化により、集住地域で確立してきた指導モデルだけでは対応が困難となることや、学校現場だけの対応では限界があることなどの状況や将来を見据え、新たな手だてを含めた総合的な対応を検討し、提示する必要があります。
4ページ、総合的な対応を進めるに当たっての基本的な考え方としては、個人として、また、社会の一員として自立して生きる力を育むために、日本語能力をはじめ、必要な資質・能力を身につけていくことが求められています。
支援に当たっては、支援を必要とする子供の差異を「弱み」としてのみ捉えるのではなく、子供たちが持つ「長所・強み」に着目し、その可能性を引き出し、力を発揮できるようにしていくという視点(エンパワーメント)が大切です。また、日本人の子供にとっても、学齢期から様々なルーツや母語等を有する子供とともに学習する機会を持つことは、多様な価値観や文化的背景を理解し、資質・能力を高めることにつながります。
全ての子供への教育保障は、社会統合を支える基盤であり、国や地方公共団体、学校、保護者、地域の関係団体等、子供に関わる全ての者がそのことを念頭に置きつつ、学校の多様性と包摂性を高めながら、外国人児童生徒を含む全ての子供を支えていくことが求められています。
全国的な取組の水準向上に向け、国がより主導的な役割を果たすことについては、外国人児童生徒等の教育は、一部の地方公共団体や学校の課題ではなく、全国の地方公共団体と学校現場にとって、年々大きな課題となっていることから、例えば、初期日本語指導施設、いわゆるプレクラスのモデルづくり、効果的・効率的な指導内容・方法に関する具体的なガイドラインの提示など、国が主導的な役割を果たすことが有効と考えられます。
また、教育の質の保障と学校現場の負担軽減を両立するために、持続可能な体制整備を進めたり、学校現場を支えるために、都道府県教育委員会がハブとなって域内の市町村や学校現場に知見や先進事例に関する情報を提供したり、日本語指導補助者や母語支援員など専門人材の確保に関する支援を行ったりするなど、広域的な取組を進めていくことが求められています。
6ページからは各論になります。各論はそれぞれ、現状と課題の後に取組の方向性と具体的な施策について記載しています。ここでは主な内容について説明させていただきます。
まず、小学校就学前・来日直後については、幼児教育段階においても外国人の幼児等は増加しており、受入れや小学校教育への円滑な接続に課題があり、幼児教育施設における指導の工夫等について、引き続き中央教育審議会における次期学習指導要領等に向けた審議の中で検討を行う必要があります。
外国籍の子供の就学促進に向けては、教育委員会が首長部局と連携して就学状況の把握や就学案内等の取組を推進することや、小学校就学前の支援、ここでは「プレスクール」としていますが、これらがさらに進むよう、引き続き優良事例や補助事業等の積極的な活用について周知・啓発を行う必要があります。
初期日本語指導教室、「プレクラス」については、効果が得られている自治体も見られ、政府の総合的対応策でも、地域の実情に応じた全国展開が盛り込まれていることから、国が主導的な役割を果たしつつ、プレクラスのモデルをつくり、財源の確保も含め、取組を推進する必要があります。そのため、今後、教育課程内外のいずれで行うかや、体制や指導内容、実施期間などの論点を整理し、学校への円滑な接続の在り方などについて十分に検討し、基本的な考え方を整理し、モデルを構築する必要があります。
9ページ、小・中・高等学校段階での取組と支援策について、まず、指導内容については、国はJSLカリキュラムや日本語指導プログラム等を示し、学校現場においては工夫を重ねて指導が行われてきたところでありますが、初期段階の指導や支援の具体や、教科指導等について、各教科の内容の概念的な理解を図りながら、資質・能力を育む指導内容・指導方法を分かりやすく示せていないことなどが見られます。
また、個別の指導計画については、先ほど参考資料3で説明させていただいたとおり、中央教育審議会において議論が進められており、日本語指導についても改善が期待されています。
そのため、取組の方向性としては、外国人児童生徒等の教育の基本的な在り方を学習指導要領の総則等に記載する方向で検討したり、外国人児童生徒等に対する教育に初めて携わる教師を含め、全ての教師や支援員等が連携して指導を実施することができるよう、指導内容や方法等をガイドラインとして具体的に示すことが必要です。
また、個別の指導計画の改善に向けた検討や、外国人児童生徒等が増加し全国の多くの学校で指導が必要になる中、デジタル技術の効果的な活用は一層重要であるため、指導内容等を示すガイドラインにおいては、生成AIやオンラインを含むデジタル技術の効果的な活用方法についても示すことが必要です。
13ページ、指導体制の確保・充実についてです。これまでの調査から「日本語指導が必要」とされているものの特別な配慮に基づく指導が受けられていない児童生徒が一定数いることが明らかとなっており、その理由は、全国的に専門的な人材の確保・配置に困難を抱える実態があるため、指導体制の整備・充実は急務となっています。
指導体制については、平成28年の有識者会議の報告で、「拠点校」等を中心とした指導体制の構築について4つの類型が示されています。教師の拠点校、児童生徒の拠点校、指導ノウハウの拠点機能、支援人材の拠点機能ですが、令和2年の報告でも、複数地方公共団体による広域的な対応の実施や教育委員会の主導による教師・支援員の配置等、ICTの活用を通じた適切な指導内容などが求められています。
学校における日本語指導体制については、目安となる考え方やモデルが示されておらず、各地方公共団体・学校現場の判断に委ねられています。支援に取り組んでいる地方公共団体においても、その自治体のみの取組にとどまっているケースが多くなっています。
そのため、取組の方向性としては、国は、平成28年の報告書にある「拠点」に係る4つの類型をさらに発展させ、学校における日本語指導体制の構築に関する基本的な考え方や目安を示すことや、最終的には、在籍学級担任、管理職、日本語指導担当教師、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、日本語指導補助者、母語支援員等が連携しながら、学校全体で支える体制を構築することが重要です。なお、その際は、画一的な基準を示すのではなく、各学校・地域の実態や児童生徒の多様な実態や文化的背景、地域特性を踏まえた柔軟な運用が可能な内容とすることが重要です。
また、必要な人材や支援を適時適切に確保するためには、都道府県や複数市町村、ノウハウのある地域の中核となる民間団体等が、お互いに責任を持ちつつ連携し、広域的な観点から人材・支援のコーディネート機能を発揮することや、散在地域の教育委員会等が、おのおのの取組について情報交換し、好事例について学び合う機会を設けることなども有効です。
特別の教育課程とそれを支える教師等の指導体制を構築することや、日本語指導補助者等の外国人児童生徒等の教育の質の向上につながる人材確保の検討や、登録日本語教員等を活用するための検討が必要です。
また、初めて外国人児童生徒等を受け入れる地域など体制が整備されていない地域や新たな支援体制を立ち上げる地域については、個別に重点的な支援を行うことが重要であるため、国のアドバイザー派遣の一層の充実が必要です。
児童生徒・保護者への学習面以外の支援や、保護者との日本語によるコミュニケーションをめぐる学校現場の負担を軽減し、学校と家庭が円滑に連携して教育活動を実施するためには、首長部局と教育委員会の効果的な連携が重要です。
18ページ、教師等の指導力の向上に向けた養成・採用・研修については、外国人児童生徒等に対する教育について、文部科学省において養成・研修のモデルプログラムを開発し、また、「教職課程コアカリキュラム」の「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」の一部に位置づけられてきました。教師等の研修用動画も作成しており、採用の際の日本語教育に関する経験や専門性を考慮した選考などの実施を求めています。
取組の方向性としては、外国人児童生徒等が増加している状況においては、全ての教師が外国人児童生徒等の教育についての一定の知識を学修しておくことが重要です。養成段階においては、多文化共生・包摂の視点を身につけるとともに、必要に応じて日本語指導や言語発達支援等に関する専門性についても学ぶことができるようにすることが望ましいため、今後、コアカリキュラムも含めたより具体的な検討が中央教育審議会において進むことになりますが、教師となる者の全てが学ぶ基礎的な内容、「強み専門性」として学ぶ応用的内容、教師としての経験を積んだ者がさらに専門性を高めるための内容について、外国人児童生徒等教育についても具体化されていくことが期待されています。
採用についても、外国人児童生徒等に対する教育を担う人材の確保は今後ますます重要性が増すものと考えられるため、大学で日本語教育や多文化共生等に関する専門的な教育を受けた者や、登録日本語教員や日本語指導補助者等、日本語指導の経験を積んだ者の採用が進むよう、国は好事例を都道府県等に提供するとともに、都道府県は教員採用選考での考慮を検討することが必要です。
また、これまでに作成した研修動画コンテンツなどを集約し、教員や支援員等に関する研修パッケージの提示や、アドバイザーによる研修の実施も必要です。
21ページ、進学・就職へのきめ細かい支援の促進については、外国人の子供が社会で自立していくためには、高等学校等において適切な教育を受けることが重要であるため、都道府県教育委員会等へ外国人生徒等を対象とした特別定員枠の設定や受検に際しての配慮等の取組の推進の依頼等をしてきましたが、日本語指導が必要な生徒については、全体と比較した場合の中途退学率の高さや就職者における非正規就職率の高さ、大学等への進学率の低さなどの課題が明らかとなっています。また、進学や就職に当たっては、日本語支援の課題、受験や雇用形態に関する本人・保護者の理解不足、進学についての費用負担などが、進路上の大きな課題の要因として考えられます。
そのため、取組の方向性としては、外国人生徒等を含む全ての生徒に対して、自身の強みを生かし、主体的に進路選択ができるよう、アイデンティティーの確立や自尊感情の育成と一体的にキャリア教育を行うことが重要です。
外国人生徒等の進学・就職に共通する課題として、日本語による学習や日本語による進路情報へのアクセスに困難を抱える生徒が多いことを踏まえ、日本語指導とそれを支える指導体制の充実が求められます。特に高等学校においては、学習内容の高度化・専門化が進む中で、来日前の学習経験や知識を活用した学びがより一層期待される一方、教科学習に課題を抱える生徒も多くなるため、教科学習支援も併せて行うことが重要です。
また、教育委員会や高等学校等においては、生徒・保護者に対して多言語化や「やさしい日本語」の活用等の分かりやすい情報提供や、受入れ時に基本的な情報の聞き取りや、面談等での丁寧な進路に関する理解促進などが求められます。これらを後押しするため、国としては、地方公共団体等が作成した資料や法務省が作成した在留資格に関する動画等の情報をポータルサイトに掲載したり、各種会議等でキャリア教育に関する実践事例を示したりするなど、分かりやすく周知することが必要です。
進学については、公立高等学校入学者選抜における特別定員枠の設定や受検の配慮等の取組の促進が期待されます。
以上、報告書の主な内容を説明させていただきました。外国人児童生徒等教育をさらに推進させるため、御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、これから皆さんから御意見を伺いたいと思いますので、挙手ボタンにてお知らせいただければ思いますけれども、2つに分けて皆様から御意見をいただきたいと思います。最初に1の総論と、それから2の各論の1まで。ページ数で言うと、3ページから8ページまで。最初にまず25分ほど時間を取りたいと思います。その後、2の各論の2及び3に45分ほど時間を取りたいと思いますが、時間が限られておりますので、お一人2分ほどで御発言いただければと思います。1総論と2各論の1までです。
それでは、どなたでも結構ですので、どうぞお願いいたします。総論と各論の1です。
それでは、齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】
ありがとうございます。齋藤です。よろしくお願いいたします。これまでの議論を丁寧に整理してくださって、強みを生かしていくこと、教育を段階的に展開していくことについて、国として指針を示していくことを明言してくださって、心強いといいますか、頼もしく感じたところです。
中身について少しコメントさせていただければと思います。総論の中で、できましたら年齢的な発達の違いによる教育の方法、内容の違いについて言及されると、さらに説得性が高まると思いました。それが1点目ですが、ライフコースの順に各論を組み立てているという点とも整合性が出てくるかと思います。
それから、プレスクール、プレクラスに関してですけれども、国としてモデルを示していくという内容でした。今現在の状況を見ますと、まず、実施できる状況があるかどうかが、地域・自治体の状況によって相当異なっています。そうした中で、モデルとして何か一律に示すとしても、自治体によっては実施が難しい可能性があると考えられます。ですので、幾つかのモデル、一つではなく、出されるとよろしいのではないかと感じたところです。
それと、文言としてですけれども、幼稚園・保育園の場合には、言語教育を明示的・意図的に行うということがあまりなじまないといいますか、指導要領の中でもそこについては示されていないかと思います。加えて日本語だけではなく、子供たち自身の母語の問題・文化の問題もあるかと思われます。ですので、日本語の習得、日本語と限定的に言葉の教育の重要性を語っているところを、もう少し膨らみを持たせて、言葉の力であるとか、萌芽的リテラシーというようなことばで提案されてはどうかと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、浜田委員、お願いします。
【浜田副座長】
失礼いたします。浜田でございます。本当に大量の情報を、発達段階を踏まえてきれいに見えるように整理していただいて、ありがたいというふうに思います。今、齋藤委員からもありましたように、国の積極的な役割というのをぜひお願いしたいと思います。
先ほどの個別の指導計画についても一言だけコメントをさせていただきたいと思います。複数の課題に直面している子供たちが多い中で、複数の個別計画、個別の指導計画ではなく1枚のシートにということ、大変ありがたく伺いました。ただ、この計画については、このシートを作るプロセスというのがより重要ではないかなと。計画そのものをつくることよりもそのプロセスが重要ではないかなと思っています。ケース会議の中に日本語教育を含む各分野の専門家が集まって、お互いに現状の把握、それから取組の方向性を充実させるということで、そのプロセスそのものが非常に貴重なプロセスになるのではないかな。その中に、学校職員という位置づけであることで日本語指導者、あるいは母語・母文化をよく理解している支援者の方も入っていけるということが非常にいいのではないかなと思いました。
それから、就学前のことについてなんですけれども、実は就学前の子供たちへの取組については、もう10年ぐらい前から全国幼児教育研究協会が文部科学省の委託を受けて、調査研究ですとか、あるいは研修パッケージの開発というのを非常に精力的に進めておられます。それを踏まえての発言ということになるんですけれども、全部で3点お伝えします。
1点目ですけれども、保護者との情報共有を小学校につないでいく形で、ぜひきちんと定式化していただけたらということです。小学校の場合、例えば受入れの手引なんかでも、丁寧に保護者から聞き取りをして個別の個票にまとめてということを提案させていただいていますけれども、恐らく幼児教育施設でもそういったしっかりとした聞き取りをしていただくということと、それから幼児教育施設である程度日本語ができるようになって小学校に入ってきてしまうと、課題はないというふうに判断されてしまって聞き取りの対象にならないというようなこともあろうかと思いますので、しっかりとそのシートを小学校に引き継いでいただきたい。特に、幼児教育施設は保護者とのやり取りが非常に密接に行われていますので、ぜひそこで得た情報を小学校にも引き継いでいただきたいと思います。
それからあと2点目で、安心できる環境づくりということで、これは幼稚園教育要領の総則にも、幼児が安心して自己を発揮できる環境づくりが重要であるということが書かれておりますけれども、そのための一つの在り方として、先ほどの全幼協の調査なんかでは、母語話者が通訳をしたりするよりも、園での子供の遊びとか歌なんかに子供たちの母語・母文化のものが入るということが子供たちの安心に最も有効であったというような結果も出ております。ですので、園内に言語表示を増やすとか、そういったようなことも含めて、幼稚園でぜひ積極的に取組をしていただきたいと思います。
それから3つ目、言葉の発達の問題で、これも先ほど齋藤先生がおっしゃったように、幼稚園で言葉、日本語そのものの指導をされるということはないと思うんですけれども、保育の中でも言葉を育てるということには最近、非常に関心が高まっております。先ほど申し上げた全幼協の研修パッケージの中でも、かなり具体的に言葉を育てる工夫について提案がなされておりますので、そういったものが小学校とも共有されるように、そして日頃の園生活で子供たちが日本語を使っている様子、あるいは使っている日本語の質ですね、そういったものについて見取りを行っていただいて、先ほど申し上げたように小学校につないでいただくと非常にいいのかなと思います。本当はテストなどもというような御意見もあるかもしれないんですけれども、個人的にはそれは、小学校で受け入れてから実態把握ということでDLAなんかをなさるということのほうが現実的かなと思っております。
ちょっと長くなりまして、申し訳ございません。
【佐藤座長】
ありがとうございました。最初の話は、後ほどの2階シートの話と絡んできますので、もし必要であれば、また後ほど御発言ください。
小島委員、お願いします。
【小島委員】
ありがとうございます。では、私のほうからプレクラスとプレスクールについて述べさせていただきます。
来日直後や、初めて日本語を学ぶ小中学生を対象としたプレクラスにおいて、その子供の来日年齢ですとか、また発達段階を踏まえて、何をどう教えるかを必要最低限示したカリキュラム案が国から提示されるというのはすごく私はいいと思います。その際に、就学を支える上でプレクラスでの学習期間中、そこで取り組むべき重要な点というのも示されるとよいのではないかということです。
その一つが、子供の特性や強みの把握です。例えば、カリキュラム案の終了時に、「ことばの力のものさし」などを活用した包括的な見取りを行い、その情報を在籍学級へ引き継ぐ。そうしたことで個々の強みを生かした効果的な指導が可能となります。具体的な実践例としては、横溝委員からも御紹介がありました横浜市の事例、また愛知県西尾市などが挙げられるかなと思います。
また、プレクラスの役割として、保護者などの家庭状況を把握できる場として機能するということが示されるとよいと思います。例えば、保護者のリテラシー力の把握、子供のこれからの学習状況、特に母国での教科学習が家庭で継続していることなどを知る手がかりにもなるからです。それらを踏まえて、保護者自身が日本で教育経験があるかないかなどの把握も、子供の就学支援を円滑に取り組む上でも役立つかと思います。この点は、就学前の幼児教育施設との接続においても同様です。先ほど浜田委員も御発言されていらっしゃいましたとおり、幼児教育施設は保護者と密接な関係を築いていらっしゃいますので、御家庭の状況をよく御理解していらっしゃいます。その情報が就学先の学校へしっかりと引き継がれる体制が望まれます。
私が可児市教育委員会で外国人児童生徒担当のコーディネーターをしていたときですけども、新1年生が通っていた幼児教育施設だけでなく、無認可の託児所などにも直接訪問しまして、先ほど述べたような情報を集めました。現場に足を運んで得たそうした情報というのが、子供たちへの切れ目のない支援体制を築いていく上で非常に役立ったと実感しております。そのことは2009年度ですけれども、愛知県が作成しましたプレスクール実施マニュアル、これは座長にも御協力いただいたが、こちら発行に関わる検証に携わった際にも同様でした。日本語が分からない外国人保護者の下で育つ子供たちについては、日本の幼児施設以外で育っている場合も多いため、プレスクールの実施が、そこから得られた子供たちの生育状況ですとか、保護者の背景に関する情報というのは大変、受入れ先の学校で有効的に活用されていました。よって、プレスクールやプレクラスでは保護者との関わりを持てる機会が多いため、そのことがどのように子供の就学を支える上で重要であるかについて、カリキュラム案とともに国から提示されるととてもよいかと考えます。
そして、さらにプレクラスの設置方法や場所別の強み、こうしたことも提示されるとよいと思います。教育課程外にプレクラスを設置している地域もありますが、そこでは多文化・多言語の中で育つ子供の発達を理解した指導者が児童館や図書館、国際交流協会といった地域リソースを最大限に活用して、すばらしい実践を展開されていらっしゃいます。
また、実施主体が教育委員会であっても、学校外で設置する自治体もあります。具体的な先行事例として重ねての御紹介になりますが、私が設置に関わりました可児市教育委員会でのプレクラスのことです。設置に当たっては2005年当時、市内の小中学校の校長会にて議論が行われました。その結果、子供の在籍は各学校としつつも、拠点はあえて学校外に設置するという決定が下されました。これは学校外に拠点を置くことで市内全校からの連携体制が構築しやすい。そうした点があることと、地形的な問題もあり、また、対象の子供の実態に合わせた独自の日課やカリキュラムを編成できるといった点を優先した結果だったからです。それによって、農作物を栽培する近隣の地域住民の方と畑活動なんかをしたりですとか、また、実際の道路で交通安全活動であったりとか、そうした実際の活動を通じて日本語の語彙ですとか表現を豊かにしながら、日本語力を育てることを学校外の様々な関係者と連携した教育活動をプレクラスで実現できました。
また、プレクラス修了生が数年後、高校卒業後に指導者やサポーターとなって、かつての学び舎で活躍できるということも学校外の設置の大きなメリットであると感じています。そのため、地域の実情に即して柔軟な制度設計で設置されて、また、実施されている各地のプレスクールの事例紹介は、今後設置される自治体にとって大変効果的でとあると考えますので、ぜひ教育課程外や学校外でも設置されている多様な好事例を提示いただけたらと思います。
以上になります。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
皆さんからいろいろ御意見を伺いたいので、できる限り簡潔にまとめていただければと思います。
【吉田委員】
よろしくお願いいたします。では、まず、2-1までのところでということで、よろしくお願いします。
散在地域について、非常に今回、丁寧に事務局のほうでもおまとめいただいているなということを感じております。総論のところでかなり散在地域について言及していただき、ありがとうございます。散在地域の困難というのは、国レベルで考えていただく点が多いと思っています。まず、これは後半にも関わってしまうところですが、国の責任ということも書いていただいているのでここでお話しさせていただきます。現在、教員の定数に関して言うと、基礎定数については、日本語指導が必要な児童生徒が18人いたら教員が1人加配されるという、そういう仕組みになっているわけですけれども、散在地域ではこの人数に達すること自体がなかなかないことであったりします。しかし子供は在籍していて指導しなければならない、教員は足りないという事態が発生しています。こういった基礎定数の問題などもぜひ今後も拡充に向けて、あるいは全国一律という発想ではない在り方もぜひ考えていただけたらなと思っています。
いずれにしましても、総論の中で、(4)などで言及していただいているように、県が市町村教育委員会をサポートする、これは極めて重要であると思います。青森県では実際に、自治体に初めて日本語指導が必要な子供が転入してきた場合などに、子供1人につき72時間分の支援については、県教育委員会が市町村教育委員会に財政的にもサポートして入るという形を取っています。ただ実際の散在地域の現状を申し上げますと、同じ県の中に集住地域もあって散在地域もあるような、先ほどの平田委員の群馬県のようなケースはまた違うかと思いますけれども、県全体が散在地域というようなところに関して言うと、県にもまだ様々な経験がない。さらに散在地域の都道府県、主に県は、規模が小さいところが多いと思うんです。集住地域において、例えば横浜市のように指導主事だけで150人もいるところで1人日本語指導をメインに担当する指導主事がいるというような状況は、散在地域の教育委員会では考えられません。教育行政の担当者の数も少なく、担当者も非常に多岐にわたる業務を1人で担っているというようなことが一般的です。
このようなことを考えたときに、やはり散在地域では、教育行政以外の地域の支援資源、例えば大学ですとか、支援団体、NPOなどのところの支援資源の蓄積というのが実は極めて重要な意味を持ってくるということは再度強調させていただきたいと思います。教育行政の担当者には、どうしても短期での異動もあるので、そこだけに経験の蓄積を期待するのが難しい。そういう中で、地域の中で蓄積されて支援に関する資源をどこでまとめて、そして地域の財産としてずっと残していけるのかというところは、様々な地域によって異なるパターンがあると思うんですけれども、ぜひ検討していただく必要があると思います。その辺りもぜひ示唆していただくような報告書の記述があるとよいかと思っています。
そして、散在地域で子供たちが、散在地域でも増え続けているという調査結果がさきほどご御報告されましたけれども、今後は散在地域の教育委員会同士で情報交換をするような仕組みもつくっていけるといいかなと思っています。実は私が勤務する弘前大学教職大学院は、NITS弘前大学センターという独立行政法人教職員支援機構の地域センターを置いているのですが、今年の夏には、以前、文部科学省の事業の中で行わせていただいた散在地域教育委員会会議の発展型という形で、より広く全国に呼びかけて、散在地域の教育委員会の情報交換の場を設けたいなと思っています。そういった散在地域同士が情報交換をし合う、そういった場も今後は積極的につくっていかれるといいのではないかと考えています。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
オチャンテ委員、お願いします。
【オチャンテ委員】
すみません。報告書をまとめてくださってありがとうございます。先ほどの委員が全て先に発言しているので、ちょっと違った内容で。
特に幼保小の引継ぎの点で今まで出ていないかなと思う点では、来日歴、何歳で、またはどのような状況で来日しているのか。また、両親との生活状況、養育環境などを知ることで子供たちの背景とか理解にもつながるのではないかなと思います。例えば、親が先に日本に来て祖父母に育てられてきた経歴があるよとか、そういった親子関係の形成過程にも配慮する必要もあるのかなと思うので、そういった家族の中での分離体験とか、そういうことにも影響していくと思うので、そういうことを把握していく必要もあるのかなと思います。
あと、日本語能力について、保育園とか幼稚園とかに通っていると、聞き取りができるようには、会話ができるようになるとは思うけれど、年齢相当の日本語の使用ができているかどうかという確認も必要なのではないかなと思います。特に生活言語だけではなく学習場面で必要となるような学習言語の力を把握することも重要になってくるのかなと思います。
あと、これはよく言われるんですが、発達障害の傾向が見られるかどうかということは、恐らく毎日関わっている保育者が分かる点もあるので、それについても含めて、次の小学校に上がるときには、そういった可能性があるんだよということを引き継いでいく必要もあるのかなと思います。
あと、宗教・文化とかの理解も欠かせないのではないかなと思います。食文化とか生活環境とか宗教上での配慮事項とかというのもあるかと思うので、日本の生活に苦痛にならないような支援とかをする必要もあると思うので。
あとは、引継ぎでは、単なる個人の情報として扱うのではなく、子供と家庭を理解し、安心して生活、成長できるような支援にするための視点を持つということを生かしていかなければならないかなと思います。
先ほども出たけれど、やっぱり保育者の異文化理解ということも含めて、保育でできるような取組というのは、まだまだそこはどうしても、異文化イコール英語教育とかに、英語の活動をやっているからそれで十分と思われるような保育者の方もいると思うので、もう少し広く、それこそ先ほど出たような歌をやっていろんな多言語に触れるようなこともできるのではないかなと思います。
すみません、時間がないのでこれで一旦終わります。以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは最後、横溝委員、お願いできますか。
【横溝委員】
国の報告書をまとめていただき、ありがとうございます。外国人児童生徒が増える中で、国の果たす役割は極めて重要であるというふうに書いていただいて、教育委員会事務局としては非常に心強く、それでさらに期待をしている状況です。
3点ほどお話をさせていただきますと、まず、幼児教育から小学校等への引継ぎに関しましては、僕自身も小学校教員として、幼稚園からの引継ぎは非常に重要だと感じておりました。そのときに、先ほどから何度か出ていますが、保護者の日本語の理解度なんかもしっかり引き継いでいただけると、学校に関しては保護者と会う機会が非常に少なくなってきますので、そういった部分は非常に有効なのかなと思っております。幼児期の言語習得は非常に個人差が大きいので、引継ぎだけの情報をうのみにして固定化しないということも非常に重要なのかなと思っております。入学後の継続な見取りとセットでいろいろなものを運用していくということをどこかに書いていただく必要があるのかなというふうに感じました。
それから、プレクラスに関しては、先ほどから出ていますが、教育課程内、教育課程外、様々あると思いますが、それぞれの好事例をいろんな場面で伝えていただくことが重要なのかなと思っております。本市は教育課程内ですので教育課程外のことは分かりませんが、教育課程外であれば、弾力的な様々な取組ができるんじゃないかなと思っております。
本市のプレクラスに関しては以前の会議でも説明をさせていただきましたが、本市のプレクラスは、在籍校とプレクラスを行き来する形になっております。教員は該当する児童生徒を自分のクラスの子供、それから友達は自分の学級の友達というふうに認識することで、各学校での居場所づくりにつながるような指導・支援を行ってくれているような学校も増えてきました。また、教育課程内で行うことで、国際教室では、来日当初からJSLカリキュラム等を使って、彼らが持っている母国での学びの経験を生かすような授業が教育課程内だとつくりやすいのかなと思っておりますし、評価なんかも明確になってくるのかなというふうに感じております。
最後に、教員の質に関することですが、研修が増えることで教員の負担が増えるということにつながることもあるかもしれませんが、先ほど平田委員にもありましたように、全ての教員が外国籍、外国につながる子供たちの一定の児童生徒理解とか、指導支援のノウハウということを持った上で子供たちの指導・支援に当たれるような学校づくりとか、体制づくりができたらいいのかなというふうに感じました。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、発言のない委員もいらっしゃいますけど、また後ほど伺いまして、2各論の2及び3についてこれから進めていきたいと思います。度々恐縮でございますが、時間が限られていますので、お一人4分以内ぐらいで発言をいただきたいと思います。そして、報告書について皆さんの御意見を伺うのは多分、最後になると思います。できる限り報告書に即して御発言いただければ大変ありがたいと思います。また、言い足りない部分については、事務局に後ほどメールでお送りいただければと思います。
最初に、先ほど御発言のなかった方から少し優先的にお話を伺いたいと思います。
まず、徳永委員、何かございますか。
【徳永委員】
ありがとうございます。これまでの議論を丁寧にまとめていただいて、ありがとうございます。特に学校現場や教員に任せるのではなくて、国が主導していくというメッセージが非常に重要だと思って読ませていただきました。
私のほうからは、何点か気になったところを共有できればと思います。1つ目は各論の11ページ、外国人児童生徒等の教育の基本的な在り方のところで、多言語・多文化の経験や背景を生かしながら、学校教育全体を通じて資質・能力を育成するというところで、教育の基本的な考え方について明記していただいていますが、これは報告書全体を通じて非常に重要な内容になっていると思いました。もしかしたら、この途中段階ではなくて、総論の基本的な考え方など、冒頭のほうに移動したほうがこのメッセージが伝わるのではないか、強調したほうがいいのではないかと思いました。
もう一点は、各論の2-2の指導体制の確保・充実についてのところの15ページの2段落目です。都道府県や市町村、民間団体などが連携することについて書かれています。先ほど吉田委員からも散在地域における大学とか支援団体の役割の大きさですとか、地域の財産として蓄積していくことの重要性について発言があったと思います。私もその点、非常に共感しておりまして、ここで大学というのも記載していただけるといいと思います。日本語教育や関連領域の研究者がいたり、あるいは教員養成プログラムがあって、支援体制づくりをする上でとても重要な役割を担っているのではないかと思いますので、改めてここに大学ということも記載していただくと、より立体的にいろいろな連携先が見えてくると思います。
その点と関連して、一番最初の総論のところで、4ページから5ページのところで、連携の重要性がそこまで強調されていなかったように思いました。各論の中では様々なところで関係機関とか専門職との連携について書かれていますので、それを統合するような形で、冒頭の基本的な考え方のところでも、改めて包括的な支援をするために連携が重要だということを強調していただけるといいと思います。
最後の1点ですけれども、これまでの繰り返しの発言になってしまいますが、外国人児童生徒や彼らを取り巻くステークホルダーとの意見聴取とか対話を行う重要性についてここでも議論をしてきたと思います。それを施策や実践に反映していくという、その点もぜひ何か文言として今回の報告書に記載していただけるといいのではないかと思います。教育振興基本計画の中でも記載がありますし、この会議でも「こども若者★いけんぷらす」の取組などを報告していただいて、非常に重要な視点だと思いましたので、その点も検討していただけるといいと思います。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
では、野口委員、どうぞお願いします。
【野口委員】
お願いします。ありがとうございます。おまとめいただき、ありがとうございます。
まず1点目なんですが、10ページの個別の指導計画のところですかね、2階シートについて記載いただいてありがとうございます。私、特定分野に特異な才能のある子供の教育課程のワーキンググループにも参加しておりまして、こちらのワーキンググループからも御提案させていただいたという形ですので、この場で改めて皆さんの賛同が得られたことをうれしく思います。
こちらなんですが、書いていただいているとおり、それぞれの計画で重複する記載があるとか、連携をさせることが困難だったりするという課題があるため、できる限り包括的に一つのファイルでということなんですが、こちら改めて、ここに書くかどうかはさておきなんですが、どういった項目が必要かというところの一つとして、この計画に関わる部分でもそうですし、支援全体、指導全体に関わる部分でもそうですが、やはり御本人の意思というところが、あるいは本人の願いですよね。というところが項目として必ず必要なのではないのかなと思っています。これはほかのワーキンググループなどでもお話しして、特別支援のほうでは、今様式に既に本人・保護者の願いという欄があるんですが、本人・保護者の願いだと大体、保護者の願いしか書かれなかったりして、本人がどうしていきたいかとか、どういう支援が必要だと思っているかとか、そういったところができるだけ日本語指導が必要な子供さんについても丁寧にヒアリングがなされて、その子がどういう支援を求めているかというところですよね。について記載がなされるといいなと思っています。
またあわせて、すみません、日本語指導のほうの今の様式の項目を私がちゃんと分かっていない中言うんですけれども、この項目として、別の場で日本語指導の教室の中で実施する内容だけではなくて、通常の学級の中における支援とか配慮事項ということも、この計画の項目としては必要なのではないのかなと思っています。これも特定分野に特異な才能のある子供についても同じことをお伝えしています。やっぱり本人の意思というところと、あと場に限られずそれが保障されるというところがこの計画シートをもって示されるといいなと思っています。というのが1点です。
もう一点が、これもちょっとこれに書くのかどうか悩ましいところで、場所的にもどこがいいのかなというのもちょっと難しいなと。ずっと私がお伝えしている部分で、先ほど平田委員から3層支援、多層型支援の第1層に関わるといった部分を、やっぱり特別の教育課程に関わる部分がすごく多い、内容としては分厚くなっていると思うんです。それは当然そうあるべきだと思うんですけれども、その土台の部分の、より通常の学級におけるというところの、今も一部記載していただいているかなと思うんですが、そこの部分を、この報告書なのかガイドラインにおいてなのか分かりませんが、いわゆる外国人児童生徒のみではない、より多様な子供たちも含めてというところが結果的に外国人児童生徒にとってもいいという。負担がただ増えるという話ではなくて、逆にそういう土台をつくっておくことが、全員にとって心理的安全性が保たれているような場をつくっておくことが結果的に負担を減らすことにもつながるので、具体で言うとこの報告がいいのか分からないんですけれども、そういった視点ですね。どうしても今読むと、ただ増えるだけというふうに聞こえてしまうので、そういう部分についても触れられるといいのかなと思いました。
私からは以上です。ありがとうございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、高階委員、お願いできますか。
【高階委員】
そうしたら、私のほうから3点、簡潔に述べさせていただきたいと思います。
1つ目が、10ページの個別の指導計画のところになります。個別の指導計画、これは教員の認識を合わせるということで非常に重要なものなので、もちろん作成はしなければいけないんですけど、そのプロセスのところで言うと、どうしても個別の指導計画を作成しようと思うと、かなり日本語についての専門的な知識や経験というのが必要になってきますので、ここに書くのはふさわしくないのかもしれませんが、それなりの人的な支援というのが必要になってくるかなと思っております。ほかにも、例えば生徒に関する記録の欄を作成しようと思うと、通訳の存在も必要であったり、母語を話せる教員の確保というところも必要になってくるのかなと思っています。
あと、作成したら終わりではなくて、本来的に言うと、例えば学期に1回とかアップデートしていく必要があるのかなと思うんですけど、日本語指導が必要な子供たちが多い学校だと、正直、本校もそうですけど、なかなか学期ごとにアップデートするというのはできていません。理想は学期に1回かなと思いますが、少なくとも年1回はアップデートしていく必要があるのかなと思っています。
2つ目については、13ページのほうになりますけども、ICTの活用のところになります。現在、大阪府も、府立学校になりますけども、散在校の子供たちを支援するためにオンラインで日本語指導のほうを実施しています。今までなかなか行き届かなかった生徒にも行き届きますので、やはりオンラインというのは、今後必ず必要になってくるかなと思っていますけど、オンラインだけではなくて本来は、全部がオンラインではなくて対面との組合せというのが理想かなと思っています。例えば、子供たちが書いた作文の添削なんかはオンラインでできても、書くまでの作業、そういったところはやはり対面のほうがいいのかなとか思ったりしますので、ハイブリッド型がいいのかなと思います。
あと、オンラインでやると、どうしても子供たちが受動的になる傾向もあるのかなと思いますので、アクティブな作業を入れるなど、子供たちがあくまで主体的に取り組むというところを、そこのポイントを押さえながら進める必要があるのかなと思っています。
最後に、16ページの登録日本語教員等の積極的な活用というところで、「『登録日本語教員』をはじめ、日本語指導の専門性を有する者の学校における積極的な活用を推進すべき」という文言があるんですけども、「等」という文言があるものの、登録日本語教員というのは、あくまで認定の日本語教育機関の教員の資格かと思います。なので、登録日本語教員のみの資格を持った方がそのまま学校に入ってくるというのは少し違うのかなと思っています。やはり学校というのは教科指導がまずベースにありますので、教員免許を持っている上で、追加として先生方が登録日本語教員の資格を取っていくとか、そういった形のほうが理想なのかなと思っているところです。
私のほうからは以上になります。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、齋藤委員がこの後、授業で途中退室というふうに伺っていますので、齋藤委員のほうから先にお願いできますか。
【齋藤委員】
すみません、お時間いただきありがとうございます。皆さんが触れたことについては私からは触れないようにして、新しい点についてお話しさせていただければと思います。
各論の2に関わることですけれども、各論1でプレスクール、プレクラスのお話があって、そこで初期段階の指導を充実させるんだということを強く示されていますが、各論2の最初のところを見ていくと、初期指導をプレクラス、プレスクールで終わらせた上で、次の段階からのスタートするというように見えてしまうのではないかと思われます。冒頭に、「JSLカリキュラム」が出ていますし、「日本語指導と教科指導を統合し」と出ているので。現実の状況としては、初期段階の指導を、小学校・中学校の取り出しの指導、あるいは在籍との関わりの中で行っていく必要があるわけですので、その辺り、誤解がないように、内容を並べる順番を検討したり、表現を選択する必要があると思われます。
その上で、9ページに少し気になる表現があります。「表面的な言語能力」です。これが何を指すのかを明確にしないと、うまく伝わらないのではないかと感じます。この分の後ろに、それが語彙や文法・文字などの知識・技能への焦点化だと伝わるようですので、工夫をしていただくのがよろしいのではないかと併せて感じたところです。
それから、2点目です。キャリアを今回大きく取り上げていただいて、しかも昨年度の事業の報告も含められており、非常に分かりやすく、参考になりました。その上で、ライフコースの順に章立てされているということで、キャリアが高校に特化した課題というように見えてしまいがちだと思います。実際のところは、キャリアに関しては小学校、もしかしたら幼稚園・保育園の段階からも徐々社会に目を向けていくという活動の中に含まれる教育活動だと思うのです。どこにどのように織り込むのがいいのかは、はっきり言えないのですが、高校段階だけではなく、小・中学校も含めてキャリア教育を実施することの重要性が分かるように、項目を入れていただくことが大事かと思います。これが2点目です。
最後に、3点目ですけれども、今、徳永委員からも、それから野口委員からも、在籍学級であったりとか、あるいはもう少し広い社会における生徒支援・教育との関連を重視してはどうかというお話がありました。この点について考えるときに、特別の教育課程の個別の指導計画が1階と2階とにまるっきり分かれてしまっていると、1階は先生方として在籍の先生が受け持つこと、あるいは学校の一般的な教育活動として受け持つことであり、2階部分だけを取り出し指導で行うということになってしまうかと思います。教育としてはグラデーションであったり、連続性であったり、あるいは包括的に捉えることが大事なのだと思いますが、区分けされてしまうことで、悪い意味での分業化が進むのは残念に思います。先ほどお話があった特別の教育課程の個別の指導計画の工夫に加えて、全体として、総論で徳永先生がおっしゃったように、学校全体として、在籍学級との関わりとして取り組みの可能性をしめしてはいかがでしょうか。日本語に焦点化するとなかなかうまく伝わりにくいと思うので、この子たちの異文化への適応や、異文化適応能力を日本の子供たちも含めて一体的に育んでいくことであるとか。文化的多様性の包摂という学校全体の教育課題との関わりにおいて、具体的な教育活動として実施していけるのだということが、総論にも含まれているとよろしいのかなと思いました。
以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
では、吉田委員、どうぞお願いします。さっきの個別指導計画のところも含めてお願いします。
【吉田委員】
ありがとうございます。それでは、報告書の順番に沿って、9ページのところの、オンラインの話からさせていただきたいと思います。
オンラインの活用なのですが、散在地域におけるオンラインアセスメントマニュアルの開発に私自身も携わらせていただきましたし、重要ではあると思うのですが、以前からお話ししているように、子供の発達段階によってオンラインが活用できるかどうかはかなりの違いがあるだろうと考えます。例えば、小学校低学年にオンラインを活用するというのは現実的ではありません。オンラインを活用してほしいという趣旨は分かるのですが、その辺りもきちんと子供の発達段階を見極めつつ使うんだというところは、はっきり明記していただいたほうがいいだろうと思いました。
それから、10ページのところの、個別の指導計画のお話についてです。個別の指導計画という言葉だけがここに出ているんですけれども、私は、個別の教育支援計画というのも非常に重要だろうと思っています。個別の教育支援計画は、数年間使うという形で作成されているもので、先ほどから、例えば来日の時期であるとか、子供の母語、家族の状況、保護者の言語状況、滞日の見通しですとか、子供の学習歴、子供・保護者の願い、さらに合理的配慮などについて、把握の必要性が語られていますが、そこにきちんと書かれているということにすればいいのではないかと思うのです。
多文化共生に向けた日本語指導の充実に関する調査研究を、文部科学省委託事業として弘前大学で3年間受けさせていただきましたが、その中で、実際に、青森県版のものとして個別の教育支援計画と個別の指導計画(多文化版)の様式を作成しました。これは、もともと特別支援教育の様式を参考にしてつくったものです。つまり、特別支援教育ですでに個別の教育支援計画や個別の指導計画に触れている現場の先生たちが違和感なく、同じような感覚で扱っていただけるようにということで、考えたわけです。先ほどお話ししたような支援に当たって非常に重要な情報というのを個別の教育支援計画を入れていくので、元のものからはかなり記入欄は増えましたけれども、個別の教育支援計画のほうにそういった支援に当たって必要な基本的な情報というのを入れていきました。そして、合理的配慮という欄を言語・文化的配慮として3つの観点、学校生活、日本語教科学習、それから母語・母文化の尊重の取組という3つの欄を設けて、学校としての大きな方針をそこに書いていくという形にしました。さらには、DLAのその時々の結果なども書くというような形で構成しています。
ひろだい多文化リソースルームで教育委員会と連携していますので、これは、学校には、ケース会議ではこの個別の教育支援計画と指導計画を関係者がみんな集まってつくるようにお願いしています。さらに個別の教育支援計画は指導要録と一緒に保管をし、進学時に、例えば入学者選抜とか、入学後の配慮ということを求める際に、これを要録と一緒につけて出せば、子供が一体どのような状況にあって、どのような支援が行われ、現状はどうであるのかというのが全てちゃんと引き継がれると考えています。先ほど幼児期、幼稚園から小学校への移行でもそういった情報の伝達が必要だというお話がありましたけれども、そういった教育支援計画というようなところで伝達していくというのもありなのではないかと思っています。
個別の指導計画は多分、理想としては学期ごとに作成されるのが理想ですと先ほどお話がありましたが、そうであれば個別の指導計画は、むしろシンプルな様式にして記入の負担がかからないようにしながら、子供に接する現場斧関係者が、何が必要だろうか、ここを重視してこうやってみようというようなことを、どんどん記入して比較的簡易につくれるようなものにしていくといいのかなと考えていました。特別支援教育と日本語教育の両方のニーズのあるお子さんというのはいらっしゃるので、まとまったらいいよねという声は、実際に現場からもありました。ですので、そういった点では、やはり一つのものにまとまっていくといいのかなというふうには思っています。ただそのときには、様式の検討というのが非常に重要になってくるだろうと思います。
次に、指導体制の確保・充実ということに関してもよろしいでしょうか。今お話ししてよろしいですかね。
【佐藤座長】
どうぞ。
【吉田委員】
支援員の在り方というところなのですが、ここはなかなかはっきりこれまで書かれていない部分についてです。具体的にいうと、単独で指導できるのは、学校では教諭の資格がある人だけということになっている一方で、実際には、教諭と支援員が相談をして共通の目標や、こういう教材を使ってこういうことをやりましょうということを確認した上で、別室だけれどもTTだという理解で、支援員が別室で指導するということは現実には行われています。現実にはそれも行えるのだというようなことをはっきり書いていただきたいと思っています。それがないと、非常に曖昧な状況になっていて、地域によっては、支援員は個別の指導は絶対にどんな場面であってもできないのだという理解をしているという教育委員会もあるのです。支援員をたくさん雇いながら、ただ教室で横についているだけというような非常にもったいない状況の自治体も実際には存在しています。ですので、支援員はどういう条件があればどこまでのことができるのかというところは、きちんと明記していったほうがいいと思っています。
そして、支援員になられる方が日本語教育についての非常に高い能力をお持ちな場合、どのような報酬が適切か、ということも考える必要があります。教室で子供たちが落ち着かないという乗用が合って、特に資格などを問わずに教室のサポーターとして自治体が入れている学習支援員と同じ報酬単価でいいのかということもありますし、支援員はどういう資質・能力を有しているべきか、その質の保証はどういうふうになされるべきなのかというようなことも考えなければいけないところだろうなと思っています。踏み込んだことですので、今回の報告書にどこまで書けるのか難しいところはあると思いますが、そういった支援員の在り方、待遇も含めて、もうちょっと踏み込んで書いていくことを期待します。現場に何をどこまでどのようにやっていいのかということが分かる形で記載していただけるとうれしいなと思います。
それから、18ページ、教員養成に関してです。以前にもお話ししたことがありますが、教育学部の構成の問題です。現在、中教審の次期学習指導要領や教職課程の検討の中で、強み専門性として日本語教育が一つの分野として挙げられる状況になってきているわけですけれども、教育学部しかない単科大学は別ですけれども、地方国立大学のような総合大学においては、教育学部というのはどういう教員の配置をしているのかというと、基本的には特定の教員免許状が出せるような教授陣を配置して構成しています。結果として、教育学部の教員に日本語教育専門の人は今ほとんどいないと思います。
そういうような状況の中で、強み専門性の一つとして日本語教育というのを入れていくということなのですが、この点、ぜひ改善が図られるようにしてほしいなと思います。免許法によって強く規定されているということなので、免許法のほうに日本語教育をどういうふうに書き込んでいくのか、教職課程のコアカリキュラムの中で日本語教育をどう位置づけるのか、そういうところをきちんとしていくことによって、教員養成の在り方に影響を与えていく必要があると思います。具体的には、今回の有識者会議の報告書の先の話にはなりますが、報告書に望ましい方向性のようなものを何らかの形で書いていくということも大事なのではないかと思っています。子供の日本語教育に詳しい教員がきちんと教育学部にいるような状況、そういう中で強み専門性の話をしないと、絵には描いてあるけど実際には難しいよね、というようなことが起こってしまうのではないかと危惧します。
強み専門性の内容についてもご意見をということでしたが、日本語指導に特化した内容はもちろん必要なのですが、やはり子供やその家族の背景、置かれている状況、それから日本の学校文化を相対化してみる視点、それから多文化共生の学校づくりの実践的な在り方、学校内での組織的な支援体制の構築、地域の状況と外部人材や機関との連携、それから個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成といったようなことが含まれてくるのではないかと思っています。
最後にキャリア教育について、先ほど徳永委員からも、学校外の資源、居場所の重要性が言われました。この点に関しても、ぜひ挙げていただけるといいと思います。
以上で終わりです。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
では、小島委員、どうぞお願いします。
【小島委員】
時間もありませんので簡潔に、報告書のページ順に4点意見を述べさせてください。
1点目は、今、吉田委員もお話がございました個別の指導計画についてです。重複している点は除きまして、それ以外として私自身、教育委員会や学校現場から頻繁に耳にすることが、「ことばの力のものさし」を用いたアセスメント結果の記入欄がないことが挙げられます。現行の参考様式は、DLAなどのアセスメントツールが開発される前に作成されたものでございますので、最新のアセスメント結果を反映できるような様式を入れていただきたいという点です。
2点目は、11ページなどで示されているガイドラインについて強く期待することです。国が示すガイドラインでございますので、ケースとして集団で子供を捉えたものではなく、子供の発達段階と日本語レベルに応じてどんな指導が必要なのか、具体的に提示いただきたいです。例えば、「ことばの力のものさし」に照らし合わせて、誰が何をどのように指導するのかですとか、どんな教育環境をつくる必要があるのかということなどを体系的に示すガイドラインになるよう強くお願いしたいです。
3点目になります。16ページなどで示されております登録日本語教員の学校現場での活躍についてです。先ほど高階委員が御発言されていらっしゃいましたけども、私もこれまでの会議で、この登録日本語教員についての議論というのはなかったように記憶しております。そのため、16ページで言及されている「積極的な活用を推進すべきである」という、この表現は修正いただきたいと思います。そして万が一、外部支援者に頼らなければならない必要がある場合については、学習指導要領の理解は必須とし、多文化・多言語の背景を持つ子供の特徴のみならず、子供の来日年数ですとか発達段階を踏まえた指導ができるよう、一定レベル以上の研修というのを必ず義務づけていただきたいという、こうした点も併せて強く言及いただくような記載をお願いしたいです。
そして、先ほど高階委員が御発言されていらっしゃいましたけども、現職教員の先生たちに対しての登録日本語教員の資格を取得しやすくなるよう仕組みについて、やはり私も必要性、その部分を報告書に入れていただくというのも一つではないかなと思います。学校教育の現場で子供の日本語指導を長年支えてこられた先生方の存在ですとか、その役割の大きさというのは、これまでこちらの会議で幾度となく各委員からお話が出てまいりました。こうした実績のある先生方が登録日本語教員の資格を取得できるような制度設計の必要性についても、ぜひ報告書で言及いただきたいなと思います。
最後になります。4点目です。21ページ以降の進学・就職へのきめ細かい支援の促進についてでございます。日本の学校で学ぶ子供たちに対して、B2相当レベルの日本語能力を身につけていることを証明できる方法というのを複数用意するということが必須であると私は考えます。これまでの会議でも繰り返し述べてきましたとおり、子供の日本語能力を示す指標として、日本語能力試験だけに限定すべきではないということです。例えば、「ことばの力のものさし」を活用してB2相当の日本語能力を証明できるようにするといった学校教育に即した方法を早急かつ具体的に提示するよう、その重要性および緊急性を報告書に記載いただきたいです。
こうした評価の方法の提示は、これまでの会議で議論してきた学習指導要領が求める力を目指した本来の教育を学校現場で実現できる、実施できることと大きくつながります。また同時に、経済的な理由で日本語能力検定試験を受験することが難しい子供たちへの大切な支援にもなるはずです。
さらに、高校については、小中学校とは異なり高校全入時代であるからこそ、入学後すぐにアセスメントの実施というのも併せて推奨したいです。なぜならば、その結果によって、その後指導の方法が大きく変わるからです。特に母語力を含めて思考する力が年齢相当に引き上がっている生徒であれば、短期集中のプレクラスを設け、短期集中で体系的な日本語教育指導も可能ではないかと思います。その対象は、近年、全国の高校等で増加しております。出身国で9年の学習を終えて日本の高校に進学する、いわゆるダイレクトの高校生たちが該当しますけども、あわせて、この方法は各地の公立夜間中学で急増している学齢を超えた来日直後の生徒への指導にも広く応用できるのではないかと考えます。
一方で、日本の小中学校を経験していながらも、様々な理由で学習の場から周縁化され、学習への苦手意識が蓄積してしまっている高校生も非常に多く実在します。こうした生徒に対しては、学びの意欲を引き出すためのアプローチが求められますので、生徒を多面的に、そして立体的に捉える見取りが必須となります。これらの見取りを基に、生徒の強みを生かしながら、生徒の現実と地続きのテーマを扱った教育活動を行うことというのは、生徒が自信を取り戻し、同時に日本語の力を伸ばしていくということを可能にします。それは、高階委員からも御紹介のあった大阪わかば高校をはじめ、大阪府立西成高校、また、岐阜県の東濃高校ですとか、愛知県の衣台高校などの取組でも実証されています。したがって、日本語能力検定試験だけに限らない学校教育に即して日本語能力を証明できる方法の提示の重要性についても報告書では言及いただきたいと願います。
以上になります。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、横溝委員、お願いします。
【横溝委員】
よろしくお願いします。12ページの個別の指導計画とオンラインを使ったデジタル技術の活用について少しお話をさせていただきます。
まず、個別の指導計画については、特別の教育課程対象者が必須だと感じております。個別の指導計画があることで指導内容等が明確になる。そして、教員と取り出し等の指導の先生方の連携がスムーズに行くということが挙げられます。ただ、教員の作成等の話を聞いていますと、やはり負担感がある教員も多いのは事実で、少し各分量等についても今後精選していただけたらと思いますし、先ほど小島委員からありましたように、DLA等の日本語の力を明記する部分がありません。その部分を書けるようにしていただきながら、アセスメントと実際の指導との行き来ができるような個別の指導計画等ができたらいいのかなというふうに感じております。
それから2点目、オンラインに関してですが、実は横浜市も今、試行段階でオンラインの授業を行っている段階で、先ほど吉田委員からもありましたとおり、発達段階に応じてできること、学年に応じてできる子供たちとそうでない子供たちがいるというのはよく分かってきたところです。文科省のほうでガイドラインをつくっていただくときに、オンラインでできる適切な人数とか、それから時間数とか、教材例とかをどのように示していただくかというところもぜひ検討していただけたらと思いますし、在籍級、在籍学校の先生との連携が本当に必要不可欠かなと思っております。オンラインでは、例えば書字のもので「あ」と書いている部分の字形がきちんと取れているかという確認は、もちろん見ただけではできるんですけど、直しをするというのはとても難しいなというふうに感じていますので、そこは在籍校の先生との連携というような言葉も含めながら、入れていただけたらなと思っております。いずれにしても、この膨大な量をどういうふうに現場に下ろしていくかというところが非常に重要かなと思っていますので、そういった点についても、どこかで指導主事の役割等も改めて入れていただくことも必要なのかなというふうに感じました。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、浜田委員、どうぞお願いします。
【浜田副座長】
失礼いたします。できるだけ手短にお話ししたいと思います。2点大きくお話しさせていただきます。
まず1点目は、教員養成の部分についてです。現在、中教審での議論が進んでおりまして、教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループの中間まとめも出ているところですけれども、本日も報告書の中に書いていただいていますけれども、今回3つに分けて、全ての者が学ぶ基礎的な内容、それから強み専門性として学ぶ、そしてさらに専門性を高める内容ということで、3点に分けて少し私自身の考えをお話しさせていただきます。
まず、基礎的な内容としては、ここにもありますように、幼児・児童及び生徒の個々の多様な特性の理解と包摂という観点から、コアカリキュラムに取り入れられるというふうな方向性が示されております。やはり理解と包摂ということですので、在籍学級の対応、本日何度も話題になっておりますけれども、その在籍学級で言語や文化の違いがあるときに具体的にどのように授業を進めたらいいか、あるいは、むしろその違いをいかに学習のリソースとして生かすかというようなことについての内容が必要であろうと思います。
それともう一点は、全ての子供に対する異文化理解といいますか、グローバル教育といった観点での内容もぜひ入れていただく必要があるのではないかというふうに考えます。
それから、2点目の強み専門性の部分で、これもたくさんの委員から御発言があったところですけれども、現在の中間二次まとめでは、強み専門性に係る内容の学習には20単位を充てるというふうな案が提示されております。登録日本語教員の養成課程は、最低25単位、実習1単位がありますので26単位になりますけれども、ということですので、この強み専門性に少しプラスアルファすると、登録日本語教員の資格と教員免許状と両方が取れるような仕組みに将来なっていくのではないかということが期待されます。
ただ、本当にたくさんの委員の方がおっしゃった、全く私も同感でして、登録日本語教員というのは対象が子供に限らないということ、そして、より大きな問題としては、自分で教育課程を作成することまでは求めていないということがあります。日本語教育機関等でコーディネーターや主任教員がつくった教育課程を教えるという能力があればよいということになっています。ですので、この20単位丸々分を登録日本語教員で読み替えると、当然、不足する部分が出てくるということになります。ですので、免許状取得に係る20単位分については、ぜひコアカリキュラムとして、たくさんの先生方がおっしゃったような子供の発達、言語習得、それから具体的な子供に対する日本語指導の方法、あるいは個別の指導計画、教育支援計画の作成などの内容を入れていく必要があるかと思います。それを例えば4単位から6単位というふうにいたしますと、合計すると30単位か32単位ぐらいになろうかと思います。普通、2枚の免許がプラス10単位ぐらいで取得できるということですので、かなり現実的なライン。この10単位というのは実は、例えば学校図書館の司書教諭の免許は今10単位ぐらいかと思いますので、かなり現実的なラインになってくるかと思いますので、ぜひ具体的に中身について検討を進めていただきたいと思います。
それから、3つ目の教師としての経験を積んだ者がさらに専門性を高めるための内容ということですけれども、これは日本語教師のキャリアステップで言いますと、直接教える教員の先にコーディネーターという段階があります。ですので、自分が教えるだけではなくて、周囲の方の教育といったようなことも含めて、力を持っている教員になっていくということです。具体的に言いますと、例えば学校ですと、外部との連携の中核的な役割を果たしたり、あるいは教育委員会で担当者あるいは指導主事として各校の取組をリードしたり、あるいは教員研修を行ったりするような役割ということです。それは日本語教育ということだけではなく、教員としてのキャリアを積み重ねていく中で、当然その力というのがついてくると思いますので、教師の、学校教員のキャリア全体の中でぜひ考えていただきたいなと思います。
それから、あと1点です。この間、中教審の総則部会で実はこの有識者会議の検討状況の中間報告を私、担当させていただきました。そのときにも有識者会議からの意見として申し上げたんですけれども、日本語指導が必要な子供とか、あるいは外国につながる、いろんな名前、名称というのをこの機にぜひ、統一したものとして整理をしていくことが必要ではないかと思います。日本語指導が必要な子供というのは課題が明確になっていいんですけれども、先ほどから問題になっているように、強みとして生かしていくというふうな側面も含めて、日本語指導が必要でない子供たちも含めたようなタームというのを文科省としてぜひこの機会に位置づけをしていただければと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございます。浜田委員、何かいい言葉はありますか。
また後ほど。
【浜田副座長】
失礼しました。時間がありませんので。
【佐藤座長】
ありがとうございます。
では、最後、オチャンテ委員、お願いします。
【オチャンテ委員】
ありがとうございます。手短にいきます。19ページに母語支援員、日本語指導補助者の研修が必要ということが書いてあります。そのとおりだと思います。ただ、母語支援員や日本語教員の地位向上に関わる点についても報告書の中で触れていただければなと思います。これまでに会議でも何度も多分、指摘されてきたと思いますが、現場では非常に重要な役割を担っていますし、その役割に見合うような魅力のあるキャリアとして若い世代が目指していけるような必要があるのかなと思います。継続的なもちろん研修の機会も含め、環境整備も必要なのではないかなと思います。それが1点です。
2つ目は、22ページのところで、これは先ほども似たような内容が出たので、外国人児童生徒のアイデンティティーの確立や自尊感情の育成と一体的なキャリア教育、これは高校のところでは書いてあるけれど、全体の全ての子供たちに関わるようなところでもあるんじゃないかなと思います。
3つ目、最後のページなんですけど、最後の点で、高校卒業後の進路に関して、各大学において国籍などに関して多様な背景を持った者の大学入試の選抜の工夫ということが書いてあります。各大学よって、現在、私立大学では外国人枠とかそういった取組が進められていると思います。しかし、国公立大学での取組はまだ十分とは言えない状況なのではないかなと思います。外国にルーツのある子供たちが増えている中で、地域の国立大学を目指したいけどなかなか難しくて、なので、彼らが持つ多様な言語力、経験、文化的な背景の強みとして生かせるような、その可能性を引き出せるような入試や支援の取組が必要なのではないかなという、そういう文言を入れていくことを今後検討していくんじゃないかなと思います。今回の調査では、高校生の大学などへの進学率の減少が見られておりますし、経済的な課題については、子供たち本人や家族だけでは乗り越えられないような壁となっていると思いますので、そういう意味では、国立を目指そうと思っている若者にはそういった枠、自分たちが持っている能力を生かせるような大学もあればなと思います。
一方で、大学進学のみを目標とするものではないと思うので、就学を含めた多様な進路の保障も重要だと思います。そういう就職支援においても母語支援員の力を生かしながら保護者への丁寧な説明や理解促進を行い、子供たちが安心して進路選択ができるような環境づくりが必要なのではないかなと思います。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
先ほど片桐さんのほうから、事務局のほうから、今日御欠席の佐古委員とバトラー委員から御意見をいただいているということですので、書面でお願いできますか。
【片桐調査官】
それでは、代読させていただきます。
まず、バトラー委員からは、11ページの特別支援、障害のある児童生徒のところで御意見をいただいております。
まず、障害を持っている日本語支援が必要な児童生徒に対する言及がなされていることはとても大切だと思います。今回の報告書では、「言語、教育制度や文化的背景が異なることにも留意し、本人及び保護者に丁寧に説明し十分な理解を得ながら、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等を踏まえ、必要な支援について総合的な観点から判断することが重要であることに留意すべきである」とあり、これでいいと思いますが、今後、具体的にどのように進めていったらよいのか、アセスメントの整備や関係する担当者、特別支援の担当教員等との連携の在り方を含め、現場への具体的な情報提供の整備が必要になってくると思います。
それから、私が度々申し上げてきたことですが、外国につながる児童生徒への有効な指導・支援、特に在籍教室での学習に関する支援は、全ての児童生徒にとっても有効であることが多く、ここで得られた知見、経験を他の教科指導へも還元していけるのだろうという視点も盛り込んでいただけると幸いです。
続きまして、佐古委員からの御意見は、まず14ページ、指導体制のところでいただいております。今後、散在地域も含めて、日本語指導が必要な児童生徒の指導を充実させていくためには、指導担当教職員の指導力の向上だけでなく、校内における指導体制の構築並びに学校と関係諸機関・団体等との連携を構築していくことが不可欠です。そして、このような指導体制並びに連携体制の構築については、他校の参照事例となり得る拠点校を整備するとともに、その知見を積極的に提供し支援する教育委員会の取組が有効であることは、本会議に提供された事例からも明らかだと考えています。各県において外国人児童生徒の集住・散在状況が異なることや、日本語指導人材等の蓄積状況も異なっていることを考えると、今後は教育委員会がリーダーシップを発揮して、各地域、主として県レベルの実情に適合した校内指導体制並びに学校内外の連携体制の構築に関する拠点校を一層積極的に整備していくとともに、その成果を積極的に学校に提供し支援する取組を推進することと、このような取組に対する国の支援を強めていくことが重要だと考えます。
もう一点、19ページ、教員養成についてですが、教職課程の見直しの議論が進行中ですが、学部段階の教職課程においても、教師としての「強み専門性」の学修が認定される方向にあると理解しています。この強み専門性の事項の中に「外国人児童生徒等に対する指導」、あるいは「日本語指導」を位置づけるようにすべきではないか。そして、できるだけ多数の大学が開設できるよう、教職課程の強み専門性に係る「外国人児童生徒に対する指導」に関するカリキュラムの考え方や例などを準備しておくべきではないかと考えます。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
皆さん、いろんな貴重な意見ありがとうございました。報告書の大体、大枠では皆さん、共通理解をいただいているように思います。報告書の書き方の順序であるとか、表現の工夫であるとか、あるいは少し足りないところについての御意見をいただきました。ありがとうございました。もしさらに御意見のある方は、メールで事務局までお送りいただければと思います。
それでは、本日の議論、ここまでとさせていただきます。
本日も皆様から御意見、御提案いただき、ありがとうございました。調査結果も公表されましたので、これらを踏まえて、外国人児童生徒等教育をさらにどのように推進できるか、それをこの報告書にどう反映させるかについても、今日いただいた御意見を踏まえ事務局のほうでさらに整理していただいて、もう一度次回に議論したいと思います。
事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【片桐調査官】
ありがとうございます。それでは、いただいた御意見を事務局において整理させていただきます。また、次回の会議は、6月22日月曜日、10時から予定させていただければと思います。詳細につきましては、後日連絡させていただきます。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。どうも皆様、ありがとうございました。
―― 了 ――
総合教育政策局国際教育課